説明

頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法

【課題】送信装置から送信されたデータの受信が制御手段において一旦は失敗したときにも、確実に画像表示を可能とする画像表示方法を提供する。
【解決手段】フレーム10、画像表示装置100及び制御手段18を備え、各画像表示装置100は、画像形成装置110及び光学装置120を備えた頭部装着型ディスプレイにおける光学的位置調整方法にあっては、制御手段18に備えられた記憶手段には複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、外部から指定識別符号及び表示時間情報が所定の時間間隔で制御手段18に送られ、制御手段18において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出し、送られてきた表示時間情報に相当する時間の間、該データに基づく画像を画像形成装置111において表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部装着型ディスプレイ(HMD,Head Mounted Display)における画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置によって形成された2次元画像を虚像光学系により拡大虚像として観察者に観察させるための虚像表示装置(画像表示装置)が、例えば、特開2006−162767から周知である。
【0003】
概念図を図1に示すように、この画像表示装置100は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置111、画像形成装置111の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系112、及び、コリメート光学系112にて平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置(導光手段)120を備えている。光学装置120は、入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板121、導光板121に入射された光が導光板121の内部で全反射されるように、導光板121に入射された光を反射させる第1偏向手段130(例えば、1層の光反射膜から成る)、及び、導光板121の内部を全反射により伝播した光を導光板121から出射させる第2偏向手段140(例えば、多層積層構造を有する光反射多層膜から成る)から構成されている。そして、このような画像表示装置100によって、例えば、HMDを構成すれば、装置の軽量化、小型化を図ることができる。
【0004】
あるいは又、画像形成装置によって形成された2次元画像を虚像光学系により拡大虚像として観察者に観察させるために、ホログラム回折格子を用いた虚像表示装置(画像表示装置)が、例えば、特開2007−94175から周知である。
【0005】
概念図を図15に示すように、この画像表示装置300は、基本的には、画像を表示する画像形成装置111と、コリメート光学系112と、画像形成装置111に表示された光が入射され、観察者の瞳41へと導く光学装置(導光手段)320とを備えている。ここで、光学装置320は、導光板321と、導光板321に設けられた反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材330及び第2回折格子部材340を備えている。そして、コリメート光学系112には画像形成装置111の各画素から出射された光が入射され、コリメート光学系112によって平行光が生成され、導光板321に入射される。導光板321の第1面322から、平行光が入射され、出射される。一方、導光板321の第1面322と平行である導光板321の第2面323に、第1回折格子部材330及び第2回折格子部材340が取り付けられている。
【0006】
また、頭部装着型ディスプレイを用い、装着手段により観客の眼前に装着されて観劇を補助する字幕表示のための字幕表示装置が、例えば、特開2002−018158から周知である。この特許公開公報に開示された字幕表示装置は、字幕表示の原稿情報の作成及び記憶を行い字幕情報として出力する情報出力手段と、字幕情報を信号伝達媒体に重畳して送信する信号送信手段と、字幕情報を信号伝達媒体から取り出して出力する信号受信手段と、観客の眼前に配置されて字幕情報に基づいた字幕の表示をする字幕表示手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−162767
【特許文献2】特開2007−94175
【特許文献3】特開2002−018158
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特開2002−018158には、信号送信手段から送信された字幕情報の受信が信号受信手段において何らかの理由で失敗したときの処理について、何ら開示されていない。特に、1つの信号送信手段から送信された字幕情報を複数の信号受信手段において受信する場合にこのような問題が生じると、複数の字幕表示手段において同時に同じ字幕が表示できなくなってしまうし、そもそも、字幕表示手段において字幕が表示できなくなってしまう。また、観客が外国人の場合、その観客の使用する言語での字幕表示を行うことが望ましいが、特開2002−018158にはこのような要求への対処は何ら開示されていない。更には、座席の位置によって、観劇における観賞の対象となる登場人物等の目視される大きさと字幕の文字の大きさに不釣り合いが生じる場合があるし、座席の位置によって最適な輻輳角が存在するが、これらに関しても、特開2002−018158には何ら言及がなされていない。
【0009】
従って、本発明の第1の目的は、送信装置から送信されたデータの受信が制御手段において一旦は失敗したときにも、確実に画像表示を可能とする頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、観察対象物の目視される大きさと表示すべき画像の大きさに不釣り合いが生じ難い頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法を提供することにある。更には、本発明の第3の目的は、観察者に使用する言語での画像表示を可能とする頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法を提供することにある。また、本発明の第4の目的は、観察者と観察対象物との間の距離に依存した最適な輻輳角を容易に調整し得る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様、第2の態様あるいは第3の態様に係る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法は、
(イ)観察者の頭部に装着される眼鏡型のフレーム、
(ロ)フレームに取り付けられた画像表示装置、並びに、
(ハ)画像表示装置における画像表示を制御する制御手段、
を備え、
画像表示装置は、
(A)画像形成装置、及び、
(B)画像形成装置から出射された光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を有する頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法である。尚、画像表示装置を、1つ備えていてもよいし(片眼型)、2つ備えていてもよい(両眼型)。
【0011】
そして、上記の第1の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法(以下、『本発明の第1の態様に係る画像表示方法』と呼ぶ)において、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
外部から指定識別符号及び表示時間情報が所定の時間間隔で制御手段に送られ、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出し、送られてきた表示時間情報に相当する時間の間、該データに基づく画像を画像形成装置において表示する。
【0012】
また、上記の第2の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法(以下、『本発明の第2の態様に係る画像表示方法』と呼ぶ)において、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されており、
外部から指定識別符号が制御手段に送られ、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異サイズ・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する。
【0013】
また、上記の第3の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法(以下、『本発明の第3の態様に係る画像表示方法』と呼ぶ)において、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
外部から指定識別符号が制御手段に送られ、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する。どのような言語を表示言語として選択するかの方法として、例えば、制御手段にボタンやスイッチを設け、手動にて表示言語として選択する方法を挙げることができる。
【0014】
また、上記の第4の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法(以下、『本発明の第4の態様に係る画像表示方法』と呼ぶ)は、
(イ)観察者の頭部に装着される眼鏡型のフレーム、
(ロ)フレームに取り付けられた右眼用及び左眼用の2つの画像表示装置、並びに、
(ハ)画像表示装置における画像表示を制御する制御手段、
を備え、
各画像表示装置は、
(A)画像形成装置、及び、
(B)画像形成装置から出射された光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を有する頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法であって、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
外部から指定識別符号が制御手段に送られ、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存してデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で該データに基づく画像を画像形成装置において表示する。尚、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離に基づき、少なくとも一方の画像表示装置を構成する画像形成装置へのデータに対する画像処理を行えばよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の態様に係る画像表示方法にあっては、外部から指定識別符号及び表示時間情報が所定の時間間隔で制御手段に送られ、制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出し、送られてきた表示時間情報に相当する時間の間、このデータに基づく画像を画像形成装置において表示する。従って、外部から送られてきた指定識別符号及び/又は表示時間情報の受信が制御手段において何らかの理由で失敗した場合でも、再度、あるいは、繰り返し、指定識別符号及び表示時間情報の受信を試行することができるので、指定識別符号及び表示時間情報を確実に受信することができる。その結果、例えば、複数の頭部装着型ディスプレイにおいて指定識別符号及び表示時間情報を受信する場合でも、複数の頭部装着型ディスプレイにおいて、確実に、同時に同じ画像の表示が可能となるし、頭部装着型ディスプレイにおいて画像が表示できないという問題の発生を確実に回避することができる。
【0016】
本発明の第2の態様に係る画像表示方法にあっては、制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、この1つの異サイズ・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示するので、観察対象物の目視される大きさと画像の大きさとの間に不釣り合いが生じ難い。
【0017】
本発明の第3の態様に係る画像表示方法にあっては、制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、この1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示するので、観察者(観客)の使用する言語での画像表示を容易に行うことができる。
【0018】
本発明の第4の態様に係る画像表示方法にあっては、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離に対応した輻輳角の調整を行うが、これによって、観察対象物と観察者(観客)との間の距離と、画像表示装置によって表示される画像の虚像距離とを等しくすることができ、あるいは又、出来るだけ等しくすることができ、観察対象物を眺める観察者(観客)が、左程、焦点を変更、変化させること無く、自然に画像表示装置によって表示される画像を眺める(観察する)ことができる。云い換えれば、このような状態が達成される限り、観察対象物と観察者(観客)との間の距離と、画像表示装置によって表示される画像の虚像距離とは等しいと云える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施例1の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示装置の概念図である。
【図2】図2は、実施例1の頭部装着型ディスプレイにおいて、画像表示装置を構成する導光板における光の伝播を模式的に示す図である。
【図3】図3は、実施例1の頭部装着型ディスプレイを上方から眺めた模式図である。
【図4】図4は、実施例1の頭部装着型ディスプレイを横から眺めた模式図である。
【図5】図5は、実施例1の頭部装着型ディスプレイを正面から眺めた模式図である。
【図6】図6は、実施例1の頭部装着型ディスプレイを観察者の頭部に装着した状態を上方から眺めた図(但し、画像表示装置のみを示し、フレームの図示は省略)である。
【図7】図7は、実施例1の頭部装着型ディスプレイを使用している状態の概念図である。
【図8】図8は、実施例1の頭部装着型ディスプレイを使用している状態の概念図である。
【図9】図9は、実施例1におけるデータ群を構成するデータのファイル構造を概念的に示す図である。
【図10】図10の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1における送信装置のシステム構成ブロック図、及び、頭部装着型ディスプレイのシステム構成ブロック図である。
【図11】図11は、実施例1における送信装置での送信処理の流れを説明する図である。
【図12】図12は、実施例1における頭部装着型ディスプレイでの受信処理の流れを説明する図である。
【図13】図13は、実施例1において、送信装置を構成する表示装置において表示された内容である指定識別符号、データ群、データ群を構成する複数のデータ、及び、全表示時間を模式的に示す図である。
【図14】図14は、実施例2の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示装置の概念図である。
【図15】図15は、実施例3の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示装置の概念図である。
【図16】図16は、実施例4の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示装置の概念図である。
【図17】図17の(A)及び(B)は、実施例5の頭部装着型ディスプレイにおいて、画像表示装置を構成する導光板における光の伝播を模式的に示す図、及び、導光板等の配置状態を示す概念図である。
【図18】図18は、実施例5における頭部装着型ディスプレイを横から眺めた模式図である。
【図19】図19の(A)及び(B)は、実施例6の頭部装着型ディスプレイにおいて、画像表示装置を構成する導光板における光の伝播を模式的に示す図、及び、導光板等の配置状態を示す概念図である。
【図20】図20は、実施例7の頭部装着型ディスプレイを正面から眺めた模式図である。
【図21】図21は、実施例7の頭部装着型ディスプレイを上方から眺めた模式図である。
【図22】図22は、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離に対応した輻輳角の調整の説明のための模式図である。
【図23】図23は、実施例1における頭部装着型ディスプレイの一形式を横から眺めた模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の第1の態様〜第4の態様に係る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の第1の態様に係る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例3の変形)
6.実施例5(実施例1〜実施例4の変形)
7.実施例6(実施例5の変形)
8.実施例7(実施例1の別の変形)
9.実施例8(本発明の第2の態様に係る画像表示方法、本発明の第1−Aの態様に係る画像表示方法)
10.実施例9(本発明の第3の態様に係る画像表示方法、本発明の第1−A’の態様に係る画像表示方法、本発明の第1−Bの態様に係る画像表示方法、本発明の第2−Aの態様に係る画像表示方法)
11.実施例10(本発明の第4の態様に係る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法、本発明の第1−Cの態様に係る画像表示方法、本発明の第4−Aの態様に係る画像表示方法、本発明の第4−A’の態様に係る画像表示方法、本発明の第4−Bの態様に係る画像表示方法)、その他
【0021】
[本発明の第1の態様〜第4の態様に係る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法、全般に関する説明]
本発明の第1の態様に係る画像表示方法において、第1の目的に加え、第2の目的を達成するために、
各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異サイズ・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。尚、このような形態を、便宜上、『本発明の第1−Aの態様に係る画像表示方法』と呼ぶ。
【0022】
そして、本発明の第1−Aの態様に係る画像表示方法にあっては、第1の目的、第2の目的に加え、第3の目的を達成するために、
各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、該1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。尚、このような形態を、便宜上、『本発明の第1−A’の態様に係る画像表示方法』と呼ぶ。
【0023】
あるいは又、本発明の第1の態様に係る画像表示方法において、第1の目的に加え、第3の目的を達成するために、
各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。尚、このような形態を、便宜上、『本発明の第1−Bの態様に係る画像表示方法』と呼ぶ。
【0024】
以上に説明した本発明の第1−Aの態様、第1−A’の態様、第1−Bの態様に係る画像表示方法を含む本発明の第1の態様に係る画像表示方法においては、更に、第4の目的を達成するために、
右眼用及び左眼用の2つの画像表示装置を備えており、
制御手段において、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。尚、このような形態を、便宜上、『本発明の第1−Cの態様に係る画像表示方法』と呼ぶ。尚、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離に基づき、少なくとも一方の画像表示装置を構成する画像形成装置へのデータに対する画像処理を行えばよい。
【0025】
また、本発明の第2の態様に係る画像表示方法において、第2の目的に加え、第3の目的を達成するために、
各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、該1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。尚、このような形態を、便宜上、『本発明の第2−Aの態様に係る画像表示方法』と呼ぶ。
【0026】
また、本発明の第4の態様に係る画像表示方法において、第4の目的に加え、第2の目的を達成するために、
各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で、該1つの異サイズ・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。尚、このような形態を、便宜上、『本発明の第4−Aの態様に係る画像表示方法』と呼ぶ。
【0027】
そして、本発明の第4−Aの態様に係る画像表示方法にあっては、第4の目的、第2の目的に加え、第3の目的を達成するために、
各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、該1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。尚、このような形態を、便宜上、『本発明の第4−A’の態様に係る画像表示方法』と呼ぶ。
【0028】
あるいは又、本発明の第4の態様に係る画像表示方法において、第4の目的に加え、第3の目的を達成するために、
各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。尚、このような形態を、便宜上、『本発明の第4−Bの態様に係る画像表示方法』と呼ぶ。
【0029】
以上に説明した各種の好ましい形態を含む本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示方法においては、輝度情報によって輝度を制御した状態で、画像を画像形成装置において表示する構成とすることができる。
【0030】
輝度情報は、外部から頭部装着型ディスプレイに送出される構成とすることができる。尚、無線によって、輝度情報を外部から頭部装着型ディスプレイに送出すればよい。あるいは又、受光センサーを頭部装着型ディスプレイは更に備えており、受光センサーによって得られた環境(頭部装着型ディスプレイあるいは観察対象物の置かれた雰囲気)の輝度情報に基づき、光学装置において表示すべき画像の輝度を制御する構成とすることができる。受光センサーとして、具体的には、フォトダイオードや、後述するカメラや撮像装置に備えられた露出測定用の受光素子を挙げることができる。
【0031】
また、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第2の態様〜第4の態様に係る画像表示方法においては、
外部から指定識別符号及び表示時間情報が所定の時間間隔で制御手段に送られ、
送られてきた表示時間情報に相当する時間の間、画像を画像形成装置において表示する構成とすることができる。
【0032】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示方法においては、送信装置から指定識別符号及び表示時間情報が無線で送られてくる構成とすることができ、更には、送信装置は表示装置を備えており、表示装置には、指定識別符号、データ群、及び、各データ又は各表示データの全表示時間が表示される構成とすることができる。但し、これに限定するものではなく、有線とすることもできる。
【0033】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示方法においては、光学装置を半透過型(シースルー型)とすることが望ましい。具体的には、少なくとも観察者の両眼に対向する光学装置の部分を半透過(シースルー)とし、これらの光学装置の部分を通して外景を眺めることができることが望ましい。
【0034】
本発明の第1−Aの態様に係る画像表示方法、本発明の第1−A’の態様に係る画像表示方法、本発明の第1−Cの態様に係る画像表示方法、本発明の第2の態様に係る画像表示方法、本発明の第2−Aの態様に係る画像表示方法、本発明の第4の態様に係る画像表示方法、本発明の第4−Aの態様に係る画像表示方法、本発明の第4−A’の態様に係る画像表示方法、あるいは、本発明の第4−Bの態様に係る画像表示方法において、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に関しては、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離情報が、外部から頭部装着型ディスプレイに送出される構成とすることができる。尚、無線によって、距離情報を外部から頭部装着型ディスプレイに送出すればよい。あるいは又、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離を測定する距離測定装置を頭部装着型ディスプレイは更に備えており、距離測定装置によって距離情報を得る構成とすることができる。距離測定装置として、具体的には、オートフォーカス機能付きカメラや撮像装置(例えば、観察対象物に赤外線・超音波などを照射し、その反射波が戻るまでの時間や照射角度により距離を検出するアクティブ方式の距離測定装置や、パッシブ方式の距離測定装置を有するカメラや撮像装置)、オートフォーカス機能付きカメラ用の距離測定装置(アクティブ方式の距離測定装置)を挙げることができる。あるいは又、制御手段にボタンやスイッチを設け、手動にて頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離を設定してもよい。
【0035】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示方法において、制御手段それ自体は周知の回路構成とすればよいし、記憶手段それ自体も周知の記憶手段、例えば、メモリカードとすればよい。また、送信装置それ自体も周知の送信装置とすればよいし、送信装置に備えられた表示装置も周知の表示装置とすればよい。
【0036】
更には、データ群の数は本質的に任意であるし、データ群を構成するデータの数、データを構成する表示データの数も本質的に任意である。データあるいは表示データのデータ構造として、例えば、文字列から成るテキストデータとすることもできるし、文字列を画像とした画像データとすることもできる。表示サイズが異なる表示データとして、フォントサイズの異なる文字列から成るテキストデータとすることもできるし、フォントサイズの異なる文字列を画像とした画像データとすることもできる。表示データにおける表示言語は、本質的には任意である。
【0037】
指定識別符号及びデータ識別符号は、データを識別できる符号であれば、如何なる符号とすることもでき、例えば、数字やアルファベット、数字とアルファベットの組合せを例示することができる。
【0038】
外部から指定識別符号及び表示時間情報が所定の時間間隔で制御手段に送られるが、ここで、全表示時間をTtotal、表示時間情報をTInf、所定の時間間隔をTintとすると、
Inf(m)=Ttotal−(m−1)×Tint
で表すことができる。尚、『m』は正の整数であり、外部から指定識別符号及び表示時間情報が制御手段に送られてくる回数を表す。例えば、
total=10.0秒
int =0.1秒
とすると、
第1回目(m=1)に外部から指定識別符号及び表示時間情報が制御手段に送られてきたときの表示時間情報TInf(m)は、
Inf(1)=10.0秒
である。また、第2回目(m=2)、第11回目(m=11)に外部から指定識別符号及び表示時間情報が制御手段に送られてきたときの表示時間情報TInf(m)は、
Inf(2) =9.9秒
Inf(11)=9.0秒
である。そして、これらの表示時間情報TInf(m)に相当する時間の間、データあるいは1つの表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する。
【0039】
ここで、一旦、画像形成装置において画像の表示が開始された場合には、それ以降に外部から同じ指定識別符号及び異なる表示時間情報が制御手段に送られてきても、制御手段はこれらの指定識別符号及び表示時間情報を無視して、画像を表示し続ければよい。このような動作にあっては、制御手段において、一種のフラグ(受信完了フラグ)を立てればよい。一方、第1回目から第(m’−1)回目まで、外部からの指定識別符号及び/又は表示時間情報の受信に制御手段が何らかの理由で失敗し、第m’回目に、初めて、外部からの指定識別符号及び表示時間情報の受信に制御手段が成功した場合、
Inf(m’)=Ttotal−(m’−1)×Tint
の時間の間、データあるいは1つの表示データに基づく画像を画像形成装置において表示すればよい。
【0040】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様〜第4の態様に係る画像表示方法(以下、これらを総称して、単に、『本発明』と呼ぶ場合がある)において、第1回目(m=1)の指定識別符号及び表示時間情報の送出の指示は、例えば、作業者が行ってもよいし、コンピュータ等の制御に基づき行ってもよいし、観察対象物の動きや、観察対象物である演劇者の声の変化、観察対象物の占める環境の変化(例えば、照明や音響の変化)等に基づき行ってもよい。
【0041】
本発明における頭部装着型ディスプレイを構成する画像表示装置(以下、単に、『本発明における画像表示装置』と呼ぶ)において、光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を偏向させる第1偏向手段、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を導光板から出射させるために、導光板の内部を全反射により伝播した光を複数回に亙り偏向させる第2偏向手段、
を備えている構成とすることができる。尚、「全反射」という用語は、内部全反射、あるいは、導光板内部における全反射を意味する。以下においても同様である。また、第1偏向手段の中心点が、光学装置中心点に相当する。
【0042】
尚、画像形成装置の中心から出射され、光学系の画像形成装置側節点を通過した中心光線が光学装置に入射する点を光学装置中心点とし、光学装置中心点を通過し、光学装置の軸線方向と平行な軸線をX軸、光学装置中心点を通過し、光学装置の法線と一致する軸線をY軸とする。ここで、光学系は、画像形成装置と光学装置との間に配置され、画像形成装置から出射された光を平行光とする。そして、光学系にて平行光とされた光束が、光学装置に入射され、導光され、出射される。
【0043】
本発明における画像表示装置においては、限定するものではないが、中心光線は、XY平面と0度以外の角度(θ)で交わる構成とすることができ、これによって、画像表示装置を眼鏡型のフレームの取付部に取り付けるときの画像表示装置の取付け角度に対する制限が少なくなり、高いデザイン自由度を得ることができる。そして、この場合、中心光線はYZ平面に含まれる形態とすることが、画像表示装置の取り扱いや設定、取付けの容易さといった観点から、好ましい。また、光学系の光軸は、YZ平面に含まれ、且つ、XY平面と0度以外の角度で交わる構成とすることができ、あるいは又、光学系の光軸は、YZ平面と平行であり、且つ、XY平面と平行であり、且つ、画像形成装置の中心から外れた位置を通過する構成とすることができる。また、XY平面が水平面と一致すると仮定したとき、中心光線がXY平面と交わる角度θは仰角である構成とすることができる。即ち、XY平面の下側から中心光線がXY平面に向い、XY平面と衝突する構成とすることができる。そして、この場合、XY平面は垂直面と0度以外の角度で交わることが好ましく、更には、XY平面は垂直面と角度θ’で交わることが好ましい。尚、θ’の最大値として、限定するものではないが、5度を挙げることができる。ここで、水平面とは、観察者が、水平方向に位置する対象物(例えば、水平方向、無限遠方の対象物、地平線や水平線)を眺めたときの視線(『観察者の水平方向視線』)が含まれ、且つ、水平に位置する観察者の2つの瞳が含まれる平面である。また、垂直面は、この水平面に対して垂直な平面である。あるいは又、観察者が、水平方向に位置する対象物(例えば、水平方向、無限遠方の対象物、地平線や水平線)を眺めたとき、光学装置から出射され、観察者の瞳に入射する中心光線は俯角をなす形態とすることができる。水平面に対する係る俯角として、例えば、5度乃至45度を例示することができる。
【0044】
ここで、第1偏向手段は、導光板に入射された光を反射し、第2偏向手段は、導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回に亙り、透過、反射する構成とすることができる。そして、この場合、第1偏向手段は反射鏡として機能し、第2偏向手段は半透過鏡として機能する構成とすることができる。
【0045】
このような構成において、第1偏向手段は、例えば、合金を含む金属から構成され、導光板に入射された光を反射させる光反射膜(一種のミラー)や、導光板に入射された光を回折させる回折格子(例えば、ホログラム回折格子膜)から構成することができる。また、第2偏向手段は、誘電体積層膜が多数積層された多層積層構造体や、ハーフミラー、偏光ビームスプリッター、ホログラム回折格子膜から構成することができる。そして、第1偏向手段や第2偏向手段は、導光板の内部に配設されている(導光板の内部に組み込まれている)が、第1偏向手段においては、導光板に入射された平行光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された平行光が反射又は回折される。一方、第2偏向手段においては、導光板の内部を全反射により伝播した平行光が複数回に亙り反射又は回折され、導光板から平行光の状態で出射される。
【0046】
あるいは又、第1偏向手段は、導光板に入射された光を回折し、第2偏向手段は、導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回に亙り、回折する構成とすることができる。そして、この場合、第1偏向手段及び第2偏向手段は回折格子素子から成る形態とすることができ、更には、回折格子素子は、反射型回折格子素子から成り、あるいは又、透過型回折格子素子から成り、あるいは又、一方の回折格子素子は反射型回折格子素子から成り、他方の回折格子素子は透過型回折格子素子から成る構成とすることができる。尚、反射型回折格子素子として、反射型体積ホログラム回折格子を挙げることができる。反射型体積ホログラム回折格子から成る第1偏向手段を、便宜上、『第1回折格子部材』と呼び、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2偏向手段を、便宜上、『第2回折格子部材』と呼ぶ場合がある。
【0047】
本発明における画像表示装置によって、単色(例えば、緑色)の画像表示を行うことができるが、カラーの画像表示を行う場合、第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材を、異なるP種類(例えば、P=3であり、赤色、緑色、青色の3種類)の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応させるために、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層が積層されて成る構成とすることができる。各回折格子層には1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されている。あるいは又、異なるP種類の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応するために、1層の回折格子層から成る第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材にP種類の干渉縞が形成されている構成とすることもできる。あるいは又、画角を例えば三等分して、第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材を、各画角に対応する回折格子層が積層されて成る構成とすることができる。そして、これらの構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折角の最適化を図ることができる。
【0048】
第1回折格子部材及び第2回折格子部材を構成する材料として、フォトポリマー材料を挙げることができる。反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材及び第2回折格子部材の構成材料や基本的な構造は、従来の反射型体積ホログラム回折格子の構成材料や構造と同じとすればよい。反射型体積ホログラム回折格子とは、+1次の回折光のみを回折反射するホログラム回折格子を意味する。回折格子部材には、その内部から表面に亙り干渉縞が形成されているが、係る干渉縞それ自体の形成方法は、従来の形成方法と同じとすればよい。具体的には、例えば、回折格子部材を構成する部材(例えば、フォトポリマー材料)に対して一方の側の第1の所定の方向から物体光を照射し、同時に、回折格子部材を構成する部材に対して他方の側の第2の所定の方向から参照光を照射し、物体光と参照光とによって形成される干渉縞を回折格子部材を構成する部材の内部に記録すればよい。第1の所定の方向、第2の所定の方向、物体光及び参照光の波長を適切に選択することで、回折格子部材の表面における干渉縞の所望のピッチ、干渉縞の所望の傾斜角(スラント角)を得ることができる。干渉縞の傾斜角とは、回折格子部材(あるいは回折格子層)の表面と干渉縞の成す角度を意味する。第1回折格子部材及び第2回折格子部材を、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層の積層構造から構成する場合、このような回折格子層の積層は、P層の回折格子層をそれぞれ別個に作製した後、P層の回折格子層を、例えば、紫外線硬化型接着剤を使用して積層(接着)すればよい。また、粘着性を有するフォトポリマー材料を用いて1層の回折格子層を作製した後、その上に順次粘着性を有するフォトポリマー材料を貼り付けて回折格子層を作製することで、P層の回折格子層を作製してもよい。
【0049】
あるいは又、本発明における画像表示装置において、光学装置は、画像形成装置から出射された光が入射され、観察者の瞳に向かって出射される半透過ミラーから構成されている形態とすることができる。尚、画像形成装置から出射された光は、空気中を伝播して半透過ミラーに入射する構造としてもよいし、例えば、ガラス板やプラスチック板等の透明な部材(具体的には、後述する導光板を構成する材料と同様の材料から成る部材)の内部を伝播して半透過ミラーに入射する構造としてもよい。尚、半透過ミラーを、この透明な部材を介して画像形成装置に取り付けてもよいし、半透過ミラーを、この透明な部材とは別の部材を介して画像形成装置に取り付けてもよい。
【0050】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明における画像表示装置において、画像形成装置は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有する形態とすることができる。尚、このような画像形成装置の構成を、便宜上、『第1の構成の画像形成装置』と呼ぶ。
【0051】
第1の構成の画像形成装置として、例えば、反射型空間光変調装置及び光源から構成された画像形成装置;透過型空間光変調装置及び光源から構成された画像形成装置;有機EL(Electro Luminescence)、無機EL、発光ダイオード(LED)等の発光素子から構成された画像形成装置を挙げることができるが、中でも、反射型空間光変調装置及び光源から構成された画像形成装置とすることが好ましい。空間光変調装置として、ライト・バルブ、例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の透過型あるいは反射型の液晶表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を挙げることができ、光源として発光素子を挙げることができる。更には、反射型空間光変調装置は、液晶表示装置、及び、光源からの光の一部を反射して液晶表示装置へと導き、且つ、液晶表示装置によって反射された光の一部を通過させて光学系へと導く偏光ビームスプリッターから成る構成とすることができる。光源を構成する発光素子として、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子、白色発光素子を挙げることができるし、あるいは又、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子から出射された赤色光、緑色光及び青色光をライトパイプを用いて混色、輝度均一化を行うことで白色光を得てもよい。発光素子として、例えば、半導体レーザ素子や固体レーザ、LEDを例示することができる。画素の数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき決定すればよく、画素の数の具体的な値として、320×240、432×240、640×480、1024×768、1920×1080等を例示することができる。
【0052】
あるいは又、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明における画像表示装置において、画像形成装置は、光源、及び、光源から出射された平行光を走査する走査手段を備えた形態とすることができる。尚、このような画像形成装置の構成を、便宜上、『第2の構成の画像形成装置』と呼ぶ。
【0053】
第2の構成の画像形成装置における光源として発光素子を挙げることができ、具体的には、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子、白色発光素子を挙げることができるし、あるいは又、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子から出射された赤色光、緑色光及び青色光をライトパイプを用いて混色、輝度均一化を行うことで白色光を得てもよい。発光素子として、例えば、半導体レーザ素子や固体レーザ、LEDを例示することができる。第2の構成の画像形成装置における画素(仮想の画素)の数も、画像表示装置に要求される仕様に基づき決定すればよく、画素(仮想の画素)の数の具体的な値として、320×240、432×240、640×480、1024×768、1920×1080等を例示することができる。また、カラーの画像表示を行う場合であって、光源を赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子から構成する場合、例えば、クロスプリズムを用いて色合成を行うことが好ましい。走査手段として、光源から出射された光を水平走査及び垂直走査する、例えば、二次元方向に回転可能なマイクロミラーを有するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)やガルバノ・ミラーを挙げることができる。
【0054】
第1の構成の画像形成装置あるいは第2の構成の画像形成装置において、光学系(出射光を平行光とする光学系であり、『平行光出射光学系』と呼ぶ場合があり、具体的には、例えば、コリメート光学系やリレー光学系)にて複数の平行光とされた光を導光板に入射させるが、このような、平行光であることの要請は、これらの光が導光板へ入射したときの光波面情報が、第1偏向手段と第2偏向手段を介して導光板から出射された後も保存される必要があることに基づく。尚、複数の平行光を生成させるためには、具体的には、例えば、平行光出射光学系における焦点距離の所(位置)に、例えば、画像形成装置の光出射部を位置させればよい。平行光出射光学系は、画素の位置情報を光学装置の光学系における角度情報に変換する機能を有する。平行光出射光学系として、凸レンズ、凹レンズ、自由曲面プリズム、ホログラムレンズを、単独、若しくは、組み合わせた、全体として正の光学的パワーを持つ光学系を例示することができる。平行光出射光学系と導光板との間には、平行光出射光学系から不所望の光が出射されて導光板に入射しないように、開口部を有する遮光部材を配置してもよい。
【0055】
導光板は、導光板の軸線(X軸)と平行に延びる2つの平行面(第1面及び第2面)を有している。光が入射する導光板の面を導光板入射面、光が出射する導光板の面を導光板出射面としたとき、第1面によって導光板入射面及び導光板出射面が構成されていてもよいし、第1面によって導光板入射面が構成され、第2面によって導光板出射面が構成されていてもよい。導光板を構成する材料として、石英ガラスやBK7等の光学ガラスを含むガラスや、プラスチック材料(例えば、PMMA、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、非晶性のポリプロピレン系樹脂、AS樹脂を含むスチレン系樹脂)を挙げることができる。導光板の形状は、平板に限定するものではなく、湾曲した形状を有していてもよい。
【0056】
本発明における頭部装着型ディスプレイにおいて、フレームは、観察者の正面に配置されるフロント部と、フロント部の両端に蝶番を介して回動自在に取り付けられた2つのテンプル部とから成る構成とすることができる。尚、各テンプル部の先端部にはモダン部が取り付けられている。画像表示装置はフレームに取り付けられているが、具体的には、例えば、画像形成装置をテンプル部に取り付ければよい。
【0057】
更には、本発明における頭部装着型ディスプレイにおいて、ノーズパッドが取り付けられている構成とすることができる。即ち、本発明における頭部装着型ディスプレイの全体を眺めたとき、フレーム及びノーズパッドの組立体は、通常の眼鏡と略同じ構造を有する。尚、リム部は、有っても、無くともよい。フレームを構成する材料は、金属や合金、プラスチック、これらの組合せといった、通常の眼鏡を構成する材料と同じ材料から構成することができる。ノーズパッドも周知の構成、構造とすることができる。
【0058】
前述したとおり、フロント部の中央部分に撮像装置が取り付けられている形態とすることができる。撮像装置は、具体的には、例えば、CCDあるいはCMOSセンサーから成る固体撮像素子とレンズから構成されている。撮像装置からの配線は、例えば、フロント部を介して、一方の画像表示装置(あるいは画像形成装置)に接続すればよく、更には、画像表示装置(あるいは画像形成装置)から延びる配線に含ませればよい。
【0059】
本発明における頭部装着型ディスプレイにあっては、デザイン上、あるいは、装着の容易性といった観点から、1つあるいは2つの画像表示装置(あるいは画像形成装置)からの配線(信号線や電源線等)が、テンプル部、及び、モダン部の内部を介して、モダン部の先端部から外部に延び、制御手段(制御装置、制御回路)に接続されている形態とすることが望ましい。更には、各画像表示装置(あるいは画像形成装置)はヘッドホン部を備えており、各画像表示装置(あるいは画像形成装置)からのヘッドホン部用配線が、テンプル部、及び、モダン部の内部を介して、モダン部の先端部からヘッドホン部へと延びている形態とすることもできる。ヘッドホン部として、例えば、インナーイヤー型のヘッドホン部、カナル型のヘッドホン部を挙げることができる。ヘッドホン部用配線は、より具体的には、モダン部の先端部から、耳介(耳殻)の後ろ側を回り込むようにしてヘッドホン部へと延びている形態とすることが好ましい。
【0060】
本発明における頭部装着型ディスプレイは、例えば、映画等の字幕の表示;映像に同期した映像に関する説明文やクローズド・キャプションの表示;芝居や歌舞伎、能、狂言、オペラ、音楽会、バレー、各種演劇、遊園地(アミューズメントパーク)、美術館、観光地、行楽地、観光案内等における観察対象物に関する各種説明、その内容や進行状況、背景等を説明するための説明文等の表示;各種装置等の観察対象物の運転、操作、保守、分解時等における各種説明や、記号、符号、印、標章、図案等の表示;人物や物品等の観察対象物に関する各種説明や、記号、符号、印、標章、図案等の表示;クローズド・キャプションの表示に用いることができる。芝居や歌舞伎、能、狂言、オペラ、音楽会、バレー、各種演劇、遊園地(アミューズメントパーク)、美術館、観光地、行楽地、観光案内等にあっては、適切なタイミングで観察対象物に関連した画像としての文字を画像表示装置において表示すればよい。具体的には、例えば、映画等の進行状況に応じて、あるいは又、芝居等の進行状況に応じて、所定のスケジュール、時間配分に基づき、作業者の操作によって、あるいは、コンピュータ等の制御下、指定識別符号が制御手段に送出され、画像(文字)が画像表示装置にて表示される。
【0061】
そして、画像形成装置への情報には、上述したとおり、例えば、表示すべき文字に関する輝度情報(輝度データ)、又は、色度情報(色度データ)、又は、輝度情報及び色度情報を含めることができる。輝度情報(輝度データ)は、光学装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の輝度に対応した輝度情報とすることができるし、色度情報(色度データ)は、光学装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の色度に対応した色度情報とすることができる。このように、文字に関する輝度情報を含めることで、表示される文字の輝度(明るさ)の制御を行うことができるし、文字に関する色度情報を含めることで、表示される文字の色度(色)の制御を行うことができるし、文字に関する輝度情報及び色度情報を含めることで、表示される文字の輝度(明るさ)及び色度(色)の制御を行うことができる。画像表示装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の輝度に対応した輝度情報とする場合、画像表示装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の輝度の値が高くなるほど、画像の輝度の値が高くなるように(即ち、画像がより明るく表示されるように)、輝度情報の値を設定すればよい。また、画像表示装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の色度に対応した色度情報とする場合、画像表示装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の色度と、表示すべき画像の色度とが、おおよそ補色関係となるように色度情報の値を設定すればよい。補色とは、色相環(color circle)で正反対に位置する関係の色の組み合わせ指す。赤に対しての緑、黄に対しての紫、青に対しての橙など、相補的な色のことでもある。或る色に別の色を適宜割合で混合して、光の場合は白、物体の場合は黒というように、彩度低下を引き起こす色についても云うが、並列した際の視覚的効果の相補性と混合した際の相補性は異なる。余色、対照色、反対色ともいう。但し、反対色は補色が相対する色を直接に指示するのに対し、補色の指示する範囲はやや広い。補色同士の色の組み合わせは互いの色を引き立て合う相乗効果があり、これは補色調和といわれる。
【実施例1】
【0062】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法(以下、「頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法」を『画像表示方法』と略称する場合がある)に関する。実施例1の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示装置の概念図を図1に示す。また、実施例1の頭部装着型ディスプレイにおいて、画像表示装置を構成する導光板における光の伝播を模式的に図2に示し、頭部装着型ディスプレイを上方から眺めた模式図を図3に示し、横から眺めた模式図を図4に示す。更には、実施例1の頭部装着型ディスプレイを正面から眺めた模式図を図5に示し、実施例1の頭部装着型ディスプレイを観察者の頭部に装着した状態を上方から眺めた図(但し、画像表示装置のみを示し、フレームの図示は省略)を図6に示し、実施例1の頭部装着型ディスプレイを使用している状態の概念図を図7及び図8に示す。また、実施例1におけるデータ群を構成するデータのデータ構造を、概念的に、図9に示す。更には、実施例1における送信装置のシステム構成ブロック図、及び、頭部装着型ディスプレイのシステム構成ブロック図を、それぞれ、図10の(A)及び(B)に示し、実施例1における送信装置での送信処理の流れを説明する図を図11に示し、実施例1における頭部装着型ディスプレイでの受信処理の流れを説明する図を図12に示す。
【0063】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例10の頭部装着型ディスプレイは、
(イ)観察者40の頭部に装着される眼鏡型のフレーム10、
(ロ)フレーム10に取り付けられた右眼用及び左眼用の2つの画像表示装置100,200,300,400,500、並びに、
(ハ)画像表示装置100,200,300,400,500における画像表示を制御する制御手段18、
を備えている。そして、各画像表示装置100,200,300,400,500は、
(A)画像形成装置111,211、及び、
(B)画像形成装置111,211から出射された光が入射され、導光され、出射される光学装置(導光手段)120,320,520、
を備えている。尚、各画像表示装置100,200,300,400,500は、更に、
(C)画像形成装置111,211から出射された光を平行光とする光学系(平行光出射光学系)112,254、
を備えている。ここで、光学系112,254は、画像形成装置111,211と光学装置120,320,520との間に配置されている。そして、光学系112,254にて平行光とされた光束が、光学装置120,320,520に入射され、導光され、出射される。画像形成装置111,211は、単色(例えば、緑色)の画像を表示する。また、光学装置120,320,520は半透過型(シースルー型)である。具体的には、少なくとも観察者40の両眼に対向する光学装置の部分(より具体的には、後述する導光板121,321及び第2偏向手段140,340)は、半透過(シースルー)である。尚、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例9にあっては、画像表示装置を2つ備えている両眼型としたが、場合に依っては、画像表示装置を1つ備えた片眼型としてもよい。
【0064】
尚、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例10において、画像形成装置111,211の中心から出射され、光学系112,254の画像形成装置側節点を通過した中心光線CLが光学装置120,320,520に入射する点を光学装置中心点Oとし、光学装置中心点Oを通過し、光学装置120,320,520の軸線方向と平行な軸線をX軸、光学装置中心点Oを通過し、光学装置120,320,520の法線と一致する軸線をY軸とする。尚、次に述べる第1偏向手段130,330の中心点が、光学装置中心点Oである。
【0065】
そして、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例6の光学装置120,320は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板121,321、
(b)導光板121,321に入射された光が導光板121,321の内部で全反射されるように、導光板121,321に入射された光を偏向させる第1偏向手段130,330、及び、
(c)導光板121,321の内部を全反射により伝播した光を導光板121,321から出射させるために、導光板121,321の内部を全反射により伝播した光を複数回に亙り偏向させる第2偏向手段140,340、
を備えている。
【0066】
ここで、実施例1において、第1偏向手段130及び第2偏向手段140は導光板121の内部に配設されている。そして、第1偏向手段130は、導光板121に入射された光を反射し、第2偏向手段140は、導光板121の内部を全反射により伝播した光を、複数回に亙り、透過、反射する。即ち、第1偏向手段130は反射鏡として機能し、第2偏向手段140は半透過鏡として機能する。より具体的には、導光板121の内部に設けられた第1偏向手段130は、アルミニウム(Al)から成り、導光板121に入射された光を反射させる光反射膜(一種のミラー)から構成されている。一方、導光板121の内部に設けられた第2偏向手段140は、誘電体積層膜が多数積層された多層積層構造体から構成されている。誘電体積層膜は、例えば、高誘電率材料としてのTiO2膜、及び、低誘電率材料としてのSiO2膜から構成されている。誘電体積層膜が多数積層された多層積層構造体に関しては、特表2005−521099に開示されている。図面においては6層の誘電体積層膜を図示しているが、これに限定するものではない。誘電体積層膜と誘電体積層膜との間には、導光板121を構成する材料と同じ材料から成る薄片が挟まれている。尚、第1偏向手段130においては、導光板121に入射された平行光が導光板121の内部で全反射されるように、導光板121に入射された平行光が反射(又は回折)される。一方、第2偏向手段140においては、導光板121の内部を全反射により伝播した平行光が複数回に亙り反射(又は回折)され、導光板121から平行光の状態で、観察者40の瞳41に向かって出射される。
【0067】
第1偏向手段130は、導光板121の第1偏向手段130を設ける部分124を切り出すことで、導光板121に第1偏向手段130を形成すべき斜面を設け、係る斜面に光反射膜を真空蒸着した後、導光板121の切り出した部分124を第1偏向手段130に接着すればよい。また、第2偏向手段140は、導光板121を構成する材料と同じ材料(例えば、ガラス)と誘電体積層膜(例えば、真空蒸着法にて成膜することができる)とが多数積層された多層積層構造体を作製し、導光板121の第2偏向手段140を設ける部分125を切り出して斜面を形成し、係る斜面に多層積層構造体を接着し、研磨等を行って、外形を整えればよい。こうして、導光板121の内部に第1偏向手段130及び第2偏向手段140が設けられた光学装置120を得ることができる。
【0068】
ここで、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例6において、光学ガラスやプラスチック材料から成る導光板121,321は、導光板121,321の内部全反射による光伝播方向(X軸)と平行に延びる2つの平行面(第1面122,322及び第2面123,323)を有している。第1面122,322と第2面123,323とは対向している。そして、光入射面に相当する第1面122,322から平行光が入射され、内部を全反射により伝播した後、光出射面に相当する第1面122,322から出射される。但し、これに限定するものではなく、第2面123,323によって光入射面が構成され、第1面122,322によって光出射面が構成されていてもよい。
【0069】
実施例1あるいは後述する実施例3において、画像形成装置111は、第1の構成の画像形成装置であり、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有する。具体的には、画像形成装置111は、反射型空間光変調装置150、及び、白色光を出射する発光ダイオードから成る光源153から構成されている。各画像形成装置111全体は、筐体113(図1あるいは図15では、一点鎖線で示す)内に納められており、係る筐体113には開口部(図示せず)が設けられており、開口部を介して光学系(平行光出射光学系,コリメート光学系)112から光が出射される。反射型空間光変調装置150は、ライト・バルブとしてのLCOSから成る液晶表示装置(LCD)151、及び、光源153からの光の一部を反射して液晶表示装置151へと導き、且つ、液晶表示装置151によって反射された光の一部を通過させて光学系112へと導く偏光ビームスプリッター152から構成されている。液晶表示装置151は、2次元マトリクス状に配列された複数(例えば、640×480個)の画素(液晶セル)を備えている。偏光ビームスプリッター152は、周知の構成、構造を有する。光源153から出射された無偏光の光は、偏光ビームスプリッター152に衝突する。偏光ビームスプリッター152において、P偏光成分は通過し、系外に出射される。一方、S偏光成分は、偏光ビームスプリッター152において反射され、液晶表示装置151に入射し、液晶表示装置151の内部で反射され、液晶表示装置151から出射される。ここで、液晶表示装置151から出射した光の内、「白」を表示する画素から出射した光にはP偏光成分が多く含まれ、「黒」を表示する画素から出射した光にはS偏光成分が多く含まれる。従って、液晶表示装置151から出射され、偏光ビームスプリッター152に衝突する光の内、P偏光成分は、偏光ビームスプリッター152を通過し、光学系112へと導かれる。一方、S偏光成分は、偏光ビームスプリッター152において反射され、光源153に戻される。光学系112は、例えば、凸レンズから構成され、平行光を生成させるために、光学系112における焦点距離の所(位置)に画像形成装置111(より具体的には、液晶表示装置151)が配置されている。
【0070】
フレーム10は、観察者40の正面に配置されるフロント部11と、フロント部11の両端に蝶番12を介して回動自在に取り付けられた2つのテンプル部13と、各テンプル部13の先端部に取り付けられたモダン部(先セル、耳あて、イヤーパッドとも呼ばれる)14から成る。また、ノーズパッド10’が取り付けられている。即ち、フレーム10及びノーズパッド10’の組立体は、基本的には、通常の眼鏡と略同じ構造を有する。更には、各筐体113が、取付け部材19によってテンプル部13に取り付けられている。フレーム10は、金属又はプラスチックから作製されている。尚、各筐体113は、取付け部材19によってテンプル部13に着脱自在に取り付けられていてもよい。また、眼鏡を所有し、装着している観察者に対しては、観察者の所有する眼鏡のフレームのテンプル部に、各筐体113を取付け部材19によって着脱自在に取り付けてもよい。
【0071】
更には、画像形成装置111A,111Bから延びる配線(信号線や電源線等)15が、テンプル部13、及び、モダン部14の内部を介して、モダン部14の先端部から外部に延び、制御手段(制御回路、制御装置)18に接続されている。更には、各画像形成装置111A,111Bはヘッドホン部16を備えており、各画像形成装置111A,111Bから延びるヘッドホン部用配線16’が、テンプル部13、及び、モダン部14の内部を介して、モダン部14の先端部からヘッドホン部16へと延びている。ヘッドホン部用配線16’は、より具体的には、モダン部14の先端部から、耳介(耳殻)の後ろ側を回り込むようにしてヘッドホン部16へと延びている。このような構成にすることで、ヘッドホン部16やヘッドホン部用配線16’が乱雑に配置されているといった印象を与えることがなく、すっきりとした頭部装着型ディスプレイとすることができる。
【0072】
また、フロント部11の中央部分11’には、CCDあるいはCMOSセンサーから成る固体撮像素子とレンズ(これらは図示せず)とから構成された撮像装置17が、適切な取付部材(図示せず)によって取り付けられている。撮像装置17からの信号は、撮像装置17から延びる配線(図示せず)を介して、画像形成装置111Aに送出される。
【0073】
実施例1の画像表示方法にあっては、演劇において演劇者の会話等を頭部装着型ディスプレイにおいて表示するものとする。周知の回路構成から構成された制御手段18に備えられたメモリカードから成る記憶手段(図示せず)にはデータ群が記憶されている。ここで、実施例1にあっては、データ群は、演劇において演劇者の会話等を、例えば、1場面、1場面、編集した、文字列を画像とした画像データであるデータの集合体とした。画像データのファイル形式は本質的に任意である。図9に、データ群を構成するデータのデータ構造を概念的に図示する。ここで、データ群を構成する各データには指定識別符号が付されている。指定識別符号は、例えば数字から成る。
【0074】
実施例1における送信装置(送信手段)51のシステム構成ブロック図、及び、頭部装着型ディスプレイにおける制御手段18のシステム構成ブロック図を、それぞれ、図10の(A)及び(B)に示し、実施例1における送信装置51での送信処理の流れを説明する図を図11に示し、実施例1における制御手段18での受信処理の流れを説明する図を図12に示す。
【0075】
周知の回路構成から成る送信装置51には、例えば、パーソナルコンピュータ52、及び、周知の液晶表示装置から成る表示装置53が備えられている。そして、この表示装置53には、図13に示すように、例えば、指定識別符号、データ群を構成する複数のデータ、及び、各データの全表示時間、更には、輝度情報が表示されている。尚、この表示装置53には、更に、データを構成する表示データ(異サイズ・表示データや異言語・表示データ)を表示する領域が設けられているし、送信装置51からの各種情報を受信する頭部装着型ディスプレイの台数を表示する領域も設けられている。更には、全表示時間Ttotalに対する表示時間情報TInfの割合を「横棒」によって表示する領域も設けられている。「指定識別符号等の表示領域」において、斜線を付した部分はカーソルが置かれ、表示色が反転した行を示している。
【0076】
そして、演劇において演劇者の或る会話が開始する直前、外部から指定識別符号及び表示時間情報が所定の時間間隔で制御手段18に送られる。具体的には、例えば、パーソナルコンピュータ52に備えられたポインティングデバイスやキーボード(これらは図示せず)を作業者が操作することで、表示装置53に表示された指定識別符号、データ群を構成する複数のデータ、及び、各データの全表示時間が表示された行を指定することで、パーソナルコンピュータ52は、指定された指定識別符号及び全表示時間を読み出し、表示時間情報を求め、表示パケットを作成し、同期信号と共に、指定識別符号及び表示時間情報を、頭部装着型ディスプレイにおける制御手段18に向けて送信する。尚、ポインティングデバイスとして、例えば、ジョイスティック、ポインティング・スティック(トラックポイント)、タッチパッド、タッチパネル、スタイラスペン、データグローブ、トラックボール、ペンタブレット、マウス、ライトペン、ジョイパッドを例示することができる。
【0077】
具体的には、前述したとおり、表示時間情報TInfは、全表示時間Ttotal及び所定の時間間隔Tintを用いて、
Inf(m)=Ttotal−(m−1)×Tint
で表すことができる。そして、外部(送信装置51)から、指定識別符号及び表示時間情報TInfが所定の時間間隔Tintで制御手段18に送られる。例えば、
total=10.0秒
int =0.1秒
とすると、第1回目(m=1)に外部(送信装置51)から指定識別符号及び表示時間情報が制御手段18に送られてきたときの表示時間情報TInf(m)は、
Inf(1)=10.0秒
である。
【0078】
送信装置51内では、TInf=0(秒)となったかを調べ、TInfが0秒ではない場合、タイマー待ちとして、TInfをTint(具体的には、0.1秒)だけ減じ、Tint(具体的には、0.1秒)が経過した後、再び、今度は、
Inf(2)=9.9秒
として、指定識別符号及び表示時間情報TInf(2)を送出する。これを、TInf=0(秒)となるまで、繰り返す。
【0079】
制御手段18においては、指定識別符号及びデータ識別符号を受信すると、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出す。そして、送られてきた表示時間情報TInfに相当する時間の間、このデータに基づく画像を画像形成装置111A,111Bにおいて表示する。ここで、画像形成装置111A,111Bにおいて画像の表示が開始された場合には、それ以降に外部(送信装置51)から同じ指定識別符号及び異なる表示時間情報TInfが制御手段18に送られてきても、制御手段18はこれらの指定識別符号及び表示時間情報TInfを無視して、画像を表示し続ける。このような動作にあっては、制御手段18において、フラグ(受信完了フラグ)を立てればよい。一方、第1回目から第(m’−1)回目まで、送信装置51からの指定識別符号及び/又は表示時間情報TInfの受信に制御手段18が何らかの理由で失敗し、第m’回目に、初めて、送信装置51からの指定識別符号及び表示時間情報TInf(m’)の受信に制御手段18が成功した場合、
Inf(m’)=Ttotal−(m’−1)×Tint
の時間の間、データに基づく画像を画像形成装置111A,111Bにおいて表示する。
【0080】
このように、実施例1の画像表示方法にあっては、外部から送られてきた指定識別符号及び/又は表示時間情報の受信が制御手段において失敗した場合でも、再度、あるいは、繰り返し、指定識別符号及び表示時間情報の受信を試行することができる。それ故、指定識別符号及び表示時間情報を確実に受信することができる。その結果、例えば、複数の頭部装着型ディスプレイにおいて指定識別符号及び表示時間情報を受信する場合でも、複数の頭部装着型ディスプレイにおいて、確実に、同時に同じ画像の表示が可能となるし、頭部装着型ディスプレイにおいて画像が表示できないという問題の発生を確実に回避することができる。
【0081】
実施例1においては、更に、輝度情報によって輝度を制御した状態で、画像を画像形成装置111A,111Bにおいて表示することができる。具体的には、指定識別符号及び表示時間情報に加え、光学装置において表示すべき画像の輝度情報を、外部(送信装置51)から頭部装着型ディスプレイに送出することで、表示される画像の視認性を高めることができる。あるいは又、受光センサーを更に備えており、受光センサーによって得られた環境(頭部装着型ディスプレイあるいは観察対象物の置かれた雰囲気)の輝度情報に基づき、光学装置において表示すべき画像の輝度を制御する構成とすることもできる。受光センサーとして、具体的には、フォトダイオードや、撮像装置17に備えられた露出測定用の受光素子を挙げることができる。
【0082】
このように、実施例1の頭部装着型ディスプレイにおいて、表示すべき文字に関する輝度情報(輝度データ)や色度情報(色度データ)を含めれば、会話等を示す文字が、文字の背景に依存して視認し難くなることを確実に防止することができる。尚、輝度情報として、画像表示装置を通して眺めた観察対象物(登場人物や背景等)を含む所定の領域(例えば、舞台全体の下方三分の一に相当する領域)の輝度に対応した輝度情報を例示することができる。また、色度情報として、画像表示装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の色度に対応した色度情報とすることができる。特に、半透過型(シースルー型)の光学装置越しに見るスクリーンや舞台等の明るさと、光学装置に表示される文字の明るさや色のバランスが一定の範囲にないと、字幕やスクリーン、舞台等を良好に観察することが困難となる場合があるが、表示すべき文字の明るさや色をスクリーンや舞台等に合わせることができ、文字を良好に視認することができる。即ち、観察者(観客)が眺めた観察対象物等の説明等のための文字が、文字の背景に依存して視認し難くなることを確実に防止することが可能である。
【0083】
尚、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7の頭部装着型ディスプレイにあっては、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
制御手段は、外部から所定の時間間隔で送られてきた指定識別符号及び表示時間情報を受け取り、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出し、
送られてきた表示時間情報に相当する時間の間、このデータに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【実施例2】
【0084】
実施例2は、実施例1における画像表示装置の変形である。実施例2あるいは後述する実施例4の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示装置200,400の概念図を図14及び図16に示すように、画像形成装置211は、第2の構成の画像形成装置から構成されている。即ち、光源251、及び、光源251から出射された平行光を走査する走査手段253を備えている。より具体的には、画像形成装置211は、
光源251、
光源251から出射された光を平行光とするコリメート光学系252、
コリメート光学系252から出射された平行光を走査する走査手段253、及び、
走査手段253によって走査された平行光をリレーし、出射するリレー光学系254、
から構成されている。尚、画像形成装置211全体が筐体213(図14及び図16では、一点鎖線で示す)内に納められており、係る筐体213には開口部(図示せず)が設けられており、開口部を介してリレー光学系254から光が出射される。そして、各筐体213が、取付け部材19によって、テンプル部13に取り付けられている。
【0085】
光源251は、白色を発光する発光素子から構成されている。そして、光源251から出射された光は、全体として正の光学的パワーを持つコリメート光学系252に入射し、平行光として出射される。そして、この平行光は、全反射ミラー256で反射され、マイクロミラーを二次元方向に回転自在とし、入射した平行光を2次元的に走査することができるMEMSから成る走査手段253によって水平走査及び垂直走査が行われ、一種の2次元画像化され、仮想の画素(画素数は、例えば、実施例1と同じとすることができる)が生成される。そして、仮想の画素からの光は、周知のリレー光学系から構成されたリレー光学系(平行光出射光学系)254を通過し、平行光とされた光束が光学装置120に入射する。
【0086】
リレー光学系254にて平行光とされた光束が入射され、導光され、出射される光学装置120は、実施例1にて説明した光学装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。また、実施例2の頭部装着型ディスプレイは、以上の相違点を除き、実施例1の頭部装着型ディスプレイと同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0087】
実施例3も、実施例1における画像表示装置の変形である。実施例3の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示装置300の概念図を図15の(A)に示す。また、反射型体積ホログラム回折格子の一部を拡大して示す模式的な断面図を図15の(B)に示す。実施例3にあっては、画像形成装置111は、実施例1と同様に、第1の構成の画像形成装置から構成されている。また、光学装置320は、第1偏向手段及び第2偏向手段の構成、構造が異なる点を除き、基本的な構成、構造は、実施例1の光学装置120と同じである。
【0088】
実施例3において、第1偏向手段及び第2偏向手段は導光板321の表面(具体的には、導光板321の第2面323)に配設されている。そして、第1偏向手段は、導光板321に入射された光を回折し、第2偏向手段は、導光板321の内部を全反射により伝播した光を、複数回に亙り、回折する。ここで、第1偏向手段及び第2偏向手段は、回折格子素子、具体的には反射型回折格子素子、より具体的には反射型体積ホログラム回折格子から成る。以下の説明において、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1偏向手段を、便宜上、『第1回折格子部材330』と呼び、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2偏向手段を、便宜上、『第2回折格子部材340』と呼ぶ。
【0089】
そして、実施例3あるいは後述する実施例4において、第1回折格子部材330及び第2回折格子部材340は、1層の回折格子層が積層されて成る構成としている。尚、フォトポリマー材料から成る各回折格子層には、1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されており、従来の方法で作製されている。回折格子層(回折光学素子)に形成された干渉縞のピッチは一定であり、干渉縞は直線状であり、Z軸に平行である。尚、第1回折格子部材330及び第2回折格子部材340の軸線はX軸と平行であり、法線はY軸と平行である。
【0090】
図15の(B)に反射型体積ホログラム回折格子の拡大した模式的な一部断面図を示す。反射型体積ホログラム回折格子には、傾斜角φを有する干渉縞が形成されている。ここで、傾斜角φとは、反射型体積ホログラム回折格子の表面と干渉縞の成す角度を指す。干渉縞は、反射型体積ホログラム回折格子の内部から表面に亙り、形成されている。干渉縞は、ブラッグ条件を満たしている。ここで、ブラッグ条件とは、以下の式(A)を満足する条件を指す。式(A)中、mは正の整数、λは波長、dは格子面のピッチ(干渉縞を含む仮想平面の法線方向の間隔)、Θは干渉縞へ入射する角度の余角を意味する。また、入射角ψにて回折格子部材に光が侵入した場合の、Θ、傾斜角φ、入射角ψの関係は、式(B)のとおりである。
【0091】
m・λ=2・d・sin(Θ) (A)
Θ=90°−(φ+ψ) (B)
【0092】
第1回折格子部材330は、上述したとおり、導光板321の第2面323に配設(接着)されており、第1面322から導光板321に入射されたこの平行光が導光板321の内部で全反射されるように、導光板321に入射されたこの平行光を回折反射する。更には、第2回折格子部材340は、上述したとおり、導光板321の第2面323に配設(接着)されており、導光板321の内部を全反射により伝播したこの平行光を、複数回、回折反射し、導光板321から平行光のまま第1面322から出射する。
【0093】
そして、導光板321にあっても、平行光が内部を全反射により伝播した後、出射される。このとき、導光板321が薄く導光板321の内部を進行する光路が長いため、各画角によって第2回折格子部材340に至るまでの全反射回数は異なっている。より詳細に述べれば、導光板321に入射する平行光のうち、第2回折格子部材340に近づく方向の角度をもって入射する平行光の反射回数は、第2回折格子部材340から離れる方向の角度をもって導光板321に入射する平行光の反射回数よりも少ない。これは、第1回折格子部材330において回折反射される平行光であって、第2回折格子部材340に近づく方向の角度をもって導光板321に入射する平行光の方が、これと逆方向の角度をもって導光板321に入射する平行光よりも、導光板321の内部を伝播していく光が導光板321の内面と衝突するときの導光板321の法線と成す角度が小さくなるからである。また、第2回折格子部材340の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材330の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板321の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にある。
【0094】
後述する実施例4における導光板321も、基本的には、以上に説明した導光板321の構成、構造と同じ構成、構造を有する。実施例3の頭部装着型ディスプレイは、以上の相違点を除き、実施例1の頭部装着型ディスプレイと同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0095】
実施例4は、実施例3における画像表示装置の変形である。実施例4の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示装置の概念図を図16に示す。実施例4の画像表示装置400における光源251、コリメート光学系252、走査手段253、平行光出射光学系(リレー光学系254)等は、実施例2と同じ構成、構造(第2の構成の画像形成装置)を有する。また、実施例4における光学装置320は、実施例3における光学装置320と同じ構成、構造を有する。実施例4の頭部装着型ディスプレイは、以上の相違点を除き、実質的に、実施例1、実施例2の頭部装着型ディスプレイと同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例5】
【0096】
実施例5は、実施例1〜実施例4における画像表示装置の変形である。実施例5の頭部装着型ディスプレイにおいて、画像表示装置を構成する導光板等の配置状態を示す概念図を、図17(A)及び(B)に示し、実施例5における頭部装着型ディスプレイを横から眺めた模式図を図18に示す。
【0097】
実施例1〜実施例4にあっては、図2に示したように、画像表示装置100,300において、画像形成装置111,211の中心から出射され、光学系112,254の画像形成装置側節点を通過した中心光線CLは、導光板121,321に垂直に衝突する設計となっている。即ち、中心光線CLは、導光板121,321へ、入射角0度で入射する設計となっている。そして、この場合、表示される画像の中心は、導光板121,321の第1面122,322の垂線方向に一致する。
【0098】
即ち、画像表示装置100で代表させるこのような画像表示装置にあっては、図2に示したように、コリメート光学系112の光軸上にある画像形成装置111の中心から出射する中心光線CLは、コリメート光学系112にて略平行光に変換された後、導光板121の第1面(入射面)122に垂直に入射する。そして、第1偏向手段130により第1面122と第2面123との間で全反射されながら、伝播方向Aに沿って進む。続いて、この中心光線CLは、第2偏向手段140により反射、回折され、導光板121の第1面122から垂直に出射され、観察者(観客)40の瞳41に達する。
【0099】
シースルー型の頭部装着型ディスプレイにおいて、観察者(観客)が、水平方向に位置する観察対象物を眺めたときに、光学装置120,320,520が邪魔にならないようにするためには、観察者の水平方向の視線(観察者の水平方向視線)よりも、光学装置120,320,520を下側にずらして配置することが好ましい。このような場合、画像表示装置100,300、全体を、観察者の水平方向視線の下側に配置する。ところで、このような構成にあっては、図23に示すように、画像表示装置100、全体を、角度θ”だけ傾ける必要があり、観察者の頭部への装着のための眼鏡型のフレームの取付部(テンプル部)との関係から、画像表示装置100を傾けることができる角度θ”が制限されたり、デザイン自由度が低くなる場合がある。それ故、観察者の水平方向視線の邪魔にならないように、高い自由度での配置を可能とし、しかも、高いデザイン自由度を有する画像表示装置とすることが、一層、望ましい。
【0100】
実施例5にあっては、中心光線CLは、XY平面と0度以外の角度(θ)で交わる構成とした。更には、中心光線CLはYZ平面に含まれる構成とした。更には、実施例5あるいは後述する実施例6において、光学系112,254の光軸は、YZ平面に含まれ、且つ、XY平面と0度以外の角度、具体的には、角度θで交わる(図17の(A)及び(B)参照)。また、実施例5あるいは後述する実施例6において、XY平面が水平面と一致すると仮定したとき、中心光線CLがXY平面と交わる角度θは仰角である。即ち、XY平面の下側から中心光線CLがXY平面に向い、XY平面と衝突する。そして、XY平面は垂直面と0度以外の角度、具体的には、角度θで交わる。
【0101】
実施例5にあっては、θ=5度とした。より具体的には、このような構成にあっては、中心光線CL(図18では、点線で示す)は、水平面に含まれる。そして、光学装置120,320,520は、垂直面に対して角度θだけ傾いている。云い換えれば、光学装置120,320,520は、水平面に対して角度(90−θ)度だけ傾いている。また、光学装置120,320,520から出射される中心光線CL’(図18では、一点鎖線で示す)は、水平面に対して角度2θだけ傾いている。即ち、観察者が、水平方向、無限遠方の対象物を眺めたとき、光学装置120,320,520から出射され、観察者の瞳に入射する中心光線CL’は俯角θ’(=2θ)をなす(図18参照)。中心光線CL’が光学装置120,320,520の法線と成す角度はθである。図17の(A)あるいは後述する図19の(A)においては、光学装置120,320,520から中心光線CL’が出射される点を「O’」で示し、点O’を通過するX軸、Y軸、Z軸と平行な軸線をX’軸、Y’軸、Z’軸で表している。
【0102】
実施例5の画像表示装置にあっては、中心光線CLは、XY平面と0度以外の角度(θ)で交わる。ここで、光学装置から出射され、観察者(観客)の瞳に入射する中心光線CL’は俯角θ’をなすが、
θ’=2θ
の関係にある。一方、図23に示した例にあっては、同じ俯角を得ようとする場合、画像表示装置の全体を角度θ”だけ傾ける必要があるが、ここで、θ”とθの関係は、
θ”=2θ
であり、結局、図23に示した例にあっては、光学装置を垂直面に対して2θだけ、傾けなければならない。一方、実施例5にあっては、光学装置を垂直面に対してθだけ、傾ければよいし、画像形成装置を水平に保持すればよい。従って、画像表示装置を眼鏡型のフレームの取付部に取り付けるときの画像表示装置の取付け角度に対する制限が少なく、高いデザイン自由度を得ることができる。また、光学装置の垂直面に対する傾きが、図23に示した例よりも小さいので、外光が光学装置にて反射し、観察者(観客)の瞳に入射するといった現象が生じ難い。それ故、より高品質の画像の表示を行うことができる。
【0103】
実施例5の頭部装着型ディスプレイは、以上の相違点を除き、実施例1〜実施例4の頭部装着型ディスプレイと同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例6】
【0104】
実施例6は、実施例5における画像表示装置の変形である。実施例6における画像表示装置を構成する導光板等の配置状態を示す概念図を図19(A)及び(B)に示す。ここで、実施例6にあっては、光学系(平行光出射光学系,コリメート光学系)112の光軸は、YZ平面と平行であり、XY平面と平行であり、且つ、画像形成装置111の中心から外れた位置を通過する。このような構成とすることで、中心光線CLは、YZ平面に含まれ、しかも、XY平面と仰角θをなして交わる。実施例6の頭部装着型ディスプレイは、以上の相違点を除き、実施例1〜実施例5の頭部装着型ディスプレイと同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例7】
【0105】
実施例7も、実施例1における画像表示装置の変形である。実施例7の頭部装着型ディスプレイを正面から眺めた模式図を図20に示し、上方から眺めた模式図を図21に示す。
【0106】
実施例7にあっては、光学装置520は、画像形成装置111A,111Bから出射された光が入射され、観察者40の瞳41に向かって出射される半透過ミラーから構成されている。尚、実施例7にあっては、画像形成装置111A,111Bから出射された光は、ガラス板やプラスチック板等の透明な部材521の内部を伝播して光学装置520(半透過ミラー)に入射する構造としているが、空気中を伝播して光学装置520に入射する構造としてもよい。また、画像形成装置は、実施例2において説明した画像形成装置211とすることもできる。
【0107】
各画像形成装置111A,111Bは、フロント部11に、例えば、ビスを用いて取り付けられている。また、部材521が各画像形成装置111A,111Bに取り付けられ、光学装置520(半透過ミラー)が部材521に取り付けられている。実施例7の頭部装着型ディスプレイは、以上の相違点を除き、実質的に、実施例1〜実施例6の頭部装着型ディスプレイと同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例8】
【0108】
実施例8は、本発明の第2の態様に係る画像表示方法に関し、更には、実施例1の画像表示方法の変形である本発明の第1−Aの態様に係る画像表示方法に関する。実施例8にあっては、実施例1〜実施例7において説明した頭部装着型ディスプレイ、画像表示装置を適用することができる。但し、実施例8においては、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離を設定するために、制御手段18に切換えボタン(図10の(B)参照)やスイッチが設けられている。そして、観察者(観客)の座る座席に応じて、手動にて、即ち、切換えボタンやスイッチを操作することで、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離を設定する。一例として、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離として、「近距離」、「中距離」、「遠距離」、「遠々距離」といった4種類の距離の設定を例示することができる。
【0109】
実施例8の画像表示方法にあっては、実施例1と同様に、制御手段18に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されている。
【0110】
但し、実施例1と異なり、各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されている。具体的には、実施例8にあっては、表示サイズが異なる表示データとして、フォントサイズの異なる文字列を画像とした画像データとする。尚、1つの異サイズ・表示データのデータ構造は、図9に示したと同様とすることができ、各データには、実施例1と同様に、データ識別符号が付されている。
【0111】
実施例8にあっても、実施例1と同様に、外部(送信装置51)から指定識別符号が制御手段18に送られる。そして、制御手段18において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、具体的には、制御手段18に設けられた切換えボタンやスイッチを操作することで設定された頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、この1つの異サイズ・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する。
【0112】
尚、実施例8にあっても、実施例1と同様に、外部(送信装置51)から指定識別符号及び表示時間情報TInfが所定の時間間隔Tintで制御手段18に送られ、送られてきた表示時間情報TInfに相当する時間の間、画像を画像形成装置において表示する、本発明の第1−Aの態様に係る画像表示方法とすることもできる。
【0113】
尚、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離情報が、外部から頭部装着型ディスプレイに無線によって送出される構成とすることもできる。あるいは又、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離を測定する距離測定装置を頭部装着型ディスプレイは更に備えており、距離測定装置によって距離情報を得る構成とすることもできる。距離測定装置として、例えば、撮像装置17を、オートフォーカス機能付き撮像装置(パッシブ方式の距離測定装置を有する撮像装置)とすればよい。
【0114】
このように、実施例8の画像表示方法にあっては、制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、この1つの異サイズ・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示するので、観察対象物の目視される大きさと画像の大きさとの間に不釣り合いが生じ難い。
【0115】
尚、実施例8の頭部装着型ディスプレイにあっては、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されており、
制御手段は、外部から送られてきた指定識別符号を受け取り、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、
この1つの異サイズ・表示データに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【0116】
そして、このような実施例8の頭部装着型ディスプレイであって、本発明の第1−Aの態様に係る画像表示方法の実行に適した頭部装着型ディスプレイにあっては、実施例1にて説明した頭部装着型ディスプレイにおいて、
各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されており、
制御手段は、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、
この1つの異サイズ・表示データに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【実施例9】
【0117】
実施例9は、本発明の第3の態様に係る画像表示方法に関し、更には、実施例1の画像表示方法の変形である本発明の第1−Bの態様に係る画像表示方法、本発明の第1−A’の態様に係る画像表示方法、実施例8の画像表示方法の変形である本発明の第2−Aの態様に係る画像表示方法に関する。実施例9にあっても、実施例1〜実施例7において説明した頭部装着型ディスプレイ、画像表示装置を適用することができる。
【0118】
そして、実施例9の画像表示方法にあっても、実施例1と同様に、制御手段18に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されている。
【0119】
但し、実施例1と異なり、各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されている。例えば、言語として、中国語、韓国語、英語等を挙げることができる。具体的には、実施例9にあっては、表示言語が異なるが異なる表示データとして、異なる言語の文字列を画像とした画像データとする。尚、1つの異言語・表示データのデータ構造は、図9に示したと同様とすることができ、各データには、実施例1と同様に、データ識別符号が付されている。
【0120】
実施例9にあっても、実施例1と同様に、外部(送信装置51)から指定識別符号が制御手段18に送られる。そして、制御手段18において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、この1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する。制御手段18に切換えボタン(図10の(B)参照)やスイッチを設け、手動にて表示言語を選択すればよい。
【0121】
このように、実施例9の画像表示方法にあっては、制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、この1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示するので、観察者(観客)の使用する言語での画像表示を容易に行うことができる。
【0122】
尚、実施例9にあっても、実施例1にて説明した画像表示方法を適用することができる。即ち、本発明の第1−Bの態様に係る画像表示方法を適用することができる。具体的には、実施例9において、実施例1と同様に、制御手段18において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、この1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する。即ち、外部(送信装置51)から指定識別符号及び表示時間情報TInfが所定の時間間隔Tintで制御手段18に送られ、送られてきた表示時間情報TInfに相当する時間の間、画像を画像形成装置において表示する。
【0123】
また、実施例9の画像表示方法と実施例8の画像表示方法とを組み合わせることもできる。即ち、実施例1の画像表示方法の変形である本発明の第1−A’の態様に係る画像表示方法、あるいは又、実施例8の画像表示方法の変形である本発明の第2−Aの態様に係る画像表示方法に則って説明すれば、各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、制御手段18において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、この1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、この1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示してもよい。そして、この場合、外部(送信装置51)から指定識別符号及び表示時間情報TInfが所定の時間間隔Tintで制御手段18に送られ、送られてきた表示時間情報TInfに相当する時間の間、画像を画像形成装置において表示する。
【0124】
尚、実施例9の頭部装着型ディスプレイにあっては、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段は、外部から送られてきた指定識別符号を受け取り、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、
この1つの異言語・表示データに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【0125】
そして、このような実施例9の頭部装着型ディスプレイであって、本発明の第1−Bの態様に係る画像表示方法の実行に適した頭部装着型ディスプレイにあっては、実施例1にて説明した頭部装着型ディスプレイにおいて、
各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段は、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、
この1つの異言語・表示データに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【0126】
また、このような実施例9の頭部装着型ディスプレイであって、本発明の第1−A’の態様に係る画像表示方法の実行に適した頭部装着型ディスプレイにあっては、実施例1にて説明した頭部装着型ディスプレイにおいて、
各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段は、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、この1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、
この1つの異言語・表示データに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【0127】
また、このような実施例9の頭部装着型ディスプレイであって、本発明の第2−Aの態様に係る画像表示方法の実行に適した頭部装着型ディスプレイにあっては、
各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段は、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、この1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、
この1つの異言語・表示データに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【実施例10】
【0128】
実施例10は、本発明の第4の態様に係る画像表示方法に関し、更には、実施例1の画像表示方法の変形である本発明の第1−Cの態様に係る画像表示方法、本発明の第4−Aの態様に係る画像表示方法、本発明の第4−A’の態様に係る画像表示方法、本発明の第4−Bの態様に係る画像表示方法に関する。実施例10にあっても、実施例1〜実施例7において説明した頭部装着型ディスプレイ、画像表示装置を適用することができる。
【0129】
そして、実施例10の画像表示方法にあっても、実施例1と同様に、制御手段18に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されている。尚、各データは、実施例1にて説明したと同様のデータ構造を有し、実施例1と同様に、データ識別符号が付されている。
【0130】
実施例10にあっても、実施例1と同様に、外部(送信装置51)から指定識別符号が制御手段18に送られる。そして、制御手段18において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存してデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態でこのデータに基づく画像を画像形成装置において表示する。尚、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離に基づき、少なくとも一方の画像表示装置を構成する画像形成装置へのデータに対する画像処理を行えばよいが、実施例10においては、両方の画像表示装置を構成する画像形成装置へのデータに対する画像処理を行う。
【0131】
ここで、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離の設定等は、実施例8にて説明したと同様とすればよい。
【0132】
図22に基づき、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理、即ち、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離に対応した輻輳角の調整の説明を行う。ここで、画像表示装置によって表示されるデータに基づく画像(文字)の虚像距離を『a』とし、このときの画像に対する輻輳角を『α』とする。また、『γ』を、虚像距離aから『c』だけ遠ざかった場合の画像における輻輳角とし、『β』を、虚像距離aから『b』だけ近づいた場合の画像における輻輳角とする。更には、左右の瞳間距離を『D』とする。ここで、仮に、
D=61.5mm
a=4000mm
とすると、
α=53分(53’)
となる。
【0133】
画像形成装置における1画素を、3分(3’)と定義する。ここで、画像表示位置を、所定の位置から水平方向に1画素分、内側にずらしたとすると、
β=56分(56’)
となり、
b=225mm
となる。一方、画像表示位置を、所定の位置から水平方向に1画素分、外側にずらしたとすると、
γ=50分(50’)
となり、
c=228mm
となる。また、
a=8000mm
とした場合は、1画素分、画像をシフトさせると、虚像距離を約1m、シフトさせることができる。
【0134】
このように、画像表示位置を所定の位置から水平方向に所望の画素分、ずらすことで、輻輳角の調整を行うことができる。云い換えれば、右眼用及び左眼用の2つの画像表示装置100,200,300,400,500)を構成する画像形成装置111A,111Bへのデータを、輻輳角制御信号(画像表示位置を水平方向に何画素分、外側あるいは内側にずらすための信号)によって制御することで、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離に対応した輻輳角の正確な調整を行うことができ、その結果、観察対象物と観察者(観客)40との間の距離と、画像表示装置によって表示される画像(例えば文字)の虚像距離とを等しくすることができ、あるいは又、出来るだけ等しくすることができ、観察対象物を眺める観察者(観客)40が、左程、焦点を変更、変化させること無く、自然に画像表示装置によって表示される画像を眺めることができる。
【0135】
頭部装着型ディスプレイを例えば劇場にて使用する場合、芝居等におけるその内容や進行状況、背景等を説明するための説明文を画像として頭部装着型ディスプレイに表示すればよいが、虚像距離を所望の距離とすることが要求される。即ち、観劇者の座る位置によって、観察対象物と観察者(観客)との間の距離と、画像表示装置によって表示される画像(例えば文字)の虚像距離が変化する。従って、観劇者の位置に依存して、虚像距離の最適化を図る必要があるが、実施例10の頭部装着型ディスプレイにあっては、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離に対応した輻輳角の最適化を図ることができるので、観劇者の位置に依存して虚像距離が最適化される。また、場面によって、虚像距離を変化させたい場合があるが、このような場合、頭部装着型ディスプレイから観察対象物までの距離情報を、例えば、外部から頭部装着型ディスプレイに送出することで、容易に対処することができる。
【0136】
あるいは又、観察者(使用者)が、虚像距離を所望の距離に設定したり、虚像位置を所望の位置に設定することも可能である。具体的には、制御手段18に切換えスイッチやボタンを配し、これを観察者が操作することにより、所望の距離あるいは位置に虚像を配置させることが可能である。例えば、背景が変化した場合、任意に虚像距離や虚像位置を変更することが可能である。このような操作は、例えば、観察対象物の観察時、適宜、観察者が行えばよく、このような操作は、具体的には、制御手段18においてデータに輻輳角制御信号を加える操作である。そして、これによって、観客が視線を余り動かさずに、例えば、字幕等の文字を確実に読むことが可能となるし、観客のそれぞれに適した字幕等を、容易に、同時に表示することができる。
【0137】
更には、虚像位置が固定されると、目が疲れると云われている。焦点が固定されると、眼球の動きが少なくなるためである。それ故、適度に虚像距離を変化させ、あるいは、虚像位置を動かすことにより、目の疲れを低減させる効果がある。即ち、2つの光学装置によって形成される虚像位置、あるいは、2つの光学装置によって形成される虚像の2つの光学装置からの距離(虚像距離)を、経時的に変化させてもよい。
【0138】
尚、実施例10にあっても、実施例1にて説明した画像表示方法を適用することができる。即ち、本発明の第1−Cの態様に係る画像表示方法を適用することができる。具体的には、実施例10において、実施例1と同様に、制御手段18において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出し、このデータに基づく画像を画像形成装置において表示するが、外部(送信装置51)から指定識別符号及び表示時間情報TInfが所定の時間間隔Tintで制御手段18に送られ、送られてきた表示時間情報TInfに相当する時間の間、画像を画像形成装置において表示する。
【0139】
また、実施例10の画像表示方法と実施例8の画像表示方法とを組み合わせることもできる。即ち、本発明の第4−Aの態様に係る画像表示方法に則って説明すれば、
各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されており、
制御手段18において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で、この1つの異サイズ・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。
【0140】
あるいは又、実施例10の画像表示方法と実施例8及び実施例9の画像表示方法とを組み合わせることもできる。即ち、本発明の第4−A’の態様に係る画像表示方法に則って説明すれば、
各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段18において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、この1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で、この1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。
【0141】
あるいは又、実施例10の画像表示方法と実施例9の画像表示方法とを組み合わせることもできる。即ち、本発明の第4−Bの態様に係る画像表示方法に則って説明すれば、
各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段18において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で、この1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する形態とすることができる。
【0142】
尚、実施例10の頭部装着型ディスプレイにあっては、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
制御手段は、外部から送られてきた指定識別符号を受け取り、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存してデータ処理を行い、
輻輳角を制御した状態で、このデータに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【0143】
そして、このような実施例10の頭部装着型ディスプレイであって、本発明の第1−Cの態様に係る画像表示方法の実行に適した頭部装着型ディスプレイにあっては、実施例1にて説明した頭部装着型ディスプレイにおいて、
制御手段は、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で画像が画像形成装置において表示される。
【0144】
また、このような実施例10の頭部装着型ディスプレイであって、本発明の第4−Aの態様に係る画像表示方法の実行に適した頭部装着型ディスプレイにあっては、
各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されており、
制御手段は、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行い、
輻輳角を制御した状態で、この1つの異サイズ・表示データに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【0145】
また、このような実施例10の頭部装着型ディスプレイであって、本発明の第4−A’の態様に係る画像表示方法の実行に適した頭部装着型ディスプレイにあっては、
各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段は、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、この1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行い、
輻輳角を制御した状態で、この1つの異言語・表示データに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【0146】
また、このような実施例10の頭部装着型ディスプレイであって、本発明の第4−Bの態様に係る画像表示方法の実行に適した頭部装着型ディスプレイにあっては、
各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段は、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行い、
輻輳角を制御した状態で、この1つの異言語・表示データに基づく画像が画像形成装置において表示される。
【0147】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した頭部装着型ディスプレイ、画像表示装置の構成、構造は例示であり、適宜変更することができる。例えば、導光板に表面レリーフ型ホログラム(米国特許第20040062505A1参照)を配置してもよい。実施例3あるいは実施例4の光学装置320にあっては、回折格子素子を透過型回折格子素子から構成することもできるし、あるいは又、第1偏向手段及び第2偏向手段の内のいずれか一方を反射型回折格子素子から構成し、他方を透過型回折格子素子から構成する形態とすることもできる。あるいは又、回折格子素子を、反射型ブレーズド回折格子素子とすることもできる。
【符号の説明】
【0148】
10・・・フレーム、10’・・・ノーズパッド、11・・・フロント部、12・・・蝶番、13・・・テンプル部、14・・・モダン部、15・・・配線(信号線や電源線等)、16・・・ヘッドホン部、16’・・・ヘッドホン部用配線、17・・・撮像装置、18・・・制御手段(制御装置、制御回路)、19・・・取付け部材、40・・・観察者、41・・・瞳、51・・・送信装置(送信手段)、52・・・パーソナルコンピュータ、53・・・表示装置、100,200,300,400,500・・・画像表示装置、111,111A,111B,211・・・画像形成装置、112・・・光学系(コリメート光学系)、113,213・・・筐体、120,320,520・・・光学装置(導光手段)、121,321・・・導光板、122,322・・・導光板の第1面、123,323・・・導光板の第2面、124,125・・・導光板の一部分、130・・・第1偏向手段、140・・・第2偏向手段、330・・・第1偏向手段(第1回折格子部材)、340・・・第2偏向手段(第2回折格子部材)、150・・・反射型空間光変調装置、151・・・液晶表示装置(LCD)、152・・・偏光ビームスプリッター、153・・・光源、251・・・光源、252・・・コリメート光学系、253・・・走査手段、254・・・光学系(リレー光学系)、255・・・クロスプリズム、256・・・全反射ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)観察者の頭部に装着される眼鏡型のフレーム、
(ロ)フレームに取り付けられた画像表示装置、並びに、
(ハ)画像表示装置における画像表示を制御する制御手段、
を備え、
画像表示装置は、
(A)画像形成装置、及び、
(B)画像形成装置から出射された光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を有する頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法であって、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
外部から指定識別符号及び表示時間情報が所定の時間間隔で制御手段に送られ、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出し、送られてきた表示時間情報に相当する時間の間、該データに基づく画像を画像形成装置において表示する頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項2】
各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異サイズ・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する請求項1に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項3】
各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、該1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する請求項2に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項4】
各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する請求項1に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項5】
右眼用及び左眼用の2つの画像表示装置を備えており、
制御手段において、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で画像を画像形成装置において表示する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項6】
輝度情報によって輝度を制御した状態で、画像を画像形成装置において表示する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項7】
送信装置から指定識別符号及び表示時間情報が無線で送られてくる請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項8】
送信装置は表示装置を備えており、
表示装置には、指定識別符号、データ群、及び、各データ又は各表示データの全表示時間が表示される請求項7に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項9】
(イ)観察者の頭部に装着される眼鏡型のフレーム、
(ロ)フレームに取り付けられた画像表示装置、並びに、
(ハ)画像表示装置における画像表示を制御する制御手段、
を備え、
画像表示装置は、
(A)画像形成装置、及び、
(B)画像形成装置から出射された光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を有する頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法であって、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されており、
外部から指定識別符号が制御手段に送られ、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異サイズ・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項10】
各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、該1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する請求項9に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項11】
(イ)観察者の頭部に装着される眼鏡型のフレーム、
(ロ)フレームに取り付けられた画像表示装置、並びに、
(ハ)画像表示装置における画像表示を制御する制御手段、
を備え、
画像表示装置は、
(A)画像形成装置、及び、
(B)画像形成装置から出射された光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を有する頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法であって、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
外部から指定識別符号が制御手段に送られ、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項12】
(イ)観察者の頭部に装着される眼鏡型のフレーム、
(ロ)フレームに取り付けられた右眼用及び左眼用の2つの画像表示装置、並びに、
(ハ)画像表示装置における画像表示を制御する制御手段、
を備え、
各画像表示装置は、
(A)画像形成装置、及び、
(B)画像形成装置から出射された光が入射され、導光され、出射される光学装置、
を有する頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法であって、
制御手段に備えられた記憶手段には、複数のデータから構成されたデータ群が記憶されており、
データ群を構成する各データにはデータ識別符号が付されており、
外部から指定識別符号が制御手段に送られ、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存してデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で該データに基づく画像を画像形成装置において表示する頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項13】
各データは、表示サイズが異なる複数の異サイズ・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で、該1つの異サイズ・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する請求項12に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項14】
各異サイズ・表示データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異サイズ・表示データから1つの異サイズ・表示データを選択し、更に、該1つの異サイズ・表示データにおいて、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する請求項13に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項15】
各データは、表示言語が異なる複数の異言語・表示データから構成されており、
制御手段において、送られてきた指定識別符号とデータ識別符号が一致するデータの内、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存して、複数の異言語・表示データから1つの異言語・表示データを記憶手段から読み出し、観察対象物と頭部装着型ディスプレイとの間の距離に依存したデータ処理を行うことで、輻輳角を制御した状態で、該1つの異言語・表示データに基づく画像を画像形成装置において表示する請求項12に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項16】
輝度情報によって輝度を制御した状態で、画像を画像形成装置において表示する請求項9乃至請求項15のいずれか1項に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項17】
外部から指定識別符号及び表示時間情報が所定の時間間隔で制御手段に送られ、
送られてきた表示時間情報に相当する時間の間、画像を画像形成装置において表示する請求項9乃至請求項16のいずれか1項に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項18】
送信装置から指定識別符号及び表示時間情報が無線で送られてくる請求項17に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。
【請求項19】
光学装置は半透過型である請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載の頭部装着型ディスプレイにおける画像表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−221236(P2011−221236A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89495(P2010−89495)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】