説明

3次元運動特性の測定

【課題】所与の画像フレームレートについてより高速の運動を測定するのに有利に用いることができる3次元運動を測定するシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】物体(5)の3次元運動を測定するシステム(1)は、縞模様の線(11)の断面パターン(18)を有する少なくとも2つの異なる色の光(17)を、別個の時間間隔(TR、TG、TB)で物体(5)の表面(6)上へ投影するようになされた光投影手段(2)を含む。このシステム(1)は、露光時間(TE)中に物体の画像を取り込む画像取得手段(3)も含み、別個の時間間隔(TR、TG、TB)は、露光時間(TE)の期間内にある。このシステム(1)は、画像取得手段(3)の位置から見たときの物体(5)上の縞模様の線(21a〜c)の投影パターンに基づいて色ごとに異なる奥行きマップを得、各色の奥行きマップ上の対応する点を決定し、奥行きマップ上の対応する点の位置に基づいて物体の3次元運動特性を決定するように画像を処理するようになされた画像処理手段(4)をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の3次元運動の特性決定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動いている物体、例えば振動物体の運動の動的測定は、動いている物体の連続画像を連続的な時間間隔で取り込むカメラベースシステムを用いて行われており、それにより運動特性は、連続的に取り込んだ画像フレーム中の物体の位置に基づいて決定されている。振動運動を測定する他の既知の技法は、歪みゲージおよびレーザドップラに基づく方法を使用することを含む。しかし、典型的には、そのような技法は、2次元運動の測定に適しており、したがって、機械部品および土木構造物の損傷および衝撃の解析にとって重要である振動の空間モードなどの3次元運動の測定に都合よく使用することができない。
【0003】
詳細には、カメラベースシステムは、動いている物体の表面上の様々な点の変位を経時的に取り込む。しかし、これらシステムは、2つの連続画像フレームの取り込みの間の時間間隔の関数である使用されるカメラのフレームレートによって制限される。フレームレートが増加するにつれてカメラのコストが増加し、それによってフレームレートの実際的制限がもたらされる。システムが、動いている物体の速度に関して最大限界および最小限界を有するので、これにより、そのようなシステムによる高速運動の取り込みに支障がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、所与の画像フレームレートについてより高速の運動を測定するのに有利に用いることができる3次元運動を測定するシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、請求項1に記載のシステム、および請求項9に記載の方法によって実現される。
【0006】
本発明の根底にある概念は、画像取得手段(例えば、カメラ)の所与のフレームレートについて増加した速度で3次元運動を測定することである。これは、物体の表面上に複数の異なる色の光を投影することによってなされ、光の各色は、画像取得手段による画像取り込みの露光時間の期間内にある別個の時間間隔で投影される。このようにして、単一の画像フレーム中に、各色に対応する別個の画像に基づいて物体の運動を取り込むことが可能である。したがって、画像露光時間の期間内にある別個の時間間隔で投影される光の色数に基づいて、カメラのフレームレートは、効果的に増倍される。さらに、投影した光は、物体の表面に入射する縞模様の線の断面パターンを有するように構成される。画像取得手段の位置から見たときの物体上の投影した縞模様の線に基づいて、3次元奥行きマップが、色ごとに得られる。したがって、所与の一画像フレームに対して、画像露光時間の期間内にある別個の時間間隔で投影される光の色数に基づいて、複数の奥行きマップが得られる。各色の奥行きマップ上の点同士の間で対応が確立される。最後に、3次元運動が、これら奥行きマップ上の対応する点の位置に基づいて測定される。
【0007】
一実施形態では、光投影手段は、赤色、緑色および青色から選択される異なる色の少なくとも2つの光源を備え、この光投影手段が、別個の時間間隔で光源をストロボする手段をさらに含む。赤色、緑色および青色などの2つ以上の原色の光を使用することにより、別個のストロボ間隔からなる期間全体において露出される画像の別個の色平面を形成することになる。このことは、露光時間中に物体の運動を正確に取り込むのに役立つ。
【0008】
例示的な一実施形態では、断面パターンは、一連の平行な縞模様の線を含み、光投影手段は、この断面パターンを有するように投影される光のプロファイルを構成するための格子を含む。これにより、物体上の投影した線の構造化パターンを与え、この構造化パターンは、物体の動きと共に構造化したやり方で変形する。
【0009】
一実施形態では、画像処理手段は、奥行きマップ上の対応する点の座標の差に基づいて3次元運動特性を決定するようになされている。
【0010】
有利な一実施形態では、3次元運動は、3次元振動運動を含み、画像処理手段は、振動特性を運動特性として決定するようになされている。3次元振動の測定は、性能解析ならびに損傷および衝撃の解析のための複雑な構造または機械部品の寿命および健全性についての推定に不可欠である。
【0011】
例示的な一実施形態では、画像処理手段は、振動数を含む振動特性を決定するようになされている。
【0012】
一実施形態では、画像処理手段は、時間ラッピングアルゴリズム(time wrapping algorithm)を用いて振動特性を決定するようになされている。
【0013】
例示的な一実施形態では、対応する問題を正確に解決するために、画像処理手段は、テンプレートマッチングアルゴリズムを用いて奥行きマップ上の対応する点を決定するようになされている。
【0014】
添付図面に示した例示の実施形態を参照して、本発明を以下にさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による物体の3次元運動を測定するシステムの概略図である。
【図2】投影した光の断面パターンの概略説明図である。
【図3】画像露光時間と異なる色の光の別個の投影間隔との間の関係を示すタイミング図である。
【図4A】異なる光の色についてカメラによって取り込まれる投影線の例示的な図である。
【図4B】異なる光の色についてカメラによって取り込まれる投影線の例示的な図である。
【図4C】異なる光の色についてカメラによって取り込まれる投影線の例示的な図である。
【図5】本明細書中の一実施形態による画像のサンプル収集フェーズの例示的な図である。
【図6A】正しいラッピング時間(correct wrapping time)でのクラスタデータサンプルの例示的な図である。
【図6B】正しくないラッピング時間での散乱データサンプルの例示的な図である。
【図7】物体の3次元振動運動の振動数を計算する方法を説明する例示的な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に詳細に記載した本発明の実施形態は、比較的低いフレームレートを有するカメラなどの画像取得手段を用いた、より高速な運動測定に用いることができる物体の3次元(3D)運動を測定するシステムおよび方法を提供する。そのため、物体の高速画像は、別個の時間間隔で物体に複数の異なる色の光を投影し、ある露光時間で物体の画像を取り込むことによって取得され、その結果、露光時間の期間は、異なる色の投影光の別個の時間間隔を含むようになっている。上記技法は、本明細書では色平面スライシングと呼ばれる。色平面スライシングというこの技法を用いて、低フレームレート(したがって、低コスト)の色カメラが、露光時間中に取り込まれた単一の画像に重なる各色の複数の画像をとても小さい間隔で得ることが可能である。さらに、3Dの運動を測定するために、まず、物体の3D形状を決定し、色平面スライシング技法を連係して使用して、時間における物体の位置の3次元振動を決定する。
【0017】
図1を参照すると、物体5の3D運動を測定するシステム1が示されている。システム1は、前述のように、別個の時間間隔で物体5上に異なる色の光を投影するようになされた光投影手段2を含む。「別個の時間間隔」により、様々な色を投影するための時間間隔は、それらの間で重複を有さないことが理解できる。好ましくは、使用される色は、互いに対して異なる色、すなわち、互いに共通する1つまたは複数の成分を有さない色を含む。この例では、三原色、すなわち赤色、緑色および青色の光が、光投影手段2で使用される。光投影手段2は、異なる色の別々の光源、または適切な色フィルタを備えた単一光源、例えば白色光源を含んでもよい。例示した実施形態では、光投影手段2は、3つの光源、すなわち赤色光源7、緑色光源8、および青色光源9を含む。各光源は、例えば、LED、レーザ、または他の任意のタイプの光源を含むことができ、それらは、点光源または面光源であり得る。
【0018】
さらにより高速の運動に対しては、例えば赤色光、緑色光、青色光および紫外光を含む4つ以上の別個の光の色が、別個の時間間隔で物体上に投影されてもよい。したがって、本発明の技術的利点は、少なくとも2つの別個の色の光を投影することによって実現される。
【0019】
物体上に投影される光ビーム17は、縞模様の線の断面パターンを有する。図2は、光ビーム17の断面II-IIを横切る物体5上に投影される光ビーム17の例示的な断面を示しており、光ビーム17は、一連の平行な縞模様の線11の断面パターン18を有する。これは、ビームプロファイルを前述の断面パターン18に形成する格子10を設けることによって実現される。格子10は、例えば、複数の平行な縦方向スリットを含んでもよく、例示した実施形態では、このスリットは、方向Y-Yに沿っている。代替として、光ビーム17は、縞模様の線の他の任意の構造断面パターンを有してもよく、この構造断面パターンは、曲線のパターンを含むこともできる。図1に戻って参照すると、したがって、光源7、8および9は、点光源であり得る。投影した光17の線11は、図示した例では、不規則または3次元の表面である物体5の表面上の離散したストリップに入射する。画像取得手段3、この例では色カメラ3は、表面5上の投影した線の画像を取り込む。カメラ3は、光投影手段2の位置および物体5の位置に対して三角形の位置から画像を取り込む。言い換えると、カメラ3は、光投影手段2、物体5およびカメラ3が一直線に並ばないように配置される。したがって、表面6上の任意のストリップについては、カメラ3によって見るときのストリップ上の形状を投影した線は、時間において一定のままとはならず、方向X-X、Y-YおよびZ-Zのいずれかに沿っての物体5の運動中にはっきりと変形することになる。異なるストロボ間隔中にカメラ3によって取り込まれる物体5の表面6上の投影した線の変形は、これら時間間隔で奥行きマップを得る基礎を形成し、この奥行きマップは、物体5の3D運動を測定するための基礎として用いられる。
【0020】
ある露光時間中、光源7、8および9を別個の時間間隔でストロボして、赤色光、緑色光および青色光を物体に連続的に投影し、カメラ3は、この露光時間で画像を取り込む。赤色光、緑色光および青色光をストロボするための時間間隔と露光時間との間の関係は、図3に示す例示的なタイミング図12を用いて示される。本明細書では、トレース13は、カメラ露出のオン時間およびオフ時間を表し、トレース14、15および16は、赤色、緑色および青色のストロボのオン時間およびオフ時間をそれぞれ表す。カメラ露出のオン時間によって表される露光時間は、trefと呼ばれる時点で開始し、TEの期間に及ぶ。赤色光、緑色光および青色光は、時点trefからT1、T2およびT3の各遅れでストロボされる。赤色、緑色および青色のストロボのオン時間の時間間隔は、それぞれTR、TGおよびTBである。見て分かるように、オン時間の時間間隔TR、TGおよびTBは別個のものであり、すなわち、それらの間で重複を有さず、露光時間TEの期間内である。ストロボ間隔TR、TGおよびTBは、運動が測定されている物体の速度に基づいて調整および適合することができる。
【0021】
図1に示す筋書きでは、赤色光源7が、ストロボされている。少し時間間隔をおいて、緑色光源8がストロボされ、続いて青色光源9がストロボされる。図4A、図4Bおよび図4Cは、カメラ3の位置から見たときの、赤色光源、緑色光源および青色光源それぞれのストロボ間隔中にカメラ3によって取り込まれる物体5上の縞模様の線21a、21bおよび21cの投影パターンを示す。露光時間中の物体の運動により、投影した縞模様の線は、あるストロボ間隔から次のストロボ間隔にかけて次第に変形する。例えば、赤色光ストロボ中に取り込まれる位置22aの点は、緑色ストロボ中に位置22bに移動し、青色ストロボ中に位置22cに移動するように見られる。
【0022】
図1に戻って参照すると、カメラ3は、全色の投影した線を単一画像上で取得するために、3つのストロボの期間全体の間、露出される。したがって、カメラ3によって取り込まれる画像は、3つの別個の色平面内に投影した縞模様の線を含む。カメラ3によって取り込まれる画像は、例えばプロセッサおよびメモリを含む画像処理手段4によって処理される。取り込んだ画像の投影した線に基づいて、画像処理手段4は、色ごとに物体の3次元奥行きマップを得る。奥行きマップは、物体の表面の点とそれに対する3次元座標の観点のそれらの位置とに関するグラフまたは表形式のプロットを含む。各色の奥行きマップに基づいて、画像処理手段4は、3つの色平面の間の物体の深さの変化を計算し、それに基づいて物体の運動が、3Dの空間的に測定できる。そのため、画像処理手段4は、後述のように、1つまたは複数のコンピュータベースアルゴリズムを実行するようになされ得る。
【0023】
詳細には、3色の奥行きマップは、例えば、テンプレートマッチングアルゴリズムを用いて、画像処理手段4によって解析されてそれらの間の対応する点を見つける。本明細書で使用され得る例示的なテンプレートマッチングアルゴリズムは、ICP(iterative closest point)アルゴリズムである。点の対応の問題は、それにより、ある特定の色平面(例えば、赤色)内の点が、時間的にその後の色平面(緑色および青色)内のどこに移動されるのか指示するので重要である。次いで、画像処理手段4は、奥行きマップ中の対応する点の位置に基づいて3D運動特性を決定する。例えば、2つの時間的に連続した色平面についての一対の対応する点の座標の差に基づいて、物体の瞬間速度を決定することができる。さらに、2つの時間的に連続した一対の色平面について決定した瞬間速度の差に基づいて、物体の瞬間加速度を決定することができる。
【0024】
本発明の例示的な一実施形態は、そのようなシステムを物体の3次元振動の調査に適合したものを示してもいる。上述の通り、従来の一画像フレームは、3つの色平面を含み、各色平面は、少し間隔をおいて取得される。しかし、3つの色平面に関してのサンプリングレートが、カメラ画像取得間隔によって制限されるので、振動運動は、この間隔の間に正確に取り込むことができない。しかし、たいていの物理系は、周期的に振動するので、1つの画像取得間隔サイクル自体の中で多くのサンプルを取り込むことは必要でない可能性がある。
【0025】
図示した例では、色ごとのストロボ間隔は、0.001ミリ秒であるようにとられており、カメラの画像取得間隔は、30ミリ秒であると仮定する。カメラの画像取得間隔は、カメラの画像フレームレートの逆数である。提案した技法によれば、ある点の位置のサンプルは、30ミリ秒の周期でフレームごとに周期的に収集され、すなわち第1のサイクルまたはフレームにおいて0.001ミリ秒、0.002ミリ秒、0.003ミリ秒で、第2のサイクルまたはフレームにおいて30×1ミリ秒+0.001ミリ秒、30×1ミリ秒+0.002ミリ秒、30×1ミリ秒+0.003ミリ秒で、第3のサイクルまたはフレームにおいて30×2ミリ秒+2+0.001ミリ秒、30×2ミリ秒+2+0.002ミリ秒、30×2ミリ秒+2+0.003ミリ秒でといったように収集される。このように、画像取得間隔の異なる部分で十分なサンプルが収集されることが確実になる。
【0026】
サンプル収集は、図5に示されており、物体もしくは物体中の点の変位Yが、時間T(ミリ秒)に対してプロットされている。提案した照明系により、任意の小さい間隔で3つのサンプルを収集することが可能となる。30ミリ秒のサイクル31、32、33、34ごとに、座標(t1、y1)、(t2、y2)、(t3、y3)、サイクル32が与えるサンプル点(t4、y4)、(t5、y5)、(t6、y6)、といったものなどを有する点41a〜c、42a〜c、43a〜cおよび44a〜cによって表されるように、3つのサンプルが収集される。点(tn、yn)は、サンプル取得時間、およびこの特定の取得時間での点の位置を表す。これら位置は、例えばテンプレートマッチングを用いて、奥行きマップ上の点の対応に基づいて決定される。振動現象は、カメラの画像取得間隔内で変わらず、このことは、サンプリングおよび解析の基礎をなすとさらに仮定する。
【0027】
振動特性の決定は、物体の振動運動を最も良く説明する曲線50を決定することを含む。詳細には、例示の実施形態は、特徴的なサイクル51を決定するために時間ラッピングアルゴリズムを使用する。時間ラッピングアルゴリズムは、特徴的なサイクルの周期TWを最初に推測することから始める。続いて、データサンプルが、仮定した周期TWにまとめられる。例えば、周期TW=10を最初に推測した場合、(2.1、3.2)、(3.2、0.123)、(4.5、0.34)、(12.5、0.91)、(22.4、0.21)、(25.1、-2.3)でのサンプルは、(2.1、3.2)、(3.2、0.123)、(4.5、0.34)、(2.5、0.91)、(22.4、0.21)、(5.1、-2.3)としてまとめられる。ラッピング時間が、時間周期TWと一致する場合、サンプルデータ点は、図6A中のデータ点60によって示すようにクラスタ化される。ラッピング時間が、時間周期TWと一致しない場合、サンプルデータ点は、図6B中のデータ点70によって示すようにまばらになる。例示的な実施形態では、この場合、誤差量(error metric)は、5つの連続した点の間の対距離(pair-wise distance)の二乗平均平方根値として決定される。次いで、時間周期TWは、繰り返してスキャンされ、誤差量の最小値に対応するTWの値が、特徴的なサイクルとして決定される。振動数は、決定した特徴的なサイクルの逆数として決定される。
【0028】
図7は、本発明の一実施形態による物体の3D振動特性を測定する方法100の概要を示す例示的な流れ図である。方法100は、以下に述べるアクションブロック101〜109を含む。ブロック101は、カメラ露出の開始を含む。ブロック102は、第1の別個の時間間隔で物体上に投影される赤色光をストロボする段階を含む。ブロック103は、第2の別個の時間間隔で物体上に投影される緑色光をストロボする段階を含む。ブロック103は、第3の別個の時間間隔で物体上に投影される青色光をストロボする段階を含む。上述の通り、投影した光の断面パターンは、一連の平行線を含み、投影した光が、物体の表面の離散したストリップに入射するようになっている。ブロック105は、カメラ露出を停止する段階を含む。ブロック106は、3つの異なる色の投影した線を含む画像を取り込む段階を含む。ブロック107は、取り込んだ色ごとの投影した線に基づいて色ごとに奥行きマップを得る段階と、奥行きマップ上の対応する点を決定する段階とを含む。決定した対応する点の位置は、記憶される。画像取得時間に対応するフレーム間の遅延が生じ、その後に次の取得サイクルとなり、制御は、ブロック101に戻る。十分な枚数の画像を撮った後、制御は、上述の通り、例えば時間ラッピングアルゴリズムを用いて振動特性を決定する段階を含むブロック108に進む。
【0029】
本発明の実施形態は、上述の利点に加えていくつかの利点を提供する。例えば、本発明は、多くの高価な高速カメラよりもとても高精度で広範な速度測定および加速度測定を実現する。さらに、システムのコストが最小限であり、すなわち、提案した時間的色平面スライシング照明装置(temporal color plane slicing lighting apparatus)は、色カメラで用いられる既存の照明系を置き換えるだけでよい。この組み合わせは、追加の構成部品または組み立て無しで、工場で直接使用できる。本発明は、例えば、故障を判定するためのクランクシャフトやショックアブソーバなどの機械的部品の荷重および動的応力および歪みの予測、大型土木構造物の評価、振動膜の評価、ならびに物体の振動モード形状解析などのいくつかの用途を見出すことができる。
【0030】
本発明をいくつかの好ましい実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明は、これら正確な実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明を実施するための現在の最良の形態を説明する本開示を考慮すると、多くの修正形態および変形形態が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に思い浮かぶであろう。したがって本発明の範囲は、前述の説明によってではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の趣旨の範囲内、および特許請求の範囲の均等の範囲内に入る全ての変更、修正および変形は、特許請求の範囲内とみなされるべきである。
【符号の説明】
【0031】
1 システム
2 光投影手段
3 画像取得手段、色カメラ、カメラ
4 画像処理手段
5 物体、表面
6 表面
7 赤色光源、光源
8 緑色光源、光源
9 青色光源、光源
10 格子
11 一連の平行な縞模様の線、線
12 例示的なタイミング図
13 トレース
14 トレース
15 トレース
16 トレース
17 光ビーム、投影した光
18 断面パターン
21a 縞模様の線
21b 縞模様の線
21c 縞模様の線
22a 位置
22b 位置
22c 位置
31 サイクル
32 サイクル
33 サイクル
34 サイクル
41a〜c 点
42a〜c 点
43a〜c 点
44a〜c 点
50 曲線
51 特徴的なサイクル
60 データ点
70 データ点
100 方法
101 アクションブロック、ブロック
102 アクションブロック、ブロック
103 アクションブロック、ブロック
104 アクションブロック
105 アクションブロック、ブロック
106 アクションブロック、ブロック
107 アクションブロック、ブロック
108 アクションブロック、ブロック
109 アクションブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(5)の3次元運動を測定するシステム(1)であって、
- 縞模様の線(11)の断面パターン(18)を有する少なくとも2つの異なる色の光(17)を、別個の時間間隔(TR、TG、TB)で前記物体(5)の表面(6)上へ投影するようになされた光投影手段(2)と、
- 露光時間(TE)中に前記物体の画像を取り込む画像取得手段(3)であって、前記別個の時間間隔(TR、TG、TB)が、前記露光時間(TE)の期間内にある、画像取得手段(3)と、
- 前記画像取得手段(3)の位置から見たときの前記物体(5)上の縞模様の線(21a〜c)の投影パターンに基づいて色ごとに異なる奥行きマップを得、各色の前記奥行きマップ上の対応する点を決定し、前記奥行きマップ上の対応する点の位置に基づいて前記物体の3次元運動特性を決定するように前記画像を処理するようになされた画像処理手段(4)と
を備えるシステム(1)。
【請求項2】
前記光投影手段(2)が、赤色、緑色および青色から選択される異なる色の少なくとも2つの光源(7、8、9)を備え、前記光投影手段(2)が、前記別個の時間間隔(TR、TG、TB)で前記光源をストロボする手段をさらに含む、
請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記断面パターン(18)が、一連の平行な縞模様の線(11)を含み、前記光投影手段(2)が、前記断面パターン(18)を有するように投影される前記光(17)のプロファイルを形成するための格子(10)を含む、請求項1または2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記画像処理手段(4)が、前記奥行きマップ上の対応する点の座標の差に基づいて前記3次元運動特性を決定するようになされている、請求項1から3のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記3次元運動が、3次元振動運動を含み、前記画像処理手段(4)が、振動特性を前記運動特性として決定するようになされている、請求項1から4のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記画像処理手段(4)が、振動数を含む振動特性を決定するようになされている、
請求項5に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記画像処理手段(4)が、時間ラッピングアルゴリズムを用いて前記振動特性を決定するようになされている、
請求項5または6に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記画像処理手段(4)が、テンプレートマッチングアルゴリズムを用いて前記奥行きマップ上の対応する点を決定するようになされている、請求項1から7のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項9】
物体の3次元運動を測定する方法であって、
- 縞模様の線(11)の断面パターン(18)を有する少なくとも2つの異なる色の光(17)を、別個の時間間隔(TR、TG、TB)で前記物体(5)の表面(6)上へ投影する段階と、
- 露光時間(TE)中に前記物体の画像を取り込む段階であって、前記別個の時間間隔(TR、TG、TB)が、前記露光時間(TE)の期間内にある、取り込む段階と、
- 前記画像を取り込む位置から見たときの前記物体(5)上の縞模様の線(21a〜c)の投影パターンに基づいて色ごとに異なる奥行きマップを得、各色の前記奥行きマップ上の対応する点を決定し、前記奥行きマップ上の対応する点の位置に基づいて前記物体の3次元運動特性を決定するように前記画像を処理する段階と
を含む方法。
【請求項10】
前記奥行きマップ上の対応する点の座標の差に基づいて前記3次元運動特性を決定する段階を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記3次元運動が、3次元振動運動を含み、前記運動特性を決定する段階が、振動特性を決定する段階を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記振動特性の前記決定が、振動数を計算する段階を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記振動特性を決定するために時間ラッピングアルゴリズムを使用する段階を含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記奥行きマップ上の対応する点が、テンプレートマッチングアルゴリズムを用いて決定される、請求項9から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記投影が、前記別個の時間間隔(TR、TG、TB)で赤色、緑色および青色から選択される異なる色の少なくとも2つの光源(7、8、9)をストロボする段階を含む、請求項9から14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−221024(P2011−221024A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−87260(P2011−87260)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(508008865)シーメンス アクティエンゲゼルシャフト (99)
【Fターム(参考)】