説明

高解像度パターンの形成方法

【課題】 機能性インクMの消費を抑えつつ、高アスペクト比を有する高解像度パターンを効率よく形成する方法を提供する。
【解決手段】 ドライフィルムレジスト30を基板10上に部分又は全面的に付着させた後、レーザ等の集束可能なエネルギービームを直接照射するか、マスク又は回折光学素子を介して特定波長帯の光を投射して露光した後、現像によりパターン状凹部40を有するパターン鋳型30’を形成し、機能性インクMをパターン状凹部40に充填し、乾燥後、パターン鋳型30’を除去することにより高解像度パターンを形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高解像度パターンの形成方法に関し、特に基板上に付着させたドライフィルムレジストからなるパターン鋳型に機能性インクを充填することにより高アスペクト比を有する高解像度パターンを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子素子用のパターンを形成するため、一般に光反応による溶解度の差異を利用したフォトリソグラフィが用いられる。具体的には、一定の光に反応するフィルム又は液体からなるフォトレジストに、パターン模様を有するマスクを介して光を選択的に通過させることにより、感光部又は非感光部に選択的に光化学反応を起こさせ、現像、積層、剥離等の工程を経て最終的に所望のパターンを作り出す。
【0003】
しかしながら、フォトリソグラフィには材料の浪費や工程の複雑さ等の問題があった。さらに大面積のマスクを用いるため、新しい設計に短時間で適応するのが難しい。またパターンを形成する機能性材料を積層するのにスパッタリングやCVD等を用いるが、フォトリソグラフィでは短時間でマイクロメートル以上の厚さの機能性材料を積層するのが困難であった。
【0004】
かかる欠点を克服するため、マスクを用いずに直接基板上にパターニングを行うことが可能なインクジェットパターン形成法が提案されている。インクジェットパターン形成法は、図1(a) に示すように、インクジェットプリントヘッドHによりパターンを形成する機能性インクMで基板10上に描画し、乾燥により機能性インクMから液体成分を除去する。
【0005】
しかしながら、従来のインクジェットを用いたパターン形成法には以下のような問題がある。パターニングすべき機能性材料(比重約10)がインク全体の50体積%を占め、残りが乾燥により除去される液体成分(平均比重約1)と仮定すると、インク全体に対する機能性材料の体積分率は約9%である。さらにインクジェットによりパターニングされた線幅は固定されており、厚さの減少率は均一であると仮定すると、乾燥後のパターン厚は乾燥前より9%程度と極めて薄くなる。図1(a)はこのような現象を概略的に示す。また高解像度パターンを形成するには、すなわちパターン幅を小さくするには、インク滴を小さくするのが一般的であるが、小さいインク滴を使用すると、図1(b) に示すように、単位面積当たりの塗布量が少なくなり、パターンはさらに薄くなる。このように、パターン幅を小さくしつつ所望のパターン厚を得るという2つの目的を同時に達成するのは困難であった。またインク滴を小さくすると、インク滴の弾着誤差がパターンのスケールと比較して相対的に増大し、致命的なパターン誤差になるおそれもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、幅に対して十分な厚さを有する高解像度パターンを形成する方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、パターン鋳型を用いて高解像度パターンを形成する際、機能性インクの乾燥によるパターンの厚さの減少を勘案して、パターン鋳型を形成するドライフィルムレジストを十分な厚さに選定することにより、輪郭のシャープな高解像度パターンとする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、基板上にドライフィルムレジストを付着させる工程と、前記ドライフィルムレジストを所望の形状に露光するために、集束可能なエネルギービームを選択的に直接照射して露光するか、又は伝統的なマスク又は回折光学素子を介して特定波長帯の光を投射して露光する工程と、現像により露光領域を除去して、パターン状凹部を有するパターン鋳型を形成する工程と、前記パターン状凹部に機能性インクを充填する工程により、所望のパターン厚及び高アスペクト比を有する高解像度パターンが形成されることを発見し、本発明に想到した。
【0009】
すなわち、本発明の高解像度パターンの形成方法は、基板上にドライフィルムレジストを付着させる工程(S1)と、前記ドライフィルムレジストに露光及び現像を行って所望のパターン状凹部を有するパターン鋳型を形成する工程(S2)と、前記パターン状凹部に機能性材料を含有するインクを充填する工程(S3)と、前記インクを乾燥させる工程(S4)とを含み、前記ドライフィルムレジストの厚さ(μm)を100×β/α以上[ただしαは前記インク中の前記機能性材料の体積分率(体積%)であり、βは前記高解像度パターンの厚さ(μm)である。]とすることを特徴とする。
【0010】
前記工程(S3)後、前記パターン鋳型及びその上の不要な機能性材料を除去するのが好ましい。
【0011】
前記パターンを保護する保護層、前記エネルギービームを遮蔽する遮光層、前記ドライフィルムレジストの前記基板への付着力を向上させる付着層、及び前記基板を保管する際に前記付着層を保護する除去可能フィルムのうち少なくとも一つを設けるのが好ましい。
【0012】
前記遮光層及び前記保護層を積層するか、一つの層に遮光及び保護の両役割も持たせるのが好ましい。
【0013】
前記ドライフィルムレジストを、前記エネルギービームにより容易に露光される感光性物質の1層又は複数層で構成するとともに、前記基板を保管する際に前記ドライフィルムレジストを保護するための最上部の除去可能フィルム、汚染を防止するための保護層、集束可能なエネルギーにより露光される感光層、前記エネルギービームが前記ドライフィルムレジストより下に伝達されるのを防ぐための遮光層、前記基板と前記ドライフィルムレジストの付着力を高めるために前記ドライフィルムレジストの下面に設ける付着層、及び前記付着層への異物付着を防止するための最下部の除去可能フィルムのうち少なくとも1つを設けるのが好ましい。
【0014】
最上部の除去可能フィルムの下面に、機能性インクとの濡れ性を調節するために、界面活性剤、ポリマー層又はそれらの混合物をコートするのが好ましい。
【0015】
最上部の除去可能フィルムを除去した後、機能性インクとの濡れ性を調節するために界面活性剤をコートするのが好ましい。
【0016】
最上部の除去可能フィルムを除去した後、機能性インクとの濡れ性を調節するために常圧プラズマ又はコロナ放電のドライ法で表面処理するのが好ましい。
【0017】
前記パターン鋳型の形成工程(S2)では、前記エネルギービームの出力、径、スキャニング速度及びパターニングに関するデジタルデータを用いて、集束可能なエネルギービームを制御し、前記ドライフィルムレジストに直接照射するのが好ましい。
【0018】
前記パターン鋳型の形成工程(S2)では、前記エネルギービームとして前記ドライフィルムレジストに対する感光性の高いレーザの波長帯を用いて、前記ドライフィルムレジストをパターン感光するレーザダイレクトイメージング法を使用するのが好ましい。
【0019】
前記パターン鋳型の形成工程(S2)では、前記エネルギービームとして電子ビーム又は集束可能なイオンビームを用いて、前記ドライフィルムレジストをパターン感光するのが好ましい。
【0020】
前記パターン鋳型の形成工程(S2)では、前記エネルギービームの照射形状を制御するために、マスク又は回折光学素子を用いたビームシェーパを使用するのが好ましい。
【0021】
前記パターン鋳型の形成工程(S2)では、前記エネルギービームの照射形状を制御するために、前記基板上にマスク又は回折光学素子を使用するのが好ましい。
【0022】
前記パターン鋳型の形成工程(S3)では、集束可能なエネルギービームの照射を基板の背面から行うのが好ましい。
【0023】
前記充填工程(S3)では、デジタルデータを用いて前記パターン状凹部に直接充填するドロップオンデマンドインクジェット法を使用するのが好ましい。
【0024】
前記充填工程(S3)では、デジタルデータを用いて前記パターン状凹部に直接充填する連続インクジェット法を使用するのが好ましい。
【0025】
前記充填工程(S3)では、デジタルデータを用いて前記パターン状凹部に直接充填する静電気的プリント法を使用するのが好ましい。
【0026】
前記充填工程(S3)では、デジタルデータを用いて、ノズルを介して霧化又は蒸気化した流体ストリームを前記パターン状凹部に直接充填するのが好ましい。
【0027】
前記充填工程(S3)では、デジタルデータを用いてレーザ転写法により前記パターン状凹部に直接充填するのが好ましい。
【0028】
前記充填工程(S3)では、スクリーンプリント法、ロータリースクリーンプリント法、オフセットプリント法、グラビアプリント法、パッドプリント法、フレキソプリント法、レタープレスプリント法、及びソフトモールドを用いたプリント法のうち少なくとも一つを使用するのが好ましい。
【0029】
前記充填工程(S3)では、スピンコート法、スリットコート法及びディープコート法のうち少なくとも一つを使用するのが好ましい。
【0030】
前記充填工程(S3)では、熱、プラズマ、レーザ、イオンビーム及びスパッタリングの少なくとも一つを使用するのが好ましい。
【0031】
前記充填工程(S3)では、前記ドライフィルムレジストを有する基板を溶液中に浸漬して、化学反応を誘導するのが好ましい。
【0032】
前記充填工程(S3)では、前記ドライフィルムレジストを有する基板に対して、気相蒸着を誘導するのが好ましい。
【0033】
前記充填工程(S3)中に、前記ドライフィルムレジストを有する基板を加熱するのが好ましい。
【0034】
前記充填工程(S3)の後、乾燥工程(S4)を行うのが好ましい。
【0035】
前記充填工程(S3)の後、光硬化又は電子ビーム硬化工程を行うのが好ましい。
【0036】
前記充填工程(S3)の後、機能性材料に化学的処理を施すのが好ましい。
【0037】
前記充填工程(S3)の後、前記機能性材料を液相から固相に相変化させるのが好ましい。
【0038】
前記充填工程(S3)の後、前記機能性材料の特性を向上させるために100℃以上に加熱するのが好ましい。
【0039】
前記充填工程(S3)の後、前記機能性材料の特性を向上させるために、レーザ又はプラズマ等をパターン照射するのが好ましい。
前記充填工程(S3)の後で、前記パターン鋳型の除去工程(S5)の前に、前記パターン鋳型の上面に堆積した機能性材料を除去するのが好ましい。
【0040】
前記ドライフィルムレジストを溶解する溶媒又は溶液を用いて、前記パターン鋳型及びその上に堆積した機能性材料を除去するのが好ましい。
【0041】
前記パターン鋳型及びその上に堆積した機能性材料の除去の際に、前記パターン鋳型の剥離を促進するために加熱するのが好ましい。
【0042】
機能性材料の除去に必要なエネルギー密度に比べてドライフィルムレジストの除去に必要なエネルギー密度が低い場合、集束可能なエネルギービームをパターニングに用いた解像度以上に拡大照射してエネルギー密度を減少させ、もって前記パターン鋳型のみを選択的に除去するのが好ましい。
【0043】
前記パターン鋳型の除去に、常圧プラズマ法、反応性イオンエッチング法又は紫外線−オゾン法のドライエッチング法を使用するのが好ましい。
【0044】
前記ドライフィルムレジストがポジティブ感光性樹脂からなる場合、前記ドライフィルムレジストのパターニングの際に使用したのと同じか異なる集束可能なエネルギービーム、又は前記ドライフィルムレジストの感光に適した波長帯の集束可能なエネルギービームを用いて露光した後、現像により除去するのが好ましい。
【0045】
前記集束可能なエネルギービームをマスク又は回折光学素子を介して投射して露光した後、現像により除去するのが好ましい。
【発明の効果】
【0046】
本発明の方法は、厚いドライフィルムレジストからなるパターン鋳型を用いるので、機能性材料の浪費を抑えつつ、従来の方法では得難い高アスペクト比を有する高解像度のパターンを効率良く形成することができる。またパターン鋳型のパターン状凹部が、乾燥後の機能性インク(機能性材料)の厚さより深いため、得られる高解像度パターンのエッジはシャープとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明の高解像度パターンの形成方法を、図2〜図4を参照して以下詳細に説明する。本発明の高解像度パターン形成方法は、基板10上に粘着又は接着によりドライフィルムレジスト30を付着させる工程(S1)と、ドライフィルムレジスト30を所望の形状にパターニングするために、集束可能なエネルギービーム25で直接露光するか、マスク又は回折光学素子を介して特定の波長帯の光を投射して露光する工程(S2-1)と、ドライフィルムレジスト30の露光領域又は非露光領域を現像により除去して、パターン鋳型を形成する工程(S2-2)と、パターン鋳型のパターン状凹部に、機能性材料を含有するインク(機能性インク)Mを充填する工程(S3)と、機能性インクMを乾燥させて高解像度パターン20を形成する工程(S4)とを有する。この方法により、パターン幅を小さくしつつ十分な高さを有する高解像度パターンを正確に形成することができる。
【0048】
特に1μm以上のパターン厚が求められる場合、インクの乾燥後に残存する機能性材料の体積分率(体積%)をαとし、形成すべき高解像度パターンの厚さ(μm)をβとすると、100×β/αμm以上の厚さの半固体状又は固体状のドライフィルムレジスト30を付着させる。ドライフィルムレジスト30の付着はラミネータにより行えるが、それ以外の方法でも可能である。
【0049】
ドライフィルムレジスト30に対して、集束可能なエネルギービームで直接露光するか、マスク又は回折光学素子を介して特定波長帯の光を投射することにより所望のパターンに露光する。その後、現像により露光部又は非露光部を選択的に除去し、機能性インクを充填する領域となるパターン状凹部40を形成する。パターン状凹部40に機能性インクMを含むインクを充填する。パターン状凹部40に充填された機能性インクMは、乾燥後に高解像度パターン20となる。
【0050】
機能性インクMは、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)―ポリ(4-スチレンスルホネート)等の導電性有機化合物、銅又はアルミニウムのナノ粒子等の導電性金属又は無機化合物、有機金属化合物等の導電性物質前駆体、電界発光素子に用いられる有/無機蛍光体又は燐光体、電気絶縁体又は誘電体、及び有機/無機半導体及びその前駆体からなる群から選ばれた少なくとも1つの機能性材料を含有する。勿論、機能性材料はこれらに限らず、用途によって種々の材料を選択可能である。
【0051】
基板10の材料は上面に高解像度パターン20を形成できるものであれば、特に限定されない。
【0052】
高解像度パターン20の上面には、必要に応じて、工程中又はその前後に発生する汚染物質から高解像度パターン20を保護するための保護層、既に構成された高解像度パターン20を露光から保護するための遮光層等を設けても良い。また基板10には、ドライフィルムレジスト30の基板10への付着力を高めるための粘着層又は接着層を設けても良く、基板10を保管する際には付着層を保護するための除去可能フィルムをさらに設けても良い。これらの層は単層でも複層でも良い。遮光層と保護層の積層順序は必要に応じて変更可能である。また遮光層及び保護層をそれぞれ複数設けても良い。除去可能フィルムは、容易に除去できるように、例えば高解像度パターン20の加工に用いるエネルギービームと同じ波長又は異なる波長のエネルギービームにより容易に除去できる物質、その波長を良く吸収する吸光剤を含む物質、又は工程後の洗浄に用いられる溶媒への高い溶解度を有する物質から構成される。なお材料の選択と混合により、1つの層で複数の役割を担うこともできる。
【0053】
ドライフィルムレジスト30は常温で半固体又は固体状態であり、その材料は、レーザ等の集束可能なエネルギービーム25の直接照射、又はマスク又は回折光学素子を介しての特定波長帯の光の投射によって容易に光化学反応を起し、かつ現像液において露光領域35と非露光領域間の溶解度差を示すポジティブ型又はネガティブ型の感光性樹脂からなるものであれば、特に限定されない。ここで、ポジティブ型の感光性樹脂とは露光領域が現像工程で除去される感光性樹脂を意味し、ネガティブ型の感光性樹脂とは露光されていない領域が現像工程で除去される感光性樹脂を意味する。
【0054】
ポジティブ型感光性樹脂を使用する場合、機能性材料を設ける領域のみを、集束可能なエネルギービームの直接照射、又はマスク又は回折光学素子を介しての特定波長帯の光の投射により露光した後、現像により露光部分を除去する。一方、ネガティブ型感光性樹脂を使用する場合、機能性材料を設ける領域の周囲を、集束可能なエネルギービームの直接照射、又はマスク又は回折光学素子を介しての特定波長帯の光の投射により露光した後、現像により非露光部分を除去することにより、バンクを形成する。バンクの内側に機能性材料を充填する。
【0055】
本発明ではポジティブ型感光性樹脂を使用するのが好ましい。ポジティブ型感光性樹脂からなるドライフィルムレジストを使用する場合を例にとって、以下説明する。本発明の高解像度パターン形成方法は、基板10上に粘着又は接着によりドライフィルムレジスト30を付着させる工程(S1)と、ドライフィルムレジスト30を所望の形状にパターニングするために、集束可能なエネルギービーム25で直接露光するか、マスク又は回折光学素子を介して特定の波長帯の光を投射して露光する工程(S2-1)と、現像により露光領域のドライフィルムレジスト30を除去して、パターン状凹部40を有するパターン鋳型30’を形成する工程(S2-2)と、パターン状凹部40に機能性インクMを充填する工程(S3)と、機能性インクMを乾燥させて高解像度パターン20を形成する工程(S4)とを有する。
【0056】
ドライフィルムレジスト30は、単一又は複数の材料からなる単層又は複数層で構成される。特に複数層で構成されている場合、基板10とドライフィルムレジスト30との間の付着力を上昇させるための少なくとも一つの付着層と、直接照射される集束可能なエネルギービーム25、又はマスク又は回折光学素子を介して投射される特定波長帯の光がドライフィルムレジスト30の下部に伝達されることを遮蔽するための遮光層と、集束可能なエネルギービーム、又はマスク又は回折光学素子を介して投射される特定波長帯の光によって容易に感光される樹脂からなる感光層と、工程中又は前後に発生する汚染を防止するための保護層と、ドライフィルムレジスト30の最上層及び最下層に位置する最上部の除去可能フィルム及び最下部除去可能フィルムとから構成することができる。最上部の除去可能フィルムは基板10を保管する際に保護するための層であり、最下部除去可能フィルムは付着層への異物が付着するのを防止するためのものである。これらの層は選択的に構成できる。
【0057】
機能性インクの充填の際の濡れ性を調節するために、表面改質用界面活性剤が最上部の除去可能フィルムの下面にコートされているか、感光層又は保護層に含まれているのが好ましい。勿論、除去可能フィルムの除去後に界面活性剤をコートしても良い。
【0058】
機能性インクによる濡れ性(例えば疎水性又は親水性)が小さくなるようにドライフィルムレジスト30(パターン鋳型30’)の上面に表面改質用界面活性剤がコートされている場合、機能性インクMはパターン状凹部40に自己整列される傾向が大きい(図4(a) 参照)。一方、パターン鋳型30’の上面と機能性インクMとの濡れ性が大きい場合、機能性インクMはパターン鋳型30’の上面に薄く広がるので、乾燥後、パターン鋳型30’上の機能性インクMとパターン状凹部40内の機能性インクMとは離隔しているか、弱く連結している傾向が大きい(図4(b) 参照)。いずれの場合も、パターン鋳型30’上に堆積した機能性材料は、工程(S5)でパターン鋳型30’を除去する際、同時に除去される。
【0059】
ドライフィルムレジスト30(パターン鋳型30’)に対して適当な濡れ性(例えば疎水性又は親水性)を有する材料を最上部の除去可能フィルムの下に設けても良い。
【0060】
最上部の除去可能フィルムの除去後、常圧プラズマ、コロナ放電等のドライ処理により、表面に所望の改質を行うことができる。
【0061】
ドライフィルムレジスト30には、基板10又は機能性インクMとの粘着力を調節するか、機能性インクMとの所望の濡れ性を維持するか、ドライフィルムレジスト30の材質に適切な柔軟性を調節するか、集束エネルギービーム又はマスク、回折光学素子を介して投射される特定の波長帯の光に対する吸収と感光性を向上させるため、適切な添加剤を加えることができる。
【0062】
ドライフィルムレジスト30として、韓国のコーロン、SKC、トンジンセミカム、LG化学、第一毛織、トンウホアインケム、東レセハン等の製品を使用することができる。
【0063】
本発明の方法では、露光されたドライフィルムレジスト30が現像後に基板10上に残留しても容易に除去できるように、ドライフィルムレジスト30の付着工程(S1)の前に、保護層を基板10とドライフィルムレジスト30との間、すなわち基板10上又は/及びドライフィルムレジスト30の下面に形成しても良い。このような保護層には、洗浄工程で極性溶媒を使用する場合には水溶性ポリマーを使用でき、無極性溶媒を使用する場合には非水溶性ポリマーを使用できるが、限定的ではない。保護層及びその除去に用いる溶液としては、機能性インクMに損傷を与えないものを選択する。
【0064】
図2の(a) に示すように、ドライフィルムレジスト30を基板10に、例えばラミネーション法により付着させるが[工程(S1)]、当業界で一般に使用される付着法であれば特に限定されない。作業を容易にするために、必要に応じて加熱しても良い。
【0065】
付着工程(S1)の後、ドライフィルムレジスト30を所望の形状にパターニングするために、図2の(b) 及び(c) に示すように、集束可能なエネルギービーム25を直接照射し、又はマスク又は回折光学素子を介して特定波長帯の光を投射してドライフィルムレジストを露光し[工程(S2-1)]、現像により露光領域35を除去して、パターン状凹部40を有するパターン鋳型30’を形成する[工程(S2-2)]。
【0066】
上述したようにレーザ等の集束可能なエネルギービーム25をドライフィルムレジスト30に照射して露光を行うが、エネルギービーム25の出力、ビームスポットサイズ、スキャニング速度、及びパターニングされるイメージ情報を記憶したデジタルデータとコンピュータ制御により、基板10上に直接照射することもできる。
【0067】
露光にはレーザダイレクトイメージング(LDI)法を用いることができる。レーザダイレクトイメージング法は光マスクなしにデータから直接イメージングする方法であり、Orbotech,Pentax,Electro Scientific Industries,LPKF Laser & Electronics AG,Creo,Mania-Barco,Dainippon Screen,Automa-Tech,Ball Semiconductors,Preco Industries等の企業が商業化している。使用するレーザの波長帯はドライフィルムレジストが感光する波長帯と同じであるのが好ましい。レーザを直接照射してドライフィルムレジストを露光する方式が好ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0068】
その他集束可能なエネルギービームとして、E-ビーム、集束イオンビーム等が挙げられるが、ドライフィルムレジストを感光することが可能なものであればいずれも露光工程(S2-1)に使用できる。
【0069】
マスク又は回折光学素子を介して特定波長帯の光をドライフィルムレジストに投射して露光を行うことができるが、使用される特定の波長帯は、ドライフィルムレジストが感光される領域の波長帯と合致しなければならない。
【0070】
図2の(d) 及び(e) に示すように、パターン状凹部40は、機能性インクMが充填され、乾燥後機能性材料が高解像度パターン20として残留する領域に相当する。
【0071】
一方、ドライフィルムレジスト30を選択的に照射して露光した後、現像により除去してパターン状凹部40を形成するパターニングにおいて、レーザ等の集束可能なエネルギービーム25を使用する場合、ビームの形状をパターニングに有効に調節するためにマスクや回折光学素子等のビームシェーパSを部分的に使用することができる。
【0072】
ビームシェーパSは、既存のフォトリソグラフィにおける大面積パターニング用マスクのみでなく、レーザ等の集束可能なエネルギービーム25の形状制御のためにビーム経路上に位置する部分的マスクを含む。さらにパターニングされる領域を全てカバーする回折光学素子や、レーザ等の集束可能なエネルギービーム25の形状制御のためにビーム経路上に位置する部分的回折光学素子を含む(図3参照)。
【0073】
この方法では、ビームの形状制御のためにマスク又は/及び回折光学素子を用いたビームシェーパSを使用するが、ビームシェーパS以外のマスク又は回折光学素子を使用せずに直接レーザ等の集束可能なエネルギービームを照射しても良く、又はビームシェーパとは別途に基板上にマスク又は回折光学素子を用いてレーザ等の集束可能なエネルギービームをスキャニングする方法等を用いて複雑なパターンを形成することもできる。ビームシェーパSのためのマスク又は/及び回折光学素子の他に基板上におけるマスクの使用は、既存のフォトリソグラフィでのように、大面積パターニングを可能にする大面積マスクのみではなく、基板の一部分にのみ部分的に用いられるものも含む。ビームシェーパS用のマスク又は/及び回折光学素子の他に、基板上の全面又は部分的に回折光学素子を使用しても良い。
【0074】
ビームシェーパSでエネルギービーム25の形状制御をするためには、マスクより回折光学素子が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0075】
パターン鋳型の形成工程(S2-2)において、エネルギービーム25を基板10の上面から照射する代りに、基板10の背面から照射しても良い。
【0076】
得られたパターン状凹部40に機能性インクMを充填して、高解像度パターン20を形成する工程(S3)を以下説明する。充填方法は通常のものであれば特に限定されず、例えば下記の方法が使用できる。すなわち、機能性インクMを噴出するインクジェット方法、ステンシルマスク(「スクリーン」とも言う)及びスキージを用いて基板10上にパターンを形成するスクリーン印刷法、正電荷を有する機能性材料を用いて積層する静電気プリント法、機能性インクMをブランケットと呼ばれるゴムシートに載せ、それを基板10に転写する方式のオフセットプリント法、グラビア製板によって板を作った後、オフセット印刷のようにブランケットに機能性材料を転写して間接的に基板にプリントするグラビアプリント法、凸板印刷の一種であって、柔軟な樹脂又はゴム凸板を使用するフレキソプリント法、ソフトモールドを用いたプリント法、基板10を回転させながらその中央に機能性インクMを落下させ、遠心力により機能性インクMを表面全体に拡張させるスピンコート法、又はスリットコーターを用いて機能性インクMを塗布するスリットコーティング法等が使用可能である。
【0077】
必要な領域にのみ機能性インクMを吐出するドロップオンデマンド法も使用可能である。ドロップオンデマンド法には、機能性インクMの吐出の駆動源として、ヒーター加熱を用いるサーマル方式と、ピエゾ素子による圧力でインクを押し出す圧電方式がある。常に機能性インクMを吐出させながら、必要な時間に機能性インクMの吐出方向を偏向させる連続インクジェット法も使用可能である。
【0078】
機能性インクMの充填工程(S3)では、MAPLE又はLaser Induced Thermal Imaging(LITI)法等のレーザ転写法を用いることができる。レーザ転写法は、転写しようとするフィルムを転写紙に製造した後、転写しようとする部分をレーザに露出させてイメージングを行った後基板に移し、分離させることにより帯状にパターニングする方法である。
【0079】
充填工程(S3)では、デジタルデータを用いて、ノズルを介して霧化又は蒸気化した流体ストリームをパターン鋳型30’上にスプレーすることもできる。
【0080】
ドライフィルムレジスト30を露光及び現像することによりパターン状凹部40を形成した後、インクジェット法により機能性インクMを充填する場合、機能性インクMと熱、プラズマ、レーザ及びイオンビームのいずれかとを組み合わせても良い。
【0081】
充填工程(S3)では、ディープコーティング法を用いることもできる。すなわち、無電解メッキのためのシード物質をパターン状凹部40にコートした後、化学反応液に浸漬させて無電解メッキによりパターンを形成することもできる。
【0082】
充填工程(S3)では、気相で蒸着する化学気相蒸着法(CVD法)を用いることもできる。
【0083】
本発明の好適な実施例によれば、高価な機能性インクMの充填方式として直接パターン法であるインクジェット法が好ましいが、本発明の思想を逸脱しない限り、その他の機能性インクMの充填方法を用いても良い。
【0084】
充填工程(S3)において、効率を向上させるために基板10を加熱しても良い。
【0085】
機能性インクMの充填については、図4(b) に示すように、機能性インクMがパターン状凹部40内に十分に入れば、パターン状凹部40以外の領域に付着してもかまわない。従って、例えば機能性インクMをパターン鋳型30’の全面に塗布する場合も、機能性インクMがパターン状凹部40内に十分に入るので、「充填」の要件を満たす。
【0086】
液状の機能性インクMを充填した後乾燥するが、必要に応じて乾燥前又は後にブレード、スクレーパ、ワイパー等を用いて、パターン鋳型30’上に堆積した機能性インクMを除去しても良い。
【0087】
乾燥工程(S4)の後、機能性インクMとして例えば銀ナノインクを用いた場合、銀ナノ粒子が緩んで抵抗が大きくなることがある。この場合、100℃以上で熱処理を施して、銀ナノ粒子を堅く結合させて電気的特性を向上させるのが好ましい。
【0088】
充填工程(S3)の後、機能性材料に対して光硬化等の光化学反応を行っても良い。すなわち、一般的なUV硬化又は電子ビーム硬化により機能性材料の物理化学的特性を変化させる工程を含んでも良い。
【0089】
充填工程(S3)の後、機能性インクMに化学的処理を施しても良いが、例えば、パターン状凹部40に、非電解メッキのためにコロイド状のパラジウムを含んだ溶液をインクジェットにより塗布し、パターン鋳型30’を除去した状態又は除去していない状態で、金属イオン、ホルムアルデヒド、ヒドラジン等の還元剤が含まれている溶液をインクジェットにより塗布すると、パターニングされた触媒により還元反応が起こり金属パターンを形成することができる。
【0090】
前記還元反応以外に、酸化還元力の差異による置換メッキを利用することもできる。金属前駆物質をインクジェット法によりパターン状凹部40に塗布した後、触媒を含む還元液に浸漬させるか、還元液を高解像度パターン20に選択的に塗布することにより、所望の金属で還元する化学反応を行うこともできる。
【0091】
本発明の思想を逸脱しない限り、十分な厚さを有するドライフィルムレジストにレーザ等の集束可能なエネルギービームを照射して露光及び現像し、得られたパターン鋳型を最終的にパターニングされる機能性材料のための化学反応のサイトとして利用することができる。
【0092】
充填工程(S3)の後、機能性インクMを液相から固相に相変化させることもできる。すなわち、例えば液相の金属系機能性インクMを噴射した後、固相に相変化させることもできる。
【0093】
機能性インクMを充填した後、レーザ又はプラズマを照射して機能性材料の特性を向上させても良い。
【0094】
充填工程(S3)の後パターン鋳型30’を除去することにより、パターン鋳型30’の上面に残留する不要な機能性インクMもともに除去し、高解像度パターン20のみを残す[工程(S5)]。ドライフィルムレジスト30の厚さ(μm)は100×β/α以上[ただしαは機能性インクM中の機能性材料の体積分率(体積%)であり、βは高解像度パターン20の厚さ(μm)である。]の条件を満たすので、パターン鋳型30’のパターン状凹部40は、乾燥後の機能性インクM(機能性材料)の厚さより深い。そのため、得られる高解像度パターンのエッジはシャープとなる。
【0095】
パターン鋳型30’の除去には、選択的にドライフィルムレジストのみを溶解する溶媒又は溶液を使用する方法、又はドライフィルムレジストに対する感光度の高いレーザ等の集束可能なエネルギービームを照射した後現像により選択的に除去する方法、集束可能なエネルギービームを全面照射した後現像により除去する方法、ドライフィルムレジストに対する感光度の高い特定波長帯の光をマスク又は回折光学素子を介して投射した後現像により選択的に除去する方法、ドライフィルムレジストに対する感光度の高い特定波長帯の光を全面照射した後現像により除去する方法、加熱によりドライフィルムレジストの剥離を促進する方法、常圧プラズマや反応性イオンエッチング、UV/O3等のドライエッチング法等が使用できる。
【0096】
パターン鋳型30’又はその上に堆積した機能性インクMを除去するには、パターン状凹部40を形成するのに用いた集束可能なエネルギービームの解像度以上に拡大照射する方法を用いることができる。すなわち、ドライフィルムレジストは20 mJ/cm2で感光した後現像により除去するか、50 mJ/cm2のレーザにより直接除去することが可能であるが、機能性インクMは例えば200 mJ/cm2のレーザにより除去されるとすると、同一出力のレーザビームを例えば直径5μm程度に集束させたときに100 mJ/cm2であるので、これを用いてドライフィルムレジストを直接除去して5μm級のパターン状凹部40を作るか、出力を低下して20 mJ/cm2以上50 mJ/cm2未満で感光した後、現像により露光領域35を除去して5μm級のパターン状凹部40を作る。パターン状凹部40に機能性インクMを充填した後乾燥させるが、残りのドライフィルムレジストを除去するためにレーザビームの直径を5μm以上に拡大すると、エネルギー密度が200 mJ/cm2未満に低下するため、機能性インクMは除去されない。ドライフィルムレジストの除去により、その上に堆積した機能性インクMも除去される。
【0097】
要するに、パターン状凹部40を形成するのに用いたエネルギービームの解像度以上に拡大照射することにより、ドライフィルムレジスト30の除去に必要なパワー密度以上であるが、機能性インクMの除去に必要なパワー密度及びエネルギー密度未満となるので、ドライフィルムレジストとその上面に堆積した機能性インクMは除去される。
【0098】
ドライフィルムレジスト30がポジティブ感光性樹脂の場合、ドライフィルムレジスト30のパターニングに使用したエネルギービームと同じ又は異なるエネルギービームを使用することができる。またドライフィルムレジスト30の感光に適した特定波長帯のエネルギービームを用いて露光させた後、現像により除去することができる。この際、エネルギービームにマスク又は回折光学素子を介して投射しても良い。
【0099】
ドライフィルムレジスト30は、必要に応じて、他の機能性を有しても良い。例えば、保護膜を被せるパッシベーションや絶縁等が必要な場合、ドライフィルムレジスト30又はそれを構成する複数の層の少なくとも1つを、そのような用途に適した物質により形成すれば良い。この場合、ドライフィルムレジスト30は必ずしも除去されるものではない。特にネガティブ型ドライフィルムレジスト30の場合がそうである。
【0100】
パターン鋳型30’の除去後に、熱/化学的処理によりパターニングされた機能性インクMの特性を向上させることもできる。
【0101】
本発明の方法によれば、機能性インクの消費を抑えつつ、高アスペクト比を有する高解像度パターンを簡単に形成することができる。また基板上に積層したドライフィルムレジストの種類に応じて適切な集束エネルギービームを選択し、機能性インクを充填する領域を確保することにより、高解像度パターンが形成された基板を効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1(a)】従来のインクジェットパターン形成法を示す概略断面図である。
【図1(b)】従来のインクジェットパターン形成法を示す概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例によるパターニング法の工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明の別の実施例による高解像度パターンの形成方法を示す概略斜視図である。
【図4(a)】ドライフィルムレジストが機能性インクに対して低い濡れ性を有する場合に、乾燥後のパターンの状態を示す概略断面図である。
【図4(b)】ドライフィルムレジストが機能性インクに対して高い濡れ性を有する場合に、乾燥後のパターンの状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0103】
10・・・基板
20・・・パターン
25・・・集束エネルギービーム
30・・・ドライフィルムレジスト
35・・・露光領域
30’・・・パターン鋳型
40・・・パターン状凹部
H・・・インクジェットプリントヘッド
M・・・機能性材料
S・・・ビームシェーパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にドライフィルムレジストを付着させる工程(S1)と、前記ドライフィルムレジストに露光及び現像を行って所望のパターン状凹部を有するパターン鋳型を形成する工程(S2)と、前記パターン状凹部に機能性材料を含有するインクを充填する工程(S3)と、前記インクを乾燥させる工程(S4)とを含む高解像度パターンの形成方法であって、前記ドライフィルムレジストの厚さ(μm)を100×β/α以上[ただしαは前記インク中の前記機能性材料の体積分率(体積%)であり、βは前記高解像度パターンの厚さ(μm)である。]とすることを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の高解像度パターンの形成方法において、前記工程(S3)後、前記パターン鋳型及びその上の不要な機能性材料を除去することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項3】
請求項1に記載の高解像度パターンの形成方法において、前記パターンを保護する保護層、前記エネルギービームを遮蔽する遮光層、前記ドライフィルムレジストの前記基板への付着力を向上させる付着層、及び前記基板を保管する際に前記付着層を保護する除去可能フィルムのうち少なくとも一つを設けることを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項4】
請求項3に記載の高解像度パターンの形成方法において、前記遮光層及び前記保護層を積層するか、一つの層に遮光及び保護の両役割も持たせることを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記ドライフィルムレジストを、前記エネルギービームにより容易に露光される感光性物質の1層又は複数層で構成するとともに、前記基板を保管する際に前記ドライフィルムレジストを保護するための最上部の除去可能フィルム、汚染を防止するための保護層、集束可能なエネルギーにより露光される感光層、前記エネルギービームが前記ドライフィルムレジストより下に伝達されるのを防ぐための遮光層、前記基板と前記ドライフィルムレジストの付着力を高めるために前記ドライフィルムレジストの下面に設ける付着層、及び前記付着層への異物付着を防止するための最下部の除去可能フィルムのうち少なくとも1つを設けることを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項6】
請求項5に記載の高解像度パターンの形成方法において、最上部の除去可能フィルムの下面に、機能性インクとの濡れ性を調節するために、界面活性剤、ポリマー層又はそれらの混合物をコートすることを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項7】
請求項5に記載の高解像度パターンの形成方法において、最上部の除去可能フィルムを除去した後、機能性インクとの濡れ性を調節するために界面活性剤をコートすることを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項8】
請求項5に記載の高解像度パターンの形成方法において、最上部の除去可能フィルムを除去した後、機能性インクとの濡れ性を調節するために常圧プラズマ又はコロナ放電のドライ法で表面処理することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記パターン鋳型の形成工程(S2)では、前記エネルギービームの出力、径、スキャニング速度及びパターニングに関するデジタルデータを用いて、集束可能なエネルギービームを制御し、前記ドライフィルムレジストに直接照射することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記パターン鋳型の形成工程(S2)では、前記エネルギービームとして前記ドライフィルムレジストに対する感光性の高いレーザの波長帯を用いて、前記ドライフィルムレジストをパターン感光するレーザダイレクトイメージング法を使用することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記パターン鋳型の形成工程(S2)では、前記エネルギービームとして電子ビーム又は集束可能なイオンビームを用いて、前記ドライフィルムレジストをパターン感光することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記パターン鋳型の形成工程(S2)では、前記エネルギービームの照射形状を制御するために、マスク又は回折光学素子を用いたビームシェーパを使用することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記パターン鋳型の形成工程(S2)では、前記エネルギービームの照射形状を制御するために、前記基板上にマスク又は回折光学素子を使用することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記パターン鋳型の形成工程(S3)では、集束可能なエネルギービームの照射を基板の背面から行うことを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)では、デジタルデータを用いて前記パターン状凹部に直接充填するドロップオンデマンドインクジェット法を使用することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)では、デジタルデータを用いて前記パターン状凹部に直接充填する連続インクジェット法を使用することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)では、デジタルデータを用いて前記パターン状凹部に直接充填する静電気的プリント法を使用することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項18】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)では、デジタルデータを用いて、ノズルを介して霧化又は蒸気化した流体ストリームを前記パターン状凹部に直接充填することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)では、デジタルデータを用いてレーザ転写法により前記パターン状凹部に直接充填することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)では、スクリーンプリント法、ロータリースクリーンプリント法、オフセットプリント法、グラビアプリント法、パッドプリント法、フレキソプリント法、レタープレスプリント法、及びソフトモールドを用いたプリント法のうち少なくとも一つを使用することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項21】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)では、スピンコート法、スリットコート法及びディープコート法のうち少なくとも一つを使用することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項22】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)では、熱、プラズマ、レーザ、イオンビーム及びスパッタリングの少なくとも一つを使用することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項23】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)では、前記ドライフィルムレジストを有する基板を溶液中に浸漬して、化学反応を誘導することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項24】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)では、前記ドライフィルムレジストを有する基板に対して、気相蒸着を誘導することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項25】
請求項1〜14のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)中に、前記ドライフィルムレジストを有する基板を加熱することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)の後、乾燥工程(S4)を行うことを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)の後、光硬化又は電子ビーム硬化工程を行うことを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)の後、機能性材料に化学的処理を施すことを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)の後、前記機能性材料を液相から固相に相変化させることを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)の後、前記機能性材料の特性を向上させるために100℃以上に加熱することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)の後、前記機能性材料の特性を向上させるために、レーザ又はプラズマ等をパターン照射することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記充填工程(S3)の後で、前記パターン鋳型の除去工程(S5)の前に、前記パターン鋳型の上面に堆積した機能性材料を除去することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記ドライフィルムレジストを溶解する溶媒又は溶液を用いて、前記パターン鋳型及びその上に堆積した機能性材料を除去することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項34】
請求項1〜33のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記パターン鋳型及びその上に堆積した機能性材料の除去の際に、前記パターン鋳型の剥離を促進するために加熱することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、機能性材料の除去に必要なエネルギー密度に比べてドライフィルムレジストの除去に必要なエネルギー密度が低い場合、集束可能なエネルギービームをパターニングに用いた解像度以上に拡大照射してエネルギー密度を減少させ、もって前記パターン鋳型のみを選択的に除去することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項36】
請求項1〜35のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記パターン鋳型の除去に、常圧プラズマ法、反応性イオンエッチング法又は紫外線−オゾン法のドライエッチング法を使用することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項37】
請求項1〜36のいずれかに記載の高解像度パターンの形成方法において、前記ドライフィルムレジストがポジティブ感光性樹脂からなる場合、前記ドライフィルムレジストのパターニングの際に使用したのと同じか異なる集束可能なエネルギービーム、又は前記ドライフィルムレジストの感光に適した波長帯の集束可能なエネルギービームを用いて露光した後、現像により除去することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。
【請求項38】
請求項37に記載の高解像度パターンの形成方法において、前記集束可能なエネルギービームをマスク又は回折光学素子を介して投射して露光した後、現像により除去することを特徴とする高解像度パターンの形成方法。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【公開番号】特開2007−296509(P2007−296509A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341982(P2006−341982)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(598026264)韓国機械研究院 (12)
【Fターム(参考)】