説明

高温ガス冷却原子炉ヘリウムガススペースの密封伝動装置及びその駆動装置

本発明は高温ガス冷却原子炉ヘリウムガススペースの密封伝動装置及びその駆動装置を提供する。このヘリウムガススペース1は、チャンパ本体2、耐圧殻3、ファスナー4と密封部5で密封して構成され、ヘリウムガススペース1の内部に設けられる執行部6とヘリウムガススペース1の外部に設けられる原動部7が伝動部8により接続される。伝動部8は、耐圧殻3、耐圧殻3の外部に設けられる主動磁気コンポーネント9と耐圧殻3の内部に設けられる従動磁気コンポーネント10を含む磁気結合カップリングである。原動部7が主動磁気コンポーネント9に接続され、執行部6が従動磁気コンポーネント10に接続される。この密封伝動装置と駆動装置は、熱態放射性ヘリウムガススペースに対する全密封を実現し、操作に可制御性と信頼性の要求を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の密封伝動分野に関し、特に高温ガス冷却原子炉ヘリウムガススペースの密封伝動装置及びその駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温ガス冷却原子炉は、黒鉛を減速材とし、ヘリウムガスを冷媒とする高温原子炉であり、固有の安全性が優れ、発電効率が高く、応用範囲がごく広い先進的な原子炉である。高温ガス冷却原子炉内の黒鉛材料又は燃料要素が摩損により生じた黒鉛粉塵は放射性を持つ。これらの微小な黒鉛粉塵が、主にエアロゾルの形で一回路ヘリウムスペースに分散されている。周知のとおり、他の媒質と比べて、ヘリウムガスは強い透過性を持つ。それで、工業の応用において、ヘリウムガスの一つ重要な応用は、密封性検査である。原子炉炉心を流れる圧力付きヘリウムガスは、放射性黒鉛粉塵を引きつれて流動するため、ある程度の放射線量を持つ。従って、高温ガス冷却原子炉の圧力境界及び補助システム管路には厳しい密封措置を実施しなければならない。これらのシステムの設備と配管付属品が外漏れになされると、原子炉の通常運転と安全停止に影響を与えるだけではなく、作業員や周辺環境の安全にも危害が及ぶ。一方、ヘリウムガスは高価なものであるため、漏れると経済にも損になる。
【0003】
ヘリウムガス漏れを避けるため、高温ガス冷却原子炉における設備、バルブ、管路および管継ぎ手の接続方式としては、主に熔接構造、または密封プラスエッジ熔接構造を採用する。例えば、HTR−10研究炉の全てのヘリウムガスバルブは、バルブカバーとバルブステムとの間に、ベローズと填料で密封する構造を採用した。それでも、一回路圧力境界と原子炉補助システム管路には、可動部品を含む耐圧機械設備が大量設けられ、電動、電磁などの方法で遠隔操作することが要求されるため、その駆動機構は、現場での照射、温度、湿度環境において信頼に使用できることを確保すべく。これらの耐圧機械設備に対して、填料或はパッキンで密封することで密封面があるため、ヘリウムガスの密封問題を徹底に解決することが困難である。ベローズは固有の柔性があるため、その剛度が小さく、安定性が失いやすく、大角度で捻れることができなく、疲労寿命には限度がある。従って、ベローズによる密封は、大トルク、長時間連続、往復回転や頻繁にオン・オフなどの運転操作に関する技術の要求を満たさない。
【0004】
放射性ヘリウムガスに対する圧力境界運転機械設備の信頼できる密封問題を解決するためには、建設された又は建設されている高温ガス冷却原子炉は、主に耐圧殻内電動または電磁駆動機構内蔵式構造を採用する。例えば、特許文献1に開示された高温ガス冷却原子炉吸収球停止システムに応用される非能動安全駆動装置、及び特許文献2に開示されたペブルベッド型高温ガス冷却遠心式ヘリウムガス圧縮がある。内蔵式構造を採用すると、運転部品の機械動密封は、電気貫通部材の静密封に変わる。ヘリウムガス漏れる問題を解決したが、耐圧殻内の過酷な環境と信頼できる運転要求に係る技術課題、例えば駆動モータ及び伝動部材の照射防止、耐温、耐圧、潤滑及び摩損、長寿命運転などの問題を解決しなければならない。従って、駆動モータ及び伝動部材としては、非標準な設計と工事を採用しなければならない。一方、原子力発電所の電気貫通部材は、一般に特定炉型と圧力境界特定安全及び設備に対する専用的なものであり(例えば特許文献3)、異なる構造と運転環境の耐圧機械設備により、オーダーメードあるいは研究し製造する電気貫通部材のコストがごく高いため、補助システムの非安全級耐圧機械設備には好ましくない。従って、通常には信頼性の低い電気コネクタしか使えなく、このような常例の電気コネクタ及び耐圧殻との接続部は、耐圧機械設備の欠陥部分になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国発明特許明細書第101159172号
【特許文献2】中国発明特許明細書第101109390号
【特許文献3】中国特許番号第1176469号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、先行技術に対して改善を行って、熱態放射性ヘリウムガススペースに対する全密封を実現させ、且つ、大トルク、長時間連続、往復回転と頻繁にオン・オフなどの運転操作の制御性や信頼性の使用要求を満たせることである。
【0007】
本発明が解決しようとする他の課題は、ヘリウムガススペース密封伝動に用いる新たな駆動装置を提供することである。この駆動装置は、各設備の部品がコンパクトにされ、安全かつ信頼に運転でき、交換と修理が容易である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の第一課題を解決するため、本発明は高温ガス冷却原子炉ヘリウムガススペースの密封伝動装置を提供する。このヘリウムガススペースは、チャンパ本体、耐圧殻、ファスナーと密封部で密封して構成される。ヘリウムガススペースの内部には執行部が設けられ、ヘリウムガススペースの外部には原動部が設けられ、執行部と原動部は伝動部を介して接続され、運動を転送する。前記伝動部は、耐圧殻と、前記耐圧殻の外部に設けられる主動磁気コンポーネントと前記耐圧殻の内部に設けられる従動磁気コンポーネントを含む磁気結合カップリングである。主動部は、前記原動部と主動磁気コンポーネントを接続することで構成される。従動部は、前記執行部と従動磁気コンポーネントを接続することで構成される。
【0009】
好ましくは、前記原動部と主動磁気コンポーネントの接続は静接続であり、前記静接続は任意形式の着脱可能な接続である。
【0010】
好ましくは、前記執行部と従動磁気コンポーネントの接続は静接続であり、前記静接続は任意形式の着脱可能な接続である。
【0011】
好ましくは、前記執行部と従動磁気コンポーネントの接続は動接続であり、前記動接続は螺旋又はボールネジガイド機構、または他の形式の運動変換機構である。
【0012】
好ましくは、前記原動部は駆動モータで駆動され、前記駆動モータは普通モータ、可変周波数モータ、ステッピングモータ又はサーボモータであり、異なる速度又はトルクの密封伝動を実現するように従動部は原動部で駆動される。
【0013】
好ましくは、前記主動部の軸系には運動センサーが設けられることで執行部に対する半フィードバック運動制御を実現させる。
【0014】
上記の第二課題を解決するため、本発明はヘリウムスペース密封伝動に使用する駆動装置を提供する。この駆動装置は、原動部、執行部と伝動部を含む。前記伝動部は、耐圧殻、前記耐圧殻の外部に設けられる主動磁気コンポーネントと耐圧殻の内部に設けられる従動磁気コンポーネントを含む磁気結合カップリングである。前記耐圧殻は、それぞれ第一軸受のペアと第二軸受のペアで主動磁気コンポーネントと従動磁気コンポーネントを接続して支える。前記耐圧殻がチャンパ本体に接続される。
【0015】
好ましくは、前記磁気結合カップリングは円盤型構造を持ち、前記主動磁気コンポーネントと従動磁気コンポーネントは平面型構造を持つ。
【0016】
好ましくは、前記磁気結合カップリングは円筒型構造を持ち、前記主動磁気コンポーネントと従動磁気コンポーネントはスリーブ状磁気円環型構造を持つ。
【0017】
好ましくは、前記耐圧殻の開口側の端部には凸縁を有し、前記凸縁とチャンパ本体の端面の間に密封ガスケットを有する。
【0018】
好ましくは、前記耐圧殻の開口側の端部には凸縁を有し、前記凸縁とチャンパ本体の端面の間にメタルOリングを有する。
【0019】
好ましくは、前記耐圧殻の外部にはスリーブのフランジを有し、スタッドでファスナーとチャンパ本体を接続される。
【0020】
好ましくは、前記耐圧殻の外部にはスリーブベアリングを有し、その端面は原動件の軸系を支えるものとして設計され、スリーブのフランジはスタッドでファスナーとチャンパ本体に接続される。
【0021】
好ましくは、前記耐圧殻の筒体の外部には放熱構造がある。
【0022】
好ましくは、前記耐圧殻の筒体の内部には防塵カバープレートを設け、従動軸には金属防塵網を設ける。
【0023】
好ましくは、前記耐圧殻の筒体の開口側の内部には厚い壁金属遮蔽環を設け、耐圧殻の封閉端には加厚した遮蔽ステップを設ける。
【0024】
好ましくは、前記軸受のペアは耐摩合金で製造されたものである。
【0025】
好ましくは、前記軸受のペアのレースにはプラズマスプレー固体潤滑膜を採用し、ボールはセラミックスで製造されたものである。
【0026】
好ましくは、前記耐圧殻はチタン合金で製造されたものである。
【発明の効果】
【0027】
磁気結合カップリングの耐圧殻、主動磁気コンポーネントと従動磁気コンポーネントは剛体構造を持つため、ベローズには、小さい剛度、失いやすい安定性、できない大角度の捻れと小さい疲労寿命限度などの問題が解決され、大トルク、長時間連続、往復回転と頻繁にオン・オフなどの運転操作の技術要求を満たす。原動部は耐圧殻の外部にあり、キャビン標準環境に運転し、成熟製品と標準部品を採用できる。主動磁気コンポーネントと原動部との接続、及び、従動部にある執行部と従動磁気コンポーネントとの接続は静接続である。且つ、磁気結合カップリングの分離性という特徴で複雑な機械伝動装置を簡素でき、関連する運動設備部品の交換、修理と快速着脱はしやすく、システム全体の信頼性を保証する。また、耐圧殻内には電気部品がないため、電気コネクタに存在可能な欠陥部分を避け、密封駆動方法及びその設備部品の信頼性を更に保証する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明実施例のヘリウムガススペース密封伝動装置の構造を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施例の一例のヘリウムスガスペース密封伝動に用いる駆動装置の構造を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施例の他の一例のヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置の構造を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施例のもう一例のヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面と実施例を参照して、本発明の具体の実施形態について更に詳しく説明する。下記の実施例は本発明を説明するものであるが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0030】
図1には、高温ガス冷却ヘリウムガススペース密封伝動装置を示した。ヘリウムガススペース1は、一つの耐圧殻3とチャンパ本体2で構成され、駆動モータと主動軸を含む原動部7はヘリウムガススペース1の外部に設けられ、執行部6はヘリウムガススペース1の内部に位置され、前記原動部7と執行部6は伝動部8により接続される。伝動部8は磁気結合カップリングであり、耐圧殻3は磁気結合カップリングの組成部分であり、耐圧殻3以外、この磁気結合カップリングはさらに耐圧殻3の外部に設ける主動磁気コンポーネント9と、耐圧殻3の内部に設ける従動磁気コンポーネント10を含む。主動磁気コンポーネント9と従動磁気コンポーネント10の永久磁石の磁路は、緊密的な配列を採用する組合型磁路である。原動部7と主動磁気コンポーネント9とを接続することで主動部を構成する。執行部6と従動磁気コンポーネント10とを接続することで従動部を構成する。
【0031】
磁気結合カップリング伝動の作動メカニズムは以下の通りである。原動部と執行部との間にある機械的な直結部分(例えば剛性カップリングなど)を取り消し、直結装置の代わりに、磁気結合装置における主動磁気コンポーネントと、それと互いに遮断しながらカップリングする従動磁気コンポーネントが各種の動作を遂行する。磁気カップリングに依頼する主動・従動磁気コンポーネントは、磁場効果の柔軟的な接続により、ソフト伝送操縦をし、システムを制御して運動と力の伝送を実現させる。磁気結合カップリングは、ストレート式ハード伝送を結合式ソフト伝送に変わることで主動・従動装置の完全的な分離を実現し、動態的な静密封を得て、ゼロ漏れの条件を保証し、伝動・制御の敏感度と、安定性・信頼性を向上させる。
【0032】
磁気結合カップリングによる伝動方法に基づくプログラムは以下の通りである。原動部7の作動がパワー制御システム11に制御され、原動部7が主動磁気コンポーネント9に接続され、従動磁気コンポーネント10が執行部6に接続されるため、原動部7が主動磁気コンポーネント9を直接にドライブした後、主動・従動磁気コンポーネントの磁場は、耐圧殻3の壁層を透過して互いにカップリングする。主動磁気コンポーネント9が運動する場合に、従動磁気コンポーネント10は磁場効果で運動をし始め、更に執行部6の運転をドライブして制御する。即ち、伝動部8により永久磁石の磁気カップリング効果を閉鎖し、原動部7はその運動状態により執行部6の作動状態とパラメーターを制御して、設定の運動形式または状態の変換を完成する。運動要求によって、磁気カップリング伝動には速度が均一でもよく、調整可能でもよい。
【0033】
原動部7は駆動モータで駆動される。異なる規格パラメーターを持つ減速機を組み合わせてセットにして、異なる速度又はトルクの密封伝動要求を実現できる。相対運動がないため、主動・従動磁気コンポーネントの間に生じた磁場力により、主動部と従動部の同期回転を実現できる。
【0034】
好ましくは、螺旋或はボールネジガイド機構、あるいは他の形式の運動変換機構による動的な接続で執行部6と従動磁気コンポーネント10を接続し、動的な接続の間にある運動変換により、主動磁気コンポーネントが従動磁気コンポーネントをドライブして回転運動する際に、直線あるいは特定の運動軌跡に従って運動するように執行部を駆動することができる。この伝動方法では、磁気結合カップリングの主動・従動磁気コンポーネントの磁路設計と、異なる運動軌跡要求の執行部の機械設計を有機に結合することで運動システム全体を構成し、もっと複雑的な運動軌跡を完成でき、伝統的な機械連動機構を突破し、且つ動態の静密封を良く実現できる。
【0035】
好ましくは、可変周波数モータ、ステッピングモータ又はサーボモータなどを使用してモータ駆動を制御する。そうすると、パワーシステムで制御する場合に、電磁力で従動部を駆動し、変速、方向変換及びオン・オフの密封伝動の自動化制御を実現できる。又は、主動軸系に運動センサー22を設け、例えば回転エンコーダー、回転インバータなどがあり、高精度制御モータとセンサーで検出した信号との協働により、従動部のフィードバック運動制御を行うことができ、更に運動執行部の調速、回転、スウィングあるいは運動変換に対する精密制御を実現される。
【0036】
本発明のヘリウムガススペースの駆動装置は、一つの主動軸系、一つの従動軸系と一つの磁気結合カップリングを含む。前記磁気結合カップリングには、一つの耐圧殻3、耐圧殻3の外に設置された一つの主動磁気コンポーネント9と耐圧殻3の中に設置された一つの従動磁気コンポーネント10がある。この耐圧殻3は耐圧設備チャンパ本体2と接続され、主動磁気コンポーネント9は耐圧設備の主動軸系と接続され、従動磁気コンポーネント10は耐圧設備運動執行部品の従動軸系と接続される。
【0037】
上記駆動装置にある磁気結合カップリングの主動・従動磁気コンポーネントの構造形式は、円盤型構造あるいは円筒型構造を採用することができる。円盤型構造は偏平的な構造を持ち、軸向剛度と慣性モーメントが大きく、高転速、大トルクを転送でき、全密封が必須となりかつ比較的に大きな動荷重と高速回転運動部を有するヘリウムガス圧縮機に適用できる。円筒型構造は駆動モータと減速機と組立し、細長い構造を持ち、耐圧殻筒は良好な指向性を有し、低転速、運転平穏、運動制御要求の高い各種の耐圧機械設備の密封伝動、例えば燃料取り出し装置と各種の輸送転換設備の駆動装置に適用する。
【0038】
上記ヘリウムガススペースの駆動装置の密封は、耐圧殻端部凸縁と作動チャンパを配合する部位にある。チャンパ内の温度が比較的に低い場合に、ソフト密封ガスケットを使用でき、繰り返して使用できる。チャンパ内ヘリウムガスの温度は180℃を超える場合に、メタルOリングを使用して、ファスナー4で高温ヘリウムガスに対する密封を実現する。耐圧殻3の外に標準フランジを設置することで、非標準耐圧殻端部凸縁に対する密封部の固定を強化でき、またファスナーの荷重条件を改善できる。このフランジはスリーブ構造に設計され、主動磁気コンポーネント9の外に設置され、軸受で主動磁気コンポーネント9を補助支え、磁気結合カップリングの構造をサポートと架設に用いて、その端面にはサポート構造を設計し、原動部軸系のサポートを支えることに使用できる。
【0039】
上記ヘリウムガススペース駆動装置の耐圧殻内に防塵カバープレート24を設置する。防塵カバープレート24によって作動チャンパ内の熱量が従動磁気コンポーネントへ輻射伝熱することを阻止・弱めさせる。一方、耐圧殻3外の冷却フィン及びその環境気流によりヘリウムガススペース内の熱量を放出して、耐圧殻3内外軸受の運転環境温度を更に改善し、磁気結合カップリング及び他の伝動部品の使用寿命を保証する。また、防塵カバープレート24は従動軸系に設けられる防塵網と配合して使用でき、黒鉛粉塵が作動チャンパから磁気結合カップリング耐圧殻3内に進入することを阻止でき、従動磁気コンポーネント及びその軸受の相対的に清潔な運転環境を保持する。耐圧殻3の中に遮蔽環が設置され、閉鎖端の加厚ステップとともに、耐圧殻3の外にある原動部を、作動チャンパ内の燃料要素の射線での超放射量照射から保護し、同時にメンテナンス人員の安全も保証できる。
【0040】
上記ヘリウムガススペース駆動装置の耐圧殻内にある軸受レースに固体潤滑膜をスプレーして塗布し、且つセラミックスボールを使用して、高温環境で軸受が良好的な固体潤滑を受けることを確保でき、ボールとレースは熱態接着を起こることによりその相対運動性能を影響することを避けられる。耐摩塗布層を設け、又は耐摩合金軸受を使用することにより、軸受の減摩耐摩性能を向上させ、設備部品の使用寿命を延長できる。磁気結合カップリングに推力軸受と径方向軸受を組み合わせて使用した後、駆動装置の取り付けには柔軟性があり、スペースの任意位置で取り付けられる。
【0041】
好ましくは、耐圧殻3はTC4チタン合金で製造され、比抵抗が大きく、強度が高いため、同じ内圧を受ける場合に、炭素鋼とステンレスよりチタン合金耐圧殻の厚さが小さく、設備の重量を低減させ、また耐圧殻の壁厚が磁場に対する渦電流損も減少させ、伝動効率を向上させる。
【0042】
耐圧殻3は、磁気結合コンポーネントに設置され、従動部を作動容器内に密封するための重要な部品である。密封隔離作用を有すること以外、主動磁気コンポーネント9、従動磁気コンポーネント10に対して従動部指向性運動を位置決め、支えて制御する作用を有する。TC4チタン合金を選ぶことにより、壁厚を減少できる。それで、渦電流損も減少できる。同時に、耐圧殻強度と変形剛度を保証する。運動伝送の信頼性を保証するため、高温条件において、従動磁気コンポーネント10は、高キュリー温度、優れた磁気熱安定性を有する希土コバルト永久磁石材料サマリウムコバルトで製造される。主動磁気コンポーネント9、従動磁気コンポーネント10の磁路配列には、図1に示す円盤型構造を持つ磁気結合カップリングに対して、緊密な配列という磁路配置方式で構造をコンパクトさせる。図2〜図4に示す円筒型磁気結合カップリングに対して、軸向の長さが大きいため、複数行ポリ磁気配置という磁路配置方式を採用でき、主動・従動磁気コンポーネントの同期運動を同期する制御精度を保証する。磁気結合カップリングの高温運転の信頼性と使用寿命を保証するため、第二軸受のペア16を支えるレースには固体潤滑塗布層が使用され、かつ耐摩塗布層が塗布されたセラミックスボールを使用することで、高温運転接着を避けられる。低速運転モードに対して、軸受も耐摩合金で製造される。図4に示すように、耐圧殻3は主動磁気コンポーネント9を支えることと、従動磁気コンポーネント10の第一軸受のペア15と第二軸受のペア16は推力軸受と径方向軸受を配合使用することにより、サポート安定性を向上させ、さらに伝動装置を任意位置で装着できる。
【0043】
高温ガス冷却原子炉の一回路圧力境界内及び原子炉補助システムには、ヘリウムガスの輸送、オン・オフ、制御、変換、調整などの機能は、耐圧機械設備の伝動部品で実現しなければならない。ぺブルベッド型高温原子炉の燃料ハンドリングシステムの主な機能は、球状燃料要素の装荷・取り出しと循環である。その管路システムは一回路圧力境界と接続し、ヘリウムガスに対する上記の運動機能を遂行する以外、管路システムにおける燃料球の選別、輸送、オン・オフ、分流、方向変更と数量制御などの機能を遂行する必要がある。従って、高温ガス冷却原子炉ヘリウムガススペースにおける運動執行部及びその運動形式は多様なものである。例えば、図1に示す圧縮機インペラの主軸高速回転運動と、図2に示す砕ボールセパレーターの主軸低速回転運動と、図3に示す直線送り運動と図4に示す輸送転換設備の低速角度シフト同期運動などがある。図3に示す直線運動は、磁気結合カップリング伝動とボールネジガイド機構を有機に結合することで実現され、単純な機械伝動に対する複雑な機械構造を簡素され、運転が安定及び信頼になる。
【0044】
図1に示すように、モータと磁気結合カップリングを直結する方式で、執行部を高速で駆動できる。低速運転又は変換トルクが必要する場合に、例えば図2〜図4に示すように、原動部の主軸には、減速機を添加し、セットにして使用する必要がある。図3に示すステッピングモータと図4に示すサーボモータの運動システムについて、執行部の行程と回転角の自動制御を実現するように、原動部の主軸に運動センサーを設け、例えば回転エンコーダー、そのフィードバック信号で、閉環制御を行う。サーボモータ自体には運動センサーがあるため、別のセンサーを設ける必要がない。従って、伝動装置は更なるコンパクトな構造を持つ。図4に示す交流サーボモータは、自体に高解像度の回転インバータがあるものを使用され、更に広い運動速度範囲内に運動部の回転角度を精確に制御できる。
【0045】
磁気結合カップリング8の耐圧殻は密封効果があるため、前記ヘリウムガススペースの動態密封は、実際に耐圧殻3の端部フランジ17とチャンパ本体2を結合する部分の静密封になる。図1に示すように、直接ファスナー4およびガスケット密封部5により密封する。熱態耐圧環境化における更なる信頼的な密封を実現するため、密封部はメタルOリング5’に変わることができるとともに、前記端部にはサポートフランジ18を設ける。図2と図4に示すように、図3に示すスリーブフランジを使用してもよく、さらに原動部設備部品のサポート部品とする。
【0046】
図4には、作動チャンパに放射性粉塵の熱態運転モードを示し、耐圧殻及び従動軸で放熱、防塵と遮蔽構造設計を行う。防塵カバープレート24とヒートシンク23はそれぞれ静止耐圧殻内部と外部に固定され、磁気結合カップリングのサポート軸受及び外部の原動部が過熱することを避ける。同時に、防塵カバープレート24は従動軸に設けた金属防塵網25と配合して、粉塵をスリーブ内に入ることで運動負荷を増加することを効果に防止できる。耐圧殻3に固定される遮蔽環26は、従動磁気コンポーネント10の遮蔽ステップ27と配合して、燃料球FEにより、磁気コンポーネント及び外部原動部に対する直接的な超線量照射を避けることができる。
【0047】
上記ヘリウムガススペースの密封伝動装置及び駆動装置には、前記磁気結合カップリングにおける主動磁気コンポーネント9と従動磁気コンポーネント10の接続方法は、完全分離型のソフト接続であるため、主動・従動磁気コンポーネントは、耐圧殻3で完全に異なる二つのシステムに隔てるとともに、耐圧殻3は全密封役割を立つ。原動部が主動部の回転をドライブする場合、主動・従動磁気コンポーネントにおける磁路押引作用を組み合わせることにより生じた磁気トルクで主動部と従動部の非接触パワー伝送を実現し、且つ、殻内の熱態放射性ヘリウムガス雰囲気と殻外のチャンパ環境を磁気結合カップリングの耐圧殻で隔てることで、動密封から静密封に転化し、主動・従動部の間に漏れない静密封を実現させる。磁気結合カップリングの耐圧殻、主動磁気コンポーネントと従動磁気コンポーネントは剛体構造であるため、ベローズには、小さい剛度、失いやすい安定性、できない大角度の捻れと小さい疲労寿命限度などの問題が解決され、大トルク、長時間連続、往復回転と頻繁にオン・オフなどの運転操作の技術要求を満たす。原動部は耐圧殻の外部にあり、キャビン標準環境に運転し、成熟製品と標準部品を採用できる。主動磁気コンポーネントと原動部との接続、及び、従動部にある執行部と従動磁気コンポーネントとの接続は静接続である。且つ、磁気結合カップリングの分離性という特徴で複雑な機械伝動装置を簡素でき、関連する運動設備部品の交換、修理と快速着脱はしやすく、システム全体の信頼性を保証する。また、耐圧殻内には電気部品がないため、電気コネクタに存在可能な欠陥部分を避け、密封駆動方法及びその設備部品の信頼性を更に保証する。
【0048】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、ヘリウムガススペース密封伝動に磁気結合カップリングを使用すると、原動部に採用されたモータの種類、減速機と(あるいは)運動センサーの有無及び減速機とセンサーの種類、磁気結合カップリングの磁路に対する配列、主動磁気コンポーネントと原動部とを直結接続するかどうか、従動磁気コンポーネントと運動執行部に指向が存在するかどうか、サポート軸受に採用された構造及び塗布するかどうかを問わず、全て本発明の保護範囲内にある。
【0049】
磁気結合カップリングの耐圧殻、主動磁気コンポーネントと従動磁気コンポーネントは剛体構造を持つため、ベローズには、小さい剛度、失いやすい安定性、できない大角度の捻れと小さい疲労寿命限度などの問題を解決させ、大トルク、長時間連続、往復回転と頻繁にオン・オフなど運転操作の技術要求を満たす。原動部は耐圧殻の外部にあり、キャビン標準環境に運転し、成熟製品と標準部品を採用できる。主動磁気コンポーネントと原動部との接続、及び、従動部にある執行部と従動磁気コンポーネントとの接続は静接続である。且つ、磁気結合カップリングの分離性という特徴で複雑な機械伝動装置を簡素でき、関連する運動設備部品の交換、修理と快速着脱はしやすく、システム全体の信頼性を保証する。また、耐圧殻内には電気部品がないため、電気コネクタに存在可能な欠陥部分を避け、密封駆動方法及びその設備部品の信頼性を更に保証する。
【符号の説明】
【0050】
1 ヘリウムガススペース
2 チャンパ本体
3 耐圧殻
4 ファスナー
5 密封部
6 執行部
7 原動部
8 伝動部
9 主動磁気コンポーネント
10 従動磁気コンポーネント
11 パワーシステム
12 減速機
15 第一軸受のペア
16 第二軸受のペア
17 凸縁
18 スリーブのフランジ
19 ベアリングスリーブ
20 軸受
21 端面
22 運動センサー
23 ヒートシンク
24 防塵カバープレート
25 金属防塵網
26 金属遮蔽環
27 遮蔽ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘリウムガススペース(1)が、チャンパ本体(2)、耐圧殻(3)、ファスナー(4)と密封部(5)で密封して構成され、前記ヘリウムガススペース(1)の内部に設けられる執行部(6)と前記ヘリウムガススペース(1)の外部に設けられる原動部(7)が伝動部(8)を介して接続され、運動を転送する高温ガス冷却原子炉ヘリウムガススペースの密封伝動装置において、
前記伝動部(8)は、耐圧殻(3)と、前記耐圧殻(3)の外部に設けられる主動磁気コンポーネント(9)と、前記耐圧殻(3)の内部に設けられる従動磁気コンポーネント(10)を含む磁気結合カップリングであり、
前記原動部(7)が主動磁気コンポーネント(9)に接続されることで主動部が構成され、前記執行部(6)が従動磁気コンポーネント(10)に接続されることで従動部が構成されることを特徴とする高温ガス冷却原子炉ヘリウムガススペースの密封伝動装置。
【請求項2】
前記原動部(7)と主動磁気コンポーネント(9)との接続は着脱可能な静接続であることを特徴とする請求項1に記載したヘリウムガススペースの密封伝動装置。
【請求項3】
前記執行部(6)と従動磁気コンポーネント(10)との接続は着脱可能な静接続であることを特徴とする請求項1に記載したヘリウムガススペースの密封伝動装置。
【請求項4】
前記執行部(6)と従動磁気コンポーネント(10)との接続は動接続であり、前記動接続は螺旋又はボールネジガイド機構または他の形式の運動変換機構であることを特徴とする請求項1に記載したヘリウムガススペースの密封伝動装置。
【請求項5】
前記原動部(7)は駆動モータで駆動され、前記駆動モータは普通モータ、可変周波数モータ、ステッピングモータあるいはサーボモータであることを特徴とする請求項1に記載したヘリウムガススペースの密封伝動装置。
【請求項6】
前記主動部の軸系には、執行部(6)に対し半フィードバック運動制御をするための運動センサー(22)を設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載したヘリウムガススペースの密封伝動装置。
【請求項7】
原動部(7)、執行部(6)と伝動部(8)を含め、ヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置において、
前記伝動部(8)は、耐圧殻(3)、前記耐圧殻(3)の外部に設けられる主動磁気コンポーネント(9)と耐圧殻(3)の内部に設けられる従動磁気コンポーネント(10)を含む磁気結合カップリングであり、
前記耐圧殻(3)は、それぞれ第一軸受のペア(15)と第二軸受のペア(16)により主動磁気コンポーネント(9)と従動磁気コンポーネント(10)を接続して支え、
前記耐圧殻(3)は、チャンパ本体(2)に接続することを特徴とするヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項8】
前記磁気結合カップリングは円盤型構造を持ち、前記主動磁気コンポーネント(9)と従動磁気コンポーネント(10)は平面型構造を持つことを特徴とする請求項7に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項9】
前記磁気結合カップリングは円筒型構造を持ち、前記主動磁気コンポーネント(9)と従動磁気コンポーネント(10)はスリーブ状磁気円環型構造を持つことを特徴とする請求項7に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項10】
前記耐圧殻(3)の開口端部には凸縁(17)を有し、前記凸縁(17)とチャンパ本体(2)の端面との間に密封ガスケット(5)を有することを特徴とする請求項7に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項11】
前記耐圧殻(3)の開口端部には凸縁(17)を有し、前記凸縁(17)とチャンパ本体(2)の端面との間にメタルOリング(5’)を有することを特徴とする請求項7に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項12】
前記耐圧殻(3)の外部にはスリーブのフランジ(18)をさらに有し、スタッドでファスナー(4)と接続し、チャンパ本体(2)に接続されることを特徴とする請求項7に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項13】
前記耐圧殻(3)の外部にはスリーブベアリング(19)をさらに有し、その端面(21)は原動件(7)の軸系を支えるように設計され、スリーブのフランジ(18)はスタッドでファスナー(4)と接続し、チャンパ本体(2)に接続されることを特徴とする請求項12に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項14】
前記耐圧殻(3)の筒体の外部には放熱構造(23)があることを特徴とする請求項7に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項15】
前記耐圧殻(3)の筒体の内部には防塵カバープレート(24)が設けられ、従動軸には金属防塵網(25)が設けられることを特徴とする請求項7に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項16】
前記耐圧殻(3)の筒体の開口端の内部には厚い壁金属遮蔽環(26)が設けられ、耐圧殻(3)の封閉端には厚さを増加した遮蔽ステップ(27)が設けられることを特徴とする請求項7に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項17】
前記第一軸受のペア(15)と第二軸受のペア(16)は、耐摩合金で製造されたものであることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項18】
前記第一軸受のペア(15)と第二軸受のペア(16)のレースには、プラズマスプレー固体潤滑膜が採用され、ボールはセラミックスで製造されたものであることを特徴とする請求項17に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。
【請求項19】
前記耐圧殻(3)はチタン合金で製造されたものであることを特徴とする請求項18に記載したヘリウムガススペース密封伝動に用いる駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−518226(P2013−518226A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550285(P2012−550285)
【出願日】平成22年12月31日(2010.12.31)
【国際出願番号】PCT/CN2010/002243
【国際公開番号】WO2011/091578
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(503432010)
【Fターム(参考)】