説明

顔画像の表示方法および顔画像の処理装置

【課題】 撮影時の明るさ等の条件が変動した場合にも、ディスプレイに表示する画像を常に一定の明るさに補正する。顔の肌色を好ましい「見え」に補正する。
【解決手段】 カメラによる撮影時に、顔画像を撮影するのと同じ環境下で、測色値輝度(反射率)が既知の色票を撮影する。カメラからコンピュータ装置に出力された色票画像のRGB値から、撮影環境下の照度補正係数Q1を計算し、撮影された顔画像をコンピュータ装置に取り込み、照度補正係数Q1で画像全体の各画素のRGB成分を測色値輝度への換算出力レベルに変換して照度補正を行う。撮影環境下の照度補正係数Q1によって、測色値輝度への換算出力レベルに変換された顔画像に対して、あらかじめ調整された「顔(肌色)が好ましい明るさに見える」照度補正係数Q2を用いて、カメラから出力レベルに補正してディスプレイに出力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顧客の顔を撮影し、この顔画像にファンデーションや眉、あるいは口紅等の化粧のメイクシミュレーションを行うメイクアップ処理を行い、その顔画像をディスプレイに表示して化粧方法などのアドバイスを行うメイクアップアドバイスシステムに利用する。
【0002】また、上記メイクアップアドバイスシステムは、顧客の顔を撮影し、髪型のシミュレーションやヘアカラーのシミュレーション、また服装や装飾品のシミュレーションを含めるものとする。
【0003】本発明は、そのようなシステムにおいて、顧客(対象者)の顔画像を表示するときに、顔画像の肌色の表示に適する明るさで表示するための補正方法およびそのための処理装置に関する。
【0004】
【従来の技術】店頭における化粧品の販売には、従来より実演販売が広く行われている。その一般的な形態は、販売員が客である対象者の要望を聞き、化粧方法および化粧品を選択し、対象者の顔に実際に化粧を施すことにより行われる。実演販売は対象者の顔を用いて化粧を施すので、対象者にその効果を知らしめる上で有効な手段であるが、仕上がりが対象者の要望に沿わない場合には、化粧を落とし、再度、やり直すことが必要になる。
【0005】このように、従来の実演販売では、対象者に化粧を施したり化粧をやり直したりする時間が多くかかり、効率の良い販売を行うことが困難である。
【0006】そこで、本願出願人は、対象者の顔の画像を表示装置に表示させ、コンピュータ装置による画像処理技術を駆使し、化粧のメイクシミュレーションを行う技術を特願平10−373975号、特願2000−54034(いずれも本願出願時に未公開)により提案した。以下では、この技術を簡単に説明する。
【0007】まず、対象者は、モデルに化粧を施した写真により所望の化粧方法および化粧品を選択する。次に、対象者が選択したモデルの化粧データを対象者の顔の画像に合成することにより、対象者が化粧を施した場合の状態をシミュレートすることができる。
【0008】このとき、モデルに施した化粧データをそのまま対象者の顔の画像に合成することは困難であるから、この化粧データを対象者の顔の画像に適合するようにモデルの顔形状から対象者の顔形状に変形する。
【0009】これにより、対象者は、化粧を施したモデルの写真等によりあらかじめ化粧の仕上がり具合を確認した上で、自分の顔にその化粧を施した場合の状態を確認することができるため、販売員と対象者との感覚の相異により対象者の希望するものとは異なる化粧を販売員が施してしまうことを回避することができる。したがって、的確に化粧の仕上がり具合を把握することができるとともに、効率良く化粧品の販売を行うことができる。
【0010】顔の画像処理の技術については、参考文献(一松信、村岡洋一監修、日本学際会議編「感性と情報処理」、電子情報通信学会論文誌、AUG,1997.Vol.J80-A NO.8,pp.1231-1249)に詳しい。
【0011】また、顔型、化粧品の種類その他の要素にしたがって化粧データをあらかじめ分類してメモリに記憶しておくことにより、多数の化粧データの中から対象者の要望する化粧データを速やかに選択することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記化粧のメイクシミュレーションを行う場合に、画像中のある部分の輝度信号の平均値が、適正なレベルになるように露出量を制御する必要がある。例えば、人物の肌色の輝度信号レベルが、55〜75IREになる等の望ましい画像の明るさの基準を設け、画像全体、または画像中央の顔が占めると予測される領域の一部分や、色信号より肌色と判別される部分の平均輝度が、目安となる輝度レベルに合うように、絞りなどで露出量を制御する必要がある。しかし、いわゆる色白とか色黒とか、人によって異なる肌色を基準にしているため、ある特定の色が常に同じレベルに出力されるとは限らない。
【0013】また、画像の輝度分布をカメラの出力範囲にあった状態にすることで、高輝度、低輝度領域の飽和や、コントラストの低下を防ぐ必要がある。しかし、服装などに応じて著しく明るい領域や暗い領域がある場合には、顔の明るさが変化する。
【0014】また、自然界の物体の測色値の明度範囲である反射率(明度)3〜96%(黒〜白)が、フィルムのラチチュード(有効露光域)にほぼ一致するように露出量を制御する必要がある。しかし、ハイライト領域を有効露光域に収めると、肌色の明度は、見る側に好ましい印象を与えることができると考えられる明度よりもやや暗く表現される。
【0015】このように、メイクシミュレーションに使用する顧客の顔画像をカメラで撮影する際に、表示された画像の顔の肌色が暗過ぎる場合、または明る過ぎる場合に、メイクシミュレーション(ファンデーション、口紅、眉)の色再現性が劣化する。
【0016】撮影した顔画像をディスプレイに表示する際に、表示された画像の顔の肌色部分が暗過ぎる場合、または明る過ぎる場合、顧客に対して好ましい「見え」の印象を与えられないため、化粧アドバイスに利用できない場合がある。
【0017】そこで、本発明は、撮影時の明るさ等の条件が変動した場合にも、ディスプレイに表示する画像を常に一定の明るさに補正することができる顔画像の表示方法および顔画像の表示装置を提供することを目的とする。本発明は、画像の顔の肌色を好ましい「見え」に補正することができる顔画像の表示方法および顔画像の表示装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】顔画像を撮影するのと同じ環境下で、測色値輝度(反射率)が既知である色票をカメラで撮影する。この撮影によりカメラからコンピュータ装置に入力された色票画像のRGB値から、撮影環境下の照度補正係数Q1を計算し、撮影された顔画像をコンピュータ装置に出力し、照度補正係数Q1で画像全体の各画素のRGB成分を測色値輝度への換算出力レベルに変換し、照度補正を行う。
【0019】撮影環境下の照度補正係数Q1によって、測色値輝度への換算出力レベルに変換された顔画像に対して、あらかじめ補正された「顔(肌色)が好ましい明るさに見える」照度補正係数Q2を用いて、カメラから出力レベルに補正してディスプレイに出力する。撮影環境の照度補正係数Q1がQ2に等しい場合には、カメラ出力をそのままディスプレイに出力してもよい。
【0020】これにより、撮影時の明るさ等の条件が変動した場合にも、ディスプレイに表示する画像を常に一定の明るさに補正することができる。したがって、顔の肌色を好ましい「見え」に補正することができる。
【0021】すなわち、本発明の第一の観点は、対象者の顔を撮影し、この撮影された顔画像にメイク処理やヘアメイク処理、時には服装、装飾品を含むメイクアップ処理を施し表示手段に表示するディジタルカラー顔画像の表示方法であり、前記表示手段で表示される顔画像の明るさを、撮影対象物の測色値の反射率Yに対して画像のRGB値のGreen画素値が単調増加となる関係を満たすような補正関数で定め、マクベスカラーチェッカ22番を撮影した画像の黒を0、白を255とする256階調のRGB値のGreen画素値が145以上170以下相当となる明るさ(または、最大輝度値の57%以上67%以下の明るさ)に補正されることを特徴とする。好ましくは、マクベスカラーチェッカ22番のRGBのGreen画素値が150以上165以下となる明るさに補正される。表1に示すように、マクベスカラーチェッカ22番のRGBのGreen画素値が145未満では対象者の顔の肌色が暗過ぎると感じられる。また、170を超えると対象者の顔の肌色が明る過ぎると感じられる。
【0022】対象者の撮影を行うのと同じ撮影条件で、マクベスカラーチェッカ22番を撮影し、撮影したマクベスカラーチェッカ22番のGreen画素値から、撮影した対象者の顔画像の輝度値を基準撮影条件での明るさに補正するための補正係数(Q1)を求める段階と、この補正係数(Q1)に基づき、撮影した対象者の顔画像の輝度値を基準撮影条件での明るさに変換する段階と、表示手段に表示する対象者の顔画像の輝度値を、基準撮影条件での明るさから、表示用の明るさとしてマクベスカラーチェッカ22番を撮影した画像の黒を0、白を255とする256階調のRGB値のGreen画素値が145以上170以下相当となる明るさ(または、最大輝度値の57%以上67%以下の明るさ)の輝度値に補正する段階とを含むことが望ましい。
【0023】本発明の第二の観点は、対象者の顔画像を撮影するカメラと、この撮影された対象者の顔画像の明るさ補正処理およびメイクアップやヘアメイク等のシミュレーションを行う画像処理手段と、この画像処理を行った対象者の顔画像を表示する表示手段とを備え、前記画像処理手段は、前記カメラで基準カラーチェッカのグレーチャートを撮影してそのRGB値を求めて、そのRGB値が基準撮影条件での明るさとなるような補正係数を求める手段と、この補正係数に基づき入力された対象者の撮影画像の輝度値を基準条件の輝度値に変換する手段と、画像処理を行った後の対象者の顔画像をあらかじめ定めた表示用の補正係数に基づき輝度値を明るい方向に補正する手段とを備えたことを特徴とする顔画像の処理装置である。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明実施例の顔画像の処理装置の構成を図1を参照して説明する。図1は本発明実施例の顔画像の処理装置のブロック構成図である。
【0025】本発明は、図1に示すように、対象者の顔画像を撮影するカメラ1と、この撮影された対象者の顔画像に明るさ補正処理およびメイクアップやヘヤメイクのシミュレーションを行う画像処理装置2と、この画像処理を行った対象者の顔画像を表示する表示装置3とを備え、画像処理装置2は、カメラ1でマクベスカラーチェッカ22番を撮影してその領域のRGB値を計算して、画像の画素のRGB値が基準撮影条件の明るさになるような補正係数Q1を求める照度補正係数計算部4と、この補正係数Q1に基づき入力された対象者の撮影画像の輝度値を基準条件の輝度値に変換する輝度値変換部5と、メイクシミュレーション部6でメイクシミュレーションを行った後の対象者の顔画像をマクベスカラーチェッカ22番の画像の256階調RGB値のGreen画素値が145以上170以下となる明るさ(または、最大輝度値の57%以上67%以下の明るさ)に相当する輝度値に補正するための補正係数Q2に基づき輝度値を明るい方向に補正する輝度値変換部5とを備えた顔画像の処理装置である。以下では、本発明実施例をさらに詳細に説明する。
【0026】カメラ出力画像の明るさ補正を行うために、あらかじめ撮影に使用するカメラについて出力特性関数を求めておく。例えば、偏光板を使用して対象物の表面反射光が除去された状態としてマクベスカラーチェッカを撮影し、グレーチャート(#19〜24)の輝度値(既知)とカメラ出力レベルの関係を調べる。特性関数が例えば2次式で近似できることを確認し、最小自乗法でRGBそれぞれの特性関数を求める。また、このときの撮影条件を基準撮影条件とする。図2にカメラ1からの画像のGreen出力レベルIgとグレーチャートの測色値輝度Oiとの関係を示す。
【0027】照明用ライトは、マクベスカラーチェッカまたはアドバイス対象者の方向に向けて設置する。例えば、ライトは2灯使用して、それぞれの照明用ライトの明るさは、対象者の顔位置における照度が1000Lx程度になるように調節する(2灯で1800〜2000Lx)。カメラの高さは、例えば、マクベスカラーチェッカまたはアドバイス対象者の目線高さとほぼ等しくなるように設置する。ライトと対象者との距離は約130cmとし、カメラと対象者との距離は約100cmとする。アドバイス対象者の上方と左右の空間はブースなどで覆われた状態にして撮影時の外光の影響を減らす。
【0028】撮影条件が整った後に、カメラのホワイトバランスをとっておく。撮影環境は、夏期は温度20〜30°C(設定の基準値:26〜27°C)、湿度40〜80%(基準50〜60%)、冬期は温度15〜25°C(基準20〜22°C)、湿度20〜60%(基準40〜50%)となるようにする。中間期は温度、湿度とも夏期、冬期の中間の値にする。例えば、6月上旬に撮影を行ったときの温度と湿度は、それぞれ30°C、40%であった。
【0029】マクベスカラーチェッカを所定の位置に設置してカメラで撮影する。撮影画像は画像処理装置2に出力される。照度補正係数計算部4では、画像中の色票21番、22番、23番に相当する領域のGreen画素の平均値を計算した後、照度補正係数Q1を計算する。
【0030】撮影画像より得られた21番、22番、23番のカメラ出力のGreen画素の平均値Igi(i=21、22、23)を、出力特性関数の逆関数で入光量のGreen成分への換算出力レベルIgi’に変換する。図3に換算出力レベルIg’と画像のGreen成分出力レベルIgとの関係を示す。
Igi’=(−C1+√(C1−4C2(C0−Igi)))/(2C2)
(ただし、C2、C1、C0はGreen成分の特性関数の2、1、0次の係数)
【0031】色票の測色輝度Oi−換算出力レベルIg’空間で、{G21’、G22’、G23’}を通る直線の傾きαを最小自乗法から求める。このαと、出力特性関数を求めた撮影条件で同様に得た直線の傾きα0の比(光量の比に相当)、α/α0を、照度補正係数Q1とする。よりよい色再現性を得るには、照度補正係数Q1が1.0に近い値となるようにカメラの露出量を調節することが望ましい。図4に直線の傾きと絞り値との関係を示す。図4の例では、絞りF8.0の方が絞りF5.6の場合よりも基準撮影条件の傾きに近いので、絞り値はF8.0とすることが望ましい。
【0032】続いて、アドバイス対象者の顔画像を撮影する。撮影画像は画像処理装置2に出力される。画像の各画素の値Ir、Ig、Ibを、それぞれの特性関数の逆関数と先に決定した照度補正係数Q1を用いて換算出力レベルIr’、Ig’、Ib’に変換する。図5に照度補正係数Q1による換算出力レベルIg’の補正例を示す。図5の細い実線は実際に撮影された出力レベルであり、この出力レベルを基準撮影条件の出力レベルに近付けるために1/Q1倍している。すなわち、Ik’=((C1k+√(C1k−4C2k(C0k−Ik)))/(2C2k))・m/Q1k=R、G、Bとする。この補正によって、撮影時の照度やカメラの露出量にかかわらず、変換された画像の明るさは基準撮影条件(出力特性関数を求めたときの条件)で撮影された明るさに等しくなる。
【0033】照度補正された顔画像に対してメイクシミュレーションを行う。すなわち、(1)顔画像に対し、眉、目、鼻、唇の特徴点の位置を決定する。(2)眉シミュレーションを行う。(3)ファンデーションのメイクシミュレーションを行う。(4)口紅シミュレーションを行う。
【0034】メイクシミュレーション後の顔画像(明るさ換算出力レベルIr’、Ig’、Ib’)を、あらかじめ決められた表示用の照度補正係数Q2を用いて、RGBそれぞれの特性関数よりカメラの出力レベルIr、Ig、Ibに変換する。照度補正係数Q2を決定するためには、対象者を撮影し、メイクシミュレーション後に表示用の照度補正を行った画像を表示装置3に表示し、対象者自身または第三者による表示画像の印象評価を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
【表1】


【0036】上記の結果により「どのような顔色の対象者でも好ましく見える明るさ」から「やや明るく感じられる明るさ」までの範囲であるマクベスカラーチェッカ22番のGreen画素値が150以上165以下となる明るさ(照度補正係数Q2が1.9≦Q2≦2.1)を表示用の明るさとした。
【0037】ディジタルカラー画像の「好ましく見える明るさ」は、例えば銀塩写真でマクベスカラーチェッカ22番にほぼ等しい反射率を持つ18%グレー板の明るさをフィルムのラチチュードの中央(BMPの階調0〜255の中央128に相当)に合わせた場合の明るさよりも2割以上明るい。また、カメラの自動露出制御装置で露出量を調節する目安とされる人(日本人)の肌色が「IRE=55〜75」という明るさは、BMPのRGBのGreen値の約110〜150に相当すると考えられるが、前述の「好ましく見える明るさ」はこれよりも明るい。これは、写実的に撮影される場合に確認できる肌のくすみやシミなどが、明るく補正されることで目立たなくなり、「好ましい」という印象を与えるものと考えられる。
【0038】図6にカメラ1からの画像出力レベルと換算出力レベルIg’との関係を示す。すなわち、Ik=C0k+C1k(Ik’・Q2/m)+C2k(Ik’・Q2/m)k=R、G、B
【0039】この照度補正係数Q2は、マクベスカラーチェッカ22番のGreen画素値が、おおよそ150以上165以下に変換されるような範囲(実施例で使用したカメラの補正式を使った場合、1.9≦Q2≦2.1)で決めるのが望ましい。図7に照度補正係数Q2による換算出力レベルIg’の補正例を示す。図5の例で示したように、照度補正係数Q1によって撮影時に基準撮影条件に変換された出力レベルは、表示時に、照度補正係数Q2によってQ2倍されて表示される。
【0040】照度補正係数Q2により照度補正された画像はディスプレイに出力される。このとき、ディスプレイの条件(色温度、γ等)は一定の条件に固定しておく(色温度、γ等の既定値は、顔画像が好ましく見える値とする)。
【0041】以上のような手法により、撮影時の明るさ等の条件が変動した場合にも、ディスプレイに表示する画像の自動的に一定の明るさに補正することができる。また、補正関数を用いる場合には、表示するときの照度補正係数を1.9〜2.1とすれば、顔の肌色が好ましい「見え」になるように顔画像を表示することができる。このとき、平均的な日本人の顔の頬の部分のGreen画素値は、おおよそ163〜180程度になる。また、ここで述べた照度補正係数の値は日本人など黄色人種の対象者を想定したものであるが、より肌色の明度の高い白人の対象者の場合は補正係数を0.8〜0.9倍にして画像の明るさを下げ、肌色の明度の低い黒人の対象者には補正係数を1.2〜1.5倍にして画像の明るさを上げたりすることで、それぞれの肌色に適した明るさに補正することができる。
【0042】以上の実施例では、メイクシミュレーションシステムについて説明したが、髪型のメイクシミュレーションやヘアカラーのメイクシミュレーションを行い、また服装や装飾品のメイクシミュレーションを行ってその結果を表示し、アドバイスを行うコーディネートシステムにおいても本実施例で説明した照度補正を適用することができる。これにより、顔の肌色が好ましい「見え」になるように顔画像を表示することによって、メイクシミュレーションシステムの場合と同様に、顧客(対象者)に好印象を与えることができる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、撮影時の明るさ等の条件が変動した場合にも、ディスプレイに表示する画像を常に一定の明るさに補正することができる。さらに、顔の肌色を好ましい「見え」に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の顔画像の処理装置のブロック構成図。
【図2】カメラからの画像のGreen出力レベルとグレーチャートの測色値輝度との関係を示す図。
【図3】換算出力レベルと画像のGreen成分出力レベルとの関係を示す図。
【図4】直線の傾きと絞り値との関係を示す図。
【図5】照度補正係数Q1による換算出力レベルIg’の補正例を示す図。
【図6】カメラからの画像出力レベルと換算出力レベルとの関係を示す図。
【図7】照度補正係数Q2による換算出力レベルIg’の補正例を示す図。
【符号の説明】
1 カメラ
2 画像処理装置
3 表示装置
4 照度補正係数計算部
5 輝度値変換部
6 メイクシミュレーション部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 対象者の顔を撮影し、この撮影された顔画像に画像処理によりメイク処理やヘアメイク処理を施し表示手段に表示するディジタルカラー顔画像の表示方法において、前記表示手段で表示される顔画像の明るさを、撮影対象物の測色値の反射率に対して画像のRGB値のGreen画素値が単調増加となる関係を満たすような補正関数を定め、マクベスカラーチェッカ22番を撮影した画像の黒を0、白を255とする256階調のRGB値のGreen画素値が145以上170以下相当となる明るさに補正することを特徴とする顔画像の表示方法。
【請求項2】 対象者の撮影を行うのと同じ撮影条件で、マクベスカラーチェッカ22番を撮影し、撮影したマクベスカラーチェッカ22番のGreen画素値から、撮影した対象者の顔画像の輝度値を基準撮影条件での明るさに補正するための補正係数(Q1)を求める段階と、この補正係数(Q1)に基づき、撮影した対象者の顔画像の輝度値を基準撮影条件での明るさに変換する段階と、表示手段に表示する対象者の顔画像の輝度値を、基準撮影条件での明るさから、表示用の明るさとしてマクベスカラーチェッカ22番を撮影した画像の黒を0、白を255とする256階調のRGB値のGreen画素値が145以上170以下相当となる明るさの輝度値に補正する段階とを含む請求項1記載の顔画像の表示方法。
【請求項3】 対象者の顔画像を撮影するカメラと、この撮影された対象者の顔画像の明るさ補正処理およびメイクアップやヘアメイク等のシミュレーションを行う画像処理手段と、この画像処理を行った対象者の顔画像を表示する表示手段とを備え、前記画像処理手段は、前記カメラで基準カラーチェッカのグレーチャートを撮影してそのRGB値を求めて、そのRGB値が基準撮影条件での明るさとなるような補正係数を求める手段と、この補正係数に基づき入力された対象者の撮影画像の輝度値を基準条件の輝度値に変換する手段と、画像処理を行った後の対象者の顔画像をあらかじめ定めた表示用の補正係数に基づき輝度値を明るい方向に補正する手段とを備えたことを特徴とする顔画像の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−10283(P2002−10283A)
【公開日】平成14年1月11日(2002.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−187942(P2000−187942)
【出願日】平成12年6月22日(2000.6.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】