説明

高分子化合物、該高分子化合物を含む薄膜及び組成物

【課題】両極性の有機トランジスタを簡便に製造しうる、p型とn型の両極性を示す高分子化合物を提供すること。
【解決手段】式
【化0】


(1)
〔式中、Zは、−O−、−S−、−N(R)−、−N(COR)−又は−N(CO)−を表す。Zは、−S−、−N(R)−、−N(COR)−又は−N(CO)−を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。〕
で表される構成単位を含む高分子化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体である高分子化合物、該高分子化合物を含む薄膜及び組成物に関し、特に該薄膜を有機半導体層(活性層)として備える有機トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
有機トランジスタは、無機材料からなる活性層を備えた従来のトランジスタと比較して、軽量化、製造コストの低下、製造温度の低温化が期待されている。有機トランジスタは、電荷輸送性を有する活性層が有機半導体から形成されている。
【0003】
トランジスタは、活性層が輸送する電荷がホール(正孔)である場合はp型、活性層が輸送する電荷が電子である場合はn型、及び、活性層がホールと電子の両方を輸送する場合は両極性である。
【0004】
トランジスタの活性層が輸送する電荷の種類は、トランジスタを備えるデバイスの種類及び用途に依存して、それぞれホール又は電子に区別される。そのため、ホール伝導性及び電子伝導性の両方を示す両極性の有機トランジスタは幅広い種類のデバイス及び用途に適用できる可能性があり、検討が盛んに行われている。
【0005】
有機半導体は真性半導体に近く、ホール濃度と電子濃度が等しく、理論的には両極性伝導が期待される。しかしながら、実際には、有機半導体はホールよりも電子を強く捕捉するものが多く、有機電界効果トランジスタは、一般にp型導電性を示す傾向がある。
【0006】
従来、有機電界効果トランジスタについては、電極の種類を仕事関数の小さいものに変更して仕事関数を抑制することによって、又は、絶縁膜表面及び電極表面を化合物で修飾することによって、両極性伝導が実現されてきた。
【0007】
例えば、非特許文献1には、有機トランジスタの構造及び構成材料を変更することにより、一種類の有機半導体にp型特性及びn型特性を発現させた有機トランジスタが提案されている。この有機トランジスタは、pSi/SiO基板、有機半導体層、ソース電極及びドレイン電極が順次積層された基本構造を有している。
【0008】
そして、この場合、電極の材料として金を使用することによりp型有機トランジスタが形成される。また、pSi/SiO基板の表面にバッファ層となるジビニルテトラメチルシロキサン−ビス(ベンゾシクロブテン)誘導体(BCB)モノマーの膜を形成し、かつ電極の材料としてカルシウムを使用することによりn型有機トランジスタが形成される。
【0009】
他方、有機半導体は、キャリア輸送性が高いほど、有機トランジスタとして優れた特性を発揮することができ、有機半導体化合物はπ共役化合物である。そのため、従来から、可視光及び近赤外光を吸収及び放出する有機染料のうち、π共役構造を有するものは、有機半導体又はその合成原料として使用されてきた。例えば、ジケトピロロピロール構造及びベンゾジフラノン構造は有機半導体の構造単位として知られている。
【0010】
非特許文献2には、ジブロモ置換ベンゾジフラノン誘導体とジエチルフルオレンジボロンエステル又はビス(トリメチルスタニル)チオフェンとを重縮合して、ベンゾジフラノン構造を有する有機半導体ポリマーを製造することが記載されている。この有機半導体ポリマーはHOMO−LUMOギャップが小さく、ドナーアクセプタ特性が強い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】ネイチャー(Nature)、2005年、第434巻、p.194−199
【非特許文献2】マクロモレキュールズ(Macromolecules)、2011年、第44巻、p.4596−4599
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、非特許文献1に記載されている有機トランジスタは、ゲート絶縁膜上に有機材料からなるバッファ層を設ける工程を要し、かつ、仕事関数が小さい材料をソース及びドレイン電極の形成に使用するため、大気下でソース及びドレイン電極を形成することができず、両極性の有機トランジスタの製造が煩雑であるという課題がある。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、両極性の有機トランジスタを簡便に製造しうる、p型とn型の両極性を示す高分子化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、該高分子化合物を含む薄膜及び組成物、該薄膜を備える有機トランジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
即ち、本発明は、式
【0015】
【化1】

(1)
【0016】
〔式中、Zは、−O−、−S−、−N(R)−、−N(COR)−又は−N(CO)−を表す。Zは、−S−、−N(R)−、−N(COR)−又は−N(CO)−を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。〕
で表される構成単位を含む高分子化合物を提供する。
【0017】
ある一態様においては、前記高分子化合物は、さらに、式
【0018】
【化2】

(2)
【0019】
〔式中、Arは、−C≡C−、−C(R)=C(R)−、−N=N−、−C(R)=N−、2価の芳香族アミン残基、置換基を有していてもよいアリーレン基又は置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。〕
で表される構成単位を含む。
【0020】
ある一態様においては、前記高分子化合物は、式
【0021】
【化3】

(3)
【0022】
〔式中、Z、Z、R、R及びArは、前述と同じ意味を表す。2個あるArは、同一でも相異なってもよい。〕
で表される繰り返し単位中に、式(1)で表される構成単位と式(2)で表される構成単位とを含む。
【0023】
また、本発明は、式
【0024】
【化4】

(4)
【0025】
〔式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。〕
で表される構成単位と、式
【0026】
【化5】

(5)
【0027】
〔式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。4個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。〕
で表される構成単位、及び、式(4)で表される構成単位とは異なる式
【0028】
【化6】

(6)
【0029】
〔式中、Arは、−C≡C−、−C(R)=C(R)−、−N=N−、−C(R10)=N−、2価の芳香族アミン残基、置換基を有していてもよいアリーレン基であって該アリーレン基が含有する芳香環に含まれる炭素原子の数が8以上である置換基を有していてもよいアリーレン基又は置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基を表す。R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。〕
で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位とを含む高分子化合物を提供する。
【0030】
ある一態様においては、前記高分子化合物は、式
【0031】
【化7】

(7)
【0032】
[式中、R、R及びArは、前述と同じ意味を表す。]
で表される繰り返し単位中に、式(4)で表される構成単位と式(6)で表される構成単位とを含む。
【0033】
ある一態様においては、前記高分子化合物は、共役高分子化合物である。
【0034】
また、本発明は、前記高分子化合物と、溶媒と、を含有する溶液を提供する。
【0035】
また、本発明は、前記高分子化合物を含む薄膜を提供する。
【0036】
また、本発明は、前記高分子化合物を含む有機半導体材料を提供する。
【0037】
また、本発明は、前記有機半導体材料を含む有機層を有する有機半導体素子を提供する。
【0038】
また、本発明は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極及び活性層を有し、該活性層に前記有機半導体材料を含む有機トランジスタを提供する。
【発明の効果】
【0039】
本発明の高分子化合物は、p型とn型の両極性を示し、該高分子化合物を用いて両極性の有機トランジスタを簡便に製造することができるため、本発明は極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の有機トランジスタの一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図3】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図4】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図5】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図6】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図7】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図8】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図9】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、必要に応じて図面を参照することにより、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
本明細書中、「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位構造を意味する。「構成単位」は、「繰返し単位」(即ち、高分子化合物中に2個以上存在する単位構造)として高分子化合物中に含まれることが好ましい。
【0043】
<高分子化合物1>
本発明の高分子化合物の第1の態様(以下、「高分子化合物1」という場合がある。)は、式(1)で表される構成単位(以下、「第1構成単位」という場合がある。)を1個以上含む。第1構成単位は、高分子化合物1中に一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0044】
(第1構成単位)
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。
【0045】
及びRで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0046】
及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基は、直鎖状でも、分岐状でもよく、シクロアルキル基であってもよい。アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリール基及びハロゲン原子が挙げられる。置換基を除いたアルキル基の炭素数は、通常1〜60であり、1〜20が好ましい。
【0047】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−オクチルドデシル基等の分岐アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0048】
置換基を有しているアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、フェニルエチル基、ベンジル基、トリフルオロメチル基及びパーフルオロヘキシル基が挙げられる。
アルキル基の中でも、直鎖状のアルキル基及び分岐状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
【0049】
及びRで表される置換基を有していてもよいアルコキシ基は、直鎖状でも、分岐状でもよく、シクロアルコキシ基であってもよい。アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、アリール基及びハロゲン原子が挙げられる。置換基を除いたアルコキシ基の炭素数は、該置換基に含まれる炭素数を除き、通常1〜20である。
【0050】
アルコキシ基の具体例としては、n−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、及び、n−ヘキサデシルオキシ基が挙げられる。
【0051】
アルコキシ基の中でも、n−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基等の直鎖状のアルキルオキシ基が好ましい。
【0052】
及びRで表される置換基を有していてもよいアルキルチオ基は、直鎖状でも、分岐状でもよく、シクロアルキルチオ基であってもよい。アルキルチオ基が有していてもよい置換基としては、例えば、アリール基及びハロゲン原子が挙げられる。置換基を除いたアルキルチオ基の炭素数は、通常1〜20である。
【0053】
アルキルチオ基の具体例としては、n−ブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
【0054】
アルキルチオ基の中でも、n−ブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等の直鎖状のアルキルチオ基が好ましい。
【0055】
及びRで表されるアリール基とは、芳香族炭化水素化合物から芳香環に直接結合する水素原子1個を除いた原子団である。アリール基には、ベンゼン環を含有する基、縮合環を含有する基、及び、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接結合した構造を含有する基が含まれる。アリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子が挙げられる。置換基を除いたアリール基の炭素数は、通常6〜60であり、6〜20が好ましい。置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、4−フェニルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基及びペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
【0056】
及びRで表されるヘテロアリール基とは、芳香族性を有する複素環式化合物から、芳香環に直接結合する水素原子1個を除いた原子団である。ヘテロアリール基には、単環の芳香族複素環を含有する基、縮合環の芳香族複素環を含有する基、及び、独立した単環の芳香族複素環又は縮合環の芳香族複素環2個以上が直接結合した構造を含有する基が含まれる。ヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基及びハロゲン原子が挙げられる。ヘテロアリール基が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基が好ましい。置換基を除いたヘテロアリール基の炭素数は、通常2〜60であり、3〜20が好ましい。ヘテロアリール基としては、例えば、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−イミダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−チエノチエニル基、5−オクチル−2−チエニル基、及び、5−フェニル−2−フリル基が挙げられる。
【0057】
及びRは、本発明の高分子化合物1の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、水素原子及びハロゲン原子が好ましく、水素原子、フッ素原子及び塩素原子がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
【0058】
式(1)中、Zは、−O−、−S−、−N(R)−、−N(COR)−又は−N(CO)−を表す。Zは、−S−、−N(R)−、−N(COR)−又は−N(CO)−を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R、R及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例と同じである。
【0059】
及びZは、高分子化合物1の溶媒への溶解性を高め、該高分子化合物を含む薄膜の作製を容易にする観点からは、−N(R)−、−N(COR)−、及び、−N(CO)−が好ましい。高分子化合物1の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、−N(R)−、及び、−N(COR)−が好ましい。
【0060】
また、Z及びZは、高分子化合物1の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、同一であることが好ましい。
【0061】
第1構成単位としては、例えば、式(1−1)〜式(1−13)で表される構成単位が挙げられる。式(1−1)〜式(1−13)で表される構成単位の中でも、高分子化合物1の溶媒への溶解性を高め、該高分子化合物を含む薄膜の作製を容易にする観点からは、式(1−2)〜式(1−4)、式(1−11)〜式(1ー13)で表される構成単位が好ましい。高分子化合物1の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、式(1−2)で表される構成単位、及び、式(1−3)で表される構成単位が好ましい。
【0062】
【化8】

【0063】
(式中、R、R、R、R及びRは、前述と同じ意味を表す。)
【0064】
(第2構成単位)
高分子化合物1は、第1構成単位とは異なる式(2)で表される構成単位(以下、「第2構成単位」という場合がある。)を含んでいてもよい。第2構成単位は、高分子化合物1中に一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0065】
式(2)中、Arは、−C≡C−、−C(R)=C(R)−、−N=N−、−C(R)=N−、2価の芳香族アミン残基、置換基を有していてもよいアリーレン基又は置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
【0066】
、R及びRで表される置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びシアノ基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例と同じである。
【0067】
、R及びRとしては、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基及びシアノ基が好ましい。
【0068】
Arで表されるアリーレン基とは、芳香族炭化水素化合物から芳香環に直接結合する水素原子2個を除いた原子団である。アリーレン基には、単環の芳香族炭化水素化合物から水素原子2個を除いた基、多環の芳香族炭化水素化合物から水素原子2個を除いた基、2個以上の芳香族炭化水素化合物が直接結合した又はビニレン基を介して結合した化合物から水素原子2個を除いた基が含まれる。アリーレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義及び具体例と同じである。
【0069】
アリーレン基が、単環の芳香族炭化水素化合物から水素原子2個を除いた基である場合、該アリーレン基の炭素数は、6〜60であることが好ましく、6〜48であることがより好ましく、6〜30であることがさらに好ましく、6〜14であることが特に好ましい。該炭素数に置換基の炭素数は含まれない。
【0070】
アリーレン基が、多環の芳香族炭化水素化合物から水素原子2個を除いた基である場合、該アリーレン基の炭素数は、9〜60であることが好ましく、10〜48であることがより好ましく、10〜30であることがさらに好ましく、10〜14であることが特に好ましい。該炭素数に置換基の炭素数は含まれない。
【0071】
アリーレン基が単環の芳香族炭化水素化合物から水素原子2個を除いた基又は多環の芳香族炭化水素化合物から水素原子2個を除いた基である場合、置換基を有していてもよいアリーレン基の例としては、式1〜式34で表される基が挙げられる。
【0072】
【化9】

【0073】
【化10】

【0074】
【化11】

【0075】
【化12】

【0076】
【化13】

【0077】
【化14】

【0078】
【化15】

【0079】
式1〜式34中、Rは、水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは。それぞれ同一であっても相異なってもよい。Rで表される置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子及びシアノ基が挙げられる。Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義及び具体例と同じである。
【0080】
Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアルコキシ基が好ましい。
【0081】
アリーレン基が、2個以上の芳香族炭化水素化合物が直接結合した又はビニレン基を介して結合した化合物から水素原子2個を除いた基である場合、該芳香族炭化水素化合物としてはベンゼンが好ましい。アリーレン基が、2個以上のベンゼンが直接結合した又はビニレン基を介して結合した化合物から水素原子2個を除いた基である場合、置換基を有していてもよいアリーレン基の例としては、式35〜式49で表される基が挙げられる。
【0082】
【化16】

【0083】
【化17】

【0084】
【化18】

【0085】
式35〜式49中、Rは、前述と同じ意味を表す。
【0086】
Arで表されるヘテロアリーレン基とは、芳香族性を有する複素環式化合物から、芳香環に直接結合する水素原子2個を除いた原子団である。ヘテロアリール基には、単環の芳香族複素環を含有する複素環式化合物から水素原子2個を除いた基、縮合環の芳香族複素環を含有する複素環式化合物から水素原子2個を除いた基、少なくとも1個の芳香族複素環を含む2個以上の芳香環が直接結合した又はビニレン基を介して結合した化合物から水素原子2個を除いた基を含む。ヘテロアリーレン基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義及び具体例と同じである。
【0087】
ヘテロアリーレン基が単環の芳香族複素環から水素原子2個を除いた基又は縮合環の芳香族複素環から水素原子2個を除いた基である場合、該ヘテロアリーレン基の炭素数は、3〜60であることが好ましく、3〜20であることがより好ましい。該炭素数に置換基の炭素数は含まれない。
【0088】
ヘテロアリーレン基が単環の芳香族複素環から水素原子2個を除いた基又は多環の芳香族複素環から水素原子2個を除いた基である場合、置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基の例としは、式50〜式134で表される基があげられる。
【0089】
【化19】

【0090】
【化20】

【0091】
【化21】

【0092】
【化22】

【0093】
【化23】

【0094】
【化24】

【0095】
【化25】

【0096】
【化26】

【0097】
【化27】

【0098】
【化28】

【0099】
【化29】

【0100】
【化30】

【0101】
【化31】

【0102】
【化32】

【0103】
式50〜式134中、Rは、前述と同じ意味を表す。
【0104】
ヘテロアリーレン基が、少なくとも1個の芳香族複素環を含む2個以上の芳香環が直接結合した又はビニレン基を介して結合した化合物から水素原子2個を除いた基である場合、置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基の例としては、式135〜式162で表される基が挙げられる。
【0105】
【化33】

【0106】
【化34】

【0107】
【化35】

【0108】
【化36】

【0109】
【化37】

【0110】
【化38】

【0111】
式135〜式162中、Rは、前述と同じ意味を表す。Xは−CH=又は窒素原子を表す。Xが複数個ある場合、それらは同一でも相異なってもよい。
【0112】
Arで表される2価の芳香族アミン残基とは、芳香族アミン化合物から水素原子を2個取り除いた基である。
【0113】
(第3構成単位)
式(2)中のArが2価の芳香族アミン残基である構成単位としては、例えば、式(8)で表される構成単位(以下、「第3構成単位」という場合がある。)が挙げられる。
【0114】
【化39】

(8)
【0115】
[式中、r及びrrは、それぞれ独立に、0又は1を表す。Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基又は置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基を表す。Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。]
【0116】
式(8)中、Ar、Ar、Ar及びArで表される置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基の定義及び具体例は、前述のArで表される置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基の定義及び具体例と同じである。
【0117】
Ar、Ar、Ar及びArとしては、置換基を有していてもよいフェニレン基が好ましい。
【0118】
式(8)中、Ar、Ar及びArで表される置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例と同じである。
【0119】
Ar、Ar及びArとしては、置換基を有していてもよいフェニル基が好ましく、アルキル基を有していてもよいフェニル基がより好ましい。
【0120】
式(8)中、Ar、Ar、Ar又はArで表される基中の炭素原子は、Ar、Ar、Ar又はArで表される基が結合している窒素原子と結合しているAr、Ar、Ar、Ar、Ar又はArで表される基中の炭素原子と、直接結合し、又は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−N(R)−、−C(=O)−N(RC)−若しくは−C(RC)2−を介して結合し、5〜7員環を形成していてもよい。Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例と同じである。
【0121】
2価の芳香族アミン残基の例としては、式163で表される基及び式164で表される基が挙げられる。
【0122】
【化40】

【0123】
式163及び式164中、Rは前述と同じ意味を表す。
【0124】
Arとしては、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基が好ましい。
【0125】
高分子化合物1は、式(2)で表される構成単位を、1種のみ含んでいても2種以上含んでいてもよい。
【0126】
高分子化合物1の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、高分子化合物1は、1個の第1構成単位と2個の第2構成単位からなる式(3)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
【0127】
式(3)中、Z、Z、R、R及びArは、前述と同じ意味を表す。
Arは、高分子化合物1の主鎖内における電荷の輸送性を高める観点からは、置換基を有していてもよいアリーレン基及び置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基が好ましく、置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基がより好ましく、5員環を含有し、該5員環が置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基がさらに好ましい。
高分子化合物1の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、式(3)中の2個のArは、同一の構造であることが好ましい。
【0128】
式(3)中のArは、隣接する構成単位との結合部位を含めてキノノイド構造をとりうることが好ましい。
ここで、隣接する構成単位との結合部位を含めたキノノイド構造とは、例えば、Arがフェニレン基である式(E−1)で表される構成単位の場合、式(E−1−1)で表される構造をいう。Arが式(E−2)で表される構成単位又は式(E−3)で表される構成単位の場合、隣接する構成単位の結合部位を含めてキノノイド構造を取ることができない。Arは、隣接する構成単位との結合部位を含めてキノノイド構造をとりうる場合、本発明の高分子化合物1が全共役性の高分子化合物となることができ、隣接する構成単位との間の電荷の輸送性が高まり、好ましい。
【0129】
【化41】

【0130】
上記式中、Rは前述と同じ意味を表す。
【0131】
式(3)で表される繰り返し単位としては、例えば、式(3−1)〜式(3−9)で表される繰り返し単位が挙げられる。式(3−1)〜式(3−9)で表される繰り返し単位の中でも、第1構成単位と隣接する第2構成単位との間の2面角のねじれが小さくなり、電荷の輸送性を高める観点からは、式(3−2)で表される繰り返し単位、式(3−3)で表される繰り返し単位、式(3−5)で表される繰り返し単位、式(3−6)で表される繰り返し単位、式(3−8)で表される繰り返し単位、及び、式(3−9)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0132】
【化42】

【0133】
式(3−1)〜式(3−9)中、R、R、R、R、R及びRは、前述と同じ意味を表す。
【0134】
(他の構成単位)
高分子化合物1は、第1構成単位、第2構成単位以外の構成単位(以下、「他の構成単位」という場合がある。)を含んでいてもよい。高分子化合物1は、他の構成単位を1種含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
【0135】
他の構成単位としては、例えば、式−CR−で表される基、式−C(=O)−で表される基、及び、式−C(=O)O−で表される基が挙げられる。Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基又はハロゲン原子を表す。Rを2個含む場合、それらは同一でも相異なってもよい。
で表される、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例と同じである。
【0136】
高分子化合物1は、電荷の輸送性を高める観点からは、共役高分子化合物であることが好ましい。
【0137】
高分子化合物1が第1構成単位と第2構成単位と他の構成単位からなる場合、高分子化合物1のキャリア移動度を高める観点からは、高分子化合物1が有する構成単位の合計に対して、第1構成単位と第2構成単位の合計が、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。
【0138】
高分子化合物1の具体例としては、第1構成単位と第2構成単位とを含む式(A−1)〜式(A−81)で表される高分子化合物が挙げられる。第1構成単位と第2構成単位との間の2面角のねじれが小さくなり、高分子化合物1の主鎖内における電荷の輸送性を高める観点からは、式(A−4)〜式(A−15)、式(A−21)〜式(A−51)、及び、式(A−57)〜式(A−81)で表される高分子化合物が好ましく、式(A−4)〜式(A−9)、式(A−22)〜式(A−28)、式(A−34)〜式(A−40)、式(A−58)〜式(A−64)、及び、式(A−70)〜式(A−76)で表される高分子化合物がより好ましい。
【0139】
【化43】

【0140】
【化44】

【0141】
【化45】

【0142】
【化46】

【0143】
【化47】

【0144】
【化48】

【0145】
【化49】

【0146】
式(A−1)〜式(A−81)中、R、R、R、R、R及びRは、前述と同じ意味を表す。nは、1以上の整数を表す。
【0147】
本発明の高分子化合物の第2の態様(以下、「高分子化合物2」ともいいます。)は、式(4)で表される構成単位(以下、「第4構成単位」という場合がある。)を1個以上含み、さらに、式(5)で表される構成単位(以下、「第5構成単位」という場合がある。)及び式(6)で表される構成単位(以下、「第6構成単位」という場合がある。)からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位が含む。
【0148】
(第4構成単位)
式(4)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。R及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義及び具体例と同じである。
【0149】
(第5構成単位)
式(5)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Rで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義及び具体例と同じである。
【0150】
(第6構成単位)
式(6)中、Arは、−C≡C−、−C(R)=C(R)−、−N=N−、−C(R10)=N−、2価の芳香族アミン残基、置換基を有していてもよいアリーレン基であって該アリーレン基が含有する芳香環に含まれる炭素原子の数が8以上である置換基を有していてもよいアリーレン基又は置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基を表す。R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
【0151】
、R及びR10で表される置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基及びシアノ基が挙げられる。該置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例は、前述のR及びRで表される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有していてもよいヘテロアリール基の定義及び具体例と同じである。
【0152】
、R及びR10としては、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基及びシアノ基が好ましい。
【0153】
Arで表される2価の芳香族アミン残基及び置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基の定義及び具体例は、前述のArで表される2価の芳香族アミン残基及び置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基の定義及び具体例と同じである。
【0154】
Arで表される置換基を有していてもよいアリーレン基であって該アリーレン基が含有する芳香環に含まれる炭素原子の数が8以上である置換基を有していてもよいアリーレン基は、前述のArで表される置換基を有していてもよいアリーレン基の中で、該アリーレン基が含有する芳香環に含まれる炭素原子の数が8以上である基を表す。
【0155】
Arとしては、高分子化合物2の主鎖内における電荷の輸送性を高める観点からは、置換基を有していてもよいアリーレン基であって該アリーレン基が含有する芳香環に含まれる炭素原子の数が8以上である置換基を有していてもよいアリーレン基、及び、置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基が好ましい。
また、Arは、隣接する構成単位との結合部位を含めてキノノイド構造をとりうることが好ましい。
【0156】
高分子化合物2の溶媒への溶解性を高め、該高分子化合物を含む薄膜の作製を容易にする観点、及び、電荷の輸送性を高める観点からは、高分子化合物2が第4の構成単位と第5構成単位からなる場合は、第4構成単位中のRとRの少なくとも一方が、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基であり、かつ、第5構成単位中の全てのRが水素原子であることが好ましい。高分子化合物2が、第4の構成単位と第5構成単位と第6構成単位からなる場合は、第6構成単位中に少なくとも1個の置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基を含み、かつ、第5構成単位中の全てのRが水素原子であることが好ましい。
【0157】
高分子化合物2は、高分子化合物2の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、1個の第4構成単位と2個の第5構成単位又は2個の第6構成単位からなる繰り返し単位を含有することが好ましく、1個の第4構成単位と2個の第6構成単位からなる式(7)で表される繰り返し単位を含有することがより好ましい。
【0158】
式(7)中、R、R及びArは、前述と同じ意味を表す。
【0159】
式(7)中、Arとしては、高分子化合物2の主鎖内における電荷の輸送性を高める観点からは、置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基が好ましく、5員環を含有し、該5員環が第1構成単位と結合する置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基がさらに好ましい。
高分子化合物2の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、式(7)中の2個のArは、同一の構造であることが好ましい。
また、Arは、隣接する構成単位との結合部位を含めてキノノイド構造をとりうることが好ましい。
【0160】
1個の第4構成単位と2個の第5構成単位又は2個の第6構成単位からなる繰り返し単位としては、例えば、式(7−1)〜式(7−3)で表される繰り返し単位が挙げられる。式(7−1)〜式(7−3)で表される繰り返し単位の中でも、第4構成単位と隣接する構成単位との間の2面角のねじれを小さくし、電荷の輸送性を高める観点からは、式(7−2)で表される繰り返し単位、及び、式(7−3)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0161】
【化50】

【0162】
式(7−1)〜式(7−3)中、R、R及びRは、前述と同じ意味を表す。
【0163】
本発明の高分子化合物2の溶媒への溶解性を高め、該高分子化合物を含む薄膜の作製を容易にする観点、及び、電荷の輸送性を高める観点からは、本発明の高分子化合物2が式(7−1)で表される繰り返し単位を含む場合、R及びRの少なくとも一方が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基であり、かつ、全てのRが水素原子であることが好ましい。本発明の高分子化合物2が式(7−2)で表される繰り返し単位又は式(7−3)で表される繰り返し単位を含む場合、少なくともひとつのRが置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基であることが好ましい。
【0164】
(他の構成単位)
同様に、本発明の高分子化合物2は、第4構成単位、第5構成単位、第6構成単位以外の構成単位(以下、「他の構成単位2」という場合がある。)を含んでいてもよい。他の構成単位2の具体例は、前述の他の構成単位の具体例と同じである。本発明の高分子化合物2は、他の構成単位2を1種含んでいても2種以上含んでいてもよい。
【0165】
高分子化合物2は、電荷の輸送性を高める観点からは、共役高分子化合物であることが好ましい。
【0166】
高分子化合物2が第4構成単位、第5構成単位又は第6構成単位、及び、他の構成単位2からなる場合、高分子化合物2のキャリア移動度を高める観点からは、高分子化合物2が有する構成単位の合計に対して、第4構成単位と第5構成単位と第6構成単位の合計が、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。
【0167】
高分子化合物2の具体例としては、第4構成単位と、第5構成単位又は第6構成単位とを含む式(B−1)〜式(B−41)で表される高分子化合物が挙げられる。第4構成単位と第5構成単位又は第6構成単位との2面角のねじれを小さくし、高分子化合物2の主鎖内における電荷の輸送性を高める観点からは、式(B−2)〜式(B−12)、及び、式(B−17)〜式(B−41)で表される高分子化合物が好ましく、式(B−2)〜式(B−3)及び式(B−18)〜式(B−40)で表される高分子化合物がより好ましい。
【0168】
【化51】

【0169】
【化52】

【0170】
【化53】

【0171】
【化54】

【0172】
式(B−1)〜式(B−41)中、R、R及びRは、前述と同じ意味を表す。nは、1以上の整数を表す。Rは、の定義、具体例は、前述のRで表される定義、具体例と同じである。
式(B−1)〜式(B−41)で表される高分子化合物において、高分子化合物の溶媒に対する溶解性を高め、該高分子化合物を含む薄膜の作製を容易にし、かつ、電荷の輸送性を高める観点からは、該高分子化合物が、Rを含まない場合、少なくともひとつのR又はRが置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基であり、かつ、全てのRが水素原子であることが好ましい。また、該高分子化合物が、Rを含む場合、少なくともひとつのRが置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基であり、かつ、R、R、及び、Rの全てが水素原子であることが好ましい。
【0173】
高分子化合物1及び高分子化合物2は、分子鎖末端に重合反応に活性である基が残っていると、該高分子化合物の電界効果移動度が低下する可能性がある。そのため、分子鎖末端は、アリール基、ヘテロアリール基等の安定な基であることが好ましい。
【0174】
高分子化合物1及び高分子化合物2は、いかなる種類の共重合体であってもよく、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
【0175】
高分子化合物1及び高分子化合物2のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と言う。)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常、1×10〜1×10である。
薄膜作製時に良好な薄膜を形成する観点からは、ポリスチレン換算の数平均分子量は2×10以上が好ましい。
溶媒への溶解性を高め、薄膜作製を容易にする観点からは、ポリスチレン換算の数平均分子量は1×10以下であることが好ましい。
【0176】
<高分子化合物の合成>
高分子化合物1及び高分子化合物2の製造方法としては、特に制限されるものではなく、Ni触媒を用いた還元的カップリング反応を用いる方法、Stilleカップリング反応を用いる方法、Suzukiカップリング反応を用いる方法があげられる。化合物の合成の容易さ、交互共重合化合物が得られやすい観点からは、Stilleカップリング反応及びSuzukiカップリング反応を用いる方法が好ましい。
【0177】
Suzukiカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式
−E−Q (100)
[式中、Eは、式(1)又は式(4)で表される構成単位、若しくは、式(7)又は式(8)で表される繰り返し単位を表す。Q及びQは、それぞれ独立に、ジヒドロキシボリル基[−B(OH)]又はホウ酸エステル残基を表す。]
で表される1種類以上の化合物と、式
−E−T (200)
[式中、Eは、式(1)〜式(6)で表される構成単位、若しくは、式(7)又は式(8)で表される繰り返し単位を表す。T及びTは、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はスルホン酸残基を表す。]
で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒及び塩基の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。
【0178】
ホウ酸エステル残基とは、ホウ酸ジエステルから水酸基を除去した基を意味し、ジアルキルエステル残基、ジアリールエステル残基、ジ(アリールアルキル)エステル残基などが挙げられる。ホウ酸エステル残基としては、下記式:
【0179】
【化55】



【0180】
(式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)
で表される基が例示される。
【0181】
式(200)における、T及びTで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。高分子化合物の合成の容易さからは、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、臭素原子であることがさらに好ましい。
【0182】
式(200)における、T及びTで表されるスルホン酸残基とは、スルホン酸(−SOH)から酸性水素を除いた原子団を意味し、具体例としては、アルキルスルホネート基(例えば、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基)、アリールスルホネート基(例えば、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基)、アリールアルキルスルホネート基(例えば、ベンジルスルホネート基)及びトリフルオロメタンスルホネート基が挙げられる。
【0183】
Stilleカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式
−E−Q (300)
[式中、Eは、式(1)又は式(4)で表される構成単位、若しくは、式(7)又は式(8)で表される繰り返し単位を表す。Q及びQは、それぞれ独立に、トリアルキルスタンニルを表す。]
で表される1種類以上の化合物と、式
−E−T (400)
[式中、Eは、式(1)〜式(6)で表される構成単位、若しくは、式(7)又は式(8)で表される繰り返し単位を表す。T及びTは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。]
で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。
【0184】
式(400)における、T及びTで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。高分子化合物の合成の容易さからは、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、臭素原子であることがさらに好ましい。
【0185】
トリアルキルスタンニル基としては、-SnR11で表される基等が挙げられる。ここでR11はアルキル基を表す。該アルキル基の炭素数は通常1〜30であり、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル墓、ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2一メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0186】
<溶液及び薄膜>
本発明の高分子化合物を含む薄膜を形成する方法としては、例えば、本発明の高分子化合物と溶媒とを含む溶液(以下、「インク」という場合がある。)を基体上に塗布し、溶媒を蒸発させることより薄膜を形成する方法が挙げられる。
【0187】
該溶媒としては、本発明の高分子化合物を溶解しうる化合物であればよく、芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン置換芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、ハロゲン置換脂肪族炭化水素溶媒、エーテル溶媒が挙げられる。芳香族炭化水素溶媒の例としては、キシレン、メシチレン、アニソール、シクロヘキシルベンゼンが挙げられる。ハロゲン置換芳香族炭化水素溶媒の例としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンが挙げられる。脂肪族炭化水素溶媒の例としては、テトラリンが挙げられる。ハロゲン置換脂肪族炭化水素溶媒の例としては、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサンが挙げられる。エーテル溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランが挙げられる。
【0188】
該溶液を用いて薄膜を形成する場合、溶液中の溶媒の沸点が低いと、均一な薄膜を形成するための乾燥工程の制御が困難な場合がある。そのため、溶媒の沸点は150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。
【0189】
該溶液を塗布する基体は、その上に薄膜を形成する対象である。例えば、有機半導体素子が、基板上にゲート電極を有し、ゲート電極覆うゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上にソース電極とドレイン電極を有する、トランジスタにおいて、本発明の高分子化合物を有する薄膜をトランジスタの活性層とする場合、塗布する対象は、ゲート絶縁層及びゲート絶縁層上のソース電極及びドレイン電極が挙げられる。
【0190】
該溶液を基体上に塗布する塗布方法としては、キャスト方法、スピンコート方法、バーコート法、インクジェット方法、凸版を用いる印刷方法、孔版を用いる印刷方法、第1の版に塗布した後に第2の版に転写し、第2の版を用いて印刷する方法などがあげられる。
【0191】
<有機半導体素子>
本発明の高分子化合物は、電界効果移動度が高いことから、有機半導体材料として、例えば、有機半導体素子の有機層に含ませて用いることができる。有機半導体素子としては、有機トランジスタ、有機太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス素子等が挙げられる。本発明の高分子化合物は、中でも、有機トランジスタの電荷輸送材料として特に有用である。
【0192】
<有機半導体材料>
有機半導体材料は、本発明の高分子化合物の1種類を単独で含むものであってもよく、また2種類以上を含むものであってもよい。また、有機半導体材料は、キャリア輸送性を高めるため、本発明の高分子化合物に加え、キャリア輸送性を有する低分子化合物又は高分子化合物を更に含んでいてもよい。有機半導体材料が、本発明の高分子化合物以外の成分を含む場合は、本発明の高分子化合物を30重量%以上含むことが好ましく、50重量%以上含むことがより好ましい。本発明の高分子化合物の含有量が30重量%未満である場合、薄膜化が困難となったり、良好な電荷移動度が得られ難くなったりする場合がある。
【0193】
キャリア輸送性を有する化合物としては、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、オキサジアゾール誘導体、フラーレン類及びその誘導体等の低分子化合物、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等の高分子化合物が例示できる。
【0194】
有機半導体材料は、その特性を向上させるために、高分子化合物材料を高分子バインダーとして含有していてもよい。高分子バインダーとしては、キャリア輸送性を過度に低下させないものが好ましい。
【0195】
高分子バインダーの例としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンが挙げられる。
【0196】
<有機トランジスタ>
有機トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられる。このような構成を有する有機トランジスタとしては、電界効果型有機トランジスタ、静電誘導型有機トランジスタ等が挙げられる。
【0197】
電界効果型有機トランジスタは、通常、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極と、活性層とゲート電極との間に配置される絶縁層とを有する有機トランジスタである。特に、ソース電極及びドレイン電極が、活性層に接して設けられており、さらに活性層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられている有機トランジスタが好ましい。
【0198】
静電誘導型有機トランジスタは、通常、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを有し、該ゲート電極が活性層中に設けられている有機トランジスタである。特に、ソース電極、ドレイン電極、及び前記ゲート電極が、前記活性層に接して設けられている有機トランジスタが好ましい。
【0199】
ゲート電極は、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成でき、かつ、ゲート電極に印加した電圧で該電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし型電極である。
【0200】
図1は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の一例を示す模式断面図である。図1に示す有機トランジスタ100は、基板1と、基板1上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6を覆うようにして基板1上に形成された活性層2と、活性層2上に形成された絶縁層3と、ソース電極5とドレイン電極6との間の領域上の絶縁層3を覆うように絶縁層3上に形成されたゲート電極4とを備えるものである。
【0201】
図2は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図2に示す有機トランジスタ110は、基板1と基板1上に形成されたソース電極5と、ソース電極5を覆うようにして基板1上に形成された活性層2と、ソース電極5と所定の間隔を持って活性層2上に形成されたドレイン電極6と、活性層2及びドレイン電極6上に形成された絶縁層3と、ソース電極5とドレイン電極6との間の領域上の絶縁層3を覆うように絶縁層3上に形成されたゲート電極4とを備えるものである。
【0202】
図3は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図3に示す有機トランジスタ120は、基板1と基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が下部に形成されている絶縁層3の領域の一部を覆うように、絶縁層3上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6の一部を覆うように絶縁層3上に形成された活性層2とを備えるものである。
【0203】
図4は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図4に示す有機トランジスタ130は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が下部に形成されている絶縁層3の領域の一部を覆うように絶縁層3上に形成されたソース電極5と、ソース電極5の一部を覆うようにして絶縁層3上に形成された活性層2と、活性層2の一部を覆うように、ソース電極5と所定の間隔を持って絶縁層3上に形成されたドレイン電極6とを備えるものである。
【0204】
図5は、本発明の有機トランジスタ(静電誘導型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図5に示す有機トランジスタ140は、基板1と、基板1上に形成されたソース電極5と、ソース電極5上に形成された活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って複数形成されたゲート電極4と、ゲート電極4の全てを覆うようにして活性層2上に形成された活性層2a(活性層2aを構成する材料は、活性層2と同一であっても異なっていてもよい)と、活性層2a上に形成されたドレイン電極6とを備えるものである。
【0205】
図6は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図6に示す有機トランジスタ150は、基板1と、基板1上に形成された活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6の一部を覆うようにして活性層2上に形成された絶縁層3と、ソース電極5が下部に形成されている絶縁層3の領域とドレイン電極6が下部に形成されている絶縁層3の領域とをそれぞれ一部覆うように、絶縁層3上に形成されたゲート電極4とを備えるものである。
【0206】
図7は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図7に示す有機トランジスタ160は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が下部に形成されている絶縁層3の領域を覆うように形成された活性層2と、活性層2の一部を覆うように活性層2上に形成されたソース電極5と、活性層2の一部を覆うように、ソース電極5と所定の間隔を持って活性層2上に形成されたドレイン電極6とを備えるものである。
【0207】
図8は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図8に示す有機トランジスタ170は、ゲート電極4と、ゲート電極4上に形成された絶縁層3と、絶縁層3上に形成された活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、を備えるものである。この場合、ゲート電極4は基板1を兼ねる構成となっている。
【0208】
図9は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図9に示す有機トランジスタ180は、ゲート電極4と、ゲート電極4上に形成された絶縁層3と、絶縁層3上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6の一部を覆うように絶縁層3上に形成された活性層2とを備えるものである。
【0209】
上述した本発明の有機トランジスタにおいては、活性層2及び/又は活性層2aは、本発明の高分子化合物を含有する膜によって構成され、ソース電極5とドレイン電極6との間の電流通路(チャネル)となる。また、ゲート電極4は、電圧を印加することにより電流通路(チャネル)を通る電流量を制御する。
【0210】
このような電界効果型有機トランジスタは、公知の方法、例えば特開平5−110069号公報記載の方法により製造することができる。また、静電誘導型有機トランジスタは、特開2004−006476号に公報記載の方法等の公知の方法により製造することができる。
【0211】
基板1の材料は、有機トランジスタの特性を阻害しない材料であればよい。基板としては、ガラス基板、フレキシブルなフィルム基板、プラスチック基板を用いることができる。
【0212】
絶縁層3の材料は、電気の絶縁性が高い材料であればよく、SiOx、SiNx、Ta25、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、有機ガラス、フォトレジスト等を用いることができるが、低電圧化の観点からは、誘電率の高い材料を用いることが好ましい。
【0213】
絶縁層3の上に活性層2を形成する場合は、絶縁層3と活性層2の界面特性を改善するため、シランカップリング剤等の表面処理剤で絶縁層3の表面を処理して表面改質した後に活性層2を形成することも可能である。
【0214】
有機電界効果トランジスタの場合、電子やホール等の電荷は、一般に絶縁層と活性層の界面付近を通過する。従って、この界面の状態がトランジスタの移動度に大きな影響を与える。そこで、界面状態を改良して特性を向上させる方法として、シランカップリング剤による界面の制御が提案されている(例えば、表面化学、2007年、第28巻、第5号、p.242−248)。
【0215】
シランカップリング剤の例としては、アルキルクロロシラン類(オクチルトリクロロシラン(OTS)、オクタデシルトリクロロシラン(ODTS)、フェニルエチルトリクロロシラン等)、アルキルアルコキシしラン類、フッ素化アルキルクロロシラン類、フッ素化アルキルアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のシリルアミン化合物が挙げられる。また、表面処理剤で処理する前に、絶縁層表面をオゾンUV処理、Oプラズマ処理してもよい。
【0216】
このような処理によって、絶縁層として用いられるシリコン酸化膜等の表面エネルギーを制御することができる。また、表面処理により、活性層を構成している膜の絶縁層上での配向性が向上し、高い電荷輸送性(移動度)が得られる。
【0217】
ゲート電極4には、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン、低抵抗ポリシリコン、低抵抗アモルファスシリコン等の金属や、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物(ITO)等の材料を用いることができる。これらの材料は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、ゲート電極4としては、高濃度にドープされたシリコン基板を用いることも可能である。高濃度にドープされたシリコン基板は、ゲート電極としての性能とともに、基板としての性能も併有する。このような基板としての性能も有するゲート電極4を用いる場合には、基板1とゲート電極4とが接している有機トランジスタにおいて、基板1を省略してもよい。
【0218】
ソース電極5及びドレイン電極6は、素子の消費電力の低減の観点からは、低抵抗の材料から構成されることが好ましい。また、電極材料の安定性の観点からは、仕事関数の大きな材料が好ましい。ソース電極及びドレイン電極の材料は、仕事関数が3eV以上の材料が好ましく、4eV以上の材料がより好ましい。これらの材料の中でも、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデンから構成されることが特に好ましい。これらの材料は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0219】
前記有機トランジスタにおいて、ソース電極5及びドレイン電極6と、活性層2との間には、更に他の化合物から構成された層が介在していてもよい。このような層としては、電子輸送性を有する低分子化合物、ホール輸送性を有する低分子化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、これらの金属と有機化合物との錯体、ヨウ素、臭素、塩素、塩化ヨウ素等のハロゲン、硫酸、無水硫酸、二酸化硫黄、硫酸塩等の酸化硫黄化合物、硝酸、二酸化窒素、硝酸塩等の酸化窒素化合物、過塩素酸、次亜塩素酸等のハロゲン化化合物、アルキルチオール化合物、芳香族チオール類、フッ素化アルキル芳香族チオール類等の芳香族チオール化合物等からなる層が挙げられる。
【0220】
また、上述したような有機トランジスタを作製した後には、素子を保護するため、有機トランジスタ上に保護膜を形成することが好ましい。これにより、有機トランジスタが大気から遮断され、有機トランジスタの特性の低下を抑制することができる。また、有機トランジスタの上に駆動する表示デバイスを形成する場合、その形成工程における有機トランジスタへの影響も該保護膜により低減することができる。
【0221】
保護膜を形成する方法としては、有機トランジスタを、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂や無機のSiONx膜等で覆う方法等が挙げられる。大気との遮断を効果的に行うため、有機トランジスタを作製後、有機トランジスタを大気にさらすことなく(例えば、乾燥した窒素雰囲気中、真空中等で)保護膜を形成することが好ましい。
【0222】
このように構成された有機トランジスタの一種である有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子等として適用できる。そして、上述した実施形態の有機電界効果トランジスタは、活性層として、本発明の高分子化合物を含有し、そのことにより電荷輸送性が向上した活性層とを備えているため、その電界効果移動度が高いものとなる。したがって、十分な応答速度を持つディスプレイの製造等に有用である。
【実施例】
【0223】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0224】
(分子量分析)
高分子化合物の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC、Waters社製、商品名:Alliance GPC 2000)を用いて求めた。カラム温度は140度で測定した。測定する高分子化合物は、オルトジクロロベンゼンに加熱して溶解させ、GPCに注入した。GPCの移動相にはオルトジクロロベンゼンを用いた。カラムは、TSKgel GMHHR−H(S)HT(2本連結、東ソー製)を用いた。検出器には示差屈折計検出器を用いた。
【0225】
実施例1
<高分子化合物A>
(化合物3の合成)
【0226】
【化56】

【0227】
フラスコに、化合物1を1.57g、化合物2を5.06g、クロロベンゼンを50mL入れ、窒素雰囲気下、合計で20時間15分間、還流しながら撹拌した。攪拌を開始してから4時間30分経過後、化合物2を1.7g追加し、7時間30分経過後、化合物2を0.59g追加し、8時間経過後、化合物2を0.50g追加し、9時間30分経過後、化合物2を0.50g追加した。攪拌後、室温に放冷し、析出物を濾過して回収した。得られた濾物をクロロベンゼンで洗浄し、続いてメタノールで洗浄した後、乾燥させ、薄い紫色がかった白色の粉末として化合物3を得た。化合物3の得量は4.89gであった。
【0228】
(化合物6の合成)
【0229】
【化57】

【0230】
フラスコに、化合物3を4.80g、濃硫酸を70g入れ、窒素雰囲気下、合計で16時間30分間、室温条件で撹拌した。反応液を氷水に注ぎ、析出物を濾過回収した。得られた濾物を水で洗浄した後、乾燥させ、ベージュ色の粉末を得た。ベージュ色の粉末の得量は3.94gであった。
フラスコに、得られたベージュ色の粉末を1.47g、ピリジンを15g入れ、フラスコ内の空気を窒素で置換した。続いて、フラスコに化合物5を2.00g加え、8時間30分還流しながら攪拌した。反応物を室温で放置し、析出物を濾過回収した。得られた濾物を水で洗浄した後、乾燥させ、濃オレンジ色の結晶として化合物6を得た。化合物6の得量は、0.68gであった。
【0231】
(高分子化合物Aの合成)
【0232】
【化58】

【0233】
フラスコに、化合物6を100mg、化合物7を157mg入れ、フラスコ内の空気を窒素で置換した後、トルエンを55ml入れた。続いて、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを3.4mg、トリスオルトトリルホスフィンを6.8mg入れ、105℃で7時間攪拌した。一旦、室温に放冷後、反応液にブロモベンゼンを23mg、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを1.7mg、トリスオルトトリルホスフィンを3.4mg入れ、100℃で5時間攪拌した。その後、反応液をメタノールに注いだ。析出物を濾取し、濾物をソックスレー洗浄器により、アセトンで洗浄した。洗浄後に得られた固体を乾燥させ、高分子化合物Aを147mg得た。高分子化合物Aのポリスチレン換算の数平均分子量は1.2×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.3×10であった。
【0234】
実施例2
<高分子化合物B>
(化合物9の合成)
【0235】
【化59】

【0236】
フラスコに、化合物8を3.13g、化合物2を20.10g、1,2,4−トリクロロベンゼンを100g入れ、窒素雰囲気下、合計で29時間35分間、180℃で撹拌した。室温に放冷後、析出物を濾過して回収した。得られた濾物をトルエンで洗浄した後、乾燥させ、濃い紫色の粉末である化合物9を得た。化合物9の得量は2.92gであった。
【0237】
(高分子化合物Bの合成)
【0238】
【化60】

【0239】
フラスコに、化合物9を100mg、化合物7を217mg入れ、フラスコ内の空気を窒素で置換した後、トルエンを74ml入れた。続いて、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを4.7mg、トリスオルトトリルホスフィンを9.4mg入れ、105℃で7時間攪拌した。一旦、室温に放冷後、反応液にブロモベンゼンを31mg、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを2.3mg、トリスオルトトリルホスフィンを4.7mg入れ、100℃で5時間攪拌した。その後、反応液をメタノールに注いだ。析出物を濾取し、濾物をソックスレー洗浄器により、アセトンで洗浄した。洗浄後に得られた固体を乾燥させた。該固体を加熱しながらクロロベンゼンに溶解させ、加熱クロロベンゼンを展開溶媒として用いたシリカゲルカラムで精製を行った。精製後のクロロベンゼン溶液をメタノールに滴下し、析出物を濾過し、高分子化合物Bを78mg得た。高分子化合物Bのポリスチレン換算の数平均分子量は5.5×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は7.1×10であった。
【0240】
実施例3
<有機トランジスタ1の作製及び評価>
(有機トランジスタ1の作製)
高分子化合物Aを含む溶液を用いて、図9に示す構造を有する有機トランジスタ1を作製した。
ゲート電極となる高濃度にドーピングされたn−型シリコン基板の表面を熱酸化し、シリコン酸化膜(以下、「熱酸化膜」という。)を形成した。熱酸化膜は絶縁層として機能する。次に、フォトリソグラフィ工程により熱酸化膜上にソース電極及びドレイン電極を作製した。該ソース電極及び該ドレイン電極は、熱酸化膜側からクロム(Cr)層と金(Au)層とを有し、チャネル長が100μmであり、チャネル幅が1mmであった。こうして得られた熱酸化膜、ソース電極及びドレイン電極を形成した基板をアセトンで超音波洗浄を行ない、オゾンUVクリーナーでUVオゾン処理を行なった。その後、β−フェネチルトリクロロシランで熱酸化膜の表面を修飾した。次に、上記表面処理した熱酸化膜、ソース電極及びドレイン電極上に、高分子化合物Aを0.5重量%含む140℃のオルトジクロロベンゼン溶液を、1000rpmの回転速度でスピンコートし、有機半導体層(活性層)を形成した。その後、有機半導体層を70℃で30分、次いで、120℃で30分、次いで、170℃で30分、次いで、230℃で30間加熱し、有機トランジスタ1を製造した。
【0241】
(p型トランジスタ特性の評価)
有機トランジスタ1のゲート電圧Vg、ソース・ドレイン間電圧Vsdを変化させ、p型トランジスタ特性を測定した。ホールの電界効果移動度は、3.7×10−4cm/Vsであった。
【0242】
(n型トランジスタ特性の評価)
有機トランジスタ1のゲート電圧Vg、ソース・ドレイン間電圧Vsdを変化させ、n型トランジスタ特性を測定した。電子の電界効果移動度は、2.8×10−4cm/Vsであった。有機トランジスタ1は簡便に作製することができ、p型特性とn型特性の両極性を示した。
【0243】
実施例4
<有機トランジスタ2の作製及び評価>
高分子化合物Aにかえて高分子化合物Bを用いた以外は実施例3と同様に有機トランジスタ2を作製した。
【0244】
(p型トランジスタ)
有機トランジスタ2のゲート電圧Vg、ソース・ドレイン間電圧Vsdを変化させ、p型トランジスタ特性を測定した。ホールの電界効果移動度は、6.2×10−4cm/Vsであった。
【0245】
(n型トランジスタ)
有機トランジスタ2のゲート電圧Vg、ソース・ドレイン間電圧Vsdを変化させ、n型トランジスタ特性を測定した。電子の電界効果移動度は、2.7×10−4cm/Vsであった。有機トランジスタ2は簡便に作製することができ、p型特性とn型特性の両極性を示した。
【0246】
本発明の高分子化合物を用いることで、両極性の有機トランジスタを簡便に製造することができる。
【符号の説明】
【0247】
1…基板、
2、2a…活性層、
3…絶縁層、
4…ゲート電極、
5…ソース電極、
6…ドレイン電極、
100、110、120、130、140、150、160、170…有機トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

(1)
〔式中、Zは、−O−、−S−、−N(R)−、−N(COR)−又は−N(CO)−を表す。Zは、−S−、−N(R)−、−N(COR)−又は−N(CO)−を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。〕
で表される構成単位を含む高分子化合物。
【請求項2】
さらに、式(1)で表される構成単位とは異なる式
【化2】

(2)
〔式中、Arは、−C≡C−、−C(R)=C(R)−、−N=N−、−C(R)=N−、2価の芳香族アミン残基、置換基を有していてもよいアリーレン基又は置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。〕
で表される構成単位を含む高分子化合物。
【請求項3】

【化3】

(3)
〔式中、Z、Z、R、R及びArは、前述と同じ意味を表す。2個あるArは、同一でも相異なってもよい。〕
で表される繰り返し単位中に、式(1)で表される構成単位と式(2)で表される構成単位とを含む請求項2に記載の高分子化合物。
【請求項4】

【化4】

(4)
〔式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。〕
で表される構成単位と、式
【化5】

(5)
〔式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。4個あるRは、それぞれ同一でも相異なってもよい。〕
で表される構成単位、及び、式(4)で表される構成単位とは異なる式
【化6】

(6)
〔式中、Arは、−C≡C−、−C(R)=C(R)−、−N=N−、−C(R10)=N−、2価の芳香族アミン残基、置換基を有していてもよいアリーレン基であって該アリーレン基が含有する芳香環に含まれる炭素原子の数が8以上である置換基を有していてもよいアリーレン基又は置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基を表す。R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。〕
で表される構成単位
からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位とを含む高分子化合物。
【請求項5】

【化7】

(7)
[式中、R、R及びArは、前述と同じ意味を表す。]
で表される繰り返し単位中に、式(4)で表される構成単位と式(6)で表される構成単位とを含む請求項4に記載の高分子化合物。
【請求項6】
共役高分子化合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物と、溶媒と、を含有する溶液。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む薄膜。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む有機半導体材料。
【請求項10】
請求項9に記載の有機半導体材料を含む有機層を有する有機半導体素子。
【請求項11】
ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極及び活性層を有し、該活性層に請求項9に記載の有機半導体材料を含む有機トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−57007(P2013−57007A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196178(P2011−196178)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】