説明

4−フェニル−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエトキシ)ピリミジン系化合物及びその使用方法

式Iの化合物、それらを含む組成物、並びに疾患及び障害を治療、予防及び/又は管理するためにそれらを使用する方法とを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−フェニル−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエトキシ)ピリミジン系化合物、それらを含む組成物、並びに疾患及び障害の治療、予防及び管理におけるそれらの使用に関する。
【0002】
本願は、2006年12月12日に提出された米国仮特許出願第60/874,596号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
神経伝達物質セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT))は、複数の中枢神経ファセットの気分調整、並びに睡眠、不安、アルコール依存、薬物乱用、食物摂取、及び性行動の調節に関与する。報告によると、末梢組織におけるセロトニンは血管緊張、腸運動性、一次止血、及び細胞媒介性免疫応答の調節に関わる(非特許文献1)。
【0004】
酵素トリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)は、セロトニンの生合成の律速段階を触媒する。TPHには、末梢、主に胃腸(GI)管で発現するTPH1と、セロトニン作動性神経細胞で発現するTPH2との2つのアイソフォームが報告されている(同上)。アイソフォームTPH1はtph1遺伝子によってコードされ、TPH2はtph2遺伝子によってコードされる(同上)。
【0005】
tph1遺伝子が遺伝的に欠損したマウス(「ノックアウトマウス」)が報告されている。報告によると、1つのケースでは、このマウスは古典的にセロトニン作動性の脳領域では正常な量のセロトニンを発現したが、末梢ではセロトニンをほとんど欠いていた(同上)。別のケースでは、ノックアウトマウスが異常な心臓の活動を示し、このことは末梢セロトニンの欠失に起因していた(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Walther, D.J., 他, Science 299: 76(2003)
【非特許文献2】Cote, F.,他, PNAS 100(23): 13525-13530(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
セロトニンが非常に多くの生化学プロセスに関与するので、セロトニン受容体に影響する薬物は悪影響を伴うことが多い。したがって、セロトニンによる影響を受けるか、セロトニンによって媒介されるか、又はセロトニンに関連する、疾患及び障害を治療する新規の方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は一部、式I:
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Aは必要に応じて置換された複素環であり、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、Rは、水素、C(O)R、C(O)OR、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール若しくは複素環であり、Rは、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール若しくは複素環であり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、mが1〜4である)の化合物及びその薬学的に許容される塩及び溶媒和物に関する。
【0011】
特定の化合物はTPH(例えばTPH1)活性を阻害する。
【0012】
本発明は、様々な疾患及び障害を治療、予防及び管理する薬学的組成物及び方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】マウスの空腸における5−HTレベルに対する本発明の化合物の用量依存的な効果を示す図である。化合物は、15mpk、50mpk、150mpk、及び300mpkでの15%Captisol(登録商標)溶液中で経口投与された。
【発明を実施するための形態】
【0014】
マウスでtph1遺伝子をノックアウトすることによって、GIセロトニンのレベルが有意に低減し、中枢神経系(CNS)に対する測定可能な効果は、たとえあったとしてもほとんど引き起こされないという発見に、本発明は一部基づいている。
【0015】
本発明は、TPH(例えばTPH1)を阻害する化合物の発見にも基づいている。哺乳動物に投与する場合、本発明の好ましい化合物は、セロトニンレベルを低減し、疾患及び障害の治療、予防及び管理に対するそれらの化合物の実用的な使用を可能にする薬物動態及び薬力学特性を有し、且つ薬理学的効果と、毒性又は好ましくない副反応との間に広い安全域がある。
【0016】
5.1.定義
特に明示のない限り、「アルケニル」という用語は、2〜20(例えば2〜10又は2〜6)個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素2重結合を含む直鎖、分岐鎖、及び/又は環式の炭化水素を意味する。代表的なアルケニル部分としては、ビニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、3−オクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、2−デセニル、及び3−デセニルが挙げられる。
【0017】
特に明示のない限り、「アルキル」という用語は、1〜20(例えば1〜10又は1〜4)個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖、及び/又は環式(「シクロアルキル」)の炭化水素を意味する。1〜4個の炭素を有するアルキル部分は「低級アルキル」と称される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、及びドデシルが挙げられる。シクロアルキル部分は単環又は多環であってもよく、例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びアダマンチルが挙げられる。アルキル部分のさらなる例は直鎖、分岐鎖、及び/又は環式部分(例えば、1−エチル−4−メチル−シクロヘキシル)を有する。「アルキル」という用語は飽和炭化水素、並びにアルケニル及びアルキニル部分を含む。
【0018】
特に明示のない限り、「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル基を意味する。アルコキシ基の例としては、−OCH、−OCHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、及び−O(CHCHが挙げられる。
【0019】
特に明示のない限り、「アルキルアリール」又は「アルキル−アリール」という用語は、アリール部分と結合したアルキル部分を意味する。
【0020】
特に明示のない限り、「アルキルヘテロアリール」又は「アルキル−ヘテロアリール」という用語は、ヘテロアリール部分と結合したアルキル部分を意味する。
【0021】
特に明示のない限り、「アルキル複素環」又は「アルキル−複素環」という用語は、複素環部分と結合したアルキル部分を意味する。
【0022】
特に明示のない限り、「アルキニル」という用語は、2〜20(例えば2〜20又は2〜6)個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素3重結合を含む直鎖、分岐鎖、又は環式の炭化水素を意味する。代表的なアルキニル部分としては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、6−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、7−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、8−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル、及び9−デシニルが挙げられる。
【0023】
特に明示のない限り、「アリール」という用語は、芳香環、又は炭素原子及び水素原子で構成される芳香環若しくは一部が芳香環の系を意味する。アリール部分は共に結合又は縮合した複数の環を含んでも良い。アリール部分の例としては、アントラセニル、アズレニル、ビフェニル、フルオレニル、インダン、インデニル、ナフチル、フェナントレニル、フェニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン、及びトリルが挙げられる。
【0024】
特に明示のない限り、「アリールアルキル」又は「アリール−アルキル」という用語は、アルキル部分と結合したアリール部分を意味する。
【0025】
特に明示のない限り、「生加水分解性(biohydrolyzable)アミド」、「生加水分解性エステル」、「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」、及び「生加水分解性ホスフェート」という用語は、それぞれ、1)化合物の生物活性を妨げないが、in vivoで、吸収、作用の持続、又は作用の開始等の有益な特性を化合物に付与することができる化合物、或いは、2)生物学的に不活性であるがin vivoで生物学的に活性な化合物に変換される化合物のアミド、エステル、カルバメート、カーボネート、ウレイド、又はホスフェートを意味する。生加水分解性エステルの例としては、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、及びコリンエステルが挙げられる。生加水分解性アミドの例としては、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、及びアルキルアミノアルキル−カルボニルアミドが挙げられる。生加水分解性カルバメートの例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環アミン及び複素芳香族アミン、並びにポリエーテルアミンが挙げられる。
【0026】
特に明示のない限り、「末梢セロトニンによって媒介される疾患又は障害」及び「末梢セロトニンによって媒介される疾患及び障害」という語句は、1つ又は複数の症状を有する疾患及び/又は障害を意味し、その重症度は末梢セロトニンレベルによって影響される。
【0027】
特に明示のない限り、「ハロゲン」及び「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を包含する。
【0028】
特に明示のない限り、「ヘテロアルキル」という用語は、炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子(例えばN、O又はS)に置換されているアルキル部分(例えば直鎖、分岐鎖又は環式)を表す。
【0029】
特に明示のない限り、「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子(例えばN、O又はS)に置換されているアリール部分を意味する。例としては、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾキナゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、イミダゾリル、インドリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、フタラジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル、及びトリアジニルが挙げられる。
【0030】
特に明示のない限り、「ヘテロアリールアルキル」又は「ヘテロアリール−アルキル」という用語は、アルキル部分と結合したヘテロアリール部分を意味する。
【0031】
特に明示のない限り、「複素環」という用語は、炭素、水素及び少なくとも1つのヘテロ原子(例えばN、O又はS)で構成される芳香族、部分芳香族又は非芳香族の単環式又は多環式の環或いは環系を表す。複素環には、共に縮合又は結合した複数(すなわち2つ以上)の環を含んでも良い。複素環はヘテロアリールを含む。例としては、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、シンノリニル、フラニル、ヒダントイニル、モルホリニル、オキセタニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、及びバレロラクタミルが挙げられる。
【0032】
特に明示のない限り、「複素環アルキル」又は「複素環−アルキル」という用語は、アルキル部分と結合した複素環部分を表す。
【0033】
特に明示のない限り、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、非芳香族の複素環を表す。
【0034】
特に明示のない限り、「ヘテロシクロアルキルアルキル」又は「ヘテロシクロアルキル−アルキル」という用語は、アルキル部分と結合したヘテロシクロアルキル部分を表す。
【0035】
特に明示のない限り、「管理する(manage)」、「管理している(managing)」及び「管理(management)」という用語は、疾患又は障害を既に患っている患者において、特定の疾患又は障害、或いは1つ又は複数のその症状の再発を予防すること、及び/又は疾患又は障害を患っている患者の寛解時期を延長させることを包含する。この用語は、疾患又は障害の閾値、発症、及び/又は継続期間を調節すること、或いは患者が疾患又は障害に対して応答がある方法を変えることを包含する。
【0036】
特に明示のない限り、「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される非毒性の酸又は塩基(無機酸及び無機塩基並びに有機酸及び有機塩基を含む)から調製される塩を表す。好適な薬学的に許容される塩基付加塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛から生成される金属塩、又はリジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、及びプロカインから生成される有機塩が挙げられる。好適な非毒性の酸としては、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、及びp−トルエンスルホン酸等の無機酸及び有機酸が挙げられる。特定の非毒性酸としては、塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。したがって、特定の塩の例としては、塩酸塩及びメシル酸塩が挙げられる。他のものも当該技術分野において既知である。例えば「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」(第18版、Mack Publishing, Easton PA: 1990)、及び「レミントン:製薬の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」(第19版、Mack Publishing, Easton PA: 1995)を参照されたい。
【0037】
特に明示のない限り、「強力なTPH1阻害剤」という用語は、TPH1_IC50が約10μM未満である化合物である。
【0038】
特に明示のない限り、「予防する(prevent)」、「予防している(preventing)」及び「予防(prevention)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に行う、疾患又は障害の重症度、或いは1つ又は複数のその症状を阻害又は軽減させる措置を意図するものである。この用語は予防法を包含する。
【0039】
特に明示のない限り、「プロドラッグ」という用語は、本明細書に開示の化合物の薬学的に許容されるエステル、カーボネート、チオカーボネート、N−アシル誘導体、N−アシルオキシアルキル誘導体、第3級アミンの第4級誘導体、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基、アミノ酸抱合体、リン酸エステル、金属塩、及びスルホン酸エステルを包含する。プロドラッグの例としては、生加水分解性部分(例えば、生加水分解性アミド、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性エステル、生加水分解性ホスフェート、又は生加水分解性ウレイド類似体)を含む化合物が挙げられる。本明細書に開示の化合物のプロドラッグは当業者によって容易に想像及び調製される。例えば、「プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)」(Bundgaard, A. Ed., Elseview, 1985)、Bundgaard, H.著「プロドラッグの設計及び用途(Design and Application of Prodrugs)」(薬物の設計及び開発のテキスト(A Textbook of Drug Design and Development), Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard, Ed., 1991, Chapter 5, p. 113-191)、及びBundgaard, H.著「高度な薬物送達の概説(Advanced Drug Delivery Review)」(1992, 8, 1-38)を参照されたい。
【0040】
特に明示のない限り、化合物の「予防的に有効な量」は、疾患若しくは病態、又は疾患若しくは病態に関連する1つ若しくは複数の症状を抑える、或いはその再発を防止するのに十分な量である。化合物の予防的に有効な量は、単独で又は他の薬剤と併用して、疾患の予防において予防的利点を与える治療剤の量である。「予防的に有効な量」という用語は、予防法を全体的に改善する、又は別の予防剤の予防的な有効性を高める量を包含し得る。
【0041】
特に明示のない限り、化学反応を受ける分子の部分を表すのに用いられる場合、「保護基("protecting group" or "protective group")」という用語は、この化学反応の条件下で反応性がなく、これらの条件下で反応性がある部分を与えるために取り除くことができる化学的部分を意味する。保護基は当該技術分野で既知である。例えば、Greene, T. W. and Wuts, P.G.M.著「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(第3版、John Wiley & Sons: 1999)、Larock, R. C.著「包括的な有機形質転換(Comprehensive Organic Transformations)」(第2版、John Wiley & Sons: 1999)を参照されたい。幾つかの例としては、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、Cbz、Boc、Fmoc、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、及びフタルイミドが挙げられる。
【0042】
特に明示のない限り、「擬ハロゲン」という用語は、その酸−塩基、置換及び酸化還元化学反応においてハロゲン化物イオンに類似し、一般的に弱塩基性であり、原子移動ラジカル重合条件下でフリーラジカルを形成する多原子陰イオンを表す。擬ハロゲンの例としては、アジドイオン、シアニド、シアネート、チオシアネート、チオスルフェート、スルホネート、及びハロゲン化スルホニルが挙げられる。
【0043】
特に明示のない限り、「選択的TPH1阻害剤」という用語は、TPH2_IC50がTPH1_IC50より少なくとも約10倍大きい化合物である。
【0044】
特に明示のない限り、化合物の「立体異性体的に豊富な組成物」という用語は、指定の化合物をその立体異性体(複数可)よりも多く含有する、指定の化合物とその立体異性体(複数可)との混合物を表す。例えば、(S)−ブタン−2−オールの立体異性体的に豊富な組成物は、例えば約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5及び98/2の比の(S)−ブタン−2−オールと、(R)−ブタン−2−オールとの混合物を包含する。
【0045】
特に明示のない限り、「立体異性体混合物」という用語は、ラセミ混合物、及び立体異性体的に豊富な混合物を包含する(例えば、R/S=30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35及び70/30)。
【0046】
特に明示のない限り、「立体異性体的に純粋である」という用語は、化合物の1つの立体異性体を含み、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つの立体中心を有する化合物の立体異性体的に純粋である組成物は、化合物の反対の立体異性体を実質的に含まない。2つの立体中心を有する化合物の立体異性体的に純粋である組成物は、化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。複数の立体中心を有し、全てではないがその立体中心の立体化学を規定するように記載又は命名された、化合物の立体異性体的に純粋である組成物は、立体化学を規定する立体中心で異なる立体化学を有する化合物の異性体を実質的に含まない。例えば、「立体異性体的に純粋である((1R)−1,2−ジクロロプロピル)ベンゼン」は、((1S)−1,2−ジクロロプロピル)ベンゼンを実質的に含まない((1R)−1,2−ジクロロプロピル)ベンゼンを表す。
【0047】
典型的な立体異性体的に純粋である化合物は、約80重量%を越える化合物の1つの立体異性体と、約20重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、約90重量%を越える化合物の1つの立体異性体と、約10重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、約95重量%を越える化合物の1つの立体異性体と、約5重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、約97重量%を越える化合物の1つの立体異性体と、約3重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、又は約99重量%を越える化合物の1つの立体異性体と、約1重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含む。
【0048】
特に明示のない限り、「置換された」という用語は、化学構造又は部分を記載するために用いる場合は、その構造又は部分の誘導体を表し、ここで、その水素原子の1つ又は複数は、アルコール、アルデヒド、アルコキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル)、アルキニル、アルキルカルボニルオキシ(−OC(O)アルキル)、アミド(−C(O)NH−アルキル−又は−アルキルNHC(O)アルキル)、アミジニル(−C(NH)NH−アルキル又は−C(NR)NH)、アミン(アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ等の第1級、第2級及び第3級のアミン)、アロイル、アリール、アリールオキシ、アゾ、カルバモイル(−NHC(O)O−アルキル−又は−OC(O)NH−アルキル)、カルバミル(例えば、CONH、並びにCONH−アルキル、CONH−アリール、及びCONH−アリールアルキル)、カルボニル、カルボキシル、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物、シアノ、エステル、エポキシド、エーテル(例えば、メトキシ、エトキシ)、グアニジノ、ハロ、ハロアルキル(例えば、−CCl、−CF、−C(CF)、ヘテロアルキル、ヘミアセタール、イミン(第1級及び第2級)、イソシアネート、イソチオシアネート、ケトン、ニトリル、ニトロ、酸素(すなわち、オキソ基を与える)、ホスホジエステル、スルフィド、スルホンアミド(例えばSONH)、スルホン、スルホニル(アルキルスルホニル、アリールスルホニル及びアリールアルキルスルホニルを含む)、スルホキシド、チオール(例えばスルフヒドリル、チオエーテル)並びに尿素(−NHCONH−アルキル−)等(これらに限定されない)の原子、化学的部分又は官能基で置換される。
【0049】
特に明示のない限り、化合物の「治療的に有効な量」は、疾患又は病態の治療又は管理において治療的利点を与えるのに、或いは疾患又は病態に関連した1つ又は複数の症状を遅延又は最小にするのに十分な量である。化合物の治療的に有効な量は、単独で又は他の療法を併用して、疾患又は病態の治療又は管理において治療的利点を与える、治療剤の量を意味する。「治療的に有効な量」という用語は、療法全体を改善させるか、疾患若しくは病態の症状若しくは状態を軽減又は回避するか、或いは別の治療剤の治療的有効性を高める量を包含することができる。
【0050】
特に明示のない限り、「TPH1_IC50」という用語は、以下の実施例に記載されるin vitro阻害アッセイを用いて求められるような、TPH1に対する化合物のIC50である。
【0051】
特に明示のない限り、「TPH2_IC50」という用語は、以下の実施例に記載されるin vitro阻害アッセイを用いて求められるような、TPH2に対する化合物のIC50である。
【0052】
特に明示のない限り、「治療する(treat)」、「治療している(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害を患っている間に行う措置であり、これによって疾患若しくは障害の重症度、又は1つ若しくは複数のその症状が軽減されるか、或いは疾患又は障害の進行が遅延又は減速する。
【0053】
特に明示のない限り、「挙げられる(include)」という用語は、「含む(include)」と同じ意味を有し、「含む(includes)」という用語は、「含むが、限定されない」と同じ意味を有する。同様に、「等」という用語は、「等(これらに限定されない)」と同じ意味を有する。
【0054】
特に明示のない限り、一連の名詞の直前にくる1つ又は複数の形容詞は、それぞれの名詞にかかるものとして解釈される。例えば、「必要に応じて置換されたアルキル、アリール又はヘテロアリール」という語句は、「必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリール」と同じ意味を有する。
【0055】
より大きい化合物部分を形成する化学的部分は、単一分子として存在する場合に一般的に指す名称、又はその基を一般的に指す名称を用いて本明細書に記載され得ることに留意されたい。例えば、「ピリジン」及び「ピリジル」という用語は、他の化学的部分と結合する部分を記載するのに用いる場合に、同じ意味を表す。したがって、「XOH(式中、Xはピリジルである)」及び「XOH(式中、Xはピリジンである)」という2つの語句は同じ意味を表し、ピリジン−2−オール、ピリジン−3−オール及びピリジン−4−オールの化合物を包含する。
【0056】
また、構造の立体化学、又は構造の一部分が例えば太線又は破線で示されない場合、構造又は構造の一部分はその全ての立体異性体を包含すると解釈すべきことに留意されたい。同様に、キラル中心の立体化学が指定されていない1つ又は複数のキラル中心を有する化合物の名称は、その純粋な立体異性体及びそれらの混合物を包含する。さらに、図で示された満足な原子価を有しない任意の原子はこの原子価を満たすのに十分な水素原子と結合すると推測される。さらに、一本の破線に平行して一本の実線で示された化学結合は、原子価に応じて、単結合及び二重(例えば、芳香族)結合の両方を包含する。
【0057】
5.2.化合物
本発明は特に、式I:
【0058】
【化2】

【0059】
(式中、Aは必要に応じて置換された複素環であり、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、Rは、水素、C(O)R、C(O)OR、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール若しくは複素環であり、Rは、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール若しくは複素環であり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、mが1〜4である)の化合物並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物を包含する。
【0060】
一実施形態において、化合物は、式:
【0061】
【化3】

【0062】
である。
【0063】
別の実施形態において、化合物は、式:
【0064】
【化4】

【0065】
(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、nが1〜3である)である。
【0066】
別の実施形態において、化合物は、式:
【0067】
【化5】

【0068】
(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、pが1〜4である)である。
【0069】
別の実施形態において、化合物は、式:
【0070】
【化6】

【0071】
(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、qが1〜2である)である。
【0072】
別の実施形態において、化合物は、式:
【0073】
【化7】

【0074】
(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、qが1〜2である)である。
【0075】
本明細書中に開示される様々な式に関して、本発明の特定の化合物では、Aは芳香族である。別の化合物では、Aは芳香族ではない。幾つかの化合物では、Aは必要に応じて、1つ又は複数のハロゲン又は低級アルキルで置換される。
【0076】
幾つかの場合、Rは水素又はハロゲンである。
【0077】
幾つかの場合、mは1である。
【0078】
幾つかの場合、Rは水素又はアミノである。
【0079】
幾つかの場合、Rは水素又は低級アルキルである。別の場合、RはC(O)ORであり、Rはアルキルである。
【0080】
幾つかの場合、Rは水素又は低級アルキルである。
【0081】
幾つかの場合、Rは水素又は低級アルキル(例えばメチル)である。
【0082】
幾つかの場合、nは1である。
【0083】
幾つかの場合、pは1である。
【0084】
幾つかの場合、qは1である。
【0085】
本発明は、立体異性体的に純粋である化合物、及びそれらの立体異性体的に豊富な組成物を包含する。立体異性体は、キラルカラム、キラル分割剤又は酵素分割等の標準的な技法を用いて不斉合成又は分割され得る。例えば、Jacques, J.,他著「エナンチオマー、ラセミ化合物及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)」(Wiley Interscience, New York, 1981)、Wilen, S. H.,他著「テトラヘドロン(Tetrahedron)」 33: 2725 (1977)、Eliel, E. L.著「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」(McGraw Hill, NY, 1962)、及びWilen, S. H.著「分割剤及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions)」 p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0086】
本発明の特定の化合物は、強力なTPH1阻害剤である。特定の化合物は、TPH1_IC50が約10μM、5μM、2.5μM、1μM、0.75μM、0.5μM、0.4μM、0.3μM、0.2μM、0.1μM又は0.05μM未満である。
【0087】
特定の化合物は、選択的TPH1阻害剤である。特定の化合物は、TPH1_IC50がそれらの化合物のTPH2_IC50の約10、25、50、100、250、500又は1000分の1である。
【0088】
特定の化合物は、ヒトのチロシンヒドロキシラーゼ(TH)を有意に阻害しない。例えば、特定の化合物は、THに対するIC50が約100μM、250μM、500μM又は1000μMを超える。
【0089】
特定の化合物は、ヒトのフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)を有意に阻害しない。例えば、特定の化合物は、PAHに対するIC50が約100μM、250μM、500μM又は1000μMを超える。
【0090】
本発明の特定の化合物は、アンジオテンシン変換酵素、エリスロポイエチン(EPO)受容体、第IX因子、第XI因子、インテグリン(例えば、α4)、イソオキサゾリン又はイソオキサゾールフィブリノゲン受容体、メタロプロテアーゼ、中性エンドペプチダーゼ(NEP)、ホスファターゼ(例えば、チロシンホスファターゼ)、ホスホジエステラーゼ(例えば、PDE−4)、ポリメラーゼ、PPARγ、TNF−α、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)、又はビトロネクチン受容体の1つ又は複数と有意に結合(例えば、約10μM、25μM、50μM、100μM、250μM、500μM、750μM又は1000μMを超えるIC50で阻害)しない。これらの標的のいずれかと結合(例えば阻害)する化合物の能力は、上記の参考文献に記載されたように、当該技術分野で既知の方法を用いて容易に求めることができる。本発明の特定の化合物は細胞接着を阻害しない。
【0091】
哺乳動物(例えば、マウス、ラット、イヌ、サル又はヒト)に投与する場合、本発明の或る特定の化合物は、血液脳関門を容易には通らない(例えば、血中で、約5%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%又は0.01%未満の化合物が脳に移行する)。化合物が血液脳関門を通ることができるか又はできないかは、当該技術分野で既知の方法によって求めることができる。例えば、Riant, P.他, Journal of Neurochemistry 51: 421-425 (1988)、Kastin, A. J., Akerstrom, V., J. Pharmacol. Exp. Therapeutics 294: 633-636 (2000)、W. A. Banks, W.A.,他, J. Pharmacol. Exp. Therapeutics 302: 1062-1069 (2002)を参照されたい。
【0092】
5.3.化合物の合成
本発明の化合物は、当該技術分野で既知の方法によって、及び本明細書に記載の方法によって調製することができる。
【0093】
例えば、式Iの化合物は、スキーム1:
【0094】
【化8】

【0095】
(スキーム中、PはR又は保護基であり、Pは保護基であり、PはOR又は保護基であり、Y及びYはハロゲン(例えばBr、Cl)又は適切な擬ハロゲン(例えばトリフラート)であり、A基、R基、R基及びR基はそれぞれ他で規定される)で示されるように調製することができる。
【0096】
本発明の化合物は、以下のスキーム2:
【0097】
【化9】

【0098】
で表されるアプローチによっても調製することができる。
【0099】
上記スキームで示された個々の反応は、当該技術分野で既知の条件を用いて行うことができる。例えば、パラジウム触媒、並びにホウ素及びハロゲン含有部分の鈴木カップリングに好適な条件が周知であり、幾つかの例を以下に挙げる。さらに、保護基の種類及び適切な使用が周知であり、これらの除去方法及び水素等(これに限定されない)の部分への置換(例えば、酸性条件又は塩基性条件下での加水分解)方法も周知である。
【0100】
本発明の化合物のエステル誘導体は、以下のスキーム3:
【0101】
【化10】

【0102】
で示されるような方法を用いて容易に調製することができる。
【0103】
当該技術分野で既知の方法を用いて、上記の合成アプローチは、広範な化合物を得るように容易に変更される。例えば、キラルクロマトグラフィ及び当該技術分野で既知の他の技法を、最終生成物の立体異性体を単離するために用いてもよい。例えば、Jacques, J.,他著「エナンチオマー、ラセミ化合物及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)」(Wiley Interscience, New York, 1981)、Wilen, S . H.,他著「テトラへドロン(Tetrahedron)」 33: 2725 (1977)、Eliel, E. L.著「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」(McGraw Hill, NY, 1962)、及びWilen, S. H.著「分割剤及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions)」 p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。さらに、上記スキームの幾つかで示されるように、合成にはキラル出発材料が利用され、立体異性体的に豊富な生成物、又は立体異性体的に純粋である生成物を得ることができる。
【0104】
5.4.使用方法
本発明は、TPHを阻害する方法であって、TPHを本発明の化合物(すなわち、本明細書に開示される化合物)と接触させることを含む、方法を包含する。特定の方法では、TPHはTPH1である。別の方法では、TPHはTPH2である。特定の方法では、阻害はin vitroである。別の方法では、阻害はin vivoである。
【0105】
一実施形態は、哺乳動物(例えばヒト)においてTPH1を阻害する方法であって、本発明の化合物を哺乳動物に投与することを含む、方法を包含する。特定の方法では、TPH2は有意に阻害されない。1つの方法では、化合物は血液脳関門を容易に通らない。別の方法では、化合物はTPH1の選択的阻害剤である。
【0106】
本発明は、末梢セロトニンによって媒介される様々な疾患及び障害を治療、予防及び管理する方法であって、このような治療、予防又は管理が必要な患者においてTPH1活性を阻害することを含む、方法を包含する。特定の実施形態では、阻害は治療的に又は予防的に有効な量の強力なTPH1阻害剤を患者に投与することによって達成される。強力なTPH1阻害剤の例は本明細書に開示される。
【0107】
特定の疾患及び障害としては、カルチノイド症候群、並びに胃腸の疾患及び障害が挙げられる。特定の疾患及び障害の例としては腹痛(例えば、甲状腺髄様癌に関連する)、不安、カルチノイド症候群、セリアック病、便秘(例えば、医原性因を有する便秘及び特発性便秘)、クローン病、うつ病、糖尿病、下痢(例えば、胆汁酸下痢、エンテロトキシン誘導性分泌性下痢、医原性因を有する下痢、特発性下痢(例えば、特発性分泌性下痢)、及び旅行者下痢)、嘔吐、機能性腹痛、機能性肛門直腸障害、機能性膨満、機能性消化不良、機能性胆嚢障害、過敏性腸症候群(IBS、IBD−d、IBS−c及びIBS−aを含む)、ラクトース不耐症、I型及びII型のMEN、吐気、オギルビー症候群、膵性コレラ症候群、膵機能不全、褐色細胞腫(pheochromacytoma)、強皮症、身体化障害、オッディ括約筋障害、潰瘍性大腸炎、及びゾリンジャー−エリソン症候群が挙げられる。
【0108】
さらなる疾患及び障害としては、急性又は慢性の高血圧症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺塞栓(例えば肺塞栓後の気管支収縮及び肺高血圧症)、肺高血圧症(例えば門脈圧高進症に関連する肺高血圧症)及び放射線肺炎(肺高血圧症を引き起こすか、又は肺高血圧症の一因となるものを含む)等の心臓血管又は肺の疾患又は障害が挙げられる。他のものとしては、腹性偏頭痛、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、カルチノイドクリーゼ、CREST症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道機能不全、手指硬化症、毛細血管拡張症)、セロトニン症候群及びくも膜下出血が挙げられる。
【0109】
本発明の特定の方法において、中枢神経系(CNS)のセロトニンレベルの変更に関係する悪影響を避けながら、疾患又は障害の治療、管理及び/又は予防が達成される。このような悪影響の例としては、興奮、不安障害、うつ病及び睡眠障害(例えば、不眠症及び睡眠障害)が挙げられる。本発明の特定の方法において、中枢神経系(CNS)のセロトニンレベルの変更に関係する悪影響を避けながら、疾患又は障害の治療、管理及び/又は予防が達成される。このような悪影響の例としては、興奮、不安障害、うつ病及び睡眠障害(例えば、不眠症及び睡眠障害)が挙げられる。
【0110】
5.5.薬学的組成物
本発明は、1つ又は複数の本発明の化合物を含む薬学的組成物を包含する。或る特定の薬学的組成物は、患者への経口、粘膜(例えば鼻、舌下、膣、口腔、又は直腸)、非経口(例えば皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内、又は動脈内)、又は経皮投与に好適な単一の単位剤形である。剤形の例としては、以下に限定されるものではないが、錠剤;カプレット;軟弾性ゼラチンカプセル等のカプセル剤;カシェ;トローチ剤;ロゼンジ;分散液;坐剤;軟膏剤;パップ剤(湿布);ペースト;散剤;包帯;クリーム剤;硬膏剤;液剤;パッチ;エアロゾル剤(例えば経鼻スプレー又は吸入器);ゲル剤;懸濁液(例えば水性又は非水性の液体懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン)、溶液、及びエリキシルを含む、患者への経口投与又は粘膜投与に好適な液体剤形;患者への非経口投与に好適な液体剤形;並びに再構成して患者への非経口投与に好適な液体剤形を提供することができる滅菌固体(例えば結晶性又は非結晶性の固体)が挙げられる。
【0111】
製剤は、投与方式に合わせる必要がある。例えば、胃で分解しやすい化合物の経口投与は、腸溶性コーティングを用いて達成され得る。同様に、製剤は作用部位への活性成分(複数可)の送達を容易にする成分を含有し得る。例えば、化合物は、分解酵素から(自身を)保護し、循環系における輸送を容易にし、且つ細胞膜を通るこれらの送達に影響するために、リポソーム製剤で投与され得る。
【0112】
同様に、難溶性化合物は、可溶化剤、乳化剤及びシクロデキストリン(例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、Captisol(登録商標)、及びEncapsin(商標)(例えば、Davis and Brewster, Nat. Rev. Drug Disc. 3: 1023-1034 (2004)を参照されたい))等(これらに限定されない)の界面活性剤、Labrasol(登録商標)、Labrafil(登録商標)、Labrafac(登録商標)、cremafor、並びにエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、生体適合性油(例えば、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、及びこれらの混合物(例えば、DMSO:トウモロコシ油)等(これらに限定されない)の非水性溶媒を用いて、液体投与形態(及び再構成に好適な投与形態)に組み込むことができる。
【0113】
難溶性化合物は、当該技術分野で既知の他の技法を用いても懸濁液に組み込むことができる。例えば、ナノ粒子の化合物を液体に懸濁させ、ナノ懸濁液を与えることができる(例えば、Rabinow, Nature Rev. Drug Disc. 3: 785-796 (2004)を参照されたい)。本明細書に記載のナノ粒子形態の化合物は、米国特許出願公開第2004−0164194号明細書、同第2004−0195413号明細書、同第2004−0251332号明細書、同第2005−0042177号明細書、同第2005−0031691号明細書、及び米国特許第5,145,684号明細書、同第5,510,118号明細書、同第5,518,187号明細書、同第5,534,270号明細書、同第5,543,133号明細書、同第5,662,883号明細書、同第5,665,331号明細書、同第5,718,388号明細書、同第5,718,919号明細書、同第5,834,025号明細書、同第5,862,999号明細書、同第6,431,478号明細書、同第6,742,734号明細書、同第6,745,962号明細書(これらの全体がそれぞれ、参照により本明細書に援用される)に記載の方法によって調製され得る。一実施形態では、ナノ粒子形態は、平均粒径が約2000nm未満、約1000nm未満、又は約500nm未満である粒子を含む。
【0114】
剤形の組成、形状、及び種類は、典型的には用途に応じて異なる。例えば、疾患の急性期治療に用いる剤形は、1つ又は複数の活性成分を、同一疾患の慢性期治療に用いる剤形よりも量を多く含有することができる。同様に、非経口剤形は、1つ又は複数の活性成分を、同一疾患を治療するために用いる経口剤形よりも量を少なく含有することができる。このような違いを説明する方法は、当業者には明らかである。例えば「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、Mack Publishing, Easton PA(1990)を参照されたい。
【0115】
5.5.1.経口剤形
経口投与に好適な本発明の薬学的組成物は、錠剤(例えばチュアブル錠)、カプレット、カプセル剤、及び液剤(例えば香りのするシロップ剤)等(これらに限定されない)の個別の剤形として提示することができる。このような剤形は所定量の活性成分を含有し、当業者に既知の製薬法によって製造することができる。一般に、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、Mack Publishing, Easton PA(1990)を参照されたい。
【0116】
典型的な経口剤形は、慣用の薬学的配合技法に従い、密接な混合剤中で活性成分(複数可)を少なくとも1つの賦形剤と組み合わせることによって製造する。賦形剤は、投与に望ましい製剤の形態に応じて広範な形態を取ることができる。
【0117】
投与のしやすさのため、錠剤及びカプセル剤が最も有利な経口単位剤形である。必要に応じて、錠剤は、標準の水性技法又は非水性技法によってコーティングすることができる。このような剤形は、慣用の製薬法でも製造することができる。一般に、薬学的組成物及び剤形は、活性成分を液体担体、微粉固体担体、又は両方と均一且つ密接に混合し、次に生成物を必要に応じて所望の形状にすることによって製造する。崩壊剤は、固体剤形に組み込み、迅速な溶解を容易にすることができる。また、滑沢剤を組み込んで、剤形(例えば錠剤)の製造を容易にすることができる。
【0118】
5.5.2.非経口剤形
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋肉内、及び動脈内を含む様々な経路によって患者に投与することができる。典型的には汚染物質に対する患者の自然の防御を介さずに投与するため、非経口剤形は特に滅菌されているか、又は患者に投与する前に滅菌可能である。非経口剤形の例としては、すぐに注入できる溶液、注入のために薬学的に許容されるビヒクルにすぐに溶解又は懸濁できる乾燥産物、すぐに注入できる懸濁液、及びエマルジョンが挙げられる。
【0119】
本発明の非経口剤形を提供するために用いることができる好適なビヒクルは、当業者に周知である。例としては、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸化リンゲル液等の水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等の水混和性ビヒクル;並びにトウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジル等の非水性ビヒクルが挙げられる。
【実施例】
【0120】
6.1.tph1遺伝子破壊マウスの生成
マウスTPH1遺伝子のエキソン3は、基本的にWattler他(Biotechniques 26(6): 1150-6 (1999))によって記載されたような遺伝子標的化によって取り除いた。得られたノックアウト動物は、脳において正常なTPH活性を示したが、腸において劇的にTPH発現が低減した。
【0121】
6.2.tph1遺伝子破壊の生理学的影響
tph1の破壊に関して同型(−/−)のマウスは、野生型(+/+)同腹子と共に、遺伝子の破壊に関して異型(+/−)のマウスと併せて研究した。この分析の間、哺乳動物被験体における主要な臓器系の機能を評価するように設計された、一連の統合された医学的診断手法を用いて、マウスを医学的に精密検査した。記載の数で、異型(+/−)及び野生型(+/+)の同腹子と併せて同型(−/−)ノックアウトマウスを研究することによって、より信頼性及び再現性のあるデータを得た。
【0122】
tph1遺伝子の破壊は主にTPHのGI管アイソフォーム(TPH1)に影響し、TPHの脳アイソフォーム(TPH2)にはほとんど又は全く影響しなかった。遺伝子の破壊は、中枢神経系において測定可能な悪影響を引き起こさなかった。このことは、セロトニン免疫化学によって確認され、これによってセロトニンが胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸及び結腸で大きく低減したか、又は存在しなかったのに対し、縫線ニューロンではセロトニンレベルは影響を受けなかったことが示された。
【0123】
tph1遺伝子の破壊に関して同型(−/−)のマウスによっては、出血又は他の悪い兆候の有意な増大せずに血栓症の低減を示した。
【0124】
6.3.HPLC特徴付け
以下の合成例のうちの幾つかにおいて、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)の保持時間を示す。これらの保持時間を得るのに用いられる様々な条件は、以下に示される:
方法A:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=HO、0.1%TFA;溶媒B=MeOH、0.1%TFA;B% 4分で10%〜90%;流量=2ml/分;観測波長=220nm及び254nm。
方法B:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;B% 4分で0%〜100%;流量=2ml/分;観測波長=220nm及び254nm。
方法C:ShimPack VP ODS 4.6×50mm;溶媒A=90%HO、10%MeOH、1%TFA;溶媒B=10%HO、90%MeOH、1%TFA;B% 2分で0%〜100%;流量=3.5ml/分;観測波長=220nm及び254nm。
方法D:Shim VP ODS 4.6×50mm;溶媒A=HO、0.1%TFA;溶媒B=MeOH、0.1%TFA;B% 4分で0%〜100%;流量=3ml/分;観測波長=254nm。
方法E:YMC Pack ODS−A 4.6×33mm;溶媒A=HO、0.1%TFA;溶媒B=MeOH、0.1%TFA;B% 3分で10%〜90%;流量=2ml/分;観測波長=220nm及び254nm。
方法F:YMC−Pack ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=90%HO、10%MeOH、1%TFA;溶媒B=10%HO、90%MeOH、1%TFA;B% 4分で10%〜90%;流量=2ml/分;観測波長=220nm及び254nm。
【0125】
6.4.(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0126】
【化11】

【0127】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.027ml、テトラヒドロフランの1.0M溶液)を、4−ピリジン−4−イル−ベンズアルデヒド(500mg、2.73mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCF)(485μl、3.28mmol)のTHF5ml溶液に0℃で添加した。得られた混合物を室温まで温め、室温で4時間撹拌した。それから、反応混合物を1NのHCl 5mlで処理し、室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発乾固させ、1Mの炭酸ナトリウム水溶液9mlを添加し、水相をクロロホルム(3×10ml)で抽出し、合わせたクロロホルム層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。有機溶媒を真空下で除去し、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)エタノール360mg(収率51%)を得た。
【0128】
2,2,2−トリフルオロ−1−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)エタノール(100mg、0.40mmol)と、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(60mg、0.38mmol)と、炭酸セシウム(468mg、1.44mmol)との混合物を、50ml容の封止管中の1,4−ジオキサン2mlに溶解した。混合物を110℃で一晩加熱した後、室温に冷却し、酢酸エチル10mlを添加した後、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン120mg(収率80%)を得た。
【0129】
マイクロ波バイアル中で、4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(30mg、0.080mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(21mg、0.098mmol)及びアセトニトリル(actonitrile)1ml、及び水0.7mlを共に混合した。それから、1Nの炭酸ナトリウム水溶液0.3ml、その後5モル%のジクロロビス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を混合物に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、分取LC(Prep-LC)で精製し、(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(4−ピリミジン−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸6.7mgを得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ(ppm)8.82(s,2H)、8.26(s,2H)、8.02(d,J=8Hz,2H)、7.97(d,J=8.4Hz,2H)、7.86(d,J=8.4Hz,2H)、7.45(d,J=8Hz,2H)、6.89(q,J=6.8Hz,1H)、6.81(d,J=2Hz,1H)、4.29(t,J=1.6Hz,1H)、3.39(m,1H)、3.19(m、1H)。
【0130】
6.5.(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(2−ピリジン−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0131】
【化12】

【0132】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.027ml、テトラヒドロフランの1.0M溶液)を、2−ピリジン−4−イル−ベンズアルデヒド(500mg、2.73mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCF)(485μl、3.28mmol)のTHF5ml溶液に0℃で添加した。得られた混合物を室温まで温め、室温で4時間撹拌した。それから、反応混合物を1NのHCl 5mlで処理し、室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発乾固させ、1Mの炭酸ナトリウム水溶液9mlを添加し、水相をクロロホルム(3×10ml)で抽出し、合わせた有機層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリジン−4−イル−フェニル)エタノール300mg(収率43%)を得た。
【0133】
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリジン−4−イル−フェニル)エタノール(100mg、0.40mmol)と、4,6−ジクロロ−ピリミジン(54mg、0.38mmol)と、炭酸セシウム(468mg、1.44mmol)と、1,4−ジオキサン(1ml)の混合物。混合物を110℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却した。酢酸エチル10mlを添加した後、混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリジン−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン110mg(収率76%)を得た。
【0134】
マイクロ波バイアル中で、4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン(30mg、0.082mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(21mg、0.098mmol)、アセトニトリル(actonitrile)1ml、及び水0.7mlを共に混合した。それから、1Nの炭酸ナトリウム水溶液0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を混合物に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、分取LCで精製し、(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(2−ピリジン−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸19mgを得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ(ppm)8.94(d,J=6Hz,2H)、8.79(d,J=1.2Hz,1H)、8.15(m,4H)、7.84(t,J=5.2Hz,1H)、7.62(m,3H)、7.46(m,3H)、6.66(q,J=6.4Hz,1H)、4.31(q,J=6Hz,1H)、3.41(m,1H)、3.26(m,1H)。
【0135】
6.6.(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(2−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0136】
【化13】

【0137】
マイクロ波バイアル中で、3−ブロモ−4−メチル−チオフェン(653mg、3.69mmol)、2−ホルミルフェニルボロン酸(500mg、3.36mmol)及びアセトニトリル(actonitrile)7mlを共に混合した。1Nの炭酸ナトリウム水溶液6.7ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、酢酸エチル50mlを添加し、有機相を分離して、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、粗生成物を得て、それをISCOのCombiFlashカラムで精製し、2−(4−メチル−チオフェン−3−イル)ベンズアルデヒド530mg(収率78%)を得た。
【0138】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.013ml、テトラヒドロフランの1.0M溶液)を、2−(4−メチルチオフェン−3−イル)−ベンズアルデヒド(260mg、1.29mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCF)(228μl、1.54mmol)のTHF5ml溶液に0℃で添加した。得られた混合物を室温まで温め、室温で4時間撹拌した。それから、反応混合物を1NのHCl 5mlで処理し、室温で一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エタノール340mg(収率97%)を得た。
【0139】
2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エタノール(100mg、0.37mmol)と、2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(54mg、0.33mmol)と、炭酸セシウム(481mg、1.48mmol)と、1,4−ジオキサン(1ml)との混合物を110℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル10mlを添加した。それから、混合物をセライトで濾過し、濾液を濃縮して、4−クロロ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−2−イルアミン100mg(収率76%)を得た。
【0140】
マイクロ波バイアル中で、4−クロロ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−2−イルアミン(30mg、0.075mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(19mg、0.09mmol)、アセトニトリル(actonitrile)1ml、及び水0.7mlを混合した。1Nの炭酸ナトリウム水溶液0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を混合物に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、分取HPLCで精製し、(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(2−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸15.1mgを得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ(ppm)7.94(d,J=8Hz,2H)、7.80(s,1H)、7.50(m,5H)、7.25(m,2H)、7.03(s,1H)、6.94(s,1H)、4.31(t,J=5.6Hz,1H)、3.48(m,1H)、3.26(m,1H)、1.98(s,3H)。
【0141】
6.7.(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(2−(5−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0142】
【化14】

【0143】
マイクロ波バイアル中で、4−ブロモ−2−メチル−チオフェン(653mg、3.69mmol)、2−ホルミルフェニルボロン酸(500mg、3.36mmol)及びアセトニトリル(actonitrile)7mlを混合した。1Nの炭酸ナトリウム水溶液6.7ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、酢酸エチル50mlを添加し、有機層を分離して、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、残渣をISCOで精製し、2−(5−メチル−チオフェン−3−イル)ベンズアルデヒド550mg(収率81%)を得た。
【0144】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.028ml、テトラヒドロフランの1.0M溶液)を、2−(5−メチルチオフェン−3−イル)−ベンズアルデヒド(550mg、1.29mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCF)(483μl、3.27mmol)のTHF10ml溶液に0℃で添加した。得られた混合物を室温まで温め、室温で4時間撹拌した。それから、反応混合物を1NのHCl 10mlで処理し、室温で一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(5−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エタノール650mg(収率87%)を得た。
【0145】
2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(5−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エタノール(100mg、0.37mmol)と、2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(54mg、0.33mmol)と、炭酸セシウム(481mg、1.48mmol)と、1,4−ジオキサン(2ml)との混合物を110℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル10mlを添加した。それから、混合物をセライトで濾過し、濾液を濃縮して、4−クロロ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(5−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−2−イルアミン90mg(収率68%)を得た。
【0146】
マイクロ波バイアル中で、4−クロロ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(5−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−2−イルアミン(30mg、0.075mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(19mg、0.09mmol)、アセトニトリル(actonitrile)1ml、及び水0.7mlを混合した。1Nの炭酸ナトリウム水溶液0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を混合物に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、分取LCで精製し、(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(2−(5−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸10.1mgを得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ(ppm)7.83(d,J=8.4Hz,2H)、7.63(d,J=7.2Hz,1H)、7.34(m,4H)、7.26(m,1H)、7.12(d,J=1.2Hz,1H)、6.92(q,J=6.8Hz,1H)、6.82(d,J=1.2Hz,1H)、6.64(s,1H)、4.21(t,J=5.6Hz,1H)、3.29(m,1H)、3.20(m,1H)、2.47(s,3H)。
【0147】
6.8.(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フラン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0148】
【化15】

【0149】
マイクロ波バイアル中で、3−ブロモ−フラン(590mg、4.02mmol)、4−ホルミルフェニルボロン酸(600mg、4.02mmol)及びアセトニトリル(actonitrile)7mlを混合した。それから、1Nの炭酸ナトリウム水溶液8ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を混合物に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で7分間加熱した。冷却後、酢酸エチル50mlを添加し、有機層を分離して、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、粗生成物を得て、それをISCOで精製し、4−フラン−3−イル−ベンズアルデヒド410mg(収率60%)を得た。
【0150】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.024ml、テトラヒドロフランの1.0M溶液)を、4−フラン−3−イル−ベンズアルデヒド(410mg、2.38mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCF)(423μl、2.86mmol)のTHF5ml溶液に0℃で添加した。得られた混合物を室温まで温め、室温で4時間撹拌した。それから、反応混合物を1NのHCl 5mlで処理し、室温で一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フラン−3−イル−フェニル)−エタノール480mg(収率83%)を得た。
【0151】
2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フラン−3−イル−フェニル)−エタノール(100mg、0.4mmol)と、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(60mg、0.36mmol)と、炭酸セシウム(468mg、1.44mmol)と、1,4−ジオキサン(1ml)との混合物を110℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル10mlを添加した。それから、混合物をセライトで濾過し、濾液を濃縮して、4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フラン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン110mg(収率72%)を得た。
【0152】
マイクロ波バイアル中で、4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フラン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(30mg、0.081mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(20mg、0.098mmol)、アセトニトリル(actonitrile)1ml、及び水0.7mlを混合した。それから、1Nの炭酸ナトリウム水溶液0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を混合物に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、分取LCで精製し、(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フラン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸7.2mgを得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ(ppm)7.96(m,3H)、7.61(m,5H)、6.81(s,1H)、6.77(d,J=6.8Hz,1H)、6.74(d,J=4.8Hz,1H)、4.27(q,J=5.6Hz,1H)、3.36(m,1H)、3.21(m,1H)。
【0153】
6.9.(S)−2−アミノ−3−[4−{2−アミノ−6−{1−[2−(5−ジメチルアミノメチル−フラン−2−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0154】
【化16】

【0155】
ソディウムトリアセトキシボロヒドリド(844mg、4mmol)を、5−ブロモ−フラン−2−カルバルデヒド(350mg、2mmol)及びジメチルアミン(2ml、2MのTHF溶液)の1,2−ジクロロエタン(DCE)10ml溶液に添加した。それから、HOAc 0.2mlを添加した。混合物を室温で一晩撹拌した後、DCE 15mlを添加した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータ(rotovap)で除去し、(5−ブロモ−フラン−2−イルメチル)−ジメチル−アミン400mg(収率97%)を得た。
【0156】
マイクロ波バイアル中で、(5−ブロモ−フラン−2−イルメチル)−ジメチル−アミン(385mg、1.88mmol)、2−ホルミルフェニルボロン酸(288mg、1.93mmol)及びアセトニトリル(actonitrile)3.7mlを混合した。それから、1Nの炭酸ナトリウム水溶液3.7ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を混合物に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、1NのHCl 20mlを添加した。混合物を酢酸エチル(3×10ml)で抽出し、酢酸エチル層を廃棄した。1NのNaOH溶液を水相に添加してpHを10に調整した後、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、2−(4−ジメチルアミノメチル−シクロペンタ−1,3−ジエニル)−ベンズアルデヒド300mg(収率69%)を得た。
【0157】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.013ml、テトラヒドロフランの1.0M溶液)を、2−(4−ジメチルアミノメチル−シクロペンタ−1,3−ジエニル)−ベンズアルデヒド(287mg、1.25)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCF)(222μl、1.5mmol)のTHF5ml溶液に0℃で添加した。得られた混合物を室温まで温め、室温で4時間撹拌した。それから、反応混合物を1NのHCl 5mlで処理し、室温で一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、1−[2−(5−ジメチルアミノメチル−フラン−2−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール250mg(収率66%)を得た。
【0158】
1−[2−(5−ジメチルアミノメチル−フラン−2−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(225mg、0.75mmol)と、2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(111mg、0.67mmol)と、炭酸セシウム(978mg、3.01mmol)と、1,4−ジオキサン(3ml)との混合物を110℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル10mlを添加した。それから、混合物をセライトで濾過し、濾液を濃縮して、4−クロロ−6−{1−[2−(5−ジメチルアミノメチル−フラン−2−イル)−フェニル]2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−2−イルアミン110mg(収率87%)を得た。
【0159】
マイクロ波バイアル中で、4−クロロ−6−{1−[2−(5−ジメチルアミノメチル−フラン−2−イル)−フェニル]2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−2−イルアミン(37mg、0.087mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(22mg、0.10mmol)、アセトニトリル(actonitrile)1ml、及び水0.7mlを混合した。それから、1Nの炭酸ナトリウム水溶液0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、分取LCで精製し、(S)−2−アミノ−3−[4−{2−アミノ−6−{1−[2−(5−ジメチルアミノメチル−フラン−2−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸16mgを得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ(ppm)7.88(d,J=8.4Hz,2H)、7.71(d,J=7.6Hz,1H)、7.62(d,J=7.6Hz,1H)、7.42(m,2H)、7.40(d,J=1.6Hz,2H)、7.34(d,J=8.4Hz,1H)、6.89(q,J=3.6Hz,2H)、6.66(s,1H)、4.54(s,2H)、4.20(q,J=6Hz,1H)、3.3(m,1H)、3.14(m,1H)、2.84(s,6H)。
【0160】
6.10.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[2−(6−シアノ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0161】
【化17】

【0162】
マイクロ波バイアル中で、5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン−2−カルボニトリル(279mg、1.51mmol)、2−ブロモ−ベンズアルデヒド(230mg、1mmol)及びアセトニトリル(actonitrile)2mlを混合した。それから、1Nの炭酸ナトリウム水溶液2ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を100℃で10分間加熱した。冷却後、酢酸エチル50mlを添加し、有機層を分離して、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、粗生成物を得て、それをISCOで精製し、5−(2−ホルミル−フェニル)−ピリジン−2−カルボニトリル150mg(収率72%)を得た。
【0163】
フッ化テトラブチルアンモニウム(5.3μl、テトラヒドロフランの1.0M溶液)を、5−(2−ホルミル−フェニル)−ピリジン−2−カルボニトリル(110mg、0.53mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(120μl、0.81mmol)のTHF溶液5mlに0℃で添加した。得られた混合物を室温まで温め、室温で4時間撹拌した。それから、反応混合物を1NのHCl 5mlで処理し、室温で一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−エチル)−フェニル]−ピリジン−2−カルボニトリル140mg(収率95%)を得た。
【0164】
5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−エチル)−フェニル]−ピリジン−2−カルボニトリル(46mg、0.165mmol)と、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(59mg、0.15mmol)と、炭酸セシウム(195mg、0.6mmol)と、1,4−ジオキサン(1ml)との混合物を110℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、水5mlに注いだ。1NのHClを添加してpHを4.5に調整し、水相を酢酸エチル(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、粗(S)−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[2−(6−シアノピリジン−3−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸80mg(収率84%)を得た。
【0165】
(S)−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[2−(6−シアノピリジン−3−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸80mgを、30%トリフルオロ酢酸のジクロロメタン(5ml)溶液に溶解した。混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を分取HPLCで精製し、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[2−(6−シアノ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸12.6mgを得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ(ppm)8.86(m,1H)、8.17(d,J=2Hz,1H)、8.15(d,J=2Hz,1H)、7.96(m,2H)、7.59(m,1H)、7.36(m,3H)、6.7(s,1H)、6.65(d,J=6.8Hz,1H)、4.25(m,1H)、3.47(m,1H)、3.23(m,1H)。
【0166】
6.11.(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0167】
【化18】

【0168】
THF(8ml)中の2−イミダゾール−1−イル−ベンズアルデヒド(0.344g、2mmol)に、トリフルオロメチルトリメチルシラン(0.341g、2.4mmol)を添加した。反応混合物を0℃〜5℃に冷却して(氷水浴)、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.035ml、0.035mmol、THF中1M)を添加した。氷浴から取り出し、混合物を室温で6時間撹拌した。2NのHCl(5ml)を添加し、反応混合物を室温で3時間さらに撹拌した。減圧下で溶媒をロータリーエバポレータ(rotavap)で除去した。粗残渣をDCM(30ml)に溶解し、水(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、粗2,2,2−トリフルオロ−1−(2−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エタノール(0.45g、93%)を得て、それを次の工程に直接使用した。
【0169】
2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.107g、0.65mmol)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エタノール(0.157g、0.65mmol)、及びNaH(0.03g、0.78mmol)を窒素下で無水THF(10ml)に添加した。反応物を40℃〜45℃で6時間撹拌した後、室温に冷却し、水(0.2ml)で反応停止した。反応混合物を濃縮して、粗4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(0.24g、LCMSで純度90%超)を得て、それを以下の工程に直接使用した。
【0170】
上記の粗中間体(0.24g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.140g、0.67mmol)、炭酸ナトリウム(0.14g、1.32mmol)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(15mg、0.021mmol)を、マイクロ波バイアル中のMeCN(2.0ml)とHO(2.0ml)との混合物に溶解した。反応混合物に封をし、150℃で6分間、マイクロ波リアクタ中で反応混合物を撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを使用した分取HPLCで精製して、TFA塩として(S)−2−アミノ−3−(4−[2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル]−フェニル)−プロピオン酸を得た。LCMS:M+1=499。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)3.20〜3.41(m,2H)、4.30(t,1H)、6.61(m,1H)、6.88(s,1H)、7.48(d,2H)、7.69(d,1H)、7.72〜7.81(m,2H)、7.83(m,1H)、7.98(m,3H)、8.02(m,1H)、9.40(m,1H)。
【0171】
6.12.(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピラゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0172】
【化19】

【0173】
THF(8ml)中の2−ピラゾール−1−イル−ベンズアルデヒド(0.344g、2mmol)に、トリフルオロメチルトリメチルシラン(0.341g、2.4mmol)を添加した。混合物を0〜5℃に冷却して(氷水浴)、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.035ml、0.035mmol、THF中1M)を添加した。氷浴から取り出し、混合物を室温で6時間撹拌した。2NのHCl(5ml)を添加し、反応混合物を室温で3時間さらに撹拌した。減圧下で溶媒をロータリーエバポレータで除去した。残渣をDCM(30ml)に溶解し、水(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空除去し、粗2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピラゾール−1−イル−フェニル)−エタノール(0.45g、93%)を得て、それを以下の実験に直接使用した。
【0174】
4,6−ジクロロピリミジン(0.082g、0.55mmol)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピラゾール−1−イル−フェニル)−エタノール(0.121g、0.50mmol)、NaH(0.03g、0.78mmol)を窒素雰囲気下で無水THF(10ml)に添加した。反応物を40〜45℃で6時間撹拌した後、室温に冷却し、水(0.2ml)で反応停止した。反応混合物を濃縮して、粗4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピラゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン(0.20g、LCMSで純度90%超)を得て、それを以下の工程に直接使用した。
【0175】
粗中間体(0.20g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.105g、0.50mmol)、炭酸ナトリウム(0.105g、1mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(15mg、0.021mmol)を、マイクロ波バイアル中のMeCN(2.0ml)とHO(2.0ml)との混合物に溶解した。バイアルに封をし、反応混合物を150℃で6分間、マイクロ波リアクタ中で加熱した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をMeOH及びHO(1:1)に溶解した後、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを使用した分取HPLCで精製して、TFA塩として(S)−2−アミノ−3−(4−[6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピラゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル]−フェニル−プロピオン酸を得た。LCMS:M+1=484。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)3.20〜3.40(m,2H)、4.30(t,1H)、6.63(s,1H)、7.10(m,1H)、7.50(m,3H)、7.60(m,3H)、7.84(m,2H)、8.16(m,3H)、8.68(s,1H)。
【0176】
6.13.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0177】
【化20】

【0178】
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ヨード−フェニル)−エタノール(0.331g、1.1mmol)、3−トリフルオロメチルピラゾール(0.136g、1.0mmol)、CuI(0.019g、0.1mmol)、KCO(0.290g、2.1mmol)、(1R,2R)−N,N'−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.028g、0.2mmol)及びトルエン(10ml)を、20ml容の圧力管中で混合した。混合物を130℃(油浴温度)で12時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、HO(2×20ml)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを溶媒としてヘキサン中の5%〜10%酢酸エチルを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで精製し、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エタノール140mgを得た。
【0179】
2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.074g、0.45mmol)、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エタノール(0.140g、0.45mmol)、及びNaH(0.022g、0.59mmol)を窒素雰囲気下で無水THF(10ml)に添加した。反応物を40〜45℃で6時間撹拌した後、室温に冷却し、水(0.2ml)で反応停止した。反応混合物を濃縮して、粗4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル)フェニル]−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(0.21g、LCMSで純度90%超)を得て、それを次の工程に直接使用した。
【0180】
粗中間体(0.21g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.1g、0.48mmol)、炭酸ナトリウム(0.1g、0.94mmol)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(15mg、0.021mmol)を、マイクロ波バイアル中のMeCN(2.0ml)とHO(2.0ml)との混合物に溶解した。バイアルに封をし、反応混合物を150℃で6分間、マイクロ波リアクタ中で加熱した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物を得て、それをMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを使用した分取HPLCで精製して、TFA塩として(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−(3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル]−フェニル−プロピオン酸を得た。LCMS:M+1=567。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)3.2(m,1H)、3.35(m,1H)、4.30(t,1H)、6.80(s,1H)、6.85(m,1H)、6.98(d,1H)、7.45(d,2H)、7.59(m,1H)、7.68(m,2H)、7.88(m,1H)、7.95(d,2H)、8.20(1H)。
【0181】
6.14.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0182】
【化21】

【0183】
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ヨード−フェニル)−エタノール(0.331g、1.1mmol)、3,5−ジメチルピラゾール(0.096g、1.0mmol)、CuI(0.019g、0.1mmol)、KCO(0.290g、2.1mmol)、(1R,2R)−N,N'−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.028g、0.2mmol)及びトルエン(10ml)を、20ml容の圧力管中で混合し、混合物を130℃(油浴温度)で12時間加熱した。混合物を酢酸エチルで希釈し、HO(2×20ml)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを溶媒としてヘキサン中の5%〜10%酢酸エチルを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで精製し、1−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(120mg)を得た。
【0184】
2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.074g、0.45mmol)、1−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(0.120g、0.45mmol)、NaH(0.022g、0.59mmol)を窒素雰囲気下で無水THF(10ml)に添加した。反応物を40〜45℃で6時間撹拌した後、室温に冷却し、水(0.2ml)で反応停止した。反応混合物を濃縮して、粗4−クロロ−6−{1−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(0.195g、LCMSで純度90%超)を得て、それを以下の工程に直接使用した。
【0185】
粗中間体(0.195g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.10g、0.48mmol)、炭酸ナトリウム(0.10g、0.95mmol)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(15mg、0.021mmol)を、マイクロ波バイアル中のMeCN(2.0ml)とHO(2.0ml)との混合物に溶解した。バイアルに封をし、反応混合物を150℃で6分間、マイクロ波リアクタ中で加熱した。混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物を得て、それをMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを使用した分取HPLCで精製して、TFA塩として(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−[1−(2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸を得た。LCMS:M+1=527。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)4.32(t,1H)、3.39(m,1H)、3.25(m,1H)、2.30(s,3H)、2.10(s,3H)、7.92(m,3H)、7.68(m,2H)、7.50(d,2H)、7.42(m,1H)、6.92(m,1H)、6.89(s,1H)、6.17(s,1H)。
【0186】
6.15.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−フェニル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0187】
【化22】

【0188】
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ヨード−フェニル)−エタノール(0.331g、1.1mmol)、3−フェニルピラゾール(0.144g、1.0mmol)、CuI(0.019g、0.1mmol)、KCO(0.290g、2.1mmol)、(1R,2R)−N,N'−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.028g、0.2mmol)及びトルエン(10ml)を、20ml容の圧力管中に取って、混合物を130℃(油浴温度)で12時間加熱した。混合物を酢酸エチルで希釈し、HO(2×20ml)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを溶媒としてヘキサン中の5%〜10%酢酸エチルを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで精製し、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−フェニル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エタノール(75mg)を得た。
【0189】
2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.041g、0.25mmol)、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−フェニル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エタノール(0.070g、0.22mmol)、及びNaH(0.012g、0.31mmol)を窒素雰囲気下で無水THF(7ml)に添加した。反応物を40〜45℃で6時間撹拌した後、室温に冷却し、水(0.04ml)で反応停止した。反応混合物を濃縮して、粗4−クロロ−6−{2,2,2−トリフルオロ(trfluoro)−1−[2−(3−フェニル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(0.110g、LCMSで純度90%超)を得て、それを以下の工程に直接使用した。
【0190】
粗中間体(0.110g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.050g、0.24mmol)、炭酸ナトリウム(0.050g、0.48mmol)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(8mg、0.010mmol)を、マイクロ波バイアル中のMeCN(2.0ml)とHO(2.0ml)との混合物に溶解した。バイアルに封をし、反応混合物を150℃で6分間、マイクロ波リアクタ中で加熱した。混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物を得て、それをMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを使用した分取HPLCで精製して、TFA塩として(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−フェニル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸を得た。LCMS:M+1=575。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)3.20(m,1H)、3.38(m,1H)、4.30(t,1H)、6.80(s,1H)、7.00(s,1H)、7.30〜7.48(m,7H)、7.62(m,3H)、7.90(m,4H)、8.10(s,1H)。
【0191】
6.16.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[5−メトキシ−2−(4−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0192】
【化23】

【0193】
1−(2−ブロモ−5−メトキシ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(0.570g、2.0mmol)、4−メチルピラゾール(0.164g、2.0mmol)、CuI(0.057g、0.3mmol)、KCO(0.580g、4.2mmol)、(1R,2R)−N,N'−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.071g、0.5mmol)及びトルエン(10ml)を、20ml容の圧力管中で混合し、混合物を130℃(油浴温度)で12時間加熱した。混合物を酢酸エチルで希釈し、HO(2×20ml)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを溶媒としてヘキサン中の5%〜10%酢酸エチルを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで精製し、2,2,2−トリフルオロ−1−[5−メトキシ−2−(4−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エタノール(90mg)を得た。
【0194】
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−メトキシ−2−(4−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エタノール(0.090g、0.31mmol)、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(0.122g、0.31mmol)、1,4−ジオキサン(2ml)、CsCO(0.503g、1.55mmol)をマイクロ波バイアル中で混合し、180℃で45分間加熱した。混合物を濾過及び濃縮した。残渣に、DCM(50ml)中の5%メタノールを添加した。混合物を濾過した。濾液を濃縮して粗生成物を得て、それをDCM(30ml)中の20%TFAに入れ、室温で30分間撹拌した。LCMSによって、所望の生成物との反応が完了したことが示された。反応混合物を濃縮して粗生成物を得て、それをMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを使用した分取HPLCで精製して、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[5−メトキシ−2−(4−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ]−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸を得た。
【0195】
LCMS:M+1=543。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)2.20(s,3H)、3.22(m,1H)、3.40(m,1H)、3.84(s,3H)、4.35(t,1H)、6.84(s,1H)、6.98(m,1H)、7.18(m,1H)、7.26(m,1H)、7.40(d,1H)、7.48(d,2H)、7.66(d,2H)、7.96(d,2H)。
【0196】
6.17.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0197】
【化24】

【0198】
R−1−(2−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(1.53g、6mmol)、3−メチルピラゾール(0.492g、6mmol)、CuI(0.456g、2.4mmol)、KCO(2.07g、15mmol)、(1R,2R)−N,N'−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.170g、1.2mmol)及びトルエン(10ml)を、20ml容の圧力管中で混合し、混合物を130℃(油浴温度)で12時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、HO(2×20ml)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを溶媒としてヘキサン中の5%〜10%酢酸エチルを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで精製し、R−2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エタノール(1.8g)を得た。
【0199】
2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(1.2g、7.4mmol)、R−2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エタノール(1.8g、7.03mmol)、及びNaH(0.380g、10mmol)を窒素雰囲気下で無水THF(40ml)に添加した。反応物を40〜45℃で6時間撹拌した後、室温に冷却し、水(0.1ml)で反応停止した。反応混合物を濃縮して、4−クロロ−6−{R−2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(3.0g、LCMSで純度90%超)を得て、それを以下の工程に直接使用した。
【0200】
粗中間体(0.750g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.420g、2.0mmol)、炭酸ナトリウム(0.430g、4.0mmol)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(30mg、0.043mmol)を、マイクロ波バイアル中のMeCN(7.0ml)とHO(7.0ml)との混合物に溶解した。バイアルに封をし、反応混合物を150℃で7分間、マイクロ波リアクタ中で加熱した。混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物を得て、それをMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを使用した分取HPLCで精製して、TFA塩として(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{R−2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸を得た。LCMS:M+1=514。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)2.40(s,3H)、3.30(m,1H)、3.42(m,1H)、4.38(t,1H)、6.21(s,1H)、7.02(s,1H)、7.18(m,1H)、7.54(d,1H)、7.61(m,4H)、7.82(m,2H)、7.97(d,2H)。
【0201】
6.18.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0202】
【化25】

【0203】
1−(4−クロロ−2−ヨード−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(0.840g、2.5mmol)、3−メチルピラゾール(0.230g、2.8mmol)、CuI(0.190g、1.0mmol)、KCO(0.863g、6.25mmol)、(1R,2R)−N,N'−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.071g、0.5mmol)及びトルエン(10ml)を、20ml容の圧力管中で混合し、混合物を130℃(油浴温度)で12時間加熱した。混合物を酢酸エチルで希釈し、HO(2×20ml)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを溶媒としてヘキサン中の5%〜10%酢酸エチルを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで精製し、1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(240mg)を得た。
【0204】
1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(0.120g、0.41mmol)、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(0.176g、0.45mmol)、1,4−ジオキサン(4ml)、及びCsCO(0.533g、1.64mmol)を20ml容の封止管中で混合し、混合物を100℃で12時間加熱した。混合物を濃縮した。残渣に、DCM(50ml)中の10%メタノールを添加し、混合物を濾過した。濾液を濃縮して粗生成物を得て、それをTHF/3NのHCl(30ml/15ml)に入れ、得られた混合物を40〜45℃で12時間撹拌した。LCMSによって、所望の生成物との反応が完了したことが示された。混合物を濃縮して粗生成物を得て、それをMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを使用した分取HPLCで精製して、TFA塩として(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸を得た。LCMS:M+1=547。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)2.30(s,3H)、3.10〜3.30(m,2H)、4.20(t,1H)、6.32(d,1H)、6.74(s,1H)、7.0(q,1H)、7.38(d,2H)、7.50(m,2H)、7.72(m,1H)、7.90(m,3H)。
【0205】
6.19.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸エチルエステルの合成
【0206】
【化26】

【0207】
下記のように、表題の化合物を段階的に調製した:
【0208】
工程1:1−(2−ブロモ−4−クロロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノンの合成。無水メタノール(300ml)の入った500ml容の二ツ口RBフラスコに、塩化チオニル(29.2ml、400mmol)を10分にわたって0℃〜50℃(氷水浴)で滴下した。氷水浴から取り出し、2−ブロモ−4−クロロ−安息香酸(25g、106mmol)を添加した。混合物を加熱し、12時間緩やかに還流した。反応の進行をTLC及びLCMSでモニタリングした。反応が完了した後、反応混合物を濃縮した。粗生成物をジクロロメタン(DCM、250ml)に溶解し、水(50ml)、飽和NaHCO水溶液(50ml)、ブライン(50ml)で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、2−ブロモ−4−クロロ−安息香酸メチルエステル(26g、99%)を得て、それを以下の工程で直接使用した。
【0209】
トルエン(200ml)中の2−ブロモ−4−クロロ−安息香酸メチルエステル(12.4g、50mmol)を−70℃に冷却し、トリフルオロメチルトリメチルシラン(13ml、70mmol)を添加した。フッ化テトラブチルアンモニウム(Tetrabutylamonium fluoride)(1M、2.5ml)を滴下し、4時間かけて混合物を室温まで温め、その後室温で10時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、粗[1−(2−ブロモ−4−クロロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシ−エトキシ]−トリメチル−シランを得た。粗中間体をメタノール(100ml)に溶解し、6NのHCl(100ml)を添加した。混合物を12時間45〜50℃に維持した。メタノールを除去し、粗生成物をジクロロメタン(200ml)で抽出した。合わせたDCM層を水(50ml)、NaHCO(50ml)、ブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを溶媒としてヘキサン中の1〜2%酢酸エチルを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで精製し、1−(2−ブロモ−4−クロロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノン(10g、70%)を得た。H−NMR(300MHz、CDCl):δ(ppm)7.50(d,1H)、7.65(d,1H)、7.80(s,1H)。
【0210】
工程2:R−1−(2−ブロモ−4−クロロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノールの合成。窒素下で2L容の三ツ口RBフラスコ中のカテコールボラン(THF中1M 280ml、280mmol)に、S−2−メチル−CBSオキサザボロリジン(7.76g、28mmol)を添加し、得られた混合物を室温で20分間撹拌した。反応混合物を−78℃(ドライアイス/アセトン浴)に冷却し、THF(400ml)中の1−(2−ブロモ−4−クロロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノン(40g、139mmol)を2時間かけて滴下した。反応混合物を−36℃まで温め、この温度で24時間撹拌して、さらに−32℃でもう24時間撹拌した。3NのNaOH(250ml)を添加し、冷浴を氷水浴に取り換えた。それから、30%過酸化水素の水溶液(250ml)を30分かけて滴下した。氷水浴から取り出し、混合物を室温で4時間撹拌した。有機層を分離し、濃縮して、エーテル(200ml)に再び溶解させた。水層をエーテル(2×200ml)で抽出した。合わせた有機層を1NのNaOH水溶液(4×100ml)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを溶媒としてヘキサン中の2%〜5%酢酸エチルを使用したカラムクロマトグラフィで精製し、所望のアルコール36.2g(90%、鏡像体過剰率(e.e.)95%超)を得た。ヘキサン(80ml)からアルコール(36.2g)を結晶化させて、R−1−(2−ブロモ−4−クロロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール28.2g(70%、鏡像体過剰率99%〜100%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)5.48(m,1H)、7.40(d,1H)、7.61(d,2H)。
【0211】
工程3:R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノールの合成。R−1−(2−ブロモ−4−クロロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(15.65g、54.06mmol)、3−メチルピラゾール(5.33g、65mmol)、CuI(2.06g、10.8mmol)、KCO(15.7g、113.5mmol)、(1R,2R)−N,N'−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.54g、10.8mmol)及びトルエン(80ml)を、250ml容の圧力管中で混合し、130℃(油浴温度)で12時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、HO(4×100ml)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを溶媒としてヘキサン中の5%〜10%酢酸エチルを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで精製し、R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(13.5g、86%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)2.30(s,3H)、4.90(m,1H)、6.20(s,1H)、6.84(d,1H)、7.20(s,1H)、7.30(d,1H)、7.50(d,1H)。
【0212】
工程4:(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル}−プロピオン酸エチルエステルの合成。R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(17.78g、61.17mmol)、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(20.03g、51mmol)、1,4−ジオキサン(250ml)、及びCsCO(79.5g、244mmol)を500ml容の三ツ口RBフラスコ中で混合し、12時間〜24時間100℃(油浴温度)に加熱した。反応の進行をLCMSでモニタリングした。反応が完了した後、混合物を60℃に冷却し、水(250ml)及びTHF(400ml)を添加した。有機層を分離し、ブライン(150ml)で洗浄した。溶媒を除去して、粗BOC保護生成物を得て、それをTHF(400ml)、3NのHCl(200ml)中に入れた。混合物を35℃〜40℃で12時間加熱した。THFを真空下で除去した。残りの水層を酢酸イソプロピル(2×100ml)で抽出し、別々に濃縮して、未反応のアルコール(3.5g)を回収した。真空下で微量の残った有機溶媒を水性画分から除去した。
【0213】
温度調節器及びpHメーターを備えた1L容のビーカーに、HPO(40ml、85%水溶液)及び水(300ml)、それから50%NaOH水溶液を添加し、pHを6.15に調整した。温度を58℃に上げ、pHを6.1〜6.3に維持するように、50%NaOH水溶液を同時に添加しながら、上記の酸性水溶液をバッファーに滴下した。添加が完了したら、析出固体を濾過し、温水(50℃〜60℃)(2×200ml)で洗浄し、乾燥させて、粗(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル}−プロピオン酸(26.8g、95%)を得た。LCMS及びHPLC解析によって、化合物の純度が約96%〜97%であったことが示された。
【0214】
無水エタノール(400ml)に、SOCl(22ml、306mmol)を0〜5℃で滴下した。上記反応からの粗酸(26.8g)を添加した。氷水浴から取り出し、反応混合物を40〜45℃で6〜12時間加熱した。反応が完了した後、エタノールを真空下で除去した。残渣に氷水(300ml)を添加し、酢酸イソプロピル(2×100ml)で抽出した。水溶液を飽和NaCOで中和し、pHを6.5に調整した。溶液を酢酸エチル(2×300ml)で抽出した。合わせた酢酸エチル層をブラインで洗浄し、濃縮して、粗エステル24g(HPLC純度 96%〜97%)を得た。それから、溶媒としてDCM中の5%エタノールを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで粗エステルを精製し、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸エチルエステル(20.5g、70%、HPLC純度 98%)を得た。LCMS M+1=575。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)1.10(t,3H)、2.25(s,3H)、2.85(m,2H)、3.65(m,1H)、4.00(q,2H)、6.35(s,1H)、6.60(s,1H)、6.90(m,1H)、7.18(d,2H)、7.45(m,2H)、7.70(d,1H)、7.85(m,3H)。
【0215】
6.20.(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸の合成
【0216】
【化27】

【0217】
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル}−プロピオン酸エチルエステル(22.2g、38.6mmol)をTHF(220ml)及び水(50ml)に溶解した。水酸化リチウム一水和物(5.56g、132mmol)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。THFを除去し、残渣に水(100ml)を添加して、透明な溶液を得た。
【0218】
温度調節器及びpHメーターを備えた1L容のビーカーに、HPO(40ml、85%水溶液)、水(300ml)及び50%NaOH水溶液を添加し、pHを6.15に調整した。温度を58℃に上げ、pHを6.1〜6.2に維持するように、3NのHClを同時に添加しながら、化合物のLi塩水溶液をバッファーに滴下した。添加が完了したら、析出固体を濾過し、温水(50℃〜60℃)(2×200ml)で洗浄し、乾燥させて、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル}−プロピオン酸(19.39g、92%)を得た。LCMS及びHPLC解析によって、化合物の純度が約98%〜99%であったことが示された。LCMS M+1=547。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)2.40(s,3H)、3.22〜3.42(m,2H)、4.38(t,1H)、6.42(s,1H)、7.10(s,1H)、7.21(m,1H)、7.60(m,4H)、7.81(d,1H)、7.92(m,3H)。
【0219】
6.21.(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−チアゾール−2−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0220】
【化28】

【0221】
40ml容のマイクロ波リアクタ中に、2−ホルミルフェニルボロン酸1.04g(6.9mmol)、2−ブロモチアゾール1.14g(6.9mmol)、ビストリフェニル−ホスフィン二塩化パラジウム240mg(Pd(PPhCl、0.34mmol)を添加した。それから、1MのNaCO 13.8ml(13.8mmol)及びCHCN 10mlを混合物に添加した。リアクタに封をし、マイクロ波下で160℃で5分間反応を行った。LCMSによって、所望の生成物との反応が完了したことが示される。それから、反応混合物を分離漏斗に注いだ。次いで、抽出するために塩化メチレン200ml及び水100mlを添加した。塩化メチレン層をMgSOで乾燥させた。溶媒を除去することによって粗生成物を得て、それをヘキサン/酢酸エチル混合物(5/1〜2/1)で溶離したシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、純粋な2−チアゾール−2−イル−ベンズアルデヒド(0.5g、収率:38%)を得た。
【0222】
50ml容の丸底フラスコに、2−チアゾール−2−イル−ベンズアルデヒド184mg(0.97mmol)及び無水テトラヒドロフラン(THF)10mlを添加した。それから、トリフルオロメチルトリメチルシラン145.4mg(1.02mmol)及び1Mのフッ化tert−ブチルアンモニウムのTHF溶液20μl(0.02mmol)を該溶液に添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、その後1NのHCl 10mlを添加し、反応混合物を室温で15分間撹拌した。THFを真空下で除去し、混合物を塩化メチレン(3×50ml)で抽出した。合わせたCHCl層をMgSOで乾燥させた。溶媒を除去することによって、純度が約95%の粗生成物262mgを得て、さらに精製することなく次の工程に使用した。
【0223】
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−チアゾール−2−イル−フェニル)−エタノール(260mg、1mmol)、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(390mg、1mmol)、炭酸セシウム(1.3g、4mmol)及び1,4−ジオキサン10mlを共に50ml容の封止管中で混合した。反応混合物を100℃で3日間加熱した。水(20ml)を添加した後、1NのHCl水溶液をゆっくりと添加し、pHを4に調整し、その後1,4−ジオキサンを真空下で除去して、得られた混合物を塩化メチレン(3×50ml)で抽出した。合わせた塩化メチレン層をMgSOで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、さらに精製することなく次の工程の反応のために採取した。
【0224】
上記の粗生成物を塩化メチレン5mlに溶解し、トリフルオロ酢酸0.4mlを添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。それから、トリフルオロ酢酸を真空下で除去し、粗生成物を得て、それを分取HPLCで精製し、純粋な生成物63mgを得た。HPLC;YMC Pack ODS−A 3×50mm、7um;溶媒A=水、0.1%TFA;溶媒B=メタノール、0.1%TFA。溶媒B 4分で10%〜90%;流速=2ml/分;RT=3分。HPLC純度=100%。LCMS:M+1=515.9。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.06ppm(2H,m);7.92(2H,d,J=8Hz);7.84(1H,m);7.81(1H,m);7.77(1H,d,J=4Hz);7.57(2H,m);7.45(2H,d,J=8Hz);6.84(1H,s);4.30(2H,dd,J=8Hz);3.38(2H,dd,J=12.2Hz);3.23(2H,dd,J=12.8Hz)。
【0225】
6.22.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;(S)−2−アミノ−3−[4−(6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオフェン−2−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;及び(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0226】
【化29】

【0227】
【表1】

【0228】
以下で示される概略的なアプローチを用いて、表題の化合物を調製した:
【0229】
【化30】

【0230】
このアプローチにおいて、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.05当量)を、置換ベンズアルデヒド(1当量)と、トリフルオロメチルトリメチルシラン(1.2当量)とのTHF中の混合物に0℃で添加した。それから、温度を室温まで温めた。混合物を室温で5時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、水、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物としてトリフルオロ−アルコールを得て、さらに精製することなく次の工程に使用した。
【0231】
上記で作製したアルコール(1当量)を無水1,4−ジオキサンに溶解した。水素化ナトリウム(鉱油中60%、1.2当量)を1度に全て添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(1当量)を添加し、得られた混合物を80℃で2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル中で懸濁させて、それを水で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、濃縮して、所望の一塩化生成物を得て、それをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0232】
上記の粗生成物(1当量)を、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(1当量)、NaCO(2当量)、アセトニトリル(2ml)、水(2ml)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0.05当量)の入った5ml容のマイクロ波バイアルに添加した。バイアルに蓋をし、マイクロ波を照射しながら混合物を150℃で5分間加熱した。混合物を冷却し、シリンジフィルタで濾過した後、YMC−Pack ODS 100×30mm IDカラム(MeOH/HO/TFA溶媒系)を使用した逆相分取HPLCで分離した。純粋な画分を混合及び真空下で濃縮した。それから、生成物を水5ml中で懸濁させ、凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸(TFA)塩として生成物を得た。
【0233】
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル}−プロピオン酸。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:3.05〜3.40(m,2H)、3.81(m,1H)、6.64(s,1H)、7.01(d,1H)、7.15〜7.54(m,7H)、7.74(d,1H)、7.94(d,2H)、8.35(m,2H)。
【0234】
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル}−プロピオン酸。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:3.20〜3.41(m,2H)、4.30(m,1H)、6.81(m,2H)、7.17(m,2H)、7.46〜7.69(m,6H)、7.93(d,2H)、8.41(s,2H)。
【0235】
(S)−2−アミノ−3−[4−(6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル}−プロピオン酸。H−NMR(300MHz,CDOD)δ:3.15〜3.35(m,2H)、4.25(t,1H)、6.90(q,1H)、7.25(d,2H)、7.45(d,2H)、7.71(m,3H)、7.99(m,3H)、8.14〜8.18(m,1H)、8.55(d,1H)、8.63(d,1H)、8.84(d,1H)。
【0236】
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオフェン−2−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル}−プロピオン酸。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:3.03〜3.31(m,2H)、4.19(m,1H)、6.68(m,2H)、7.00(m,1H)、7.31〜7.36(m,4H)、7.52(m,2H)、7.62(d,2H)、7.85(d,2H)。
【0237】
(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:3.03〜3.31(m,2H)、4.19(m,1H)、6.88(m,1H)、7.32〜8.63(m,11H)、8.64(s,1H)、9.25(s,1H)。
【0238】
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:3.07〜3.36(m,2H)、4.16(m,1H)、6.65(s,1H)、6.75(m,1H)、7.31(d,2H)、7.69(d,2H)、7.85(m,4H)、8.08(s,1H)、9.03(s,1H)。
【0239】
6.23.(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フルオロ−2−チオフェン−3−イル−フェニル)エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−フルオロ−2−(4−メチル−チオフェン−2−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;及び(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−4−フルオロ−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0240】
【化31】

【0241】
【表2】

【0242】
以下で示される概略的なアプローチを用いて、表題の化合物を調製した:
【0243】
【化32】

【0244】
このアプローチにおいて、ブロモ置換ベンジルアルデヒド(1当量)を、芳香族複素環ボロン酸(1当量)、NaCO(2当量)、アセトニトリル(8ml)/水(8ml)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0.05当量)の入った20ml容のマイクロ波バイアル中に添加した。バイアルに蓋をし、マイクロ波を照射しながら150℃で6分間撹拌した。反応混合物を冷却し、シリンジフィルタで濾過した後、酢酸エチルで希釈した。これを水で洗浄した。それから、シリカゲルを添加し、プラグを作製して、これをヘキサン及び酢酸エチルで溶離するクロマトグラフィで精製した。
【0245】
それから、上記で作製したアルデヒドを、実施例22で上記したのと同じ反応にかけた。
【0246】
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フルオロ−2−チオフェン−3−イル−フェニル)エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:3.08〜3.30(m,2H)、4.19(m,1H)、6.61(s,1H)、6.84(m,1H)、7.02〜7013(m,2H)、7.22(dd,1H)、7.32(d,2H)、7.47(m,1H)、7.77(m,1H)、7.84(d,2H)。
【0247】
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フルオロ−2−(4−メチル−チオフェン−2−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:2.26(s,3H)、3.09〜3.30(m,2H)、4.20(m,1H)、6.64(s,1H)、6.95(m,2H)、7.13(m,3H)、7.34(d,2H)、7.69(m,1H)、7.83(d,2H)。
【0248】
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−4−フルオロ−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸。H−NMR(400MHz,CDOD)δ:1.89〜2.19(m,6H)、2.97〜3.30(m,2H)、3.83(m,1H)、6.55(d,1H)、6.74〜6.87(m,1H)、7.00(m,1H)、7.7.24〜7.33(m,3H)、7.88(m,3H)。
【0249】
6.24.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[5−フルオロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0250】
【化33】

【0251】
2−ブロモ−5−フルオロ−安息香酸メチルエステル(1g、4.292mmol)と、NaBH(0.423g、11.159mmol)と、LiCl(0.474g、11.159mmol)とのTHF/EtOH(20ml/10ml)の混合物を室温で一晩撹拌した。HCl水溶液(10ml、2N)を添加し、約10分間撹拌した。それから、有機溶媒を低真空下で除去した。残渣を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層をNaHCO水溶液(10%)、水及びブラインで洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、濃縮し、白色固体として粗生成物(2−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)メタノール852mg(96.8%粗収率)を得て、それをさらに精製することなく使用した。
【0252】
(2−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)メタノール(0.852g、4.156mmol)のDCM(15ml)溶液に、MnO(4.254g、85%、41.56mmol)を添加した。混合物を室温で2日間撹拌した後、濾過して、DCMで洗浄した。濾液を濃縮して、2−ブロモ−5−フルオロ−ベンズアルデヒド777mg(92%収率)を得た。それから、新たに作製したアルデヒド(0.777g、3.828mmol)を無水THF(10ml)に溶解し、0℃に冷却した。トリフルオロメチルトリメチルシラン(1.13ml、7.656mmol)、その後フッ化テトラブチルアンモニウム(0.020g、0.076mmol)を添加した。それから温度を室温まで温めた。混合物を室温で5時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、水、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物として2−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)2,2,2−トリフルオロ−エタノール1.1g(90%純度)を得て、それをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0253】
2−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)2,2,2−トリフルオロ−エタノール(0.990g、3.263mmol、90%)、3−メチルピラゾール(0.476g、4.895mmol)、CuI(0.367g、1.632mmol)、KCO(1.334g、8.158mmol)、(1R,2R)−N,N'−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.110g、0.653mmol)及びトルエン(10ml)を20ml容のマイクロ波バイアル中で混合した後、これに封をし、180℃で40分間加熱した。混合物を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を水で3回洗浄した後、シリカゲルを添加し、プラグを作製した。溶媒としてヘキサン中の5〜10%酢酸エチルを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで化合物を精製し、1−(5−フルオロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール75mgを得た。H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.29(s,3H)、4.90(m,1H)、6.21(d,1H)、7.07〜7.11(m,1H)、7.19〜7.22(m,1H)、7.29〜7.32(m,1H)、7.51(d,1H)。
【0254】
上記で作製したアルコール(0.075g、0.273mmol)を無水1,4−ジオキサン(3ml)に溶解した。水素化ナトリウム(0.013g、0.328mmol、鉱油中60%)を1度に全て添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(0.045g、0.273mmol)を添加した。混合物を80℃で約2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル中で懸濁させて、それを水で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、濃縮して、所望の一塩化生成物100mg(0.249mmol)を得て、それを4−ボロノ−L−フェニルアラニン(0.052g、0.249mmol)、NaCO(0.053g、0.498mmol)、アセトニトリル(2ml)/水(2ml)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(5mg、0.007mmol)の入った5ml容のマイクロ波バイアル中に添加した。バイアルに蓋をし、マイクロ波を照射しながら150℃で5分間撹拌した。反応混合物を冷却し、シリンジフィルタで濾過した後、YMC−Pack ODS 100×30mm IDカラム(MeOH/HO/TFA溶媒系)を使用した逆相分取HPLCで分離した。真空下で、純粋な画分を濃縮した。それから、生成物を水5ml中で懸濁させ、凍結乾燥して、トリフルオロ塩として(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(R)−1−[5−フルオロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル}−プロピオン酸37mgを得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ2.29(s,3H)、3.08〜3.30(m,2H)、4.19(q,1H)、6.32(d,1H)、6.82(s,1H)、6.85(m,1H)、7.26(m,1H)、7.33(d,2H)、7.42(m,2H)、7.75(d,1H)、7.87(d,2H)。
【0255】
6.25.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[5−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0256】
【化34】

【0257】
R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノールに関して上記したのと同じアプローチを用いて調製したR−1−[5−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノールから表題の化合物を調製した。具体的に、R−1−[5−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(0.959g、3.318mmol)を無水1,4−ジオキサン(8ml)に溶解した。水素化ナトリウム(0.159g、3.982mmol、鉱油中60%)を1度に全て添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(0.544g、3.318mmol)を添加した。混合物を80℃で約2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル中で懸濁させて、それを水で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、濃縮して、所望の一塩化生成物1.38gを得て、それをさらに精製することなく直接使用した。
【0258】
上記で作製した一塩化物(0.460g、1.104mmol)を、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(0.277g、1.325mmol)、NaCO(0.234g、2.208mmol)、アセトニトリル(8ml)/水(8ml)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0.039g、0.055mmol)の入った20ml容のマイクロ波バイアル中に添加した。バイアルに蓋をし、マイクロ波を照射しながら混合物を150℃で10分間撹拌した。混合物を冷却し、シリンジフィルタで濾過した後、YMC−Pack ODS 100×30mm IDカラム(MeOH/HO/TFA溶媒系)を使用した逆相分取HPLCで分離した。真空下で、純粋な画分を濃縮した。それから、生成物を水5ml中で懸濁させ、凍結乾燥して、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{R−1−[5−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル}−プロピオン酸580mgを得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ2.40(s,3H)、3.29〜3.46(m,2H)、4.38(q,1H)、6.45(d,1H)、7.09(s,1H)、7.24(m,1H)、7.53〜7.70(m,4H)、7.82(s,1H)、7.90(d,1H)、7.97(d,2H)。
【0259】
6.26.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0260】
【化35】

【0261】
THF(20ml)中の4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ベンズアルデヒド(500mg、2.64mmol)を0℃に冷却し、トリフルオロメチルトリメチルシラン(375mg、2.64mmol)を添加した。フッ化テトラブチルアンモニウム(1M、0.1ml)を滴下し、混合物を1時間かけて室温まで温め、室温でさらに一晩撹拌した。反応が完了した後、3NのHCl(5ml)を添加し、反応混合物を2時間撹拌した。混合物を濃縮した。水(20ml)を添加し、混合物をEtOAc(2×20ml)で抽出して、NaHCO(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、濃縮し、所望の生成物590mgを得て、それをさらに精製することなく次の工程に使用した(収率86%)。
【0262】
4,6−ジクロロ−ピリミジン−2−イルアミン(700mg、2.69mmol)、NaH(194mg、8.07mmol、60%)及び1−(4−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−エチル)−フェニル)−ピロリジン−2−オン(441mg、2.69mmol)の乾燥THF溶液(10ml)を室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、THFを減圧下で除去した。混合物を0℃に冷却しながら、水(10ml)を添加した。それから、混合物をジクロロメタン(2×40ml)で抽出した。合わせた有機溶液をNaSOで乾燥させた。溶媒を除去することによって、純度92%で所望の生成物498mgを得て、それをさらに精製することなく次の工程に使用した(収量498mg、48%)。
【0263】
マイクロ波用のEmrysプロセスバイアル(20ml)に、1−(4−(2−アミノ−6−クロロ−ピリミジン−4−イルオキシ)−2,2,2−トリフルオロ−エチル)−フェニル)−ピロリジン−2−オン(200mg、0.51mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(108mg、0.51mmol)及びアセトニトリル5mlを投入した。炭酸ナトリウム水溶液(1M)5ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記の溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を7分間160℃に加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させた。残渣をメタノール4mlに溶解した後、分取LCで精製し、生成物153mg(収率58%)を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)2.1(m,2H)、2.5(t,2H)、3.05〜3.4(m,2H)、3.85(t,2H)、4.2(m,1H)、6.6(m,1H)、6.75(s,1H)、7.3(d,2H)、7.5(d,2H)、7.6(d,2H)、7.9(d,2H)。
【0264】
6.27.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−[5−フルオロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0265】
【化36】

【0266】
R−1−(2−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(4.0g、14.65mmol)、3−メチルピラゾール(1.56g、19.04mmol)、CuI(0.557g、2.93mmol)、KCO(4.25g、30.76mmol)、(1R,2R)−N,N'−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.416g、2.93mmol)及びトルエン(15ml)を、50ml容の封止管中に取り、得られた混合物を130℃(油浴温度)で2日間加熱した。混合物を酢酸エチルで希釈し、HO(4×30ml)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを溶媒としてヘキサン中の5〜10%酢酸エチルを使用したISCOのカラムクロマトグラフィで精製し、R−2,2,2−トリフルオロ−1−[5−フルオロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エタノール1.75g(収率:44%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)2.35(s,3H)、5.0(m,1H)、6.3(s,1H)、7.1(m,1H)、7.20(s,1H)、7.35(d,1H)、7.50(s,1H)。
【0267】
4,6−ジクロロ−ピリミジン−2−イルアミン(938mg、5.72mmol)、NaH(188mg、1.5当量、8.17mmol、60%)及びR−2,2,2−トリフルオロ−1−[5−フルオロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エタノール(1.5g、1当量、5.45mmol)の乾燥THF溶液(10ml)を室温で50℃で一晩撹拌した。反応が完了した後、THFを減圧下で除去した。水(10ml)を添加し、反応を停止した。それから、混合物をジクロロメタン(2×40ml)で抽出した。合わせた有機溶液をNaSOで乾燥させた。溶媒を除去することによって、純度92%で所望の生成物を得て、それを精製することなく次の工程に使用した(収率:85%)。
【0268】
マイクロ波用のEmrysプロセスバイアル(20ml)に、クロロ−6−R−2,2,2−トリフルオロ−1−(5−フルオロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル)−エトキシ)−ピリミジン−2−イルアミン(2.18g、5.45mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(1.13g、5.45mmol)、炭酸ナトリウム(1M、10.90ml、2当量)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(191mg、0.27mmol)、アセトニトリル5ml、及びHO 5mlを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら混合物を160℃で10分間加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させた。残渣をHO(10ml)に溶解し、エーテルで抽出した。エーテル層を廃棄した。それから、水層の水の大部分を真空下で除去し、その後メタノール10mlを添加した。粗生成物を分取HPLCで精製し、生成物1.163g(収率75%)を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ(ppm)2.4(s,3H)、3.35(m,1H)、3.5(m,1H)、4.36(m,1H)、6.4(s,1H)、7.0(s,1H)、7.1(m,1H)、7.4(m,1H)、7.55(m,4H)、7.85(s,1H)、8.0(d,2H)。
【0269】
6.28.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0270】
【化37】

【0271】
フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)(0.1ml、THF中1M)を、4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−ベンズアルデヒド(213mg、1mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.2ml、1.2mmol)のTHF10ml溶液に0℃で添加した。混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。それから、反応混合物を1MのHCl 12mlで処理し、一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、1−[4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール0.25gを得て、それを精製することなく次の工程に直接使用した(収率:90%)。
【0272】
CsCO(375mg、1mmol)を、1−[4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(67mg、0.2mmol)の無水1,4−ジオキサン10ml溶液に添加した。混合物を5分間撹拌した後、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(78mg、0.2mmol)を添加し、混合物を110℃で一晩加熱した。冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を使用して、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸112mg(収率:88%)を得た。
【0273】
上記の生成物(112mg)を30%TFA/DCM溶液5mlに添加した。反応が完了したら、溶媒を蒸発し、粗生成物を得て、それを分取HPLCで精製して、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸5mgを得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ(ppm)8.18(d,J=8.4Hz,2H)、7.94(d,J=8.4Hz,2H)、7.74(m,3H)、7.60(d,J=8.4Hz,2H)、7.52(d,J=7.2Hz,1H)、7.08(s,1H)、6.86(m,1H)、6.82(d,J=8.1Hz,1H)、4.37(t,1H)、4.03(s,3H)、3.5(m,2H)。
【0274】
6.29.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−フルオロ−4−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0275】
【化38】

【0276】
TBAF(0.1ml)を、4−ブロモ−2−フルオロ−ベンズアルデヒド(2.03g、10mmol)及びTMSCF(20ml、12mmol)のTHF 10ml溶液に0℃で添加した。得られた混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。それから、反応混合物を3MのHCl 12mlで処理し、一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、1−(4−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール2.4g(収率:90%)を得た。
【0277】
CsCO(8.45g、26mmol)を、1−(4−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(1.4g、5.2mmol)の無水1,4−ジオキサン10ml溶液に添加し、混合物を5分間撹拌した後、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(2.0g、5mmol)を添加し、得られた混合物を110℃で一晩加熱した。冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を使用して、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、(S)−3−(4−{2−アミノ−6−[1−(4−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}フェニル)2tertブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸2.6g(収率:82%)を得た。
【0278】
マイクロ波バイアル(2ml)に、(S)−3−(4−{2−アミノ−6−[1−(4−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(130mg、0.2mmol)、3−メトキシ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン(70mg、0.3mmol)、アセトニトリル1ml及び水0.7mlを加えた。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.4ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)14mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を5分間150℃に加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解して、分取HPLCで精製し、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−フルオロ−4−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸51mgを得た。
【0279】
上記の生成物(51mg)を30%TFA/DCM溶液5mlに溶解した。混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを分取HPLCで精製し、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−フルオロ−4−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸17mgを得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ(ppm):8.73(s,1H)、8.56(s,1H)、8.25(s,1H)、7.94(d,J=8.2Hz,2H)、7.77(m,3H)、7.55(d,J=8.4Hz,2H)、7.16(m,1H)、7.00(s,1H)、4.35(t,1H)、4.09(s,3H)、3.4(m,2H)。
【0280】
6.30.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0281】
【化39】

【0282】
CsCO(16.25g、50mmol)を、(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(2.55g、11.0mmol)の無水1,4−ジオキサン10ml溶液に添加し、混合物を5分間撹拌した後、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(3.92g、10mmol)を添加した。得られた混合物を110℃で一晩加熱した。冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を使用して、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、(S)−3−(4−{2−アミノ−6−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸5.2g(収率:82%)を得た。
【0283】
マイクロ波バイアル(2ml)に、(S)−3−(4−{2−アミノ−6−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(139mg、0.23mmol)、2−フルオロピリジン−4−ボロン酸(40mg、0.27mmol)、アセトニトリル1ml及び水0.7mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.4ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)14mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を5分間150℃に加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解した。生成物を分取HPLCで精製し、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(2−フルオロ−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸70mgを得た。
【0284】
上記の生成物(70mg)をDCM中30%TFA 5mlに溶解した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを分取HPLCで精製して、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸52mgを得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ(ppm)8.17(d,J=5.7Hz,1H)、7.85(d,J=8.4Hz,2H)、7.77(d,J=6.9Hz,2H)、7.67(d,J=8.2Hz,2H)、7.53(m,1H)、7.38(d,J=8.4Hz,2H)、7.30(s,1H)、6.76(m,2H)、4.21(t,1H)、3.2(m,2H)。
【0285】
6.31.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0286】
【化40】

【0287】
マイクロ波バイアル(2ml)に、(S)−3−(4−{2−アミノ−6−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(139mg、0.23mmol)、3−メトキシ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]−ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン(69mg、0.27mmol)、アセトニトリル1ml及び水0.7mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.4ml、その後ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)14mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を5分間150℃に加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解して、分取HPLCで精製し、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(5−メトキシ−ピリミジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸60mgを得た。
【0288】
上記の生成物(60mg)をDCM中30%TFA 5mlに溶解した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを分取HPLCで精製して、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸48mgを得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ(ppm):8.54(d,J=1.5Hz,1H)、8.37(d,J=2.7Hz,1H)、8.03(dd,J=2.7Hz,1.5Hz,1H)、7.84(d,J=8.2Hz,2H)、7.78(d,J=8.4Hz,2H)、7.70(d,J=8.4Hz,2H)、7.41(d,J=8.4Hz,2H)、6.81(s,1H)、6.75(m,1H)、4.22(t,1H)、3.95(t,3H)、3.25(m,2H)。
【0289】
6.32.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0290】
【化41】

【0291】
マイクロ波バイアル(2ml)に、(S)−3−(4−{2−アミノ−6−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(139mg、0.23mmol)、4−トリフルオロメチルピリジン−3−ボロン酸(61mg、0.3mmol)、アセトニトリル1ml及び水0.7mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.4ml、その後ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)14mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を5分間150℃に加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解して、分取HPLCで精製し、(S)−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸20mgを得た。
【0292】
上記の生成物(20mg)をDCM中30%TFA 5mlに溶解した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを分取HPLCで精製して、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸10mgを得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ(ppm):8.72(d,J=5.1Hz,1H)、8.55(s,1H)、7.87(d,J=8.2,2H)、7.72(d,J=5.0Hz,1H)、7.63(d,J=8.2Hz,2H)、7.36(m,4H)、6.81(m,1H)、6.70(s,1H)、4.20(t,1H)、3.22(m,2H)。
【0293】
6.33.(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−(4−イソオキサゾール−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0294】
【化42】

【0295】
マイクロ波バイアル(2ml)に、(S)−3−(4−{2−アミノ−6−[(S)−1−(4−ブロモ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(139mg、0.23mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−イソオキサゾール(57.5mg、0.3mmol)、アセトニトリル1ml及び水0.7mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.4ml、その後ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)14mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を5分間150℃に加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解して、分取HPLCで精製し、(S)−3−(4−{2−アミノ−6−[(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−(4−イソオキサゾール−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸20mgを得た。
【0296】
上記の生成物(20mg)をDCM中30%TFA 5mlに溶解した。混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去することによって、粗生成物を得て、それを分取HPLCで精製して、(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−(4−イソオキサゾール−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸10mgを得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ(ppm)9.03(s,1H)、8.77(s,1H)、7.84(m,2H)、7.63(d,J=8.2Hz,1H)、7.56(d,J=8.4Hz,1H)、7.50(m,1H)、7.37(m,3H)、6.70(m,2H)、4.20(t,1H)、3.22(m,2H)。
【0297】
6.34.(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリミジン−5−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0298】
【化43】

【0299】
マイクロ波バイアル(20ml)に、2−ホルミルフェニルボロン酸(290mg、2.0mmol)、5−ブロモ−ピリミジン(316mg、2.0mmol)、及びアセトニトリル8mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)4ml、その後ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)100mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸発させ、粗物質を得て、それをISCOで精製し、2−ピリミジン−5−イル−ベンズアルデヒド220mgを得た。
【0300】
フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF、0.1ml、THF中1M)を、2−ピリミジン−5−イル−ベンズアルデヒド(184mg、1mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCF、0.2ml、1.2mmol)のTHF10ml溶液に0℃で添加した。混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。それから、混合物を1MのHCl 3mlで処理し、一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリミジン−5−イル−フェニル)−エタノール0.21g(収率:84%)を得て、それを精製することなく次の工程に直接使用した。
【0301】
CsCO(325mg、1.0mmol)を、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリミジン−5−イル−フェニル)−エタノール(72mg、0.28mmol)の無水THF 10ml溶液に添加した。混合物を20分間撹拌し、2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(36.7mg、0.22mmol)を添加した後、反応が完了するまで、反応混合物を110℃で加熱した。室温に冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を使用して、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、粗4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリミジン−5−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン76mg(収率:92%)を得た。
【0302】
マイクロ波バイアル(2ml)に、上記の粗中間体(38mg、0.1mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)、アセトニトリル1ml及び水0.7mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)4mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を5分間150℃に加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、分取HPLCで精製し、(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリミジン−5−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸10mgを得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ(ppm)9.21(s,1H)、8.87(s,2H)、7.86(d,J=8.4Hz,2H)、7.75(m,1H)、7.53(m,2H)、7.37(d,J=8.2Hz,1H)、7.33(m,1H)、6.72(s,1H)、6.58(m,1H)、4.20(t,1H)、3.22(m,2H)。
【0303】
6.35.(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−チオフェン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0304】
【化44】

【0305】
マイクロ波バイアル(20ml)に、2−ホルミルフェニルボロン酸(290mg、2.0mmol)、3−ブロモ−チオフェン(326mg、2.0mmol)、及びアセトニトリル8mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)4ml、その後ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)50mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸発させ、粗物質を得て、それをISCOで精製し、2−チオフェン−3−イル−ベンズアルデヒド211mgを得た。
【0306】
フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF、0.1ml、THF中1M)を、2−チオフェン−3−イル−ベンズアルデヒド(100mg、0.53mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.1ml、0.64mmol)のTHF10ml溶液に0℃で添加した。混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。それから、混合物を1MのHCl 3mlで処理し、一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリミジン−5−イル−フェニル)−エタノール0.12gを得て、それを精製することなく次の工程に直接使用した(収率:89%)。
【0307】
CsCO(325mg、1.0mmol)を、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−チオフェン−3−イル−フェニル)−エタノール(72mg、0.28mmol)の無水THF 10ml溶液に添加し、混合物を20分間撹拌した。それから、2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(36.7mg、0.22mmol)を添加して、反応が完了するまで、反応混合物を110℃で加熱した。冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を使用して、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリミジン−5−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン67mg(収率:78%)を得た。
【0308】
マイクロ波バイアル(2ml)に、上記の粗物質(40mg、0.1mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)、アセトニトリル1ml及び水0.7mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を5分間150℃に加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、分取HPLCで精製し、(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−チオフェン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸11.8mgを得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ(ppm):7.84(d,J=8.0Hz,2H)、7.66(d,J=7.6Hz,1H)、7.53(m,1H)、7.40(m,5H)、7.30(m,1H)、7.17(m,1H)、6.91(m,1H)、6.82(s,1H)、4.23(t,1H)、3.25(m,2H)。
【0309】
6.36.(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸の合成
【0310】
【化45】

【0311】
マイクロ波バイアル(20ml)に、2−ブロモ−ベンズアルデヒド(208mg、1.0mmol)、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(222mg、1.2mmol)、及びアセトニトリル8mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)2.4ml、その後ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)50mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸発させ、粗物質を得て、それをISCOで精製し、2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ベンズアルデヒド181mg(96%収率)を得た。
【0312】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.1ml、THF中1M)を、2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ベンズアルデヒド(100mg、0.53mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(0.12ml、0.6mmol)のTHF 10ml溶液に0℃で添加した。混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。それから、混合物を1MのHCl 3mlで処理し、一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル−フェニル)−エタノール0.12gを得て、それを精製することなく次の工程に直接使用した(収率:89%)。
【0313】
CsCO(325mg、1.0mmol)を、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エタノール(60mg、0.2mmol)の無水THF 10ml溶液に添加し、混合物を20分間撹拌した。2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(32mg、0.2mmol)を添加した後、反応が完了するまで、反応混合物を110℃で加熱した。冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を使用して、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、4−クロロ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−2−イルアミン70mg(収率:92%)を得た。
【0314】
マイクロ波バイアル(2ml)に、上記の粗物質(38mg、0.1mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)、アセトニトリル1ml及び水0.7mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を5分間150℃に加熱した。冷却後、混合物を蒸発乾固させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、分取HPLCで精製し、(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸5.6mgを得た。
【0315】
6.37.(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0316】
【化46】

【0317】
マイクロ波バイアル(20ml)に、2−ホルミルフェニルボロン酸(298mg、2.0mmol)、3−ブロモ−フラン(350mg、2.4mmol)、及びアセトニトリル8mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)4ml、その後ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)100mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸発させ、粗物質を得て、それをISCOで精製し、2−フラン−3−イル−ベンズアルデヒド110mg(30%収率)を得た。
【0318】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.1ml、THF中1M)を、2−フラン−3−イル−ベンズアルデヒド(110mg、0.64mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(109mg、0.78mmol)のTHF 10ml溶液に0℃で添加した。混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。それから、混合物を1MのHCl 3mlで処理し、一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−3−イル−フェニル)−エタノール0.130gを得て、それを精製することなく次の工程に直接使用した(収率:90%)。
【0319】
60%NaH(12mg、0.3mmol)を、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−3−イル−フェニル)−エタノール(54mg、0.2mmol)の無水THF 10ml溶液に添加した。混合物を20分間撹拌した後、4,6−ジクロロ−ピリミジン(30mg、0.2mmol)を添加した。それから反応が完了するまで、混合物を70℃で加熱した。冷却後、水5mlを添加し反応を停止し、酢酸エチル(20ml)を使用して、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン67mg(収率:94%)を得た。
【0320】
マイクロ波バイアル(2ml)に、上記の粗物質(38mg、0.1mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)、アセトニトリル1ml及び水0.7mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を5分間150℃に加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、分取HPLCで精製し、(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸6mgを得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ(ppm):8.82(s,1H)、8.13(d,J=8.4Hz,2H)、7.73(m,2H)、7.46(m,6H)、6.82(m,1H)、6.54(s,1H)、4.20(t,1H)、3.22(m,2H)。
【0321】
6.38.(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−2−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸の合成
【0322】
【化47】

【0323】
マイクロ波バイアル(20ml)に、2−ホルミルフェニルボロン酸(298mg、2.0mmol)、2−ブロモ−フラン(350mg、2.4mmol)、及びアセトニトリル8mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)4ml、その後ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)100mgを添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を150℃で5分間加熱した。冷却後、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸発させ、粗物質を得て、それをISCOで精製し、2−フラン−2−イル−ベンズアルデヒド123mg(34%収率)を得た。
【0324】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.1ml、THF中1M)を、2−フラン−2−イル−ベンズアルデヒド(123mg、0.71mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(120mg、0.86mmol)のTHF 10ml溶液に0℃で添加した。混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。それから、反応混合物を1MのHCl 3mlで処理し、一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−3−イル−フェニル)−エタノール0.150gを得て、それを精製することなく次の工程に直接使用した(収率:90%)。
【0325】
60%NaH(12mg、0.3mmol)を、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−2−イル−フェニル)−エタノール(55mg、0.2mmol)の無水THF 10ml溶液に添加した。混合物を20分間撹拌した後、4,6−ジクロロ−ピリミジン(29mg、0.2mmol)を添加した。それから反応が完了するまで、混合物を110℃で加熱した。冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を使用して、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−2−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン60mg(収率80%)を得た。
【0326】
マイクロ波バイアル(2ml)に、上記の粗物質(60mg、0.2mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(62mg、0.3mmol)、アセトニトリル1ml及び水0.6mlを投入した。この混合物に、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.4ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を添加した。反応容器に封をし、マイクロ波を照射しながら反応容器を5分間150℃に加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発乾固させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解し、分取HPLCで精製して、(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−2−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸6mgを得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ(ppm):8.66(s,1H)、8.11(d,J=8.4Hz,2H)、7.77(m,2H)、7.54(m,6H)、6.86(d,J=3.3Hz,1H)、6.66(m,1H)、4.20(t,1H)、3.22(m,2H)。
【0327】
6.39.付加的な化合物
当該技術分野で既知の方法、及び/又は本明細書中に記載される方法を用いて調製する付加的な化合物を以下に挙げる:
【0328】
【表3】



【0329】
6.40.in vitro阻害アッセイ
ヒトTPH1、TPH2、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)及びフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PH)をそれぞれ以下のアクセッション番号を有する遺伝子を用いて全て生成した:X52836、AY098914、X05290、及びU49897。
【0330】
ヒトTPH1の全長コード配列を細菌発現ベクターpET24(Novagen, Madison, WI, USA)にクローン化した。発現ベクターを内在するBL21(DE3)細胞の単一コロニーを、50mlのLブロス(LB)−カナマイシン培地に接種し、振盪しながら37℃で終夜培養した。それから、培地の半分(25ml)を、1.5%酵母抽出物、2%Bacto Peptone、0.1mMのトリプトファン、0.1mMの硫酸第一鉄アンモニウム、及び50mMのリン酸バッファー(pH7.0)を含有する3Lの培地に移し、酸素を40%で供給し、pHを7.0に維持して、グルコースを添加しながら37℃でOD600が6になるまで培養した。25℃で10時間にわたって15%D−ラクトースでTPH1の発現を誘導した。細胞を遠沈して、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回洗浄した。
【0331】
プテリンとの結合に基づき、アフィニティクロマトグラフィによって、TPH1を精製した。細胞ペレットを、50mMのトリス−Cl(pH7.6)、0.5MのNaCl、0.1%Tween−20、2mMのEDTA、5mMのDTT、プロテアーゼ阻害混合物(Roche Applied Science, Indianapolis, IN, USA)、及び1mMのフッ化フェニルメタンスルホニル(PMSF)を含有する溶解バッファー(100ml/20g)に再懸濁し、細胞をミクロフルイダイザ(microfluidizer)で溶解させた。溶解物を遠心分離し、50mMのトリス(pH8.0)、2MのNaCl、0.1%Tween−20、0.5mMのEDTA、及び2mMのDTTを含有するバッファーで平衡化したプテリン結合セファロース4Bカラムに上清を充填した。カラムをこのバッファー50mlで洗浄し、30mMのNaHCO(pH10.5)、0.5MのNaCl、0.1%Tween−20、0.5mMのEDTA、2mMのDTT、及び10%グリセロールを含有するバッファーでTPH1を溶離した。溶離した酵素を、200mMのKHPO(pH7.0)、0.5MのNaCl、20mMのDTT、0.5mMのEDTA、及び10%グリセロールで迅速に中和して、−80℃で保存した。
【0332】
ヒトのトリプトファンヒドロキシラーゼII型(TPH2)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)及びフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)は、増殖中にTHに対してはチロシン及びPAHに対してはフェニルアラニンを細胞に供給したことを除いて本質的に同じ方法で発現させ精製した。
【0333】
50mMの4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)(pH7.0)、60μMのトリプトファン、100mMの硫酸アンモニウム、100μMの硫酸第一鉄アンモニウム、0.5mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、0.3mMの6−メチルテトラヒドロプテリン、0.05mg/mlのカタラーゼ、及び0.9mMのDTTを含有する反応混合物でTPH1活性及びTPH2活性を測定した。TPH1を7.5nMの最終濃度まで添加することによって、反応を開始させた。360nm(励起波長=300nm)での蛍光の変化に従って、反応の開始速度を求めた。様々な化合物濃度でのこれらの活性を測定することによって、TPH1及びTPH2の阻害を求め、式:
【0334】
【数1】

【0335】
(式中、νは所定の化合物濃度Cでの開始速度であり、Cが0の場合νはνであり、bはバックグラウンドシグナルであり、Dはおよそ1に等しいHill勾配であり、Ic50は最大の酵素活性の半分を阻害する化合物の濃度である)を用いて、所定の化合物の効力を算出した。
【0336】
ヒトのTH活性及びPAH活性は、それぞれL−[3,4−H]−チロシン及びL−[4−H]−フェニルアラニンを用いて生成されたOの量を測定することによって求めた。初めに、酵素(100nM)を0.1mMのその基質と約10分間インキュベートして、50mMのMOPS(pH7.2)、100mMの硫酸アンモニウム、0.05%Tween−20、1.5mMのTCEP、100μMの硫酸第一鉄アンモニウム、0.1mMのチロシン又はフェニルアラニン、0.2mMの6−メチルテトラヒドロプテリン、0.05mg/mlのカタラーゼ、及び2mMのDTTを含有する反応混合物に添加した。反応を10分間〜15分間進行させ、2MのHClを添加することによって停止させた。それから、混合物を活性炭で濾過し、濾液の放射活性をシンチレーション計測によって求めた。このアッセイを用いてTH及びPAHに対する化合物の活性を求め、TPH1及びTPH2と同じ方法で算出した。
【0337】
6.41.細胞ベースの阻害アッセイ
2種類の細胞株をスクリーニングに用いた:RBL2H3は、TPH1を含有し、且つ自発的に5−ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxytrypotamine)(5HT)を生成するラットの肥満細胞腫細胞株であり、BONは、TPH1を含有し、且つ5−ヒドロキシトリプトファン(5HTP)を生成するヒトのカルチノイド細胞株である。CBAを96ウェルプレートフォーマットで行った。HPLCで用いる移動相は、100mMの酢酸ナトリウム(pH3.5)を97%及びアセトニトリルを3%含有していた。WatersのC18カラム(4.6×50mm)をWatersのHPLC(モデル2795)に用いた。多チャンネル蛍光光度計(モデル2475)を用いて、励起波長を280nm、及び発光波長を360nmに設定して、通過液をモニタリングした。
【0338】
RBL CBA:細胞を3〜4時間完全培地(5%ウシ血清含有)で増殖し、細胞をプレートウェル(7K細胞/ウェル)に結合させた。それから、化合物を0.016μM〜11.36μMの濃度範囲でそれぞれのウェルに添加した。対照は、化合物が全く存在しない完全培地中の細胞であった。37℃で3日間のインキュベート後に細胞を採取した。化合物が存在しない細胞の集密度は95%を超えていた。培地をプレートから取り出し、細胞を等量の0.1NのNaOHで溶解した。等量の1MのTCAと混合することによって、細胞溶解物の大部分を処理した後、ガラス繊維で濾過した。5HT濃度を分析するために、濾液を逆相HPLCに充填した。また、細胞溶解物をごくわずか採取して、用いた濃度での化合物の細胞毒性に反映される細胞のタンパク質濃度を測定した。BCA法を用いることによって、タンパク質濃度を測定した。
【0339】
化合物で処理されない細胞における平均5HTレベルを、上記の式に従ったIC50由来の最大値として用いた。5HTの最小値は、0であるか、又は細胞毒性がない最大濃度の化合物で処理した細胞から求められる。
【0340】
BON CBA:等量のDMEM及びF12Kにおいて5%ウシ血清で3〜4時間細胞を増殖して(20K細胞/ウェル)、化合物を0.07μM〜50μMの濃度範囲で添加した。細胞を37℃で一晩インキュベートした。それから、50μMの培養上清を5HTP測定のために採取した。上清を等量の1MのTCAと混合した後、ガラス繊維で濾過した。5HTP濃度測定のために、濾液を逆相HPLCに充填した。PromegaのCelltiter−Glo発光細胞生存率アッセイで残存細胞を処理することによって、細胞生存率を測定した。それから、RBL CBAと同じ方法で化合物の効力を算出した。
【0341】
6.42.in vivo効果
化合物の液剤を調合してそれを経口投与することにより、化合物のin vivo効果を求めた。概して、14週齢の雄C57アルビノマウスに、4日間連続して、胃チューブ(oral gavage)で1日1回5〜10ml/kg投与した。最後の投与の5時間後、迅速に動物を犠牲にした。イソフルランを用いて各動物を麻酔し、1ml容のシリンジ及び25 5/8ニードルを使用する心臓スティック法(cardiac stick method)で採血して、EDTAの入ったcapiject管に血液250μlを入れ、ゆっくりと回転し続けた。それから、動物を断頭し、全脳を採取し、急速凍結して、空腸、回腸及び結腸から脂肪及び内容物を取り除き、急速凍結した。5−HTを血液又は組織から抽出し、インライン蛍光検出器を備えた高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定した。曝露解析のために、血液サンプルを採取した。動物管理使用委員会(The Institutional Animal Care and Use Committee)で認可されたプロトコルを用いて、全ての動物試験を行った。
【0342】
図1は、マウスにおける5−HTレベルに対する本発明の化合物の用量依存的効果を示す。
【0343】
上記で開示した全ての公報(例えば、特許及び特許出願)はその全体が、参照により本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、Aは必要に応じて置換された複素環であり、
各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
は独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
は、水素、C(O)R、C(O)OR、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール若しくは複素環であり、
は、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール若しくは複素環であり、
各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
各Rは独立して、水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、および
mが1〜4である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
式:
【化2】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式:
【化3】

(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、および
nが1〜3である)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式:
【化4】

である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式:
【化5】

(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、および
nが1〜3である)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式:
【化6】

である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式:
【化7】

(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
nが1〜3である)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式:
【化8】

である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式:
【化9】

(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
pが1〜4である)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式:
【化10】

である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
式:
【化11】

(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
qが1〜2である)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式:
【化12】

である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
式:
【化13】

(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
qが1〜2である)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
式:
【化14】

である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式:
【化15】

(式中、各Rは独立して、ハロゲン、水素、C(O)R、OR、NR、S(O)R、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
qが1〜2である)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
式:
【化16】

である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
強力なTPH1阻害剤である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
TPH1_IC50が約1μM未満である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
TPH1_IC50が約0.5μM未満である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
TPH1_IC50が約0.1μM未満である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
TPH1_IC50が約0.05μM未満である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
が芳香族である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
が芳香族ではない、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
を1つ又は複数のハロゲン又は低級アルキルで必要に応じて置換する、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
が水素又はハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
が水素又はハロゲンである、請求項2〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
mが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
mが1である、請求項2〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
が水素又はアミノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
が水素又はアミノである、請求項2〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
が水素又は低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
がC(O)ORであり、且つRがアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
が水素又は低級アルキルである、請求項2〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
がC(O)ORであり、且つRがアルキルである、請求項2〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
が水素又は低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
が水素又は低級アルキルである、請求項2〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
が水素又は低級アルキルである、請求項2〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
がメチルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
nが1である、請求項3〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
pが1である、請求項9又は10に記載の化合物。
【請求項41】
qが1である、請求項11〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物であって、該化合物が、
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(4−ピリジン−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(2−ピリジン−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(2−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ(trifluro)−1−(2−(5−メチル−チオフェン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フラン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−{2−アミノ−6−{1−[2−(5−ジメチルアミノメチル−フラン−2−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[2−(6−シアノ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピラゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−トリフルオロメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−フェニル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[5−メトキシ−2−(4−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−(R−1−[4−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸エチルエステル;
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(4−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−チアゾール−2−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオフェン−2−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フルオロ−2−チオフェン−3−イル−フェニル)エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−フルオロ−2−(4−メチル−チオフェン−2−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{1−[2−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−4−フルオロ−フェニル]−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[5−フルオロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[5−クロロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−[5−フルオロ−2−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−フルオロ−4−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(5−メトキシ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−(4−イソオキサゾール−4−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−ピリミジン−5−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−チオフェン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−{2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エトキシ}−ピリミジン−4−イル)−フェニル]−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−3−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−{6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フラン−2−イル−フェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(ピリジン−3−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(2−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(2−(4−メチルチオフェン−3−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−3−(4−(6−(1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−アミノピリミジン−4−イル)フェニル)−2−アミノプロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(フラン−2−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(2−(ピリジン−3−イルオキシ)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−3−(4−(6−(1−(2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−アミノピリミジン−4−イル)フェニル)−2−アミノプロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(2−(フラン−3−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(フラン−2−イル)−3−メトキシフェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(5−(2,2,2−トリフルオロ−1−(2−(フラン−2−イル)フェニル)エトキシ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−3−(4−(5−(1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピラジン−2−イル)フェニル)−2−アミノプロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(1−(4,5−ジメトキシ−2−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(2−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(2−(5−メチルチオフェン−2−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(1−(2−(5−(ジメチルカルバモイル)フラン−2−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フルオロ−2−(チオフェン−2−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フルオロ−2−(チオフェン−2−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フルオロ−2−(チオフェン−3−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フルオロ−2−(4−メチルチオフェン−2−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(6−フルオロピリジン−3−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−3−(4−(6−(1−(4−(1H−イミダゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−アミノピリミジン−4−イル)フェニル)−2−アミノプロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(チオフェン−2−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(ピリミジン−5−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(6−(1−(2−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)−4−フルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−3−(4−(6−(1−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)−2−アミノプロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(4−(ピペリジン−1−イルメチル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フルオロ−4−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(1−(4−(6−クロロピリダジン−3−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(1−(4−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3'−メトキシ−3−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)ビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸;又は
(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(1−(5−クロロ−2−(3−メチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸
である、化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項43】
立体異性体的に純粋である、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
請求項1に記載の化合物と薬学的に許容される賦形剤又は希釈剤とを含む組成物。
【請求項45】
請求項44に記載の組成物を含む単一単位剤形。
【請求項46】
TPH1活性を阻害する方法であって、TPH1を請求項1に記載の化合物に接触させることを含む、方法。
【請求項47】
末梢セロトニンによって媒介される疾患又は障害を治療、予防又は管理する方法であって、このような治療、予防又は管理が必要な患者に、治療的に又は予防的に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項48】
疾患又は障害を治療、予防又は管理する方法であって、このような治療、予防又は管理が必要な患者に、治療的に又は予防的に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含み、該疾患又は該障害がカルチノイドクリーゼ又はカルチノイド症候群である、方法。
【請求項49】
疾患又は障害を治療、予防又は管理する方法であって、このような治療、予防又は管理が必要な患者に、治療的に又は予防的に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含み、該疾患又は該障害が胃腸の疾患又は障害である、方法。
【請求項50】
前記胃腸の疾患又は障害が、セリアック病、便秘、クローン病、下痢、嘔吐、機能性腹痛、機能性肛門直腸障害、機能性膨満、機能性消化不良、機能性胆嚢障害、過敏性腸症候群(IBS、IBD−d、IBS−c及びIBS−aを含む)、ラクトース不耐症、I型及びII型のMEN、吐き気、オギルビー症候群、膵性コレラ症候群、膵機能不全、オッディ括約筋障害、潰瘍性大腸炎、又はゾリンジャー−エリソン症候群である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
疾患又は障害を治療、予防又は管理する方法であって、このような治療、予防又は管理が必要な患者に、治療的に又は予防的に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含み、該疾患又は該障害が心臓血管又は肺の疾患又は障害である、方法。
【請求項52】
前記の心臓血管又は肺の疾患又は障害が、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、CREST症候群、高血圧症(急性又は慢性)、褐色細胞腫(pheochromacytoma)、肺塞栓、肺高血圧症、放射線肺炎、又はくも膜下出血である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
疾患又は障害を治療、予防又は管理する方法であって、このような治療、予防又は管理が必要な患者に、治療的に又は予防的に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含み、該疾患又は該障害が強皮症又はセロトニン症候群である、方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−512416(P2010−512416A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541514(P2009−541514)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/087068
【国際公開番号】WO2008/073933
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(508192566)レクシコン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【Fターム(参考)】