駆動装置及び基板処理システム
【課題】空間を分離する際のシール性及びメンテナンス性に優れた駆動装置を提供する。
【解決手段】同軸上に2つの回転軸(外側出力軸150及び内側出力軸250)を有する駆動装置80において、本体ケース300と外側出力軸150との間に真空シール170を配置し、更に、外側出力軸150と内側出力軸250との間に真空シール270を配置することで、駆動装置80の本体ケース300内の空間と、本体ケース300外の空間とを分離する。これにより、駆動装置80を減圧環境下で用いる場合であっても、駆動装置80の本体ケース300内の空間(大気圧環境側)と減圧環境側の空間とを分離することができるので、駆動装置80の減圧環境下での使用が可能となる。
【解決手段】同軸上に2つの回転軸(外側出力軸150及び内側出力軸250)を有する駆動装置80において、本体ケース300と外側出力軸150との間に真空シール170を配置し、更に、外側出力軸150と内側出力軸250との間に真空シール270を配置することで、駆動装置80の本体ケース300内の空間と、本体ケース300外の空間とを分離する。これにより、駆動装置80を減圧環境下で用いる場合であっても、駆動装置80の本体ケース300内の空間(大気圧環境側)と減圧環境側の空間とを分離することができるので、駆動装置80の減圧環境下での使用が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の側面及び実施形態は、駆動装置、及び、駆動装置を備えた基板処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一対のアームといった2つの被駆動部を駆動する駆動装置として、同軸に2つの回転駆動軸を有する駆動装置がある。このような駆動装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された駆動装置は、工具マガジンに適用されたものである。この工具マガジンは、回転する主テーブルと、主テーブルの周縁部に回転可能に取り付けられた副テーブルとを備えている。副テーブルには、工具を脱着するための複数のツールポット(登録商標)が設けられている。この工具マガジンは、主テーブルと副テーブルとを互いに独立して回転させ、目的のツールポットを取り出し位置に移動させる。
【0003】
また、この工具マガジンは、主テーブルと副テーブルとを互いに独立して回転させるため、円筒形状の外軸と外軸の内孔に通された内軸とを備えている。外軸と内軸とは、それぞれ異なるモータによって駆動される。外軸には、主テーブルが取り付けられる。内軸には、副テーブルを回転駆動させるためのサンギアが取り付けられる。副テーブルは、サンギアの周りを回転する遊星ギアによって駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−59329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述のような同軸上に2つの回転軸を有する駆動装置を、減圧環境下において、用いたいという要望がある。この場合には、駆動装置内に、大気圧側の空間と減圧側の空間とを分離する構成を設ける必要が生じる。
【0006】
当該技術分野においては、高真空状態における空間を分離する際のシール性及びメンテナンス性に優れた駆動装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る駆動装置は、ケースと、ケース内において第1軸線に沿って延在する出力軸を有する第1モータであり、該出力軸は螺旋状に設けられたリブを有する外周面を含む、該第1モータと、ケース内において第1軸線と平行な第2軸線に沿って延在する出力軸を有する第2モータであり、該出力軸は螺旋状に設けられたリブを有する外周面を含む、該第2モータと、第1軸線と第2軸線との間において該第1軸線及び該第2軸線に対して垂直な方向に延びる第3軸線に沿って延在する円筒形状を有しており、ケースから外部に延び出した一端部とケース内に収容された他端部とを含む第1軸体、及び、他端部の外周面に設けられたローラフォロアであり第1モータの前記リブと所定の減速比をもって係合する該ローラフォロアを有する第1出力軸と、第1軸体の内孔を通るように該第1軸体と同軸に設けられた第2軸体であり、ケースから外部に延び出した一端部と第1軸体の内孔からケース内に延び出した他端部とを含む該第2軸体、及び、該第2軸体の該他端部に設けられたローラフォロアであり第2モータのリブと所定の減速比をもって係合する該ローラフォロアを有する第2出力軸と、ケースと第1軸体の外周面との間に配置された第1封止部材と、第1軸体の内周面と第2軸体の外周面との間に配置された第2封止部材と、を備える。
【0008】
上述のように、同軸上に2つの回転軸を有する駆動装置において、ケースと第1軸体の外周面との間に第1封止部材を配置し、第1軸体の内周面と第2軸体の外周面との間に第2封止部材を配置することで、駆動装置のケース内の空間とケース外の空間とが分離される。これにより、駆動装置を高真空状態における減圧環境下で用いる場合であっても、駆動装置のケース内の大気圧側の空間と減圧側の空間とが分離され、駆動装置の高真空状態における減圧環境下での使用が可能となる。
【0009】
また、第1封止部材は、第1モータの出力軸の回転数よりも少ない回転数で回転する第1軸体に当接する。第2封止部材は、第1モータの出力軸の回転数よりも少ない回転数で回転する第1軸体、及び、第2モータの出力軸の回転数よりも少ない回転数で回転する第2軸体に当接する。これにより、第1封止部材や第2封止部材が第1モータの出力軸や第2モータの出力軸に当接する場合に比べて、第1封止部材及び第2封止部材のシール性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【0010】
また、第3軸線方向から見た場合、第2モータの出力軸と第1モータの出力軸とは平行となっており、互いの出力軸が重なっていない。これにより、第3軸線方向において、第1モータと第2モータとが互いに干渉することなく、第1モータと第2モータとをオーバーラップさせて配置することができる。即ち、第3軸線方向における第1モータと第2モータとの干渉を防止するために、第1出力軸や第2出力軸を長くする必要がない。このように、第1出力軸及び第2出力軸を短くすることが可能となり、駆動装置の小型化を図ることができる。また、第1出力軸及び第2出力軸を短くすることができるため、第1出力軸及び第2出力軸の剛性を向上させることができる。
【0011】
一実施形態においては、第2封止部材が、第1軸体又は第2軸体に取り付けられていてもよい。第2封止部材が第1出力軸に取り付けられている場合、第2封止部材から見ると摺動可能に当接する部位は第2出力軸との接触部位のみとなる。また、第2封止部材が第2出力軸に取り付けられている場合、第2封止部材から見ると摺動可能に当接する部位は第1出力軸との接触部位のみとなる。このように、第2封止部材を、第1出力軸又は第2出力軸に取り付けることで、第2封止部材が摺動可能に当接する部位を、第2出力軸との接触部位又は第1出力軸との接触部位のみとすることができ、第2封止部材のシール性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0012】
一実施形態においては、第2軸体が、該第2軸体の前記一端部を含む第1部分と、該第2軸体の他端部を含む第2部分であって該第1部分とは別体であり且つ該第1部分の材料とは異なる材料により構成された該第2部分と、を含んでいてもよい。第2軸体を構成する第1部分と第2部分とを異なる材料で形成することで、第1出力軸の強度に合わせて第2軸体を形成することが可能となり、第2出力軸の強度と第1出力軸の強度とを略等しくすることができる。
【0013】
一実施形態においては、第1軸体が、該第1軸体の一端部を含む第1部分と、該第1軸体の他端部を含む第2部分であって該第1部分とは別体であり且つ該第1部分の材料とは異なる材料により構成された該第2部分と、を含んでいてもよい。第1軸体を構成する第1部分と第2部分とを異なる材料で形成することで、第2出力軸の強度に合わせて第1軸体を形成することが可能となり、第1出力軸の強度と第2出力軸の強度とを略等しくすることができる。
【0014】
一実施形態においては、第1出力軸のローラフォロアの外径が、第2出力軸のローラフォロアの外径と等しくてもよい。これにより、第1モータの回転に対する第1出力軸の回転角度と第2モータの回転に対する第2出力軸の回転角度とを同じにすることができ、第1出力軸及び第2出力軸の回転角度の制御が容易となる。
【0015】
一実施形態においては、第1出力軸を支持するベアリングであって、第1軸体の外周面とケースとの間、且つ、第1封止部材と第1軸体の他端部との間に設けられた該ベアリングを更に備えていてもよい。この場合には、第1出力軸を支持するベアリングを第1封止部材に近づけて配置することができる。第1出力軸のうち、ベアリングによって支持された近傍の部位は軸のブレが少ない。従って、第1封止部材をベアリングの近傍に配置することで、第1封止部材は第1出力軸のブレが少ない部位に当接することとなる。これにより、第1封止部材のシール性を向上させることができる。
【0016】
一実施形態においては、ベアリングが、第1出力軸のローラフォロアの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在していてもよい。この場合には、ローラフォロアの外径よりも第1出力軸の軸心側の位置においてベアリングが第1出力軸を支持することとなる。これにより、ベアリングによる第1出力軸の支持剛性を高めることができる。
【0017】
一実施形態においては、第2出力軸を支持するベアリングであって、第2軸体の他端部の外周面とケースとの間において、第2出力軸のローラフォロアの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在する該ベアリングを更に備えていてもよい。この場合には、ローラフォロアの外径よりも第2出力軸の軸心側の位置においてベアリングが第2出力軸を支持することとなる。これにより、ベアリングによる第2出力軸の支持剛性を高めることができる。
【0018】
一実施形態においては、大気圧環境下で基板を搬送するローダモジュールと、減圧環境下で基板を処理するプロセスモジュールと、基板を搬送するための搬送モジュールであって、ローダモジュールとプロセスモジュールとの間に設けられた該搬送モジュールと、を備え、搬送モジュールは、減圧可能な搬送空間を画成するチャンバ壁と、該搬送空間内に設けられた一対のアームを含む搬送アームと、搬送空間の気密を確保するようチャンバ壁の外面に取り付けられた上述の駆動装置と、を備え、第1軸体の一端部に一対のアームのうち一方が連結されており、第2軸体の一端部に一対のアームのうち他方が連結されていてもよい。従って、基板処理システムの搬送モジュールに用いられる駆動装置のシール性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の種々の側面及び実施形態によれば、シール性及びメンテナンス性に優れた駆動装置、及び、この駆動装置を備えた基板処理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態に係る駆動装置を含む真空搬送ロボットを備える基板処理システムをローダモジュール側から見た斜視図である。
【図2】一実施形態に係る基板処理システムをプロセスチャンバ側から見た斜視図である。
【図3】一実施形態に係る基板処理システムの平面図である。
【図4】一実施形態に係る第1ロードロックチャンバ及び第1搬送チャンバを示す斜視図である。
【図5】一実施形態に係る搬送機構及び駆動装置を示す斜視図である。
【図6】一実施形態に係る搬送機構の動作を示す斜視図である。
【図7】一実施形態に係る搬送機構の動作を示す斜視図である。
【図8】一実施形態に係る第2ロードロックチャンバ及び第2搬送チャンバを示す斜視図である。
【図9】一実施形態に係る駆動装置をアームが取り付けられる側から見た図である。
【図10】一実施形態に係る駆動装置をモータが取り付けられた側から見た図である。
【図11】図9に示す駆動装置のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】一実施形態に係る第1モータのリブと外側軸駆動伝達部のローラフォロアとの係合を示す図である。
【図13】一実施形態に係る搬送機構と駆動装置との取り付け構造を示す断面図である。
【図14】一実施形態に係る第2搬送チャンバの周りを基板処理システムの後方側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0022】
図1は、一実施形態に係る駆動装置を含む真空搬送ロボットを備える基板処理システムをローダモジュール側から見た斜視図である。図2は、一実施形態に係る駆動装置を含む真空搬送ロボットを備える基板処理システムをプロセスチャンバ側から見た斜視図である。図2において、第1及び第2搬送モジュール28,31をわかり易く示すために、第1プロセスチャンバ23−1及び第2プロセスチャンバ24−1が省略されている。なお、以下の説明では、方向を示す用語として、ローダモジュール22に対してポート21が位置する方向を示すため「前」との語を用い、その反対方向を示す用語として「後」との語を用いる。図1及び図2に示す基板処理システム10は、ローダモジュール22と、第1搬送モジュール28と、第2搬送モジュール31と、プロセスチャンバ(プロセスモジュール)23−1,23−2,24−1,24−2と、を備えている。
【0023】
ローダモジュール22は、大気搬送室25を備える。大気搬送室25の前面には、複数のポート21(図1に示す例では6個)が一列に配列される。ポート21には、複数枚の未処理の基板が収納されたカセットがセットされる。カセット内の未処理の基板は、大気搬送室25内の大気搬送ロボットによって一枚ずつカセットから取り出され、プロセスチャンバ23−1,23−2,24−1,24−2で処理が行われる。また、プロセスチャンバ23−1,23−2,24−1,24−2で処理が行われた基板は、大気搬送室25内の大気搬送ロボットによって一枚ずつカセットに戻される。
【0024】
第1搬送モジュール28は、第1ロードロックチャンバ26−1,26−2と、第1搬送チャンバ27と、を備える。第1ロードロックチャンバ26−1,26−2は、ローダモジュール22に接続されている。更に、第1ロードロックチャンバ26−1,26−2は、第1搬送チャンバ27に接続されている。第1搬送チャンバ27は、第1プロセスチャンバ23−1,23−2に接続されている。
【0025】
第2搬送モジュール31は、第2ロードロックチャンバ29−1,29−2と、第2搬送チャンバ30と、を備える。第2ロードロックチャンバ29−1,29−2は、ローダモジュール22に接続されている。更に、第2ロードロックチャンバ29−1,29−2は、第2搬送チャンバ30に接続されている。第2搬送チャンバ30は、第2プロセスチャンバ24−1,24−2に接続されている。
【0026】
四つのプロセスチャンバ23−1,23−2,24−1,24−2は、ローダモジュール22の後ろ側の領域において、縦2列、横2列となるように配置されている。即ち、第1プロセスチャンバ23−1,23−2はローダモジュール22に近い位置に配置され、第2プロセスチャンバ24−1,24−2はローダモジュール22から離れた位置に配置されている。
【0027】
第1及び第2プロセスチャンバ23−1,23−2,24−1,24−2は、成膜(CVD法、プラズマCVD法、PVD法、ALD法)、エッチング、アッシング、酸化、窒化、ドーピング、拡散等の群から選ばれた少なくとも一つのプロセス、又はこれらの群から選ばれて組み合わされた複数のプロセスを実行するように構成される。例えば、プラズマを用いてエッチング処理を行うプロセスチャンバの上部には、各種の制御装置、ガス供給系及び高周波電力供給手段等が設けられ、その下部には、チャンバ内を排気する排気手段等が設けられる。
【0028】
第1搬送モジュール28の第1搬送チャンバ27は、第1プロセスチャンバ23−1,23−2の間に配置されている。第2搬送モジュール31の第2搬送チャンバ30は、第2プロセスチャンバ24−1,24−2の間に配置されている。第2プロセスチャンバ24−1,24−2は第1プロセスチャンバ23−1,23−2よりもローダモジュール22から離れた位置にあり、第2搬送モジュール31の長さは第1搬送モジュール28の長さよりも長い。また、第1搬送モジュール28が上方に配置され、第2搬送モジュール31が下方に配置されている。
【0029】
大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、ポート21にセットされたカセットから基板を取り出し、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に基板を搬送する。第1搬送チャンバ27内の第1真空搬送ロボット56(図3のエリア(b)参照)は、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に搬送された基板を第1プロセスチャンバ23−1又は23−2に搬送する。第1プロセスチャンバ23−1又は23−2での処理が終了すると、第1搬送チャンバ27内の第1真空搬送ロボット56が第1プロセスチャンバ23−1又は23−2から基板を取り出し、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に搬送する。大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2から基板を取り出し、ポート21上のカセットに収納する。
【0030】
また、大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、ポート21に配置されたカセットから基板を取り出し、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に基板を搬送する。第2搬送チャンバ30内の第2真空搬送ロボット58(図3のエリア(c)参照)は、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に搬送された基板を第2プロセスチャンバ24−1又は24−2に搬送する。第2プロセスチャンバ24−1又は24−2での処理が終了すると、第2搬送チャンバ30内の第2真空搬送ロボット58が、処理済みの基板を第2プロセスチャンバ24−1又は24−2から取り出し、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に搬送する。大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2から基板を取り出し、ポート21上のカセットに収納する。
【0031】
図3は基板処理システムの平面図である。図3のエリア(a)は基板処理システムの全体図を示し、図3のエリア(b)はローダモジュール22に接続される上層の第1搬送モジュール28及び第1プロセスチャンバ23−1,23−2を示し、図3のエリア(c)はローダモジュール22に接続される下層の第2搬送モジュール31及び第2プロセスチャンバ24−1,24−2を示す。
【0032】
図3のエリア(b)に示すように、第1搬送モジュール28の第1搬送チャンバ27には、二つの第1プロセスチャンバ23−1,23−2が連結される。大気搬送室25と第1ロードロックチャンバ26−1,26−2との間にはゲートバルブ51がそれぞれ設けられる。第1ロードロックチャンバ26−1,26−2と第1搬送チャンバ27との間には、ゲートバルブ52がそれぞれ設けられる。第1搬送チャンバ27と第1プロセスチャンバ23−1,23−2との間にはゲートバルブ53がそれぞれ設けられる。第1搬送チャンバ27内には、第1真空搬送ロボット56が設けられる。
【0033】
図3のエリア(c)に示すように、第2搬送モジュール31の第2搬送チャンバ30には、二つの第2プロセスチャンバ24−1,24−2が連結される。大気搬送室25と第2ロードロックチャンバ29−1,29−2との間にはゲートバルブ73,74がそれぞれ設けられる。第2ロードロックチャンバ29−1,29−2と第2搬送チャンバ30との間にはゲートバルブ71,72がそれぞれ設けられる。第2搬送チャンバ30と第2プロセスチャンバ24−1,24−2との間にはゲートバルブ57がそれぞれ設けられる。第2搬送チャンバ30内には、第2真空搬送ロボット58が設けられる。
【0034】
図4は、第1ロードロックチャンバ26−1,26−2及び第1搬送チャンバ27を示す斜視図である。第1ロードロックチャンバ26−1,26−2は、減圧と大気圧復帰とが繰り返し行われる小部屋を備える。第1搬送チャンバ27は、チャンバ壁27aによって画成された搬送空間27bを備える。搬送空間27bは排気装置によって減圧可能である。
【0035】
第1ロードロックチャンバ26−1,26−2には、基板を支持するリフター及びリフターを昇降させるリフタードライブが設けられる。大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第1真空搬送ロボット56が第1ロードロックチャンバ26−1,26−2内に基板を搬入するとき、リフターは下降した状態にある。基板の搬入が終了したら、リフターが上昇し、大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第1真空搬送ロボット56から基板を受け取る。これとは逆に、大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第1真空搬送ロボット56が第1ロードロックチャンバ26−1,26−2から基板を取り出すとき、リフターは上昇した状態にある。大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第1真空搬送ロボット56が第1ロードロックチャンバ26−1,26−2内に入った段階で、リフターを下降させ、基板をリフターから大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第1真空搬送ロボット56に渡す。
【0036】
図5は、第1真空搬送ロボット56を示す斜視図である。第1真空搬送ロボット56は、搬送機構(搬送アーム)12と、駆動装置80と、を備える。搬送機構12は、第1アーム41と、第2アーム42と、第1リンク43と、第2リンク44と、ピック46と、を備える。第1アーム41は、その一端が駆動装置80の中央ハブ45に結合され、駆動装置80に備えられた第1モータ100によって中央ハブ45の第3軸線L3の回りを回転駆動される。第2アーム42も、その一端が駆動装置80の中央ハブ45に結合され、駆動装置80に備えられた第2モータ200によって中央ハブ45の第3軸線L3の回りを回転駆動される。
【0037】
より詳細には、中央ハブ45には、同軸に配置された中空の外側出力軸150(図11参照)、及び、外側出力軸150の内孔に通された内側出力軸250(図11参照)を備える二重の軸が設けられる。外側出力軸150が第1アーム41に結合され、内側出力軸250が第2アーム42に結合される。
【0038】
ピック46は、U字形状に形成されるピック本体47と、ピック本体47が取り付けられる基部プレート48と、を備える。ピック本体47は、ボルトねじ等の結合手段によって基部プレート48に取り付けられる。ピック46の基部プレート48は、第1リンク43の一端及び第2リンク44の一端をそれぞれ支持している。第1リンク43の他端は第1アーム41の先端に支持される。第2リンク44の他端は第2アーム42の先端に支持される。これらピック46、第1及び第2リンク43,44、第1及び第2アーム41,42によって、フロッグレッグ式の搬送機構12が構成される。
【0039】
図6及び図7は、搬送機構12の動作を示す図である。図6に示すように、モータ100,200によって、アーム41,42を互いに近づく方向(アーム41,42で形成される角度が小さくなる方向)に回転駆動することで、搬送機構12が伸びる。反対に、モータ100,200によって、アーム41,42を互いに離れる方向(アーム41,42で形成される角度が大きくなる方向)に回転駆動することで、搬送機構12が縮む。また、図7に示すように、モータ100,200によって、アーム41,42を同じ方向に回転駆動することで、搬送機構12全体が回転する。
【0040】
第1真空搬送ロボット56の動作は以下のとおりである。大気搬送室25内の大気搬送ロボットが基板を第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に搬入すると、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2の大気搬送室25側のゲートバルブ51が閉じられ、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2は減圧される。第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2が減圧状態になると、第1搬送チャンバ27側のゲートバルブ52が開けられ、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2と第1搬送チャンバ27とが連通する。第1真空搬送ロボット56は、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に搬送された未処理の基板を受け取り、第1搬送チャンバ27内に引き入れた後、第1プロセスチャンバ23−1又は23−2に基板を渡す。
【0041】
第1プロセスチャンバ23−1又は23−2での処理が終わると、第1真空搬送ロボット56は、第1プロセスチャンバ23−1又は23−2から処理済みの基板を受け取り、第1搬送チャンバ27内に引き入れた後、次の処理を行う第1プロセスチャンバ23−1,23−2又は第1ロードロックチャンバ26−1,26−2に基板を渡す。第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に基板が渡されたら、第1搬送チャンバ27側のゲートバルブ52が閉じられ、大気搬送室25側のゲートバルブ51が開けられる。これにより、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2が大気圧に復帰する。大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、処理が終了した基板を第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2から受け取り、ポート21にセットされたカセットに戻す。
【0042】
図8は、第2ロードロックチャンバ29−1,29−2及び第2搬送チャンバ30を示す斜視図である。第2搬送チャンバ30には、上下に二つのゲートバルブ71,72を介して上下に二つの第2ロードロックチャンバ29−1,29−2がそれぞれ連結される。第2ロードロックチャンバ29−1,29−2は、減圧と大気圧復帰とが繰り返し行われる小部屋を備える。第2ロードロックチャンバ29−1,29−2と大気搬送室25とはゲートバルブ73,74を介してそれぞれ連結される。第2搬送チャンバ30は、チャンバ壁30aによって画成された搬送空間30bを備える。搬送空間30bは排気装置によって減圧可能である。
【0043】
上下二つの第2ロードロックチャンバ29−1,29−2に基板を搬送できるように、第2真空搬送ロボット58は、基板を上下方向(二つの第2ロードロックチャンバ29−1,29−2の並び方向)に昇降させる移動機構を備える。第2ロードロックチャンバ29−1,29−2には、基板を支持するリフター及びリフターを昇降させるリフタードライブが設けられる。大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第2真空搬送ロボット58が第2ロードロックチャンバ29−1,29−2内に基板を搬入するとき、リフターは下降した状態にある。基板の搬入が終了したら、リフターが上昇し、大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第2真空搬送ロボット58から基板を受け取る。これとは逆に、大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第2真空搬送ロボット58が第2ロードロックチャンバ29−1,29−2から基板を取り出すとき、リフターは上昇した状態にある。大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第2真空搬送ロボット58が第2ロードロックチャンバ29−1,29−2内に入った段階で、リフターを下降させ、基板をリフターから大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第2真空搬送ロボット58に渡す。
【0044】
第2真空搬送ロボット58も、第1真空搬送ロボット56と同様に、図5等を用いて説明した一対のアームによって構成された搬送機構12、及び、搬送機構12を駆動する駆動装置80を備える。
【0045】
第2真空搬送ロボット58の動作は以下のとおりである。大気搬送室25内の大気搬送ロボットが基板を第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に搬入すると、第2ロードロックチャンバ29−1の大気搬送室25側のゲートバルブ73又は第2ロードロックチャンバ29−2の大気搬送室25側のゲートバルブ74が閉じられ、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2は減圧される。第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2が減圧状態になると、第2搬送チャンバ30側のゲートバルブ71又は72が開けられ、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2と第2搬送チャンバ30とが連通する。第2真空搬送ロボット58は、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に搬送された未処理の基板を受け取り、第2搬送チャンバ30内に引き入れた後、第2プロセスチャンバ24−1又は24−2に渡す。
【0046】
第2プロセスチャンバ24−1又は24−2での処理が終わると、第2真空搬送ロボット58は、第2プロセスチャンバ24−1又は24−2から処理済みの基板を受け取り、第2搬送チャンバ30内に引き入れた後、次の処理を行う第2プロセスチャンバ24−1,24−2又は第2ロードロックチャンバ29−1,29−2に基板を渡す。第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に基板が渡されたら、第2搬送チャンバ30側のゲートバルブ71又は72が閉じられ、大気搬送室25側のゲートバルブ73又は74が開けられる。これにより、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2が大気圧に復帰する。大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、処理が終了した基板を第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2から取り出し、ポート21にセットされたカセットに戻す。
【0047】
次に、第1真空搬送ロボット56及び第2真空搬送ロボット58にそれぞれ備えられた駆動装置80の詳細について説明する。図9は、駆動装置80をアームが取り付けられる側から見た図である。図10は、駆動装置80をモータが取り付けられた側から見た図である。図11は、図9におけるXI−XI線に沿う断面図である。駆動装置80は、第1モータ100と、第2モータ200と、第1及び第2アーム41,42に連結される外側出力軸(第1出力軸)150及び内側出力軸(第2出力軸)250と、外側出力軸150及び内側出力軸250を収容する本体ケース300と、を含んで構成される。
【0048】
第1モータ100は外側出力軸150を駆動し、第2モータ200は内側出力軸250を駆動する。第1モータ100及び第2モータ200は、本体ケース300一側面に固定される。第1モータ100の出力軸101の先端部分及び第2モータ200の出力軸201の先端部分が本体ケース300内に差し込まれる。
【0049】
第1モータ100の出力軸101の第1軸線L1と、第2モータ200の出力軸201の第2軸線L2とが互いに平行となるように、第1モータ100及び第2モータ200が配置されている(図9参照)。第1モータ100の出力軸101の第1軸線L1及び第2モータ200の出力軸201の第2軸線L2と、外側出力軸150及び内側出力軸250の第3軸線L3と、は互いに直交している。即ち、第1モータ100及び第2モータ200の回転の軸線方向が本体ケース300内で変えられる。また、外側出力軸150及び内側出力軸250の軸線方向(第3軸線L3方向)から見て、第1モータ100の出力軸101の第1軸線L1と第2モータ200の出力軸201の第2軸線L2とによって、外側出力軸150及び内側出力軸250の第3軸線L3が挟まれている(図9及び図10参照)。
【0050】
図10に示すように、外側出力軸150及び内側出力軸250の第3軸線L3方向において、第1モータ100及び第2モータ200の筐体が互いにオーバーラップしている。
【0051】
図11に示すように、外側出力軸150は、第3軸線L3に沿って延在する円筒形状を有している。また、外側出力軸150は、外側軸体(第1軸体)150aと、ローラフォロア150cと、を有している。外側軸体150aは、本体ケース300から外部に延び出した一端部150aaと、本体ケース300内に収容された他端部150abと、を含む。ローラフォロア150cは、外側軸体150aの他端部150abの外周面に設けられ、第1モータ100の出力軸101に設けられたリブ110と係合する。複数のローラフォロア150cは、外側軸体150aの外周面に等間隔で配置されている。
【0052】
図12は、リブ110とローラフォロア150cとの係合を示す図である。図12に示すように、リブ110は、第1モータ100の出力軸101の外周面に螺旋状に設けられている。ローラフォロア150cは、リブ110と所定の減速比をもって係合している。出力軸101が回転すると、リブ110によってローラフォロア150cが出力軸101の軸線方向に送られ、これにより、外側出力軸150が回転する。外側出力軸150には、第1モータ100の出力軸101の回転数が減速されて伝達される。また、第1モータ100の出力軸101の回転力よりも、外側出力軸150の回転力の方が大きくなる。
【0053】
図11に示すように、本体ケース300のケース内周面300aと外側軸体150aの外周面との間には、真空シール(第1封止部材)170が配置されている。真空シール170は、本体ケース300のケース内周面300aと外側軸体150aの外周面との間において、本体ケース300の内外を分離している。真空シール170として、例えば、磁性流体シールを用いることができる。
【0054】
ケース内周面300aには、外側出力軸150の軸線方向に平行な当該ケース内周面300aの断面を階段状とすることで、本体ケース300の外側の空間に面するシール押さえ面300bが設けられている。一実施形態においては、真空シール170の外周部分をシール押さえ面300bと押さえ部材180とによって挟み込むことで、真空シール170を本体ケース300に対して固定してもよい。真空シール170の内周面は、外側軸体150aの外周面に摺動可能に当接している。
【0055】
一実施形態においては、本体ケース300のケース内周面300aと外側軸体150aの外周面との間、且つ、真空シール170と外側軸体150aの他端部150abとの間に、外側出力軸150を支持する外側軸ベアリング160を設けてもよい。
【0056】
また、一実施形態においては、外側軸ベアリング160を、外側出力軸150のローラフォロア150cの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在させる構成としてもよい。即ち、第1モータ100のリブ110からローラフォロア150cに駆動力が伝達される位置よりも外側出力軸150の軸心側の位置において、外側軸ベアリング160が外側出力軸150を支持していてもよい。
【0057】
また、一実施形態においては、外側軸体150aを、該外側軸体150aの一端部150aaを含む第1部分151と、該外側軸体150aの他端部150abを含む第2部分152と、より構成してもよい。また、第2部分152を、第1部分151と別体であり、且つ、該第1部分151の材料とは異なる材料により形成してもよい。
【0058】
外側軸体150aの第1部分151は、本体ケース300から露出する部位に第1アーム41の取り付け部150mが設けられる。第2部分152には、ローラフォロア150cが設けられる。第1部分151と第2部分152とは、ボルト等によって連結される。
【0059】
図11に示すように、内側出力軸250は、外側軸体150aの内孔を通るように外側出力軸150と同軸に設けられている。また、内側出力軸250は、内側軸体(第2軸体)250aと、ローラフォロア250cと、を有している。内側軸体250aは、本体ケース300から外部に延び出した一端部250aaと、外側軸体150aの内孔から本体ケース300内に延び出した他端部250abと、を含む。ローラフォロア250cは、内側軸体250aの他端部250abの外周面に設けられ、第2モータ200の出力軸201に設けられたリブ210と所定の減速比をもって係合する。複数のローラフォロア250cは、内側軸体250aの外周面に等間隔で配置されている。
【0060】
リブ210は、第2モータ200の出力軸201の外周面に螺旋状に設けられている。第1モータ100のリブ110が外側出力軸150を回転させる構成と同様に、第2モータ200の出力軸201の回転に伴い内側出力軸250が回転する。内側出力軸250には、第2モータ200の出力軸201の回転数が減速されて伝達される。また、第2モータ200の出力軸201の回転力よりも、外側出力軸250の回転力の方が大きくなる。
【0061】
外側出力軸150と内側出力軸250との間には、真空シール(第2封止部材)270が配置されている。真空シール270は、外側出力軸150の内周面と内側出力軸250の外周面との間において、本体ケース300の内外を分離して高真空状態を維持することができる。真空シール270として、例えば、磁性流体シールを用いることができる。
【0062】
第2部分152の内周面には、第2部分152の軸心側に向けて突出することで、本体ケース300の外側の空間に面するシール押さえ面151aが設けられている。一実施形態においては、真空シール270の外周部分をシール押さえ面151aと押さえ部材280とによって挟み込むことで、真空シール270を内側出力軸250に対して固定してもよい。真空シール270の内周面は、内側軸体250aの外周面に摺動可能に当接している。
【0063】
一実施形態においては、内側軸体250aの他端部250abの外周面と本体ケース300のケース内周面300cとの間に内側軸ベアリング260を設けてもよい。
【0064】
また、一実施形態においては、内側軸ベアリング260を、内側出力軸250のローラフォロア250cの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在させる構成としてもよい。即ち、第2モータ200のリブ210からローラフォロア250cに駆動力が伝達される位置よりも内側出力軸250の軸心側の位置において、内側軸ベアリング260が内側出力軸250を支持している。
【0065】
外側出力軸150における本体ケース300から露出している側の端部において、外側軸体150aと内側軸体250aとの間にはベアリング290が設けられている。
【0066】
また、一実施形態においては、内側軸体250aを、該内側軸体250aの一端部250aaを含む第1部分251と、該内側軸体250aの他端部250abを含む第2部分252と、より構成してもよい。また、第2部分252を、第1部分251と別体であり、且つ、該第1部分251の材料とは異なる材料により形成してもよい。
【0067】
内側軸体250aの第1部分251には、本体ケース300から露出する部位に第2アーム42の取り付け部250mが設けられる。第2部分252には、ローラフォロア250cが設けられる。第1部分251と第2部分252とは、ボルト等によって連結される。
【0068】
また、一実施形態においては、ローラフォロア150cの外径と、ローラフォロア250cの外径と、を同じ径に形成してもよい。即ち、第1モータ100のリブ110より外側軸体150aに駆動力が伝達される位置から外側出力軸150の軸心までの長さと、第2モータ200のリブ210より内側軸体250aに駆動力が伝達される位置から内側出力軸250の軸心までの長さと、を同じにしてもよい。
【0069】
図13は、搬送機構12の取り付け構造を示す概略断面図である。図13に示すように、内側出力軸250は、外側出力軸150よりも本体ケース300の外側に向けて突出している。第1及び第2搬送チャンバ27,30のチャンバ壁27a,30aの外面から、本体ケース300から突出する外側出力軸150及び内側出力軸250の先端部分が差し込まれる。第1及び第2搬送チャンバ27,30内において、外側出力軸150の取り付け部150m及び内側出力軸250の取り付け部250mにアーム41,42がそれぞれ取り付けられる。
【0070】
駆動装置80の本体ケース300は、第1及び第2搬送チャンバ27,30のチャンバ壁27a,30aの外面に、搬送空間27b,30b内の気密を確保するようにして取り付けられる。本体ケース300と内側出力軸250との間、及び外側出力軸150と内側出力軸250との間が、それぞれ真空シール170,270によってシールされている。これらにより、第1及び第2搬送チャンバ27,30の搬送空間27b,30b内の減圧状態を保つことができる。このように、第1及び第2搬送チャンバ27,30内を高真空の減圧状態に保つ必要がある場合であっても、駆動装置80を使用することができる。
【0071】
以下、上述した駆動装置80を用いた場合の一実施例について説明する。この実施例においては上述した基板処理システム10において、ウェハーを搬送する場合、即ち、
(工程1):駆動装置80に取り付けられた搬送機構12を伸ばす、
(工程2):ウェハーが載置されたリフターを下げ、ウェハーを搬送機構12のピック46に載置する、
(工程3):ウェハーが載置された状態で搬送機構12を縮める、
(工程4):ウェハーが載置された状態で、所定の位置まで搬送機構12全体を旋回させる、
(工程5):再び搬送機構12を伸ばす、
(工程6):リフターを上昇させて、リフター上にウェハーを載置する、
(工程7):搬送機構12を縮める、
までの工程を実施した。この実施例における各工程に要した時間は、以下に示す通りとなった。また、比較例として、ダイレクトドライブモータ(例えば、特開平3−136779号公報に記載された駆動方式)を用いてアーム41,42を駆動した場合における各工程に要した時間を測定した。比較例における各工程は、実施例における対応の工程と同じである。
【0072】
(駆動装置80を用いた実施例の測定結果)
工程1(アーム伸ばし):0.3秒
工程2(リフター上昇):0.8秒
工程3(アーム縮める):1.3秒(動作限界)
工程4(アームを旋回):1.2秒(動作限界)
工程5(アーム伸ばし):1.3秒(動作限界)
工程6(リフター降下):0.8秒
工程7(アーム縮める):0.3秒
【0073】
このように、実施例において工程1〜工程7を行った場合の合計時間は6.0秒となった。なお、工程3〜工程5の動作は、搬送機構12のピック46でウェハーを保持する保持方法における動作限界であり、駆動装置80の性能によるものではない。
【0074】
(ダイレクトドライブモータを用いた比較例)
工程1(アーム伸ばし):1.0秒
工程2(リフター上昇):0.8秒
工程3(アーム縮める):1.3秒(動作限界)
工程4(アームを旋回):1.2秒(動作限界)
工程5(アーム伸ばし):1.3秒(動作限界)
工程6(リフター降下):0.8秒
工程7(アーム縮める):1.0秒
【0075】
このように、比較例において工程1〜工程7を行った場合の合計時間は7.4秒となった。なお、工程3〜工程5の動作は、搬送機構12のピック46でウェハーを保持する保持方法における動作限界である。
【0076】
以上のように、駆動装置80を用いた実施例では、ダイレクトドライブモータを用いた比較例の場合と比べて、特に、工程1及び工程7の動作スピードが向上し、ウェハーを搬送する作業に必要な時間を短縮することができた。
【0077】
本実施形態は以上のように構成され、同軸上に2つの回転軸(外側出力軸150及び内側出力軸250)を有する駆動装置80において、本体ケース300と外側出力軸150との間に真空シール170を配置し、更に、外側出力軸150と内側出力軸250との間に真空シール270を配置することで、駆動装置80の本体ケース300内の空間と、本体ケース300外の空間と、が高真空状態で分離される。これにより、駆動装置80を高真空状態の減圧環境下で用いる場合であっても、駆動装置80の本体ケース300内の空間(大気圧環境側)と減圧環境側の空間とが高真空状態で分離され、駆動装置80の高真空状態の減圧環境下での使用が可能となる。
【0078】
また、外側出力軸150と本体ケース300との間に配置された真空シール170は、第1モータ100の出力軸101の回転数よりも少ない回転数で回転する外側軸体150aに当接する。外側出力軸150と内側出力軸250との間に配置された真空シール270は、第1モータ100の出力軸101の回転数よりも少ない回転数で回転する外側軸体150a、及び、第2モータ200の出力軸201の回転数よりも少ない回転数で回転する内側軸体250aに当接する。この場合、真空シール170,270が第1モータ100の出力軸101や第2モータ200の出力軸201に当接する場合と比較して、真空シール170,270のシール性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【0079】
また、第1モータ100及び第2モータ200を、外側出力軸150の軸線方向から見て、第1モータ100の出力軸101の第1軸線L1と第2モータ200の出力軸201の第2軸線L2とによって、外側出力軸150及び内側出力軸250の第3軸線L3を挟む位置に配置する。これにより、外側出力軸150の軸線方向(第3軸線L3方向)において、第1モータ100と第2モータ200とをオーバーラップさせて配置することができる(図10参照)。即ち、外側出力軸150の軸線方向において第1モータ100と第2モータ200との干渉を防止するために、外側出力軸150や内側出力軸250を長くする必要がない。このように、外側出力軸150及び内側出力軸250を短くすることが可能となり、駆動装置80の小型化を図ることができる。また、外側出力軸150及び内側出力軸250を短くすることができるため、外側出力軸150及び内側出力軸250の剛性を向上させることができる。
【0080】
図14は、第2搬送チャンバ30の周りを基板処理システム10の後方側から見た図である。上述のように駆動装置80は、小型化が可能となっている。このため、図14に示すように、駆動装置80における第2搬送チャンバ30のチャンバ壁30aからの飛び出し長さを短くすることができる。従って、基板処理システム10は、第2搬送チャンバ30の下方に、広いスペースを確保することができる。同様に、第1搬送チャンバ27のチャンバ壁27aに取り付けられた駆動装置80についても、チャンバ壁27aからの飛び出し長さを短くすることができる。従って、基板処理システム10は、第1搬送チャンバ27の下方に、広いスペースを確保することができる。このように、第1及び第2搬送チャンバ27,30の下方に広い作業スペースを確保することができ、基板処理システム10のメンテナンス性を向上させることができる。
【0081】
一実施形態においては、外側出力軸150と内側出力軸250との間に配置された真空シール270が外側出力軸150に固定されているので、真空シール270から見ると摺動可能に当接する部位は内側出力軸250との接触部位のみとなる。このように、真空シール270が摺動可能に当接する部位を内側出力軸250との接触部位のみとすることができ、真空シール270のシール性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0082】
一実施形態においては、内側出力軸250を、第1部分251と第2部分252との2つの部材によって構成することで、第1部分251と第2部分252とを異なる材料で形成することができる。これにより、外側出力軸150の強度に合わせて内側出力軸250を形成することが可能となり、内側出力軸250の強度と外側出力軸150の強度とを略等しくすることができる。例えば、内側出力軸250の第1部分251の材料として、剛性の高いSiCを用い、外側出力軸150の強度と内側出力軸250の強度とを略等しくすることができる。
【0083】
また、一実施形態においては、外側出力軸150を、第1部分151と第2部分152との2つの部材によって構成することで、第1部分151と第2部分152とを異なる材料で形成することができる。これにより、内側出力軸250の強度に合わせて外側出力軸150を形成することが可能となり、外側出力軸150の強度と内側出力軸250の強度とを略等しくすることができる。
【0084】
また、第1モータ100の回転に対する外側出力軸150の回転角度と、第2モータ200の回転に対する内側出力軸250の回転角度とを同じとすることで、アーム41,42の回動角度の制御、即ち、第1モータ100及び第2モータ200の制御が容易となる。そこで、一実施形態においては、外側出力軸150のローラフォロア150cの外径と内側出力軸250のローラフォロア250cの外径とを同じに形成することで、第1モータ100の回転数に対する外側出力軸150の回転角度と、第2モータ200の回転数に対する内側出力軸250の回転角度とを同じにすることができる。これにより、アーム41,42の回転角度の制御が容易となる。
【0085】
また、外側出力軸150のうち、外側軸ベアリング160によって支持された近傍の部位は軸のブレが少ない。そこで、一実施形態においては、外側軸ベアリング160を、真空シール170と外側軸体150aの他端部150abとの間に配置することで、外側軸ベアリング160と真空シール170とを近づけて配置することができる。これにより、真空シール170が外側出力軸150のブレが少ない部位に当接することとなり、真空シール170のシール性を向上させることができる。
【0086】
また、一実施形態においては、外側軸ベアリング160を外側出力軸150のローラフォロア150cの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在させてもよい。この場合には、ローラフォロア150cの外径よりも外側出力軸150の軸心側の位置において外側軸ベアリング160が外側出力軸150を支持することとなる。これにより、外側軸ベアリング160による外側出力軸150の支持剛性を高めることができる。
【0087】
また、一実施形態においては、内側軸ベアリング260を内側出力軸250のローラフォロア250cの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在させてもよい。この場合には、ローラフォロア250cの外径よりも内側出力軸250の軸心側の位置において内側軸ベアリング260が内側出力軸250を支持することとなる。これにより、内側軸ベアリング260による内側出力軸250の支持剛性を高めることができる。
【0088】
なお、本実施形態は上記構成に限定されるものではなく、例えば、外側出力軸150と内側出力軸250との間に配置された真空シール270を、外側出力軸150ではなく内側出力軸250に固定してもよい。この場合、真空シール270から見ると摺動可能に当接する部位は外側出力軸150との接触部位のみとなる。このように、真空シール270が摺動可能に当接する部位を外側出力軸150との接触部位のみとすることができ、真空シール270のシール性やメンテナンス性を向上させることができる。同様に、真空シール170も本体ケース300側ではなく、外側出力軸150側に固定してもよい。
【0089】
また、外側出力軸150及び内側出力軸250のうちのいずれか一方のみを2つの部材によって構成してもよい。
【0090】
また、駆動装置80を、基板処理システムの搬送モジュール以外の装置に用いてもよい。
【符号の説明】
【0091】
12…搬送機構(搬送アーム)、22…ローダモジュール、23−1,23−2,24−1,24−2…プロセスチャンバ(プロセスモジュール)、27a,30a…チャンバ壁、27b,30b…搬送空間、28…第1搬送モジュール、31…第2搬送モジュール、41…第1アーム(一対のアームのうちの一方)、42…第2アーム(一対のアームのうちの他方)、80…駆動装置、100…第1モータ、101,201…出力軸、110,210…リブ、150…外側出力軸(第1出力軸)、150a…外側軸体(第1軸体)、150c,250c…ローラフォロア、150aa,250aa…一端部、150ab,250ab…他端部、151,251…第1部分、152,252…第2部分、160…外側軸ベアリング(第1出力軸を支持するベアリング)、170…真空シール(第1封止部材)、200…第2モータ、250…内側出力軸(第2出力軸)、250a…内側軸体(第2軸体)、260…内側軸ベアリング(第2出力軸を支持するベアリング)、270…真空シール(第2封止部材)、300…本体ケース(ケース)。
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の側面及び実施形態は、駆動装置、及び、駆動装置を備えた基板処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一対のアームといった2つの被駆動部を駆動する駆動装置として、同軸に2つの回転駆動軸を有する駆動装置がある。このような駆動装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された駆動装置は、工具マガジンに適用されたものである。この工具マガジンは、回転する主テーブルと、主テーブルの周縁部に回転可能に取り付けられた副テーブルとを備えている。副テーブルには、工具を脱着するための複数のツールポット(登録商標)が設けられている。この工具マガジンは、主テーブルと副テーブルとを互いに独立して回転させ、目的のツールポットを取り出し位置に移動させる。
【0003】
また、この工具マガジンは、主テーブルと副テーブルとを互いに独立して回転させるため、円筒形状の外軸と外軸の内孔に通された内軸とを備えている。外軸と内軸とは、それぞれ異なるモータによって駆動される。外軸には、主テーブルが取り付けられる。内軸には、副テーブルを回転駆動させるためのサンギアが取り付けられる。副テーブルは、サンギアの周りを回転する遊星ギアによって駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−59329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述のような同軸上に2つの回転軸を有する駆動装置を、減圧環境下において、用いたいという要望がある。この場合には、駆動装置内に、大気圧側の空間と減圧側の空間とを分離する構成を設ける必要が生じる。
【0006】
当該技術分野においては、高真空状態における空間を分離する際のシール性及びメンテナンス性に優れた駆動装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る駆動装置は、ケースと、ケース内において第1軸線に沿って延在する出力軸を有する第1モータであり、該出力軸は螺旋状に設けられたリブを有する外周面を含む、該第1モータと、ケース内において第1軸線と平行な第2軸線に沿って延在する出力軸を有する第2モータであり、該出力軸は螺旋状に設けられたリブを有する外周面を含む、該第2モータと、第1軸線と第2軸線との間において該第1軸線及び該第2軸線に対して垂直な方向に延びる第3軸線に沿って延在する円筒形状を有しており、ケースから外部に延び出した一端部とケース内に収容された他端部とを含む第1軸体、及び、他端部の外周面に設けられたローラフォロアであり第1モータの前記リブと所定の減速比をもって係合する該ローラフォロアを有する第1出力軸と、第1軸体の内孔を通るように該第1軸体と同軸に設けられた第2軸体であり、ケースから外部に延び出した一端部と第1軸体の内孔からケース内に延び出した他端部とを含む該第2軸体、及び、該第2軸体の該他端部に設けられたローラフォロアであり第2モータのリブと所定の減速比をもって係合する該ローラフォロアを有する第2出力軸と、ケースと第1軸体の外周面との間に配置された第1封止部材と、第1軸体の内周面と第2軸体の外周面との間に配置された第2封止部材と、を備える。
【0008】
上述のように、同軸上に2つの回転軸を有する駆動装置において、ケースと第1軸体の外周面との間に第1封止部材を配置し、第1軸体の内周面と第2軸体の外周面との間に第2封止部材を配置することで、駆動装置のケース内の空間とケース外の空間とが分離される。これにより、駆動装置を高真空状態における減圧環境下で用いる場合であっても、駆動装置のケース内の大気圧側の空間と減圧側の空間とが分離され、駆動装置の高真空状態における減圧環境下での使用が可能となる。
【0009】
また、第1封止部材は、第1モータの出力軸の回転数よりも少ない回転数で回転する第1軸体に当接する。第2封止部材は、第1モータの出力軸の回転数よりも少ない回転数で回転する第1軸体、及び、第2モータの出力軸の回転数よりも少ない回転数で回転する第2軸体に当接する。これにより、第1封止部材や第2封止部材が第1モータの出力軸や第2モータの出力軸に当接する場合に比べて、第1封止部材及び第2封止部材のシール性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【0010】
また、第3軸線方向から見た場合、第2モータの出力軸と第1モータの出力軸とは平行となっており、互いの出力軸が重なっていない。これにより、第3軸線方向において、第1モータと第2モータとが互いに干渉することなく、第1モータと第2モータとをオーバーラップさせて配置することができる。即ち、第3軸線方向における第1モータと第2モータとの干渉を防止するために、第1出力軸や第2出力軸を長くする必要がない。このように、第1出力軸及び第2出力軸を短くすることが可能となり、駆動装置の小型化を図ることができる。また、第1出力軸及び第2出力軸を短くすることができるため、第1出力軸及び第2出力軸の剛性を向上させることができる。
【0011】
一実施形態においては、第2封止部材が、第1軸体又は第2軸体に取り付けられていてもよい。第2封止部材が第1出力軸に取り付けられている場合、第2封止部材から見ると摺動可能に当接する部位は第2出力軸との接触部位のみとなる。また、第2封止部材が第2出力軸に取り付けられている場合、第2封止部材から見ると摺動可能に当接する部位は第1出力軸との接触部位のみとなる。このように、第2封止部材を、第1出力軸又は第2出力軸に取り付けることで、第2封止部材が摺動可能に当接する部位を、第2出力軸との接触部位又は第1出力軸との接触部位のみとすることができ、第2封止部材のシール性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0012】
一実施形態においては、第2軸体が、該第2軸体の前記一端部を含む第1部分と、該第2軸体の他端部を含む第2部分であって該第1部分とは別体であり且つ該第1部分の材料とは異なる材料により構成された該第2部分と、を含んでいてもよい。第2軸体を構成する第1部分と第2部分とを異なる材料で形成することで、第1出力軸の強度に合わせて第2軸体を形成することが可能となり、第2出力軸の強度と第1出力軸の強度とを略等しくすることができる。
【0013】
一実施形態においては、第1軸体が、該第1軸体の一端部を含む第1部分と、該第1軸体の他端部を含む第2部分であって該第1部分とは別体であり且つ該第1部分の材料とは異なる材料により構成された該第2部分と、を含んでいてもよい。第1軸体を構成する第1部分と第2部分とを異なる材料で形成することで、第2出力軸の強度に合わせて第1軸体を形成することが可能となり、第1出力軸の強度と第2出力軸の強度とを略等しくすることができる。
【0014】
一実施形態においては、第1出力軸のローラフォロアの外径が、第2出力軸のローラフォロアの外径と等しくてもよい。これにより、第1モータの回転に対する第1出力軸の回転角度と第2モータの回転に対する第2出力軸の回転角度とを同じにすることができ、第1出力軸及び第2出力軸の回転角度の制御が容易となる。
【0015】
一実施形態においては、第1出力軸を支持するベアリングであって、第1軸体の外周面とケースとの間、且つ、第1封止部材と第1軸体の他端部との間に設けられた該ベアリングを更に備えていてもよい。この場合には、第1出力軸を支持するベアリングを第1封止部材に近づけて配置することができる。第1出力軸のうち、ベアリングによって支持された近傍の部位は軸のブレが少ない。従って、第1封止部材をベアリングの近傍に配置することで、第1封止部材は第1出力軸のブレが少ない部位に当接することとなる。これにより、第1封止部材のシール性を向上させることができる。
【0016】
一実施形態においては、ベアリングが、第1出力軸のローラフォロアの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在していてもよい。この場合には、ローラフォロアの外径よりも第1出力軸の軸心側の位置においてベアリングが第1出力軸を支持することとなる。これにより、ベアリングによる第1出力軸の支持剛性を高めることができる。
【0017】
一実施形態においては、第2出力軸を支持するベアリングであって、第2軸体の他端部の外周面とケースとの間において、第2出力軸のローラフォロアの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在する該ベアリングを更に備えていてもよい。この場合には、ローラフォロアの外径よりも第2出力軸の軸心側の位置においてベアリングが第2出力軸を支持することとなる。これにより、ベアリングによる第2出力軸の支持剛性を高めることができる。
【0018】
一実施形態においては、大気圧環境下で基板を搬送するローダモジュールと、減圧環境下で基板を処理するプロセスモジュールと、基板を搬送するための搬送モジュールであって、ローダモジュールとプロセスモジュールとの間に設けられた該搬送モジュールと、を備え、搬送モジュールは、減圧可能な搬送空間を画成するチャンバ壁と、該搬送空間内に設けられた一対のアームを含む搬送アームと、搬送空間の気密を確保するようチャンバ壁の外面に取り付けられた上述の駆動装置と、を備え、第1軸体の一端部に一対のアームのうち一方が連結されており、第2軸体の一端部に一対のアームのうち他方が連結されていてもよい。従って、基板処理システムの搬送モジュールに用いられる駆動装置のシール性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の種々の側面及び実施形態によれば、シール性及びメンテナンス性に優れた駆動装置、及び、この駆動装置を備えた基板処理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態に係る駆動装置を含む真空搬送ロボットを備える基板処理システムをローダモジュール側から見た斜視図である。
【図2】一実施形態に係る基板処理システムをプロセスチャンバ側から見た斜視図である。
【図3】一実施形態に係る基板処理システムの平面図である。
【図4】一実施形態に係る第1ロードロックチャンバ及び第1搬送チャンバを示す斜視図である。
【図5】一実施形態に係る搬送機構及び駆動装置を示す斜視図である。
【図6】一実施形態に係る搬送機構の動作を示す斜視図である。
【図7】一実施形態に係る搬送機構の動作を示す斜視図である。
【図8】一実施形態に係る第2ロードロックチャンバ及び第2搬送チャンバを示す斜視図である。
【図9】一実施形態に係る駆動装置をアームが取り付けられる側から見た図である。
【図10】一実施形態に係る駆動装置をモータが取り付けられた側から見た図である。
【図11】図9に示す駆動装置のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】一実施形態に係る第1モータのリブと外側軸駆動伝達部のローラフォロアとの係合を示す図である。
【図13】一実施形態に係る搬送機構と駆動装置との取り付け構造を示す断面図である。
【図14】一実施形態に係る第2搬送チャンバの周りを基板処理システムの後方側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0022】
図1は、一実施形態に係る駆動装置を含む真空搬送ロボットを備える基板処理システムをローダモジュール側から見た斜視図である。図2は、一実施形態に係る駆動装置を含む真空搬送ロボットを備える基板処理システムをプロセスチャンバ側から見た斜視図である。図2において、第1及び第2搬送モジュール28,31をわかり易く示すために、第1プロセスチャンバ23−1及び第2プロセスチャンバ24−1が省略されている。なお、以下の説明では、方向を示す用語として、ローダモジュール22に対してポート21が位置する方向を示すため「前」との語を用い、その反対方向を示す用語として「後」との語を用いる。図1及び図2に示す基板処理システム10は、ローダモジュール22と、第1搬送モジュール28と、第2搬送モジュール31と、プロセスチャンバ(プロセスモジュール)23−1,23−2,24−1,24−2と、を備えている。
【0023】
ローダモジュール22は、大気搬送室25を備える。大気搬送室25の前面には、複数のポート21(図1に示す例では6個)が一列に配列される。ポート21には、複数枚の未処理の基板が収納されたカセットがセットされる。カセット内の未処理の基板は、大気搬送室25内の大気搬送ロボットによって一枚ずつカセットから取り出され、プロセスチャンバ23−1,23−2,24−1,24−2で処理が行われる。また、プロセスチャンバ23−1,23−2,24−1,24−2で処理が行われた基板は、大気搬送室25内の大気搬送ロボットによって一枚ずつカセットに戻される。
【0024】
第1搬送モジュール28は、第1ロードロックチャンバ26−1,26−2と、第1搬送チャンバ27と、を備える。第1ロードロックチャンバ26−1,26−2は、ローダモジュール22に接続されている。更に、第1ロードロックチャンバ26−1,26−2は、第1搬送チャンバ27に接続されている。第1搬送チャンバ27は、第1プロセスチャンバ23−1,23−2に接続されている。
【0025】
第2搬送モジュール31は、第2ロードロックチャンバ29−1,29−2と、第2搬送チャンバ30と、を備える。第2ロードロックチャンバ29−1,29−2は、ローダモジュール22に接続されている。更に、第2ロードロックチャンバ29−1,29−2は、第2搬送チャンバ30に接続されている。第2搬送チャンバ30は、第2プロセスチャンバ24−1,24−2に接続されている。
【0026】
四つのプロセスチャンバ23−1,23−2,24−1,24−2は、ローダモジュール22の後ろ側の領域において、縦2列、横2列となるように配置されている。即ち、第1プロセスチャンバ23−1,23−2はローダモジュール22に近い位置に配置され、第2プロセスチャンバ24−1,24−2はローダモジュール22から離れた位置に配置されている。
【0027】
第1及び第2プロセスチャンバ23−1,23−2,24−1,24−2は、成膜(CVD法、プラズマCVD法、PVD法、ALD法)、エッチング、アッシング、酸化、窒化、ドーピング、拡散等の群から選ばれた少なくとも一つのプロセス、又はこれらの群から選ばれて組み合わされた複数のプロセスを実行するように構成される。例えば、プラズマを用いてエッチング処理を行うプロセスチャンバの上部には、各種の制御装置、ガス供給系及び高周波電力供給手段等が設けられ、その下部には、チャンバ内を排気する排気手段等が設けられる。
【0028】
第1搬送モジュール28の第1搬送チャンバ27は、第1プロセスチャンバ23−1,23−2の間に配置されている。第2搬送モジュール31の第2搬送チャンバ30は、第2プロセスチャンバ24−1,24−2の間に配置されている。第2プロセスチャンバ24−1,24−2は第1プロセスチャンバ23−1,23−2よりもローダモジュール22から離れた位置にあり、第2搬送モジュール31の長さは第1搬送モジュール28の長さよりも長い。また、第1搬送モジュール28が上方に配置され、第2搬送モジュール31が下方に配置されている。
【0029】
大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、ポート21にセットされたカセットから基板を取り出し、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に基板を搬送する。第1搬送チャンバ27内の第1真空搬送ロボット56(図3のエリア(b)参照)は、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に搬送された基板を第1プロセスチャンバ23−1又は23−2に搬送する。第1プロセスチャンバ23−1又は23−2での処理が終了すると、第1搬送チャンバ27内の第1真空搬送ロボット56が第1プロセスチャンバ23−1又は23−2から基板を取り出し、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に搬送する。大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2から基板を取り出し、ポート21上のカセットに収納する。
【0030】
また、大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、ポート21に配置されたカセットから基板を取り出し、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に基板を搬送する。第2搬送チャンバ30内の第2真空搬送ロボット58(図3のエリア(c)参照)は、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に搬送された基板を第2プロセスチャンバ24−1又は24−2に搬送する。第2プロセスチャンバ24−1又は24−2での処理が終了すると、第2搬送チャンバ30内の第2真空搬送ロボット58が、処理済みの基板を第2プロセスチャンバ24−1又は24−2から取り出し、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に搬送する。大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2から基板を取り出し、ポート21上のカセットに収納する。
【0031】
図3は基板処理システムの平面図である。図3のエリア(a)は基板処理システムの全体図を示し、図3のエリア(b)はローダモジュール22に接続される上層の第1搬送モジュール28及び第1プロセスチャンバ23−1,23−2を示し、図3のエリア(c)はローダモジュール22に接続される下層の第2搬送モジュール31及び第2プロセスチャンバ24−1,24−2を示す。
【0032】
図3のエリア(b)に示すように、第1搬送モジュール28の第1搬送チャンバ27には、二つの第1プロセスチャンバ23−1,23−2が連結される。大気搬送室25と第1ロードロックチャンバ26−1,26−2との間にはゲートバルブ51がそれぞれ設けられる。第1ロードロックチャンバ26−1,26−2と第1搬送チャンバ27との間には、ゲートバルブ52がそれぞれ設けられる。第1搬送チャンバ27と第1プロセスチャンバ23−1,23−2との間にはゲートバルブ53がそれぞれ設けられる。第1搬送チャンバ27内には、第1真空搬送ロボット56が設けられる。
【0033】
図3のエリア(c)に示すように、第2搬送モジュール31の第2搬送チャンバ30には、二つの第2プロセスチャンバ24−1,24−2が連結される。大気搬送室25と第2ロードロックチャンバ29−1,29−2との間にはゲートバルブ73,74がそれぞれ設けられる。第2ロードロックチャンバ29−1,29−2と第2搬送チャンバ30との間にはゲートバルブ71,72がそれぞれ設けられる。第2搬送チャンバ30と第2プロセスチャンバ24−1,24−2との間にはゲートバルブ57がそれぞれ設けられる。第2搬送チャンバ30内には、第2真空搬送ロボット58が設けられる。
【0034】
図4は、第1ロードロックチャンバ26−1,26−2及び第1搬送チャンバ27を示す斜視図である。第1ロードロックチャンバ26−1,26−2は、減圧と大気圧復帰とが繰り返し行われる小部屋を備える。第1搬送チャンバ27は、チャンバ壁27aによって画成された搬送空間27bを備える。搬送空間27bは排気装置によって減圧可能である。
【0035】
第1ロードロックチャンバ26−1,26−2には、基板を支持するリフター及びリフターを昇降させるリフタードライブが設けられる。大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第1真空搬送ロボット56が第1ロードロックチャンバ26−1,26−2内に基板を搬入するとき、リフターは下降した状態にある。基板の搬入が終了したら、リフターが上昇し、大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第1真空搬送ロボット56から基板を受け取る。これとは逆に、大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第1真空搬送ロボット56が第1ロードロックチャンバ26−1,26−2から基板を取り出すとき、リフターは上昇した状態にある。大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第1真空搬送ロボット56が第1ロードロックチャンバ26−1,26−2内に入った段階で、リフターを下降させ、基板をリフターから大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第1真空搬送ロボット56に渡す。
【0036】
図5は、第1真空搬送ロボット56を示す斜視図である。第1真空搬送ロボット56は、搬送機構(搬送アーム)12と、駆動装置80と、を備える。搬送機構12は、第1アーム41と、第2アーム42と、第1リンク43と、第2リンク44と、ピック46と、を備える。第1アーム41は、その一端が駆動装置80の中央ハブ45に結合され、駆動装置80に備えられた第1モータ100によって中央ハブ45の第3軸線L3の回りを回転駆動される。第2アーム42も、その一端が駆動装置80の中央ハブ45に結合され、駆動装置80に備えられた第2モータ200によって中央ハブ45の第3軸線L3の回りを回転駆動される。
【0037】
より詳細には、中央ハブ45には、同軸に配置された中空の外側出力軸150(図11参照)、及び、外側出力軸150の内孔に通された内側出力軸250(図11参照)を備える二重の軸が設けられる。外側出力軸150が第1アーム41に結合され、内側出力軸250が第2アーム42に結合される。
【0038】
ピック46は、U字形状に形成されるピック本体47と、ピック本体47が取り付けられる基部プレート48と、を備える。ピック本体47は、ボルトねじ等の結合手段によって基部プレート48に取り付けられる。ピック46の基部プレート48は、第1リンク43の一端及び第2リンク44の一端をそれぞれ支持している。第1リンク43の他端は第1アーム41の先端に支持される。第2リンク44の他端は第2アーム42の先端に支持される。これらピック46、第1及び第2リンク43,44、第1及び第2アーム41,42によって、フロッグレッグ式の搬送機構12が構成される。
【0039】
図6及び図7は、搬送機構12の動作を示す図である。図6に示すように、モータ100,200によって、アーム41,42を互いに近づく方向(アーム41,42で形成される角度が小さくなる方向)に回転駆動することで、搬送機構12が伸びる。反対に、モータ100,200によって、アーム41,42を互いに離れる方向(アーム41,42で形成される角度が大きくなる方向)に回転駆動することで、搬送機構12が縮む。また、図7に示すように、モータ100,200によって、アーム41,42を同じ方向に回転駆動することで、搬送機構12全体が回転する。
【0040】
第1真空搬送ロボット56の動作は以下のとおりである。大気搬送室25内の大気搬送ロボットが基板を第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に搬入すると、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2の大気搬送室25側のゲートバルブ51が閉じられ、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2は減圧される。第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2が減圧状態になると、第1搬送チャンバ27側のゲートバルブ52が開けられ、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2と第1搬送チャンバ27とが連通する。第1真空搬送ロボット56は、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に搬送された未処理の基板を受け取り、第1搬送チャンバ27内に引き入れた後、第1プロセスチャンバ23−1又は23−2に基板を渡す。
【0041】
第1プロセスチャンバ23−1又は23−2での処理が終わると、第1真空搬送ロボット56は、第1プロセスチャンバ23−1又は23−2から処理済みの基板を受け取り、第1搬送チャンバ27内に引き入れた後、次の処理を行う第1プロセスチャンバ23−1,23−2又は第1ロードロックチャンバ26−1,26−2に基板を渡す。第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2に基板が渡されたら、第1搬送チャンバ27側のゲートバルブ52が閉じられ、大気搬送室25側のゲートバルブ51が開けられる。これにより、第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2が大気圧に復帰する。大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、処理が終了した基板を第1ロードロックチャンバ26−1又は26−2から受け取り、ポート21にセットされたカセットに戻す。
【0042】
図8は、第2ロードロックチャンバ29−1,29−2及び第2搬送チャンバ30を示す斜視図である。第2搬送チャンバ30には、上下に二つのゲートバルブ71,72を介して上下に二つの第2ロードロックチャンバ29−1,29−2がそれぞれ連結される。第2ロードロックチャンバ29−1,29−2は、減圧と大気圧復帰とが繰り返し行われる小部屋を備える。第2ロードロックチャンバ29−1,29−2と大気搬送室25とはゲートバルブ73,74を介してそれぞれ連結される。第2搬送チャンバ30は、チャンバ壁30aによって画成された搬送空間30bを備える。搬送空間30bは排気装置によって減圧可能である。
【0043】
上下二つの第2ロードロックチャンバ29−1,29−2に基板を搬送できるように、第2真空搬送ロボット58は、基板を上下方向(二つの第2ロードロックチャンバ29−1,29−2の並び方向)に昇降させる移動機構を備える。第2ロードロックチャンバ29−1,29−2には、基板を支持するリフター及びリフターを昇降させるリフタードライブが設けられる。大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第2真空搬送ロボット58が第2ロードロックチャンバ29−1,29−2内に基板を搬入するとき、リフターは下降した状態にある。基板の搬入が終了したら、リフターが上昇し、大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第2真空搬送ロボット58から基板を受け取る。これとは逆に、大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第2真空搬送ロボット58が第2ロードロックチャンバ29−1,29−2から基板を取り出すとき、リフターは上昇した状態にある。大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第2真空搬送ロボット58が第2ロードロックチャンバ29−1,29−2内に入った段階で、リフターを下降させ、基板をリフターから大気搬送室25内の大気搬送ロボットや第2真空搬送ロボット58に渡す。
【0044】
第2真空搬送ロボット58も、第1真空搬送ロボット56と同様に、図5等を用いて説明した一対のアームによって構成された搬送機構12、及び、搬送機構12を駆動する駆動装置80を備える。
【0045】
第2真空搬送ロボット58の動作は以下のとおりである。大気搬送室25内の大気搬送ロボットが基板を第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に搬入すると、第2ロードロックチャンバ29−1の大気搬送室25側のゲートバルブ73又は第2ロードロックチャンバ29−2の大気搬送室25側のゲートバルブ74が閉じられ、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2は減圧される。第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2が減圧状態になると、第2搬送チャンバ30側のゲートバルブ71又は72が開けられ、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2と第2搬送チャンバ30とが連通する。第2真空搬送ロボット58は、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に搬送された未処理の基板を受け取り、第2搬送チャンバ30内に引き入れた後、第2プロセスチャンバ24−1又は24−2に渡す。
【0046】
第2プロセスチャンバ24−1又は24−2での処理が終わると、第2真空搬送ロボット58は、第2プロセスチャンバ24−1又は24−2から処理済みの基板を受け取り、第2搬送チャンバ30内に引き入れた後、次の処理を行う第2プロセスチャンバ24−1,24−2又は第2ロードロックチャンバ29−1,29−2に基板を渡す。第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2に基板が渡されたら、第2搬送チャンバ30側のゲートバルブ71又は72が閉じられ、大気搬送室25側のゲートバルブ73又は74が開けられる。これにより、第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2が大気圧に復帰する。大気搬送室25内の大気搬送ロボットは、処理が終了した基板を第2ロードロックチャンバ29−1又は29−2から取り出し、ポート21にセットされたカセットに戻す。
【0047】
次に、第1真空搬送ロボット56及び第2真空搬送ロボット58にそれぞれ備えられた駆動装置80の詳細について説明する。図9は、駆動装置80をアームが取り付けられる側から見た図である。図10は、駆動装置80をモータが取り付けられた側から見た図である。図11は、図9におけるXI−XI線に沿う断面図である。駆動装置80は、第1モータ100と、第2モータ200と、第1及び第2アーム41,42に連結される外側出力軸(第1出力軸)150及び内側出力軸(第2出力軸)250と、外側出力軸150及び内側出力軸250を収容する本体ケース300と、を含んで構成される。
【0048】
第1モータ100は外側出力軸150を駆動し、第2モータ200は内側出力軸250を駆動する。第1モータ100及び第2モータ200は、本体ケース300一側面に固定される。第1モータ100の出力軸101の先端部分及び第2モータ200の出力軸201の先端部分が本体ケース300内に差し込まれる。
【0049】
第1モータ100の出力軸101の第1軸線L1と、第2モータ200の出力軸201の第2軸線L2とが互いに平行となるように、第1モータ100及び第2モータ200が配置されている(図9参照)。第1モータ100の出力軸101の第1軸線L1及び第2モータ200の出力軸201の第2軸線L2と、外側出力軸150及び内側出力軸250の第3軸線L3と、は互いに直交している。即ち、第1モータ100及び第2モータ200の回転の軸線方向が本体ケース300内で変えられる。また、外側出力軸150及び内側出力軸250の軸線方向(第3軸線L3方向)から見て、第1モータ100の出力軸101の第1軸線L1と第2モータ200の出力軸201の第2軸線L2とによって、外側出力軸150及び内側出力軸250の第3軸線L3が挟まれている(図9及び図10参照)。
【0050】
図10に示すように、外側出力軸150及び内側出力軸250の第3軸線L3方向において、第1モータ100及び第2モータ200の筐体が互いにオーバーラップしている。
【0051】
図11に示すように、外側出力軸150は、第3軸線L3に沿って延在する円筒形状を有している。また、外側出力軸150は、外側軸体(第1軸体)150aと、ローラフォロア150cと、を有している。外側軸体150aは、本体ケース300から外部に延び出した一端部150aaと、本体ケース300内に収容された他端部150abと、を含む。ローラフォロア150cは、外側軸体150aの他端部150abの外周面に設けられ、第1モータ100の出力軸101に設けられたリブ110と係合する。複数のローラフォロア150cは、外側軸体150aの外周面に等間隔で配置されている。
【0052】
図12は、リブ110とローラフォロア150cとの係合を示す図である。図12に示すように、リブ110は、第1モータ100の出力軸101の外周面に螺旋状に設けられている。ローラフォロア150cは、リブ110と所定の減速比をもって係合している。出力軸101が回転すると、リブ110によってローラフォロア150cが出力軸101の軸線方向に送られ、これにより、外側出力軸150が回転する。外側出力軸150には、第1モータ100の出力軸101の回転数が減速されて伝達される。また、第1モータ100の出力軸101の回転力よりも、外側出力軸150の回転力の方が大きくなる。
【0053】
図11に示すように、本体ケース300のケース内周面300aと外側軸体150aの外周面との間には、真空シール(第1封止部材)170が配置されている。真空シール170は、本体ケース300のケース内周面300aと外側軸体150aの外周面との間において、本体ケース300の内外を分離している。真空シール170として、例えば、磁性流体シールを用いることができる。
【0054】
ケース内周面300aには、外側出力軸150の軸線方向に平行な当該ケース内周面300aの断面を階段状とすることで、本体ケース300の外側の空間に面するシール押さえ面300bが設けられている。一実施形態においては、真空シール170の外周部分をシール押さえ面300bと押さえ部材180とによって挟み込むことで、真空シール170を本体ケース300に対して固定してもよい。真空シール170の内周面は、外側軸体150aの外周面に摺動可能に当接している。
【0055】
一実施形態においては、本体ケース300のケース内周面300aと外側軸体150aの外周面との間、且つ、真空シール170と外側軸体150aの他端部150abとの間に、外側出力軸150を支持する外側軸ベアリング160を設けてもよい。
【0056】
また、一実施形態においては、外側軸ベアリング160を、外側出力軸150のローラフォロア150cの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在させる構成としてもよい。即ち、第1モータ100のリブ110からローラフォロア150cに駆動力が伝達される位置よりも外側出力軸150の軸心側の位置において、外側軸ベアリング160が外側出力軸150を支持していてもよい。
【0057】
また、一実施形態においては、外側軸体150aを、該外側軸体150aの一端部150aaを含む第1部分151と、該外側軸体150aの他端部150abを含む第2部分152と、より構成してもよい。また、第2部分152を、第1部分151と別体であり、且つ、該第1部分151の材料とは異なる材料により形成してもよい。
【0058】
外側軸体150aの第1部分151は、本体ケース300から露出する部位に第1アーム41の取り付け部150mが設けられる。第2部分152には、ローラフォロア150cが設けられる。第1部分151と第2部分152とは、ボルト等によって連結される。
【0059】
図11に示すように、内側出力軸250は、外側軸体150aの内孔を通るように外側出力軸150と同軸に設けられている。また、内側出力軸250は、内側軸体(第2軸体)250aと、ローラフォロア250cと、を有している。内側軸体250aは、本体ケース300から外部に延び出した一端部250aaと、外側軸体150aの内孔から本体ケース300内に延び出した他端部250abと、を含む。ローラフォロア250cは、内側軸体250aの他端部250abの外周面に設けられ、第2モータ200の出力軸201に設けられたリブ210と所定の減速比をもって係合する。複数のローラフォロア250cは、内側軸体250aの外周面に等間隔で配置されている。
【0060】
リブ210は、第2モータ200の出力軸201の外周面に螺旋状に設けられている。第1モータ100のリブ110が外側出力軸150を回転させる構成と同様に、第2モータ200の出力軸201の回転に伴い内側出力軸250が回転する。内側出力軸250には、第2モータ200の出力軸201の回転数が減速されて伝達される。また、第2モータ200の出力軸201の回転力よりも、外側出力軸250の回転力の方が大きくなる。
【0061】
外側出力軸150と内側出力軸250との間には、真空シール(第2封止部材)270が配置されている。真空シール270は、外側出力軸150の内周面と内側出力軸250の外周面との間において、本体ケース300の内外を分離して高真空状態を維持することができる。真空シール270として、例えば、磁性流体シールを用いることができる。
【0062】
第2部分152の内周面には、第2部分152の軸心側に向けて突出することで、本体ケース300の外側の空間に面するシール押さえ面151aが設けられている。一実施形態においては、真空シール270の外周部分をシール押さえ面151aと押さえ部材280とによって挟み込むことで、真空シール270を内側出力軸250に対して固定してもよい。真空シール270の内周面は、内側軸体250aの外周面に摺動可能に当接している。
【0063】
一実施形態においては、内側軸体250aの他端部250abの外周面と本体ケース300のケース内周面300cとの間に内側軸ベアリング260を設けてもよい。
【0064】
また、一実施形態においては、内側軸ベアリング260を、内側出力軸250のローラフォロア250cの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在させる構成としてもよい。即ち、第2モータ200のリブ210からローラフォロア250cに駆動力が伝達される位置よりも内側出力軸250の軸心側の位置において、内側軸ベアリング260が内側出力軸250を支持している。
【0065】
外側出力軸150における本体ケース300から露出している側の端部において、外側軸体150aと内側軸体250aとの間にはベアリング290が設けられている。
【0066】
また、一実施形態においては、内側軸体250aを、該内側軸体250aの一端部250aaを含む第1部分251と、該内側軸体250aの他端部250abを含む第2部分252と、より構成してもよい。また、第2部分252を、第1部分251と別体であり、且つ、該第1部分251の材料とは異なる材料により形成してもよい。
【0067】
内側軸体250aの第1部分251には、本体ケース300から露出する部位に第2アーム42の取り付け部250mが設けられる。第2部分252には、ローラフォロア250cが設けられる。第1部分251と第2部分252とは、ボルト等によって連結される。
【0068】
また、一実施形態においては、ローラフォロア150cの外径と、ローラフォロア250cの外径と、を同じ径に形成してもよい。即ち、第1モータ100のリブ110より外側軸体150aに駆動力が伝達される位置から外側出力軸150の軸心までの長さと、第2モータ200のリブ210より内側軸体250aに駆動力が伝達される位置から内側出力軸250の軸心までの長さと、を同じにしてもよい。
【0069】
図13は、搬送機構12の取り付け構造を示す概略断面図である。図13に示すように、内側出力軸250は、外側出力軸150よりも本体ケース300の外側に向けて突出している。第1及び第2搬送チャンバ27,30のチャンバ壁27a,30aの外面から、本体ケース300から突出する外側出力軸150及び内側出力軸250の先端部分が差し込まれる。第1及び第2搬送チャンバ27,30内において、外側出力軸150の取り付け部150m及び内側出力軸250の取り付け部250mにアーム41,42がそれぞれ取り付けられる。
【0070】
駆動装置80の本体ケース300は、第1及び第2搬送チャンバ27,30のチャンバ壁27a,30aの外面に、搬送空間27b,30b内の気密を確保するようにして取り付けられる。本体ケース300と内側出力軸250との間、及び外側出力軸150と内側出力軸250との間が、それぞれ真空シール170,270によってシールされている。これらにより、第1及び第2搬送チャンバ27,30の搬送空間27b,30b内の減圧状態を保つことができる。このように、第1及び第2搬送チャンバ27,30内を高真空の減圧状態に保つ必要がある場合であっても、駆動装置80を使用することができる。
【0071】
以下、上述した駆動装置80を用いた場合の一実施例について説明する。この実施例においては上述した基板処理システム10において、ウェハーを搬送する場合、即ち、
(工程1):駆動装置80に取り付けられた搬送機構12を伸ばす、
(工程2):ウェハーが載置されたリフターを下げ、ウェハーを搬送機構12のピック46に載置する、
(工程3):ウェハーが載置された状態で搬送機構12を縮める、
(工程4):ウェハーが載置された状態で、所定の位置まで搬送機構12全体を旋回させる、
(工程5):再び搬送機構12を伸ばす、
(工程6):リフターを上昇させて、リフター上にウェハーを載置する、
(工程7):搬送機構12を縮める、
までの工程を実施した。この実施例における各工程に要した時間は、以下に示す通りとなった。また、比較例として、ダイレクトドライブモータ(例えば、特開平3−136779号公報に記載された駆動方式)を用いてアーム41,42を駆動した場合における各工程に要した時間を測定した。比較例における各工程は、実施例における対応の工程と同じである。
【0072】
(駆動装置80を用いた実施例の測定結果)
工程1(アーム伸ばし):0.3秒
工程2(リフター上昇):0.8秒
工程3(アーム縮める):1.3秒(動作限界)
工程4(アームを旋回):1.2秒(動作限界)
工程5(アーム伸ばし):1.3秒(動作限界)
工程6(リフター降下):0.8秒
工程7(アーム縮める):0.3秒
【0073】
このように、実施例において工程1〜工程7を行った場合の合計時間は6.0秒となった。なお、工程3〜工程5の動作は、搬送機構12のピック46でウェハーを保持する保持方法における動作限界であり、駆動装置80の性能によるものではない。
【0074】
(ダイレクトドライブモータを用いた比較例)
工程1(アーム伸ばし):1.0秒
工程2(リフター上昇):0.8秒
工程3(アーム縮める):1.3秒(動作限界)
工程4(アームを旋回):1.2秒(動作限界)
工程5(アーム伸ばし):1.3秒(動作限界)
工程6(リフター降下):0.8秒
工程7(アーム縮める):1.0秒
【0075】
このように、比較例において工程1〜工程7を行った場合の合計時間は7.4秒となった。なお、工程3〜工程5の動作は、搬送機構12のピック46でウェハーを保持する保持方法における動作限界である。
【0076】
以上のように、駆動装置80を用いた実施例では、ダイレクトドライブモータを用いた比較例の場合と比べて、特に、工程1及び工程7の動作スピードが向上し、ウェハーを搬送する作業に必要な時間を短縮することができた。
【0077】
本実施形態は以上のように構成され、同軸上に2つの回転軸(外側出力軸150及び内側出力軸250)を有する駆動装置80において、本体ケース300と外側出力軸150との間に真空シール170を配置し、更に、外側出力軸150と内側出力軸250との間に真空シール270を配置することで、駆動装置80の本体ケース300内の空間と、本体ケース300外の空間と、が高真空状態で分離される。これにより、駆動装置80を高真空状態の減圧環境下で用いる場合であっても、駆動装置80の本体ケース300内の空間(大気圧環境側)と減圧環境側の空間とが高真空状態で分離され、駆動装置80の高真空状態の減圧環境下での使用が可能となる。
【0078】
また、外側出力軸150と本体ケース300との間に配置された真空シール170は、第1モータ100の出力軸101の回転数よりも少ない回転数で回転する外側軸体150aに当接する。外側出力軸150と内側出力軸250との間に配置された真空シール270は、第1モータ100の出力軸101の回転数よりも少ない回転数で回転する外側軸体150a、及び、第2モータ200の出力軸201の回転数よりも少ない回転数で回転する内側軸体250aに当接する。この場合、真空シール170,270が第1モータ100の出力軸101や第2モータ200の出力軸201に当接する場合と比較して、真空シール170,270のシール性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【0079】
また、第1モータ100及び第2モータ200を、外側出力軸150の軸線方向から見て、第1モータ100の出力軸101の第1軸線L1と第2モータ200の出力軸201の第2軸線L2とによって、外側出力軸150及び内側出力軸250の第3軸線L3を挟む位置に配置する。これにより、外側出力軸150の軸線方向(第3軸線L3方向)において、第1モータ100と第2モータ200とをオーバーラップさせて配置することができる(図10参照)。即ち、外側出力軸150の軸線方向において第1モータ100と第2モータ200との干渉を防止するために、外側出力軸150や内側出力軸250を長くする必要がない。このように、外側出力軸150及び内側出力軸250を短くすることが可能となり、駆動装置80の小型化を図ることができる。また、外側出力軸150及び内側出力軸250を短くすることができるため、外側出力軸150及び内側出力軸250の剛性を向上させることができる。
【0080】
図14は、第2搬送チャンバ30の周りを基板処理システム10の後方側から見た図である。上述のように駆動装置80は、小型化が可能となっている。このため、図14に示すように、駆動装置80における第2搬送チャンバ30のチャンバ壁30aからの飛び出し長さを短くすることができる。従って、基板処理システム10は、第2搬送チャンバ30の下方に、広いスペースを確保することができる。同様に、第1搬送チャンバ27のチャンバ壁27aに取り付けられた駆動装置80についても、チャンバ壁27aからの飛び出し長さを短くすることができる。従って、基板処理システム10は、第1搬送チャンバ27の下方に、広いスペースを確保することができる。このように、第1及び第2搬送チャンバ27,30の下方に広い作業スペースを確保することができ、基板処理システム10のメンテナンス性を向上させることができる。
【0081】
一実施形態においては、外側出力軸150と内側出力軸250との間に配置された真空シール270が外側出力軸150に固定されているので、真空シール270から見ると摺動可能に当接する部位は内側出力軸250との接触部位のみとなる。このように、真空シール270が摺動可能に当接する部位を内側出力軸250との接触部位のみとすることができ、真空シール270のシール性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0082】
一実施形態においては、内側出力軸250を、第1部分251と第2部分252との2つの部材によって構成することで、第1部分251と第2部分252とを異なる材料で形成することができる。これにより、外側出力軸150の強度に合わせて内側出力軸250を形成することが可能となり、内側出力軸250の強度と外側出力軸150の強度とを略等しくすることができる。例えば、内側出力軸250の第1部分251の材料として、剛性の高いSiCを用い、外側出力軸150の強度と内側出力軸250の強度とを略等しくすることができる。
【0083】
また、一実施形態においては、外側出力軸150を、第1部分151と第2部分152との2つの部材によって構成することで、第1部分151と第2部分152とを異なる材料で形成することができる。これにより、内側出力軸250の強度に合わせて外側出力軸150を形成することが可能となり、外側出力軸150の強度と内側出力軸250の強度とを略等しくすることができる。
【0084】
また、第1モータ100の回転に対する外側出力軸150の回転角度と、第2モータ200の回転に対する内側出力軸250の回転角度とを同じとすることで、アーム41,42の回動角度の制御、即ち、第1モータ100及び第2モータ200の制御が容易となる。そこで、一実施形態においては、外側出力軸150のローラフォロア150cの外径と内側出力軸250のローラフォロア250cの外径とを同じに形成することで、第1モータ100の回転数に対する外側出力軸150の回転角度と、第2モータ200の回転数に対する内側出力軸250の回転角度とを同じにすることができる。これにより、アーム41,42の回転角度の制御が容易となる。
【0085】
また、外側出力軸150のうち、外側軸ベアリング160によって支持された近傍の部位は軸のブレが少ない。そこで、一実施形態においては、外側軸ベアリング160を、真空シール170と外側軸体150aの他端部150abとの間に配置することで、外側軸ベアリング160と真空シール170とを近づけて配置することができる。これにより、真空シール170が外側出力軸150のブレが少ない部位に当接することとなり、真空シール170のシール性を向上させることができる。
【0086】
また、一実施形態においては、外側軸ベアリング160を外側出力軸150のローラフォロア150cの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在させてもよい。この場合には、ローラフォロア150cの外径よりも外側出力軸150の軸心側の位置において外側軸ベアリング160が外側出力軸150を支持することとなる。これにより、外側軸ベアリング160による外側出力軸150の支持剛性を高めることができる。
【0087】
また、一実施形態においては、内側軸ベアリング260を内側出力軸250のローラフォロア250cの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在させてもよい。この場合には、ローラフォロア250cの外径よりも内側出力軸250の軸心側の位置において内側軸ベアリング260が内側出力軸250を支持することとなる。これにより、内側軸ベアリング260による内側出力軸250の支持剛性を高めることができる。
【0088】
なお、本実施形態は上記構成に限定されるものではなく、例えば、外側出力軸150と内側出力軸250との間に配置された真空シール270を、外側出力軸150ではなく内側出力軸250に固定してもよい。この場合、真空シール270から見ると摺動可能に当接する部位は外側出力軸150との接触部位のみとなる。このように、真空シール270が摺動可能に当接する部位を外側出力軸150との接触部位のみとすることができ、真空シール270のシール性やメンテナンス性を向上させることができる。同様に、真空シール170も本体ケース300側ではなく、外側出力軸150側に固定してもよい。
【0089】
また、外側出力軸150及び内側出力軸250のうちのいずれか一方のみを2つの部材によって構成してもよい。
【0090】
また、駆動装置80を、基板処理システムの搬送モジュール以外の装置に用いてもよい。
【符号の説明】
【0091】
12…搬送機構(搬送アーム)、22…ローダモジュール、23−1,23−2,24−1,24−2…プロセスチャンバ(プロセスモジュール)、27a,30a…チャンバ壁、27b,30b…搬送空間、28…第1搬送モジュール、31…第2搬送モジュール、41…第1アーム(一対のアームのうちの一方)、42…第2アーム(一対のアームのうちの他方)、80…駆動装置、100…第1モータ、101,201…出力軸、110,210…リブ、150…外側出力軸(第1出力軸)、150a…外側軸体(第1軸体)、150c,250c…ローラフォロア、150aa,250aa…一端部、150ab,250ab…他端部、151,251…第1部分、152,252…第2部分、160…外側軸ベアリング(第1出力軸を支持するベアリング)、170…真空シール(第1封止部材)、200…第2モータ、250…内側出力軸(第2出力軸)、250a…内側軸体(第2軸体)、260…内側軸ベアリング(第2出力軸を支持するベアリング)、270…真空シール(第2封止部材)、300…本体ケース(ケース)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内において第1軸線に沿って延在する出力軸を有する第1モータであり、該出力軸は螺旋状に設けられたリブを有する外周面を含む、該第1モータと、
前記ケース内において第1軸線と平行な第2軸線に沿って延在する出力軸を有する第2モータであり、該出力軸は螺旋状に設けられたリブを有する外周面を含む、該第2モータと、
前記第1軸線と前記第2軸線との間において該第1軸線及び該第2軸線に対して垂直な方向に延びる第3軸線に沿って延在する円筒形状を有しており、前記ケースから外部に延び出した一端部と前記ケース内に収容された他端部とを含む第1軸体、及び、前記他端部の外周面に設けられたローラフォロアであり前記第1モータの前記リブと所定の減速比をもって係合する該ローラフォロアを有する第1出力軸と、
前記第1軸体の内孔を通るように該第1軸体と同軸に設けられた第2軸体であり、前記ケースから外部に延び出した一端部と前記第1軸体の内孔から前記ケース内に延び出した他端部とを含む該第2軸体、及び、該第2軸体の該他端部に設けられたローラフォロアであり前記第2モータの前記リブと所定の減速比をもって係合する該ローラフォロアを有する第2出力軸と、
前記ケースと前記第1軸体の前記外周面との間に配置された第1封止部材と、
前記第1軸体の内周面と前記第2軸体の外周面との間に配置された第2封止部材と、
を備える、駆動装置。
【請求項2】
前記第2封止部材は、前記第1軸体又は前記第2軸体に取り付けられている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第2軸体は、該第2軸体の前記一端部を含む第1部分と、該第2軸体の前記他端部を含む第2部分であって該第1部分とは別体であり且つ該第1部分の材料とは異なる材料により構成された該第2部分と、を含む、請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1軸体は、該第1軸体の前記一端部を含む第1部分と、該第1軸体の前記他端部を含む第2部分であって該第1部分とは別体であり且つ該第1部分の材料とは異なる材料により構成された該第2部分と、を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1出力軸の前記ローラフォロアの外径は、前記第2出力軸の前記ローラフォロアの外径と等しい、請求項1〜4の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第1出力軸を支持するベアリングであって、前記第1軸体の外周面と前記ケースとの間、且つ、前記第1封止部材と前記第1軸体の前記他端部との間に設けられた該ベアリングを更に備える、請求項1〜5の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ベアリングは、前記第1出力軸の前記ローラフォロアの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在している、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第2出力軸を支持するベアリングであって、前記第2軸体の前記他端部の外周面と前記ケースとの間において、前記第2出力軸の前記ローラフォロアの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在する該ベアリングを更に備える、請求項1〜7の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
大気圧環境下で基板を搬送するローダモジュールと、
減圧環境下で前記基板を処理するプロセスモジュールと、
前記基板を搬送するための搬送モジュールであって、前記ローダモジュールと前記プロセスモジュールとの間に設けられた該搬送モジュールと、
を備え、
前記搬送モジュールは、
減圧可能な搬送空間を画成するチャンバ壁と、
該搬送空間内に設けられた一対のアームを含む搬送アームと、
前記搬送空間の気密を確保するよう前記チャンバ壁の外面に取り付けられた請求項1〜8の何れか一項に記載の駆動装置と、
を備え、
前記第1軸体の前記一端部に前記一対のアームのうち一方が連結されており、
前記第2軸体の前記一端部に前記一対のアームのうち他方が連結されている、
基板処理システム。
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内において第1軸線に沿って延在する出力軸を有する第1モータであり、該出力軸は螺旋状に設けられたリブを有する外周面を含む、該第1モータと、
前記ケース内において第1軸線と平行な第2軸線に沿って延在する出力軸を有する第2モータであり、該出力軸は螺旋状に設けられたリブを有する外周面を含む、該第2モータと、
前記第1軸線と前記第2軸線との間において該第1軸線及び該第2軸線に対して垂直な方向に延びる第3軸線に沿って延在する円筒形状を有しており、前記ケースから外部に延び出した一端部と前記ケース内に収容された他端部とを含む第1軸体、及び、前記他端部の外周面に設けられたローラフォロアであり前記第1モータの前記リブと所定の減速比をもって係合する該ローラフォロアを有する第1出力軸と、
前記第1軸体の内孔を通るように該第1軸体と同軸に設けられた第2軸体であり、前記ケースから外部に延び出した一端部と前記第1軸体の内孔から前記ケース内に延び出した他端部とを含む該第2軸体、及び、該第2軸体の該他端部に設けられたローラフォロアであり前記第2モータの前記リブと所定の減速比をもって係合する該ローラフォロアを有する第2出力軸と、
前記ケースと前記第1軸体の前記外周面との間に配置された第1封止部材と、
前記第1軸体の内周面と前記第2軸体の外周面との間に配置された第2封止部材と、
を備える、駆動装置。
【請求項2】
前記第2封止部材は、前記第1軸体又は前記第2軸体に取り付けられている、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第2軸体は、該第2軸体の前記一端部を含む第1部分と、該第2軸体の前記他端部を含む第2部分であって該第1部分とは別体であり且つ該第1部分の材料とは異なる材料により構成された該第2部分と、を含む、請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1軸体は、該第1軸体の前記一端部を含む第1部分と、該第1軸体の前記他端部を含む第2部分であって該第1部分とは別体であり且つ該第1部分の材料とは異なる材料により構成された該第2部分と、を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1出力軸の前記ローラフォロアの外径は、前記第2出力軸の前記ローラフォロアの外径と等しい、請求項1〜4の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第1出力軸を支持するベアリングであって、前記第1軸体の外周面と前記ケースとの間、且つ、前記第1封止部材と前記第1軸体の前記他端部との間に設けられた該ベアリングを更に備える、請求項1〜5の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ベアリングは、前記第1出力軸の前記ローラフォロアの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在している、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第2出力軸を支持するベアリングであって、前記第2軸体の前記他端部の外周面と前記ケースとの間において、前記第2出力軸の前記ローラフォロアの外径よりも小さい径の閉曲線に沿って延在する該ベアリングを更に備える、請求項1〜7の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
大気圧環境下で基板を搬送するローダモジュールと、
減圧環境下で前記基板を処理するプロセスモジュールと、
前記基板を搬送するための搬送モジュールであって、前記ローダモジュールと前記プロセスモジュールとの間に設けられた該搬送モジュールと、
を備え、
前記搬送モジュールは、
減圧可能な搬送空間を画成するチャンバ壁と、
該搬送空間内に設けられた一対のアームを含む搬送アームと、
前記搬送空間の気密を確保するよう前記チャンバ壁の外面に取り付けられた請求項1〜8の何れか一項に記載の駆動装置と、
を備え、
前記第1軸体の前記一端部に前記一対のアームのうち一方が連結されており、
前記第2軸体の前記一端部に前記一対のアームのうち他方が連結されている、
基板処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−77775(P2013−77775A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218121(P2011−218121)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(390006585)株式会社三共製作所 (46)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(390006585)株式会社三共製作所 (46)
【Fターム(参考)】
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