静脈アクセスカテーテルのためのナノ粒子
強化ポリマーシャフトを含むカテーテルが説明される。このポリマーは、大きさが約6nm未満のナノ粒子を含む。医療用器具を形成する方法も説明される。選択されたポリマーの顆粒が作製される。選択されたポリマーの強化顆粒が作製される。この強化顆粒はナノ粒子を含む。次に、ナノ粒子の所望の濃度を得るために選択される比率で、顆粒と強化顆粒が混合される。顆粒および強化顆粒は、実質的に管状の要素を形成するために押し出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、2006年10月5日に出願された、「Nano Particle Additives for Venous Access Catheter」と題される米国仮特許出願第60/849,712号に対する優先権を主張する。上記に示した出願の明細書は、本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景情報)
慢性疾患の治療には、例えば、薬剤、脈管系への繰り返しの長期にわたるアクセスが必要となる場合が多い。セッションごとの針の繰り返しの挿入および抜去に付随する不快感およびその他の副作用を回避するため、半恒久的カテーテル(例えば、末梢穿刺中心静脈カテーテル(PICC))を用いてよい。当業者に理解されるように、PICCは、末梢部位、例えば腕または脚の静脈内に穿刺され、その静脈内を通って心臓近傍の胸部まで進められるカテーテルである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
挿入を平易にし、不快感を軽減するため、PICCおよび他の半恒久的カテーテルは一般に細く柔軟に作製され、これによってそれらの強度が制限される。これが今度は、カテーテルが支えうる最大圧力および流量を制限する。破損した(例えば、最大流量および/または圧力を上回った後に)カテーテルから漏出する液体は、周辺組織に損傷を与える可能性がある。
【0004】
そのような半恒久的カテーテルを介した、液体の注入および/または採取と組み合わせて、視覚化手技を向上させるために造影剤を注入するのが望ましい場合が多い。典型的には、造影剤は、目的の領域全体に造影剤を分散させるのに必要な高い注入圧力と流量に耐えられるよう設計された別のカテーテルを使用して導入され、圧力および流量は通常、典型的な半恒久的カテーテル対して許容されるそれを超えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
一態様において、本発明は、強化ポリマーシャフトを有するカテーテルに関し、このポリマーは、大きさが約6nm未満のナノ粒子を含む。
【0006】
別の態様において、本発明は医療用器具を形成する方法に関し、この方法は、選択されたポリマーの顆粒を調製するステップと、選択されたポリマーの強化顆粒を調製するステップとを有し、この強化顆粒はナノ粒子を含む。次に、ナノ粒子の所望の濃度を得るために選択された比率で顆粒と強化顆粒が混合され、顆粒および強化顆粒は、実質的に管状の要素を形成するために押し出される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】カテーテルのシェルに対するナノ粒子強化を有する、静脈カテーテルの例示的実施形態を示す断面図である。
【図2】カテーテル本体全体にナノ粒子強化を有する、静脈カテーテルの例示的実施形態を示す断面図である。
【図3】カテーテル本体の仕切りに対するナノ粒子強化を有する、静脈カテーテルの例示的実施形態を示す断面図である。
【図4】カテーテル本体の別個の区間に対するナノ粒子強化を示す、静脈カテーテルの例示的実施形態を示す断面図である。
【図5】カテーテル本体の層に対するナノ粒子強化を示す、静脈カテーテルの例示的実施形態を示す断面図である。
【図6】ナノダイヤモンドを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【図7】フラーレンを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【図8】カーボンファイバーを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【図9】ナノダイヤモンドを含む本発明によるポリマーに関する、変形への応力依存性を示すグラフである。
【図10】フラーレン粒子を含む本発明によるポリマーに関する、変形への応力依存性を示すグラフである。
【図11】ナノカーボンファイバーを含む本発明によるポリマーに関する、変形への応力依存性を示すグラフである。
【図12】本発明の医療用チューブを製造するための押し出し機器の例示的実施形態を示す図である。
【図13】原子状ゼオライトを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【図14】4面体ゼオライトを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【図15】結晶状ゼオライトを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(詳細な説明)
本発明は、以下の説明と添付の図面を参照してさらに理解されてよく、類似の要素は同一の指示番号を使用して言及される。本発明は、造影剤を、好ましくは高い圧力、高い流量で導入するための器具に関する。具体的には、本発明による器具は、PICCを使用して造影剤を注入するために使用されてよい。
【0009】
当業者に理解されるように、液体によってもたらされる圧力は、他の変数のうち、流量、粘度、およびカテーテルの断面の流量範囲の関数である。従って、使用中にカテーテルが破損しないことを確認するため、各種カテーテルについて流圧および/または流量に関する制限が指定されることが多い。
【0010】
本発明によるカテーテルは、中心静脈アクセスおよび造影剤の注入の両方の目的で使用されてよく、不快感ならびに手技の時間および費用を軽減する。本発明によるカテーテル、例えばPICCは、耐キンク性を低下させることなくまたはカテーテルの断面形状を増大させることなく、従来のPICCのものと比較して、そのバースト圧力と最大流量を造影剤の導入に適したレベルまで高めるために少なくとも部分的に強化されている。
【0011】
例えば、本発明によるカテーテルは、高圧注入器具に典型的な約1〜100cc/秒の流量およびおよそ40〜1600PSIを超える圧力に耐える。本発明によるカテーテルの強度の増加は強化用添加剤によるものであり、これは一実施形態において、カテーテル全体にわたって均一な耐バースト性を得るために、カテーテルのシャフトおよびエクステンションチューブの両方に加えられる。あるいは、シャフト、ハブ、または分岐部のみが強化されてもよい。
【0012】
本発明の例示的実施形態によると、カテーテルを形成する材料はポリマーマトリックス物質を有し、その内部には1つ以上の種類のナノサイズまたはミクロサイズの添加剤が分散しており、ナノサイズの添加剤の大きさは約6nm未満である。例えば添加剤は、炭素の種類、例えば超分散ダイヤモンド(ナノダイヤモンドとも呼ばれる)、カーボンファイバー、およびフラーレンを含んでよい。フラーレンは、異なる形状の炭素同素体を有してよく、この例には、円筒状のカーボンナノチューブおよび球状のバッキーボールが含まれる。
【0013】
ナノファイバー、ナノチューブ、およびフラーレンなどの添加剤のポリマーへの導入は、材料の機械的性質、化学的性質、および他の性質を著しく高める可能性があり、結果として、そのような材料から作製された器具のそれらの性質も高められる可能性がある。例えば、改良カテーテルは、これらの向上した材料から製造されてよい。フラーレン(C60)は、ポリマー材料のマトリックスと安定した化学結合を作ることができる。一形態において、それは、半径が約0.357nmの安定した球状分子である。その特徴の1つは、最大で26個の−OH基と結合する能力である。
【0014】
ナノチューブは、本発明に従って使用されてよいもう1つの形態の炭素添加剤である。ナノチューブは高い機械的強度を持ち、ポリマーマトリックス材料との広い接触面を提供して、ベースポリマーの機械的性質と比較して複合材料の機械的性質を改善する。特にポリウレタンマトリックスに使用するために、Zyvex Corp.(米国)によって2つの添加剤が開発されている。これらの添加剤は、単層ナノチューブと多層ナノチューブの両方を含む。
【0015】
本発明の実施形態による別の添加剤は、超分散ダイヤモンド(UDD)またはナノダイヤモンドを有する。これらの要素は、材料のバルク状態と、個々の分子の状態との境界で存在する。UDDは、例えば爆発法を用いて産生されてよい合成ダイヤモンドであり、爆発性分子内に含まれる炭素に適用される爆発エネルギーによって材料が形成される。UDDは、通常は異なる形態の炭素と不適合であり、通常は異なる形態の炭素に関連する特性を併せ持つ産物である。この産物は、ダイヤモンドの硬度と化学的慣性を示す、ダイヤモンド構造のコアを有する。さらに、UDDは、約4〜6nmのナノサイズの、円形の、発達した活性表面を有する粒子である。
【0016】
UDDは、様々な供給元、例えばDiamond Center(ロシア)、Chevron Texaco Technology Center(米国)、International Technology Center(米国)、NanoCarbon Research Institute(日本)から入手可能である。本発明の例示的実施形態において、カテーテルを作製するための材料用のポリマーマトリックスと一緒に充填材として使用するUDDの量は、質量で約0.1%〜0.5%である。
【0017】
図1は、本発明によるカテーテルの例示的実施形態を示す。例示的なカテーテル100は双管腔(dual lumen)カテーテルであり、管腔110、112は、カテーテル100の縦軸に沿って伸びる仕切り108によって隔てられている。例えば、双管腔110、112は、脈管系へ、または脈管系から循環する液体の供給経路および戻り経路として使用されてよい。ベースカテーテル材料の耐圧性と極限強度をさらに改善するため、カテーテルの壁を形成する化合物にナノおよび/またはミクロ粒子を加える。ナノ粒子104は、ポリマーなどのマトリックス材料102と混合される、上述の炭素化合物の1つ以上を有してよい。当業者に理解されるように、本発明は多管腔(multi−lumen)カテーテルとともに使用されてよい。
【0018】
特定の用途に望ましい特性を得るため、カテーテルの特定の部位またはカテーテル全体に、カテーテルシャフトの壁の強度を増すための本明細書で説明される方法が選択的に適用されてよいことは、当業者には明らかであろう。さらに、器具に沿っておよび/または器具の周囲に機械的性質の望ましい変化を得るために、ナノ粒子104の分布は半径方向およびカテーテル100に沿った縦方向の両方に変化してよい。例えば、マトリックス材料102中のナノ粒子104の濃度を局所的に低下させることによってより柔軟なカテーテルの部分が形成されてよく、一方で、機械的強度が増強した1つ以上の領域は、その領域(1つまたは複数)中のナノ粒子104の濃度を上げることによって作られてよい。さらに、弱い力がかかるカテーテル100の部位(例えば、仕切り108)は添加剤なしで作製されてよいが、大きなストレスがかかる部位(例えば、シェル106)は添加剤を含む。ナノ粒子の様々な層を重ねる工程も使用されてよい。
【0019】
図2は、本発明によるカテーテルの別の例示的実施形態を示す。例示的なカテーテル200は双管腔カテーテルであり、双管腔210および212は、カテーテル200の縦軸に沿って伸びる仕切り208によって隔てられている。ナノ粒子204は、仕切り208およびカテーテルシェル206を含むカテーテル200全体に分布する。図3は、仕切り308によって隔てられた管腔310および312を有する双管腔カテーテル300の他の実施形態を示す。しかし、仕切り308を強化するために、ナノ粒子304は仕切り308にのみ分布している。
【0020】
図4は、本発明によるカテーテル400の別の例示的実施形態を示す。カテーテル400は単一管腔410から成り、四分円412、414、416、および418に分かれている。ナノ粒子404は四分円418および414に分布している。ナノ粒子404は特定の四分円に分布するように示されているが、カテーテルが任意の数の別個の区間に分けられてよく、これらの区間のいずれか、または全てにナノ粒子が分布していてよいことが当業者に理解されるであろう。
【0021】
図5は、本発明によるカテーテルの別の実施形態を示す。カテーテル500は、単一管腔510、内層506、および外層508から成る。ナノ粒子504は、外層508に分布している。カテーテル500は2層に示されているが、カテーテルが複数の層を有してよいこと、これらの層のいずれか、または全てがナノ粒子で強化されてよいことが当業者には明らかであろう。さらに、単一管腔で図示してあるが、カテーテルは複数の管腔から構成されてよい。
【0022】
上述のように、超分散ダイヤモンドは、カテーテル壁を形成するポリマーの性質を高めるために、本発明に従って使用されてよい1つの添加剤である。図6は、本発明によるUDDの概略図を示す。UDD120は、ライン124で表される結合による結晶格子内に保持される複数の炭素原子122を有する。さらなる化合物126は、UDD分子の外縁と結合していてよく、分子にさらなる有用性を与えている。
【0023】
図7は、本発明の実施形態とともに使用するためのフラーレンC60添加剤を示す。C60フラーレン分子230は、結合234によって安定した球状格子に結合される60個の炭素原子232を有する。C60フラーレン分子の半径は0.357nmであり、最大で26個の−OH基と結合できる。図8は、この添加剤に望ましい化学的性質を与える、大きな、化学的に活性な比表面積242を特徴とする、植物または人工ポリマーファイバーの処理によって産生される例示的なカーボンファイバー240を示す。
【0024】
各種のナノ粒子添加剤の試験を、それらが基本のカテーテル材料にもたらす改善を判定するために実施した。例示的な材料は、個々のナノ粒子添加剤が加えられたポリカーボネート系ポリウレタン(PC−3585A)で構成されていた。具体的には、爆発合成法で産生された超分散ダイヤモンド、球状C60タイプのフラーレン、およびカーボンファイバーをポリマーに加えた。ベースポリマーと、添加剤を加えたポリマーに関する引っ張り強さ対変形を、各種濃度の添加剤について測定した。
【0025】
図9は、ナノダイヤモンドを0重量%〜0.2重量%の割合で加えたポリカーボネート系ポリウレタンの引っ張り強さおよび変形の曲線を示す。グラフに見られるように、ライン250は、0.2重量%のUDDナノ粒子を添加したポリカーボネート系ポリウレタンマトリックスポリマー材料の性能を表す。ベース材料のみのものよりも、添加剤を加えた材料の引っ張り強さは約3倍増加した。
【0026】
図10は、ポリカーボネート系ポリウレタンマトリックスポリマーおよびフラーレンC60を含む添加剤に関する引っ張り強さ対変形のグラフを示す。この場合、添加剤は0重量%〜0.1%重量の範囲であった。0.01重量%のフラーレンを添加すると、得られたポリマーの引っ張り強さは、ライン252で示されるようにベース材料よりも3倍増加した。図11に示すように、カーボンファイバーをポリカーボネート系ポリウレタンマトリックスに加えることによって同様の結果が得られた。カーボンファイバーは、0重量%〜5重量%の割合で加えられる。ライン254で示されるように、1重量%のカーボンファイバーを加えると、材料の引っ張り強さが3倍増加する。
【0027】
添加されるそれぞれのナノ粒子に関して、強度の最大の増強を達成するのに最適な濃度が存在することを当業者は理解するであろう。適切な量のナノ粒子をベースポリマー材料に混ぜることで、高い圧力および/または流量に耐えうるカテーテルが得られ、これにより手技時間が軽減され、また、例えば、所望の造影剤の分散を得るため、高い圧力での液体の注入および吸引の両方にカテーテルを使用できるようになる。ベースポリマーに対するナノ粒子の割合は、バルク性能を低下させることなく粒子をそのマトリックスに組み込むような、ベースポリマーの能力または耐性に依存する。
【0028】
ここまでの議論は添加剤として使用される炭素のナノ粒子に関するものであったが、他のナノ粒子も使用してよいことを当業者は理解するであろう。例えば、ポリマーに金属原子を組み込み、ポリマーに一定の放射線不透過性を与えるため、ゼオライトまたはキレートが使用されてよい。所望の放射線不透過性を得るため、従来の要素、例えば硫酸バリウム(BaSO4)、ビスマス塩、タングステン等が使用されてよい。これらは、その粒子サイズをナノレベルにまで縮小するため、例えば低温粉砕によって特別に処理されてよい。
【0029】
当業者に理解されるように、カテーテルのベース材料を形成するために使用されるマトリックスポリマーは、上述のポリカーボネート系ポリウレタンを含む複数のポリマーのうち任意のものであってよい。例えば、熱可塑性ポリウレタン、例えばポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、およびポリシロキサン系ポリマーが、カテーテルの構造を形成するのに使用されてよい。ポリアミド、例えばポリアミド12、ポリアミド11、ナイロン、およびポリアミド6−12が本発明の他の実施形態で使用されてよい。さらなる他の実施形態において、ポリエーテルブロックアミドエラストマー、例えばPebaxがマトリックス材料として、またはEVA、HDPE、MDPE、LDPE、SBS、およびSIBSを含むポリオレフィンが使用されてよい。本発明による材料を形成するために、上記のポリマーだけでなく他のものも、単独または組み合わせのいずれかで使用されてよいことを当業者は理解するであろう。
【0030】
特定の用途では、2つ以上の添加剤をポリマーマトリックスに含むことが有用であってよい。例えば、ポリマーとナノ粒子間の境界面を改善するために、機能性高分子または添加剤が適用されてよく、これにより材料の強度が増す。さらに、当業者に理解されるように、同じ産物において特定の所望の機械的、熱的、化学的、および生物学的性質を得るために、複数のナノスケールの添加剤の組み合わせがマトリックス材料に導入されてよい。特定の実施形態において、添加剤のうちの1つのみでは得られない相乗効果を得るために、ナノスケールの添加剤がマクロスケールおよびミクロスケールの添加剤と混合されてよい。
【0031】
図13は、カテーテルを形成するためのマトリックス材料への添加剤として使用されてよい原子状ゼオライトナノ粒子の図を示す。この材料の他の形態は、図14に示す4面体ゼオライトと、図15に示す結晶状ゼオライトである。ゼオライトは、アルカリまたはアルカリ土類金属、主にナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムの含水アルミノケイ酸塩の族である。ゼオライトは、全ての頂点で強力に結合した4面体シリカまたはアルミニウムアニオンの三次元結晶骨格を有する。ゼオライトの構造は、実質的に均一な直径の表面細孔を形成する(−Si−O−Al−)結合を含み、不連続な大きさおよび形状の規則的な内部空洞およびチャネルを内包し、これは用いられる特定のゼオライトの化学組成および結晶構造に依存する。
【0032】
各種ゼオライト構造の細孔サイズは、約2〜約4.3オングストロームで、内包される空洞は、金属カチオンおよび水分子の両方を含んでよい。カチオンは格子と緩く結合しており、故にイオン交換を行うことができる。大部分のゼオライト中の水分子は、空洞から可逆的に放出されうる。ゼオライトの構造によって、幅広い化学環境および物理環境においてゼオライトが一貫して各種の機能を果たすことが可能となる。例えば、ゼオライトは選択的に特定の気体分子を吸着することができ、またゼオライトは、それらのマトリックスの化学的または物理学的変化を起こすことなく、水を可逆的に吸着および脱離する能力を有する。ゼオライトはまた、ゼオライト鉱物の特異的な交換選択性に基づき、結晶構造中のカチオンを他のカチオン、例えば、鉛、タリウム、セシウム、またはストロンチウムと交換する能力も有する。
【0033】
吸着の際、異なる大きさの気体分子がゼオライト格子のチャネルを通過することができる。チャネルの大きさに応じ、分子篩として知られるプロセスにおいて、分子が大きさによって分けられる。それぞれのゼオライト鉱物は、特有のイオン交換選択性およびイオン交換能を有する。水分子は、チャネルおよび細孔を通過することができ、これにより、溶液中に存在するカチオンと構造中のカチオンの交換が可能になる。複数の因子、例えば溶液の強度、pH、温度、および溶液中のその他の競合するカチオンの存在がこのプロセスに影響を与える。
【0034】
菱沸石およびシャプチロ沸石は、本発明による添加剤として使用されてよい、ゼオライト族における2つの例示的な鉱物である。この族には、考慮されてよいおよそ48の他の材料が存在する。これらの化合物は、火山灰とアルカリ水との化学反応によってもたらされる。それらのシリカ対アルミニウム比が、菱沸石の約2:1からシャプチロ沸石の約5:1と高いため、これらの鉱物は安定しており、合成ゼオライトよりも酸性溶液中で脱アルミが起こりにくい。
【0035】
ミクロ粒子添加剤を含むポリマー材料の製造では、いくつかの課題が生じる。本発明の一実施形態によれば、製造ステップは、増強用ナノ粒子の含有量が高いポリマーを作製するステップを有し、これは後に純ベースポリマーと混合される。ナノ粒子の含有量が高いポリマーは、有機溶媒中でポリマー溶液を調製することによって製造される。例えばポリウレタン系材料の場合、テトラヒドロフランが調製される。蓋をした瓶の中で攪拌することによって、例えば約45℃〜50℃の温度で溶解を行う。溶解されるポリマーの量は、例えば溶媒重量の約10%〜18%であってよい。さらに、ナノ添加剤を組み込むために、従来の方法、例えば2軸および単軸押し出しも用いてよい。濃縮または直接組み込みも適用できる。
【0036】
攪拌中に、特定の添加剤が溶液に導入されてよい。例えば、UDDおよびカーボンファイバー添加剤は乾燥材料として混合し、フラーレンC60は溶液として混合する。その後、溶液を約3〜5分間室温で攪拌し、予め水平にしたフッ素プラスチック基板上、または例えば、厚さおよそ1mmの延伸セロファンフィルム上に注ぐ。加熱せずに溶液を約24時間乾燥させる。寒冷乾燥後に形成されたフィルムを基板から分離し、濾紙に載せる。次に、IRランプでサンプルを5〜10時間加熱する、または約40℃〜50℃の温度の加熱キャビネット内に5〜10時間静置してもよい。乾燥後、添加剤を含むポリマーの顆粒を集める。
【0037】
カテーテルの製造過程において、ポリマーおよびベース添加剤を含む予め合わせられた材料または添加剤顆粒270の直接の組み合わせが、一次押し出し機264Aで混合され運ばれる。図12は、例示的な押し出し機260を示し、1つ以上の押し出し機264Aが、添加剤、この場合は硫酸バリウムとともに純ポリマー270を、成形金型274を通して押し出す。1つ以上のピストン268が、さらなるポリマーの流れをさらなるナノ粒子272とともに押しこみ、金型の前または金型内で流れ270と混合させ、金型274を通過させる。さらなるポリマーの流れを移動させるピストンリザーバーは、単純なリザーバーであってよい、またはさらなる軸押し出し機264Bまたはその他の伝統的なポリマーまたは処理手段、例えば射出成形ユニットまたはラム押し出し機によって絶え間なく供給されていてよい。顆粒270、272の流れの押し出し速度の適切な比率を選択することによって、最終的な押し出し材料276中の1つ以上の種類のナノ粒子の所望の濃度が得られてよい。
【0038】
特定の実施形態を参照して、より具体的にはカーボンナノ粒子を含む材料からなる造影剤の高圧注入に使用されるPICCカテーテルを参照して本発明を説明した。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の医療用器具および手技に適用可能なその他の実施形態が考案されてよい。PICCカテーテルが、本発明によるナノ粒子を含む材料の唯一の用途ではないことを当業者は理解するであろう。例えば強化材料は、ポリマーステント、ドレナージ器具、薬物送達用の注入カテーテル、および/または心臓、末梢、尿路、および内視鏡用のポリマーステントの製造に使用されてよい。材料のさらなる実施形態は、ミクロカテーテル送達システム、ステント送達システム、薄型ポート、およびPTCA/PTA器具に使用されてよい。PICCのもの以外の本発明に従って製造されたカテーテルは、標準のカテーテル、CVC、および静脈アクセスカテーテルを含んでよい。従って、以下の請求項に記載されるような本発明の最も広い趣旨と範囲から逸脱することなく、実施形態に、特に大きさと材料に関して各種改変および変更が加えられてよい。従って明細書および図面は、限定するものではなく、むしろ例を示すものとして見なされる。
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、2006年10月5日に出願された、「Nano Particle Additives for Venous Access Catheter」と題される米国仮特許出願第60/849,712号に対する優先権を主張する。上記に示した出願の明細書は、本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景情報)
慢性疾患の治療には、例えば、薬剤、脈管系への繰り返しの長期にわたるアクセスが必要となる場合が多い。セッションごとの針の繰り返しの挿入および抜去に付随する不快感およびその他の副作用を回避するため、半恒久的カテーテル(例えば、末梢穿刺中心静脈カテーテル(PICC))を用いてよい。当業者に理解されるように、PICCは、末梢部位、例えば腕または脚の静脈内に穿刺され、その静脈内を通って心臓近傍の胸部まで進められるカテーテルである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
挿入を平易にし、不快感を軽減するため、PICCおよび他の半恒久的カテーテルは一般に細く柔軟に作製され、これによってそれらの強度が制限される。これが今度は、カテーテルが支えうる最大圧力および流量を制限する。破損した(例えば、最大流量および/または圧力を上回った後に)カテーテルから漏出する液体は、周辺組織に損傷を与える可能性がある。
【0004】
そのような半恒久的カテーテルを介した、液体の注入および/または採取と組み合わせて、視覚化手技を向上させるために造影剤を注入するのが望ましい場合が多い。典型的には、造影剤は、目的の領域全体に造影剤を分散させるのに必要な高い注入圧力と流量に耐えられるよう設計された別のカテーテルを使用して導入され、圧力および流量は通常、典型的な半恒久的カテーテル対して許容されるそれを超えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
一態様において、本発明は、強化ポリマーシャフトを有するカテーテルに関し、このポリマーは、大きさが約6nm未満のナノ粒子を含む。
【0006】
別の態様において、本発明は医療用器具を形成する方法に関し、この方法は、選択されたポリマーの顆粒を調製するステップと、選択されたポリマーの強化顆粒を調製するステップとを有し、この強化顆粒はナノ粒子を含む。次に、ナノ粒子の所望の濃度を得るために選択された比率で顆粒と強化顆粒が混合され、顆粒および強化顆粒は、実質的に管状の要素を形成するために押し出される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】カテーテルのシェルに対するナノ粒子強化を有する、静脈カテーテルの例示的実施形態を示す断面図である。
【図2】カテーテル本体全体にナノ粒子強化を有する、静脈カテーテルの例示的実施形態を示す断面図である。
【図3】カテーテル本体の仕切りに対するナノ粒子強化を有する、静脈カテーテルの例示的実施形態を示す断面図である。
【図4】カテーテル本体の別個の区間に対するナノ粒子強化を示す、静脈カテーテルの例示的実施形態を示す断面図である。
【図5】カテーテル本体の層に対するナノ粒子強化を示す、静脈カテーテルの例示的実施形態を示す断面図である。
【図6】ナノダイヤモンドを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【図7】フラーレンを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【図8】カーボンファイバーを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【図9】ナノダイヤモンドを含む本発明によるポリマーに関する、変形への応力依存性を示すグラフである。
【図10】フラーレン粒子を含む本発明によるポリマーに関する、変形への応力依存性を示すグラフである。
【図11】ナノカーボンファイバーを含む本発明によるポリマーに関する、変形への応力依存性を示すグラフである。
【図12】本発明の医療用チューブを製造するための押し出し機器の例示的実施形態を示す図である。
【図13】原子状ゼオライトを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【図14】4面体ゼオライトを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【図15】結晶状ゼオライトを含む、本発明によるナノ添加剤の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(詳細な説明)
本発明は、以下の説明と添付の図面を参照してさらに理解されてよく、類似の要素は同一の指示番号を使用して言及される。本発明は、造影剤を、好ましくは高い圧力、高い流量で導入するための器具に関する。具体的には、本発明による器具は、PICCを使用して造影剤を注入するために使用されてよい。
【0009】
当業者に理解されるように、液体によってもたらされる圧力は、他の変数のうち、流量、粘度、およびカテーテルの断面の流量範囲の関数である。従って、使用中にカテーテルが破損しないことを確認するため、各種カテーテルについて流圧および/または流量に関する制限が指定されることが多い。
【0010】
本発明によるカテーテルは、中心静脈アクセスおよび造影剤の注入の両方の目的で使用されてよく、不快感ならびに手技の時間および費用を軽減する。本発明によるカテーテル、例えばPICCは、耐キンク性を低下させることなくまたはカテーテルの断面形状を増大させることなく、従来のPICCのものと比較して、そのバースト圧力と最大流量を造影剤の導入に適したレベルまで高めるために少なくとも部分的に強化されている。
【0011】
例えば、本発明によるカテーテルは、高圧注入器具に典型的な約1〜100cc/秒の流量およびおよそ40〜1600PSIを超える圧力に耐える。本発明によるカテーテルの強度の増加は強化用添加剤によるものであり、これは一実施形態において、カテーテル全体にわたって均一な耐バースト性を得るために、カテーテルのシャフトおよびエクステンションチューブの両方に加えられる。あるいは、シャフト、ハブ、または分岐部のみが強化されてもよい。
【0012】
本発明の例示的実施形態によると、カテーテルを形成する材料はポリマーマトリックス物質を有し、その内部には1つ以上の種類のナノサイズまたはミクロサイズの添加剤が分散しており、ナノサイズの添加剤の大きさは約6nm未満である。例えば添加剤は、炭素の種類、例えば超分散ダイヤモンド(ナノダイヤモンドとも呼ばれる)、カーボンファイバー、およびフラーレンを含んでよい。フラーレンは、異なる形状の炭素同素体を有してよく、この例には、円筒状のカーボンナノチューブおよび球状のバッキーボールが含まれる。
【0013】
ナノファイバー、ナノチューブ、およびフラーレンなどの添加剤のポリマーへの導入は、材料の機械的性質、化学的性質、および他の性質を著しく高める可能性があり、結果として、そのような材料から作製された器具のそれらの性質も高められる可能性がある。例えば、改良カテーテルは、これらの向上した材料から製造されてよい。フラーレン(C60)は、ポリマー材料のマトリックスと安定した化学結合を作ることができる。一形態において、それは、半径が約0.357nmの安定した球状分子である。その特徴の1つは、最大で26個の−OH基と結合する能力である。
【0014】
ナノチューブは、本発明に従って使用されてよいもう1つの形態の炭素添加剤である。ナノチューブは高い機械的強度を持ち、ポリマーマトリックス材料との広い接触面を提供して、ベースポリマーの機械的性質と比較して複合材料の機械的性質を改善する。特にポリウレタンマトリックスに使用するために、Zyvex Corp.(米国)によって2つの添加剤が開発されている。これらの添加剤は、単層ナノチューブと多層ナノチューブの両方を含む。
【0015】
本発明の実施形態による別の添加剤は、超分散ダイヤモンド(UDD)またはナノダイヤモンドを有する。これらの要素は、材料のバルク状態と、個々の分子の状態との境界で存在する。UDDは、例えば爆発法を用いて産生されてよい合成ダイヤモンドであり、爆発性分子内に含まれる炭素に適用される爆発エネルギーによって材料が形成される。UDDは、通常は異なる形態の炭素と不適合であり、通常は異なる形態の炭素に関連する特性を併せ持つ産物である。この産物は、ダイヤモンドの硬度と化学的慣性を示す、ダイヤモンド構造のコアを有する。さらに、UDDは、約4〜6nmのナノサイズの、円形の、発達した活性表面を有する粒子である。
【0016】
UDDは、様々な供給元、例えばDiamond Center(ロシア)、Chevron Texaco Technology Center(米国)、International Technology Center(米国)、NanoCarbon Research Institute(日本)から入手可能である。本発明の例示的実施形態において、カテーテルを作製するための材料用のポリマーマトリックスと一緒に充填材として使用するUDDの量は、質量で約0.1%〜0.5%である。
【0017】
図1は、本発明によるカテーテルの例示的実施形態を示す。例示的なカテーテル100は双管腔(dual lumen)カテーテルであり、管腔110、112は、カテーテル100の縦軸に沿って伸びる仕切り108によって隔てられている。例えば、双管腔110、112は、脈管系へ、または脈管系から循環する液体の供給経路および戻り経路として使用されてよい。ベースカテーテル材料の耐圧性と極限強度をさらに改善するため、カテーテルの壁を形成する化合物にナノおよび/またはミクロ粒子を加える。ナノ粒子104は、ポリマーなどのマトリックス材料102と混合される、上述の炭素化合物の1つ以上を有してよい。当業者に理解されるように、本発明は多管腔(multi−lumen)カテーテルとともに使用されてよい。
【0018】
特定の用途に望ましい特性を得るため、カテーテルの特定の部位またはカテーテル全体に、カテーテルシャフトの壁の強度を増すための本明細書で説明される方法が選択的に適用されてよいことは、当業者には明らかであろう。さらに、器具に沿っておよび/または器具の周囲に機械的性質の望ましい変化を得るために、ナノ粒子104の分布は半径方向およびカテーテル100に沿った縦方向の両方に変化してよい。例えば、マトリックス材料102中のナノ粒子104の濃度を局所的に低下させることによってより柔軟なカテーテルの部分が形成されてよく、一方で、機械的強度が増強した1つ以上の領域は、その領域(1つまたは複数)中のナノ粒子104の濃度を上げることによって作られてよい。さらに、弱い力がかかるカテーテル100の部位(例えば、仕切り108)は添加剤なしで作製されてよいが、大きなストレスがかかる部位(例えば、シェル106)は添加剤を含む。ナノ粒子の様々な層を重ねる工程も使用されてよい。
【0019】
図2は、本発明によるカテーテルの別の例示的実施形態を示す。例示的なカテーテル200は双管腔カテーテルであり、双管腔210および212は、カテーテル200の縦軸に沿って伸びる仕切り208によって隔てられている。ナノ粒子204は、仕切り208およびカテーテルシェル206を含むカテーテル200全体に分布する。図3は、仕切り308によって隔てられた管腔310および312を有する双管腔カテーテル300の他の実施形態を示す。しかし、仕切り308を強化するために、ナノ粒子304は仕切り308にのみ分布している。
【0020】
図4は、本発明によるカテーテル400の別の例示的実施形態を示す。カテーテル400は単一管腔410から成り、四分円412、414、416、および418に分かれている。ナノ粒子404は四分円418および414に分布している。ナノ粒子404は特定の四分円に分布するように示されているが、カテーテルが任意の数の別個の区間に分けられてよく、これらの区間のいずれか、または全てにナノ粒子が分布していてよいことが当業者に理解されるであろう。
【0021】
図5は、本発明によるカテーテルの別の実施形態を示す。カテーテル500は、単一管腔510、内層506、および外層508から成る。ナノ粒子504は、外層508に分布している。カテーテル500は2層に示されているが、カテーテルが複数の層を有してよいこと、これらの層のいずれか、または全てがナノ粒子で強化されてよいことが当業者には明らかであろう。さらに、単一管腔で図示してあるが、カテーテルは複数の管腔から構成されてよい。
【0022】
上述のように、超分散ダイヤモンドは、カテーテル壁を形成するポリマーの性質を高めるために、本発明に従って使用されてよい1つの添加剤である。図6は、本発明によるUDDの概略図を示す。UDD120は、ライン124で表される結合による結晶格子内に保持される複数の炭素原子122を有する。さらなる化合物126は、UDD分子の外縁と結合していてよく、分子にさらなる有用性を与えている。
【0023】
図7は、本発明の実施形態とともに使用するためのフラーレンC60添加剤を示す。C60フラーレン分子230は、結合234によって安定した球状格子に結合される60個の炭素原子232を有する。C60フラーレン分子の半径は0.357nmであり、最大で26個の−OH基と結合できる。図8は、この添加剤に望ましい化学的性質を与える、大きな、化学的に活性な比表面積242を特徴とする、植物または人工ポリマーファイバーの処理によって産生される例示的なカーボンファイバー240を示す。
【0024】
各種のナノ粒子添加剤の試験を、それらが基本のカテーテル材料にもたらす改善を判定するために実施した。例示的な材料は、個々のナノ粒子添加剤が加えられたポリカーボネート系ポリウレタン(PC−3585A)で構成されていた。具体的には、爆発合成法で産生された超分散ダイヤモンド、球状C60タイプのフラーレン、およびカーボンファイバーをポリマーに加えた。ベースポリマーと、添加剤を加えたポリマーに関する引っ張り強さ対変形を、各種濃度の添加剤について測定した。
【0025】
図9は、ナノダイヤモンドを0重量%〜0.2重量%の割合で加えたポリカーボネート系ポリウレタンの引っ張り強さおよび変形の曲線を示す。グラフに見られるように、ライン250は、0.2重量%のUDDナノ粒子を添加したポリカーボネート系ポリウレタンマトリックスポリマー材料の性能を表す。ベース材料のみのものよりも、添加剤を加えた材料の引っ張り強さは約3倍増加した。
【0026】
図10は、ポリカーボネート系ポリウレタンマトリックスポリマーおよびフラーレンC60を含む添加剤に関する引っ張り強さ対変形のグラフを示す。この場合、添加剤は0重量%〜0.1%重量の範囲であった。0.01重量%のフラーレンを添加すると、得られたポリマーの引っ張り強さは、ライン252で示されるようにベース材料よりも3倍増加した。図11に示すように、カーボンファイバーをポリカーボネート系ポリウレタンマトリックスに加えることによって同様の結果が得られた。カーボンファイバーは、0重量%〜5重量%の割合で加えられる。ライン254で示されるように、1重量%のカーボンファイバーを加えると、材料の引っ張り強さが3倍増加する。
【0027】
添加されるそれぞれのナノ粒子に関して、強度の最大の増強を達成するのに最適な濃度が存在することを当業者は理解するであろう。適切な量のナノ粒子をベースポリマー材料に混ぜることで、高い圧力および/または流量に耐えうるカテーテルが得られ、これにより手技時間が軽減され、また、例えば、所望の造影剤の分散を得るため、高い圧力での液体の注入および吸引の両方にカテーテルを使用できるようになる。ベースポリマーに対するナノ粒子の割合は、バルク性能を低下させることなく粒子をそのマトリックスに組み込むような、ベースポリマーの能力または耐性に依存する。
【0028】
ここまでの議論は添加剤として使用される炭素のナノ粒子に関するものであったが、他のナノ粒子も使用してよいことを当業者は理解するであろう。例えば、ポリマーに金属原子を組み込み、ポリマーに一定の放射線不透過性を与えるため、ゼオライトまたはキレートが使用されてよい。所望の放射線不透過性を得るため、従来の要素、例えば硫酸バリウム(BaSO4)、ビスマス塩、タングステン等が使用されてよい。これらは、その粒子サイズをナノレベルにまで縮小するため、例えば低温粉砕によって特別に処理されてよい。
【0029】
当業者に理解されるように、カテーテルのベース材料を形成するために使用されるマトリックスポリマーは、上述のポリカーボネート系ポリウレタンを含む複数のポリマーのうち任意のものであってよい。例えば、熱可塑性ポリウレタン、例えばポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、およびポリシロキサン系ポリマーが、カテーテルの構造を形成するのに使用されてよい。ポリアミド、例えばポリアミド12、ポリアミド11、ナイロン、およびポリアミド6−12が本発明の他の実施形態で使用されてよい。さらなる他の実施形態において、ポリエーテルブロックアミドエラストマー、例えばPebaxがマトリックス材料として、またはEVA、HDPE、MDPE、LDPE、SBS、およびSIBSを含むポリオレフィンが使用されてよい。本発明による材料を形成するために、上記のポリマーだけでなく他のものも、単独または組み合わせのいずれかで使用されてよいことを当業者は理解するであろう。
【0030】
特定の用途では、2つ以上の添加剤をポリマーマトリックスに含むことが有用であってよい。例えば、ポリマーとナノ粒子間の境界面を改善するために、機能性高分子または添加剤が適用されてよく、これにより材料の強度が増す。さらに、当業者に理解されるように、同じ産物において特定の所望の機械的、熱的、化学的、および生物学的性質を得るために、複数のナノスケールの添加剤の組み合わせがマトリックス材料に導入されてよい。特定の実施形態において、添加剤のうちの1つのみでは得られない相乗効果を得るために、ナノスケールの添加剤がマクロスケールおよびミクロスケールの添加剤と混合されてよい。
【0031】
図13は、カテーテルを形成するためのマトリックス材料への添加剤として使用されてよい原子状ゼオライトナノ粒子の図を示す。この材料の他の形態は、図14に示す4面体ゼオライトと、図15に示す結晶状ゼオライトである。ゼオライトは、アルカリまたはアルカリ土類金属、主にナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムの含水アルミノケイ酸塩の族である。ゼオライトは、全ての頂点で強力に結合した4面体シリカまたはアルミニウムアニオンの三次元結晶骨格を有する。ゼオライトの構造は、実質的に均一な直径の表面細孔を形成する(−Si−O−Al−)結合を含み、不連続な大きさおよび形状の規則的な内部空洞およびチャネルを内包し、これは用いられる特定のゼオライトの化学組成および結晶構造に依存する。
【0032】
各種ゼオライト構造の細孔サイズは、約2〜約4.3オングストロームで、内包される空洞は、金属カチオンおよび水分子の両方を含んでよい。カチオンは格子と緩く結合しており、故にイオン交換を行うことができる。大部分のゼオライト中の水分子は、空洞から可逆的に放出されうる。ゼオライトの構造によって、幅広い化学環境および物理環境においてゼオライトが一貫して各種の機能を果たすことが可能となる。例えば、ゼオライトは選択的に特定の気体分子を吸着することができ、またゼオライトは、それらのマトリックスの化学的または物理学的変化を起こすことなく、水を可逆的に吸着および脱離する能力を有する。ゼオライトはまた、ゼオライト鉱物の特異的な交換選択性に基づき、結晶構造中のカチオンを他のカチオン、例えば、鉛、タリウム、セシウム、またはストロンチウムと交換する能力も有する。
【0033】
吸着の際、異なる大きさの気体分子がゼオライト格子のチャネルを通過することができる。チャネルの大きさに応じ、分子篩として知られるプロセスにおいて、分子が大きさによって分けられる。それぞれのゼオライト鉱物は、特有のイオン交換選択性およびイオン交換能を有する。水分子は、チャネルおよび細孔を通過することができ、これにより、溶液中に存在するカチオンと構造中のカチオンの交換が可能になる。複数の因子、例えば溶液の強度、pH、温度、および溶液中のその他の競合するカチオンの存在がこのプロセスに影響を与える。
【0034】
菱沸石およびシャプチロ沸石は、本発明による添加剤として使用されてよい、ゼオライト族における2つの例示的な鉱物である。この族には、考慮されてよいおよそ48の他の材料が存在する。これらの化合物は、火山灰とアルカリ水との化学反応によってもたらされる。それらのシリカ対アルミニウム比が、菱沸石の約2:1からシャプチロ沸石の約5:1と高いため、これらの鉱物は安定しており、合成ゼオライトよりも酸性溶液中で脱アルミが起こりにくい。
【0035】
ミクロ粒子添加剤を含むポリマー材料の製造では、いくつかの課題が生じる。本発明の一実施形態によれば、製造ステップは、増強用ナノ粒子の含有量が高いポリマーを作製するステップを有し、これは後に純ベースポリマーと混合される。ナノ粒子の含有量が高いポリマーは、有機溶媒中でポリマー溶液を調製することによって製造される。例えばポリウレタン系材料の場合、テトラヒドロフランが調製される。蓋をした瓶の中で攪拌することによって、例えば約45℃〜50℃の温度で溶解を行う。溶解されるポリマーの量は、例えば溶媒重量の約10%〜18%であってよい。さらに、ナノ添加剤を組み込むために、従来の方法、例えば2軸および単軸押し出しも用いてよい。濃縮または直接組み込みも適用できる。
【0036】
攪拌中に、特定の添加剤が溶液に導入されてよい。例えば、UDDおよびカーボンファイバー添加剤は乾燥材料として混合し、フラーレンC60は溶液として混合する。その後、溶液を約3〜5分間室温で攪拌し、予め水平にしたフッ素プラスチック基板上、または例えば、厚さおよそ1mmの延伸セロファンフィルム上に注ぐ。加熱せずに溶液を約24時間乾燥させる。寒冷乾燥後に形成されたフィルムを基板から分離し、濾紙に載せる。次に、IRランプでサンプルを5〜10時間加熱する、または約40℃〜50℃の温度の加熱キャビネット内に5〜10時間静置してもよい。乾燥後、添加剤を含むポリマーの顆粒を集める。
【0037】
カテーテルの製造過程において、ポリマーおよびベース添加剤を含む予め合わせられた材料または添加剤顆粒270の直接の組み合わせが、一次押し出し機264Aで混合され運ばれる。図12は、例示的な押し出し機260を示し、1つ以上の押し出し機264Aが、添加剤、この場合は硫酸バリウムとともに純ポリマー270を、成形金型274を通して押し出す。1つ以上のピストン268が、さらなるポリマーの流れをさらなるナノ粒子272とともに押しこみ、金型の前または金型内で流れ270と混合させ、金型274を通過させる。さらなるポリマーの流れを移動させるピストンリザーバーは、単純なリザーバーであってよい、またはさらなる軸押し出し機264Bまたはその他の伝統的なポリマーまたは処理手段、例えば射出成形ユニットまたはラム押し出し機によって絶え間なく供給されていてよい。顆粒270、272の流れの押し出し速度の適切な比率を選択することによって、最終的な押し出し材料276中の1つ以上の種類のナノ粒子の所望の濃度が得られてよい。
【0038】
特定の実施形態を参照して、より具体的にはカーボンナノ粒子を含む材料からなる造影剤の高圧注入に使用されるPICCカテーテルを参照して本発明を説明した。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の医療用器具および手技に適用可能なその他の実施形態が考案されてよい。PICCカテーテルが、本発明によるナノ粒子を含む材料の唯一の用途ではないことを当業者は理解するであろう。例えば強化材料は、ポリマーステント、ドレナージ器具、薬物送達用の注入カテーテル、および/または心臓、末梢、尿路、および内視鏡用のポリマーステントの製造に使用されてよい。材料のさらなる実施形態は、ミクロカテーテル送達システム、ステント送達システム、薄型ポート、およびPTCA/PTA器具に使用されてよい。PICCのもの以外の本発明に従って製造されたカテーテルは、標準のカテーテル、CVC、および静脈アクセスカテーテルを含んでよい。従って、以下の請求項に記載されるような本発明の最も広い趣旨と範囲から逸脱することなく、実施形態に、特に大きさと材料に関して各種改変および変更が加えられてよい。従って明細書および図面は、限定するものではなく、むしろ例を示すものとして見なされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化ポリマーシャフトを有するカテーテルであって、前記ポリマーは大きさが約6nm未満のナノ粒子を含む、カテーテル。
【請求項2】
前記ナノ粒子はカーボンナノ粒子を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記ナノ粒子は、大きさが4nm〜約6nmの超分散ダイヤモンドを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記超分散ダイヤモンドは、前記シャフトの約0.2%重量を構成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記ナノ粒子は、半径が約0.357nmのフラーレンC60球状粒子を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記フラーレンC60は、前記シャフトの約0.01重量%を構成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記ナノ粒子は、カーボンファイバーで形成される粒子を有する、カテーテル。
【請求項8】
前記カーボンファイバーは、前記シャフトの約1%重量を構成する、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記カーボンナノ粒子は、質量で前記シャフトの約0.1%〜0.5%を構成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記ナノ粒子は、ゼオライトの粒子を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記ゼオライトは、原子状、4面体、および結晶状ゼオライトの1つを有する、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記ゼオライトは、菱沸石およびシャプチロ沸石の1つを有する、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルブロックアミドエラストマー、およびポリオレフィンの1つを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記カテーテルは、末梢穿刺中心静脈カテーテルである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記シャフトは、ベース材料のポリマー顆粒を、前記ベース材料および高濃度の前記ナノ粒子を含む強化ポリマー顆粒とともに押し出すステップによって形成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記ベース材料のポリマー顆粒と強化ポリマー顆粒の比率は、前記ナノ粒子の所望の濃度を得るために選択される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項17】
医療用器具を形成する方法であって、
選択されたポリマーの非強化顆粒を調製するステップと、
前記選択されたポリマーの強化顆粒を調製するステップであって、前記強化顆粒はナノ粒子を含むステップと、
実質的に管状の要素を形成するために、前記非強化顆粒を前記強化顆粒とともに押し出すステップとを有する、方法。
【請求項18】
前記ポリマーを有機溶媒に溶解するステップであって、前記ポリマーは前記溶媒重量の約10%〜18%であるステップと、
前記溶液に高濃度の前記強化用添加剤を導入するステップと、
フィルムを形成するためにポリマーおよび強化用添加剤の前記溶液を乾燥させるステップと、
前記強化顆粒を前記乾燥溶液から回収するステップとによって、
前記強化顆粒を調製するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーを約45℃〜50℃の温度で溶解するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
フラーレンC60を含む強化溶液を前記溶液に導入するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
乾燥状態のカーボンファイバーおよび超分散ダイヤモンドの少なくとも1つを前記溶液に導入するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
ゼオライトおよびキレートナノ粒子の少なくとも1つを含む前記強化顆粒を調製するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記溶液を加熱せずに約24時間乾燥させるステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒を除去するために、前記乾燥溶液を約5〜10時間加熱するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記非強化顆粒および前記強化顆粒を押し出して、PICCのシャフトを形成するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記ナノ粒子の所望の濃度は、約0.01%〜約5%である、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記器具の前記材料中の強化顆粒の所望の濃度を得るために、前記非強化顆粒の押し出し速度は、前記強化顆粒の押し出し速度に対して制御される、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記器具の各種パーツ中の強化顆粒の濃度を変化させるため、前記強化顆粒の押し出し速度は、前記非強化顆粒の押し出し速度に対して時間とともに変化する、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記ナノ粒子の.0を得るために、前記非強化顆粒と前記強化顆粒を選択された比率で混合するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
強化ポリマーシャフトを有するカテーテルであって、前記ポリマーは、大きさが約6nm未満のナノ粒子を含む、カテーテル。
【請求項31】
医療用器具を形成する方法であって、
選択されたポリマーの顆粒を調製するステップと、
前記選択されたポリマーの強化顆粒を調製するステップであって、前記強化顆粒はナノ粒子を含むステップと、
前記ナノ粒子の所望の濃度を得るために、前記顆粒と前記強化顆粒を混合するステップと、
実質的に管状の要素を形成するために、前記顆粒と前記強化顆粒を押し出すステップとを有する、方法。
【請求項1】
強化ポリマーシャフトを有するカテーテルであって、前記ポリマーは大きさが約6nm未満のナノ粒子を含む、カテーテル。
【請求項2】
前記ナノ粒子はカーボンナノ粒子を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記ナノ粒子は、大きさが4nm〜約6nmの超分散ダイヤモンドを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記超分散ダイヤモンドは、前記シャフトの約0.2%重量を構成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記ナノ粒子は、半径が約0.357nmのフラーレンC60球状粒子を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記フラーレンC60は、前記シャフトの約0.01重量%を構成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記ナノ粒子は、カーボンファイバーで形成される粒子を有する、カテーテル。
【請求項8】
前記カーボンファイバーは、前記シャフトの約1%重量を構成する、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記カーボンナノ粒子は、質量で前記シャフトの約0.1%〜0.5%を構成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記ナノ粒子は、ゼオライトの粒子を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記ゼオライトは、原子状、4面体、および結晶状ゼオライトの1つを有する、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記ゼオライトは、菱沸石およびシャプチロ沸石の1つを有する、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルブロックアミドエラストマー、およびポリオレフィンの1つを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記カテーテルは、末梢穿刺中心静脈カテーテルである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記シャフトは、ベース材料のポリマー顆粒を、前記ベース材料および高濃度の前記ナノ粒子を含む強化ポリマー顆粒とともに押し出すステップによって形成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記ベース材料のポリマー顆粒と強化ポリマー顆粒の比率は、前記ナノ粒子の所望の濃度を得るために選択される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項17】
医療用器具を形成する方法であって、
選択されたポリマーの非強化顆粒を調製するステップと、
前記選択されたポリマーの強化顆粒を調製するステップであって、前記強化顆粒はナノ粒子を含むステップと、
実質的に管状の要素を形成するために、前記非強化顆粒を前記強化顆粒とともに押し出すステップとを有する、方法。
【請求項18】
前記ポリマーを有機溶媒に溶解するステップであって、前記ポリマーは前記溶媒重量の約10%〜18%であるステップと、
前記溶液に高濃度の前記強化用添加剤を導入するステップと、
フィルムを形成するためにポリマーおよび強化用添加剤の前記溶液を乾燥させるステップと、
前記強化顆粒を前記乾燥溶液から回収するステップとによって、
前記強化顆粒を調製するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーを約45℃〜50℃の温度で溶解するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
フラーレンC60を含む強化溶液を前記溶液に導入するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
乾燥状態のカーボンファイバーおよび超分散ダイヤモンドの少なくとも1つを前記溶液に導入するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
ゼオライトおよびキレートナノ粒子の少なくとも1つを含む前記強化顆粒を調製するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記溶液を加熱せずに約24時間乾燥させるステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒を除去するために、前記乾燥溶液を約5〜10時間加熱するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記非強化顆粒および前記強化顆粒を押し出して、PICCのシャフトを形成するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記ナノ粒子の所望の濃度は、約0.01%〜約5%である、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記器具の前記材料中の強化顆粒の所望の濃度を得るために、前記非強化顆粒の押し出し速度は、前記強化顆粒の押し出し速度に対して制御される、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記器具の各種パーツ中の強化顆粒の濃度を変化させるため、前記強化顆粒の押し出し速度は、前記非強化顆粒の押し出し速度に対して時間とともに変化する、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記ナノ粒子の.0を得るために、前記非強化顆粒と前記強化顆粒を選択された比率で混合するステップをさらに有する、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
強化ポリマーシャフトを有するカテーテルであって、前記ポリマーは、大きさが約6nm未満のナノ粒子を含む、カテーテル。
【請求項31】
医療用器具を形成する方法であって、
選択されたポリマーの顆粒を調製するステップと、
前記選択されたポリマーの強化顆粒を調製するステップであって、前記強化顆粒はナノ粒子を含むステップと、
前記ナノ粒子の所望の濃度を得るために、前記顆粒と前記強化顆粒を混合するステップと、
実質的に管状の要素を形成するために、前記顆粒と前記強化顆粒を押し出すステップとを有する、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2010−505530(P2010−505530A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531500(P2009−531500)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/073315
【国際公開番号】WO2008/045608
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/073315
【国際公開番号】WO2008/045608
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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