説明

高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法

【解決手段】有機樹脂製中空フィラーと熱伝導性粉末とを含有する高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法で、
(A)予め有機樹脂製中空フィラーとアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとを混合して調製した、25℃での粘度200Pa・s以下の液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物、
及び、
(B)予め熱伝導性粉末の単体の熱伝導率が15W/m・K以上である該熱伝導性粉末とアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとを混合して調製した、25℃での粘度500Pa・s以下の液状高熱伝導性粉末含有オルガノポリシロキサン組成物、
とを均一に混合して、空孔容積率が10〜70%の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物を得る付加反応硬化型高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
【効果】本発明によれば、熱伝導性が高いと共に、熱容量の小さいシリコーンゴムスポンジを与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機樹脂製中空フィラーと熱伝導性粉末とを含有する熱伝導性が高いシリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法、特には電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ等の静電記録装置における加熱定着装置の定着用ロールに好適に使用される高熱伝導性シリコーンゴムスポンジを与えることのできる高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
なお、本発明においては、有機樹脂製中空フィラーに由来する空隙部を有する中空のゴム組成物及び該中空ゴム組成物の硬化物を「シリコーンゴムスポンジ組成物」及び「シリコーンゴムスポンジ(硬化物)」と記載するが、同様の意味で、「シリコーンゴム発泡体組成物」及び「シリコーンゴム発泡体」と記載する場合がある。
【背景技術】
【0003】
加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物は成形性に優れ、成形後は耐熱性、電気絶縁性に優れる硬化物(シリコーンゴム)を与えることから種々の分野で使用されている。特に比重の低い材料は、各種製品の小型化、軽量化に貢献できるため、数多くの分野において望まれている。その中で特に、耐熱性や離型性に優れることからPPCやLBPやFAX等の電子写真式画像形成装置のトナー定着ロールに多く使用されている。これら電子写真プロセスを利用した機器においては、感光体表面から複写紙に転写されたトナー像を複写紙に固定する必要がある。このトナー像を固定する方法として、互いに圧接回転している加熱されたヒーターロールと加圧ロールとの間に複写紙を通過させ、複写紙上のトナー像を熱融着し、固定する方法が広く採用されている。この熱融着方法においては、一般にロール材料の熱伝導率を高くすることで、応答の速い複写機、プリンター等とすることができるが、一方で熱伝導性の高いものは放熱も早く、小型化、低価格化の流れの中で、逆に熱伝導性の低い、即ち蓄熱性のよい材料が必要とされていた。このようなものとして、特開平5−209080号公報(特許文献1)には、熱により膨張する未発泡の有機樹脂フィラーを添加する方法が開示されているが、成形型内で膨張するため、発泡の均一性等の成形面で困難な点が多かった。また、特開平9−137063号公報(特許文献2)には、液状のシリコーンゴム組成物に合成樹脂中空体(既発泡)を添加する方法が記されており、任意成分としてヒュームドシリカ、沈降シリカ、石英粉、珪藻土等の無機充填剤が記されている。しかしながら、それら充填剤の具体的な添加量や熱伝導、熱容量効果の違いについては全く触れられておらず、実施例においても、気相法二酸化珪素(ヒュームドシリカ)が例示されているのみであった。ところが、ヒュームドシリカや沈降シリカはシリコーンゴムに強度を付与することができるが、一方で、圧縮永久歪を悪化させてしまう傾向があり、特に気体を内包する低比重シリコーンゴム(スポンジ体)ではその度合いが著しく、好ましい充填剤ではなかった。更に、トナー定着ロール用の低比重材料としては、既発泡の中空フィラーを配合した材料を開示した特許第3274071号公報や特許第3494039号公報(特許文献3,4)があるが、前者については無機充填剤としてカーボンブラックの添加例が示されているのみ、後者については、任意成分としてシリカ微粉末、炭酸カルシウム、酸化鉄等が例示されているものの詳細についての記述はなく、実施例で使用されているのは、ヒュームドシリカのみであった。また、特開2001−220510号公報(特許文献5)には、既発泡有機樹脂フィラーに加えて多価アルコールを添加することにより、圧縮永久歪が小さい材料を得る方法が記されているが、これも同じく無機充填剤は任意成分として記されるのみで、実施例にはヒュームドシリカしか記載されていなかった。
【0004】
しかしながら、近年プリンターの単位時間当たりの印刷枚数の増加をうけて、トナー溶融機構側(ヒーターが内蔵されたロールやベルト、セラミックヒーターやIHヒーター)からの加熱だけでは不足するケースが見られるようになった。
【0005】
前述の低熱伝導スポンジロールをトナー溶融機構に対して圧縮するいわゆる「加圧スポンジロール」として使用する場合は熱伝導性が低いため、印刷面(紙が接触する部分)から一度熱を奪われるとその部分の表面温度が急激に低下してしまうという問題が発生し、ロール径の変化、即ち均一なロール外径が得られなくなるという問題があった。
【0006】
反対に、熱伝導性のよい未発泡ソリッドゴム(即ち、スポンジ等の中空状の空隙部分を有さない、中実状のゴム)、あるいは高熱伝導ゴムを使用した加圧ロールは前述の問題は発生しないものの、加圧ロール全体をトナー溶融温度に上昇させる際に大きな熱エネルギーを加える必要が発生する。即ちファーストプリントの待機時間(ウォームアップ時間)が長くなってしまうという問題が発生してしまう。このため、理想の加圧ロール材料としては熱容量の小さい高熱伝導材料が必要とされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−209080号公報
【特許文献2】特開平9−137063号公報
【特許文献3】特許第3274071号公報
【特許文献4】特許第3494039号公報
【特許文献5】特開2001−220510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、熱伝導性が高く、しかも熱容量が低いシリコーンゴム硬化物を与え、熱定着ロール用として有効な高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、有機樹脂製の中空フィラー及び熱伝導性粉末を配合して高熱伝導性のシリコーンゴムスポンジ組成物を得る場合に、中空フィラーと熱伝導性粉末が粉末同士で接触してしまうと中空フィラーが破壊され、所定の発泡倍率が得られないことを確認し、解決手段として、それぞれを予め別個にオルガノポリロキサンと混合して所定の粘度以下のペースト状の組成物としてから、これらの組成物同士を均一に混合して高熱伝導性のシリコーンゴムスポンジ組成物を製造し、この組成物を加熱硬化成形することで、注型成形、射出成形等の成形方法においても中空フィラーの破壊が発生しないため発泡セル(中空フィラーに基づく空隙部分)が均一で良好な熱伝導スポンジ発泡体が得られることを知見すると共に、これは電子写真式画像形成装置のトナー溶融定着ロールとして好適であることを見出したものである。
【0010】
従って、本発明は、下記の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法及びそれにより得られる組成物を硬化してなる高熱伝導性シリコーンゴムスポンジを提供する。
請求項1:
有機樹脂製中空フィラーと熱伝導性粉末とを含有する高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法であって、
(A)予め有機樹脂製中空フィラーとアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとを混合して調製した、25℃での粘度200Pa・s以下の液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物、
及び、
(B)予め熱伝導性粉末の単体の熱伝導率が15W/m・K以上である該熱伝導性粉末とアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとを混合して調製した、25℃での粘度500Pa・s以下の液状高熱伝導性粉末含有オルガノポリシロキサン組成物、
とを均一に混合して、空孔容積率が10〜70%の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物を得ることを特徴とする付加反応硬化型高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
請求項2:
(A)成分の液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化後の熱伝導率が0.15W/m・K以上であり、かつ(B)成分の液状熱伝導性粉末含有オルガノポリシロキサン組成物の硬化後の熱伝導率が0.5W/m・K以上である請求項1記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
請求項3:
熱伝導性粉末が球状粒子である請求項1又は2記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
請求項4:
熱伝導性粉末の新モース硬度が6.5以下である請求項1〜3のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
請求項5:
熱伝導性粉末が金属珪素粉末である請求項1〜4のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
請求項6:
オルガノハイドロジェンポリシロキサンを、上記組成物(A)及び/又は組成物(B)に加えるか、又は組成物(A)と組成物(B)との混合物に加えるようにした請求項1〜5のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
請求項7:
付加反応触媒を、上記組成物(A)及び/又は組成物(B)に加えるか、又は組成物(A)と組成物(B)との混合物に加えるようにした請求項1〜6のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
請求項8:
高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物が加熱定着装置の定着ロール用である請求項1〜7のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
請求項9:
請求項1〜8のいずれか1項記載の製造方法によって製造される高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物を加熱硬化させてなる高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱伝導性が高いと共に、熱容量の小さいシリコーンゴムスポンジを与えることができ、しかも得られたシリコーンゴムスポンジは、低硬度で軽量であり、圧縮永久歪が小さいものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の製造方法において使用する(A)成分は、予め有機樹脂製中空フィラーとオルガノポリシロキサンとを混合して調製した、25℃での粘度200Pa・s以下の液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物である。この(A)成分の粘度は、後述する(B)成分の熱伝導性粉末含有オルガノポリシロキサン組成物と混合した際に、(A)成分中の有機樹脂製中空フィラーの破壊防止に必要な粘度である。(A)成分の25℃における粘度は200Pa・s以下がよく、望ましくは100Pa・s以下、より望ましくは70Pa・s以下がよい。なお、粘度の下限は通常2.0Pa・s以上である。この粘度が200Pa・sを超える場合には、(A)成分と(B)成分とを均一に混合する段階で、有機樹脂製中空フィラーと熱伝導性粉末とが擦れ合わされることにより大量の中空フィラーの破壊を招いてしまう。有機樹脂製中空フィラーの殻の中には通常、ペンタン等の有機溶剤が入っており、殻の破壊によって前記溶剤がオルガノポリシロキサン組成物中に拡散してしまうことによって成形時に異常発泡等の原因となってしまう。なお、この粘度は、通常、回転粘度計により測定することができる。
【0013】
有機樹脂製中空フィラー配合量の添加量の目安としては(A),(B)成分中に使用されるオルガノポリシロキサンオイルの総量(即ち、後述するアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(i)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(ii)の合計)100質量部に対し、0.3〜25質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部であり、高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物中、空孔容積率で10〜70%、特に20〜60%となるよう配合するとよい。配合量が0.3質量部未満では熱伝導率の低下が不十分で、また25質量部を超える量では成形、配合が難しいだけでなく成形物もゴム弾性のない脆いものとなってしまう場合がある。
【0014】
本発明の製造方法において使用する有機樹脂製中空フィラーとは、予め所定の大きさ(粒子径)に発泡させた有機樹脂製中空フィラーであり、該中空フィラー内部に気体部分を持つことでスポンジゴムのように熱伝導率を低下させるもので、このような材料としては、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン等いかなるものでも構わないが、好ましくは、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれるモノマーの重合物並びにこれらのモノマーのうちの2種以上の共重合物から選ばれるものである。中空フィラーの強度を持たせるため等の理由で表面に無機フィラー等を付着させたものでもよい。但し、シリコーンゴム組成物内で十分な熱伝導性の低下を行うには、中空フィラーの真比重が0.01〜0.3、好ましくは0.1〜0.3、より好ましくは0.02〜0.2で、0.01より小さいと配合・取り扱いが難しいばかりか、中空フィラーの耐圧強度が不十分で成形時に破壊してしまい、軽量化熱伝導率の低下ができなくなってしまう。また比重が0.3を超えると、中空フィラーの殻の厚さが大きく、空孔率の低下や軽量化が十分とはならない。また中空フィラーの平均粒子径は、200μm以下、好ましくは5μm以上150μm以下で、200μmより大きいとオルガノポリシロキサンオイルとの混合や成形時の射出圧力により中空フィラーが破壊されてしまい熱伝導率が高くなってしまったり、ゴム強度が低下してしまったり、あるいはロール成形後の表面の粗さが大きくなってしまう等の問題が生じる。また、5μm未満では内包する気体が不十分で、目的とする空孔率が得られない場合が多い。なお、平均粒子径は、通常、レーザー光回折法等による粒度分布測定における累積重量平均値D50(又はメジアン径)等として求めることができる。この有機樹脂製中空フィラーは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0015】
このような有機樹脂製中空フィラーとしては、市販品を用いることができ、例えば後述する表1に示すフィラーを使用し得る。
なお、(A)成分のオルガノポリシロキサン組成物は、その硬化後の熱伝導率が0.15W/m・K以上がよく、好ましくは0.18W/m・K以上がよく、より好ましくは0.20W/m・K以上がよい。熱伝導率が0.15W/m・Kより低いと、通常のシリカ配合スポンジの熱伝導率(約0.10W/m・K)に近い値となってしまい、本発明の熱伝導性の向上によるロール軸方向の温度バラツキを低減できなくなってしまうおそれがある。なお、その上限は、通常3.0W/m・K以下程度であればよい。
【0016】
この場合、(A)成分の組成物の熱伝導率を0.15W/m・K以上にするには、
a)熱伝導性充填剤単体の熱伝導率が高いものを選択して添加すること、
b)スポンジ空孔容積率を必要以上に大きくしない(空孔容積率を下げる)こと、等が重要である。
特に、中空フィラーを含まない(中実の)組成物の熱伝導性が高いことは必須であり、例えば、0.6W/m・Kの熱伝導率を有する高熱伝導性の(中実の)オルガノポリシロキサン組成物に有機樹脂製中空フィラーを空孔容積率が50%程度となる量で添加して中空のスポンジ状組成物とすることによって、おおよそ0.3W/m・K程度の熱伝導率を有するシリコーンゴムスポンジ組成物を得ることができる。
【0017】
次に(B)成分の熱伝導性粉末含有オルガノポリシロキサン組成物について説明する。
本発明の製造方法において使用する(B)成分は、予め熱伝導性粉末の単体の熱伝導率が15W/m・K以上である該熱伝導性粉末とオルガノポリシロキサンとを混合して調製した、25℃での粘度500Pa・s以下の液状高熱伝導性粉末含有オルガノポリシロキサン組成物であり、本発明のスポンジ組成物に熱伝導性を付与するために添加する。
【0018】
この(B)成分の粘度は上記(A)成分の液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物と均一に混合した場合に(A)成分中の有機樹脂製中空フィラーの破壊防止に必要な粘度である。
【0019】
(A)成分に直接熱伝導性粉末を粉状で配合した場合、熱伝導性粉末表面の濡れ性が出ないため、一時的に組成物全体の粘度が高くなり有機樹脂製中空フィラーが破壊されてしまうことを防止するためである。予め熱伝導性粉末をオルガノポリシロキサンと混合してペースト状の組成物としておくことで、熱伝導性粉末の表面にシリコーンオイルが存在し、滑り性や中空フィラーの傷つきを防止効果も高くなる。(B)成分の粘度は500Pa・s以下がよく、望ましくは300Pa・s以下、より望ましくは150Pa・s以下がよい。なお、その下限は通常5.0Pa・s以上である。粘度が500Pa・sを超える場合は中空フィラーが変形による破壊や熱伝導性粉末と擦れ合わされるダメージにより破壊を招いてしまう。なお、この粘度は、通常、回転粘度計により測定することができる。
【0020】
熱伝導性粉末(充填剤)の種類は特に規定するものではないが、粉末単体の熱伝導率は15W/m・K以上であることが必要で、より望ましくは20W/m・K以上である。粉末の熱伝導率が15W/m・K未満の粉末を使用するとシリコーンゴム組成物に多量の粉末を添加する必要が生じ、硬化前組成物の粘度が大きく上昇して混練不可能な状態となったり、有機樹脂製中空フィラーが破壊される場合がある。
【0021】
上記の熱伝導率を満たす粉末(充填剤)としては、例えば、金属珪素粉末168W/m・K、銀粉末430W/m・K、銅粉末390W/m・K、ニッケル粉末91W/m・K、金属アルミニウム粉末236W/m・K、鉄粉末84W/m・K、炭化珪素粉末46W/m・K、酸化亜鉛粉末54W/m・K、アルミナ粉末21W/m・K等が挙げられる。なお、熱伝導率の上限は800W/m・K以下、特には500W/m・K以下程度である。
【0022】
形状は粉砕状、球状を特に限定するものではないが、球状粉、又は粉砕粉の角取りをしたものが良好であり、有機樹脂製中空フィラーと混合時に接触した場合にダメージを与えにくいため望ましく利用される。(ここで“球状”又は“球形”とは、個々の粒子表面に鋭く尖ったエッヂ部分がない、なめらかな形状であることを意味するもので、通常、長径/短径の比率(アスペクト比)が1.0〜1.4、好ましくは1.0〜1.2程度のものを示す。)
【0023】
熱伝導性粉末の粒子径は、平均粒子径1〜30μm、好ましくは2〜20μm、より好ましくは3〜15μmであることが望ましい。平均粒子径が1μmより小さいと圧縮永久歪が悪化してしまい、30μmより大きいとゴム強度が低下して、ロールとしての耐久性が低下してしまう。平均粒子径は、通常、レーザー光回折法等による粒度分布測定における累積重量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。この熱伝導性粉末は1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0024】
また、熱伝導性粉末の硬さは新モース硬度が6.5以下であることが望ましく、より好ましくは6.0以下である。上記の適度な硬さの充填剤を使用した場合、組成物混練中に有機樹脂製中空フィラーと接触した場合に研磨剤のようなダメージを与えにくいためである。
【0025】
このような熱伝導性粉末は、中でも金属珪素粉末が特に望ましい。金属珪素粉末は密度が2.33と熱伝導性粉末の中でも特に軽く沈降等の問題が発生せず、168W/m・Kと良好な熱伝導率をもち、熱容量が1.7J/g・Kと低く、スポンジに最適で、また新モース硬度が約5と比較的柔らかいため有機樹脂製中空フィラーにダメージを与えにくい。金属の特性として展性が低いため、高剪断を与えても金属粉自体が凝集しにくい特性をもつ。そのため、粉砕による微粒子化が容易で、オルガノポリシロキサンヘの分散性に優れる特性をもつ。
【0026】
また、金属珪素粉末の表面には、ごく薄い自然酸化膜が形成され、形成された膜はガラスと同じで熱や酸や汚れに強く、電気が流れにくく、熱に安定である。純度の高い金属珪素粉末は表面の自然酸化膜に欠陥がなく、高温熱安定性が良好となる。
【0027】
本発明に用いる熱伝導性粉末の製造方法は、特に限定されるものではないが、金属酸化物系であれば金属水酸化物や金属塩を焼成、酸化する方法や金属を直接高温で酸化させる方法等が挙げられる。また、金属系充填剤に関しては金属珪素粉末のように金属単体をボールミル等既存の破砕機や粉砕器にて粉砕したもの、切削粉を微粉化し分級したもの、金属を高温で溶融したものを気相法で微粒子化し、冷却、固化して球状粒子とした球形金属粉末、更には金属粒子や樹脂、シリカ粒子の表面にメッキや蒸着、溶融等の方法により金属膜を形成する方法等が挙げられ、結晶構造の単結晶、多結晶は任意である。
【0028】
また、これら熱伝導性粉末は、シラン系カップリング剤又はその部分加水分解物、アルキルアルコキシシラン又はその部分加水分解物、有機シラザン類、チタネート系カップリング剤、オルガノポリシロキサンオイル、加水分解性官能基含有オルガノポリシロキサン等により表面処理されたものであってもよい。これらの処理は、粉体自体を予め処理しても、あるいはオイルとの混合時に処理を行ってもよい。
【0029】
熱伝導性粉末の添加量は、(B)成分の液状熱伝導性粉末含有オルガノポリシロキサン組成物のみを硬化させた場合の熱伝導率が0.5W/m・K以上とする量であることがよく、好ましくは0.7W/m・K以上、より好ましくは1.0W/m・K以上であることが好ましい。(B)成分の熱伝導率を高くすることで、(A)成分の有機樹脂製中空フィラー含有オルガノポリシロキサン組成物のシロキサン割合を増やすことが可能となり、また発泡体(スポンジ)の熱伝導率を高くすることができる。
【0030】
熱伝導性粉末の配合量の目安としては、(A),(B)成分に使用されるオルガノポリシロキサンオイルの総量(即ち、後述するアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(i)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(ii)の合計)100質量部に対し、20〜500質量部、好ましくは30〜500質量部、より好ましくは30〜300質量部である。配合量が20質量部未満では、熱伝導性が不足し目的のロールの温度バラツキを低減することができず、500質量部を超える量では、粘度が500Pa・s以下とならず、圧縮永久歪が悪化するばかりでなく、配合も困難になってしまう場合がある。
【0031】
(A)成分の液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物と(B)成分の熱伝導性粉末配合オルガノポリシロキサン組成物とを均一に混合し、硬化させた高熱伝導性シリコーンゴムスポンジの熱伝導率は0.15W/m・K以上がよく、好ましくは0.18W/m・K以上がよく、より好ましくは0.20W/m・K以上がよい。0.15W/m・K未満の熱伝導率であると通常のシリカ配合スポンジゴムの熱伝導率(約0.10W/m・K)に近く、例えば、定着ロール等に適用する場合にロール軸方向の温度バラツキを低減できなくなってしまう。なお、その上限は通常3.0W/m・K以下である。
【0032】
次に(A),(B)成分において使用するアルケニル基含有オルガノポリシロキサンについて説明する。
上記オルガノポリシロキサンは付加硬化型架橋で硬化するアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(i)であることが望ましく、本発明で使用するアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも平均2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとして、下記平均組成式(1)で示されるものを好適に用いることができる。
1aSiO(4-a)/2 (1)
【0033】
式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05の範囲の正数である。ここで、上記R1で示される珪素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。この場合、R1のうち少なくとも2個はアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6である)であることが必要である。なお、アルケニル基の含有量は、前記のR1で示される非置換又は置換の一価炭化水素基中、0.005〜20モル%、特に0.01〜10モル%とすることが好ましい。このアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖途中の珪素原子に結合していても、両者に結合していてもよいが、少なくとも分子鎖末端の珪素原子に結合したアルケニル基を含んだものであることが好ましい。
【0034】
上記オルガノポリシロキサン(i)の構造は、通常は、主鎖がジオルガノシロキサン単位((R12SiO2/2単位)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基((R13SiO1/2単位)で封鎖された基本的には直鎖状構造を有するジオルガノポリシロキサンであるが、部分的にはR1SiO3/2単位やSiO4/2単位を含んだ分岐状の構造、環状構造等であってもよい。珪素原子の置換基は、基本的には上記のいずれであってもよいが、アルケニル基としてはビニル基が望ましく、その他の置換基としてはメチル基、フェニル基が望ましい。
【0035】
分子量については、特に限定なく粘度の低い液状のものから、粘度の高い生ゴム状のものまで使用できるが、硬化してゴム状弾性体になるためには、25℃での粘度が、100mPa・s以上であり、通常100〜1,000,000mPa・s、特に500〜100,000mPa・s程度であることが好ましい。なお、本発明において、この粘度は、通常、回転粘度計により測定することができる。また、このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの重合度(又は分子中の珪素原子数)としては、上記と同様の理由で、重合度が70以上であり、通常70〜10,000、特に200〜2,000程度のものが好適に使用される。この重合度は、例えばトルエン等を溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によるポリスチレン換算の重量平均重合度(Nw)等として測定することができる。このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前述のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(i)の架橋剤として使用するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(ii)は、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている例えば線状、環状、分岐状、三次元網状構造(樹脂状)等各種のものが使用可能であるが、一分子中に2個以上、好ましくは3個以上の珪素原子に結合した水素原子(Si−Hで表されるヒドロシリル基)を有する必要があり、通常2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個程度のSi−H基を有することが望ましい。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2)で示されるものが用いられる。
2bcSiO(4-b-c)/2 (2)
【0037】
上記平均組成式(2)中、R2は、アルケニル基等の脂肪族不飽和結合を除く、好ましくは炭素数1〜10の、珪素原子に結合した非置換の一価炭化水素基であり、このR2における非置換の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。R2の非置換の一価炭化水素基としては、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基であることが難燃性の点から望ましい。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cが0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくは、bは1.0〜2.0、cは0.01〜1.0、b+cが1.5〜2.5である。
【0038】
一分子中に2個以上、好ましくは3個以上含有されるSi−H基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、得られるシリコーンゴムの物理特性、組成物の取扱作業性の点から、一分子中の珪素原子の数(又は重合度)は通常2〜400個、好ましくは3〜300個、より好ましくは4〜150個程度のものが望ましく、25℃における粘度が、通常0.1〜1,000mPa・s、好ましくは0.5〜500mPa・s、より好ましくは5〜300mPa・s程度の、室温(25℃)で液状のものが使用される。
【0039】
平均組成式(2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして具体的には、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C653SiO1/2単位とからなる共重合体等が挙げられる。
【0040】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサン(ii)の配合量は、(i)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜50質量部、特に0.3〜30質量部とすることが好ましい。
また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(i)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基に対する(ii)成分中の珪素原子に結合した水素原子(即ち、Si−H基)のモル比が0.5〜5モル/モル、好ましくは0.8〜4モル/モル、より好ましくは0.8〜2.5モル/モルとなる量で配合することもできる。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0041】
前述のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(i)及びオルガノハイドロジェンポリシロキサン(ii)の付加反応触媒(iii)は、式(1)で示されるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン中のアルケニル基と、式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSi−H基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、この付加反応触媒としては、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属触媒が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、白金族金属としてアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計質量に対して0.5〜1,000ppm、特に1〜500ppm程度配合することが好ましい。
【0042】
これら上記成分に加え、圧縮永久歪を低下させる等の目的で、更に、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスルトール、グリセリン−α−モノクロロヒドリン等の多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコールの2量体・3量体などのオリゴマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、クラウンエーテル等のそれら多価アルコールの重合体あるいは2種以上の共重合体、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等の部分エーテル化物、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、エチレングリコールモノアセテート等の部分エステル化物、あるいは部分シリル化物等から選ばれる1種又は2種以上の添加剤を配合してもよい。配合する場合、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(i)100質量部に対して30質量部以下(0〜30質量部)程度の量で、必要に応じて任意に配合してもよい。配合する場合には、(i)成分100質量部に対し、1〜30質量部、好ましくは3〜20質量部である。30質量部を超える量では、ゴム物性の低下が著しくなってしまう。
【0043】
なお、これら以外にも、既知の酸化鉄粉末、酸化セリウム等の耐熱材、球状シリカ、水酸化アルミニウム等の難燃剤等の無機粉体を、本材料の特長である低圧縮永久歪、ロール耐久性を損なわない範囲で添加してもよい。特に圧縮永久歪に影響が大きいヒュームドシリカ及び沈降性シリカはその合計量が(i)成分100質量部に対し5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
【0044】
上記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(i)と有機樹脂製中空フィラー及び熱伝導性充填剤の混合方法は、常温でプラネタリーミキサーやニーダー等の機器を用いて(A),(B)成分それぞれを別途に混合してから、最終工程にて(A),(B)成分を混合して成形、硬化することが必須である。(A),(B)成分それぞれに、又はどちらか一方に補強性を目的としたヒュームドシリカや、沈降性シリカ等を添加混合してもよい。
【0045】
また、(B)成分に関しては混合後100〜200℃の高温で加熱処理してもよい。
【0046】
架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンや他の多価アルコール等の添加剤、白金触媒は(A),(B)成分どちらか、又は両方の組成物に予め添加しておいてもよく、また(A),(B)成分どちらの組成物にも添加せず、最終的に(A),(B)成分を混合する際に別途添加、混合してもよい。
【0047】
本発明に係るシリコーンゴムスポンジ組成物の硬化方法は、注入成形、圧縮成形、射出成形、コーティング等の方法があるが、射出成形の場合は500bar以下の射出圧力が望ましく、より好ましくは200bar以下の射出圧力が望ましい。500barより高い射出圧力では有機樹脂製中空フィラーが破壊したり、また射出圧力によりつぶれてしまい、発泡体が得られない場合がある。
【0048】
硬化条件としては100〜300℃の温度で10秒〜1時間の範囲が好適に採用される。また、有機樹脂製中空フィラーを破壊する、圧縮永久歪を低下させる、低分子シロキサン成分を低減する等の目的で、成形後、更に120〜250℃のオーブン内で30分〜70時間程度のポストキュア(2次キュア)を行ってもよい。
【0049】
本発明の材料を使用して定着ロールを製造する場合は、ステンレス、鉄、ニッケル、アルミニウム等の芯金上に上記シリコーンゴム組成物の硬化物層を形成する。この場合、芯金の材質、寸法等はロールの種類に応じて適宜選定し得る。また、シリコーンゴム組成物の成形、硬化方法も適宜選定し得、例えば注入成形、移送成形、射出成形、コーティング等の方法によって成形でき、加熱により硬化される。シリコーンゴム層の外周に更にフッ素樹脂層やフッ素ゴム層を設けてもよい。この場合、フッ素系樹脂層は、フッ素系樹脂コーティング材やフッ素系樹脂チューブ等により形成され、上記シリコーンゴム層を被覆する。ここでフッ素系樹脂コーティング材としては、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)のラテックスや、ダイエルラテックス(ダイキン工業(株)製、フッ素系ラテックス)等が挙げられ、またフッ素系樹脂チューブとしては、市販品を使用し得、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、フッ化エチレン−ポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂等が挙げられるが、これらのうちで特にPFAが好ましい。
【0050】
なお、上記シリコーンゴム層の厚さは適宜選定されるが、0.05〜80mm、特に0.1〜50mmであることが、シリコーンゴムのゴム弾性をいかす点で好ましい。また、その上に形成されるフッ素樹脂又はフッ素ゴム層の厚さは、5〜200μm、特に10〜100μmが好ましい。
【0051】
更に、上記シリコーンゴム層の熱伝導率は、ヒーターやヒーターロールあるいはベルトから受けた熱を逃がさず、蓄熱するという点において、0.15W/m・K以下、好ましくは0.05〜0.14W/m・Kであることが望ましい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、オルガノポリシロキサンの重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析(溶媒トルエン、ポリスチレン換算)による重量平均重合度(Nw)を示す。また、表1に下記例で使用した有機樹脂製中空フィラーを示し、表2に下記例で使用した熱伝導性充填剤を示す。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
[実施例1]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度300)70質量部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本エアロジル社製、R−972)0.3質量部、比重0.04、平均粒子径40μmの有機樹脂製中空フィラーA(エクスパンセル社製、Expancel DE)5.0質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を行い、液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物(A実1)を作製した。
【0056】
また、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度300)30質量部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本エアロジル社製、R−972)0.3質量部、平均粒子径10μmである金属珪素粉末A50質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を行い、液状高熱伝導性粉末含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物(B実1)を作製した。シロキサン組成物(A実1)、(B実1)は硬化前にそれぞれの25℃の粘度をBS型回転粘度計により測定した(以下、粘度測定条件は同様)。
【0057】
次に組成物(A実1)75.3質量部、及び(B実1)80.3質量部に架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度17、Si−H基量0.0030mol/g)を4.0質量部(Si−H基/アルケニル基=1.35)、トリエチレングリコールを5質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部をプラネタリーミキサーにて添加し、15分間撹拌を続けた後、更に白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部を混合し、シリコーンゴム組成物(1)を得た。この組成物(1)を120℃で10分間プレス硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアして、厚さ2mm及び6mmのシリコーンゴムシート、及び厚さ12.5mmのセット玉を得た。
【0058】
なお、組成物(B実1)の熱伝導率を測定する目的で、(B実1)単体にオルガノポリシロキサン〈1〉をSi−H基/アルケニル基=1.35となるように混合し、同様に白金触媒によって前記同様に厚さ6mmのソリッド(発泡していない)シリコーンゴムシートを作製した。
【0059】
上で得られた厚さ2mmのシートで硬さ(アスカC)及び引張り強度を測定し、厚さ6mmのシートで熱伝導率、厚さ12.5mm×直径29mmのセット玉で圧縮永久歪[25%圧縮、180℃×22時間]を測定した。なお、ゴム密度、硬さ、引張り強度及び圧縮永久歪はJIS K6249に準じて測定し、熱伝導率は、熱伝導系QTM−D3(ホットワイヤー式、京都電子工業(株)製)で測定した。また、空孔容積率は下記の計算式より算出した。
[1−(有機樹脂製中空フィラー入りのスポンジゴム密度/未発泡ソリッドゴム密度)]×100(%)
なお、上記式中の「未発泡ソリッドゴム密度は」は、実施例1の組成物から有機樹脂製中空フィラーを除いた(添加のない)組成物の硬化物を作製することにより同様に測定することができる。
【0060】
[実施例2]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度600)40質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された側鎖にビニル基を有する重合度200のジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.00045mol/g)10質量部、平均粒子径90μmで真比重が0.02である有機樹脂製中空フィラーB(松本油脂製薬(株)製、マイクロスフィアー F80ED)2.5質量部、及び耐熱剤として平均粒子径7μmのFe23(酸化第二鉄)0.25質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を行い、液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物(A実2)を作製した。
【0061】
また、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度600)40質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された側鎖にビニル基を有する重合度200のジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.00045mol/g)10質量部、平均粒子径10μmである金属珪素粉末Aを110質量部、及び耐熱剤として平均粒子径7μmのFe23(酸化第二鉄)0.25質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度17、Si−H基量0.0030mol/g)5.0質量部(Si−H基/全アルケニル基=1.2)をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を行い、液状高熱伝導性粉末含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物(B実2)を作製した。シロキサン組成物(A実2)、(B実2)は硬化前にそれぞれの粘度をBS型回転粘度計により測定した。
【0062】
また、組成物(B実2)の熱伝導率を測定する目的で、(B実2)単体に白金触媒のみを添加して前記同様に厚さ6mmのソリッドシリコーンゴムシートを作製した。
【0063】
次に組成物(A実2)52.85質量部、(B実2)165.3質量部及びエチレングリコール3質量部をプラネタリーミキサーにて15分間撹拌を続けシリコーンゴム組成物(2)を得た。このシリコーンゴム組成物(2)を実施例1と同様に、120℃で10分間プレス硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアして、厚さ2mm及び6mmのシリコーンゴムシート、及び厚さ12.5mmのセット玉を得た。この硬化ゴムを実施例1と同様に、各種物性を測定した。
【0064】
[実施例3]
実施例1に使用した熱伝導性粉末の金属珪素粉末Aの代わりに、平均粒子径10μmの炭化珪素粉末Aを70質量部配合とした以外は実施例1と同様にして調製したシリコーンゴム組成物(3)について、実施例1と同様にシートを作製し、各種特性を取得した。
【0065】
[実施例4]
実施例1に使用した熱伝導性粉末の金属珪素粉末Aの代わりに、平均粒子径12μmの酸化亜鉛粉末Aを140質量部配合とした以外は実施例1と同様にして調製したシリコーンゴム組成物(4)について、実施例1と同様にシートを作製し、各種特性を取得した。
【0066】
[実施例5]
実施例1に使用した熱伝導性粉末の金属珪素粉末Aの代わりに、平均粒子径12μmのアルミナ粉末A(昭和電工(株)製、AS−40)を140質量部配合とした以外は実施例1と同様にして調製したシリコーンゴム組成物(5)について、実施例1と同様にシートを作製し、各種特性を取得した。
【0067】
[実施例6]
実施例1に使用した有機樹脂製中空フィラーAの代わりに、平均粒子径20μmで真比重が0.20である酸化チタン被覆タイプの有機樹脂製中空フィラーC(松本油脂製薬(株)製、マイクロスフィアー MFL−30STI)を25.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にして調製したシリコーンゴム組成物(6)について、実施例1と同様にシートを作製し、各種特性を取得した。
【0068】
[比較例1]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度300)70質量部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本エアロジル社製、R−972)0.3質量部、比重0.04、平均粒子径40μmの有機樹脂製中空フィラーA(エクスパンセル社製、Expancel DE)5.0質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を行い、液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物(A比1)を作製した。
【0069】
また、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度300)30質量部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本エアロジル社製、R−972)0.3質量部、平均粒子径5μmである結晶性シリカ粉末A50質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を行い、液状高熱伝導性粉末含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物(B比1)を作製した。シロキサン組成物(A比1)、(B比1)の粘度をBS型回転粘度計により測定した。
【0070】
次に組成物(A比1)75.3質量部及び(B比1)80.3質量部に架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度17、Si−H基量0.0030mol/g)を4.0質量部(Si−H基/アルケニル基=1.35)、トリエチレングリコールを5質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部をプラネタリーミキサーにて添加し、15分間撹拌を続けた後、更に白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部を混合し、シリコーンゴム組成物(7)を得た。この組成物(7)を120℃で10分間プレス硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアして、厚さ2mm及び6mmのシリコーンゴムシート、及び厚さ12.5mmのセット玉を得た。
【0071】
また、組成物(B比1)の熱伝導率を測定する目的で、(B比1)単体にオルガノポリシロキサン〈1〉をSi−H基/アルケニル基=1.35となるように混合し、同様に白金触媒によって前記同様に厚さ6mmのソリッドシリコーンゴムシートを作製した。
得られたシリコーンゴムシートを実施例1と同様に各種物性を測定した。
【0072】
[比較例2]
比較例1に使用した有機樹脂製中空フィラーA(エクスパンセル社製、Expancel DE)5.0質量部を2.5質量部に減量し、また結晶性シリカ粉末A50質量部を70質量部配合とした以外は比較例1と同様にして調製したシリコーンゴム組成物(8)について、比較例1と同様にシートを作製し、各種物性を測定し表2に記した。
【0073】
[比較例3]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度300)100質量部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本エアロジル社製、R−972)0.6質量部、比重0.04、平均粒子径40μmの有機樹脂製中空フィラーA(エクスパンセル社製、Expancel DE)を5.0質量部、平均粒子径10μmである金属珪素粉末A50質量部をプラネタリーミキサーに同時に入れ、30分間撹拌を行い、液状高熱伝導性粉末含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物(比3)を作製した。
【0074】
上記に架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度17、Si−H基量0.0030mol/g)を4.0質量部(Si−H基/アルケニル基=1.35)、トリエチレングリコールを5質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部をプラネタリーミキサーにて添加し、15分間撹拌を続けた後、更に白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部を混合し、シリコーンゴム組成物(9)を得た。この組成物(9)を120℃で10分間プレス硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアして、厚さ2mm及び6mmのシリコーンゴムシート、及び厚さ12.5mmのセット玉を得た。この硬化ゴムを実施例1と同様に、各種物性を測定した。
【0075】
[比較例4]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度1,500)40質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された側鎖にビニル基を有する重合度200のジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.00045mol/g)10質量部、平均粒子径90μmで真比重が0.02である有機樹脂製中空フィラーB(松本油脂製薬(株)製、マイクロスフィアー F80ED)5.0質量部、及び耐熱剤として平均粒子径7μmのFe23(酸化第二鉄)0.25質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を行い、液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物(A比4)を作製した。
【0076】
また、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度1,000)40質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された側鎖にビニル基を有する重合度200のジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.00045mol/g)10質量部、平均粒子径10μmである金属珪素粉末Aを50質量部、及び耐熱剤として平均粒子径7μmのFe23(酸化第二鉄)0.25質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度17、Si−H基量0.0030mol/g)5.0質量部(Si−H基/全アルケニル基=1.3)をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を行い、液状高熱伝導性粉末含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物(B比4)を作製した。シロキサン組成物(A比4)、(B比4)は硬化前にそれぞれの粘度をBS型回転粘度計により測定した。
【0077】
また、組成物(B比4)の熱伝導率を測定する目的で、(B実2)単体に白金触媒のみを添加して前記同様に厚さ6mmのソリッドシリコーンゴムシートを作製した。
次に組成物(A比4)55.35質量部、(B比4)105.3質量部及びエチレングリコール3質量部をプラネタリーミキサーにて15分間撹拌を続けシリコーンゴム組成物(10)を得た。このシリコーンゴム組成物(10)を比較例1と同様に、120℃で10分間プレス硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアして、厚さ2mm及び6mmのシリコーンゴムシート、及び厚さ12.5mmのセット玉を得た。この硬化ゴムを比較例1と同様に、各種物性を測定した。
実施例1〜3の結果を表3に、実施例4〜6の結果を表4に、比較例1〜4の結果を表5に示す。
【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
[参考例1]
直径20mm×長さ300mmのアルミニウムシャフトの表面に付加反応型液状シリコーンゴム用プライマーNo.101A/B(信越化学工業(株)製)を塗付した。内面をプライマー処理した50μmのフッ素PFAチューブとアルミニウムシャフトとの間に実施例1で調製したシリコーンゴム組成物(1)を流し込んで注型充填し、120℃で30分間加熱硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアし、外径26mm×長さ250mmの肉厚3mmのPFA樹脂被覆シリコーンゴムロールを作製した。
このロールのシリコーンゴム層の断面を顕微鏡にて観察したところ、0.1mm以下の均一なセルを有するシリコーンゴムスポンジであった。
【0082】
[参考例2]
直径20mm×長さ300mmのアルミニウムシャフトの表面に付加反応型液状シリコーンゴム用プライマーNo.101A/B(信越化学工業(株)製)を塗付した。内面をプライマー処理した50μmのフッ素PFAチューブとアルミニウムシャフトとの間に実施例1で調製したシリコーンゴム組成物(1)を150℃の金型温度に設定した射出成形機にて100barの圧力となるように調整して材料を射出し、20分間加熱硬化させて成形機より取り出した。更に200℃で4時間ポストキュアし、外径26mm×長さ250mmのPFA樹脂被覆シリコーンゴムロールを作製した。
このロールのシリコーンゴム層の断面を顕微鏡にて観察したところ、0.1mm以下の均一なセルを有するシリコーンゴムスポンジであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機樹脂製中空フィラーと熱伝導性粉末とを含有する高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法であって、
(A)予め有機樹脂製中空フィラーとアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとを混合して調製した、25℃での粘度200Pa・s以下の液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物、
及び、
(B)予め熱伝導性粉末の単体の熱伝導率が15W/m・K以上である該熱伝導性粉末とアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとを混合して調製した、25℃での粘度500Pa・s以下の液状高熱伝導性粉末含有オルガノポリシロキサン組成物、
とを均一に混合して、空孔容積率が10〜70%の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物を得ることを特徴とする付加反応硬化型高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
【請求項2】
(A)成分の液状有機樹脂製中空フィラー含有熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化後の熱伝導率が0.15W/m・K以上であり、かつ(B)成分の液状熱伝導性粉末含有オルガノポリシロキサン組成物の硬化後の熱伝導率が0.5W/m・K以上である請求項1記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
【請求項3】
熱伝導性粉末が球状粒子である請求項1又は2記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
【請求項4】
熱伝導性粉末の新モース硬度が6.5以下である請求項1〜3のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
【請求項5】
熱伝導性粉末が金属珪素粉末である請求項1〜4のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
【請求項6】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンを、上記組成物(A)及び/又は組成物(B)に加えるか、又は組成物(A)と組成物(B)との混合物に加えるようにした請求項1〜5のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
【請求項7】
付加反応触媒を、上記組成物(A)及び/又は組成物(B)に加えるか、又は組成物(A)と組成物(B)との混合物に加えるようにした請求項1〜6のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
【請求項8】
高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物が加熱定着装置の定着ロール用である請求項1〜7のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載の製造方法によって製造される高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物を加熱硬化させてなる高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ。

【公開番号】特開2012−153774(P2012−153774A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12787(P2011−12787)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】