説明

高性能のポリマー電解質

新規なモノマー組成物、およびこの新規なモノマーを合成するプロセスが、記載される。一般に、このような新規なモノマーは、2つのフェニル環の間に、1つの脂肪族スペーサーを有する。1つの実施形態において、本発明のモノマーは、一般構造(I)


を有し、ここで、XおよびX’は、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボン酸、トリメチルシロキシおよびアミンからなる群より選択される官能基を含み;GおよびG’は、独立して、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミド、およびイミダゾールからなる群より選択される1つを含み;「m」および「o」は、整数であり、そして各々独立して、0〜15の範囲の値を有する。本発明のモノマーの大体の記載される実施形態において、この脂肪族スペーサー単位は、フッ素化メチレン単位を含まない。このようなモノマーを合成する新規なプロセスもまた、記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高性能のポリマーに関する。より特定すると、本発明は、新規なモノマーを含有するポリマー、およびこのポリマーを合成するための高収率の方法に関する。本発明のポリマーは、改善された熱特性、化学的特性および物理的特性を有し、このポリマーを、燃料電池用途において、特に、電解質として有用にする。
【背景技術】
【0002】
制限された化石燃料供給の存在下で、エネルギーに対する必要性が高まっているので、環境に優しくかつ再生可能なエネルギー源に対する要求が増加している。燃料電池技術(クリーンなエネルギーの生成の有望な供給源)は、エネルギーに対する高まっている必要性にかなう、主要な候補である。燃料電池は、効率的なエネルギー発生デバイスであり、これは、作動の間、静かであり、燃料の融通がきき(すなわち、複数の燃料源を使用する可能性を有する)、そしてコジェネレーション能力を有する(すなわち、電気と有用な熱とを生成し得、この熱は、最終的に、電気に変換され得る)。種々の燃料電池の型のうちで、プロトン交換膜燃料電池(PEMFC)は、最も大きい電位を有する。PEMFCは、静止した電気設備、可搬型電気設備、および自動車市場にわたるエネルギー適用のために、使用され得る。
【0003】
PEMFCの心臓部には、燃料電池膜(本明細書中以下で、「プロトン交換膜」)があり、この膜は、この燃料電池のアノード区画とカソード区画とを分離する。このプロトン交換膜は、この燃料電池の性能、効率、および他の主要な作動特徴を制御する。その結果、この膜は、効果的な気体分離体であり、効果的なイオン伝導電解質であり、燃料電池のエネルギー要求にかなうために高いプロトン伝導性を有するべきであり、そして燃料電池の作動の長い寿命を支持するために安定な構造を有するべきである。さらに、この膜を形成するために使用される材料は、異なる燃料源および種々の作動条件を可能にするために十分に、物理的かつ化学的に安定であるべきである。
【0004】
現在、多くの燃料電池膜が、過フッ化スルホン酸(PFSA)材料から形成されている。現在公知のPFSA膜は、Nafion(登録商標)であり、これは、DuPontから市販されている。
【0005】
Nafion(登録商標)および他の類似の過フッ化膜材料(W.L.GoreおよびAsahi Glassのような会社により製造されている(それぞれ、特許文献1および特許文献2に記載されている))は、純粋な水素燃料と共に使用される場合、高い酸化安定性および良好な性能を示す。不運なことに、これらの過フッ化膜材料は、高価であり、そして乏しい特徴(例えば、高いメタノールクロスオーバー)を有し、これは、実行可能な燃料電池の作動および市販のために、克服されなければならない。
【0006】
過フッ化イオノマー物質を作製することは、複雑なモノマーおよび重合反応を必要とする。これらの反応は、しばしば、時間を浪費し、危険であり、そして収率が低い。さらに、これらの反応は、費用が非常に高い。すなわち、現在、費用に関して、1mあたり約500ドルにまで高く寄与する。
【0007】
メタノール(水素に富む分子)は、PEMFAのための有望な燃料である。具体的には、メタノールの低い費用、および高いエネルギー密度は、メタノールを、PEMFSのために実行可能な水素燃料源にする。メタノールは、燃料電池技術に、可搬型および自動車の電子設備用途における、かなりの市場の可能性を与える。メタノールは、代表的に、その液体状態で導入される。不運なことに、Nafion(登録商標)および他のNafion(登録商標)様物質の物理的構造および化学構造は、かなりのメタノールクロスオーバーを可能にする。このようなクロスオーバーは、燃料電池の化学的電位を部分的に短絡させることによって、その燃料電池の性能を、効果的に低下させる。
【0008】
費用および性能の限度を克服するために、代替のポリマー材料(例えば、ポリ(ベンゾイミダゾール)(PBI)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンベースのコポリマー、および芳香族熱可塑性物質)が、積極的に研究されている。現在までで、これらの代替の物質のうちの最も有望なものは、酸官能基を有する芳香族熱可塑性物質である。
【0009】
芳香族熱可塑性物質(例えば、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(スルホン)(PSU)、ポリ(エーテルスルホン)(PES))は、それらの低い費用、高い機械的強度、および良好なフィルム形成特徴に起因して、燃料電池の膜としての有望な候補である。スルホン酸基で官能基化されると、これらの物質は、認容可能な燃料電池性能および低いメタノールクロスオーバーを示した。
【0010】
さらに、これらの膜の高い熱安定性は、これらの膜を、中程度の温度でのPEMFC作動のための潜在的な候補にしている。しかし、これらの熱可塑性物質の芳香族の構造(これは、これらの物質の高い熱安定性に寄与する)は、1つのかなりの困難を示している。これらの熱可塑性物質の剛性な構造は、膜電極アセンブリ(「MEA」)を構成する場合に、加工の困難性をもたらしている。具体的には、実行される技術(すなわち、スプレー、装飾(decaling)、スパッタリング、および印刷)にかかわらず、膜電極アセンブリの構築は、電極−膜界面におけるかなりの接着の問題に悩まされる。
【0011】
熱可塑性物質ベースのMEAを燃料電池において加工する際の困難性は、主として、これらの芳香族物質の高いガラス転位温度(「Tg」)の結果である。Tgは、膜電極アセンブリの加工を、非常に困難にする。なぜなら、伝統的なMEAホットプレス条件は、代表的に、これらの物質のTgより低温で起こるからである。これらの電極が、ポリマー膜に接着されない場合、この物質の性能は、燃料電池の作動において、この膜電極界面における抵抗に起因して、制限される。あるいは、これらの芳香族熱可塑性物質がそれらのTgより高温でホットプレスされる場合、これらの化合物の大部分は、脱スルホンまたは分解を開始し、これらの物質を、燃料電池の膜として有効ではなくする。
【0012】
不運なことに、これらの物質の剛性な構造およびその結果である熱特性は、MEAの接着を制限し、そして特定の例においての燃料電池の性能を低下させ続けている。従って、費用効果的であり、高性能であり、容易に加工され、そして接着の問題を有しない、改善されたMEAが必要とされている。
【特許文献1】米国特許第6287717号明細書
【特許文献2】米国特許第6660818号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
上記のことを達成するために、本発明は、経済的であり、高性能であり、容易に加工され、そして接着の問題に悩まされないMEAを提供する。このMEAは、少なくとも部分的に、本発明のポリマーから作製され、このポリマーは、次に、本発明のモノマー繰り返し単位を含有する。
【0014】
モノマー組成物は、本発明の1つの実施形態によれば、2つのフェニル環の間に位置する少なくとも1つの脂肪族スペーサー単位を有する。1つの実施形態において、本発明のモノマーは、以下の構造を有する:
【0015】
【化15】

この実施形態において、XおよびX’は、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボン酸、トリメチルシロキシおよびアミンからなる群より選択される官能基を含む。GおよびG’は、独立して、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミドおよびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーを含む。さらに、GおよびG’は、上述の群の化合物のうちの1つ以上を含む、フッ素化されたかまたはフッ素化されていない脂肪族鎖であり得る。整数「m」は、0から15までの範囲の値を有し、そして整数「o」は、1から15までの範囲の値を有する。
【0016】
代替の実施形態において、本発明のモノマー組成物は、脂肪族スペーサー単位として、メチレン基のみを含み、上記実施形態において記載されたフッ素化されたメチレン単位は存在しない。本発明の代表的なモノマー組成物は、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンおよびα,ω−ビス(4−ハロフェニル)パーフルオロアルカンを含有する。
【0017】
別の局面において、本発明は、上記のような本発明のモノマー組成物を合成するためのプロセスを提供する。例えば、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーを合成するためのプロセスは、以下の工程を包含する:(a)1,4−二置換ベンゼンをグリニャール試薬に転換する工程;(b)このグリニャール試薬をα,ω−ジハロアルカンと反応させる工程;および(c)先の反応工程から得られた生成物中のフェノキシ基を脱保護して、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーを生成する工程。
【0018】
なお別の局面において、本発明は、本発明のモノマーから誘導された本発明の繰り返し単位を含む、ポリマーを与える。少なくとも、このようなポリマーは、2つのフェニル環の間に位置する脂肪族スペーサー基を有する。このような脂肪族スペーサー基の存在は、本発明のポリマーを使用して作製されるプロトン交換膜が、先行技術の膜が遭遇した接着の限界を克服することを可能にする。さらに、このような脂肪族スペーサーの存在は、プロトン伝導性を改善することを補助する。1つの実施形態において、本発明のポリマーは、以下の一般構造を有する繰り返し単位を含む:
【0019】
【化16】

この実施形態において、PおよびQは、独立して、エーテル、スルフィド、スルホン、ケトン、エステル、アミド、イミドおよび炭素−炭素結合からなる群より選択される官能基である。整数値「m」および「o」は、それぞれ、メチレン単位の数およびフッ素化メチレン単位の数を表す。これらの整数値は、0と15との間の範囲であり、そして上記本発明のモノマーと一致する。その結果、当業者は、本発明のポリマーの代替の実施形態において、整数「o」が0である場合、整数「m」は、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、および15のうちの1つであり得ることを認識する。
【0020】
このポリマー組成物は、特定の実施形態において、本発明の繰り返し単位を含み、これらの繰り返し単位は、次に、GおよびG’として指定された官能基を含み、これらの官能基は、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミドおよびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーである。さらに、GおよびG’は、上述の群の化合物の1つ以上を含む、フッ素化されたかまたはフッ素化されていない脂肪族鎖であり得る。GおよびG’は、独立して、PまたはQに対して、オルト位、メタ位、またはパラ位に位置する。
【0021】
なお別の局面において、本発明は、本発明のポリマーを合成する方法を提供する。この合成プロセスは、モノマー成分を化合させる工程を包含し、これらのモノマー成分のうちの少なくとも1つが、本発明のモノマー組成物を含有する。代表的に、モノマー成分は、ポリマーを形成するために、乾燥した不活性雰囲気下で、正確に化学量論的量で化合される。これらのモノマー成分は、溶媒中に分散され、この溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジフェニルスルホキシド(DPSO)からなる群より選択されるメンバーである。次に、トルエン、ベンゼンおよびキシレンからなる群より選択される共沸成分が添加されて、副生成物として形成された水を溶液から除去することを容易にし得る。本発明の1つの実施形態において、このポリマーは、次いで、この反応混合物を、水、有機溶媒、または水と有機溶媒との混合物に注ぐことによって、沈殿される。沈殿したポリマーは、引き続く工程において、精製され得る。
【0022】
ポリマー合成プロセスのいくつかの実施形態において、無機塩基が、反応を容易にするために添加される。この無機塩基は、約0.75:1と約2.5:1との間のモル比で存在する。さらに、この無機塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水素化ナトリウムからなる群より選択されるメンバーである。このポリマー合成反応の温度は、約100℃と約350℃との間である。全反応時間は、約2時間と約72時間との間であり得る。
【0023】
なお別の局面において、本発明は、透明な延性のフィルムを提供し、これらのフィルムは、本発明の繰り返し単位から誘導された、本発明のポリマーから作製される。このような繰り返し単位は、燃料電池用途においてプロトン交換膜としての使用のための、ポリマーを構築するために使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のポリマーは、電気化学的デバイス(例えば、燃料電池)における電解質として、使用され得る。1つの実施において、本発明は、燃料電池の用途における、プロトン交換膜としての使用によく適している。本発明の新規工程に従って調製されるプロトン交換膜は、良好な接着特性を有し、先行技術において見出されるより高性能のMEAの構築を可能にする。
【0025】
図1は、本発明の1つの実施形態に従う、MEA 12に組み込まれた燃料電池10を示す。MEA 12は、本発明のプロトン交換膜46を備え、このプロトン交換膜は、図2に示されており、そして上で言及されている。しかし、本発明の膜の用途は、図1に示される燃料電池の構成には限定されず、むしろ、これらの膜はまた、従来の燃料電池用途(例えば、米国特許第5,248,566号および同第5,547,777号に記載される)において、効果的に使用され得ることが留意されるべきである。さらに、数個の燃料電池が、従来の技術によって直列に接続され、燃料電池スタックを作製し得る。この燃料電池スタックは、本発明の膜を少なくとも1つ備える。
【0026】
図1に示されるように、電気化学的電池10は、一般に、アノード構造体およびカソード構造体に隣接する、MEA 12を備える。アノード側では、燃料電池10は、端部プレート14、気体の拡散を容易にするための開口部22を有するグラファイトブロックまたは双極プレート18、ガスケット26、およびアノード気体拡散層(「GDL」)30を備える。カソード側では、燃料電池10は、同様に、端部プレート16、気体の分配を容易にするための開口部24を有するグラファイトブロックまたは双極プレート20、およびカソードGDL 32を備える。
【0027】
アノード端部プレート14およびカソード端部プレート16は、それぞれリード線31および33によって、外部負荷回路50に接続される。外部回路50は、任意の従来の電気デバイスまたは負荷(例えば、米国特許第5,248,566号、同第5,272,017号、同第5,547,777号、および同第6,387,556号に記載されるものであり、これらの米国特許は、全ての目的で、本明細書中に参考として援用される)を備え得る。電気的構成要素は、当業者に周知の技術によって、気密シールされ得る。
【0028】
作動の間、図1の燃料電池10において、燃料源37(例えば、コンテナまたなアンプル)からの燃料は、アノードを通って拡散し、そして酸素源39(例えば、コンテナ、アンプル、または空気)からの酸素は、MEAのカソードに拡散する。MEAにおける化学反応は、電気を発生させ、この電気が、外部回路に輸送される。水素燃料電池は、燃料として水素を、そして酸化剤として酸素(純粋な酸素または空気由来のいずれか)を使用する。直接メタノール燃料電池については、燃料は、液体メタノールである。
【0029】
端部プレート14および16は、比較的寸法安定性の材料から作製される。好ましくは、このような材料としては、金属および金属合金からなる群より選択されるものが挙げられる。双極プレート20および22は、代表的に、グラファイト、炭素、金属および金属合金からなる群より選択される、任意の伝導性材料から作製される。ガスケット26および28は、代表的に、Teflon(登録商標)、ガラス繊維、シリコーン、およびゴムからなる群より選択される任意の材料から作製される。GDL 30および32は、代表的に、カーボンクロスまたはカーボン紙のような多孔性電極材料から作製される。さらに、GDL 30および32は、気体の移動を容易にするために、何らかの種類の分散した炭素ベースの粉末を含有し得る。
【0030】
図2は、図1の燃料電池10に組み込まれるMEA 12の側断面図を示す。この実施形態に示されるように、MEA12は、アノード42およびカソード44に隣接する、プロトン交換膜46を備える。アノード側では、MEA 12は、GDL 30、および何らかの種類の触媒分散物52を備える。カソード側では、MEA 12は、同様に、GDL 32、および何らかの種類の触媒分散物54を備える。プロトン交換膜46は、少なくとも部分的に、本発明のモノマー繰り返し単位から作製される。このようなモノマー組成物およびそれらの対応する分子構造は、以下により詳細に記載される。
【0031】
1つの実施形態において、本発明のモノマーは、以下の一般構造を有する:
【0032】
【化17】

この実施形態において、XおよびX’は、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボン酸、トリメチルシロキシ(OTMS)、およびアミンからなる群より選択される官能基である。さらに、XおよびX’は、独立して、それらの対応する芳香族環に対して、オルトい、メタ位またはパラ位のうちのいずれか1つに結合し得る。GおよびG’は、水素燃料電池膜において、プロトン伝導性(すなわち性能)を容易にするために選択される官能基である。GおよびG’は、独立して、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミドおよびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーである。さらに、GおよびG’は、上記群の化合物の1つ以上を含む、フッ素化されたかまたはフッ素化されていない脂肪族鎖であり得る。本発明の開示される側鎖構造は、プロトン伝導促進剤を含み、これは、プロトン伝導性を増加させ、そしてまた、得られる膜の全体的な安定性を増加させると考えられる。
【0033】
整数「m」は、0と15との間の値であり、そして2つの芳香族環の間の脂肪族スペーサー単位のメチレン単位の数を表す。整数「o」は、1と15との間の値であり、そして2つの芳香族環の間の脂肪族スペーサー単位におけるフッ素化メチレン単位の数を表す。さらに、新規モノマー中のメチレン基とフッ素化メチレン基との順序は、本質的に、ランダムであっても特別であってもよい。メチレン単位およびフッ素化メチレン単位の鎖は、脂肪族スペーサーと称される。「m」と「o」との合計についての代表的な値は、1〜15の範囲である。フェニル環の間の脂肪族スペーサー単位は、必要に応じて、炭素ベースの分枝鎖構造、アルケン、アルキン、ケトン、スルホン、スルフェート、アミドおよびエーテルからなる群より選択される官能基を含み得る。
【0034】
代替の実施形態において、本発明のモノマーは、以下の構造を有する:
【0035】
【化18】

この代替の実施形態において、XおよびX’は、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボン酸、トリメチルシロキシ(OTMS)およびアミンからなる群より選択される官能基である。XおよびX’は、それらの対応する芳香族環に対して、オルト位、メタ位、またはパラ位のうちのいずれか1つに結合する。GおよびG’と指定される基は、水素燃料電池の膜においてプロトン伝導性(すなわち、性能)を容易にする、任意の官能基を表す。GおよびG’は、独立して、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミドおよびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーである。さらに、GおよびG’は、上記群の化合物のうちの1つ以上を含む、フッ素化されたかまたはフッ素化されていない脂肪族鎖であり得る。整数「m」は、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を含み、そして2つの芳香族環の間の脂肪族スペーサー単位におけるメチレン単位の数を表す。さらに、フェニル環の間の脂肪族スペーサー単位は、必要に応じて、炭素ベースの分枝鎖構造、アルケン、アルキン、ケトン、スルホン、スルフェート、アミドおよびエーテルからなる群より選択される官能基を含み得る。
【0036】
以下の表1は、本発明のモノマーの第四の例示的な実施形態およびそれらの構造を示す。
【0037】
【表1】

表1を参照すると、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンは、2つのヒドロキシル官能基化フェニル環の間に、脂肪族炭化水素スペーサーを組み込むα,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンの構造において、「n」は、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、および15の値を有する整数である。上記α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンは、2つのフェニル環の間に、完全にフッ素化されたメチレン基を組み込む。α,ω−ビス(4−ハロフェニル)パーフルオロアルカンの構造において、Xは、独立して、塩素型またはフッ素型であり得る。整数「n」は、1〜15の範囲の値を有する、同様に、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンの構造における「n」の値もまた、1〜15の範囲である。α,ω−ビス(4−ハロフェニル)パーフルオロアルカンとα,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンとの間の主要な差は、α,ω−ビス(4−ハロフェニル)パーフルオロアルカンが、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンにおいて見出されるヒドロキシル官能基化芳香族環とは異なり、ハロゲン官能基化された芳香族環を含むことである。
【0038】
図3は、本発明の1つの実施形態に従って、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーの合成のプロセス200に包含される、重要な工程の流れ図である。
【0039】
図3の実施形態において、プロセス200は工程202において、1,4−二置換ベンゼンをマグネシウムと反応させることによって、1,4−二置換ベンゼンをグリニャール試薬に変換することにより開始する。1,4−二置換ベンゼンの構造において、Rは、アルキル、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、テトラヒドロピラン(THP)、ベンジルおよびメトキシメチル(MOM)からなる群より選択される1つである。Xは、塩素、ヨウ素および臭素からなる群より選択される1つである。しかし、好ましくは、Xは、臭素である。工程202における反応のための溶媒は、ジエチルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)からなる群より選択される1つである。しかし、この溶媒は、好ましくは、THFである。反応温度は、約−25℃と約70℃との間で変動し得るが、より好ましくは、約−25℃と約25℃との間で変動する。この反応の持続時間は、約1時間と約48時間との間で変動し得るが、より好ましくは、約2時間と約20時間との間で変動する。
【0040】
次に、工程204において、工程202において調製されたグリニャール試薬が、α,ω−ジハロアルカンと反応させられる。工程204において反応物質として使用されるα,ω−ジハロアルカン化合物は、α,ω−ジクロロアルカン、α,ω−ジブロモアルカンまたはα,ω−ジヨードアルカンからなる群より選択される1つであるが、好ましくは、α,ω−ジブロモアルカンである。さらに、α,ω−ジハロアルカンにおける炭化水素鎖は、長さが3個〜15個の炭素の範囲であり得る。本発明の1つの実施形態において、工程204において使用されるグリニャール試薬とハロゲン化化合物との間の比は、約1:1と約4:1のモル当量の間であるが、好ましくは、約1:1と約3:1との間のモル当量である。反応時間は、約2時間と約120時間との間で変動し得るが、より好ましくは、約20時間と約75時間との間である。
【0041】
反応温度は、約−100℃と約100℃との間で変動し得るが、好ましくは、約−78℃と約30℃との間の範囲である。本発明の特定の実施形態において、触媒が、工程204における反応を容易にするために、使用される。このような実施形態において、触媒は、四塩化第二銅リチウム、塩化銅、臭化銅、塩化ニッケル、およびパラジウムからなる群より選択される1つを含有する。しかし、触媒は、好ましくは、四塩化第二銅リチウムである。触媒対α,ω−ジハロアルカンとの比は、約0.0001:1と約0.03:1との間のモル比で変動し得るが、好ましくは、約0.002:1と約0.02:1との間で変動する。触媒は、一度に添加されても、少量ずつ連続的に添加されてもよい。本発明の1つの実施形態において、充分な反応時間が経過した後に、この反応は停止される。このことは、溶液を添加することによって達成され、この溶液は、飽和塩化ナトリウムおよび飽和塩化アンモニウム水溶液からなる群より選択される1つである。
【0042】
代替の実施形態において、工程204における反応は、飽和塩化アンモニウムを添加することによって停止される。次に、任意の工程において、工程204の生成物は、溶媒または溶媒の混合物を使用して、抽出される。このような溶媒は、ジエチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、および酢酸エチルからなる群より選択される1つである。また、必要に応じて、この生成物は、次いで、アルコールからの結晶化によって精製され得、このアルコールとしては、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールからなる群より選択されるものが挙げられる。
【0043】
工程206において、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーは、工程204において単離された得られた生成物のペルオキシ基を脱保護すること(すなわち、R基をフェノキシ基に結合した水素で置き換えること)によって、得られる。工程204における生成物中のフェノキシ基を脱保護するために使用される試薬としては、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、トリメチルシリルヨージド(TMSI)、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、炭素担持パラジウム、p−トルエンスルホン酸(pTSA)および塩酸からなる群より選択されるものが挙げられる。工程206のために使用される溶媒としては、クロロホルム、四塩化炭素、THF、エタノール、メタノール、酢酸エチル、塩化メチレンおよびアセトニトリルからなる群より選択されるものが挙げられる。しかし、好ましくは、塩化メチレンが、この工程において使用される。工程206についての反応時間は、約1時間から約48時間まで変動するが、より好ましくは、約2時間から約24時間まで変動する。この工程についての反応温度は、約−150℃から約100℃まで変動する。しかし、脱保護のために酸フッ化ホウ素が使用される場合、この工程における反応は、好ましくは、約−100℃と約30℃との間の温度で実施される。
【0044】
工程206の反応が完了した後に、この工程から得られた生成物は、結晶化、蒸留、昇華、クロマトグラフィー、または当該分野において公知である他の技術を介する任意の工程において、精製され得る。生成物が、結晶化によって精製される場合、溶媒が、代表的に、この精製プロセスの間に使用される。この溶媒としては、ヘキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン、エタノール、およびメタノールからなる群より選択されるものが挙げられる。あるいは、工程206から得られたα,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーは、精製せずに直接使用され得る。
【0045】
図4は、本発明の代替の実施形態による、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンの合成のプロセス300に包含される、重要な工程の別の流れ図である。この実施形態において、プロセス300は、工程302において、1,4−二置換ベンゼンをα,ω−ジハロアルカン化合物と、有機溶媒の存在下で化合させることによって開始する。このα,ω−ジハロアルカンは、α,ω−ジブロモアルカン型およびα,ω−ジヨードアルカン型からなる群より選択される1つである。しかし、好ましくは、これは、α,ω−ジヨードアルカン型である。Rとしては、アルキル、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPD)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、テトラヒドロピラン(THP)、ベンジル、およびメトキシメチル(MOM)からなる群より選択されるものが挙げられる。Xとしては、独立して、塩化物、ヨウ化物、またはフッ化物からなる群より選択される官能基が挙げられる。Xは、好ましくは、ヨウ化物である。さらに、α,ω−ジハロアルカン中の炭化水素鎖は、長さが3個〜15個の範囲の炭素であり得る。工程302において使用される有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群より選択されるものが挙げられる。しかし、この工程における有機溶媒は、好ましくは、DMSOである。
【0046】
いくつかの実施形態において、触媒が、工程302の反応混合物に添加される。この触媒としては、パラジウム、亜鉛、ニッケル、および銅からなる群より選択される少なくとも1つが挙げられる。しかし、この触媒は、好ましくは、銅である。工程302における1,4−二置換ベンゼン対α,ω−ジハロアルカンの比は、約0.25:1と約4:1との間のモル当量の間で変動し得るが、最も好ましくは、約0.5:1モル当量と約3:1モル当量との間である。1,4−二置換ベンゼンに対する触媒の量は、約1:1モル当量と約15:1モル当量との間で変動し得るが、より好ましくは、約3:1モル当量と約7:1モル当量との間である。工程302の反応温度は、約0℃と約200℃との間で変動し得るが、より好ましくは、約70℃と約170℃との間で変動する。この反応の持続時間は、約1時間と約48時間との間で変動し得るが、より好ましくは、約13時間と約25時間との間で変動する。工程302の得られた生成物は、任意の工程において、当業者に公知である数種の精製技術(例えば、抽出、蒸留、および結晶化)によって分離され得る。精製は、好ましくは、溶媒からの結晶化を介して実施され、この溶媒は、ヘキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン、エタノールおよびメタノールからなる群より選択される少なくとも1種を含有する。
【0047】
次に、工程304において、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーが、工程302において単離された得られた生成物のフェノキシ基を脱保護することによって、得られる。脱保護のために使用される試薬としては、塩化アルミニウム、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、トリメチルシリルヨージド(TMSI)、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、炭素担持パラジウム、p−トルエンスルホン酸(pTSA)、および塩酸からなる群より選択される1種が挙げられる。しかし、好ましくは、三臭化ホウ素が、工程304における脱保護のために使用される。溶媒が、工程304において使用され得る。この溶媒としては、クロロホルム、四塩化炭素、THF、エタノール、メタノール、酢酸エチル、塩化メチレンおよびアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。しかし、塩化メチレンを使用することが好ましい。工程304についての反応時間は、約1時間から約48時間まで変動するが、より好ましくは、約2時間と約24時間との間で変動する。この工程についての反応温度は、約−250℃〜約100℃まで変動する。しかし、三臭化ホウ素が脱保護のために使用される場合、この工程の反応は、好ましくは、約−100℃と約30℃との間の温度で実施される。
【0048】
工程304において得られる生成物は、本発明の1つの実施形態に従って、結晶化、蒸留、クロマトグラフィー、または当該分野において公知である他の技術によって、さらに精製される。しかし、好ましくは、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーは、昇華、または有機溶媒からの結晶化によって、精製される。このような有機溶媒としては、ヘキサン、塩化メチレン、トルエン、エタノール、メタノール、およびクロロホルムからなる群より選択される1つが挙げられる。しかし、クロロホルムを使用することが好ましい。
【0049】
α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンの、nが4である特定の種である、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンの合成は、図6および図7に示されるように、13C NMRおよびH−HMRによって確認された。図7のH−NMRは、このモノマーの構造的対称性に起因する、5つの区別可能なピークを示す。2つの三重線および2つの二重線のピークが存在し、これらはそれぞれ、脂肪族プロトンおよび芳香族プロトンに対応する。一重線のピークは、フェノール性プロトンに対応する。図6の13C NMRは、6つのピークを示し、これらもまた、新規モノマーの対称な性質に相関する。これらの6つのピークは、これらのピークが新規モノマーの芳香族構造に容易に相関付けられるような電場の位置を有する。
【0050】
図5は、本発明の代替の実施形態による、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンを合成するプロセス400に包含される、重要な工程の流れ図である。この実施形態において、プロセス400は、工程402において、1,4−二置換ベンゼンを、α,ω−ジハロパーフルオロアルカン化合物と、溶媒の存在下で化合させる工程により開始する。このα,ω−ジハロパーフルオロアルカンは、α,ω−ジブロモパーフルオロアルカン型およびα,ω−ジヨードパーフルオロアルカン型からなる群より選択される1つである。しかし、好ましくは、これは、α,ω−ジヨードパーフルオロアルカン型である。Rは、アルキル、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、テトラヒドロピラン(THP)、ベンジル、およびメトキシメチル(MOM)からなる群より選択される1つである。Xは、独立して、塩化物、ヨウ化物、およびフッ化物からなる群より選択される官能基を含む。Xは、好ましくは、ヨウ化物である。
【0051】
α,ω−ジハロパーフルオロアルカン型におけるフルオロアルカン鎖は、長さが1個〜15個の範囲の炭素であり得る。反応混合物中の1,4−二置換ベンゼン対α,ω−ジハロパーフルオロアルカンの比は、約0.25:1モル当量と約4:1モル当量との間で変動するが、最も好ましくは、約0.5:1モル当量と約3:1モル当量との間である。工程402において使用される有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群より選択される1つが挙げられる。しかし、DMSOを使用することが好ましい。
【0052】
工程402の1つの実施形態において、触媒もまた、この反応混合物に添加される。この触媒としては、亜鉛、パラジウム、ニッケル、および銅からなる群より選択される1つが挙げられる。しかし、好ましくは、銅が使用される。使用される触媒の量は、1,4−二置換ベンゼンに対して、約1:1モル当量と約15:1モル当量との間で変動するが、好ましくは、約3:1モル当量と約7:1モル当量との間で変動する。
【0053】
工程402における反応温度は、約0℃と約200度との間で変動し得るが、好ましくは、約70℃と約170℃との間で変動する。工程402における反応の持続時間は、約1時間と約48時間との間で変動し得るが、好ましくは、約13時間と約25時間との間で変動し得る。工程402から得られる生成物は、当該分野において公知である数種の精製技術(例えば、抽出、蒸留、および結晶化)によって、分離され得る。最も好ましくは、精製は、溶媒からの結晶化を介して実施され、この溶媒としては、ヘキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、エタノール、およびメタノールが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0054】
次に、工程404において、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンモノマーは、工程402において単離された得られた生成物のフェノキシ基を脱保護することによって、得られる。工程402において得られた生成物を脱保護するために使用される試薬としては、塩化アルミニウム、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、およびトリメチルシリルヨージド(TMSI)、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、炭素担持パラジウム、p−トルエンスルホン酸(pTSA)、および塩酸からなる群より選択される1つが挙げられる。しかし、好ましくは、三臭化ホウ素が、工程404における脱保護のために使用される。
【0055】
工程404のために使用される溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、THF、エタノール、メタノール、酢酸エチル、およびアセトニトリルからなる群より選択される1つが挙げられる。しかし、好ましくは、塩化メチレンが使用される。工程404についての反応時間は、約1時間から約48時間まで変動するが、より好ましくは、約2時間から約24時間まで変動する。この工程についての反応温度は、約−150℃から約100℃まで変動する。しかし、三フッ化ホウ素が脱保護のために使用される場合、この工程における反応は、好ましくは、約−100℃と約30℃との間の温度で実施される。
【0056】
工程404から得られた生成物は、任意の工程において、結晶化、蒸留、昇華、クロマトグラフィー、または当該分野において公知である他の技術を介して、精製され得る。好ましくは、この生成物は、昇華、または有機溶媒からの結晶化によって精製される。このような有機溶媒としては、ヘキサン、塩化メチレン、トルエン、エタノール、メタノール、およびクロロホルムからなる群より選択される1つが挙げられる。しかし、結晶化プロセスにおいて、クロロホルムを使用することが好ましい。
【0057】
α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンの、nが4である特定の種である、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタフルオロブタンを、図8、図9および図10においてそれぞれ示されるように、H−NMR、19F NMRおよびMSによって確認した。H−NMRおよび19F NMRは、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタフルオロブタンの構造に相関する。図8のH−NMRは、2つの明瞭な二重線および1つの一重線を示す。この二重線は、芳香族環上のプロトンに相関付けられ、そしてこの一重線は、末端フェノール基に対応する。対称的な構造に起因して、新規モノマーは、3つのみのプロトンNMRピークを示す。図9の19F NMRのピークは、対称的な新規モノマーにおけるフッ素原子に相関付けられる。新規モノマーの図10の質量分析スペクトルは、386ダルトンにおいて明瞭なピークを示し、これは、本発明のモノマーの予測される質量である。
【0058】
以下に記載されるのは、本発明の1つの実施形態に従って、α,ω−ビス(4−ハロフェニル)パーフルオロアルカンを合成するプロセスに包含される、重要な工程である。この実施形態において、この合成は、1,4−ジハロベンゼンとα,ω−ジハロパーフルオロアルカンとを、有機溶媒の存在下で、以下に示されるように化合させることによって開始する:
【0059】
【化19】

この実施形態において、XおよびX’は、独立して、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物からなる群より選択される1つを含む。好ましくは、Xは、塩化物またはフッ化物であり、そしてX’は、臭化物またはヨウ化物である。有機溶媒は、DMAc、NMP、DMSO、およびDMFからなる群より選択される1つを含有する。しかし、DMSOを使用することが好ましい。本発明の特定の実施形態において、触媒がまた、この反応混合物に添加され、この触媒としては、パラジウム、亜鉛、鉄、ニッケル、および銅からなる群より選択される1つのメンバーが挙げられる。しかし、銅を使用することが好ましい。1,4−ジハロベンゼンに対して使用される触媒の量は、約1:1モル当量と約15:1モル当量との間で変動し得るが、好ましくは、約3:1モル当量と約7:1モル当量との間である。
【0060】
反応混合物中の1,4−ジハロベンゼン対α,ω−ジハロパーフルオロアルカンの比は、約0.25:1モル当量と約4:1モル当量との間で変動し得るが、好ましくは、約1:1モル当量と約3:1モル当量との間である。この工程における反応温度は、約0℃と約200℃との間で変動し得るが、好ましくは、約70℃と約170℃との間で変動する。1,4−ジハロベンゼンとα,ω−ジハロパーフルオロアルカンとの、この工程における反応の持続時間は、約1時間と約48時間との間で変動し得るが、好ましくは、約13時間と約25時間との間で変動する。
【0061】
1,4−ジハロベンゼンとα,ω−ジハロパーフルオロアルカンとのこの反応から得られる生成物は、当該分野において公知である数種の技術(例えば、抽出、蒸留、昇華および結晶化)によって、分離され得る。しかし、好ましくは、α,ω−ビス(4−ジハロフェニル)パーフルオロアルカンモノマーは、昇華によって、または有機溶媒中での結晶化によって精製され、この有機溶媒としては、ヘキサン、塩化メチレン、トルエン、エタノール、メタノール、およびクロロホルムからなる群より選択されるものが挙げられる。しかし、クロロホルムを使用することが好ましい。
【0062】
α,ω−ビス(4−ハロフェニル)パーフルオロアルカンモノマーはまた、他の合成技術を使用することによって調製され得る。本発明の代替の実施形態において、このモノマーは、1,4−ジハロベンゼンと、α,ω−ジハロパーフルオロアルカンから調製されたグリニャール試薬とを、有機溶媒の存在下で、以下に示されるように化合させることによって、調製され得る:
【0063】
【化20】

この代替の実施形態において、XおよびX’は、ハロゲン型を含む。しかし、好ましくは、X’は、臭化物またはヨウ化物であり、そしてXは、フッ化物である。整数「n」は、1〜15の範囲の値であり得る。本発明の1つの実施形態において、この反応のための溶媒は、ジエチルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)からなる群より選択されるものであるが、好ましくは、THFである。充分な反応時間の後に、この反応は、溶媒の添加によって停止され得、この溶媒は、水、飽和塩化ナトリウム、および飽和塩化アンモニウム水溶液からなる群より選択されるものである。次に、望ましい生成物が、有機溶媒、または溶媒の混合物を使用して、抽出され得る。このような溶媒としては、ジエチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、および酢酸エチルからなる群より選択されるものが挙げられる。必要に応じて、この生成物は、次に、アルコールからの結晶化によって精製され得、このアルコールは、ヘキサン、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールからなる群より選択されるものである。
【0064】
本発明はまた、少なくとも1つの本発明の繰り返し単位を組み込む、新規ポリマーを提供する。この繰り返し単位は、上記本発明のモノマーから誘導され、その好ましい実施形態は、表1に記載されている。当業者は、これらの繰り返し単位の最終的な構造が、ポリマー(単数または複数)を作製するために実施される合成経路に依存することを認識する。1つの実施形態において、本発明のポリマーにおいて使用される繰り返し単位は、以下の一般構造を有する:
【0065】
【化21】

この実施形態において、PおよびQは、エーテル、スルフィド、スルホン、ケトン、エステル、アミド、イミドおよび炭素−炭素結合からなる群より選択される官能基であり得る。さらに、PおよびQは、独立して、芳香族環に対してオルト位、メタ位またはパラ位のいずれか1つで結合し得る。代替の実施形態において、本発明の上で同定されるポリマー構造は、独立した官能基GおよびG’を含み、これらの官能基は、図には示されていない。GおよびG’は、独立して、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミドおよびイミダゾールからなる群より選択されるものである。さらに、GおよびG’は、上記群の化合物のうちの1つ以上を含む、フッ素化されているかまたはフッ素化されていない脂肪族鎖であり得る。GおよびG’は、PまたはQに対して、独立して、オルト位、メタ位、またはパラ位のいずれか1つに位置し得る。
【0066】
整数値「m」は、0と15との間であり、そしてメチレン単位の数を表す。整数値「o」は、1と15との間であり、そしてフッ素化されたメチレン単位の数を表す。「m」と「o」との合計についての代表的な値は、1〜15である。さらに、新規モノマーにおけるメチレン基とフッ素化メチレン基との順序は、ランダムであっても、本質的に特異的であってもよい。メチレン脂肪族単位およびフッ素化メチレン脂肪族単位は、脂肪族スペーサーと称される。新規モノマー繰り返し単位は、新規ポリマーにおいて、統計的にランダムな様式で出現しても、ポリマー鎖中にブロックとして出現してもよい。
【0067】
本発明によるポリマーの代替の実施形態において、フェニル環の間の脂肪族スペーサーは、少なくとも1つのメチレン単位を含み得、フッ素化メチレン単位を全く含まなくてもよい。本発明のポリマーのこの実施形態において、整数「m」は、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、および15を含み、そして脂肪族スペーサー単位におけるメチレン単位の数を表す。このポリマー構造は、上記本発明のモノマー構造の代替の実施形態と一致する。
【0068】
本発明のモノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリマーは、先行技術において見出されるポリマーより優れた、かなりの利点を与える。具体的には、本発明のポリマーは、燃料電池におけるプロトン交換膜として使用される場合に、望ましい特性を保有する。なぜなら、これらのポリマーは、ほとんどの熱可塑性物質ベースの膜よりも、安価であり、低いメタノールクロスオーバーを示し、そして改善された電極−電解質接着を示すからである。その結果、本発明は、本発明のポリマーを使用して、プロトン交換膜を作製する方法を提供し、この方法は、先行技術におけるこのような膜が遭遇する欠点に悩まされずに、熱可塑性ベースの膜によって実現される利点を提供する。ポリマーにおいて使用される本発明のモノマーの量は、特定の用途のために必要とされる機能的特徴に基づいて変動し得るが、好ましい実施形態は、約0.1%〜約100%を組み込む。
【0069】
本発明のポリマーの様々な実施形態の構造を、以下の表2に示す。
【0070】
【表2】

上記表2に記載される本発明のポリマーの実施形態において、繰り返し単位「a」は、約0.1モル%から約100モル%まで変動し、そして繰り返し単位「b」、「c」および「d」の数は、全て、約1%から約50%まで変動し得る。U、V、およびWは、スルホン、ケトン、炭素−炭素結合、分枝鎖炭素ベースの構造、アルケン、アルキン、アミド、およびイミドからなる群より選択される、官能基である。代替の実施形態において、表2において上で同定されるポリマーは、芳香族環のいくつかまたは全てに、GおよびG’を含むが、これらは、この表には示されていない。GおよびG’は、独立して、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミドおよびイミダゾールからなる群より選択されるものであり、そしてU、V、またはWのいずれかに対して、オルト位またはメタ位に位置し得る。さらに、GおよびG’は、上記群の化合物のうちの1つ以上を含む、フッ素化されたかまたはフッ素化されていない脂肪族鎖であり得る。整数値「m」および「o」は、0と15との間である。整数「m」は、0と15との間の範囲であり、そして整数「o」は、1と15との間の範囲である。整数「o」が0である場合、整数「m」は、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、および15であり得る。
【0071】
プロトン交換膜材料として価値のある、上に同定されたポリマーの特定の例が存在する。例えば、以下の構造を有するポリマーは、表2のポリマー2の特定の場合である。
【0072】
【化22】

別の例として、以下の構造を有するポリマーは、表2のポリマー3の特定の場合である。
【0073】
【化23】

本発明のポリマーを生成するための、本発明の1つの実施形態による反応は、図11に示される。
【0074】
この反応スキームに示される繰り返し単位「a」、「b」、「c」、および「d」の数は、必要とされるポリマーの特性に依存して変動する。「a」のモル値は、約0.1%〜約100%の範囲であり得る。「b」、「c」、および「d」のモル値は、全て、約0%から約50%まで変動し得る。U、V、およびWは、独立して、スルホン、ケトン、および炭素−炭疽結合、分枝鎖構造の炭素ベースの構造、アルケン、アミド、およびイミドからなる群より選択される官能基を含む。GおよびG’は、水素燃料電池の膜において、プロトン伝導性(すなわち、性能)を容易にする、任意の官能基である。本発明の1つの実施形態において、GおよびG’は、独立して、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミド、およびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーである。さらに、GおよびG’は、上記群の化合物のうちの1つ以上を含む、フッ素化されたかまたはフッ素化されていない脂肪族鎖であり得る。Y、Y’、Y”、およびY’’’は、独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、カルボン酸、トリメチルシロキシ、ニトロおよびアミンからなる群より選択されるものである。本発明の好ましい実施形態は、水素およびニトロ基対ヒドロキシル基の、モノマーの間で等しいモル比を有する。さらに、モノマーの比a:b:c:dは、このポリマーの全体的な組成および特性を決定する。整数「m」は、0と15との間の範囲であり、そして整数「o」は、1と15との間の範囲である、整数「o」が0である場合、整数「m」は、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、および15であり得る。「m」と「o」との合計についての代表的な値は、1〜15の範囲である。当業者は、本発明のポリマーの多数の実施形態が、最低でも、図11に示される第一の本発明のモノマー反応物質のみを含み、そして他のモノマー反応物質(これらは、U、VおよびWによって表される官能基を含む)のいずれも含む必要はないことを認識する。換言すれば、本発明のポリマー構造は、最低でも、1つの本発明のモノマー組成物を含有し得る。
【0075】
図11に示される実施形態の開始工程において、モノマー成分は、正確な化学量論的量で、実質的に乾燥状態で、不活性雰囲気下で化合される。これらの成分は、一般に、溶媒中に分散される。このような溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびジフェニルスルホキシド(DPSO)からなる群より選択されるものである。しかし、NMPおよびDMSOを使用することが好ましい。さらに、共沸成分が、副生成物として形成された水をこの溶液から除去することを容易にするために、添加され得る。代表的な共沸成分としては、トルエン、ベンゼンおよびキシレンからなる群より選択されるものが挙げられる。しかし、トルエンおよびベンゼンを使用することが好ましい。
【0076】
モノマーの化合反応を容易にするために、無機塩基が、本発明の特定の実施形態において、添加される。このような実施形態において、無機塩基は、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水素化ナトリウムからなる群より選択されるものである。しかし、炭酸カリウムを使用することが好ましい。無機塩基のモル比は、約0.75:1と約2.5:1との間で変動するが、好ましくは、約1;1と約5:1との間である。モノマーの化合反応の温度は、広範に変動するが、代表的には、約100℃から約350℃までの範囲であるが、好ましくは、約130℃と約220℃との間である。合理的なモノマー化合反応の時間は、約2時間から約72時間の範囲であるが、好ましくは、約5時間と約24時間との間である。この反応が完了し、そして冷却した後に、得られた反応混合物を、水、溶媒、または水と溶媒との混合物に注ぎ、ポリマーを沈殿させる。溶媒は、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、およびクロロホルムからなる群より選択されるものである。次いで、このポリマーは、公知の技術によって精製され得、そして乾燥され得る。
【0077】
本発明の別の合成方法が、図12Aに示される。この方法は、上に記載された方法と類似である。しかし、この方法で得られる生成物は、図11に先に記載された方法において生成した生成物の、より具体的な例である。本発明のこの実施形態において、モノマー単位「a」、「b」、「c」、および「d」の数は、必要とされるポリマーの特性に依存して変動する。モノマー単位「a」の値は、約0.1%〜約100%の範囲であり得る。「b」、「c」、および「d」のモル値は、全て、約0%〜約50%に変動し得る。nは、1〜15の範囲である。U、V、およびWは、独立して、スルホン、ケトン、および炭素−炭素結合、分枝鎖構造の炭素ベースの構造、アルケン、アミド、およびイミドからなる群より選択される官能基を含む。Y、Y’、Y”、およびY’’’は、フッ素、塩素、臭素、ニトロ、およびヒドロキシル基からなる群より選択されるものである。好ましくは、本発明のモノマーのモル比は、モノマー「a」について、約0.1%〜約50%であり、モノマー「b」について、約0%〜約50%であり、モノマー「c」について、約0%〜約50%であり、そしてモノマー「d」について、約0%〜約50%である。好ましくは、Y、およびY”は、クロロ基またはフルオロ基であり、そしてXは、ヒドロキシル基である。より高い分子量を有するポリマーを得るためには、a+b+dの値をcと等しく維持することが好ましい。さらに、モノマーの比a:b:c:dは、このポリマーの全体的な組成および特性を決定する。
【0078】
図12Aに示される実施形態の開始工程において、出発モノマー成分が、正確に化学量論的量で、乾燥した、不活性な雰囲気下で化合される。これらの成分は、一般に、溶媒中に分散される。この溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびジフェニルスルホキシド(DPSO)からなる群より選択されるものを少なくとも1種含有する。さらに、共沸成分が、副生成物として形成した水をこの溶液から除去することを容易にするために、添加され得る。この共沸成分は、トルエン、ベンゼン、およびキシレンからなる群より選択されるものを含有するが、好ましくは、トルエンおよびベンゼンを含有する。
【0079】
反応を容易にするために、無機塩基が、本発明の特定の実施形態において、添加される。このような実施形態において、この無機塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。しかし、炭酸カリウムを使用することが好ましい。この無機塩基のモル比は、約0.75;1と約2.5:1との間で変動するが、好ましくは、約1:1と約5:1との間である。反応温度は、変動するが、代表的には、約100℃〜約350℃の間であるが、より好ましくは、約130℃と約220℃との間である。合理的な反応時間は、約2時間から約72時間の範囲であるが、より好ましくは、約4時間と約24時間の間で行われる。その後、この反応物は、冷却され、そして得られる反応混合物は、水、溶媒、または水と溶媒との混合物に注がれ、ポリマーを沈殿させられる。溶媒としては、エタノール、メタノール、およびイソプロピルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。次いで、このポリマーは、公知の技術によって精製され、そして使用前に、プロトン化および乾燥される。この反応の説明は、この反応がどのように進行し得るかの一般的な概説を読者に与えることのみを意味する。当業者は、他の機構および反応パラメータを使用して、本発明のモノマーまたは繰り返し単位を組み込む、望ましいポリマーを生成させ得ることを認識する。
【0080】
本発明の代替の実施形態において、本発明のポリマーは、図12Bの反応に示されるように、ヒドロキシ官能性モノマーを、ジカルボン酸またはジカルボン酸ハロゲン化物と反応させることによって、調製され得る。
【0081】
図12Bにおいて、Rは、ジカルボン酸、ジカルボン酸塩化物、またはジカルボン酸フッ化物からなる群より選択される、任意の脂肪族化合物または芳香物化合物である。
【0082】
本発明の別の代替の実施形態において、本発明のモノマーは、図13に示されるように、ハロゲン官能基化された本発明のモノマーを自己カップリングさせることによって、ポリマー構造に組み込み得る。
【0083】
一旦、本発明のポリマーが合成されると、このポリマーは、さらに、薄膜にされ得、この薄膜は、次に、種々の用途において使用される。これらの用途のうちの数個が、以下に記載される。本発明のポリマーは、溶媒キャスティング、テープキャスティング、または任意の形態の融解キャスティング(押出し、カレンダリング、および射出成型が挙げられるが、これらに限定されない)によって、薄膜に加工され得る。得られたフィルムは、より広範な加工方法が可能である。重合後加工により形成されたフィルムは、透明な延性の製品であり、これは、酸性溶液中でプロトン化されて、プロトン伝導性電解質を形成し得る。このプロトン伝導性電解質は、さらに、MEAを形成するように加工され得る。
【0084】
このMEAは、最も代表的には、固体ポリマー電解質膜からなり、これは、1対の電極によって挟まれる。最も従来的には、このポリマー膜は、触媒でコーティングされた2つの電極の間でホットプレスされて、MEA構造を形成し得る。さらに、スパッタリング、スプレー、印刷などのような方法を使用して、この触媒層をこの膜に接着させ得る。
【0085】
得られたMEAは、プロトン交換膜燃料電池に組み込まれ得、この燃料電池は、例えば、米国特許第5,248,556号、および同第5,547,777号に記載されている。さらに、数個の燃料電池が、従来の手段によって直列に接続されて、燃料電池スタックを製造または組み立て得る。得られる燃料電池は、任意の従来の電気デバイスまたは負荷に対する電源として、使用され得る。
【0086】
本発明のモノマー、本発明の電解質、および本発明のMEAは、その先行技術の対応物と比較して、優れた性能を示す。本発明の利点およびその有意性を強調するために、本発明のポリマーのいくつかの反復を、比較用先行技術の例(これは、酸官能基化された熱可塑性物質であり、本発明のモノマーも繰り返し単位も含まなかった)と比較した。比較用の先行技術の例の一般構造が、以下に提供され、ここで、「b」、「c」および「d」は、それぞれ、20%、50%、および30%である。
【0087】
【化24】

表3は、表2に示されたポリマー2型の種々の実施形態を、比較用の先行技術の例と共に強調する。本発明のポリマーおよび比較用の先行技術の例におけるモノマー比もまた、表3に提供される。
【0088】
【表3】

表4からわかるように、様々な量の本発明のモノマー繰り返し単位は、本発明のポリマーの反復と比較例との間に、有意な特徴変化を付与する。
【0089】
【表4】

表3および表4に記載される、本発明のポリマー反復は、本発明のモノマーの影響を強調する。表4からわかるように、本発明のポリマーの化学特性および物理特性は、本発明のモノマーの組成物と供に、有意に変化する。
【0090】
ポリマーの伝導性における傾向は、ポリマー中での本発明の新規モノマー単位の存在が、得られるポリマーおよび膜の電気化学的特性を改善することを示す。電気化学的特徴におけるこのような改善は、先行技術の膜によっては達成されなかった。伝導性の増加は、新規モノマーの量を増加させることに起因する、ポリマーの微細構造の変化の結果であり得る。当業者は、増加した伝導性が、増加した燃料電池性能をもたらすことを認識する。
【0091】
図14に示されるように、本発明のポリマー系のイオン交換能力(IEC)は、新規モノマー繰り返し単位の増加と供に、明瞭に減少することを示す。このIECの減少は、得られるポリマーの理論的繰り返し単位の分子量の増加に対応する。新規モノマー繰り返し単位が重いほど、ポリマー材料1グラムについて標準化される場合、交換能力は効果的に減少する。
【0092】
この新規ポリマー系はまた、Nafion(登録商標)および他のPFSAベースの膜と比較して、メタノールクロスオーバーの有意な減少を示す。より低いメタノールクロスオーバーは、ポリマー材料の化学構造および物理構造に関連する。本発明のポリマーの芳香族の性質は、図15に実証されるように、PFSA MEAに対して、そのMEAを介したメタノール透過をより少なくするような構造を有し得る。より大きいメタノール不透過性は、メタノールクロスオーバーに起因する、燃料電池反応の部分的短絡から生じる電気化学的損失を減少させる。
【0093】
開示されたモノマーの量を増加させることにより、ポリマー鎖の可撓性が増加し、これによって、より大きいポリマー鎖の可動性が可能になる。増加したポリマー可動性は、Tgが低下したフィルム可撓性を与える。より低いTgは、改善された電極−電解質接着に寄与し、そして膜電極アセンブリの加工、および電気化学的デバイスの使用のためのイオノマーとしての優れた性能を容易にする。図16は、本発明のモノマーの種々の負荷に伴う、開示されるポリマーのTgの変化を強調する。本発明のモノマー比の量が増加するにつれて、得られるポリマーのTgは低下する。Tgの低下は、より良好なMEA接着の質を付与すると考えられる。
【0094】
表4に見られ得るように、本発明のポリマーのTgが低下するにつれて、全体的な触媒接着が改善される。この膜接着百分率は、吸湿性処理(すなわち、ある時間にわたる水中での煮沸)後の膜に接着する触媒の百分率を表す。本発明のポリマーについての100%と比較して、比較例のポリマーは、類似の条件下で、5%のみの接着を有することに留意のこと。接着は、ポリマーの軟化点に起因するのみでなく、膜と電極との間により良好な適合性を与える、形態変化にもまた起因し得る。
【0095】
より良好なMEA接着は、より良好な燃料電池性能をもたらす。図17の燃料電池性能データは、新規モノマーおよびポリマーのポジティブな性能効果を図示する。比較例と比較して、本発明のポリマー2は、分極曲線の高い電流密度の領域において最も顕著に、有意な性能増加を示すことに留意のこと。これらのMEAは、類似の様式で作製され、そして類似の電極、類似の組み立て手順および類似の試験プロトコルを用いて、本発明のポリマーの性能の改善を示した。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、燃料電池の用途の観点で記載されたが、当業者は、本明細書中に記載された本発明の構造体および技術が、他の用途のために使用され得ることを認識する。例えば、本発明のモノマーは、分離プロセス(例えば、液体−液体分離、浸透気化、気体−液体分離、蒸気−液体分離)において使用される膜を合成するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態による、MEAに組み込まれた燃料電池の図である。
【図2】図2は、図1に示され、本発明のポリマーを含むMEAの側面断面図を示す。
【図3】図3は、本発明の1つの実施形態に従う、本発明のα,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーを作製するプロセスの流れ図である。
【図4】図4は、本発明の代替の実施形態に従う、本発明のα,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーを作製するプロセスの流れ図である。
【図5】図5は、本発明の1つの実施形態に従う、本発明のα,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンモノマーを作製するプロセスの流れ図である。
【図6】図6は、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンの特定の種である、1,4−ビス4−ヒドロキシフェニル)ブタンモノマーの合成を確認する、炭素−13核磁気共鳴スペクトル(「13C NMR」)を示す。
【図7】図7は、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンモノマーの合成を同様に示す、プロトン核磁気共鳴スペクトル(「H−NMR」)を示す。
【図8】図8は、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンの特定の種である、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタフルオロブタンの合成を確認するH−NMRスペクトルを示す。
【図9】図9は、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタフルオロブタンの合成を確認する、フッ素−19核磁気共鳴スペクトル(「19F−NMR」)を示す。
【図10】図10は、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタフルオロブタンの合成を確認する質量スペクトル(MS)を示す。
【図11】図11は、本発明のポリマーを生成するための例示的な合成プロセスを示す。
【図12】図12Aは、本発明のポリマーを生成するための別の例示的な合成プロセスを示す。図12Bは、本発明のポリマーを生成するためのなお別の例示的な合成プロセスを示す。
【図13】図13は、本発明のポリマーを生成するためのなお別の例示的な合成プロセスを示す。
【図14】図14は、比較用の先行技術のポリマーと例示的な本発明のポリマーとのイオン交換能力の比較用グラフを示す。
【図15】図15は、Nafion(登録商標)と本発明のポリマーの1つの実施形態とについての、メタノールクロスオーバーの比較用プロットを示す。
【図16】図16は、比較用の先行技術のポリマーと例示的な本発明のポリマーとのTgの比較用プロットを示す。
【図17】図17は、比較用の先行技術のポリマーと本発明のポリマーの1つの実施形態との、燃料電池性能の比較用プロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー組成物であって、
【化1】

を含有し、ここで、
XおよびX’は、独立して、ヒドロキシ、水素、ニトロ、カルボン酸、トリメチルシロキシおよびアミンからなる群より選択される官能基を含み;
GおよびG’は、独立して、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミド、およびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーを含み;
mは、整数であり、そして0〜15の範囲の値を有し;そして
oは、整数であり、そして1〜15の範囲の値を有する、
モノマー組成物。
【請求項2】
前記整数mとoとの合計が、1〜15の範囲の値である、請求項1に記載のモノマー組成物。
【請求項3】
前記モノマーが、α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンおよびα,ω−ビス(4−ハロフェニル)パーフルオロアルカンからなる群より選択される1つのメンバーである、請求項1に記載のモノマー組成物。
【請求項4】
前記GおよびG’が、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミド、およびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーを含む、フッ素化されたかまたはフッ素化されていない脂肪族鎖である、請求項1に記載のモノマー組成物。
【請求項5】
前記Xおよび前記X’が、独立して、対応する芳香族環のオルト位、メタ位またはパラ位のうちのいずれか1つに結合し得る、請求項1に記載のモノマー組成物。
【請求項6】
モノマー組成物であって、
【化2】

を含有し、ここで、
XおよびX’は、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボン酸、トリメチルシロキシ、およびアミンからなる群より選択される官能基を含み;
GおよびG’は、独立して、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミド、およびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーであり;そして
mは、整数であり、そして3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、および15のうちの1つである値を有する、
モノマー組成物。
【請求項7】
α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンである、請求項6に記載のモノマー。
【請求項8】
α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーを生成するためのプロセスであって、以下の工程:
(a)1,4−二置換ベンゼンを、グリニャール試薬に変換する工程;
(b)該グリニャール試薬を、α,ω−ジハロアルカンと反応させる工程;
(c)該工程(b)の生成物を脱保護して、該α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーを生成する工程、
を包含する、プロセス。
【請求項9】
前記1,4−二置換ベンゼンが、以下の一般構造:
【化3】

を有し、ここで、
Rは、アルキル、tert−ブチルジメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、テトラヒドロピラン、ベンジルおよびメトキシメチルからなる群より選択される1つであり;そして
Xは、塩素、要素および臭素からなる群より選択される1つである、
請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記工程(a)が、溶媒を使用して実施され、該溶媒は、ジエチルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフランからなる群より選択される1つのメンバーを含有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記工程(a)が、約−25℃と約70℃との間の温度で実施される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
前記工程(a)が、約−25℃と約25℃との間の温度で実施される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記工程(a)が、約1時間と約48時間との間の持続時間を有する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項14】
前記工程(b)において使用される前記α,ω−ジハロアルカンが、α,ω−ジクロロアルカン、α,ω−ジブロモアルカンまたはα,ω−ジヨードアルカンからなる群より選択される1つのメンバーを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項15】
前記α,ω−ジハロアルカンの炭化水素鎖の長さが、3個と15個との間の数の炭素原子の長さである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項16】
前記工程(b)において、前記グリニャール試薬と前記α,ω−ジハロアルカンとの間の比が、約1:1と約4:1との間のモル当量である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項17】
前記工程(b)における反応温度が、約−78℃と約30℃との間である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項18】
前記工程(b)における反応時間が、約2時間と約120時間との間である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項19】
前記工程(b)が、触媒を使用して実施され、該触媒は、四塩化第二銅リチウム、塩化銅、臭化銅、塩化ニッケル、および白金からなる群より選択される1つのメンバーを含有する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項20】
前記触媒対α,ω−ジハロアルカンの比が、約0.0001:1モル当量と約0.03:1モル当量との間で変動し得る、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記工程(b)における反応を、溶液を添加することによって停止させる工程をさらに包含し、該溶媒は、水、飽和塩化ナトリウム、および飽和塩化アンモニウム水溶液からなる群より選択される1つのメンバーを含有する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項22】
前記工程(b)から得られた生成物を、有機溶媒を使用して抽出する工程をさらに包含し、該有機溶媒は、ジエチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、および酢酸エチルからなる群より選択される1つのメンバーを含有する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項23】
前記工程(b)から得られた生成物を、アルコールを使用して結晶化させる工程をさらに包含する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項24】
前記アルコールが、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールからなる群より選択される1つのメンバーである、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記工程(c)が、脱保護試薬を使用して実施され、該脱保護試薬は、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、トリメチルシリルヨージド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、炭素担持パラジウム、p−トルエンスルホン酸および塩酸からなる群より選択される1つのメンバーを含有する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項26】
前記工程(c)が、溶媒を使用して実施され、該溶媒は、クロロホルム、四塩化炭素、THF、エタノール、メタノール、酢酸エチル、塩化メチレンおよびアセトニトリルからなる群より選択される1つのメンバーを含有する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項27】
前記工程(c)が、約1時間と約48時間との間の持続時間を有する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項28】
前記工程(c)が、約−150℃と約100℃との間の温度で実施される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項29】
前記工程(c)から得られた生成物を、結晶化、蒸留、昇華およびクロマトグラフィーのうちの少なくとも1つを実施することによって精製する工程をさらに包含する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項30】
α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンモノマーを生成するためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
(a)1,4−二置換ベンゼンを、α,ω−ジハロアルカン化合物と化合させる工程;ならびに
(b)該工程(a)から得られた生成物中に存在するヒドロキシ基を、該生成物を試薬と反応させることによって脱保護する工程であって、該試薬は、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、トリメチルシリルヨージド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、炭素担持パラジウム、p−トルエンスルホン酸、および塩酸からなる群より選択されるメンバーを含有する、工程、
を包含する、プロセス。
【請求項31】
前記1,4−二置換ベンゼンが、以下の一般構造:
【化4】

を有し、ここで、
Rは、アルキル、tert−ブチルジメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、テトラヒドロピラン、ベンジルおよびメトキシメチルからなる群より選択される1つであり;そして
Xは塩素、ヨウ素および臭素からなる群より選択される1つである、
請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記α,ω−ジハロアルカン化合物が、以下の一般構造:
X’−(CH−X’
を有し、ここで、該X’が、塩素、要素、および臭素からなる群より選択される1つのメンバーを含む、請求項30に記載のプロセス。
【請求項33】
前記工程(a)の生成物が、以下の一般構造:
【化5】

を有する、請求項30に記載のプロセス。
【請求項34】
前記工程(a)において、前記1,4−二置換ベンゼンとα,ω−ジハロアルカン化合物との間の比が、約0.25:1モル当量と約4:1モル当量との間である、請求項30に記載のプロセス。
【請求項35】
前記工程(a)における反応温度が、約0℃と約200℃との間である、請求項30に記載のプロセス。
【請求項36】
前記工程(a)の持続時間が、約1時間と約48時間との間である、請求項30に記載のプロセス。
【請求項37】
前記工程(a)が、触媒を使用して実施され、該触媒が、パラジウム、亜鉛、ニッケル、および銅からなる群より選択される1つのメンバーを含有する、請求項30に記載のプロセス。
【請求項38】
前記1,4−二置換ベンゼンに対する前記触媒の量が、約1:1モル当量と約15:1モル当量との間である、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記工程(a)の生成物を、抽出、蒸留および結晶化のうちの少なくとも1つを実施することによって分離する工程をさらに包含する、請求項30に記載のプロセス。
【請求項40】
前記分離が、溶媒を使用する結晶化を実施することによって実施され、該溶媒が、ヘキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン、エタノール、およびメタノールからなる群より選択される津を含有する、請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
前記工程(b)が、脱保護試薬を使用して実施され、該脱保護試薬が、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、トリメチルシリルヨージド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、炭素担持パラジウム、p−トルエンスルホン酸および塩酸からなる群より選択される1つのメンバーを含有する、請求項30に記載のプロセス。
【請求項42】
前記工程(b)の生成物が、有機溶媒から結晶化され、該有機溶媒は、ヘキサン、塩化メチレン、トルエン、エタノール、メタノール、およびクロロホルムからなる群より選択されるメンバーである、請求項41に記載のプロセス。
【請求項43】
α,ω−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロアルカンモノマーを生成するためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
(a)1,4−二置換ベンゼンを、α,ω−ジハロパーフルオロアルカン化合物と化合させる工程;
(b)該工程(a)から得られた生成物中に存在するフェノール基を、溶媒を使用して脱保護する工程であって、該溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、THF、エタノール、メタノール、酢酸エチル、およびアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含有する、工程、
を包含する、プロセス。
【請求項44】
前記1,4−二置換ベンゼンが、以下の一般構造:
【化6】

を有し、ここで、
Rは、アルキル、tert−ブチルジメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、テトラヒドロピラン、ベンジル、およびメトキシメチルからなる群より選択される1つであり;
Xは、ヨージド基およびブロミド基からなる群より選択される1つを含む、
請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
前記α,ω−ジハロパーフルオロアルカン化合物が、以下の一般構造:
X’−(CF−X’
を有し、ここで、X’は、塩素、要素、および臭素からなる群より選択される1つのメンバーを含む、請求項43に記載のプロセス。
【請求項46】
前記工程(a)の生成物が、一般構造:
【化7】

を有する、請求項43に記載のプロセス。
【請求項47】
前記nが、1個〜15個の範囲の炭素の長さである、請求項43に記載のプロセス。
【請求項48】
少なくとも1つの繰り返し単位を含むポリマー組成物であって、該繰り返し単位は、以下:
【化8】

を含み、ここで、
PおよびQは、独立して、エーテル、スルフィド、スルホン、ケトン、エステル、アミド、イミド、および炭素−炭素結合からなる群より選択される官能基であり;
mは、メチレン単位の数を表す整数であり、そして0と15との間の範囲であり;そして
oは、フッ素化メチレン単位の数を表す整数であり、そして1と15との間の範囲である、
ポリマー組成物。
【請求項49】
前記ポリマーが、以下の一般構造:
【化9】

を有し、ここで、
aは、約0.1モル%と約100モル%との間であり、
b、c、およびdは、独立して、約0モル%と約50モル%との間であり、
U、VおよびWは、独立して、スルホン、ケトン、炭素−炭素結合、分枝鎖炭素ベースの構造からなる群より選択される官能基である、
請求項48に記載のポリマー組成物。
【請求項50】
前記ポリマーが、以下の一般構造:
【化10】

を有し、ここで、
aは、約0.1モル%と約100モル%との間であり、
b、c、およびdは、独立して、約0モル%と約50モル%との間であり、
U、VおよびWは、独立して、スルホン、ケトン、炭素−炭素結合、分枝鎖炭素ベースの構造、アルケン、アルキン、アミド、およびイミドからなる群より選択される官能基である、
請求項48に記載のポリマー組成物。
【請求項51】
前記ポリマーが、以下の構造:
【化11】

を有する、請求項50に記載のポリマー組成物。
【請求項52】
前記ポリマーが、以下の一般構造:
【化12】

を有し、ここで、
aは、約0.1モル%と約100モル%との間であり、
b、c、およびdは、約0モル%と約50モル%との間であり、
U、VおよびWは、独立して、スルホン、ケトン、炭素−炭素結合、分枝鎖炭素ベースの構造、アルケン、アルキン、アミド、およびイミドからなる群より選択される官能基である、
請求項48に記載のポリマー組成物。
【請求項53】
前記ポリマーが、以下の一般構造:
【化13】

を有する、請求項48に記載のポリマー組成物。
【請求項54】
整数「o」が0である場合、整数「m」は、3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、14、および15のうちのいずれか1つであり得る、請求項48に記載のポリマー組成物。
【請求項55】
前記繰り返し単位が、GおよびG’を含み、該Gが、前記Pに関連する芳香族環に結合しており、そして該G’が、前記Qに関連する芳香族環に結合している、請求項48に記載のポリマー組成物。
【請求項56】
前記GおよびG’が、独立して、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミドおよびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーを含む、請求項55に記載のポリマー組成物。
【請求項57】
前記GおよびG’が、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミドおよびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーを含む、フッ素化されたかまたはフッ素化されていない脂肪族鎖を含む、請求項55に記載のポリマー組成物。
【請求項58】
ポリマーを生成するためのプロセスであって、該プロセスは、複数の成分モノマーを化合させる工程を包含し、該成分モノマーのうちの少なくとも1つは、以下の一般構造:
【化14】

を有し、ここで、
Yは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、カルボン酸、トリメチルシロキシ、ニトロおよびアミンからなる群より選択される1つであり;
GおよびG’は、独立して、水素、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、スルホンアミドおよびイミダゾールからなる群より選択される1つのメンバーであり;そして
mおよびoは、0と15との間の範囲の整数値である、
プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−501794(P2008−501794A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527186(P2007−527186)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/039058
【国際公開番号】WO2005/118680
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(503047607)ホク サイエンティフィック, インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Hoku Scientific, Inc.
【Fターム(参考)】