説明

飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートおよびその製造方法

本発明は、飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートおよびその製造方法を提供する。本発明の帯電防止シートは絶縁体フィルム、前記絶縁体フィルムの少なくとも一面に形成されるエンボス層、および前記エンボス層の一面に形成される帯電防止層を含み、本発明の帯電防止シートの製造方法は、オレフィン系高分子を押出してフィルムを製造する絶縁体フィルムの製造段階、前記絶縁体フィルムをエンボスロールを通過させて絶縁体フィルムの少なくとも一面にエムボス層を形成するエンボス層の形成段階、および前記エンボス層の少なくとも一面に帯電防止組成物をコーティングし、熱硬化または光硬化させて帯電防止層を形成する帯電防止層の形成段階を含む。本発明の帯電防止シートは、飲み物および食品容器の包装および運搬の際、容器間の接触、静電気による異物付着、微細埃による汚染および表面にスクラッチの発生を防止し、食品容器の滑り現象を最小化し、容器間の分離を容易にしかつシートのカール現象が少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートおよびその製造方法に関し、より詳しくは、飲み物および食品容器の包装および運搬の際、容器間の接触、静電気による異物付着、微細埃による汚染および表面にスクラッチが発生することを防止し、食品容器の滑り現象を最小化し、容器間の分離を容易にし、かつシートのカール(crul)現象が少ない飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、飲み物および食品容器を製造して包装および運搬工程で容器を支持または保護するための積層用シートとしては、原版を所要の大きさに切断加工した絶縁紙を使っている。しかしながら、前記積層用シートの場合、切断面に糸形状の破断片が発生する場合があり、積層用シートの表面と容器間との摩擦により表面にスクラッチが発生する。また、前記絶縁紙からなる積層用シートは帯電防止機能が付加されておらず、他の物質との接触および摩擦などによって生成される静電気を長期間蓄積する性質がある。このような静電気による微細埃は、包装・移送および切断工程中に飲み物および食品容器の表面に付着し、洗浄工程によっても除去できず、不良を招く原因となる。従って、帯電防止機能が付加されていない積層用シートは、静電気による異物付着、表面スクラッチの発生および包装または移送時に発生する微細埃に起因した汚染などの問題を解決し難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、飲み物および食品容器の包装および運搬時に容器間の接触、静電気による異物付着、微細埃による汚染および表面にスクラッチが発生することを防止し、食品容器の滑り現象を最小化し、容器間の分離を容易にし、かつシートのカール現象が少ない飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートおよびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題を解決するために本発明は、絶縁体フィルム、前記絶縁体フィルムの少なくとも一面に形成されるエンボス層、および前記エンボス層の一面に形成される帯電防止層を含む飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートを提供する。
【0005】
前記帯電防止層は、伝導性高分子、炭素ナノチューブおよびイオン性帯電防止剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物0.1ないし30重量%、熱硬化性バインダー2ないし25重量%、水20ないし40重量%、有機溶媒40ないし75重量%および添加剤0.1ないし5重量%を含む熱硬化性帯電防止組成物からなるものとすることができる。
【0006】
前記熱硬化性バインダーは、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン−アクリル共重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびメラミン系樹脂からなる群から選択される単独またはこれらの混合物とすることができる。
【0007】
前記有機溶媒は、ジメチルスルポキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコールおよびエチレングリコールからなる群から選択される単独またはこれらの混合物とすることができる。
【0008】
前記添加剤は、フッ素系、シリコン系および陽イオン、陰イオンまたは両イオン性界面活性からなる群から選択される単独またはこれらの混合物とすることができる。
【0009】
前記帯電防止層は、アクリル系モノマー、コロイド性無機酸化物、シラン化合物、アルキル−アルコキシアクリレートモノマーまたはオリゴマーおよびコロイド安定剤を含む光硬化型ハードコーティング組成物10ないし40重量%、伝導性高分子、炭素ナノチューブおよびイオン性帯電防止剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物0.1ないし30重量%、光開始剤0.1ないし5重量%、有機溶媒40ないし85重量%、およびスリップ剤、湿潤剤、耐スクラッチ剤、耐汚染剤および紫外線安定剤のうち選択される少なくとも一つの添加剤0.1ないし5重量%を含む光硬化型帯電防止組成物からなるものとすることができる。
【0010】
前記伝導性高分子は、水溶性ポリアニリン、水溶性ポリピロール、水溶性ポリチオフェン、水溶性ポリ(3,4−エチレンチオフェン)、これらの誘導体や共重合体および水溶性または有機溶媒に可溶性のp−共役系電気伝導性高分子からなる群から選択される単独またはこれらの混合物とすることができる。
【0011】
前記炭素ナノチューブは長さを1ないし60μmとし、直径を0.1ないし50nmとすることができる。
【0012】
前記イオン性帯電防止剤は、アルカリ金属またはアルカリ土金属の陽イオン塩;陽イオン、陰イオン、両性または非イオン性界面活性剤;および四級アンモニウム系界面活性剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物とすることができる。
【0013】
前記絶縁体フィルムはオレフィン系樹脂とすることができる。
【0014】
前記帯電防止層は0.1ないし10μmに形成することができる。
【0015】
また、本発明は、オレフィン系高分子を押出してフィルムを製造する絶縁体フィルムの製造段階;前記絶縁体フィルムをエンボスロールに通過させて絶縁体フィルムの少なくとも一面にエンボス層を形成するエンボス層の形成段階;および前記エンボス層の少なくとも一面に帯電防止組成物をコーティングし、熱硬化または光硬化させて帯電防止層を形成する帯電防止層の形成段階、を含む飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートの製造方法を提供する。
【0016】
前記絶縁体フィルムの製造段階において前記オレフィン系高分子を100〜250℃の温度で0.1〜3.0mm厚さのフィルムとして押し出すことができる。
【0017】
前記帯電防止組成物は、伝導性高分子、炭素ナノチューブおよびイオン性帯電防止剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物0.1ないし30重量%、熱硬化性バインダー2ないし25重量%、水20ないし40重量%、有機溶媒40ないし75重量%および添加剤0.1ないし5重量%を含む熱硬化性帯電防止組成物;または、アクリル系モノマー、コロイド性無機酸化物、シラン化合物、アルキル−アルコキシアクリレートモノマーまたはオリゴマーおよびコロイド安定剤を含む光硬化型ハードコーティング組成物10ないし40重量%;伝導性高分子、炭素ナノチューブおよびイオン性界面活性剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物0.1ないし30重量%;光開始剤0.1ないし5重量%;有機溶媒40ないし85重量%;およびスリップ剤、湿潤剤、耐スクラッチ剤、耐汚染剤および紫外線安定剤のうち選択される少なくとも一つの添加剤0.1ないし5重量%を含む光硬化型帯電防止組成物とすることができる。
【0018】
前記帯電防止層の形成段階後に、前記帯電防止シートを規格別に裁断する裁断段階をさらに含むことができる。
【0019】
前記絶縁体フィルムの製造段階ないし帯電防止層の形成段階は連続的に一つの工程上(in-line)で行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の帯電防止シートは帯電防止効果に優れ、飲み物および食品容器などの積層の際、静電気の発生を減少させることができる。
【0021】
本発明の帯電防止シートは、飲み物および食品容器の包装および運搬過程で容器間の接触、静電気による異物付着、微細埃による汚染および表面にスクラッチが発生することを防止することができる。また、食品容器の滑り現象を最小化し、容器間の分離を容易にし、かつシートのカール現象が少ない。従って、本発明の帯電防止シートを利用して、飲み物および食品容器を上下に複数個積層できる。
【0022】
本発明の帯電防止シートの製造方法においては、押出、コーティングおよび裁断工程などの一連の工程が連続的に行われるので、製造時間および費用が節減され、製造工程が簡便になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例による飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートを示す図である。
【図2】本発明の一実施例による飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を容易に実施できるように詳しく説明する。
まず、本発明の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートについて説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施例による飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートを示す図である。図1によれば、本発明の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートは、絶縁体フィルム10、エンボス層20および帯電防止層30を含む。本発明の帯電防止シートは飲み物および食品容器の包装および運搬時に容器間の接触、静電気による異物付着、微細埃による汚染および表面にスクラッチが発生することを防止し、食品容器の滑り現象を最小化し、容器間の分離を容易にする。
【0026】
前記絶縁体フィルム10は、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらのブレンドのようなポリオレフィン系高分子からなるが、これに限定されるものではない。前記絶縁体フィルムの厚さは本発明の目的を外れない範囲内で任意に調整選択でき、単一層または複数層からなるものとすることができる。
【0027】
前記エンボス層20は前記絶縁体フィルム10の少なくとも一面に形成される。
【0028】
本発明の帯電防止シートは前記エンボス層20によってカール現象が抑制でき、積層されている容器を外部衝撃から保護でき、容器間の接触や摩擦によるスクラッチなどの発生を防止することができる。
【0029】
前記エンボス層20は前記絶縁体フィルム10の一面または両面に形成することができ、前記絶縁体フィルム10をエンボスロールに通過させて形成することができる。エンボスの数、形態、深さまたは幅などは任意に調整することができる。
【0030】
前記帯電防止層30は前記エンボス層の一面に形成される。前記帯電防止層30を含んだ本発明の帯電防止シートは帯電防止効果が優れて、静電気による異物の流入を防止することができる。
【0031】
前記帯電防止層30は帯電防止組成物を前記エンボス層の表面にコーティングし、架橋させて形成することができる。前記帯電防止層の厚さは0.1ないし10μmとすることができる。前記帯電防止層30の厚さが0.1μm未満であれば帯電防止効果が微々であり、10μmを超過すれば価格競争力が低下するという欠点がある。
【0032】
前記帯電防止組成物としては、伝導性高分子、炭素ナノチューブおよびイオン性帯電防止剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物0.1ないし30重量%、熱硬化性バインダー2ないし25重量%、水20ないし40重量%、有機溶媒40ないし75重量%および添加剤0.1ないし5重量%を含む熱硬化性帯電防止組成物が挙げられる。または、前記帯電防止組成物としては、アクリル系モノマー、コロイド性無機酸化物、シラン化合物、アルキル−アルコキシアクリレートモノマーまたはオリゴマーおよびコロイド安定剤を含む光硬化型ハードコーティング組成物10ないし40重量%、伝導性高分子、炭素ナノチューブおよびイオン性帯電防止剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物0.1ないし30重量%、光開始剤0.1ないし5重量%、有機溶媒40ないし85重量%、およびアンチブロッキング剤、スリップ剤、湿潤剤および紫外線安定剤のうち選択される少なくとも一つの添加剤0.1ないし5重量%を含む光硬化型帯電防止組成物が挙げられる。
【0033】
前記伝導性高分子は好ましくは、水溶性ポリアニリン、水溶性ポリピロール、水溶性ポリチオフェン、水溶性ポリ(3,4−エチレンチオフェン)、これらの誘導体や共重合体および水溶性または有機溶媒に可溶性のp−共役系電気伝導性高分子からなる群から選択される単独またはこれらの混合物とすることができるが、これに限定されない。
【0034】
前記炭素ナノチューブは剛性および電気伝導性に優れており、帯電防止機能を向上させる役割を果たす。前記炭素ナノチューブは化学蒸着法、アーク放電法、プラズマトーチ法およびイオン衝撃法など公知の方法により製造できるが、これに限定されない。前記炭素ナノチューブは単一壁構造を有する単一壁炭素ナノチューブ(single-walled carbon nanotube; SWNT)または多重壁構造を有する多重壁炭素ナノチューブ(multi-walled carbon nanotube; MWNT)が用いられるが、これに限定されない。キラル型、ジグザグ型およびアームチェア型などの多様な炭素ナノチューブが用いられる。また、公知の通常の方法により前処理段階を経ることができるが、これに限定されない。
【0035】
前記炭素ナノチューブは好ましくは、長さが1ないし60μmであり、直径が0.1ないし50nmであるのを使用することができる。前記範囲内で透明性または分散性が優れている。
【0036】
前記イオン性帯電防止剤は、アルカリ金属またはアルカリ土金属の陽イオン塩;陽イオン、陰イオン、両性または非イオン性界面活性剤;および四級アンモニウム系界面活性剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物を使用することができる。
【0037】
前記熱硬化性バインダーとしては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン−アクリル共重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびメラミン系樹脂からなる群から選択される単独またはこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
前記有機溶媒としては、具体的には、ジメチルスルポキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコールおよびエチレングリコールからなる群から選択される単独またはこれらの混合物とすることができ、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコールまたはエチレングリコールなどのアルコールが挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
前記熱硬化性帯電防止組成物に含まれる添加剤として、好ましくは、フッ素系、シリコン系および陽イオン、陰イオンまたは両性界面活性剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物が挙げられる。前記添加剤は帯電防止組成物のコーティングの際、流れ性、防汚性、分散性およびレーベリング性を向上させることができる。
【0040】
前記光硬化型帯電防止組成物に使用されるアンチ−ブロッキング剤としてはポリエーテルシロキサン共重合体(polyether siloxane copolymer)、有機変性ポリシロキサン(organo-modified polysiloxane)、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(polyether-modified polydimethyl siloxane)、メタクリロキシ機能性シリコン(Methacryloxy functional silicone)、カルビノール機能性を有するシリコングリコール(Silicone glycol with carbinol functionality)、アルキルメチルシロキサン(Alkylmethyl siloxane)、シリコングリコール(silicone glycol)またはこれらの誘導体や共重合体形態の水性、油性系のシリコン添加剤が挙げられる。前記紫外線安定剤は帯電防止製品の耐喉性を改善させ、紫外線の影響による黄変現象を減少させる役割を果たす。前記紫外線安定剤はベンゾフェノール系またはベンゾトリアゾール系を含むことができる。
【0041】
次に、本発明の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートの製造方法について説明する。
【0042】
図2は、本発明の一実施例による飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートの製造方法を示すフローチャートである。図2を参照すれば、本発明の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートの製造方法は、絶縁体フィルムの製造段階S10、エンボス層の形成段階S20、および帯電防止層の形成段階S30を含む。また、裁断段階S40をさらに含むことができる。
【0043】
前記絶縁体フィルムの製造段階S10は、オレフィン系高分子を押出機を通して0.1ないし3mm厚さのシートに押し出す段階である。前記押出は100ないし250℃の温度で行うことができる。このとき、100℃より低い温度で押出を行う場合にはオレフィン系高分子が融解できないことがあり、250℃以上の温度で押出を行う場合はオレフィン系高分子が分解されることがある。
【0044】
前記エンボス層の形成段階S20は、前記絶縁体フィルムをエンボスロールに通過させてエンボス層を形成する段階である。前記絶縁体フィルムをエンボスロールに通過させて連続的なエンボスを形成し、これを再び光沢ロールおよび冷却ロールに順次通過させて加温された絶縁フィルムを冷却して、エンボス紋の損失を防止することができる。
【0045】
前記帯電防止層の形成段階S30は、前記エンボス層の一面に帯電防止組成物をコーティングし、熱硬化または光硬化によって架橋させて帯電防止層を形成する段階である。
【0046】
より具体的には、熱硬化性帯電防止組成物をグラビア、オフセット、キスバー、ナイフ、メイヤバー、コーマ法、ロールまたはスプレーなどの方法を利用して、0.1〜10μmの厚さに前記エンボス層の一面にコーティングした後、50ないし250℃の温度で、30秒乃至30分間硬化して架橋させることによって、前記帯電防止層を形成することができる。
【0047】
または、光硬化型帯電防止組成物をグラビア、オフセット、キスバー、ナイフ、メイヤバー、コーマ法、ロールまたはスプレーなどの方法を利用して、0.1〜10μmの厚さに前記エンボス層の一面にコーティングした後、50〜250℃温度で1ないし10分間乾燥させて組成物内の有機溶媒を完全に除去した後、250ないし600mJ/cmの紫外線を照射、硬化して帯電防止層を形成することができる。
【0048】
前記熱硬化性または光硬化型帯電防止組成物は前述した通りであるので、ここではその説明を省略する。
【0049】
前記裁断段階S40は、前記S10ないしS30の段階で製造された帯電防止シートを裁断機を利用して、規格別に裁断する段階である。
【0050】
前記S10ないしS30の段階は絶縁体フィルムを移送しながら連続的に一つの工程で行うことができる。また、前記S40の段階なおS10ないしS30の段階に引き続き連続的に一つの工程(in-line)で行うことができる。押出、エンボス形成、コーティングおよび裁断を一つの工程で行うので、工程時間が短縮され、工程が簡単になるだけでなく、コストなお節減される。前記S10ないしS40の段階は連続的に一つの工程上で行わず、必要に応じて別途の工程(off-line)に行ってもよい。
【0051】
以下、本発明の実施例および比較例を通して本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれに限定されない。
【実施例】
【0052】
〔実施例1〕
1−1.
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(Baytron PH)10重量%、アクリル−ウレタン共重合バインダー(Stahl Asia Pte Ltd.製 WF-4644)5重量%、水31.5重量%、イソプロピルアルコール50重量%、1−メチル−2−ピロリジノン3重量%、スリップ剤(シリコン系)0.5重量%を配合して熱硬化性帯電防止組成物を製造した。
【0053】
1−2.
ポリプロピレン樹脂を170〜190℃の押出機でTダイ押出工程によって押出した後、エンボスロール、光沢ロールまたは冷却ロールを通過させてエンボス層が形成された0.5mm厚さのポリプロピレンシートを製造した。次いで、前記ポリプロピレンシートの一面に前記熱硬化性帯電防止組成物をグラビアコーティング方式によって、0.1μm厚さ(乾燥後塗膜)でコーティングし、60〜80℃で熱硬化させた後、連続的に反対面を同じ方式で熱硬化性帯電防止組成物でコーティングし、熱硬化して両面に帯電防止層が形成された帯電防止シートを製造した。
【0054】
1−3.
前記帯電防止シートを連続的な工程によって裁断して食品容器を上下に積層できるようにする積層用帯電防止シートを製造した。
【0055】
〔実施例2〕
2−1.
アクリル系モノマー(Dipentaerythritol hexaacrylate 20重量%、Pentaerythritoltriacrylate 30重量%、味元商社製)50重量%、アルキル−アルコキシアクリル系モノマー(Dipentaerythritol hexaetoxyacrylate:DPHEA、SATOMER社製)10重量%、無機酸化物の水分散シリカゾル(NALCO 2327、NALCO社製)25重量%、シラン化合物(3-methacrylocxa propyl trimethoxy silane、信越化学工業(株)製)5重量%、コロイド安定剤(アクリロイルモルフォーリン、SATOMER社製)10重量%の混合物を混合して、光硬化型ハードコーティング組成物を製造した。
【0056】
2−2.
前記2−1で製造された光硬化型ハードコーティング組成物15重量%、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(Baytron PH、Bayer社製)10重量%、光開始剤(Igacure 184、Ciba Geigy社製)1重量%、スリップ剤(Tego glide 450、Tego社製)0.2重量%、紫外線安定剤(BYK-307、BYK社製)0.5重量%、紫外線吸収剤(Tinubin 3270、Ciba Geigy社製)0.3重量%および有機溶媒(イソプロピルアルコール40重量%、メチルセロソルブ20重量%、エチレングリコール13重量%)73重量%を添加して、光硬化型帯電防止組成物を製造した。
【0057】
2−3.
前記2−2で製造した光硬化型帯電防止組成物を使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートを製造した。
【0058】
〔実施例3〕
3−1.
炭素ナノチューブ(MWCNT、Nanocyl)2重量%、アクリル−ウレタン共重合バインダー(Stahl Asia Pte社製、WF-4644)5重量%、水42.5重量%、イソプロピルアルコール50重量%、スリップ剤(シリコン系)0.5重量%を配合して、熱硬化性帯電防止組成物を製造した。
【0059】
3−2.
前記3−1で製造した熱硬化性帯電防止組成物を使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートを製造した。
【0060】
〔実施例4〕
4−1.
四級アンモニウム系界面活性剤(ACL、Japan)10重量%、アクリル−ウレタン共重合バインダー(Stahl Asia Pte Ltd.製、WF-4644)5重量%、水34.5重量%、イソプロピルアルコール50重量%、スリップ剤(シリコン系)0.5重量%を配合して、熱硬化性帯電防止組成物を製造した。
【0061】
4−2.
前記4−1で製造した熱硬化性帯電防止組成物を使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートを製造した。
【0062】
〔比較例1〕
1−1.
ポリプロピレン樹脂を170〜190℃の押出機でTダイ押出工程によって0.5mm厚さに押出した後、エンボスロール、光沢ロールおよび冷却ロールを通過させてエンボス層が形成されたポリプロピレンシートを製造した。
【0063】
1−2.
前記1−1で製造されたポリプロピレンシートを連続的な工程によって裁断して、積層用帯電防止シートを製造した。
【0064】
〔比較例2〕
2−1.
ポリプロピレン樹脂を170〜190℃の押出機でTダイ押出工程によって0.5mm厚さに押出した後、光沢ロールと冷却ロールとを通過させてエンボス層が形成されないポリプロピレンシートを製造した。
【0065】
2−2.
前記2−1で製造されたポリプロピレンシートの両面に連続的な工程によって、実施例1−1で製造された熱硬化性帯電防止組成物で実施例1と同様の方法で帯電防止層を形成して、積層用帯電防止シートを製造した。
【0066】
〔実験例1〕
表面抵抗の測定
前記実施例および比較例で製造した帯電防止シートを対象にASTM D257測定方法によりTRUSTAT ST-3(シムコジャパン(株)製)を利用して、55%RH、23℃、印加電圧100〜500Vの条件で表面抵抗を10回測定し、その平均値を記録した。その結果を下記の表1に示す。
【0067】
〔実験例2〕
摩擦帯電圧測定
前記実施例および比較例で製造した帯電防止シートを対象にELECTROSTATIC FIELDMTER FMX-003(シムコジャパン(株)製)を利用して乾燥したポリエステル繊維に50回摩擦した後、摩擦帯電圧を測定した。摩擦帯電圧は10回測定し、その平均値を記録した。その結果を下記の表1に示す。
【0068】
〔実験例3〕
摩擦係数の測定
前記実施例および比較例で製造した帯電防止シートを対象にASTM D 1894規格によって摩擦係数測定システム(Friction Coefficient Measuring System)で摩擦係数を測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
上記表1によれば、本発明の帯電防止シートは表面抵抗が小さくて帯電防止効果に優れており、摩擦帯電圧が小さくて容器の積層の際に容器とシートとの間の摩擦が少なくなることが予想でき、シートのカール現象は現れないことがわかる。
【0071】
前記のように、本発明の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートは飲み物および食品容器などを水平に積層でき、帯電防止効果に優れて、異物の流入による汚染および不良などを防止することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体フィルム、前記絶縁体フィルムの少なくとも一面に形成されるエンボス層、および前記エンボス層の一面に形成される帯電防止層を含む飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項2】
前記帯電防止層は、伝導性高分子、炭素ナノチューブおよびイオン性帯電防止剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物0.1ないし30重量%、熱硬化性バインダー2ないし25重量%、水20ないし40重量%、有機溶媒40ないし70重量%および添加剤0.1ないし5重量%を含む熱硬化性帯電防止組成物からなる請求項1に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項3】
前記熱硬化性バインダーは、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン−アクリル共重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびメラミン系樹脂からなる群から選択される単独またはこれらの混合物である請求項2に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項4】
前記有機溶媒は、ジメチルスルポキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコールおよびエチレングリコールからなる群から選択される単独またはこれらの混合物である請求項2に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項5】
前記添加剤は、フッ素系、シリコン系および陽イオン、陰イオンまたは両性界面活性剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物である請求項2に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項6】
前記帯電防止層は、アクリル系モノマー、コロイド性無機酸化物、シラン化合物、アルキル−アルコキシアクリレートモノマーまたはオリゴマーおよびコロイド安定剤を含む光硬化型ハードコーティング組成物10ないし40重量%、伝導性高分子、炭素ナノチューブおよびイオン性帯電防止剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物0.1ないし30重量%、光開始剤0.1ないし5重量%、有機溶媒40ないし85重量%、およびスリップ剤、湿潤剤、耐スクラッチ剤、耐汚染剤および紫外線安定剤のうち選択される少なくとも一つの添加剤0.1ないし5重量%を含む光硬化型帯電防止組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項7】
前記伝導性高分子は、水溶性ポリアニリン、水溶性ポリピロール、水溶性ポリチオフェン、水溶性ポリ(3,4−エチレンチオフェン)、これらの誘導体や共重合体および水溶性または有機溶媒に可溶性のp−共役系電気伝導性高分子からなる群から選択される単独またはこれらの混合物である請求項2または6に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項8】
前記炭素ナノチューブは長さが1ないし60μmであり、直径が0.1ないし50nmである請求項2または6に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項9】
前記イオン性帯電防止剤が、アルカリ金属またはアルカリ土金属の陽イオン塩;陽イオン、陰イオン、両性または非イオン性界面活性剤;および四級アンモニウム系界面活性剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物である請求項2または6に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項10】
前記絶縁体フィルムはオレフィン系樹脂からなる請求項1に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項11】
前記帯電防止層が0.1ないし10μmの厚さに形成される請求項1に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シート。
【請求項12】
オレフィン系高分子を押出してフィルムを製造する絶縁体フィルムの製造段階、
前記絶縁体フィルムをエンボスロールを通過させて前記絶縁体フィルムの少なくとも一面にエンボス層を形成するエンボス層の形成段階、および、
前記エンボス層の少なくとも一面に帯電防止組成物をコーティングし、熱硬化または光硬化させて帯電防止層を形成する帯電防止層の形成段階、を含む飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートの製造方法。
【請求項13】
前記帯電防止組成物は、伝導性高分子、炭素ナノチューブおよびイオン性帯電防止剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物0.1ないし30重量%、熱硬化性バインダー2ないし25重量%、水20ないし40重量%、有機溶媒40ないし75重量%および添加剤0.1ないし5重量%を含む熱硬化性帯電防止組成物、または、
アクリル系モノマー、コロイド性無機酸化物、シラン化合物、アルキル−アルコキシアクリレートモノマーまたはオリゴマーおよびコロイド安定剤を含む光硬化型ハードコーティング組成物10ないし40重量%、伝導性高分子、炭素ナノチューブおよびイオン性帯電防止剤からなる群から選択される単独またはこれらの混合物0.1ないし30重量%、光開始剤0.1ないし5重量%、有機溶媒40ないし85重量%、およびスリップ剤、湿潤剤、耐スクラッチ剤、耐汚染剤および紫外線安定剤のうち選択される少なくとも一つの添加剤0.1ないし5重量%を含む光硬化型帯電防止組成物である請求項12に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートの製造方法。
【請求項14】
前記絶縁体フィルムの製造段階では、オレフィン系高分子を100〜250℃の温度で0.1〜3.0mm厚さのフィルムに押出する請求項12に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートの製造方法。
【請求項15】
前記帯電防止層の形成段階後に、前記帯電防止シートを規格別に裁断する裁断段階をさらに含む請求項12に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートの製造方法。
【請求項16】
前記絶縁体フィルムの製造段階ないし帯電防止層の形成段階は、連続的に一つの工程上で行われる請求項12に記載の飲み物および食品容器の積層用帯電防止シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−507280(P2013−507280A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534087(P2012−534087)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006689
【国際公開番号】WO2011/046254
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512098326)ナノケムテック・インコーポレイテッド (1)
【出願人】(512098337)インダックス・インコーポレイテッド (1)
【出願人】(512098348)ディエスピープラス・カンパニー・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】