説明

3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を有する構造単位を含む共重合体とその製造法

【課題】 耐熱性、耐熱変色性等に優れる皮膜を形成できるとともに、該樹脂を含む樹脂組成物の保存安定性が極めて高く合成も容易なポリマーを提供する。
【解決手段】 (A)アルカリ可溶性基を含むモノマー単位、(B)オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位、及び(C)N−置換マレイミド等の重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位からなる共重合体であって、前記モノマー単位(B)の割合が全モノマー単位に対して1重量%以上40重量%未満であり、且つ前記モノマー単位(B)のうち60重量%以上が特定の3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物に対応するモノマー単位であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を有する構造単位を含む共重合体とその製造法に関する。より詳しくは、半導体プロセスにおける遠紫外線、電子線、イオンビーム、X線などの活性光線を用いたリソグラフィーや、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品に設けられる絶縁膜、保護膜等を形成するための材料に用いられる感放射線性樹脂として好適な3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を有する構造単位を含む共重合体とその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、VLSIに代表されるサブミクロンオーダーの微細加工を必要とする各種電子デバイス製造の分野では、デバイスのより一層の高密度、高集積化への要求が高まっている。このため、微細パターン形成方法であるフォトリソグラフィー技術に対する要求がますます厳しくなっている。他方、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品においては、その劣化や損傷を防止するための保護膜、層状に配置される配線の間を絶縁するために設ける層間絶縁膜、素子表面を平坦化するための平坦化膜、電気的絶縁を保つための絶縁膜等が設けられている。なかでも液晶表示素子の場合、例えばTFT型液晶表示素子にあっては、ガラス基板上に偏光板を設け、ITO等の透明導電回路層及び薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、層間絶縁膜で被覆して背面板とする一方、ガラス板上に偏光板を設け、必要に応じてブラックマトリックス層及びカラーフィルター層のパターンを形成し、さらに透明導電回路層、層間絶縁膜を順次形成して上面板とし、この背面板と上面板とをスペーサを介して対向させて両板間に液晶を封入して製造されるが、そこで使用される感光性樹脂組成物としては透明性、耐熱性、現像性及び平坦性に優れたものであることが要求される。
【0003】
レジストの高感度化の方法として、感光剤である光酸発生剤を利用した化学増幅型レジストがよく知られている。例えばエポキシ基を有する構造単位を含む樹脂と光酸発生剤とを含有する樹脂組成物を用い、露光により光酸発生剤からプロトン酸を生成させ、エポキシ基を開裂させて架橋反応を引き起こす。これにより樹脂が現像液に対して不溶となってパターンが形成され、さらに、露光後の加熱処理によりレジスト固相内を移動させ、当該酸によりレジスト樹脂などの化学変化を触媒反応的に増幅させる。このようにして、光反応効率(一光子あたりの反応)が1未満の従来のレジストに比べて飛躍的な高感度化が達成されている。現在では開発されるレジストの大半が化学増幅型であり、露光光源の短波長化に対応した高感度材料の開発には、化学増幅機構の採用が必須となっている。
【0004】
一方、TFT型液晶表示素子や集積回路素子に設けられる絶縁膜には、微細加工を施すことが必要となるため、当該絶縁膜を形成するための材料として、一般に、感放射線性樹脂組成物が使用されており、このような感放射線性樹脂組成物においては、高い生産性を得るために、高い感放射線性を有するものであることが要求される。また、絶縁膜が耐溶剤性の低いものである場合には、当該絶縁膜に、有機溶剤による膨潤、変形、基板からの剥離などが生じることにより、液晶表示素子や集積回路素子の製造において重大な障害が生じる。そのため、このような絶縁膜には、優れた耐溶剤性が要求される。さらに、液晶表示素子や固体撮像素子等に設けられる絶縁膜には、必要に応じて高い透明性が要求される。
【0005】
このような要求に対して、特開2003−76012号公報には、脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物とラジカル重合性化合物との共重合体を含む感光性樹脂組成物が開示されており、ラジカル重合性化合物として不飽和カルボン酸等が用いられている。エポキシ化合物は、光増幅型のレジストでは、光酸発生剤により発生する酸とその後の加熱(ポストベイク)により容易に架橋し、良好なエッチング耐性を有する膜を得るのに有効である。しかし、脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物はカチオン重合性に富む反面、アルカリ可溶性を付与するために用いられる不飽和カルボン酸由来のカルボキシル基と反応しやすく、保存安定性に劣るため、−20℃以下の低温下に保存する必要があり、実用性に大きな問題があった。
【0006】
また、特許第3055495号公報には、有橋環式炭化水素基がエステルの酸素原子に直接結合した(メタ)アクリル酸エステルに対応するモノマー単位と、エポキシ基含有炭化水素基を有するモノマー単位と、カルボキシル基を有するモノマー単位とからなる共重合体を含む感光性樹脂組成物が開示されている。しかし、有橋環式炭化水素基がエステルの酸素原子に直接結合した(メタ)アクリル酸エステルはエステル基の隣接位に極めて嵩高い基を有することから、モノマー合成が困難であることが多く、さらに、有機溶剤に対して溶解性が悪く、重合反応時及び得られる樹脂の取扱いが困難である。また、有橋環式炭化水素基がエステルの酸素原子に直接結合した(メタ)アクリル酸エステルは極性が非常に低いため、極性の高い不飽和カルボン酸やエポキシ基含有モノマーと共重合させる際、ポリマーの単量体組成に偏りが生じて均一組成のポリマーが得られず、よって所望のレジスト性能が得られない場合が生じる。
【0007】
特開2006−193718号公報には、アルカリ可溶性基を含むモノマー単位と、エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位と、特定の重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位からなる共重合体であって、エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位の割合が全モノマー単位に対して40〜90重量%であり、且つエポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位のうち30重量%以上が、特定の3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物に対応するモノマー単位である共重合体が開示されている。この共重合体は、溶剤溶解性に優れるとともに、保存安定性が極めて良好であり、透明性、耐熱性、耐エッチング性、平坦性、現像性等に優れた皮膜を形成できるという大きな利点を有する。しかしながら、この共重合体を硬化して得られる皮膜は熱により変色しやすいという欠点を有している。
【0008】
【特許文献1】特開2003−76012号公報
【特許文献2】特許第3055495号公報
【特許文献3】特開2006−193718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、感放射線性樹脂として用いた場合に、溶剤溶解性に優れるとともに、透明性、耐熱性、耐エッチング性、平坦性、現像性及び耐熱変色性に優れた高性能の皮膜を形成でき、しかも該樹脂を含む樹脂組成物の保存安定性が極めて高く合成も容易なポリマー、及びその製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物と、特定量の3〜5員の含酸素環(オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環)を有する重合性不飽和化合物と、特定の重合性不飽和化合物とからなり、且つ前記3〜5員の含酸素環を有する重合性不飽和化合物のうち特定の3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物の割合が特定範囲にある単量体混合物を共重合させて得られるポリマーは、溶剤溶解性に優れるとともに、溶液の保存安定性が極めて良好で、且つ透明性、耐熱性、耐エッチング性、平坦性、現像性及び耐熱変色性等に優れた皮膜を形成できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、(A)アルカリ可溶性基を含むモノマー単位、(B)オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位、及び(C)(c1)下記式(1)
【化1】

[式中、R1は水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示し、R2は脂環式炭素環含有基、ラクトン環含有基、アラルキル基、又は−(R3−O)m−R4基(式中、R3は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示し、R4は水素原子、炭化水素基又はアシル基を示し、mは1以上の整数を示す)を示す]
で表される不飽和カルボン酸エステル、及び(c2)N−置換マレイミドからなる群より選択された少なくとも1種の重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位からなる共重合体であって、前記モノマー単位(B)の割合が全モノマー単位に対して1重量%以上40重量%未満であり、且つ前記モノマー単位(B)のうち60重量%以上が、下記式(2a)及び(2b)
【化2】

(式中、R5は、それぞれ、水素原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基を示し、Aは、それぞれ、単結合又はヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示す)
で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物から選択された少なくとも1種の化合物に対応するモノマー単位であることを特徴とする共重合体を提供する。
【0012】
この共重合体において、前記モノマー単位(A)の割合は全モノマー単位に対して10〜50重量%の範囲が好ましい。この共重合体はアルカリ水溶液可溶性のフォトレジスト用樹脂として好適に使用できる。
【0013】
本発明は、また、(a)アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物、(b)オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物、及び(c)(c1)下記式(1)
【化3】

[式中、R1は水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示し、R2は脂環式炭素環含有基、ラクトン環含有基、アラルキル基、又は−(R3−O)m−R4基(式中、R3は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示し、R4は水素原子、炭化水素基又はアシル基を示し、mは1以上の整数を示す)を示す]
で表される不飽和カルボン酸エステル、及び(c2)N−置換マレイミドからなる群より選択された少なくとも1種の重合性不飽和化合物からなる単量体混合物であって、前記重合性不飽和化合物(b)の割合が単量体の総量に対して1重量%以上40重量%未満であり、且つ前記重合性不飽和化合物(b)のうち60重量%以上が、下記式(2a)及び(2b)
【化4】

(式中、R5は、それぞれ、水素原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基を示し、Aは、それぞれ、単結合又はヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示す)
で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物から選択された少なくとも1種の化合物である単量体混合物を共重合に付すことを特徴とする共重合体の製造法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の共重合体によれば、溶剤溶解性に優れるとともに、保存安定性が極めて良好であり、透明性(例えば180〜400nmの光に対する透明性)、耐熱性、耐エッチング性、平坦性、現像性及び耐熱変色性等に優れた皮膜を形成できる。そのため、フォトレジスト用樹脂等として極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(A)はポリマーにアルカリ可溶性を付与する機能を有する。これによってポリマーは現像時にアルカリ水溶液(現像液)に溶解する。
【0016】
アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(A)はアルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物(a)を共重合に付すことによりポリマー中に導入できる。前記アルカリ可溶性基としては、レジストの分野で通常用いられる基であればよく、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基などが挙げられる。アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物(a)の代表的な例として、不飽和カルボン酸又はその酸無水物、ヒドロキシスチレン又はその誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。これらのなかでも、特に不飽和カルボン酸又はその酸無水物が好ましい。
【0017】
不飽和カルボン酸又はその酸無水物として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)が例示される。これらのなかでも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物(a)は単独で又は2以上を組み合わせて使用できる。
【0018】
アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(A)の共重合体に占める割合は、用いるモノマーの種類やレジストのタイプ(ネガ型又はポジ型)によっても異なるが、通常、共重合体を構成する全モノマー単位に対して10〜50重量%であり、好ましくは12〜40重量%、さらに好ましくは14〜30重量%である。この割合が小さすぎるとアルカリ現像液に対して溶解しにくく現像性が悪くなり、逆に大きすぎると現像後のエッチング耐性が悪くなり好ましくない。
【0019】
オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)は、例えば露光時において、架橋剤を用いた架橋により或いはポリマー分子内にあるアルカリ可溶性基(例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基等)との反応によりポリマーを硬化させ、皮膜にレジストとして必要な硬度を付与し、エッチング耐性を高める機能、また、ポリマーをアルカリ不溶性に変化させる機能を有する。
【0020】
オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)はオキシラン環(エポキシ基)、オキセタン環(オキセタニル基)又はオキソラン環(オキソラニル基)を含有する重合性不飽和化合物(b)(エポキシ基等を硬化性基として有する化合物)を共重合に付すことによりポリマー中に導入できる。この重合性不飽和化合物(b)において、オキシラン環、オキセタン環、オキソラン環は単環として存在していてもよく、また他の環とともに多環(縮合環)を形成していてもよい。オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物(b)のなかでも、オキシラン環(エポキシ基)を含有する重合性不飽和化合物が好ましく、特に、環上にエポキシ基を有する多環式脂肪族基と不飽和結合を有する基とを有する化合物が好ましい。前記多環式脂肪族基としてはジシクロペンタニル基、トリシクロデシル基などが挙げられる。前記不飽和結合としては炭素−炭素二重結合が挙げられ、不飽和結合を有する基として、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
【0021】
本発明では、オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物(b)として、少なくとも前記式(2a)及び(2b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物から選択された少なくとも1種の化合物を用いる。式(2a)、(2b)中、R5は、それぞれ、水素原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基を示し、Aは、それぞれ、単結合又はヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示す。
【0022】
5におけるヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基などのアルキル基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシアルキル基が挙げられる。R5としては、水素原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、なかでも特に水素原子又はメチル基が好ましい。
【0023】
Aにおけるヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基において、ヘテロ原子は炭化水素基の末端に結合していてもよく、炭化水素基を構成する炭素原子間に介在していてもよい。ヘテロ原子として、窒素、酸素、硫黄原子等が挙げられる。
【0024】
Aの代表的な例として、下記式(3)
【化5】

(式中、R6は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示し、nは0以上の整数を示す)
で表される基が挙げられる。
【0025】
6における炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン基等の2価の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン等の2価の脂環式炭化水素基(シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、2価の橋架け炭素環式基等);これらが2以上結合した2価の炭化水素基などが挙げられる。R6としては、特に、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜6のアルキレン基;シクロヘキシレン基等の3〜6員の脂環式炭化水素基などが好ましい。nとしては、好ましくは0〜10の整数、さらに好ましくは0〜4の整数、特に好ましくは0又は1である。
【0026】
Aの他の代表的な例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などのアルキレン基(例えば、炭素数1〜12のアルキレン基、特に炭素数1〜6のアルキレン基);チオメチレン基、チオエチレン基、チオプロピレン基などのチオアルキレン基(例えば、炭素数1〜12のチオアルキレン基、特に炭素数1〜6のチオアルキレン基);アミノメチレン基、アミノエチレン基、アミノプロピレン基などのアミノアルキレン基(例えば、炭素数1〜12のアミノアルキレン基、特に炭素数1〜6のアミノアルキレン基)などが挙げられる。
【0027】
Aとしては、好ましくは、単結合[前記式(a)において、nが0である場合]、炭素数1〜6(特に炭素数1〜3)のアルキレン基、炭素数1〜6(特に炭素数2〜3)のオキシアルキレン基[前記式(a)において、nが1、R6がC1-6アルキレン基(特にC2-3アルキレン基)である基]であり、より好ましくは、単結合又はオキシエチレン基である。
【0028】
式(2a)、(2b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物の代表的な例として、エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート;3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート;2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なかでも、エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート及びエポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0029】
式(2a)で表される化合物と式(2b)で表される化合物は、それぞれ単独で用いることができる。また、それらは任意の割合で混合して用いることができる。両者を混合して用いる場合、その割合は、好ましくは、式(2a):式(2b)=5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0030】
本発明では、式(2a)、(2b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物と、それ以外のオキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物(以下、「他のエポキシ基含有重合性不飽和化合物」と称する場合がある)や、オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物、オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物と併用することもできる。
【0031】
他のエポキシ基含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のオキシラン環(単環)を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など)などが挙げられる。他のエポキシ基含有重合性不飽和化合物として、エポキシ基を含むビニルエーテル化合物、エポキシ基を含むアリルエーテル化合物等を用いることもできる。
【0032】
オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキセタニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレートや、オキセタニル基を含むビニルエーテル化合物、オキセタニル基を含むアリルエーテル化合物などが挙げられる。オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートや、オキソラニル基を含むビニルエーテル化合物、オキソラニル基を含むアリルエーテル化合物などが挙げられる。
【0033】
オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)の共重合体に占める割合は、全モノマー単位に対して1重量%以上40重量%未満であり、好ましくは2〜35重量%、さらに好ましくは2〜30重量%である。この割合が1重量%を下回ると露光時の架橋反応が充分に進まず、耐熱性及びエッチング耐性が劣ることとなる。一方、前記割合が40重量%以上であると、耐熱性、耐熱変色性が低下すると共に、アルカリ可溶性が不十分となりやすく、良好なパターンを形成するのが困難となる。
【0034】
なお、オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物(b)に占めるオキシラン環を含有する重合性不飽和化合物の割合は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上であり、特に90重量%以上が好ましく、重合性不飽和化合物(b)として実質的にオキシラン環を含有する重合性不飽和化合物のみを用いてもよい。
【0035】
また、本発明では、前記オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)に占める前記式(2a)、(2b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物に対応するモノマー単位の割合は合計で60重量%以上である。この割合は、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上であり、特に90重量%以上が好ましく、モノマー単位(B)が実質的に前記式(2a)、(2b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物に対応するモノマー単位のみであってもよい。この割合が60重量%を下回ると、例えば他のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物と併用する場合には保存安定性が悪くなり、単環のオキシラン環を含む重合性不飽和化合物(グリシジル基含有単量体など)と併用する場合には耐熱性が不足するなど、感放射線性樹脂に要求される性能が不充分となる。
【0036】
本発明において、モノマー単位(C)は、(c1)前記式(1)で表される不飽和カルボン酸エステル、及び(c2)N−置換マレイミドからなる群より選択された少なくとも1種の重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(但し、上記(B)に属するモノマー単位を除く)である。モノマー単位(C)は皮膜にレジストとして必要な硬度を付与する機能を有するとともに、これに対応する単量体は共重合反応を円滑化する働きを有する。また、その種類によっては、架橋反応等により皮膜の硬度を高める機能も有する。
【0037】
式(1)で表される不飽和カルボン酸エステル(c1)において、R1における炭素数1〜7のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル基などが挙げられる。R1としては、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
【0038】
2における脂環式炭素環含有基には、下記式(4)
−X1−R8 (4)
(式中、R8は脂環式炭化水素基を示し、X1は単結合又は連結基を示す)
で表される基が含まれる。
【0039】
8における脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基などの、炭素数1〜6のアルキル基等の置換基を有していてもよい5〜15員のシクロアルキル基、その他の単環の脂環式炭化水素基;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基(=ノルボルナン−2−イル基)、イソボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカン−3−イル基、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカン−4−イル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−4−イル基、アダマンタン−1−イル基などの、炭素数1〜6のアルキル基等の置換基を有していてもよい炭素数6〜20程度の多環の脂環式炭化水素基(橋かけ環式炭化水素基)が挙げられる。これらのなかでも、炭素数1〜6のアルキル基等の置換基を有していてもよい炭素数6〜20程度の多環の脂環式炭化水素基(橋かけ環式炭化水素基)が好ましい。
【0040】
1における連結基としては、例えば、メチレン、エチリデン、エチレン、イソプロピリデン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜12(特に1〜6)程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;シクロへキシレン、シクロヘキシリデン基等の3〜6員の2価の脂環式炭化水素基;フェニレン基等の炭素数6〜15程度の2価の芳香族炭化水素基;酸素原子(エーテル結合);硫黄原子(チオエーテル結合);−NH−;カルボニル基(−CO−);これらが2以上結合した2価の基(例えば、−CH2CH2O−、−CH2CH2CH2CH2O−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2O−等のオキシアルキレン基など)などが挙げられる。X1としては単結合、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、オキシアルキレン基、オキシアルキレン基が2以上結合した基などが好ましい。
【0041】
2におけるラクトン環含有基には、下記式(5)
−X2−R9 (5)
(式中、R9はラクトン環を含む環式基を示し、X2は単結合又は連結基を示す)
で表される基が含まれる。
【0042】
9におけるラクトン環を含む環式基としては、例えば、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環、ε−カプロラクトン環などの5〜15員(特に5又は6員)のラクトン環のみの単環からなる環式基;ノルボルナンラクトン環(=3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環)、6−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−7−オン環、8−オキサビシクロ[4.3.01,6]ノナン−7−オン環、4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン環などの、5〜15員(特に5又は6員)ラクトン環と脂環式環とが縮合した形の多環の環式基が挙げられる。X2における連結基としては、前記X1における連結基と同様のものが挙げられる。
【0043】
2におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基などの炭素数7〜16程度のアラルキル基が挙げられる。
【0044】
2における−(R3−O)m−R4基中、R3は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R4は水素原子、炭化水素基又はアシル基を示し、mは1以上の整数を示す。前記R3における炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、例えば、エチリデン、エチレン、イソプロピリデン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数2〜12(特に2〜6)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;シクロへキシレン、シクロヘキシリデン基等の3〜6員の2価の脂環式炭化水素基などが挙げられる。R4における炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル基等のアルキル基(例えばC1-6アルキル基等)などの脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基やシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ノルボルニル基(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基)やトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基等の橋架け炭素環式基などの脂環式炭化水素基;フェニル、ナフチル基等のアリール基;これらが2以上結合した2価の基などが挙げられる。R4におけるアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、2−カルボキシベンゾイル基などの、カルボキシル基等の置換基を有していてもよい炭素数1〜14程度のアシル基(脂肪族アシル基、脂環式アシル基、芳香族アシル基等)などが挙げられる。mとしては、好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは1である。
【0045】
式(1)で表される不飽和カルボン酸エステル(c1)の代表的な例として、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、4−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、4−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、6−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)ヘキシル(メタ)アクリレート、4−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)ヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの脂環式炭素環を含む(メタ)アクリル酸エステル;γ−ブチロラクトン−2−イル(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン−3−イル(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン−4−イル(メタ)アクリレート、ノルボルナンラクトン(メタ)アクリレートなどのラクトン環を含む(メタ)アクリル酸エステル;ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;2−フェニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル;2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレートなどの(メタ)アクリル酸アシルオキシアルキルエステルなどが挙げられる。
【0046】
式(1)で表される不飽和カルボン酸エステル(c1)は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0047】
N−置換マレイミド(c2)としては、下記式(6)
【化6】

[式中、R7は有機基を示す]
で表される化合物などを使用できる。
【0048】
前記有機基には、炭化水素基、複素環式基が含まれる。炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル基等のアルキル基(例えばC1-6アルキル基等)などの脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の橋架け炭素環式基などの脂環式炭化水素基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;これらが2以上結合した基などが挙げられる。複素環式基としては、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択された少なくとも1種のヘテロ原子を含有する5〜10員程度の非芳香族性又は芳香族性の複素環式基が挙げられる。
【0049】
N−置換マレイミド(c2)の代表的な例として、例えば、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミドなどのN−シクロアルキルマレイミド;N−アダマンチルマレイミド、N−ノルボルニルマレイミドなどのN−橋架け炭素環式基置換マレイミド;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド;N−フェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド;N−ベンジルマレイミドなどのN−アラルキルマレイミドなどが挙げられる。これらのなかでも、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキルマレイミドや、N−橋架け炭素環式基置換マレイミドなどが好ましい。N−置換マレイミド(c2)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0050】
本発明の共重合体は、前記モノマー単位(A)、モノマー単位(B)、モノマー単位(C)のほかに、これら以外のモノマー単位を少量含んでいてもよい。該モノマー単位として、例えば、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリルなどに対応する単位が挙げられる。本発明の共重合体において、モノマー単位(A)とモノマー単位(B)とモノマー単位(C)の総量は、全モノマー単位に対して、例えば90重量%以上、好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上であり、特に実質的に100重量%であるのが好ましい。
【0051】
本発明の共重合体は、前記アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物(a)、前記オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物(b)、及び前記重合性不飽和化合物(但し、上記(b)に属する重合性不飽和化合物を除く)(c)からなる単量体混合物であって、前記重合性不飽和化合物(b)の割合が単量体の総量に対して1重量%以上40重量%未満であり、且つ前記重合性不飽和化合物(b)のうち60重量%以上が前記式(2a)及び(2b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物から選択された少なくとも1種の化合物である単量体混合物を共重合に付すことにより製造することができる。
【0052】
共重合に用いる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤が使用でき、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジブチル−−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、過酸化水素などが挙げられる。過酸化物をラジカル重合開始剤として使用する場合、還元剤を組み合わせてレドックス型の開始剤としてもよい。上記のなかでもアゾ化合物が好ましく、特に、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が好ましい。
【0053】
重合開始剤の使用量は、円滑な共重合を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常、モノマー(全単量体成分)及び重合開始剤の総量に対して、1〜10重量%程度であり、好ましくは2〜8重量%程度である。
【0054】
共重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、スチレン系ポリマーやアクリル系ポリマーを製造する際に用いる慣用の方法により行うことができる。これらのなかでも溶液重合が好ましい。モノマー、重合開始剤は、それぞれ、反応系に一括供給してもよく、その一部又は全部を反応系に滴下してもよい。例えば、一定温度に保持したモノマーと重合溶媒の混合液中に、重合開始剤を重合溶媒に溶解した溶液を滴下して重合する方法や、予め単量体、重合開始剤を重合溶媒に溶解させた溶液を、一定温度に保持した重合溶媒中に滴下して重合する方法(滴下重合法)などを採用できる。
【0055】
重合溶媒は単量体組成等に応じて適宜選択できる。重合溶媒として、例えば、エーテル(ジエチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルやジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶媒などが挙げられる。重合温度は、例えば30〜150℃程度の範囲で適宜選択できる。
【0056】
上記方法により本発明の共重合体が生成する。共重合体の数平均分子量は、例えば3000〜50000、好ましくは3500〜40000、さらに好ましくは4000〜30000程度である。共重合体の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は1〜3程度である。
【0057】
上記方法で得られた重合液は、必要に応じて固形分濃度を調整したり、濾過処理を施した後、これに、光酸発生剤、架橋剤(ネガ型レジストの場合)、樹脂、着色剤等の適宜な添加物を添加することにより、フォトレジスト用樹脂組成物等の感放射線性樹脂組成物として利用することができる。また、重合により生成したポリマーを沈殿又は再沈殿等により精製し、この精製したポリマーを、前記適宜な添加物とともにレジスト用溶媒等の溶媒に溶解することにより、フォトレジスト用樹脂組成物等の感放射線性樹脂組成物として利用することもできる。前記光酸発生剤、架橋剤等の添加物、レジスト用溶媒としては、モノマー組成等に応じて、レジストの分野で一般に使用されるものを用いることができる。
【0058】
ポリマーの沈殿又は再沈殿に用いる溶媒は有機溶媒及び水の何れであってもよく、またその混合溶媒であってもよい。有機溶媒として、例えば、炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素など)、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタンなど)、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、カルボン酸(酢酸など)、これらの溶媒を含む混合溶媒等が挙げられる。
【0059】
こうして得られる共重合体は、感放射線性樹脂、例えば、露光にg線、i線、エキシマレーザー(例えば、XeCl、KrF、KrCl、ArF、ArCl、F2、Kr2、KrAr、Ar2等)などを用いたフォトレジスト用樹脂、とりわけアルカリ水溶液可溶性のフォトレジスト用樹脂として好適に使用される。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、共重合体溶液及び感放射線性樹脂組成物溶液の粘度はB型粘度計で測定した。また、共重合体の重量平均分子量(ポリスチレン換算)及び分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、(株)島津製作所製のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(商品名「K2479」)を用いて測定した。分析条件は以下の通りである。
カラム:SHIMADZU Shim-pack GPC-80M
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)1ml/min
温度(オーブン):40℃
検出器:RI
【0061】
実施例1
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を適量流して窒素雰囲気とし、ジプロピレングリコールジメチルエーテル300重量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、該フラスコ内に、メタクリル酸(MAA)51重量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレート(式(2a)に含まれる化合物)と3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート(式(2b)に含まれる化合物)の混合物[50:50(モル比)](E−DCPA)15重量部、及びN−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)234重量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル170重量部に溶解した溶液を滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30重量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル200重量部に溶解した溶液を別の滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、約4時間同温度に保持し、その後室温まで冷却して、固形分32.6重量%、酸価109mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9000、分散度は1.80であった。
【0062】
実施例2
メタクリル酸(MAA)51重量部に代えて、アクリル酸(AA)51重量部を用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分32.6重量%、酸価118mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9300、分散度は1.86であった。
【0063】
実施例3
N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)234重量部に代えて、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートとトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレートの混合物[50:50(モル比)](DCPA)234重量部を用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分31.8重量%、酸価105mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9500、分散度は1.80であった。
【0064】
実施例4
3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレート(式(2a)に含まれる化合物)と3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート(式(2b)に含まれる化合物)の混合物[50:50(モル比)](E−DCPA)15重量部に代えて、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレート(式(2a)に含まれる化合物)と3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート(式(2b)に含まれる化合物)の混合物[50:50(モル比)](E−DCPA)8重量部、及び2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチルアクリレート(式(2a)に含まれる化合物)と2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチルアクリレート(式(2b)に含まれる化合物)の混合物[50:50(モル比)](E−DCPEA)8重量部を用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分32.0重量%、酸価110mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9200、分散度は1.65であった。
【0065】
比較例1
N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)234重量部に代えて、スチレン(ST)234重量部を用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分32.3重量%、酸価110mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9800、分散度は1.86であった。
【0066】
比較例2
N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)234重量部に代えて、メタクリル酸メチル(MMA)234重量部を用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分32.0重量%、酸価108mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9500、分散度は1.85であった。
【0067】
比較例3
3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレート(式(2a)に含まれる化合物)と3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート(式(2b)に含まれる化合物)の混合物[50:50(モル比)](E−DCPA)15重量部に代えて、3,4−エポキシシクロへキシルメチルメタクリレート(E−CHM)15重量部を用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分31.5重量%、酸価103mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9800、分散度は1.85であった。
【0068】
比較例4
メタクリル酸(MAA)の使用量を21重量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレート(式(2a)に含まれる化合物)と3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート(式(2b)に含まれる化合物)の混合物[50:50(モル比)](E−DCPA)の使用量を270重量部、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)の使用量を0.9重量部とした点以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分32.5重量%、酸価40mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは8900、分散度は1.65であった。
【0069】
比較例5
メタクリル酸(MAA)の使用量を30重量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレート(式(2a)に含まれる化合物)と3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレート(式(2b)に含まれる化合物)の混合物[50:50(モル比)](E−DCPA)の使用量を270重量部、N−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)の使用量を0重量部とした点以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分32.0重量%、酸価60mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9000、分散度は1.70であった。
【0070】
評価試験
実施例及び比較例で得られた各共重合体溶液を用いて以下の評価試験を行った。結果を表1に示す。なお、表中、単量体組成の欄の数字は重量部を表し、「E−DCP(E)A/重合性不飽和化合物(b)」は、E−DCPA、E−DCPEAの総量の、重合性不飽和化合物(b)の総量に対する割合(重量%)を表し、「重合性不飽和化合物(b)/全単量体」は、重合性不飽和化合物(b)の総量の単量体総量に対する割合(重量%)を表す。
【0071】
(1)保存安定性
実施例及び比較例で得られた各共重合体溶液(固形分濃度約30重量%)のそれぞれについて、該共重合体溶液80重量部、カチオン重合開始剤(商品名「サンエイドSI−150」、三新化学工業社製)0.5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量部を混合し、ミキサーで5分間撹拌溶解した後、減圧脱気して、感放射線性樹脂組成物溶液を調製した。得られた感放射線性樹脂組成物溶液の粘度(23℃)を測定し、室温で1ヶ月間保存した後の粘度(23℃)を再度測定し、その間の粘度上昇率が30%未満の場合を○、30%以上の場合を×とした。
【0072】
(2)透明性
上記(1)保存安定性の試験と同様にして、感放射線性樹脂組成物溶液を調製した。この溶液を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過した後、ガラス基板1737(コーニング社製、0.7mm厚×150mm径)上に、膜厚3μmとなるようにスピンナーで塗布し、90℃で3分間ホットプレート上で乾燥させ、高圧水銀灯を用いて全面露光した。次に、塗布膜を超高圧水銀灯を用いてポジマスクパターンを介さずに全面露光し、クリーンオーブン中120℃で30分間加熱乾燥させた。得られた硬化膜付き基板をUV分光光度計(商品名「U−3300」、日立製作所社製)を用いて波長400nm〜800nmの最低透過率を測定した。最低透過率が95%以上であれば○、85%以上95%未満の場合を△、85%未満を×とした。
【0073】
(3)耐熱性
上記(1)保存安定性の試験と同様にして、感放射線性樹脂組成物溶液を調製した。この溶液を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過した後、ガラス基板1737(コーニング社製、0.7mm厚×150mm径)上に、膜厚3μmとなるようにスピンナーで塗布し、90℃で3分間ホットプレート上で乾燥させ、高圧水銀灯を用いて全面露光した。次に、塗布膜をクリーンオーブン中200℃で30分間加熱硬化させ、(2)透明性の評価と同様に分光光度計を用いて波長400nm〜800nmの透過率を測定した。前記硬化した塗膜を再度250℃のクリーンオーブン中で1時間加熱し、塗膜のクラックの有無を確認するとともに、透過率を測定した。200℃、30分間加熱硬化後の透過率に対して、再加熱処理後の透過率の変化の割合を透過率減少率で算出し、透過率減少率が5%未満の場合を○、5〜10%の場合を△、10%を超えた場合を×とした。
【0074】
【表1】

【0075】
表より明らかなように、実施例で得られた共重合体は、比較例で得られた共重合体と比較し、透明性を保持しつつ、優れた保存安定性、耐熱性及び耐熱変色性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性基を含むモノマー単位、(B)オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位、及び(C)(c1)下記式(1)
【化1】

[式中、R1は水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示し、R2は脂環式炭素環含有基、ラクトン環含有基、アラルキル基、又は−(R3−O)m−R4基(式中、R3は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示し、R4は水素原子、炭化水素基又はアシル基を示し、mは1以上の整数を示す)を示す]
で表される不飽和カルボン酸エステル、及び(c2)N−置換マレイミドからなる群より選択された少なくとも1種の重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位からなる共重合体であって、前記モノマー単位(B)の割合が全モノマー単位に対して1重量%以上40重量%未満であり、且つ前記モノマー単位(B)のうち60重量%以上が、下記式(2a)及び(2b)
【化2】

(式中、R5は、それぞれ、水素原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基を示し、Aは、それぞれ、単結合又はヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示す)
で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物から選択された少なくとも1種の化合物に対応するモノマー単位であることを特徴とする共重合体。
【請求項2】
モノマー単位(A)の割合が全モノマー単位に対して10〜50重量%である請求項1記載の共重合体。
【請求項3】
アルカリ水溶液可溶性のフォトレジスト用樹脂である請求項1又は2記載の共重合体。
【請求項4】
(a)アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物、(b)オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含有する重合性不飽和化合物、及び(c)(c1)下記式(1)
【化3】

[式中、R1は水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示し、R2は脂環式炭素環含有基、ラクトン環含有基、アラルキル基、又は−(R3−O)m−R4基(式中、R3は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示し、R4は水素原子、炭化水素基又はアシル基を示し、mは1以上の整数を示す)を示す]
で表される不飽和カルボン酸エステル、及び(c2)N−置換マレイミドからなる群より選択された少なくとも1種の重合性不飽和化合物からなる単量体混合物であって、前記重合性不飽和化合物(b)の割合が単量体の総量に対して1重量%以上40重量%未満であり、且つ前記重合性不飽和化合物(b)のうち60重量%以上が、下記式(2a)及び(2b)
【化4】

(式中、R5は、それぞれ、水素原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基を示し、Aは、それぞれ、単結合又はヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示す)
で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物から選択された少なくとも1種の化合物である単量体混合物を共重合に付すことを特徴とする共重合体の製造法。

【公開番号】特開2008−133373(P2008−133373A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320923(P2006−320923)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】