説明

駐車支援システム

【課題】周囲に壁等の障害物がない駐車スペースに駐車しようとする車両や距離センサを搭載しない車両の駐車を支援可能な駐車支援システムを提供すること。
【解決手段】駐車スペースに設置された画像センサC3又は距離センサの出力に基づいて取得する複数の画像をその駐車スペースに駐車しようとする車両Vの車載表示装置V2に選択的に表示させてその車両の駐車を支援する駐車支援システム100は、画像センサC3又は距離センサの出力に基づいて駐車スペースと車両Vとの間の相対位置関係を検出する相対位置関係検出手段C10と、その相対位置関係に基づいて車載表示装置V2に表示させる画像を切り換える画像切換手段C12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車スペースに設置された画像センサや距離センサの出力に基づいて取得する複数の画像をその駐車スペースに駐車しようとする車両の車載ディスプレイに選択的に表示させて駐車を支援する駐車支援システムに関し、特に、駐車スペースと車両との間の相対位置関係に応じて画像を切り換え、その相対位置関係に応じた最適な画像を運転者に視認させながら車両の駐車を支援する駐車支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラの画像だけでなく、駐車スペースに設置されたカメラの画像をも車載モニタに表示させながら駐車を補助する駐車補助装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この駐車補助装置は、車載カメラ及び駐車スペースに設置されたカメラと、これらカメラが撮影した画像を表示させる車載モニタと、車両周辺の障害物までの距離を検出する車載の距離センサと、その距離センサが検出した距離に応じてその駐車スペースに設置されたカメラの撮影角度やズーム倍率の切り換えを行うカメラ制御装置とから構成される。
【0004】
運転者が見たい画像は、車両を駐車させるための運転操作が進行するにつれて変化するが、この駐車補助装置は、車載の距離センサが検出した距離に応じて、その運転者が必要とする画像を自動的に車載モニタに表示させるようにすることができる。
【特許文献1】特許第3677819号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の駐車補助装置は、車両に搭載された距離センサの出力に基づいて駐車スペースに設置されたカメラの撮影角度やズーム倍率を切り換えるので、周囲に壁等の障害物がない駐車スペースに駐車しようとする車両の運転者に適切な画像を提示することができず、また、距離センサを搭載しない車両の運転者に適切な画像を提示することもできない。
【0006】
上述の点に鑑み、本発明は、周囲に壁等の障害物がない駐車スペースに駐車しようとする車両や距離センサを搭載しない車両の駐車を支援可能な駐車支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係る駐車支援システムは、駐車スペースに設置された画像センサ又は距離センサの出力に基づいて取得する複数の画像を該駐車スペースに駐車しようとする車両の車載表示装置に選択的に表示させて該車両の駐車を支援する駐車支援システムであって、前記画像センサ又は前記距離センサの出力に基づいて前記駐車スペースと前記車両との間の相対位置関係を検出する相対位置関係検出手段と、前記相対位置関係に基づいて前記車載表示装置に表示させる画像を切り換える画像切換手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、第二の発明は、第一の発明に係る駐車支援システムであって、前記複数の画像は、前記車両の全体を上から見た画像と前記駐車スペースの奥部を上から見た画像とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、第三の発明は、第二の発明に係る駐車支援システムであって、前記画像切換手段は、前記車両が前記駐車スペースの所定の切換位置に達した場合に前記車両の全体を上から見た画像と、前記駐車スペースの奥部を上から見た画像とを切り換えることを特徴とする。
【0010】
また、第四の発明は、第三の発明に係る駐車支援システムであって、第一の画像を第二の画像に切り換えるために設定される切換位置と、該第二の画像を該第一の画像に切り換えるために設定される切換位置とが異なることを特徴とする。
【0011】
また、第五の発明は、第三の発明に係る駐車支援システムであって、前記車両を前記駐車スペースに駐車させるために前記車両の前後進の切り換えが必要であるか否かを前記相対位置関係に基づいて判定する前後進切換要否判定手段を更に備え、前記画像切換手段は、前記車両の前後進の切り換えが必要であると判定された場合に、前記切換位置を前記奥部の方向に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述の手段により、本発明は、周囲に壁等の障害物がない駐車スペースに駐車しようとする車両や距離センサを搭載しない車両の駐車を支援可能な駐車支援システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る駐車支援システムの構成例を示すブロック図であり、駐車支援システム100は、駐車スペースを監視する駐車スペース監視システムCとその駐車スペースに後進駐車しようとする車両Vとから構成され、駐車スペース監視システムCは、制御装置C1、送信装置C2及び画像センサC3を有し、車両Vは、受信装置V1及び表示装置V2を搭載する。
【0015】
制御装置C1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、相対位置関係検出手段C10、画像生成手段C11及び画像切換手段C12のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0016】
制御装置C1は、画像センサC3の出力に基づいて車両Vに送信すべき送信用画像を生成しながら、送信装置C2を用いてその生成した送信用画像を車両Vに送信し、車両Vに搭載された表示装置V2にその生成した送信用画像を表示させるようにする。
【0017】
また、制御装置C1は、駐車スペースに設置される画像センサC3の出力に加え、或いは、画像センサC3の出力に代えて、駐車スペースの周囲に設置される距離センサ(電波、超音波又は赤外線等を用いて対象物までの距離を測定するセンサであり、駐車スペースに進入する車両の有無、又は、その車両とその駐車スペースとの間の相対位置関係(例えば、進入角度である。)等を検出する。)の出力に基づいて送信用画像を生成するようにしてもよい。
【0018】
送信用画像は、駐車スペースと車両との相対的な位置関係を表す画像であり、例えば、画像センサC3の出力をそのまま用いた画像であってもよく、画像センサC3や距離センサの出力に基づいて生成した仮想的な画像(例えば、駐車スペースの実画像と車両のCG(Computer Graphics)画像とを組み合わせた合成画像、又は、全てをCG画像で表現した画像等である。)であってもよい。
【0019】
制御装置C1は、駐車スペースの奥部を上から見た画像(以下、「奥部画像」とする。)、駐車スペース中央部を上から見た画像(以下、「中央部画像」とする。)、又は、駐車スペースの入口付近に存在する車両Vの全体を上から見た画像(以下、「入口部画像」とする。)等を送信用画像として生成する。
【0020】
入口部画像は、例えば、車両Vの操舵角やハンドルを切り始める地点を運転者が決定する上で有用であり、中央部画像は、車両と駐車スペースの側壁や隣接する駐車車両等との間の距離を運転者が確認する上で有用であり、奥部画像は、後進駐車する車両の後端(前進駐車する車両の前端)と駐車スペースの奥壁や奥方向に駐車する他車両等との間の距離を運転者が確認する上で有用である。
【0021】
送信装置C2は、制御装置C1が生成した送信用画像を車両Vに送信するための装置であり、例えば、特定小電力無線の周波数帯域を利用して半径数メートル内に存在する車両Vに送信用画像を送信する。
【0022】
画像センサC3は、駐車スペースを撮影するための装置であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の画像素子を有するカメラであって、駐車スペースの天井や駐車スペース周辺のポールに取り付けられ、駐車スペース及びその周辺を撮影する。
【0023】
なお、画像センサC3は、夜間撮影が可能な赤外線カメラであってもよく、駐車スペースを複数の位置から撮影できるよう複数台設置されていてもよい。
【0024】
また、画像センサC3は、その光軸を回動させることができるよう天井やポールに取り付けられ、モータ等のアクチュエータによってその光軸を回動させその撮影範囲を変化させながら、奥部画像、中央部画像、又は、入口部画像等を一台で撮影できるようにしてもよい。
【0025】
更に、画像センサC3は、ズーム倍率を自動的に変化させる機能を有していてもよく、また、赤外線センサ、超音波センサ又はドップラーセンサ等の動体検知機能を用いて駐車スペース付近で動体(車両)を検知した場合に限り駐車スペースの撮影を開始するようにしてもよい。
【0026】
また、駐車スペース監視システムCは、仮想的な画像を用いることによって、入口部画像を取得するために画像センサC3を高所に設置する必要もなく、画像センサC3の設置場所に関する自由度を高めることができる。
【0027】
受信装置V1は、駐車スペース監視システムCが送信する送信用画像を受信するための車載装置であり、例えば、駐車スペース監視システムCが特定小電力無線の周波数帯域を利用して送信する送信用画像を受信し、受信した送信用画像を表示装置V2に出力する。
【0028】
表示装置V2は、受信装置V1が駐車スペース監視システムCから受信した送信用画像を表示させるための装置であり、例えば、カーナビゲーションシステムやAVシステムで用いられる液晶ディスプレイである。
【0029】
また、表示装置V2は、駐車スペース監視システムCにおける送信装置C2と自車両Vとの距離が所定距離未満となった場合、或いは、シフト位置が「R(後退)」レンジにセットされた場合に、送信用画像の表示を自動的に開始させるようにしてもよい。
【0030】
次に、制御装置C1が有する各種手段について説明する。
【0031】
相対位置関係検出手段C10は、駐車スペースと車両との間の相対位置関係を検出するための手段であり、例えば、画像センサC3が出力する画像データにグレースケール化、エッジ検出、ハフ変換等の画像処理を施し、或いは、距離センサが出力する車両輪郭線上の各点までの距離データを解析して、駐車スペースと車両との間の位置ずれや角度ずれを検出する。
【0032】
画像生成手段C11は、送信用画像を生成するための手段であり、例えば、画像センサC3が撮影した実画像をそのまま利用しながら、奥部画像、中央部画像、又は、入口部画像を生成する。
【0033】
また、画像生成手段C11は、画像センサC3や距離センサの出力に基づいてCG画像を生成しながら、実際の画像センサC3の撮影方向とは異なる方向から駐車スペース及び車両Vを見た場合の画像を擬似的に生成し、奥部画像、中央部画像、又は、入口部画像を生成するようにしてもよい。
【0034】
画像切換手段C12は、車両Vに向けて送信する送信用画像を切り換えるための手段であり、例えば、相対位置関係検出手段C10が検出した駐車スペースと車両との間の相対位置関係に基づいて、奥部画像、中央部画像、又は、入口部画像の中から車両Vに向けて送信すべき画像を選択し、現在送信している送信用画像をその選択された画像に切り換えるようにする。
【0035】
図2は、駐車支援システム100の各構成要素の配置を説明するための図であり、図2(A)は、駐車スペースS1の上面視、図2(B)は、駐車スペースS1の側面視をそれぞれ示す。
【0036】
駐車スペースS1は、側方及び奥方向(図中の下方を意味する。)を壁に囲まれ、その奥部に車輪止めBを配置し、駐車スペースS1の入口方向(図中の上方を意味する。)の天井に画像センサC3aが取り付けられ、駐車スペースS1の奥部の天井に画像センサC3bが回動可能に取り付けられる(図中の双方向矢印を参照。)。なお、図2(B)中の一点鎖線は、画像センサC3a及びC3bの撮影範囲を示す。
【0037】
また、車両Vは、前輪を左に操舵して後進しながら駐車スペースS1に進入して目標駐車位置Pに駐車しようとしている。
【0038】
図3は、駐車支援システム100の各構成要素の別の配置を説明するための図であり、図3(A)は、駐車スペースS2の上面視、図3(B)は、駐車スペースS2の側面視をそれぞれ示す。
【0039】
駐車スペースS2は、地面に描かれた駐車スペース区画線Lで囲まれ、その奥部に車輪止めBを配置し、駐車スペースS2の奥方向の周辺にあるポールZに画像センサC3cが回動可能に取り付けられる。
【0040】
また、車両Vは、前輪を右に操舵して後進しながら駐車スペースS2に進入して目標駐車位置Pに駐車しようとしている。
【0041】
図4は、駐車スペース監視システムCが生成する送信用画像の例を示す図であり、図4(A)は、画像センサC3aが上から撮影した入口部画像を示し、図4(B)は、画像センサC3bが上から撮影した中央部画像を示し、図4(C)は、画像センサC3bが上から撮影した奥部画像を示す。
【0042】
また、図5は、駐車スペース監視システムCが生成する送信用画像の別の例を示す図であり、画像センサC3cが撮影した画像に基づいて生成される、駐車スペースS2の入口付近に存在する車両Vの全体を上から見た状態を表す合成画像であって、図中の一点鎖線が車両Vの形状及び位置を擬似的に表している。
【0043】
次に、図6及び図7を参照しながら、駐車スペース監視システムCが送信用画像を切り換える処理(以下、「送信用画像切換処理」とする。)について説明する。
【0044】
図6(A)〜(E)は、車両Vが駐車スペースS1に後進駐車しようとするときの推移を時系列で示す図であり、図6(A)は、車両Vが前輪を左に操舵しながら後進し車両Vの後端が駐車スペースS1の入口側にある画像切換境界線TL1を奥方向に向かって横切った状態を示し、図6(B)は、車両Vの後端が更に後進して画像切換境界線TL1より奥側にある画像切換境界線TL2を奥方向に向かって横切った状態を示す。
【0045】
また、図6(C)は、車両Vが前輪を右に操舵しながら前進し車両Vの後端が画像切換境界線TL2を入口方向に向かって横切った状態を示し、図6(D)は、車両Vが更に前進して車両Vの後端が画像切換境界線TL1を入口方向に向かって横切った状態を示し、図6(E)は、車両Vが再び後進し車両Vの後端が画像切換境界線TL1及びTL2を奥方向に向かって横切った状態を示す。
【0046】
図7(A)〜(D)は、車両Vが駐車スペースS1に後進駐車しようとするときの推移を時系列で示す別の図であり、図7(A)は、車両Vが前輪を左に操舵しながら後進し車両Vの後端が画像切換境界線TL1を奥方向に向かって横切った状態を示し、図7(B)は、車両Vが更に後進し車両Vの後端が画像切換境界線TL2を奥方向に向かって横切った状態を示す。
【0047】
また、図7(C)は、車両Vが前輪を右に操舵しながら前進し車両Vの後端が画像切換境界線TL2を入口方向に向かって横切った状態を示し、図7(D)は、車両Vの後端が画像切換境界線TL1を入口方向に向かって横切ることなく車両Vが再び後進し車両Vの後端が画像切換境界線TL2を奥方向に向かって横切った状態を示す。
【0048】
画像切換境界線TL1及びTL2は、画像切換手段C12が送信用画像を切り換えるタイミングを決定するために予め設定される仮想的な線分であり(例えば、画像データ上に設定される線分である。)、画像切換手段C12は、相対位置関係検出手段C10により、画像センサC3a若しくはC3bが撮影した画像データ、又は、距離センサが検出した距離データに基づいて車両Vの後端が画像切換境界線TL2を奥方向に向かって横切ったことを検出した場合に、画像生成手段C11が生成した、駐車スペースS1の入口付近に存在する車両Vの全体を含む入口部画像(図4(A)参照。)から、車両Vの後端部分を含む奥部画像(図4(C)参照。)に、送信用画像を切り換えるようにする。
【0049】
なお、送信用画像が既に奥部画像になっている場合、画像切換手段C12は、送信用画像を切り換えることなくそのまま奥部画像の送信を継続させる。
【0050】
また、画像切換手段C12は、相対位置関係検出手段C10により、画像センサC3a若しくはC3bが撮影した画像データ、又は、距離センサが検出した距離データに基づいて車両Vの後端が画像切換境界線TL1を入口方向に向かって横切ったことを検出した場合に、奥部画像(図4(C)参照。)から入口部画像(図4(A)参照。)に送信用画像を切り換えるようにする。
【0051】
従って、画像切換手段C12は、相対位置関係検出手段C10により、図6(B)又は図7(B)に示す相対位置関係を検出した場合に、送信用画像を入口部画像から奥部画像に切り換え、図6(D)に示す相対位置関係を検出した場合に、送信用画像を奥部画像から入口部画像に切り換える。
【0052】
なお、画像切換手段C12は、図6(B)又は図7(B)に示す相対位置関係を検出し送信用画像を入口部画像から奥部画像に切り換えた後、図7(C)に示す相対位置関係を検出した場合であっても、車両Vの後端が画像切換境界線TL1を入口方向に向かって横切らない限り、送信用画像を奥部画像から入口部画像に切り換えることはない。
【0053】
このように、駐車スペース監視システムCは、画像切換境界線TL1とTL2との間に一定の幅を持たせることで、自車両Vが駐車のために前後進を繰り返した場合に送信用画像を頻繁に切り換え車両Vの運転者に煩わしさを感じさせてしまうことがないようにすることができる。
【0054】
次に、図6〜図8を参照しながら、送信用画像切換処理の流れについて説明する。なお、図8は、送信用画像切換処理の流れを示すフローチャートであり、駐車スペース監視システムCは、距離センサ等により駐車スペースS1に後進駐車しようとする車両Vを検出した場合に、画像センサC3による撮影を開始させ、かつ、入口部画像を初期の送信用画像として車両Vに送信しながら、相対的位置関係検出手段C10により車両Vが駐車スペースS1の目標駐車位置Pに駐車したことが検出されるまで、この送信用画像切換処理を繰り返し実行するものとする。
【0055】
最初に、駐車スペース監視システムCの制御装置C1は、相対的位置関係検出手段C10により、車両Vの後端が画像切換境界線TL2を奥方向に向かって横切ったか否かを判定する(ステップS1)。
【0056】
車両Vの後端が画像切換境界線TL2を奥方向に向かって横切ったと判定した場合(ステップS1のYES)、制御装置C1は、画像切換手段C12により、送信用画像を入口部画像から奥部画像に切り換える(ステップS2)。
【0057】
一方、車両Vの後端が未だ画像切換境界線TL2を奥方向に向かって横切っていないと判定した場合(ステップS1のNO)、制御装置C1は、送信用画像を入口部画像から奥部画像に切り換えことなく、そのまま入口部画像を送信用画像として車両Vに送信し続けるようにする(ステップS2)。
【0058】
また、制御装置C1は、相対的位置関係検出手段C10により、車両Vの後端が画像切換境界線TL1を入口方向(図6の上方)に向かって横切ったか否かを判定する(ステップS4)。
【0059】
車両Vの後端が画像切換境界線TL1を入口方向に向かって横切ったと判定した場合(ステップS4のYES)、制御装置C1は、画像切換手段C12により、送信用画像を奥部画像から入口部画像に切り換える(ステップS5)。
【0060】
一方、車両Vの後端が画像切換境界線TL1を入口方向に向かって横切っていないと判定した場合(ステップS4のNO)、制御装置C1は、送信用画像を奥部画像から入口部画像に切り換えことなく、そのまま奥部画像を送信用画像として車両Vに送信し続けるようにする(ステップS6)。
【0061】
以上の構成により、駐車支援システム100は、車両Vから何ら信号を受信することもなく、駐車スペースS1に設置された画像センサC3や距離センサの出力に基づいて駐車スペースS1と車両Vとの間の相対位置関係を検出し、車両Vの後端が画像切換境界線TL2を横切った場合に入口部画像を奥部画像に迅速に切り換えるので、車両Vの後進に応じて連続的に表示画像を変化させてしまうことであたかも車両Vが停止しているような違和感を運転者に与えてしまうようなこともなく、車両Vの動きを分かり易く視認させながら、距離センサを搭載しない車両Vの駐車をも支援することができる。
【0062】
また、駐車支援システム100は、駐車スペースS1に設置された画像センサC3や距離センサの出力に基づいて駐車スペースS1と車両Vとの間の相対位置関係を検出するので、周囲に壁等の障害物がない駐車スペースへの駐車も適切に支援することができる。
【0063】
また、駐車支援システム100は、車両Vの運転者が必要とする画像であって、車両Vの駐車のための運転操作の進行に応じて撮影範囲に対する要求が変化する画像を遅延無く適時に提示することで、駐車時の死角を解消することができる。
【実施例2】
【0064】
図9は、本発明に係る駐車支援システムの第二実施例のブロック図であり、駐車支援システム200は、駐車スペース監視システムCが送信装置C2の代わりに通信装置C4を備え、かつ、制御装置C1が前後進切換要否判定手段C13を有し、また、車両Vが受信装置V1の代わりに通信装置V3を備え、かつ、車両情報検出装置V4を備える点で、駐車支援システム100と異なるが、その他の点で共通する。
【0065】
従って、以下の説明では、共通の構成要素について同じ参照符号を用いながら、相違点について説明する。
【0066】
通信装置C4及びV3は、駐車スペース監視システムCと車両Vとの間の通信を制御するための装置であり、例えば、特定小電力無線の周波数帯を用いて駐車スペース監視システムCと車両Vとの間の双方向通信を可能にする。
【0067】
前後進切換要否判定手段C13は、車両Vが目標駐車位置Pに至るために前後進を切り換える可能性が高いか否かを判定するための手段であり、例えば、相対位置関係検出手段C10が検出した車両Vと駐車スペースS1との間の相対位置関係に基づいて前後進を切り換える可能性が高いか否かを判定する。
【0068】
また、前後進切換要否判定手段C13は、車両Vと駐車スペースS1との間の相対位置関係と、車両Vが通信装置V3を介して送信する車両Vの旋回半径に関する情報、又は、過去の履歴情報(同様の相対位置関係にあった車両が前後進の切り換えを行った数(車両台数)の全体(全車両台数)に占める比率である。)とに基づいて前後進を切り換える可能性が高いか否かを判定するようにしてもよい。
【0069】
車両情報検出装置V4は、車両Vの状態を検出するための装置であり、例えば、シフト位置やイグニッションのオンオフ状態、GPS(Global Positioning System)情報(緯度、経度、高度)等を検出する。これにより、車両Vは、通信装置V3を介して車両情報検出装置V4の検出結果を駐車スペース監視システムCに送信することができる。
【0070】
次に、図10を参照しながら、駐車支援システム200による送信用画像切換処理について説明する。
【0071】
図10(A)は、駐車スペースS1において、送信用画像を切り換えるために設定される当初の画像切換境界線TL1及びTL2、並びに、目標駐車位置Pの配置を示す図であり、図10(B)は、駐車スペースS1に後進駐車しようとする車両Vの予測移動軌跡、並びに、車両Vと駐車スペースS1との間の相対位置関係に応じて駐車スペースS1の奥方向(図中の下方)に移動させられた移動後の画像切換境界線TL2を示す。
【0072】
前後進切換要否判定手段C13は、相対位置関係検出手段C10が検出した車両Vと駐車スペースS1との間の相対位置関係に応じて車両Vの移動軌跡を予測し、車両Vが後進を中断して前進を行う可能性が高いか否かを判定する。
【0073】
図10(B)に示すように、駐車スペース監視システムCは、前後進切換要否判定手段C13により、駐車スペースS1に後進駐車しようとする車両Vが現在の相対位置関係から後進を継続すると駐車スペースS1の左側壁に接触してしまい、目標駐車位置Pに至ることができないと予測され、車両Vが後進を中断して前進を行う可能性が高いと判定されると、画像切換境界線TL2を奥方向に移動させる。
【0074】
また、前後進切換要否判定手段C13は、車両Vが目標駐車位置Pに至ることができると予測された場合であっても、車両Vが現在の相対位置関係から後進を継続すると側壁との距離が所定距離未満になり、車両Vが目標駐車位置Pに至ることが困難であると予測されたときには、車両Vが後進を中断して前進を行う可能性が高いと判定するようにしてもよい。
【0075】
これにより、画像切換手段C12は、車両Vがそのまま後進を継続して車両Vの後端が当初の画像切換境界線TL2(図10(A)参照。)を奥方向に横切りその直後の前進により車両Vの後端が当初の画像切換境界線TL1を入口方向に横切ることで、送信用画像を入口部画像から奥部画像に切り換えその直後に送信用画像を奥部画像から入口部画像に切り換えてしまうといった状況を発生させないようにする。
【0076】
なお、一回目の前進の後の相対位置関係から車両Vが次の後進を再び中断して再び前進を行うことはないと判定されると、駐車スペース監視システムCは、一時的に奥方向に移動させていた移動後の画像切換境界線TL2を当初の位置に戻して画像切換手段C12を実行させるようにする。
【0077】
反対に、駐車スペース監視システムCは、前後進切換要否判定手段C13により、駐車スペースS1に後進駐車しようとする車両Vが現在の相対位置関係から後進を継続しても駐車スペースS1の側壁に接触することがなく、目標駐車位置Pに至ることができると予測され、車両Vが後進を中断しない可能性が高いと判定されたときには、画像切換境界線TL2を当初の位置よりも更に入口方向に移動させるようにしてもよい。
【0078】
車両Vの後進が目標駐車位置Pに至るための理想的な移動軌跡を描く場合に奥部画像をより早期に表示装置V2に表示させ、運転者の注意を早期に後方確認に集中させることができるからである。
【0079】
以上の構成により、駐車支援システム200は、車両Vと駐車スペースS1との間の相対位置関係に応じて画像切換境界線TL2を移動させるので、車両Vを目標駐車位置Pに駐車させるために前後進が繰り返される場合に送信用画像を頻繁に切り換えてしまうことがないようにし、運転者に違和感を抱かせてしまうのを防止することができる。
【0080】
なお、駐車スペース監視システムCは、車両Vに搭載された車両情報検出装置V4の出力を受信し車両Vのシフト位置が「R(後進)」レンジから「D(前進)」レンジに変更されたことを検知した場合、その時点における送信用画像が奥部画像であるときには、画像切換手段C12により、送信用画像を奥部画像から入口部画像に切り換えるようにしてもよい。
【0081】
また、駐車スペース監視システムCは、車両情報検出装置V4を介して車両VのGPS情報を受信し、車両Vが駐車スペースS1に後進駐車しようとすることを検知した場合に、画像センサC3による撮影を開始させるようにしてもよい。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0083】
例えば、上述の実施例において、駐車スペース監視システムCは、駐車スペースS1の短辺方向に平行に画像切換境界線TL1及びTL2を配置するが、図11に示すように、駐車スペースS1の長辺方向に平行に内側から画像切換境界線TL3及びTL4を配置し、車両Vの左右端部が駐車スペースS1の外方向に向かって画像切換境界線TL4を横切った場合に、入口部画像又は奥部画像を中央部画像に切り換え、車両Vの左右端部が駐車スペースS1の内方向に向かって画像切換境界線TL3を横切った場合に、中央部画像を入口部画像又は奥部画像に切り換えるようにしてもよい。
【0084】
更に、駐車スペースS1の天井付近に別の画像切換境界線二本を隣接させながら配置し、車両Vの上端部と駐車スペースS1の天井との間の隙間を表す画像を選択的に表示させるようにしてもよい。
【0085】
また、上述の実施例において、駐車スペース監視システムCは、入口部画像、中央部画像又は奥部画像等を択一的に表示装置V2に表示させるようにするが、入口部画像を大きく表示しながら中央部画像を小さく表示させる等、複数の画像を一度に表示させるようにしてもよく、操舵方向や操舵角の指示等、駐車のための運転操作を支援するためのテキストメッセージやグラフィック情報をそれら画像に重畳表示させるようにしてもよい。
【0086】
また、上述の実施例において、駐車スペース監視システムCは、後進駐車時における駐車を支援するが、前進駐車時、縦列駐車時における駐車を支援するようにしてもよく、出庫時における運転操作を支援するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る駐車支援システムの第一実施例のブロック図である。
【図2】図1における駐車支援システムの各構成要素の配置を説明するための図(その1)である。
【図3】図1における駐車支援システムの各構成要素の配置を説明するための図(その2)である。
【図4】駐車スペース監視システムが生成する送信用画像の例を示す図(その1)である。
【図5】駐車スペース監視システムが生成する送信用画像の例を示す図(その2)である。
【図6】図1の駐車支援システムによる送信用画像切換処理を説明するための図(その1)である。
【図7】図1の駐車支援システムによる送信用画像切換処理を説明するための図(その2)である。
【図8】送信用画像切換処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る駐車支援システムの第一実施例のブロック図である。
【図10】図8の駐車支援システムによる送信用画像切換処理を説明するための図である。
【図11】画像切換境界線の配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
100 駐車支援システム
B 車輪止め
C 駐車スペース監視システム
C1 制御装置
C2 送信装置
C3、C3a〜C3c 画像センサ
C4 通信装置
C10 相対位置関係検出手段
C11 画像生成手段
C12 画像切換手段
C13 前後進切換要否判定手段
L 駐車スペース区画線
P 目標駐車位置
S1、S2 駐車スペース
TL1〜TL4 画像切換境界線
V 車両
V1 受信装置
V2 表示装置
V3 通信装置
V4 車両情報検出装置
Z ポール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペースに設置された画像センサ又は距離センサの出力に基づいて取得する複数の画像を該駐車スペースに駐車しようとする車両の車載表示装置に選択的に表示させて該車両の駐車を支援する駐車支援システムであって、
前記画像センサ又は前記距離センサの出力に基づいて前記駐車スペースと前記車両との間の相対位置関係を検出する相対位置関係検出手段と、
前記相対位置関係に基づいて前記車載表示装置に表示させる画像を切り換える画像切換手段と、
を備えることを特徴とする駐車支援システム。
【請求項2】
前記複数の画像は、前記車両の全体を上から見た画像と前記駐車スペースの奥部を上から見た画像とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の駐車支援システム。
【請求項3】
前記画像切換手段は、前記車両の一部が前記駐車スペースにおける所定の切換位置に達した場合に前記車両の全体を上から見た画像と前記駐車スペースの奥部を上から見た画像とを切り換える、
ことを特徴とする請求項2に記載の駐車支援システム。
【請求項4】
第一の画像を第二の画像に切り換えるために設定される切換位置と、該第二の画像を該第一の画像に切り換えるために設定される切換位置とが異なる、
ことを特徴とする請求項3に記載の駐車支援システム。
【請求項5】
前記車両を前記駐車スペースに駐車させるために前記車両の前後進の切り換えが必要であるか否かを前記相対位置関係に基づいて判定する前後進切換要否判定手段を更に備え、
前記画像切換手段は、前記車両の前後進の切り換えが必要であると判定された場合に、前記切換位置を前記奥部の方向に移動させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の駐車支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−234485(P2009−234485A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84881(P2008−84881)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】