説明

11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素の阻害剤

式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩又はそれらの組み合わせ。11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素を阻害する方法。インスリン非依存性2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、メタボリックシンドローム及び過剰な糖質コルチコイド作用が介在するその他の疾病及び状態を治療する方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、本明細書中に参照により組み込まれる、米国仮出願第60/790,141号(2006年4月7日出願)からの優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、酵素阻害剤である化合物及びとりわけ11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素の阻害剤に関する。
【背景技術】
【0003】
インスリンは、グルコース及び脂質代謝を調節するホルモンである。インスリンの作用が障害される結果(即ちインスリン抵抗性)、インスリン誘発性のグルコース取り込み、酸化及び貯蔵が低下し、脂肪組織からの脂肪酸放出(即ち脂肪分解)のインスリン依存性抑制が低下し、肝臓でのグルコース産生及び分泌のインスリン介在抑制が低下する。インスリン抵抗性は、罹患率及び死亡率が上昇し罹患及び死亡が早まる疾患で起こることが非常に多い。
【0004】
糖尿病は、空腹状態又はグルコース負荷試験の際のグルコース投与後に血漿グルコースレベルが上昇すること(高血糖)を特徴とする。この疾患はいくつかの基礎因子によって起こり得るものであるが、それは1型糖尿病及び2型糖尿病という2つのカテゴリーに分類される。インスリン依存性糖尿病(「IDDM」)とも呼ばれる1型糖尿病は、インスリンの産生及び分泌の低下によって起こる。インスリン非依存性糖尿病(「NIDDM」)とも呼ばれる2型糖尿病において、インスリン抵抗性は、高血糖の進行における重要な病因である。通常、2型糖尿病患者のインスリンレベルは上昇しているが(即ち高インスリン血症)、この補償的上昇は、インスリン抵抗性を克服するには不十分である。1型及び2型糖尿病の両方において高血糖が持続的である又は制御されない場合、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、末梢血管障害、卒中、腎症、神経障害及び網膜症などの大血管及び/又は微小血管合併症の発生率上昇につながる。
【0005】
インスリン抵抗性は、重度の高血糖がない場合であっても、メタボリックシンドロームの一構成要素である。最近、メタボリックシンドロームの診断基準が確立された。患者がメタボリックシンドロームであるとみなすには、130/85mmHgを超える高血圧、110mg/dlを超える空腹時血糖、ウェスト周囲40インチ(男性)又は35インチ(女性)を超える腹部肥満及び150mg/dLを超えるトリグリセリド上昇又は40mg/dL(男性)もしくは50mg/dL(女性)以下の低HDLコレステロールによって定義される血中脂質変化という5つの基準のうちの3つを満たさなければならない。現在、米国のみで5000万人の成人がこれらの基準を満たしていると推定される。明白な糖尿病を発症しているか否かを問わず、その集団では、上記で挙げた2型糖尿病の大血管及び微小血管合併症を発症するリスクが高い。
【0006】
2型糖尿病に利用可能な治療には限界があることが認められている。食事及び運動が2型糖尿病患者において非常に有益な効果を有し得るが、患者遵守は低い。遵守が良好な患者であっても、グルコース及び脂質代謝をさらに改善するには、他の形式の治療が必要であり得る。
【0007】
ある治療ストラテジーは、インスリン抵抗性を克服するためにインスリンレベルを上げるというものである。これは、インスリンの直接注射又は膵臓β細胞での内因性インスリン分泌の刺激を通じて達成することができる。スルホニルウレア(例えば、トルブタミド及びグリピザイド)又はメグリチニドは、インスリン分泌を刺激することによって、インスリン抵抗性組織を刺激するのに十分高いレベルに循環インスリン濃度を上昇させる薬剤の一例である(即ち、インスリン分泌促進薬)。しかし、インスリン及びインスリン分泌促進薬によって、危険なレベルまでグルコース濃度が低下する(即ち低血糖)可能性がある。さらに、インスリン分泌促進薬は、時間経過とともに治療効力を失う場合が非常に多い。
【0008】
メトホルミン及びフェンホルミンという2種類のビグアニドは、糖尿病患者においてインスリン感受性及びグルコース代謝を改善し得る。しかし、作用機序はよく分かっていない。両化合物とも、乳酸アシドーシス及び消化管の副作用(例:悪心又は下痢)を引き起こし得る。
【0009】
α−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース)は、食事後の腸からの炭水化物吸収を遅延させ得、これは、特に食後期間において血糖レベルを低下させ得る。ビグアニド類と同様に、これらの化合物も消化管の副作用を起こし得る。
【0010】
グリタゾン(即ち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、2型糖尿病治療で用いられる比較的新しい種類の化合物である。これらの薬剤は、複数の組織でインスリン抵抗性を低下させ得、従って血糖を低下させる。低血糖のリスクも回避することができる。グリタゾンは、ペルオキシソーム増殖因子応答性受容体(「PPAR」)γサブタイプの活性を変化させる。PPARは現在、これら化合物の有用な効果のための主要な作用機序に対する主要な治療標的であると考えられている。PPARファミリータンパク質のその他の調節剤が現在、2型糖尿病及び/又は脂質異常症の治療に対して開発中である。市販されているグリタゾン類には、体重増加及び末梢浮腫などの副作用がある。
【0011】
糖尿病患者の血糖レベルを正常化するさらなる治療が必要とされている。他の治療ストラテジーが探索されている。例えば、インスリン分泌を増加させる、グルカゴン様ペプチド1(「GLP−1」)類似体及びジペプチジルペプチダーゼIV(「DPP−IV」)の阻害剤に関する研究が行われている。その他の例には、肝臓のグルコース産生及び分泌に関与する主要酵素の阻害剤(例えばフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤)及びインスリンシグナリングに関与する酵素(例えば、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B又は「PTP−1B」)の直接調節が含まれる。
【0012】
糖尿病の治療又は予防的治療の別の方法には、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD1)の阻害剤を用いるものが含まれる。このような方法は、J.R.Secklら、Endocrinology、142:1371−1376、2001及びそこで引用されている様々な参考文献に記載されている。肝臓及び脂肪組織で高発現される11β−HSD1は、コルチゾンをコルチゾールに変換する酵素であり、これによりコルチゾールの局所濃度が高くなる。コルチゾール(ヒトにおいて)は、糖質コルチコイドの活性型であり、一方、コルチゾン(ヒトにおいて)は糖質コルチコイドの不活性型である。糖質コルチコイドは、グルコース及び脂質代謝の強力な調節因子であるステロイドホルモンである。過剰な糖質コルチコイド作用によって、インスリン抵抗性、2型糖尿病、脂質異常症、腹部肥満増加及び高血圧が起こり得る。従って、11β−HSD1の阻害によって、糖質コルチコイド作用の組織特異的増幅が阻害されるか又は低下し、血圧及びグルコース及び脂質代謝に有用な効果が与えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、インスリン非依存性2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、メタボリックシンドロームならびに過剰な糖質コルチコイド作用が介在するその他の疾患及び状態に罹患している患者に対して有効である、11β−HSD1を阻害する化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の要旨
本発明は、式(I)の化合物
【0015】
【化4】

又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩又はそれらの組み合わせに関する(式中、
nは、1又は2であり;
は、シクロアルキル又は複素環であり、これらのそれぞれは独立に非置換であり、又は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN、−NO、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、−C(=NOH)NH、−C(=NH)NH、R、−(CR−CN、−(CR−OR、−(CR−SR、−(CR−S(O)、−(CR−NR、−(CR−C(O)R、−(CR−C(O)OR、−(CR−S(O)NR、−(CR−R、−N(R)−(CR−C(O)R、−N(R)−(CR−C(O)OR、−N(R)−(CR−C(O)NR、−O−(CR−C(O)R、−O−(CR−C(O)OR及び−O−(CR−C(O)NRからなる群から独立に選択される、1、2、3又は4個の置換基で置換されており;
及びRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、Rもしくは−(CR−Rであり、又は、R及びRは、これらが結合している原子と一緒になってシクロアルキルを形成し;
は、−E−G又は−(CR−E−Gであり、Eは、各出現において、独立に、O、S、S(O)、S(O)、N(R)又は結合であり、Gは、各出現において、独立に、アルキル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−C(O)OR、−R又は−(CR−Rであり、Rは各出現において、独立に、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及び複素環からなる群から選択され、各Rは、独立に、非置換であり、又は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN、−NO、−OR、−S(R)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−NR、−C(O)(R)、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、R、−(CR−CN、−(CR−NO、−(CR−OR、−(CR−S(R)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−NR、−(CR−C(O)(R)、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)NR、−(CR−S(O)NR及び−(CR−Rからなる群から独立に選択される、1、2、3又は4個の置換基で置換されており;
は、各出現において、独立に、水素又はアルキルであり;
は、各出現において、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、R又は−(CR−Rであり;
は、各出現において、独立に、アルキル、ハロアルキル、R又は−(CR−Rであり;
は、各出現において、独立に、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又は複素環であり、各Rは、独立に、非置換であり、又は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN、−NO、−OR、−S(R)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−NR、−C(O)(R)、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、−(CR−CN、−(CR−NO、−(CR−OR、−(CR−S(R)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−NR、−(CR−C(O)(R)、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)NR及び−(CR−S(O)NRからなる群から独立に選択される、1、2、3又は4個の置換基で置換されており;
及びRは、各出現において、独立に、水素、アルキル又はハロアルキルであり;mは、0、1、2、3、4、5又は6である。)。
【0016】
さらに、本発明は、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素を阻害する方法に関する。さらに、本発明は、式(I)の化合物の治療的有効量を投与することによって、インスリン非依存性2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、メタボリックシンドローム及び過剰な糖質コルチコイド作用が介在する他の疾病及び状態を治療する方法に関する。最後に、本発明は、式(I)の化合物の治療的有効量と、医薬的に許容可能な担体と、を含む、医薬組成物に関する。
【0017】
発明の詳細な説明
全般的に、本発明は、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素の阻害剤である化合物に関する。本発明は、さらに、インスリン非依存性2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、メタボリックシンドローム及び過剰な糖質コルチコイド作用が介在するその他の疾病及び状態の治療のために、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素を阻害する方法に関する。
【0018】
本明細書中に記載の場合、本発明の化合物中の何れの置換基においても又は本明細書中の何れの他の式においても複数回出現する可変要素に対して、各出現でのその定義は各出現ごとに独立である。
【0019】
本明細書で使用する場合、「アルケニル」という用語は、以下に限定されないが、2から10個の炭素を含み、2個の水素の脱離によって形成される少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖又は分枝鎖炭化水素を意味する。アルケニルの代表例には、以下に限定されないが、エテニル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−メチル−1−ヘプテニル及び3−デセニルが含まれる。
【0020】
本明細書中で使用する場合、「アルキル」という用語は、以下に限定されないが、1から10個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖炭化水素を意味する。アルキルの代表例には、以下に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル及びn−デシルが含まれる。
【0021】
本明細書中で使用する場合、「C1−6アルキル」という用語は、以下に限定されないが、1から6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖炭化水素を意味する。例としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びn−ヘキシルが挙げられる。
【0022】
本明細書中で使用する場合、「アリール」という用語は、以下に限定されないが、フェニル基又は、0個のヘテロ原子を含み、縮合環の1以上がフェニル基である二環式炭化水素縮合環系を意味する。二環式炭化水素縮合環系の例としては、親分子部分に懸垂し、本明細書中で定義されるような単環式シクロアルキル基に縮合したフェニル基、本明細書中で定義されるような単環式ヘテロアルケニル基又は別のフェニル基が挙げられる。本発明のアリール基は、その基の何れかの置換可能な原子を介して親分子に懸垂している。本発明のアリール基は、非置換であるか又は置換されている。アリールの代表例には、以下に限定されないが、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル、インダン−4−イル、インダン−5−イル、インデン−1−イル、ナフチル、フェニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル及びテトラヒドロナフタレニルが含まれる。
【0023】
本明細書中で使用する場合、「シクロアルキル」又は「シクロアルカン」という用語は、以下に限定されないが、3から8個の炭素原子及び0個のヘテロ原子を含む飽和単環式炭化水素環系を意味する。単環系の例には、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが含まれる。本発明の「シクロアルキル」という用語はまた、本明細書中で定義されるように単環式シクロアルキル環が別の単環式シクロアルキル基に縮合している二環式縮合環系も意味する。二環式シクロアルキルの例には、以下に限定されないが、ビシクロ[5.1.0]オクチル及び二環式[6.2.0]デカニルが含まれる。本発明のシクロアルキル基は、非置換であるか又は置換されていてよく、その基の何れかの置換可能な炭素原子を介して親分子部分に連結している。本明細書中で定義されるような単環式及び二環式シクロアルキルは、1又は3個の炭素原子間で1又は2個のアルキレン架橋を有し得、各アルキレン架橋はこのシクロアルキル環系の2個の非隣接炭素原子を連結する。2個の非隣接炭素原子間にこのような連結を含有する単環式又は二環式環系の代表例には、以下に限定されないが、アダマンチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル及びビシクロ[2.2.2]オクチルが含まれる。
【0024】
本明細書中で使用する場合、「シクロアルケニル」又は「シクロアルケン」という用語は、以下に限定されないが、4、5、6、7又は8個の炭素原子及び0個のヘテロ原子を有する非芳香族の部分的不飽和単環式炭化水素環系を意味する。4員環系は1個の二重結合を有する。5又は6員環系は1又は2個の二重結合を有し、一方、7又は8員環系は、1、2又は3個の二重結合を有する。シクロアルケニル基の代表例には、以下に限定されないが、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロへキセニル、シクロヘプテニル及びシクロオクテニルが含まれる。本発明のシクロアルケニル基は、非置換でもよいし又は置換されていてもよく、その基の何れかの置換可能な炭素原子を介して親分子部分に連結される。
【0025】
本明細書中で使用する場合、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、−Cl、−Br、−I又は−Fを意味する。
【0026】
本明細書中で使用する場合、「ハロアルキル」という用語は、以下に限定されないが、1、2、3、4、5又は6個の水素原子がハロゲンで置換されている、本明細書で定義されるようなアルキル基を意味する。ハロアルキルの代表例には、以下に限定されないが、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル及び2−クロロ−3−フルオロペンチルが含まれる。
【0027】
本明細書中で使用する場合、「複素環」又は「複素環式」という用語は、以下に限定されないが、単環式又は二環式の非芳香族の飽和又は部分的不飽和環系を意味する。
【0028】
単環系は、酸素、窒素又はイオウから独立に選択される1個のヘテロ原子を含む4員環;又は1、2もしくは3個のヘテロ原子(ヘテロ原子は、窒素、酸素及びイオウから独立に選択される。)を含む、5、6、7もしくは8員環により代表される。5員環は、0又は1個の二重結合を有する。6員環は、0、1又は2個の二重結合を有する。7又は8員環は、0、1、2又は3個の二重結合を有する。単環系の代表例には、以下に限定されないが、アゼチジニル、アゼパニル、アゼピニル、ジアゼピニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、3−オキソ−モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、2−オキソ−オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリン スルホン)、チオピラニル、1,4−ジアゼパニル及びトリチアニルが含まれる。二環式環系の代表的なものは、フェニル基、本明細書中で定義されるような単環式シクロアルケニル基、本明細書中で定義されるような単環式シクロアルキル基又は本明細書中で定義されるようなさらなる単環式複素環基に縮合した上記の単環式環系の何れかである。二環式環系の代表例には、以下に限定されないが、ベンゾジオキシニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、2,3−ジヒドロインドール−3−イル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル、2,3−ジヒドロベンゾチエン−3−イル、2,3−ジヒドロイソインドール−3−イル、1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−3−イル、1,3−ジヒドロ−ベンゾ[c]チエン−3−イル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−アザビシクロ[3.2.0]ヘプチル、3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプチル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、ヘキサヒドロ−1H−フロ[3,4−c]ピロリル及びオクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロリルが含まれる。本明細書中で定義されるような単環式又は二環式環系は、窒素、酸素又はイオウから選択されるヘテロ原子又は1から3個のさらなる炭素原子のアルキレン架橋により連結される、非隣接炭素原子2個を有し得る。2個の非隣接炭素原子間にこのような連結を含有する単環式又は二環式環系の代表例には、以下に限定されないが、2−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキシル、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキシル、3−アザビシクロ[3.1.1]ヘプチル、6−オキサ−3−アザビシクロ[3.1.1]ヘプチル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル、3−オキサ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノニル、1,4−ジアザトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデシル、3,10−ジアザビシクロ[4.3.1]デシル、8−オキサ−3−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、オクタヒドロ−1H−4,7−メタノイソインドリル及びオクタヒドロ−1H−4,7−エポキシイソインドリルが含まれる。本発明の複素環基は、置換されているか又は非置換であり、その基の何れかの置換可能な炭素又は窒素原子を介して親分子部分に連結する。窒素ヘテロ原子は四級であってもなくてもよく、窒素又はイオウヘテロ原子は酸化されてもよいし又はされなくてもよい。さらに、窒素含有複素環はN−保護されてもよいし又はされなくてもよい。
【0029】
本明細書中で使用する場合、「ヘテロアリール」という用語は、以下に限定されないが、少なくとも1個の原子がN、O及びSからなる群から選択され、残りの原子が炭素である、芳香族5又は6員環を意味する。5員環は、2個の二重結合を有し、6員環は3個の二重結合を有する。「ヘテロアリール」という用語はまた、単環式ヘテロアリール環がフェニル基、本明細書中で定義されるような単環式シクロアルキル基、本明細書中で定義されるような単環式シクロアルケニル基、本明細書中で定義されるような単環式複素環基又はさらなる単環式ヘテロアリール基に縮合している二環式系も含む。ヘテロアリール基の代表例には、以下に限定されないが、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサジアゾリル、6,7−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾリル、フリル、イミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、イソキサゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、キノリニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル及び5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−5−イルが含まれる。本発明のヘテロアリール基は、置換されてもよいし又は非置換でもよく、その基の何れかの置換可能な炭素又は窒素原子を介して親分子部分に連結される。さらに、窒素ヘテロ原子は四級であっても又はなくてもよい。さらに、その基の窒素又はイオウヘテロ原子は酸化されてもよいし又はされなくてもよい。また、窒素含有複素環はN−保護されてもよいし又はされなくてもよい。
【0030】
本明細書中で使用する場合、「ヘテロ原子」という用語は、本明細書中で使用する場合、窒素、酸素又はイオウ原子を指す。
【0031】
本明細書中に記載のように、本発明は、式(I)
【0032】
【化5】

の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩又はそれらの組み合わせに関する(式中、
nは、1又は2であり;
は、シクロアルキル又は複素環であり、このそれぞれは独立に非置換であり、又は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN、−NO、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、−C(=NOH)NH、−C(=NH)NH、R、−(CR−CN、−(CR−OR、−(CR−SR、−(CR−S(O)、−(CR−NR、−(CR−C(O)R、−(CR−C(O)OR、−(CR−S(O)NR、−(CR−R、−N(R)−(CR−C(O)R、−N(R)−(CR−C(O)OR、−N(R)−(CR−C(O)NR、−O−(CR−C(O)R、−O−(CR−C(O)OR及び−O−(CR−C(O)NRからなる群から独立に選択される、1、2、3又は4個の置換基で置換されており;
及びRは、各出現において、それぞれ独立に、水素、アルキル、R又は−(CR−Rであり、又は、R及びRは、これらが結合している原子と一緒になってシクロアルキルを形成し;
は、−E−G又は−(CR−E−Gであり、Eは、各出現において、独立にO、S、S(O)、S(O)、N(R)又は結合であり、Gは、各出現において、独立に、アルキル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−C(O)OR、−R又は−(CR−Rであり、Rは各出現において、独立に、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及び複素環からなる群から選択され、各Rは、独立に、非置換であり、又は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN、−NO、−OR、−S(R)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−NR、−C(O)(R)、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、R、−(CR−CN、−(CR−NO、−(CR−OR、−(CR−S(R)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−NR、−(CR−C(O)(R)、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)NR、−(CR−S(O)NR及び−(CR−Rからなる群から独立に選択される、1、2、3又は4個の置換基で置換されており;
は、各出現において、独立に、水素又はアルキルであり;
は、各出現において、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、R又は−(CR−Rであり;
は、各出現において、独立に、アルキル、ハロアルキル、R又は−(CR−Rであり;
は、各出現において、独立に、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又は複素環であり、各Rは、独立に、非置換であり、又は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN、−NO、−OR、−S(R)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−NR、−C(O)(R)、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、−(CR−CN、−(CR−NO、−(CR−OR、−(CR−S(R)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−NR、−(CR−C(O)(R)、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)NR及び−(CR−S(O)NRからなる群から独立に選択される、1、2、3又は4個の置換基で置換されており;
及びRは、各出現において、独立に、水素、アルキル又はハロアルキルであり;mは、0、1、2、3、4、5又は6である。)。
【0033】
式(I)の化合物はまた、Rがシクロアルキル又は複素環であり、これらのそれぞれが独立に、非置換であり又は本明細書中に記載のように置換されているものも含む。とりわけ、Rは、
【0034】
【化6】

(それぞれは独立に、非置換であり又は本明細書中に記載のように置換されている。)であり得る。さらに、nは1又は2である(好ましくはnは1である。)。さらに、R及びRは、各出現において、それぞれ独立に、水素、アルキル、R又は−(CR−Rであり、R、R、R及びmは、本明細書中に記載のとおりである(特に、R及びRはそれぞれ独立に、C1−6アルキルであり、とりわけR及びRはメチルである。)。Rは−E−G又は−(CR−E−Gであり、E、G、R、R及びmは本明細書中に記載のとおりである(特に、Rは、−(CRm−O−G又は−(CR−N(R)−Gであり、G、R、R及びmは本明細書中に記載のとおりであり、とりわけ、Rは−(CH)−O−G又は−(CH)−N(R)−Gであり、G及びRは本明細書中に記載のとおりである。)。好ましくは、Rは、−(CH)−O−G又は−(CH)−N(R)−Gであり、Gは、各出現において、独立に、アリール又はヘテロアリールであり、このそれぞれは、独立に、非置換であり又は本明細書中に記載のように置換されており、Rは、水素、アルキル又はハロアルキルである。とりわけ、Rは−(CH)−O−G又は−(CH)−N(R)−Gであり、Gは、各出現において、独立に、フェニル又はピリジルであり、このフェニル及びピリジルは、それぞれ独立に、非置換であるか又は本明細書中に記載のように置換されており、Rは、水素又はC1−6アルキルである。
【0035】
当然のことながら、本発明は、好ましい、より好ましい及び最も好ましい実施形態を含む上記の実施形態の組み合わせでの式(I)の化合物をもくろむ。
【0036】
従って、本発明のある実施形態は、Rが−(CR−E−Gであり、R、R、m、E、G、R、R、R及びnが本明細書中に記載のとおりである式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせに関する。
【0037】
本発明の別の実施形態は、Rが−(CR−E−Gであり、EがO又は−N(R)であり、R及びRがそれぞれ独立に、水素又はC1−6アルキルであり、m、G、R、R、R及びnが本明細書中に記載のとおりである式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩又はこれらの組み合わせに関する。
【0038】
本発明の別の実施形態は、Rが−(CR−E−Gであり、EがO又は−N(R)であり、R及びRがそれぞれ独立に、水素又はC1−6アルキルであり、mが1であり、nが1であり、Gがアリール又はヘテロアリールであり、R、R及びRが本明細書中に記載のとおりである式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせに関する。
【0039】
本発明の別の実施形態は、Rが−(CR−E−Gであり、EがO又は−N(R)であり、R及びRがそれぞれ独立に、水素又はC1−6アルキルであり、mが1であり、nが1であり、Gがアリール又はヘテロアリールであり、R及びRがそれぞれ独立にC1−6アルキルであり、Rが本明細書中に記載のとおりである式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせに関する。
【0040】
本発明の別の実施形態は、Rが、非置換であり又は本明細書に記載のとおり置換されており、シクロアルキルであり、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はC1−6アルキルである。)、Gがアリール又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換であり又は本明細書中に記載のように置換されており、nが1であり、R及びRがそれぞれ独立にC1−6アルキルである式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせに関する。
【0041】
本発明の別の実施形態は、Rがシクロアルキルであり、これは非置換であるか又は次の置換基(C1−6アルキル、−CN、−OR、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(=NOH)NH、−C(=NH)NH又はヘテロアリール(R及びRはそれぞれ独立に、水素又はC1−6アルキルである。))の1つで置換されており、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はC1−6アルキルである。)、Gがアリール又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは独立に、非置換であり又はハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN又はヘテロアリールなどの1個の置換基により置換されており、nが1であり、R及びRがそれぞれ独立に、C1−6アルキルである式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせに関する。
【0042】
本発明の別の実施形態は、Rが、
【0043】
【化7】

であり;これらのそれぞれは独立に、非置換であり又は本明細書中に記載のように置換されており、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はメチルである。)、Gがフェニル又はピリジルであり、これらのそれぞれは独立に、非置換であり又は本明細書中に記載のように置換されている式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせに関する。最後に、R及びRは、各出現において、それぞれメチルであり、nは1である。
【0044】
本発明のさらなる実施形態は、Rが、
【0045】
【化8】

であり;これらのそれぞれは独立に、非置換であり、又は、メチル、−CN、−OH又は−C(O)ORから選択される1個の置換基で置換されており(Rはメチル又はエチル−C(O)NH、−C(=NOH)NH、−C(=NH)NH及びテトラゾリルである。)、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はメチルである。)、Gがフェニル又はピリジルであり、これらのそれぞれは独立に、非置換であり、又は、トリフルオロメチル、Cl、Br、F、I、−CN、イミダゾリル、トリアゾリルもしくはテトラゾリルなどの1個の置換基で置換されており、R及びRが、各出現において、メチルであり、nが1である式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせに関する。
【0046】
本発明の別の実施形態は、Rが、非置換であり又は本明細書中に記載のように置換されている複素環であり、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はC1−6アルキルである。)、Gがアリール又はヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換であり又は本明細書中に記載のように置換されており、nが1であり、R及びRがC1−6アルキルである式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせに関する。
【0047】
さらなる実施形態は、Rが非置換であり、又は、C1−6アルキル、−CN、−OR、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(=NOH)NH、−C(=NH)NH及びヘテロアリール(R及びRはそれぞれ独立に、水素又はC1−6アルキルである。)からなる群から選択される1個の置換基で置換されている複素環であり、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はC1−6アルキルである。)、Gがアリール又はヘテロアリールであり、このそれぞれは独立に、非置換であり、又は、ハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN又はヘテロアリールなどの1個の置換基で置換されており、nが1であり、R及びRが各出現において、それぞれC1−6アルキルである式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩又はこれらの組み合わせに関する。
【0048】
本発明の別の実施形態は、Rが、
【0049】
【化9】

であり、これらのそれぞれは、独立に、非置換であり又は本明細書中に記載のように置換されており、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はメチルである。)、Gがフェニル又はピリジルであり、これらのそれぞれは独立に、非置換であり又は本明細書中に記載のように置換されており、R及びRがそれぞれメチルであり、nが1である式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせに関する。
【0050】
本発明のさらなる実施形態は、Rが、
【0051】
【化10】

であり、これらのそれぞれは、独立に、非置換であり又は、メチル、−CN、−OH、−C(O)OR(Rはメチル又はエチルである。)、−C(O)NH、−C(=NOH)NH、−C(=NH)NHもしくはテトラゾリルなどの1個の置換基により置換されており、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はメチルである。)、Gがフェニル又はピリジルであり、これらのそれぞれは独立に、非置換であり、又は、トリフルオロメチル、Cl、Br、F、I、−CN、イミダゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリルなどの1個の置換基により置換されており、R及びRがそれぞれメチルであり、nが1である式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせに関する。
【0052】
本発明の代表的化合物には、以下に限定されないが、次のものが含まれる:
6−[(1−シクロヘプチル−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル)メトキシ]ニコチノニトリル;
4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アゼパン−1−カルボキサミド;
1−シクロヘプチル−3,3−ジメチル−4−(フェノキシメチル)ピロリジン−2−オン;
1−シクロヘプチル−4−{[(2−フルオロフェニル)(メチル)アミノ]メチル}−3,3−ジメチルピロリジン−2−オン;
6−{[1−(5−ヒドロキシシクロオクチル)−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル;
E−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド;
9−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン−3−カルボキサミド;
トランスエチル(1R,7S)−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート及びトランスエチル(1S,7R)−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート;
6−{[4,4−ジメチル−1−(4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル;
6−{[1−(5−シアノシクロオクチル)−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル;
E−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボニトリル;
E−4−(3,3−ジメチル−2−オキソ−4−{[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェノキシ]メチル}ピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド;
E−4−(4−{[4−(1H−イミダゾール−1−イル)フェノキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド;
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−({[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)ピロリジン−1−イル]−N’−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボキシイミドアミド;
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−({[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)ピロリジン−1−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド;及び
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−({[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)ピロリジン−1−イル]アダマンタン−1−カルボキシイミドアミド;又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせ。
【0053】
本発明の化合物は、治療的に許容可能な塩として存在し得る。「治療的に許容可能な塩」という用語は、水又は油に溶解性又は分散性であり、不適当な毒性、刺激及びアレルギー反応なく疾患の治療に適切であり、妥当な損益比を有し、意図した使用に対して有効である本化合物の塩又は両性イオンを指す。この塩は、この化合物の最終的単離及び精製中に、又は化合物のアミノ基を適切な酸と反応させることにより別個に調製することができる。例えば、この化合物を以下に限定されないがメタノール及び水などの適切な溶媒中で溶解させ、塩酸などの酸少なくとも1当量で処理することができる。得られた塩は、沈殿させ、濾過によって単離し、減圧下で乾燥させることができる。あるいは、溶媒及び過剰の酸を減圧下で除去して、塩を得ることができる。代表的な塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、イセチオン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、ピバリン酸、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、グルタミン酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが含まれる。この化合物のアミノ基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ラウリル、ミリスチル、ステアリルなどの塩化、臭化及びヨウ化アルキルで四級化することもできる。
【0054】
リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムもしくはアルミニウムなどの金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩又は有機一級、二級もしくは三級アミンなどの適切な塩基とカルボキシル基の反応によって、本発明の化合物の最終的な単離及び精製中に、塩基性付加塩を調製することができる。メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン及びN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどから誘導される4級アミン塩は本発明の範囲内にあるものとする。
【0055】
本発明の化合物は、医薬的に許容可能なプロドラッグとしても存在し得る。「医薬的に許容可能なプロドラッグ」という用語は、不適当な毒性、刺激及びアレルギー反応なく患者の組織と接触する使用に適切であり、妥当な損益比を有し、意図する使用に対して有効であるプロドラッグ又は両性イオンを指す。「プロドラッグ」という用語は、例えば血液中での加水分解によってインビボで急速に式(I)の親化合物に変換される化合物を指す。「プロドラッグ」という用語は、以下に限定されないが、「治療的に許容可能なエステル」として知られる置換基を含有する化合物を指す。「治療的に許容可能なエステル」という用語は、利用可能な炭素原子において親分子に懸垂しているアルコキシカルボニル基を指す。より具体的には、「治療的に許容可能なエステル」は、1以上の利用可能な本明細書で定義されるような、アリール、シクロアルキル及び/又は複素環基において親分子部分に懸垂しているアルコキシカルボニル基を指す。プロドラッグエステル基の例には、ピバロイルオキシメチル、アセトキシメチル、フタリジル、インダニル及びメトキシメチル、ならびに当技術分野で公知のその他のこのような基が含まれる。プロドラッグエステル基の他の例は、T.Higuchi及びV.Stella、A.C.S.Symposium SeriesのProdrugs as Novel Delivery Systems、Vol.14及びEdward B.Roche編、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987(この両者ともその全体を参照により本明細書に組み込む。)で見出される。
【0056】
本発明には、炭素−炭素二重結合及び炭素−窒素二重結合の幾何異性体を含む化合物が含まれる。炭素−炭素又は炭素−窒素二重結合周囲の置換基は、Z又はE配置であるとされ、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル周囲の置換基はシス又はトランス配置であるとされる。さらに、アダマンタン環系周囲の置換基は、Z又はEの相対配置とされる。例えば、C.D.Jones、M.Kaselj、R.N.Salvatore、W.J.le Novel J.Org.Chem.63:2758−2760、1998を参照。本明細書中に記載の本化合物の幾何異性体及びその混合物は全て、本発明の範囲内に包含される。
【0057】
本発明の化合物には不斉中心が存在する。本化合物の個々の立体異性体は、キラル原料からの合成によって、又はラセミ混合物の調製及びジアステレオマー混合物への変換とそれに続く分離もしくは再結晶、クロマトグラフィー技術、又はキラルクロマトグラフィーカラムでの鏡像異性体の直接分離によって調製される。特定の立体化学の原料は、市販されている又は本明細書中に記載の方法によって調製され、当技術分野で公知の技術によって分割される。
【0058】
本発明の化合物は、少なくとも1個の不斉中心を含み、1個の立体異性体として(例えば1個の鏡像異性体)、立体異性体の混合物として(例えば、鏡像異性体又はジアステレオマーの何らかの混合物)又はそのラセミ混合物として存在し得る。その結果、ラセミ混合物、ジアステレオマーの混合物、鏡像異性体の混合物ならびに個々の光学異性体を含め、実質的にそれらの鏡像異性体又は他のジアステレオマーを含まない本発明の化合物の鏡像異性体及び1個のジアステレオマーを含め、本発明の化合物の立体異性体は全て、本発明に含まれる。「実質的に含まない」とは、この化合物の他の鏡像異性体又はジアステレオマー約80%不含を超える、より好ましくはこの化合物の他の鏡像異性体又はジアステレオマー約90%不含を超える、さらにより好ましくはこの化合物の他の鏡像異性体又はジアステレオマー約95%不含を超える、さらにより好ましくはこの化合物の他の鏡像異性体又はジアステレオマー約98%不含を超える、最も好ましくはこの化合物の他の鏡像異性体又はジアステレオマー約99%不含を超えることを意味する。本明細書中で説明される化学構造に存在する不斉中心の立体化学が具体的に指定されない場合、その化学構造は、その化合物に存在する各不斉中心の各々の立体異性体を含む化合物を包含するものとする。
【0059】
本発明のさらなる実施形態は、請求項1に記載の式(I)の化合物の治療的有効量と;医薬的に許容可能なその担体と、を含む、医薬組成物に関する。
【0060】
本発明の治療組成物は、1以上の医薬的に許容可能な担体とともに処方される同化合物の有効量を含む。「医薬的に許容可能な担体」という用語は、本明細書中で使用する場合、無毒性の、固形、半固形又は液体の、充填剤、希釈剤、封入材料又はあらゆるタイプの製剤補助剤を表す。医薬的に許容可能な担体の例には、以下に限定されないが、糖、セルロース及びその誘導体、油、グリコール、溶液、緩衝剤、着色剤、放出剤、被覆剤、甘味料、香味料、香料及び当業者にとって公知のその他の医薬的に許容可能な担体が含まれる。これらの治療組成物を非経口、嚢内、経口、直腸又は腹腔内投与することができる。
【0061】
本発明の化合物の経口投与のための液体剤形には、エマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルなどの剤形が含まれる。本化合物に加えて、液体剤形には、希釈剤び/又は可溶化又は乳化剤が含まれ得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物には、湿潤剤、乳化剤、甘味料、香味料及び香料が含まれ得る。
【0062】
本発明の化合物の注射用製剤は、滅菌された注射用の水性及び油性溶液、懸濁液又は乳液を含み、これらの何れも、場合によっては、非経口投与に適切な、希釈剤、分散剤、湿潤剤又は懸濁剤とともに処方することができる。細菌捕捉フィルターを介したろ過により、これらの注射用製剤を滅菌することができる又は注射用溶液中で溶解又は分散する滅菌剤とともに処方することができる。
【0063】
低水溶性の結晶又は非晶質材料の液体懸濁液を用いることによって、本発明の化合物による11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素の阻害を遅延させることができる。本化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、また、その結晶化度にも依存する。油中で化合物を溶解又は懸濁することによって、非経口投与された化合物の遅延吸収を行うことができる。生体分解性ポリマーで本化合物をマイクロカプセル封入することによって、本化合物の注射用デポー形態を調製することもできる。ポリマーに対する化合物の比及び使用するポリマーの性質に依存して、放出速度を制御することができる。身体組織に適合可能なリポソーム又はマイクロエマルジョン中に本化合物を封入することによって、デポー注射用製剤を調製することもできる。
【0064】
本発明の化合物の経口投与のための固体剤形には、以下に限定されないが、カプセル、錠剤、丸剤、粉末及び顆粒が含まれる。このような形態において、担体、充填剤、増量剤、崩壊剤、溶解−遅延剤、湿潤剤、吸収剤又は潤滑剤などの、少なくとも1つの不活性の治療に適切な賦形剤と本化合物を混合する。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、賦形剤は、緩衝剤も含有し得る。通常温度では固体であるが直腸では液体となる適切な非刺性激賦形剤と本化合物を混合することによって、直腸投与用の座薬を調製することができる。
【0065】
上記で既に述べた賦形剤又は担体の1以上を用いて本発明の化合物をマイクロカプセル封入することができる。腸溶性及び放出制御などのコーティング及びシェルを用いて、錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤及び顆粒の固体剤形を調製することができる。これらの形態において、少なくとも1つの不活性希釈剤と本発明の化合物を混合することができ、場合によっては錠剤化潤滑剤及び補助剤を含めることができる。場合によっては、腸管の所望の部分で本化合物の放出を遅延させる隠蔽剤をカプセルに含めることもできる。
【0066】
経皮パッチは、身体への本発明の化合物の制御送達を可能にするというさらなる長所を有する。適切な溶液中で本化合物を溶解又は分散させることによって、剤形を調製する。皮膚を通過する本化合物の流れを向上させるために、吸収促進剤を使用することもでき、吸収速度は、速度調整膜を与えることによって、又はポリマーマトリックスもしくはゲル中で本化合物を分散させることによって、制御することができる。
【0067】
所望の結果を達成するのに必要とされる量で必要とされる時間、本発明の化合物の治療的有効量を患者に投与することによって、患者において治療又は予防できる疾患。「治療的有効量」という用語は、何らかの治療に適用できる妥当な損益比で11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素を阻害することによって疾患を効果的に改善するための式(I)の化合物の十分な量を指す。何れかの特定の患者に対する具体的な治療的有効量レベルは、治療される疾患及びその疾患の重症度;使用する化合物の活性;使用する具体的組成物;患者の年齢、体重、全身的健康状態、性別及び食事;投与の時間、投与経路、排出速度;治療の持続期間;及び組み合わせて又は同時に行う治療で使用する薬物を含む様々な因子に依存し得る。
【0068】
単回投与又は分割投与で11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素の作用を阻害するのに必要な本発明の化合物の1日総投与量は、例えば、約0.01から50mg/kg体重の量であり得る。より好ましい範囲において、本発明の化合物は、約0.05から25mg/kg体重で、単回投与又は分割投与で、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素の作用を阻害する。単回投与組成物は、1日量を構成するために本発明の化合物のこのような量又はその約数用量を含有し得る。一般に、治療計画は、単回又は複数回投与での、1日あたり本化合物の約1mgから約1000mgの、このような治療を必要とする患者への投与を含む。
【0069】
様々な化合物に関する本発明の上記の実施形態に加えて、本発明の他の実施形態は、様々な方法に関する。本発明の別の実施形態において、式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩又はこれらの組み合わせの治療的有効量を哺乳動物に投与することによって、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素を阻害する方法を提供する。
【0070】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)の化合物の治療的有効量を哺乳動物に投与することによって、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素を阻害することを介して哺乳動物において疾患を治療する方法に関する。特に、この疾患は、以下に限定されないが、インスリン非依存性2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、メタボリックシンドローム又は過剰な糖質コルチコイド作用が介在するその他の疾病及び状態であり得る。本発明のさらに別の実施形態は、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素を阻害することによる、哺乳動物における過剰な糖質コルチコイド作用が介在する疾病及び状態を治療する方法に関する。
【0071】
式(I)の化合物の投与に関連する様々な方法は、次の原理に基づく。糖質コルチコイドは、幅広い組織及び器官での複数の生理的プロセスを制御することにおいて重要な役割を担うステロイドホルモンである。例えば、糖質コルチコイドは、グルコース及び脂質代謝の強力な制御因子である。過剰な糖質コルチコイド作用により、インスリン抵抗性、2型糖尿病、脂質異常症、内臓肥満及び高血圧が起こり得る。ヒトにおいて、コルチゾールは糖質コルチコイドの主要な活性型であり、コルチゾンは糖質コルチコイドの主要な不活性型であり、一方、コルチコステロン及びデヒドロコルチコステロンは、それぞれ、げっ歯類の主要な活性及び不活性型である。
【0072】
以前、糖質コルチコイド作用の主要な決定因子は、循環ホルモン濃度及び標的組織における糖質コルチコイド受容体の密度であると考えられていた。この十年、組織糖質コルチコイドレベルもまた、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素(11β−HSD)により制御され得ることが発見された。異なる基質親和性及び補因子を有する2種類の11β−HSDアイソザイムがある。11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素(11β−HSD−1)は、補因子としてNADPH/NADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)が選択される、マイクロモル範囲のコルチゾンに対するK値を有する低親和性酵素である。11β−HSD−1は広く発現され、特に肝臓、脳、肺、脂肪組織及び血管平滑筋細胞で高い発現レベルが見られる。インビトロ試験から、11β−HSD−1がレダクターゼ及びデヒドロゲナーゼの両方として作用できることが示される。しかし、多くの研究から、インビボ及び無傷細胞ではこれが主にレダクターゼであることが分かった。これは、不活性11−ケト糖質コルチコイド(即ちコルチゾン又はデヒドロコルチコステロン)を活性のある11−ヒドロキシ糖質コルチコイド(即ちコルチゾール又はコルチコステロン)に変換し、従って組織特異的に糖質コルチコイド作用を増幅する。
【0073】
11β−HSD−1に対するホモロジーがわずか20%である11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型酵素(11β−HSD−2)はNAD依存性であり、ナノモル範囲のコルチゾールに対するK値を有する高親和性デヒドロゲナーゼである。11β−HSD−2は、主に、腎臓、結腸及び胎盤などの鉱質コルチコイド標的組織で見出される。糖質コルチコイド作用には、鉱質コルチコイド受容体及び糖質コルチコイド受容体などの受容体への糖質コルチコイドの結合が介在する。その受容体への結合を通じて、主要な鉱質コルチコイド、アルドステロンが身体の水及び塩のバランスを制御する。しかし、鉱質コルチコイド受容体は、コルチゾール及びアルドステロンの両方に対して親和性が高い。11β−HSD−2は、コルチゾールを不活性なコルチゾンに変換し、従って、非選択的鉱質コルチコイド受容体が高レベルのコルチゾールに曝露されるのを妨げる。11β−HSD−2をコードする遺伝子で突然変異が起こると、仮性鉱質コルチコイド過剰症候群(AME)が起こるが、これは先天性症候群であり、結果として低カリウム血症及び重度高血圧となる。11β−HSD−2活性低下のために、AME患者のコルチゾールレベルは鉱質コルチコイド標的組織において上昇している。11β−HSD−2阻害剤、グリシルレチン酸の投与によって、AME症状を誘発することもできる。胎盤における11β−HSD−2の活性はおそらく、母親の糖質コルチコイドへの過剰な曝露(この結果として、高血圧、耐糖能異常及び成長遅滞を招き得る。)から胎児を保護するために重要である。11β−HSD-2阻害による潜在的副作用のために、本発明は、選択的11β−HSD−1阻害剤を記載する。
【0074】
糖質コルチコイドレベル及び/又は活性は、2型糖尿病、肥満、脂質異常症、インスリン抵抗性及び高血圧を含む多くの疾患に関与し得る。本発明の化合物の投与によって、標的組織におけるコルチゾール及び他の11β−ヒドロキシステロイドのレベルが低下し、それによってキーとなる標的組織における糖質コルチコイドの影響が減少する。本明細書中に記載の疾患及び状態の、治療、制御、改善、予防、発症遅延又は発現リスク低下のために本発明を使用し得る。
【0075】
糖質コルチコイドはグルコース及び脂質代謝の強力な制御因子なので、糖質コルチコイド作用は、インスリン抵抗性、2型糖尿病、脂質異常症、内臓肥満及び高血圧に関与又はこれらを誘発し得る。例えば、コルチゾールは、肝臓においてインスリンの効果に拮抗し、その結果、インスリン感受性が低下し、糖新生が向上する。耐糖能が既に低下している患者は、異常に高いレベルのコルチゾールの存在下で2型糖尿病を発症する可能性がより高くなる。先行研究(B.R.Walkerら、J.of Clin.Endocrinology及びMet.、80:3155−3159、1995)から、非選択的11β−HSD−1阻害剤、カルベノキソロンの投与によってヒトにおいてインスリン感受性が向上することが示されている。従って、11β−HSD−1阻害剤の治療的有効量の投与によって、2型糖尿病を治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防することができる。
【0076】
インビボでの糖質コルチコイドの投与によって、ラットにおいてインスリン分泌が低下することが分かっている(B.Billaudelら、Horm.Metab.Res.11:555−560、1979)。11β−HSD−1によるデヒドロコルチコステロンのコルチコステロンへの変換によって単離マウス膵臓β細胞からのインスリン分泌が抑制されることが報告されている(B.Davaniら、J.Biol.Chem.、275:34841−34844、2000)。さらに、単離膵島を11β−HSD−1阻害剤とともに温置するとグルコース刺激性インスリン分泌が向上することが報告されている(H Orstaterら、Diabetes Metab.Res.Rev.、21:359−366、2005)。従って、11β−HSD−1阻害剤の治療的有効量の投与を行い、膵臓でのグルコース刺激によるインスリン分泌を向上させることにより、2型糖尿病を治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防することができる。
【0077】
腹部肥満は耐糖能異常(C.T.Montaqueら、Diabetes、49:883−888、2000)、高インスリン血症、高トリグリセリド血症及びメタボリックシンドローム(シンドロームXとしても知られる。)の他の因子(高血圧、高VLDL及び低HDLなど)と密接に関連する。メタボリックシンドロームの発症機序における11β−HSD−1の役割を支持する動物データは多岐にわたる(Masuzakiら、Science、294:2166−2170、2001;Paterson、J.M.ら;Proc Natl.Acad.Sci.USA.101:7088−93、2004;Montague及びO’Rahilly、Diabetes.49:883−888、2000)。従って、11β−HSD−1阻害剤の治療的有効量の投与により、肥満を治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防することができる。肥満の発症を遅延させることにおいて、又は、調整された食事、運動と組み合わせるか又はその他の医薬的アプローチと組み合わせるか又はこれと連続して11β−HSD−I阻害剤を患者が使用する場合、おそらくそれを完全に予防することにおいて、11β−HSD−1阻害剤での長期治療はまた有用であり得る。
【0078】
インスリン抵抗性を低下させる及び/又は血清グルコースを正常濃度に維持する及び/又は肥満を緩和することによって、2型糖尿病及びインスリン抵抗性を伴う状態(以下に限定されないが、メタボリックシンドローム又はシンドロームX、肥満、反応性低グリセリン血症、糖尿病性脂質異常症及び当業者にとって公知の2型糖尿病及びインスリン抵抗性を伴うその他の状態など)の治療及び予防においても本発明の化合物は有用である。
【0079】
さらに、11β−HSD−1は血管平滑筋細胞などの複数の組織に存在するが、そこではインスリン抵抗性を向上させると思われる局所的糖質コルチコイドレベルによって酸化窒素産生が低下し、カテコールアミン及びアンジオテンシンII両方の血管収縮効果が高められる(M.Pirpirisら、Hypertension、19:567−574、1992、C.Kornelら、Steroids、58:580−587、1993、B.R.Walker及びB.C.Williams、Clin.Sci.82:597−605、1992;Hodge、G.ら、Exp.Physiol 87:1−8、2002)。クッシング病患者で観察されるように、鉱質コルチコイド受容体が存在する組織での高レベルのコルチゾールによって高血圧が起こり得る(D.N.Orth、N.Engl.J.Med.332:791−803、1995、M.Boscaroら、Lancet、357:783−791、2001、X.Bertagnaら、Cushing’s Disease.In:Melmed S、編、The Pituitary.第2版、Malden、MA:Blackwell;592−612、2002を参照。)。肝臓及び脂肪において11β−HSD−1を過剰発現するトランスジェニックマウスもまた高血圧であり、レニンアンジオテンシン系の糖質コルチコイド活性による結果と思われる表現型を有する(Paterson、J.M.ら、PNAS.101:7088−93、2004;Masuzaki、H.ら、J.Clin.Invest.112:83−90、2003)。従って、11β−HSD−1阻害剤の治療的有効用量の投与によって、高血圧を治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防することができる。
【0080】
別の症候群、クッシング症候群は、副腎からのコルチゾールの内因性の過剰産生により起こる、持続的で高い糖質コルチコイドレベルを特徴とする生命にかかわる代謝性疾患である。典型的なクッシング症候群の特徴には、特に、中央部肥満、糖尿病及び/又はインスリン抵抗性、満月様顔貌、野牛肩、皮膚菲薄化、脂質異常症、骨粗しょう症、認知能力低下、認知症、高血圧、睡眠不足及びアテローム性動脈硬化症が挙げられる(Principles and Practice of Endocrinology and Metabolism.Kenneth Becker編集、Lippincott Williams and Wilkins Publishers、Philadelphia、2001;723−8頁)。同じ特徴は、抗炎症治療計画の一部としてのプレドニゾン又はデキサメタゾンなどの外因性糖質コルチコイドの高用量の外側からの投与によっても生じ得る。外因性クッシングは、一般に、下垂体過形成、いくつかのその他のACTHの異所性ソースから、又は副腎癌もしくは結節性過形成から発展する。11β−HSD−1阻害剤の治療的有効用量の投与によって局所的糖質コルチコイド濃度を低下させることができ、従って、クッシング病及び/又は糖質コルチコイド治療から生じる同様の症候群を、治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防することができる。
【0081】
クッシング病患者において、過剰なコルチゾールレベルは、高血圧、脂質異常症、インスリン抵抗性及び肥満、メタボリックシンドロームの特徴である状態の発現に関与する(Orth、D.N.ら、N.Engl.J.Med.332:791−803、1995;Boscaro、M.ら、Lancet、357:783−791、2001、Bertagna、X.ら、Cushing’s Disease.In:Melmed S、編。The Pituitary.第2版、Malden、MA:Blackwell;592−612、2002)。高血圧及び脂質異常症はまたアテローム性動脈硬化症の発現にも関与する。11β−HSD−1ノックアウトマウスは、高脂肪食の脂質異常症性の影響に抵抗性があり、野生型対照に対して脂質プロファイルが向上しており(Morton N.M.ら、JBC、276:41293−41300、2001)、脂肪において11β−HSD−1を過剰発現するマウスは、循環遊離脂肪酸及びトリグリセリドの上昇を含むメタボリックシンドロームの特徴である脂質異常症性表現型を示す(Masuzaki、H.ら、Science.294:2166−2170、2001)。選択的11β−HSD−1阻害剤の投与によって、高脂肪食のマウスにおいて上昇した血漿トリグリセリド及び遊離脂肪酸が低下し、コレステロールエステルの大動脈含量が顕著に低下し、マウスのアテローム斑の進行が低下することも示されている(Hemanowski−Vosatka、A.ら、J.Exp.Med.202:517−27、2005)。従って、11β−HSD−1阻害剤の治療的有効量の投与は、脂質異常症及び/又はアテローム性動脈硬化症を、治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防することができると予想される。
【0082】
さらに、哺乳動物の脳において11β−HSD−1が発現されることはよく知られており、公開されているデータから、糖質コルチコイドによって神経変性及び機能不全(特に老齢において)が引き起こされ得ることが示される(de Quervainら;Hum Mol Genet.13:47−52、2004;Belanoffら、J.Psychiatr Res.35:127−35、2001)。げっ歯類及びヒトでの証拠から、血漿糖質コルチコイドレベルの上昇が長引くことで認知機能(加齢とともに顕著となる。)が損なわれることが分かる(Issa、A.M.ら、J.Neurosci.10:3247−54、1990;Lupien、S.Jら、Nat.Neurosci.1:69−73、1998;Yau、J.L.W.ら、Proc Natl Acad Sci USA.98:4716−4712、2001)。Thekkapatらは、最近、ヒト海馬、前頭葉及び小脳において11β−HSD−1 mRNAが発現されること及び非選択的HSD1/2阻害剤カルベノキソロンでの老齢糖尿病患者の治療によって、言語の流暢さ及び記憶が改善することを示した(Proc Natl Acad Sci USA.101:6743−9、2004)。糖質コルチコイドのさらなるCNSの影響には、糖質コルチコイド誘発性急性精神病が含まれ、これは、これらのステロイド剤を用いて患者を治療する際、医師にとって重大な懸念である(Wolkowitzら;Ann NY Acad Sci.1032:191−4、2004)。マウスにおける糖質コルチコイド受容体の条件付き突然変異誘発試験によってもまた、脳内での糖質コルチコイドシグナリングの低下の結果、不安神経症が低下する遺伝学的証拠が与えられた(Tranche、F.ら(1999)Nature Genetics 23:99−103)。従って、強力な選択的11β−HSD−1阻害剤は、認知障害、認知症、ステロイド誘発性急性精神病、うつ及び/又は不安神経症を、治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防すると予想される。
【0083】
糖質コルチコイドはまた、皮膚菲薄化及び創傷治癒障害を含む様々な皮膚関連の副作用を引き起こすことも知られている(Anstead、G.Adv Wound Care.11:277−85、1998;Beerら;Vitam Horm.59:217−39、2000)。ヒト皮膚繊維芽細胞において11β−HSD−1が発現され、非選択的HSD1/2阻害剤グリシルレチン酸での局所処置によって、皮膚血管収縮アッセイにおいて局所的に塗布されたヒドロコルチゾンの効力が増強することが示されている(Hammami、MM及びSiiteri、PK.J.Clin.Endocrinol.Metab.73:326−34、1991)。創傷治癒におけるBVT.2733などの選択的11β−HSD−1阻害剤の好都合な効果も報告されている(WO2004/11310)。高レベルの糖質コルチコイドは治癒組織への血流及び新しい血管の形成を抑制する。血管形成のインビトロ及びインビボモデルから、糖質コルチコイド受容体RU−486との全身的拮抗によって皮下スポンジならびに冠動脈結紮後のマウス心筋での血管形成が促進されることが示された(Walkerら、PNAS、102:12165−70、2005)。11β−HSD−1ノックアウトマウスによってもまた、スポンジ、創傷及び梗塞を起こした心筋内でのインビトロ及びインビボでの血管形成促進が示された。従って、強力で選択的な11β−HSD−1阻害剤が、皮膚菲薄化を、治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防し、及び/又は創傷治癒及び/又は血管形成を促進することが予想される。
【0084】
コルチゾールは重要でありよく認識されている抗炎症剤ではあるが(J.Baxer、Pharmac.Ther、2:605−659、1976)、大量に存在する場合、有害な影響もある。一般に結核、乾癬及びストレスなどのある種の疾患状態において、高糖質コルチコイド活性は、実際には細胞性反応が患者にとってより有益であり得る場合、免疫反応を液性反応へと変化させる。11β−HSD−1活性の阻害によって糖質コルチコイドレベルが低下し得、それにより、免疫反応が細胞性反応へと変化する。(D.Mason、Immunology Today、12:57−60、1991、G.A.W.Rook、Baillier’s Clin.Endocrinol.Metab.13:576−581、1999)。従って、11β−HSD−1特異的阻害剤の投与は、結核、乾癬、ストレス及び高糖質コルチコイド活性によって免疫反応を液性反応へと変化させる疾患又は状態を、治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防し得る。
【0085】
局所及び全身性糖質コルチコイド療法に伴うより顕著な副作用の1つは緑内障であり、その結果、眼内圧が非常に上昇し、結果として失明の可能性がある(Armalyら;Arch Ophthalmol.78:193−7、1967;Stokesら;Invest Ophthalmol Vis Sci.44:5163−7、2003)。眼において房水の殆どを産生する細胞は、非色素上皮細胞(NPE)である。これらの細胞は、11β−HSD−1を発現することが分かっている。さらに、11β−HSD−1の発現と一致して、房水中のコルチゾール:コルチゾンの割合が上昇する(Rauzら、Invest Ophthalmol Vis Sci.42:2037−2042、2001)。さらに、緑内障であるが外因性ステロイドを摂取していない患者の房水中でコルチゾール対コルチゾンのレベルが上昇していることが示されている(Rauzら、QJM.96:481−490、2003)。4又は7日間の非選択的HSD1/2阻害剤カルベノキソロンで患者を治療することによって、眼内圧及び眼内の局所的コルチゾール産生が顕著に低下した(Rauzら;QJM.96:481−490、2003)。従って、強力で選択的な11β−HSD−1阻害剤は、緑内障を、治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防すると予想される。
【0086】
糖質コルチコイドはまた、哺乳動物において、骨吸収を増加させ、骨形成を低下させることも知られている(Turnerら、Calcif Tissue Int.54:311−5、1995;Lane、NEら、Med Pediatr Oncol.41:212−6、2003)。11β−HSD−1 mRNA発現及びレダクターゼ活性がヒト骨のホモジェネート中のヒト骨芽細胞の初代培養において示されている(Blandら;J.Endocrinol.161:455−464、1999;Cooperら;Bone、23:119−125、2000)。整形外科手術から得られた手術外植片において、骨芽細胞の初代培養における11β−HSD−1発現が若いドナーと老齢ドナーとの間でおよそ3倍高くなることが分かった(Cooperら;J.Bone Miner Res.17:979−986、2002)。プレドニゾン及びデキサメタゾンなどの糖質コルチコイドもまた、関節炎、炎症性腸疾患及び喘息を含む様々な炎症状態を治療するために一般に使用される。これらのステロイド剤は、11β−HSD−1 mRNAの発現及びヒト骨芽細胞における活性を上昇させることが分かっている(Cooperら;J.Bone Miner Res.17:979−986、2002)。これらの研究から、過剰な糖質コルチコイドレベル又は活性の結果として、骨関連有害事象の発現において11β−HSD−1が潜在的に重要な役割を果たすことが示唆される。非選択的HSD1/2阻害剤カルベノキソロンを経口投与された健康なヒトボランティアから採取した骨試料は、骨吸収のマーカーが顕著に低下していた(Cooperら;Bone.27:375−81、2000)。従って、強力で選択的な11β−HSD−1阻害剤は、糖質コルチコイド誘発性又は加齢による骨粗しょう症の状態を、治療、制御、改善、その発症を遅延又は予防する。
【0087】
上記に加えて、次の疾病、疾患及び状態もまた、本発明の化合物によって、治療、制御、改善、予防又はその発症を遅延することができる:(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、4)脂質障害、(5)高脂血症、(6)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)ニューロパシー、(20)高血圧及びインスリン抵抗性が一要素であるその他の疾患及び(21)局所的糖質コルチコイドレベルの低下が有益であり得るその他の疾病、疾患及び状態。
【0088】
生物学的データ
阻害定数の測定:
シンチレーション近接アッセイ(SPA)において、インビトロでヒト11β−HSD−1酵素活性を阻害する試験化合物の能力を評価した。コルチゾールへの変換を起こすために、トリチウム化コルチゾン基質、NADPH補因子及び漸増化合物を短縮型ヒト11β−HSD−1酵素(24−287AA)と室温で温置した。非特異的11β−HSD阻害剤、18β−グリシルレチン酸を添加することによって反応を停止させた。抗コルチゾールモノクローナル抗体及び抗マウス抗体で被覆したSPAビーズの混合物によってトリチウム化コルチゾールを捕捉した。反応プレートを室温で振盪し、次に、SPAビーズに結合した放射活性をβ−シンチレーションカウンターで測定した。220μLの総体積で、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて11−βHSD−1アッセイを行った。アッセイを開始するために、17.5nM H−コルチゾン、157.5nMコルチゾン及び181mM NADPHを含有するマスター混合液188μLをウェルに添加した。順方向に反応を進めるために、1mM G−6−Pも添加した。10mM保存液を調製するために固形化合物をDMSO中で溶解させ、次に、Tris/EDTA緩衝液(pH7.4)中3% DMSOで続いて10倍希釈した。次に、漸増化合物22μLをトリプリケートで基質に添加した。11β−HSD−1酵素を過剰発現する0.1mg/mL E.コリ溶解液10μLを添加することによって、反応を開始させた。室温で30分間、プレートを振盪し温置した後、1mMグリシルレチン酸10μLを添加することによって反応を停止させた。1μMモノクローナル抗コルチゾール抗体10μL及び抗マウス抗体で被覆した100μL SPAビーズを添加することによって、産物、トリチウム化コルチゾールを捕捉した。30分間振盪した後、液体シンチレーションカウンターTopcountでプレートの読み取りを行った。バックグラウンド及び最大シグナルに基づき、%阻害を計算した。化合物又は酵素なしで基質を含有するウェルをバックグラウンドとして使用し、一方、化合物なしで基質及び酵素を含有するウェルを最大シグナルとみなした。最大シグナルに対して各化合物に対する阻害の%を計算し、IC50曲線を作成した。このアッセイを11β−HSD−2にも適用した(トリチウム化コルチゾール及びNADをそれぞれ基質及び補因子として使用した。)。
【0089】
本発明の化合物は上述の11−βHSD−1アッセイで活性があり、表1で示されるように、ヒト11−β−HSD−2よりもヒト11−β−HSD−1に対して選択性を示す。
【0090】
【表1】

【0091】
表1のデータは、化合物A、B、C及びDが上述のヒト11β−HSD−1酵素SPAアッセイで活性があり、試験した化合物が11−β−HSD−2よりも11−β−HSD−1に対して選択性を示すことを示す。本発明の11β−HSD−1阻害剤は一般に、阻害定数IC50が5μM未満、好ましくは500nM未満である。好ましくは、本化合物は選択的であり、11β−HSD−2に対する阻害定数IC50が1000nMより大きく、好ましくは10,000nMより大きい。一般に、本化合物の、11β−HSD−1に対する11β−HSD−2のIC50比は少なくとも10以上であり、好ましくは100以上である。
【0092】
合成方法
次の合成スキームに関連して、本発明の化合物及びプロセスをより詳細に理解できよう(この合成スキームは本発明の化合物を調製することができる方法を示す。)。別段の断りがない限り、置換基は全て本明細書中で定義されるとおりである。市販品として出発材料を得ることができるか又は当業者にとって公知のよく確立された文献に記載の方法によって調製することができる。
【0093】
本発明は、合成プロセスによって又は代謝プロセスによって調製される場合、本明細書中に記載のような式(I)を有する化合物を包含するものとする。代謝プロセスによる本発明の化合物の調製には、ヒト又は動物の体内(インビボ)で起こるもの又はインビトロで起こるプロセスが含まれる。
【0094】
本明細書中に記載のスキームは単に説明を目的とするものであり、一連の合成経路の適切な操作、反応条件に適合しない何らかの化学官能基の保護及びその方法の反応の流れの適切な時点での脱保護を含む通常の実験が本発明の範囲内であることを理解されたい。適切な保護基及びこのような適切な保護基を用いた様々な置換基の保護及び脱保護の方法は当業者にとって周知である。T.Greene及びP.Wuts、Protecting Groups in Chemical Synthesis(第3版)、John Wiley & Sons、NY(1999)(その全体を参照により本明細書に組み込む。)において例を見出すことができる。
【0095】
スキーム1
【0096】
【化11】

【0097】
式(2)の化合物は一般に、式G−W(Wは、例えばスルホニルオキシ基(例えば、4−メチルベンゼスルホニルオキシ(4−methylbenzesulfonyloxy)、ベンゼンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシなど)などの適切な反応性脱離基であり又はハロ基(例えば、Cl、Br、F又はI)であり、ハロ基が好ましい。)の化合物と式(1)のアルコールを反応させることによって調製することができる。エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど)、芳香族溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなど)、両性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの、C1−6カルボン酸のN,N−ジメチルアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノンなど)又はこれらの溶媒の何れかの組み合わせなどの反応不活性溶媒中で反応物を混合することにより、O−アルキル化反応を都合よく行うことができる。ヒドロキシル基を脱プロトン化し、反応速度を促進するために、アルカリ金属水素化物又はアルコキシドなどの適切な塩基の添加を使用することができる。一部の例において、反応速度を向上させるために添加することができるヘキサメチルホスホールアミド又は1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどの共溶媒の存在下で反応を行うことは、有利であり得る。あるいは、三級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンなど)、ピリジン、アルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素塩、カルボン酸塩、水酸化物又は酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酢酸ナトリウムなどの有機塩基を場合によっては使用し、一連の反応中に形成される酸を捕らえることができる。この反応は通常、脱離基の選択、塩基の有無及び共溶媒の有無に依存して、室温前後から高温(例えば80−100℃)で行われる。
【0098】
あるいは、トリフェニルホスフィン及びアゾジカルボキシレート(ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートなど)及び無水反応−不活性溶媒の混合液の存在下で、室温以下で、式G−OHのアルコールで式(1)のアルコールを処理することによって、式(2)の化合物を得ることができる。適切な反応不活性溶媒の非限定例は、脂肪族炭化水素(例えばヘキサンなど)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、キシレン、ベンゼンなど)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど)及び両性溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド)である。
【0099】
【化12】

【0100】
スキーム2で示されるように、式(1)の化合物から式(4)の化合物を調製することができる。室温前後で溶媒(例えばジクロロメタン)中でデス−マーチンペルヨージナンなどの酸化剤で処理することによって、式(1)の化合物を式(3)のアルデヒドに酸化することができる。
【0101】
式(3)のアルデヒドの還元的アミノ化から、Rが水素又はメチルである式(4)の化合物を調製することができる。適切な反応不活性溶媒中で還元剤及び式HNR−G(Rは水素又はメチルである。)のアミンの存在下で反応物の混合物を還元することによって、還元的アミノ化を行うことができる。特に、反応を促進するために、反応混合物を撹拌及び/又は加熱することができる。例えば、適切な溶媒には、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなど)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタンなど)、両性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなど)又はこれらの溶媒混合液が含まれる。還元剤の非限定例には、炭素担持パラジウム、炭素担持白金などの適切な触媒存在下での、シアノ水素化ホウ素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム又は水素(場合によっては高圧で行われる。)が含まれる。水素源には、ガス状水素、ギ酸、シクロヘキシルジエンなどのシクロジエン又はギ酸アンモニウムなどのギ酸の塩が含まれる。ホウ化水素が還元剤として使用される一方、以下に限定されないが、酢酸、塩酸又は4Å分子ふるいなどの酸の存在下で反応を行うことが有利であり得る。
【0102】
が水素である式(4)の化合物は、式R−W(Wは本明細書中で定義されるとおりである。)を有する化合物でのN−アルキル化のプロセスによって、Rがアルキル又はハロアルキルである式(4)の化合物に変換され得る。場合によっては芳香族溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、C1−6カルボン酸のエステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなど)、ケトン(例えば、2−プロパノン、アセトンなど)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルなど)、両性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなど)又はこれらの溶媒の混合液などの反応不活性溶媒中で、反応物を混合することによって、アルキル化を行うことができる。反応中に形成される酸を捕らえるために、アルカリ金属、アルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酸化物、カルボン酸塩(例えば炭酸ナトリウム)、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、酸化カルシウム、酢酸ナトリウムなど)又はピリジンもしくは三級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンなど)などの有機塩基といった適切な塩基の添加を場合によっては使用することができる。室温前後又は高温で反応を行う。
【0103】
【化13】

【0104】
スキーム3で示されるように、R101がC1−6アルキルである式(5)の化合物から、式(I)の化合物を調製することができる。高温(例えば、50−100℃、好ましくは60−90℃)でC1−6アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−ブタノールなど)などの溶媒中で式RNHのアミンで処理する場合、式(5)の化合物が環状化され、式(6)のラクタムが得られる。
【0105】
式(6)の化合物の還元によって、式(7)のアルコールが与えられる。室温にて、メタノールなどの溶媒又はトルエンなどの芳香族溶媒中で、適切な還元剤とともに式(6)の化合物を撹拌し、必要に応じて適切な溶媒中で反応物を加熱することによって、還元反応を行うことができる。適切な還元剤の非限定例には、以下に限定されないが、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウムなどが含まれる。
【0106】
イミダゾールの存在下で及びN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中で、式(R102SiX(XはCl、Br又はIであり、各R102は、独立にC1−6アルキルである(好ましくはtert−ブチルジメチルシリル・クロリド)。)のハロゲン化トリアルキルシリルで処理することによって、式(7)の化合物を保護する。結果として、Pが−Si(R102である式(8)の化合物が与えられる。
【0107】
式(8)の化合物は、モノアルキル化されて、R及びRの一方が水素である式(9)の化合物を与える、又は、ビスアルキル化されて、R及びRが両方とも水素以外である式(9)の化合物を与えることができる。1つの容器中の操作で連続してビス−アルキル化を行うことができる。
【0108】
以下に限定されないが水素化金属(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウムなど)又は金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなど)などの塩基及び以下に限定されないがハロゲン化アルキル(例えば、ヨウ化メチル、臭化アリルなど)などのアルキル化剤存在下で、一般式(11)のエステルのモノ又はビス−アルキル化を行うことができる。
【0109】
この反応は通常、以下に限定されないが、N,N−ジメチルホルムアミド無水物などの溶媒中で、約0℃から約23℃の室温にて行われる。
【0110】
式(1)の化合物を与えるために、保護基Pの除去を行うことができる。周囲温度で、C1−6アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、エーテル(例えばテトラヒドロフランなど)又はハロアルカン(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなど)などの溶媒中で、酸(例えば、塩酸など)又はフッ化テトラブチルアンモニウムと共に撹拌することによってこれを行うことができる。
【0111】
【化14】

【0112】
スキーム4で示されるように、ブト−2−エン−1,4−ジオールから式(17)の化合物を調製することもできる。スキーム3の(7)から(8)への変換において記載のような反応条件を用いて、Pがトリアルキルシリル、特に、Pがtert−ブチルジメチルシリルである式(11)の化合物を与えるためのブト−2−エン−1,4−ジオールのモノ保護を行うことができる。
【0113】
室温前後以下の温度での、4−ジメチルアミノピリジン及び有機塩基(例えば、3級アミン(ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなど))存在下での、ハロアルカン(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなど)又はエステル(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなど)などの溶媒中での、式(10)の酸塩化物(購入する又は室温前後から60℃で溶媒中で、塩化チオニル又は塩化オキサリルなどの塩化剤で、場合によっては少量のN,N−ジメチルホルムアミドの存在下で、対応する酸を処理することによりインシトゥで調製する。)との式(11)の化合物の反応。
【0114】
芳香族炭化水素(例えば、トルエン、キシレンなど)などの溶媒中で、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの塩基存在下にて、式(12)の化合物の転位を行い、続いて塩化トリメチルシリルでの処理を行うことによって、式(13)の化合物が与えられる。
【0115】
式(13)の化合物のエステル化によって、式(14)のエステルが与えられる。室温前後で、溶媒(以下に限定されないが、芳香族溶媒(例えば、トルエン、キシレン、ベンゼンなど)の混合液など)及びメタノール中でトリメチルシリルジアゾメタンとともに撹拌することによって、メチルエステルへの変換を行うことができる。C1−6アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなど)中で室温前後から約70℃で、場合によってはN,N−ジメチルホルムアミドの触媒量の存在下で、塩化チオニルとともに式(13)の酸を撹拌することによって、R101がC1−6アルキルである式(4)のエステルへの変換を行うことができる。
【0116】
当技術分野で公知のオゾン分解法に従い、オゾンとともに式(14)の化合物を反応させることによって、式(15)の化合物を調製することができる。室温前後でエーテル(例えば、テトラヒドロフランなど)などの溶媒中で式RNHのアミン及び以下に限定されないがシアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムなどの還元剤存在下、場合によっては以下に限定されないが4Å分子ふるいなどの脱水剤又は酢酸などの酸存在下で、式(15)の化合物を環状化することによって、式(16)のピロリジノンが与えられる。
【0117】
(9)から(1)への変換のためのスキーム3に記載のような反応条件を用いた式(16)の化合物のPの除去によって、式(17)の化合物が得られる。
【0118】
上記の考察から、本明細書中に記載の本発明の使用に対する実際的な基礎が与えられる。本発明をさらに次の非限定実施例によって説明する。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
6−[(1−シクロヘプチル−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル)メトキシ]ニコチノニトリル
【0120】
(実施例1A)
1−シクロヘプチル−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル
メタノール(5mL)中の、イタコン酸ジメチル(0.5g、3.16mmole)、シクロヘプチルアミン(0.357g、3.16mmole)の溶液を85℃で18時間加熱した。溶媒を真空蒸発させ、得られた粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し(ヘキサン/酢酸エチル 80:20から20:80)、無色の油状物質として表題化合物を得た。
【0121】
(実施例1B)
4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−1−シクロヘプチル−ピロリジン−2−オン
水素化ホウ素ナトリウム(0.213g、5.77mmole)をメタノール(3mL)及びテトラヒドロフラン(3mL)中の実施例1A(0.7g、2.92mmole)の溶液に添加し、60℃で2時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、O−リン酸(1.6g、17.4mmole)を添加し撹拌した。セライトのパッドに通して反応液をろ過し、メタノールですすぎ、真空下で濃縮した。粗製油状物質を酢酸エチル(25mL)中で溶解させ、水(25mL)で洗浄した。MgSOで有機層を乾燥させ、ろ過し、真空蒸発させた。得られた油状物質をN,N−ジメチルホルムアミド(4mL)中で溶解させ、イミダゾール(391g、5.76mmole)及びTert−ブチル−クロロ−ジメチル−シラン(583g、3.88mmole)を添加し、3時間撹拌した。反応物を酢酸エチル(40mL)で希釈し、水(50mL)及び塩水(25mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過し、真空蒸発させた。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 95:5から75:25)により精製し、無色の油状物質として表題化合物を得た。
【0122】
(実施例1C)
4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−1−シクロヘプチル−3−メチル−ピロリジン−2−オン
室温にてテトラヒドロフラン(3.5mL)中の実施例1B(1.09g、3.07mmole)の溶液をテトラヒドロフラン中のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(3.7mL、3.7mmole)に滴下添加し、その温度で2時間撹拌した。室温でテトラヒドロフラン(1mL)中のヨウ化メチル(0.54g、3.83mmole)の溶液を反応混合物に滴下添加し、さらに2時間撹拌した。この反応を10%NHCl(25mL)で停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水(25mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空蒸発させた。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 95:5から60:40)により精製し、表題化合物を得た。
【0123】
(実施例1D)
4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−1−シクロヘプチル−3,3−ジメチル−ピロリジン−2−オン
−78℃でヘキサン中のブチルリチウム(1.28mL、0.88mmole)をテトラヒドロフラン(2.5mL)中のジメチルアミン(64mg、0.88mmole)の溶液に添加した。その温度で20分間反応物を撹拌し、次いでテトラヒドロフラン中の実施例1D(0.25g、0.737mmole)を添加した。反応物をゆっくりと室温に温め、1時間撹拌した。テトラヒドロフラン(1mL)中のヨウ化メチル(0.209g、1.47mmole)の溶液を反応物に滴下添加し、さらに8時間撹拌した。10%NHClで反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水(25mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、真空蒸発させた。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 95:5から70:30)により精製し、無色の油状物質として表題化合物を得た。
【0124】
(実施例1E)
6−[(1−シクロヘプチル−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル)メトキシ]ニコチノニトリル
メタノール(1mL)中の実施例1D(75mg、0.2mmole)の溶液に12M HCl 2滴を添加し、室温にて1時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させた。得られた油状物質をN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に取り、60%NaH(15mg、0.27mmole)を添加し、次いで6−クロロニコチノニトリル(35mg、0.25mmole)を添加した。反応物を室温にて2時間撹拌し、10%NHClで停止させた。生成物を酢酸エチルで抽出し、水(4mL)で洗浄した。有機層を真空蒸発させ、20%から100%アセトニトリル:水の勾配を用いて(0.1%トリフルオロ酢酸)、18分間、40mL/分の流速で、Waters Symmetry C8カラム(25mmX100mm、7μm粒子サイズ)で粗製反応混合物を分取逆相HPLCにより精製し、トリフルオロ酢酸塩として表題化合物を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ ppm8.48(dd,J=2.33,0.64Hz,1H)、7.80(dd,J=8.66,2.33Hz,1H)、6.82(dd,J=8.66,0.78Hz,1H)、4.50(dd,J=10.87,6.04Hz,1H)、4.36(dd,J=10.86,8.24Hz,1H)、4.03−4.19(m,1H)、3.46(dd,J=9.85,7.64Hz,1H)、3.08(dd,J=9.87,7.94Hz,1H)、2.45(qd,J=7.94,6.01Hz,1H)、1.43−1.82(m,12H)、1.24(s,3H)、1.06(s,3H)。MS(APCI+)m/z342.2(M+H)
【0125】
(実施例2)
4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アゼパン−1−カルボキサミド
【0126】
(実施例2A)
4−アミノ−アゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
メタノール(10mL)中の、N−(tert−ブトキシカルボニル)−ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−4−オン(0.5g、2.34mmole)、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.41g、2.57mmole)及び酢酸アンモニウム(0.45g、5.86mmole)の溶液を1.2時間還流させた。溶媒を真空蒸発させ、粗製オキシムをフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 100:0から50:50)により精製した。メタノール(10mL)中の4N NH中に生成物を取り、10重量%Pd/C(100mg)を添加し、Hのバルーン圧下で12時間撹拌した。セライトのパッドに通して反応物をろ過し、真空蒸発させ、表題化合物を得た。
【0127】
(実施例2B)
イソ酪酸4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)ブト−2−エニルエステル
テトラヒドロフラン(15mL)中の60%NaH(2.27g、56.75mmole)の溶液を0℃に冷却し、この溶液にテトラヒドロフラン(10mL)中のcis−2−ブテン−1,4−ジオール(5.0g、56.75mmole)を添加した。反応物を室温で30分間撹拌し、テトラヒドロフラン(15mL)中のtert−ブチル−クロロ−ジメチル−シラン(8.56g、56.75mmole)を添加し、さらに2時間撹拌した。10%NHClで反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水(30mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、真空蒸発させた。粗製油状物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル100:0から50:50)により精製した。得られた生成物をジクロロメタン(25mL)中で溶解させ、ピリジン(3.95g、50.6mmole)及び塩化イソブチル(2.68g、25.3mmole)を添加した。次に、溶液を室温で12時間撹拌した。水で反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、真空蒸発させた。溶媒を真空蒸発させ、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル100:0から70:30)により精製し、無色の油状物質として表題化合物を得た。
【0128】
(実施例2C)
3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−2,2−ジメチル−ペント−4−エン酸メチルエステル
トルエン中のカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(44mL、22mmole)の溶液を−78℃に冷却した。この溶液に、トルエン(15mL)中の実施例2B(4.0g、14.7mmole)を滴下添加した。反応物を45分間撹拌し、クロロトリメチルシラン(3.19g、29.4mmole)を添加し、反応物を1.5時間、80℃に温めた。10%NHCl(50mL)で反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水(30mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、真空蒸発させた。得られた油状物質を酢酸エチル(25mL)中で溶解させ、メタノール(5mL)及び(トリメチルシリル)ジアゾメタン(35mL、70mmole)を添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(ヘキサン:酢酸エチル100:0から60:40)、無色の油状物質として表題化合物を得た。
【0129】
(実施例2D)
3−(tert−ブチル−ジメチル−シランオキシメチル)−2,2−ジメチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル
ジクロロメタン(25mL)及びメタノール(2.5mL)中の実施例2C(3.5g、12.2mmol)の溶液を−78℃に冷却し、これに25分間Oを泡立てて通気した。反応物をNでパージし、DMS(5.29g、85.4mmol)を添加した。反応物を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル)により精製し100:0から50:50)、油状物質として表題化合物を得た。
【0130】
(実施例2E)
4−[4−(tertブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−アゼパン−1−カルボン酸tertブチル;エステル
テトラヒドロフラン(2.5mL)中の、実施例2A(0.2g、0.95mmole)、実施例2D(0.25g、0.86mmole)及びMP−トリアセトキシボロヒドリド(MP−TABH)(700mg、1.6mmole)の溶液を12時間撹拌した。反応物をろ過し、真空蒸発させた。残渣をトルエンに取り、90℃で3時間加熱した。溶媒を真空蒸発させ、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(ジクロロメタン:メタノール 95:5)、表題化合物を得た。
【0131】
(実施例2F)
4−[4−(5−シアノ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−アゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.127g、0.48mmole)をテトラヒドロフラン(1.5mL)中の実施例2E(0.177g、0.4mmole)に添加し、室温で2時間撹拌した。酢酸エチル(5mL)と水(3mL)との間で反応物を分配した。有機相をMgSOで乾燥させ、ろ過し、真空蒸発させた。残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)に取り、60%NaH(24mg、0.6mmole)及び6−クロロニコチノニトリル(69mg、0.5mmole)を添加し、3時間撹拌した。10%NHClで反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。MgSOで有機相を乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。得られた粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 75:25から25:75)により精製し、表題化合物を得た。
【0132】
(実施例2G)
4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アゼパン−1−カルボキサミド
ジクロロメタン(0.75mL)中の実施例2F(0.108g、0.24mmole)の溶液にトリフルオロ酢酸(0.75mL)を添加し、1時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させた。残渣をジクロロメタン(1.5mL)に取り、−78℃に冷却した。トリホスゲン(24mg、0.08mmole)を添加し、1時間撹拌した。反応物にNHOH(1mL)を添加し、室温で1時間撹拌した。生成物をジクロロメタンで抽出し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、真空蒸発させた。Waters Symmetry C8カラム(25mmX100mm、7μm粒子サイズ)において、20%から100%アセトニトリル:水の勾配を用いて、(0.1%トリフルオロ酢酸)、18分間にわたり、40mL/分の流速で、粗製反応混合物を分取逆相HPLCにより精製し、表題化合物を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ ppm8.48(dd,J=2.33,0.64Hz,1H)、7.80(dd,J=8.66,2.33Hz,1H)、6.82(dd,J=8.66,0.78Hz,1H)、5.81(b,r,2H)、4.50(dd,J=10.87,6.04Hz,1H)、4.36(dd,J=10.86,8.24Hz,1H)、4.03−4.19(m,1H)、3.16(m,4H)、3.46(dd,J=9.85,7.64Hz,1H)、3.08(dd,J=9.87,7.94Hz,1H)、2.45(qd,J=7.94,6.01Hz,1H)、1.43−1.82(m,6H)、1.24(s,3H)、1.06(s,3H)。MS(APCI+)m/z386.2(M+H)
【0133】
(実施例3)
1−シクロヘプチル−3,3−ジメチル−4−(フェノキシメチル)ピロリジン−2−オン
【0134】
(実施例3A)
1−シクロヘプチル−4−ヒドロキシメチル−3,3−ジメチル−ピロリジン−2−オン
メタノール(1.25mL)中の実施例1D(75mg、0.21mmole)の溶液に12M HCl 2滴を添加し、室温で1時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、無色の油状物質として表題化合物を得た。
【0135】
(実施例3B)
1−シクロヘプチル−3,3−ジメチル−4−(フェノキシメチル)ピロリジン−2−オン
無水トルエン(1.25mL)中の、実施例3A(50mg、0.2mmole)、フェノール(23.5mg、0.25mmole)及びトリフェニルホスフィン(85.8mg、0.33mmole)の溶液を撹拌した。この反応物に、ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(76.9mg、0.33mmole)を添加し、80℃で1時間加熱した。トルエンと水との間で反応混合物を分配した。有機相を分離し、溶媒を真空蒸発させた。Waters Symmetry C8カラム(25mmX100mm、7μm粒子サイズ)において、20%から100%アセトニトリル:水の勾配(0.1%トリフルオロ酢酸)を用いて、18分間にわたり、40mL/分の流速で、粗製反応混合物を分取逆相HPLCにより精製し、表題化合物を得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ ppm7.27−7.32(m,2H)、6.95−6.99(m,1H)、6.88−6.91(m,2H)、4.06−4.19(m,1H)、4.07(dd,J=9.15,5.65Hz,1H)、3.92(t,J=8.77Hz,1H)、3.51(dd,J=9.92,7.63Hz,1H)、3.13(dd,J=9.76,7.78Hz,1H)、2.45(qd,J=7.86,5.72Hz,1H)、1.43−1.82(m,12H)、1.25(s,3H)、1.05(s,3H)。MS(APCI+)m/z316.2(M+H)
【0136】
(実施例4)
1−シクロヘプチル−4−{[(2−フルオロフェニル)(メチル)アミノ]メチル}−3,3−ジメチルピロリジン−2−オン
【0137】
(実施例4A)
1−シクロヘプチル−4,4−ジメチル−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボアルデヒド
メタノール(1.5mL)中の実施例1D(0.168mg、0.475mmole)の溶液に、12M HCl 2滴を添加し、1時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させた。残渣をジクロロメタン(2.5mL)に取り、Dess−Martinペルヨージナン(0.25グラム、0.593mmole)を添加し、室温で2時間撹拌した。10%亜硫酸水素ナトリウムで反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、真空蒸発させ、表題化合物を得た。
【0138】
(実施例4B)
1−シクロヘプチル−4−{[(2−フルオロフェニル)(メチル)アミノ]メチル}−3,3−ジメチルピロリジン−2−オン
テトラヒドロフラン(1.25mL)中の、実施例4A(30mg、0.12mmole)、2−フルオロ−N−メチルアニリン(19mg、0.15mmole)MP−トリアセトキシボロヒドリド(137mg、0.3mmole)の溶液を12時間撹拌した。反応物をろ過し、溶媒を真空蒸発させた。Waters Symmetry C8カラム(25mmX100mm、7μm粒子サイズ)において、20%から100%アセトニトリル:水の勾配を用いて、(0.1%トリフルオロ酢酸)、18分間にわたり、40mL/分の流速で、粗製反応混合物を分取逆相HPLCにより精製し、表題化合物を得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ ppm6.90−7.10(m,4H)、4.01−4.13(m,1H)、3.32(dd,J=9.88,7.50Hz,1H)、3.11−3.21(m,2H)、3.09(t,J=9.36Hz,1H)、2.83(s,3H)、2.17−2.27(m,1H)、1.59−1.70(m,6H)、1.45−1.57(m,6H)、1.16(s,3H)、0.95(s,3H)。MS(APCI+)m/z347.2(M+H)
【0139】
(実施例5)
6−{[1−(5−ヒドロキシシクロオクチル)−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル
【0140】
(実施例5A)
5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクタノール
乾燥テトラヒドロフラン(120mL)中のシクロオクタン−1,5−ジオール(10g、69.34mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(76.27mL、テトラヒドロフラン中1M、76.27mmol)を滴下添加した。添加後、得られた溶液を室温に温め、さらに30分間撹拌した。溶液を再冷却(0℃)し、テトラヒドロフラン(20mL)中のtert−ブチル−クロロ−ジメチル−シラン(10.45g、69.34mmol)の溶液を滴下添加した。次に、溶液を室温に温め、一晩撹拌し、その後NHCl溶液を添加した。ジエチルエーテルで混合物を分配し、有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の2−40%酢酸エチルを用いてシリカゲルで残渣を精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0141】
(実施例5B)
5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクタノン
乾燥ジクロロメタン(120mL)中の、実施例5A(12.11g、46.90mmol)、4−メチルモルホリンN−オキシド(8.24g、70.35mmol)及び4Å分子ふるい(23g)の撹拌冷却(0℃)溶液に、過ルテニウムテトラプロピルアンモニウム(0.82g、2.43mmol)を添加した。添加後、混合物を室温に温め、さらに3時間撹拌した。Celiteのパッドに通して黒色の混合物をろ過し、溶媒を蒸発させた。ヘキサン中の5−50%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0142】
(実施例5C)
5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクチルアミン
実施例5B(3.59g、14.01mmol)、酢酸アンモニウム(10.80g、140.13mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(3.52g、56.04mmol)をメタノール(50mL)中で12時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、ジクロロメタン及び水で残渣を分配した。有機相をNaHCO溶液塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。粗製アミンをさらに精製せずに次の段階で使用した。
【0143】
(実施例5D)
5−アミノ−シクロオクタノール
乾燥ジクロロメタン(50mL)中の、実施例5Cの生成物(14.01mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(7.5mL、42.03mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液にクロロギ酸ベンジル(4mL、28.02mmol)を添加した。添加後、溶液を室温に温め、さらに3時間撹拌した。NaHCO溶液でこれを不活性化した。相を分離し、有機相をNaHSO溶液塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。粗製[5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクチル]−カルバミン酸ベンジルエステルを油状物質として単離し、さらに精製せずに使用した。テトラヒドロフラン(35mL)中の粗製[5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(約14.01mmol)の溶液にフッ化テトラブチルアンモニウム(42mL、テトラヒドロフラン中1M、42.03mmol)を添加した。得られた溶液を23℃で2時間撹拌し、その後これをジエチルエーテル及び水で分配した。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中5−50%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、油状物質として(5−ヒドロキシ−シクロオクチル)−カルバミン酸ベンジルエステルを得た。23℃で2時間、H(バルーン)下で、メタノール中のPd(OH)/C(0.5g)存在下で(5−ヒドロキシ−シクロオクチル)−カルバミン酸ベンジルエステル(2.68g、9.66mmol)を撹拌し、その後Celiteのパッドに通してこれをろ過し、溶媒を蒸発させた。油状物質として表題化合物を単離し、さらに精製せずに使用した。
【0144】
(実施例5E)
4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−ブト−2−エン−1−オール
乾燥テトラヒドロフラン(250mL)中のブト−2−エン−1,4−ジオール(6g、68.09mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に、NaH(3g、75mmol、油中60%)を分割添加した。添加後、混合物を室温まで温め、さらに2時間撹拌した。次に、得られた白色混合物を冷却し(0℃)、tert−ブチル−クロロジフェニルシラン(15.7mL、61.28mmol)を滴下添加した。20分後、冷却槽を除去し、混合物を一晩室温で撹拌した。反応混合物に飽和NHClを注ぎ、ジエチルエーテル(200mL)で反応物を分配した。有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過した。さらなる精製を行わずに、得られた油状物質を次の段階で使用した。
【0145】
(実施例5F)
イソ酪酸4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−ブト−2−エニルエステル
乾燥ジクロロメタン(150mL)中の、実施例5Eの生成物(61.28mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(21.3mL、122.56mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.30g、3.0mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に、塩化イソブチル(10.4mL、98.04mmol)を滴下添加した。得られた溶液を0℃で5時間撹拌した。反応終了後(TLCにより監視)、メタノール(5mL)を添加して過剰な酸塩化物を不活性化した。減圧下で溶媒を除去し、ジエチルエーテル(200mL)及び飽和NHCl(100mL)を用いて、得られたスラリーを分配した。有機層を20%NaHSO、NaHCO、塩水で連続的に洗浄し、MgSOでこれを乾燥させた。溶媒の除去後、ヘキサン中の10%ジエチルエーテルを用いて粗製油状物質をシリカゲルカラムで精製し、無色の油状物質として表題化合物を得た:(2段階で、20.5g、84%)。
【0146】
(実施例5G)
3−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシメチル)−2,2−ジメチル−ペント−4−エン酸
乾燥トルエン(100mL)中のカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(115mL、tol中0.5M、57.79mmol)の撹拌冷却(−78℃)懸濁液に、乾燥トルエン(30mL)中の実施例5Fの生成物(15.26g、38.52mmol)を滴下添加した。得られた淡黄色懸濁液を−78℃で1時間撹拌した。次に、塩化トリメチルシリル(9.74mL、77.04mmol)を混合物に滴下添加し、10分後、得られた混合物を室温まで温めた。その後、混合物を80℃で3時間加熱した。室温に冷却した後、20%NaHSOを添加し、酢酸エチルで反応物を分配した。有機相を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒の蒸発後、ヘキサン中の20%ジエチルエーテルを用いて粗製酸をシリカゲルカラムで精製し、室温で静置した後、白色固体として表題化合物(14.4g、95%)を得た。
【0147】
(実施例5H)
3−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシメチル)−2,2−ジメチル−ペント−4−エン酸メチルエステル
トルエン(100mL)及びメタノール(20mL)中の実施例5G(15.58g、39.3mmol)の撹拌溶液に、トリメチルシリルジアゾメタン(29mL、ヘキサン中2M、57.78mmol)を添加した。室温で1時間後、酢酸(1.5mL)を添加し、過剰な試薬を不活性化した。溶媒を蒸発させ、ジエチルエーテル中で粗製生成物を溶解させ、NaHCO溶液塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。油状物質として表題化合物を単離し、さらに精製せずに使用した。
【0148】
(実施例5I)
4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−3−ホルミル−2,2−ジメチル−酪酸メチルエステル
NaHCO(4g)及びSundan III(1mg)入りのジクロロメタン(120mL)及びメタノール(20mL)溶液中の実施例5H(11.5g、28.03mmol)の撹拌冷却(−78℃)溶液にオゾンを泡立てて通気した。色素の赤色が透明になったらオゾンを止め、溶液に対して30分間Oでパージを行った。MeS(12.4mL、168mmol)をこの溶液に添加し、氷浴を除去し、この溶液を室温に温め、12時間撹拌した。反応溶液をろ過し、溶媒を蒸発させた。ヘキサン中の10%ジエチルエーテルを用いて、残渣をシリカゲルで精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0149】
(実施例5J)
4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシメチル)−1−(5−ヒドロキシ−シクロオクチル)−3,3−ジメチル−ピロリジン−2−オン
乾燥テトラヒドロフラン(15mL)中の、実施例5Dの生成物(0.32g、2.22mmol)、実施例5Iの生成物(0.76g、1.85mmol)及び粉末4Å分子ふるい(1g)を室温で5時間撹拌した。水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(1.2g、5.66mmol)を混合物に添加し、反応物を一晩室温で撹拌した。得られた粘性のある白色懸濁液をCeliteのパッドに通してろ過し、溶媒を蒸発させた。トルエン(10mL)中で残渣を再溶解させ、100℃で2時間加熱した。次に、溶媒を蒸発させ、ヘキサン中の10−50%酢酸エチルを用いて、残渣をシリカゲルで精製し、粘性のある油状物質として表題生成物を得た。
【0150】
(実施例5K)
1−(5−ヒドロキシ−シクロオクチル)−4−ヒドロキシメチル−3,3−ジメチル−ピロリジン−2−オン
室温で、テトラヒドロフラン(5mL)中の実施例5Jの生成物(0.30g、0.60mmol)の撹拌溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(0.76mL、テトラヒドロフラン中1M、0.76mmol)を添加した。得られた溶液を2時間撹拌し、次いで酢酸エチル及び水で分配した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の20−100%酢酸エチルを用いて、残渣をシリカゲルで精製し、白色固体として表題生成物を得た。
【0151】
(実施例5L)
6−{[1−(5−ヒドロキシシクロオクチル)−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の、実施例5Kの生成物(35mg、0.130mmol)及び6−クロロ−ニコチノニトリル(60mg、0.435mmol)の撹拌冷却溶液に、NaH(25mg、0.594mmol)を一度に添加した。室温で5時間撹拌した後、酢酸(0.1mL)で反応を停止させ、溶出液としてCHCN/水 1%トリフルオロ酢酸を用いてHPLCで混合物を精製し、油状物質として表題化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ ppm8.48(dd,J=2.33,0.64Hz,1H)、7.80(dd,J=8.66,2.33Hz,1H)、6.82(dd,J=8.66,0.78Hz,1H)、4.50(dd,J=10.87,6.04Hz,1H)、4.36(dd,J=10.86,8.24Hz,1H)、4.03−4.19(m,1H)、3.46(dd,J=9.85,7.64Hz,1H)、3.08(dd,J=9.87,7.94Hz,1H)、2.45(qd,J=7.94,6.01Hz,1H)、1.43−1.82(m,12H)、1.24(s,3H)、1.06(s,3H)MS(ESI+)m/z354.0(M−HO)
【0152】
(実施例6)
E−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド
【0153】
(実施例6A)
E−4−アミノ−アダマンタン−1−カルボン酸
5%Pd/Cの1.0g(10wt%)に、4−オキソ−アダマンタン−1−カルボン酸(10.0g、51.5mmol)を添加し、次いでメタノール(200mL)中の7M NHを添加する。23℃で16−24時間H雰囲気下で反応混合物を撹拌し;水(200mL)を添加し、ろ過によって触媒を除去する。メタノールで触媒を洗浄し、溶媒が出なくなるまで、35℃の槽温度にてろ過溶液を減圧下で濃縮する。スラリーおよそ150mLが残る。アセトニトリル(300mL)をスラリーに添加し、次にこれを23℃で3時間撹拌する。スラリーをろ過し、アセトニトリル(100mL)で1回洗浄する。N下で50℃及び20mmHgで湿潤ケーキを乾燥させ、表題化合物を回収する。
【0154】
(実施例6B)
E−4−アミノ−アダマンタン−1−カルボン酸メチルエステル
メタノール(85mL)を0℃に冷却し;塩化アセチル(15.5mL)を滴下添加し;次いで15−20分間、溶液を23℃に温めた。実施例6A(8.53g、43.7mmol)を添加し、16時間、反応溶液を45℃に加熱した。この反応溶液を23℃に冷却し、アセトニトリル(85mL)を添加した。〜1/4体積まで減圧下で反応溶液を濃縮した。アセトニトリル(2x85mL)で反応溶液をさらにチェース蒸留(chase distilled)した。得られた懸濁液を23℃に冷却し、ろ過した。ろ過液を2回再循環させ、湿潤ケーキを洗浄した。50℃、20mmHgで16時間、生成物を乾燥させ、白色結晶固体として表題化合物を得た。
【0155】
(実施例6C)
E−4−[4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−アダマンタン−1−カルボン酸メチルエステル
乾燥テトラヒドロフラン(150mL)中の、実施例6Bからの生成物(4.9g、23.42mmol)、実施例5Iからの生成物(8.88g、21.54mmol)及び粉末4Å分子ふるい(10g)を室温で5時間撹拌した。水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(11.41g、53.85mmol)を混合物に添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。Celiteのパッドに通して、得られた粘性のある白色懸濁液をろ過し、溶媒を蒸発させた。トルエン(80mL)中で残渣を再溶解させ、2時間100℃に加熱した。次に、溶媒を蒸発させ、ヘキサン中の10−50%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、粘性のある油状物質として表題化合物を得た。
【0156】
(実施例6D)
E−4−(4−ヒドロキシメチル−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−アダマンタン−1−カルボン酸メチルエステル
テトラヒドロフラン中の実施例6Cの生成物(10.59g、19.00mmol)の撹拌溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(29mL、テトラヒドロフラン中1M、29mmol)を室温で添加した。得られた溶液を2時間撹拌し、次いで酢酸エチル及び水で分配した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の20−100%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、白色固体として表題生成物を得た。
【0157】
(実施例6E)
E−4−[4−(5−シアノ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−アダマンタン−1−カルボン酸メチルエステル
テトラヒドロフラン(10mL)及び1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(10mL)中の、実施例6Dの生成物(1.50g、4.47mmol)及び6−クロロ−ニコチノニトリル(1.11g、8.05mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に、NaH(0.32g、油中60%、8.05mmol)を一度に添加した。添加後、この溶液を室温に温め、さらに5時間撹拌した。暗褐色の反応混合物を冷却し(0℃)、酢酸(0.5mL)で反応を停止させ、ジエチルエーテル及び水で分配した。有機相を水及び塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の5−80%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、固体として表題化合物を得た。
【0158】
(実施例6F)
E−4−[4−(5−シアノ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−アダマンタン−1−カルボン酸
乾燥テトラヒドロフラン(35mL)中の実施例6Eの生成物(1.8g、4.11mmol)の撹拌溶液に、カリウムトリメチルシラノレート(0.63g、4.93mmol)を一度に添加した。得られた溶液を一晩撹拌し、次にジエチルエーテル及び水で分配した。有機相を水で抽出し、合わせた水相をpH1までNaHSOを用いて酸性化した。酢酸エチルで水相を数回抽出した。次に、合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。得られた粗製酸を白色固体として単離し、さらに精製せずに次の段階で使用した。
【0159】
(実施例6G)
E−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド
1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−カルボジイミド塩酸塩(1.18g、6.16mmol)を、乾燥ジクロロメタン(10mL)中の、実施例6Fの生成物(1.74g、4.11mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.89g、6.57mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(2.15mL、12.33mmol)の撹拌溶液に一度に添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、その後、アンモニア溶液(16.4mL、イソプロパノール中2M、32.8mmol)を添加した。得られた白色懸濁液を1時間撹拌し、その後ジクロロメタン(100mL)で希釈し、20%NaHSO溶液、1M NaOH、水及び塩水で洗浄した。次に、溶液を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。ジクロロメタン中の1−10%メタノールを用いて残渣をシリカゲルで精製し、白色固体として表題化合物を得た。H NMR(300MHz CDCl)δ ppm 1.09(s,3H)1.25(s,3H)1.51−1.74(m,2H)1.80−2.18(m,9H)2.34−2.66(m,3H)3.37(dd,J=9.49,8.14Hz,1H)3.76(dd,J=9.66,7.63Hz,1H)3.87−3.96(m,1H)4.39(dd,J=10.85,8.14Hz,1H)4.48−4.61(m,1H)5.23(s,1H)5.56(s,1H)6.83(d,J=8.48Hz,1H)7.81(dd,J=8.48,2.37Hz,1H)8.48(d,J=2.37Hz,1H)。MS(ESI+)m/z423.2(M+H)
【0160】
(実施例7)
9−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン−3−カルボキサミド
【0161】
(実施例7A)
9−オキソ−ビシクロ[3.3.1]ノナン−3−カルボン酸メチルエステル
乾燥CHCN(400mL)中の、新たに蒸留した1−シクロヘキシ−1−エニル−ピロリジン(20.4mL、126mmol)及びトリエチルアミン(35mL、252mmol)の撹拌溶液に、3−ブロモ−2−ブロモメチル−プロピオン酸メチルエステル(30g、115mmol)を添加した。添加後、混合物を加熱し(100℃)、12時間撹拌し、その後、酢酸(20mL)及び水(100mL)を添加した。次に、さらに3時間加熱を続けた。溶媒を蒸発させ、ジエチルエーテル及び水で残渣を分配した。洗浄液が塩基性になるまで有機相をNaHCO溶液で洗浄した。次に、これを乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の2−30%ジエチルエーテルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、透明な油状物質として表題化合物を得た。
【0162】
(実施例7B)
9−アミノ−ビシクロ[3.3.1]ノナン−3−カルボン酸メチルエステル
メタノール(30mL)中の、酢酸アンモニウム(8g、103.8mmol)及びNaBHCN(3.3g、51.9mmol)の存在下で実施例7Aの生成物(2.03g、10.38mmol)を12時間室温で23℃で撹拌した。次に溶媒を蒸発させ、ジクロロメタン中で残渣を溶解させ、水、NaHCO溶液及び塩水で洗浄し;乾燥させた(NaSO)。ろ過及び溶媒蒸発後、アミンをさらに精製せずに使用した。
【0163】
(実施例7C)
9−[4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−ビシクロ[3.3.1]ノナン−3−カルボン酸メチルエステル
乾燥テトラヒドロフラン(20mL)中、粉末4Å分子ふるい(1g)の存在下で、実施例7Bの生成物(0.5g、2.34mmol)及び実施例5Iの生成物(0.8g、1.95mmol)を23℃で5時間撹拌した。混合物に水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(1.0g、4.8mmol)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。次に、Celiteのパッドに通して混合物をろ過し、濃縮した。トルエン中で残渣を溶解させ、3時間加熱し(100℃)、その後、溶媒を蒸発させた。ヘキサン中の5−70%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、表題化合物を得た。
【0164】
(実施例7D)
9−(4−ヒドロキシメチル−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ビシクロ[3.3.1]ノナン−3−カルボン酸メチルエステル
室温にてテトラヒドロフラン中の実施例7C(0.9g、1.56mmol)の撹拌溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(3.2mL、テトラヒドロフラン中1M、3.2mmol)を添加した。得られた溶液を2時間撹拌し、次に酢酸エチル及び水で分配した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の20−100%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、白色固体として表題生成物を得た。
【0165】
(実施例7E)
9−[4−(5−シアノ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−ビシクロ[3.3.1]ノナン−3−カルボン酸メチルエステル
テトラヒドロフラン(7mL)及び1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(7mL)中の、実施例7Dの生成物(0.48g、1.42mmol)及び6−クロロ−ニコチノニトリル(0.35g、2.56mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に、NaH(0.1g、油中60%、2.56mmol)を一度に添加した。添加後、溶液を室温に温め、さらに5時間撹拌した。暗褐色の反応混合物を冷却し(0℃)、酢酸(0.1mL)で反応停止させ、ジエチルエーテル及び水で分配した。有機相を水及び塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の5−80%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、固体として表題生成物を得た。
【0166】
(実施例7F)
9−[4−(5−シアノ−ピリジン−2−イルオキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−ビシクロ[3.3.1]ノナン−3−カルボン酸
テトラヒドロフラン(6mL)、メタノール(3mL)及び水(3mL)の混合液中の実施例7Eの生成物(0.532g、1.21mmol)の撹拌溶液に、LiOH(0.2g、4.84mmol)を一度に添加した。得られた溶液を一晩撹拌し、次いでジエチルエーテル及び水で分配した。有機層を水で洗浄し、合わせた水層をNaHSO溶液で酸性化し、酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチル相を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。さらに精製せずに酸生成物を使用した。
【0167】
(実施例7G)
9−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン−3−カルボキサミド
乾燥ジクロロメタン(7mL)中の、実施例7Fの生成物(0.50g、1.21mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.32g、2.42mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.63mL、3.63mmol)の撹拌溶液に、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−カルボジイミド塩酸塩(0.35g、1.81mmol)を一度に添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、その後、アンモニア溶液(2.5mL、イソプロパノール中2M、4.8mmol)を添加した。得られた白色の懸濁液を1時間撹拌し、その後、それをジクロロメタン(50mL)で希釈し、20%NaHSO溶液、1M NaOH、水及び塩水で洗浄した。次に、溶液を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。ジクロロメタン中の1−10%メタノールを用いて残渣をシリカゲルで精製し、白色固体として表題生成物を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ ppm1.08(s,3H)1.24(s,3H)1.32−1.51(m,2H)1.50−2.14(m,8H)2.17−2.59(m,3H)2.57−2.75(m,1H)3.27−3.45(m,1H)3.64−3.83(m,J=9.66,7.63Hz,1H)3.92(s,1H)4.31−4.45(m,1H)4.46−4.61(m,1H)5.38(s,1H)5.54(s,1H)6.83(dd,J=8.82,0.68Hz,1H)7.81(dd,J=8.82,2.37Hz,1H)8.48(dd,J=2.37,0.68Hz,1H)。)。MS(ESI+)m/z411.2(M+H)
【0168】
(実施例8)
トランスエチル(1R,7S)−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート及びトランスエチル(1S,7R)−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート
【0169】
(実施例8A)
ノナ−1,8−ジエン−5−オール
乾燥テトラヒドロフラン(160mL)中のペント−4−エナール(4g、48.07mmol)の撹拌冷却(−78℃)溶液に、3−ブテニル−臭化マグネシウム(125mL、テトラヒドロフラン中0.5M、62.5mmol)を滴下添加した。添加後、溶液を室温に温め、次に、NHCl溶液で反応停止させた。ジエチルエーテルで混合物を分配し、有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の5−15%ジエチルエーテルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0170】
(実施例8B)
シクロへプト−4−エノール
ジクロロメタン(300mL)中の実施例8Aの生成物(3.97g、28.33mmol)の脱気溶液に、RuCl(Pcy=CHPh(Grubb’sI触媒)(0.93g、1.13mmol)を一度に添加した。得られた溶液を3時間還流させ、その後、冷却し、濃縮した。ヘキサン中の2−20%ジエチルエーテルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0171】
(実施例8C)
tert−ブチル−(シクロへプト−4−エニルオキシ)−ジフェニル−シラン
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の、実施例8Bの生成物(1.57g、14.05mmole)、イミダゾール(1.43g、21.08mmole)及びTert−ブチル−クロロジフェニルシラン(4.76g、17.4mmole)の溶液を23℃で5時間撹拌した。酢酸エチルと水との間で反応物を分配した。有機層を塩水(25mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空蒸発させた。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 100:0から90:10)により精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0172】
(実施例8D)
4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシ)−ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボン酸エチルエステル
ジクロロメタン(2mL)中の、実施例8C(2.2g、6.28mmole)及びRh(OAc)(2mg、4.3μmol)の溶液に、シリンジポンプを介して2時間にわたりジクロロメタン(4mL)中のジアゾ酢酸エチル(0.717g、6.28mmole)を添加した。溶媒を真空蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 100:0から80:20)により生成物を精製し、表題化合物を得た。
【0173】
(実施例8E)
4−ヒドロキシ−ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボン酸エチルエステル
実施例8D(2.2g、5.0mmole)の溶液をエタノール(8mL)に取り、12M HCl(1mL)を添加した。室温で12時間、反応物を撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン;酢酸エチル 100:0から50:50)により残渣を精製し、ジアステレオマーの混合物として表題化合物を得た。
【0174】
(実施例8F)
トランスエチル(1R,7S)−4−オキソビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート及びトランスエチル(1S,7R)−4−オキソビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート
実施例8E(0.16g、0.81mmole)の溶液をジクロロメタン(2.5mL)に取り、Dess−Martinペルヨージナン(0.37g、0.88mmole)を添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。亜硫酸水素ナトリウムで反応を停止させ、ジクロロメタンで抽出した。10%NaHCO(10mL)及び塩水(10mL)で有機相を洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、真空蒸発させた。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 100:0から60:40)により精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0175】
(実施例8G)
トランスエチル(1R,7S)−4−アミノビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート及びトランスエチル(1S,7R)−4−アミノビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート
EtOH(1.25mL)中の、実施例8F(0.135g、0.72mmole)、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.12g、0.79mmole)、酢酸アンモニウム(0.138g、1.79mmole)の溶液を1.5時間還流させた。溶媒を真空蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 50:50)により精製し、オキシムを得た。7Mアンモニアを加えたエタノール(5mL)中でオキシムを溶解させ、活性炭(50mg)に10%Pdを添加し、水素のバルーン圧下で12時間撹拌した。セライトに通して反応物をろ過し、真空蒸発させ、表題化合物を得た。
【0176】
(実施例8H)
トランスエチル(1R,7S)−4({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート及びトランスエチル(1S,7R)−4({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート
テトラヒドロフラン(1.75mL)中の、実施例8G(94mg、0.3mmole)、実施例2D(75mg、0.26mmole)及びMP−TABH(0.34g、0.65mmole)の溶液を室温で12時間撹拌した。反応物をろ過し、溶媒を真空蒸発させた。残渣をトルエン(1.5mL)に取り、80℃で3時間加熱した。溶媒を真空蒸発させ、表題化合物を得た。
【0177】
(実施例8I)
トランスエチル(1R,7S)−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート及びトランスエチル(1S,7R)−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート
実施例8H(55mg、0.12mmole)の溶液をエタノール(1.25mL)中で溶解させ、12M HCl 2滴を添加した。室温で2時間、反応物を撹拌した。溶媒を真空蒸発させた。N,N−ジメチルホルムアミド(1.25mL)中に残渣を取り、NaH(10mg、0.25mmole)及び6−クロロニコチノニトリル(24mg、0.18mmole)を添加し、1時間撹拌した。10NHClで反応を停止させ、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を真空蒸発させ、20%から100%アセトニトリル:水の勾配を用いて(0.1%トリフルオロ酢酸)、18分間、40mL/分の流速で、Waters Symmetry C8カラム(25mmX100mm、7μm粒子サイズ)で粗製反応混合物を分取逆相HPLCにより精製し、トリフルオロ酢酸塩として表題化合物を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm8.48(dd,J=2.33,0.64Hz,1H)、7.80(dd,J=8.66,2.33Hz,1H)、6.82(dd,J=8.66,0.78Hz,1H)、4.49(dd,J=10.87,6.04Hz,1H)、4.11(m,2H)、4.03−4.19(m,1H)、3.96(dd,J=10.86,8.24Hz,1H)、3.46(dd,J=9.85,7.64Hz,1H)、3.08(dd,J=9.87,7.94Hz,1H)、2.45(qd,J=7.94,6.01Hz,1H)、2.21(m,1H)、1.43−1.82(m,10H)、1.24(m,6H)、1.06(m,3H)。MS(APCI+)m/z426.48(M+H)
【0178】
(実施例9)
6−{[4,4−ジメチル−1−(4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル
【0179】
(実施例9A)
4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−3,3−ジメチル−1−(4−メチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−ピロリジン−2−オン
テトラヒドロフラン(1.75mL)中の、4−メチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イルアミン(43mg、0.32mmole)、実施例2D(75mg、0.26mmole)及びMP−トリアセトキシボロヒドリド(0.22g、0.52mmole)の溶液を23℃にて12時間撹拌した。反応物をろ過し、溶媒を真空蒸発させた。残渣をトルエン(1.5mL)に取り、80℃に3時間加熱した。溶媒を真空蒸発させ、表題化合物を得た。
【0180】
(実施例9B)
6−{[4,4−ジメチル−1−(4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル
実施例9A(60mg、0.16mmole)の溶液をメタノール中で溶解させ、濃HCl 2滴を添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)に取り、60%NaH(10mg、0.24mmole)及び6クロロニコチノニトリル(27mg、0.2mmole)を添加し、1時間撹拌した。10%NHClで反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、真空蒸発させた。20%から100%アセトニトリル:水の勾配を用いて(0.1%トリフルオロ酢酸)、18分間、40mL/分の流速で、Waters Symmetry C8カラム(25mmX100mm、7μm粒子サイズ)で粗製反応混合物を分取逆相HPLCにより精製し、トリフルオロ酢酸塩として表題化合物を得た。H NMR(500MHz、CDCl)δ ppm8.47(dd,J=2.36,0.69Hz,1H)、7.79(dd,J=8.70,2.29Hz,1H)、6.80(dd,J=8.70,0.76Hz,1H)、4.46(dd,J=10.83,5.95Hz,1H)、4.32(dd,J=10.83,8.24Hz,1H)、3.53(dd,J=9.99,7.55Hz,1H)、3.11(dd,J=9.84,8.16Hz,1H)、2.38(qd,J=7.97,6.25Hz,1H)、1.92−2.05(m,6H)、1.47(t,J=8.01Hz,6H)、1.18(s,3H)、1.01(s,3H)、0.78(s,3H)。MS(APCI+)m/z368.2。(M+H)
【0181】
(実施例10)
6−{[1−(5−シアノシクロオクチル)−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル
【0182】
(実施例10A)
5−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロオクタンカルボニトリル
乾燥DME(40mL)中のトシルメチルイソシアニド(4.74g、24.27mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に、カリウムtert−ブトキシド(30.4mL、テトラヒドロフラン中1M、30.4mmol)を滴下添加した。10分後、乾燥メタノール(0.98mL、24.28mmol)を添加し、次にDME(10mL)中の実施例5Bの生成物(3.11g、12.14mmol)の溶液を添加した。得られた溶液を室温に温め、次いで30分間加熱し(45℃)た。冷却後、ジエチルエーテル及び水で反応混合物を分配した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の2−10%ジエチルエーテルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0183】
(実施例10B)
5−オキソ−シクロオクタンカルボニトリル
室温でテトラヒドロフラン(10mL)中の実施例10A(0.52g、1.95mmol)の撹拌溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(3.9mL、テトラヒドロフラン中1M、3.89mmol)を添加した。得られた溶液を2時間撹拌し、次いでジエチルエーテル及び水で分配した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の2−30%ジエチルエーテルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、油状物質として対応するアルコール生成物を得た。乾燥ジクロロメタン(10mL)中の、残渣(0.294g、1.920mmol)、N−メチルモルホリンN−オキシド(0.33g、2.85mmol)及び4Å分子ふるい(1g)の撹拌冷却(0℃)溶液に、過ルテニウムテトラプロピルアンモニウム(33mg、0.096mmol)を添加した。添加後、混合物を室温に温め、さらに3時間撹拌した。Celiteのパッドに通して黒色の混合物をろ過し、溶媒を蒸発させた。ヘキサン中の5−15%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0184】
(実施例10C)
5−アミノ-シクロオクタンカルボニトリル
実施例10Bの生成物(0.259g、1.71mmol)、酢酸アンモニウム(1.32g、17.14mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.43g、6.84mmol)をメタノール(8mL)中で12時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、ジクロロメタン及び水で残渣を分配した。有機相をNaHCO溶液及び塩水溶液で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。さらなる精製を行わずに粗製表題化合物を次の段階で使用した。
【0185】
(実施例10D)
5−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−シクロオクタンカルボニトリル
テトラヒドロフラン(1.75mL)中の、実施例10Cの生成物(47mg、0.31mmole)、実施例2Dの生成物(75mg、0.26mmole)及びMP−トリアセトキシボロヒドリド(0.22g、0.52mmole)の溶液を室温で12時間撹拌した。反応物をろ過し、溶媒を真空蒸発させた。残渣をトルエン(1.5mL)に取り、80℃で3時間加熱した。溶媒を真空蒸発させ、表題化合物を得た。
【0186】
(実施例10E)
6−{[1−(5−シアノシクロオクチル)−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル
メタノール中の実施例10D(65mg、0.16mmole)の溶液に、6M HCl 1滴を添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させた。残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(1.5mL)に取り、60%NaH(10mg、0.24mmole)及び6−クロロニコチノニトリル(26mg、0.19mmole)を添加し、室温で1時間撹拌した。10%NHClで反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、真空蒸発させた。20%から100%アセトニトリル:水の勾配を用いて(0.1%トリフルオロ酢酸)、18分間、40mL/分の流速で、Waters Symmetry C8カラム(25mmX100mm、7μm粒子サイズ)で粗製反応混合物を分取逆相HPLCにより精製し、トリフルオロ酢酸塩として表題化合物を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ ppm8.48(dd,J=2.33,0.64Hz,1H)、7.80(dd,J=8.66,2.33Hz,1H)、6.82(dd,J=8.66,0.78Hz,1H)、4.50(dd,J=10.87,6.04Hz,1H)、4.36(dd,J=10.86,8.24Hz,1H)、4.03−4.19(m,1H)、3.46(dd,J=9.85,7.64Hz,1H)、3.08(dd,J=9.87,7.94Hz,1H)、2.80(m,1H)、2.45(qd,J=7.94,6.01Hz,1H)、1.43−1.82(m,12H)、1.24(s,3H)、1.06(s,3H)。MS(APCI+)m/z381.3(M+H)
【0187】
(実施例11)
E−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボニトリル
【0188】
(実施例11A)
E−4−(カルバミン酸ベンジルエステル)−アダマンタン−1−カルボキサミド
【0189】
段階A
乾燥ジクロロメタン(100mL)中の、実施例6B(5.05g、20.60mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(7.9mL、45.32mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に、クロロギ酸ベンジル(3.48mL、24.72mmol)を滴下添加した。添加後、溶液を室温に温め、さらに2時間撹拌した。飽和NaHCO溶液を添加して反応を停止させ、相を分離した。有機相をNaHSO溶液及びNaHCO溶液で洗浄し;乾燥させ(NaSO);濃縮した。ヘキサン中の20%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、濃縮した。
【0190】
段階B
乾燥テトラヒドロフラン(90mL)中で段階Aからの生成物(6.49g、18.91mmol)を溶解させ、カリウムトリメチルシラノレート(4.85g、37.82mmol)を室温で添加した。得られた溶液を一晩撹拌し、その後、水(100mL)及びジエチルエーテル(100mL)を添加し、相を分離した。pH1に到達するまで固形NaHSOを用いて水相を酸性化した。次に、酢酸エチルを用いて水相を抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、濃縮した。
【0191】
段階C
乾燥ジクロロメタン(60mL)及びジイソプロピルエチルアミン(10mL、56.7mmol)中で段階Cからの生成物(18.91mmol)を溶解させた。1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(5.1g、37.82mmol)及び1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−カルボジイミド塩酸塩(5.4g、28.36mmol)を溶液に添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、その後、NH(30mL、イソプロパノール中2M、56.7mmol)を添加した。1時間後、溶液をジクロロメタン(200mL)で希釈し、NaHSO溶液、1M NaOH及び水で洗浄した。次に、溶液を乾燥させた(NaSO)。ジクロロメタン中の5%メタノールを用いて残渣をシリカゲルで精製し、固体として表題化合物を得た。
【0192】
(実施例11B)
E−4−アミノ−アダマンタン−1−カルボニトリル
乾燥ジクロロメタン(60mL)及びトリエチルアミン(10.5mL、75.64mmol)中で実施例11Aの生成物(18.91mmol)を溶解させた。無水トリフルオロ酢酸(7.9mL、56.73mmol)を0℃で溶液に滴下添加した。添加後、溶液を室温に温め、3時間撹拌し、その後、メタノールを添加して反応を停止させた。この溶液をNaHSO溶液、NaHCO溶液で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。30%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、濃縮した。メタノール(15mL)中の上述のニトリル(3.22g、10.38mmol)の溶液にPd(OH)/C(0.9g)を添加した。H(バルーン)下で、出発物質が消費されるまで、溶液を室温で撹拌した。Celiteのパッドに通して混合物をろ過し、真空濃縮し、固体として表題化合物を得た。
【0193】
(実施例11C)
E−4−[4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−アダマンタン−1−カルボニトリル
乾燥テトラヒドロフラン(15mL)中の、実施例11Bの生成物(0.29g、1.64mmol)、実施例5Iの生成物(0.72g、1.49mmol)及び粉末4Å分子ふるい(1g)を室温で5時間撹拌した。水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(0.8g、3.72mmol)を混合物に添加し、反応物を室温で一晩撹拌した。得られた粘性のある白色懸濁液をCeliteのパッドに通してろ過し、溶媒を蒸発させた。残渣をトルエン(10mL)で再溶解させ、100℃に2時間加熱した。次に、溶媒を蒸発させ、ヘキサン中の10−50%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、粘性のある油状物質として表題生成物を得た。
【0194】
(実施例11D)
E−4−(4−ヒドロキシメチル−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−アダマンタン−1−カルボニトリル
室温にて、テトラヒドロフラン(5mL)中の実施例11Cの生成物(0.74g、1.36mmol)の撹拌溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(1.64mL、テトラヒドロフラン中1M、1.64mmol)を添加した。得られた溶液を2時間23℃で撹拌し、次いで酢酸エチル及び水で分配した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の20−100%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、白色固体として表題生成物を得た。
【0195】
(実施例11E)
E−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボニトリル
テトラヒドロフラン(2mL)中の、実施例11Dの生成物(0.15g、0.496mmol)、6−クロロ−ニコチノニトリル(0.18g、0.992mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液及び1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(2mL)に、NaH(0.4g、油中60%、0.99mmol)を一度に添加した。添加後、この溶液を室温に温め、さらに12時間撹拌した。暗褐色の反応混合物を冷却(0℃)し、酢酸(0.1mL)で反応停止させ、ジエチルエーテル及び水で分配した。有機相を水及び塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の5−80%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、固体として表題化合物を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm8.48(dd,J=2.37,0.76Hz,1H)、7.80(dd,J=8.69,2.33Hz,1H)、6.82(dd,J=8.73,0.76Hz,1H)、4.52(dd,J=10.94,5.93Hz,1H)、4.38(dd,J=10.94,8.14Hz,1H)、3.89−3.92(m,1H)、3.71(dd,J=9.58,7.63Hz,1H)、3.32(dd,J=9.58,8.05Hz,1H)、2.50(qd,J=8.00,6.13Hz,1H)、2.44−2.48(m,2H)、2.17−2.24(m,2H)、2.10−2.17(m,2H)、2.04−2.10(m,3H)、1.90−1.99(m,1H)、1.82−1.90(m,1H)、1.62−1.71(m,2H)、1.24(s,3H)、1.08(s,3H)。MS(ESI+)m/z405.2(M+H)
【0196】
(実施例12)
E−4−(3,3−ジメチル−2−オキソ−4−{[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェノキシ]メチル}ピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド
【0197】
(実施例12A)
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−フェノキシメチル)−ピロリジン−1−イル]−アダマンタン−1−カルボン酸メチルエステル
乾燥テトラヒドロフラン(3mL)中の、実施例6Dの生成物(50mg、0.149mmol)、4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−フェノール(36mg、0.223mmol)、ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(60mg、0.298mmol)、トリフェニルホシン(triphenylphosine)ポリマー支持(0.25g、3mmol/g、0.745mmol)を試験管に密封し、10時間加熱(80℃)した。冷却及びろ過後、溶媒を蒸発させ、トリフルオロ酢酸(2mL)で残渣を30分間処理した。トリフルオロ酢酸を蒸発させ、溶出液としてCHCN/水 1%トリフルオロ酢酸を用いて、残渣をHPLCで精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0198】
(実施例12B)
E−4−(3,3−ジメチル−2−オキソ−4−{[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェノキシ]メチル}ピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド
テトラヒドロフラン(2mL)中の実施例12Aの生成物(4.1mg、0.008mmol)の撹拌溶液に、カリウムトリメチルシラノレート(20mg、0.164mmol)を添加した。5時間後、トリフルオロ酢酸(1mL)を添加し、揮発性物質を蒸発させた。O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(51mg、0.135mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.1mL)を粗製酸に添加し、30分間撹拌し、その後、アンモニア溶液(2mL、イソプロピルアルコール中2M)を添加した。1時間後、揮発性物質を蒸発させ、溶出液としてCHCN/水 1%トリフルオロ酢酸を用いて、残渣をHPLCで精製し、油状物質として表題化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ ppm8.98(s,1H)、8.15(s,1H)、7.68−7.75(m,2H)、7.10−7.15(m,2H)、4.22(dd,J=9.58,6.19Hz,1H)、4.14(dd,J=9.54,6.74Hz,1H)、3.88−3.95(m,2H)、3.51−3.58(m,1H)、2.53−2.61(m,1H)、2.37−2.43(m,2H)、1.86−2.11(m,8H)、1.62−1.72(m,2H)、1.26(s,3H)、1.10(s,3H)。MS(ESI+)m/z464.3(M+H)
【0199】
(実施例13)
E−4−('4−{[4−(1H−イミダゾール−1−イル)フェノキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド
【0200】
(実施例13A)
E−4−[4−(4−イミダゾール−1−イル−フェノキシメチル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]−アダマンタン−1−カルボン酸メチルエステル
乾燥テトラヒドロフラン(3mL)中の、実施例6Dの生成物(50mg、0.149mmol)、4−イミダゾール−1−イル−フェノール(36mg、0.223mmol)、ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(60mg、0.298mmol)及びトリフェニルホスフィン、ポリマー支持(0.25g、3mmol/g、0.745mmol)を試験管中に密封し、10時間加熱(80℃)した。冷却及びろ過後、溶媒を蒸発させ、トリフルオロ酢酸(2mL)で30分間、残渣を処理した。トリフルオロ酢酸を蒸発させ、溶出液としてCHCN/水 1%トリフルオロ酢酸を用いて、残渣をHPLCで精製し、油状物質として表題化合物を得た。
【0201】
(実施例13B)
E−4−(4−{[4−(1H−イミダゾール−1−イル)フェノキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド
テトラヒドロフラン(2mL)中のの実施例13Aの生成物(13.1mg、0.027mmol)の撹拌溶液に、カリウムトリメチルシラノレート(20mg、0.164mmol)を添加した。5時間後、トリフルオロ酢酸(1mL)を添加し、揮発性物質を蒸発させた。O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(51mg、0.135mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.1mL)を粗製酸に添加し、30分間撹拌し、その後、アンモニア溶液(2mL、イソプロピルアルコール中2M)を添加した。1時間後、揮発性物質を蒸発させ、溶出液としてCHCN/水 1%トリフルオロ酢酸を用いて、残渣をHPLCで精製し、油状物質として表題化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ ppm9.36(t,J=1.44Hz,1H)、7.99(t,J=1.78Hz,1H)、7.74(dd,J=1.99,1.48Hz,1H)、7.61−7.68(m,2H)、7.16−7.23(m,2H)、4.24(dd,J=9.75,6.27Hz,1H)、4.17(dd,J=9.58,6.61Hz,1H)、3.89−3.96(m,2H)、3.55(dd,J=9.87,7.42Hz,1H)、2.58(qd,J=7.15,6.61Hz,1H)、2.37−2.44(m,2H)、1.89−2.09(m,9H)、1.62−1.73(m,2H)、1.26(s,3H)、1.10(s,3H)。MS(ESI+)m/z463.3(M+H)
【0202】
(実施例14)
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−({[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)ピロリジン−1−イル]−N’−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボキシイミドアミド
【0203】
(実施例14A)
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルオキシメチル)−ピロリジン−1−イル]−アダマンタン−1−カルボニトリル
テトラヒドロフラン(2mL)及び1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(2mL)中の、実施例11Dの生成物(0.15g、0.496mmol)、2−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン(0.18g、0.992mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に、NaH(0.4g、油中60%、0.99mmol)を一度に添加した。添加後、溶液を室温に温め、さらに12時間撹拌した。暗褐色の反応混合物を冷却(0℃)し、酢酸(0.1mL)で反応停止させ、ジエチルエーテル及び水で分配した。有機相を水及び塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過し、蒸発させた。ヘキサン中の5−80%酢酸エチルを用いて残渣をシリカゲルで精製し、固体として表題化合物を得た。
【0204】
(実施例14B)
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−({[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)ピロリジン−1−イル]−N’−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボキシイミドアミド
乾燥ジメチルスルホキシド(4mL)中の、実施例14Aの生成物(0.209g、0.479mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.13g、1.86mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.65mL、3.7mmol)を12時間加熱(100℃)し、その後酢酸エチルで希釈し、NHCl溶液及び塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過した。溶媒蒸発後、溶出液としてCHCN/水 1%トリフルオロ酢酸を用いて、残渣をHPLCで精製し、油状物質として表題化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ ppm8.48(dqd,J=2.60,1.12,0.60Hz,1H)、7.95(ddq,J=8.78,2.59,0.55Hz,1H)、6.94(dqd,J=8.77,0.74,0.64Hz,1H)、4.57(dd,J=10.98,6.36Hz,1H)、4.48(dd,J=11.00,7.27Hz,1H)、3.90−3.93(m,1H)、3.88(dd,J=9.83,7.76Hz,1H)、3.52(dd,J=9.83,7.80Hz,1H)、2.59(qd,J=7.53,6.50Hz,1H)、2.43−2.51(m,2H)、1.94−2.17(m,9H)、1.65−1.75(m,2H)、1.24(s,3H)、1.10(s,3H)。MS(ESI+)m/z481.2(M+H)
【0205】
(実施例15)
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−({[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)ピロリジン−1−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
実施例14Bの合成中に少量の副生成物として表題化合物のトリフルオロ酢酸塩が生成し、これを精製手順から単離した。H NMR(300MHz,CDOD)δ ppm8.46−8.49(m,1H)、7.92−7.97(m,1H)、6.92−6.97(m,1H)、4.57(dd,J=10.96,6.29Hz,1H)、4.47(dd,J=11.00,7.27Hz,1H)、3.89−3.91(m,1H)、3.88(dd,J=9.90,7.65Hz,1H)、3.52(dd,J=9.94,7.69Hz,1H)、2.57(qd,J=7.58,6.39Hz,1H)、2.34−2.41(m,2H)、1.88−2.09(m,9H)、1.61−1.71(m,2H)、1.23(s,3H)、1.09(s,3H)。MS(ESI+)m/z466.2(M+H)
【0206】
(実施例16)
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−({[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)ピロリジン−1−イル]アダマンタン−1−カルボキシイミドアミド
室温で乾燥トルエン(1mL)中の実施例11Eの生成物(44mg、0.098mmol)に、MeAlClNH(0.73mL、0.67M、0.49mmol)の溶液を添加した。得られた混合物を90℃で一晩加熱した。この混合物を室温に冷却し、NaOH(1mL、1M)を添加し、反応を停止させた。ジクロロメタン及び水でこの混合物を分配し、水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させた。溶出液としてCHCN/水 1%トリフルオロ酢酸を用いて、残渣をHPLCで精製し、油状物質として表題化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ ppm8.46−8.49(m,1H)、7.92−7.97(m,1H)、6.93−6.97(m,1H)、4.57(dd,J=10.94,6.36Hz,1H)、4.48(dd,J=11.02,7.29Hz,1H)、3.91−3.94(m,1H)、3.88(dd,J=9.88,7.84Hz,1H)、3.52(dd,J=9.83,7.71Hz,1H)、2.59(qd,J=7.60,6.43Hz,1H)、2.43−2.52(m,2H)、1.95−2.18(m,9H)、1.65−1.76(m,2H)、1.24(s,3H)、1.10(s,3H)MS(ESI+)m/z465.2(M+H)
【0207】
(実施例17)
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルオキシメチル)−ピロリジン−1−イル]−アダマンタン−1−1H−テトラゾール−5−イル
圧力チューブに入った水(1mL)及びイソプロピルアルコール(0.2mL)中の実施例14Aの生成物(48mg、0.107mmol)に、NaN(14mg、0.214mmol)及びZnBr(48mg、0.214mmol)を添加した。この試験管を密封し、48時間加熱(150℃)した。冷却後、得られた混合物を酢酸エチルで希釈し、ろ過した。溶媒を蒸発させ、溶出液としてCHCN/水 1%トリフルオロ酢酸を用いて、残渣をHPLCで精製し、油状物質として表題化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ ppm1.11(s,3H)1.25(s,3H)1.68−1.82(m,1H)1.82−1.93(m,1H)1.94−2.30(m,9H)2.48(s,2H)2.53−2.70(m,1H)3.55(dd,J=9.83,7.80Hz,1H)3.91(dd,J=10.00,7.63Hz,1H)4.00(s,1H)4.41−4.53(m,1H)4.54−4.66(m,1H)6.95(d,J=9.49Hz,1H)7.95(dd,J=8.98,2.88Hz,1H)8.48(d,J=2.71Hz,1H)。MS(ESI+)m/z491.3(M+H)
【0208】
前述の詳細な説明及び付随する実施例は、単なる実例であり、本発明の範囲に対する制限として解釈されるものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ定義されることを理解されたい。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、処方及び/又は本発明の使用の方法に関連するものを含む(がこれに限定されない)様々な変更及び変形がなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又は医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩又はこれらの組み合わせ
【化1】

(式中、
nは、1又は2であり;
は、シクロアルキル又は複素環であり、これらのそれぞれは独立に非置換であり、又は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN、−NO、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、−C(=NOH)NH、−C(=NH)NH、R、−(CR−CN、−(CR−OR、−(CR−SR、−(CR−S(O)、−(CR−NR、−(CR−C(O)R、−(CR−C(O)OR、−(CR−S(O)NR、−(CR−R、−N(R)−(CR−C(O)R、−N(R)−(CR−C(O)OR、−N(R)−(CR−C(O)NR、−O−(CR−C(O)R、−O−(CR−C(O)OR及び−O−(CR−C(O)NRからなる群から独立に選択される、1、2、3又は4個の置換基で置換されており;
及びRは、各出現で、それぞれ独立に、水素、アルキル、Rもしくは−(CR−Rであり、又はR及びRは、これらが結合している原子と一緒になってシクロアルキルを形成し;
は、−E−G又は−(CR−E−Gであり、Eは、各出現において、独立にO、S、S(O)、S(O)、N(R)又は結合であり、Gは、各出現において、独立に、アルキル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−C(O)OR、−R又は−(CR−Rであり、Rは、各出現において、独立に、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及び複素環からなる群から選択され、各Rは、独立に、非置換であり、又は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN、−NO、−OR、−S(R)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−NR、−C(O)(R)、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、R、−(CR−CN、−(CR−NO、−(CR−OR、−(CR−S(R)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−NR、−(CR−C(O)(R)、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)NR、−(CR−S(O)NR及び−(CR−Rからなる群から独立に選択される、1、2、3又は4個の置換基で置換されており;
は、各出現において、独立に、水素又はアルキルであり;
は、各出現において、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、R又は−(CR−Rであり;
は、各出現において、独立に、アルキル、ハロアルキル、R又は−(CR−Rであり;
は、各出現において、独立に、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又は複素環であり、各Rは、独立に、非置換であり、又は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、Cl、Br、F、I、−CN、−NO、−OR、−S(R)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−S(O)(アルキル)、−S(O)(ハロアルキル)、−NR、−C(O)(R)、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、−(CR−CN、−(CR−NO、−(CR−OR、−(CR−S(R)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−S(O)(アルキル)、−(CR−S(O)(ハロアルキル)、−(CR−NR、−(CR−C(O)(R)、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)NR及び−(CR−S(O)NRからなる群から独立に選択される、1、2、3又は4個の置換基で置換されており;
及びRは、各出現において、独立に、水素、アルキル又はハロアルキルであり;mは、0、1、2、3、4、5又は6である。)。
【請求項2】
が−(CR−E−Gである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が−(CR−E−Gであり、EがO又は−N(R)であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素又はC1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が−(CR−E−Gであり、EがO又は−N(R)であり、R及びRがそれぞれ独立に、水素又はC1−6アルキルであり、mが1であり、nが1であり、Gがアリール又はヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がシクロアルキルであり、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はC1−6アルキルである。)、Gがアリール又はヘテロアリールであり、nが1であり、R及びRがC1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】

【化2】

であり、各Rが独立に、非置換であり又は請求項1に記載のように置換されており、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はメチルである。)、Gがフェニル又はピリジルであり、このそれぞれは独立に非置換であり又は置換されており、R及びRがメチルであり、nが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が複素環であり、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はC1−6アルキルである。)、Gがアリール又はヘテロアリールであり、nが1であり、R及びRがC1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】

【化3】

であり、各Rが独立に非置換であり又は請求項1で定義されるように置換されており、Rが−CH−O−G又は−CH−N(R)−Gであり(Rは水素又はメチルである。)、Gがフェニル又はピリジルであり、これらのそれぞれは独立して非置換であり又は置換されており、R及びRがメチルであり、nが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
次のものからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物:
6−[(1−シクロヘプチル−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル)メトキシ]ニコチノニトリル;
4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アゼパン−1−カルボキサミド;
1−シクロヘプチル−3,3−ジメチル−4−(フェノキシメチル)ピロリジン−2−オン;
1−シクロヘプチル−4−{[(2−フルオロフェニル)(メチル)アミノ]メチル}−3,3−ジメチルピロリジン−2−オン;
6−{[1−(5−ヒドロキシシクロオクチル)−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル;
E−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド;
9−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン−3−カルボキサミド;
トランスエチル(1R,7S)−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート及びトランスエチル(1S,7R)−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)ビシクロ[5.1.0]オクタン−8−カルボキシレート;
6−{[4,4−ジメチル−1−(4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル;
6−{[1−(5−シアノシクロオクチル)−4,4−ジメチル−5−オキソピロリジン−3−イル]メトキシ}ニコチノニトリル;
E−4−(4−{[(5−シアノピリジン−2−イル)オキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボニトリル;
E−4−(3,3−ジメチル−2−オキソ−4−{[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェノキシ]メチル}ピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド;
E−4−(4−{[4−(1H−イミダゾール−1−イル)フェノキシ]メチル}−3,3−ジメチル−2−オキソピロリジン−1−イル)アダマンタン−1−カルボキサミド;
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−({[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)ピロリジン−1−イル]−N’−ヒドロキシアダマンタン−1−カルボキシイミドアミド;
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−({[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)ピロリジン−1−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド;及び
E−4−[3,3−ジメチル−2−オキソ−4−({[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}メチル)ピロリジン−1−イル]アダマンタン−1−カルボキシイミドアミド;及び医薬的に許容可能な、塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩又はそれらの組み合わせ。
【請求項10】
請求項1に記載の式(I)の化合物の治療的有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素を阻害する方法。
【請求項11】
請求項1に記載の式(I)の化合物の治療的有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素の阻害を通じて哺乳動物において疾病又は疾患を治療する方法。
【請求項12】
疾病又は疾患がインスリン非依存性2型糖尿病である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
疾病又は疾患がインスリン抵抗性である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
疾病又は疾患が肥満である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
疾病又は疾患が脂質障害である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
疾病又は疾患メタボリックシンドロームである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素を阻害する段階を含む、哺乳動物における過剰な糖質コルチコイド作用が介在する疾病及び状態を治療する方法。
【請求項18】
請求項1に記載の式(I)の化合物の治療的有効量と;医薬的に許容可能なその担体と、を含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2009−533354(P2009−533354A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504487(P2009−504487)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/066125
【国際公開番号】WO2007/118185
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】