説明

頑丈な密封された縁を有するサブパッド

半導体ウエーハ及び他の加工品の化学的機械的研磨及び平面化を含めた、種々の研磨用途で用いるための包まれたベルト及び包まれたパッドが与えられている。それらの包まれたベルト及びパッドは、そのパッド又はベルトの研磨層と、そのパッド又はベルトのサブパッド層の縁との間にある頑丈な密封部を特徴とする。頑丈な密封部は、サブパッド層上に直接重合体を注型することにより達成される。サブパッド層の縁は、そのサブパッド層を注型重合体で覆った時、防水性及び耐スラリー性密封部の形成を促進する一つ以上の機能的特徴を含んでいてもよい。サブパッド層を重合体材料で包むことにより、研磨層とサブパッドの縁領域との間に頑丈な密封部を形成する方法も与えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体研磨を含めた種々の用途で用いられるサブパッド縁の密封を改良することに関する。
【背景技術】
【0002】
珪素ウエーハは、マイクロエレクトロニック半導体部品が製造される前駆物質として製造されている。ウエーハは、円筒状珪素結晶から、その主表面に平行に切断して、典型的には、直径が20〜30cmの薄い円板を形成するようにして得られるが、一層大きい又は小さいウエーハでも可能である。得られたウエーハは、集積回路チップ半導体装置を形成するための標準的リトグラフ及びエッチング法によりエレクトロニック部品を表面に積層するため、平らな平面状の表面を与えるように研磨しなければならない。典型的には、直径20cmのウエーハは、約100以上のマイクロプロセッサーチップを生ずるであろう。
【0003】
設計されるそのような集積チップの大きさは常に減少しつつあり、一方、例えば、珪素表面上にリトグラフにより適用される層の数は増大し、更に一層小さく、益々複雑になるマイクロ回路が製造されつつある。現在の半導体は、8つ以上の金属層が組込まれているのが典型的であり、将来の設計は更に多くの層を含むようになると予想されている。回路の大きさの減少と、適用される層の数の増大のため、チップの製造過程全体に亙って珪素及び半導体ウエーハの円滑性及び平面性に対し更に一層厳しい条件が要求される結果になりつつある。なぜなら、平坦でない表面は、最終的に不完全性及び欠陥を与え、伝導体が狭くなった設計外の抵抗、堆積した伝導体層中に破断を生ずるキャパシタンス/非伝導性間隙、及び絶縁性障壁が破られる設計外の短絡をもたらす結果になり、それらは回路の予定した操作を妨害するか、又は悪化する。
【0004】
半導体チップの製造過程では、半導体ウエーハを研磨する必要があることはよく知られている。この研磨は、化学的機械的法(CMP)により達成されるのが典型的である。一つの標準的CMPウエーハ研磨技術は、積層体、例えば、25枚のウエーハからなるカセットから、頑丈な腕により1枚のウエーハを取り出し、そのウエーハを、大きな回転盤に取付けられた平坦な回転研磨用パッドの上の適所に操作して配置する。頂部のウエーハ保持器は、ウエーハが回転パッド及びそのパッドの表面に適用される化学的・機械的研磨スラリーによって研磨される間、それを適所に保持する。スラリーは、一般に、研磨過程で生ずる摩擦を増大する、例えばアルミニウム又はシリカ研磨剤のような金属又は非金属粒子を含有する水溶液から構成されている。研磨用パッドは、通常ポリウレタンから作られている。これは、レンズ、鏡、及び他の光学的部品を研磨するために用いられている光学的研磨技術を採用したものである。研磨が完了したならば、その堅固な腕によってウエーハを取り出し、最終的リトグラフ堆積及びエッチング工程を行うための別の作業場所へそれを移す。
【0005】
著しく異なった方法は、所謂線状平面化法(Linear Planarization Technology)(LPT)であり、この場合、平らな回転円盤形の研磨用工具の代わりに、ウエーハを研磨するために走行ベルトを用いる。この方法で用いられるベルトは、EP−A−0696495に記載されており、鋼シート又は他の高強度材料のベルトに、接着剤で平らな慣用的ポリウレタン研磨用パッドを付着させたものからなる。回転パッドと同様に、LPT CMP研磨で用いられるパッドは、ベルトの表面上に分布される化学的・機械的研磨スラリーを受ける。
【0006】
上で論じた研磨用パッドは、研磨中、そのパッドのウエーハ表面に対する順応能力を増大するため、圧縮可能なサブパッドが積層されている。パッド又はベルトの研磨層とは異なり、サブパッドは液体吸収性であるのが典型的である。液体(例えば、CMPスラリー)がサブパッドに吸収されると、サブパッドの物理的性質が変化し、それが今度は、サブパッド上に積層された研磨層の研磨性能を変化するか、又は損なう。
【0007】
液体(例えば、CMPスラリー)がサブパッドと接触し、それによりその中へ吸収される一つの一般的経路は、サブパッドの縁を通るものである。これらの縁には、サブパッドの外周に沿った縁のみならず、終点検出のため用いられるような、サブパッド中の内部開口の縁が含まれる。
【0008】
WO 01/15864〔フリーマン(Freeman)その他〕では、サブパッド縁中への液体吸収を阻止する試みが行われており、この場合、サブパッドの縁を熱密封するか、又は圧印加工するか、又はシリコーンゴムのような防水性物質で被覆している。米国特許第6,123,609号明細書(サトウ)では、サブパッドの表面及び縁を、研磨用ウエブで完全に覆い、それを防水性テープで回転円盤に直接取付けている。
【0009】
これらの対策は役には立つが、それらの不利な点及び欠点が無いわけではない。一つの大きな欠点は、これらの対策で用いられる密封部及び/又は接着剤がCMPスラリーによる侵食に曝され、それが密封部を劣化し且つ/又は研磨層を剥離することがあることである。別の欠点は、ベルトの製造業者が予めサブパッドの縁を密封するのではなく、ベルト又はパッドの使用者が、使用場所で密封操作を行わなければならないことである。最後に、従来法の縁密封は、回転ローラーの周りでベルトが引張られた時に、縁密封部が顕著な延伸及び曲げ応力を受ける連続的研磨用ベルトには不適切である。ベルトの応力及び回転速度が大きいことと相俟って過度の曲げ及び延伸は、縁密封材に亀裂及び損傷を与えることになり、それを通ってCMPスラリーがサブパッド中へ入ることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ベルト又はパッドのサブパッドの縁からスラリー又は液体が入るのを防止する処理済み縁を有するベルト又はパッドを与えることである。
【0011】
本発明の目的は、スラリー又は液体がサブパッドの縁と接触するようになるのを防ぐため、サブパッドの縁と研磨層との間に改良された密封部を有するベルト及びパッドを与えることである。本発明の更に別の目的は、サブパッドの縁と研磨層との間に、極端な温度、圧力、及び応力を受けている間、その一体性を維持することができる改良された密封部を与えることにある。
【0012】
本発明の目的は、スラリーがサブパッド中へ侵入するのを防ぐように、サブパッドの縁を頑丈に密封した研磨用ベルト又はパッドを与えることである。
【0013】
本発明の目的は、従来法の研磨用ベルト又はパッドに伴われる最終的使用者にかかる費用及び負担を解消しながら、スラリー又は液体が、ベルト又はパッドのサブパッドの縁と接触するようになるのを防止したベルト又はパッドを与えることである。
【0014】
本発明の目的は、包んだ(encapsulated)サブパッド、継目無し研磨表面、及びあったとしても極めて僅かしか露出されていない密封材料又は接着剤を有するベルト及びパッドで、珪素及び半導体ウエブを研磨するのに用いることができ、サブパッド層中へスラリーが吸収される問題を実質的に解決したベルト及びパッドを与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(本発明の概要)
本発明は、ベルト又はパッドのサブパッド層中へ、そのサブパッドの縁からスラリーが吸収される問題を解決した、従来法のベルト及びパッドの欠点を持たないベルト又はパッドに関する。一般に、本発明は、サブパッドの縁とパッドの研磨層との間に、スラリー又は液体がサブパッドの縁に接触し、その中へ侵入するのを防ぐ弾力性で丈夫な縁密封部を与える。本発明は、装置、処理又は方法、機構又は機器のようなものを含めた数多くのやり方で実施することができることを認めるべきである。本発明の幾つかの発明の態様を下に記述する。
【0016】
この点で、ここで用いられる用語「パッド」とは、円盤、ベルト、及びどのような他の幾何学的形態のものでも指すことに注意すべである。従って、用語「パッド」は、用語「ベルト」又は「円盤」と互換性のある用語として用いられている。更に用語「円盤」とは、パッドの形とは無関係に、一般に回転、移動、又は静止プラテンの上に用いられるどのような研磨用パッドでも指している。換言すれば、回転プラテンの上で用いられる殆どのパッドは、実際には円盤状になっているが、ここで用いられる用語「円盤」は、その形に限定されるものではない。
【0017】
一つの態様として、研磨用パッドは、ウエーハ又は他の加工品を研磨するための研磨表面又は層を有する。研磨表面は、重合体材料から構成されている。研磨用パッドの研磨表面は、研磨中のウエーハ表面にパッドが順応する能力を増大するため、圧縮可能なサブパッドを包んでいる。研磨層は、サブパッドの縁を含めたサブパッドの上に直接注型され、それによりサブパッドの縁を効果的に密封するようにサブパッドの縁を飽和している。
【0018】
別の態様として、研磨用パッドは、ウエーハ又は他の加工品を研磨するための研磨表面を有する。研磨表面は、重合体材料から構成されている。研磨用パッドの研磨表面は、研磨中のウエーハ表面にパッドが順応する能力を増大する圧縮可能なサブパッドを包んでいる。研磨層をサブパッドの上に注型する前に、サブパッドの縁をトリミングし、サブパッドの厚さが縁の所で減少し、研磨層がサブパッドの縁に完全に侵入し、飽和することができるようにしている。
【0019】
更に別の態様として、研磨用パッドは、ウエーハ又は他の加工品を研磨するための研磨表面を有する。研磨表面は、重合体材料から構成されている。研磨用パッドの研磨表面は、研磨中のウエーハ表面にパッドが順応する能力を増大する圧縮可能なサブパッドを包んでいる。研磨層をサブパッドの上に注型する前に、サブパッドの縁を密封材又は接着剤で被覆し、その密封材又は接着剤が、サブパッドの縁中へ広い範囲に亙って吸収されるようにする。密封材又は接着剤を含むサブパッドの縁は、研磨層との強い結合を形成し、それによりサブパッドの縁と研磨層との間に、CMP研磨に伴われる極端な温度、圧力、及び応力に対し抵抗性を有する改良された密封部を与える。
【0020】
別の態様として、研磨用パッドは、ウエーハ又は他の加工品を研磨するための研磨表面を有する。研磨表面は、重合体材料から構成されている。研磨用パッドの研磨表面は、研磨中のウエーハ表面にパッドが順応する能力を増大する圧縮可能なサブパッドを包んでいる。研磨層をサブパッド上に直接注型する前に、サブパッドの縁を熱密封し、スラリー又は他の外部成分に対し不透過性の改良された密封部を与える。
【0021】
別の態様として、研磨用パッドは、ウエーハ又は他の加工品を研磨するための研磨表面を有する。研磨表面は、重合体材料から構成されている。研磨用パッドの研磨表面は、研磨中のウエーハ表面にパッドが順応する能力を増大する圧縮可能なサブパッドを包んでいる。サブパッドの縁から或る距離の所にトレンチを形成し、サブパッドの縁の所に複数の障壁を形成する。研磨層をサブパッド及びトレンチの上に注型し、化学的スラリーがサブパッドの縁を通ってサブパッド中へ入るのを防ぐ複数の障壁を有する効果的密封部を形成する。別の態様として、複数の障壁を形成するため、サブパッドの複数から或る距離の所に別々の帯状材料を配置してもよい。
【0022】
本発明の利点は数多くある。最も顕著なのは、サブパッドと研磨層との間に、サブパッドの厚みをトリミングするか、或は密封材又は接着剤を適用するか、或は熱密封するか、或は研磨層を注型する前に複数の障壁を形成するか、或はそれらの全ての組合せにより、一層頑丈な密封部を形成することにより、スラリーがサブパッドの縁に接触し、それを通ってサブパッド中へ吸収されるのを防止していることである。密封部は頑丈であり、従ってそれはパッドの寿命に亙って存続し、その間、パッドが過剰の曲げ又は延伸を受けた時でも、パッドの寿命全体に亙って安定な性能を与える。このことは、今度は、サブパッドの縁を再密封するか、又はサブパッドを完全に全て置換する必要性を無くすことにより、時間を節約し、その寿命に亙るパッドのコストを減少する結果になる。更に、一貫した頑丈なやり方で製造時にサブパッドを密封することは、効率的なやり方でパッドを効果的に密封する設備又は装置を屡々もたない最終的ユーザーの負担を解消する。
【0023】
本発明の態様及び利点は、本発明の原理を例として例示した図面に関連して記載する次の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0024】
本発明は、図面に関連した次の詳細な記述により容易に理解されるであろう。この記載をし易くするため、同じ構造部材は同じ参照番号で示してある。
【0025】
態様の例についての記述
本発明によるパッドは、例えば、半導体を製造する場合のような、種々の研磨工程のいずれにおいても、どのような種類の材料又は層でも研磨するのに用いることができる。研磨される典型的な材料には、珪素、二酸化珪素、銅、タングステン、及びアルミニウムが含まれるが、それらに限定されるものではない。研磨用パッドは、或る材料を研磨するが、他の材料は研磨しないか、或は異なった材料を同じ速度で研磨するか、或はある特定の種類のスラリー及び溶液を用いた場合に有効であるように、選択的に研磨するように設計してもよい。本発明のパッドは、特に珪素及び半導体ウエーハ、ハードディスク等のような電子加工品を化学的・機械的研磨するのに適しているが、本発明のパッド及びベルトは、他の基体を研磨するのにも用いることができ、例えば、光学的に平坦なもの及び鏡を研磨及び平面化するのに用いることができる。更に、本発明のパッドは、医薬、化学、及び食品工業のような他の工業に適用することもできる。
【0026】
図1は、本発明のパッドの断面図を描いたものである。パッドは、支持体材料として働く基体1を含んでおり、この態様の場合、それは適当な機械的強度又は性質を有するステンレス鋼ベルト又は他の材料(例えば、プラスチック、エラストマー等)から作られたベルトである。パッドはサブパッド層2も含み、それは圧縮可能であるのが好ましく、場合により接着剤層4により基体1に結合されている。サブパッド層2を、場合により基体1に結合するのに感圧性接着剤のようなどのような適当な接着剤を用いてもよい。例えば、アベリー・デニソン社(Avery Dennison Corporation)(カリフォルニア州パサデナ)により販売されているUHA8791を用いてサブパッド2を基体1へ接着してもよい。例として、トーマス・ウエスト社(Thomas West, Inc.)(カリフォルニア州サニーベール)からの817サブパッド材料のように、多くの市販サブパッドには、適当な研磨材裏打が施されている。最終的に、この態様の研磨用パッドは、サブパッド層2の上に直接注型した重合体を含む研磨層3を含む。
【0027】
次に基体1に注目して、基体1は操作中、ベルトを回転する機械的ローラーに接触しているので、基体1はステンレス鋼又は他の適当な材料のような耐久性のある材料を含むのが好ましく、ステンレス鋼が特に好ましい。例えば、基体1は、織った金属メッシュ又は有孔金属シートを含んでいてもよく、ベルトの空隙は、研磨層3と基体1との間の結合強度を改良するため、重合体材料のリベット又は充填剤によって占められていてもよい。基体1は、研磨中のウエーハの潜在的汚染又は損傷を回避するため、重合体によって完全に包まれていてもよい。基体1自身は、複数の層を含んでいてもよいことは認められるべきである。
【0028】
基体1は、典型的には、循環ベルトの内側周囲として測定して、長さが1.5〜4m(屡々1.5〜3m)、幅が0.1〜1.0m(屡々0.2〜0.6m)、厚さが0.005〜0.100インチ(最も好ましくは0.010〜0.030インチ)である。基体1及び研磨装置の機械部分を保護するため、基体1の内側表面に線状ポリエチレン材料のような保護材料の付加的層を固定してもよい。
【0029】
サブパッド層2は、どのような適当な材料を含んでいてもよい。それは、研磨中、ウエーハ表面に順応するパッドの能力を増大する圧縮可能な材料を含むのが好ましい。サブパッド層2に適した材料は当分野でよく知られており、発泡重合体、及びどのような種類の繊維からでも、充填剤及び含浸剤を用いて又は用いずに作られた不織材料が含まれる。サブパッド材料は圧縮可能であるか、又は比較的低い硬度測定値(ショアーA硬度スケール内に入る値)を示すのが典型的である。サブパッド層2は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、フルオロポリマー、木綿、ウール、及びそれらの組合せを含めた不織合成及び天然繊維のような不織材料を含んでいるのが好ましい。例として、サブパッド層2として用いるのに適した材料は、ローデル社(Rodel, Inc.)(デラウエア州ニューワーク)により商標名サバイブ(SUBAIV)として販売されている。機械的固定相互作用を最大にするため、滑らかであるよりも粗面化された(textured)表面形態を有するサブパッドを用いてもよい。例えば、サブパッドの縁を含めたサブパッドの外側層は露出した繊維を含んでいてもよく、それは、サブパッドと、そのサブパッド上に注型された研磨層との間の機械的結合を増大する。別法として、又は付加的に、サブパッドの表面は(例えば、バフ掛け、成形、圧印加工、切削、傷付け等により)結合を増大し易くする粗面を追加するように修正してもよい。
【0030】
一つの連続した物品又は不連続的断片の組合せでもよいサブパッド層2の典型的な大きさを、ベルトの他の部材と比較して相対的な形状で図1に示してある。サブパッド2の幅は、基体1の幅よりも小さいのが典型的である。換言すれば、典型的な構成として、サブパッド2が基体1の上にある時、基体1の一部分はサブパッド層2の周辺境界を越えて伸びている。図1のパッドは長手方向に連続したループになっているので、サブパッド層2の(その内側周囲に沿って測定した)長さは、基体1の(その外側周囲に沿って測定した)長さに実質的に等しい。図1にも示されているように、サブパッド層2の垂直の縁は、典型的には、サブパッドの水平表面に対し直角になっている。その形が必ずしも特別に好ましいと言うわけではないが、そのようなサブパッドが市販されており、簡単に使用することができる。
【0031】
研磨層3は、サブパッド層2の上に注型した一種類以上の重合体の混合物を含む。重合体混合物はポリウレタンを含むのが好ましい。研磨層は非空隙物でもよく、或は空隙を含んでいてもよい。空隙は、中空マイクロエレメント(microelement)を使用するか、種々の発泡方法を用いるか、又は粒子を焼結して研磨層を形成するような適当な方法により作ることができる。一番上の層は、どのような希望の堅さを持っていてもよい。異なった研磨用途で異なった研磨性能を達成するため、異なった硬度を用いる。一般に用いられる一番上の層は、ショアーD範囲の硬度を有する。最も一般的には45〜85Dの範囲にある。一層一般的には50〜75Dの範囲にある。しかし、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネートを含めたどのような熱硬化性重合体材料でも用いることができるが、それらに限定されるものではない。更に、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂及びゴムを含めた全ゆる重合可能材料を、同様に用いることができると考えられる。
【0032】
剥離しにくく、CMPスラリーに対し不透過性の継目の無い研磨層を形成するように、サブパッド2を研磨層3で被覆する好ましい方法は注型である。注型は、型を硬化可能流体で満たすことを含む。硬化可能流体は、一種類以上の反応性分子(例えば、プレポリマー、単量体、樹脂、オリゴマー等)及び場合により一種類以上の反応開始剤(例えば、重合開始剤、加硫剤、触媒、硬化剤等)を含む。別法として、反応は、最初に光及び/又は熱を用いてもよい。場合により反応性分子及び反応開始剤は、適当な溶媒中に溶解してもよい。一種類以上の反応性分子を含む硬化可能流体は、反応の開始時に屡々希望の流動性及び被覆性の特性を有するのみならず、完全に反応した時に希望の堅固性、耐久性、及び無継目性を有するであろう。硬化可能流体は、場合により、一種類以上の非反応性分子を含んでいてもよい。例えば、重合体は、適当な溶媒中に懸濁又は溶解されていてもよい。注型法は、継目無し研磨層3を与える結果になり、それは最適の研磨性能を与えるように修正することができる。例えば、研磨層3は、部分的に融合した重合体粒子、又は異なった融点を有する二種類以上の熱可塑性重合体の少なくとも一つの層を含んでいてもよい。研磨層3には研磨材粒子又は繊維を添加してもよい。更に、研磨表面はミクロ又はマクロな粗面化、溝、又は不連続部を持っていてもよい。それは、硬質及び軟質の重合体領域を持っていてもよく、或は透明及び不透明の材料領域を持っていてもよく、或は凹凸形状の領域を持っていてもよい。それは、研磨過程中の湿潤スラリー及び発生した削られた粒子を分配除去し、ハイドロプレーニング(hydroplaning)を減少し、研磨層とウエーハとの間の接触を一層一貫したものにするため、溝(例えば、ベルトの走行方向か、又はベルトの幅を横切る方向に伸びる溝)が形成されていてもよい。もし望むならば、一つ以上の高圧ジェット水、回転微細ブラシ、又は硬質非金属(例えば、セラミック)尖筆(stylus)(それらに限定されるものではない)を使用することを含めたどのような適当な方法でも、それらを用いてスラリーを溝から除去することができる。
【0033】
硬化可能材料は、サブパッド2及び基体1の入った型中に、その型の頂部開口から、又は底及び/又は側面にある注入点を通って注入するのが典型的である。理想的には、サブパッド2及び基体1の全ての表面に硬化可能流体が均一に適合される注型方法を用いる。更に、硬化可能流体の性質(例えば、組成、温度等)を、サブパッドへそれを適用している時間中に、確実に、粘度が実質的に上昇しないように修正してもよい。ウレタンの場合、硬化可能材料は、約1〜20分で熱い型中で固体に固化するのが典型的であろう。注型したものを型から取り出し、時には炉中の保持環上に(その形を維持するため)置き、予め定められた時間(典型的には、ウレタンの場合16〜24時間)完全に硬化し、然る後、旋盤加工、研磨、溝付け、終点検出、穿孔、及び他のトリミング及び積層工程のような二次的機械加工工程に通して送る。
【0034】
本発明の注型ベルトは、接着、積層等によって基体上に重合体層を被覆した従来法のベルトとは著しく異なっていることに注意すべきである。それらの非注型法とは対照的に、注型は研磨層3を基体1及びサブパッド2と結合させ、研磨用パッドの連続的外側表面を創り出し、サブパッド3を水の侵入に対し完全に包み、実質的に密封する。更に、基体1及びサブパッド2の上に直接注型することにより、研磨層が、ベルトの一体性を破壊することなくサブパッド2から研磨層3を剥離することができなくなる程度まで、剥離に対し抵抗性を持つようになる。
【0035】
図1は、ポリウレタン材料をサブパッド2上に直接注型した研磨用パッドの断面図である。結局、サブパッド2上に注型したポリウレタン研磨材料3が、サブパッドの縁領域5を包み、それによりサブパッド2をCMPスラリーによる劣化から保護する効果的な頑丈な耐スラリー性密封部を与える。更に、サブパッドの縁領域5上に直接注型することにより形成された頑丈な密封部は、CMP研磨、特にLPT CMP研磨に伴われる曲げ及び延伸に耐えることができる。
【0036】
図2は、基体1、圧縮可能なサブパッド2、研磨層3、及び場合によりサブパッド2を基体1へ結合する接着剤層4を含む研磨用ベルトを示している。図2のサブパッドの縁は、サブパッドの厚さが縁の近辺で減少するようにトリミングされている。サブパッド層2の縁領域5は、注型前に、例えばその構成材料を削って除去することにより修正するか、又は予め修正されたサブパッド層2を、別の供給業者から入手して、次にその上に重合体を注型してもよい。除去される材料の量は、実質的に0から実質的に全てまでのどのような量でもよい。例えば、一つの極端な場合として、サブパッド層2の縁領域5及び/又は基体1の接触部分(即ち、研磨層が基体と接触する所)を単に切除、傷付け、及び/又は穿孔してもよい。別の極端な場合として、縁領域5から構成材料の実質的に全てを除去し、場合により存在する接着剤層4の上に構成材料を実質的に残さないようにしてもよい。構成材料は、例えば、ドレメル(dremel)を用いて実質的に無作為的な仕方で除去し、縁領域5に一貫した形を与えないようにするか、又は材料を、例えばコンピューター数値制御機を用いて系統的に除去し、サブパッド2に連続的な統一された形を与えるようにしてもよい。一つの態様として、サブパッドの縁から0.100〜0.5インチ(好ましくは0.25インチ)伸びる縁領域5の厚さは、接着剤の上に0〜0.020インチ(好ましくは0.005インチ)の厚さに減少させる。場合により、接着剤層4及び/又はサブパッド縁領域5は、部分的に埋込まれ、部分的に露出した繊維11を含み、研磨層3を機械的に固定するようにしてもよい。
【0037】
図2は、実質的に平坦で直角の表面を有するように縁領域5を描いているが、包まれたベルトの密封性能を改良するため、縁領域5の特定の幾何学的形態を達成する必要はない。実際、縁領域5を形成する方法は、典型的にはサブパッド層の切除、削除、及び剥離を含むので、正確な幾何学的形態は、潜在的に達成するのが困難である。更に、サブパッド層2の縁領域3への重合体の希望の接着及び侵入は、実際、縁領域5の不均一な表面組織により助長されるであろう。
【0038】
サブパッド縁の厚さの減少は、ポリウレタンの部分的又は完全なサブパッド中への侵入を促進する。研磨層を有するサブパッドの縁の部分的又は完全な飽和は、サブパッド層2を水及びスラリーの侵入に対し実質的に密封するポリウレタンによるサブパッド縁の完全な包み込みを与える結果になる。サブパッドの縁は、CMPスラリーに対し露出されないので、CMPスラリーにより侵食又は劣化されるはずはない。
【0039】
図3は、本発明のベルトの別の態様の断面図を描いたものである。この図では、基体1、サブパッド層2、研磨層3、及び場合により接着剤層4は、前に記載したのと同様である。但し、サブパッド層2が、重合体をサブパッド層2の上に注型した時、防湿又は防水性密封部の形成を促進するように、付加的機能的特徴を有する。特に、サブパッド層2の縁領域5が傾斜した構造を有し、縁領域5の厚さが内側領域7から外周の縁の方へ徐々に減少するようになっている。図3のサブパッド層2の傾斜した縁の表面積の増大は、垂直な縁のサブパッドと比較して、注型中に研磨層が結合できるサブパッド縁の面積を一層広くする。その結果、研磨層とサブパッド縁との間に一層強く、一層頑丈な密封部が形成され、それがCMP研磨スラリーに対する一層大きな保護を与える。図3は、傾斜した構造を有するサブパッド縁を描いているが、他の形の縁領域5を用いて、サブパッド縁の表面積を増大し、サブパッドの縁と研磨層との間の密封部を改良することができる。
【0040】
前の態様の場合と同じように、研磨層3はサブパッド層2と結合し、水の侵入に対しサブパッド縁領域5を完全に包み込み、実質的に密封し、CMPスラリーがサブパッドと接触するのを防止している包まれたベルトの連続的外側表面を含む。本発明の頑丈な密封部は、サブパッド縁領域5を、研磨層3が基体1に特に充分結合していない場合でも、水及びスラリーの侵入から保護している。結局、サブパッドは、CMPスラリーによって侵食又は劣化されることはない。
【0041】
図4に包まれたベルトの別の態様が断面で示されている。この態様では、基体1、サブパッド層2、研磨層3、及び場合により接着剤層4は、前に記載したのと同じである。但し、サブパッド層2は、重合体混合物がサブパッド層2の上に注型された時、防水性密封部の形成を促進する付加的機能の特徴を有する。特に、サブパッド層2の縁領域5は、サブパッド層2の上に重合体混合物を注型する前に、接着剤12又は密封材で被覆されている。ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、メタクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、スチレン系接着剤、及びゴム系接着剤(それらに限定されるものではない)を含めたどのような適当な接着剤でも用いることができるが、ウレタン系及びアクリル系接着剤が好ましい。例として、適当なポリウレタン接着剤には、デラ社(DELA, Inc.)(マサチューセッツ州ワードヒル)から入手できるD2596H接着剤及びD2597架橋剤が含まれる。ロード社(Lord Corporation)(ノースカロライナ州ケリー)から入手できるシェムロック(登録商標名)213は、適当なアクリル接着剤の例である。上記接着剤に加えて、又はその代わりに、サブパッド層2を、ホットメルト、接触セメント、嫌気性化合物、UV硬化剤、エマルジョン〔例えば、ホワイトグルー(White glue)〕、密封材(例えば、シリコーン、アクリル、ウレタン、ブチル、及びポリスルフィド)、変性フェノール化合物、プラスチゾル(例えば、変性PVC分散物)、ポリ酢酸ビニル、特別な接着剤(例えば、感圧性接着剤、自然凝集性密封材、熱密封材、フォーム(foam)、及び織物密封材)の一種類以上により被覆してもよい。接着剤又は結合用化合物は、適当なやり方で、例えば刷毛塗り、浸漬、又はスプレーにより適用することができる。接着剤はサブパッド層中へ侵入するのが好ましい。図4は、サブパッド層2の水平表面に対し直角な垂直縁を有するサブパッドを例示しているが、どのような適当な幾何学形態の縁領域5を用いてもよい(例えば、図2及び3に関連して上で述べたようなもの)。
【0042】
前の態様の場合のように、研磨層3は、サブパッド層2と結合し、ベルトの連続的外側表面を含み、それは、水の侵入に対しサブパッドの縁を完全に包み込み、実質的に密封し、CMPスラリーがサブパッドと接触し、劣化を起こすのを防止している。本発明の頑丈な密封部は、サブパッド縁領域5を、研磨層3が基体1に特に充分結合していない場合でも、水及びスラリーの侵入から保護している。結局、サブパッドは、CMPスラリーによって侵食又は劣化されることはない。
【0043】
前に記述した方法を、図4に例示したベルトを製造するのに用いることができる。例えば、サブパッド層2の縁領域5は、例えば、構成材料を切断除去し、次にそれを接着剤12で被覆し、然る後、注型することにより修正することができる。別法として、予め修正したサブパッド層2を別の供給業者から得、次に接着剤12で被覆し、然る後、注型することができる。
【0044】
図5は、本発明の別の態様を断面で描いたものである。この態様では、基体1、サブパッド層2、研磨層3、及び場合により接着剤層4は、前に記載したのと同じである。但し、サブパッド層2は、研磨層3がサブパッド層2の上に注型された時、防水性密封部の形成を促進する付加的機能的特徴を有する。特に、サブパッド層の各縁領域5は、サブパッド層2の上に重合体混合物を注型した時に防水性密封部の形成を促進するため、熱密封されるか、又は圧印加工する。サブパッド層2の縁領域5は、注型する前に熱密封するか、又は予め修正した(即ち、既に熱密封した)サブパッド層2を、別の供給業者から得、次に重合体を上に注型することができる。図5に描いたように、密封部は、サブパッド層2の外周縁に沿って直接縁領域5に形成してもよい。別法として、密封部は、特注熱密封材又は回転熱密封材をサブパッドに、その縁領域から適当な距離の所に適用することにより、サブパッド層2の外周縁から内側の縁領域5中に配置してもよい。例として、約0.05〜0.5インチ(好ましくは0.25インチ)の幅を有する密封部を、サブパッド層2の外周縁から約0.1〜1インチ内側の所に配置することができるであろう。
【0045】
前の態様の場合と同じように、研磨層3は、サブパッド層2と結合し、包まれたベルトの連続的外側表面を含み、それは、水の侵入に対しサブパッドの縁を完全に包み込み、実質的に密封し、CMPスラリーがサブパッドと接触し、ベルトが劣化を起こすのを防止している。本発明の頑丈な密封部は、サブパッド縁領域5を、研磨層3が基体1に特に充分結合していない場合でも、水及びスラリーの侵入から保護している。結局、サブパッドは、CMPスラリーによって侵食又は劣化されることはない。
【0046】
図6Aには、ベルトの別の態様が断面で示されている。前の態様の場合と同じように、基体1、サブパッド層2、研磨層3、及び場合により接着剤層4は、前に記載したのと同じである。但し、サブパッド層2は、重合体混合物がサブパッド層2の上に注型された時、防水性密封部の形成を促進する付加的機能的特徴を有する。特に、サブパッド層2の各縁領域5は、サブパッド層2の外周縁に隣接して通る溝10を含み、この場合、サブパッド材料は溝10から完全に除去され、二つのサブパッド領域を形成している。外側サブパッド領域8は、或る距離を隔てて内側サブパッド領域9と近接している。外側領域8は、内側サブパッド領域9のための障壁を形成し、内側サブパッド領域9のみならず全サブパッド層2を、サブパッド層2の上に注型された外側研磨層3を透過する全てのCMPスラリーから保護する。例えば、研磨層3によって包み込まれたサブパッド領域8は、スラリーに対する第一防壁として働くであろう。外側サブパッド領域8を包む研磨層が不完全であるため、幾らかのスラリーが外側サブパッド領域8を透過できるような場合でも、内側サブパッド領域9を包む研磨層の不完全箇所が、外側サブパッド領域8を包む研磨層の不完全箇所と平行に位置していることは起きにくいので、サブパッド領域9を取り巻く研磨層が不完全な箇所を含む場合でも、スラリーが内側サブパッド領域9中へ侵入することは起きにくいであろう。更に、スラリーが外側サブパッド領域8を通過する場合でも、それが内側サブパッド領域9へ近づくに従って、スラリーの駆動力は遥かに小さくなるであろう。
【0047】
溝はどんな適当な大きさ、例えば、幅及び深さになっていてもよく、どのような適当な形になっていてもよい。例えば、図6Aの溝の断面は矩形である(即ち、滑らかな直角の表面を有する)が、例えば、円形、角錐(ピラミッド又は逆ピラミッド)型、「L」型、逆「T」型等のようなどのような断面の形でも用いることができる。
【0048】
別の態様6Bでは、サブパッド層2の各縁領域5は、サブパッド層2の外周縁に隣接して通る溝10を含み、この場合サブパッド材料は溝10から部分的に除去され、内側サブパッド領域9及び外側サブパッド領域8として示した二つのサブパッド領域を形成している。溝10のサブパッド材料は、内側サブパッド領域9及び外側サブパッド領域8よりも薄い。図6Aに関連して上で論じたように、図6Bの溝は、どのような適当な大きさ(例えば、幅及び深さ)を持っていてもよく、どのような適当な形になっていてもよく、内側サブパッド領域2の外周縁からどのような適当な距離伸びていてもよい。更に別の態様として、別の材料(即ち、サブパッド材料以外の材料又は異なるサブパッド材料)の帯を、サブパッドに隣接して配置し、第二の障壁を形成する。
【0049】
夫々の溝は、包まれたベルトの研磨領域中のサブパッド層2のクッション性を妨害することなく、サブパッド層2中へのスラリー浸透に対する効果的な障壁を形成するような大きさにするのが好ましい。例として、サブパッド層2の外周縁から内側へ約0.1〜1インチ(好ましくは0.25インチ)に位置し、約0.05〜0.5インチ(好ましくは0.25インチ)の幅、及び実質的に基体1まで達する(即ち、サブパッドの構成材料及び接着剤層4の実質的全てが溝から除去されている)深さを有する溝が、好ましい特性を与えることが判明している。しかし、溝は、効果的であるために、必ずしも実質的に基体まで行く必要はない。基体の一部分だけを除去するか、或はサブパッド材料の全てを除去するが、接着剤は除去しないか、或は別法として、サブパッド層の全てと接着剤の一部分とを除去することにより、効果的な溝を作ることが可能である。
【0050】
溝は、どのような適当なやり方で形成してもよい。例えば、サブパッド層2の外周縁から内側に約0.1〜1インチ(好ましくは約0.25インチ)内側の縁領域5中に、約0.05〜0.5インチ(好ましくは0.25インチ)の幅、及び実質的に全て又は部分的に基体1に達する深さを有する二つの切り込みを作ることができる。更に、注型する前にサブパッド層2の各縁領域5中に溝を切り込むか、又は予め修正したサブパッド層2(即ち、既に各縁領域5に溝を含むもの)を、別の供給業者から得、次に重合体混合物を上に注型することができる。
【0051】
前の態様の場合と同じように、研磨層3は、サブパッド層2と結合し、包み込まれたベルトの連続的外側表面を含み、それは、水又はスラリーの侵入に対しサブパッドの縁を完全に包み込み、実質的に密封し、CMPスラリーがサブパッドと接触し、ベルトが劣化するのを防止している。前に述べたように、サブパッド2は、研磨層3をサブパッド層2の上に注型した時、防水性密封部の形成を促進する前述の付加的機能的特徴のいずれかを含んでいてもよい。
【0052】
前に述べたように、サブパッド層2の上に重合体を直接注型した時、二つの問題が潜在的に生ずることがあることが判明している。第一は、注型した重合体混合物がサブパッド2中へ、異なったサブパッドの場所で種々の程度まで侵入することがある。この不均一な侵入は、研磨層3に不均一な硬度特性を持たせる結果になることがある。第二に、サブパッド表面と注型重合体混合物との間、又は重合体層自身の中に気泡が取り込まれ、研磨層3に不均一な性能を与える結果になることがある。
【0053】
これらの問題は、サブパッド層2の表面と縁の上に障壁剤10を含ませることにより実質的に解決することができる。図7は、この態様を例示している。図7では、基体1、サブパッド層2、研磨層3、及び場合により接着剤層4は、前に述べたのと同様である。しかし、図7のベルトは、付加的にサブパッドの縁を含めたサブパッド層2の外側表面に配置された障壁剤である部材10を含み、それが、その上に研磨層3が注型された時、その分布を均一にし易くする。障壁剤10は、それをサブパッド2へ適用した後、粘度が増大する材料を含むのが典型的である。しかし、サブパッド2へ適用した時、次の性質を有するどのような材料でも障壁剤10として用いることができる:(a)障壁剤は、サブパッド2及び研磨層3の両方に強く接着すべきである;(b)障壁剤は、研磨層3がそれを通ってサブパッド中へ侵入するのを実質的に防ぐべきである;(c)障壁剤は、サブパッドの圧縮性を実質的に変えるべきではない。
【0054】
他の接着方式も可能であるが、障壁剤10は、研磨用パッドの部材間の強い接着を促進するために、化学的接着力及び/又は機械的固定相互作用によりサブパッド2及び研磨層3に接着することができるのが好ましい。障壁剤の化学的接着力は、サブパッド2及び研磨層3の組成によって変化するであろう。サブパッド2及び研磨層3の種々の成分に強く接着することができる材料は当業者によく知られており、それらには、ポリウレタン、アクリル、メタクリル、ウレタン、シアノアクリレート、ビニル、エポキシ、スチレン系接着剤が含まれるであろう。ホットメルト、接触セメント、嫌気性接着剤(アクリル)、UV硬化剤、エマルジョン(ホワイトグルー)、密封材(シリコーン、アクリル、ウレタン、ブチル、及びポリスルフィド等)、変性フェノール接着剤、プラスチゾル(変性PVC分散物)、ゴム接着剤(溶液、ラテックス)、ポリ酢酸ビニル(エマルジョン)、特別な接着剤(感圧性接着剤、自然凝集性密封材、熱密封材、フォーム、及び織物等)、及びラベリング接着剤(樹脂接着剤、ラテックス接着剤等)も適している。ポリウレタン及びアクリル接着剤が好ましい。
【0055】
好ましい態様として、障壁剤10は、それが適用された時、サブパッド2の最も低い粗面化部分を満たすのに充分な流動性を持つが、サブパッドの粗面形状を表面に出すのに充分な粘稠性を持つ材料を含む。比較的低い粘度で適用することができるが、適用後、粘度が急速に増大する硬化可能流体のような材料では、その複数の性質の組合せを見出すことができる。揮発性溶媒中に入れて適用される接着剤のように、適用後に粘度が増大する接着剤は、障壁剤10として用いるのに適している。それらの例には、デラ社(マサチューセッツ州ワードヒル)から入手できるD2596H接着剤及びD2597架橋剤のようなポリウレタン接着剤、及びロード社(ノースカロライナ州ケリー)から入手できるシェムロック(登録商標名)213のようにアクリル接着剤が含まれる。別法として、又は付加的に、障壁剤10の表面は粗面が加わるように修正してもよい。
【0056】
化学的接着性を最大にする別の方法は、研磨層3に化学的に結合することができる障壁剤10を用いることである。例えば、障壁剤10と、研磨層3を形成する硬化可能流体との両方が反応性分子を最初から含むならば、障壁剤10が完全に反応する前にその上に硬化可能流体を被覆すれば、それらの部材間の架橋反応が可能であろう。
【0057】
障壁剤10は、刷毛塗り、吹き付け、浸漬、噴霧、ナイフ塗り、及び転写被覆のようなどのような適当な方法を用いてサブパッド層2の縁へ適用してもよい。どのような適当な量の障壁剤を用いてもよい。更に、障壁剤をサブパッドに適用したならば、サンドペーパー磨き、圧印加工、及び機械加工のような二次的処理にかけ、サブパッドに希望の粗面化、溝、又は模様を達成することができる。
【0058】
前に記載した方法を用いて、図7に例示した包まれたベルトを製造することができる。例えば、サブパッド層2を障壁剤10で被覆した後、注型する。サブパッド層2は、研磨層3の防水性密封部の形成を促進する一つ以上の付加的機能的特徴を含んでいてもよい。例えば、サブパッド層2の縁領域5及び/又は基体の接触部分を、前に述べたように(例えば、サブパッド層の縁領域の切除、傷付け、穿孔、溝付けにより)、サブパッド層2を障壁剤10で被覆する前、又は後に修正してもよい。別法として、障壁剤10を含む予め修正したサブパッド層2を得ることができ、その上に注型することができる。
【0059】
図8は、包んだベルト及び包んだパッドの別の態様を断面で例示している。この態様では、基体部材(前の図の部材1)は、研磨層3とは結合しておらず、水侵入に対してサブパッド層2を実質的に密封する包まれたベルトの連続的外側表面を含む。その代わり、研磨層3単独でサブパッド層2を包み、水の侵入に対しサブパッド層2を実質的に密封している。前の態様の場合と同じように、サブパッドの縁を含めてサブパッドを包み込むことにより、サブパッドはCMPスラリーに曝されることはなく、従って、CMPスラリーにより侵食又は劣化されることはない。
【0060】
前に記載した方法を用いて、図8に例示した包んだベルトを製造することができるが、但し次の点が異なる。サブパッド層2を、基体1の上に重合体混合物を注型する前に、その基体の上に配置することはしない。その代わり二つの方法のいずれかを用いることができる。一つの方法では、第一重合体混合物を型中に注型し、第一層を形成する。次に、好ましくは第一層が硬化する前に、サブパッド層2をその第一層の上に配置する。最後に、好ましくは第一層が硬化する前に、第二重合体混合物(それは第一と同じものでもよい)をサブパッド層2の上に注型し、サブパッド層2の露出した表面全てを完全に覆うように注意する。第一及び第二の重合体混合物は、一緒になって水侵入に対しサブパッド層2を完全に包み込み、実質的に密封する。別の方法として、重合体混合物をサブパッド層2の全ての表面を覆うように注型し、水侵入に対しサブパッド層2を完全に包み込み、実質的に密封するようにしてもよい。次にその包まれたサブパッド層2を、場合により基体1に結合し、例えば、接着剤層4を用いて結合してもよい。
【0061】
上で言及した態様の外に、本発明は、サブパッド層中の一つ以上の内部開口の縁を密封することにも関する。例えば、ベルトは、研磨層、サブパッド層、及び基体層を含み、終点検出を行うための隣接した重複孔を持っていてもよい。換言すれば、孔は研磨表面からサブパッドを通り、研磨表面とは反対側にある基体を通り、基体の下に配置されたモニターからの光ビームが研磨表面の上に配置されたウエーハまで届くように通っている。従って、サブパッドの開口の周辺は、パッドの表面に適用される化学的スラリー又は水に曝される。化学的スラリーは孔の周囲の縁を通ってサブパッド中に入り、もしそれがサブパッドの外側縁領域に侵入するようなことが起きると、ベルトを劣化することがある。本発明は、サブパッドの外側縁に関して上で論じたのと同じやり方で、即ち、サブパッド開口の周囲縁の上に切除、傷付け、穿孔、溝付け、熱密封、接着剤適用、及び注型により、この問題を解決する。
【0062】
上に示し、記述した本発明の好ましい態様は、サブパッドの縁のための効果的で頑丈な密封部を与えるのに有用であることが証明されているが、ここに開示した本発明の更に別な修正が、本発明に関与する当業者には思い付くであろう。そのような修正は、全て適用可能な特許請求の範囲により定められる本発明の範囲及び本質内に入るものと見做される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、研磨層がサブパッドの縁の上に直接注型された本発明の一つの態様の断面図である。
【図2】図2は、研磨層をサブパッドり縁上に直接注型する前に、サブパッドの厚さが縁の所で減少するようにサブパッドの縁をトリミングした本発明の別の態様の断面図である。
【図3】図3は、サブパッドの縁を、研磨層をサブパッドの縁上に直接注型する前に、或る角度で切削した本発明の別の態様の断面図である。
【図4】図4は、サブパッドの縁が密封材又は接着剤を含み、サブパッドの縁上に直接注型された研磨層との強い結合を形成するようにした、本発明の別の態様の断面図である。
【図5】図5は、サブパッドの縁が、研磨層をサブパッドの縁上に直接注型する前に熱密封されている、本発明の別の態様の断面図である。
【図6】図6において、図6Aは、サブパッド材料が溝から完全に除去され、二つのサブパッド領域を形成し、それらの領域が化学的機械的スラリーに対しサブパッドを保護する場合の、サブパッドの縁領域に隣接した溝を含む本発明の別の態様の断面図であり、図6Bは、サブパッド材料が溝から部分的に除去されている場合の、本発明の別の態様の断面図である。
【図7】図7は、研磨層の均一な分布を促進し、サブパッド表面と研磨層との間に気泡が取り込まれるのを防止するために、障壁剤で被覆されているサブパッド縁領域を含む、本発明の別の態様の断面図である。
【図8】図8は、研磨層3がサブパッド層2を全ての側で包み、サブパッド層を化学的機械的スラリーの侵入に対し実質的に密封している場合の、本発明の別の態様の断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 基体
2 サブパッド層
3 研磨層
4 接着剤層
5 縁領域
10 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工品を研磨又は平面化するためのベルト又はパッドにおいて、基体(1)、継目無し研磨層(3)、及び前記基体と前記研磨層との間に配置された少なくとも一つのサブパッド層(2)を含み、然も、前記研磨層(3)が前記サブパッド(2)及び前記基体(1)の上に注型され、サブパッド層を包み、前記サブパッド層(2)の中への湿分の侵入を実質的に防止している、ベルト又はパッド。
【請求項2】
サブパッド層(2)が、圧縮可能な不織材料を含む、請求項1に記載のベルト又はパッド。
【請求項3】
基体(1)が、ステンレス鋼、プラスチック、又はエラストマーを含む、請求項1に記載のベルト又はパッド。
【請求項4】
サブパッド(2)が、内側領域(7)及び前記サブパッド層(2)の外周縁の所に位置する少なくとも一つの縁領域(5)を含み、前記サブパッド層(2)の少なくとも前記縁領域(5)が、障壁剤(10)で被覆され、研磨層(3)の侵入を均一にし易くしている、請求項1に記載のベルト又はパッド。
【請求項5】
加工品を研磨又は平面化するためのベルト又はパッドにおいて、継目無し研磨層(3)及び少なくとも一つのサブパッド層(2)で、内側領域(7)及び前記サブパッド層(2)の外周縁の所に位置する少なくとも一つの縁領域(5)を有するサブパッド層を含み、前記研磨層(3)が前記サブパッド(2)の上に注型され、前記サブパッド(2)を包み、前記サブパッド層(2)の前記縁領域(5)が、耐湿性密封部の形成を促進する一つ以上の機能的特徴を有する、ベルト又はパッド。
【請求項6】
サブパッド層(2)が圧縮可能な不織材料を含む、請求項5に記載のベルト又はパッド。
【請求項7】
研磨層(3)が重合可能な材料を含む、請求項6に記載のベルト又はパッド。
【請求項8】
重合可能な材料が、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ピニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、及び天然又は合成ゴムの少なくとも一種類を含む、請求項7に記載のベルト又はパッド。
【請求項9】
サブパッド層(2)の縁領域(5)が、接着剤(4)で被覆されている、請求項7に記載のベルト又はパッド。
【請求項10】
接着剤(4)が、サブパッド層(2)中へ侵入するポリウレタン系接着剤を含む、請求項9に記載のベルト又はパッド。
【請求項11】
サブパッド層(2)の外周縁(5)に隣接した溝(10)を含む、請求項7に記載のベルト又はパッド。
【請求項12】
サブパッド層(2)の少なくとも縁領域(5)が、障壁剤(10)で被覆され、研磨層(3)の侵入を均一にし易くしてある、請求項7に記載のベルト又はパッド。
【請求項13】
エレクトロニック加工品の化学的機械的研磨を行うためのベルト又はパッドにおいて、研磨層(3)と、圧縮可能なサブパッド(2)の外周縁の所に位置する少なくとも一つの圧縮可能なサブパッド層縁領域(5)との間に頑丈な密封部を含み、然も、前記研磨層(3)が前記サブパッド(2)の上に注型されており、前記サブパッド(2)を包み、前記サブパッド層縁領域(5)を化学的機械的スラリーの侵入に対して密封している、ベルト又はパッド。
【請求項14】
研磨層(3)が重合可能材料を含む、請求項13に記載のベルト又はパッド。
【請求項15】
サブパッド層(2)が圧縮可能な不織材料を含む、請求項14に記載のベルト又はパッド。
【請求項16】
縁領域(5)が接着剤で被覆されている、請求項14に記載のベルト又はパッド。
【請求項17】
サブパッド層(2)の外周縁に実質的に隣接して通る溝(10)を含む、請求項14に記載のベルト又はパッド。
【請求項18】
研磨層(3)をサブパッド(2)の上に注型し、基体と結合し、前記サブパッド(2)を包んで密封することを含む、請求項14に記載のベルト又はパッド。
【請求項19】
加工品を研磨又は平面化するための包まれたベルト又はパッドを製造する方法において、接触部分を含む基体(1)を与え、前記基体(1)の上にサブパッド層(2)を配置し、然も、前記サブパッド層(2)は、内側領域(7)及び前記サブパッド層(2)の外周に沿って位置する少なくとも一つの縁領域(5)を含み、そして前記サブパッド層(2)上に重合体を注型する工程を含み、然も、前記重合体が前記基体(1)と、その基体(1)の接触部分上で接触し、前記サブパッド(2)を包んでいる、ベルト又はパッドの製造方法。
【請求項20】
更に、サブパッド層(2)の少なくとも縁領域(5)を、その上に重合体を注型する前に修正し、前記重合体を前記サブパッド上に注型した時に防水性及び耐スラリー性密封部の形成を促進する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
修正工程が、接着剤(4)を、サブパッド層(2)の縁領域(5)に適用することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
修正工程が、サブパッド層(2)の縁領域(5)中に、前記縁領域から或る量の前記サブパッド層材料を除去することにより溝(10)を形成することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
修正工程が、サブパッド層(2)の縁領域(5)に障壁剤(10)を適用することを含む、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−509349(P2006−509349A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−512169(P2004−512169)
【出願日】平成15年6月9日(2003.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2003/018199
【国際公開番号】WO2003/105191
【国際公開日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(500092413)プラックセアー エス.ティ.テクノロジー、 インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】