説明

駆動伝達装置

【課題】簡易な構成で省スペース化を図ることができ、かつ回転扉の開閉に応じて確実に駆動伝達系の連結及び解除を行うことができる駆動伝達装置を提供する。
【解決手段】回転軸9の周りに回転する回転扉5を閉じたときに従動ギア4を駆動ギア2に連結し、回転扉5を開いたときに従動ギア4と駆動ギア2との連結を解除する駆動伝達装置である。回転扉5を閉じたときにレバーの作用面8bに押圧用突部10による押圧力が作用してレバー8が支軸7を中心に一方向に回転し、レバー8の他端側に連結された従動ギア4が駆動ギア2に対し接近方向に移動して駆動ギア2と連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機やレーザプリンタその他の画像形成装置等において、例えばモータ等の駆動源の駆動力をローラ等に伝達するのに用いられる駆動伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等において、用紙搬送経路の途中で用紙がジャムを起こした場合、ジャム用紙は搬送経路内のいずれか一対のローラのニップに狭持された状態となっている。また、用紙搬送に関与する各ローラはその駆動伝達系を介して駆動源であるモータに連結されている。ジャム用紙を除去する際は、ジャム用紙を狭持しているローラのトルクに打ち勝つ力でジャム用紙を引き抜く必要があるが、この際にローラトルクがジャム用紙の強度より大きい場合、引き抜く際にジャム用紙を破損させてしまい、搬送経路に用紙が残留してしまうことがある。このため、ジャム用紙を引き抜く際に、引き抜くのに必要なトルクを低減させるために、駆動源の動力を遮断させる必要がある。
【0003】
そこで、搬送経路を開放させる回転扉の開閉に伴い、扉に付勢される連結解除部材(レバー)が駆動伝達系を連結解除する構成でジャム処理を可能にする技術が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記構成では、回転扉を閉じた際に構成部品の精度やガタつきによってレバーを押し込み過ぎた場合に突っ張りが発生し破損する恐れがある。また逆に押し込みが足りない場合は駆動が連結されないといった不具合がある。そのため、そのガタや精度を吸収するために付勢バネを設け、レバーが直接ギアを連結させるのではなく、レバーの押し込みによってバネを十分付勢し、そのバネカによって駆動を連結させていた。
【0005】
また、バネを十分に撓ませる状態に設計値を設定しておくことで、レバーの押し込みが多少足りない場合でもバネカが発生し駆動連結を可能にしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特関2006−214567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この構成だと駆動を連結するためのバネやバネを保持するための部品によってコストやスペースの面で不利となっている。また、押し込み過ぎによりバネの塑性変形などがあった場合は所望の力が得られなくなってしまうという課題があった。
【0008】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で省スペース化を図ることができ、かつ回転扉の開閉に応じて確実に駆動伝達系の連結及び解除を行うことができる駆動伝達装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は以下の手段によって解決される。
(1)回転軸の周りに回転する回転扉を閉じたときに従動ギアを駆動ギアに連結し、回転扉を開いたときに従動ギアと駆動ギアとの連結を解除する駆動伝達装置において、前記回転扉の厚み方向に突出する態様で回転扉に設けられた押圧用突部と、長さ方向の中間部を、前記回転扉と同一の回転面内で回転可能に支軸により軸支されたレバーとを備え、前記レバーの長さ方向の一端側には、前記回転扉を閉じたときに前記押圧用突部の先端部に当接し前記突部から押圧力を付与される作用面が形成されるとともに、レバーの長さ方向の他端部は前記従動ギアに連結され、前記回転扉を閉じたときに前記レバーの作用面に押圧用突部の押圧力が作用してレバーが前記軸部を中心に一方向に回転することにより、前記レバーの他端側に連結された前記従動ギアが前記駆動ギアに対し接近方向に移動して駆動ギアと連結し、前記回転扉を開いたときに前記押圧用突部によるレバーの押圧が解除されてレバーが他方向へ回転可能となることにより、前記レバーの他端側に連結された前記従動ギアが前記駆動ギアに対し離間方向に移動して駆動ギアとの連結を解除可能となされ、かつ前記レバーの作用面は、前記回転扉を閉じた状態で、回転扉の扉平面とほぼ平行に位置することを特徴とする駆動伝達装置。
(2)前記第従動ギアを前記駆動ギアに対し離間する方向に付勢する弾性部材が設けられている前項1に記載の駆動伝達装置。
(3)前記従動ギアはギアホルダに保持されると共に、前記レバーの長さ方向の他端部は前記ギアホルダに係合されてなる前項1または2に記載の駆動伝達装置。
【発明の効果】
【0010】
前項(1)に記載の発明によれば、回転扉を閉じたときにレバーの作用面に押圧用突部による押圧力が作用してレバーが前記支軸を中心に一方向に回転し、レバーの他端側に連結された従動ギアが駆動ギアに対し接近方向に移動して駆動ギアと連結される。このように、レバーと従動ギアとはバネ等の付勢部材を介することなく直接的に連結されているから、部品点数が少なく構成が簡易となり省スペース化を図ることができる。しかも、回転扉の閉動作に伴う押圧突部によるレバーの押し込みによって、従動ギアを駆動ギアに対し接近方向に移動させて駆動ギアと連結させるから、回転扉の閉動作に伴う押圧突部によるレバーの押し込み力が、付勢部材を介することなく直接的に従動ギアを移動させる力となり、従動ギアを駆動ギアに確実に連結させることができる。
【0011】
また、回転扉の押圧突部による押圧力が作用するレバーの作用面は、前記回転扉を閉じた状態で、回転扉の扉平面とほぼ平行に位置するものとなされているから、扉の取付精度、経時的な寸法精度の低下等により扉平面内で扉にがたつきを生じても、回転扉の押圧突部によるレバーの押し込み量は変化することがなく、ひいては従動ギアと駆動ギア間で安定した駆動力の伝達とその解除を実現することができる。
【0012】
前項(2)に記載の発明によれば、従動ギアを前記駆動ギアに対し離間する方向に付勢する弾性部材が設けられているから、回転扉を開いたときに、前記弾性部材によって従動ギアが駆動ギアに対し離間方向に自動的に移動することになり、使い勝手が良い。
【0013】
前項(3)に記載の発明によれば、従動ギアはギアホルダに保持されると共に、前記レバーの長さ方向の他端部は前記ギアホルダに係合されてなるから、従動ギアとレバーとの連結を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態に係る駆動伝達装置の原理機構を説明するための概念図であり、回転扉を閉じた状態の平面図である。
【図2】同じく回転扉を開く途中の状態を示す平面図である。
【図3】図1及び図2の駆動伝達装置の具体的構成例を示すものであり、(a)は回転扉を閉じた状態の斜視図、(b)は同じく回転扉を開く途中の状態の斜視図である。
【図4】図3に示した駆動伝達装置を一部の構成部材を分離した状態で示す斜視図である。
【図5】(a)は図3及び図4に示した駆動伝達装置の回転扉を閉じた状態の底面図、(b)は同じく回転扉を開く途中の状態の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1及び図2は、この発明の一実施形態に係る駆動伝達装置の原理機構を説明するための概念図であり、図1は回転扉を閉じた状態の平面図、図2は回転扉を開く途中の状態を示す平面図である。
【0017】
なお、この実施形態では、画像形成装置の定着ローラ等のローラを駆動源と連結しまたは解除するのに用いられる駆動伝達装置を示すが、駆動伝達装置の用途はこれに限定されることはなく、画像形成装置の用紙搬送系に用いられても良いし、画像形成装置の他の用途あるいは画像形成装置以外の用途に使用されても良い。
【0018】
図1において、モータ等の図示しない駆動源の駆動軸1に駆動ギア2が軸着されている。また、前記駆動軸1と平行状に軸部3が配置され、この軸部3に従動ギア4が軸着されている。なお、軸部3は図示しない定着ローラ等と連結されている。
【0019】
前記従動ギア4は、回転方向においては軸部3と一体化して回転し、軸部3の長さ方向(軸方向)においてはスライド移動可能に軸部3に取り付けられている。なお、従動ギア4が軸部3に固定され、軸部3の全体あるいは軸部3における従動ギア4の取付部分のみが長さ方向に移動する構成であっても良い。
【0020】
また、前記従動ギア4は図1に示す回転扉5を閉じた状態では、軸部3の長さ方向の一端側(図1の上方)に移動して、その外周面が駆動ギア2の外周面に噛合連結している。従ってこの状態では、駆動源が駆動され駆動軸1が回転し駆動ギア2が回転すると、駆動ギア2に噛合している従動ギア4さらには軸部3が回転し、これにより駆動源の駆動力が、駆動ギア2及び従動ギア4を介して軸部3に伝達されるものとなされている。
【0021】
また、軸部3には弾性体としての圧縮コイルバネ6が装填され、前記従動ギア4は前記コイルバネ6によって、図2の矢印C2で示すように軸部3の長さ方向の他端側(図2の下方)へ常時付勢されている。
【0022】
前記従動ギア4には、支軸7を中心として紙面と平行な平面内において所定の角度範囲で揺動するレバー8の長さ方向の先端部が、レバー先端部の円弧状移動動作を従動ギア4の軸部3の長さ方向への直線的な移動動作に変換できる態様で、従動ギア4に連結されている。
【0023】
これにより、レバー8が支軸7を中心として、図2の矢印B1のように紙面の時計方向に回転することにより、レバー8の先端部に連結された従動ギア4が、図2の矢印C1で示すように、コイルバネ6の弾性力に抗して軸部3の長さ方向の一方側にスライドし、従動ギア4が駆動ギア2に噛合するものとなされている。また、レバー8に作用する時計方向への回転力が消失すると、コイルバネ6の付勢力に押されて、図2の矢印C2で示すように、従動ギア4が軸部3の長さ方向の他方側にスライドし、駆動ギア2と従動ギア4との噛合連結状態が解除されるとともに、従動ギア4のスライドに連動して、従動ギア4に連結されたレバー8も図2の矢印B2のように紙面反時計方向に回転するものとなされている。
【0024】
さらに、前記レバー8の長さ方向の他端部には図1の紙面下向きL形に曲成された腕部8aが形成されている。
【0025】
前記回転扉5は、画像形成装置の本体(図示せず)に垂直状に取り付けられるとともに、回転軸9を中心として紙面と平行な平面内従ってレバー8と同一の回転面内で回転可能となされており、回転扉5を図2の矢印A1で示す紙面時計方向に回転させることにより、回転扉5が閉じた状態となり、図2の矢印A2で示す紙面反時計方向に回転させることにより、回転扉5が開いた状態となる。
【0026】
また、回転扉5の内面には回転扉の厚み方向に突出する押圧用突部10が突設されている。この押圧用突部10は、回転扉5を閉じる方向へ回転させたときに、前記レバー8の腕部8aの外面からなる作用面8bに当接し、さらに回転扉5の閉じ方向への回転に伴い腕部8aに押圧力を付与するものである。この腕部8aへの押圧力は、回転扉5が閉じ位置へと回転されるまで続き、さらに回転扉5が閉じられている限り継続するが、回転扉5が閉じられた状態では、図1に示すように、押圧用突部10が当接し押圧力が作用するレバー腕部8aの作用面8bは、回転扉5の扉平面5aとほぼ平行に位置するものとなされている。
【0027】
このレバー腕部8aの作用面8bに作用する押圧用突部10の押圧力により、前述したように、レバー8は紙面時計方向(図2の矢印B1方向)に回転し、レバー8の先端部に連結している従動ギア4が軸部3をコイルバネ6側(図2の矢印C1方向)にスライドして、駆動ギア2と噛合連結し、駆動源の駆動力が駆動ギア2を介して従動ギア4に伝達され、軸部3が回転駆動されるものとなされている。
【0028】
一方、回転扉5を図2の矢印A2で示す紙面反時計方向に回転させて開けると、レバー8の腕部8aに作用していた押圧用突部10による押圧力が消失するから、従動ギア4はコイルバネ6の弾性力により図2の矢印C2に示すように駆動ギア2と離間する方向に軸部3をスライドし、駆動ギア2と従動ギア4との連結が解除される。従動ギア4のスライドにより、従動ギア4に先端部を連結されているレバー8が支軸7を中心に図2の矢印B2で示す反時計方向に回転する。
【0029】
このように、この実施形態では、レバー8と従動ギア4とはバネ等の付勢部材を介することなく直接的に連結されているから、部品点数が少なく構成が簡易となり省スペース化を図ることができる。しかも、回転扉5の閉動作に伴う押圧突部10によるレバー8の押し込みによって、従動ギア4を駆動ギア2に対し接近方向に移動させて駆動ギア2と連結させるから、回転扉5の閉動作に伴う押圧突部10によるレバー8の押し込み力が、付勢部材を介することなく直接的に従動ギア4を移動させる力となり、従動ギア4を駆動ギア2に確実に連結させることができる。
【0030】
また、回転扉5の押圧突部10による押圧力が作用するレバー腕部8aの作用面8bは、前記回転扉5を閉じた状態で、回転扉5の扉平面5aとほぼ平行に位置するものとなされているから、回転扉5の取付精度や経時的な寸法精度の低下等により扉平面内で図1の矢印D1で示す方向の回転扉5のがたつきを生じても、回転扉5の押圧突部10によるレバー8の押し込み量は変化することがなく、ひいては従動ギア4と駆動ギア2間で安定した駆動力の伝達とその解除を実現することができる。
【0031】
しかも、従動ギア4を前記駆動ギア2に対し離間する方向に付勢する弾性部材が設けられているから、回転扉5を開いたときに、前記弾性部材によって従動ギア4が駆動ギア2に対し離間方向に自動的に移動することになり、使い勝手の良いものとなる。
【0032】
図3は、図1及び図2の駆動伝達装置の具体的構成例を示すものであり、(a)は従動ギア及び駆動ギアが噛合連結された状態の斜視図、(b)は同じく連結が解除された状態の斜視図である。
【0033】
図3において、この駆動伝達装置は、支持体11に取り付けられた駆動源としてのモータ20を備え、このモータ20の駆動軸21には駆動ギア22が噛合している。
【0034】
前記駆動ギア22は、外周面が前記モータ20の駆動軸21に噛合する径大ギア部22aと、該径大ギア部22aと同軸に設けられるとともにモータ20側とは反対側に突出し、かつ径大ギア部22aよりも径小の径小ギア部22bとを備えている。
【0035】
前記駆動ギア22の下方には、長さ方向の一端部を前記支持体11に支持された状態で、前記モータ20の駆動軸21と同一方向に突出する軸部30が配置され、該軸部30に従動ギア40が軸部30と一体回転可能にかつ軸部30の長さ方向にスライド移動可能に軸着されている。
【0036】
従動ギア40の軸部30への取り付け状態を図4を用いて説明する。
【0037】
前記軸部30には、支持体11の下流側においてコイルバネ50が挿通されるとともに、コイルバネ50の先端部に当接して前記従動ギア40が配設されている。この従動ギア40は、一側板部41aを前記軸部30により貫通されたギアホルダ41に回転自在に保持されるとともに、軸部30が挿通される中央部の軸孔42には、従動ギアの径方向に沿うスライド用の溝43が、従動ギア40の長さ方向にわたって形成されている。そして、このスライド用の溝43に、軸部30を貫通して取り付けられた第1平行ピン31が嵌り込むことにより、従動ギア40は回転方向においては前記第1平行ピン31に係合して軸部30と一体的に回転し、軸部30の長さ方向においては前記第1平行ピン31に前記スライド用の溝43を案内されてスライド可能となされている。なお、前述したように、従動ギア40は軸部30と一体に固定され、軸部30が長さ方向に移動する構成としても良い。
【0038】
さらに、従動ギア40の下流側において、軸部30には第1のE型止め輪32が取着されるとともに、第1のE型止め輪32の下流側において、軸部30は軸受け33により支持されている。
【0039】
さらに、軸受け33の下流側において、軸部30には第2平行ピン34が軸部30の径方向を貫通して設けられ、この平行ピン34により、定着ローラ等に駆動力を伝達するためのドッキングギア35が軸部30と一体に連結されている。なお、このドッキングギア35の下流側において、軸部30の先端には第2のE型止め輪36が取着されている。
【0040】
図3及び図4に示すように、前記従動ギア40を保持するギアホルダ41の下部には、レバー60の長さ方向の先端部61が連結されている。具体的には、前記レバー60の先端部61の外周面は円弧状曲面に形成されており、この円弧状曲面を有する先端部61を、ギアホルダ下面の嵌合溝41bに嵌合させた状態で、レバー先端部61がギアホルダ41に連結されている。
【0041】
前記レバー60は長さ方向の中間部を支軸62により軸着されることにより水平面内で回転方向に揺動可能となされており、該レバー60の揺動によりレバー60の先端部61が所定角度範囲で揺動し、この揺動に伴ってレバー先端部61に連結されたギアホルダ41を介して、従動ギア40が軸部30の長さ方向(軸方向)にスライドするものとなされている。つまり、レバー60の先端部61とギアホルダ41とは、レバー先端部61の円弧状移動動作を従動ギア40の軸部30における長さ方向の直線的な移動動作に変換できる態様で連結されている。
【0042】
そして、従動ギア40がコイルバネ50の付勢力に抗して軸部30の基端側(支持体11側)に最大スライドしたときに、従動ギア40の外周面が駆動ギア22の径小ギア部22bの外周面に噛合連結する一方、軸部30の先端側(ドッキングギア35側)にスライドすると、従動ギア40と駆動ギア22の径小ギア部22aとの連結状態が解除されるものとなされている。
【0043】
また、前記レバー60の長さ方向の他端部は、軸部30におけるドッキングギア35側に鉤状に曲成された腕部63となされるとともに、この腕部63の外面の一部の平坦部が、回転扉70の押圧用突部80に当接する作用面64となされている。
【0044】
前記回転扉70は画像形成装置の用紙ジャム等が発生したときに開かれるものであり、垂直状に配置された板状部材からなるとともに、一側部に設けられた回転軸71に水平面内で回転可能に軸支されている。また、回転扉70の内面には、回転扉の厚み方向に突出する前記押圧用突部80が設けられている。
【0045】
このような構成において、前記回転扉70を図3(b)及び図5(b)の矢印A3で示す閉じ方向に回転させると、回転扉70の押圧用突部80の先端が前記レバー60の腕部63の作用面64に当接し、さらに回転させるとレバー60は押圧用突部80からの押圧力を付与されて、支軸62を中心として図3(b)及び図5(b)の矢印B3で示す方向に回転する。この回転により、ギアホルダ41に連結されたレバー60の先端部61が、ギアホルダ41に支持体11方向への移動力を付与し、これによりギアホルダ41に保持された従動ギア40が、コイルバネ50の付勢力に抗して軸部30を図3(b)及び図5(b)の矢印C3で示すように支持体11方向へとスライドする。図3(a)及び図5(a)のように回転扉70を完全に閉じた状態で、従動ギア40は最大スライドし、従動ギア40の外周面が駆動ギア22の径小ギア部22bに噛合連結する。このとき、回転扉70の押圧用突部80によって押圧力を付与される前記レバー60の腕部63の作用面64が、図5(a)に示すように、前記回転扉70の扉平面72とほぼ平行となるように、レバー60の腕部63と押圧用突部80との位置関係、押圧用突部80の長さ等が設定されている。
【0046】
この従動ギア40の外周面が駆動ギア22の径小ギア部22bに噛合連結した状態では、モータ20の回転駆動力が駆動軸21、駆動ギア22、従動ギア40を介して軸部30に伝達され、さらにドッキングギア35を介して定着ローラ等に伝達される。
【0047】
定着ローラ等に用紙ジャム等が生じ、回転扉70が図3(b)及び図5(b)の矢印A4で示す方向に回転されて回転扉70が開かれると、レバー腕部63の作用面64に付与されていた回転扉70の押圧用突部80からの押圧力が消失するから、従動ギア40はコイルバネ50の付勢力によって、図3(b)及び図5(b)の矢印C4で示すように駆動ギア22から離間する方向にスライドし、駆動ギア22と従動ギア40との噛合連結状態が解除される。従動ギア40のスライドに伴いギアホルダ41もスライドし、ギアホルダ41に先端部61が連結されているレバー60は支軸62を中心として図3(b)及び図5(b)の矢印B4で示す方向に回転する。駆動ギア22と従動ギア40との噛合連結状態が解除されると、モータ20と軸部30との連結、ひいてはモータ20と定着ローラ等の連結が解除され、用紙のジャム処理が容易となる。
【0048】
このように、レバー60と従動ギア40とはバネ等の付勢部材を介することなく直接的に連結されているから、部品点数が少なく構成が簡易となり省スペース化を図ることができる。なお、この実施形態ではコイルバネ50が設けられているが、このコイルバネ50はあくまでも連結解除用であり、従来用いられていたような従動ギア40と駆動ギア22とを連結するためのバネではない。しかも、回転扉70の閉動作に伴う押圧用突部80によるレバー60の押し込みによって、従動ギア40を駆動ギア22に対し接近方向に移動させて駆動ギア22と連結させるから、回転扉70の閉動作に伴う押圧用突部80によるレバー60の押し込み力が、付勢部材を介することなく直接的に従動ギア40を移動させる力となり、従動ギア40を駆動ギア22に確実に連結させることができる。
【0049】
また、回転扉70の押圧用突部80による押圧力が作用するレバー腕部63の作用面64は、前記回転扉70を閉じた状態で、回転扉70の扉平面72とほぼ平行に位置するものとなされているから、回転扉70の取付精度、経時的な寸法精度の低下等により扉平面内で回転扉70に図5(a)の矢印D2で示す方向のがたつきを生じても、回転扉70の押圧突部80によるレバー60の押し込み量は変化することがなく、ひいては従動ギア40と駆動ギア22間で安定した駆動力の伝達とその解除を実現することができる。
【0050】
なお、以上の実施形態では、コイルバネ6、50を設けて、回転扉5、70を開いたときに、コイルバネの付勢力により従動ギア4、40が駆動ギア2、22と離間する方向に自動的にスライドして両ギアの連結が解除される構成としたが、コイルバネを設けることなく、ユーザが手動でレバー8、60を回動させることにより、従動ギア4、40を駆動ギア2、22と離間する方向にスライドさせても良い。
【符号の説明】
【0051】
20 モータ
1、21 駆動軸
2、22 駆動ギア
3、30 軸部
4、40 従動ギア
41 ギアホルダ
5、70 回転扉
6、50 コイルバネ
5a、72 扉平面
7、62 支軸
9、71 回転軸
8、60 レバー
8b、64 作用面
10、80 押圧用突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周りに回転する回転扉を閉じたときに従動ギアを駆動ギアに連結し、回転扉を開いたときに従動ギアと駆動ギアとの連結を解除する駆動伝達装置において、
前記回転扉の厚み方向に突出する態様で回転扉に設けられた押圧用突部と、
長さ方向の中間部を、前記回転扉と同一の回転面内で回転可能に支軸により軸支されたレバーとを備え、
前記レバーの長さ方向の一端側には、前記回転扉を閉じたときに前記押圧用突部の先端部に当接し前記突部から押圧力を付与される作用面が形成されるとともに、レバーの長さ方向の他端部は前記従動ギアに連結され、
前記回転扉を閉じたときに前記レバーの作用面に押圧用突部の押圧力が作用してレバーが前記軸部を中心に一方向に回転することにより、前記レバーの他端部に連結された前記従動ギアが前記駆動ギアに対し接近方向に移動して駆動ギアと連結し、前記回転扉を開いたときに前記押圧用突部によるレバーの押圧が解除されてレバーが他方向へ回転可能となることにより、前記レバーの他端部に連結された前記従動ギアが前記駆動ギアに対し離間方向に移動して駆動ギアとの連結を解除可能となされ、
かつ前記レバーの作用面は、前記回転扉を閉じた状態で、回転扉の扉平面とほぼ平行に位置することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項2】
前記第従動ギアを前記駆動ギアに対し離間する方向に付勢する弾性部材が設けられている請求項1に記載の駆動伝達装置。
【請求項3】
前記従動ギアはギアホルダに保持されると共に、前記レバーの長さ方向の他端部は前記ギアホルダに係合されてなる請求項1または2に記載の駆動伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−7295(P2011−7295A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152762(P2009−152762)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】