説明

非接触給電システム

【課題】 受電側の状況を識別して電力供給制御を行うことができて、シンプルな構造を有する非接触給電システムを提供する。
【解決手段】 非接触給電装置1は、高周波インバータ回路11から高周波電力を供給された第1のコイルL1が発生する磁束によって、第2のコイルL2に誘起電圧を発生させ、その誘起電圧を電力変換回路21で所定の形態に変換して負荷30に出力している。そして、信号発生装置24は、高周波インバータ回路11の発振周波数の高調波成分の周波数を有する信号を発生しており、信号受信回路12は、非接触受電装置2の有無を検出した信号、及び信号発生装置24が発生する信号を検出した信号を出力し、インバータ制御回路13はこの検出信号に基づいて高周波インバータ回路11の発振を制御している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非接触給電システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯用電子機器や電気自動車、産業機器等への非接触電力伝達技術の採用が広がっている。特に電動歯ブラシや電気シェーバ等の水まわりで使う商品には、この技術が重宝される。電力供給側(給電側)と負荷側(受電側)とを着脱して用いる非接触給電システムにおいて、電力供給側から負荷側に電磁誘導により電力を供給する場合、負荷側が外されているときには電力供給側インバータ回路で用いる発振用のスイッチング素子の発振を停止、または発振強度の低減を行う必要がある。この理由は、負荷がない場合に発振を継続させると、電力供給側の電力損失によりエネルギーの無駄使いになってしまうからであり、また、正しい負荷以外の例えば金属異物が置かれれば、誘導加熱作用により、金属の異常過熱を生じ危険であるからである。さらに、負荷が2次電池等の場合、2次電池がフル充電された時点で充電制御を施す必要がある。
【0003】すなわち非接触電力伝達には「電力供給側が単独の場合での、省エネ制御や金属異物過熱対策のための発振停止または抑制制御」と「正しい負荷が装着された場合での連続給電制御」と「負荷側からの要求に基づく電力伝達制御」の3つの制御が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記3つの制御を全部あるいは一部満たす従来例が、いくつか提案されている。たとえば特開平6−311658号公報で開示された技術がある。これは独立した1対の信号用コイルを、電力供給側と負荷側との1対の電力用コイルとは別途に設け、負荷が装着されると1対の電力用コイルの誘導により負荷に電力が伝達される。そして、この電力を用いて負荷側の制御回路を駆動し、1対の信号用コイルによって制御信号を負荷側から電力供給側に戻して、電力供給側はこの制御信号に基づいて発振動作を制御するものである。
【0005】ところが、この構成は負荷検出および発振制御のための回路が別途必要であり、さらに信号周波数を電力送受のための周波数に対して識別しやすくするために、信号周波数を高くとる必要が生じて信号発生回路が複雑になり、またそれによるノイズ対策強化等でサイズアップやコストアップをもたらすという欠点がある。
【0006】また、特開平11−178249号公報は自励発振の特性を生かし、正帰還ループを電力供給側内部から、一旦負荷側へ出し、再び電力供給側へ戻して、その帰還ループを負荷情報に利用するという極めてシンプルな回路で負荷の検出を行うことができ、省電力化および金属異物過熱防止を行うことができる回路である。さらに、電力周波数と信号周波数とが同一の周波数が使えるためにシンプルな構成で非接触電力伝達を行うことができる。しかし、制御信号が電力用周波数とおなじ周波数の正帰還フイードバック信号であるため、その信号振幅の増幅制御ができず、ノイズマージンが取りにくいという欠点がある。
【0007】本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、受電側の状況を識別して電力供給制御を行うことができて、シンプルな構造を有する非接触給電システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、高周波電力を出力する高周波インバータ回路と、前記高周波インバータ回路を制御するインバータ制御回路と、前記高周波インバータ回路から高周波電力を供給され、磁気結合による給電を行う第1のコイルと、入力信号コイルを有する信号受信回路とを備えて、前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記インバータ制御回路が前記高周波インバータ回路を制御する非接触給電装置と、第1のコイルに対向配置されて磁気結合による受電を行う第2のコイルと、第2のコイルの出力を所定の電気エネルギーに変換するための電力変換回路と、前記高周波インバータ回路の発振周波数の高調波成分の周波数を有する信号を発生する信号発生装置と、前記信号発生装置が発生する信号を制御する2次側制御回路と、前記電力変換回路から電気エネルギーを供給される負荷とを有する非接触受電装置とで構成され、第1のコイルと第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を有し、前記入力信号コイルは、前記非接触受電装置の有無を検出した信号、及び前記信号発生装置が発生する信号を検出した信号を出力することを特徴とする。
【0009】請求項2の発明は、請求項1において、前記信号発生装置は、第3のコイルとコンデンサとからなり、前記高調波成分の周波数の共振周波数を有する共振回路であって、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置された場合に、前記非接触給電装置及び非接触受電装置内の磁場、磁束、あるいは前記非接触受電装置内の電圧または電流情報から取り出した前記高調波成分の周波数の信号を発生させ、前記入力信号コイルは前記高調波成分の周波数の信号を検出し、前記インバータ制御回路は前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記高周波インバータ回路を制御して、前記非接触給電装置から前記非接触受電装置への給電制御を行うことを特徴とする。
【0010】請求項3の発明は、請求項1または2において、前記高調波成分の周波数は、前記高周波インバータ回路の発振周波数の奇数倍の高調波成分の周波数であることを特徴とする。
【0011】請求項4の発明は、請求項3において、前記奇数倍の高調波成分は第3次高調波成分であることを特徴とする。
【0012】請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記電力変換回路は、第2のコイルの出力を半波整流する回路を備えることを特徴とする。
【0013】請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかにおいて、前記信号受信回路は、前記入力信号コイルに接続した共振コンデンサを備え、前記高調波成分の周波数に共振することを特徴とする。
【0014】請求項7の発明は、請求項1乃至6いずれかにおいて、前記入力信号コイルは、差動接続した第4のコイルと第5のコイルとからなることを特徴とする。
【0015】請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれかにおいて、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を要求する場合に、前記信号発生装置の出力が大きくなることを特徴とする。
【0016】請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は前記信号発生装置の出力を低減させることを特徴とする。
【0017】請求項10の発明は、請求項1乃至9いずれかにおいて、前記非接触給電装置が単独で存在する場合に、前記高周波インバータ回路は間欠発振を行うことを特徴とする。
【0018】請求項11の発明は、請求項2乃至10いずれかにおいて、前記高周波インバータ回路は、発振用スイッチング素子と、発振用スイッチング素子の制御端をグランドレベルに接続する自励制御用スイッチング素子とを備えて自励発振を行い、前記インバータ制御回路は、前記自励制御用スイッチング素子の発振を間欠に停止させることで前記発振用スイッチング素子の発振動作を間欠停止させる強制停止回路と、前記入力信号コイルの出力でオンすることにより前記強制停止回路の間欠停止動作を停止させる発振切替用スイッチング素子とを備え、前記非接触給電装置が単独である場合、前記入力信号コイルの出力電圧は前記発振切替用スイッチング素子がオフとなる電圧に維持され、前記強制停止回路が動作して前記発振用スイッチング素子の発振動作を間欠発振に制御し、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を要求する場合、前記信号発生装置は、前記発振用スイッチング素子の発振動作が間欠発振である期間に発生した前記非接触給電装置及び非接触受電装置内の磁場、磁束、あるいは前記非接触受電装置内の電圧または電流情報から取り出した前記高調波成分の周波数の信号で第3のコイルを励磁し、第3のコイルと概略、対向配置されて、第3のコイルで発生した磁束を検出する前記入力信号コイルの出力電圧は前記発振切替用スイッチング素子がオンとなる電圧になり、前記強制停止回路が動作を停止して前記発振用スイッチング素子の発振動作を連続発振に制御し、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合、前記信号発生装置は、前記高調波成分の周波数の信号を低減させて第3のコイルの励磁を抑制し、前記入力信号コイルの出力電圧は前記発振切替用スイッチング素子がオフとなる電圧になり、前記強制停止回路が動作して前記発振用スイッチング素子の発振動作を間欠発振に制御することを特徴とする。
【0019】請求項12の発明は、請求項2乃至11いずれかにおいて、前記非接触受電装置は、第3のコイルとコンデンサとからなる共振回路の少なくとも一部を短絡または開放する補助スイッチング素子を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅、波形のうち少なくとも1つを給電を必要とする場合の周波数、振幅、波形に対して変化させて、前記入力信号コイルは前記信号発生装置が発生した信号を検出し、前記インバータ制御回路は前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記高周波インバータ回路を制御して、前記非接触給電装置から前記非接触受電装置への給電を低減させることを特徴とする。
【0020】請求項13の発明は、請求項2乃至11いずれかにおいて、前記非接触受電装置は、前記信号発生装置以外の内部回路の少なくとも一部を短絡または開放する補助スイッチング素子を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅、波形のうち少なくとも1つを、給電を必要とする場合の周波数、振幅、波形に対して変化させて、前記入力信号コイルは前記信号発生装置が発生した信号を検出し、前記インバータ制御回路は前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記高周波インバータ回路を制御して、前記非接触給電装置から前記非接触受電装置への給電を低減させることを特徴とする請求項2乃至11いずれか記載の非接触給電システム。
【0021】請求項14の発明は、請求項13において、前記非接触受電装置は、第1のコイルが発生する磁束の少なくとも一部が鎖交する補助コイルと、前記補助コイルを短絡または開放する補助スイッチング素子とを備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅のうち少なくとも1つを給電を必要とする場合の周波数、振幅に対して小さくすることを特徴とする。
【0022】請求項15の発明は、請求項12において、前記信号発生装置は、第3のコイルとコンデンサとを並列接続した共振回路からなり、前記並列回路の両端間にダイオードと補助スイッチング素子との直列回路を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合は、前記2次側制御回路が前記補助スイッチング素子をオンさせて、第3のコイルの励磁を抑制することを特徴とする。
【0023】請求項16の発明は、請求項13において、前記非接触受電装置は、第2のコイルを短絡または開放する補助スイッチング素子を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合は、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅のうち少なくとも1つを、給電を必要とする場合の周波数、振幅に対して小さくすることを特徴とする。
【0024】請求項17の発明は、請求項12乃至16いずれかにおいて、前記補助スイッチング素子は一方向に導通する素子であることを特徴とする。
【0025】請求項18の発明は、請求項12乃至17いずれかにおいて、前記補助スイッチング素子に直列接続したコンデンサを備えることを特徴とする。
【0026】請求項19の発明は、請求項12乃至17いずれかにおいて、前記補助スイッチング素子に並列接続したコンデンサを備えることを特徴とする。
【0027】請求項20の発明は、請求項1乃至19いずれかにおいて、第2のコイルと第3のコイルとの磁気結合は疎結合であることを特徴とする。
【0028】請求項21の発明は、請求項1乃至20いずれかにおいて、前記入力信号コイルの出力部に、前記高調波成分の周波数と同じ周波数帯域を検出するフィルタを備えたことを特徴とする。
【0029】請求項22の発明は、請求項1乃至21いずれかにおいて、前記高周波インバータ回路は、第1のコイルの両端間に正弦波状の交番電圧を印加することを特徴とする。
【0030】請求項23の発明は、請求項1乃至22いずれかにおいて、前記高周波インバータ回路は、発振用スイッチング素子と、前記発振用スイッチング素子または第1のコイルに並列接続した共振コンデンサとを備えた一石の電圧共振インバータであることを特徴とする。
【0031】請求項24の発明は、請求項7乃至23いずれかにおいて、前記入力信号コイルを構成する差動接続した第4、第5のコイルと第1のコイルとの磁気結合は疎結合であり、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか一方と第3のコイルとの磁気結合度は、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか他方と第3のコイルとの磁気結合度より大きいことを特徴とする。
【0032】請求項25の発明は、請求項24において、第4,第5のコイルは第1のコイルに対し対称な位置に配置され、第3のコイルは、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか一方に対向して配置されることを特徴とする。
【0033】請求項26の発明は、請求項1において、非接触給電装置から非接触受電装置への給電が行われているとき、第2のコイルの両端電圧、コイル電流は歪んだ波形となり、前記信号発生装置は、第2のコイルの両端電圧、コイル電流に含まれる高調波成分を発生源とした信号を発生することを特徴とする。
【0034】請求項27の発明は、請求項26において、前記入力信号コイルを構成する差動接続した第4、第5のコイルと第1のコイルとの磁気結合は疎結合であり、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか一方と第2のコイルとの磁気結合度は、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか他方と第2のコイルとの磁気結合度より大きいことを特徴とする。
【0035】請求項28の発明は、請求項1乃至27いずれかにおいて、前記信号発生装置は、前記高調波成分の周波数の共振周波数を有する第3のコイルとコンデンサとの共振回路による信号発生手段と、第2のコイルの両端電圧、コイル電流に含まれる高調波成分を発生源とした信号を発生する信号発生手段とを備えることを特徴とする。
【0036】請求項29の発明は、請求項1乃至25,28いずれかにおいて、前記信号発生装置は、第3のコイルに直列接続したインダクタを備えることを特徴とする。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0038】(実施形態1)本実施形態の非接触給電システムのブロック構成図を図1に示す。非接触給電システムは、電力供給を行う非接触給電装置1と、電力を供給される負荷を含む非接触受電装置2とからなり、非接触給電装置1は、高周波電力を出力する高周波インバータ回路11と、高周波インバータ回路11を制御するインバータ制御回路13と、高周波インバータ回路11から高周波電力を供給され、磁気結合による給電を行う第1のコイルL1と、互いに極性を反対にして直列に差動接続した第4のコイルL4、第5のコイルL5からなる入力信号用コイルLsと、第4のコイルL4、第5のコイルL5の差動接続回路の出力を増幅するために差動接続回路の両端間に接続した共振コンデンサC4とを備え、第4のコイルL4、第5のコイルL5、及び共振コンデンサC4は差動共振回路として動作する信号受信回路12を構成している。
【0039】非接触受電装置2は、負荷30を有しており、第1のコイルL1に対向配置されて磁気結合による受電を行う第2のコイルL2と、第2のコイルL2の出力を負荷30へ供給するのに適した出力に変換するための電力変換回路21と、信号受信回路12の入力信号用コイルLsに対向配置された第3のコイルL3と、第3のコイルL3の両端間に接続した共振コンデンサC8と、共振コンデンサC5の両端間に接続したスイッチS2と、スイッチS2のオンオフを制御する信号を出力する2次側制御回路23とを備え、第3のコイルL3と共振コンデンサC8との共振回路は非接触受電装置2からの信号を出力する信号発生装置24を構成している。
【0040】上記のような非接触給電システムは、第1のコイルL1と第2のコイルL2とが分離着脱自在なトランス構造となっており、高周波インバータ回路11から高周波電力を供給された第1のコイルL1が発生する磁束によって、第2のコイルL2には誘起電圧を発生させ、その誘起電圧を電力変換回路21で所定の形態に変換して負荷30に出力している。そして、信号発生装置24は高周波インバータ回路11の発振周波数の高調波と同じ周波数を有する信号を発生し、入力信号コイルLsがこの信号を検出して、インバータ制御回路13はこの検出信号に基づいて高周波インバータ回路11の発振を制御している。
【0041】ここで、第1のコイルL1と入力信号コイルLsとは磁気的に疎結合となるように配置され、また第4のコイルL4と第5のコイルL5とも磁気的に疎結合となるように配置されている。そして、1次側の第4のコイルL4に対向して、2次側には第3のコイルL3が配置されている。磁気的に疎結合であるとは、一方のコイルが作る磁束の全てが他方のコイルに鎖交しない状態であり、例え、磁性体のコアがコイルの軸上にあっても、各コイルを完全に密着して重ねずに軸方向または半径方向に離して配置すれば疎結合になる。
【0042】次に図2に示す具体的な回路構成を用いて、各部の構成について詳細に説明する。まず、非接触給電装置1の高周波インバータ回路11は、自励発振回路であり、直流電源E1とスイッチS1との直列回路に並列接続した抵抗R2とコンデンサC1との直列回路と、共振コンデンサC2と発振用のスイッチング素子FET1と抵抗R1との直列回路と備えており、共振コンデンサC2には第1のコイルL1が並列接続している。抵抗R2とコンデンサC1との接続中点−スイッチング素子FET1のゲート間には、第1のコイルと図示の極性で密結合している帰還コイルL6が接続している。帰還コイルL6を介してコンデンサC1に並列に接続している自励発振制御用のスイッチング素子Tr1は、スイッチング素子FET1の発振を制御する素子である。また、スイッチング素子FET1のソース−スイッチング素子Tr1のベース間には抵抗R3が接続し、スイッチング素子Tr1のベース−エミッタ間にはコンデンサC3が接続している。
【0043】信号受信回路12の構成は図1と同様であり、一方の出力端は、高周波インバータ回路のグランド(直流電源E1の低電圧出力側)に接続している。
【0044】インバータ制御回路13は、高周波インバータ回路11の自励発振制御用のスイッチング素子Tr1をオンオフして、高周波インバータ回路11の発振を連続発振と間欠発振との2通りに制御している回路で、信号受信回路12の他方の出力端に一端を接続したダイオードD3とツェナダイオードZD1と抵抗R7との直列回路の他端は発振切替用のスイッチング素子Tr2のベースに接続している。信号受信回路12の出力端間にはダイオードD3を介してコンデンサC5が接続し、スイッチング素子Tr2のベース−エミッタ間には抵抗R8が接続している。スイッチング素子FET1のドレインは、抵抗R4,R5の直列回路を介してグランドレベルに接続しており、コンデンサC6はダイオードD2を介して抵抗R5に並列接続している。ダイオードD2とコンデンサC6との接続中点は、ダイオードD1と抵抗R3とを介して自励発振制御用のスイッチング素子Tr1のベースに接続しており、さらに抵抗R6を介してトランジスタTr2のコレクタに接続している。ここで、抵抗R4,R5、ダイオードD1,D2、及びコンデンサC6は、スイッチング素子FET1の発振動作を間欠停止させる強制停止回路15を構成している。
【0045】非接触受電装置2の2次側回路21は、第2のコイルL2の出力端間に接続したコンデンサC7と、第2のコイルL2の一方の出力端に直列接続した整流用のダイオードD4とを備えて、第2のコイルL2の誘起電圧を半波整流した出力を負荷である2次電池22に供給しており、2次電池22の両端は2次側制御回路23に接続している。
【0046】第3のコイルL3の両端間には、共振コンデンサC8と、ダイオードD5及び補助スイッチング素子Tr3の直列回路とを接続し、補助スイッチング素子Tr3のベースは2次側制御回路23に接続している。
【0047】次に、スイッチS1がオンになった時点からの発振開始から連続発振に至る過程を、図3に示す波形図を用いて説明する。まず、スイッチS1がオンすると、電圧Ve1を発生する直流電源E1は抵抗R2を介してコンデンサC1を充電する。このとき第1のコイルL1と密結合している帰還コイルL6には、誘起電圧が発生していないため、スイッチング素子FET1のゲート電圧VgはコンデンサC1の電圧Vc1に等しい。ゲート電圧Vgが次第に上昇し、スイッチング素子FET1をオンできる電圧Vgonに達するとスイッチング素子FET1はオンになり、ドレイン電圧Vdは、ほぼゼロ電位になる。この時、第1のコイルL1と並列接続された共振コンデンサC2の両端の共振電圧Vc2は直流電源E1の電源電圧Ve1でチャージされて、第1のコイルL1には、ほぼ単調に増加するコイル電流IL1が流れ始める。
【0048】コイル電流IL1が流れ始めると、第2のコイルL2にはトランスの作用によって誘起電圧が発生する。同様に第1のコイルL1と密結合している帰還コイルL6にも誘起電圧Vf1が発生する。すると、グランドレベルからみたゲート電圧Vgは、Vc1+Vf1となり、急速にスイッチング素子FET1は安定したオン状態となる。
【0049】またコイル電流IL1は、スイッチング素子FET1を通じて抵抗R1に流れるドレイン電流Idとほぼ等しく、時間とともに抵抗R1の電圧Vtr1が増加する。電圧Vtr1が、スイッチング素子Tr1のオンが可能な電圧に達すると、スイッチング素子Tr1はオンし始める。スイッチング素子Tr1がオンし始めると、スイッチング素子FET1のゲート入力容量、及び帰還コイルL6を介したコンデンサC1の容量に蓄積されていた電荷を引き抜きはじめ、電圧Vc1、ゲート電圧Vgは低下し始める。ゲート電圧Vgの低下が進むと、スイッチング素子FET1はオフ状態への移行を開始し、オン抵抗が増加してドレイン電圧Vdは次第に増加していく。
【0050】ドレイン電圧Vdの増加に応じて、共振電圧Vc2も減少し始め、そして帰還コイルL6の誘起電圧Vf1も減少し始めるためゲート電圧Vgはさらに加速して低下する。この結果、急速にスイッチング素子FET1はオフ状態に移行し、電圧Vtr1も減少してスイッチング素子Tr1は再びオフになる。
【0051】また共振電圧Vc2は、共振コンデンサC2と第1のコイルL1との共振作用により正弦波状の電圧となり、コイル電流IL1も正弦波状になる。この間、直流電源E1から抵抗R2を介してコンデンサC1への充電電流は常に流れており、電圧Vc1を再び増加させる。
【0052】共振電圧Vc2が1サイクルの終了間近になると、ドレイン電圧Vdはグランドレベルに近づき、そのときの帰還コイルL6の起電力Vf1と電圧Vc1との和のゲート電圧Vgが、再びスイッチング素子FET1をオンさせる。以降は、前記動作の繰り返しにより発振が継続する。この一連の動作は、非接触受電装置2が非接触給電装置1に対向配置されてない状態、すなわち非接触給電装置1が単独の場合でも、第2のコイルに起電力を生じないこと以外は同様の動作となる。
【0053】しかし、非接触給電装置1が単独の場合には、省エネルギーや金属異物の過熱保護のために高周波インバータ回路11の発振を停止または抑制する必要がある。本実施形態では高周波インバータ回路11の発振を強制停止回路15によって間欠発振とすることでこの役割を果たしている。
【0054】以下、図4に示す各部の波形図により間欠発振動作の制御について説明する。まず、スイッチS1を投入して連続発振が開始するまでは、前記図3での説明と同様である。図2のインバータ制御回路13は、ドレイン電圧Vdを抵抗R4,R5で抵抗分圧し、ダイオードD2を介してコンデンサC6に電荷を蓄積していく積分回路を有している。コンデンサC6の電圧はダイオードD1を介してトランジスタTr1のベース抵抗R3に接続しており、コンデンサC6の電圧が、スイッチング素子Tr1をオンさせることができる入力電圧値とダイオードD1、抵抗R3の各電圧降下との和を超えると、スイッチング素子Tr1がオン状態になる。
【0055】スイッチング素子Tr1がオン状態になると、スイッチング素子FET1のゲート入力容量、及び帰還コイルL6を介したコンデンサC1の容量に蓄積されていた電荷を引き抜く。この時スイッチング素子Tr1のオン時間が長く保持されると、電圧Vc1が、定常発振状態での電圧よりもさらに低下し、直流電源E1から抵抗R2を介してコンデンサC1へ流れる充電電流による電圧回復が定常状態の電圧まで達せず、スイッチング素子FET1はオフ状態を継続することになる。
【0056】したがって、直流電源E1から抵抗R2を介してコンデンサC1へ流れる充電電流のみによる電圧Vc1がスイッチング素子FET1をオンできる入力電圧に達するまで次の発振起動は行われない。すなわちこの動作の繰り返しで安定した間欠発振となる。
【0057】この間欠発振をさせるために重要なことは、まず、高周波インバータ回路11を発振させてから、時間遅延をさせて停止する機能を持っていなければならないことである。理由は高周波インバータ回路11が発振する前にスイッチング素子Tr1がオンになったとすると、永久に発振が停止した状態になるからである。図2の回路での発振停止状態は、ドレイン電圧Vdの電位が電源電圧Ve1になるため、抵抗R4,R5の分圧比を、この発振停止状態ではスイッチング素子Tr1がオンしない値にしておく必要がある。そして発振が開始してからスイッチング素子Tr1がオンできるレベルに達するようにするには、発振によってドレイン電圧Vdが電源電圧Ve1よりも大きくなったときの電圧を利用して、コンデンサC6を徐々に充電していき、適当な時間経過の後、スイッチング素子Tr1がオンできるように抵抗R4,R5の分圧比を設定しておけばよい。上記のように構成することで、図2に示す高周波インバータ回路11とインバータ制御回路13は、非接触給電装置1が単独の場合には、間欠発振を行うことができる。
【0058】ところで、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置されて電力伝達を行わせる必要がある場合には、この間欠発振を確実に停止させる機能が必要となる。間欠発振を確実に停止させる、すなわち連続発振をさせる機能を果たすために、非接触給電装置1から見て正しい負荷であるかどうかを判定する機能が必要であり、この確実な判定を行うために非接触受電装置2から非接触給電装置1に所定の信号を送る方法が考えられ、そこで非接触受電装置2側には高調波共振回路を用いた信号発生装置24が必要となる。以下、この動作について説明する。
【0059】非接触給電装置1では、共振コンデンサC4によって増幅された第4,第5のコイルの差動回路の出力は、ダイオードD3で整流されて、コンデンサC5に充電される。そして、コンデンサC5の充電電圧が、スイッチング素子Tr2をオンさせることができる入力電圧値とツェナダイオードZD1のツェナ電圧と抵抗R7の電圧降下との和を超えると、スイッチング素子Tr2がオン状態になり、抵抗R6を介して接続しているコンデンサC6の電荷を引き抜く。すると、コンデンサC6の積分動作でトランジスタTr1をオンにすることはできず、スイッチング素子FET1の間欠発振を停止して、連続発振にすることができる。
【0060】したがって、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置されて電力伝達を行わせる必要がある場合には、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置されたことを、非接触受電装置2側で検知して、その検知したことを非接触給電装置1に固有の信号で伝えて、連続発振させればよい。
【0061】ここで、信号発生装置24を、使用する分離着脱式トランスの構造や仕様において高周波インバータ回路11の発振周波数の3倍の周波数(第3次高調波成分)に共振するように第3のコイルL3と共振コンデンサC8とを設定しておけば、第1のコイルL1が発生した磁束を信号発生装置24の第3のコイルL3が検出したときに、この磁束を励振源として、第3のコイルL3と共振コンデンサC8との高調波共振回路によって、信号発生装置24の出力振幅を大きくできる。そして、第3のコイルL3は第3次高調波成分の周波数の共振電流によって励磁され、この磁束を入力信号コイルLsが検知して、大きな出力電圧を発生させて発振切替用のスイッチング素子Tr2をオンさせることで、高周波インバータ回路11を連続発振させることができる。
【0062】そして、第4のコイルL4、第5のコイルL5、及び共振コンデンサC4からなる差動共振回路として動作する信号受信回路12を、信号発生装置24で設定したのと同様に第3次高調波成分の周波数に共振して、出力振幅が大きくなるように設定すればより確実な信号検出を行うことができる。
【0063】この信号検出動作の具体的な動作について以下、説明する。非接触給電装置1が単独の場合は、信号受信回路12の入力信号コイルLsは1次側の磁束や磁場の情報を検出する。高周波インバータ回路11が電圧共振型のインバータ回路であれば、第1のコイルL1の電圧や電流は、略正弦波状をしている。したがって、第3次高調波成分は小さく、信号受信回路12はゼロ、または低い電圧を出力する。もし、第3次高調波成分が大きい場合には、信号受信回路12で出力電圧が小さくなるように設定しておけばよい。したがって、スイッチング素子Tr2はオフのままであり、高周波インバータ回路11は間欠発振を継続する。
【0064】次に、非接触受電装置2が非接触給電装置1に概略、対向配置されて給電を必要とする場合には、間欠発振の発振期間に第1のコイルL1で発生した磁束が信号発生装置24の第3のコイルL3にも鎖交し、鎖交した交番磁束は高周波インバータ回路11の発振周波数を有する誘起電圧を第3のコイルL3に発生して、その誘起電圧によって第3のコイルL3と共振コンデンサC8とが直列共振動作を行う。このときの直列共振周波数は、発振周波数(基本波)の3倍、すなわち第3次高調波成分の周波数に設定しているため、第3のコイルL3には第3次高調波成分の周波数の交流電圧が大きく発生し、第3次高調波成分の周波数の交流電流を第3のコイルL3に流す。
【0065】したがって、第3のコイルL3に対向して配置された第4のコイルL4には第3次高調波成分の周波数の交流電圧が誘起し、信号受信回路12は、第3次高調波成分の周波数を有する大きな振幅の電圧を出力し、ダイオードD3,コンデンサC5で整流,平滑した電圧はスイッチング素子Tr2をオンして、高周波インバータ回路11を間欠発振から連続発振動作に切替える。
【0066】さらに、非接触受電装置2が非接触給電装置1に概略、対向配置されて給電を停止する必要がある場合には、2次側制御回路23によって補助スイッチング素子Tr3をオンして、ダイオードD5を介して信号発生装置24の両端を短絡すれば、高調波共振機能を失って、第3のコイルL3の両端に発生する第3次高調波成分の周波数の電圧がゼロまたは低減し、信号受信回路12の出力もゼロ、または低い電圧となって、ダイオードD3,コンデンサC5で整流,平滑した電圧はスイッチング素子Tr2をオフさせて、高周波インバータ回路11は間欠発振となる。この補助スイッチング素子Tr3による短絡は完全に行う必要はなく、周期的に短絡させても十分効果はある。また、信号発生装置24の両端を短絡せずに、信号発生装置24の回路の一部を開放して電流が流れなくすることも高調波共振機能を低減あるいは無くす方法の1つである。本実施形態では、ダイオードD5を介して補助スイッチング素子Tr3によって短絡しているので、交流の1方向のみを短絡しているが、このような1方向のみの短絡でも第3次高調波成分の低減効果は十分である。
【0067】次に、図5は、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置された構造の側面断面図を示しており、分離着脱自在なトランス構造をなしている。この分離着脱式トランスは、磁気抵抗を小さくするために断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコア14,25を備えており、第1のコイルL1は第1のコア14の両端に設けた突部14a,14b間に巻回され、第3、第4のコイルL3,L4は第1のコイルL1を軸方向に挟んで(第1のコイルL1の軸方向に対称に)、突部14a,14b間に巻回され、帰還コイルL6は第1のコイルL1と第5のコイルL5とに軸方向に挟まれて突部14a,14b間に巻回されている。第2のコイルL2は第2のコア25の両端に設けた突部25a,25b間に巻回され、第3のコイルL3は突部25a,25b間の第4のコイルL4に対向する箇所に第2のコイルL2とは軸方向に分離して巻回されている。
【0068】上記のように、自励発振用の帰還コイルL6は、第1のコイルL1が発生する磁束が鎖交するように第1のコイルL1の近傍に配置され、入力信号用コイルLsを構成する第4,第5のコイルL4,L5は、第1のコイルL1が発生する磁束に対して比較的疎結合になるように、第1のコイルL1から離れて配置されている。
【0069】ここでのポイントは、第4,第5のコイルL4,L5は第1のコイルL1に対して磁気的に強く結合しないように配置されることである。その理由は、第4のコイルL4が第3のコイルL3から受けた信号を有効として、大きく出力しなければならないからであり、もし第4,第5のコイルL4,L5と第1のコイルL1とが磁気的に密結合であるならば、第3のコイルL3が発生する磁束信号を受けても、第4,第5のコイルL4,L5の出力変化の大部分は、第1のコイルL1が発生する磁束変化に支配されてしまうからである。
【0070】また、第4,第5のコイルL4,L5は差動接続されており、第4のコイルL4での検出電圧の変化と第5のコイルL5での検出電圧の変化との差を出力して、出力の増幅効果を大きくみせたものである。つまり、第4,第5のコイルL4,L5の各誘起電圧が同じように変化しては効果が無く、一方のコイルのみの検出電圧の変化が必要である。したがって、差動接続された第4,第5のコイルL4,L5は、第3のコイルL3に対して磁気的に結合度の差を設ければよく、第4,第5のコイルL4,L5のうちいずれか一方のコイルと第3のコイルL3との磁気結合が密になるように互いに近くに配置し、他方のコイルと第3のコイルL3との磁気結合は疎になるように配置すればよい。本実施形態では、第4のコイルL4と第3のコイルL3との磁気結合が密になっており、第3のコイルL3は第4のコイルL4に対向する箇所に配置されている。
【0071】このときの第3のコイルL3が発生する磁束100は、第4のコイルL4に多くが鎖交し、第5のコイルL5に鎖交するものは少ない。実際には、第3のコイルL3が発生する磁束100は、第1のコイルL1が発生する磁束や第2のコイルL2に流れる電流によって発生する磁束に重畳されることになるが、前記各コイルの磁気的結合の関係によって、第1のコイルL1,L2が発生する磁束の影響は、差動接続した第4,第5のコイルL4,L5の各出力がお互いに打ち消し合う関係になって、入力信号コイルLsからは出力されない。
【0072】しかし、第3のコイルL3が発生する磁束の変化は、第4のコイルL4のみに多く鎖交して、入力信号コイルLsから大きな出力を生じさせることができる。しかも、本実施形態では、第3のコイルL3が発生する磁束は、高周波インバータ回路11の発振周波数ではなく、第3次高調波成分の周波数であるため、第1のコイルL1の電流の影響や、他のコイルの電流の影響をさらに低減することができる。
【0073】また、第3のコイルL3は第2のコイルL2の電流による磁束の影響を受けやすいが、第2のコイルL2と第3のコイルL3とを疎結合とすることによって、第2のコイルL2の電流による影響を受けずに、高調波成分の周波数の磁束のみを発生することができる。
【0074】次に、図6は、非接触給電装置1が単独の場合の分離着脱式トランスの1次側の側面断面図を示しており、第1のコイルL1は磁束101を発生している。ここで重要なことは、第1のコイルL1を挟んで軸方向に対称に第4,第5のコイルL4,L5が離れて巻回されているので、第1のコイルL1のコイル電流IL1が発生する磁束101による鎖交磁束の変化は、第4,第5のコイルL4,L5ともに同じであり、差動出力はゼロまたは小さい値にすることができる。
【0075】なお、本実施形態においては、信号発生装置24が、高周波インバータ回路11の発振周波数の第3次高調波の周波数の磁束を発生しているが、歪を有する波形は基本波に対して整数倍の高調波を含有しており、いずれの高調波を利用しても同様の効果を得ることができる。特に本実施形態のように波形が交流に近く、直流成分が小さい場合は奇数倍の高調波が支配的であり、これらの奇数倍の高調波を利用することができる。
【0076】ところで、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置された場合で、給電を拒否する場合に、図2に示す非接触給電システムでは信号発生装置24を直接制御して高周波インバータ回路11を間欠発振としているが、図7に示す非接触給電システムのように第2のコイルL2の出力端間にダイオードD8と補助スイッチング素子Tr5との直列回路を接続し、2次側制御回路23からの信号で補助スイッチング素子Tr5をオンすることで第2のコイルL2の出力端間を短絡しても高周波インバータ回路11を間欠発振とすることができる。また図8に示す非接触給電システムのように非接触受電装置2に補助コイルL7と補助コイルL7の両端間に接続した補助スイッチング素子Tr6とを設けて、2次側制御回路23からの信号で補助スイッチング素子Tr6をオンすることで補助コイルL7の出力端間を短絡しても高周波インバータ回路11を間欠発振とすることができる。これは、第2のコイルL2や補助コイルL7を短絡することで第1のコイルL1が発生する磁束を打ち消すように働いて磁束を弱める効果があるため、励振源として第3のコイルL3に鎖交する第1のコイルL1の磁束が弱くなることで信号発生装置24の出力を小さくできるものである。
【0077】また、図9に示すように、第3のコイルL3の両端間に、補助スイッチS3とコンデンサC10との直列回路を接続しても、信号発生装置24の出力を制御できる。これは、補助スイッチS3がオンすることでコンデンサC10が共振コンデンサC8に並列に接続されて、高調波共振周波数を大きく変化させることができ、信号受信回路12で設定している共振周波数からずれることで、信号受信回路12の出力が変化するものである。同様に他のコイルを制御するスイッチング素子に直列あるいは並列にコンデンサを設けて制御しても信号発生装置24の出力を制御できる。
【0078】このように本実施形態の非接触給電システムは、電力の周波数の高調波周波数と同じ周波数の信号を用いて給電状況を識別して電力供給制御を行うことで、回路構成やトランス構造がシンプルになって、全体のシステムのサイズの小型化とコストダウンとを図ることができる。
【0079】なお、図1,図7〜9に示す非接触給電システムでは、信号受信回路12に第3,4のコイルL3,L4と共振コンデンサC4との差動共振回路を用いているが、本願発明の特徴は、信号発生装置24によって特定の高調波周波数の磁束を発生させて、信号受信回路12がこの磁束を検知するものであるから、信号受信回路12は入力信号用コイルLsで検出した信号から特定の高調波周波数の信号を分離するフィルタ機能があればよい。
【0080】(実施形態2)実施形態1では負荷が2次電池22のような定電圧負荷であるが、負荷には定電圧負荷や抵抗負荷等いろいろある。また、交流を直流に変換して負荷に供給するために整流回路や平滑回路は必要であり、実施形態1では2次側の回路は半波整流回路で構成されている。この整流、平滑方式や負荷の種類は非接触給電システムの応用目的で決まり、電動歯ブラシや電気シェーバ等の携帯用電子機器では負荷として2次電池を用い、整流回路としては低コストである半波整流回路をよく用いる。このような2次側回路や負荷を持つ場合には、非接触受電装置2内に信号発生装置24のような高調波周波数の磁束を発生させる回路を設けなくても、例えば第2のコイルL2の電流の波形に高調波成分が多く含まれておれば、その情報を入力信号コイルLsで検出させればよい。図10は実施形態1における第2のコイルL2の両端電圧Vl2波形であり、半波整流用のダイオードD4が導通している期間の電圧V10は2次電池22とダイオードD4の電圧降下との和に略等しい。
【0081】また、第1のコイルL1と第2のコイルL2とは疎結合となっているので、図11の2次側回路の等価回路に示すように、2次側換算の漏れインダクタンスLaが無視できず、第2のコイルL2に誘導された電圧源AC1は直列に挿入されたインダクタンスLaを介して、ダイオードD4、2次電池22の直列回路に接続される。このような回路では誘導された電圧源AC1が正弦波であっても、第2のコイルL2の両端電圧は図10R>0のように正弦波とはかけ離れた波形となり、さらに周期T0は正弦波状に変化している期間T1の約3倍になっている。このことは、電圧Vl2が基本波の3倍の高調波成分(第3次高調波)を多く含んでいることを示している。
【0082】第2のコイルL2の電圧波形が図10のようであれば、第2のコイルL2のコイル電流により発生する磁束成分は分離着脱自在なトランス部全体に強い影響を与えるため、信号受信回路12が第3次高調波の周波数を選択して増幅すれば、非接触給電装置1に非接触受電装置2が概略、対向配置されるだけで高周波インバータ回路11の動作を間欠発振から連続発振に切替えることができる。このとき、実施形態1同様に、高周波インバータ回路11の発振周波数の3倍の周波数(第3次高調波成分)に共振するように第3のコイルL3と共振コンデンサC8とを設定した信号発生装置24を組み合わせれば、より効果的となる。なお、図10に示す第2のコイルL2の電圧波形Vl2は、整流条件や負荷条件等により変化するので、第3次高調波に限らずその時の電圧波形に最も多く含まれる高調波を利用すればよい。
【0083】次に、図12に第2のコイルL2の電圧・電流波形から高調波成分を有効に取り出す分離着脱自在なトランス構造の側面断面図を示し、この分離着脱式トランスは、磁気抵抗を小さくするために断面コの字型の磁性体からなる第1,第2のコア14,25を備えており、第1のコイルL1は第1のコア14の両端に設けた突部14a,14b間に巻回され、第3、第4のコイルL3,L4は第1のコイルL1を軸方向に挟んで(第1のコイルL1の軸方向に対称に)、突部14a,14b間に巻回され、帰還コイルL6は第1のコイルL1と第5のコイルL5とに軸方向に挟まれて突部14a,14b間に巻回されている。第2のコイルL2は第2のコア25の両端に設けた突部25a,25b間に突部25a側に偏倚して巻回されている。
【0084】ここでのポイントは、差動接続した第4,第5のコイルL4,L5を第1のコイルL1と磁気的に疎結合とし、第2のコイルL2と第4のコイルL4との磁気結合度が、第2のコイルL2と第5のコイルL5との磁気結合度よりも大きくなるように構成したことである。
【0085】(実施形態3)図13に示す本実施形態の非接触給電システムは、実施形態1の図2に示す非接触給電システムと略同様であるが、信号発生装置24の構成が異なり、第3のコイルL3に直列にチョークコイルL7を接続し、第3のコイルL3とチョークコイルL7との直列回路に共振コンデンサC8を並列接続した構成となっている。
【0086】このような本実施形態では、第3のコイルL3に直列にチョークコイルL7を接続したことでインダクタンス値を大きくしたもので、スペースの関係等で第3のコイルL3の巻数を大きくできないときは、インダクタンス値が小さいために共振電流が大きくなりすぎて損失熱が無視できなくなる場合がある。このようなときには、第3のコイルL3に、大きなインダクタンス値を有するチョークコイルL7を直列接続して共振回路を構成すれば、共振電流を低減することができる。
【0087】なお、実施形態1,2,3は、「電力供給側が単独の場合での、省エネ制御や金属異物過熱対策のための発振停止または抑制制御」と「正しい負荷が装着された場合での連続給電制御」と「負荷側からの要求に基づく電力伝達制御」の3つの制御を対象にしているが、「電力供給側が単独の場合での、省エネ制御や金属異物過熱対策のための発振停止または抑制制御」と「正しい負荷が装着された場合での連続給電制御」の2つの制御のみを対象にした場合にも適用できる。
【0088】
【発明の効果】請求項1の発明は、高周波電力を出力する高周波インバータ回路と、前記高周波インバータ回路を制御するインバータ制御回路と、前記高周波インバータ回路から高周波電力を供給され、磁気結合による給電を行う第1のコイルと、入力信号コイルを有する信号受信回路とを備えて、前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記インバータ制御回路が前記高周波インバータ回路を制御する非接触給電装置と、第1のコイルに対向配置されて磁気結合による受電を行う第2のコイルと、第2のコイルの出力を所定の電気エネルギーに変換するための電力変換回路と、前記高周波インバータ回路の発振周波数の高調波成分の周波数を有する信号を発生する信号発生装置と、前記信号発生装置が発生する信号を制御する2次側制御回路と、前記電力変換回路から電気エネルギーを供給される負荷とを有する非接触受電装置とで構成され、第1のコイルと第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を有し、前記入力信号コイルは、前記非接触受電装置の有無を検出した信号、及び前記信号発生装置が発生する信号を検出した信号を出力するので、電力の周波数の高調波周波数と同じ周波数の信号を用いて給電状況を識別して電力供給制御を行うことで、回路構成やトランス構造がシンプルになって、全体のシステムのサイズの小型化とコストダウンとを図ることができる。したがって受電側の状況を識別して電力供給制御を行うことができ、且つシンプルな構造を有する非接触電力伝達装置を提供することができるという効果がある。
【0089】請求項2の発明は、請求項1において、前記信号発生装置は、第3のコイルとコンデンサとからなり、前記高調波成分の周波数の共振周波数を有する共振回路であって、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置された場合に、前記非接触給電装置及び非接触受電装置内の磁場、磁束、あるいは前記非接触受電装置内の電圧または電流情報から取り出した前記高調波成分の周波数の信号を発生させ、前記入力信号コイルは前記高調波成分の周波数の信号を検出し、前記インバータ制御回路は前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記高周波インバータ回路を制御して、前記非接触給電装置から前記非接触受電装置への給電制御を行うので、信号発生装置に共振回路を用いて高調波成分の周波数の信号を発生することができるという効果がある。
【0090】請求項3の発明は、請求項1または2において、前記高調波成分の周波数は、前記高周波インバータ回路の発振周波数の奇数倍の高調波成分の周波数であるので、交流に近く、直流成分が小さい波形を発生する装置は、容易に高調波成分の周波数の信号を発生することができるという効果がある。
【0091】請求項4の発明は、請求項3において、前記奇数倍の高調波成分は第3次高調波成分であるので、第2のコイルの出力を半波整流する回路と定電圧負荷とを備えた構成では、容易に高調波成分の周波数の信号を発生することができるという効果がある。
【0092】請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかにおいて、前記電力変換回路は、第2のコイルの出力を半波整流する回路を備えるので、低コスト化を図ることができるという効果がある。
【0093】請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかにおいて、前記信号受信回路は、前記入力信号コイルに接続した共振コンデンサを備え、前記高調波成分の周波数に共振するので、確実な信号検出を行うことができるという効果がある。
【0094】請求項7の発明は、請求項1乃至6いずれかにおいて、前記入力信号コイルは、差動接続した第4のコイルと第5のコイルとからなるので、第4のコイルと第5のコイルとで検出した信号を差動出力して大きくすることができるという効果が有る。
【0095】請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれかにおいて、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を要求する場合に、前記信号発生装置の出力が大きくなるので、受電側の状況を識別することができるという効果がある。
【0096】請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は前記信号発生装置の出力を低減させるので、請求項8と同様の効果を奏する。
【0097】請求項10の発明は、請求項1乃至9いずれかにおいて、前記非接触給電装置が単独で存在する場合に、前記高周波インバータ回路は間欠発振を行うので、省エネルギー化、及び金属異物の過熱対策を図ることができるという効果がある。
【0098】請求項11の発明は、請求項2乃至10いずれかにおいて、前記高周波インバータ回路は、発振用スイッチング素子と、発振用スイッチング素子の制御端をグランドレベルに接続する自励制御用スイッチング素子とを備えて自励発振を行い、前記インバータ制御回路は、前記自励制御用スイッチング素子の発振を間欠に停止させることで前記発振用スイッチング素子の発振動作を間欠停止させる強制停止回路と、前記入力信号コイルの出力でオンすることにより前記強制停止回路の間欠停止動作を停止させる発振切替用スイッチング素子とを備え、前記非接触給電装置が単独である場合、前記入力信号コイルの出力電圧は前記発振切替用スイッチング素子がオフとなる電圧に維持され、前記強制停止回路が動作して前記発振用スイッチング素子の発振動作を間欠発振に制御し、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を要求する場合、前記信号発生装置は、前記発振用スイッチング素子の発振動作が間欠発振である期間に発生した前記非接触給電装置及び非接触受電装置内の磁場、磁束、あるいは前記非接触受電装置内の電圧または電流情報から取り出した前記高調波成分の周波数の信号で第3のコイルを励磁し、第3のコイルと概略、対向配置されて、第3のコイルで発生した磁束を検出する前記入力信号コイルの出力電圧は前記発振切替用スイッチング素子がオンとなる電圧になり、前記強制停止回路が動作を停止して前記発振用スイッチング素子の発振動作を連続発振に制御し、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合、前記信号発生装置は、前記高調波成分の周波数の信号を低減させて第3のコイルの励磁を抑制し、前記入力信号コイルの出力電圧は前記発振切替用スイッチング素子がオフとなる電圧になり、前記強制停止回路が動作して前記発振用スイッチング素子の発振動作を間欠発振に制御するので、非接触給電装置に自励制御インバータを用いて、識別した受電側の状況に応じて連続発振と間欠発振とを切替えることができるという効果がある。
【0099】請求項12の発明は、請求項2乃至11いずれかにおいて、前記非接触受電装置は、第3のコイルとコンデンサとからなる共振回路の少なくとも一部を短絡または開放する補助スイッチング素子を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅、波形のうち少なくとも1つを給電を必要とする場合の周波数、振幅、波形に対して変化させて、前記入力信号コイルは前記信号発生装置が発生した信号を検出し、前記インバータ制御回路は前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記高周波インバータ回路を制御して、前記非接触給電装置から前記非接触受電装置への給電を低減させるので、補助スイッチング素子をオン・オフすることで信号発生装置が発生する信号を変化させて、受電側の状況を識別して電力供給制御を行うことができるという効果がある。
【0100】請求項13の発明は、請求項2乃至11いずれかにおいて、前記非接触受電装置は、前記信号発生装置以外の内部回路の少なくとも一部を短絡または開放する補助スイッチング素子を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅、波形のうち少なくとも1つを、給電を必要とする場合の周波数、振幅、波形に対して変化させて、前記入力信号コイルは前記信号発生装置が発生した信号を検出し、前記インバータ制御回路は前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記高周波インバータ回路を制御して、前記非接触給電装置から前記非接触受電装置への給電を低減させるので、請求項12と同様の効果を奏する。
【0101】請求項14の発明は、請求項13において、前記非接触受電装置は、第1のコイルが発生する磁束の少なくとも一部が鎖交する補助コイルと、前記補助コイルを短絡または開放する補助スイッチング素子とを備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅のうち少なくとも1つを給電を必要とする場合の周波数、振幅に対して小さくするので、請求項12と同様の効果を奏する。
【0102】請求項15の発明は、請求項12において、前記信号発生装置は、第3のコイルとコンデンサとを並列接続した共振回路からなり、前記並列回路の両端間にダイオードと補助スイッチング素子との直列回路を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合は、前記2次側制御回路が前記補助スイッチング素子をオンさせて、第3のコイルの励磁を抑制するので、請求項12と同様の効果を奏する。
【0103】請求項16の発明は、請求項13において、前記非接触受電装置は、第2のコイルを短絡または開放する補助スイッチング素子を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合は、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅のうち少なくとも1つを、給電を必要とする場合の周波数、振幅に対して小さくするので、請求項12と同様の効果を奏する。
【0104】請求項17の発明は、請求項12乃至16いずれかにおいて、前記補助スイッチング素子は一方向に導通する素子であるので、補助スイッチング素子を容易に選定することができるという効果がある。
【0105】請求項18の発明は、請求項12乃至17いずれかにおいて、前記補助スイッチング素子に直列接続したコンデンサを備えるので、補助スイッチング素子をオン・オフすることで、信号発生装置が発生する信号の周波数を大きく変化させて、受電側の状況判別を、より確実に行うことができるという効果がある。
【0106】請求項19の発明は、請求項12乃至17いずれかにおいて、前記補助スイッチング素子に並列接続したコンデンサを備えるので、請求項18と同様の効果を奏する。
【0107】請求項20の発明は、請求項1乃至19いずれかにおいて、第2のコイルと第3のコイルとの磁気結合は疎結合であるので、第2のコイルのコイル電流による影響を受けずに、第3のコイルは磁束を発生することができるという効果がある。
【0108】請求項21の発明は、請求項1乃至20いずれかにおいて、前記入力信号コイルの出力部に、前記高調波成分の周波数と同じ周波数帯域を検出するフィルタを備えたので、確実な信号検出を行うことができるという効果がある。。
【0109】請求項22の発明は、請求項1乃至21いずれかにおいて、前記高周波インバータ回路は、第1のコイルの両端間に正弦波状の交番電圧を印加するので、高周波インバータ回路として電圧共振型のインバータ回路を用いることができるという効果がある。
【0110】請求項23の発明は、請求項1乃至22いずれかにおいて、前記高周波インバータ回路は、発振用スイッチング素子と、前記発振用スイッチング素子または第1のコイルに並列接続した共振コンデンサとを備えた一石の電圧共振インバータであるので、第1のコイルの両端間に正弦波状の交番電圧を印加することができるという効果がある。
【0111】請求項24の発明は、請求項7乃至23いずれかにおいて、前記入力信号コイルを構成する差動接続した第4、第5のコイルと第1のコイルとの磁気結合は疎結合であり、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか一方と第3のコイルとの磁気結合度は、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか他方と第3のコイルとの磁気結合度より大きいので、第4のコイルと第5のコイルとの差動出力を得ることができるという効果がある。
【0112】請求項25の発明は、請求項24において、第4,第5のコイルは第1のコイルに対し対称な位置に配置され、第3のコイルは、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか一方に対向して配置されるので、第4のコイルと第5のコイルとの差動出力に対する第1のコイルで発生する磁束の影響を小さくすることができ、且つ、第3のコイルと第4のコイルとの磁気結合度と、第3のコイルと第5のコイルとの磁気結合度とを異ならせることができるという効果がある。
【0113】請求項26の発明は、請求項1において、非接触給電装置から非接触受電装置への給電が行われているとき、第2のコイルの両端電圧、コイル電流は歪んだ波形となり、前記信号発生装置は、第2のコイルの両端電圧、コイル電流に含まれる高調波成分を発生源とした信号を発生するので、信号発生装置を容易に構成することができるという効果がある。
【0114】請求項27の発明は、請求項26において、前記入力信号コイルを構成する差動接続した第4、第5のコイルと第1のコイルとの磁気結合は疎結合であり、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか一方と第2のコイルとの磁気結合度は、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか他方と第2のコイルとの磁気結合度より大きいので、第2のコイルが発生する磁束による差動出力を得ることができるという効果がある。
【0115】請求項28の発明は、請求項1乃至27いずれかにおいて、前記信号発生装置は、前記高調波成分の周波数の共振周波数を有する第3のコイルとコンデンサとの共振回路による信号発生手段と、第2のコイルの両端電圧、コイル電流に含まれる高調波成分を発生源とした信号を発生する信号発生手段とを備えるので、受電側の状況をより判別しやすい信号を、信号発生装置で発生することができるという効果がある。
【0116】請求項29の発明は、請求項1乃至25,28いずれかにおいて、前記信号発生装置は、第3のコイルに直列接続したインダクタを備えるので、第3のコイルのインダクタンスが小さい場合でも、電流による損失を低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のブロック構成を示す図である。
【図2】同上の第1の回路構成を示す図である。
【図3】同上の起動から連続発振に至る各部の波形を示す図である。
【図4】同上の起動から間欠発振に至る各部の波形を示す図である。
【図5】同上の分離着脱式トランスの構造例を示す側面断面図である。
【図6】同上の分離着脱式トランスの構造例の1次側を示す側面断面図である。
【図7】同上の第2の回路構成を示す図である。
【図8】同上の第3の回路構成を示す図である。
【図9】同上の第4の回路構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態2の第2のコイルの両端電圧波形を示す図である。
【図11】同上の2次側の等価回路を示す図である。
【図12】同上の分離着脱式トランスの構造例を示す側面断面図である。
【図13】本発明の実施形態3の回路構成を示す図である。
【符号の説明】
1 非接触給電装置
2 非接触受電装置
11 高周波インバータ回路
12 信号受信回路
13 インバータ制御回路
21 電力変換回路
23 2次側制御回路
24 信号発生装置
30 負荷
L1〜L5 第1〜第5のコイル
Ls 入力信号用コイル
C4,C8 共振コンデンサ
S2 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 高周波電力を出力する高周波インバータ回路と、前記高周波インバータ回路を制御するインバータ制御回路と、前記高周波インバータ回路から高周波電力を供給され、磁気結合による給電を行う第1のコイルと、入力信号コイルを有する信号受信回路とを備えて、前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記インバータ制御回路が前記高周波インバータ回路を制御する非接触給電装置と、第1のコイルに対向配置されて磁気結合による受電を行う第2のコイルと、第2のコイルの出力を所定の電気エネルギーに変換するための電力変換回路と、前記高周波インバータ回路の発振周波数の高調波成分の周波数を有する信号を発生する信号発生装置と、前記信号発生装置が発生する信号を制御する2次側制御回路と、前記電力変換回路から電気エネルギーを供給される負荷とを有する非接触受電装置とで構成され、第1のコイルと第2のコイルとは互いに分離着脱自在なトランス構造を有し、前記入力信号コイルは、前記非接触受電装置の有無を検出した信号、及び前記信号発生装置が発生する信号を検出した信号を出力することを特徴とする非接触給電システム。
【請求項2】 前記信号発生装置は、第3のコイルとコンデンサとからなり、前記高調波成分の周波数の共振周波数を有する共振回路であって、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置された場合に、前記非接触給電装置及び非接触受電装置内の磁場、磁束、あるいは前記非接触受電装置内の電圧または電流情報から取り出した前記高調波成分の周波数の信号を発生させ、前記入力信号コイルは前記高調波成分の周波数の信号を検出し、前記インバータ制御回路は前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記高周波インバータ回路を制御して、前記非接触給電装置から前記非接触受電装置への給電制御を行うことを特徴とする請求項1記載の非接触給電システム。
【請求項3】 前記高調波成分の周波数は、前記高周波インバータ回路の発振周波数の奇数倍の高調波成分の周波数であることを特徴とする請求項1または2記載の非接触給電システム。
【請求項4】 前記奇数倍の高調波成分は第3次高調波成分であることを特徴とする請求項3記載の非接触給電システム。
【請求項5】 前記電力変換回路は、第2のコイルの出力を半波整流する回路を備えることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項6】 前記信号受信回路は、前記入力信号コイルに接続した共振コンデンサを備え、前記高調波成分の周波数に共振することを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項7】 前記入力信号コイルは、差動接続した第4のコイルと第5のコイルとからなることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項8】 前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を要求する場合に、前記信号発生装置の出力が大きくなることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項9】 前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は前記信号発生装置の出力を低減させることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項10】 前記非接触給電装置が単独で存在する場合に、前記高周波インバータ回路は間欠発振を行うことを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項11】 前記高周波インバータ回路は、発振用スイッチング素子と、発振用スイッチング素子の制御端をグランドレベルに接続する自励制御用スイッチング素子とを備えて自励発振を行い、前記インバータ制御回路は、前記自励制御用スイッチング素子の発振を間欠に停止させることで前記発振用スイッチング素子の発振動作を間欠停止させる強制停止回路と、前記入力信号コイルの出力でオンすることにより前記強制停止回路の間欠停止動作を停止させる発振切替用スイッチング素子とを備え、前記非接触給電装置が単独である場合、前記入力信号コイルの出力電圧は前記発振切替用スイッチング素子がオフとなる電圧に維持され、前記強制停止回路が動作して前記発振用スイッチング素子の発振動作を間欠発振に制御し、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を要求する場合、前記信号発生装置は、前記発振用スイッチング素子の発振動作が間欠発振である期間に発生した前記非接触給電装置及び非接触受電装置内の磁場、磁束、あるいは前記非接触受電装置内の電圧または電流情報から取り出した前記高調波成分の周波数の信号で第3のコイルを励磁し、第3のコイルと概略、対向配置されて、第3のコイルで発生した磁束を検出する前記入力信号コイルの出力電圧は前記発振切替用スイッチング素子がオンとなる電圧になり、前記強制停止回路が動作を停止して前記発振用スイッチング素子の発振動作を連続発振に制御し、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合、前記信号発生装置は、前記高調波成分の周波数の信号を低減させて第3のコイルの励磁を抑制し、前記入力信号コイルの出力電圧は前記発振切替用スイッチング素子がオフとなる電圧になり、前記強制停止回路が動作して前記発振用スイッチング素子の発振動作を間欠発振に制御することを特徴とする請求項2乃至10いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項12】 前記非接触受電装置は、第3のコイルとコンデンサとからなる共振回路の少なくとも一部を短絡または開放する補助スイッチング素子を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅、波形のうち少なくとも1つを給電を必要とする場合の周波数、振幅、波形に対して変化させて、前記入力信号コイルは前記信号発生装置が発生した信号を検出し、前記インバータ制御回路は前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記高周波インバータ回路を制御して、前記非接触給電装置から前記非接触受電装置への給電を低減させることを特徴とする請求項2乃至11いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項13】 前記非接触受電装置は、前記信号発生装置以外の内部回路の少なくとも一部を短絡または開放する補助スイッチング素子を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅、波形のうち少なくとも1つを、給電を必要とする場合の周波数、振幅、波形に対して変化させて、前記入力信号コイルは前記信号発生装置が発生した信号を検出し、前記インバータ制御回路は前記入力信号コイルが検出した信号に基づいて前記高周波インバータ回路を制御して、前記非接触給電装置から前記非接触受電装置への給電を低減させることを特徴とする請求項2乃至11いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項14】 前記非接触受電装置は、第1のコイルが発生する磁束の少なくとも一部が鎖交する補助コイルと、前記補助コイルを短絡または開放する補助スイッチング素子とを備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合に、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅のうち少なくとも1つを給電を必要とする場合の周波数、振幅に対して小さくすることを特徴とする請求項13記載の非接触給電システム。
【請求項15】 前記信号発生装置は、第3のコイルとコンデンサとを並列接続した共振回路からなり、前記並列回路の両端間にダイオードと補助スイッチング素子との直列回路を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合は、前記2次側制御回路が前記補助スイッチング素子をオンさせて、第3のコイルの励磁を抑制することを特徴とする請求項12記載の非接触給電システム。
【請求項16】 前記非接触受電装置は、第2のコイルを短絡または開放する補助スイッチング素子を備え、前記非接触給電装置に前記非接触受電装置が概略、対向配置されて、前記非接触受電装置が給電を拒否する場合は、前記2次側制御回路は、前記補助スイッチング素子を動作させて、前記信号発生装置の共振回路が発生する信号の周波数、振幅のうち少なくとも1つを、給電を必要とする場合の周波数、振幅に対して小さくすることを特徴とする請求項13記載の非接触給電システム。
【請求項17】 前記補助スイッチング素子は一方向に導通する素子であることを特徴とする請求項12乃至16いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項18】 前記補助スイッチング素子に直列接続したコンデンサを備えることを特徴とする請求項12乃至17いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項19】 前記補助スイッチング素子に並列接続したコンデンサを備えることを特徴とする請求項12乃至17いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項20】 第2のコイルと第3のコイルとの磁気結合は疎結合であることを特徴とする請求項1乃至19いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項21】 前記入力信号コイルの出力部に、前記高調波成分の周波数と同じ周波数帯域を検出するフィルタを備えたことを特徴とする請求項1乃至20いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項22】 前記高周波インバータ回路は、第1のコイルの両端間に正弦波状の交番電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至21いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項23】 前記高周波インバータ回路は、発振用スイッチング素子と、前記発振用スイッチング素子または第1のコイルに並列接続した共振コンデンサとを備えた一石の電圧共振インバータであることを特徴とする請求項1乃至22いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項24】 前記入力信号コイルを構成する差動接続した第4、第5のコイルと第1のコイルとの磁気結合は疎結合であり、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか一方と第3のコイルとの磁気結合度は、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか他方と第3のコイルとの磁気結合度より大きいことを特徴とする請求項7乃至23いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項25】 第4,第5のコイルは第1のコイルに対し対称な位置に配置され、第3のコイルは、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか一方に対向して配置されることを特徴とする請求項24記載の非接触給電システム。
【請求項26】 非接触給電装置から非接触受電装置への給電が行われているとき、第2のコイルの両端電圧、コイル電流は歪んだ波形となり、前記信号発生装置は、第2のコイルの両端電圧、コイル電流に含まれる高調波成分を発生源とした信号を発生することを特徴とする請求項1記載の非接触給電システム。
【請求項27】 前記入力信号コイルを構成する差動接続した第4、第5のコイルと第1のコイルとの磁気結合は疎結合であり、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか一方と第2のコイルとの磁気結合度は、第4のコイルと第5のコイルとのうちいずれか他方と第2のコイルとの磁気結合度より大きいことを特徴とする請求項26記載の非接触給電システム。
【請求項28】 前記信号発生装置は、前記高調波成分の周波数の共振周波数を有する第3のコイルとコンデンサとの共振回路による信号発生手段と、第2のコイルの両端電圧、コイル電流に含まれる高調波成分を発生源とした信号を発生する信号発生手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至27いずれか記載の非接触給電システム。
【請求項29】 前記信号発生装置は、第3のコイルに直列接続したインダクタを備えることを特徴とする請求項1乃至25、28いずれか記載の非接触給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2003−284264(P2003−284264A)
【公開日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−86289(P2002−86289)
【出願日】平成14年3月26日(2002.3.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】