説明

11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型の阻害化合物

式(I)の化合物は、ペルヒドロキノリンおよびペルヒドロイソキノリンから誘導され、緑内障、眼圧上昇、代謝性障害、肥満、メタボリック症候群、脂質異常症、高血圧、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、クッシング症候群、乾癬、関節リウマチ、認知変化、アルツハイマー病または神経変性などの、11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素(11-β-HSD1)に関連する障害によって引き起こされる疾患の予防または治療のための薬学的に活性な成分として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルヒドロキノリンおよびペルヒドロイソキノリン誘導体、ならびにかかる化合物を使用する特定の疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルココルチコイド(ヒトではコルチゾール、マウスおよびラットではコルチコステロン)は、多くの代謝的なホメオスタシスのプロセスを調節する重要な副腎皮質ステロイド群であり、ストレス応答の非常に重要な要素を形成する。グルココルチコイドは、核転写因子である細胞内グルココルチコイド受容体を介して作用し、いくつかの組織では、やはり核転写因子であるミネラルコルチコイド受容体を介して作用する。標的組織に対するグルココルチコイドの作用は、循環ステロイド濃度および細胞における受容体の発現だけでなく、グルココルチコイドが受容体に能動的に接近する程度を決定的に決定する細胞内酵素によって決まる。11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11-β-HSD)は、主要な活性型11-ヒドロキシ-グルココルチコイド(ヒトにおけるコルチゾール)と、その不活性型の11-ケト代謝産物(ヒトにおけるコルチゾン)との間の相互変換を触媒する。
【0003】
11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11-β-HSD1)酵素は、不活性型グルココルチコイドを活性型グルココルチコイドに再変換し、したがって細胞のアゴニスト濃度のモジュレートにおいて、したがって標的組織内のコルチコステロイド受容体の活性化に重要な役割を果たす。マウスの脂肪細胞における11-β-HSD1の過剰発現が、内臓肥満およびメタボリック症候群の表現型に類似の表現型をもたらすことが記載されている。これらのデータにより集合的に、肥満およびグルコースのホメオスタシスと脂質パラメータとの不均衡を誘導する11-β-HSD1の重要な役割が十分に確認される。したがって、この酵素の選択的阻害は、2型糖尿病患者の血中グルコースレベルを低減し、脂質パラメータの上昇を正常化し、かつ/または肥満対象の体重を低減することができる。
【0004】
ヒトにおける11-β-HSD1の阻害が有益な効果を有し得ることは、11-β-HSD1および類似の11-β-HSD2酵素の両方を阻害する抗腫瘍薬であるカルベノキソロンを使用することによって初めて薬理学的に示された。カルベノキソロンによる治療は、インスリンに対する感受性を増大し、このことは、11-β-HSD1の阻害が細胞内のコルチゾールレベルを低減し、したがってその損傷効果の一部を最小限に抑え得ることを示している。
【0005】
非特異的カルベノキソロン阻害剤を用いて行われた研究は、11-β-HSD1に特異的な阻害剤の開発の重要性を明示している。11-β-HSD2酵素の阻害は、忍容性が不十分であり、血圧を上昇させる。対照的に、11-β-HSD1ノックアウトマウスが健康であり、肥満またはストレスによって引き起こされる高血糖症に抵抗性であることが観測されていることから、11-β-HSD1の阻害は忍容性が高いであろう(Kotelevtsevら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997年、94巻、14924〜14929頁参照)。他の研究によって、高い血圧を低下させし(Masuzakiら、J. Clin. Invest. 2003年、112巻、83〜90頁参照)、眼内圧を低下させ(Rauzら、Q J Med 2003年、96巻、481〜490頁参照)、認知能力を改善し(Sandeepら、Proc Natl Acad Sci. USA 2004年、101巻、6734〜6739頁参照)、またはアルツハイマー病に関連する欠陥を改善するのに有益となり得ることも示されている。概して、11-β-HSD1の阻害は、緑内障、糖尿病、肥満および他の疾患の症状を治療するための安全で有効な戦略となり得る。
【0006】
グルココルチコイドは、外因的に投与される場合、およびクッシング症候群などのグルココルチコイドの生成が増大する特定の状態では、眼内圧を上昇させることによって緑内障の危険性を増大する。コルチコステロイドによって誘導される眼内圧の上昇は、グルココルチコイドによって誘導される変化に起因する、房水流出に対する抵抗性の増大によって引き起こされる。
【0007】
11-β-HSD1は、角膜上皮基底細胞および非色素上皮細胞内で発現する。グルココルチコイド受容体のmRNAは、小柱網内に検出されており、一方グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体および11-β-HSD1のmRNAは、非色素上皮細胞内に存在するとされた。患者へのカルベノキソロンの投与によって、眼内圧が著しく低下し(Rauzら、Invest. Ophtalmol. Vis. Sci. 2001年、42巻、2037〜2042頁参照)、このことは、緑内障の治療におけるHSD1阻害剤の役割を示唆している。
【0008】
ヒトおよびげっ歯類の目における11-β-HSDアイソザイム、特に毛様体上皮細胞における11-β-HSD1の発現が記載されており(Stokesら、Invest Ophthalmol Vis Sci. 2000年、41巻、1629〜1638頁参照)、このことは、房水の生成および眼内圧の調節において役割を果たす可能性を示唆している。房水中のコルチゾール濃度は、コルチゾン濃度の約14倍高い。このことは、非常に広範な主要な11-β-還元酵素HSD1活性を示唆している。緑内障患者における二重盲検対照試験では、カルベノキソロンによる治療によって眼内圧が有意に低下することが観測されており、したがって、11-β-HSD1阻害剤は緑内障の治療に適した治療戦略となり得る。
【0009】
国際公開第2007026920号は、Rhoキナーゼ(ROCK)阻害剤としてのN-アリールアミド化合物および関連化合物、ならびに医薬組成物およびROCKに関係する疾患の治療におけるその使用を記載している。
【0010】
【化1】

【0011】
国際公開第2006106423号は、11-β-HSD1モジュレーターとしてのN-ピリジルヘテロシクリルスルホンアミド化合物およびその使用を記載している。
【0012】
【化2】

【0013】
国際公開第2006048330号は、11-β-HSD1阻害剤としてのN-ベンジルスルホンアミド化合物および関係する誘導体、医薬組成物、ならびに療法におけるその使用を記載している。
【0014】
【化3】

【0015】
国際公開第2003045367号は、ピリジルアルキル尿素(pyridylalkylurea)から誘導された化合物を記載しており、その一部は本発明の化合物と構造的に類似しているが、使用は異なる。
【0016】
【化4】

【0017】
しかしながら、新しい11-β-HSD1阻害化合物を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2007026920号
【特許文献2】国際公開第2006106423号
【特許文献3】国際公開第2006048330号
【特許文献4】国際公開第2003045367号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Kotelevtsevら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997年、94巻、14924〜14929頁
【非特許文献2】Masuzakiら、J. Clin. Invest. 2003年、112巻、83〜90頁
【非特許文献3】Rauzら、Q J Med 2003年、96巻、481〜490頁
【非特許文献4】Sandeepら、Proc Natl Acad Sci. USA 2004年、101巻、6734〜6739頁
【非特許文献5】Rauzら、Invest. Ophtalmol. Vis. Sci. 2001年、42巻、2037〜2042頁
【非特許文献6】Stokesら、Invest Ophthalmol Vis Sci. 2000年、41巻、1629〜1638頁
【非特許文献7】Elmore、Amino Acids Pep. Proteins 2001年、32巻、107〜162頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、11-β-HSD1阻害剤として有効であり、11-β-HSD2と比して11-β-HSD1に選択性を有する、式(I)のペルヒドロキノリンおよびペルヒドロイソキノリンから誘導された新しい化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明の第1の態様は、
式(I)の化合物
【0022】
【化5】

【0023】
および薬学的に許容されるその塩[式中、
sおよびpは、sが1の場合はpが0であり(ペルヒドロキノリンを形成する)、sが0の場合はpが1である(ペルヒドロイソキノリンを形成する)ように、逆の方式で0〜1から選択される整数であり、
Yは、CO、CSおよびSO2から選択されるビラジカルであり、
W1およびW2は、独立に、結合またはO、SおよびNR1から選択されるビラジカルであってよく、R1は、場合により、H、C1〜4アルキルまたはC3〜10シクロアルキルであり、
nは、0、1、2、3および4から選択される整数であり、
Vは、-CO-T、-CS-Tおよび-SO2-Tから選択されるラジカル、または
【0024】
【化6】

【0025】
から選択されるラジカルであり、
Tは、NR2R3、R2、OR2およびSR2から選択される基、または
【0026】
【化7】

【0027】
から選択される基であり、
R2およびR3は、独立に、H、COR4、SO2R4、C1〜4アルキル、アリール、ベンジル、フェネチル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜10シクロアルキルまたは複素環から選択され、
R2またはR3が、アルキルまたはアルケニルである場合、これらは、F、OR4、NR4R5、COOR4、CONR4R5、C3〜10シクロアルキル、アリールおよび複素環から独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてよく、
R2またはR3が、アリール、ベンジル、フェネチル、シクロアルキルまたは複素環である場合、これらは、NH2、F、Cl、CN、NO2、COOH、R4、COOR4、OR4、OCF3、SH、SR4、CONR4R5、SO2NR4R5、COR4、NR1COR4、OCOR4、SOR4、SO2R4および複素環から独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてよく、
R2またはR3がシクロアルキルである場合、これは、シクロアルキルと縮合した1つまたは複数のベンゼン環により場合により置換されていてよく、前記ベンゼンは、アルキル、アルコキシドまたはハロゲンから独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてよく、
R4およびR5は、独立に、H、C1〜4アルキル、アリール、ベンジル、フェネチル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜10シクロアルキルおよび複素環から選択され、
場合により、R4およびR5は、互いに結合して3〜8員環を形成することができ、
R6、R7、R8およびR9は、独立に、H、OR4、FおよびClから選択され、
R10は、独立に、H、OH、F、C1〜4アルキル、COOR11、COR11、フェニル、ベンジル、ベンズヒドリル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜10シクロアルキルおよび複素環から選択され、前記アルキル、フェニル、ベンジル、ベンズヒドリル、シクロアルキルまたは複素環は、NH2、F、Cl、NO2、COOH、COOR4、OR4、CF3、SH、SR4、CONR4R5、SO2NR4R5、COR4、NR1COR4、OCOR4、SOR4、SO2R4およびC1〜4アルキルから独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてよく、
R11は、H、C1〜4アルキル、アリールおよびC3〜10シクロアルキルから選択される]
に言及する。
【0028】
本発明の特定の一実施形態では、sは0であり、pは1である。本発明の別の特定の実施形態では、sは1であり、pは0である。
【0029】
本発明の別の特定の実施形態では、Yは、COおよびSO2から選択される。
【0030】
本発明の別の特定の実施形態では、W1およびW2は、独立に、結合、SおよびNR1から選択される。本発明の別の特定の実施形態では、R1はHである。
【0031】
本発明の別の特定の実施形態では、Vは、-CO-T、-CS-Tおよび-SO2-Tから選択される。
【0032】
本発明の別の特定の実施形態では、Vは、
【0033】
【化8】

【0034】
から選択される。
【0035】
本発明の別の特定の実施形態では、R2およびR3は、独立に、H、COR4、SO2R4、C1〜4アルキル、フェニル、ナフチル、ベンジル、フェネチル、C2〜4アルケニル、C3〜10シクロアルキルおよび複素環、特に、2-フラニル、2-チオフェニル、2-(1-メチルインドール)、キノリン、イソキノリンおよび2-ベンゾフラニルから選択される。
【0036】
本発明の別の特定の実施形態では、R2またはR3が、独立に、C1〜4アルキルまたはC2〜4アルケニルである場合、R2またはR3は、F、OR4、NR4R5、COOR4、CONR4R5、フェニル、C3〜10シクロアルキル、ヘキセニル、ナフチルおよび複素環、特に、ピリジン、3-(1-メチルインドール)、3-チオフェニルおよび2-ナフチルから独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてよい。
【0037】
本発明の別の特定の実施形態では、R2またはR3が、独立に、フェニル、ベンジル、フェネチルまたはC3〜10シクロアルキルである場合、R2またはR3は、F、ClおよびOR4から独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてよい。
【0038】
本発明の別の特定の実施形態では、R2またはR3がシクロアルキルである場合、これはシクロアルキルと縮合した1つまたは複数のベンゼン環によって場合により置換されていてよく、該ベンゼンは、アルキル、アルコキシドまたはハロゲンから独立に選択される1つまたは複数の置換基によって場合により置換されていてよい。
【0039】
本発明の別の特定の実施形態では、R4およびR5は、独立に、C1〜4アルキル、ベンジル、フェネチルおよびフェニルから選択される。
【0040】
本発明の別の特定の実施形態では、R4およびR5は、場合により、互いに結合して3〜8員環を形成することができる。
【0041】
本発明の別の特定の実施形態では、R6、R7、R8およびR9は、独立に、H、OR4、FおよびClから選択される。
【0042】
本発明の別の特定の実施形態では、R10は、H、OH、F、C1〜4アルキル、COOR11、COR11、フェニル、ベンジルおよびベンズヒドリルから選択される。
【0043】
本発明の別の特定の実施形態では、R10は、フェニル、ベンジルおよびベンズヒドリルから選択され、そのすべては、F、OR4、CF3、COR4およびC1〜4アルキルから独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されている。
【0044】
本発明の別の特定の実施形態では、R11は、HおよびC3〜10シクロアルキルから選択される。
【0045】
別の特定の実施形態では、Tは、NR2R3、R2、OR2およびSR2から選択される。
【0046】
別の特定の実施形態では、Tは、
【0047】
【化9】

【0048】
から選択される。
【0049】
本発明の第2の態様は、特に11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる疾患、特に、緑内障、眼圧上昇、代謝性障害、肥満、メタボリック症候群、脂質異常症、高血圧、糖尿病、特にII型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、クッシング症候群、乾癬、関節リウマチ、認知障害、アルツハイマー病または神経変性の予防または治療のため、好ましくは緑内障またはメタボリック症候群の予防または治療のための医薬品として使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩に言及する。
【0050】
本発明の別の態様は、11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる疾患、特に前述の障害の1つを予防または治療することを意図した医薬品の製造における、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用に言及する。
【0051】
本発明の別の態様は、11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる疾患、特に前述の障害の1つに罹患しているまたは罹患しやすい個体に、治療有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤と一緒に投与するステップを含む、前記個体を予防または治療する方法に言及する。
【0052】
式(I)の化合物および薬学的に許容されるその塩、特に実施例または中間体として記載の、式(I)の化合物が好ましい。
【0053】
本発明の化合物は、単独で使用することができ、または緑内障、眼圧上昇、肥満、メタボリック症候群、脂質異常症、高血圧および/もしくは糖尿病などの代謝性障害、特にII型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、クッシング症候群、乾癬、関節リウマチ、認知障害、アルツハイマー病および/もしくは神経変性などの疾患の予防または治療に有用な1つまたは複数の化合物と組み合わせて使用することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
用語「C1〜4アルキル」は、単独でまたは組合せて、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。
【0055】
用語「C2〜4アルケニル」および「C2〜4アルキニル」は、単独でまたは組合せて、2〜4個の炭素原子を有し、1つまたは複数の不飽和結合を有する直鎖または分岐鎖ラジカルを意味する。
【0056】
用語「C3〜10シクロアルキル」は、単独でまたは組合せて、飽和または部分的に飽和の、炭素および水素原子のみからなる、単環式、二環式または三環式の3〜10員の安定なラジカルを指す。C3〜10シクロアルキルの例は、以下の、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、1-トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル、2-トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニルおよび2-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルである。本明細書で別段具体的に定められない限り、用語「シクロアルキル」は、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、アルコキシル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、フェニルなどの1つまたは複数の置換基により場合により置換されているシクロアルキルラジカルを含むものを指す。
【0057】
用語「アリール」は、単独でまたは組合せて、分離および/または縮合アリール基を含有する複数の環のラジカルを含む、単一の環および複数の環のラジカルを指す。フェニルまたはナフチルラジカル、好ましくはフェニル基などの一般的なアリール基は、1〜3個の分離または縮合環および6〜18個の炭素環原子を含有し、場合により、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、シアノ、カルバモイル、アルコキシカルバモイル、メチレンジオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、ニトロ、アルキル-SO2-、アミノ-SO2-、シクロアルキル等から互いに独立に選択される1つまたは複数の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する。アルキル、ハロゲン、アルコキシ、トリフルオロメトキシ、ニトロおよびトリフルオロメチルから互いに独立に選択される置換基によって、1〜3回、好ましくは1〜2回、場合により置換されているフェニルまたはナフチル、特にフェニルが好ましい。フェニルが特に好ましい。
【0058】
用語「ベンジル」および「フェネチル」は、場合により、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、シアノ、カルバモイル、アルコキシカルバモイル、メチレンジオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、ニトロ、アルキル-SO2-、アミノ-SO2-、シクロアルキル等から互いに独立に選択される1つまたは複数の置換基を有することができる。
【0059】
用語「複素環」は、単独でまたは組合せて、窒素、酸素および硫黄から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有する、飽和、部分的に飽和の、または芳香族である5〜10員の複素環を意味する。本発明の目的では、複素環は、単環式、二環式または三環式環系であってよく、これには縮合環系が含まれ得る。複素環は、1つまたは複数の炭素原子上で、例えば、ハロゲン、アルキル、フェニル、アルコキシ、オキソ等によって置換されていてよく、および/または第2の窒素原子(すなわち、-NH-)上で、アルキル、シクロアルキル、アラルコキシカルボニル、アルカノイル(alcanoyl)、フェニルもしくはフェニルアルキルによって置換されていてよく、または第3の窒素原子(すなわち、=N-)上で、オキシドによって置換されていてよく、特に好ましいのは、ハロゲン、アルキル、シクロアルキルおよびアルコキシである。複素環基の例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼピン、モルホリニル、チオモルホリニル、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-4-イルおよび1-ベンジルオキシカルボニルイミダゾール-4-イル)、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル(例えば、2-インドリル)、キノリル(例えば、2-キノリル、3-キノリルおよび1-オキシド-2-キノリル)、イソキノリル(例えば、1-イソキノリルおよび3-イソキノリル)、テトラヒドロキノリル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロ-2-キノリル)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロ-1-オキソイソキノリル)ベンズイミダゾイル、ベンゾチアゾイルおよびキノキサリニルである。好ましい例は、チオフェニル、キノリル、ピペリジル、モルホリル、チオモルホリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、イミダゾリルおよびチアゾリルである。
【0060】
用語「薬学的に許容される塩」は、遊離塩基または遊離酸の効率および生物学的な特性を保持し、生物学的な意味または任意の他の意味において妨害しない塩を意味する。
【0061】
本発明によれば、式Iの化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、11-β-HSD1酵素関連障害によって引き起こされる疾患の予防または治療に有用である。
【0062】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の分野の技術者に一般に理解される用語と同じ意味を有する。本発明の実施において、本明細書に記載のものに類似のまたは等しい方法および材料を使用することができる。本発明の説明および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という用語およびその変形は、関与する化合物の他の技術的な特徴、添加物、成分、ステップまたは立体異性体を排除することを企図しない。当業者には、本発明の他の目的、利点および特徴が、本発明の説明から部分的に、また本発明の実施から部分的に推測されよう。
【0063】
式(I)の化合物は、有機合成の分野のいずれの技術者によっても公知の異なる方法に従って、特に以下のスキームで示した全般的なプロセスを介して調製することができる。調製方法のための出発材料は、市販されており、または文献に記載の方法を用いて調製することができる。それらはすべて、ペルヒドロキノリンを用いて出発したが、ペルヒドロイソキノリンについても同様である。
【0064】
【化10】

【0065】
この方法によれば、酸-エステル(IIa)を、例えば1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の組合せなどの適切なカップリング剤の存在下で、または塩化チオニル、塩化スルフリル、塩化オキサリルなどの多種多様な試薬を用いてその酸を対応するハロゲン化アシルに変換することによって、デカヒドロキノリンで処理する。Et3Nなどの第3級塩基の存在下で(Elmore、Amino Acids Pep. Proteins 2001年、32巻、107〜162頁)、アミド-エステル中間体(IIIa)を得る。ジアミド(Ia)は、LiOH型、NaOH型等の塩基を用いる水性媒体中での化合物(IIIa)の先の鹸化、および中間体(IIIa)について既に記載の方法のいずれかを用いるその後のジアミドの形成によって得られる。
【0066】
【化11】

【0067】
スキーム2、デカヒドロキノリンとジホスゲンまたはトリホスゲンの反応、およびその後のアミノ-エステル、ヒドロキシ-エステルまたはメルカプト-エステル型誘導体の添加によって、それぞれ尿素-エステル、カルバメート-エステルまたはチオカルバメート-エステル型中間体が得られることを示す。その後、アミド誘導体を得るために、スキーム1に記載のものと類似の脱保護およびカップリング処理を実施する。
【0068】
【化12】

【0069】
スキーム3は、本発明の化合物のアミド-スクシンイミド(IcおよびIk)、アミド-アミド(Id)、アミド-スルホンアミド(It)およびアミド-尿素またはアミド-チオ尿素(Ie)を調製する方法を示す。中間体アミン(Vc)は、2つの代替法によって調製することができる。一方は、中間体(IIIc)からカリウムフタルイミドを用いるGabriel合成によって化合物(Ic)を得、その後EtOH還流下でこの化合物をヒドラジンで処理することによって、前述のアミン(Vc)を生成するものであり、場合により、中間体(IIIc)をナトリウムアジドと反応させてアルキルアジド(IVc)を生成し、それによって還元によりアミン(Vc)を得る。
【0070】
中間体アミン(Vc)は、既に記載の方法のいずれかによってアミド(Id)およびスルファミド(It)の両方に変換することができ、またはイソシアネートもしくはチオイソシアネートとの反応によって、それぞれ尿素もしくはチオ尿素(Ie)に変換することができる。式(Ik)の化合物は、一般式(IIc)の1,2-ジカルボン酸の無水物および既に記載の中間体アミン(Vc)を縮合することによって容易に調製され得る。
【0071】
【化13】

【0072】
スキーム4は、先のスキームで既に記載の方法の組合せを適用して、スキーム3に既に記載の異なる末端官能性を有するデカヒドロキノリンから尿素およびチオ尿素を得ることにより本発明の化合物を調製する方法を示す。
【0073】
【化14】

【0074】
スキーム5は、アミド-カルバメートおよびアミド-O-チオカルバメート型の本発明の化合物を調製する方法を示す。エステルの鹸化によって、中間体エステル(IIIa)からアルコール(IVj)に還元し、混合無水物を形成し、その後水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元する。アルコール(IVj)と、イソシアネート、チオシアネート、塩化カルバモイルまたは塩化チオカルバモイルの反応によって、カルバメートまたはO-チオカルバメート(Ij)を得る。
【0075】
【化15】

【0076】
スキーム6は、アミド-S-チオカルバメートおよびアミド-ジチオカルバメート型の本発明の化合物を調製する方法を示す。既に記載の方法によって中間体アミド(IVp)を形成し、次いで、イソシアネート、チオシアネート、塩化カルバモイルまたは塩化チオカルバモイルと反応させた後、S-チオカルバメートまたはジチオカルバメート(Ip)を得る。
【0077】
【化16】

【0078】
スキーム7は、スルホンアミド(Im)の調製方法を示し、この方法では、デカヒドロキノリンを塩化スルホニルエステル(IIm)と反応させる。スキーム1に既に記載の脱保護およびカップリング処理によって、スルホンアミド(Im)を得る。
【実施例】
【0079】
以下の例は、本発明をより良好に例示するのに役立つが、本発明を制限するものと解釈されるべきではない。
【0080】
本文書において使用する命名法は、IUPACの系統的命名法を使用するAUTONOM(Automatic Nomenclature)として公知のBeilstein-Institutコンピュータープログラムに基づく。
【0081】
略語
AcOEt 酢酸エチル
Brine 飽和NaCl溶液
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド
Et3N トリエチルアミン
EtOH エタノール
HOBT 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
MeOH メタノール
MS 質量分析
m/z 質量/電荷比
rt 室温
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
tr 保持時間
UV 紫外線
【0082】
全般的なデータ
可変波長のUV検出器および質量分析計モデル1100VLを備えたAgilent HPLC-UV-MS装置を使用して、生成物を分析した。UV検出に使用した波長は210nmであり、MS検出器は、陽イオンエレクトロスプレーイオン化モードで操作し、100〜700m/zの走査を実施した。クロマトグラフィーによる分離に関して、使用したカラムは、Kromasil 100 C18、40×4.0mm、3.5μmであり、2〜5μlを注入した。溶出に関して、以下に記載の2つの溶媒勾配の一方に従った。
【0083】
方法A:5〜90%B、0〜8分;90%B、8〜11分;5%B、9〜11分。移動相の流速は、0.7ml/分である。
【0084】
方法B:5〜90%B、0〜4.5分;90%B、4.5〜6分;5%B、6〜7分。移動相の流速は、1.4ml/分である。
【0085】
どちらの場合も、溶媒Aは、水中0.2%ギ酸からなり、Bは、アセトニトリル中0.2%ギ酸である。
【0086】
あるいは、直列のダイオードを有する検出器および質量分析計モデルEMD1000を備えたWaters HPLC-UV-MS装置を用いて、分析を実施した。UV検出に使用した波長は210nmであり、MS検出器は、陽イオンエレクトロスプレーイオン化モードで操作し、100〜700m/zの走査を実施した。クロマトグラフィーによる分離に関して、使用したカラムは、Kromasil C18 2.1×50mm、3.5μmであり、2μlを注入した。溶出に関して、以下の勾配に従った。
【0087】
移動相の流速は、0.5ml/分である。
【0088】
中間体IIIa.1:3-(オクタヒドロキノリン-1-イル)-3-オキソプロピオン酸エチル
【0089】
【化17】

【0090】
Et3N3.38mLおよび3-クロロ-3-オキソプロピオン酸エチル1.44mL(11mmol)を、AcOEt100mL中デカヒドロキノリン1.5mL(10mmol)の溶液に添加する。得られた溶液を、還流状態で10時間撹拌し続ける。次いで、水を添加し、有機相を分離し、水相をAcOEtで再度抽出する。有機相をプールし、まずNaHCO3の5%溶液で洗浄し、その後ブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。黄色油2.0gを得る。この油は、中間体IIIa.lと同定される。方法A:tr:6.76分;m/z:268。
【0091】
中間体IIIa.2:6-(オクタヒドロイソキノリン-2-イル)-6-オキソヘキサン酸メチルエステル
【0092】
【化18】

【0093】
AcOEt80mL、次いで、Et3N3mL(22mmol)を、デカヒドロイソキノリン1.1mL(8.32mmol)、アジピン酸モノメチル1.5mL(10mmol)、HOBT2g(15mmol)およびEDC2.9g(15mmol)によって形成された混合物に添加する。形成された溶液を、18時間撹拌し続ける。次いで、水およびAcOEtで処理し、有機相を分離し、水相をAcOEtで再度抽出する。有機相をプールし、飽和NaHCO3溶液、1NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。次いで、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。中間体IIIa.2と同定される油1.5gが得られる。
【0094】
方法B:tr:3.66分/3.78分;m/z:282/282
【0095】
以下の中間体を、中間体IIIa.1またはIIIa.2と同様にして調製した。
【0096】
【表1】

【0097】
中間体IIIb.1:3-[(オクタヒドロキノリン-1-カルボニル)アミノ]プロピオン酸メチルエステル
【0098】
【化19】

【0099】
ステップ1
【0100】
【化20】

【0101】
デカヒドロキノリン2.5g(18mmol)を、DCM150mLに溶解し、形成された溶液にトリホスゲン2.7g(9mmol)をゆっくり添加し、温度が25℃を超えないようにする。次いで、得られた混合物を18時間還流する。次いで、混合物を蒸発乾固させ、得られた残渣を、シリカゲル濾過によってAcOEtを溶離液として使用して精製して、1-クロロカルボニルオクタヒドロキノリンと同定される黄色がかった油2gを得る。IR:1729。
【0102】
ステップ2
3-アミノプロピオン酸メチルエステル塩酸塩0.5g(3.5mmol)を、無水THF5mLおよびEt3N0.9mLに溶解する。溶解したら、1-クロロカルボニルオクタヒドロキノリン650mgをゆっくり添加し、18時間還流にする。次いで、AcOEtを添加し、得られた溶液を、水、1NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、580mgの中間体IIIb.1を得る。
【0103】
方法B:tr:3.17分;m/z:269。
【0104】
以下の中間体を、中間体IIIb.1と同様にして調製した。
【0105】
【表2】

【0106】
中間体IIIb.5:3-(オクタヒドロイソキノリン-2-カルボニルスルフェニル)プロピオン酸メチルエステル
【0107】
【化21】

【0108】
ステップ1
【0109】
【化22】

【0110】
2-クロロカルボニルオクタヒドロイソキノリン。これは、中間体IIIb.1のステップ1に記載のものと同様にして調製した。IR:1737。
【0111】
ステップ2
2-クロロカルボニルオクタヒドロイソキノリン1g(5mmol)を、ピリジン10mL中3-メルカプトプロピオン酸メチルエステル0.55mL(5mmol)の0℃の溶液に添加する。添加後、rtで18時間撹拌する。次いで、AcOEtを反応混合物に添加し、NaHCO3の5%溶液、1NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによってヘキサン:AcOEt(1:1)混合物を溶離液として使用して精製して、中間体IIIb.5と同定される残渣1.17gおよびビス-(オクタヒドロイソキノリン-2-イル)メタノン(Vb.1)と同定される固体210mgを得る。
【0112】
【化23】

【0113】
方法B:IIIb.5についてはtr:4.35分;m/z:286。Vb.1については:tr:5.34分;m/z:305。
【0114】
以下の中間体を、中間体IIIb.5と同様にして調製した。
【0115】
【表3】

【0116】
中間体IIIm.1:3-(オクタヒドロキノリン-1-スルホニル)プロピオン酸メチルエステル
【0117】
【化24】

【0118】
ステップ1
塩化スルフリル4.48mL(55.9mmol)を、3-メルカプトプロピオン酸メチル2.47mL(22.4mmol)および硝酸カリウム5.64g(55.9mmol)によって形成された0℃に冷却した混合物に、滴下添加する。添加後、rtにして10時間撹拌し続ける。飽和NaHCO3溶液を添加し、有機相を分離し、その後NaHCO3、次いで、ブラインで再度洗浄する。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、3-クロロスルホニルプロピオン酸メチルエステルと同定される油2.6gを得る。
【0119】
方法B:tr:2.05分;m/z:イオン化できず。
【0120】
ステップ2
Et3N2.1mL(15.3mmol)、その後3-クロロスルホニルプロピオン酸メチルエステル1.3g(7mmol)を、AcOEt70mL中デカヒドロキノリン1.1mL(7.6mmol)によって形成された溶液に滴下添加する。混合物を70℃に加熱し、その温度を12時間維持する。次いで、冷却し、水を添加し、有機相を分離し、重炭酸ナトリウムの5%溶液、2NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、中間体IIIm.1と同定される赤色がかった油1.32gを得る。
【0121】
方法B:tr:3.36分;m/z:290
【0122】
以下の中間体を、中間体IIIm.1と同様にして調製した。
【0123】
【表4】

【0124】
中間体IVb.1:4-[(オクタヒドロイソキノリン-2-カルボニル)アミノ]酪酸
【0125】
【化25】

【0126】
1.2g(4.21mmol)の中間体IIIb.4を、THF37.5mLおよびMeOH12.5mLによって形成された混合物に溶解し、1MのLiOH水溶液5.1mLを、形成された溶液に添加する。得られた混合物を、rtで18時間撹拌し続ける。次いで、AcOEtで希釈し、水で洗浄し、水相を、pH=3になるまでHClの1N溶液で酸性にし、AcOEtで抽出する。最後に、有機相をプールし、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。白色固体570mgを得る。
【0127】
方法B:tr:2.85分/2.96分;m/z:269/269
【0128】
以下の中間体を、中間体IVb.1と同様にして調製した。
【0129】
【表5A】

【0130】
【表5B】

【0131】
中間体IIIc.1:4-ブロモ-1-(オクタヒドロキノリン-1-イル)ブタン-1-オン
【0132】
【化26】

【0133】
Et3N1.37mL(9.9mmol)および5-ブロモ吉草酸塩化物0.5mL(4.5mmol)を、AcOEt中デカヒドロキノリン溶液1mL(4.0mmol)に添加する。得られた溶液を、rtで18時間撹拌し続ける。次いで、溶液を水で洗浄し、AcOEtと共に水で2回再抽出する。プールした有機相を、NaHCO3の5%溶液、1NのHClおよび飽和塩化アンモニウム溶液で逐次的に洗浄する。最後に、有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。黄色油1.2gを得、その後の精製することなく使用した。
【0134】
以下の中間体を、中間体IIIc.1と同様にして調製した。
【0135】
【表6】

【0136】
中間体IIIf.1:オクタヒドロキノリン-1-カルボン酸 3-クロロプロピルアミド
【0137】
【化27】

【0138】
3-クロロプロピルイソシアネート2.5g(21mmol)を、無水THF150mLおよびEt3N6.4mL(46mmol)に溶解する。溶解したら、デカヒドロキノリン3.4mL(23mmol)をゆっくり添加し、18時間還流する。次いで、AcOEtを添加し、得られた溶液を、水、1NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、4.6gの中間体IIIf.1を得る。方法B:tr:3.58分;m/z:259
【0139】
中間体IIIf.2:オクタヒドロイソキノリン-2-カルボン酸3-(クロロプロピル)アミド
【0140】
【化28】

【0141】
これを、中間体IIIf.1について記載のものと同様にして調製した。方法B:tr:3.57分/3.68分;m/z:259、259
中間体IVc.1:4-アジド-1-(オクタヒドロキノリン-1-イル)ブタン-1-オン
【0142】
【化29】

【0143】
ナトリウムアジド710mg(10,8mmol)を、無水DMF35mL中1.1g(3.6mmol)の中間体IIIc.1の溶液に添加する。得られた溶液を、90℃の温度で18時間撹拌し続ける。次いで、溶液を冷却し、水を添加し、AcOEtで3回抽出する。プールした有機相を、ブラインで洗浄する。最後に、有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。黄色油830mgを得、その後、精製することなく使用した。方法A:tr:7.07分;m/z:251。
【0144】
以下の中間体を、中間体IVc.1と同様にして調製した。
【0145】
【表7】

【0146】
中間体Ic.1:2-[4-(オクタヒドロキノリン-1-イル)-4-オキソブチル]イソインドール-1,3-ジオン
【0147】
【化30】

【0148】
カリウムフタルイミド200mg(1.1mmol)を、無水DMF10mL中307mg(1.1mmol)の中間体IIIc.1の溶液に添加する。得られた溶液を、90℃の温度で18時間撹拌し続ける。次いで、溶液を冷却し、水を添加し、AcOEtで抽出する。プールした有機相を、ブラインで洗浄する。最後に、有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。ペースト360mgを得、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、ヘキサン:AcOEt(1:1)混合物を溶離液として使用して精製して、中間体Ic.1と同定される油180mgを得る。方法A:tr:7.17分;m/z:355。
【0149】
以下の中間体を、中間体Ic.1と同様にして調製した。
【0150】
【表8】

【0151】
中間体Vc.1:4-アミノ-1-(オクタヒドロキノリン-1-イル)ブタン-1-オン
【0152】
【化31】

【0153】
オプションA:ヒドラジン0.1mL(2.5mmol)を、EtOH5mL中172mg(0.48mmol)の中間体Ic.1によって形成された溶液に添加し、還流温度にして2時間加熱する。次いで、溶液を冷却し、酸性pHに達するまで濃HClを添加し、2時間以上撹拌する。得られた懸濁液を濾過し、水を1NのNaOHで塩基性にし、DCMで抽出する。プールした有機相をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、DCM:MeOH(10:1)混合物を溶離液として使用して精製して、中間体Vc.1と同定される油90mgを得る。
【0154】
オプションB:MeOH35mL中830mg(3.32mmol)の中間体IVc.1および5%Pd/C83mgによって形成された懸濁液を、TLCによってモニタして出発生成物が消失するまで、水素雰囲気下で撹拌する。セライトで濾過し、蒸発乾固させて、中間体Vc.1と同定される油700mgを得る。
【0155】
方法A:tr:3.94分;m/z:225
【0156】
以下の中間体を、中間体Vc.1と同様にして調製した。
【0157】
【表9】

【0158】
中間体IVj.1:5-ヒドロキシル-1-(オクタヒドロイソキノリン-2-イル)ペンタン-1-オン
【0159】
【化32】

【0160】
クロロギ酸イソブチル0.63mL(4.93mmol)を、無水THF50mL中、1.25g(4.93mmol)の中間体IVa.8およびN-メチルモルホリン0.6mL(5.4mmol)の溶液に滴下添加し、0℃に冷却する。得られた溶液を、その温度で30分間撹拌し、次いで、水素化ホウ素ナトリウム370mg(9.86mmol)を添加する。添加後、rtにして2時間撹拌する。次いで、AcOEtと水に分離する。水相をAcOEtで2回抽出し、有機相をプールし、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて黄色油1gを得、その後、精製することなく使用した。
【0161】
方法B:tr:2.94分/3.06分;m/z:240/240。
【0162】
中間体IVj.2:5-ヒドロキシル-1-(オクタヒドロキノリン-1-イル)ペンタン-1-オン
【0163】
【化33】

【0164】
これを、中間体IVj.1について記載のものと同様にして調製した。方法B:tr:2.94分;m/z:240
【0165】
中間体IVp.1:3-メルカプト-1-(オクタヒドロキノリン-1-イル)プロパン-1-オン
【0166】
【化34】

【0167】
Et3N8.5mL、EDC6.5g(mmol)およびHOBT5.7g(mmol)を、DMF45mL中3-メルカプトプロピオン酸3g(28.2mmol)によって形成された溶液に添加し、0℃に冷却し、その温度で15分間撹拌する。次いで、デカヒドロキノリン4.2g(28.3mmol)を添加し、rtで18時間撹拌する。次いで、水およびAcOEtで処理し、有機相を分離し、水相を再度AcOEtで抽出する。有機相をプールし、飽和NaHCO3溶液、1NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。次いで、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、DCM:MeOH(50:1)混合物を溶離液として使用して精製して、600mgのチオール中間体IVp.1を得る。
【0168】
中間体IVp.2:3-メルカプト-1-(オクタヒドロイソキノリン-2-イル)プロパン-1-オン
【0169】
【化35】

【0170】
これを、中間体IVp.1について記載のものと同様にして調製した。方法B:tr:3.59分/3.72分;m/z:228/228
【0171】
中間体IVp.3:4-メルカプト-1-(オクタヒドロキノリン-1-イル)ブタン-1-オン
【0172】
【化36】

【0173】
デカヒドロキノリン1.5mL(10mmol)およびカンファースルホン酸10mgを、トルエン80mL中γ-チオラクトン0.9mL(10mmol)によって形成された溶液に添加する。得られた混合物を100℃で6時間撹拌する。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、DCM:MeOH(50:1)混合物を溶離液として使用して精製して、1.5gのチオール中間体IVp.3を得る。方法B:tr:3.75分;m/z:242
【0174】
中間体IVp.4:4-メルカプト-1-(オクタヒドロイソキノリン-2-イル)ブタン-1-オン
【0175】
【化37】

【0176】
これを、中間体IVp.3について記載のものと同様にして調製した。方法B:tr:3.75分/3.87分;m/z:242/242
【0177】
(実施例Ia.1)N-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-3-(オクタヒドロイソキノリン-2-イル)-3-オキソプロピオンアミド
【0178】
【化38】

【0179】
Et3N43μL(0.31mmol)、HOBT29mg(0.21mmol)、EDC41mg(0.21mmol)および18.6μL(0.16mmol)の2-アミノノルボルナンを、AcOEt2mL中32mg(0.14mmol)の酸中間体IVa.6の溶液に添加する。形成された溶液を18時間撹拌し続ける。次いで、水で処理し、さらなるAcOEtを添加し、有機相を分離し、水相をさらなるAcOEtで再度抽出する。有機相をプールし、飽和NaHCO3溶液、1NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。次いで、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。実施例Ia.lと同定される化合物27mgを得る。方法A:tr:6.76分/6.84分;m/z:319/319
【0180】
以下の実施例を、実施例Ia.1と同様にして調製した。
【0181】
【表10A】

【0182】
【表10B】

【0183】
【表10C】

【0184】
【表10D】

【0185】
【表10E】

【0186】
【表10F】

【0187】
【表10G】

【0188】
【表10H】

【0189】
【表10I】

【0190】
【表10J】

【0191】
【表10K】

【0192】
【表10L】

【0193】
【表10M】

【0194】
【表10N】

【0195】
【表10O】

【0196】
【表10P】

【0197】
【表10Q】

【0198】
【表10R】

【0199】
【表10S】

【0200】
【表10T】

【0201】
【表10U】

【0202】
【表10V】

【0203】
【表10W】

【0204】
【表10X】

【0205】
【表10Y】

【0206】
【表10Z】

【0207】
【表10AA】

【0208】
【表10BB】

【0209】
(実施例Ie.1)1-[5-(オクタヒドロキノリン-1-イル)-5-オキソペンチル]-3-トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-1-イル尿素
【0210】
【化39】

【0211】
35mg(0.15mmol)の中間体Vc.4を、無水THF2mLおよびEt3N23μL(0.25mmol)に溶解する。溶解したら、1-アダマンチルイソシアネート17.3mg(0.1mmol)をゆっくり添加し、2日間還流する。次いで、AcOEtを添加し、その後、得られた溶液を、水、1NのHClおよびブラインで洗浄する。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、実施例Ie.1と同定される黄色がかった油47.5gを得る。方法B:tr:4.27分;m/z:416。
【0212】
以下の実施例を、実施例Ie.1と同様にして調製した。
【0213】
【表11A】

【0214】
【表11B】

【0215】
【表11C】

【0216】
【表11D】

【0217】
【表11E】

【0218】
【表11F】

【0219】
【表11G】

【0220】
【表11H】

【0221】
【表11I】

【0222】
(実施例Id.1)N-[3-(オクタヒドロキノリン-1-イル)-3-オキソプロピル]-2-チオフェン-2-イルアセトアミド
【0223】
【化40】

【0224】
Et3N46μL、HOBT30.4mg(0.22mmol)およびEDC43.1mg(0.22mmol)を、AcOEt2mL中2-チエニル酢酸21.3mg(0.15mmol)の溶液に添加する。35mg(0.17mmol)の中間体アミンVc.3をそれに添加する。形成された懸濁液を、18時間撹拌し続ける。次いで、水で処理し、さらなるAcOEtを添加し、有機相を分離し、水相をさらなるAcOEtで再度抽出する。有機相をプールし、飽和NaHCO3溶液、1NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。次いで、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、DCM-MeOH(30:1)混合物を溶離液として使用して精製して、実施例Id.1と同定される油5mgを得る。方法A:tr:6.30分;m/z:335。
【0225】
(実施例Id.2)N-[3-(オクタヒドロキノリン-1-イル)-3-オキソプロピル]プロピオンアミド
【0226】
【化41】

【0227】
35mg(0.17mmol)の中間体アミンVc.3およびEt3N46μLを、AcOEt2mL中塩化プロピオニル13μL(0.15mmol)の溶液に添加する。形成された溶液を、18時間撹拌し続ける。次いで、水で処理し、さらなるAcOEtを添加し、有機相を分離し、水相をさらなるAcOEtで再度抽出する。有機相をプールし、飽和NaHCO3溶液、1NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。次いで、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させ、11mgの実施例Id.2を得る。方法A:tr:5.35分;m/z:267。
【0228】
以下の実施例を、実施例Id.1またはId.2と同様にして調製した。
【0229】
【表12A】

【0230】
【表12B】

【0231】
【表12C】

【0232】
【表12D】

【0233】
【表12E】

【0234】
(実施例It.1)N-[3-(オクタヒドロキノリン-1-イル)-3-オキソプロピル]プロピオンアミド
【0235】
【化42】

【0236】
23.4mg(0.11mmol)の中間体アミンVc.6およびEt3N29μLを、AcOEt2mL中ベンゼンスルホニル塩化物18.1mg(0.10mmol)の溶液に添加する。形成された溶液を、rtで18時間撹拌し続ける。次いで、水で処理し、さらなるAcOEtを添加し、有機相を分離し、水相をさらなるAcOEtで再度抽出する。有機相をプールし、飽和NaHCO3溶液、1NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。次いで、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、ヘキサン-AcOEt(1:1)混合物を溶離液として使用して精製して、実施例It.1と同定される黄色がかったペースト23mgを得る。方法A:tr:6.76分/6.97分;m/z:351/351
【0237】
以下の実施例を、実施例It.1と同様にして調製した。
【0238】
【表13】

【0239】
(実施例Ip.1)シクロヘプチルチオカルバミン酸S-[4-(オクタヒドロイソキノリン-2-イル)-4-オキソブチル]エステル
【0240】
【化43】

【0241】
シクロヘプチルイソシアネート12.8μL(0.1mmol)を、THF2mL中35mg(0.15mmol)の中間体IVp.4およびEt3N23μLの溶液に0℃で添加する。添加後、還流状態で24時間撹拌する。次いで、AcOEtを反応混合物に添加し、水およびブラインで逐次的に洗浄する。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、DCM-MeOH(200:3)混合物を溶離液として使用して精製して、実施例Ip.1と同定される無色ペースト23mgを得る。方法B:tr:4.63分;m/z:381
【0242】
以下の化合物を、実施例Ip.1と同様にして調製した。
【0243】
【表14A】

【0244】
【表14B】

【0245】
(実施例Ik.1)1-[2-(オクタヒドロキノリン-1-イル)-2-オキソエチル]-3,4-ジフェニルピロール-2,5-ジオン
【0246】
【化44】

【0247】
22mgの中間体アミンVc.2(0.11mmol)を、DMF2mL中3,4-ジフェニルフラン-2,5-ジオン34mg(0.13mmol)の溶液に添加する。添加後、100℃で48時間撹拌する。次いで、AcOEtを反応混合物に添加し、水、5%NaHCO3溶液およびブラインで逐次的に洗浄する。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、ヘキサン-AcOEt(3:2)混合物を溶離液として使用して精製して、実施例Ik.1と同定されるペースト7.5mgを得る。方法A:tr:8.55分;m/z:429
【0248】
以下の化合物を、実施例Ik.1と同様にして調製した。
【0249】
【表15A】

【0250】
【表15B】

【0251】
【表15C】

【0252】
【表15D】

【0253】
(実施例Ij.1)[3-(オクタヒドロキノリン-1-イル)-3-オキソプロピル]カルバミン酸t-ブチルエステル
【0254】
【化45】

【0255】
4-ジメチルアミノピリジン0.12mg(1μmol)およびジ-tertブチルジカーボネート43mg(0.2mmol)を、DCM2mL中21mg(0.1mmol)の中間体Vc.3の溶液に添加する。混合物を、rtで18時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、次いで、水およびAcOEtを添加し、水相を分離し、AcOEtで再度抽出し、プールした有機相を、1NのHClおよびブラインで逐次的に洗浄する。有機相を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、DCM-MeOH(20:1)混合物を溶離液として使用して精製して、実施例Ij.1と同定される無色ペースト6.5mgを得る。方法A:tr:7.15分;m/z:311
【0256】
薬理学的実施例
トランスフェクトしたHEK293細胞のミクロソーム画分における11-β-HSD1の阻害活性の決定
アッセイバッファー(50mMのHEPES、100mMのKCl、5mMのNaCl、2mMのMgCl2/100mLのH2O)に溶解した、80nM[3H]-コルチゾン、1mMのNADPHおよび11-β-HSD1クローンを安定にトランスフェクトした40μg/mLのHEK-293細胞ミクロソーム調製物を含有する反応混合物99μLを、96ウェルプレートに添加した。分析する阻害剤を100%DMSOに溶解し、反応物の最終濃度を1%とした。
【0257】
反応混合物を、撹拌しながら37℃で2時間インキュベートした。ウェル1個あたりの反応物の総体積は、100μLであった。停止溶液(5mg/mLタンパク質A Spaビーズ、Superblockブロッキングバッファー、30μMグリチルレチン酸、1μg/mL抗コルチゾールモノクローナル抗体)を、撹拌しながらrtで2時間インキュベートし、光から保護しながら同時に調製した。2時間経過後、停止溶液50μLを、反応プレートの各ウェルに分注し、撹拌しながらrtで2時間インキュベートし、光から保護した。2回目のインキュベーションが終了したら、プレートを、1450 Microbeta Tritalux(Wallac(登録商標))シンチレーションカウンターでウェル1個あたり30秒間読み取った。
【0258】
トランスフェクトしたHEK293細胞のミクロソーム画分における11-β-HSD2の阻害活性の決定
反応混合物59μLを、96ウェルプレートに添加した。これは、アッセイバッファー(50mMのHEPES、100mMのKCl、5mMのNaCl、2mMのMgCl2/100mLのH2O)に溶解した、1mMのNAD+および11-β-HSD2クローンを安定にトランスフェクトした80μg/mLのHEK-293細胞ミクロソーム調製物を含有していた。分析する阻害剤を100%DMSOに溶解し、反応物の最終濃度を1%とした。反応混合物を、撹拌しながら37℃で30分間プレインキュベートした。アッセイバッファーに溶解した反応基質の3.2nM[3H]-コルチゾール40μLを添加した。撹拌しながら37℃で2時間インキュベートした。停止溶液を、rtで2時間インキュベートし、光から保護しながら同時に調製した。これが終了した後、停止溶液50μLを添加して反応を停止させ、撹拌しながらrtで2時間インキュベートし、光から保護した。SPAビーズ-コルチゾール複合体によって放出されたシグナルを、1450 Microbeta Tritalux(Wallac(登録商標))シンチレーションカウンターでウェル1個あたり30秒間測定した。この場合は、基質との結合を測定するものであり、1型アイソザイムについてのアッセイのように生成物との結合を測定するものではない。
【0259】
以下の表は、実施例に記載のいくつかの化合物の活性値を、濃度10μMにおける阻害の百分率として表して示す。
【0260】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

および薬学的に許容されるその塩
[式中、
sおよびpは、sが1の場合はpが0であり(ペルヒドロキノリンを形成する)、sが0の場合はpが1である(ペルヒドロイソキノリンを形成する)ように、逆の方式で0〜1から選択される整数であり、
Yは、CO、CSおよびSO2から選択されるビラジカルであり、
W1およびW2は、独立に、結合またはO、SおよびNR1から選択されるビラジカルであってよく、R1は、H、C1〜4アルキルおよびC3〜10シクロアルキルから選択され、
nは、0、1、2、3および4から選択される整数であり、
Vは、-CO-T、-CS-Tおよび-SO2-Tから選択されるラジカル、または
【化2】

から選択されるラジカルであってよく、
Tは、NR2R3、R2、OR2およびSR2から選択される基、または
【化3】

から選択される基であり、
R2およびR3は、独立に、H、COR4、SO2R4、C1〜4アルキル、アリール、ベンジル、フェネチル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜10シクロアルキルまたは複素環から選択され、
R2またはR3が、アルキルまたはアルケニルである場合、これらは、F、OR4、NR4R5、COOR4、CONR4R5、C3〜10シクロアルキル、アリールおよび複素環から独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてよく、
R2またはR3が、アリール、ベンジル、フェネチル、シクロアルキルまたは複素環である場合、これらは、NH2、F、Cl、CN、NO2、COOH、R4、COOR4、OR4、OCF3、SH、SR4、CONR4R5、SO2NR4R5、COR4、NR1COR4、OCOR4、SOR4、SO2R4および複素環から独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてよく、
R2またはR3がシクロアルキルである場合、これは、1つまたは複数の縮合ベンゼン環により場合により置換されていてよく、前記ベンゼンは、アルキル、アルコキシドまたはハロゲンから独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてよく、
R4およびR5は、独立に、H、C1〜4アルキル、アリール、ベンジル、フェネチル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜10シクロアルキルおよび複素環から選択され、
場合により、R4およびR5は、互いに結合して3〜8員環を形成することができ、
R6、R7、R8およびR9は、独立に、H、OR4、FおよびClから選択され、
R10は、独立に、H、OH、F、C1〜4アルキル、COOR11、COR11、フェニル、ベンジル、ベンズヒドリル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜10シクロアルキルおよび複素環から選択され、前記アルキル、フェニル、ベンジル、ベンズヒドリル、シクロアルキルまたは複素環は、NH2、F、Cl、NO2、COOH、COOR4、OR4、CF3、SH、SR4、CONR4R5、SO2NR4R5、COR4、NR1COR4、OCOR4、SOR4、SO2R4およびC1〜4アルキルから独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されていてよく、
R11は、H、C1〜4アルキルおよびC3〜10シクロアルキルから選択される]。
【請求項2】
Yが、COおよびSO2から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
W1およびW2が、独立に、結合、SおよびNR1から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1がHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Vが、-CO-T、-CS-Tおよび-SO2-Tから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Vが、
【化4】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Tが、NR2R3、R2、OR2およびSR2から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R2およびR3が、独立に、H、COR4、SO2R4、C1〜4アルキル、フェニル、ナフチル、ベンジル、フェネチル、C2〜4アルケニル、C3〜10シクロアルキルおよび複素環、特に、2-フラニル、2-チオフェニル、2-(1-メチルインドール)、キノリン、イソキノリンおよび2-ベンゾフラニルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
R2およびR3が、独立に、C1〜4アルキルおよびC2〜4アルケニルから選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R2またはR3が、F、OR4、NR4R5、COOR4、CONR4R5、フェニル、C3〜10シクロアルキル、ヘキセニル、ナフチルおよび複素環、特に、ピリジン、3-(1-メチルインドール)、3-チオフェニルおよび2-フラニルから独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されている、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R2およびR3が、独立に、フェニル、ベンジル、フェネチルおよびC3〜10シクロアルキルから選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
R2またはR3が、F、ClおよびOR4から独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されている、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
R4およびR5が、独立に、C1〜4アルキル、ベンジル、フェネチルおよびフェニルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Tが、
【化5】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
R6、R7、R8およびR9が、独立に、H、OR4、FおよびClから選択され、R10が、独立に、H、OH、F、C1〜4アルキル、COOR11、COR11、フェニル、ベンジルおよびベンズヒドリルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
R10が、フェニル、ベンジルおよびベンズヒドリルから選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
R10が、F、OR4、CF3、COR4およびC1〜4アルキルから独立に選択される1つまたは複数の置換基により場合により置換されている、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
R11が、HおよびC3〜10シクロアルキルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
sが0であり、pが1である、請求項1から18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
sが1であり、pが0である、請求項1から18のいずれかに記載の化合物。
【請求項21】
医薬品有効成分として使用するための、請求項1から20のいずれかに記載の化合物。
【請求項22】
11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11-β-HSD1)関連障害によって引き起こされる疾患の予防または治療において使用するための、請求項1から20のいずれかに記載の化合物。
【請求項23】
11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる前記疾患が、緑内障、眼圧上昇、代謝性障害、肥満、メタボリック症候群、脂質異常症、高血圧、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、クッシング症候群、乾癬、関節リウマチ、認知障害、アルツハイマー病または神経変性である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる前記疾患が、緑内障またはメタボリック症候群である、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる疾患の予防または治療を意図した医薬品の製造のための、請求項1から20のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項26】
11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる前記疾患が、緑内障、眼圧上昇、代謝性障害、肥満、メタボリック症候群、脂質異常症、高血圧、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、クッシング症候群、乾癬、関節リウマチ、認知障害、アルツハイマー病または神経変性である、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる前記疾患が、緑内障またはメタボリック症候群である、請求項25に記載の使用。
【請求項28】
11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる疾患に罹患しているまたは罹患しやすい個体に、治療有効量の請求項1から20のいずれかに記載の化合物を、十分な量の1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤と一緒に投与するステップを含む、前記個体を予防または治療する方法。
【請求項29】
11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる前記疾患が、緑内障、眼圧上昇、代謝性障害、肥満、メタボリック症候群、脂質異常症、高血圧、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、クッシング症候群、乾癬、関節リウマチ、認知障害、アルツハイマー病または神経変性である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
11-β-HSD1関連障害によって引き起こされる前記疾患が、緑内障またはメタボリック症候群である、請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2012−528836(P2012−528836A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513645(P2012−513645)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/ES2010/000258
【国際公開番号】WO2010/139827
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511294109)ラボラトリオス・サルヴァト・ソシエダッド・アノニマ (1)
【Fターム(参考)】