説明

3次元寸法測定方法

【課題】タービンロータやタービンケーシングの寸法を、短時間に、高精度で、特別な能力を有することなく測定することが可能な寸法測定方法を提供する。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、計測対象を、円筒、平面、および、曲面形状に分割し、円筒、平面、および、曲面形状を含む全体形状をレーザ式3D計測機で、円筒、および、平面形状をレーザ追尾式ハンディー接触式計測機で、また、局所的な曲面形状をレーザ追尾式ハンディー非接触式計測機により用いて計測する。この際、円筒、および、平面形状は、N点計測した結果から求めることで、少量の取得データから形状を測定することが可能となり、データ取得時間のみならずデータ処理時間も大幅に短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンロータ、タービンケーシングの3次元形状を計測し、その計測情報に基づいて設計データを作成したり、据え付け状態を確認したりする際に使用される、3次元寸法測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンロータやタービンケーシングは経年劣化するため、定期的に取り換え工事が行われる。このような工事を行うに際しては、タービンロータやタービンケーシングの設計図面が必要であるが、既設置のタービンロータやタービンケーシングが他社製の場合、図面がないことから、タービンロータやタービンケーシングを交換するためには、現品にて既設置品の形状測定データを取得し、設計図を起こす必要があった(リバースエンジニアリング、レトロフィット)。
【0003】
これらの課題に対し、特開2010−160135号公報(特許文献1)において鯉沼らは、タービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状を測定するに際して、レーザ非接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第1のステップと、エンコーダが内蔵された関節により複数本のアームを連結してなる多関節接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第2のステップと、前記第1の測定ステップで測定された3次元形状データと前記第2の測定ステップで測定された3次元形状データ及び手計測による局所的な部位の形状測定データを総合的に合成して最終的にステータコイル接続組立の設計図を起こすための方法について述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−160135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で述べられている技術では、表面形状を容易に高精度に測定するために、多関節接触式3次元形状測定装置を用いているため、一度に測定できる範囲が狭く、多関節接触式3次元形状測定装置の位置を何回も変更する必要があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、一回の設置で広範囲を高い精度で算出可能な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、主に、平面、円筒、曲面からなる計測対象の寸法を測定する際に、非接触式三次元測定機により全体形状を測定し、全体形状の三次元形状データを生成する第1のステップと、計測対象を平面、円筒、曲面部に分割し、レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機で測定する第2のステップと、上記第2のステップでレーザ追尾式非接触測定機から得られたデータに基づき曲面部の三次元形状データを生成する第3のステップと、上記第2のステップでレーザ追尾式接触測定機から得られたデータに基づき平面、および、円筒を算出する第4のステップと、手計測により得られた主要部寸法の入力を受け付ける第5のステップと、上記、第1、第3、第4、および、第5のステップで得られたデータを合成する第6のステップと、該第6のステップで得られたデータに基づき設計データを作成する第7のステップと、上記第7のステップで得られた設計データに基づき計測対象同等品を新規に製作するステップを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ない作業量で、短時間に、高い精度で寸法を求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施例における、レーザ追尾式非接触測定機、レーザ追尾式接触測定機、非接触3D測定器、および、手計測を用いた計測結果からCADデータを生成し、新規に製造するまでのフローを示した図である。
【図2】本発明の第1の実施例における、レーザ追尾式非接触測定機、レーザ追尾式接触測定機、非接触3D測定器、および、手計測を用いた計測結果同士を比較し、取り付け前に、取り付け状態での干渉チェックを行ったうえで据え付けを行うまでのフローを示した図である。
【図3】タービンケーシングを示す模式図である。
【図4】タービンロータを示す模式図である。
【図5】タービンケーシングを面と円筒の集合体として表した図である。
【図6】タービンロータを面と円筒の集合体として表した図である。
【図7】タービンケーシングにおいて、面と円筒で表現されない形状の例(ホールダウンボルト)を示す図である。
【図8】タービンケーシングにおいて、面と円筒で表現されない形状の例(ホールダウンボルト)を、レーザ追尾式非接触測定機で測定した結果を示す図である。
【図9】非接触3D測定機を説明する図である。
【図10】非接触3D測定機の概要、および、計測座標系を示す図である。
【図11】レーザ追尾式接触測定機の概要、および、計測座標系を示す図である。
【図12】レーザ追尾式非接触測定機の概要、および、計測座標系を示す図である。
【図13】非接触測定機の校正、および、測定原理を説明する図である。
【図14】異なる位置に配置されたレーザトラッカシステムでの測定結果を、共通のレトロリフレクタの座標を用いて同じ座標系で合成する方法を示す図である。
【図15】3点で定義される平面を示す図である。
【図16】3点で定義される円筒を示す図である。
【図17】N点で定義される平面を示す図である。
【図18】N点で定義される円筒を示す図である。
【図19】N点で定義される円筒を算出する際に、計測データを異なる面に投影する様子を示す図である。
【図20】タービンケーシングの基準面と、測定したい円筒溝を示す図である。
【図21】N点計測結果から、タービンケーシングの基準面を生成する様子を説明する図である。
【図22】円筒溝を計測したN点のデータを、生成したタービンケーシングの基準面に投影して、円筒溝に対応した円筒を算出する様子を説明する図である。
【図23】ホールダウンボルトの中心間隔を、真球を用いて算出する様子を示す図である。
【図24】レーザ追尾式非接触測定機で真球を測定した結果を示す図である。
【図25】タービンケーシングの円筒面にあけられたボルト穴を示す図である。
【図26】タービンケーシングの円筒面にあけられたボルト穴に、軸中心がタービンケーシングの円筒面にあけられたボルト穴中心と一致するボルトを挿入した様子を示す図である。
【図27】外形が円筒形状であるボルト形状を、レーザ追尾式接触測定機でN点計測し円筒を求め、ボルトの軸を求める様子を示す図である。
【図28】内径が円筒形状であるボルト形状を、レーザ追尾式接触測定機でN点計測し円筒を求め、ボルトの軸を求める様子を示す図である。
【図29】内径が円錐溝であるボルト形状を、レーザ追尾式接触測定機で計測しボルトの軸を求める様子を示す図である。
【図30】レーザ追尾式非接触測定機の面測定精度を簡易的に確認するための治具である。
【図31】レーザ追尾式非接触測定機の円筒測定精度を簡易的に確認するための治具である。
【図32】レーザ追尾式非接触測定機の面測定精度、および、円筒測定精度を簡易的に確認するための治具である。
【図33】レーザ追尾式接触測定機で真球を測定する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、測定対象の寸法を測定する際に、非接触3D測定器で全体形状を測定し、また、高い計測精度が求められる部分は、主に平面と円筒形状であることに着目し、測定対象を平面と円筒の集合体に分解し、分解した平面と円筒をレーザ追尾式接触測定機でN点計測し、取得されたN点の座標データから当てはめにより平面や円筒を求めることで、高い計測精度が求められる主要部分に寸法をもとめ、平面と円筒では表現できない曲面部のうち、高い精度が求められる部位については、レーザ追尾式非接触測定機を用いて計測することで、一回のセッティングで広い範囲を、短時間に計測することを特徴とする。
【0011】
以下、本発明の実施形態を図1から図33を用いて説明する。
【0012】
図1に本発明で用いる計測システムの全体構成について示す。先ず、非接触式三次元測定機6により計測対象全体にわたり、計測対象表面に対応した座標情報を得る。非接触式三次元測定機は、図9に示すように、二つのエンコーダ付き回転モータ27a、27bと、レーザ測距システム28から構成され、図10に示すように、上記エンコーダで二つの角度φ、θを計測するとともに、上記レーザ測距システムにより計測対象までの距離を測定することで、計測点の座標情報11を得る。そして、該得られた座標情報に基づき、計測対象全体形状の三次元形状データ15を生成する。
【0013】
次に、計測対象を平面、円筒、曲面部に分割し(ステップ2)、該分割された部位ごとにレーザ追尾式非接触測定機3とレーザ追尾式接触測定機4で測定する。具体的な計測対象としては、図3、図4に示すようなタービンケーシングやタービンロータが挙げられる。タービンケーシングやタービンロータは、簡略化すると、図5、図6に示されるような、平面と円筒の集合体として表すことができる。このとき、レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機は、図11、図12に示すように、各々、レーザトラッカシステム5aとカメラシステム5bで監視されている。上記レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機は、各々、レトロリフレクタ32が取り付けられており、上記レーザトラッカシステム5aにて、該レトロリフレクタまでの距離を測定することで、レーザトラッカシステムの座標系における該レトロリフレクタの座標を計測する。また、上記レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機は、各々、複数のLEDが取り付けられており、上記カメラシステムにて、該LEDを撮像する。該LEDの位置関係は予め定められているため、取得された画像を解析することで、上記レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機の姿勢を算出する。以上の情報に基づき、レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機で得られたデータは、レーザトラッカシステムの座標系に変換される。
【0014】
次に、レーザ追尾式非接触測定機で得られたデータから曲面の三次元形状データ14を生成する。曲面の具体例としては、図7に示すような、タービンケーシングのホールダウンボルト部などが挙げられる。レーザ追尾式非接触測定機では、図8に示すように曲面部表面の多くの座標データを取得する。測定原理は、例えば、図13に示すレーザ光切断方式などがある、すなわち、レーザ3aから発振されたレーザ光りは、コリメータレンズ3cで一旦拡大され、シリンドリカルレンズ3dで扇状に広げられる。該扇状の光りは、計測対象に当たり散乱光が発生する。該発生した散乱光は、結像レンズ3eで集光され、エリアセンサ3b上に結像される。このとき、計測対象の位置(サイズ、すなわち座標)がレーザ輝線36、37、38と変化すると、画像上の結像位置も計測面36a、36b、36cといった具合に変化する。この画像上での結像位置(レーザ輝線の位置)を画像処理で算出し(例えば、輝度分布の重心を求め)、三角測量の原理で計測対象までの距離が求まる。
【0015】
一方、レーザ追尾式接触測定機では、図17、図18に示すように、上記分割された各々の平面、および、円筒をN点計測する。そして、N点計測されたデータから、平面、および、円筒形状を求める。さらに、計測対象の主要部16では、ノギスやパイテープ、コンベックスなどを用いて計測される。一般に、図15、図16に示すように、平面と円筒は3点の座標データがあると一意に求まる。しかしながら、計測データには必ず誤差が含まれるため、3点の計測データから平面や円筒は正しく求まらない。そこで、最低でも5点から8点の計測データを取得することが望ましい。4点以上の計測データから平面や円筒を求める方法としては、最小二乗法や擬似逆行列を使えばよい。ここで、タービンケーシングやタービンロータの場合、一般的に、平面や円筒は各々平行になっている。ところが、最小二乗法や擬似逆行列で求まる平面や円筒は、計測誤差のため、平面の法線と円筒の軸は、一致しない。すなわち、図19に示すように、計測データの誤差により、円筒面が投影される平面が、計算のたびに変わる。逆に、投影する平面を予め定めておけば、円筒の中心軸は一致する。そこで、例えば、タービンケーシングを計測する場合には、図20に示すように、機械加工面を基準面46とし、先ず、図21に示すように、該基準面をN点計測する。そして、図22に示すように、該基準面を含む平面46bを求める。次に、計測したい円筒面47をN点計測し、得られた計測データを該平面46bに投影し、投影されたデータに円を当てはめることで円筒を算出する。
【0016】
このようにして求められた形状データは、共通の座標系で合成され(ステップ17)、該得られた合成形状データに基づき設計データ(CADデータ)を生成し(ステップ18)、該生成された設計データに基づき、計測対象相当品が新規に製作される(ステップ19)。
【0017】
図2に本発明で用いる計測システムの別の構成について示す。先ず、非接触式三次元測定機6により計測対象全体にわたり、計測対象表面に対応した座標情報11を得る。そして、該得られた座標情報に基づき、計測対象全体形状の三次元形状データ15を生成する。
【0018】
次に、計測対象を平面、円筒、曲面部に分割し(ステップ2)、該分割された部位ごとにレーザ追尾式非接触測定機3とレーザ追尾式接触測定機4で測定する。このとき、レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機は、各々、レーザトラッカシステム5aとカメラシステム5bで監視されている。上記レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機は、各々、レトロリフレクタが取り付けられており、上記レーザトラッカシステムにて、該レトロリフレクタまでの距離を測定することで、レーザトラッカシステムの座標系における該レトロリフレクタの座標を計測する。また、上記レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機は、各々、複数のLEDが取り付けられており、上記カメラシステムにて、該LEDを撮像する。該LEDの位置関係は予め定められているため、取得された画像を解析することで、上記レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機の姿勢を算出する。以上の情報に基づき、レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機でえられたデータは、レーザトラッカシステムの座標系に変換される。次に、レーザ追尾式非接触測定機で得られたデータから曲面の三次元形状データ14を生成する。一方、レーザ追尾式接触測定機では、上記分割された各々の平面、および、円筒をN点計測する。そして、N点計測されたデータから、平面、および、円筒形状を求める。さらに、計測対象の主要部16では、ノギスやパイテープ、コンベックスなどを用いて計測される。このようにして求められた形状データは、共通の座標系で合成される(ステップ17)。
【0019】
次に、該得られた形状データと、別の計測対象を同様の手順で計測した得られた形状データとを比較し(ステップ20)、据付前の干渉チェック(ステップ21)を三次元データ上で行う。具体的には、タービンケーシングと該タービンケーシング内部に配置されるタービンロータの形状データを比較し、接触の有無を確認する。接触部位が認められた場合は、当該部位を追加工し(ステップ22)、接触部位が認められない場合には、そのまま据付作業(ステップ23)を行う。
【0020】
ここで、図23に示すホールダウンボルトの穴位置間隔を求めようとした場合、レーザ追尾式非接触測定機では光がホールダウンボルト穴の内部まで届かず、レーザ追尾式接触測定機ではプローブが届かない場合がある。このような場合には、図23に示すように、ホールダウンボルト穴に真球48を置き、該真球48を図24に示すようにレーザ追尾式非接触測定機で測定し、もしくは、図33に示すようにレーザ追尾式接触測定機でN点計測して、真球48の中心を算出し、真球48の中心間距離を求めればよい。
【0021】
同様に、図25に示すように、タービンケーシングの円筒面にあけられたボルト穴位置を求めたい場合も、レーザ追尾式非接触測定機では光がボルト穴の内部まで届かず、レーザ追尾式接触測定機ではプローブが届かない場合がある。さらに、仮に、レーザ追尾式非接触測定機で光がボルト穴の内部まで届いたり、レーザ追尾式接触測定機でプローブがボルト穴の内部まで届いたりした場合でも、タップ溝の影響でボルト穴位置が正しく算出されない場合もある。このような場合には、図26に示すように、中心軸の精度が正しく求められているボルト52を差込み、該ボルトの中心軸を算出すればよい。具体的には、図27に示すように、ボルト52の上部の円筒52aの外径をレーザ追尾式接触測定機でN点計測したり、図28のように、ボルト52の上部の円筒52bの外径をレーザ追尾式接触測定機でN点計測したりすればよい。図28に示す方法の場合、レーザ追尾式接触測定機のプローブ先端球を保持(停止)しやすいため、計測が安定する。また、図29のように、ボルト52の上部円筒に円錐溝を設け、レーザ追尾式接触測定機のプローブ先端球を該円錐溝に落とし込むことで、直接ボルトの中心位置を算出してもよい。
【0022】
ここで、タービンケーシングやタービンロータのような大きな計測対象を計測する場合、必ずしも、一回の計測で所望の形状を全て取得できる訳ではない。そのような場合には、非接触式三次元測定機6や、レーザトラッカシステム5の位置を変える必要がある。一旦、非接触式三次元測定機6や、レーザトラッカシステム5の位置を変更してしまうと、計測データの合成(共通の座標系に計測データを置き換える)ができなくなってしまう。そこで、図14に示すように、予め計測対象全体にわたり、計測対象3個以上のターゲット(40a、40b、40c)を配置しておき(全ての計測が終了するまで動かしてはいけない)、非接触式三次元測定機6や、レーザトラッカシステム5の位置を変えるたびに、該ターゲットを測定して座標を求めて置き、求まった3点以上の座標データに基づき、計測データを座標変換すれば、非接触式三次元測定機6や、レーザトラッカシステム5の位置を変えた場合でも、全てのデータを共通の座標系で表すことが可能となる。
【0023】
ここで、タービンケーシングやタービンロータのような大きな計測対象を計測する場合、計測時間が数時間以上にわたる場合がある。さらに、レーザ追尾式非接触測定機3やレーザ追尾式接触測定機4は、計測作業者が持ち歩くため、ぶつけたりする場合がある。最悪の場合、LEDの位置関係が変わったりする。そのような場合、最終的に合成されたデータにずれが生じる。そこで、図30に示す対向面間距離が予め高精度で測定された平板55や、図31に示すリングゲージ(円筒)56などを定期的に計測し、得られた対向面間距離や、リングゲージ径に変化が無いか調べればよい。但し、対向面間距離やリングゲージ径(いずれも、相対位置関係)に変化がなかったとしても、絶対座標が変化している場合がある。すなわち、非接触式三次元測定機6や、レーザトラッカシステム5の位置が変わっている場合がある。このような場合、上記リングゲージ(円筒)56を3個以上固定しておき、定期的に該リングゲージ(円筒)56を測定し、その中心座標を求めておけば、仮に、非接触式三次元測定機6や、レーザトラッカシステム5の絶対位置や、レーザ追尾式非接触測定機3やレーザ追尾式接触測定機4の測定精度が変化した場合にも、回転、平行移動、拡大、縮小を含む座標変換により、計測データを補正することが可能となる。図32に示すように、3個のリングゲージ(円筒)56を平板55上に固定した簡易校正治具57を用意し、予め、該リングゲージ(円筒)56の中心座標と対向面間距離を予め高精度で求めておいて、該簡易校正治具57を固定しておけば、用意に座標補正用データを取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
タービンロータやタービンケーシングの寸法計測方法および装置に関する。
【符号の説明】
【0025】
1 計測対象
2 計測対象を平面部、円筒部、曲面部に分割
3 レーザ追尾式非接触測定機
3a レーザ
3b エリアセンサ
3c コリメートレンズ
3d シリンドリカルレンズ
3e 結像レンズ
4 レーザ追尾式接触測定機
5、5a レーザトラッカシステム
5b カメラシステム
6 非接触式三次元測定機
7 手計測
8 レーザ追尾式非接触測定機、または、レーザ追尾式接触測定機までの距離
9 レーザ追尾式非接触測定機、または、レーザ追尾式接触測定機の姿勢
10 レーザ追尾式非接触測定機、または、レーザ追尾式接触測定機で測定した計測点の座標
11 計測点の座標情報
12 平面の算出
13 円筒形状の算出
14 曲面の三次元形状データ
15 計測対象全体形状の三次元形状データ
17 計測データの合成
18 設計データ(CADデータ)の作成
24 タービンケーシング
25 タービンロータ
26 面と円筒の集合体で表現したタービンケーシング
27 面と円筒の集合体で表現したタービンロータ
27a、27b、29a、29b、30a、30b エンコーダ付き回転モータ
28、31 レーザ測距システム
32 レトロリフレクタ
33a、33b、33c、33d LED
36、37、38 計測面
36a、37a、38a エリアセンサで得られた各計測面に対応するレーザ輝線
41 3点で定義される平面
41′ N点の計測データから求めた平面
42 円筒
43 投影面に投影された計測データにフィッティングされた円
43′ N点の計測データから求めた円
46 タービンケーシングの基準面
46a N点の計測データから求めたタービンケーシングの基準面
46b N点の計測データから求めたタービンケーシングの基準面を含む平面
47 計測したいタービンケーシングの円筒溝
47a 算出したい円筒
47b N点の計測データを、N点の計測データから求めたタービンケーシングの基準面に投影した結果から求めた円
48 真球
49 真球の中心間隔から求めたホールダウンボルトの中心間距離
49a、49b 真球の中心座標
50 レーザ追尾式非接触測定機による真球の形状計測結果
51 タービンケーシングの円筒面にあけられたボルト穴
52 軸中心がタービンケーシングの円筒面にあけられたボルト穴中心と一致するボルト
55 簡易校正治具(平板)
56 簡易校正治具(円筒)
57 平板と円筒が一体化された簡易校正治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に、平面、円筒、曲面からなる計測対象の寸法を測定する際に、非接触式三次元測定機により全体形状を測定し、全体形状の三次元形状データを生成する第1のステップと、計測対象を平面、円筒、曲面部に分割し、レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機で測定する第2のステップと、上記第2のステップでレーザ追尾式非接触測定機から得られたデータに基づき曲面部の三次元形状データを生成する第3のステップと、上記第2のステップでレーザ追尾式接触測定機から得られたデータに基づき平面、および、円筒を算出する第4のステップと、手計測により得られた主要部寸法の入力を受け付ける第5のステップと、上記、第1、第3、第4、および、第5のステップで得られたデータを合成する第6のステップと、該第6のステップで得られたデータに基づき設計データを作成する第7のステップを備えたことを特徴とする3次元寸法測定方法。
【請求項2】
主に、平面、円筒、曲面からなる計測対象の寸法を測定する際に、非接触式三次元測定機により全体形状を測定し、全体形状の三次元形状データを生成する第1のステップと、計測対象を平面、円筒、曲面部に分割し、レーザ追尾式非接触測定機とレーザ追尾式接触測定機で測定する第2のステップと、上記第2のステップでレーザ追尾式非接触測定機から得られたデータに基づき曲面部の三次元形状データを生成する第3のステップと、上記第2のステップでレーザ追尾式接触測定機から得られたデータに基づき平面、および、円筒を算出する第4のステップと、手計測により得られた主要部寸法の入力を受け付ける第5のステップと、上記、第1、第3、第4、および、第5のステップで得られたデータを合成する第6のステップと、該第1から第6のステップで同様に得られた別の計測対象の形状データ同士を比較する第7のステップと、比較結果から、据え付け時の干渉状態を確認する第8のステップと、該第8のステップで得られた情報に基づき、追加工指示を行うステップを備えたことを特徴とする3次元寸法測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−32922(P2013−32922A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167976(P2011−167976)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】