説明

高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造装置ならびに高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

【課題】本発明は、めっき性が良好で耐食性に優れた高Siを含有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造装置ならびに高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】Si:0.4〜2.0質量%を含む高強度鋼板に連続溶融亜鉛めっきを施す際に、鋼板を予熱し、次いで、直火還元炉で直火還元バーナーの空気比を0.6以上0.9未満とした還元雰囲気で鋼板を還元し、その後、水素還元を行う間接加熱炉で水分圧と水素分圧の対数log(PH2O/PH2)が下式(1)を満たす雰囲気で鋼板を還元し、間接加熱炉からめっき設備入側のスナウト部まで間では下式(2)を満たす雰囲気として還元及び冷却を行い、連続溶融亜鉛めっきを施す高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。また、溶融亜鉛めっき後に合金化処理を行う。
−1.6≦log(PH2O/PH2)≦−0.5 ・・・ (1)
log(PH2O/PH2)≦−1.5 ・・・ (2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Si含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造装置、ならびに高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に係わるもので、特に優れた耐食性を有し、種々の用途、例えば、建材用、自動車用鋼板等に適用できるめっき鋼板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、溶融亜鉛めっき鋼板の需要は増大し、その用途も多様化しており、特に自動車用に用いられる鋼板に対しては、車体軽量化のため素材の強度、加工性などの機械的性質の向上が要求されている。素材の強度を向上させる方法としては、鋼中にSiを添加させることが有効であることは知られているが、Siを含有する鋼板は、連続式溶融亜鉛めっき設備を用いて溶融亜鉛めっきを施す際に、焼鈍過程で鋼板表面にSi酸化物が濃化し、めっき濡れ性を大幅に低下させるという極めて重大な問題が生じている。これを改善すべく種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、無酸化炉において鋼表面に厚膜の酸化皮膜を形成した後、水素を含む雰囲気中で焼鈍し、めっきする方法が提案されている。しかし、この方法では、鉄の酸化膜によりSiの表面濃化を抑制し、めっき性を阻害するSi酸化物の生成を抑制できるのでめっき密着性を向上させることができるとしているが、無酸化炉における鉄の酸化膜厚生成量が多すぎ、還元炉における鉄の酸化膜の還元が不十分であったり、無酸化炉における酸化膜厚が薄すぎ、めっき性が阻害されるようになったりして、鉄の酸化膜の還元反応を適正に制御できないのが現状である。
【0003】
更に、特許文献2には、Si:0.2〜2質量%を含有する鋼板を無酸化炉を有する連続式溶融亜鉛めっき設備で溶融亜鉛めっきする際に、無酸化炉の燃焼空気比と還元炉の雰囲気の露点を調整して鋼板表面の酸化膜厚を制御する方法や、特許文献3には、同量のSiを含有する鋼板を無酸化炉を有しない連続式溶融亜鉛めっき設備で溶融亜鉛めっきする際に、還元炉を2ゾーン以上に分割し各ゾーンの雰囲気の露点を調整して同様の効果を得る提案がなされている。更に、特許文献4には、Si:0.4〜2質量%を含有する鋼板を連続式溶融亜鉛めっき設備で溶融亜鉛めっきする際に、酸化帯で燃焼空気比0.9〜1.2の雰囲気中で酸化させた後、還元帯で水分圧と水素分圧を特定の関係式を満たす雰囲気で還元する方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、これら特許文献1〜3では、上述したような鉄の酸化膜の還元反応を適正に制御すること、およびSiの表面濃化を解消することはできず、依然としてめっきの濡れ性は改善されていない。また、特許文献4では酸化帯の酸化膜厚みがやや大きくなりすぎ炉内ロール疵の原因となりやすい等の問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開昭55−122865号公報
【特許文献2】特開平05−271891号公報
【特許文献3】特開平05−271894号公報
【特許文献4】特開平13−279412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、めっき性が良好で耐食性に優れた高Siを含有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造装置ならびに高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたもので、その要旨は次の通りである。
(1)Si含有量:0.4〜2.0質量%を含む高強度鋼板に連続溶融亜鉛めっきを施す際に、鋼板を予熱し、次いで、直火還元炉で直火還元バーナーの空気比を0.6以上0.9未満とした還元雰囲気で鋼板を還元し、その後、水素還元を行う間接加熱炉で水分圧と水素分圧の対数log(PH2O/PH2)が下式(1)を満たす雰囲気で鋼板を還元し、連続溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
−1.6≦log(PH2O/PH2)≦−0.5 ・・・ (1)
(2)(1)記載のめっき鋼板の製造方法において、間接加熱炉からめっき設備入側のスナウト部まで間では下式(2)を満たす雰囲気として還元及び冷却を行うことを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
log(PH2O/PH2)≦−1.5 ・・・ (2)
(3)(1)または(2)記載のめっき鋼板の製造方法において、合金化処理を施すことを特徴とする耐食性の良好な高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(4)Si含有量:0.4〜2.0質量%、Mn含有量:1.0〜3.0質量%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる高強度鋼板に連続溶融亜鉛めっきを施す際に、鋼板を予熱し、次いで、直火還元炉で直火還元バーナーの空気比を0.6以上0.9未満とした還元雰囲気で鋼板を還元し、その後、水素還元を行う間接加熱炉で水分圧と水素分圧の対数log(PH2O/PH2)が下式(3)を満たす雰囲気で鋼板を還元し、連続溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
log(α1×T2.56×(Csi/100-28/(2×54)×α2×Cmn/100)2.24
≦log(PH2O/PH2)≦−0.5 ・・・ (3)
α1=4.04×10(-5)
α2=0.7〜0.9(直火還元炉内でのMn酸化分)
ここで、Csiは、鋼板中のSi含有質量%
Cmnは、鋼板中のMn含有質量%
(5)(4)記載のめっき鋼板の製造方法において、合金化処理を施すことを特徴とする耐食性の良好な高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(6)前記間接加熱炉の還元帯に水蒸気を含む加湿ガスを吹き込むことを特徴とする(1),(2),(4)のいずれかの項に記載の耐食性の良好な高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(7)前記間接加熱炉の還元帯に水蒸気を含む加湿ガスを吹き込むことを特徴とする(3)または(5)記載の耐食性の良好な高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(8)前記直火還元炉を含む焼鈍炉外において、水蒸気を含む加湿ガス発生装置の出側配管に加温装置を設け、該配管が2箇所以上の焼鈍炉内へ連結されていることを特徴とする(1)または(4)記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置。
(9)前記直火還元炉を含む焼鈍炉外において、水蒸気を含む加湿ガス発生装置の出側配管に加温装置を設け、該配管が2箇所以上の焼鈍炉内へ連結されていることを特徴とする(3)または(5)記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板および高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、優れた耐食性とめっき性を有するため、特に建材用、自動車用鋼板等の種々の用途に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0010】
先ず、本発明によるSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造するための連続溶融亜鉛めっき設備は、予熱帯、均熱帯を含む直火還元炉、急冷帯、スナウト部、溶融亜鉛めっきポットの構成からなり、特に、直火還元炉を含む焼鈍炉外において、水蒸気を含む加湿ガス発生装置の出側配管に加温装置を設け、該配管が2箇所以上の焼鈍炉内へ連結されている高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置である。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る場合には、これらの設備列に加え合金化処理炉を設けている。
【0011】
めっき不良の原因は焼鈍中に還元炉内で鋼板表面に生成するSi酸化物(SiO2)である。特に、この現象は鋼中Si量の増加に伴ってめっき不良が著しくなる。しかし、鋼板強度を確保する上ではSiは有効な元素であるため多量添加が望ましいが、上記Si酸化物の生成を抑制できるSi濃度は2質量%が限界である。一方、Si濃度が0.4質量%未満では必要な鋼板強度を確保できなくなる。
【0012】
本発明者は、鋼板表面に生成するSi酸化物の生成と鉄の酸化膜の還元反応について鋭意検討したところ、連続溶融亜鉛めっきを施す際に、焼鈍炉における直火帯での空気比制御および還元帯での水分圧と水素分圧の比が上記2つの現象にとって最も重要な要素であることが多くの実験により判明した。
すなわち、まず直火炉において直火還元バーナーの空気比を0.6以上0.9未満で鋼板を還元する。直火炉で直火還元バーナーを使用する理由は、Siを含有する鋼板では直火還元バーナーを使用することで無酸化炉よりもSi酸化膜を薄くコントロールすることが可能となる。次いで還元帯で加湿した気体を炉内に吹き込むことで、鋼板表面のSi濃化を防ぎ、鋼中にSi酸化物を生成させ、めっきの濡れ性を向上させることができ、合金化処理を行なう場合には合金化速度も向上させることができる。すなわち、従来のように、無酸化炉で空気比を上げると、鋼板表面には先ず鉄酸化物が生成され、その後、鉄酸化膜のバリアを通って、鋼中にSi酸化物が生成され、酸素が移動するために時間がかかるためにSi酸化物生成量が小さくなるものと考えられる。そのため、従来は、空気比:0.9以上必要となる。その結果、表面酸化膜量が増加し、無酸化炉内のハースロールビルドアップ等の問題が発生し易くなり、一方、上記空気比を下げ過ぎるとSi酸化物が生成しにくくなり操業条件の範囲が極めて狭まってくるという問題がある。
【0013】
そこで、本発明では、直火還元バーナーを用いることで、鋼板表面の酸化皮膜を過剰に生成させることなくSi酸化物を多量に生成させる必要があり、この目的のために、本発明では直火炉における直火還元バーナーの空気比を0.6以上0.9未満に限定した。この直火還元バーナーの空気比が0.9以上では鋼板表面酸化膜が約800Å以上成長し、炉内のハースロールビルドアップ等の問題が多発するため上限を0.9とした。一方、下限の0.6は直火還元バーナーの還元能力が低下する限界値である。
【0014】
更に、水素還元を行う間接加熱炉の還元帯では、水分圧と水素分圧の対数log(PH2O/PH2)が下式(1)を満たす雰囲気で鋼板を還元
−1.6≦log(PH2O/PH2)≦−0.5 ・・・ (1)
することにより、めっきの濡れ性および合金化速度を向上させることができる。ここでは、H2:2〜10%及びを含むN2を雰囲気ガスとして用いて還元する。重要なことはこの上記雰囲気ガスの水分圧と水素分圧を上記(1)式で制御する必要がある。水分圧と水素分圧(PH2O/PH2)は、炉内に水蒸気を含む加湿ガスを吹き込むことにより制御する。log(PH2O/PH2)を−1.6以上とした理由は、−1.6未満では直火炉における直火還元バーナーの空気比0.9以上としなければ、鋼板表面のSi濃化が生じるためである。またlog(PH2O/PH2)を−0.5以下とした理由は、−0.5より大きいと直火炉で生成した鉄の酸化膜を還元できないためであり、さらに、炉内構造物の耐酸化性が悪化するためである。この理由は、予熱帯および直火炉で生成した鉄の酸化物を還元し、鋼板表面に生成する外部Si酸化物(SiO2)の生成を防止し、鋼板中にSi酸化物(SiO2)を生成させ、更に鋼板表面に生成した鉄酸化物を還元して鋼板表面にFeのみを残すためである。また、Mnが存在する場合はめっき性に対して無害なSi,Mnの酸化物(Mn2SiO4)を生成し見かけ上のSi濃度が低くなる。鋼板中に酸化物を生成する水分圧と水素分圧の比は鋼板に含有されるSi、Mn量と相関関係があり、以下のような式(3)の元で制御する。
log(α1×T2.56×(Csi/100-28/(2×54)×α2×Cmn/100)2.24
≦log(PH2O/PH2)≦−0.5 ・・・ (3)
α1=4.04×10(-5)
α2=0.7〜0.9(直火還元炉内でのMn酸化分)
ここで、Csiは、鋼板中のSi含有質量%
Cmnは、鋼板中のMn含有質量%
上記log(PH2O/PH2)の制御のために水蒸気を含む加湿ガスの吹き込みは、間接加熱炉の出側に加湿ガス吹き込み装置を設け、一定の圧力下で加湿ガス吹き込みを行うことが好ましい。
【0015】
更に、間接加熱炉からめっき設備入側のスナウト部まで間では下式(2)を満たす雰囲気として還元及び冷却を行う。
log(PH2O/PH2)≦−1.5 ・・・ (2)
log(PH2O/PH2)を−1.5以下とした理由は、スナウト部において−1.5を超える雰囲気ではスナウト浴面での亜鉛の酸化が促進されて亜鉛ヒュームが発生し、これが鋼板に付着することでメッキ欠陥を生じるためである。
【実施例】
【0016】
<実施例1>
Si:0.4〜1.5質量%を含有する低炭素高強度鋼板を常法により熱延、冷延した板厚0.8mmの鋼板を、脱油・酸洗後、連続溶融亜鉛めっきを施すに当たり、連続式円焼鈍炉にて450〜800℃に短時間予熱し、次いでCガス、LPG、天然ガス等を熱源とする直火還元バーナーの空気比を0.6、0.8、0.9の3段階で燃焼させ、炉内をCO−CO2−H2−H2Oの雰囲気とし、1000〜1300℃の高温に保持後、水素還元を行う間接加熱炉での雰囲気ガスを水素を5%含む窒素ガスを加湿し水分圧と水素分圧の対数log(PH2O/PH2)が−2及び−1になるように調節し鋼板を還元した。次いで、鋼板を溶融亜鉛めっき出側のスナウト部から還元帯の間の水分圧と水素分圧の対数log(PH2O/PH2)を−2、−1になるよう調整した雰囲気内を通板して板温を調整し、約450℃に維持された溶融亜鉛めっき浴に鋼板を浸漬して溶融亜鉛めっきを施した。その後、めっき層全体をFe−Zn合金とする合金化処理を行った。その結果を表1に示した。表1から分かるように、直火還元炉における直火還元バーナーの空気比を本発明範囲内の0.6〜0.9、還元炉内の水分圧と水素分圧の対数を本発明範囲内の−1.6〜−0.5、およびスナウト部から還元帯の間の水分圧と水素分圧の対数を−1.5以下とした場合にはめっき性が良好な高強度合金化亜鉛めっき鋼板を得ることができた。
【表1】

<実施例2>
Si:0.2質量%、1.5質量%、2.0質量%、Mn:1.5質量%の3水準を含有する低炭素高強度鋼板を常法により熱延、冷延した板厚0.8mmの鋼板を、脱油・酸洗後、連続溶融亜鉛めっきを施すに当たり、連続式焼鈍炉にて450〜800℃に短時間予熱し、次いで直火還元バーナーの空気比を0.8で燃焼させ、水素還元を行う間接加熱炉では炉温:900℃、800℃、700℃の3水準とし、雰囲気ガスを水素を5%含む窒素ガスを加湿し水分圧と水素分圧の対数を請求項3に規定した式に基づいて算出した値、−2.6、−1.3、−1、−0.6の4水準に調整した雰囲気内として通板し、その後、約450℃に維持された溶融亜鉛めっき浴に鋼板を浸漬して溶融亜鉛めっきを施した。その後、めっき層全体をFe−Zn合金とする合金化処理を行った。その結果を表2に示した。表2から分かるように、直火還元炉における直火還元バーナーの空気比を本発明範囲内の0.6〜0.9、還元炉内の水分圧と水素分圧の対数を本発明範囲内で規定した式(1)の値、およびスナウト部から還元帯の間の水分圧と水素分圧の対数を−1.5以下とした場合には、めっき性良好な高強度合金化亜鉛めっき鋼板を得ることができた。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si含有量:0.4〜2.0質量%を含む高強度鋼板に連続溶融亜鉛めっきを施す際に、鋼板を予熱し、次いで、直火還元炉で直火還元バーナーの空気比を0.6以上0.9未満とした還元雰囲気で鋼板を還元し、その後、水素還元を行う間接加熱炉で水分圧と水素分圧の対数log(PH2O/PH2)が下式(1)を満たす雰囲気で鋼板を還元し、連続溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
−1.6≦log(PH2O/PH2)≦−0.5 ・・・ (1)
【請求項2】
請求項1のめっき鋼板の製造方法において、間接加熱炉からめっき設備入側のスナウト部まで間では下式(2)を満たす雰囲気として還元及び冷却を行うことを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
log(PH2O/PH2)≦−1.5 ・・・ (2)
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のめっき鋼板の製造方法において、合金化処理を施すことを特徴とする耐食性の良好な高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項4】
Si含有量:0.4〜2.0質量%、Mn含有量:1.0〜3.0質量%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる高強度鋼板に連続溶融亜鉛めっきを施す際に、鋼板を予熱し、次いで、直火還元炉で直火還元バーナーの空気比を0.6以上0.9未満とした還元雰囲気で鋼板を還元し、その後、水素還元を行う間接加熱炉で水分圧と水素分圧の対数log(PH2O/PH2)が下式(3)を満たす雰囲気で鋼板を還元し、連続溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
log(α1×T2.56×(Csi/100-28/(2×54)×α2×Cmn/100)2.24
≦log(PH2O/PH2)≦−0.5 ・・・ (3)
α1=4.04×10(-5)
α2=0.7〜0.9(直火還元炉内でのMn酸化分)
ここで、Csiは、鋼板中のSi含有質量%
Cmnは、鋼板中のMn含有質量%
【請求項5】
請求項4記載のめっき鋼板の製造方法において、合金化処理を施すことを特徴とする耐食性の良好な高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項6】
前記間接加熱炉の還元帯に水蒸気を含む加湿ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1,2,4のいずれかの項に記載の耐食性の良好な高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項7】
前記間接加熱炉の還元帯に水蒸気を含む加湿ガスを吹き込むことを特徴とする請求項3または請求項5記載の耐食性の良好な高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記直火還元炉を含む焼鈍炉外において、水蒸気を含む加湿ガス発生装置の出側配管に加温装置を設け、該配管が2箇所以上の焼鈍炉内へ連結されていることを特徴とする請求項1または請求項4記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置。
【請求項9】
前記直火還元炉を含む焼鈍炉外において、水蒸気を含む加湿ガス発生装置の出側配管に加温装置を設け、該配管が2箇所以上の焼鈍炉内へ連結されていることを特徴とする請求項3または請求項5記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置。

【公開番号】特開2007−191745(P2007−191745A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9745(P2006−9745)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】