高粘度液体による制御された送達系
【課題】物質の制御された放出に用いられる高粘性配合物の提供。
【解決手段】(i)周囲条件および生理学的条件下において純粋には結晶化しない37°Cで少なくとも5,000cPの粘度を有する非重合の水不溶性の液体キャリヤ材料(HVLCM)と、(ii)送達されるべき物質とを含む配合物である。ここで液体キャリアはショ糖二酢酸ヘキサイソ酪酸エステルであり、送達さるべき物質は例えばペプチド、タンパク質等があげられる。
【解決手段】(i)周囲条件および生理学的条件下において純粋には結晶化しない37°Cで少なくとも5,000cPの粘度を有する非重合の水不溶性の液体キャリヤ材料(HVLCM)と、(ii)送達されるべき物質とを含む配合物である。ここで液体キャリアはショ糖二酢酸ヘキサイソ酪酸エステルであり、送達さるべき物質は例えばペプチド、タンパク質等があげられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織のコーティングおよび癒着防止を含め、物質の送達およびその他の用途に有効な高粘度液体配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
生体活性化合物のための生分解性の制御された放出系の分野において広範な研究がなされてきた。薬剤送達に用いられる生分解性のマトリックス(母材)は有益なものである。なぜなら、それらは、薬剤を使い尽くした除去デバイス(drug-depleted device)を取り除くことを必要としないからである。
【0003】
薬剤送達のためのもっとも一般的なマトリックス材料はポリマーである。1996年に高分子乳酸の合成および生分解性がKulkarniらによって報告されてから(“Polylactic acid for surgical implants, " Arch. Surg., 93〜839 頁) 、生分解性ポリマーの分野は急速に発達してきた。送達デバイスのためのマトリックス材料として同じように役に立つものとして報告されているその他のポリマーの例としては、高分子酸無水物、ポリグリコリドおよびポリラクチドコグリコリドのようなポリエステル、ポリリシンのようなポリアミノ酸、ポリエチレンオキシドからなるポリマーおよびコポリマー、アクリル末端基ポリエチレンオキシド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオルトエステル、ポリアクリロニトリル、および、ポリホスファーゲンなどがある。Langerに付与された米国特許第4,891,225号および米国特許第4,906,474(高分子酸無水物)号、Hutchinsonに付与された米国特許第4,767,628号(ポリラクチド、ポリラクチドコグリコリド酸)、および、Ticeらに対する米国特許第4,530,840号(ポリラクチド、ポリグリコリド、および、コポリマー)を参照されたい。
【0004】
生物学的に生じた分解材料は良く知られているものであり、例えば、架橋ゼラチンがある。ヒアルロン酸が架橋されて生体医学用の分解膨潤ポリマーとして使用されてきた(1991年のDella Valle らに付与された米国特許第4,957,744 号)“Surface modification of polymeric biomaterials for reduced thrombogenicity." Polym. Mater, Sci, Eng., 62 の 731〜735 頁。
【0005】
さらに、ホルモン、酵素、抗生物質、抗新生物薬剤、および、セルサスペンション(cell suspension) のような生物学的な活性材料のキャリヤとして、生分解性のヒドロゲルが、制御された薬剤送達用に開発されてきた。局所的な組織または体循環への種の制御された放出だけでなく、運搬される種の機能的な特性を時間的に維持することも達成されている。Cohenに付与された米国特許第5,149,543 号を例として参照されたい。ヒドロゲルマクロマー(hydrogel macromers)を適切に選択することによって、手術、医学的な診断、および、治療における様々な用途に適した透過性、気孔寸法、および、分解速度の範囲を有する膜を生成することができる。
【0006】
現在、多くの分散系が、物質、特に生物学的な活性化合物のキャリヤとして使用され、あるいは使用するための調査がなされている。薬物学的なあるいは化粧品としての調合物に用いられる分散系は、サスペンションあるいはエマルションのいずれかとして分類することができる。サスペンションは、沈殿防止剤を用いた液状媒体に分散させられた寸法が数ナノメーターから数百ミクロンにわたる固体粒子として定義される。固体粒子には、マイクロスフェア、マイクロカプセル、および、ナノスフェア(nanosphere)がある。エマルションは、一方の液体が他方の液体において分散しているものとして定義され、界面活性剤および脂質のような乳化剤からなる界面膜によって安定化される。エマルションの調合物には、油中水滴型エマルションおよび水中油滴型エマルション、複合エマルション(multiple emulsion) 、マイクロエマルション、マイクロ液体粒子、および、リポソームが含まれる。Haynesに発行された米国特許第4,622,219号および米国特許第4,725,442号において定義されるように、マイクロ液体粒子は、内部に油相を有する球状脂質層からなる一枚膜リン脂質小胞である。リポソームは、水不溶性の極性脂質を水溶液と混合することによって調製されるリン脂質小胞である。水の中で水不溶性脂質を混合することによって生じる好ましくないエントロピーは、閉じ込められた水溶液を有するリン脂質からなる同心の閉じた膜の非常に規則正しい堆積を生成する。
【0007】
Dunnらに付与された米国特許第4,938,763 号は、生体適合性のある水溶性の溶剤中に非反応性である水不溶性の熱可塑性ポリマーを溶かし、その液体を体内に配置し、その溶剤を消散させて固体の移植組織片を生成することによってその場で移植組織片を形成する方法を開示する。このポリマー溶液は、注射器によって体内に入れてもよい。移植組織片は、周囲空洞の形状をとることができる。別の実施例においては、移植組織片は、反応性のある液体のオリゴマーポリマーから形成され、このオリゴマーポリマーは、溶剤を含まず、通常は硬化触媒の添加によって所定の位置で硬化して固体を形成する。
【0008】
物質の制御された送達において使用するために、多くの材料が評価されたが、物質の制御された送達のための毒性の低いより簡単なシステムを提供する必要性が依然として残されたままである。例えば、上述の送達システムは、ポリマーおよび添加された高分子マトリックスまたはヒドロゲルまたはその他の複雑なあるいはこわれやすい配合物の調製を必要とする。特に、送達されるべき物質と容易に調合されかつ容易に投与することのできる、液体を基とする送達系を提供する必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえ、本発明の目的は、物質を送達するための簡単な系を提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、送達されるべき物質とともに容易に調合されかつ容易に投与することができる、液体を基とする送達系を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、簡単な液体を基質とする系中の物質を制御して送達するための方法を提供することである。
【0012】
物質の制御された放出に用いられる配合物が提供され、この配合物は、(i)周囲条件または生理学的条件下において純粋には(そのままでは)結晶化しない、37°Cでの粘度が少なくとも5,000cPの非重合の水不溶性高粘度液体キャリヤ材料(HVLCM)と、(ii)送達されるべき物質と、を含む。
【0013】
1つの具体例において、このHVLCMは、例えば、エタノール、ジメチルスルホキシド、エチルラクテート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、トリアセチン、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、グリコフロール(glycofurol)、例えば、トリクロロフルオロメタンおよびジクロロフルオロメタンのようなフレオン、ジメチルエーテル、プロパン、ブタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチレンカーボネート、ブチレングリコール、N−(ベータヒドロメチル)ラクタミド、ジオコラン(diokolanes)、および、その他のアミド、エステル、エーテル、アルコールのような粘度を低下させる水溶性または混和性の溶剤と混合され、より粘度の低い液体キャリヤ材料(LVLCM)を形成し、投与される前に、それが送達されるべき物質と混合される。好ましい具体例においては、このLVLCMは、1000cPよりも小さい粘度を有する。投与時、この配合物が体内または表面に配置され、この溶剤がLVLCMから消散または拡散し、所定の期間にわたってその物質を放出する非常に粘性のある移植組織片または配合物をその場で形成する。溶剤およびHVLCMを適切に選択することによって、投与前および投与後の配合物の広い範囲にわたる粘度を達成することができる。好ましい実施例においては、HVLCMは生分解性のものである。
【0014】
1つの具体例において、HVLCMと混合される物質は、人間の治療、動物の治療、あるいは、農業の目的に役に立つ生物学的に活性な物質である。農業分野では、例えば、適切な活性薬剤を含む配合物は、雑草(例えば、ジクワット)、昆虫(例えば、メチルパラチオン)、あるいは害虫を抑制するための場所に適用することができる。畜産分野では、この配合物は、例えば、家畜の成長促進剤として混合ステロイドを送達するのに、あるいは、ワクチン(例えば、豚の交配後の予防に用いられるパルボウイルスワクチン)を送達するのに使用することができる。人間においては、この配合物は、以下でより詳細に説明される広い範囲にわたる生物学的に活性な物質を送達するのに使用することができ、あるいは、外科的な癒着を阻止するために活性薬剤とともにまたは活性薬剤なしで使用してもよい。あるいは、骨組(scaffolding) のために、間隙の充填(void filling)のために、歯根膜のような案内組織の再生物として使用してもよい。その他の例においては、配合物は、腫れた動脈に注入してもよく、そこで、腫れへの血液供給を阻止する高粘度の移植組織片を形成する。さらなる例においては、この配合物は、縫合とともにまたは縫合なしで組織癒着剤として使用してもよい。さらにもう1つの例においては、配合物は、傷を部分的に閉塞する覆いとして使用してもよい。
【0015】
生体内において、配合物の移植組織片は、筋肉あるいは脂肪のような柔らかい組織、骨のような固い組織を含めて体内のどこにでも、また、限定はされないが歯根膜、口、膣、直腸、または鼻腔、あるいは歯周ポケットのようなポケット、あるいは眼の盲管を含めて腔のどこにでも配置することができる。
【0016】
この配合物は、所望される通りに配合物の性質を変える添加剤を任意に含む。限定されない適切な添加剤の例としては、生分解性ポリマー、非生分解性ポリマー、天然油または合成油、炭水化物または炭水化物誘導体、無機塩、BSA(ウシ血清アルブミン)、界面活性剤、砂糖のような有機化合物、および、クエン酸ナトリウムのような有機塩がある。一般的には、水に溶けないほど、すなわち、より親油性であればあるほど、添加剤は、添加剤のない同じ配合物と比較した場合に基体(substrate) の放出速度をより減少させる。1つの具体例においては、配合物の強度または多孔性(porosity)のような性質を増大させる添加剤を使用することは好ましいことである。1つの具体例において、HVLCMあるいはLVLCMは、添加剤と組み合わせて、送達されるべき基体なしで使用される。
【0017】
別の実施例においては、貯蔵、取り扱い、送達を容易にするために、さもなくば、配合物の1つかまたはそれ以上の性質を変性するために、HVCLM/基体の配合物は第2のキャリヤ材料に含まれる。限定するものではない第2のキャリヤ材料の例は、HVLCMが、固体、ゲル調合物、および経皮性の送達系(エマルションを形成する)中では溶けない液体である。この基体は、HVLCMでの高い溶解度と第2のキャリヤ材料での低い溶解度とを有するべきである。
【0018】
例えば、水中HVC114/基体のエマルションを提供することができる。本発明の範囲内にある有益なエマルションはうがい液(マウスウオッシュ)であり、そこでは、基体は、口臭、口内炎、またはその他の口唇疾患を治療するための活性薬剤である。
【0019】
また別の実施例においては、HVLCMは、基体を局部的に投与するためのキャリヤとして使用される。例えば、このHVLCMは、生物学的な活性薬剤の溶解性および経皮運搬を促進させるものである。別の実施例においては、HVLCMは、DEETを含有する防虫剤のためのキャリヤとして使用することができる。さらに別の実施例においては、HVLCMは、例えばシラミ駆除剤あるいはふけ防止剤または治療薬のような化合物を髪または頭皮に送達するのに使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
I.高粘度液体キャリヤ材料の選択
高粘度液体キャリヤ材料が選択されるべきであり、それは、非重合であり、非水溶性であり、かつ、37°Cにおいて少なくとも5,000cPの粘度を有し(かつ、随意に、少なくとも10,000、15,000、20,000、25,000、あるいは50,000cPさえも有する)、周囲条件または生理学的条件下において純粋には(そのままでは)結晶化しない。水不溶性という用語は、周囲条件下で1重量%よりも少ない程度しか水に溶けることができない材料を意味する。
【0021】
好ましい実施例において、HVLCMは、溶剤と混合したときに粘度がかなり減少し、制御された送達に用いられる基体と混合することができるLVLCMを形成する。一般的には、LVLCM/基体の配合物はHVLCM/基体の配合物よりも体内に配置するのが容易である。なぜなら、LVLCM/基体の配合物は、注入器またはその他の注入手段の内外により容易に流動し、かつ、エマルションとして簡単に調合できるからである。LVLCMは、所望のあらゆる粘度を有することができる。約1000cPよりも小さいLVLCMの粘度領域、より詳細には、200cPよりも小さい粘度領域は、生体内での用途に通常有用であることがわかっている。
【0022】
1つの具体例において、HVLCMは、二糖二酢酸ヘキサ酪酸エステルのような二糖エステルである。
【0023】
好ましい具体例、すなわち、しょ糖酢酸イソ酪酸エステル(“SAIB”)においては、2つの酢酸部位と6つのイソ酪酸部位とがエステル化したスクロース分子がHVLCMとして用いられる。SAIBの構造は以下で説明される。
【0024】
【化1】
【0025】
SAIBは、経口的には無毒であり、現在、食品業界においてエマルションを安定化させるものとして使用されている。それは、非常に粘度のある液体であり、わずかの加熱によって、あるいは、溶剤の添加によって、粘度が劇的に変化するという独特の性質を有する。それは、多くの生体適合性溶剤に対して可溶性である。溶解した状態あるいはエマルションの状態にあるとき、注入またはエアゾール噴霧によってSAIBが適用されてもよい。SAIBは、物質を送達する速度に影響を及ぼすことができるセルロースエステルおよびその他のポリマーと相溶性がある。
【0026】
別の実施例においては、HVLCMは、プロピレングリコール、グリセリル、ジエチルアミノエチル、および、グリコールのそれのようなステアレートエステル、N,N’−エチレンジステアラミド、ステアラミドMEA、および、ステアラミドDEAのようなステアレートアミドおよびその他の長鎖脂肪酸アミド、エチレンビステアラミド(ethylene bistearamide) 、ココアミンオキシド(cocoamine oxide) 、セチルアルコールおよびステアリルアルコールのような長鎖脂肪アルコール、ミリスチルミリステートのような長鎖エステル、ベヘニエルケート(beheny erucate)、および、グリセリルホスフェートであってもよい。特定の具体例においては、HVLCMは、アセチル化されたスクロースジステアレート(Crodesta A-10)である。
【0027】
HVLCMは、所望の作用を実現するどのような量ででも配合物に含まれてよい。例えば、組織コーティングとして、あるいは、癒着防止のために、HVLCMは、保護膜またはボルス(bolus) として単独で使用してもよく、あるいは、材料の性質または効果を増進する基体とともに使用してもよい。HVLCMは、制御された送達配合物に、約99.5重量%〜約0.20重量%の範囲にある量で含まれる。HVLCMは、一般的には、制御された送達配合物に、約99.5重量%〜約10重量%の範囲にある量で含まれ、より一般的には、配合物の総重量に対して95〜25重量%であり、もっとも一般的には、85〜45重量%である。
【0028】
II.送達されるべき物質
この方法を用いれば、所望の性質を呈するいかなる物質をも送達することができる。好ましくは、物質は、生物学的に活性な物質である。
【0029】
ここで使用されるような“生物学的に活性な物質”という用語は、薬剤、ペプチド、タンパク質、炭水化物(単糖類、少糖類、および、多糖類を含む)、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチドまたは合成タンパク質、あるいは、タンパク質に結合された小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸(CDNA、RNA、またはそれらのフラグメントを含めたDNAのあらゆる形態)、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む)、遺伝子、脂質、ホルモン、ビタミンCおよびビタミンEを含むビタミンあるいはそれらの組み合わせを含めた有機分子を意味し、これらの有機分子は、人間を含め鳥および哺乳動物を含むがそれに限定されない動物の体内に投与されたときに生物学的な効果をもたらす。
【0030】
ここで使用されるような薬剤という用語は、処置、治療、または、疾患あるいは異常の予防に用いられる薬品として外的あるいは内的に使用されるあらゆる物質を意味し、免疫抑制剤、酸化防止剤、麻酔薬、化学療法薬(chemotherapeuticagent)、ステロイド(レチノイドを含む)、ホルモン、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗増殖性物質、抗ヒスタミン剤、抗凝固剤、抗光老化剤(antiphotoaging agent)、黒色素胞刺激ホルモンペプチド(melanotropic peptide)、非ステロイド抗炎症化合物およびステロイド抗炎症化合物、抗精神病薬、および、UV吸収剤を含めた放射線吸収剤(radiation absorber)を含むが限定はされない。
【0031】
生物学的に活性な物質という用語は、また、殺虫剤、病虫害防除剤、殺菌剤、殺鼠剤、および、植物栄養剤および植物成長促進剤のような薬剤も含む。
【0032】
1つの実施例においては、配合物はワクチンであり、送達されるべき物質は抗原である。この抗原は、細胞、バクテリア、あるいは、ウイルス粒子、またはそれらの一部分から得られる。ここで定義されるように、抗原は、タンパク質、ペプチド、多糖類、糖タンパク質、糖脂質、核酸、あるいは、それらの組み合わせであってもよく、それは、例えば、哺乳動物、鳥、あるいは、魚のような動物における免疫反応を引き出す。ここで定義されるように、免疫反応は、体液または細胞を介在するものであってもよい。免疫反応が向けられるべき材料が抗原性が乏しいものである場合、それは、標準的な共有結合技術を用いて、例えば、いくつかの市販されている試薬キットの1つを用いてアルブミンのようなキャリヤまたはハプテンに接合させてもよい。
【0033】
好ましい抗原の例としては、インフルエンザタンパク質、ヒト免疫不全ウイルスタンパク質、および、A型、B型、または、C型肝炎タンパク質のようなウイルスのタンパク質、バクテリアのタンパク質、グラム陰性菌の細胞壁、ナイセリア淋病タンパク質、および、パルボウイルスのようなリポ多糖がある。
【0034】
薬物学的な材料の限定するものではない例としては、ニトロフラゾン、および、プロピオン酸ナトリウムのような抗感染薬、ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ニスタチン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、および、アジスロマイシン(azithromycin)を含めた抗生物質、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファメタジン、スルファジアジン、スルファメラジン、および、スルフィソキサゾールを含むスルホンアミド、および、イドクスウリジンを含む抗ウイルス薬、アンタゾリン、メタピリレン、クロロフェニラミン、ピリラミン、プロフェンピリダミン(prophenpyridamine) 、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−リン酸エステル、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾロン、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム、および、プレドニゾロンアセテートのような抗アレルギー性剤、ブタクサ花粉抗原、枯草熱花粉抗原、ダスト抗原、および、牛乳抗原のような減感剤(desensitizing agent) 、天然痘、黄熱、ジステンパー、豚コレラ、水疱瘡、アンチベノム(antivenom) 、しょうこう熱、ジフテリア(dyptheria) 、トキソイド、破傷風トキソイド、鳩痘、百日咳、インフルエンザ狂犬病、お多福風邪、はしか、脊髄性小児麻痺、および、ニューキャッスル病のためのワクチン、フェニレフリン、ナファゾリン、および、テトラヒドロゾリンのような消炎剤、ピロカルピン、エスペリンサリチル酸塩(esperine salicylate) 、カルバコール、ジイソプロピルフルオロリン酸塩、ヨウ化ホスホリン(phospholine iodide)、および、臭化デメカリウムのような縮瞳剤および抗コリンエステラーゼ剤、硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、オイカトロピン、および、ヒドロキシアンフェタミンのような副交感神経様作用剤、エピネフリンのような交感神経様作用剤、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタールナトリウム、コデイン、(α−ブロモイソバレリル)尿素、カルブロマルのような鎮静剤および催眠薬、3−(2−アミノプロピル)インドールアセテート、および、3−(2−アミノブチル)インドールアセテートのような精神賦活剤、レセルピン、クロルプロマイリン(chlorpromayline) 、および、チオプロパゼートのような精神安定剤、メチル−テストステロン、および、フルオリメステロン(fluorymesterone) のような男性ホルモンステロイド剤、エストロン、17−β−エストラジオール、エチニルエストラジオール、および、ジエチルスチルベストロールのようなエストロゲン、プロゲステロン、メゲストロール(megestrol) 、メレンゲストロール、クロマジノン、エチステロン、ノルエチノドレル、19−ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン、および、17−β−ヒドロキシプロゲステロンのような排卵誘発剤、例えばPGE1、PGE2 、PGE3 などのプロスタグラジン、アスピリンのような解熱薬、サリチル酸ナトリウム、および、サリチルアミドのような体液剤(humoral agent) 、アトロピン、メタンテリン、パパベリン、および、臭化メトスコポラミンのような抗痙攣性剤、4−アミノキノリン、8−アミノキノリン、クロロキン、および、ピリメタミンのような抗マラリア薬、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、トリペレナミン、パーフェナジン、および、クロルフェナジン(chlorphenazine)のような抗ヒスタミン剤、ジベンゾヒドロフルメチアザイド(dibenzhydroflume thiazide) 、フルメサイアザイド、クロロサイアザイド、および、アミノトレート(aminotrate)のような心臓作用剤、成長因子、細胞癒着因子、サイトカイン、および、生物学的な反応モディファイア(response modifier) を含めたビタミン、天然および合成の生物活性ペプチド、および、タンパク質のような栄養剤がある。
【0035】
活性化合物は、所望の効果を達成するための有効量を被移植体である動物または植物に送達するための十分な量が配合物に含まれる。配合物に含まれる薬剤すなわち生物学的な活性薬剤の量は、所望される放出特性、生物学的効果に必要とされる薬剤の濃度、および、所望の薬剤の放出期間に依存する。
【0036】
さらに、配合物における活性化合物の濃度は、薬剤の吸収量、不活性化量、および排泄量に依存し、そしてまた、当業者に知られたその他の要因にも依存する。また、投与量も軽減すべき状態のひどさにより変わることがわかろう。さらに、個々のどのような被検者に対しても、特定の投薬計画は、期間全体にわたり個々の必要量と配合物の投与を管理または監督する者の専門的な判断に従って調製されなければならないことを理解すべきであり、また、ここに記述される濃度範囲は、ただ単に例として記述されたものであり、請求の範囲に記載される配合物の範囲または実施を限定しようとするものではないことを理解すべきである。配合物は一回の投与量で投与されてもよいし、あるいは、いくつかの小量の投与量に分割して種々の時間間隔において投与してもよい。
【0037】
生物学的な活性物質は、典型的には、配合物の総重量に対しての重量が約0.5重量%〜約20重量%の範囲で配合物に含まれ、より典型的には、約1Wt(重量%、以下同様)%〜約15Wt%か、あるいは、それよりも多い。もう1つの好ましい範囲は、約2Wt%〜約10Wt%である。成長因子のような非常に活性な薬剤に関しては、好ましい範囲は1Wt%以下であり、ゆえに、0.0001%以下である。
【0038】
制御された送達に用いられるHVLCMまたはLVLCMに可溶性物質および不溶性物質の両方を溶解させてもよい。
【0039】
III.添加剤
材料の性質を希望するように変えるために、様々な添加剤が、HVLCMまたはLVLCMに随意として添加されてもよい。添加剤は、所望の性質を配合物に付与するのに十分な任意の量でも含まれることができる。使用される添加剤の量は、一般的には、添加剤の性質と達成されるべき効果との関数であり、作業担当者によって容易に決定することができる。
【0040】
含まれる場合には、添加物は、典型的には、配合物の総重量に対して約0.1Wt%〜約20Wt%の範囲にある量で配合物に含まれ、より典型的には、1Wt%、2Wt%、または、5Wt%から約10Wt%までの範囲にある量で配合物に含まれる。緩衝剤のようなある種の添加剤は、配合物にわずかな量で含まれるだけである。
【0041】
以下の分類は、配合物において使用することができる添加剤の限定するものではない種類の例である。ここでの開示と達成しようとする目的とが与えられれば、この分野に精通した者は、所望の目的を達成するために様々な添加剤をどのように選択するかを容易に知ることができる。これらの具体例のすべては、開示された本発明の範囲にあるとみなされる。
【0042】
A.生分解性ポリマー
添加剤の1つの分類は、生分解性のポリマーおよびオリゴマーである。ポリマーは、送達されるべき物質の放出特性を変更するために、配合物に結着性(integrity)を付与するために、さもなくば、配合物の性質を変えるために使用することができる。適切な生分解性のポリマーおよびオリゴマーの限定するものではない例としては、ポリ(ラクチド)、ポリ(ラクチド−コグリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアミド、ポリ無水物(polyanhydride) 、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリシアノアクリレート、ポリ(ホスファジン)、ポリ(ホスホエステル)、ポリエステルアミド、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、分解性ポリウレタン、ポリヒドロキシブチエート(polyhydroxybutyi-ate)、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、キチン、キトサン、および、コポリマー、ターポリマー、酸化セルロース、あるいは、上述の材料からなる組み合わせまたは混合物がある。
【0043】
ポリ(a−ヒドロキシ酸)の例としては、ポリ(グリコール酸)、ポリ(DL−乳酸)およびポリ(L−乳酸)、および、これらのコポリマーがある。ポリラクトンの例としては、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(d−バレロラクトン)、および、ポリ(γ−ブチロラクトン)がある。
【0044】
B.非生分解性ポリマー
本発明による配合物とともに使用されるさらなる添加剤は、非生分解性ポリマーである。添加剤として使用することのできる非生分解性ポリマーの限定するものではない例としては、ポリアクリレート、エチレンビニルアセテートポリマー、セルロースおよびセルロース誘導体、アシル置換セルロースおよびその誘導体、非腐食性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリビニルイミダゾール、クロロスルホン化ポリオレフィン、および、ポリエチレンオキシドがある。
【0045】
好ましい非生分解性ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアセテート、ポリエチレングリコール、酢酸酪酸セルロース(“CABO”)、および、酢酸プロピオン酸セルロース(“CAP”)がある。
【0046】
C.油および脂肪
本発明による配合物において使用することのできる添加剤のさらなる種類は、天然および合成の油および脂肪である。動物からあるいは植物の実の種から得られる油としては、一般的には、主にオレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、および、リノール酸などからなる脂肪酸のグリセリドがある。一般には、分子が水素をより多く含むほどに油は粘度がより増大する。
【0047】
適切な天然油および合成油の限定するものではない例としては、天然または精製された、植物油、ピーナッツ油、中間鎖トリグリセリド、大豆油、アーモンド油、オリーブ油、ごま油、ピーナッツ油、ウイキョウ油、ツバキ油、コーン油、ひまし油、綿実油、および、大豆油、並びに、中間鎖脂肪酸トリグリセリドがある。
【0048】
脂肪は、典型的には、ステアリン酸およびパルミチン酸のようなより高級脂肪酸からなるグリセリルエステルである。このようなエステルとそれの混合物は、室温では固体であり結晶性構造を呈する。豚脂および牛脂はその例である。一般に、油および脂は、SAIBの疎水性を増大させ、分解および水の吸収を遅らせる。
【0049】
D.炭水化物および炭水化物誘導体
本発明による配合物において使用することのできる添加剤のもう1つの種類は、炭水化物および炭水化物誘導体である。これらの化合物の限定するものではない例としては、単糖類(果糖およびそれの異性体グルコース(ブドウ糖)のような単純な糖)、ショ糖、麦芽糖、セロビオース、および、乳糖のような二糖類、および、多糖類がある。
【0050】
IV.溶剤
配合物がLVLCMとして使用される場合、それは、HVLCMが可溶である溶剤を含まなければならない。好ましくは、送達されるべき物質もまた溶剤に可溶である。溶剤は、無毒で、水溶性または水相溶性がなければならず、さもなければ、生体適合性のあるものでなければならない。毒性のある溶剤は、薬学的または農学的目的には使用されるべきではない。配合物を動物に注入するのに使用される溶剤は、刺激または壊死が所望される効果でなければ、注入場所における組織の著しい刺激または壊死を起こさせるべきではない。
【0051】
溶剤は少なくとも水溶性でなければならず、それによって、溶剤は、配合物を凝固または凝結させる体液またはその他の水を含んだ環境に素早く拡散することができる。適切な溶剤の例としては、エタノール、エチルラクテート、プロピレンカーボネート、グリコフロール(glycofurol)、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、プロピレングリコール、アセトン、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルエチルケトン、ベンジルアルコール、トリアセチン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、オレイン酸、および、1ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンがある。
【0052】
SAIBがHVLCMとして使用される場合、好ましい溶剤は、エタノール、ジメチルスルホキシド、エチルラクテート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、トリアセチン、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、および、グリコフロールである。SAIBは、グリセロール、コーン油、ピーナッツ油、1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール(PEG200)、超精製ごま油、および、超精製ピーナッツ油とは相溶性がない。したがって、後者のグループの溶剤は、SAIBとともに使用するのは好ましくない。
【0053】
溶剤は、典型的には、配合物の総重量に対して約5Wt%〜約55Wt%の範囲にある量で配合物に添加される。好ましくは、溶剤は、約10Wt%〜約50Wt%の範囲にある量で配合物に含まれる。もう1つの好ましい範囲は、約10Wt%〜30Wt%である。
【0054】
V.LVLCX配合物およびHVLCX配合物の使用
ここに記述される配合物は、達成されるべき結果に応じて異なってもよい様々な方法によって被移植体に投与することができる。被移植体が、人間のような動物である場合、配合物は、所望されるならば、適切なキャリヤを用いて、例えば、局所的に、体系的に(例えば、粘膜的に(経口による、直腸による、膣による、あるいは、鼻腔による)、あるいは、非経口的に(静脈による、皮下による、筋肉内による、あるいは、腹膜内による))投与されてもよい。配合物が農学的な目的に使用される場合、それは、注入、噴霧浸漬(sprays dip)、エアゾール、あるいは、塗布のための装置を用いて適用されてもよい。
【0055】
薬剤あるいは動物的には、好ましくは、本発明による配合物は、注入あるいはエアゾールによる溶液として、あるいは、ペーストまたはエマルションで投与される。LVLCMとして注入によって投与される場合、配合物に使用される小量の溶剤は、被移植体の水性流体に浸透し、物質の制御された送達に用いられる高粘度の貯蔵所(depot) 、あるいは、癒着を防止または最小限にすることのできる組織のためのコーティングを形成する。エアゾールまたはエマルションで使用される場合、溶液におけるわずかな量の溶剤は適用と同時に蒸発し、LVLCMが、HVLCMとして固化することを可能にする。エアゾールおよびエマルションの生成は、この分野に精通した者に良く知られた技術を用いて実現することができる。例えば、Ansel, H.C. らによるPharmaceutical Dosage Forms and Drug Del'Systems, sixth ed.,1995. を参照されたい。
【0056】
配合物は、保護組織コーティングを形成するのに使用することができ、特に、外科的な癒着の形成を防止するのに使用することができる。HVLCMは、周囲組織または骨に付着することができるので、組織の形成または欠損の充填のために、コラーゲンと同じように皮下に注入されることが可能である。さらに、深い傷痕が形成されるのを防止するために、HVLCMが、やけど傷を含む損傷に注入されてもよい。HVLCMの分解時間は、例えば、ポリマーをHVLCMへの添加剤として用いることによって調節することができる。したがって、HVLCMによって形成される移植組織片は、体内でゆっくりと生分解し、自然の組織が成長して移植組織片と置き換わるとともに移植組織片が消滅することを可能にする。
【0057】
別の実施例においては、生物学的に活性な物質は、最初は、マイクロスフェア内に封入されていてもよく、その後に、本発明のキャリヤ材料に組み込まれる。別の実施例において、生物学的に活性な物質は、シクロデキストリンのような錯化剤と錯体を形成することができる。さらにもう1つの実施例においては、生物学的に活性な物質は、プロドラッグの形態である。
【0058】
本発明を使用するためのその他の手段としては、キャリヤまたは制御された放出のための調合物が、経口投与に用いられるゼラチンカプセル内に配置され、キャリヤまたは制御された放出のための調合物が、マイクロスフェアまたはマイクロカプセル内に封入され、好ましくは、マイクロスフェアは、ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)のような生分解性ポリマーであり、キャリヤまたは制御された放出のための調合物が、微晶質セルロースまたはセルロースアセテートのような不活性の薬学的な賦形剤と会合させられ、そして、それは、オプションとして、スフェアあるいはその他の形状に加工されて投薬形態の中に組み込むことができる、ような手段がある。
【0059】
〔局所的な口腔送達配合物〕
本発明によれば、界面活性剤、補助界面活性剤(cosurfactant)、油性成分、例えばしょ糖酢酸イソ酪酸エステルであるHVLCM、および、口腔への活性薬剤の送達を維持することのできる水からなる局所的な口腔送達配合物を調合することができる。
【0060】
本発明は、例えば、SAIBと、エマルションの形態での水性の第2のキャリヤ材料による活性薬剤とを含んだ長時間にわたって作用するうがい薬を調合するのに使用されてもよい。うがい薬が寝る前に一般的な方法で使用されるならば、例えば、翌朝には口臭が減少する。
【0061】
うがい薬の調合物における成分は、抗菌剤、界面活性剤、補助界面活性剤、油性成分、しょ糖酢酸イソ酪酸エステル、水、および、添加剤からなる6つのグループに分類することができる。これらのグループのそれぞれは、以下で詳細に説明される。この明細書があれば、この分野に精通する者は、適切な活性薬剤を選択することによって、口内炎、および、その他の口腔疾患に用いられる治療を含めた広い範囲にわたる用途に用いられるその他の局所的な口腔送達系を調合することができる。
【0062】
〔抗菌剤〕
今日、うがい薬の調合物において使用される抗菌活性薬剤には、限定はされないが、臭化ドミフェン、トリクロサン(triclosan) 、クロルヘキシジン、精油、塩化セチルピリジニウム、フッ化物、アレキシジン(alexidine) 、サリチルアニリド、亜鉛化合物、および、抗生物質がある。これらは、単独で使用されるかまたは組み合わせて使用されてもよく、塩化セチルピリジニウムと、亜鉛化合物とりわけ亜鉛グルコン酸(zinc gluconate)との組み合わせが好ましい。
【0063】
〔界面活性剤〕
一般に、本発明による調合物において使用するために選択される界面活性剤は、水溶性がありかつ非イオン性のものであり、限定はされないが、単独または組み合わせて使用されるポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセロールエステル、および、ソルビタン脂肪酸エステルなどがある。好ましい非イオン性の界面活性剤には、5〜40モルのエチレンオキシドを有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、および、5〜20モルのエチレンオキシドを有するポリオキシエチレングリセロールエステルがある。特に好ましいものには、ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20E.O.)アーモンド油、ポリオキシエチレン(20E.O.)水素化ヒマシ油、またはそれに類似するものなどがある。
【0064】
本発明による調合物に均質混合されるべき界面活性剤の量は、使用される界面活性剤の種類によって変化する。一般的には、好ましい範囲は、1〜60Wt%であり、特に好ましい範囲は、2〜10Wt%である。
【0065】
〔補助界面活性剤〕
一般的には、本発明による調合物において使用される補助界面活性剤は、アルコール、または、界面活性剤/補助界面活性剤系の低い親水/親油性の比率(HLB)を有する非イオン性の成分を意味する。本発明による調合物においては、可溶化剤または補助溶剤としての機能を有し、さらに、界面活性剤としての機能をも有する補助界面活性剤が好ましい。そのような補助界面活性剤として、一価アルコールまたは多価アルコール、または、低いHLBの非イオン性界面活性剤が、単独またはそれらの2つかそれ以上の組み合わせのいずれかで使用されてもよい。一価アルコールの例としては、ベンジルアルコール、エチルアルコール、オクチルアルコール、および、それらに類似するものがあり、多価アルコールの例としては、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、および、それらに類似するものがある。低いHLBの非イオン性界面活性剤の例としては、蒸留されたモノグリセリド、ポリグリセロールポリオレエート、および、分子量が300〜4,000のポリエチレングリコールがある。補助界面活性剤のより好ましい例は、ポリグリセロールポリオレエートである。特に好ましい補助界面活性剤は、デカグリセリルテトラオレエートである。
【0066】
本発明による調合物に均質混合されるべきこれらの補助界面活性剤の量は、使用される補助界面活性剤の種類によって変化する。一般的には、好ましい範囲は0.5〜30Wt%であり、特に好ましい範囲は1〜5Wt%である。
【0067】
〔油性成分〕
グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコールおよびそれらの誘導体、脂肪アルコールベンゾエート、および、炭化水素からなるグループから典型的には選択される1つまたはそれ以上の油性成分が、本発明による調合物における油性成分として使用されてもよい。受け入れることのできるモノグリセリド、ジグリセリド、または、トリグリセリド、あるいは、それらの混合物が、それらが天然資源から得られようがあるいは合成化合物であろうがあるいは半合成化合物であろうがそれらの出所または起源にかかわりなくグリセリン脂肪酸エステルとして使用されてもよい。好ましいグリセリン脂肪酸エステルは、アーモンド油、オリーブ油、ごま油、ピーナッツ油、ウイキョウ油、ツバキ油、コーン油、ひまし油、綿実油、および、大豆油の天然または精製されたもの、および、中間鎖脂肪酸トリグリセリド、および、これらの単独または組み合わせたものがある。特に好ましいのは、中間鎖脂肪酸トリグリセリドである。
【0068】
好ましい脂肪酸エステルは、イソプロピルミリステート、オクチルパルミテート、エチルオリエート、および、エチルパルミテートである。特に好ましいのは、イソプロピルミリステート、および、オクチルパルミテートである。特に好ましい脂肪アルコール誘導体および脂肪アルコールベンゾエートは、2−オクチルドデカノール、および、C12−15アルコールベンゾエートである。軽いまたは重たい液体パラフィン油が、好ましい炭化水素の例である。
【0069】
これらの油性成分は、単独かまたは他の油性成分と組み合わせて使用してもよい。これらの油性成分は、0.5〜50Wt%の量で本発明による調合物に均質混合されることができ、好ましくは、1〜10Wt%である。
【0070】
〔しょ糖酢酸イソ酪酸エステル〕
上で詳細に説明されたしょ糖酢酸イソ酪酸エステルが、HVLCMとして使用される。SAIBは、典型的には、0.01〜10Wt%の量で調合物に均質混合され、好ましくは、0.1〜2Wt%である。
【0071】
〔水〕
うがい薬の調合物に含まれるもう1つの本質的な成分は水である。本発明による調合物はpH3〜pH10であり、好ましくは、pH5〜pH9であり、より好ましくは、pH6〜pH8である。pH値を上述の範囲に維持するために、緩衝剤が使用されてもよい。好ましい緩衝剤の例としては、酢酸、くえん酸、燐酸、安息香酸、および/または、それらの塩がある。pH値は、要求される調整に応じて製造時に適切な酸または塩基、好ましくは、塩酸または水酸化ナトリウムを添加することによって好ましい範囲に調整されてもよい。さらに、本発明の調合物において使用される水は、脱イオン化されかつ濾過されることが望ましい。
【0072】
〔添加剤〕
防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、等張剤(isotonic agent)、調味料、保湿剤、金属イオン封鎖剤、ビタミンおよびビタミン先駆物質、および、それらに類似するもののようなその他の成分が必要に応じて添加されてもよい。防腐剤の好ましい例としては、パラベン誘導体(paraben derivative)があり、もっとも好ましい防腐剤としては、メチルパラベンおよびプロピルパラベンがある。酸化防止剤の好ましい例としては、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、プロピルガレート、ビタミンEアセテート、および、精製ヒドロキノンがあり、もっとも好ましい酸化防止剤は、ビタミンEアセテート、および、ブチルヒドロキシトルエンである。保湿剤の好ましい例としては、ソルビトールがある。調味料の好ましい例としては、ペッパー油、スペアミント油、ウィンターグリーン油、メントール、および、サッカリンがある。金属イオン封鎖剤の好ましい例としては、くえん酸がある。
【0073】
局所的な口腔送達系は、従来の方法によって、例えば、油の相と水の相とを別々にブレンドし、それから、上昇する温度下で2つの相を混ぜ合わせることによって調製されてもよい。パッケージングに先立って、この油の相と水の相との混合物は、十分に混合され、そして、室温までさまされる。
【0074】
VI.実施例
この開示により、当業者は、広い範囲にわたる様々なHVLCH配合物を調製および使用することができる。これらの実施例のすべては、本発明の範囲に含まれるであろう。よりわかりやすくするために、以下の実施例によって、SAIB配合物の調製および使用について詳細に説明する。その他のHVLCM、添加剤、基体、および、溶剤が、同様なあるいは類似する方法で使用されてもよい。
【0075】
所望の調合物を調製するために、実施例において、以下の一般的な手順を用いた。SAIB/溶剤系において生物学的に活性な物質を溶かすために、調合は、20mLのシンチレーションバイアルにおいてなされ、そして、振り、攪拌、および/または、加熱した。生物学的に活性な物質が溶けなかった実施例においては、液体粒子状態での生物学的に活性な物質の最良の分布を得るために、調合物は、冷却し、そして、攪拌した。
【0076】
生物学的に活性な化合物の生体外での放出は、以下の一般的な手順を用いて確認した。pH7.4かまたはpH6.8のリン酸緩衝溶液(“PBS”)(10mL)を、16×125mmの試験管に添加した。このpH7.4あるいはpH6.8のpH値は、生物学的に活性な物質の用途および溶解度に基づいて選択した。微生物の成長を防止するために、PBSは、0.2%のアジ化ナトリウムを含むものであった。0.03〜0.09グラムのSAIB/溶剤/生物学的に活性な物質の調合物を、使い捨てプラスチックピペットから試験管へ押し出し、そして、その重量を記録した。試験管は蓋をし、37°Cに設定され絶え間なく揺らされるシェーカーバス(shaker bath) に置いた。
【0077】
試験管は、定期的にいくつかの時点でシェーカーバスから取り出した。その時に、PBSを、調合物を含んだ試験管から取り出し、洗浄し乾燥した試験管に入れた。PBS溶液中での生物学的に活性な材料の量を判定するために、これらの試料がUV分析された。新たなPBSを、調合物を含んだ試験管に入れ、そして、その試験管はシェーカーバスに戻した。この手順を、試料が得られるいくつかの時点で反復した。
【0078】
放出溶液における生物学的に活性な材料の濃度を、調合物における生物学的に活性な材料の元の量に基づいて放出プロフィルを作成するのに用いた。この量は、紫外可視分光測光法を用いて判定した。
【0079】
これらの実施例では、エタノール(EtOH)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチルラクテート(EtLac)、エチルアセテート(EtOAc)、ベンジルアルコール(FCH2OH)、トリアセチン、N−メチルピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、および、グリコフロール(GF)を含め様々な溶剤を使用した。
【0080】
溶剤のより大きな割合(%)は、一般的に、調合物における生物学的に活性な物質のより大きな濃度をもたらした。また、溶剤の量と種類も溶液の粘度に直接に関係した。表1は、SAIB/溶剤の混合物に関する溶剤および濃度の影響を表にしたものである。この粘度データは、200型のキャノン・フェンスケ粘度計を用いて30°Cで得られた。
【0081】
【表1】
【0082】
生物学的に活性な物質の効果
薬剤放出を実証するために、メチレンブルーおよび牛血清アルブミン(BSA)を使用した。系から放出される生物学的に活性な成分には、クロルヘキシジン、ジクロフェナク、ドキシサイクリン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、および、テオフィリンが含まれた。クロトリマゾールの低い水溶解性のために、放出は持続しなかった。
【0083】
実施例1
エタノール(1g)を、しょ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)(9g)と混合した。静かに混ぜ合わせた後に、透明な低い粘度の溶液が得られた。この溶液の液滴を、ガラスピペットから水の中に放出して球状マトリックスを形成し、このマトリックスは、その形状を1週間以上も維持した。
【0084】
実施例2
エタノール(2g)をSAIB(8g)と混合させた。得られた溶液は、水と混合したときに薄膜を形成した。この膜は、その形状を1週間以上も維持した。
【0085】
実施例3
実施例1の手順に従って、エタノールおよびSAIBの量を変化させて溶液を調製した。この溶液に、0.07%のメチレンブルーを添加した。実施例1で説明したように、球状の液滴が、リン酸緩衝溶液(PBS)中で形成された。PBS試料は、37°Cに維持した。PBSは、定期的に取り出され、紫外可視分光測光法によってメチレンブルーの含有量を分析した。図1に、メチレンブルーの放出量の結果を示す。
【0086】
実施例4
メチレンブルーの代わりに牛血清アルブミン(BSA)を用いて、実施例3の手順に従って一連の調合物が調製した。これらの調合物では、BSA、溶剤、および、SAIBの様々な割合が用いられた。溶剤の種類、そして、BSA、溶剤、SAIB、および、すべての添加剤の比率は、以下の表2〜4に記載する。CAP:SAIBの比率を増加させることによって、BSAの放出が遅延した。
【0087】
この系においてはBSAは不溶性であった。混合溶剤を用いてそれを可溶化しようとしたが、BSAは、SAIBとは相溶性ではないグリセロールおよび水においてだけ可溶性であった。放出特性において、BSAに含まれる調合物のすべてが不均質であった。表2は、BSAを含んだ調合物の一覧表である。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
図5は、付加的な溶剤をまったく使用せずに形成されたSAIB/BSAのペーストに関する放出特性を示す。
【0091】
放出特性を得ることを試みたが、表4に示される不均質な調合物からは得られなかった。
【0092】
【表4】
【0093】
実施例5
生物学的な活性剤としてクロルヘキシジンを含んだ一連の調合物を用いて実施例5の手順を反復した。様々な量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調製した。
【0094】
生物学的に活性な物質としてクロルヘキシジンが添加された調合物を、以下の表5に記載する。
【0095】
【表5】
【0096】
種々の溶剤におけるクロルヘキシジンの放出特性を、図6〜8に示す。
【0097】
SAIB/EtOH/CABにおいてクロルヘキシジンが溶けることのできる量の最適化がなされた。その結果を表6に示す。
【0098】
【表6】
【0099】
実施例6
生物学的な活性剤としてジクロフェナクナトリウムを含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。種々の量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。CAB:SAIBの比率を増加させることによって、ジクロフェナクの放出が抑制された。
【0100】
生物学的に活性な物質としてジクロフェナクが添加された調合物を、以下の表7に記載する。
【0101】
【表7】
【0102】
種々の溶剤におけるジクロフェナクの放出特性を図9〜12に示す。
【0103】
実施例7
生物学的な活性剤としてドキシサイクリンを含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。種々の量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。
【0104】
生物学的に活性な物質としてドキシサイクリンが添加された調合物を、以下の表8に記載する。
【0105】
【表8】
【0106】
ドキシサイクリンの可溶性を増進させるために、わずかな量のDMSOを、SAIB/EtOH/CABの組み合わせとともに用いた。これらの調合物を、以下の表9に示す。
【0107】
【表9】
【0108】
実施例8
生物学的な活性剤としてフルルビプロフェンを含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。種々の量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。
【0109】
生物学的に活性な物質としてフルルビプロフェンが添加された調合物を、以下の表10に記載する。
【0110】
【表10】
【0111】
フルルビプロフェンの放出特性を図13に示す。
【0112】
実施例9
生物学的な活性剤としてナプロキセン(遊離酸)を含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。種々の量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。
【0113】
生物学的に活性な物質としてナプロキセン(遊離酸)が添加された調合物を、以下の表11に記載する。
【0114】
【表11】
【0115】
実施例10
生物学的な活性剤としてナプロキセン(ナトリウム塩)を含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。様々な量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。
【0116】
ナプロキセン(ナトリウム塩)は、ETOHおよびEtOAcにおいては溶解することができない。生物学的に活性な物質としてナプロキセン(ナトリウム塩)が添加された調合物を、以下の表12に記載する。
【0117】
【表12】
【0118】
様々な溶剤におけるナプロキセン(遊離酸およびナトリウム塩)の放出特性を図14に示す。
【0119】
実施例11
生物学的な活性剤としてナプロキセン(ナトリウム塩)およびナプロキセン(遊離酸)を含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。種々の量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。
【0120】
生物学的に活性な物質としてナプロキセン(ナトリウム塩)およびナプロキセン(遊離酸)を添加した調合物を、以下の表13に記載する。
【0121】
【表13】
【0122】
実施例12
生物学的な活性剤としてテオフィリンを含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順が反復された。様々な量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物が調合された。
【0123】
生物学的に活性な物質としてテオフィリンが添加された調合物を、以下の表14に記載する。
【0124】
【表14】
【0125】
プロピレンカーボネートにおけるテオフィリンの放出特性を図16に示す。
【0126】
放出特性は、テオフィリンを含む以下の調合物において試みられたものであるが、試料はかなり濁ったものであった。
【0127】
これらの調合物における材料の量を、以下の表15に記載する。
【0128】
【表15】
【0129】
実施例13
調合物は、80%のSAIBと15%のエタノールとによって調製し、得られた溶液をエアゾール容器に充填した。この溶液を、寒天平板に噴霧し、そこで、癒着性のある連続した膜を形成した。
【0130】
実施例14
一連の調合物を、80%のSAIBと0.02%のメチレンブルーとによって調製し、エタノールとCABとの比を1:0〜1:1の範囲で変化させた。この調合物をゼラチンに噴霧した。CABの含有率を増加させることによって、ゼラチンへのメチレンブルーの希釈が抑制された。
【0131】
実施例15
SAIBを60°Cまで加熱した。1%、2%、5%、および、10%のテトラサイクリンによって別々に調合物を作製した。この調合物を、21ゲージの針を備えた注射器に充填した。調合物は、手操作によって注射器で37°Cのバターに押し出した。約43°Cの温度では調合物を容易に押し出すことができた。
【0132】
実施例16 うがい薬の調製および特性
ポリオキシエチレン(7.680g、20E.C.)アーモンド油(Crovol A-70)と、4.042gのデカグリセロールテトラオレエート(Caprol IOG40)と、11.721gの中間鎖トリグリセリド(Neobee M-5)とを適切な混合容器(ジャケット付きで単動式の表面掃引型のケトル)で混合させた。この混合物を、約65°Cまで加熱した。メチルパラベン(0.500g)と、0.250gのプロピルパラベンと、0.125gのセチルピリジニウムクロリドと、0.125gの安息香酸と、0.625gのしょ糖酢酸イソ酪酸エステルと、を混合して加熱した有機相となった。この有機相の混合物を、付属成分を通じて約65°Cに維持した。亜鉛グルコネート(zinc gluconate)(0.250g)と、0.125gの安息香酸ナトリウムと、0.0625gのくえん酸と、12.5gのソルビトールとを、221.10gの脱イオン水に溶解した。この水の相の混合物を、約650°Cまで加熱した。有機相の混合物および水相の混合物のいずれもがその温度に達した後、水相を、ゆっくりと油相に攪拌しながら添加した。水相を油相に完全に添加してしまったときに、2滴の緑の食品着色剤と1.000gのペッパーミント油とを添加し、よくかき混ぜられて調合物にした。そして、この混合物を、室温まで急速に冷却してパッケージングした。この規模における処理中の水の減少量は、約10.1gであった。
【0133】
最終的な生成物は、以下の組成を有するものであった。
【0134】
【表16】
【0135】
実施例17
血管移植片(vascular graft)が、61.8%のSAIB、10.0%のCAB、および、28.2%のETOHからなる溶液に液浸し、この溶液に、1%のヘパリンを添加した。この移植片から溶液を抜いて生理的食塩水によって洗浄した。血管移植片は犬に移植した。移植した後、制御血管移植片と比較しても移植片の内部表面には血液凝固はなかった。
【0136】
実施例18
5%のCAB、45%のエタノール、および、50%のSAIBからなる調合物を調製した。これらに、0.05〜0.0005%の量のトランスホーミング増殖因子β、または、1〜5.1%の範囲にあるフェノールを添加した。この配合物を犬の鼠径管に注入し、そこで、配合物は、鼠径管閉塞に到る細胞反応を引き出した。
【0137】
実施例19
10%のCAB、45%のエタノール、および、45%のSAIBからなる配合物を、外科的に剥離していたうさぎの子宮角に噴霧した。再検査時に、この領域のすべてが外科的な癒着を示したわけではなかったが、それらの個々に関しては生物学的に十分に耐性があるものであった。
【0138】
実施例20
図17は、2つの調合物の放出量を示すグラフである。一方の調合物(縦縞)は、3.2%のSAIB、15.1%のETOH、0.00395%のメチレンブルーを含み、残りはdiH2Oである。もう一方の調合物(斜め縞)は、0%のSAIB、28.9%のETOH、0.00395%のメチレンブルー、および、diH2Oであった。
【0139】
自然のコラーゲンからなる1インチの細片を、切除し、PBS(pH6.8)で洗浄し、9分間だけ調合物に液浸し、洗浄された試験管に入れ、PBSを満たした。いくつかの時点において、PBSを、デカントし、UV分析し、新たなPBSがコラーゲンを含んだ試験管に加えた。図17を参照されたい。
【0140】
本発明の、すなわち、ここで使用した配合物および方法の変形および変更は、上述の詳細な説明によって、当業者には容易なことである。そのような変形および変更は、添付の請求の範囲に含まれることになる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】図1は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB(しょ糖酢酸イソ酪酸エステル)からのメチレンブルー放出量のグラフである(黒丸は80%のSAIB、下向きの黒三角形は85%のSAIB、白四角形は90%のSAIB、上向きの三角形は95%のSAIB)。
【図2】図2は、時間経過(時間)による放出量(mg/mg)を示したSAIBからのテオフィリン放出量のグラフである(黒丸は0.5%のテオフィリン、下向きの三角形は1.0%のテオフィリン、黒四角形は2.5%のテオフィリン、上向きの三角形は5.0%のテオフィリン、黒菱形は10%のテオフィリン)。
【図3】図3は、時間による時間経過での放出量をパーセントで示した90%のSAIBからのメチレンブルー放出によるスクロースの効果を示す(黒丸は0%のスクロース(90%のSAIB、10%のETOH)、下向きの三角形は2.5%のスクロース(90%のSAIB、7.5%のETOH)、黒四角形は5.0%のスクロース(90%のSAIB、5%のETOH))。
【図4】図4は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIBからのメチレンブルー放出によるCAB(酢酸酪酸セルロース)の効果を示す(黒丸は5%のCAB(40%のSAIB、55%のETOH)、下向きの黒三角形は10%のCAB(40%のSAIB、50%のETOH)、黒四角形は15%のCAB(40%のSAIB、45%のETOH))。
【図5】図5は、時間経過(時間)による放出量(mg)をパーセントで示したBSA(9%)/SAIBのペーストからのBSAの放出量のグラフである。
【図6】図6は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/エチルラクテート(EtLac)からのクロルヘキシジンの放出量のグラフである(白丸は50/50のSAIB/EtLac、下向きの白三角形は70/30のSAIB/EtLac、白四角形は90/10のSAIB/EtLac)。
【図7】図7は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/NMPからのクロルヘキシジンの放出量のグラフである(白丸は50/50のSAIB/NMP、下向きの白三角形は70/30のSAIB/NMP、白四角形は90/10のSAIB/NMP)。
【図8】図8は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/プロピレンカーボネートからのクロルヘキシジンの放出量のグラフである(白丸は64%のSAIB、下向きの白三角形は75%のSAIB、白四角形は85%のSAIB)。
【図9】図9は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/トリアセチンからの2.5%のジクロフェナクの放出量のグラフである(白丸は50/50のSAIB/トリアセチン、下向きの白三角形は70/30のSAIB/トリアセチン、白四角形は90/10のSAIB/トリアセチン)。
【図10】図10は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示した、スクロースがある場合とない場合のSAIB/エタノール(EtOH)からの2.5%のジクロフェナクの放出量のグラフである(白四角形は79%のSAIB、下向きの黒三角形は82%のSAIB、黒四角形は90%のSAIB、下向きの白三角形は88%のSAIB、黒丸は88%のSAIBと2.5%のスクロース、白丸は80%のSAIBと5%のスクロース)。
【図11】図11は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示した、添加剤、CAB、および、セルロースアセトプロピオネート(“CAP”)がある場合とない場合のSAIB/EtOHからの2.5%のジクロフェナクの放出量のグラフである(白四角形は添加剤無し、下向き白三角形はCAP有り、白丸はCAB有り)。
【図12】図12は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/ジメチルスルホキシド(DMSO)からの2.5%のジクロフェナクの放出量のグラフである(白丸は70/30のSAIB/DMSO、下向きの白三角形は90/10のSAIB/DMSO)。
【図13】図13は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/45%EtOH/5%CABからのフルルビプロフェンの放出量のグラフである(白四角形は4.99%のフロラビプロフェン、黒菱形は9.92%のフロラビプロフェン)。
【図14】図14は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/グリコフロール(glycofurol)からのナプロキセン(遊離酸またはナトリウム塩)の放出量のグラフである(白丸は73%のSAIBと5.2%のナプロキセン(遊離酸)、下向きの白三角形は60%のSAIBと3.6%のナプロキセン(遊離酸)、白四角形は52%のSAIBと4.1%のナプロキセン(遊離酸)、黒丸は74%のSAIBと5.2%のナプロキセン(ナトリウム塩)、下向きの黒三角形は60%のSAIBと3.4%のナプロキセン(ナトリウム塩)、黒四角形は52%のSAIBと3.9%のナプロキセン(ナトリウム塩))。
【図15】図15は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB(40%)/EtOH/CABまたはCAPからの2.5%のテオフィリンの放出量のグラフである(黒丸は5%のCAB、黒丸は10%のCAB、下向きの白三角形は15%のCAB、下向きの黒三角形は5%のCAP、白四角形は10%のCAP、黒四角形は15%のCAP)。
【図16】図16は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/プロピレンカーボネートからのテオフィリンの放出量のグラフである(下向きの白三角形は64%のSAIB、黒丸は74%のSAIB、白丸は84%のSAIB)。
【図17】図17は2つの調合物の放出量のグラフである。一方の調合(黒い影の部分)は、3.2%のSAIB、15.1%のETOH、0.00395%のメチレンブルーを含み、残りの部分はdiH2Oである。もう一方の調合(斜線部分)は、0%のSAIB、28.9%のETOH、0.00395%のメチレンブルーを含み、残りの部分はdiH2Oであった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織のコーティングおよび癒着防止を含め、物質の送達およびその他の用途に有効な高粘度液体配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
生体活性化合物のための生分解性の制御された放出系の分野において広範な研究がなされてきた。薬剤送達に用いられる生分解性のマトリックス(母材)は有益なものである。なぜなら、それらは、薬剤を使い尽くした除去デバイス(drug-depleted device)を取り除くことを必要としないからである。
【0003】
薬剤送達のためのもっとも一般的なマトリックス材料はポリマーである。1996年に高分子乳酸の合成および生分解性がKulkarniらによって報告されてから(“Polylactic acid for surgical implants, " Arch. Surg., 93〜839 頁) 、生分解性ポリマーの分野は急速に発達してきた。送達デバイスのためのマトリックス材料として同じように役に立つものとして報告されているその他のポリマーの例としては、高分子酸無水物、ポリグリコリドおよびポリラクチドコグリコリドのようなポリエステル、ポリリシンのようなポリアミノ酸、ポリエチレンオキシドからなるポリマーおよびコポリマー、アクリル末端基ポリエチレンオキシド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオルトエステル、ポリアクリロニトリル、および、ポリホスファーゲンなどがある。Langerに付与された米国特許第4,891,225号および米国特許第4,906,474(高分子酸無水物)号、Hutchinsonに付与された米国特許第4,767,628号(ポリラクチド、ポリラクチドコグリコリド酸)、および、Ticeらに対する米国特許第4,530,840号(ポリラクチド、ポリグリコリド、および、コポリマー)を参照されたい。
【0004】
生物学的に生じた分解材料は良く知られているものであり、例えば、架橋ゼラチンがある。ヒアルロン酸が架橋されて生体医学用の分解膨潤ポリマーとして使用されてきた(1991年のDella Valle らに付与された米国特許第4,957,744 号)“Surface modification of polymeric biomaterials for reduced thrombogenicity." Polym. Mater, Sci, Eng., 62 の 731〜735 頁。
【0005】
さらに、ホルモン、酵素、抗生物質、抗新生物薬剤、および、セルサスペンション(cell suspension) のような生物学的な活性材料のキャリヤとして、生分解性のヒドロゲルが、制御された薬剤送達用に開発されてきた。局所的な組織または体循環への種の制御された放出だけでなく、運搬される種の機能的な特性を時間的に維持することも達成されている。Cohenに付与された米国特許第5,149,543 号を例として参照されたい。ヒドロゲルマクロマー(hydrogel macromers)を適切に選択することによって、手術、医学的な診断、および、治療における様々な用途に適した透過性、気孔寸法、および、分解速度の範囲を有する膜を生成することができる。
【0006】
現在、多くの分散系が、物質、特に生物学的な活性化合物のキャリヤとして使用され、あるいは使用するための調査がなされている。薬物学的なあるいは化粧品としての調合物に用いられる分散系は、サスペンションあるいはエマルションのいずれかとして分類することができる。サスペンションは、沈殿防止剤を用いた液状媒体に分散させられた寸法が数ナノメーターから数百ミクロンにわたる固体粒子として定義される。固体粒子には、マイクロスフェア、マイクロカプセル、および、ナノスフェア(nanosphere)がある。エマルションは、一方の液体が他方の液体において分散しているものとして定義され、界面活性剤および脂質のような乳化剤からなる界面膜によって安定化される。エマルションの調合物には、油中水滴型エマルションおよび水中油滴型エマルション、複合エマルション(multiple emulsion) 、マイクロエマルション、マイクロ液体粒子、および、リポソームが含まれる。Haynesに発行された米国特許第4,622,219号および米国特許第4,725,442号において定義されるように、マイクロ液体粒子は、内部に油相を有する球状脂質層からなる一枚膜リン脂質小胞である。リポソームは、水不溶性の極性脂質を水溶液と混合することによって調製されるリン脂質小胞である。水の中で水不溶性脂質を混合することによって生じる好ましくないエントロピーは、閉じ込められた水溶液を有するリン脂質からなる同心の閉じた膜の非常に規則正しい堆積を生成する。
【0007】
Dunnらに付与された米国特許第4,938,763 号は、生体適合性のある水溶性の溶剤中に非反応性である水不溶性の熱可塑性ポリマーを溶かし、その液体を体内に配置し、その溶剤を消散させて固体の移植組織片を生成することによってその場で移植組織片を形成する方法を開示する。このポリマー溶液は、注射器によって体内に入れてもよい。移植組織片は、周囲空洞の形状をとることができる。別の実施例においては、移植組織片は、反応性のある液体のオリゴマーポリマーから形成され、このオリゴマーポリマーは、溶剤を含まず、通常は硬化触媒の添加によって所定の位置で硬化して固体を形成する。
【0008】
物質の制御された送達において使用するために、多くの材料が評価されたが、物質の制御された送達のための毒性の低いより簡単なシステムを提供する必要性が依然として残されたままである。例えば、上述の送達システムは、ポリマーおよび添加された高分子マトリックスまたはヒドロゲルまたはその他の複雑なあるいはこわれやすい配合物の調製を必要とする。特に、送達されるべき物質と容易に調合されかつ容易に投与することのできる、液体を基とする送達系を提供する必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえ、本発明の目的は、物質を送達するための簡単な系を提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、送達されるべき物質とともに容易に調合されかつ容易に投与することができる、液体を基とする送達系を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、簡単な液体を基質とする系中の物質を制御して送達するための方法を提供することである。
【0012】
物質の制御された放出に用いられる配合物が提供され、この配合物は、(i)周囲条件または生理学的条件下において純粋には(そのままでは)結晶化しない、37°Cでの粘度が少なくとも5,000cPの非重合の水不溶性高粘度液体キャリヤ材料(HVLCM)と、(ii)送達されるべき物質と、を含む。
【0013】
1つの具体例において、このHVLCMは、例えば、エタノール、ジメチルスルホキシド、エチルラクテート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、トリアセチン、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、グリコフロール(glycofurol)、例えば、トリクロロフルオロメタンおよびジクロロフルオロメタンのようなフレオン、ジメチルエーテル、プロパン、ブタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチレンカーボネート、ブチレングリコール、N−(ベータヒドロメチル)ラクタミド、ジオコラン(diokolanes)、および、その他のアミド、エステル、エーテル、アルコールのような粘度を低下させる水溶性または混和性の溶剤と混合され、より粘度の低い液体キャリヤ材料(LVLCM)を形成し、投与される前に、それが送達されるべき物質と混合される。好ましい具体例においては、このLVLCMは、1000cPよりも小さい粘度を有する。投与時、この配合物が体内または表面に配置され、この溶剤がLVLCMから消散または拡散し、所定の期間にわたってその物質を放出する非常に粘性のある移植組織片または配合物をその場で形成する。溶剤およびHVLCMを適切に選択することによって、投与前および投与後の配合物の広い範囲にわたる粘度を達成することができる。好ましい実施例においては、HVLCMは生分解性のものである。
【0014】
1つの具体例において、HVLCMと混合される物質は、人間の治療、動物の治療、あるいは、農業の目的に役に立つ生物学的に活性な物質である。農業分野では、例えば、適切な活性薬剤を含む配合物は、雑草(例えば、ジクワット)、昆虫(例えば、メチルパラチオン)、あるいは害虫を抑制するための場所に適用することができる。畜産分野では、この配合物は、例えば、家畜の成長促進剤として混合ステロイドを送達するのに、あるいは、ワクチン(例えば、豚の交配後の予防に用いられるパルボウイルスワクチン)を送達するのに使用することができる。人間においては、この配合物は、以下でより詳細に説明される広い範囲にわたる生物学的に活性な物質を送達するのに使用することができ、あるいは、外科的な癒着を阻止するために活性薬剤とともにまたは活性薬剤なしで使用してもよい。あるいは、骨組(scaffolding) のために、間隙の充填(void filling)のために、歯根膜のような案内組織の再生物として使用してもよい。その他の例においては、配合物は、腫れた動脈に注入してもよく、そこで、腫れへの血液供給を阻止する高粘度の移植組織片を形成する。さらなる例においては、この配合物は、縫合とともにまたは縫合なしで組織癒着剤として使用してもよい。さらにもう1つの例においては、配合物は、傷を部分的に閉塞する覆いとして使用してもよい。
【0015】
生体内において、配合物の移植組織片は、筋肉あるいは脂肪のような柔らかい組織、骨のような固い組織を含めて体内のどこにでも、また、限定はされないが歯根膜、口、膣、直腸、または鼻腔、あるいは歯周ポケットのようなポケット、あるいは眼の盲管を含めて腔のどこにでも配置することができる。
【0016】
この配合物は、所望される通りに配合物の性質を変える添加剤を任意に含む。限定されない適切な添加剤の例としては、生分解性ポリマー、非生分解性ポリマー、天然油または合成油、炭水化物または炭水化物誘導体、無機塩、BSA(ウシ血清アルブミン)、界面活性剤、砂糖のような有機化合物、および、クエン酸ナトリウムのような有機塩がある。一般的には、水に溶けないほど、すなわち、より親油性であればあるほど、添加剤は、添加剤のない同じ配合物と比較した場合に基体(substrate) の放出速度をより減少させる。1つの具体例においては、配合物の強度または多孔性(porosity)のような性質を増大させる添加剤を使用することは好ましいことである。1つの具体例において、HVLCMあるいはLVLCMは、添加剤と組み合わせて、送達されるべき基体なしで使用される。
【0017】
別の実施例においては、貯蔵、取り扱い、送達を容易にするために、さもなくば、配合物の1つかまたはそれ以上の性質を変性するために、HVCLM/基体の配合物は第2のキャリヤ材料に含まれる。限定するものではない第2のキャリヤ材料の例は、HVLCMが、固体、ゲル調合物、および経皮性の送達系(エマルションを形成する)中では溶けない液体である。この基体は、HVLCMでの高い溶解度と第2のキャリヤ材料での低い溶解度とを有するべきである。
【0018】
例えば、水中HVC114/基体のエマルションを提供することができる。本発明の範囲内にある有益なエマルションはうがい液(マウスウオッシュ)であり、そこでは、基体は、口臭、口内炎、またはその他の口唇疾患を治療するための活性薬剤である。
【0019】
また別の実施例においては、HVLCMは、基体を局部的に投与するためのキャリヤとして使用される。例えば、このHVLCMは、生物学的な活性薬剤の溶解性および経皮運搬を促進させるものである。別の実施例においては、HVLCMは、DEETを含有する防虫剤のためのキャリヤとして使用することができる。さらに別の実施例においては、HVLCMは、例えばシラミ駆除剤あるいはふけ防止剤または治療薬のような化合物を髪または頭皮に送達するのに使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
I.高粘度液体キャリヤ材料の選択
高粘度液体キャリヤ材料が選択されるべきであり、それは、非重合であり、非水溶性であり、かつ、37°Cにおいて少なくとも5,000cPの粘度を有し(かつ、随意に、少なくとも10,000、15,000、20,000、25,000、あるいは50,000cPさえも有する)、周囲条件または生理学的条件下において純粋には(そのままでは)結晶化しない。水不溶性という用語は、周囲条件下で1重量%よりも少ない程度しか水に溶けることができない材料を意味する。
【0021】
好ましい実施例において、HVLCMは、溶剤と混合したときに粘度がかなり減少し、制御された送達に用いられる基体と混合することができるLVLCMを形成する。一般的には、LVLCM/基体の配合物はHVLCM/基体の配合物よりも体内に配置するのが容易である。なぜなら、LVLCM/基体の配合物は、注入器またはその他の注入手段の内外により容易に流動し、かつ、エマルションとして簡単に調合できるからである。LVLCMは、所望のあらゆる粘度を有することができる。約1000cPよりも小さいLVLCMの粘度領域、より詳細には、200cPよりも小さい粘度領域は、生体内での用途に通常有用であることがわかっている。
【0022】
1つの具体例において、HVLCMは、二糖二酢酸ヘキサ酪酸エステルのような二糖エステルである。
【0023】
好ましい具体例、すなわち、しょ糖酢酸イソ酪酸エステル(“SAIB”)においては、2つの酢酸部位と6つのイソ酪酸部位とがエステル化したスクロース分子がHVLCMとして用いられる。SAIBの構造は以下で説明される。
【0024】
【化1】
【0025】
SAIBは、経口的には無毒であり、現在、食品業界においてエマルションを安定化させるものとして使用されている。それは、非常に粘度のある液体であり、わずかの加熱によって、あるいは、溶剤の添加によって、粘度が劇的に変化するという独特の性質を有する。それは、多くの生体適合性溶剤に対して可溶性である。溶解した状態あるいはエマルションの状態にあるとき、注入またはエアゾール噴霧によってSAIBが適用されてもよい。SAIBは、物質を送達する速度に影響を及ぼすことができるセルロースエステルおよびその他のポリマーと相溶性がある。
【0026】
別の実施例においては、HVLCMは、プロピレングリコール、グリセリル、ジエチルアミノエチル、および、グリコールのそれのようなステアレートエステル、N,N’−エチレンジステアラミド、ステアラミドMEA、および、ステアラミドDEAのようなステアレートアミドおよびその他の長鎖脂肪酸アミド、エチレンビステアラミド(ethylene bistearamide) 、ココアミンオキシド(cocoamine oxide) 、セチルアルコールおよびステアリルアルコールのような長鎖脂肪アルコール、ミリスチルミリステートのような長鎖エステル、ベヘニエルケート(beheny erucate)、および、グリセリルホスフェートであってもよい。特定の具体例においては、HVLCMは、アセチル化されたスクロースジステアレート(Crodesta A-10)である。
【0027】
HVLCMは、所望の作用を実現するどのような量ででも配合物に含まれてよい。例えば、組織コーティングとして、あるいは、癒着防止のために、HVLCMは、保護膜またはボルス(bolus) として単独で使用してもよく、あるいは、材料の性質または効果を増進する基体とともに使用してもよい。HVLCMは、制御された送達配合物に、約99.5重量%〜約0.20重量%の範囲にある量で含まれる。HVLCMは、一般的には、制御された送達配合物に、約99.5重量%〜約10重量%の範囲にある量で含まれ、より一般的には、配合物の総重量に対して95〜25重量%であり、もっとも一般的には、85〜45重量%である。
【0028】
II.送達されるべき物質
この方法を用いれば、所望の性質を呈するいかなる物質をも送達することができる。好ましくは、物質は、生物学的に活性な物質である。
【0029】
ここで使用されるような“生物学的に活性な物質”という用語は、薬剤、ペプチド、タンパク質、炭水化物(単糖類、少糖類、および、多糖類を含む)、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチドまたは合成タンパク質、あるいは、タンパク質に結合された小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸(CDNA、RNA、またはそれらのフラグメントを含めたDNAのあらゆる形態)、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む)、遺伝子、脂質、ホルモン、ビタミンCおよびビタミンEを含むビタミンあるいはそれらの組み合わせを含めた有機分子を意味し、これらの有機分子は、人間を含め鳥および哺乳動物を含むがそれに限定されない動物の体内に投与されたときに生物学的な効果をもたらす。
【0030】
ここで使用されるような薬剤という用語は、処置、治療、または、疾患あるいは異常の予防に用いられる薬品として外的あるいは内的に使用されるあらゆる物質を意味し、免疫抑制剤、酸化防止剤、麻酔薬、化学療法薬(chemotherapeuticagent)、ステロイド(レチノイドを含む)、ホルモン、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗増殖性物質、抗ヒスタミン剤、抗凝固剤、抗光老化剤(antiphotoaging agent)、黒色素胞刺激ホルモンペプチド(melanotropic peptide)、非ステロイド抗炎症化合物およびステロイド抗炎症化合物、抗精神病薬、および、UV吸収剤を含めた放射線吸収剤(radiation absorber)を含むが限定はされない。
【0031】
生物学的に活性な物質という用語は、また、殺虫剤、病虫害防除剤、殺菌剤、殺鼠剤、および、植物栄養剤および植物成長促進剤のような薬剤も含む。
【0032】
1つの実施例においては、配合物はワクチンであり、送達されるべき物質は抗原である。この抗原は、細胞、バクテリア、あるいは、ウイルス粒子、またはそれらの一部分から得られる。ここで定義されるように、抗原は、タンパク質、ペプチド、多糖類、糖タンパク質、糖脂質、核酸、あるいは、それらの組み合わせであってもよく、それは、例えば、哺乳動物、鳥、あるいは、魚のような動物における免疫反応を引き出す。ここで定義されるように、免疫反応は、体液または細胞を介在するものであってもよい。免疫反応が向けられるべき材料が抗原性が乏しいものである場合、それは、標準的な共有結合技術を用いて、例えば、いくつかの市販されている試薬キットの1つを用いてアルブミンのようなキャリヤまたはハプテンに接合させてもよい。
【0033】
好ましい抗原の例としては、インフルエンザタンパク質、ヒト免疫不全ウイルスタンパク質、および、A型、B型、または、C型肝炎タンパク質のようなウイルスのタンパク質、バクテリアのタンパク質、グラム陰性菌の細胞壁、ナイセリア淋病タンパク質、および、パルボウイルスのようなリポ多糖がある。
【0034】
薬物学的な材料の限定するものではない例としては、ニトロフラゾン、および、プロピオン酸ナトリウムのような抗感染薬、ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ニスタチン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、および、アジスロマイシン(azithromycin)を含めた抗生物質、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファメタジン、スルファジアジン、スルファメラジン、および、スルフィソキサゾールを含むスルホンアミド、および、イドクスウリジンを含む抗ウイルス薬、アンタゾリン、メタピリレン、クロロフェニラミン、ピリラミン、プロフェンピリダミン(prophenpyridamine) 、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−リン酸エステル、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾロン、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム、および、プレドニゾロンアセテートのような抗アレルギー性剤、ブタクサ花粉抗原、枯草熱花粉抗原、ダスト抗原、および、牛乳抗原のような減感剤(desensitizing agent) 、天然痘、黄熱、ジステンパー、豚コレラ、水疱瘡、アンチベノム(antivenom) 、しょうこう熱、ジフテリア(dyptheria) 、トキソイド、破傷風トキソイド、鳩痘、百日咳、インフルエンザ狂犬病、お多福風邪、はしか、脊髄性小児麻痺、および、ニューキャッスル病のためのワクチン、フェニレフリン、ナファゾリン、および、テトラヒドロゾリンのような消炎剤、ピロカルピン、エスペリンサリチル酸塩(esperine salicylate) 、カルバコール、ジイソプロピルフルオロリン酸塩、ヨウ化ホスホリン(phospholine iodide)、および、臭化デメカリウムのような縮瞳剤および抗コリンエステラーゼ剤、硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、オイカトロピン、および、ヒドロキシアンフェタミンのような副交感神経様作用剤、エピネフリンのような交感神経様作用剤、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタールナトリウム、コデイン、(α−ブロモイソバレリル)尿素、カルブロマルのような鎮静剤および催眠薬、3−(2−アミノプロピル)インドールアセテート、および、3−(2−アミノブチル)インドールアセテートのような精神賦活剤、レセルピン、クロルプロマイリン(chlorpromayline) 、および、チオプロパゼートのような精神安定剤、メチル−テストステロン、および、フルオリメステロン(fluorymesterone) のような男性ホルモンステロイド剤、エストロン、17−β−エストラジオール、エチニルエストラジオール、および、ジエチルスチルベストロールのようなエストロゲン、プロゲステロン、メゲストロール(megestrol) 、メレンゲストロール、クロマジノン、エチステロン、ノルエチノドレル、19−ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン、および、17−β−ヒドロキシプロゲステロンのような排卵誘発剤、例えばPGE1、PGE2 、PGE3 などのプロスタグラジン、アスピリンのような解熱薬、サリチル酸ナトリウム、および、サリチルアミドのような体液剤(humoral agent) 、アトロピン、メタンテリン、パパベリン、および、臭化メトスコポラミンのような抗痙攣性剤、4−アミノキノリン、8−アミノキノリン、クロロキン、および、ピリメタミンのような抗マラリア薬、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、トリペレナミン、パーフェナジン、および、クロルフェナジン(chlorphenazine)のような抗ヒスタミン剤、ジベンゾヒドロフルメチアザイド(dibenzhydroflume thiazide) 、フルメサイアザイド、クロロサイアザイド、および、アミノトレート(aminotrate)のような心臓作用剤、成長因子、細胞癒着因子、サイトカイン、および、生物学的な反応モディファイア(response modifier) を含めたビタミン、天然および合成の生物活性ペプチド、および、タンパク質のような栄養剤がある。
【0035】
活性化合物は、所望の効果を達成するための有効量を被移植体である動物または植物に送達するための十分な量が配合物に含まれる。配合物に含まれる薬剤すなわち生物学的な活性薬剤の量は、所望される放出特性、生物学的効果に必要とされる薬剤の濃度、および、所望の薬剤の放出期間に依存する。
【0036】
さらに、配合物における活性化合物の濃度は、薬剤の吸収量、不活性化量、および排泄量に依存し、そしてまた、当業者に知られたその他の要因にも依存する。また、投与量も軽減すべき状態のひどさにより変わることがわかろう。さらに、個々のどのような被検者に対しても、特定の投薬計画は、期間全体にわたり個々の必要量と配合物の投与を管理または監督する者の専門的な判断に従って調製されなければならないことを理解すべきであり、また、ここに記述される濃度範囲は、ただ単に例として記述されたものであり、請求の範囲に記載される配合物の範囲または実施を限定しようとするものではないことを理解すべきである。配合物は一回の投与量で投与されてもよいし、あるいは、いくつかの小量の投与量に分割して種々の時間間隔において投与してもよい。
【0037】
生物学的な活性物質は、典型的には、配合物の総重量に対しての重量が約0.5重量%〜約20重量%の範囲で配合物に含まれ、より典型的には、約1Wt(重量%、以下同様)%〜約15Wt%か、あるいは、それよりも多い。もう1つの好ましい範囲は、約2Wt%〜約10Wt%である。成長因子のような非常に活性な薬剤に関しては、好ましい範囲は1Wt%以下であり、ゆえに、0.0001%以下である。
【0038】
制御された送達に用いられるHVLCMまたはLVLCMに可溶性物質および不溶性物質の両方を溶解させてもよい。
【0039】
III.添加剤
材料の性質を希望するように変えるために、様々な添加剤が、HVLCMまたはLVLCMに随意として添加されてもよい。添加剤は、所望の性質を配合物に付与するのに十分な任意の量でも含まれることができる。使用される添加剤の量は、一般的には、添加剤の性質と達成されるべき効果との関数であり、作業担当者によって容易に決定することができる。
【0040】
含まれる場合には、添加物は、典型的には、配合物の総重量に対して約0.1Wt%〜約20Wt%の範囲にある量で配合物に含まれ、より典型的には、1Wt%、2Wt%、または、5Wt%から約10Wt%までの範囲にある量で配合物に含まれる。緩衝剤のようなある種の添加剤は、配合物にわずかな量で含まれるだけである。
【0041】
以下の分類は、配合物において使用することができる添加剤の限定するものではない種類の例である。ここでの開示と達成しようとする目的とが与えられれば、この分野に精通した者は、所望の目的を達成するために様々な添加剤をどのように選択するかを容易に知ることができる。これらの具体例のすべては、開示された本発明の範囲にあるとみなされる。
【0042】
A.生分解性ポリマー
添加剤の1つの分類は、生分解性のポリマーおよびオリゴマーである。ポリマーは、送達されるべき物質の放出特性を変更するために、配合物に結着性(integrity)を付与するために、さもなくば、配合物の性質を変えるために使用することができる。適切な生分解性のポリマーおよびオリゴマーの限定するものではない例としては、ポリ(ラクチド)、ポリ(ラクチド−コグリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアミド、ポリ無水物(polyanhydride) 、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリシアノアクリレート、ポリ(ホスファジン)、ポリ(ホスホエステル)、ポリエステルアミド、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、分解性ポリウレタン、ポリヒドロキシブチエート(polyhydroxybutyi-ate)、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、キチン、キトサン、および、コポリマー、ターポリマー、酸化セルロース、あるいは、上述の材料からなる組み合わせまたは混合物がある。
【0043】
ポリ(a−ヒドロキシ酸)の例としては、ポリ(グリコール酸)、ポリ(DL−乳酸)およびポリ(L−乳酸)、および、これらのコポリマーがある。ポリラクトンの例としては、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリ(d−バレロラクトン)、および、ポリ(γ−ブチロラクトン)がある。
【0044】
B.非生分解性ポリマー
本発明による配合物とともに使用されるさらなる添加剤は、非生分解性ポリマーである。添加剤として使用することのできる非生分解性ポリマーの限定するものではない例としては、ポリアクリレート、エチレンビニルアセテートポリマー、セルロースおよびセルロース誘導体、アシル置換セルロースおよびその誘導体、非腐食性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリビニルイミダゾール、クロロスルホン化ポリオレフィン、および、ポリエチレンオキシドがある。
【0045】
好ましい非生分解性ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアセテート、ポリエチレングリコール、酢酸酪酸セルロース(“CABO”)、および、酢酸プロピオン酸セルロース(“CAP”)がある。
【0046】
C.油および脂肪
本発明による配合物において使用することのできる添加剤のさらなる種類は、天然および合成の油および脂肪である。動物からあるいは植物の実の種から得られる油としては、一般的には、主にオレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、および、リノール酸などからなる脂肪酸のグリセリドがある。一般には、分子が水素をより多く含むほどに油は粘度がより増大する。
【0047】
適切な天然油および合成油の限定するものではない例としては、天然または精製された、植物油、ピーナッツ油、中間鎖トリグリセリド、大豆油、アーモンド油、オリーブ油、ごま油、ピーナッツ油、ウイキョウ油、ツバキ油、コーン油、ひまし油、綿実油、および、大豆油、並びに、中間鎖脂肪酸トリグリセリドがある。
【0048】
脂肪は、典型的には、ステアリン酸およびパルミチン酸のようなより高級脂肪酸からなるグリセリルエステルである。このようなエステルとそれの混合物は、室温では固体であり結晶性構造を呈する。豚脂および牛脂はその例である。一般に、油および脂は、SAIBの疎水性を増大させ、分解および水の吸収を遅らせる。
【0049】
D.炭水化物および炭水化物誘導体
本発明による配合物において使用することのできる添加剤のもう1つの種類は、炭水化物および炭水化物誘導体である。これらの化合物の限定するものではない例としては、単糖類(果糖およびそれの異性体グルコース(ブドウ糖)のような単純な糖)、ショ糖、麦芽糖、セロビオース、および、乳糖のような二糖類、および、多糖類がある。
【0050】
IV.溶剤
配合物がLVLCMとして使用される場合、それは、HVLCMが可溶である溶剤を含まなければならない。好ましくは、送達されるべき物質もまた溶剤に可溶である。溶剤は、無毒で、水溶性または水相溶性がなければならず、さもなければ、生体適合性のあるものでなければならない。毒性のある溶剤は、薬学的または農学的目的には使用されるべきではない。配合物を動物に注入するのに使用される溶剤は、刺激または壊死が所望される効果でなければ、注入場所における組織の著しい刺激または壊死を起こさせるべきではない。
【0051】
溶剤は少なくとも水溶性でなければならず、それによって、溶剤は、配合物を凝固または凝結させる体液またはその他の水を含んだ環境に素早く拡散することができる。適切な溶剤の例としては、エタノール、エチルラクテート、プロピレンカーボネート、グリコフロール(glycofurol)、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、プロピレングリコール、アセトン、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルエチルケトン、ベンジルアルコール、トリアセチン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、オレイン酸、および、1ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンがある。
【0052】
SAIBがHVLCMとして使用される場合、好ましい溶剤は、エタノール、ジメチルスルホキシド、エチルラクテート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、トリアセチン、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、および、グリコフロールである。SAIBは、グリセロール、コーン油、ピーナッツ油、1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール(PEG200)、超精製ごま油、および、超精製ピーナッツ油とは相溶性がない。したがって、後者のグループの溶剤は、SAIBとともに使用するのは好ましくない。
【0053】
溶剤は、典型的には、配合物の総重量に対して約5Wt%〜約55Wt%の範囲にある量で配合物に添加される。好ましくは、溶剤は、約10Wt%〜約50Wt%の範囲にある量で配合物に含まれる。もう1つの好ましい範囲は、約10Wt%〜30Wt%である。
【0054】
V.LVLCX配合物およびHVLCX配合物の使用
ここに記述される配合物は、達成されるべき結果に応じて異なってもよい様々な方法によって被移植体に投与することができる。被移植体が、人間のような動物である場合、配合物は、所望されるならば、適切なキャリヤを用いて、例えば、局所的に、体系的に(例えば、粘膜的に(経口による、直腸による、膣による、あるいは、鼻腔による)、あるいは、非経口的に(静脈による、皮下による、筋肉内による、あるいは、腹膜内による))投与されてもよい。配合物が農学的な目的に使用される場合、それは、注入、噴霧浸漬(sprays dip)、エアゾール、あるいは、塗布のための装置を用いて適用されてもよい。
【0055】
薬剤あるいは動物的には、好ましくは、本発明による配合物は、注入あるいはエアゾールによる溶液として、あるいは、ペーストまたはエマルションで投与される。LVLCMとして注入によって投与される場合、配合物に使用される小量の溶剤は、被移植体の水性流体に浸透し、物質の制御された送達に用いられる高粘度の貯蔵所(depot) 、あるいは、癒着を防止または最小限にすることのできる組織のためのコーティングを形成する。エアゾールまたはエマルションで使用される場合、溶液におけるわずかな量の溶剤は適用と同時に蒸発し、LVLCMが、HVLCMとして固化することを可能にする。エアゾールおよびエマルションの生成は、この分野に精通した者に良く知られた技術を用いて実現することができる。例えば、Ansel, H.C. らによるPharmaceutical Dosage Forms and Drug Del'Systems, sixth ed.,1995. を参照されたい。
【0056】
配合物は、保護組織コーティングを形成するのに使用することができ、特に、外科的な癒着の形成を防止するのに使用することができる。HVLCMは、周囲組織または骨に付着することができるので、組織の形成または欠損の充填のために、コラーゲンと同じように皮下に注入されることが可能である。さらに、深い傷痕が形成されるのを防止するために、HVLCMが、やけど傷を含む損傷に注入されてもよい。HVLCMの分解時間は、例えば、ポリマーをHVLCMへの添加剤として用いることによって調節することができる。したがって、HVLCMによって形成される移植組織片は、体内でゆっくりと生分解し、自然の組織が成長して移植組織片と置き換わるとともに移植組織片が消滅することを可能にする。
【0057】
別の実施例においては、生物学的に活性な物質は、最初は、マイクロスフェア内に封入されていてもよく、その後に、本発明のキャリヤ材料に組み込まれる。別の実施例において、生物学的に活性な物質は、シクロデキストリンのような錯化剤と錯体を形成することができる。さらにもう1つの実施例においては、生物学的に活性な物質は、プロドラッグの形態である。
【0058】
本発明を使用するためのその他の手段としては、キャリヤまたは制御された放出のための調合物が、経口投与に用いられるゼラチンカプセル内に配置され、キャリヤまたは制御された放出のための調合物が、マイクロスフェアまたはマイクロカプセル内に封入され、好ましくは、マイクロスフェアは、ポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)のような生分解性ポリマーであり、キャリヤまたは制御された放出のための調合物が、微晶質セルロースまたはセルロースアセテートのような不活性の薬学的な賦形剤と会合させられ、そして、それは、オプションとして、スフェアあるいはその他の形状に加工されて投薬形態の中に組み込むことができる、ような手段がある。
【0059】
〔局所的な口腔送達配合物〕
本発明によれば、界面活性剤、補助界面活性剤(cosurfactant)、油性成分、例えばしょ糖酢酸イソ酪酸エステルであるHVLCM、および、口腔への活性薬剤の送達を維持することのできる水からなる局所的な口腔送達配合物を調合することができる。
【0060】
本発明は、例えば、SAIBと、エマルションの形態での水性の第2のキャリヤ材料による活性薬剤とを含んだ長時間にわたって作用するうがい薬を調合するのに使用されてもよい。うがい薬が寝る前に一般的な方法で使用されるならば、例えば、翌朝には口臭が減少する。
【0061】
うがい薬の調合物における成分は、抗菌剤、界面活性剤、補助界面活性剤、油性成分、しょ糖酢酸イソ酪酸エステル、水、および、添加剤からなる6つのグループに分類することができる。これらのグループのそれぞれは、以下で詳細に説明される。この明細書があれば、この分野に精通する者は、適切な活性薬剤を選択することによって、口内炎、および、その他の口腔疾患に用いられる治療を含めた広い範囲にわたる用途に用いられるその他の局所的な口腔送達系を調合することができる。
【0062】
〔抗菌剤〕
今日、うがい薬の調合物において使用される抗菌活性薬剤には、限定はされないが、臭化ドミフェン、トリクロサン(triclosan) 、クロルヘキシジン、精油、塩化セチルピリジニウム、フッ化物、アレキシジン(alexidine) 、サリチルアニリド、亜鉛化合物、および、抗生物質がある。これらは、単独で使用されるかまたは組み合わせて使用されてもよく、塩化セチルピリジニウムと、亜鉛化合物とりわけ亜鉛グルコン酸(zinc gluconate)との組み合わせが好ましい。
【0063】
〔界面活性剤〕
一般に、本発明による調合物において使用するために選択される界面活性剤は、水溶性がありかつ非イオン性のものであり、限定はされないが、単独または組み合わせて使用されるポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセロールエステル、および、ソルビタン脂肪酸エステルなどがある。好ましい非イオン性の界面活性剤には、5〜40モルのエチレンオキシドを有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、および、5〜20モルのエチレンオキシドを有するポリオキシエチレングリセロールエステルがある。特に好ましいものには、ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20E.O.)アーモンド油、ポリオキシエチレン(20E.O.)水素化ヒマシ油、またはそれに類似するものなどがある。
【0064】
本発明による調合物に均質混合されるべき界面活性剤の量は、使用される界面活性剤の種類によって変化する。一般的には、好ましい範囲は、1〜60Wt%であり、特に好ましい範囲は、2〜10Wt%である。
【0065】
〔補助界面活性剤〕
一般的には、本発明による調合物において使用される補助界面活性剤は、アルコール、または、界面活性剤/補助界面活性剤系の低い親水/親油性の比率(HLB)を有する非イオン性の成分を意味する。本発明による調合物においては、可溶化剤または補助溶剤としての機能を有し、さらに、界面活性剤としての機能をも有する補助界面活性剤が好ましい。そのような補助界面活性剤として、一価アルコールまたは多価アルコール、または、低いHLBの非イオン性界面活性剤が、単独またはそれらの2つかそれ以上の組み合わせのいずれかで使用されてもよい。一価アルコールの例としては、ベンジルアルコール、エチルアルコール、オクチルアルコール、および、それらに類似するものがあり、多価アルコールの例としては、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、および、それらに類似するものがある。低いHLBの非イオン性界面活性剤の例としては、蒸留されたモノグリセリド、ポリグリセロールポリオレエート、および、分子量が300〜4,000のポリエチレングリコールがある。補助界面活性剤のより好ましい例は、ポリグリセロールポリオレエートである。特に好ましい補助界面活性剤は、デカグリセリルテトラオレエートである。
【0066】
本発明による調合物に均質混合されるべきこれらの補助界面活性剤の量は、使用される補助界面活性剤の種類によって変化する。一般的には、好ましい範囲は0.5〜30Wt%であり、特に好ましい範囲は1〜5Wt%である。
【0067】
〔油性成分〕
グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコールおよびそれらの誘導体、脂肪アルコールベンゾエート、および、炭化水素からなるグループから典型的には選択される1つまたはそれ以上の油性成分が、本発明による調合物における油性成分として使用されてもよい。受け入れることのできるモノグリセリド、ジグリセリド、または、トリグリセリド、あるいは、それらの混合物が、それらが天然資源から得られようがあるいは合成化合物であろうがあるいは半合成化合物であろうがそれらの出所または起源にかかわりなくグリセリン脂肪酸エステルとして使用されてもよい。好ましいグリセリン脂肪酸エステルは、アーモンド油、オリーブ油、ごま油、ピーナッツ油、ウイキョウ油、ツバキ油、コーン油、ひまし油、綿実油、および、大豆油の天然または精製されたもの、および、中間鎖脂肪酸トリグリセリド、および、これらの単独または組み合わせたものがある。特に好ましいのは、中間鎖脂肪酸トリグリセリドである。
【0068】
好ましい脂肪酸エステルは、イソプロピルミリステート、オクチルパルミテート、エチルオリエート、および、エチルパルミテートである。特に好ましいのは、イソプロピルミリステート、および、オクチルパルミテートである。特に好ましい脂肪アルコール誘導体および脂肪アルコールベンゾエートは、2−オクチルドデカノール、および、C12−15アルコールベンゾエートである。軽いまたは重たい液体パラフィン油が、好ましい炭化水素の例である。
【0069】
これらの油性成分は、単独かまたは他の油性成分と組み合わせて使用してもよい。これらの油性成分は、0.5〜50Wt%の量で本発明による調合物に均質混合されることができ、好ましくは、1〜10Wt%である。
【0070】
〔しょ糖酢酸イソ酪酸エステル〕
上で詳細に説明されたしょ糖酢酸イソ酪酸エステルが、HVLCMとして使用される。SAIBは、典型的には、0.01〜10Wt%の量で調合物に均質混合され、好ましくは、0.1〜2Wt%である。
【0071】
〔水〕
うがい薬の調合物に含まれるもう1つの本質的な成分は水である。本発明による調合物はpH3〜pH10であり、好ましくは、pH5〜pH9であり、より好ましくは、pH6〜pH8である。pH値を上述の範囲に維持するために、緩衝剤が使用されてもよい。好ましい緩衝剤の例としては、酢酸、くえん酸、燐酸、安息香酸、および/または、それらの塩がある。pH値は、要求される調整に応じて製造時に適切な酸または塩基、好ましくは、塩酸または水酸化ナトリウムを添加することによって好ましい範囲に調整されてもよい。さらに、本発明の調合物において使用される水は、脱イオン化されかつ濾過されることが望ましい。
【0072】
〔添加剤〕
防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、等張剤(isotonic agent)、調味料、保湿剤、金属イオン封鎖剤、ビタミンおよびビタミン先駆物質、および、それらに類似するもののようなその他の成分が必要に応じて添加されてもよい。防腐剤の好ましい例としては、パラベン誘導体(paraben derivative)があり、もっとも好ましい防腐剤としては、メチルパラベンおよびプロピルパラベンがある。酸化防止剤の好ましい例としては、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、プロピルガレート、ビタミンEアセテート、および、精製ヒドロキノンがあり、もっとも好ましい酸化防止剤は、ビタミンEアセテート、および、ブチルヒドロキシトルエンである。保湿剤の好ましい例としては、ソルビトールがある。調味料の好ましい例としては、ペッパー油、スペアミント油、ウィンターグリーン油、メントール、および、サッカリンがある。金属イオン封鎖剤の好ましい例としては、くえん酸がある。
【0073】
局所的な口腔送達系は、従来の方法によって、例えば、油の相と水の相とを別々にブレンドし、それから、上昇する温度下で2つの相を混ぜ合わせることによって調製されてもよい。パッケージングに先立って、この油の相と水の相との混合物は、十分に混合され、そして、室温までさまされる。
【0074】
VI.実施例
この開示により、当業者は、広い範囲にわたる様々なHVLCH配合物を調製および使用することができる。これらの実施例のすべては、本発明の範囲に含まれるであろう。よりわかりやすくするために、以下の実施例によって、SAIB配合物の調製および使用について詳細に説明する。その他のHVLCM、添加剤、基体、および、溶剤が、同様なあるいは類似する方法で使用されてもよい。
【0075】
所望の調合物を調製するために、実施例において、以下の一般的な手順を用いた。SAIB/溶剤系において生物学的に活性な物質を溶かすために、調合は、20mLのシンチレーションバイアルにおいてなされ、そして、振り、攪拌、および/または、加熱した。生物学的に活性な物質が溶けなかった実施例においては、液体粒子状態での生物学的に活性な物質の最良の分布を得るために、調合物は、冷却し、そして、攪拌した。
【0076】
生物学的に活性な化合物の生体外での放出は、以下の一般的な手順を用いて確認した。pH7.4かまたはpH6.8のリン酸緩衝溶液(“PBS”)(10mL)を、16×125mmの試験管に添加した。このpH7.4あるいはpH6.8のpH値は、生物学的に活性な物質の用途および溶解度に基づいて選択した。微生物の成長を防止するために、PBSは、0.2%のアジ化ナトリウムを含むものであった。0.03〜0.09グラムのSAIB/溶剤/生物学的に活性な物質の調合物を、使い捨てプラスチックピペットから試験管へ押し出し、そして、その重量を記録した。試験管は蓋をし、37°Cに設定され絶え間なく揺らされるシェーカーバス(shaker bath) に置いた。
【0077】
試験管は、定期的にいくつかの時点でシェーカーバスから取り出した。その時に、PBSを、調合物を含んだ試験管から取り出し、洗浄し乾燥した試験管に入れた。PBS溶液中での生物学的に活性な材料の量を判定するために、これらの試料がUV分析された。新たなPBSを、調合物を含んだ試験管に入れ、そして、その試験管はシェーカーバスに戻した。この手順を、試料が得られるいくつかの時点で反復した。
【0078】
放出溶液における生物学的に活性な材料の濃度を、調合物における生物学的に活性な材料の元の量に基づいて放出プロフィルを作成するのに用いた。この量は、紫外可視分光測光法を用いて判定した。
【0079】
これらの実施例では、エタノール(EtOH)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチルラクテート(EtLac)、エチルアセテート(EtOAc)、ベンジルアルコール(FCH2OH)、トリアセチン、N−メチルピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、および、グリコフロール(GF)を含め様々な溶剤を使用した。
【0080】
溶剤のより大きな割合(%)は、一般的に、調合物における生物学的に活性な物質のより大きな濃度をもたらした。また、溶剤の量と種類も溶液の粘度に直接に関係した。表1は、SAIB/溶剤の混合物に関する溶剤および濃度の影響を表にしたものである。この粘度データは、200型のキャノン・フェンスケ粘度計を用いて30°Cで得られた。
【0081】
【表1】
【0082】
生物学的に活性な物質の効果
薬剤放出を実証するために、メチレンブルーおよび牛血清アルブミン(BSA)を使用した。系から放出される生物学的に活性な成分には、クロルヘキシジン、ジクロフェナク、ドキシサイクリン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、および、テオフィリンが含まれた。クロトリマゾールの低い水溶解性のために、放出は持続しなかった。
【0083】
実施例1
エタノール(1g)を、しょ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)(9g)と混合した。静かに混ぜ合わせた後に、透明な低い粘度の溶液が得られた。この溶液の液滴を、ガラスピペットから水の中に放出して球状マトリックスを形成し、このマトリックスは、その形状を1週間以上も維持した。
【0084】
実施例2
エタノール(2g)をSAIB(8g)と混合させた。得られた溶液は、水と混合したときに薄膜を形成した。この膜は、その形状を1週間以上も維持した。
【0085】
実施例3
実施例1の手順に従って、エタノールおよびSAIBの量を変化させて溶液を調製した。この溶液に、0.07%のメチレンブルーを添加した。実施例1で説明したように、球状の液滴が、リン酸緩衝溶液(PBS)中で形成された。PBS試料は、37°Cに維持した。PBSは、定期的に取り出され、紫外可視分光測光法によってメチレンブルーの含有量を分析した。図1に、メチレンブルーの放出量の結果を示す。
【0086】
実施例4
メチレンブルーの代わりに牛血清アルブミン(BSA)を用いて、実施例3の手順に従って一連の調合物が調製した。これらの調合物では、BSA、溶剤、および、SAIBの様々な割合が用いられた。溶剤の種類、そして、BSA、溶剤、SAIB、および、すべての添加剤の比率は、以下の表2〜4に記載する。CAP:SAIBの比率を増加させることによって、BSAの放出が遅延した。
【0087】
この系においてはBSAは不溶性であった。混合溶剤を用いてそれを可溶化しようとしたが、BSAは、SAIBとは相溶性ではないグリセロールおよび水においてだけ可溶性であった。放出特性において、BSAに含まれる調合物のすべてが不均質であった。表2は、BSAを含んだ調合物の一覧表である。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
図5は、付加的な溶剤をまったく使用せずに形成されたSAIB/BSAのペーストに関する放出特性を示す。
【0091】
放出特性を得ることを試みたが、表4に示される不均質な調合物からは得られなかった。
【0092】
【表4】
【0093】
実施例5
生物学的な活性剤としてクロルヘキシジンを含んだ一連の調合物を用いて実施例5の手順を反復した。様々な量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調製した。
【0094】
生物学的に活性な物質としてクロルヘキシジンが添加された調合物を、以下の表5に記載する。
【0095】
【表5】
【0096】
種々の溶剤におけるクロルヘキシジンの放出特性を、図6〜8に示す。
【0097】
SAIB/EtOH/CABにおいてクロルヘキシジンが溶けることのできる量の最適化がなされた。その結果を表6に示す。
【0098】
【表6】
【0099】
実施例6
生物学的な活性剤としてジクロフェナクナトリウムを含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。種々の量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。CAB:SAIBの比率を増加させることによって、ジクロフェナクの放出が抑制された。
【0100】
生物学的に活性な物質としてジクロフェナクが添加された調合物を、以下の表7に記載する。
【0101】
【表7】
【0102】
種々の溶剤におけるジクロフェナクの放出特性を図9〜12に示す。
【0103】
実施例7
生物学的な活性剤としてドキシサイクリンを含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。種々の量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。
【0104】
生物学的に活性な物質としてドキシサイクリンが添加された調合物を、以下の表8に記載する。
【0105】
【表8】
【0106】
ドキシサイクリンの可溶性を増進させるために、わずかな量のDMSOを、SAIB/EtOH/CABの組み合わせとともに用いた。これらの調合物を、以下の表9に示す。
【0107】
【表9】
【0108】
実施例8
生物学的な活性剤としてフルルビプロフェンを含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。種々の量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。
【0109】
生物学的に活性な物質としてフルルビプロフェンが添加された調合物を、以下の表10に記載する。
【0110】
【表10】
【0111】
フルルビプロフェンの放出特性を図13に示す。
【0112】
実施例9
生物学的な活性剤としてナプロキセン(遊離酸)を含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。種々の量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。
【0113】
生物学的に活性な物質としてナプロキセン(遊離酸)が添加された調合物を、以下の表11に記載する。
【0114】
【表11】
【0115】
実施例10
生物学的な活性剤としてナプロキセン(ナトリウム塩)を含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。様々な量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。
【0116】
ナプロキセン(ナトリウム塩)は、ETOHおよびEtOAcにおいては溶解することができない。生物学的に活性な物質としてナプロキセン(ナトリウム塩)が添加された調合物を、以下の表12に記載する。
【0117】
【表12】
【0118】
様々な溶剤におけるナプロキセン(遊離酸およびナトリウム塩)の放出特性を図14に示す。
【0119】
実施例11
生物学的な活性剤としてナプロキセン(ナトリウム塩)およびナプロキセン(遊離酸)を含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順を反復した。種々の量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物を調合した。
【0120】
生物学的に活性な物質としてナプロキセン(ナトリウム塩)およびナプロキセン(遊離酸)を添加した調合物を、以下の表13に記載する。
【0121】
【表13】
【0122】
実施例12
生物学的な活性剤としてテオフィリンを含んだ一連の調合物を用いて実施例3の手順が反復された。様々な量の溶剤、SAIB、および、添加剤を含んだ調合物が調合された。
【0123】
生物学的に活性な物質としてテオフィリンが添加された調合物を、以下の表14に記載する。
【0124】
【表14】
【0125】
プロピレンカーボネートにおけるテオフィリンの放出特性を図16に示す。
【0126】
放出特性は、テオフィリンを含む以下の調合物において試みられたものであるが、試料はかなり濁ったものであった。
【0127】
これらの調合物における材料の量を、以下の表15に記載する。
【0128】
【表15】
【0129】
実施例13
調合物は、80%のSAIBと15%のエタノールとによって調製し、得られた溶液をエアゾール容器に充填した。この溶液を、寒天平板に噴霧し、そこで、癒着性のある連続した膜を形成した。
【0130】
実施例14
一連の調合物を、80%のSAIBと0.02%のメチレンブルーとによって調製し、エタノールとCABとの比を1:0〜1:1の範囲で変化させた。この調合物をゼラチンに噴霧した。CABの含有率を増加させることによって、ゼラチンへのメチレンブルーの希釈が抑制された。
【0131】
実施例15
SAIBを60°Cまで加熱した。1%、2%、5%、および、10%のテトラサイクリンによって別々に調合物を作製した。この調合物を、21ゲージの針を備えた注射器に充填した。調合物は、手操作によって注射器で37°Cのバターに押し出した。約43°Cの温度では調合物を容易に押し出すことができた。
【0132】
実施例16 うがい薬の調製および特性
ポリオキシエチレン(7.680g、20E.C.)アーモンド油(Crovol A-70)と、4.042gのデカグリセロールテトラオレエート(Caprol IOG40)と、11.721gの中間鎖トリグリセリド(Neobee M-5)とを適切な混合容器(ジャケット付きで単動式の表面掃引型のケトル)で混合させた。この混合物を、約65°Cまで加熱した。メチルパラベン(0.500g)と、0.250gのプロピルパラベンと、0.125gのセチルピリジニウムクロリドと、0.125gの安息香酸と、0.625gのしょ糖酢酸イソ酪酸エステルと、を混合して加熱した有機相となった。この有機相の混合物を、付属成分を通じて約65°Cに維持した。亜鉛グルコネート(zinc gluconate)(0.250g)と、0.125gの安息香酸ナトリウムと、0.0625gのくえん酸と、12.5gのソルビトールとを、221.10gの脱イオン水に溶解した。この水の相の混合物を、約650°Cまで加熱した。有機相の混合物および水相の混合物のいずれもがその温度に達した後、水相を、ゆっくりと油相に攪拌しながら添加した。水相を油相に完全に添加してしまったときに、2滴の緑の食品着色剤と1.000gのペッパーミント油とを添加し、よくかき混ぜられて調合物にした。そして、この混合物を、室温まで急速に冷却してパッケージングした。この規模における処理中の水の減少量は、約10.1gであった。
【0133】
最終的な生成物は、以下の組成を有するものであった。
【0134】
【表16】
【0135】
実施例17
血管移植片(vascular graft)が、61.8%のSAIB、10.0%のCAB、および、28.2%のETOHからなる溶液に液浸し、この溶液に、1%のヘパリンを添加した。この移植片から溶液を抜いて生理的食塩水によって洗浄した。血管移植片は犬に移植した。移植した後、制御血管移植片と比較しても移植片の内部表面には血液凝固はなかった。
【0136】
実施例18
5%のCAB、45%のエタノール、および、50%のSAIBからなる調合物を調製した。これらに、0.05〜0.0005%の量のトランスホーミング増殖因子β、または、1〜5.1%の範囲にあるフェノールを添加した。この配合物を犬の鼠径管に注入し、そこで、配合物は、鼠径管閉塞に到る細胞反応を引き出した。
【0137】
実施例19
10%のCAB、45%のエタノール、および、45%のSAIBからなる配合物を、外科的に剥離していたうさぎの子宮角に噴霧した。再検査時に、この領域のすべてが外科的な癒着を示したわけではなかったが、それらの個々に関しては生物学的に十分に耐性があるものであった。
【0138】
実施例20
図17は、2つの調合物の放出量を示すグラフである。一方の調合物(縦縞)は、3.2%のSAIB、15.1%のETOH、0.00395%のメチレンブルーを含み、残りはdiH2Oである。もう一方の調合物(斜め縞)は、0%のSAIB、28.9%のETOH、0.00395%のメチレンブルー、および、diH2Oであった。
【0139】
自然のコラーゲンからなる1インチの細片を、切除し、PBS(pH6.8)で洗浄し、9分間だけ調合物に液浸し、洗浄された試験管に入れ、PBSを満たした。いくつかの時点において、PBSを、デカントし、UV分析し、新たなPBSがコラーゲンを含んだ試験管に加えた。図17を参照されたい。
【0140】
本発明の、すなわち、ここで使用した配合物および方法の変形および変更は、上述の詳細な説明によって、当業者には容易なことである。そのような変形および変更は、添付の請求の範囲に含まれることになる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】図1は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB(しょ糖酢酸イソ酪酸エステル)からのメチレンブルー放出量のグラフである(黒丸は80%のSAIB、下向きの黒三角形は85%のSAIB、白四角形は90%のSAIB、上向きの三角形は95%のSAIB)。
【図2】図2は、時間経過(時間)による放出量(mg/mg)を示したSAIBからのテオフィリン放出量のグラフである(黒丸は0.5%のテオフィリン、下向きの三角形は1.0%のテオフィリン、黒四角形は2.5%のテオフィリン、上向きの三角形は5.0%のテオフィリン、黒菱形は10%のテオフィリン)。
【図3】図3は、時間による時間経過での放出量をパーセントで示した90%のSAIBからのメチレンブルー放出によるスクロースの効果を示す(黒丸は0%のスクロース(90%のSAIB、10%のETOH)、下向きの三角形は2.5%のスクロース(90%のSAIB、7.5%のETOH)、黒四角形は5.0%のスクロース(90%のSAIB、5%のETOH))。
【図4】図4は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIBからのメチレンブルー放出によるCAB(酢酸酪酸セルロース)の効果を示す(黒丸は5%のCAB(40%のSAIB、55%のETOH)、下向きの黒三角形は10%のCAB(40%のSAIB、50%のETOH)、黒四角形は15%のCAB(40%のSAIB、45%のETOH))。
【図5】図5は、時間経過(時間)による放出量(mg)をパーセントで示したBSA(9%)/SAIBのペーストからのBSAの放出量のグラフである。
【図6】図6は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/エチルラクテート(EtLac)からのクロルヘキシジンの放出量のグラフである(白丸は50/50のSAIB/EtLac、下向きの白三角形は70/30のSAIB/EtLac、白四角形は90/10のSAIB/EtLac)。
【図7】図7は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/NMPからのクロルヘキシジンの放出量のグラフである(白丸は50/50のSAIB/NMP、下向きの白三角形は70/30のSAIB/NMP、白四角形は90/10のSAIB/NMP)。
【図8】図8は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/プロピレンカーボネートからのクロルヘキシジンの放出量のグラフである(白丸は64%のSAIB、下向きの白三角形は75%のSAIB、白四角形は85%のSAIB)。
【図9】図9は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/トリアセチンからの2.5%のジクロフェナクの放出量のグラフである(白丸は50/50のSAIB/トリアセチン、下向きの白三角形は70/30のSAIB/トリアセチン、白四角形は90/10のSAIB/トリアセチン)。
【図10】図10は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示した、スクロースがある場合とない場合のSAIB/エタノール(EtOH)からの2.5%のジクロフェナクの放出量のグラフである(白四角形は79%のSAIB、下向きの黒三角形は82%のSAIB、黒四角形は90%のSAIB、下向きの白三角形は88%のSAIB、黒丸は88%のSAIBと2.5%のスクロース、白丸は80%のSAIBと5%のスクロース)。
【図11】図11は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示した、添加剤、CAB、および、セルロースアセトプロピオネート(“CAP”)がある場合とない場合のSAIB/EtOHからの2.5%のジクロフェナクの放出量のグラフである(白四角形は添加剤無し、下向き白三角形はCAP有り、白丸はCAB有り)。
【図12】図12は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/ジメチルスルホキシド(DMSO)からの2.5%のジクロフェナクの放出量のグラフである(白丸は70/30のSAIB/DMSO、下向きの白三角形は90/10のSAIB/DMSO)。
【図13】図13は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/45%EtOH/5%CABからのフルルビプロフェンの放出量のグラフである(白四角形は4.99%のフロラビプロフェン、黒菱形は9.92%のフロラビプロフェン)。
【図14】図14は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/グリコフロール(glycofurol)からのナプロキセン(遊離酸またはナトリウム塩)の放出量のグラフである(白丸は73%のSAIBと5.2%のナプロキセン(遊離酸)、下向きの白三角形は60%のSAIBと3.6%のナプロキセン(遊離酸)、白四角形は52%のSAIBと4.1%のナプロキセン(遊離酸)、黒丸は74%のSAIBと5.2%のナプロキセン(ナトリウム塩)、下向きの黒三角形は60%のSAIBと3.4%のナプロキセン(ナトリウム塩)、黒四角形は52%のSAIBと3.9%のナプロキセン(ナトリウム塩))。
【図15】図15は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB(40%)/EtOH/CABまたはCAPからの2.5%のテオフィリンの放出量のグラフである(黒丸は5%のCAB、黒丸は10%のCAB、下向きの白三角形は15%のCAB、下向きの黒三角形は5%のCAP、白四角形は10%のCAP、黒四角形は15%のCAP)。
【図16】図16は、時間経過(時間)による放出量をパーセントで示したSAIB/プロピレンカーボネートからのテオフィリンの放出量のグラフである(下向きの白三角形は64%のSAIB、黒丸は74%のSAIB、白丸は84%のSAIB)。
【図17】図17は2つの調合物の放出量のグラフである。一方の調合(黒い影の部分)は、3.2%のSAIB、15.1%のETOH、0.00395%のメチレンブルーを含み、残りの部分はdiH2Oである。もう一方の調合(斜線部分)は、0%のSAIB、28.9%のETOH、0.00395%のメチレンブルーを含み、残りの部分はdiH2Oであった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体活性物質の制御された放出のための配合物であって、
(a)周囲条件または生理学的条件下において純粋には結晶化しない、37°Cにて少なくとも5,000cPの粘度を有する、非重合性の、水に不溶な液体キャリヤ材料と、
(b)生体活性物質とを含む配合物。
【請求項2】
水に不溶な液体キャリヤ材料が、しょ糖二酢酸ヘキサイソ酪酸エステルである請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
水に不溶な液体キャリヤ材料が、配合物の全重量に対して99.5重量%〜0.20重量%の量で存在する請求項2に記載の配合物。
【請求項4】
水に不溶な液体キャリヤ材料が、配合物の全重量に対して99.5重量%〜10重量%の量で存在する請求項3に記載の配合物。
【請求項5】
さらに、水に不溶な液体キャリヤ材料が溶解する溶媒を含む請求項2に記載の配合物。
【請求項6】
溶媒が、エタノール、ジメチルスルホキシド、エチルラクテート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、トリアセチン、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、グリコフロールからなる群から選ばれた溶媒である請求項5に記載の配合物。
【請求項7】
溶媒が、配合物の重量に対して10重量%〜50重量%の量で存在する請求項5に記載の配合物。
【請求項8】
配合物がさらに添加剤を含む請求項2に記載の配合物。
【請求項9】
添加剤が、生分解性ポリマー、非生分解性ポリマー、天然油、合成油、炭水化物、炭水化物誘導体、無機塩、不活性有機化合物からなる群から選ばれた請求項8に記載の配合物。
【請求項10】
添加剤が、配合物の全重量に対して1重量%〜20重量%の量で存在する請求項8に記載の配合物。
【請求項11】
生体活性物質が、薬剤、ペプチド、タンパク質、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、ポリサッカリド及びそれらの誘導体、ヘパリン、合成ポリペプチドまたは合成タンパク質、あるいは、タンパク質に結合された小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸またはそれらのフラグメント、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、遺伝子、脂質、ホルモン、ビタミンからなる群から選ばれた請求項2に記載の配合物。
【請求項12】
生体活性物質の制御された放出のためのエマルジョンであって、
(a)周囲条件または生理学的条件下において純粋には結晶化しない、37°Cにて少なくとも5,000cPの粘度を有する、非重合性の、水に不溶な液体キャリヤ材料と、
(b)水を基とするキャリア中の生体活性物質とを含むエマルジョン。
【請求項13】
請求項1に記載の制御された放出配合物を投与する方法であって、
該配合物をホストにエマルジョンまたは溶液中で投与する工程を含む方法。
【請求項14】
請求項1に記載の制御された放出配合物を投与する方法であって、
該配合物をホストに注射により投与する工程を含む方法。
【請求項15】
請求項1に記載の制御された放出配合物を投与する方法であって、
該配合物をホストにエアロゾルにより投与する工程を含む方法。
【請求項16】
動物の治療に用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項17】
農業製品に用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項18】
人の治療に用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項19】
外科的癒着の阻止のために用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項20】
外科的癒着の阻止のために用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項21】
骨組みのために、間隙を充填するために、または組織の再生において用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項22】
腫れへの血液供給を阻止するために用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項23】
組織接着剤として用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項24】
傷の治癒に用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項25】
動物の治療に用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項26】
農業製品に用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項27】
人の治療に用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項28】
外科的癒着の阻止のために用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項29】
外科的癒着の阻止のために用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項30】
骨組みのために、間隙を充填するために、または組織の再生において用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項31】
腫れへの血液供給を阻止するために用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項32】
組織接着剤として用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項33】
傷の治癒に用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項34】
口内洗浄剤として用いるエマルジョン状の請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項35】
生体活性物質が、ヘパリンである請求項1に記載の配合物。
【請求項36】
キャリアが、二糖酢酸酪酸エステルである請求項1に記載の配合物。
【請求項37】
キャリアが、ジサッカリドエステルである請求項1に記載の配合物。
【請求項38】
生物学的に活性な物質は、最初にマイクロスフェア内に封入され、その後、キャリア物質に加入される請求項1に記載の配合物。
【請求項39】
生物学的に活性な物質は、シクロデキストリンのような錯化剤と錯体を形成することができる請求項1に記載の配合物。
【請求項40】
生物学的に活性な物質は、プロドラッグの形態である請求項1に記載の配合物。
【請求項41】
制御された放出配合物は、経口投与に用いられるゼラチンカプセル内に配置される請求項1に記載の配合物。
【請求項42】
制御された放出配合物は、マイクロスフェアまたはマイクロカプセル内に封入される請求項1に記載の配合物。
【請求項43】
マイクロスフェアは、生分解性ポリマーである請求項1に記載の配合物。
【請求項44】
ポリマーが、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)である請求項1に記載の配合物。
【請求項45】
制御された放出配合物が、微晶質セルロースまたはセルロースアセテートのような不活性の薬学的な賦形剤と会合させられ、そして、随意に、スフェアあるいはその他の形状に加工されて投薬形態の中に組み込むことができる請求項1に記載の配合物。
【請求項1】
生体活性物質の制御された放出のための配合物であって、
(a)周囲条件または生理学的条件下において純粋には結晶化しない、37°Cにて少なくとも5,000cPの粘度を有する、非重合性の、水に不溶な液体キャリヤ材料と、
(b)生体活性物質とを含む配合物。
【請求項2】
水に不溶な液体キャリヤ材料が、しょ糖二酢酸ヘキサイソ酪酸エステルである請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
水に不溶な液体キャリヤ材料が、配合物の全重量に対して99.5重量%〜0.20重量%の量で存在する請求項2に記載の配合物。
【請求項4】
水に不溶な液体キャリヤ材料が、配合物の全重量に対して99.5重量%〜10重量%の量で存在する請求項3に記載の配合物。
【請求項5】
さらに、水に不溶な液体キャリヤ材料が溶解する溶媒を含む請求項2に記載の配合物。
【請求項6】
溶媒が、エタノール、ジメチルスルホキシド、エチルラクテート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、トリアセチン、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、グリコフロールからなる群から選ばれた溶媒である請求項5に記載の配合物。
【請求項7】
溶媒が、配合物の重量に対して10重量%〜50重量%の量で存在する請求項5に記載の配合物。
【請求項8】
配合物がさらに添加剤を含む請求項2に記載の配合物。
【請求項9】
添加剤が、生分解性ポリマー、非生分解性ポリマー、天然油、合成油、炭水化物、炭水化物誘導体、無機塩、不活性有機化合物からなる群から選ばれた請求項8に記載の配合物。
【請求項10】
添加剤が、配合物の全重量に対して1重量%〜20重量%の量で存在する請求項8に記載の配合物。
【請求項11】
生体活性物質が、薬剤、ペプチド、タンパク質、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、ポリサッカリド及びそれらの誘導体、ヘパリン、合成ポリペプチドまたは合成タンパク質、あるいは、タンパク質に結合された小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸またはそれらのフラグメント、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、遺伝子、脂質、ホルモン、ビタミンからなる群から選ばれた請求項2に記載の配合物。
【請求項12】
生体活性物質の制御された放出のためのエマルジョンであって、
(a)周囲条件または生理学的条件下において純粋には結晶化しない、37°Cにて少なくとも5,000cPの粘度を有する、非重合性の、水に不溶な液体キャリヤ材料と、
(b)水を基とするキャリア中の生体活性物質とを含むエマルジョン。
【請求項13】
請求項1に記載の制御された放出配合物を投与する方法であって、
該配合物をホストにエマルジョンまたは溶液中で投与する工程を含む方法。
【請求項14】
請求項1に記載の制御された放出配合物を投与する方法であって、
該配合物をホストに注射により投与する工程を含む方法。
【請求項15】
請求項1に記載の制御された放出配合物を投与する方法であって、
該配合物をホストにエアロゾルにより投与する工程を含む方法。
【請求項16】
動物の治療に用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項17】
農業製品に用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項18】
人の治療に用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項19】
外科的癒着の阻止のために用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項20】
外科的癒着の阻止のために用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項21】
骨組みのために、間隙を充填するために、または組織の再生において用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項22】
腫れへの血液供給を阻止するために用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項23】
組織接着剤として用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項24】
傷の治癒に用いるための請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項25】
動物の治療に用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項26】
農業製品に用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項27】
人の治療に用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項28】
外科的癒着の阻止のために用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項29】
外科的癒着の阻止のために用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項30】
骨組みのために、間隙を充填するために、または組織の再生において用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項31】
腫れへの血液供給を阻止するために用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項32】
組織接着剤として用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項33】
傷の治癒に用いるための請求項1に記載のキャリア物質。
【請求項34】
口内洗浄剤として用いるエマルジョン状の請求項1に記載の制御された放出配合物。
【請求項35】
生体活性物質が、ヘパリンである請求項1に記載の配合物。
【請求項36】
キャリアが、二糖酢酸酪酸エステルである請求項1に記載の配合物。
【請求項37】
キャリアが、ジサッカリドエステルである請求項1に記載の配合物。
【請求項38】
生物学的に活性な物質は、最初にマイクロスフェア内に封入され、その後、キャリア物質に加入される請求項1に記載の配合物。
【請求項39】
生物学的に活性な物質は、シクロデキストリンのような錯化剤と錯体を形成することができる請求項1に記載の配合物。
【請求項40】
生物学的に活性な物質は、プロドラッグの形態である請求項1に記載の配合物。
【請求項41】
制御された放出配合物は、経口投与に用いられるゼラチンカプセル内に配置される請求項1に記載の配合物。
【請求項42】
制御された放出配合物は、マイクロスフェアまたはマイクロカプセル内に封入される請求項1に記載の配合物。
【請求項43】
マイクロスフェアは、生分解性ポリマーである請求項1に記載の配合物。
【請求項44】
ポリマーが、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)である請求項1に記載の配合物。
【請求項45】
制御された放出配合物が、微晶質セルロースまたはセルロースアセテートのような不活性の薬学的な賦形剤と会合させられ、そして、随意に、スフェアあるいはその他の形状に加工されて投薬形態の中に組み込むことができる請求項1に記載の配合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−126459(P2007−126459A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304264(P2006−304264)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【分割の表示】特願平9−502181の分割
【原出願日】平成8年6月7日(1996.6.7)
【出願人】(500119639)サザン バイオシステムズ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【分割の表示】特願平9−502181の分割
【原出願日】平成8年6月7日(1996.6.7)
【出願人】(500119639)サザン バイオシステムズ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
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