説明

高周波加熱装置

【課題】 安価で、且つ、微妙な加熱温度制御が可能な高周波加熱装置を得る。
【解決手段】 被処理物30に対する加熱開始時から目標温度に達するまでの間は高出力が得られるLC共振式半波倍電圧電源6を使用し、目標温度に達した時点からこの目標温度を維持して被処理物30を加熱することが求められる場合には、微妙な加熱温度制御が可能なインバータ電源5を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネトロンを用いて被処理物を加熱する高周波加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波加熱装置には、高圧トランスと高圧コンデンサを有し、マグネトロンに発振電力を供給する倍電圧電源方式のものと、交流電源を整流して直流電力に変換し、直流電力をスイッチングして高周波電力に変換してマグネトロンに供給するインバータ電源方式のものとが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
倍電圧電源方式の高周波加熱装置では、マイクロ波の出力調整をマグネトロンのオン/オフ制御によって可能にしており、インバータ電源方式の高周波加熱装置では、マイクロ波の出力調整をスイッチング周波数、デューテイ等を制御することで可能にしている。また、倍電圧電源方式は高出力が得られることから主に工業用として用いらており、インバータ電源方式はマイクロ波出力調整が容易であることから主に一般家庭用の電子レンジに用いられている。
【0004】
【特許文献1】特開平05−190105号公報
【特許文献2】特開平06−151054号公報
【特許文献3】特開2003−343847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の高周波加熱装置において、倍電圧電源方式は、上述したように高出力が得られる反面、マイクロ波の出力調整をマグネトロンのオン/オフ制御で行っているので、微妙な加熱温度制御が困難である。特に、被処理物が高周波入力効率の良いものであればあるほど対応できなくなる。一方、インバータ電源方式は、スイッチング周波数やデューテイを制御することでマイクロ波の出力調整を行っているので、被処理物の特性に合った微妙な加熱温度制御が可能である。しかしその反面、高出力が得られず、工業用として用いる場合には複数個用意する必要があり、その分コスト高になってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安価で且つ微妙な加熱温度制御が可能な高周波加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は下記構成又はプログラムにより達成される。
(1) マイクロ波を輻射して被処理物を加熱する高周波加熱装置であって、高圧トランスと高圧コンデンサとを有し、マグネトロンに発振電力を供給する倍電圧電源方式の第1の電源供給手段と、交流電源を整流して直流電力に変換し、直流電力をスイッチングして高周波電力に変換してマグネトロンに供給するインバータ電源方式の第2の電源供給手段と、高出力のマイクロ波を必要とする場合には前記第1の電源供給手段に切り替え、低出力のマイクロ波で且つ微妙な出力調整を必要とする場合には前記第2の電源供給手段に切り替える制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
(2) マイクロ波を輻射して被処理物を加熱する高周波加熱装置であって、高圧トランスと高圧コンデンサとを有し、マグネトロンに発振電力を供給する倍電圧電源方式の第1の電源供給手段と、交流電源を整流して直流電力に変換し、直流電力をスイッチングして高周波電力に変換してマグネトロンに供給するインバータ電源方式の第2の電源供給手段と、前記被処理物を収容する庫内にて前記被処理物の温度を検出する温度検出手段と、前記被処理物を一気に加熱する場合には前記第1の電源供給手段に切り替え、その後前記温度検出手段の出力に基づいて目的温度に達するまで前記第1の電源供給手段から電源が供給されるマグネトロンをオン/オフ制御し、前記目的温度に達した時点で前記第2の電源供給手段に切り替え、その後前記温度検出手段の出力に基づいて前記目的温度を維持するように前記第2の電源供給手段のスイッチング周波数、デューテイを含むパラメータを微調整する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0009】
(3) 上記(2)に記載の高周波加熱装置において、前記庫内の湿度を検出する湿度検出手段を具備し、前記制御手段は、前記湿度検出手段の出力から前記被処理物の含水率が目的の値に達した時点で前記第2の電源供給手段による加熱を停止することを特徴とする。
【0010】
(4) 高圧トランスと高圧コンデンサとを有し、マグネトロンに発振電力を供給する倍電圧電源方式の第1の電源供給手段と、交流電源を整流して直流電力に変換し、直流電力をスイッチングして高周波電力に変換してマグネトロンに供給するインバータ電源方式の第2の電源供給手段と、を具備し、前記第1の電源供給手段又は前記第2の電源供給手段を用いて前記マグネトロンからマイクロ波を輻射させて被処理物を加熱する高周波加熱装置に用いるプログラムであって、高出力のマイクロ波を必要とするか又は低出力のマイクロ波で且つ微妙な出力調整を必要とするかを判定する判定手順と、高出力のマイクロ波を必要とする場合には前記第1の電源供給手段に切り替え、低出力のマイクロ波で且つ微妙な出力調整を必要とする場合には前記第2の電源供給手段に切り替える切り替え手順と、を有し、コンピュータによって前記各手順を実行させることを特徴とする。
【0011】
(5) 高圧トランスと高圧コンデンサとを有し、マグネトロンに発振電力を供給する倍電圧電源方式の第1の電源供給手段と、交流電源を整流して直流電力に変換し、直流電力をスイッチングして高周波電力に変換してマグネトロンに供給するインバータ電源方式の第2の電源供給手段と、を具備し、前記第1の電源供給手段又は前記第2の電源供給手段を用いて前記マグネトロンからマイクロ波を輻射させて被処理物を加熱する高周波加熱装置に用いるプログラムであって、前記被処理物を収容する庫内の温度を検出する温度検出手順と、前記被処理物への加熱開始前に前記第1の電源供給手段に切り替え、前記庫内の温度が目的温度に達すると前記第2の電源供給手段に切り替える切り替え手順と、前記第1の電源供給手段に切り替えられた場合には前記目的温度に達するまで前記第1の電源供給手段から電源が供給されるマグネトロンをオン/オフ制御するオン/オフ制御手順と、前記第1の電源供給手段から前記第2の電源供給手段に切り替えられると前記目的温度を維持するように前記第2の電源供給手段のスイッチング周波数、デューテイを含むパラメータを微調整するパラメータ微調整手順と、を有し、コンピュータによって前記各手順を実行させることを特徴とする。
【0012】
(6) 上記(5)に記載のプログラムにおいて、前記庫内の湿度を検出する湿度検出手段と、前記第2の電源供給手段のパラメータ微調整により前記被処理物の含水率が目的の値に達した時点で前記第2の電源供給手段による加熱を停止する加熱停止手順と、を更に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記(1)に記載の高周波加熱装置によれば、高出力のマイクロ波を必要とする場合には第1の電源供給手段を使用し、低出力のマイクロ波で且つ微妙な出力調整を必要とする場合には第2の電源供給手段を使用するので、倍電圧電源方式の電源のみの場合と比べて微妙な加熱温度制御が可能となり、また低出力型のインバータ電源方式の電源を複数備える場合と比べてコストを低く抑えることが可能となる。すなわち、安価で且つ微妙な加熱温度制御が可能な高周波加熱装置を得ることができる。
【0014】
上記(2)に記載の高周波加熱装置によれば、被処理物に対する加熱を開始してから被処理物の温度が目標温度に達するまでは高出力が得られる倍電圧電源方式の電源を使用し、被処理物の温度が目標温度に達した時点からはマイクロ波出力量の微調整が可能なインバータ電源方式の電源を使用し、インバータ電源方式の電源の使用開始後は、目標温度を維持できるようにスイッチング周波数、デューテイを含むパラメータの微調整を行うので、倍電圧電源方式の電源のみの場合と比べて微妙な加熱温度制御が可能となり、また低出力型のインバータ電源方式の電源を複数備える場合と比べてコストを低く抑えることが可能となる。すなわち、安価で且つ微妙な加熱温度制御が可能な高周波加熱装置を得ることができる。
【0015】
上記(3)に記載の高周波加熱装置によれば、庫内の湿度を検出する湿度検出手段の出力から被処理物の含水率が目的の値に達した時点で被処理物に対する加熱を停止するので、被処理物を好適に乾燥させることができる。
【0016】
上記(4)に記載のプログラムによれば、高出力のマイクロ波を必要とする場合には第1の電源供給手段を使用し、低出力のマイクロ波で且つ微妙な出力調整を必要とする場合には第2の電源供給手段を使用するので、倍電圧電源方式の電源のみの場合と比べて微妙な加熱温度制御が可能となり、また低出力型のインバータ電源方式の電源を複数備える場合と比べてコストを低く抑えることが可能となる。すなわち、安価で且つ微妙な加熱温度制御が可能な高周波加熱装置を得ることができる。
【0017】
上記(5)に記載のプログラムによれば、被処理物に対する加熱を開始してから被処理物の温度が目標温度に達するまでは高出力が得られる倍電圧電源方式の電源を使用し、被処理物の温度が目標温度に達した時点からはマイクロ波出力量の微調整が可能なインバータ電源方式の電源を使用し、インバータ電源方式の電源の使用開始後は、目標温度を維持できるようにスイッチング周波数、デューテイを含むパラメータの微調整を行うので、倍電圧電源方式の電源のみの場合と比べて微妙な加熱温度制御が可能となり、また低出力型のインバータ電源方式の電源を複数備える場合と比べてコストを低く抑えることが可能となる。すなわち、安価で且つ微妙な加熱温度制御が可能な高周波加熱装置を得ることができる。
【0018】
上記(6)に記載のプログラムによれば、庫内の湿度を検出する湿度検出手段の出力から被処理物の含水率が目的の値に達した時点で被処理物に対する加熱を停止するので、被処理物を好適に乾燥させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係る高周波加熱装置を詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる高周波加熱装置の一実施形態の概略構成を示す図、図2はこの高周波加熱装置の電気的構成を示すブロック図、図3はこの高周波加熱装置の外観を示す斜視図である。本実施の形態に係る高周波加熱装置は、陶芸用のマイクロ波焼成炉としたものであるが、本発明はこれに限定されることはなく、陶芸用の粘土以外の被処理物を乾燥させたり、加熱したりする様々な用途に用いることができることは明らかである。
【0020】
図1において、本実施形態に係る高周波加熱装置1は、被処理物30(生粘土)を入れる庫内キャビティ2と、庫内キャビティ2の両側に配置された2基のマグネトロン3A及び3Bと、マグネトロン3Aと庫内キャビティ2とを接続する導波管4Aと、マグネトロン3Bと庫内キャビティ2とを接続する導波管4Bと、マグネトロン3Aを駆動するインバータ電源(第2の電源供給手段)5と、マグネトロン3Bを駆動するLC共振式半波倍電圧電源(第1の電源供給手段)6と、高周波加熱装置1を操作可能にすると共に操作内容、現在温度、経過時間等の各種表示を行う操作・表示基板7と、操作・表示基板7からの入力情報に従ってインバータ電源5及びLC共振式半波倍電圧電源6を制御すると共に、操作・表示基板7に装置の動作状況を表示させる制御マイコン基板8と、庫内キャビティ2内の湿度から被処理物30の湿度を測定するための湿度センサ(湿度検出手段)9と、庫内キャビティ2内の温度から被処理物30の温度を測定するための温度センサ(温度検出手段)10とを備えている。
【0021】
インバータ電源5は、交流電源を整流して直流電力に変換し、直流電力をスイッチングして高周波電力に変換してマグネトロン3Aに供給するものであり、スイッチング周波数、デューテイ等のパラメータの調整による出力制御が可能となっている。
LC共振式半波倍電圧電源6は、高圧トランス6Aと高圧コンデンサ6Bを有し、マグネトロン3Bに発振電力を供給する。
【0022】
操作・表示基板7には、図2に示すように表示部7Aと入力キー部7Bが設けられている。表示部7Aには加熱処理における操作内容、現在温度、経過時間等の各種表示が行われる。
入力キー部7Bは装置を操作するためのものであり、制御マイコン基板8にユーザの操作情報を入力する。表示部7Aと入力キー部7Bは、図3の斜視図に示すように装置本体前面上部に配置されている。
【0023】
制御マイコン基板8には、図2に示すように、増幅回路13A及び13B、A/D変換回路14A及び14B、制御CPU(制御手段、コンピュータ)15が設けられている。増幅回路13Aは、湿度センサ9の検出信号を所定レベルまで増幅して出力する。A/D変換回路14Aは、増幅回路13Aで増幅された湿度センサ9の検出信号をディジタル信号に変換して出力する。湿度センサ9としては例えばセラミック湿度センサが好適である。
【0024】
増幅回路13Bは、温度センサ10の検出信号を所定レベルまで増幅して出力する。A/D変換回路14Bは、増幅回路13Bで増幅された温度センサ10の検出信号をディジタル信号に変換して出力する。温度センサ10としては例えば熱電対が好適である。制御CPU15は、内部に有するメモリ15Aに格納されたプログラムに従って被処理物30に対する加熱温度制御を行う。
【0025】
被処理物30の加熱においては、A/D変換回路14Aから出力されるディジタル電圧値を湿度データに変換すると同時に、A/D変換回路14Bから出力されるディジタル電圧値を温度データに変換し、これらのデータと操作・表示基板7の入力キー部7Bからの入力情報とに応じて制御信号を生成しインバータ電源5又はLC共振式半波倍電圧電源6に入力する。この場合、被処理物30を乾燥させる目標温度に達するまではLC共振式半波倍電圧電源6に制御信号を入力して被処理物30を加熱し、目標温度に達した時点でLC共振式半波倍電圧電源6からインバータ電源5に制御信号を入力して、目標温度が一定になるように加熱温度制御する。
【0026】
図1において、庫内キャビティ2は被処理物30を収容するものであり、庫内キャビティ2内で被処理物30に対してマグネトロン3A又は3Bからマイクロ波が輻射される。
【0027】
図4は、被処理物30に対する加熱乾燥パターンの一例であり、横軸が加熱時間を示しており、縦軸が被処理物の温度を示している。被処理物30を乾燥する乾燥工程では、目標温度Temp1に達するまではLC共振式半波倍電圧電源6にて高出力で加熱が行われる。期間Taで目標温度Temp1に達した時から乾燥終了時までの期間Tbではインバータ電源5にて微妙なマイクロ波出力量の制御が行われる。この乾燥工程で被処理物30の含水率が6〜8%の1桁台になる。乾燥終了後は焼成工程に移行して期間Tcで素焼き等の焼成工程が行われる。
【0028】
次に、図5に示すフローチャートを参照して、上記構成の高周波加熱装置1の乾燥工程における動作を説明する。
まず操作・表示基板7の入力キー部7Bにて設定された目標温度を取得する(ステップS10)。次いで、温度センサ10の出力信号を読み込んで被処理物30の温度を求め(ステップS11、温度検出手順に対応)、この温度(以下、被処理物温度)が目標温度より低い所定の温度未満であるかどうか判定する(ステップS12、判定手順に対応)。ここで、目標温度より低い所定温度とは、インバータ電源5を用いた加熱温度制御でも極短時間で目標温度まで到達できる温度である。この温度より低い場合には、インバータ電源5を用いた加熱温度制御では目標温度まで到達するには時間がかかるので、LC共振式半波倍電圧電源6を用いる。
【0029】
ステップS12の判定において、被処理物温度が目標温度より低い所定温度未満である場合(ステップS12のYesの場合)、短時間で目標温度まで上げるために高出力が得られるLC共振式半波倍電圧電源6を選択する(ステップS13、切り替え手順に対応)。LC共振式半波倍電圧電源6を選択してこのLC共振式半波倍電圧電源6にてマグネトロン3Bの駆動を開始した後、温度センサ10の出力信号に基づき、被処理物温度が目標温度に達するまでマグネトロン3Bをオン/オフ制御する(ステップS14、オン/オフ制御手順に対応)。これにより、マグネトロン3Bから高出力のマイクロ波が輻射されて被処理物30の温度が一気に上昇し乾燥が進行する。
【0030】
LC共振式半波倍電圧電源6にてマグネトロン3Bの駆動を開始した直後から被処理物温度が目標温度に達したかどうか判定し(ステップS15)、目標温度に達しなければ、達するまでこの処理を繰り返す。これに対して被処理物温度が目標温度に達した場合(ステップS15のYesの場合)、LC共振式半波倍電圧電源6からインバータ電源5に切り替える。すなわちインバータ電源5を選択する(ステップS16、切り替え手順に対応)。なお、上記ステップS12の判定において、被処理物温度が目標温度より低い所定温度以上であれば、インバータ電源5による加熱温度制御でも極短時間で目標温度まで上げることができることから、ステップS12から直接ステップS16に移行する。
【0031】
インバータ電源5を選択してこのインバータ電源5にてマグネトロン3Aの駆動を開始した後、被処理物温度が目標温度を維持するようにインバータ電源5を制御する(ステップS17)。この際、温度センサ10の出力信号に基づき、目標温度を維持するようにインバータ電源5のスイッチング周波数、デューテイ等のパラメータを調整する(パラメータ調整手順)。そして、湿度センサ9の出力信号を読み込み(ステップS18、湿度検出手順に対応)、被処理物30の湿度が6〜8%であるかどうか判定する(ステップS19)。被処理物30の湿度が6〜8%になっていない場合(ステップS19のNoの場合)、ステップS17に戻る。被処理物30の湿度が6〜8%になるまでステップS17〜ステップS19の処理を繰り返し行う。そして、被処理物30の湿度が6〜8%になった場合(ステップS19のYesの場合)、インバータ電源5を使用した加熱を停止し(ステップS18とステップS19、加熱停止手順に対応)、乾燥工程を終了する。
【0032】
以上のように、本実施の形態に係る高周波加熱装置1によれば、被処理物30に対する加熱開始時から目標温度に達するまでの間は高出力が得られるLC共振式半波倍電圧電源6を使用し、目標温度に達した時点から被処理物30の含水率が目的とする値(6〜8%)になるまでの間は微妙な加熱温度制御が可能なインバータ電源5を使用する。したがって、LC共振式半波倍電圧電源のみの場合と比べて微妙な加熱温度制御が可能となり、また低出力型のインバータ電源を複数備える場合と比べてコストを低く抑えることが可能となる。すなわち、安価で且つ微妙な加熱温度制御が可能な高周波加熱装置を提供することができる。
【0033】
なお、上記実施の形態では、陶芸用のマイクロ波焼成炉に用いて、庫内キャビティ2の温度に応じてLC共振式半波倍電圧電源6とインバータ電源5の切り替えを行うようにしたが、高出力のマイクロ波と、低出力のマイクロ波で且つ微妙な出力調整を必要とするものであれば、如何なるものにも適用できることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
例えばマイクロ波焼成炉のように、マイクロ波を利用して被処理物を加熱する用途への適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態に係る高周波加熱装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の高周波加熱装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の高周波加熱装置の外観を示す斜視図である。
【図4】図1の高周波加熱装置の乾燥工程における被処理物に対する加熱時間と被処理物温度の変化を示す波形図である。
【図5】図1の高周波加熱装置の乾燥工程における動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 高周波加熱装置
2 庫内キャビティ
3A、3B マグネトロン
4A、4B 導波管
5 インバータ電源
6 LC式共振半波倍電圧電源
6A 高圧トランス
6B 高圧コンデンサ
7 操作・表示基板
7A 表示部
7B 入力キー部
8 制御マイコン基板
9 湿度センサ
10 温度センサ
13A、13B 増幅回路
14A、14B A/D変換回路
15 制御CPU
30 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を輻射して被処理物を加熱する高周波加熱装置であって、
高圧トランスと高圧コンデンサとを有し、マグネトロンに発振電力を供給する倍電圧電源方式の第1の電源供給手段と、
交流電源を整流して直流電力に変換し、直流電力をスイッチングして高周波電力に変換してマグネトロンに供給するインバータ電源方式の第2の電源供給手段と、
高出力のマイクロ波を必要とする場合には前記第1の電源供給手段に切り替え、低出力のマイクロ波で且つ微妙な出力調整を必要とする場合には前記第2の電源供給手段に切り替える制御手段と、
を具備することを特徴とする高周波加熱装置。
【請求項2】
マイクロ波を輻射して被処理物を加熱する高周波加熱装置であって、
高圧トランスと高圧コンデンサとを有し、マグネトロンに発振電力を供給する倍電圧電源方式の第1の電源供給手段と、
交流電源を整流して直流電力に変換し、直流電力をスイッチングして高周波電力に変換してマグネトロンに供給するインバータ電源方式の第2の電源供給手段と、
前記被処理物を収容する庫内にて前記被処理物の温度を検出する温度検出手段と、
前記被処理物を一気に加熱する場合には前記第1の電源供給手段に切り替え、その後前記温度検出手段の出力に基づいて目的温度に達するまで前記第1の電源供給手段から電源が供給されるマグネトロンをオン/オフ制御し、前記目的温度に達した時点で前記第2の電源供給手段に切り替え、その後前記温度検出手段の出力に基づいて前記目的温度を維持するように前記第2の電源供給手段のスイッチング周波数、デューテイを含むパラメータを微調整する制御手段と、
を具備することを特徴とする高周波加熱装置。
【請求項3】
前記庫内の湿度を検出する湿度検出手段を具備し、
前記制御手段は、前記湿度検出手段の出力から前記被処理物の含水率が目的の値に達した時点で前記第2の電源供給手段による加熱を停止することを特徴とする請求項2に記載の高周波加熱装置。
【請求項4】
高圧トランスと高圧コンデンサとを有し、マグネトロンに発振電力を供給する倍電圧電源方式の第1の電源供給手段と、
交流電源を整流して直流電力に変換し、直流電力をスイッチングして高周波電力に変換してマグネトロンに供給するインバータ電源方式の第2の電源供給手段と、
を具備し、前記第1の電源供給手段又は前記第2の電源供給手段を用いて前記マグネトロンからマイクロ波を輻射させて被処理物を加熱する高周波加熱装置に用いるプログラムであって、
高出力のマイクロ波を必要とするか又は低出力のマイクロ波で且つ微妙な出力調整を必要とするかを判定する判定手順と、
高出力のマイクロ波を必要とする場合には前記第1の電源供給手段に切り替え、低出力のマイクロ波で且つ微妙な出力調整を必要とする場合には前記第2の電源供給手段に切り替える切り替え手順と、
を有し、コンピュータによって前記各手順を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
高圧トランスと高圧コンデンサとを有し、マグネトロンに発振電力を供給する倍電圧電源方式の第1の電源供給手段と、
交流電源を整流して直流電力に変換し、直流電力をスイッチングして高周波電力に変換してマグネトロンに供給するインバータ電源方式の第2の電源供給手段と、
を具備し、前記第1の電源供給手段又は前記第2の電源供給手段を用いて前記マグネトロンからマイクロ波を輻射させて被処理物を加熱する高周波加熱装置に用いるプログラムであって、
前記被処理物を収容する庫内の温度を検出する温度検出手順と、
前記被処理物への加熱開始前に前記第1の電源供給手段に切り替え、前記庫内の温度が目的温度に達すると前記第2の電源供給手段に切り替える切り替え手順と、
前記第1の電源供給手段に切り替えられた場合には前記目的温度に達するまで前記第1の電源供給手段から電源が供給されるマグネトロンをオン/オフ制御するオン/オフ制御手順と、
前記第1の電源供給手段から前記第2の電源供給手段に切り替えられると前記目的温度を維持するように前記第2の電源供給手段のスイッチング周波数、デューテイを含むパラメータを微調整するパラメータ微調整手順と、
を有し、コンピュータによって前記各手順を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記庫内の湿度を検出する湿度検出手段と、
前記第2の電源供給手段のパラメータ微調整により前記被処理物の含水率が目的の値に達した時点で前記第2の電源供給手段による加熱を停止する加熱停止手順と、
を更に有することを特徴とする請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−244956(P2006−244956A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62307(P2005−62307)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】