説明

ACF貼り付け方法及びACF貼り付け装置

【課題】ACFを基板に対して均等な加圧力を作用させて、円滑に貼り付け動作を行わせるようにする。
【解決手段】圧着ヘッド50を構成する受け刃52をシリンダ56によりガイドレール55に沿って上昇させて、液晶パネル1の裏面に当接させ、次いで加圧手段57を作動させることにより、ガイドレール55によりガイドされる加圧刃51を下降させて、ACFテープ13の台紙テープ12を押動することにより、ACF8が液晶パネル1の下基板2に圧着する。ACF8が下基板2に圧着されると、圧着ヘッド50によるACFテープ13に対する加圧力を解除し、その後にシリンダ56を駆動して、受け刃52を下降位置に変位させ、さらに昇降駆動部22を上昇させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,有機ELディスプレイ等のフラットディスプレイ装置を構成するディスプレイパネル等からなる基板にドライバ回路等の半導体回路装置を搭載するために、この基板にACF(Anisotropic Conductive Film)を貼り付けるACF貼り付け方法と、このACF貼り付け方法を実施するためのACF貼り付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶ディスプレイは、液晶封入空間を形成した上下2枚の透明基板からなる液晶パネルに半導体回路装置を介して印刷回路基板を接続する構成としている。ここで、半導体回路装置はドライバ回路であって、このドライバ回路はインナ側及びアウタ側の電極を備えており、インナ側の電極は液晶パネルを構成する一方の基板に、またアウタ側の電極は印刷回路基板に、それぞれ電気的に接続される。ドライバ回路の搭載方式の代表的なものとしては、チップ状のICパッケージを直接液晶パネルと印刷回路基板とに接続するCOG(Chip On Glass)方式や、フィルム状の基板にドライバ回路を搭載したTCP(Tape Carrier Package)を液晶パネルと印刷回路基板とに接続するTAB(Tape Automated Bonding)方式がある。
【0003】
いずれにしろ、液晶パネルを構成する一方の基板の表面には、少なくとも2辺に配線パターンが形成されており、この配線パターンにおける電極とドライバ回路のインナ電極とが電気的に接続される。従って、液晶パネルには微小ピッチ間隔で配線パターンが設けられるが、搭載される半導体回路装置毎に所定数の電極が群として形成される。また、これら複数の電極群において、相隣接する電極群間は空白領域となっている。なお、ドライバ回路は印刷回路基板とも接続され、このために印刷回路基板側にも、液晶パネル側と同様、所定数の電極群が複数群形成されている。ここで、印刷回路基板側の電極群を構成する配線の数は、通常、液晶パネル側の電極群の配線数より少ない。
【0004】
半導体回路装置としてのドライバ回路と、液晶パネルなり印刷回路基板なりとを接続するに当っては、微小間隔に配列されている多数の電極間を確実に電気的に接続し、しかもドライバ回路を固定しなければならない。このために、ACFが用いられる。ACFは粘着性のあるバインダ樹脂に微小な導電粒子を均一に分散させたものである。このACFを熱圧着することによって、導電粒子を介して電極間が電気的に接続され、かつ加熱によりバインダ樹脂が硬化して、ドライバ回路を液晶パネルや印刷回路基板に固定させる。
【0005】
例えば、液晶パネルの一方の基板における配線パターンを設けた部位にACFを貼り付けた上でドライバ回路としてのTCPがこの基板にTAB搭載される。粘着物質であるACFは、台紙テープに剥離層を介して積層されており、これによりACFテープを構成している。このACFテープは供給リールに巻回されており、この供給リールから送り出されて、貼り付けユニットにより基板表面に貼り付けられる。このために、貼り付けユニットには、供給リールを装架する部材が設けられ、また供給リールから供給されるACFテープを所定の経路に沿って引き回すために、適宜の箇所にガイドローラ等からなるガイド部材が配置される。
【0006】
基板へのACFの貼り付けは、基板の1辺における全長にわたって連続的に貼り付ける一括貼りと、各々の電極群毎に分割し、空白領域にはACFを付着しないようにして貼り付ける分割貼りとがある。一括貼りは、不必要な空白領域にもACFが貼り付けられる関係から、材料に無駄が生じることになり、また空白領域ではACFを構成する粘着性のある樹脂と導電粒子とが露出したままになるので、ドライバ回路の搭載後の処理や加工にとって不都合が生じることもある。従って、分割貼りの方が望ましい。
【0007】
特許文献1に基板の電極群毎にACFの分割貼りを行う方式が開示されている。この特許文献1においては、1回の貼り付け長さ分のACFを保持させた保持部を回転体の回転方向に複数配列して、台紙テープを接合させたままのACFテープを貼り付け長さ毎に切断して、台紙テープを保持部に吸着させる構成としている。そして、この保持部は回転体に出没可能に設けたシャフトにより液晶パネルに接離させるようにしている。
【0008】
液晶パネルを構成する基板を移動させて、各々の電極群を回転体と順次対面するように所定のピッチ間隔毎に位置決めし、保持部に連結したシャフトを伸長させることによって、この保持部に吸着させているACFと台紙テープとの積層テープを基板に押圧する。そして、保持部により台紙テープを吸着状態に保持して、シャフトを回転体側に引き込むことによって、ACFを台紙テープから剥離させて基板に貼り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−83114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した特許文献1にあっては、基板はテーブル部によりX,Y,θ方向に移動可能に支持されており、またこのテーブル部には基板下受が設けられている。ACFの貼り付け側は、フレームに回転体を装着して、この回転体の外周面には分割したACFを保持する保持部が複数個所設けられている。そして、回転体を昇降及びインデックス回転させることができるようにしている。従って、テーブル部を移動させながら、回転体を回転させ、かつ下降させて、基板下受に加圧力を作用させることによって、保持部に保持されているACFが基板の電極群を設けた部位毎に貼り付けられる。このように、基板下受はテーブル部側に設けられており、回転体によりACFが貼り付けられる毎に基板と共に基板下受がピッチ送りされるので、基板下受は少なくとも基板のACF貼り付け部の全長に及ぶ長さを有していなければならない。
【0011】
小型の基板であれば、基板下受の寸法も短いものとなるので、押圧側である回転体と基板下受との間で多少の寸法誤差や組み付け誤差があっても、ACFの貼り付け精度を高く保つことができるが、大型の基板になれば基板下受の一方の端部から他方の端部に至るまでの間で誤差の累積が生じることがある。そうなると、回転体による加圧力がACF全体に均等にならず、加圧むらが生じて、貼り付け不良を生じることがある。
【0012】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ACFを基板に対して均等な加圧力を作用させて、円滑に貼り付け動作を行わせるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明は、加圧刃と受け刃とからなる圧着ヘッドを用いて、これら加圧刃及び受け刃を昇降動作させて、ACFを台紙テープに積層したACFテープを複数の電極が形成された基板に押圧することによって、基板にACFを貼り付ける方法であって、前記加圧刃及び受け刃は、それぞれ昇降駆動手段により昇降駆動されるものであり、受け刃を前記基板の裏面側に当接させた後、加圧刃により前記基板への加圧力を作用させることによって、前記基板にACFテープを圧着させ、ACFが基板に圧着した後に、前記圧着ヘッドによるACFテープへの加圧力を解除し、さらにその後に受け刃を下降位置に変位させることをその特徴とするものである。
【0014】
基板にACFを貼り付けるのに、その1辺における全長に及ぶように連続した状態に貼り付ける一括貼りを行うようにしても良いが、基板に複数のACF貼り付け領域を設定し、各ACF貼り付け領域毎に分割貼りを行う方が望ましい。この場合には、圧着ヘッドを構成する加圧刃及び受け刃は、このACF貼り付け領域の全長に及ぶ長さを有するものとする。そして、一つのACF貼り付け領域にACFの貼り付けが行われた後に、他のACF貼り付け領域に圧着ヘッドを移動させるために、この圧着ヘッドを基板に設けた電極の並び方向に搬送することになる。また、加圧刃と受け刃とは、それぞれ独立に昇降動作を行うことになるが、昇降時のガイド手段としては、加圧刃と受け刃とで別個のものとすることもできるが、共通のガイド手段によりガイドさせる方が、ACFの貼り付け精度の点等から望ましい。
【0015】
分割貼りを行う場合には、ACFテープをハーフカットする。ハーフカットにより切断された前後のACFの部位が貼り付け対象となるために、加圧刃及び受け刃の長さ寸法は少なくともACFの貼り付け寸法分とする。ただし、加圧刃及び受け刃の長さ寸法は貼り付けるACFの長さに限定されるものではなく、加圧刃は切断されたACFテープの長さより長くすることもできる。この場合、ACFを貼り付ける際には、加圧刃及び受け刃の余長分は貼り付けの終わった台紙テープの部位に配置させる。加圧刃をACFの貼り付け長さより長くすると、電極群の長さ寸法が異なる複数種類の基板に対しても、また同じ基板であっても、短辺側と長辺側とで電極群の長さが異なっている場合にも対処することができる。
【0016】
ACFテープにおいて、粘着層を構成するACFを基板に貼り付けるに当っては、基板と貼り付けユニットとの間を位置合わせする必要があるが、この位置合わせは基板を固定的に保持し、貼り付けユニットの位置調整を行うようにすることもでき、また基板を支持する基板支持台側に位置調整機構を設けるようにしても良い。
【0017】
圧着ヘッドを構成する加圧刃と受け刃とはガイド手段にガイドされて昇降する。加圧刃と受け刃とで別個のガイド手段を設けても良いが、共通のガイド手段によりガイドさせる方が、ACFの貼り付け精度の点等から望ましい。加圧刃及び受け刃はそれぞれ独立して昇降動作を行う構成となし、加圧刃はACFテープの上面に当接し、また受け刃は基板の下面に当接するものである。加圧刃はボールねじにより昇降駆動され、また受け刃はシリンダにより昇降駆動させて、加圧刃は圧着時にACFテープに加圧力を作用するように構成することができる。これら加圧刃及び受け刃はそれぞれ昇降駆動される昇降ブロックに取り付けることができる。
【0018】
また、加圧刃と受け刃とからなる圧着ヘッドを用いて、ACFを台紙テープに積層したACFテープを複数の電極が形成された基板に圧着することによって、この基板にACFを貼り付けるACF貼り付け装置の発明については、前記基板は支持基台に支持され、前記加圧刃と前記受け刃とが前記基板の上下に配置され、前記ACFテープは前記基板と前記加圧刃との間を走行するようになし、前記加圧刃は加圧手段により、また前記受け刃は昇降駆動手段によって、それぞれ昇降駆動される構成となし、前記受け刃は前記支持基台上に載置させた前記基板の裏面側に当接させ、前記加圧刃により前記ACFテープを前記基板に圧着させてACFが前記基板に圧着した後に、前記圧着ヘッドによる前記ACFテープへの加圧力を解除し、さらにその後に前記受け刃を下降位置に変位させる構成としたことをその特徴とするものである。
【0019】
以上のようにしてACF貼り付け装置が構成されるが、ACFは半導体回路素子を基板に搭載するためであり、この半導体回路素子が搭載される基板は、印刷回路基板等であっても良いが、液晶ディスプレイ等を含むフラットディスプレイのパネル、特に大型のパネルに所定数のドライバ回路を搭載するためのものに、より好適に適用される。
【発明の効果】
【0020】
ACFを基板に対して均等な加圧力を作用させて、円滑に貼り付け動作を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ACFが貼り付けられる基板としての液晶セルと、この基板に搭載されるドライバ回路とを示す要部平面図である。
【図2】ACF貼り付け機の概略構成を示す正面図である。
【図3】図2の左側面図である。
【図4】図2の平面図である。
【図5】水平送りローラの構成説明図である。
【図6】水平送りローラの構成を示す側面図である。
【図7】カッタユニットの構成説明図である。
【図8】ACFテープのハーフカット状態を示すACF貼り付け機の要部拡大正面図である。
【図9】図8の左側面図である。
【図10】貼り付けユニットの下降状態を示すACF貼り付け機の要部拡大正面図である。
【図11】図10の左側面図である。
【図12】受け刃の上昇状態を示すACF貼り付け機の要部拡大正面図である。
【図13】図12の左側面図である。
【図14】ACFテープの圧着状態を示すACF貼り付け機の要部拡大正面図である。
【図15】図14の左側面図である。
【図16】ACFテープの台紙テープを剥離している状態を示す説明図である。
【図17】加圧刃と、この加圧刃により貼り付けられるACFとの寸法関係を示すACF貼り付け機の要部拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1にACFが貼り付けられる基板の一例として液晶パネルを示し、またACFを介して搭載される半導体回路装置の一例として、基板にTAB搭載されるTCPからなるドライバ回路を示す。なお、基板は液晶パネルを構成するものだけでなく、他のディスプレイ用の基板や、その他各種の印刷回路基板とすることができ、また基板に搭載されるのはドライバ回路に限らず、ACFを介して電気的に接続される各種の半導体回路装置を適用することができる。
【0023】
図1において、1は液晶パネルであって、この液晶パネル1は、共にガラス薄板からなる下基板2と上基板3とで構成され、両基板2,3間には液晶が封入されている。下基板2は、その少なくとも2辺において(1辺でもよく、また3辺以上であっても良い)、上基板3から所定幅分だけ張り出しており、この張り出し部2aに、フィルム基板4aに集積回路素子4bを実装したドライバ回路4が複数枚搭載される。
【0024】
下基板2の張り出し部2aには、両基板2,3が重ね合わせられた部位に形成されているTFT(Thin Film Transistor)にそれぞれ接続した配線に接続した所定数の電極が設けられており、これらの電極は、図中に符号5で示したように、ドライバ回路4の搭載部毎に所定数の電極が群として形成されている。そして、各電極群5の左右両側にはアラインメントマーク6a,6aが形成されている。従って、相隣接する電極群5,5間には所定幅を有する空白領域、つまり電極が設けられていない部位が形成されている。一方、ドライバ回路4には、これら電極群5を構成する各電極と電気的に接続される複数の電極が設けられており、電極群5と接続される電極群は符号7で示されている。また、ドライバ回路4にも電極群7の左右両側にアラインメントマーク6b,6bが形成されており、ドライバ回路4が液晶パネル1に搭載される際には、これらアラインメントマークを基準として電極群7を構成する各電極と電極群5を構成する各電極とが一致するように位置調整がなされる。
【0025】
ドライバ回路4はACF8を介して液晶パネル1に搭載される。ACF8は、周知のように、接着機能を有するバインダ樹脂に微小な導電粒子を多数分散させたものであり、ドライバ回路4と液晶パネル1との間でACF8を加熱及び加圧することによって、導電粒子を介して電極群5を構成する各電極と電極群7を構成する各電極とが電気的に導通する状態となり、かつバインダ樹脂が熱硬化することによって、ドライバ回路4を液晶パネル1に固着させることになる。ここで、ACF8は下基板2の張り出し部2aに設けた電極群5の位置毎に分割され、長さL分毎に貼り付けられる。これによって、ACF8を無駄なく使用することができ、しかも貼り付けられたACF8はほぼ完全にドライバ回路4により覆われることになる。
【0026】
図2乃至図4に下基板2の張り出し部2aにACF8を貼り付けるための貼り付け機構の概略構成を示す。これらの図において、9は液晶パネル1を水平状態に保持する支持基台である。液晶パネル1は、例えば真空吸着手段によって、この支持基台9上で安定的に保持されるようにしている。ここで、支持基台9には液晶パネル1が広い面積で当接しているが、ACF8が貼り付けられる下基板2の張り出し部2aの下部位置は開放されている。支持基台9には、液晶パネル1とドライバ回路4とのアラインメント等のために、X,Y,θ方向への位置調整手段を設けることができる。
【0027】
また、10はACF8の液晶パネル1への貼り付けユニットであり、この貼り付けユニット10は鉛直方向に設けた取付板体を有するものであり、供給リール11が着脱可能に装着されている。ACF8は台紙テープ12の剥離層上に積層されてACFテープ13を構成し、このACFテープ13が供給リール11に巻回されている。ACFテープ13は、貼り付けユニット10に装着したローラ14〜17からなる走行経路に沿って走行ガイドされる。さらに、18は駆動用ローラであり、ACF8を液晶パネル1に貼り付けた後の台紙テープ12を挟持して、排出部19に送り込むように駆動される。
【0028】
ローラ14,15は、ACFテープ13のフィーダ用のガイドローラであり、ガイドローラ15はスイングアーム20に装着されており、このスイングアーム20は回動軸21を中心として揺動するものである。回動軸21にはモータ等の駆動手段(図示せず)が接続されており、スイングアーム20を矢印F方向に揺動させると、供給リール11から少なくとも1回の貼り付け分、つまり図1に示した長さL分のACFテープ13が送り出されて、ローラ14,15間に滞留することになる。その結果、ACFテープ13を送る際に作用する反力が常に一定となり、供給リール11の巻回量の差により送り力に対する抵抗が変動することはない。
【0029】
ローラ16,17は、図5及び図6にも示したように、ACFテープ13を、その走行経路において、水平方向にガイドし、ACF8の液晶パネル1への1回分の貼り付け長さを規定する水平ガイドローラである。水平ガイドローラ17はACF8の貼り付け始端位置を、水平ガイドローラ16はACF8の貼り付け終端位置を規定するものであって、これらによってACF8の貼り付け領域が設定される。水平ガイドローラ16,17は、図6から明らかなように、円筒部16a,17aの両側部に鍔部16b,17bを形成したものであり、この鍔部16b,17bの円筒部16a,17aから突出する部位の高さはACFテープ13における台紙テープ12の厚み分とほぼ同じか、それより僅かに大きい寸法となっている。
【0030】
従って、水平ガイドローラ16,17間でACF8が液晶パネル1に貼り付けられ、その後に台紙テープ12から分離される。そして、水平ガイドローラ17より下流側の位置で、ACF8が剥離された後の台紙テープ12が回収される。水平ガイドローラ16,17により区画されているACF8の貼り付け領域より下流側の位置に駆動用ローラ18が設けられている。駆動用ローラ18は駆動ローラ18aとピンチローラ18bとから構成され、台紙テープ12はこれら駆動ローラ18aとピンチローラ18bとの間に挟持される。駆動ローラ18aを回転駆動することによって、ACFテープ12を長さL分毎にピッチ送りされる。
【0031】
図3から明らかなように、貼り付けユニット10は昇降駆動部22に装着され、この昇降駆動部22は前後動駆動部23に装着され、さらに前後動駆動部23は搬送手段を構成する平行動駆動部24に装着されている。これらの機構により、ACFテープ13の引き回し経路における水平ガイドローラ16−17間(図2参照)により規定されるACF8の貼り付け領域を上下方向、つまりZ軸方向と、水平面でX軸方向(電極群5の並びと直交する方向)とY軸方向(電極群5の並び方向)とに移動及び位置調整可能となっている。一方、液晶パネル1は支持基台9上に真空吸着により固定的に保持されている。
【0032】
ここで、水平ガイドローラ16−17間のACFテープ13と下基板2における電極群5との相対位置を調整する必要があるが、前後動駆動部23は、貼り付け領域を液晶パネル1に対して近接・離間する方向に移動させるものであり、平行動駆動部24は液晶パネル1における電極群5の並び方向と平行な方向、つまりY軸方向に貼り付け領域を移動させるものであるから、貼り付けユニット10側で位置調整できるが、前述したように、支持基台9にX,Y,θ方向への位置調整手段を設けている場合には、この支持基台9側でACFテープ13に対してアラインメントすることもできる。
【0033】
昇降駆動部22は、傾斜ブロック30と、この傾斜ブロック30を前後方向に移動させるために、シリンダ31(またはモータ)とを有するものである。また、貼り付けユニット10には傾斜ブロック30の傾斜面に係合するスライド部材32が連結されており、このスライド部材32は傾斜ブロック30と一致する傾斜面を有するものであり、規制杆33により上下方向以外には変位できない構成となっている。これにより、シリンダ31を駆動すると、貼り付けユニット10が上下方向に変位することになる。
【0034】
次に、前後動駆動部23は、傾斜ブロック30を装着した台座34を前後動させるためのものであって、この台座34の往復動はシリンダ,モータ等からなる駆動手段35により行われる。そして、平行動駆動部24は、台座34及びその駆動手段35を装着した搬送台36を有するものであり、搬送台36はボールねじ送り手段を構成するボールねじ37をモータ38で回転駆動することによって、貼り付けユニット10を液晶パネル1における電極群5の配列方向と平行に移動可能となっている。
【0035】
貼り付けユニット10に装着したACFテープ12の走行経路において、図8に示したように、水平ガイドローラ16の位置より僅かに下流側の位置にハーフカット手段40が設けられており、このハーフカット手段40は貼り付けユニット10の表面に対して前後方向に往復移動可能に装着されている。ハーフカット手段40は、図7に示したように、カッタ41とカッタ受け42とを備え、カッタ41は、同図に矢印で示したように、軸43を中心としてカッタ受け42に近接・離間する方向に回動可能となっている。常時にはカッタ41に作用するばね44の付勢力によりカッタ受け42から離間した状態に保持されており、シリンダ45に設けた押動ローラ46によって、ばね44に抗する方向にカッタ41を押動して、カッタ受け42に近接する方向に揺動変位させるようになっている。そして、カッタ41がカッタ受け42に最も近接した位置では、その間にACFテープ13の台紙テープ12の厚みと同じか、それより僅かに短い間隔が形成されることになる。これによって、ACF8のみがハーフカットされる。
【0036】
さらに、ACF8を下基板2における張り出し部2aに貼り付けるために、ACFテープ13は、水平ガイドローラ16,17間の位置で、下基板2の表面に所定の加圧力により圧着される。このために、貼り付けユニット10には、図8及び図9に示したように、圧着ヘッド50が設けられている。ここで、液晶パネル1は支持基台9上に載置されているが、その下基板2の張り出し部2aは支持基台9からはみ出しており、圧着ヘッド50は、このはみ出した部位を上下から挟持する構成となっている。
【0037】
圧着ヘッド50は加圧刃51と受け刃52とから構成されるものであり、これら加圧刃51及び受け刃52は、それぞれ昇降ブロック53,54に取り付けられている。これら昇降ブロック53,54は、貼り付けユニット10に設けた一対のガイドレール55に沿って上下方向に変位可能に装着されている。加圧刃51と受け刃52とは液晶パネル1を挟んで上下に配置されており、同じ長さに形成されている。そして、加圧刃51は水平ガイドローラ16,17間にガイドされて水平方向に走行するACFテープ13より上方位置に配置されている。
【0038】
受け刃52を装着した昇降ブロック54は、昇降駆動手段としてのシリンダ56により所定ストローク昇降動作がなされる。即ち、シリンダ56を縮小状態にすると、受け刃52が下降して、液晶パネル1から離間した下方の位置に配置されることになり、シリンダ56を伸長させると、受け刃52は液晶パネル1の下面に当接する。一方、加圧刃51を装着した昇降ブロック53には、加圧手段57が連結して設けられている。図示した加圧手段57は、モータで駆動される送りねじ57aを有するもので、所謂ジャッキを構成している。この加圧手段57は、加圧刃51に連結して設けた昇降ブロック53をガイドレール55に沿って上下動させて、受け刃52上に受承させている液晶パネル1を上方から所定の加圧力を作用させるものである。そして、加圧刃51と受け刃52とは正確に平行度を保つように構成している。また、受け刃52を支承するシリンダ56は、少なくとも上昇ストローク端位置では、加圧手段57により作用する加圧力でみだりに動くことがなく、伸長状態に保持できる圧力が導入される。
【0039】
圧着ヘッド50を構成する加圧刃51に、または加圧刃51及び受け刃52の双方に図示しないヒータが内蔵されており、これにより圧着ヘッド50はACFテープ13を液晶パネル1に熱圧着させることになる。加熱の度合いはACF8のバインダ樹脂が多少軟化する程度の比較的低いものとし、その粘着力が失われないようにする。そして、圧着ヘッド50を構成する加圧刃51及び受け刃52は、ACFテープ13の幅を十分カバーできる幅寸法を有し、かつ長さ方向の寸法は少なくともACF8の貼り付け長さLを有するものとする。
【0040】
以上のように、貼り付けユニット10には、供給リール11と、この供給リール11から供給されるACFテープ13の走行経路,ハーフカット手段40及び圧着ヘッド50が装着されている。このACF貼り付け装置によって、液晶パネル1の下基板2における張り出し部2aに所定数形成されている電極群5にドライバ回路4をTAB搭載するために必要なACF8が貼り付けられる。
【0041】
支持基台9上にはACF8が貼り付けられる液晶パネル1が所定位置において、水平状態に配置されて吸着保持されている。この状態では、液晶パネル1の下基板2において、図4に示した張り出し部2aが支持基台9から突出しており、この張り出し部2aに所定枚数のドライバ回路4が搭載される。このために、ボールねじ37により貼り付け機構が装着されている貼り付けユニット10が図1に示したピッチ間隔P毎に矢印方向にピッチ送りがなされる。
【0042】
液晶パネル1に長さL分のACF8が順次貼り付けられるが、このために平行動駆動部24を構成する搬送台36が駆動されて、貼り付けユニット10を所定の貼り付け領域に変位させる。このときには、図8及び図9に矢印で示したように、昇降駆動部22により貼り付けユニット10を上昇位置に保持する。圧着ヘッド50を構成する加圧刃51は上昇位置に、受け刃52は下降位置に保持する。これによって、これら加圧刃51及び受け刃52は液晶パネル1とは非接触状態に保たれ、貼り付けユニット10の移動が円滑に行われ、液晶パネル1に損傷を与える等といった事態は生じることはない。また、ACFテープ13が液晶パネル1から離間することになり、ハーフカット手段40を貼り付けユニット10の表面から前方に突出させても、液晶パネル1と干渉することはない。従って、ACFテープ13のハーフカットが行われる。このハーフカットを行うことによって、ACFテープ13のハーフカットされた位置が貼り付け終端位置となり、前回ACF8を貼り付けた端部が貼り付け始端位置である。即ち、水平ガイドローラ17は貼り付け始端位置より前方位置に、また水平ガイドローラ16は貼り付け終端位置より後方位置に配置されている。
【0043】
その後、ハーフカット手段40を退避させた後に、図10,図11に矢印で示したように、昇降駆動部22により貼り付けユニット10を下降させて、ACFテープ13のうち、水平ガイドローラ16,17間の部位を液晶パネル1の下基板2の表面に近接した位置に配置する。その後に、シリンダ56を作動させて、昇降ブロック54を上昇させて、図12,図13に示したように、受け刃52を液晶パネル1の裏面に当接させる。ここで、受け刃52は液晶パネル1の全長に及ぶのではなく、1回の動作でACF8が貼り付けられる領域に対応する位置に限定される。次いで、図14,図15に矢印で示したように、加圧手段57を作動させることにより、加圧刃51を下降させて、ACFテープ13の台紙テープ12を押動することにより、ACF8を下基板2に圧着させる。この圧着時には、加圧刃51は、その基端側の角隅部がハーフカット手段40によりハーフカットされたACFの貼り付け終端位置と一致させるようにする。
【0044】
そして、加圧手段57を構成する送りねじ57aを駆動して、液晶パネル1に対して所定の加圧力を作用させる。ここで、液晶パネル1の下基板2は薄いガラス板から構成されて、ある程度の変形が許容され、しかも同じ長さであって、正確に平行度が保たれている加圧刃51と受け刃52との間に挟持される。従って、この挟持時には、液晶パネル1のうちの挟持される部位はこれら加圧刃51と受け刃52とからなる圧着ヘッド50に倣うようになる。そして、加圧刃51も、また受け刃52もACFテープ13の貼り付け始端位置から終端位置までを含んでおり、ACFテープ13には加圧刃51の当接部全体により均等な加圧力が作用する。また、加圧刃51の端部の位置は、ハーフカットされた貼り付け終端位置と一致しているので、ACF8が存在するハーフカットされた貼り付け終端位置より基端側には加圧力が作用することはない。なお、ACF8の貼り付けが前回終了して、ACF8が存在せず、台紙テープ12だけとなっている貼り付け始端位置より前方側に加圧刃51や受け刃52が突出していても、格別問題とはならない。
【0045】
ACF8が下基板2に圧着されると、圧着ヘッド50によるACFテープ13に対する加圧力を解除する。次いで、シリンダ56を駆動して、受け刃52を下降位置に変位させる。その後に、昇降駆動部22を上昇させるが、このときに図16に矢印で示したように、昇降駆動部22と共に前後動駆動部23を駆動して、ACFテープ12の幅方向に対して斜め上方に引き上げるように動作させると、台紙テープ12はACF8から擦り切られるようにして剥離される。
【0046】
以上によって、下基板2の張り出し部2aにおける1つの電極群5に対してACF8の貼り付けが完了する。貼り付けユニット10を上昇させた位置に保持して、駆動用ローラ18を作動させて、供給リール11からACFテープ13を引き出して1ピッチ分だけ送る。そして、平行動駆動部24を作動させて、貼り付けユニット10を1ピッチ分、つまり図1に間隔Pで示した分だけ移動させる。そして、液晶パネル1を保持する基板支持台9は動かない。この状態で、前述と同様の動作を繰り返すことによって、順次電極群5に対するACF8の貼り付けが行われる。つまり、液晶パネル1における各電極群5の配設毎に、その長さL分にほぼ限定して、ACF8が圧着され、これが順次繰り返されることになる。
【0047】
ここで、圧着ヘッド50は、加圧刃51と受け刃52とから構成され、これら加圧刃51及び受け刃52はそれぞれ昇降ブロック53,54により昇降駆動されるものであり、これら昇降ブロック53,54は貼り付けユニット10に設けたガイドレール55に沿って上下動して、加圧刃51と受け刃52とが常に平行度を正確に保った状態で下基板2を上下から挟持する。液晶パネル1に電極群5がn箇所形成されている場合、最初のACF8の貼り付け位置から最終のACF8の貼り付け位置まで距離(n・P)分も離間しているが、全てほぼ同じ条件でACF8が圧着される。従って、小さいサイズのものはもとより、大型の液晶パネル1であっても、全ての電極群5に対してACF8を均等な加圧力により貼り付けることができ、圧着不良を生じることはない。なお、両昇降ブロック53,54を同じガイドレール55にガイドさせるようにしているが、必ずしもガイドレール55を共用させる必要はない。
【0048】
ここで、液晶パネル1における下基板2の張り出し部2aにACF8を貼り付けるに当って、ACFテープ13の走行経路において、加圧刃の基端側の端部の位置は、ハーフカットされた貼り付け終端位置と一致させる必要はあるが、加圧刃を貼り付け始端位置に位置させることは必須のものではない。即ち、図17に示した加圧刃151及び受け刃152はACF8の貼り付け始端位置を越えて、さらに長さα分だけ前方まで延在させることができる。ここで、貼り付け始端位置より前方側は、ACF8の貼り付けが前回終了して、ACF8が存在せず、台紙テープ12だけとなっている。従って、この部位を加圧刃151と受け刃152とにより挟持させたとしても、何等の問題もなく、またこの部位にはACF8が存在しないことから、貼り付けられる部位のACF8に対する加圧の均等性が損なわれることもない。
【0049】
液晶パネル1には、短辺側と長辺側とにドライバ回路4が搭載され、短辺側の電極群と長辺側の電極群とでは、その全長が異なる場合がある。そこで、加圧刃151及び受け刃152の全長を、短辺側電極群と長辺側電極群とのうちの長い方の寸法より長くしておくことによって、これら短辺部にACF8を貼り付ける際にも、また長辺部にACF8を貼り付ける際にも、同一の貼り付け機構を用いることができる。また、異なる画面サイズの液晶パネルへのACFの貼り付けを行う際にも適用可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 液晶パネル 2 下基板
2a 張り出し部 3 上基板
4 ドライバ回路 5 電極群
8 ACF 9 支持基台
11 供給リール 12 台紙テープ
13 ACFテープ 16,17 水平ガイドローラ
22 昇降駆動部 23 前後動駆動部
24 平行動駆動部 36 搬送台
40 ハーフカット手段 41 カッタ
50 圧着ヘッド 51,151 加圧刃
52,152 受け刃 53,54 昇降ブロック
55 ガイドレール 56 シリンダ
57 加圧手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧刃と受け刃とからなる圧着ヘッドを用いて、これら加圧刃及び受け刃を昇降動作させて、ACFを台紙テープに積層したACFテープを複数の電極が形成された基板に押圧することによって、基板にACFを貼り付ける方法であって、
前記加圧刃及び受け刃は、それぞれ昇降駆動手段により昇降駆動されるものであり、
受け刃を前記基板の裏面側に当接させた後、加圧刃により前記基板への加圧力を作用させることによって、前記基板にACFテープを圧着させ、
ACFが基板に圧着した後に、前記圧着ヘッドによるACFテープへの加圧力を解除し、さらにその後に受け刃を下降位置に変位させる
ことを特徴とするACF貼り付け方法。
【請求項2】
前記基板には複数のACF貼り付け領域が設定されており、前記圧着ヘッドを構成する加圧刃及び受け刃は、このACF貼り付け領域の全長に及ぶ長さを有するものであり、ACFの貼り付けが行われた後に、前記圧着ヘッドを前記基板に設けた電極の並び方向に搬送することを特徴とする請求項1記載のACF貼り付け方法。
【請求項3】
前記加圧刃及び受け刃は、共通のガイド手段により上下方向にガイドされて、それぞれ独立に昇降駆動されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のACF貼り付け方法。
【請求項4】
加圧刃と受け刃とからなる圧着ヘッドを用いて、ACFを台紙テープに積層したACFテープを複数の電極が形成された基板に圧着することによって、この基板にACFを貼り付けるACF貼り付け装置であって、
前記基板は支持基台に支持され、
前記加圧刃と前記受け刃とが前記基板の上下に配置され、
前記ACFテープは前記基板と前記加圧刃との間を走行するようになし、
前記加圧刃は加圧手段により、また前記受け刃は昇降駆動手段によって、それぞれ昇降駆動される構成となし、
前記受け刃は前記支持基台上に載置させた前記基板の裏面側に当接させ、前記加圧刃により前記ACFテープを前記基板に圧着させてACFが前記基板に圧着した後に、前記圧着ヘッドによる前記ACFテープへの加圧力を解除し、さらにその後に前記受け刃を下降位置に変位させる
構成としたことを特徴とするACF貼り付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−4051(P2010−4051A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171001(P2009−171001)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【分割の表示】特願2008−195729(P2008−195729)の分割
【原出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】