駆動装置
【課題】構造が簡易であって製造工程の合理化を図ることができ、また、鉄損に起因したエネルギー効率の低下を防ぐことができ、さらには装置全体の更なる小型化を図ることが可能な駆動装置を提供する。
【解決手段】周方向にN極とS極とが相互に着磁された永久磁石11を有する回転子20と、回転子20を軸支する軸受部13cを有するとともにコイル14a,14a',14b,14b'を保持するコイル枠(13a及び13b)と、を備え、コイルは、回転子20の軸方向端面の少なくとも一部を覆うように巻回されるとともに、回転子20の周方向に複数配設されている。
【解決手段】周方向にN極とS極とが相互に着磁された永久磁石11を有する回転子20と、回転子20を軸支する軸受部13cを有するとともにコイル14a,14a',14b,14b'を保持するコイル枠(13a及び13b)と、を備え、コイルは、回転子20の軸方向端面の少なくとも一部を覆うように巻回されるとともに、回転子20の周方向に複数配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレンズ駆動装置など、各種機器に組み込まれて駆動源として利用される駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種機器のサーボ機構に組み込まれている代表的なモータとして、ステッピングモータがある。このステッピングモータの構造としては、ロータ(回転子)に円筒状の永久磁石を用いたPM(パーマネントマグネット)型ステッピングモータが代表的である(図13参照)。
【0003】
図13は、一般的なPM型ステッピングモータ100の構造を示す図である。
【0004】
図13(a)において、多極着磁された円筒状の磁石(永久磁石)101の中心に軸102を取り付けたロータと、A相ステータ103aとB相ステータ103bに分割されたステータと、から構成される。
【0005】
永久磁石101には、図13(b)に示すように、その円周面にN極とS極が一定のピッチで着磁されている。A相ステータ103aとB相ステータ103bは、内周面に一定のピッチで配列された極歯104を有するヨーク105と、このヨーク105に巻かれた励磁コイル106と、から構成されている。なお、A相ステータ103aとB相ステータ103bとは、それぞれの極歯104の配列が電気角で90°の位相差になるように位置決めされ、一体化されている。
【0006】
このような構成からなるPM型ステッピングモータ100において、励磁コイル106a,106bに各々電流を流し、極歯104にヘテロポーラ磁界を生成するとともに、その電流を適宜切り替えることによって、一定のステップ角でロータを回転させることができる。このようなPM型ステッピングモータ100は、例えば、カメラ付き携帯電話機に搭載される薄型カメラのレンズ駆動装置として利用されている(例えば特許文献1参照)。なお、その他プリンター等の様々な機器に利用されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−317864号公報([0022]〜[0026]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図13(a)に示すように、一般的なPM型ステッピングモータは構造が非常に複雑で、製造工程の合理化を図るのが難しい。例えば、極歯104は、所定の板厚を有する磁性体金属板(ヨーク105)に、内周縁が凹凸状となるような孔を精度良く穿設し、その凹凸状の部分を高精度に起立形成することによって製造される。そして、A相ステータ103a及びB相ステータ103bのそれぞれにおいて、上下の極歯104が噛み合うようにして高精度に組み合わされる。このように、極歯104だけをみても、構造の複雑さに起因して製造工程が煩雑となっている。なお、マグネットを高精度に多極着磁させる工程も煩雑である。
【0009】
また、図13(a)に示すPM型ステッピングモータ100は、極歯104やヨーク105などの磁性体によって磁気回路が形成されることから、鉄損が生じることは避けられず、エネルギー効率の低下を防ぐことが難しい。さらには、磁気回路上の制約から、極歯104の大きさや永久磁石101の磁極の大きさには制限があり、ある限界以上の小型化を図るのは困難である。
【0010】
そこで、本発明者は、各種機器に組み込まれて駆動源として利用される駆動装置において、構造の簡易化,エネルギー効率の向上,装置全体の更なる小型化等を鋭意検討した結果、本発明を着想するに至った。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造が簡易であって製造工程の合理化を図ることができ、また、鉄損に起因したエネルギー効率の低下を防ぐことができ、さらには装置全体の更なる小型化を図ることが可能な駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上のような課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
【0013】
(1) ラジアル方向に異極着磁された永久磁石を有する回転子と、前記回転子を軸支する軸受部を有するとともにコイルを保持するコイル枠と、を備え、前記コイルは、前記回転子の軸方向端面の少なくとも一部を覆うように巻回されるとともに、前記回転子の周方向に複数配設されていることを特徴とする駆動装置。
【0014】
本発明によれば、ラジアル方向に異極(N極とS極)が着磁された永久磁石を有する回転子と、その回転子の軸を支えるとともにコイルを保持するコイル枠と、を備えた駆動装置で、コイルを、回転子の軸方向端面の少なくとも一部を覆うように巻回するとともに、回転子の周方向に複数配設することとしたので、構造の簡易化を実現できる。
【0015】
すなわち、従来のPM型ステッピングモータ100(図13(a)参照)では、磁性体金属板(ヨーク105)や、これに起立形成された極歯(104)など、数多くの様々な高精度の部材が必要になることから、製造工程が煩雑となる傾向があった。しかし、本発明によれば、回転子とコイル枠と複数のコイルとの3部材を組み合わせ、複数のコイルに所定の電流(例えば矩形状のパルス電流)を流すだけで、一定のステップ角で永久磁石(回転子)を回転させることができる。従って、駆動装置の構造を簡易化することができ、ひいては製造工程の合理化に資することができる。なお、構造の簡易化によって、部品点数を少なくすることができれば、製造コストを廉価に抑えることができ、また、駆動装置の信頼性を高める(故障確率を下げる)ことができる。
【0016】
また、本発明は、上述のとおり、回転子とコイル枠と複数のコイルとの3部材を組み合わせて構成されるものであり、極歯104やヨーク105(図13(a)参照)などの磁性体を特に必要としない。従って、鉄損がなく、エネルギー効率を向上させることができる。なお、極歯104やヨーク105などの磁性体を特に必要としないことによって、デテントトルクの発生を防いだり、イナーシャを低下させたりすることも可能である。
【0017】
さらに、本発明は、上述のとおり、コイルが回転子の軸方向端面の少なくとも一部を覆うように巻回されていることから、ラジアル方向の装置サイズを小さくすることができる。従って、装置全体の更なる小型化を図ることができる。
【0018】
ここで、コイルを保持する「コイル枠」は、回転子を軸支する「軸受部」を有しているが、これは、コイル枠自体に軸受部が一体的に形成されている構造であってもよいし、別途製造された軸受部をコイル枠が保持する構造であってもよい。
【0019】
また、「回転子の周方向に複数配設されている」コイルの数の如何は問わない。例えば、回転子の周方向に90°の間隔を空けつつコイルを4個配設してもよいし、回転子の周方向に120°又は60°の間隔を空けつつコイルを6個配設してもよい。配設するコイルの数を増やせば増やすほど、ステップ角を小さくすることができ、ひいては回転子の高精度な制御が可能になる。なお、コイルに流す電流は、互いに別途独立な電流を流してもよいし、プログラム制御のし易さを考慮して、いくつかのコイルを接続し、複数のコイルに同じ電流を流してもよい。
【0020】
なお、本発明は、コイルが回転子の軸方向端面の「少なくとも一部」を覆うように巻回されているものであればよく、例えば、コイルが回転子の軸方向端面の「全て」を覆うように巻回されていても構わない。この場合、コイルの一部は回転子の軸よりも軸方向外側に巻回されることになる。
【0021】
(2) 前記コイルは、ラジアル方向に前記回転子の軸が介在しうるように分割して配設されているとともに、分割された両コイルは直列接続され、分割された両コイルで生成される磁界の方向を同じ方向に揃うように結線されていることを特徴とする(1)記載の駆動装置。
【0022】
本発明によれば、上述したコイルを、ラジアル方向に回転子の軸が介在しうるように分割して配設し、分割された両コイルを直列接続すること、かつ、発生する磁束の向きが同方向となるように結線することによって、永久磁石を通過する磁束の量を増やすことができ、ひいてはトルクを向上させることができる。
【0023】
なお、コイルを、回転子の軸が介在しうるように2個に分割して配設することによって、回転子の軸とコイルが接触するのを防ぐことができる。また、分割された両コイルには同じ電流が流れることになるため、各コイルに別途独立な電流を流す場合よりもプログラム制御がし易くなる。
【0024】
(3) 前記コイルは、ラジアル方向に前記回転子の軸が介在しうるように分割して配設されているとともに、分割された両コイルは並列接続されていることを特徴とする(1)記載の駆動装置。
【0025】
本発明によれば、上述したコイルを、ラジアル方向に回転子の軸が介在しうるように分割して配設し、分割された両コイルを並列接続することとしたので、駆動装置の信頼性を高めることができる。すなわち、分割された両コイルが直列接続されていた場合には、半田付け等の接続箇所が全部で6点になる一方、分割された両コイルが並列接続されていた場合には、半田付け等の接続箇所が全部で4点になるため、半田付け等の接続箇所における接触不良に起因した故障率を下げることができ、ひいては駆動装置の信頼性を高めることができる。また、例えば分割されたコイルのいずれか一方が断線した場合、永久磁石を通過する磁束の量は半減するものの、完全に動かなくなる、という最悪の事態を防止することができる。
【0026】
(4) 前記回転子のラジアル方向外側には、磁性体からなるケース体が設けられていることを特徴とする(1)から(3)のいずれか記載の駆動装置。
【0027】
本発明によれば、回転子のラジアル方向外側には、磁性体からなるケース体が設けられていることとしたので、回転子の停止位置を制御することができる。すなわち、回転子を覆うケース体を磁性体からなるものとしておけば、回転子が停止したとき、永久磁石と、これに近接するケース体との間に磁気的吸引力が働く。そして、この磁気的吸引力によって回転子の停止位置を制御することができる。また、一旦停止した回転子が、振動等の外乱によって動くのを防止することができる。
【0028】
なお、ケース体を磁性体ではなく、非磁性体からなるものとした場合、回転子の停止位置を制御したり、回転子の停止位置を保持したりすることはできないが、コギングトルクの発生を防ぐことが可能になるため、滑らかな回転を得ることができる。
【0029】
(5) 前記ケース体は、断面が多角形からなっていることを特徴とする(4)記載の駆動装置。
【0030】
本発明によれば、上述したケース体を、断面が多角形からなっていることとしたので、回転子の停止位置をより高精度に制御することができる。すなわち、上述した永久磁石とケース体との間に働く磁気的吸引力は、断面が多角形からなるケース体の各辺において生じるので、辺の数を増やすことで、回転子の停止位置をより高精度に制御することができる。
【0031】
(6) 前記ケース体は、断面が2n(nは2以上)の辺を有する多角形であり、対向する前記コイルには、同じ方向に電流を流すようにしたことを特徴とする(5)記載の駆動装置。
【0032】
本発明によれば、上述したケース体は、断面が2n(nは2以上)の辺を有する多角形であって、対向するコイルには同じ方向の磁束を生成するように電流を流すので、回転子の停止位置をより高精度に制御しつつ、トルクの向上に寄与することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る駆動装置によれば、構造の簡易化を実現できるとともに、エネルギー効率の向上に寄与することができる。そして、ラジアル方向の装置サイズを小さくして、装置全体の小型化を更なる図ることができる。また、部品点数が少ないので、製造コストを抑えたり、駆動装置の信頼性を高めたりすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
[機械構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置10の外観構成を示す図である。図2(a)及び図2(b)は、図1に示す駆動装置10において、それぞれA−A'及びB−B'で切断したときの断面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置10を分解したときの分解斜視図である。
【0036】
図1〜図3において、駆動装置10は、ラジアル方向に異極(N極とS極との2極)着磁された永久磁石11と、軸12と、から構成される回転子20と、この回転子20を軸支する軸受部13cを有するコイル枠13と、を有している。コイル枠13は、上コイル枠13aと下コイル枠13bとから構成され、下コイル枠13bの中央部には、軸受部13cが形成されている。なお、本実施形態では、軸受部13cと下コイル枠13bとを一体形成しているが、下コイル枠13bに、別途製造した軸受部13cを保持させるような構成としてもよい。また、上コイル枠13aの中央部には軸孔13dが形成されており、この軸孔13dを軸12が貫通している。
【0037】
上コイル枠13aの上端面には、平坦面13eと、この平坦面13eから所定の高さだけ突出した凸部の上端面である段面13fと、この断面13fから更に所定の高さだけ突出し、軸孔13dが形成された軸孔面と、が形成されている。そして、上コイル枠13aの平坦面13eによって、コイル14b及びコイル14b'が保持され、これらのコイル14b,14b'と上コイル枠13aの断面13fによって、コイル14a及びコイル14a'が保持されている。
【0038】
すなわち、上コイル枠13aの平坦面13eに保持されたコイル14b及びコイル14b'は、それぞれ永久磁石11の軸方向端面(例えば上端面11a)の一部を覆うように巻回されている。また、コイル14b,14b'と上コイル枠13aの断面13fによって保持され、コイル14b,14b'に対して90°ずれた位置(図3参照)に位置決めされたコイル14a及びコイル14a'は、コイル14b,14b'の巻回方向とは直交する方向に巻回されるとともに、それぞれ永久磁石11の軸方向端面(例えば図3に示す軸方向上端面11a)の一部を覆うように巻回されている。
【0039】
コイル14bとコイル14b'は、ラジアル方向に回転子20の軸12が介在しうるように分割して配設されており、両コイルは直列接続されている。また、コイル14aとコイル14a'も、ラジアル方向に回転子20の軸12が介在しうるように分割して配設されており、両コイルは直列接続されている。
【0040】
コイル14a,14a',14b,14b'の外側(すなわち回転子20のラジアル方向外側)には、磁性体からなるケース体15が設けられている。ケース体は、直方体の形状をしており(上端面は省略)、その横断面の形状は、例えば外寸法で一辺が4.6mm四方の正方形となっている。
【0041】
次に、駆動装置10の組み立て方法について、図3に示す分解斜視図を用いて説明する。図3において、まず、軸12に永久磁石11を固着する。そして、軸12の下端が下コイル枠13bに形成された軸受部13cを貫通するように(孔を塞いで当接するようにしてもよい)、軸12の上端が上コイル枠13aに形成された軸孔13dを貫通するように、上コイル枠13aと下コイル枠13bとを取り付ける。このとき、上コイル枠13aと下コイル枠13bとを固着してもよいし、嵌着してもよいし、係合してもよいが、コイル14b,14b'を嵌め込んだときに固定することができるので、単に永久磁石11を挟んだ状態で取り付ければ足りる。なお、本実施形態では、軸12は滑面性の材質のものを使用している。また、軸孔13dの延長部分を設けずにコイル枠13a及び13bに軸孔13dの部分までの長さを有する軸受けを嵌め込み この軸受けの外周部でコイル14a,14a',14b,14b'が軸12に接触しないようにしてもよい。この場合、軸受けの材質としては表面が非電導性の軸受けや、非金属の軸受けを選択するとよい。
【0042】
次に、コイル枠13に、コイル14b,14b'を嵌め込む。このとき、コイル14b,14b'の内周面(のうちの上面)を、上コイル枠13aの平坦面13eと摺接させながら、平坦面13eから所定の高さだけ突出した凸部に当接するまで嵌め込む。その後、コイル枠13に、コイル14a,14a'を嵌め込む。このとき、コイル14a,14a'の内周面(のうちの上面)を、上コイル枠13aの段面13fと摺接させながら、断面13fから所定の高さだけ突出した部分に当接するまで嵌め込む。
【0043】
最後に、永久磁石11と軸12で構成された回転子20を,コイル枠13,及びコイル14a,14a',14b,14b'をケース体15に納める。そして、各コイル14a,14a',14b,14b'の引き出し線を結線して、各コイル14a,14a',14b,14b'とコイル枠13及び、ケース本体15を接着固定する。このようにして、駆動装置10を組み立てることができる。
【0044】
[回転動作]
図4及び図5は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置10における回転子20の回転動作を説明するための説明図である。特に、図4は、コイル14a,14a',14b,14b'に印加する電圧(電圧パルス)の波形を示す波形図であって、横軸は時間、縦軸は印加電圧を示している。また、図5は、図4に示す電圧を印加したとき、実際に永久磁石11(回転子20)が回転している様子を示す模式図である。
【0045】
図4において、コイル14a及びコイル14a'には、V+,0,V−という三種類の電圧が、それぞれ所定のタイミングで印加される(図4(a)参照)。また、コイル14b及びコイル14b'にも、V+,0,V−という三種類の電圧が、それぞれ所定のタイミングで印加される(図4(b)参照)。なお0は、0Vの励磁、即ち励磁電圧0Vで励磁していないのと同等である。
【0046】
ここで、時刻t1における電圧値に着目すると、コイル14a及びコイル14a'には正の電圧V+が印加されており、コイル14b及びコイル14b'には電圧は印加されていない(電圧値0)。そうすると、コイル14a及びコイル14a'のみに励磁電流が流れ、上述のとおりコイル14aとコイル14a'とは発生する磁束の向きが同方向となるように結線されているので、図5(a)に示すように、コイル14aからコイル14a'の向きのみに磁界が発生する。その結果、永久磁石11のS極はコイル14aの方に、永久磁石11のN極はコイル14a'の方に向いて停止する。
【0047】
次に、時刻t2における電圧値に着目すると、コイル14a及びコイル14a'には正の電圧V+が印加されており、コイル14b及びコイル14b'にも正の電圧V+が印加されている。そうすると、コイル14a及びコイル14a'と、コイル14b及びコイル14b'と、の双方に励磁電流が流れ、図5(b)に示すように、コイル14aからコイル14a'の向きに磁界が発生し、加えてコイル14bからコイル14b'の向きにも磁界が発生する。その結果、合成磁界の向きは、コイル14a'とコイル14b'の中間の方向(図5(b)でいう右下)となり、永久磁石11のS極はコイル14aとコイル14bとの中間の方に、永久磁石11のN極はコイル14a'とコイル14b'との中間の方に向いて停止する。なお、合成された磁束の向きをコイル14aとコイル14bとの中間の方に正確に向けるためには、コイル14a、コイル14a'とコイル14b、コイル14b'の夫々2組のコイルのアンペアターン(コイルに流れる電流値とコイル巻数の積)を等しくする必要がある。
【0048】
以下同様にして、時刻t3〜t8における磁界(合成磁界)の向き及び永久磁石11の方向を見ていくと、時刻t3において永久磁石11と磁界の向きは共に下向きとなり(図5(c)参照)、時刻t4において永久磁石11と合成磁界の向きは共に左下向きとなり(図5(d)参照)、時刻t5において永久磁石11と磁界の向きは共に左向きとなり(図5(e)参照)、時刻t6において永久磁石11と合成磁界の向きは共に左上向きとなり(図5(f)参照)、時刻t7において永久磁石11と磁界の向きは共に上向きとなり(図5(g)参照)、時刻t8において永久磁石11と合成磁界の向きは共に右上向きとなる(図5(h)参照)。
【0049】
最後に、時刻t9における電圧値に着目すると、時刻t1における電圧値と同じになっており、時刻t1〜t8の時間で、永久磁石11(回転子20)が1回転したことが分かる。更に継続して回転させるには、上述したシーケンス制御(一般的なステッピングモータの1−2相励磁と同等である)を継続させればよい。
【0050】
なお、図4及び図5では、回転子20を右回りに回転させることとしたが、例えば回転子20を左回りに回転させるためには、コイル14a及びコイル14a'と、コイル14b及びコイル14b'と、のそれぞれに対して、図6(a)及び図6(b)に示す電圧を印加すればよい(2組のコイルのどちらか一方の励磁を逆に、言い換えると、結線を逆に繋げばよい)。これにより、容易に回転方向を逆転させることができる。また、図5では、永久磁石11が逐次停止するものとして説明したが、励磁タイミングを変化させることによって、永久磁石11を停止させることなく連続的に回転させることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る駆動装置10によれば、永久磁石11及び軸12から構成される回転子20と、コイル枠13と、コイル14a,14a',14b,14b'と、の3部材を組み合わせるだけで、回転子20を回転させることができるので、構造の簡易化を実現でき、ひいては製造工程の合理化に資することができる。また、部品点数が少ないので、製造コスト削減、信頼性向上に寄与することができる。また、従来のステッピングモータにおける極歯やヨークなどのステータコアに相当する部分がないため、鉄損の発生を防ぎ、エネルギー効率を向上させるができる。また、コイル14a,14a'14b,14b'は、上コイル枠13aにおける平坦面13eと段面13f(図3参照)を覆うようにして、すなわち回転子20の軸方向端面の一部を覆うように巻回されていることから、駆動装置10全体の小型化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る駆動装置10によれば、コイル14aとコイル14a'、コイル14bとコイル14b'、のいずれもが、ラジアル方向に回転子20の軸12が介在しうるように分割して配設されつつ直列接続されているので、軸12との接触を避けた上で、永久磁石11を通過する磁束の量を増やし、トルク向上に寄与することができる。なお、本実施形態では直列接続としたが、並列接続としても勿論構わない。この場合、半田付けの箇所を減らすとともに、いずれか一方が断線した場合であっても永久磁石11を通過する磁束が半減するが0になるのを防ぐことができるので、トルクの低下は生じるものの完全に停止することはなく、駆動装置10の信頼性を高めることができる。
【0053】
さらに、駆動装置10において、ケース体15は磁性体により形成されているので、回転子20の停止位置を制御することができる。この制御を、図7を用いて詳細に説明する。図7は、駆動装置10における回転子20の停止位置を制御する様子を説明するための説明図である。
【0054】
図7(a)において、永久磁石11が、そのN極が右向きに、そのS極が左向きに向いた状態で停止しているとき、矢印で示すような磁気的吸引力が働く。そうすると、振動等の外乱によって、永久磁石11(回転子20)が動くのを防止することができる。以下同様、永久磁石11は、そのN極が下向きに、そのS極が上向きに向いた状態で停止させることもでき(図7(b)参照)、そのN極が左向きに、そのS極が右向きに向いた状態で停止させることもでき(図7(c)参照)、そのN極が上向きに、そのS極が下向きに向いた状態で停止させることもできる(図7(d)参照)。
【0055】
なお、本実施形態では、ケース体15を磁性体により形成されていることとしたが、非磁性体により形成されていることとしてもよい。この場合、図7(a)〜図7(d)に示すような磁気的吸引力は働かず、コギングトルクの発生を防ぐことができる。
【0056】
[変形例]
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る駆動装置10Aの機械構成を示す断面図である。
【0057】
図8において、軸12が固着された永久磁石11の周りには、コイル14a,14a',14b,14b',14c,14c'が巻回されている。すなわち、図2(a)ではコイル14a,14a',14b,14b'という2組のコイルが巻回されていたが、本実施形態における駆動装置10Aでは、3組のコイルが巻回されている。
【0058】
ここで、2組のコイルを巻回した駆動装置10は、回転子20が8ステップで1回転していたが(図5(a)〜図5(h)参照)、3組のコイルを巻回した駆動装置10Aによれば、回転子20を12ステップで1回転させることができる。すなわち、1ステップあたりの回転角度を小さくすることができる。このように、回転子20の周りのコイル数を増やすことによって、回転子20のより高精度な制御が可能になる。
【0059】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る駆動装置10Bの機械構成を示す断面図である。
【0060】
図9において、軸12が固着された永久磁石11の周りには、図8と同様に、コイル14a,14a',14b,14b',14c,14c'が巻回されている。図8との相違点は、ケース体15の断面が、正方形から正六角形となっていることである。
【0061】
このように、ケース体15の断面の辺の数を増やす(4本→6本)ことによって、永久磁石11とケース体15とが近接する位置を増やすことができ、回転子20の停止位置をより高精度に制御することができる。
【0062】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る駆動装置10Cの機械構成を示す断面図である。特に、図10(b)は、図10(a)に示す駆動装置10Cにおいて、X−X'で切断したときの断面を示している。
【0063】
図10において、軸12が固着された永久磁石11の周りには、コイル14a,14bが巻回されているが、両コイルは、軸12よりも軸方向外側に巻回されている(図10(b)参照)。より具体的には、コイル14bが、永久磁石11の軸方向端面の中央部分を覆うように巻回されるとともに、コイル14aが、永久磁石11との間にコイル14bが介在した状態で、永久磁石11の軸方向端面の中央部分を覆うように巻回されている。なお、軸12に固着されたアーム20の先には、例えばカメラ付き携帯電話機においてはシャッタや絞り板等が取り付けられる。
【0064】
このように、コイル14aとコイル14a'、コイル14bとコイル14b'、のそれぞれを、分割せずに配設することとしてもよい。
【0065】
なお、図10では、コイル14a及びコイル14bは永久磁石11の軸方向端面中央部分を覆うように巻回されているが、勿論、永久磁石11の軸方向端面の全てを覆うように巻回されていてもよい。また、図10では、コイル14a及びコイル14bは、ケース体15の断面の各辺と並行になるように配設されているが、例えば、ケース体15の断面の対角線と平行になるように、すなわち斜めになるように配設されていてもよい。
【0066】
図11は、本発明の第5の実施の形態に係る駆動装置10Dの機械構成を示す断面図である。
【0067】
図11において、軸12が固着された永久磁石11の周りには、コイル14a,14a,14b,14b'が巻回されているが、このうちコイル14a及びコイル14a'については、断面が台形となるように巻回されている。このように、コイル14a及びコイル14a'の断面が台形となるようにして、駆動装置10D内のスペースを有効利用することによって、ラジアル方向のサイズ(駆動装置10Dの幅)を広げることなく、コイルの巻線回数を増加させることができ、ひいては永久磁石11を通過する磁束の量を増加させ、トルク向上に寄与することができる。
【0068】
図12は、本発明の第6の実施の形態に係る駆動装置10Eの機械構成を示す断面図である。図12において、軸12が固着された永久磁石11の周りには、コイル14a,14a,14b,14b'が巻回されているが、このうちコイル14a及びコイル14a'については、断面が三角形となるように巻回されている。このように、コイル14a及びコイル14a'の断面が三角形となるようにして、駆動装置10E内のスペースを有効利用することによって、駆動装置10Eの上下の幅を小さくすることができ(例えば4.6mm→3.8mm)、ひいては装置全体の小型化を図ることができる。
【0069】
また、本構造の軸12を外部から回転すると、交流発電機として使用することも可能であり、直流が必要な時はその出力を整流して用いればよい。交流の周波数と電圧は回転数に対応するので、タコメータ(回転数計測器)の検出部としての応用も考えられる。この様な応用には、ケース本体15は非磁性材料を使用する方がコギングによる損失が発生せず滑らかに回転することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る駆動装置は、簡易な構造でエネルギー効率が良く、かつ、装置全体の小型化を図ることが可能なものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置の外観構成を示す図である。
【図2】図1に示す駆動装置において、それぞれA−A'及びB−B'で切断したときの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置を分解したときの分解斜視図である。
【図4】コイルに印加する電圧(電圧パルス)の波形を示す波形図である。
【図5】図4に示す電圧を印加したとき、実際に回転子が回転している様子を示す模式図である。
【図6】コイルに印加する電圧(電圧パルス)の波形を示す波形図である。
【図7】駆動装置における回転子の停止位置を制御する様子を説明するための説明図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る駆動装置の機械構成を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る駆動装置の機械構成を示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る駆動装置の機械構成を示す断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る駆動装置の機械構成を示す断面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係る駆動装置の機械構成を示す断面図である。
【図13】一般的なPM型ステッピングモータの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
10〜10E 駆動装置
11 永久磁石
12 軸
13 コイル枠
14a,14a',14b,14b' コイル
15 ケース体
20 回転子
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレンズ駆動装置など、各種機器に組み込まれて駆動源として利用される駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種機器のサーボ機構に組み込まれている代表的なモータとして、ステッピングモータがある。このステッピングモータの構造としては、ロータ(回転子)に円筒状の永久磁石を用いたPM(パーマネントマグネット)型ステッピングモータが代表的である(図13参照)。
【0003】
図13は、一般的なPM型ステッピングモータ100の構造を示す図である。
【0004】
図13(a)において、多極着磁された円筒状の磁石(永久磁石)101の中心に軸102を取り付けたロータと、A相ステータ103aとB相ステータ103bに分割されたステータと、から構成される。
【0005】
永久磁石101には、図13(b)に示すように、その円周面にN極とS極が一定のピッチで着磁されている。A相ステータ103aとB相ステータ103bは、内周面に一定のピッチで配列された極歯104を有するヨーク105と、このヨーク105に巻かれた励磁コイル106と、から構成されている。なお、A相ステータ103aとB相ステータ103bとは、それぞれの極歯104の配列が電気角で90°の位相差になるように位置決めされ、一体化されている。
【0006】
このような構成からなるPM型ステッピングモータ100において、励磁コイル106a,106bに各々電流を流し、極歯104にヘテロポーラ磁界を生成するとともに、その電流を適宜切り替えることによって、一定のステップ角でロータを回転させることができる。このようなPM型ステッピングモータ100は、例えば、カメラ付き携帯電話機に搭載される薄型カメラのレンズ駆動装置として利用されている(例えば特許文献1参照)。なお、その他プリンター等の様々な機器に利用されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−317864号公報([0022]〜[0026]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図13(a)に示すように、一般的なPM型ステッピングモータは構造が非常に複雑で、製造工程の合理化を図るのが難しい。例えば、極歯104は、所定の板厚を有する磁性体金属板(ヨーク105)に、内周縁が凹凸状となるような孔を精度良く穿設し、その凹凸状の部分を高精度に起立形成することによって製造される。そして、A相ステータ103a及びB相ステータ103bのそれぞれにおいて、上下の極歯104が噛み合うようにして高精度に組み合わされる。このように、極歯104だけをみても、構造の複雑さに起因して製造工程が煩雑となっている。なお、マグネットを高精度に多極着磁させる工程も煩雑である。
【0009】
また、図13(a)に示すPM型ステッピングモータ100は、極歯104やヨーク105などの磁性体によって磁気回路が形成されることから、鉄損が生じることは避けられず、エネルギー効率の低下を防ぐことが難しい。さらには、磁気回路上の制約から、極歯104の大きさや永久磁石101の磁極の大きさには制限があり、ある限界以上の小型化を図るのは困難である。
【0010】
そこで、本発明者は、各種機器に組み込まれて駆動源として利用される駆動装置において、構造の簡易化,エネルギー効率の向上,装置全体の更なる小型化等を鋭意検討した結果、本発明を着想するに至った。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造が簡易であって製造工程の合理化を図ることができ、また、鉄損に起因したエネルギー効率の低下を防ぐことができ、さらには装置全体の更なる小型化を図ることが可能な駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上のような課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
【0013】
(1) ラジアル方向に異極着磁された永久磁石を有する回転子と、前記回転子を軸支する軸受部を有するとともにコイルを保持するコイル枠と、を備え、前記コイルは、前記回転子の軸方向端面の少なくとも一部を覆うように巻回されるとともに、前記回転子の周方向に複数配設されていることを特徴とする駆動装置。
【0014】
本発明によれば、ラジアル方向に異極(N極とS極)が着磁された永久磁石を有する回転子と、その回転子の軸を支えるとともにコイルを保持するコイル枠と、を備えた駆動装置で、コイルを、回転子の軸方向端面の少なくとも一部を覆うように巻回するとともに、回転子の周方向に複数配設することとしたので、構造の簡易化を実現できる。
【0015】
すなわち、従来のPM型ステッピングモータ100(図13(a)参照)では、磁性体金属板(ヨーク105)や、これに起立形成された極歯(104)など、数多くの様々な高精度の部材が必要になることから、製造工程が煩雑となる傾向があった。しかし、本発明によれば、回転子とコイル枠と複数のコイルとの3部材を組み合わせ、複数のコイルに所定の電流(例えば矩形状のパルス電流)を流すだけで、一定のステップ角で永久磁石(回転子)を回転させることができる。従って、駆動装置の構造を簡易化することができ、ひいては製造工程の合理化に資することができる。なお、構造の簡易化によって、部品点数を少なくすることができれば、製造コストを廉価に抑えることができ、また、駆動装置の信頼性を高める(故障確率を下げる)ことができる。
【0016】
また、本発明は、上述のとおり、回転子とコイル枠と複数のコイルとの3部材を組み合わせて構成されるものであり、極歯104やヨーク105(図13(a)参照)などの磁性体を特に必要としない。従って、鉄損がなく、エネルギー効率を向上させることができる。なお、極歯104やヨーク105などの磁性体を特に必要としないことによって、デテントトルクの発生を防いだり、イナーシャを低下させたりすることも可能である。
【0017】
さらに、本発明は、上述のとおり、コイルが回転子の軸方向端面の少なくとも一部を覆うように巻回されていることから、ラジアル方向の装置サイズを小さくすることができる。従って、装置全体の更なる小型化を図ることができる。
【0018】
ここで、コイルを保持する「コイル枠」は、回転子を軸支する「軸受部」を有しているが、これは、コイル枠自体に軸受部が一体的に形成されている構造であってもよいし、別途製造された軸受部をコイル枠が保持する構造であってもよい。
【0019】
また、「回転子の周方向に複数配設されている」コイルの数の如何は問わない。例えば、回転子の周方向に90°の間隔を空けつつコイルを4個配設してもよいし、回転子の周方向に120°又は60°の間隔を空けつつコイルを6個配設してもよい。配設するコイルの数を増やせば増やすほど、ステップ角を小さくすることができ、ひいては回転子の高精度な制御が可能になる。なお、コイルに流す電流は、互いに別途独立な電流を流してもよいし、プログラム制御のし易さを考慮して、いくつかのコイルを接続し、複数のコイルに同じ電流を流してもよい。
【0020】
なお、本発明は、コイルが回転子の軸方向端面の「少なくとも一部」を覆うように巻回されているものであればよく、例えば、コイルが回転子の軸方向端面の「全て」を覆うように巻回されていても構わない。この場合、コイルの一部は回転子の軸よりも軸方向外側に巻回されることになる。
【0021】
(2) 前記コイルは、ラジアル方向に前記回転子の軸が介在しうるように分割して配設されているとともに、分割された両コイルは直列接続され、分割された両コイルで生成される磁界の方向を同じ方向に揃うように結線されていることを特徴とする(1)記載の駆動装置。
【0022】
本発明によれば、上述したコイルを、ラジアル方向に回転子の軸が介在しうるように分割して配設し、分割された両コイルを直列接続すること、かつ、発生する磁束の向きが同方向となるように結線することによって、永久磁石を通過する磁束の量を増やすことができ、ひいてはトルクを向上させることができる。
【0023】
なお、コイルを、回転子の軸が介在しうるように2個に分割して配設することによって、回転子の軸とコイルが接触するのを防ぐことができる。また、分割された両コイルには同じ電流が流れることになるため、各コイルに別途独立な電流を流す場合よりもプログラム制御がし易くなる。
【0024】
(3) 前記コイルは、ラジアル方向に前記回転子の軸が介在しうるように分割して配設されているとともに、分割された両コイルは並列接続されていることを特徴とする(1)記載の駆動装置。
【0025】
本発明によれば、上述したコイルを、ラジアル方向に回転子の軸が介在しうるように分割して配設し、分割された両コイルを並列接続することとしたので、駆動装置の信頼性を高めることができる。すなわち、分割された両コイルが直列接続されていた場合には、半田付け等の接続箇所が全部で6点になる一方、分割された両コイルが並列接続されていた場合には、半田付け等の接続箇所が全部で4点になるため、半田付け等の接続箇所における接触不良に起因した故障率を下げることができ、ひいては駆動装置の信頼性を高めることができる。また、例えば分割されたコイルのいずれか一方が断線した場合、永久磁石を通過する磁束の量は半減するものの、完全に動かなくなる、という最悪の事態を防止することができる。
【0026】
(4) 前記回転子のラジアル方向外側には、磁性体からなるケース体が設けられていることを特徴とする(1)から(3)のいずれか記載の駆動装置。
【0027】
本発明によれば、回転子のラジアル方向外側には、磁性体からなるケース体が設けられていることとしたので、回転子の停止位置を制御することができる。すなわち、回転子を覆うケース体を磁性体からなるものとしておけば、回転子が停止したとき、永久磁石と、これに近接するケース体との間に磁気的吸引力が働く。そして、この磁気的吸引力によって回転子の停止位置を制御することができる。また、一旦停止した回転子が、振動等の外乱によって動くのを防止することができる。
【0028】
なお、ケース体を磁性体ではなく、非磁性体からなるものとした場合、回転子の停止位置を制御したり、回転子の停止位置を保持したりすることはできないが、コギングトルクの発生を防ぐことが可能になるため、滑らかな回転を得ることができる。
【0029】
(5) 前記ケース体は、断面が多角形からなっていることを特徴とする(4)記載の駆動装置。
【0030】
本発明によれば、上述したケース体を、断面が多角形からなっていることとしたので、回転子の停止位置をより高精度に制御することができる。すなわち、上述した永久磁石とケース体との間に働く磁気的吸引力は、断面が多角形からなるケース体の各辺において生じるので、辺の数を増やすことで、回転子の停止位置をより高精度に制御することができる。
【0031】
(6) 前記ケース体は、断面が2n(nは2以上)の辺を有する多角形であり、対向する前記コイルには、同じ方向に電流を流すようにしたことを特徴とする(5)記載の駆動装置。
【0032】
本発明によれば、上述したケース体は、断面が2n(nは2以上)の辺を有する多角形であって、対向するコイルには同じ方向の磁束を生成するように電流を流すので、回転子の停止位置をより高精度に制御しつつ、トルクの向上に寄与することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る駆動装置によれば、構造の簡易化を実現できるとともに、エネルギー効率の向上に寄与することができる。そして、ラジアル方向の装置サイズを小さくして、装置全体の小型化を更なる図ることができる。また、部品点数が少ないので、製造コストを抑えたり、駆動装置の信頼性を高めたりすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
[機械構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置10の外観構成を示す図である。図2(a)及び図2(b)は、図1に示す駆動装置10において、それぞれA−A'及びB−B'で切断したときの断面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置10を分解したときの分解斜視図である。
【0036】
図1〜図3において、駆動装置10は、ラジアル方向に異極(N極とS極との2極)着磁された永久磁石11と、軸12と、から構成される回転子20と、この回転子20を軸支する軸受部13cを有するコイル枠13と、を有している。コイル枠13は、上コイル枠13aと下コイル枠13bとから構成され、下コイル枠13bの中央部には、軸受部13cが形成されている。なお、本実施形態では、軸受部13cと下コイル枠13bとを一体形成しているが、下コイル枠13bに、別途製造した軸受部13cを保持させるような構成としてもよい。また、上コイル枠13aの中央部には軸孔13dが形成されており、この軸孔13dを軸12が貫通している。
【0037】
上コイル枠13aの上端面には、平坦面13eと、この平坦面13eから所定の高さだけ突出した凸部の上端面である段面13fと、この断面13fから更に所定の高さだけ突出し、軸孔13dが形成された軸孔面と、が形成されている。そして、上コイル枠13aの平坦面13eによって、コイル14b及びコイル14b'が保持され、これらのコイル14b,14b'と上コイル枠13aの断面13fによって、コイル14a及びコイル14a'が保持されている。
【0038】
すなわち、上コイル枠13aの平坦面13eに保持されたコイル14b及びコイル14b'は、それぞれ永久磁石11の軸方向端面(例えば上端面11a)の一部を覆うように巻回されている。また、コイル14b,14b'と上コイル枠13aの断面13fによって保持され、コイル14b,14b'に対して90°ずれた位置(図3参照)に位置決めされたコイル14a及びコイル14a'は、コイル14b,14b'の巻回方向とは直交する方向に巻回されるとともに、それぞれ永久磁石11の軸方向端面(例えば図3に示す軸方向上端面11a)の一部を覆うように巻回されている。
【0039】
コイル14bとコイル14b'は、ラジアル方向に回転子20の軸12が介在しうるように分割して配設されており、両コイルは直列接続されている。また、コイル14aとコイル14a'も、ラジアル方向に回転子20の軸12が介在しうるように分割して配設されており、両コイルは直列接続されている。
【0040】
コイル14a,14a',14b,14b'の外側(すなわち回転子20のラジアル方向外側)には、磁性体からなるケース体15が設けられている。ケース体は、直方体の形状をしており(上端面は省略)、その横断面の形状は、例えば外寸法で一辺が4.6mm四方の正方形となっている。
【0041】
次に、駆動装置10の組み立て方法について、図3に示す分解斜視図を用いて説明する。図3において、まず、軸12に永久磁石11を固着する。そして、軸12の下端が下コイル枠13bに形成された軸受部13cを貫通するように(孔を塞いで当接するようにしてもよい)、軸12の上端が上コイル枠13aに形成された軸孔13dを貫通するように、上コイル枠13aと下コイル枠13bとを取り付ける。このとき、上コイル枠13aと下コイル枠13bとを固着してもよいし、嵌着してもよいし、係合してもよいが、コイル14b,14b'を嵌め込んだときに固定することができるので、単に永久磁石11を挟んだ状態で取り付ければ足りる。なお、本実施形態では、軸12は滑面性の材質のものを使用している。また、軸孔13dの延長部分を設けずにコイル枠13a及び13bに軸孔13dの部分までの長さを有する軸受けを嵌め込み この軸受けの外周部でコイル14a,14a',14b,14b'が軸12に接触しないようにしてもよい。この場合、軸受けの材質としては表面が非電導性の軸受けや、非金属の軸受けを選択するとよい。
【0042】
次に、コイル枠13に、コイル14b,14b'を嵌め込む。このとき、コイル14b,14b'の内周面(のうちの上面)を、上コイル枠13aの平坦面13eと摺接させながら、平坦面13eから所定の高さだけ突出した凸部に当接するまで嵌め込む。その後、コイル枠13に、コイル14a,14a'を嵌め込む。このとき、コイル14a,14a'の内周面(のうちの上面)を、上コイル枠13aの段面13fと摺接させながら、断面13fから所定の高さだけ突出した部分に当接するまで嵌め込む。
【0043】
最後に、永久磁石11と軸12で構成された回転子20を,コイル枠13,及びコイル14a,14a',14b,14b'をケース体15に納める。そして、各コイル14a,14a',14b,14b'の引き出し線を結線して、各コイル14a,14a',14b,14b'とコイル枠13及び、ケース本体15を接着固定する。このようにして、駆動装置10を組み立てることができる。
【0044】
[回転動作]
図4及び図5は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置10における回転子20の回転動作を説明するための説明図である。特に、図4は、コイル14a,14a',14b,14b'に印加する電圧(電圧パルス)の波形を示す波形図であって、横軸は時間、縦軸は印加電圧を示している。また、図5は、図4に示す電圧を印加したとき、実際に永久磁石11(回転子20)が回転している様子を示す模式図である。
【0045】
図4において、コイル14a及びコイル14a'には、V+,0,V−という三種類の電圧が、それぞれ所定のタイミングで印加される(図4(a)参照)。また、コイル14b及びコイル14b'にも、V+,0,V−という三種類の電圧が、それぞれ所定のタイミングで印加される(図4(b)参照)。なお0は、0Vの励磁、即ち励磁電圧0Vで励磁していないのと同等である。
【0046】
ここで、時刻t1における電圧値に着目すると、コイル14a及びコイル14a'には正の電圧V+が印加されており、コイル14b及びコイル14b'には電圧は印加されていない(電圧値0)。そうすると、コイル14a及びコイル14a'のみに励磁電流が流れ、上述のとおりコイル14aとコイル14a'とは発生する磁束の向きが同方向となるように結線されているので、図5(a)に示すように、コイル14aからコイル14a'の向きのみに磁界が発生する。その結果、永久磁石11のS極はコイル14aの方に、永久磁石11のN極はコイル14a'の方に向いて停止する。
【0047】
次に、時刻t2における電圧値に着目すると、コイル14a及びコイル14a'には正の電圧V+が印加されており、コイル14b及びコイル14b'にも正の電圧V+が印加されている。そうすると、コイル14a及びコイル14a'と、コイル14b及びコイル14b'と、の双方に励磁電流が流れ、図5(b)に示すように、コイル14aからコイル14a'の向きに磁界が発生し、加えてコイル14bからコイル14b'の向きにも磁界が発生する。その結果、合成磁界の向きは、コイル14a'とコイル14b'の中間の方向(図5(b)でいう右下)となり、永久磁石11のS極はコイル14aとコイル14bとの中間の方に、永久磁石11のN極はコイル14a'とコイル14b'との中間の方に向いて停止する。なお、合成された磁束の向きをコイル14aとコイル14bとの中間の方に正確に向けるためには、コイル14a、コイル14a'とコイル14b、コイル14b'の夫々2組のコイルのアンペアターン(コイルに流れる電流値とコイル巻数の積)を等しくする必要がある。
【0048】
以下同様にして、時刻t3〜t8における磁界(合成磁界)の向き及び永久磁石11の方向を見ていくと、時刻t3において永久磁石11と磁界の向きは共に下向きとなり(図5(c)参照)、時刻t4において永久磁石11と合成磁界の向きは共に左下向きとなり(図5(d)参照)、時刻t5において永久磁石11と磁界の向きは共に左向きとなり(図5(e)参照)、時刻t6において永久磁石11と合成磁界の向きは共に左上向きとなり(図5(f)参照)、時刻t7において永久磁石11と磁界の向きは共に上向きとなり(図5(g)参照)、時刻t8において永久磁石11と合成磁界の向きは共に右上向きとなる(図5(h)参照)。
【0049】
最後に、時刻t9における電圧値に着目すると、時刻t1における電圧値と同じになっており、時刻t1〜t8の時間で、永久磁石11(回転子20)が1回転したことが分かる。更に継続して回転させるには、上述したシーケンス制御(一般的なステッピングモータの1−2相励磁と同等である)を継続させればよい。
【0050】
なお、図4及び図5では、回転子20を右回りに回転させることとしたが、例えば回転子20を左回りに回転させるためには、コイル14a及びコイル14a'と、コイル14b及びコイル14b'と、のそれぞれに対して、図6(a)及び図6(b)に示す電圧を印加すればよい(2組のコイルのどちらか一方の励磁を逆に、言い換えると、結線を逆に繋げばよい)。これにより、容易に回転方向を逆転させることができる。また、図5では、永久磁石11が逐次停止するものとして説明したが、励磁タイミングを変化させることによって、永久磁石11を停止させることなく連続的に回転させることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る駆動装置10によれば、永久磁石11及び軸12から構成される回転子20と、コイル枠13と、コイル14a,14a',14b,14b'と、の3部材を組み合わせるだけで、回転子20を回転させることができるので、構造の簡易化を実現でき、ひいては製造工程の合理化に資することができる。また、部品点数が少ないので、製造コスト削減、信頼性向上に寄与することができる。また、従来のステッピングモータにおける極歯やヨークなどのステータコアに相当する部分がないため、鉄損の発生を防ぎ、エネルギー効率を向上させるができる。また、コイル14a,14a'14b,14b'は、上コイル枠13aにおける平坦面13eと段面13f(図3参照)を覆うようにして、すなわち回転子20の軸方向端面の一部を覆うように巻回されていることから、駆動装置10全体の小型化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る駆動装置10によれば、コイル14aとコイル14a'、コイル14bとコイル14b'、のいずれもが、ラジアル方向に回転子20の軸12が介在しうるように分割して配設されつつ直列接続されているので、軸12との接触を避けた上で、永久磁石11を通過する磁束の量を増やし、トルク向上に寄与することができる。なお、本実施形態では直列接続としたが、並列接続としても勿論構わない。この場合、半田付けの箇所を減らすとともに、いずれか一方が断線した場合であっても永久磁石11を通過する磁束が半減するが0になるのを防ぐことができるので、トルクの低下は生じるものの完全に停止することはなく、駆動装置10の信頼性を高めることができる。
【0053】
さらに、駆動装置10において、ケース体15は磁性体により形成されているので、回転子20の停止位置を制御することができる。この制御を、図7を用いて詳細に説明する。図7は、駆動装置10における回転子20の停止位置を制御する様子を説明するための説明図である。
【0054】
図7(a)において、永久磁石11が、そのN極が右向きに、そのS極が左向きに向いた状態で停止しているとき、矢印で示すような磁気的吸引力が働く。そうすると、振動等の外乱によって、永久磁石11(回転子20)が動くのを防止することができる。以下同様、永久磁石11は、そのN極が下向きに、そのS極が上向きに向いた状態で停止させることもでき(図7(b)参照)、そのN極が左向きに、そのS極が右向きに向いた状態で停止させることもでき(図7(c)参照)、そのN極が上向きに、そのS極が下向きに向いた状態で停止させることもできる(図7(d)参照)。
【0055】
なお、本実施形態では、ケース体15を磁性体により形成されていることとしたが、非磁性体により形成されていることとしてもよい。この場合、図7(a)〜図7(d)に示すような磁気的吸引力は働かず、コギングトルクの発生を防ぐことができる。
【0056】
[変形例]
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る駆動装置10Aの機械構成を示す断面図である。
【0057】
図8において、軸12が固着された永久磁石11の周りには、コイル14a,14a',14b,14b',14c,14c'が巻回されている。すなわち、図2(a)ではコイル14a,14a',14b,14b'という2組のコイルが巻回されていたが、本実施形態における駆動装置10Aでは、3組のコイルが巻回されている。
【0058】
ここで、2組のコイルを巻回した駆動装置10は、回転子20が8ステップで1回転していたが(図5(a)〜図5(h)参照)、3組のコイルを巻回した駆動装置10Aによれば、回転子20を12ステップで1回転させることができる。すなわち、1ステップあたりの回転角度を小さくすることができる。このように、回転子20の周りのコイル数を増やすことによって、回転子20のより高精度な制御が可能になる。
【0059】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る駆動装置10Bの機械構成を示す断面図である。
【0060】
図9において、軸12が固着された永久磁石11の周りには、図8と同様に、コイル14a,14a',14b,14b',14c,14c'が巻回されている。図8との相違点は、ケース体15の断面が、正方形から正六角形となっていることである。
【0061】
このように、ケース体15の断面の辺の数を増やす(4本→6本)ことによって、永久磁石11とケース体15とが近接する位置を増やすことができ、回転子20の停止位置をより高精度に制御することができる。
【0062】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る駆動装置10Cの機械構成を示す断面図である。特に、図10(b)は、図10(a)に示す駆動装置10Cにおいて、X−X'で切断したときの断面を示している。
【0063】
図10において、軸12が固着された永久磁石11の周りには、コイル14a,14bが巻回されているが、両コイルは、軸12よりも軸方向外側に巻回されている(図10(b)参照)。より具体的には、コイル14bが、永久磁石11の軸方向端面の中央部分を覆うように巻回されるとともに、コイル14aが、永久磁石11との間にコイル14bが介在した状態で、永久磁石11の軸方向端面の中央部分を覆うように巻回されている。なお、軸12に固着されたアーム20の先には、例えばカメラ付き携帯電話機においてはシャッタや絞り板等が取り付けられる。
【0064】
このように、コイル14aとコイル14a'、コイル14bとコイル14b'、のそれぞれを、分割せずに配設することとしてもよい。
【0065】
なお、図10では、コイル14a及びコイル14bは永久磁石11の軸方向端面中央部分を覆うように巻回されているが、勿論、永久磁石11の軸方向端面の全てを覆うように巻回されていてもよい。また、図10では、コイル14a及びコイル14bは、ケース体15の断面の各辺と並行になるように配設されているが、例えば、ケース体15の断面の対角線と平行になるように、すなわち斜めになるように配設されていてもよい。
【0066】
図11は、本発明の第5の実施の形態に係る駆動装置10Dの機械構成を示す断面図である。
【0067】
図11において、軸12が固着された永久磁石11の周りには、コイル14a,14a,14b,14b'が巻回されているが、このうちコイル14a及びコイル14a'については、断面が台形となるように巻回されている。このように、コイル14a及びコイル14a'の断面が台形となるようにして、駆動装置10D内のスペースを有効利用することによって、ラジアル方向のサイズ(駆動装置10Dの幅)を広げることなく、コイルの巻線回数を増加させることができ、ひいては永久磁石11を通過する磁束の量を増加させ、トルク向上に寄与することができる。
【0068】
図12は、本発明の第6の実施の形態に係る駆動装置10Eの機械構成を示す断面図である。図12において、軸12が固着された永久磁石11の周りには、コイル14a,14a,14b,14b'が巻回されているが、このうちコイル14a及びコイル14a'については、断面が三角形となるように巻回されている。このように、コイル14a及びコイル14a'の断面が三角形となるようにして、駆動装置10E内のスペースを有効利用することによって、駆動装置10Eの上下の幅を小さくすることができ(例えば4.6mm→3.8mm)、ひいては装置全体の小型化を図ることができる。
【0069】
また、本構造の軸12を外部から回転すると、交流発電機として使用することも可能であり、直流が必要な時はその出力を整流して用いればよい。交流の周波数と電圧は回転数に対応するので、タコメータ(回転数計測器)の検出部としての応用も考えられる。この様な応用には、ケース本体15は非磁性材料を使用する方がコギングによる損失が発生せず滑らかに回転することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る駆動装置は、簡易な構造でエネルギー効率が良く、かつ、装置全体の小型化を図ることが可能なものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置の外観構成を示す図である。
【図2】図1に示す駆動装置において、それぞれA−A'及びB−B'で切断したときの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置を分解したときの分解斜視図である。
【図4】コイルに印加する電圧(電圧パルス)の波形を示す波形図である。
【図5】図4に示す電圧を印加したとき、実際に回転子が回転している様子を示す模式図である。
【図6】コイルに印加する電圧(電圧パルス)の波形を示す波形図である。
【図7】駆動装置における回転子の停止位置を制御する様子を説明するための説明図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る駆動装置の機械構成を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る駆動装置の機械構成を示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る駆動装置の機械構成を示す断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る駆動装置の機械構成を示す断面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係る駆動装置の機械構成を示す断面図である。
【図13】一般的なPM型ステッピングモータの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
10〜10E 駆動装置
11 永久磁石
12 軸
13 コイル枠
14a,14a',14b,14b' コイル
15 ケース体
20 回転子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアル方向に異極着磁された永久磁石を有する回転子と、
前記回転子を軸支する軸受部を有するとともにコイルを保持するコイル枠と、を備え、
前記コイルは、前記回転子の軸方向端面の少なくとも一部を覆うように巻回されるとともに、前記回転子の周方向に複数配設されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記コイルは、ラジアル方向に前記回転子の軸が介在しうるように分割して配設されているとともに、
分割された両コイルは直列接続され、分割された両コイルで生成される磁界の方向を同じ方向に揃うように結線されていることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記コイルは、ラジアル方向に前記回転子の軸が介在しうるように分割して配設されているとともに、
分割された両コイルは並列接続されていることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項4】
前記回転子のラジアル方向外側には、磁性体からなるケース体が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の駆動装置。
【請求項5】
前記ケース体は、断面が多角形からなっていることを特徴とする請求項4記載の駆動装置。
【請求項6】
前記ケース体は、断面が2n(nは2以上)の辺を有する多角形であり、対向する前記コイルには、同じ方向に電流を流すようにしたことを特徴とする請求項5記載の駆動装置。
【請求項1】
ラジアル方向に異極着磁された永久磁石を有する回転子と、
前記回転子を軸支する軸受部を有するとともにコイルを保持するコイル枠と、を備え、
前記コイルは、前記回転子の軸方向端面の少なくとも一部を覆うように巻回されるとともに、前記回転子の周方向に複数配設されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記コイルは、ラジアル方向に前記回転子の軸が介在しうるように分割して配設されているとともに、
分割された両コイルは直列接続され、分割された両コイルで生成される磁界の方向を同じ方向に揃うように結線されていることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記コイルは、ラジアル方向に前記回転子の軸が介在しうるように分割して配設されているとともに、
分割された両コイルは並列接続されていることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項4】
前記回転子のラジアル方向外側には、磁性体からなるケース体が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の駆動装置。
【請求項5】
前記ケース体は、断面が多角形からなっていることを特徴とする請求項4記載の駆動装置。
【請求項6】
前記ケース体は、断面が2n(nは2以上)の辺を有する多角形であり、対向する前記コイルには、同じ方向に電流を流すようにしたことを特徴とする請求項5記載の駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図5】
【公開番号】特開2007−97360(P2007−97360A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286203(P2005−286203)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
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