説明

駐車場案内装置、駐車場案内システム、及び駐車場案内方法

【課題】他車両と送受信するデータ容量を少なく抑え、且つ、駐車場内の駐車車両台数等に関係なく精度の高い地図データを生成することのできる駐車場案内装置を提供する。
【解決手段】駐車場への入庫が検出されると、入庫位置から駐車位置または駐車位置から出庫位置までの自車両の走行経路データに基づいて場内の地図データを生成する地図データ生成部51と、生成された地図データ及び/または自車両の駐車位置データを駐車情報として無線通信装置31を介して他車両に送信する送信処理部52と、無線通信装置31を介して他車両から送信された駐車情報を受信する受信処理部53とを備え、地図データ生成部51は受信処理部53により受信された駐車情報に基づいて地図データを更新処理し、送信処理部52は地図データ生成部51で更新処理された地図データを他車両に送信するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両が駐車しようとしている駐車場内の空いている駐車領域に自車両を案内する駐車場案内装置、駐車場案内システム、及び駐車場案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置に機能向上により、ナビゲーション装置を搭載した車両の運転者は、ナビゲーション装置から提供される地図データにより、自車両が走行している周辺等に存在する駐車場の位置を容易に把握できるようになってきた。
【0003】
しかし、ナビゲーション装置は、表示部に表示された地図情報に示されたアイコン等で駐車場の位置を提供する一方、駐車場内の情報を提供するように構成されていない。ここで、駐車場内の情報とは、例えば、駐車場内で車両が走行する通路、駐車場内で車両が駐車する駐車領域、及び駐車領域のうち既に車両が駐車しているスペースと何れの車両も駐車していない空きスペースとの区別といった情報のことである。
【0004】
よって、最大駐車可能台数の多い大駐車場で空きスペースが少ない場合等には、車両の運転者は、当該駐車場で空きスペースを探すのに多くの労力を要することになる。
【0005】
このような問題を解決するため、特許文献1には、自車両の位置及び向きを測定する位置測定部と、自車両が駐車しようとする駐車場に駐停車されている他車両から、他車両の周辺の駐車場空きスペースを示す周辺画像情報と他車両の位置を示す位置情報と他車両の向きを示す向き情報とを含む車両情報を取得する車両情報取得部と、位置測定部により得られる自車両の位置情報及び向き情報と、車両情報取得部により得られる車両情報とに基づいて周辺画像情報を加工することで、自車両及び駐車場を自車両の上方の仮想視点から見たトップビュー画像を生成する駐車場画像生成部と、トップビュー画像を表示する表示部とを備えることで、自車両を駐車場の空きスペースへと案内する駐車場空きスペース案内装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、他車両から受信したデータに基づいて当該他車両の駐車場内での位置と空きスペースの配置についてのマッピング処理を行うマッピング手段と、マッピング手段によるマッピング処理の結果に基づいて駐車場内の駐車可能な空きスペースを検査する制御手段とを各車両に備え、駐車場において停車状態にある自車両が、駐車中の複数の他車両に対し、自車両の車体幅のデータを送信し、該データに応答して前記複数の他車両が、前記自車両に対し、当該他車両の位置のデータと当該他車両の左右各方向にある障害物までの距離のデータとを送信し、自車両の制御手段が、複数の他車両から夫々受信した各データに基づいてマッピング手段による処理結果から駐車可能な空きスペースを検索する駐車場空きスペース案内システムが開示されている。
【特許文献1】特開2005−326956号公報
【特許文献2】特開2004−240805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の駐車場空きスペース案内装置や特許文献2の駐車場空きスペース案内システムでは、以下のような問題が生じる虞がある。
【0008】
つまり、これらの装置やシステムでは、自車両が駐車場に進入したときに駐車場内に駐車されている全ての車両から自車両に対して各種データが送信されるため、自車両が、これらデータ同士の衝突や受信データを格納する記憶部の容量オーバー等のために、目的のデータを適正に受信できない虞がある。
【0009】
また、これらの装置やシステムでは、駐車場内をマッピングする際に、他車両自身の情報や他車両周辺の情報を用いるため、他車両の周辺以外の駐車場内の通路、及び、駐車量の入口、出口等のマッピングが不可能である。
【0010】
更に、これらの装置やシステムでは、マッピングによって生成された地図データの精度が、駐車場内に駐車されている他車両の台数や他車両に搭載されているカメラの解像度等に依存してしまう。つまり、駐車されている他車両の台数が少ないときは、自車両に提供される位置情報等が少ないので生成される地図データの精度が落ちてしまい、駐車されている他車両に搭載されているカメラの解像度が小さいときは、自車両に提供される周辺画像情報の解像度が小さいので生成される地図データの精度が落ちてしまう。
【0011】
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、他車両と送受信するデータ容量を少なく抑え、且つ、駐車場内の駐車車両台数等に関係なく精度の高い地図データを生成することのできる駐車場案内装置、駐車場案内システム、及び駐車場案内方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明による駐車場案内装置の特徴構成は、ナビゲーション装置により駐車場への入庫が検出されると、入庫位置から駐車位置または駐車位置から出庫位置までの自車両の走行経路データに基づいて場内の地図データを生成する地図データ生成部と、前記地図データ生成部により生成された地図データ及び/または自車両の駐車位置データを駐車情報として無線通信装置を介して他車両に送信する送信処理部と、前記無線通信装置を介して他車両から送信された駐車情報を受信する受信処理部とを備え、前記地図データ生成部は前記受信処理部により受信された駐車情報に基づいて前記地図データを更新処理し、前記送信処理部は前記地図データ生成部で更新処理された地図データを他車両に送信するように構成されている点にある。
【0013】
このような構成とすることにより、駐車場に入庫した車両の送信処理部は、地図データ生成部によって地図データを更新処理した後、更新処理した地図データを駐車場内の他車両に送信するので、駐車場内の他車両の全ては更新処理された同一の地図データを共有することになる。
【0014】
その後、駐車場内に新たな車両が入庫してくると、駐車場内の他車両の送信処理部は、当該新たな車両に対して更新処理された地図データを送信する。このとき、当該新たな車両の受信処理部は、必ずしも全ての他車両から地図データを受信する必要はなく、複数の他車両のうちの何れかから送信された地図データを受信すればよい。
【0015】
そして、当該新たな車両の地図データ生成部は、受信した地図データに基づいて更に更新処理された地図データを生成し、送信処理部は、該更に更新処理された地図データを駐車場内の他車両に送信する。
【0016】
以上のような処理が繰り返されることにより、新たな車両が入庫してくる度に地図データは精度が高くなるように更新されていき、その後、駐車場内に駐車している車両の数が少なくなっても、駐車場内に残っている車両が精度の高い地図データを保有し続けるのである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した通り、本発明によれば、他車両と送受信するデータ容量を少なく抑え、且つ、駐車場内の駐車車両台数等に関係なく精度の高い地図データを生成することのできる駐車場案内装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明による駐車場案内装置を車載ネットワークシステムに適用した実施形態について説明する。
【0019】
車載ネットワークシステムは、図1に示すように、複数の車両制御機器11を接続する第一の通信ネットワーク1と、ナビゲーション装置21や駐車場案内装置5等を接続する第二の通信ネットワーク2と、少なくとも一つの無線通信装置31を介して車両外部の通信媒体と接続する第三の通信ネットワーク3と、各通信ネットワーク1〜3を相互に接続するゲートウェイ装置4とを備えている。
【0020】
第一の通信ネットワーク1は、伝送ライン10が一対の信号ラインに夫々逆位相の信号を伝送することでデータの送受信を行なう差動信号方式による通信バスラインで構成されており、車両の各部を制御する複数の車両制御機器11としての電子制御装置(以下、ECUと記す。)11が当該通信バスラインを介して相互に通信される通信システムである。
【0021】
このような通信システムとして、例えば、CAN(Controller Area Network)規格に基づく通信システムがある。また、ECU11としては、例えば、エンジン、ブレーキ、自動変速機、及び電動パワーステアリング等を制御する複数の制御系ECU111〜11n、及び、電源を制御する電源制御用ECU11A等がある。
【0022】
電源制御用ECU11Aは、車両のイグニッションスイッチの状態にかかわらずバッテリから給電されて動作し、アクセサリースイッチのオンとオフを監視するように構成されている。そして、電源制御用ECU11Aは、車両のアクセサリースイッチの状態にかかわらず起動していることが必要なセキュリティ用のECUや本発明による駐車場案内装置5等に、アクセサリースイッチのオフ時に給電する制御を行なう。
【0023】
第二の通信ネットワーク2は、伝送ライン20が光ファイバーケーブルで構成されており、ナビゲーション装置21やオーディオ装置等のマルチメディア系の電子機器及び本発明による駐車場案内装置5が当該光ファイバーケーブルを介して相互に通信される通信システムである。
【0024】
このような通信システムとして、例えば、MOST(Media Oriented Systems Transport)規格に基づく通信システムがある。
【0025】
ナビゲーション装置21は、CPUと、制御プログラムが格納されたROMと、ワーキングエリアとして使用されるRAM等で構成されており、CPUが制御プログラムを実行することにより、以下の各ブロックの機能を実現して、指定された地点に自車を誘導するように構成されている。
【0026】
ナビゲーション装置21は、各ブロックとして、道路地図データを記憶した地図データ記憶手段と、GPSアンテナと、自車両の位置情報を認識するGPS受信手段と、第一の通信ネットワーク1の各ECU11からの制御データ(例えば、エンジン回転数やステアリング角度等)に基づいて自車の走行状態を管理する自律航法手段と、道路地図データに基づいて指定された目的地までの経路を探索する経路探索手段と、液晶モニタ等の表示部22に表示された地図上に自車の走行位置を表示する走行状態表示処理手段と、各種の動作モードや動作条件を設定する操作制御手段等を備えて構成されている。
【0027】
尚、第一の通信ネットワーク1及び第二の通信ネットワーク2は夫々、第一通信インタフェース12及び第二通信インタフェース23を介して通信ゲートウェイ装置4と接続されており、両通信インタフェース12、23には、各通信ネットワーク1、2及び通信ゲートウェイ装置4を流れる信号をチェックし、衝突を検出する機能を有するトランシーバが備えられている。
【0028】
第三の通信ネットワーク3としては、無線LAN、衛星通信、及び携帯電話回線等の既存の通信インフラ30があり、各車両の無線通信装置31(311〜31m)の夫々は、これら通信インフラのうち何れかを介することで、他車両とのデータの送受信や、車両等の移動体に移動体通信システムを利用して交通情報や天気予報等を提供する所謂テレマティクサービスの提供元のサーバー等からのデータの受信を行なう。
【0029】
無線通信装置31は、例えば、上述した既存の通信インフラにアクセスするための無線通信機能を実装した装置のことであり、USB(Universal Serial Bus)やUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等を介して、通信ゲートウェイ装置4と接続されている。尚、無線通信装置31は、アクセスする通信インフラに応じて異なっており、具体的には、携帯電話機、PDA、ノートパソコン、及び各車両間で無線通信を行なうための専用の通信装置等がある。
【0030】
そして、無線通信装置31は、他車両の無線通信装置31やテレマティクサービス提供元のサーバー等と通信を行なうために、例えば、無線LANを介して通信を行なう専用の通信装置等の場合、赤外線通信の規格であるIrDA(Infrared Data Association)、短距離無線通信に使用されるブルートゥース(Bluetooth)、及び固定無線通信の規格であるWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の少なくとも一つの無線通信機能を実装しており、携帯電話回線を介して通信を行なう携帯電話機等の場合、符号分割多重接続(CDMA:Code Division Multiple Access)等の携帯電話等の無線通信に使用される方式の無線通信機能を実装している。
【0031】
ゲートウェイ装置4は、通信媒体またはプロトコルが異なる複数の通信ネットワーク1〜3を相互に接続するように構成されており、対応するネットワーク1〜3に対して固有のプロトコルでデータを入出力するとともに、当該ネットワーク1〜3から入力された送信データを、当該送信データに付加された送信先アドレスに基づいて送信先ネットワーク1〜3のプロトコル変換処理部41を特定した中間データに変換して出力する複数のプロトコル変換処理部41(411〜413)と、送信元ネットワーク1〜3の各プロトコル変換処理部41から出力された中間データを送信先ネットワーク1〜3のプロトコル変換処理部41に中継出力するとともに、当該中間データの送受信ルート情報を管理する少なくとも一つのゲートウェイ処理部42等を備えている。
【0032】
尚、ゲートウェイ装置4のプロトコル変換処理部41及びゲートウェイ処理部42は、処理速度を高速に維持するため、及び、同一構成のプロトコル変換処理部41やゲートウェイ処理部42を複数製造することによるコストダウンのため、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)やフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)で構築されている。
【0033】
以下、本発明による駐車場案内装置5について説明する。駐車場案内装置5は、図1に示すように、ナビゲーション装置21により駐車場への入庫が検出されると、入庫位置から駐車位置または駐車位置から出庫位置までの自車両の走行経路データに基づいて場内の地図データを生成する地図データ生成部51と、地図データ生成部51により生成された地図データ及び/または自車両の駐車位置データを駐車情報として無線通信装置31を介して他車両に送信する送信処理部52と、無線通信装置31を介して他車両から送信された駐車情報を受信する受信処理部53とを備えて構成されている。
【0034】
駐車場案内装置5は、車両がエンジンを停止して駐車している場合も、受信処理部53によって他車両からの駐車情報が受信され、地図データ生成部51によって地図データや駐車位置データの生成、更新処理等が実行され、送信処理部52によって受信駐車情報に対する返信としての駐車情報が送信される。よって、駐車場案内装置5は、車両のアクセサリースイッチが停止中であっても、電源制御用ECU11Aから給電されるように構成されている。
【0035】
尚、駐車場案内装置5も、ナビゲーション装置21と同様に、CPUと、制御プログラムが格納されたROMと、ワーキングエリアとして使用されるRAM等で構成されており、CPUが制御プログラムを実行することにより、上述の各ブロックの機能を実現するように構成されている。
【0036】
送信処理部52は、地図データ生成部51より入力される駐車情報を、時系列等の適正な順序で、第二通信インタフェース23、ゲートウェイ装置4、及び無線通信装置31を介して他車両の無線通信装置31へ送信する。
【0037】
受信処理部53は、テレマティクサービスの提供元のサーバー等から、無線通信装置31、ゲートウェイ装置4、及び第二通信インタフェース23を介して受信される駐車場に関する情報、例えば当該駐車場の住所や当該駐車場の最大駐車可能台数等を、地図データ生成部51へ出力する。
【0038】
また、受信処理部53は、他車両から、無線通信装置31、ゲートウェイ装置4、及び第二通信インタフェース23を介して受信される駐車情報を、時系列等の適正な順序で地図データ生成部51へ出力する。尚、駐車情報(地図データ及び自車両の駐車位置データ)の詳細ついては、以下の地図データ生成部51の説明にて詳述する。
【0039】
地図データ生成部51によって生成される地図データは、図2(f)に示すように、駐車場の領域を二次元座標系で表わしている場内領域Aと、場内領域Aに描かれる通路R及び駐車領域Pとで構成されている。つまり、地図データは通路Rと駐車領域Pを含んでいる。
【0040】
地図データ生成部51は、自車両のサイズ情報及び走行経路データに基づいて場内の通路Rを生成し、自車両の駐車位置データに基づいて場内の駐車領域Pを生成することで地図データを生成する。
【0041】
サイズ情報は、自車両の車幅Wと自車両の全長L、車幅Wと全長Lよりなる矩形領域、及び前記矩形領域の位置を示す座標、例えば中心座標である基準点Bで構成されている。
【0042】
走行経路データは、自車両の駐車場への入庫位置を開始座標として自車両の駐車位置を終了座標とした、少なくとも一つの自車両進行方向及び自車両進行距離の組合せ、または、自車両の駐車位置を開始座標として自車両の出庫位置を終了座標とした前記組合せで構成されており、前記組合せの数は開始座標から終了座標までの間の自車両の方向転換回数となる。つまり、走行経路データは、図2(f)の破線に相当する。
【0043】
地図データ生成部51は、図2(f)に示すように、自車両が駐車場内を移動すると、以下のように地図データを生成する。つまり、自車両の基準点Bが自車両の走行経路を示す走行経路データに沿って場内領域Aを移動したときに、基準点Bと一体に移動した前記矩形領域が一度でも占めた領域を通路Rとする。そして、地図データ生成部51は、車両が停止したときの基準点Bの座標を駐車位置データとし、駐車位置データを中心として前記矩形領域が占めている領域を駐車領域Pとするのである。
【0044】
そして、地図データ生成部51は、生成した地図データ及び駐車位置データを駐車場案内装置5に備えられたRAMに記憶する。
【0045】
尚、図2(f)では、通路Rは、前記矩形領域を車幅Wより所定値だけ幅が広い「幅W´」と、全長Lより所定値だけ長い「長さL´」とで構成される拡大矩形に基づいて生成されている。また、地図データ生成部51は、生成した地図データ及び駐車位置データをナビゲーション装置21の地図データ記憶手段に記憶する構成であってもよい。
【0046】
上述の構成によれば、車両が駐車場内を走行及び駐車することによって、地図データ生成部51によって地図データが生成されていくので、多くの車両が駐車場内を走行及び駐車する程、地図データ生成部51によって通路R及び駐車領域Rの多い高精度の地図データが生成される。
【0047】
地図データ生成部51は、ナビゲーション装置21により駐車場への入庫が検出されると起動され、駐車場からの出庫が検出されると停止されるように構成されている。
【0048】
以下に詳述する。ナビゲーション装置21は、GPS受信手段によって認識された自車両の位置がそれまでの道路上等の位置から駐車場内に移動した場合、換言すると図2(a)に示す状況となった場合に、図2(a)で車aとして示される自車両が駐車場に入庫したと判断して、その旨の情報(以下、入庫情報と記す。)を駐車場案内装置5へ出力し、入庫情報を受け取った駐車情報案内装置5は、地図データ生成部51を起動する。
【0049】
逆に、ナビゲーション装置21は、GPS受信手段によって認識された自車両の位置がそれまでの駐車場の位置から駐車場外である道路等の位置に移動した場合、換言すると図4(e)に示す状況となった場合に、図4(e)で車aとして示される自車両が駐車場から出庫したと判断して、その旨の情報(以下、出庫情報を記す。)を駐車場案内装置5へ出力し、出庫情報を受け取った駐車情報案内装置5は、地図データ生成部51を停止する。
【0050】
地図データ生成部51は、ナビゲーション装置21により検出された駐車場への入庫位置を入口として、駐車場からの出庫位置を出口として地図データを生成するように構成されている。
【0051】
以下に詳述する。地図データ生成部51は、ナビゲーション装置21より入庫情報を受け取ると、起動するとともにその時点での自車両の位置を駐車場への入口として地図データを生成する。つまり、地図データ生成部51は、図2(f)に示すように、地図データを生成する際、走行経路データの開始座標SCを、自車両の駐車場への入庫位置とするのである。
【0052】
逆に、地図データ生成部51は、ナビゲーション装置21より出庫情報を受け取ると、その時点での自車両の位置を駐車場の出口として地図データを生成する。つまり、地図データ生成部51は、図4(f)に示すように、走行経路データの終了座標ECを自車両の駐車場からの出庫位置として地図データを生成して、その後停止する。
【0053】
駐車中の車両が地図データを生成する従来の技術では、駐車場の入口や出口の位置に関する情報を生成することができないが、上述の構成によれば、駐車場案内装置5は、自身が搭載されている車両の駐車場への入庫から出庫まで間、地図データ生成部51に地図データの生成を実行させるので、生成された地図データに駐車場の入口や出口の位置に関する情報を含ませることができる。
【0054】
地図データ生成部51は、受信処理部53により受信された駐車情報に基づいて地図データを更新処理し、送信処理部52は地図データ生成部51で更新処理された地図データを他車両に送信するように構成されている。
【0055】
このとき、地図データには、地図データ生成部51により更新処理される度に変更される版数データが付与され、最新に更新された地図データが識別可能に構成されている。
【0056】
以下に詳述する。送信処理部52は、自車両が駐車場に入庫すると、駐車場内の他車両の全てに対して地図データの送信要求を実行する。つまり、地図データの送信要求はブロードキャストにて実行される。
【0057】
駐車場内に他車両が存在すると、当該他車両の送信処理部52は駐車場案内装置5のRAMに記憶されている地図データを自車両へ返信する。このとき、駐車場内に複数の他車両が存在すると、全ての他車両の送信処理部52が自車両に対して地図データを返信することになる。
【0058】
しかし、後述するように、各車両が本発明による駐車場案内装置5を搭載することにより、駐車場内の全ての車両が同一の地図データを共有することになるため、自車両は返信されてきた地図データの全てを受信する必要はない。
【0059】
そこで、例えば、自車両の受信処理部53は、最初に返信されてきた地図データを受信すると、その後に返信されてきた同一の地図データを受信しないような構成されている。尚、受信処理部53が、同一の地図データか否かを判断する方法としては、例えば、地図データに付与された版数データの同一を判断する方法がある。
【0060】
一方、駐車場内に他車両が存在していない場合等、所定時間経過しても自車両の受信処理部53が返信地図データを受信しないときは、自車両の地図データ生成部51は新規の地図データを生成する。つまり、図2(a)に示すように、自車両が駐車場に入庫したときに駐車場内に他車両が存在していない場合、図2(b)に示すような新規の地図データを生成する。
【0061】
そして、地図データ生成部51は、図2(c)、図2(e)に示すような自車両の進行に合わせて、上述した方法、つまり図2(d)、図2(f)の順序で地図データ(通路R及び駐車領域P)を生成する。自車両が駐車して地図データの生成が完了すると、地図データ生成部51は、生成完了した図2(f)に示す地図データに版数データ「1」を付与して駐車場案内装置5のRAMに記憶するとともに送信処理部52に出力し、送信処理部52は版数データ「1」の地図データを駐車場内の全ての他車両の無線通信装置31へ送信する。
【0062】
尚、図2に示す例の場合は、地図データ生成部51が版数データ「1」の地図データを他車両へ向けて送信しても、版数データ「1」の地図データを受信する車両は駐車場内にない。
【0063】
一方、図3(a)に示すように、自車両bが駐車場に入庫したときに駐車場内に他車両aが存在している場合、自車両bの地図データ生成部51は、地図データの送信要求に対する返信として、例えば所定の版数データ(本例では版数データ「3」とする。)が付された、図3(b)に示すような地図データを、他車両aから受信処理部53を介して受信する。
【0064】
そして、自車両bの地図データ生成部51は、図3(c)、図3(e)に示すような自車両bの進行に合わせて、上述した方法、つまり図3(d)、図3(f)の順序で地図データを生成する。但し、このときの地図データの生成は、版数データ「3」の地図データに新たな通路R及び駐車領域Pを追加することによって実行される。
【0065】
自車両bが駐車して地図データの生成が完了すると、自車両bの地図データ生成部51は、生成完了した図3(f)に示す地図データの版数データを「3」から「4」に更新して駐車場案内装置5のRAMに記憶するとともに送信処理部52に出力し、送信処理部52は版数データ「4」の地図データを駐車場内の全ての他車両(図3では他車両a)に対して送信する。版数データ「4」の地図データを受信した他車両aの地図データ生成部51は、記憶されている版数データ「3」の地図データを受信した版数データ「4」の地図データに置き換える。
【0066】
その後、図4(a)に示すように、自車両aが駐車場を出庫する場合、自車両aは、図4(c)、図4(e)に示すような進行に合わせて、記憶されている版数データ「4」の地図データに新たな通路Rを追加することによって、図4(d)、図4(f)の順序で地図データを生成する。
【0067】
自車両aが出庫して地図データの生成が完了すると、自車両aの地図データ生成部51は、生成完了した図4(f)に示す地図データの版数データを「4」から「5」に更新して駐車場案内装置5のRAMに記憶するとともに送信処理部52に出力し、送信処理部52は版数データ「5」の地図データを駐車場内の全ての他車両(図4では他車両b)に対して送信する。版数データ「5」の地図データを受信した他車両bの地図データ生成部51は、記憶されている版数データ「4」の地図データを受信した版数データ「5」の地図データに置き換える。
【0068】
以上のようにして、各車両の駐車場案内装置5は、版数データによって地図データを管理するとともに、常に最新の地図データが記憶されるように構成されている。
【0069】
上述の構成によれば、駐車場に多くの車両が存在する場合であっても、地図データの管理を正確に行なうことができる。
【0070】
地図データには、地図データ生成部51により駐車場毎に固有の識別データが付与され、受信処理部53で受信された駐車情報の真偽が識別データにより照合可能に構成されている。
【0071】
以下に詳述する。駐車場に入庫する車両の受信処理部53は、テレマティクサービスの提供元のサーバー等から当該駐車場の住所の郵便番号や番地等を受信し、当該車両の地図データ生成部51は受信した住所の郵便番号や番地等に基づいて当該駐車場に固有の識別データを生成して、生成した識別データを駐車場案内装置5のRAMに記憶しておく。尚、地図データ生成部51が駐車場に固有の識別データ生成するのではなく、テレマティクサービスの提供元のサーバーやナビゲーション装置等から識別データを取得する構成であってもよい。
【0072】
そして、地図データ生成部51は、記憶しておいた識別データを地図データの生成、更新の度に当該地図データに付与する。
【0073】
当該駐車場に入庫または当該駐車場から出庫する車両の駐車場案内装置5と、当該駐車場に駐車している車両の駐車場案内装置5とは、上述したように相互に駐車情報等の送受信を行なうが、このとき、送信側の地図データ生成部51は、送信する駐車情報に識別データを付与しておき、受信側の地図データ生成部51は、受信した駐車情報に付与されている識別データを、自身が現在記憶している識別データと比較照合して、両識別データが一致している場合にのみ、受信した駐車情報が適正な情報であると判断する。
【0074】
上述の構成によれば、異なる駐車場が隣接している場合等、駐車場内の車両の駐車場案内装置5が、他の駐車場等から駐車情報を受信することがあっても、識別データによって駐車情報の真偽を判断することで、他の駐車場等からの駐車情報を除外して地図データの生成を行なうことができる。
【0075】
他車両との間で送受信される駐車情報には、駐車位置データに対応する駐車領域に車両が駐車されていることを示すのか、駐車解除されたことを示すのかを識別可能なフラグデータが含まれ、地図データ生成部51は当該フラグデータに基づいて駐車領域が占有されているが空いているかを地図データに反映させるように構成されている。
【0076】
以下に詳述する。車両の地図データ生成図51は、当該車両が駐車位置に駐車するときに、地図データ及び駐車されていることを示すフラグデータを付与した駐車位置データを駐車情報として送信処理部52を介して他車両に送信する。そして、当該駐車情報を受信処理部53を介して受信した他車両の地図データ生成部51は、自身が記憶している地図データを受信した地図データに置き換えるとともに、受信した地図データ内の受信した駐車位置データに対応する駐車領域の駐車有無の状態を、受信したフラグデータに対応する状態、つまり駐車解除の状態から駐車の状態とするように変更する。
【0077】
車両の地図データ生成図51は、当該車両が駐車位置から離れるときには、駐車解除されたことを示すフラグデータを付与した駐車位置データを送信処理部52を介して他車両に送信する。そして、当該駐車位置データを受信処理部53を介して受信した他車両の地図データ生成部51は、自身が記憶している地図データ内の駐車位置データに対応する駐車領域の駐車有無の状態を、受信したフラグデータに対応する状態、つまり駐車の状態から駐車解除の状態とするように変更する。
【0078】
上述の構成によれば、駐車中の車両が出庫するとき、当該車両は地図データを送信せずに駐車位置データのみを送信するので、送信データのデータ容量を抑えることができる。
【0079】
駐車場案内装置5は、地図データ生成部51により生成された場内の地図データを表示部22に表示する地図表示処理部54を備え、地図表示処理部54は地図データの更新回数が所定回数以上であるとき、または駐車領域の駐車率が所定比率以上のときに場内の地図データを表示するように構成されている。
【0080】
以下に詳述する。上述したように、地図データは、更新を重ねる度に新たに書き加えられていくので、所定回数以上の更新を重ねることで、駐車場全体のうち多くの部分を表わすようになる。また、地図データは、駐車場の殆どの駐車領域に車両が駐車している場合にも駐車場全体のうち多くの部分を表わすようになるとともに、このような場合には、車両の運転者が当該駐車場で空いている駐車領域を見つけ難い可能性が高い。
【0081】
そこで、車両の運転者が地図データを参照しながら空いている駐車領域を迅速に見つけることができるように、地図表示処理部54は、上述のような場合に、表示部22に図2(b)、(d)、(f)、図3(b)、(d)、(f)、及び図4(b)、(d)、(f)に示すような地図データを表示するのである。
【0082】
以上の説明より、ある駐車場に駐車している夫々が本発明による駐車場案内装置5を搭載した複数の車両は、当該車両間で送受信される駐車情報に基づいて、当該駐車場の地図データが更新されながら共有される駐車場案内システムを構成している。
【0083】
以下、駐車場へ入庫、出庫する車両(以下、自車両と記す。)に搭載された駐車場案内装置5の処理について、図5〜図8に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、自車両が駐車場へ入庫、出庫する際に、当該駐車場に駐車している車両(以下、他車両と記す。)に搭載された駐車場案内装置5の処理(アクセサリーモードでの処理)については、図9に示すフローチャートにおいて後述する。
【0084】
走行中の車両は(SA1)、ナビゲーション装置21のGPS受信手段より自車両の位置情報を取得する(SA2)。そして、ナビゲーション装置21が、取得した位置情報により自車両が駐車場へ入庫したと判断すると(SA3)、入庫情報を駐車場案内装置5へ出力し、入庫情報を受け取った駐車場案内装置5は地図データ生成部51を起動する(SA4)。
【0085】
起動した地図データ生成部51は初期設定処理を実行する(SA5)。つまり、地図データ生成部51は、図8(a)に示すように、駐車場案内装置5等のRAMに予め記憶しているサイズ情報や走行距離といった車両情報を取得し(SB1)、テレマティクサービスの提供元のサーバー等より入庫した駐車場の駐車可能台数や住所の情報を取得し(SB2)、ステップSB2で取得した住所等に基づいて当該駐車場に固有の識別データを生成する(SB3)。
【0086】
更に、駐車場内の他車両との間で無線通信を行なうための専用の通信装置(無線通信装置31)が起動される(SB4)。
【0087】
次に、自車両の送信処理部52は、駐車場内の他車両の全てに対して地図データの送信要求を行なう(SA6)。地図データの送信要求のデータには、識別データと入庫フラグが付与される。ここで、入庫フラグとは、入庫フラグの付与されたデータが車両入庫時の地図データの送信要求データであることを示すフラグである。
【0088】
駐車場内に他車両が存在していない等の理由で駐車場内の他車両から地図データの返信が受信処理部53によって受信されなかった場合(SA7)、自車両の地図データ生成部51は、図2(a)に示すような新規の地図データを生成する(SA8)。
【0089】
一方、駐車場内に他車両が存在しており、駐車場内の他車両から地図データの返信が受信処理部53によって受信された場合(SA7)、自車両の地図データ生成部51は、新規の地図データを生成することなく、後述のステップSA12、SA23では他車両からの地図データに通路R及び駐車領域Pを追加する(SA9)。
【0090】
次に、地図データ生成部51は、地図表示処理部54にユーザ通知処理を実行させる(SA10)。つまり、地図表示処理部54は、図8(b)に示すように、駐車場案内装置5のRAMに現在記憶されている地図データに付与された版数データを参照して(SC1)、地図データが所定回数以上更新されている場合、つまり当該版数データが予め設定された所定数以上である場合には(SC2)、表示部22への表示の有無を示すユーザ通知フラグをセットして(SC3)、駐車場内の地図データを表示部22に表示する(SC4)。一方、地図データが所定回数以上更新されていない場合には(SC2)、ユーザ通知フラグをセットせず表示部22への表示を行なわない。尚、表示される地図データは、駐車位置データに含まれるフラグデータによる各駐車領域の駐車の有無を反映された地図データである。
【0091】
また、地図データ生成部51は、ユーザ通知処理として、図8(b)の処理の代わりに、または、図8(b)の処理に加えて、図8(c)に示すように、他車両から受信したフラグデータと、テレマティクサービスの提供元のサーバー等から取得した駐車場の駐車可能台数とに基づいて駐車率を算出する(SD1)。そして、算出した駐車率が予め設定された所定割合以上である場合には(SD2)、ユーザ通知フラグをセットして(SC3)、駐車場内の地図データを表示部22に表示し(SC4)、駐車率が所定割合以上でない場合には(SC2)、ユーザ通知フラグをセットせず表示部22への表示を行なわない。尚、表示される地図データは、駐車位置データに含まれるフラグデータによる各駐車領域の駐車の有無を反映された地図データである。
【0092】
自車両が駐車場内を走行中に他車両からの駐車情報が受信処理部53によって受信されなかった場合(SA11)、地図データ生成部51は、自車両のサイズ情報及び走行経路データに基づいて、ステップSA8で生成した地図データ、または、ステップSA9で受信した地図データに、通路Rをマッピングする(SA12)。
【0093】
一方、他車両からの駐車情報が受信処理部53によって受信された場合(SA11)、地図データ生成部51は、受信駐車情報に付与された識別データと自車両に記憶されている駐車情報に付与された識別データとを比較照合する(SA29)。
【0094】
その結果、両識別データが一致して(SA29)、且つ、当該駐車情報に含まれるフラグデータが駐車の状態を示している場合は(SA31)、受信した地図データ内の受信した駐車位置データに対応する駐車領域の駐車有無の状態を駐車の状態とするように、地図データを更新する(SA32)。
【0095】
また、両識別データが一致して(SA29)、且つ、当該駐車情報に含まれるフラグデータが駐車解除の状態を示している場合は(SA33)、受信した地図データ内の受信した駐車位置データに対応する駐車領域の駐車有無の状態を駐車解除の状態とするように、地図データを更新する(SA34)。
【0096】
そして、地図データ生成部51は、地図表示処理部54にステップSA10と同様のユーザ通知処理を実行させる(SA35)。尚、ステップSA29で両識別データが異なる場合、ステップSA31、SA33でフラグデータの状態が識別できない場合、地図データ生成部51は、他車両からの駐車情報を適切ではないと判断して破棄する(SA30)。
【0097】
ステップSA12以降の説明に戻る。自車両のアクセサリースイッチがオフとなり(SA13)、その状態が予め設定された所定時間以上継続すると(SA19)、地図データ生成部51は自車両の現在の停止位置の座標を自車両の駐車位置データと決定する(SA20)。尚、その状態が所定時間以上継続しない場合(SA19)、地図データ生成部51は、ステップSA13でのアクセサリースイッチのオフがエンジンストップ等による車両の一時停止であると判断する。
【0098】
地図データ生成部51は、ステップSA20の後、ステップSA20で決定された駐車位置データが、自車両に記憶されている地図データに既に含まれている駐車領域内である場合は(SA21)、それまでの駐車領域をステップSA20で決定された駐車位置データの座標を中心とした駐車領域に更新する(SA22)。一方、ステップSA20で決定された駐車位置データが、自車両に記憶されている地図データに既に含まれている駐車領域外である場合は(SA21)、ステップSA20で決定された駐車位置データの座標を中心とした駐車領域を地図データに追加する(SA23)。尚、更新、追加された駐車領域の駐車有無の状態を駐車の状態とするように、地図データを更新する。
【0099】
その後、地図データ生成部51は、版数データをインクリメントし(SA24)、送信処理部52は、更新された駐車情報(識別データ、フラグデータ、駐車位置データ、版数データ、及び地図データ)を駐車場内の他車両の全てに対して送信する(SA25)。
【0100】
そして、自車両は、再び移動を開始するまでの間、他車両からのデータ受信があった場合のみ所定の処理を実行するアクセサリーオフモードに入る(SA26)。
【0101】
自車両が駐車領域からの移動を開始すると(SA27)、送信処理部52は、識別データと駐車解除されたことを示すフラグデータとが付与された駐車位置データを他車両に送信する(SA28)。また、地図データ生成部51は、自車両が入庫してから駐車するまでの時と同様にして、通路Rのマッピング処理を行なう(SA12)。また、地図データ生成部51は、再び駐車した場合は駐車領域の更新(SA22)や追加(SA23)を行なう。
【0102】
そして、自車両が駐車場を出庫すると(SA14)、地図データ生成部51は、自車両に記憶されている地図データに駐車場の出口に関する情報がなければ(SA15)、ステップSA14の時点での自車両の位置を駐車場の出口として地図データを生成して(SA16)、版数データをインクリメントする(SA17)。送信処理部52は、駐車情報(識別データ、出庫フラグ、版数データ、及び地図データ)を駐車場内の他車両の全てに対して送信する(SA18)。そして、地図データ生成部51は停止する。ここで、出庫フラグとは、出庫フラグの付与されたデータが車両出庫時の駐車情報の送信であることを示すフラグである。
【0103】
以下、駐車場に駐車している車両(以下、自車両と記す。)に搭載された駐車場案内装置5の処理(アクセサリーモードでの処理)について、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0104】
駐車場案内装置5は、他車両から駐車情報が受信処理部53によって受信されるか(SE1)、車両のアクセサリースイッチがオンに操作されるまで(SE12)、待機している。
【0105】
受信処理部53によって他車両から駐車情報が受信処理部53によって受信されると(SE1)、地図データ生成部51は、受信駐車情報に付与された識別データと自車両に記憶されている駐車情報に付与された識別データとを比較照合する(SE2)。その結果、両識別データが一致している場合は、地図データ生成部51は、受信駐車情報に入庫フラグ、出庫フラグ、及びフラグデータの何れかが含まれているか否かを判断して、含まれているフラグの内容によって異なる処理を実行する(SE4)。尚、ステップSE2で両識別データが異なる場合、地図データ生成部51は、他車両からの駐車情報を適切ではないと判断して受信駐車情報を破棄する(SE3)。
【0106】
受信した駐車情報に入庫フラグが含まれていると、送信処理部52は、地図データ、駐車位置データ、及び版数データよりなる駐車情報を送信元の車両へ返信する(SE5)。
【0107】
受信した駐車情報に出庫フラグが含まれていると、地図データ生成部51は、当該駐車情報の版数データが自車両に記憶されている版数データよりも大きい場合に(SE11)、自車両に記憶されている地図データを当該駐車情報の地図データに置き換える(SE12)。
【0108】
受信した駐車情報に駐車の状態を示すフラグデータが含まれていると、地図データ生成部51は以下の処理を行なう。
【0109】
つまり、受信した駐車位置データに対応する座標が自車両に記憶されている地図データにおいて駐車領域であり(SE6)、且つ、受信した地図データに付与された版数データが最新でない場合は(SE7)、自車両に記憶されている地図データ内の受信した駐車位置データに対応する駐車領域の駐車有無の状態を駐車の状態とするように、地図データを更新する(SE9)。
【0110】
受信した駐車位置データに対応する座標が自車両に記憶されている地図データにおいて駐車領域であり(SE6)、且つ、受信した地図データに付与された版数データが最新である場合は(SE7)、自車両に記憶されている地図データを受信した地図データに置き換えた上で(SE8)、受信した地図データ内の受信した駐車位置データに対応する駐車領域の駐車有無の状態を駐車の状態とするように、地図データを更新する(SE9)。
【0111】
受信した駐車位置データに対応する座標が自車両に記憶されている地図データにおいて駐車領域でない場合は(SE6)、受信した地図データの版数データにかかわらず、自車両に記憶されている地図データを受信した地図データに置き換えた上で(SE8)、受信した地図データ内の受信した駐車位置データに対応する駐車領域の駐車有無の状態を駐車の状態とするように、地図データを更新する(SE9)。
【0112】
受信した駐車情報に駐車の解除の状態を示すフラグデータが含まれていると、地図データ生成部51は、受信した地図データ内の受信した駐車位置データに対応する駐車領域の駐車有無の状態を駐車解除の状態とするように、地図データを更新する(SE10)。
【0113】
そして、駐車場案内装置5は、アクセサリースイッチがオンに操作されるまで、以上の処理を繰り返す(SE12)。
【0114】
以上説明したとおり、本発明による駐車場案内方法は、ナビゲーション装置21により駐車場への入庫が検出されると、入庫位置から駐車位置または駐車位置から出庫位置までの自車両の走行経路データに基づいて場内の地図データを生成する地図データ生成ステップ(図5のステップSA4とSA5とSA8とSA9、図6のステップSA12とSA15〜SA17とSA20〜SA24、図7のSA29〜SA34、図8(a)のSB1〜SB3、及び図9のSE2〜SE4とSE6〜SE12)と、前記地図データ生成ステップで生成された地図データ及び/または自車両の駐車位置データを駐車情報として無線通信装置31を介して他車両に送信する送信処理ステップ(図5のSA6、図6のSA18とSA25とSA28、及び図9のSE5)と、前記無線通信装置31を介して他車両から送信された駐車情報を受信する受信処理ステップ(図5のSA7、図6のSA11、及び図9のSE1)と、を備え、前記地図データ生成ステップは前記受信処理ステップで受信された駐車情報に基づいて前記地図データを更新処理し、前記送信処理ステップは前記地図データ生成ステップで更新処理された地図データを他車両に送信するように構成されている。
【0115】
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態において受信処理部53によって受信される他車両から送信された地図データ、及び、地図データ生成部51によって生成される新規の地図データに、縮尺データが付与される構成であってもよい。
【0116】
例えば、駐車場全体の大きさに対する図2(b)に示すような場内領域Aの大きさの割合のデータを縮尺データとして地図データに付与しておき、地図表示処理部54が表示部22に地図データを表示するときに、縮尺データも表示しておくことで、車両の運転者は表示されている地図データの範囲を認識し易くなる。
【0117】
上述の実施形態では、ナビゲーション装置21と駐車場案内装置5とが第二の通信ネットワーク2に別々の装置として接続されている構成について説明したが、駐車場案内装置5がナビゲーション装置21に組み込まれており、ナビゲーション装置21のCPUが制御プログラムを実行することにより駐車場案内装置5の機能が実現される構成であってもよい。
【0118】
上述の実施形態では、車載ネットワークシステムは、三つの通信ネットワーク1〜3を備えた構成について説明したが、通信ネットワークの数は三つに限らない。
【0119】
上述の実施形態では、三つの通信ネットワーク1〜3として、CAN規格に基づく通信システム、MOST規格に基づく通信システム、及び無線LAN等の既存の通信インフラについて説明したが、車載ネットワークシステムに備えられる複数の通信ネットワークは、上述の実施形態で例示したものに限らず、例えば、LIN(Local Interconnect Network)規格等に基づく通信システムであってもよい。
【0120】
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】駐車場案内装置の機能ブロック構成図
【図2】(a)は、駐車車両の無い駐車場に車両が入庫した状態を示し、(b)は、図2(a)の状態で生成された地図データを示し、(c)は、駐車車両の無い駐車場を車両が走行する状態を示し、(d)は、図2(c)の状態で生成された地図データを示し、(e)は、駐車車両の無い駐車場に車両が駐車した状態を示し、(f)は、図2(e)の状態で生成された地図データを示す説明図
【図3】(a)は、駐車車両の在る駐車場に車両が入庫した状態を示し、(b)は、図3(a)の状態で生成された地図データを示し、(c)は、駐車車両の在る駐車場を車両が走行する状態を示し、(d)は、図3(c)の状態で生成された地図データを示し、(e)は、駐車車両の在る駐車場に車両が駐車した状態を示し、(f)は、図3(e)の状態で生成された地図データを示す説明図
【図4】(a)は、車両が駐車領域から移動しようとする状態を示し、(b)は、図4(a)の状態で生成された地図データを示し、(c)は、駐車場を車両が出口に向かって走行する状態を示し、(d)は、図4(c)の状態で生成された地図データを示し、(e)は、車両が駐車場から出庫した状態を示し、(f)は、図4(e)の状態で生成された地図データを示す説明図
【図5】駐車場へ入庫、出庫する車両に搭載された駐車場案内装置の処理について説明するためのフローチャート
【図6】駐車場へ入庫、出庫する車両に搭載された駐車場案内装置の処理について説明するためのフローチャート
【図7】駐車場へ入庫、出庫する車両に搭載された駐車場案内装置の処理について説明するためのフローチャート
【図8】(a)は、初期設定処理について説明するための、(b)は、版数データによるユーザ通知処理について説明するための、(c)は、駐車率によるユーザ通知処理について説明するためのフローチャート
【図9】駐車場に駐車している車両に搭載された駐車場案内装置の処理について説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0122】
5:駐車場案内装置
21:ナビゲーション装置
22:表示部
31:無線通信装置
51:地図データ生成部
52:送信処理部
53:受信処理部
54:地図表示処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置により駐車場への入庫が検出されると、入庫位置から駐車位置または駐車位置から出庫位置までの自車両の走行経路データに基づいて場内の地図データを生成する地図データ生成部と、
前記地図データ生成部により生成された地図データ及び/または自車両の駐車位置データを駐車情報として無線通信装置を介して他車両に送信する送信処理部と、
前記無線通信装置を介して他車両から送信された駐車情報を受信する受信処理部と、
を備え、
前記地図データ生成部は前記受信処理部により受信された駐車情報に基づいて前記地図データを更新処理し、前記送信処理部は前記地図データ生成部で更新処理された地図データを他車両に送信するように構成されている駐車場案内装置。
【請求項2】
前記地図データは前記地図データ生成部により駐車場毎に固有の識別データが付与され、前記受信処理部で受信された駐車情報の真偽が前記識別データにより照合可能に構成されている請求項1記載の駐車場案内装置。
【請求項3】
他車両との間で送受信される前記駐車情報に、前記駐車位置データに対応する駐車領域に車両が駐車されていることを示すのか、駐車解除されたことを示すのかを識別可能なフラグデータが含まれ、前記地図データ生成部は当該フラグデータに基づいて駐車領域が占有されているが空いているかを前記地図データに反映させる請求項1または2記載の駐車場案内装置。
【請求項4】
前記地図データ生成部により生成された場内の地図データを表示部に表示する地図表示処理部を備え、前記地図表示処理部は前記地図データの更新回数が所定回数以上であるとき、または前記駐車領域の駐車率が所定比率以上のときに場内の地図データを表示する請求項1から3の何れかに記載の駐車場案内装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の駐車場案内装置が搭載された車両間で送受信される前記駐車情報に基づいて、駐車場の地図データが更新されながら共有される駐車場案内システム。
【請求項6】
ナビゲーション装置により駐車場への入庫が検出されると、入庫位置から駐車位置または駐車位置から出庫位置までの自車両の走行経路データに基づいて場内の地図データを生成する地図データ生成ステップと、
前記地図データ生成ステップで生成された地図データ及び/または自車両の駐車位置データを駐車情報として無線通信装置を介して他車両に送信する送信処理ステップと、
前記無線通信装置を介して他車両から送信された駐車情報を受信する受信処理ステップと、
を備え、
前記地図データ生成ステップは前記受信処理ステップで受信された駐車情報に基づいて前記地図データを更新処理し、前記送信処理ステップは前記地図データ生成ステップで更新処理された地図データを他車両に送信するように構成されている駐車場案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−69059(P2009−69059A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239410(P2007−239410)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】