露出制御装置と露出制御方法とプログラムおよび撮像装置
【課題】絞り機構による制限の影響を受けることなく露出制御を行う。
【解決手段】絞りの応答遅れやノイズ音を生じないように、絞り制御値Icの値に応じた絞り制御値可変範囲WIを設定する。絞り制御値Icの現在の値VIに応じて設定されている絞り制御値可変範囲WIでは、利得制御値Gcの現在の値VGよりも利得減少方向に値αだけオフセットさせた状態に固定して露出制御を行い、絞り制御値可変範囲WIを外れるときは、絞り制御値Icを絞り制御値可変範囲WIの限界に固定して露出制御を行うプログラム線図Kを生成して、プログラム線図Kに基づき適正露出となるように絞り制御値Icや利得制御値Gcを更新する。適正露出であって1つの制御値を除く他の制御値が設定範囲の限界でないときは、プログラム線図の生成と制御値の更新を、適正露出であって1つの制御値を除く他の制御値が設定範囲の限界となるまで繰り返す。
【解決手段】絞りの応答遅れやノイズ音を生じないように、絞り制御値Icの値に応じた絞り制御値可変範囲WIを設定する。絞り制御値Icの現在の値VIに応じて設定されている絞り制御値可変範囲WIでは、利得制御値Gcの現在の値VGよりも利得減少方向に値αだけオフセットさせた状態に固定して露出制御を行い、絞り制御値可変範囲WIを外れるときは、絞り制御値Icを絞り制御値可変範囲WIの限界に固定して露出制御を行うプログラム線図Kを生成して、プログラム線図Kに基づき適正露出となるように絞り制御値Icや利得制御値Gcを更新する。適正露出であって1つの制御値を除く他の制御値が設定範囲の限界でないときは、プログラム線図の生成と制御値の更新を、適正露出であって1つの制御値を除く他の制御値が設定範囲の限界となるまで繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、露出制御装置と露出制御方法とプログラムおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置、例えば固体撮像素子を用いたビデオカメラでは、特許文献1のように絞り機構や増幅部および電子シャッタを設けて、適正な露出状態となるように絞りの位置や増幅部の利得、電子シャッタのシャッタ駆動が制御されている。
【0003】
ここで、被写体が暗く絞り機構によって絞りを開放しても適正な露出状態とならないときは、適正な露出状態となるように増幅部の利得を高めるものとする。また、被写体が明るく、絞り機構によって絞りを最小絞り状態(光量がゼロとならないで最小となる状態)としても適正な露出状態とならないときは、適正な露出状態となるように電子シャッタの露光時間(有効電荷の蓄積時間)を短くする。このような露出制御を行う場合、図13に示す基本プログラム線図を用いればよい。
【0004】
図13において、露出値ECが「VEca」〜「VEcb」の範囲内であるときは、絞り制御値Icを露出値ECに応じて可変すれば適正露出状態とすることができる。また、露出値ECが「VEcb」よりも小さいときは、絞り制御値Icを開放側の設定限界である「VIop」として絞りを開放状態として、利得制御値Gcを設定限界「VGmax」「VGmin」の範囲内で露出値ECに応じて可変すれば適正露出状態とすることができる。なお、利得制御値Gcの「VGmax」とは利得が最大となる状態であり、「VGmin」とは利得が「1」となる状態である。さらに、露出値ECが「VEca」よりも大きいときは、絞り制御値Icを最小絞り側の設定限界である「VIcs」として絞りを最小絞り状態として、シャッタ制御値Tcを設定限界「VSmax」「VSmin」の範囲内で露出値ECに応じて可変すれば適正露出状態とすることができる。なお、シャッタ制御値Tcの「VSmin」とはシャッタ動作を行っていないときの状態であり、「VSmax」とはシャッタ動作を行って露光時間が最も短くなった状態である。
【0005】
【特許文献1】特開平9−116804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、絞り機構による光量変化は、絞り機構の開口面積に比例する。したがって、最小絞り側に比べて開放側では光量を所定倍とするとき駆動量が多くなる。例えば絞り形状が円形である絞り機構では、最小絞り側に比べて開放側となると絞り径の変化が少なくなる。したがって、最小絞り側に比べて開放側では光量を所定倍とするとき絞り機構をより多く駆動しなければならない。しかし、絞り機構における追従能力が低いとき、すなわち絞り制御値を設定したときに絞り制御値に応じた開口面積となるまでの応答が遅いと、光量変化に対する露出制御の応答特性が劣ったものとなる。また、絞り機構における追従能力が十分であっても、絞りを高速で大きく変化させるとノイズ音を生じてしまうおそれがあるため、駆動に制限を設ける必要が生じる場合がある。このように、応答特性が劣ったものとなったり駆動に制限が設けられると、絞り機構による露出制御から増幅部による露出制御に制御を切り換える場合や、増幅部による露出制御から絞り機構による露出制御に制御を切り換える場合に、絞り機構や増幅部の制御値の変化に対応した露出調整を行うことができなくなってしまう。
【0007】
図14は、絞り機構と増幅部の制御値を変化させたときの露出の変化特性を示している。ここで、絞り機構が最小絞り状態で増幅部の利得が最小状態である時点t1から時点t2で絞り機構が開放状態となるように絞り制御値の切り換えを行い、時点t2から時点t3では、絞り機構が開放状態で増幅部の利得を最小状態から最大状態となるように利得制御値の切り換えを行うものとする。
【0008】
絞り機構で応答の遅れや駆動の制限がない場合、制御値を変化させたとき調整された露出値は、特性Zaに示すように絞り機構や増幅部の制御値の変化に対応してリニアに変化する。しかし、絞り機構で応答の遅れや駆動の制限があると、特性Zbに示す特性の露出値に露出調整が行われてしまい、絞り機構や増幅部の制御値の変化に対応した露出調整を行うことができない。なお、特性Zcは、絞り機構の制御値を変化させたときの露出変化、特性Zdは、増幅部の制御値を変化させたときの露出変化を示しており、特性Zbは特性Zcと特性Zdを重畳させたものとなる。
【0009】
したがって、絞り機構で応答の遅れ、または駆動の制限があると、絞り機構や増幅部の制御値の変化に対応した露出制御を行うことができない。また、絞り機構や増幅部の制御値の変化に対応した露出制御を行うためには、応答の遅れ、または駆動の制限の影響が生じないように絞り機構の制御に制限を設けなければならない。
【0010】
そこで、この発明では、絞り機構による制限の影響を受けることなく露出制御を行うことができる露出制御装置と露出制御方法とプログラムおよび撮像装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の概念は、撮像素子と撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部と、前記絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部が設けられて、第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、第2の露出調整部の制御値を第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、絞り制御値可変範囲から外れるときには絞り制御値を絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成して、この生成したプログラム線図に基づき第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、露出検出結果から決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行うことにある。
【0012】
この発明においては、例えば撮像素子で生成される画像信号に基づいて露出検出を行う検出部や、撮像素子で撮像される被写体の光量を測定する光量測定部を用いて露出検出を行う検出部が設けられる。また第2の露出調整部として、撮像素子で生成された画像信号を増幅する増幅部および/または撮像素子の露光時間を制御するシャッタ部が設けられる。
【0013】
制御部は、絞り機構の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値例えば増幅部の利得が少なくなるようにオフセットさせた状態に利得制御値を固定した露出制御となり、絞り制御値可変範囲から外れるときには絞り制御値を絞り制御値可変範囲の限界に固定して、利得制御値を変更した露出制御となるプログラム線図を生成して、このプログラム線図に基づいて絞り機構や増幅部に対する制御値の更新を行い、露出検出結果から決定した適正露出であって第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御が行われる。また、このプログラム線図の生成とプログラム線図に基づいた第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新は、決定した適正露出であって第1または第2の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となるまで繰り返される。現在の絞り制御値に応じた絞り制御値可変範囲は演算式を用いて設定される。あるいは現在の絞り制御値に応じた絞り制御値可変範囲を出力するルックアップテーブルが用いられる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部の制御値を第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、絞り制御値可変範囲から外れるときには絞り制御値を絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成して、該プログラム線図に基づいて第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、露出検出結果から決定した適正露出であって第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御が行われる。
【0015】
このため、応答の遅れやノイズ音等を防止できるように絞り制御値可変範囲を制限しながら、適正露出であって第1または第2の露出調整部の制御値が設定範囲の限界とされた状態となり、絞り機構による制限の影響を受けることなく露出制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照しながら、この発明の実施の一形態について説明する。図1は、撮像装置の構成を示している。図示せぬ被写体からの光は、レンズ部11と絞り機構12を介して固体撮像素子21例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサに入射される。
【0017】
固体撮像素子21は、受光面に結像された被写体像の撮像光を、画素毎に電気信号に変換して画像信号Saを生成する。また、生成した画像信号をCDS(Correlated Double Sampling circuit)部23に供給する。
【0018】
タイミング信号発生部22は、固体撮像素子21で生成された画素毎の電気信号を読み出して1画面毎の画像信号を生成したり、固体撮像素子21において露光時間(光電変換によって得られた有効電荷の蓄積時間)を制御する電子シャッタ動作を行わせるための各種の駆動信号TDを生成して、固体撮像素子21に供給する。
【0019】
CDS部23は、供給された画像信号Saのノイズ成分を除去して、ノイズ成分が除去された画像信号Sbを増幅部24に供給する。増幅部24はCDS部23から供給された画像信号Sbを増幅して、画像信号ScとしてA/D(Analog / Digital)変換部25に供給する。A/D変換部25は、アナログの画像信号Scをディジタルの画像信号Sdに変換して、ディジタル信号処理部31と検出部34に供給する。
【0020】
ディジタル信号処理部31は、A/D変換部25から供給された画像信号Sdに対して良好な画像となるように種々の信号処理、例えばガンマ補正やホワイトバランス調整等を行う。また、ディジタル信号処理部31は、MPEG(Moving Picture Expert Group)方式等の圧縮伸長処理を行い、ディジタルの画像信号を圧縮して得られた画像信号Seを記録再生部32や外部機器(図示せず)に出力する。また、圧縮処理されている画像信号Sfが記録再生部32から供給されたときは、圧縮処理されている画像信号を伸長して圧縮前の画像信号に戻す処理を行う。さらに、ディジタル信号処理部31は、ディジタルの画像信号から表示画像信号Sgを生成して表示部33に供給する。
【0021】
記録再生部32は、ディジタル信号処理部31から供給された画像信号Seを、記録媒体例えば半導体メモリや光ディスクあるいは磁気テープ等の記録媒体に記録する。また、記録媒体に記録されている画像信号を読み出して画像信号Sfとしてディジタル信号処理部31に供給する。
【0022】
表示部33は、例えば液晶表示素子等を用いて構成されており、ディジタル信号処理部31から供給された表示画像信号Sgに基づいて画像表示を行う。
【0023】
検出部34は、供給された画像信号Sdから露出制御やフォーカス調整を行うために必要となる検出信号DEを生成して制御部51に供給する。例えば、検出部34は撮像画像から輝度レベルの平均値を検出して、その検出結果を検出信号DEとして制御部51に供給する。また、検出部34として露出計を用いるものとしてもよい。露出計は、例えば被写体の明るさに応じた電気信号を光電変換素子によって生成して、この電気信号を処理して得た測定信号を検出信号DEとして制御部51に供給するものとしてもよい。このように露出計を用いるものとすれば、適正露出の検出が画像信号Sdを用いる場合よりも容易となる。さらに、検出部34は、例えば撮像画像上の所定の位置に設定されたオートフォーカス検出エリア内における輝度のエッジ成分を検出して、その検出結果を検出信号DEとして制御部51に供給する。
【0024】
レンズ駆動部41は、固体撮像素子21の受光面に被写体像が焦点の合った状態で結像されるようにレンズ部11のフォーカスレンズ(図示せず)を駆動する。また、固体撮像素子21の受光面に結像される被写体像の大きさが所望の大きさとなるようにレンズ部11のズームレンズ(図示せず)を駆動する。
【0025】
絞り駆動部42は、絞り機構12を駆動して、固体撮像素子21の受光面に結像される被写体像の光量を調整する。
【0026】
制御部51には、ユーザインタフェース部52が接続されている。ユーザインタフェース部52は、操作キーや外部からの遠隔操作信号を入力するためのインタフェース等で構成されており、ユーザ操作に応じた操作信号Spを制御部51に供給する。なお、ユーザインタフェース部52を介して、例えば制御部51に記憶されているプログラムや種々の情報等の更新も可能とされる。
【0027】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)511や、ROM(Read Only Memory)512、RAM(Random Access Memory)513等で構成されている。CPU511は、ROM512に格納されているプログラムを実行して、操作信号Spに基づいて制御信号を生成して各部に供給することで、撮像装置の動作がユーザ操作に応じて動作となるように制御する。なお、RAMは、種々の制御を行う際に情報を一時記憶しておくためのワーキングエリア等として用いられる。
【0028】
また、制御部51は検出部34から供給された検出信号DEに基づきレンズ制御値Rcを生成してレンズ駆動部41に供給することで、オートフォーカス検出エリア内の被写体にフォーカスが合うようフォーカス制御が行われる。さらに、制御部51は検出部34から供給された検出信号DEに基づき適正露出値の決定、絞り制御値Icや利得制御値Gcおよびシャッタ制御値Tcの生成を行い、生成した絞り制御値Icを絞り駆動部42、利得制御値Gcを増幅部24、シャッタ制御値Tcをタイミング信号発生部22に供給して、適正露出となるように絞り機構12の絞り設定や増幅部24の利得の設定およびタイミング信号発生部22による電子シャッタのシャッタ速度の設定が行われる。
【0029】
ここで、制御部51は、現在の絞り制御値Icに応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、利得制御値Gcやシャッタ制御値Tcを絞り機構のみで露出制御を行う方向、すなわち利得制御値Gcは増幅部24の利得が減少する方向(以下「利得減少方向」という)、シャッタ制御値Tcは露光時間が長くなる方向(以下「露光時間拡大方向」という)にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、絞り制御値可変範囲から外れるときには絞り制御値を絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成する。この生成したプログラム線図に基づいて絞り制御値Icや利得制御値Gc,シャッタ制御値Tcの更新を行い、適正露出であって絞り制御値Icや利得制御値Gc,シャッタ制御値Tcの何れか1つを除く他の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行う。また、このプログラム線図の生成とプログラム線図に基づいた制御値の更新を、適正露出であって適正露出であって絞り制御値Icや利得制御値Gc,シャッタ制御値Tcの何れか1つを除く他の制御値が設定範囲の限界となるまで繰り返して露出制御を行う。
【0030】
次に、撮像装置の露出制御について説明する。図2は、露出制御処理を示すフローチャートである。ステップST1でCPU511は、検出部34で生成された検出信号DEを取得してステップST2に進む。
【0031】
ステップST2でCPU511は、検出部34で検出された検出信号DEから適正露出値を決定する。
【0032】
ステップST3でCPU511は、絞り制御値Icを取得する。絞り制御値Icは絞り機構12を駆動するために用いられるものであり、例えば絞り制御値Icが設定範囲の開放側限界「VIop」であるとき絞り機構12は開放状態となり、絞り制御値Icが設定範囲の最小絞り側限界「VIcs」であるとき絞り機構12は最小絞り状態(光量がゼロとならないで最小となる状態)となる。ここで、CPU511は絞り制御値Icを取得することで、絞り機構12の現在の絞り状態を把握できる。
【0033】
ステップST4でCPU511は、他の露出調整部の制御値を取得する。CPU511は他の露出調整部の制御値として例えば増幅部がどのような利得に設定されているかを示す利得制御値Gc、タイミングジェネレータ部によって露光時間がどのような設定状態となっているかを示すシャッタ制御値Tcを取得する。
【0034】
ステップST5でCPU511は、プログラム線図生成処理を行う。CPU511は、ステップST3で取得した絞り制御値IcとステップST4で取得した例えば利得制御値Gcやシャッタ制御値Tcからプログラム線図を生成する。
【0035】
図3は、生成するプログラム線図を例示している。プログラム線図の生成では、ステップST3で取得した絞り制御値Icの値「VI」に基づいて絞り制御値可変範囲WIを決定する。また、絞り制御値変更可能範囲WIと他の露出調整部の制御値、例えば図3では増幅部24の利得を制御する利得制御値Gcの値「VG」に基づき、絞り制御値変更可能範囲WIの限界を制御切換ポイントQop,Qcsとして、絞り機構12による露出調整から増幅部24による露出調整に制御、または増幅部24による露出調整から絞り機構12による露出調整に制御が切り替わるようにして、プログラム線図Kを生成する。
【0036】
図4は、プログラム線図生成処理を示すフローチャートである。ステップST11でCPU511は、ステップST3で取得した絞り制御値Icに基づいて絞り制御値可変範囲WIを決定する。図5は、絞り制御値可変範囲の決定方法を説明するための図である。絞り制御値可変範囲WIの設定では、絞り制御値可変範囲WIの開放側を規定するための関数f(Ic)と絞り制御値可変範囲WIの最小絞り側を規定するための関数g(Ic)が予め設けられている。CPU511は、ステップST3で取得した絞り制御値Icを関数f(Ic),g(Ic)に代入して演算を行うことで、絞り制御値可変範囲WIを決定する。
【0037】
関数f(Ic),g(Ic)は、絞り制御値Icを切り換えたときに、絞り機構12で許容できないような応答の遅延やノイズ音の発生を生じることがないように予め設定されている。ここで、例えば被写体の明るさが変化して適正露出とするために絞り機構12で光量を2倍とする場合、絞り開口面積を2倍とする必要がある。ここで、絞り機構12が開放側に近いときは、最小絞り側に近い場合に比べて絞り機構12をより多く駆動しなければならない。したがって、絞り制御値Icが開放側に近いときに最小絞り側と同様な絞り制御値可変範囲WIを設定すると、絞り制御値Icが開放側となるに伴い、絞り機構12をより多く駆動しなければならず応答の遅延やノイズ音の発生が顕著となってしまう。したがって、絞り制御値Icが開放側に近づくに伴い、絞り制御値可変範囲WIが狭くなるように、関数f(Ic),g(Ic)を設定する。なお、関数f(Ic),g(Ic)によって制御値可変範囲WIを設定したとき、絞り機構12のみで所望の露出に制御することができない場合、露出制御を増幅部24に割り振って利得の制御を合わせて行うものとすれば、所望の露出に制御することができる。
【0038】
図5において、例えば絞り制御値Icの値が「VI2」であるとき、絞り制御値Icの値「VI2」から開放側可変範囲「do2」を減算した値が絞り制御値可変範囲WIの開放側の値「VIo2」となる。また、絞り制御値Icの値「VI2」に最小絞り側可変範囲「dc2」を加算した値が絞り制御値可変範囲WIの最小絞り側の値「VIc2」となる。
【0039】
絞り制御値Icの値が開放側の「VI1」となっているとき、絞り制御値Icの値「VI1」から開放側可変範囲「do1」を減算した値が絞り制御値可変範囲WIの開放側の値「VIo1」となる。また、絞り制御値Icの値「VI1」に最小絞り側可変範囲「dc1」を加算した値が絞り制御値可変範囲WIの最小絞り側の値「VIc1」となる。したがって、絞り制御値Icの値が「VI1」となっているときの絞り制御値可変範囲WIは、絞り制御値Icの値が「VI2」であるときの絞り制御値可変範囲よりも狭くなる。
【0040】
絞り制御値Icの値が最小絞り側の「VI3」となっているとき、絞り制御値Icの値「VI3」から開放側可変範囲「do3」を減算した値が絞り制御値可変範囲WIの開放側の値「VIo3」となる。また、絞り制御値Icの値「VI3」に最小絞り側可変範囲「dc3」を加算した値が絞り制御値可変範囲WIの最小絞り側の値「VIc3」となる。したがって、絞り制御値Icの値が「VI3」となっているときの絞り制御値可変範囲WIは、絞り制御値Icの値が「VI2」であるときの絞り制御値可変範囲WIよりも広くなる。なお、図5では、絞り制御値可変範囲WIの最大値を規定して、現在の絞り制御値が最小絞り側となったとき、絞り制御値可変範囲WIが広くなりすぎないように規制している。
【0041】
また、絞り制御値可変範囲WIは、予めルックアップテーブルをROM等に記憶させておき、現在の絞り制御値に対応する絞り制御値可変範囲WIをルックアップテーブルLUTから読み出すものとしてもよい。
【0042】
ルックアップテーブルLUTは、関数f(Ic),g(Ic)に絞り制御値の種々の値を代入して、絞り制御値Icの種々の値に対する絞り制御値可変範囲WIを、絞り制御値Icの種々の値に関係付けてテーブル化したものである。例えば、図5に示す関数f(Ic),g(Ic)を用いることで、図6に示すルックアップテーブルLUTを生成できる。このルックアップテーブルLUTを用いるものとすれば、絞り制御値Icの値が例えば「VI1」であるとき、絞り制御値可変範囲WIを「VIo1〜VIc1」に速やかに設定できる。なお、図6に示すルックアップテーブルLUTでは、図5との関係が明らかとなるように開放側の可変範囲と最小絞り側の可変範囲を示しているが、これらの可変範囲はルックアップテーブルLUTに設けておかなくとも良いことは勿論である。
【0043】
図2のステップST3で取得した絞り制御値Icに基づいて絞り制御値可変範囲WIが決定されると、ステップST12でCPU511は、制御切換ポイントQop,Qcsを設定する。制御切換ポイントQop,Qcsは、利得制御値Gcやシャッタ制御値Tcを固定して、絞り制御値Icのみを変更して露出調整を行う制御モードと、利得制御値Gcあるいはシャッタ制御値Tcの一方と絞り制御値Icを固定して、利得制御値Gcあるいはシャッタ制御値Tcの他方のみを変更して露出調整を行う制御モードとを切り換えるポイントである。具体的には、絞り制御値Icに基づいて決定された絞り制御値可変範囲WIの開放側の端部と最小絞り側の端部を制御切換ポイントQop,Qcsとする。さらに、露出値ECに応じて1つの露出調整部の制御値を可変させて、他の露出調整部の制御値は設定範囲の限界に固定された状態とするため、絞り機構を除く他の露出調整部の制御値は現在の制御値よりも絞り機構12のみで露出制御を行う方向にオフセットさせて制御切換ポイントQop,Qcsを設定する。
【0044】
例えば絞り機構12と増幅部24で露出調整が行われているときは、図3に示すように、現在の増幅部24の利得制御値Gcが利得減少方向すなわち設定範囲の限界「VGmin」に近づくよう制御値αだけオフセットさせて制御切換ポイントQop,Qcsを設定する。ここで、利得制御値Gcの「VGmin」とは利得が「1」となる状態であり、「VGmax」とは利得が最大となる状態である。
【0045】
また、図13に示すように露出値ECが「VEca」よりも大きいときは、絞り制御値Icを最小絞り側の設定限界である「VIcs」として絞りを最小絞り状態として、シャッタ制御値Tcを設定限界「VSmax」「VSmin」の範囲内で露出値ECに応じて可変すれば適正露出状態とすることができる。このように、絞り機構12とタイミング信号発生部22で露出調整を行うとき、現在のシャッタ制御値Tcが、露光時間拡大方向すなわち設定範囲の限界「VSmin」に近づくようにオフセットさせて制御切換ポイントQop,Qcsを設定する。ここで、シャッタ制御値Tcの「VSmin」とはシャッタ動作を行っていないときの状態であり、「VSmax」とはシャッタ動作を行って露光時間が最も短くなった状態である。
【0046】
なお、オフセットを設けることで、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値、すなわち絞り制御値Icや利得制御値Gc,シャッタ制御値Tcの何れか1つを除く他の制御値を設定範囲の限界で固定して露出調整が行われる状態となることは後述する動作の説明で明らかとなる。
【0047】
このようにしてプログラム線図の生成処理が完了すると、図2のステップST5からステップST6に進み、CPU511は制御値を更新する。CPU511は、ステップST5で生成したプログラム線図に基づいて、適正露出となるように複数の露出調整部の制御値を更新する。
【0048】
ステップST7でCPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となったか否かを判別する。ここで、CPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となっていないと判別したときステップST3に戻り、再度プログラム線図を生成して、生成したプログラム線図に基づいて複数の露出調整部の制御値を更新する。また、CPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となったとき処理を終了する。
【0049】
図7は、露出制御動作を時間の経過と共に示したものである。図7の(A)は露出制御処理の開始時の状態を示しており、露出値ECは「VEa」,絞り制御値Icは「VIs」,利得制御値Gcは設定範囲の限界「VGmin」とする。また検出信号DEに基づき決定された適正露出値を「VEd」とする。ここで、絞り制御値Icと利得制御値Gcに基づきプログラム線図Ka1を生成する。なお、利得制御値Gcは「VGmin」であり、制御値αaのオフセットを行っても「VGmin」であることから、プログラム線図Ka1は、絞り制御値可変範囲WIa1で利得制御値Gcが「VGmin」となる。
【0050】
このプログラム線図Ka1において露出値が「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIa2」で利得制御値Gcが「VGa2」の位置Pa2である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIa2」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGa2」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pa2は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界で固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0051】
図7の(B)は、新たに生成されたプログラム線図Ka2を示している。プログラム線図Ka2を生成するとき、絞り制御値Icは「VIa2」,利得制御値Gcは「VGa2」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Ka1の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Ka1の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGa2」であり、プログラム線図Ka2は、絞り制御値可変範囲WIa2における利得制御値Gcが「VGa2」から制御値αaだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0052】
このプログラム線図Ka2において露出値が「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIa3」,利得制御値Gcは「VGa3」の位置Pa3である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIa3」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGa3」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pa3は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0053】
図7の(C)は、新たに生成されたプログラム線図Ka3を示している。プログラム線図Ka3を生成するとき、絞り制御値Icは「VIa3」,利得制御値Gcは「VGa3」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Ka2の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Ka2の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGa3」であり、プログラム線図Ka3は、絞り制御値可変範囲WIa3における利得制御値Gcが「VGa3」から制御値αaだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0054】
このプログラム線図Ka3において露出値が「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIa4」,利得制御値Gcは「VGa4」の位置Pa4である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIa4」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGa4」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pa4は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0055】
図7の(D)は、新たに生成されたプログラム線図Ka4を示している。プログラム線図Ka4を生成するとき、絞り制御値Icは「VIa4」,利得制御値Gcは「VGa4」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Ka3の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Ka3の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGa4」であり、プログラム線図Ka4は、絞り制御値可変範囲WIa4における利得制御値Gcが「VGa4」から制御値αaだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0056】
このプログラム線図Ka4において露出値が「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIop」,利得制御値Gcは「VGa5」の位置Pa5である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIop」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGe」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pa5は、絞り制御値Icを設定範囲の開放側限界に固定して、利得制御値Gcによって露出制御が行われる状態となったことから露出制御処理を終了する。
【0057】
このように、絞り制御値Icに応じて絞り制御値可変範囲WIを設定して、利得制御値Gcにオフセットを設けてプログラム線図を生成して、このプログラム線図に基づいて絞り制御値Icや利得制御値Gcの更新を行うものとすれば、適正露出であって絞り制御値Icまたは利得制御値Gcを設定範囲の限界として露出制御を行うことができる。また、最初に生成したプログラム線図では、適正露出であって絞り制御値Icまたは利得制御値Gcを設定範囲の限界として露出制御を行うことができなくとも、プログラム線図の生成とプログラム線図に基づいて絞り制御値Icや利得制御値Gcの更新を繰り返し行うものとすれば、適正露出を示す位置は絞り制御値Icまたは利得制御値Gcが設定範囲限界となる方向に順次移動される。したがって、絞り機構12の応答の遅れやノイズ音の発生等を生じさせることなく、絞り制御値Icまたは利得制御値Gcを設定範囲の限界に固定して適正露出に露出制御を収束させることができる。
【0058】
ところで、図7に示す露出制御動作では、プログラム線図Ka1を生成して、絞り制御値Icと利得制御値Gcを適正露出となるように設定している。したがって、露出値ECが「VEa」から適正露出値である「VEd」に露出が急激に切り換えられる。そこで、露出値ECが「VEa」から適正露出値である「VEd」に緩やかに露出を切り換える場合について次に説明する。
【0059】
図8は、緩やかに露出を切り換える場合の露出制御動作を示している。この露出制御動作では、露出値ECを「VEa」から適正露出値である「VEd」に露出制御を切り換える際に、途中の露出値でも露出調整を行うようにして、段階的に露出を「VEa」から適正露出値である「VEd」に切り換えるものとする。なお、図8では、露出を「VEb」「VEc」で、露出制御が行われるようにした場合を示している。
【0060】
図8の(A)は露出制御処理の開始時の状態を示しており、露出値ECは「VEa」,絞り制御値Icは「VIs」,利得制御値Gcは設定範囲の限界「VGmin」とする。また検出信号DEに基づき決定された適正露出値を「VEd」とする。ここで、絞り制御値Icと利得制御値Gcに基づきプログラム線図Kb1を生成する。なお、利得制御値Gcは「VGmin」であり、制御値αbのオフセットを行っても「VGmin」であることから、プログラム線図Kb1は、絞り制御値可変範囲WIb1で利得制御値Gcが「VGmin」となる。
【0061】
このプログラム線図Kb1において露出値ECが「VEb」となるのは、絞り制御値Icが「VIb2」,利得制御値Gcは「VGb2」の位置Pb2である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIb2」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGb2」に更新して増幅部24の制御を行う。このとき、露出を「VEb」とする露出制御が行われることになる。また、位置Pb2は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0062】
図8の(B)は、新たに生成されたプログラム線図Kb2を示している。プログラム線図Kb2を生成するとき、絞り制御値Icは「VIb2」,利得制御値Gcは「VGb2」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Kb1の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIb2は、プログラム線図Kb1の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGb2」であり、プログラム線図Kb2は、絞り制御値可変範囲WIb2における利得制御値Gcが「VGb2」から制御値αbだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0063】
このプログラム線図Kb2において露出値ECが「VEc」となるのは、絞り制御値Icが「VIb3」,利得制御値Gcは「VGb3」の位置Pb3である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIb3」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGb3」に更新して増幅部24の制御を行う。このとき、露出を「VEc」とする露出制御が行われることになる。また、位置Pb3は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われる状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0064】
図8の(C)は、新たに生成されたプログラム線図Kb3を示している。プログラム線図Kb3を生成するとき、絞り制御値Icは「VIb3」,利得制御値Gcは「VGb3」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Kb2の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIb3は、プログラム線図Kb2の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGb3」であるので、プログラム線図Kb3は、絞り制御値可変範囲WIb3で利得制御値Gcが「VGb3」から制御値αbだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0065】
このプログラム線図Kb3において露出値ECが「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIb4」,利得制御値Gcは「VGb4」の位置Pb4である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIb4」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGb4」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pb4は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われる状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0066】
図8の(D)は、新たに生成されたプログラム線図Kb4を示している。プログラム線図Kb4を生成するとき、絞り制御値Icは「VIb4」,利得制御値Gcは「VGb4」となっている。絞り制御値Icは、プログラム線図Kb3の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIb4は、プログラム線図Kb3の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGb4」であり、プログラム線図Kb4は、絞り制御値可変範囲WIb4で利得制御値Gcが「VGb4」から制御値αbだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0067】
このプログラム線図Kb4において露出値ECが「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIop」,利得制御値Gcは「VGb5」の位置Pb5である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIop」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGe」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pb5は、絞り制御値Icを設定範囲の開放側限界に固定して、利得制御値Gcによって露出制御が行われる状態となったことから露出制御処理を終了する。
【0068】
このように、露出を「VEa」から適正露出値である「VEd」に切り換える際に、途中の露出値でも露出制御を行うようにすれば、緩やかに露出を切り換えることができる。
【0069】
また、緩やかに露出調整を切り換える方法として、現在の露出値と検出信号DEに基づき決定された適正露出値の差分を1/n倍(nは実数)して露出変更値とする。さらに、現在の露出値に露出変更値を加算して目標露出値を設定して、現在の露出値が目標露出値となるように露出制御を繰り返す。また、露出変更値が閾値RLよりも小さくなったときは、目標露出値を適正露出値である「VEd」として、現在の露出値が目標露出値となるように露出制御を行うものとしてもよい。
【0070】
図9は、目標露出値を設けた場合の露出制御処理を示すフローチャートである。ステップST21〜ステップST24でCPU511は、図2のステップST1〜ステップST4と同様に、検出信号DEの取得、適正露出値の決定、絞り制御値Icの取得、利得制御値Gcの取得を行いステップST25に進む。
【0071】
ステップST25でCPU511は、露出変更値を算出する。すなわち、CPU511は、現在の露出値ECと検出信号DEに基づき決定された適正露出値である「VEd」の差分を1/n倍して露出変更値Ehとする。
【0072】
ステップST26でCPU511は、露出変更値Ehが閾値RLよりも小さいか否か判別する。ここで、CPU511は、露出変更値Ehが閾値RLよりも小さくないときステップST27に進み、露出変更値Ehが閾値RLよりも小さいときステップST28に進む。
【0073】
ステップST27でCPU511は、目標露出値の設定を行う。CPU511は、現在の露出値ECに露出変更値Ehを加算して、加算結果を目標露出値としてステップST29に進む。
【0074】
ステップST28でCPU511は、適正露出値を目標露出値に設定してステップST29に進む。
【0075】
ステップST29でCPU511は、ステップST5と同様にしてプログラム線図の生成処理を行いステップST30に進む。
【0076】
ステップST30でCPU511は、ステップST29で生成したプログラム線図に基づいて、複数の露出調整部の制御値を更新してステップST31に進む。
【0077】
ステップST31でCPU511は、目標露出値が適正露出値となっているか否かを判別する。ここで、CPU511は、目標露出値が適正露出値となっていないときステップST23に戻り、新たな目標露出値を設定したのちプログラム線図を生成して、生成したプログラム線図に基づいて複数の露出調整部の制御値を更新する。また、CPU511は、目標露出値が適正露出値となっていると判別したときステップST32に進む。
【0078】
ステップST32でCPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となったか否かを判別する。ここで、CPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となっていないと判別したときステップST23に戻り、再度プログラム線図を生成して、生成したプログラム線図に基づいて複数の露出調整部の制御値を更新する。また、CPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となったとき処理を終了する。
【0079】
図10は、目標露出値を設定したときの露出制御動作を示している。この露出制御動作では、露出値ECを「VEa」から適正露出値である「VEd」に露出調整を切り換える際に、現在の露出値ECと検出信号DEに基づき決定された適正露出値である「VEd」の差分を1/n倍(nは実数)して現在の露出値ECに加算して目標露出値とする。
【0080】
図10の(A)は露出制御処理の開始時の状態を示しており、露出値ECは「VEa」,絞り制御値Icは「VIs」,利得制御値Gcは「VGmin」とする。また検出信号DEに基づき決定された適正露出を「VEd」とする。ここで、絞り制御値Icと利得制御値Gcに基づきプログラム線図Kc1を生成する。なお、利得制御値Gcは「VGmin」であり、制御値αcのオフセットを行っても「VGmin」であることから、プログラム線図Kc1は、絞り制御値可変範囲WIc1で利得制御値Gcが「VGmin」となる。また、現在の露出値である「VE1」と適正露出値である「VEd」の差分を例えば(1/2)倍して現在の露出値ECに加算して目標露出値を「VEa1」とする。なお、閾値RLは、現在の露出値である「VEa」と適正露出値である「VEd」の差分の例えば(1/4)倍とする。
【0081】
プログラム線図Kc1において露出値が「VEa1」となるのは、絞り制御値Icが「VIcb2」,利得制御値Gcは「VGc2」の位置Pc2である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIc2」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGc2」に更新して増幅部24の制御を行う。このため、露出を「VEa1」とする露出制御が行われることになる。また、位置Pc2は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0082】
図10の(B)は、新たに生成されたプログラム線図Kc2を示している。プログラム線図Kc2を生成するとき、絞り制御値Icは「VIc2」,利得制御値Gcは「VGc2」となっている。絞り制御値Icは、プログラム線図Kc1の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIc2は、プログラム線図Kc1の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGc2」であり、プログラム線図Kc2は、絞り制御値可変範囲WIc2における利得制御値Gcが「VGc2」から制御値αcだけ利得減少方向にオフセットした値となる。また、現在の露出値は「VEa1」であることから、「VEa1」と適正露出値である「VEd」の差分を1/2倍して現在の露出値に加算して目標露出値を「VEa2」とする。
【0083】
プログラム線図Kc2において露出値が「VEa2」となるのは、絞り制御値Icが「VIc3」,利得制御値Gcは「VGc3」の位置Pc3である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIc3」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGc3」に更新して増幅部24の制御を行う。このとき、露出値を「VEa2」とする露出制御が行われることになる。また、位置Pc3は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0084】
図10の(C)は、新たに生成されたプログラム線図Kc3を示している。プログラム線図Kc3を生成するとき、絞り制御値Icは「VIc3」,利得制御値Gcは「VGc3」である。絞り制御値Icは、プログラム線図Kc2の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIc3は、プログラム線図Kc2の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGc3」であり、プログラム線図Kc3は、絞り制御値可変範囲WIc3における利得制御値Gcが「VGc3」から制御値αcだけ利得減少方向にオフセットした値となる。また、現在の露出値は「VEa2」であることから、「VEa2」と適正露出値である「VEd」の差分を1/2倍した値は閾値RLよりも小さくなる。したがって適正露出値である「VEd」を目標露出値とする。
【0085】
プログラム線図Kc3において露出値が「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIc4」,利得制御値Gcは「VGc4」の位置Pc4である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIc4」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGc4」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pc4は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0086】
図10の(D)は、新たに生成されたプログラム線図Kc4を示している。プログラム線図Kc4を生成するとき、絞り制御値Icは「VIc4」,利得制御値Gcは「VGc4」である。絞り制御値Icは、プログラム線図Kc3の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIc4は、プログラム線図Kc3の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGc4」であり、プログラム線図Kc4は、絞り制御値可変範囲WIc4における利得制御値Gcが「VGc4」から制御値αcだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0087】
このプログラム線図Kc4において露出値が「VEc」となるのは、絞り制御値Icが「VIop」,利得制御値Gcは「VGe」の位置Pc5である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIop」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGe」に新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pa5は、絞り制御値Icを設定範囲の開放側限界に固定して、利得制御値Gcによって露出制御が行われる状態となったことから露出制御処理を終了する。
【0088】
このように、現在の露出値が目標露出値となるように順次露出制御を行うことで、露出を滑らかに切り換えることができる。
【0089】
また、現在の露出値である「VEa」と適正露出値である「VEd」との間に中継値を設定して、この中継値を図7あるいは図8における適正露出として露出制御を行い、その後中継値から適正露出値となるように露出制御を行う。さらに、中継露出値を複数設けたときには、最初の露出値である「VEa」から適正露出値である「VEd」の方向に中継露出値を順次用いるものとして、最後の中継露出値から適正露出値である「VEd」となるように露出制御を行うものとしても、露出を適正露出値に滑らかに切り換えることができる。
【0090】
ところで、図7と図8,図10では、絞り制御値Icと利得制御値Gcを切り換える場合を示したが、次に、シャッタ制御値Tcを切り換えて露出制御を行う場合について説明する。
【0091】
図11は、シャッタ制御値Tcが切り換えられる場合のプログラム線図、図12は、シャッタ制御値Tcが切り換えられる場合の露出制御動作を示している。
【0092】
図11に示すプログラム線図では、取得した絞り制御値Icの値「VI」に基づいて絞り制御値変更可能範囲WIを決定する。また、絞り制御値変更可能範囲WIと例えばシャッタ制御値Tcの現在の値「VS」に基づき、絞り制御値変更可能範囲WIの端部を制御切換ポイントQop,Qcsとして、絞り機構12による露出調整からタイミング信号発生部22による露出調整に制御が切り替わるようにプログラム線図Kを生成する。なお、シャッタ制御値Tcが切り換えられる場合、上述したように、シャッタ制御値Tcが、露光時間拡大方向すなわち設定範囲の限界「VSmin」に近づくように制御値βだけ現在のシャッタ制御値Tcの値をオフセットさせて制御切換ポイントQop,Qcsを設定する。
【0093】
図12は、シャッタ制御値Tcが切り換えられる場合の露出制御動作を示している。図12の(A)は露出制御処理の開始時の状態を示しており、露出値は「VEd」,絞り制御値Icは「VIop」,利得制御値Gcは「VGd1」とする。また検出信号DEに基づき決定された適正露出値を「VEa」とする。
【0094】
ここで、絞り制御値Icと利得制御値Gcとシャッタ制御値Tcに基づきプログラム線図Kd1を生成する。なお、利得制御値Gcは「VGd1」であり、プログラム線図Kd1は、絞り制御値可変範囲WIa1における利得制御値Gcが「VGd1」から制御値αdだけオフセットされた値となる。
【0095】
このプログラム線図Kd1において露出値が「VEa」となるのは、絞り制御値Icが「VId2」,シャッタ制御値Tcが「VSd2」の位置Pd2である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VId2」に更新して絞り機構12の制御、およびシャッタ制御値Tcを「VSd2」に更新して固体撮像素子21の制御を行う。また、位置Pd2は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、利得制御値Gcは設定範囲の限界「VGmin」となっているが、絞り制御値Icとシャッタ制御値Tcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0096】
図12の(B)は、新たに生成されたプログラム線図Kd2を示している。プログラム線図Kd2を生成するとき、絞り制御値Icは「VId2」,シャッタ制御値Tcは「VSd2」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Kd1の生成時よりも最小絞り側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Kd1の生成時よりも広くなる。また、シャッタ制御値Tcは「VSd2」であり、プログラム線図Kd2は、絞り制御値可変範囲WId2におけるシャッタ制御値Tcが「VSd2」から制御値βdだけ露光時間拡大方向にオフセットした値となる。
【0097】
このプログラム線図Kd2において露出値が「VEa」となるのは、絞り制御値Icが「VId3」,シャッタ制御値Tcは「VSd3」の位置Pd3である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VId3」に更新して絞り機構12の制御、およびシャッタ制御値Tcを「VSd3」に更新して固体撮像素子21の制御を行う。また、位置Pd3は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icとシャッタ制御値Tcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0098】
図12の(C)は、新たに生成されたプログラム線図Kd3を示している。プログラム線図Kd3を生成するとき、絞り制御値Icは「VId3」,シャッタ制御値Tcは「VSd3」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Kd2の生成時よりも最小絞り側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Kd2の生成時よりも広くなる。また、シャッタ制御値Tcは「VSd3」であり、プログラム線図Kd3は、絞り制御値可変範囲WId3におけるシャッタ制御値Tcが「VSd3」から制御値βdだけ露光時間拡大方向にオフセットした値となる。
【0099】
このプログラム線図Kd3において露出値が「VEa」となるのは、絞り制御値Icが「VId4」,シャッタ制御値Tcは「VSd4」の位置Pd4である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VId4」に更新して絞り機構12の制御、およびシャッタ制御値Tcを「VSd4」に更新して固体撮像素子21の制御を行う。また、位置Pd4は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0100】
図12の(D)は、新たに生成されたプログラム線図Kd4を示している。プログラム線図Kd4を生成するとき、絞り制御値Icは「VId4」,シャッタ制御値Tcは「VSd4」となっている。絞り制御値Icは、プログラム線図Kd3の生成時よりも最小絞り側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Kd3の生成時よりも広くなる。また、シャッタ制御値Tcは「VSd4」であり、プログラム線図Kd4は、絞り制御値可変範囲WId4におけるシャッタ制御値Tcが「VSd4」から制御値βdだけ露光時間拡大方向にオフセットした値となる。
【0101】
このプログラム線図Kd4において露出値が「VEa」となるのは、絞り制御値Icが「VId5」,シャッタ制御値Tcは「VSmin」の位置Pd5である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VId5」に更新して絞り機構12の制御、およびシャッタ制御値Tcを「VSmin」に更新して固体撮像素子21の制御を行う。また、位置Pd5は、利得制御値Gcとシャッタ制御値Tcを設定範囲の限界「VGmin」「VSmin」に固定して、絞り制御値Icによって露出制御が行われる状態となったことから露出制御処理を終了する。
【0102】
このように、絞り制御値Icに応じて絞り制御値可変範囲WIを設定して、シャッタ制御値Tcにオフセットを設けてプログラム線図を生成して、このプログラム線図に基づいて絞り制御値Icやシャッタ制御値Tcの更新を行うものとすれば、適正露出であって絞り制御値Icまたはシャッタ制御値Tcを設定範囲の限界として露出制御を行うことができる。また、最初に生成したプログラム線図では、適正露出であって絞り制御値Icまたはシャッタ制御値Tcを設定範囲の限界として露出制御を行うことができなくとも、プログラム線図の生成とプログラム線図に基づいて絞り制御値Icやシャッタ制御値Tcを繰り返し行うものとすれば、適正露出を示す位置は絞り制御値Icまたはシャッタ制御値Tcが設定範囲限界となる方向に順次移動される。したがって、絞り機構12の応答の遅れやノイズ音の発生等を生じさせることなく、絞り制御値Icまたはシャッタ制御値Tc,利得制御値Gcの何れか1つを除く他の制御値を設定範囲の限界に固定して適正露出に露出制御を収束させることができる。
【0103】
なお、上述の撮像装置は動画あるいは静止画像の何れの画像信号を生成するものであってもよい。また、図7に示すように露出の切り換えを速やかに行うものとすれば、例えば静止画像の画像信号を生成する際に、適正露出の画像信号を容易に得ることができる。また、図8や図10に示すように、露出の切り換えを滑らかに行うものとすれば、例えば動画像の画像信号を生成する際に、被写体の輝度変化に対応させて滑らかに露出を切り換えて適正露出の画像信号を容易に生成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】撮像装置の構成を示す図である。
【図2】露出制御処理を示すフローチャートである。
【図3】プログラム線図を示す図である。
【図4】プログラム線図生成処理を示すフローチャートである。
【図5】絞り制御値可変範囲の決定方法を説明するための図である。
【図6】絞り制御値可変範囲を示すルックアップテーブルである。
【図7】露出制御動作を示す図である。
【図8】緩やかに露出を切り換える場合の露出制御動作を示す図である。
【図9】目標露出値を設けた場合の露出制御処理を示すフローチャートである。
【図10】目標露出値を設定したときの露出制御動作を示す図である。
【図11】シャッタ制御値が切り換えられる場合のプログラム線図を示す図である。
【図12】シャッタ制御値が切り換えられる場合の露出制御動作を示す図である。
【図13】基本プログラム線図を示す図である。
【図14】絞り機構と増幅部の制御値を変化させたときの露出の変化特性である。
【符号の説明】
【0105】
11・・・レンズ部、12・・・絞り機構、21・・・固体撮像素子、22・・・タイミング信号発生部、23・・・CDS部、24・・・増幅部、25・・・A/D変換部、31・・・ディジタル信号処理部、32・・・記録再生部、33・・・表示部、34・・・検出部、41・・・レンズ駆動部、42・・・絞り駆動部、51・・・制御部、52・・・ユーザインタフェース部
【技術分野】
【0001】
この発明は、露出制御装置と露出制御方法とプログラムおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置、例えば固体撮像素子を用いたビデオカメラでは、特許文献1のように絞り機構や増幅部および電子シャッタを設けて、適正な露出状態となるように絞りの位置や増幅部の利得、電子シャッタのシャッタ駆動が制御されている。
【0003】
ここで、被写体が暗く絞り機構によって絞りを開放しても適正な露出状態とならないときは、適正な露出状態となるように増幅部の利得を高めるものとする。また、被写体が明るく、絞り機構によって絞りを最小絞り状態(光量がゼロとならないで最小となる状態)としても適正な露出状態とならないときは、適正な露出状態となるように電子シャッタの露光時間(有効電荷の蓄積時間)を短くする。このような露出制御を行う場合、図13に示す基本プログラム線図を用いればよい。
【0004】
図13において、露出値ECが「VEca」〜「VEcb」の範囲内であるときは、絞り制御値Icを露出値ECに応じて可変すれば適正露出状態とすることができる。また、露出値ECが「VEcb」よりも小さいときは、絞り制御値Icを開放側の設定限界である「VIop」として絞りを開放状態として、利得制御値Gcを設定限界「VGmax」「VGmin」の範囲内で露出値ECに応じて可変すれば適正露出状態とすることができる。なお、利得制御値Gcの「VGmax」とは利得が最大となる状態であり、「VGmin」とは利得が「1」となる状態である。さらに、露出値ECが「VEca」よりも大きいときは、絞り制御値Icを最小絞り側の設定限界である「VIcs」として絞りを最小絞り状態として、シャッタ制御値Tcを設定限界「VSmax」「VSmin」の範囲内で露出値ECに応じて可変すれば適正露出状態とすることができる。なお、シャッタ制御値Tcの「VSmin」とはシャッタ動作を行っていないときの状態であり、「VSmax」とはシャッタ動作を行って露光時間が最も短くなった状態である。
【0005】
【特許文献1】特開平9−116804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、絞り機構による光量変化は、絞り機構の開口面積に比例する。したがって、最小絞り側に比べて開放側では光量を所定倍とするとき駆動量が多くなる。例えば絞り形状が円形である絞り機構では、最小絞り側に比べて開放側となると絞り径の変化が少なくなる。したがって、最小絞り側に比べて開放側では光量を所定倍とするとき絞り機構をより多く駆動しなければならない。しかし、絞り機構における追従能力が低いとき、すなわち絞り制御値を設定したときに絞り制御値に応じた開口面積となるまでの応答が遅いと、光量変化に対する露出制御の応答特性が劣ったものとなる。また、絞り機構における追従能力が十分であっても、絞りを高速で大きく変化させるとノイズ音を生じてしまうおそれがあるため、駆動に制限を設ける必要が生じる場合がある。このように、応答特性が劣ったものとなったり駆動に制限が設けられると、絞り機構による露出制御から増幅部による露出制御に制御を切り換える場合や、増幅部による露出制御から絞り機構による露出制御に制御を切り換える場合に、絞り機構や増幅部の制御値の変化に対応した露出調整を行うことができなくなってしまう。
【0007】
図14は、絞り機構と増幅部の制御値を変化させたときの露出の変化特性を示している。ここで、絞り機構が最小絞り状態で増幅部の利得が最小状態である時点t1から時点t2で絞り機構が開放状態となるように絞り制御値の切り換えを行い、時点t2から時点t3では、絞り機構が開放状態で増幅部の利得を最小状態から最大状態となるように利得制御値の切り換えを行うものとする。
【0008】
絞り機構で応答の遅れや駆動の制限がない場合、制御値を変化させたとき調整された露出値は、特性Zaに示すように絞り機構や増幅部の制御値の変化に対応してリニアに変化する。しかし、絞り機構で応答の遅れや駆動の制限があると、特性Zbに示す特性の露出値に露出調整が行われてしまい、絞り機構や増幅部の制御値の変化に対応した露出調整を行うことができない。なお、特性Zcは、絞り機構の制御値を変化させたときの露出変化、特性Zdは、増幅部の制御値を変化させたときの露出変化を示しており、特性Zbは特性Zcと特性Zdを重畳させたものとなる。
【0009】
したがって、絞り機構で応答の遅れ、または駆動の制限があると、絞り機構や増幅部の制御値の変化に対応した露出制御を行うことができない。また、絞り機構や増幅部の制御値の変化に対応した露出制御を行うためには、応答の遅れ、または駆動の制限の影響が生じないように絞り機構の制御に制限を設けなければならない。
【0010】
そこで、この発明では、絞り機構による制限の影響を受けることなく露出制御を行うことができる露出制御装置と露出制御方法とプログラムおよび撮像装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の概念は、撮像素子と撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部と、前記絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部が設けられて、第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、第2の露出調整部の制御値を第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、絞り制御値可変範囲から外れるときには絞り制御値を絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成して、この生成したプログラム線図に基づき第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、露出検出結果から決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行うことにある。
【0012】
この発明においては、例えば撮像素子で生成される画像信号に基づいて露出検出を行う検出部や、撮像素子で撮像される被写体の光量を測定する光量測定部を用いて露出検出を行う検出部が設けられる。また第2の露出調整部として、撮像素子で生成された画像信号を増幅する増幅部および/または撮像素子の露光時間を制御するシャッタ部が設けられる。
【0013】
制御部は、絞り機構の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値例えば増幅部の利得が少なくなるようにオフセットさせた状態に利得制御値を固定した露出制御となり、絞り制御値可変範囲から外れるときには絞り制御値を絞り制御値可変範囲の限界に固定して、利得制御値を変更した露出制御となるプログラム線図を生成して、このプログラム線図に基づいて絞り機構や増幅部に対する制御値の更新を行い、露出検出結果から決定した適正露出であって第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御が行われる。また、このプログラム線図の生成とプログラム線図に基づいた第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新は、決定した適正露出であって第1または第2の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となるまで繰り返される。現在の絞り制御値に応じた絞り制御値可変範囲は演算式を用いて設定される。あるいは現在の絞り制御値に応じた絞り制御値可変範囲を出力するルックアップテーブルが用いられる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部の制御値を第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、絞り制御値可変範囲から外れるときには絞り制御値を絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成して、該プログラム線図に基づいて第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、露出検出結果から決定した適正露出であって第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御が行われる。
【0015】
このため、応答の遅れやノイズ音等を防止できるように絞り制御値可変範囲を制限しながら、適正露出であって第1または第2の露出調整部の制御値が設定範囲の限界とされた状態となり、絞り機構による制限の影響を受けることなく露出制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照しながら、この発明の実施の一形態について説明する。図1は、撮像装置の構成を示している。図示せぬ被写体からの光は、レンズ部11と絞り機構12を介して固体撮像素子21例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサに入射される。
【0017】
固体撮像素子21は、受光面に結像された被写体像の撮像光を、画素毎に電気信号に変換して画像信号Saを生成する。また、生成した画像信号をCDS(Correlated Double Sampling circuit)部23に供給する。
【0018】
タイミング信号発生部22は、固体撮像素子21で生成された画素毎の電気信号を読み出して1画面毎の画像信号を生成したり、固体撮像素子21において露光時間(光電変換によって得られた有効電荷の蓄積時間)を制御する電子シャッタ動作を行わせるための各種の駆動信号TDを生成して、固体撮像素子21に供給する。
【0019】
CDS部23は、供給された画像信号Saのノイズ成分を除去して、ノイズ成分が除去された画像信号Sbを増幅部24に供給する。増幅部24はCDS部23から供給された画像信号Sbを増幅して、画像信号ScとしてA/D(Analog / Digital)変換部25に供給する。A/D変換部25は、アナログの画像信号Scをディジタルの画像信号Sdに変換して、ディジタル信号処理部31と検出部34に供給する。
【0020】
ディジタル信号処理部31は、A/D変換部25から供給された画像信号Sdに対して良好な画像となるように種々の信号処理、例えばガンマ補正やホワイトバランス調整等を行う。また、ディジタル信号処理部31は、MPEG(Moving Picture Expert Group)方式等の圧縮伸長処理を行い、ディジタルの画像信号を圧縮して得られた画像信号Seを記録再生部32や外部機器(図示せず)に出力する。また、圧縮処理されている画像信号Sfが記録再生部32から供給されたときは、圧縮処理されている画像信号を伸長して圧縮前の画像信号に戻す処理を行う。さらに、ディジタル信号処理部31は、ディジタルの画像信号から表示画像信号Sgを生成して表示部33に供給する。
【0021】
記録再生部32は、ディジタル信号処理部31から供給された画像信号Seを、記録媒体例えば半導体メモリや光ディスクあるいは磁気テープ等の記録媒体に記録する。また、記録媒体に記録されている画像信号を読み出して画像信号Sfとしてディジタル信号処理部31に供給する。
【0022】
表示部33は、例えば液晶表示素子等を用いて構成されており、ディジタル信号処理部31から供給された表示画像信号Sgに基づいて画像表示を行う。
【0023】
検出部34は、供給された画像信号Sdから露出制御やフォーカス調整を行うために必要となる検出信号DEを生成して制御部51に供給する。例えば、検出部34は撮像画像から輝度レベルの平均値を検出して、その検出結果を検出信号DEとして制御部51に供給する。また、検出部34として露出計を用いるものとしてもよい。露出計は、例えば被写体の明るさに応じた電気信号を光電変換素子によって生成して、この電気信号を処理して得た測定信号を検出信号DEとして制御部51に供給するものとしてもよい。このように露出計を用いるものとすれば、適正露出の検出が画像信号Sdを用いる場合よりも容易となる。さらに、検出部34は、例えば撮像画像上の所定の位置に設定されたオートフォーカス検出エリア内における輝度のエッジ成分を検出して、その検出結果を検出信号DEとして制御部51に供給する。
【0024】
レンズ駆動部41は、固体撮像素子21の受光面に被写体像が焦点の合った状態で結像されるようにレンズ部11のフォーカスレンズ(図示せず)を駆動する。また、固体撮像素子21の受光面に結像される被写体像の大きさが所望の大きさとなるようにレンズ部11のズームレンズ(図示せず)を駆動する。
【0025】
絞り駆動部42は、絞り機構12を駆動して、固体撮像素子21の受光面に結像される被写体像の光量を調整する。
【0026】
制御部51には、ユーザインタフェース部52が接続されている。ユーザインタフェース部52は、操作キーや外部からの遠隔操作信号を入力するためのインタフェース等で構成されており、ユーザ操作に応じた操作信号Spを制御部51に供給する。なお、ユーザインタフェース部52を介して、例えば制御部51に記憶されているプログラムや種々の情報等の更新も可能とされる。
【0027】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)511や、ROM(Read Only Memory)512、RAM(Random Access Memory)513等で構成されている。CPU511は、ROM512に格納されているプログラムを実行して、操作信号Spに基づいて制御信号を生成して各部に供給することで、撮像装置の動作がユーザ操作に応じて動作となるように制御する。なお、RAMは、種々の制御を行う際に情報を一時記憶しておくためのワーキングエリア等として用いられる。
【0028】
また、制御部51は検出部34から供給された検出信号DEに基づきレンズ制御値Rcを生成してレンズ駆動部41に供給することで、オートフォーカス検出エリア内の被写体にフォーカスが合うようフォーカス制御が行われる。さらに、制御部51は検出部34から供給された検出信号DEに基づき適正露出値の決定、絞り制御値Icや利得制御値Gcおよびシャッタ制御値Tcの生成を行い、生成した絞り制御値Icを絞り駆動部42、利得制御値Gcを増幅部24、シャッタ制御値Tcをタイミング信号発生部22に供給して、適正露出となるように絞り機構12の絞り設定や増幅部24の利得の設定およびタイミング信号発生部22による電子シャッタのシャッタ速度の設定が行われる。
【0029】
ここで、制御部51は、現在の絞り制御値Icに応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、利得制御値Gcやシャッタ制御値Tcを絞り機構のみで露出制御を行う方向、すなわち利得制御値Gcは増幅部24の利得が減少する方向(以下「利得減少方向」という)、シャッタ制御値Tcは露光時間が長くなる方向(以下「露光時間拡大方向」という)にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、絞り制御値可変範囲から外れるときには絞り制御値を絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成する。この生成したプログラム線図に基づいて絞り制御値Icや利得制御値Gc,シャッタ制御値Tcの更新を行い、適正露出であって絞り制御値Icや利得制御値Gc,シャッタ制御値Tcの何れか1つを除く他の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行う。また、このプログラム線図の生成とプログラム線図に基づいた制御値の更新を、適正露出であって適正露出であって絞り制御値Icや利得制御値Gc,シャッタ制御値Tcの何れか1つを除く他の制御値が設定範囲の限界となるまで繰り返して露出制御を行う。
【0030】
次に、撮像装置の露出制御について説明する。図2は、露出制御処理を示すフローチャートである。ステップST1でCPU511は、検出部34で生成された検出信号DEを取得してステップST2に進む。
【0031】
ステップST2でCPU511は、検出部34で検出された検出信号DEから適正露出値を決定する。
【0032】
ステップST3でCPU511は、絞り制御値Icを取得する。絞り制御値Icは絞り機構12を駆動するために用いられるものであり、例えば絞り制御値Icが設定範囲の開放側限界「VIop」であるとき絞り機構12は開放状態となり、絞り制御値Icが設定範囲の最小絞り側限界「VIcs」であるとき絞り機構12は最小絞り状態(光量がゼロとならないで最小となる状態)となる。ここで、CPU511は絞り制御値Icを取得することで、絞り機構12の現在の絞り状態を把握できる。
【0033】
ステップST4でCPU511は、他の露出調整部の制御値を取得する。CPU511は他の露出調整部の制御値として例えば増幅部がどのような利得に設定されているかを示す利得制御値Gc、タイミングジェネレータ部によって露光時間がどのような設定状態となっているかを示すシャッタ制御値Tcを取得する。
【0034】
ステップST5でCPU511は、プログラム線図生成処理を行う。CPU511は、ステップST3で取得した絞り制御値IcとステップST4で取得した例えば利得制御値Gcやシャッタ制御値Tcからプログラム線図を生成する。
【0035】
図3は、生成するプログラム線図を例示している。プログラム線図の生成では、ステップST3で取得した絞り制御値Icの値「VI」に基づいて絞り制御値可変範囲WIを決定する。また、絞り制御値変更可能範囲WIと他の露出調整部の制御値、例えば図3では増幅部24の利得を制御する利得制御値Gcの値「VG」に基づき、絞り制御値変更可能範囲WIの限界を制御切換ポイントQop,Qcsとして、絞り機構12による露出調整から増幅部24による露出調整に制御、または増幅部24による露出調整から絞り機構12による露出調整に制御が切り替わるようにして、プログラム線図Kを生成する。
【0036】
図4は、プログラム線図生成処理を示すフローチャートである。ステップST11でCPU511は、ステップST3で取得した絞り制御値Icに基づいて絞り制御値可変範囲WIを決定する。図5は、絞り制御値可変範囲の決定方法を説明するための図である。絞り制御値可変範囲WIの設定では、絞り制御値可変範囲WIの開放側を規定するための関数f(Ic)と絞り制御値可変範囲WIの最小絞り側を規定するための関数g(Ic)が予め設けられている。CPU511は、ステップST3で取得した絞り制御値Icを関数f(Ic),g(Ic)に代入して演算を行うことで、絞り制御値可変範囲WIを決定する。
【0037】
関数f(Ic),g(Ic)は、絞り制御値Icを切り換えたときに、絞り機構12で許容できないような応答の遅延やノイズ音の発生を生じることがないように予め設定されている。ここで、例えば被写体の明るさが変化して適正露出とするために絞り機構12で光量を2倍とする場合、絞り開口面積を2倍とする必要がある。ここで、絞り機構12が開放側に近いときは、最小絞り側に近い場合に比べて絞り機構12をより多く駆動しなければならない。したがって、絞り制御値Icが開放側に近いときに最小絞り側と同様な絞り制御値可変範囲WIを設定すると、絞り制御値Icが開放側となるに伴い、絞り機構12をより多く駆動しなければならず応答の遅延やノイズ音の発生が顕著となってしまう。したがって、絞り制御値Icが開放側に近づくに伴い、絞り制御値可変範囲WIが狭くなるように、関数f(Ic),g(Ic)を設定する。なお、関数f(Ic),g(Ic)によって制御値可変範囲WIを設定したとき、絞り機構12のみで所望の露出に制御することができない場合、露出制御を増幅部24に割り振って利得の制御を合わせて行うものとすれば、所望の露出に制御することができる。
【0038】
図5において、例えば絞り制御値Icの値が「VI2」であるとき、絞り制御値Icの値「VI2」から開放側可変範囲「do2」を減算した値が絞り制御値可変範囲WIの開放側の値「VIo2」となる。また、絞り制御値Icの値「VI2」に最小絞り側可変範囲「dc2」を加算した値が絞り制御値可変範囲WIの最小絞り側の値「VIc2」となる。
【0039】
絞り制御値Icの値が開放側の「VI1」となっているとき、絞り制御値Icの値「VI1」から開放側可変範囲「do1」を減算した値が絞り制御値可変範囲WIの開放側の値「VIo1」となる。また、絞り制御値Icの値「VI1」に最小絞り側可変範囲「dc1」を加算した値が絞り制御値可変範囲WIの最小絞り側の値「VIc1」となる。したがって、絞り制御値Icの値が「VI1」となっているときの絞り制御値可変範囲WIは、絞り制御値Icの値が「VI2」であるときの絞り制御値可変範囲よりも狭くなる。
【0040】
絞り制御値Icの値が最小絞り側の「VI3」となっているとき、絞り制御値Icの値「VI3」から開放側可変範囲「do3」を減算した値が絞り制御値可変範囲WIの開放側の値「VIo3」となる。また、絞り制御値Icの値「VI3」に最小絞り側可変範囲「dc3」を加算した値が絞り制御値可変範囲WIの最小絞り側の値「VIc3」となる。したがって、絞り制御値Icの値が「VI3」となっているときの絞り制御値可変範囲WIは、絞り制御値Icの値が「VI2」であるときの絞り制御値可変範囲WIよりも広くなる。なお、図5では、絞り制御値可変範囲WIの最大値を規定して、現在の絞り制御値が最小絞り側となったとき、絞り制御値可変範囲WIが広くなりすぎないように規制している。
【0041】
また、絞り制御値可変範囲WIは、予めルックアップテーブルをROM等に記憶させておき、現在の絞り制御値に対応する絞り制御値可変範囲WIをルックアップテーブルLUTから読み出すものとしてもよい。
【0042】
ルックアップテーブルLUTは、関数f(Ic),g(Ic)に絞り制御値の種々の値を代入して、絞り制御値Icの種々の値に対する絞り制御値可変範囲WIを、絞り制御値Icの種々の値に関係付けてテーブル化したものである。例えば、図5に示す関数f(Ic),g(Ic)を用いることで、図6に示すルックアップテーブルLUTを生成できる。このルックアップテーブルLUTを用いるものとすれば、絞り制御値Icの値が例えば「VI1」であるとき、絞り制御値可変範囲WIを「VIo1〜VIc1」に速やかに設定できる。なお、図6に示すルックアップテーブルLUTでは、図5との関係が明らかとなるように開放側の可変範囲と最小絞り側の可変範囲を示しているが、これらの可変範囲はルックアップテーブルLUTに設けておかなくとも良いことは勿論である。
【0043】
図2のステップST3で取得した絞り制御値Icに基づいて絞り制御値可変範囲WIが決定されると、ステップST12でCPU511は、制御切換ポイントQop,Qcsを設定する。制御切換ポイントQop,Qcsは、利得制御値Gcやシャッタ制御値Tcを固定して、絞り制御値Icのみを変更して露出調整を行う制御モードと、利得制御値Gcあるいはシャッタ制御値Tcの一方と絞り制御値Icを固定して、利得制御値Gcあるいはシャッタ制御値Tcの他方のみを変更して露出調整を行う制御モードとを切り換えるポイントである。具体的には、絞り制御値Icに基づいて決定された絞り制御値可変範囲WIの開放側の端部と最小絞り側の端部を制御切換ポイントQop,Qcsとする。さらに、露出値ECに応じて1つの露出調整部の制御値を可変させて、他の露出調整部の制御値は設定範囲の限界に固定された状態とするため、絞り機構を除く他の露出調整部の制御値は現在の制御値よりも絞り機構12のみで露出制御を行う方向にオフセットさせて制御切換ポイントQop,Qcsを設定する。
【0044】
例えば絞り機構12と増幅部24で露出調整が行われているときは、図3に示すように、現在の増幅部24の利得制御値Gcが利得減少方向すなわち設定範囲の限界「VGmin」に近づくよう制御値αだけオフセットさせて制御切換ポイントQop,Qcsを設定する。ここで、利得制御値Gcの「VGmin」とは利得が「1」となる状態であり、「VGmax」とは利得が最大となる状態である。
【0045】
また、図13に示すように露出値ECが「VEca」よりも大きいときは、絞り制御値Icを最小絞り側の設定限界である「VIcs」として絞りを最小絞り状態として、シャッタ制御値Tcを設定限界「VSmax」「VSmin」の範囲内で露出値ECに応じて可変すれば適正露出状態とすることができる。このように、絞り機構12とタイミング信号発生部22で露出調整を行うとき、現在のシャッタ制御値Tcが、露光時間拡大方向すなわち設定範囲の限界「VSmin」に近づくようにオフセットさせて制御切換ポイントQop,Qcsを設定する。ここで、シャッタ制御値Tcの「VSmin」とはシャッタ動作を行っていないときの状態であり、「VSmax」とはシャッタ動作を行って露光時間が最も短くなった状態である。
【0046】
なお、オフセットを設けることで、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値、すなわち絞り制御値Icや利得制御値Gc,シャッタ制御値Tcの何れか1つを除く他の制御値を設定範囲の限界で固定して露出調整が行われる状態となることは後述する動作の説明で明らかとなる。
【0047】
このようにしてプログラム線図の生成処理が完了すると、図2のステップST5からステップST6に進み、CPU511は制御値を更新する。CPU511は、ステップST5で生成したプログラム線図に基づいて、適正露出となるように複数の露出調整部の制御値を更新する。
【0048】
ステップST7でCPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となったか否かを判別する。ここで、CPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となっていないと判別したときステップST3に戻り、再度プログラム線図を生成して、生成したプログラム線図に基づいて複数の露出調整部の制御値を更新する。また、CPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となったとき処理を終了する。
【0049】
図7は、露出制御動作を時間の経過と共に示したものである。図7の(A)は露出制御処理の開始時の状態を示しており、露出値ECは「VEa」,絞り制御値Icは「VIs」,利得制御値Gcは設定範囲の限界「VGmin」とする。また検出信号DEに基づき決定された適正露出値を「VEd」とする。ここで、絞り制御値Icと利得制御値Gcに基づきプログラム線図Ka1を生成する。なお、利得制御値Gcは「VGmin」であり、制御値αaのオフセットを行っても「VGmin」であることから、プログラム線図Ka1は、絞り制御値可変範囲WIa1で利得制御値Gcが「VGmin」となる。
【0050】
このプログラム線図Ka1において露出値が「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIa2」で利得制御値Gcが「VGa2」の位置Pa2である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIa2」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGa2」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pa2は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界で固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0051】
図7の(B)は、新たに生成されたプログラム線図Ka2を示している。プログラム線図Ka2を生成するとき、絞り制御値Icは「VIa2」,利得制御値Gcは「VGa2」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Ka1の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Ka1の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGa2」であり、プログラム線図Ka2は、絞り制御値可変範囲WIa2における利得制御値Gcが「VGa2」から制御値αaだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0052】
このプログラム線図Ka2において露出値が「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIa3」,利得制御値Gcは「VGa3」の位置Pa3である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIa3」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGa3」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pa3は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0053】
図7の(C)は、新たに生成されたプログラム線図Ka3を示している。プログラム線図Ka3を生成するとき、絞り制御値Icは「VIa3」,利得制御値Gcは「VGa3」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Ka2の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Ka2の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGa3」であり、プログラム線図Ka3は、絞り制御値可変範囲WIa3における利得制御値Gcが「VGa3」から制御値αaだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0054】
このプログラム線図Ka3において露出値が「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIa4」,利得制御値Gcは「VGa4」の位置Pa4である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIa4」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGa4」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pa4は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0055】
図7の(D)は、新たに生成されたプログラム線図Ka4を示している。プログラム線図Ka4を生成するとき、絞り制御値Icは「VIa4」,利得制御値Gcは「VGa4」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Ka3の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Ka3の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGa4」であり、プログラム線図Ka4は、絞り制御値可変範囲WIa4における利得制御値Gcが「VGa4」から制御値αaだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0056】
このプログラム線図Ka4において露出値が「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIop」,利得制御値Gcは「VGa5」の位置Pa5である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIop」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGe」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pa5は、絞り制御値Icを設定範囲の開放側限界に固定して、利得制御値Gcによって露出制御が行われる状態となったことから露出制御処理を終了する。
【0057】
このように、絞り制御値Icに応じて絞り制御値可変範囲WIを設定して、利得制御値Gcにオフセットを設けてプログラム線図を生成して、このプログラム線図に基づいて絞り制御値Icや利得制御値Gcの更新を行うものとすれば、適正露出であって絞り制御値Icまたは利得制御値Gcを設定範囲の限界として露出制御を行うことができる。また、最初に生成したプログラム線図では、適正露出であって絞り制御値Icまたは利得制御値Gcを設定範囲の限界として露出制御を行うことができなくとも、プログラム線図の生成とプログラム線図に基づいて絞り制御値Icや利得制御値Gcの更新を繰り返し行うものとすれば、適正露出を示す位置は絞り制御値Icまたは利得制御値Gcが設定範囲限界となる方向に順次移動される。したがって、絞り機構12の応答の遅れやノイズ音の発生等を生じさせることなく、絞り制御値Icまたは利得制御値Gcを設定範囲の限界に固定して適正露出に露出制御を収束させることができる。
【0058】
ところで、図7に示す露出制御動作では、プログラム線図Ka1を生成して、絞り制御値Icと利得制御値Gcを適正露出となるように設定している。したがって、露出値ECが「VEa」から適正露出値である「VEd」に露出が急激に切り換えられる。そこで、露出値ECが「VEa」から適正露出値である「VEd」に緩やかに露出を切り換える場合について次に説明する。
【0059】
図8は、緩やかに露出を切り換える場合の露出制御動作を示している。この露出制御動作では、露出値ECを「VEa」から適正露出値である「VEd」に露出制御を切り換える際に、途中の露出値でも露出調整を行うようにして、段階的に露出を「VEa」から適正露出値である「VEd」に切り換えるものとする。なお、図8では、露出を「VEb」「VEc」で、露出制御が行われるようにした場合を示している。
【0060】
図8の(A)は露出制御処理の開始時の状態を示しており、露出値ECは「VEa」,絞り制御値Icは「VIs」,利得制御値Gcは設定範囲の限界「VGmin」とする。また検出信号DEに基づき決定された適正露出値を「VEd」とする。ここで、絞り制御値Icと利得制御値Gcに基づきプログラム線図Kb1を生成する。なお、利得制御値Gcは「VGmin」であり、制御値αbのオフセットを行っても「VGmin」であることから、プログラム線図Kb1は、絞り制御値可変範囲WIb1で利得制御値Gcが「VGmin」となる。
【0061】
このプログラム線図Kb1において露出値ECが「VEb」となるのは、絞り制御値Icが「VIb2」,利得制御値Gcは「VGb2」の位置Pb2である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIb2」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGb2」に更新して増幅部24の制御を行う。このとき、露出を「VEb」とする露出制御が行われることになる。また、位置Pb2は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0062】
図8の(B)は、新たに生成されたプログラム線図Kb2を示している。プログラム線図Kb2を生成するとき、絞り制御値Icは「VIb2」,利得制御値Gcは「VGb2」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Kb1の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIb2は、プログラム線図Kb1の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGb2」であり、プログラム線図Kb2は、絞り制御値可変範囲WIb2における利得制御値Gcが「VGb2」から制御値αbだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0063】
このプログラム線図Kb2において露出値ECが「VEc」となるのは、絞り制御値Icが「VIb3」,利得制御値Gcは「VGb3」の位置Pb3である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIb3」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGb3」に更新して増幅部24の制御を行う。このとき、露出を「VEc」とする露出制御が行われることになる。また、位置Pb3は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われる状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0064】
図8の(C)は、新たに生成されたプログラム線図Kb3を示している。プログラム線図Kb3を生成するとき、絞り制御値Icは「VIb3」,利得制御値Gcは「VGb3」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Kb2の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIb3は、プログラム線図Kb2の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGb3」であるので、プログラム線図Kb3は、絞り制御値可変範囲WIb3で利得制御値Gcが「VGb3」から制御値αbだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0065】
このプログラム線図Kb3において露出値ECが「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIb4」,利得制御値Gcは「VGb4」の位置Pb4である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIb4」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGb4」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pb4は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われる状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0066】
図8の(D)は、新たに生成されたプログラム線図Kb4を示している。プログラム線図Kb4を生成するとき、絞り制御値Icは「VIb4」,利得制御値Gcは「VGb4」となっている。絞り制御値Icは、プログラム線図Kb3の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIb4は、プログラム線図Kb3の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGb4」であり、プログラム線図Kb4は、絞り制御値可変範囲WIb4で利得制御値Gcが「VGb4」から制御値αbだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0067】
このプログラム線図Kb4において露出値ECが「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIop」,利得制御値Gcは「VGb5」の位置Pb5である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIop」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGe」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pb5は、絞り制御値Icを設定範囲の開放側限界に固定して、利得制御値Gcによって露出制御が行われる状態となったことから露出制御処理を終了する。
【0068】
このように、露出を「VEa」から適正露出値である「VEd」に切り換える際に、途中の露出値でも露出制御を行うようにすれば、緩やかに露出を切り換えることができる。
【0069】
また、緩やかに露出調整を切り換える方法として、現在の露出値と検出信号DEに基づき決定された適正露出値の差分を1/n倍(nは実数)して露出変更値とする。さらに、現在の露出値に露出変更値を加算して目標露出値を設定して、現在の露出値が目標露出値となるように露出制御を繰り返す。また、露出変更値が閾値RLよりも小さくなったときは、目標露出値を適正露出値である「VEd」として、現在の露出値が目標露出値となるように露出制御を行うものとしてもよい。
【0070】
図9は、目標露出値を設けた場合の露出制御処理を示すフローチャートである。ステップST21〜ステップST24でCPU511は、図2のステップST1〜ステップST4と同様に、検出信号DEの取得、適正露出値の決定、絞り制御値Icの取得、利得制御値Gcの取得を行いステップST25に進む。
【0071】
ステップST25でCPU511は、露出変更値を算出する。すなわち、CPU511は、現在の露出値ECと検出信号DEに基づき決定された適正露出値である「VEd」の差分を1/n倍して露出変更値Ehとする。
【0072】
ステップST26でCPU511は、露出変更値Ehが閾値RLよりも小さいか否か判別する。ここで、CPU511は、露出変更値Ehが閾値RLよりも小さくないときステップST27に進み、露出変更値Ehが閾値RLよりも小さいときステップST28に進む。
【0073】
ステップST27でCPU511は、目標露出値の設定を行う。CPU511は、現在の露出値ECに露出変更値Ehを加算して、加算結果を目標露出値としてステップST29に進む。
【0074】
ステップST28でCPU511は、適正露出値を目標露出値に設定してステップST29に進む。
【0075】
ステップST29でCPU511は、ステップST5と同様にしてプログラム線図の生成処理を行いステップST30に進む。
【0076】
ステップST30でCPU511は、ステップST29で生成したプログラム線図に基づいて、複数の露出調整部の制御値を更新してステップST31に進む。
【0077】
ステップST31でCPU511は、目標露出値が適正露出値となっているか否かを判別する。ここで、CPU511は、目標露出値が適正露出値となっていないときステップST23に戻り、新たな目標露出値を設定したのちプログラム線図を生成して、生成したプログラム線図に基づいて複数の露出調整部の制御値を更新する。また、CPU511は、目標露出値が適正露出値となっていると判別したときステップST32に進む。
【0078】
ステップST32でCPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となったか否かを判別する。ここで、CPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となっていないと判別したときステップST23に戻り、再度プログラム線図を生成して、生成したプログラム線図に基づいて複数の露出調整部の制御値を更新する。また、CPU511は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となったとき処理を終了する。
【0079】
図10は、目標露出値を設定したときの露出制御動作を示している。この露出制御動作では、露出値ECを「VEa」から適正露出値である「VEd」に露出調整を切り換える際に、現在の露出値ECと検出信号DEに基づき決定された適正露出値である「VEd」の差分を1/n倍(nは実数)して現在の露出値ECに加算して目標露出値とする。
【0080】
図10の(A)は露出制御処理の開始時の状態を示しており、露出値ECは「VEa」,絞り制御値Icは「VIs」,利得制御値Gcは「VGmin」とする。また検出信号DEに基づき決定された適正露出を「VEd」とする。ここで、絞り制御値Icと利得制御値Gcに基づきプログラム線図Kc1を生成する。なお、利得制御値Gcは「VGmin」であり、制御値αcのオフセットを行っても「VGmin」であることから、プログラム線図Kc1は、絞り制御値可変範囲WIc1で利得制御値Gcが「VGmin」となる。また、現在の露出値である「VE1」と適正露出値である「VEd」の差分を例えば(1/2)倍して現在の露出値ECに加算して目標露出値を「VEa1」とする。なお、閾値RLは、現在の露出値である「VEa」と適正露出値である「VEd」の差分の例えば(1/4)倍とする。
【0081】
プログラム線図Kc1において露出値が「VEa1」となるのは、絞り制御値Icが「VIcb2」,利得制御値Gcは「VGc2」の位置Pc2である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIc2」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGc2」に更新して増幅部24の制御を行う。このため、露出を「VEa1」とする露出制御が行われることになる。また、位置Pc2は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0082】
図10の(B)は、新たに生成されたプログラム線図Kc2を示している。プログラム線図Kc2を生成するとき、絞り制御値Icは「VIc2」,利得制御値Gcは「VGc2」となっている。絞り制御値Icは、プログラム線図Kc1の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIc2は、プログラム線図Kc1の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGc2」であり、プログラム線図Kc2は、絞り制御値可変範囲WIc2における利得制御値Gcが「VGc2」から制御値αcだけ利得減少方向にオフセットした値となる。また、現在の露出値は「VEa1」であることから、「VEa1」と適正露出値である「VEd」の差分を1/2倍して現在の露出値に加算して目標露出値を「VEa2」とする。
【0083】
プログラム線図Kc2において露出値が「VEa2」となるのは、絞り制御値Icが「VIc3」,利得制御値Gcは「VGc3」の位置Pc3である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIc3」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGc3」に更新して増幅部24の制御を行う。このとき、露出値を「VEa2」とする露出制御が行われることになる。また、位置Pc3は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0084】
図10の(C)は、新たに生成されたプログラム線図Kc3を示している。プログラム線図Kc3を生成するとき、絞り制御値Icは「VIc3」,利得制御値Gcは「VGc3」である。絞り制御値Icは、プログラム線図Kc2の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIc3は、プログラム線図Kc2の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGc3」であり、プログラム線図Kc3は、絞り制御値可変範囲WIc3における利得制御値Gcが「VGc3」から制御値αcだけ利得減少方向にオフセットした値となる。また、現在の露出値は「VEa2」であることから、「VEa2」と適正露出値である「VEd」の差分を1/2倍した値は閾値RLよりも小さくなる。したがって適正露出値である「VEd」を目標露出値とする。
【0085】
プログラム線図Kc3において露出値が「VEd」となるのは、絞り制御値Icが「VIc4」,利得制御値Gcは「VGc4」の位置Pc4である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIc4」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGc4」に更新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pc4は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0086】
図10の(D)は、新たに生成されたプログラム線図Kc4を示している。プログラム線図Kc4を生成するとき、絞り制御値Icは「VIc4」,利得制御値Gcは「VGc4」である。絞り制御値Icは、プログラム線図Kc3の生成時よりも絞り開放側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIc4は、プログラム線図Kc3の生成時よりも狭くなる。また、利得制御値Gcは「VGc4」であり、プログラム線図Kc4は、絞り制御値可変範囲WIc4における利得制御値Gcが「VGc4」から制御値αcだけ利得減少方向にオフセットした値となる。
【0087】
このプログラム線図Kc4において露出値が「VEc」となるのは、絞り制御値Icが「VIop」,利得制御値Gcは「VGe」の位置Pc5である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VIop」に更新して絞り機構12の制御、および利得制御値Gcを「VGe」に新して増幅部24の制御を行う。また、位置Pa5は、絞り制御値Icを設定範囲の開放側限界に固定して、利得制御値Gcによって露出制御が行われる状態となったことから露出制御処理を終了する。
【0088】
このように、現在の露出値が目標露出値となるように順次露出制御を行うことで、露出を滑らかに切り換えることができる。
【0089】
また、現在の露出値である「VEa」と適正露出値である「VEd」との間に中継値を設定して、この中継値を図7あるいは図8における適正露出として露出制御を行い、その後中継値から適正露出値となるように露出制御を行う。さらに、中継露出値を複数設けたときには、最初の露出値である「VEa」から適正露出値である「VEd」の方向に中継露出値を順次用いるものとして、最後の中継露出値から適正露出値である「VEd」となるように露出制御を行うものとしても、露出を適正露出値に滑らかに切り換えることができる。
【0090】
ところで、図7と図8,図10では、絞り制御値Icと利得制御値Gcを切り換える場合を示したが、次に、シャッタ制御値Tcを切り換えて露出制御を行う場合について説明する。
【0091】
図11は、シャッタ制御値Tcが切り換えられる場合のプログラム線図、図12は、シャッタ制御値Tcが切り換えられる場合の露出制御動作を示している。
【0092】
図11に示すプログラム線図では、取得した絞り制御値Icの値「VI」に基づいて絞り制御値変更可能範囲WIを決定する。また、絞り制御値変更可能範囲WIと例えばシャッタ制御値Tcの現在の値「VS」に基づき、絞り制御値変更可能範囲WIの端部を制御切換ポイントQop,Qcsとして、絞り機構12による露出調整からタイミング信号発生部22による露出調整に制御が切り替わるようにプログラム線図Kを生成する。なお、シャッタ制御値Tcが切り換えられる場合、上述したように、シャッタ制御値Tcが、露光時間拡大方向すなわち設定範囲の限界「VSmin」に近づくように制御値βだけ現在のシャッタ制御値Tcの値をオフセットさせて制御切換ポイントQop,Qcsを設定する。
【0093】
図12は、シャッタ制御値Tcが切り換えられる場合の露出制御動作を示している。図12の(A)は露出制御処理の開始時の状態を示しており、露出値は「VEd」,絞り制御値Icは「VIop」,利得制御値Gcは「VGd1」とする。また検出信号DEに基づき決定された適正露出値を「VEa」とする。
【0094】
ここで、絞り制御値Icと利得制御値Gcとシャッタ制御値Tcに基づきプログラム線図Kd1を生成する。なお、利得制御値Gcは「VGd1」であり、プログラム線図Kd1は、絞り制御値可変範囲WIa1における利得制御値Gcが「VGd1」から制御値αdだけオフセットされた値となる。
【0095】
このプログラム線図Kd1において露出値が「VEa」となるのは、絞り制御値Icが「VId2」,シャッタ制御値Tcが「VSd2」の位置Pd2である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VId2」に更新して絞り機構12の制御、およびシャッタ制御値Tcを「VSd2」に更新して固体撮像素子21の制御を行う。また、位置Pd2は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、利得制御値Gcは設定範囲の限界「VGmin」となっているが、絞り制御値Icとシャッタ制御値Tcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0096】
図12の(B)は、新たに生成されたプログラム線図Kd2を示している。プログラム線図Kd2を生成するとき、絞り制御値Icは「VId2」,シャッタ制御値Tcは「VSd2」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Kd1の生成時よりも最小絞り側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Kd1の生成時よりも広くなる。また、シャッタ制御値Tcは「VSd2」であり、プログラム線図Kd2は、絞り制御値可変範囲WId2におけるシャッタ制御値Tcが「VSd2」から制御値βdだけ露光時間拡大方向にオフセットした値となる。
【0097】
このプログラム線図Kd2において露出値が「VEa」となるのは、絞り制御値Icが「VId3」,シャッタ制御値Tcは「VSd3」の位置Pd3である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VId3」に更新して絞り機構12の制御、およびシャッタ制御値Tcを「VSd3」に更新して固体撮像素子21の制御を行う。また、位置Pd3は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icとシャッタ制御値Tcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0098】
図12の(C)は、新たに生成されたプログラム線図Kd3を示している。プログラム線図Kd3を生成するとき、絞り制御値Icは「VId3」,シャッタ制御値Tcは「VSd3」となっている。また、絞り制御値Icは、プログラム線図Kd2の生成時よりも最小絞り側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Kd2の生成時よりも広くなる。また、シャッタ制御値Tcは「VSd3」であり、プログラム線図Kd3は、絞り制御値可変範囲WId3におけるシャッタ制御値Tcが「VSd3」から制御値βdだけ露光時間拡大方向にオフセットした値となる。
【0099】
このプログラム線図Kd3において露出値が「VEa」となるのは、絞り制御値Icが「VId4」,シャッタ制御値Tcは「VSd4」の位置Pd4である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VId4」に更新して絞り機構12の制御、およびシャッタ制御値Tcを「VSd4」に更新して固体撮像素子21の制御を行う。また、位置Pd4は、複数の露出調整部の1つを除く他の露出調整部の制御値を設定範囲の限界に固定して露出制御が行われている状態となっていない。すなわち、絞り制御値Icと利得制御値Gcが設定範囲の限界でないことから、プログラム線図の作成を繰り返す。
【0100】
図12の(D)は、新たに生成されたプログラム線図Kd4を示している。プログラム線図Kd4を生成するとき、絞り制御値Icは「VId4」,シャッタ制御値Tcは「VSd4」となっている。絞り制御値Icは、プログラム線図Kd3の生成時よりも最小絞り側となっていることから、絞り制御値可変範囲WIは、プログラム線図Kd3の生成時よりも広くなる。また、シャッタ制御値Tcは「VSd4」であり、プログラム線図Kd4は、絞り制御値可変範囲WId4におけるシャッタ制御値Tcが「VSd4」から制御値βdだけ露光時間拡大方向にオフセットした値となる。
【0101】
このプログラム線図Kd4において露出値が「VEa」となるのは、絞り制御値Icが「VId5」,シャッタ制御値Tcは「VSmin」の位置Pd5である。したがって、制御部51は、絞り制御値Icを「VId5」に更新して絞り機構12の制御、およびシャッタ制御値Tcを「VSmin」に更新して固体撮像素子21の制御を行う。また、位置Pd5は、利得制御値Gcとシャッタ制御値Tcを設定範囲の限界「VGmin」「VSmin」に固定して、絞り制御値Icによって露出制御が行われる状態となったことから露出制御処理を終了する。
【0102】
このように、絞り制御値Icに応じて絞り制御値可変範囲WIを設定して、シャッタ制御値Tcにオフセットを設けてプログラム線図を生成して、このプログラム線図に基づいて絞り制御値Icやシャッタ制御値Tcの更新を行うものとすれば、適正露出であって絞り制御値Icまたはシャッタ制御値Tcを設定範囲の限界として露出制御を行うことができる。また、最初に生成したプログラム線図では、適正露出であって絞り制御値Icまたはシャッタ制御値Tcを設定範囲の限界として露出制御を行うことができなくとも、プログラム線図の生成とプログラム線図に基づいて絞り制御値Icやシャッタ制御値Tcを繰り返し行うものとすれば、適正露出を示す位置は絞り制御値Icまたはシャッタ制御値Tcが設定範囲限界となる方向に順次移動される。したがって、絞り機構12の応答の遅れやノイズ音の発生等を生じさせることなく、絞り制御値Icまたはシャッタ制御値Tc,利得制御値Gcの何れか1つを除く他の制御値を設定範囲の限界に固定して適正露出に露出制御を収束させることができる。
【0103】
なお、上述の撮像装置は動画あるいは静止画像の何れの画像信号を生成するものであってもよい。また、図7に示すように露出の切り換えを速やかに行うものとすれば、例えば静止画像の画像信号を生成する際に、適正露出の画像信号を容易に得ることができる。また、図8や図10に示すように、露出の切り換えを滑らかに行うものとすれば、例えば動画像の画像信号を生成する際に、被写体の輝度変化に対応させて滑らかに露出を切り換えて適正露出の画像信号を容易に生成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】撮像装置の構成を示す図である。
【図2】露出制御処理を示すフローチャートである。
【図3】プログラム線図を示す図である。
【図4】プログラム線図生成処理を示すフローチャートである。
【図5】絞り制御値可変範囲の決定方法を説明するための図である。
【図6】絞り制御値可変範囲を示すルックアップテーブルである。
【図7】露出制御動作を示す図である。
【図8】緩やかに露出を切り換える場合の露出制御動作を示す図である。
【図9】目標露出値を設けた場合の露出制御処理を示すフローチャートである。
【図10】目標露出値を設定したときの露出制御動作を示す図である。
【図11】シャッタ制御値が切り換えられる場合のプログラム線図を示す図である。
【図12】シャッタ制御値が切り換えられる場合の露出制御動作を示す図である。
【図13】基本プログラム線図を示す図である。
【図14】絞り機構と増幅部の制御値を変化させたときの露出の変化特性である。
【符号の説明】
【0105】
11・・・レンズ部、12・・・絞り機構、21・・・固体撮像素子、22・・・タイミング信号発生部、23・・・CDS部、24・・・増幅部、25・・・A/D変換部、31・・・ディジタル信号処理部、32・・・記録再生部、33・・・表示部、34・・・検出部、41・・・レンズ駆動部、42・・・絞り駆動部、51・・・制御部、52・・・ユーザインタフェース部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部と、前記絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部とを用いた撮像装置の露出制御装置であって、
露出検出を行う検出部と、
前記第1および第2の露出調整部を制御するためのプログラム線図の生成を行い、前記検出部の露出検出結果から決定した適正露出となるように、前記プログラム線図に基づき前記第1および第2の露出調整部の制御値を更新して露出制御を行う制御部とを有し、
前記制御部は、
前記第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、前記絞り制御値可変範囲から外れるときには前記絞り制御値を前記絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成して、該プログラム線図に基づいて前記第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、前記決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行う
ことを特徴とする露出制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記プログラム線図の生成と該プログラム線図に基づいた前記第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を、前記決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となるまで繰り返す
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項3】
前記第2の露出調整部として、前記撮像素子で生成された画像信号を増幅する増幅部を用いるものとした
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記増幅部の利得が減少する方向にオフセットさせる
ことを特徴とする請求項3記載の露出制御装置。
【請求項5】
前記第2の露出調整部として、前記撮像素子の露光時間を制御するシャッタ部を用いるものとした
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記露光時間が長くなる方向にオフセットさせる
ことを特徴とする請求項5記載の露出制御装置。
【請求項7】
前記第2の露出調整部として、前記撮像素子で生成された画像信号を増幅する増幅部と前記撮像素子の露光時間を制御するシャッタ部が設けられて、前記第1の露出調整部の絞り制御値が開放側限界であるとき、前記増幅部の利得を制御する利得制御値が設定範囲の限界となって利得を下げることができない場合に前記シャッタ部で露出制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記絞り制御値可変範囲を決定する演算式によって前記現在の絞り制御値に応じた前記絞り制御値可変範囲を設定することを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記現在の絞り制御値に応じた前記絞り制御値可変範囲を出力するルックアップテーブルを備える
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、現在の露出と前記適正露出の差分を1/n倍(nは実数)して現在の露出に加算した目標露出となるように露出制御を行い、現在の露出と前記適正露出の差分の1/n倍が閾値よりも小さくなったとき、前記適正露出を前記目標露出とする
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項11】
前記検出部は、前記撮像素子で生成される画像信号に基づいて前記露出検出を行う
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項12】
前記検出部は、被写体の明るさを測定する露出計を用いて前記露出検出を行う
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項13】
撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部と、前記絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部とを用いた撮像装置の露出制御方法であって、
露出検出を行う検出ステップと、
前記第1および第2の露出調整部を制御するためのプログラム線図の生成を行うプログラム線図生成ステップと、
前記検出ステップの露出検出結果から決定した適正露出となるように、前記プログラム線図に基づき前記第1および第2の露出調整部の制御値を更新して露出制御を行う制御値更新ステップを有し、
前記プログラム線図生成ステップでは、前記第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、前記絞り制御値可変範囲から外れるときには前記絞り制御値を前記絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成し、
前記制御値更新ステップでは、前記プログラム線図に基づいて前記第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、前記決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行う
ことを特徴とする露出制御方法。
【請求項14】
撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部と、前記絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部とを用いた撮像装置の露出制御を行うプログラムであって、
コンピュータに
露出検出結果を取得させる検出ステップと、
前記第1および第2の露出調整部を制御するためのプログラム線図の生成を行うプログラム線図生成ステップと、
前記検出ステップで取得した露出検出結果から決定した適正露出となるように、前記プログラム線図に基づき前記第1および第2の露出調整部の制御値を更新して露出制御を行う制御値更新ステップを実行させて、
前記プログラム線図生成ステップでは、前記第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、前記絞り制御値可変範囲から外れるときには前記絞り制御値を前記絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成し、
前記制御値更新ステップでは、前記プログラム線図に基づいて前記第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、前記決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行う
ことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
撮像素子を用いた撮像装置において、
前記撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部と、
前記絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部と、
露出検出を行う検出部と、
前記第1および第2の露出調整部を制御するためのプログラム線図の生成を行い、前記検出部の露出検出結果から決定した適正露出となるように、前記プログラム線図に基づき、前記第1および第2の露出調整部の制御値を更新して露出制御を行う制御部を設け、
前記制御部は、
前記第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、前記絞り制御値可変範囲から外れるときには前記絞り制御値を前記絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成して、該プログラム線図に基づいて前記第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、前記決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行う
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部と、前記絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部とを用いた撮像装置の露出制御装置であって、
露出検出を行う検出部と、
前記第1および第2の露出調整部を制御するためのプログラム線図の生成を行い、前記検出部の露出検出結果から決定した適正露出となるように、前記プログラム線図に基づき前記第1および第2の露出調整部の制御値を更新して露出制御を行う制御部とを有し、
前記制御部は、
前記第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、前記絞り制御値可変範囲から外れるときには前記絞り制御値を前記絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成して、該プログラム線図に基づいて前記第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、前記決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行う
ことを特徴とする露出制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記プログラム線図の生成と該プログラム線図に基づいた前記第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を、前記決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値が設定範囲の限界となるまで繰り返す
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項3】
前記第2の露出調整部として、前記撮像素子で生成された画像信号を増幅する増幅部を用いるものとした
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記増幅部の利得が減少する方向にオフセットさせる
ことを特徴とする請求項3記載の露出制御装置。
【請求項5】
前記第2の露出調整部として、前記撮像素子の露光時間を制御するシャッタ部を用いるものとした
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記露光時間が長くなる方向にオフセットさせる
ことを特徴とする請求項5記載の露出制御装置。
【請求項7】
前記第2の露出調整部として、前記撮像素子で生成された画像信号を増幅する増幅部と前記撮像素子の露光時間を制御するシャッタ部が設けられて、前記第1の露出調整部の絞り制御値が開放側限界であるとき、前記増幅部の利得を制御する利得制御値が設定範囲の限界となって利得を下げることができない場合に前記シャッタ部で露出制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記絞り制御値可変範囲を決定する演算式によって前記現在の絞り制御値に応じた前記絞り制御値可変範囲を設定することを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記現在の絞り制御値に応じた前記絞り制御値可変範囲を出力するルックアップテーブルを備える
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、現在の露出と前記適正露出の差分を1/n倍(nは実数)して現在の露出に加算した目標露出となるように露出制御を行い、現在の露出と前記適正露出の差分の1/n倍が閾値よりも小さくなったとき、前記適正露出を前記目標露出とする
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項11】
前記検出部は、前記撮像素子で生成される画像信号に基づいて前記露出検出を行う
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項12】
前記検出部は、被写体の明るさを測定する露出計を用いて前記露出検出を行う
ことを特徴とする請求項1記載の露出制御装置。
【請求項13】
撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部と、前記絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部とを用いた撮像装置の露出制御方法であって、
露出検出を行う検出ステップと、
前記第1および第2の露出調整部を制御するためのプログラム線図の生成を行うプログラム線図生成ステップと、
前記検出ステップの露出検出結果から決定した適正露出となるように、前記プログラム線図に基づき前記第1および第2の露出調整部の制御値を更新して露出制御を行う制御値更新ステップを有し、
前記プログラム線図生成ステップでは、前記第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、前記絞り制御値可変範囲から外れるときには前記絞り制御値を前記絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成し、
前記制御値更新ステップでは、前記プログラム線図に基づいて前記第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、前記決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行う
ことを特徴とする露出制御方法。
【請求項14】
撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部と、前記絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部とを用いた撮像装置の露出制御を行うプログラムであって、
コンピュータに
露出検出結果を取得させる検出ステップと、
前記第1および第2の露出調整部を制御するためのプログラム線図の生成を行うプログラム線図生成ステップと、
前記検出ステップで取得した露出検出結果から決定した適正露出となるように、前記プログラム線図に基づき前記第1および第2の露出調整部の制御値を更新して露出制御を行う制御値更新ステップを実行させて、
前記プログラム線図生成ステップでは、前記第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、前記絞り制御値可変範囲から外れるときには前記絞り制御値を前記絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成し、
前記制御値更新ステップでは、前記プログラム線図に基づいて前記第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、前記決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行う
ことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
撮像素子を用いた撮像装置において、
前記撮像素子への入射光量を調整する絞り機構を用いた第1の露出調整部と、
前記絞り機構以外の機能によって露出調整を行う第2の露出調整部と、
露出検出を行う検出部と、
前記第1および第2の露出調整部を制御するためのプログラム線図の生成を行い、前記検出部の露出検出結果から決定した適正露出となるように、前記プログラム線図に基づき、前記第1および第2の露出調整部の制御値を更新して露出制御を行う制御部を設け、
前記制御部は、
前記第1の露出調整部の現在の絞り制御値に応じて設定されている絞り制御値可変範囲内では、前記第2の露出調整部の制御値を前記第1の露出制御部のみで露出制御を行う方向にオフセットさせた状態で固定した露出制御となり、前記絞り制御値可変範囲から外れるときには前記絞り制御値を前記絞り制御値可変範囲の限界に固定した露出制御となるプログラム線図を生成して、該プログラム線図に基づいて前記第1および第2の露出調整部に対する制御値の更新を行い、前記決定した適正露出であって前記第1または第2の露出調整部の制御値を設定範囲の限界として露出制御を行う
ことを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−55461(P2009−55461A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221535(P2007−221535)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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