説明

ACF貼り付け装置及び貼り付け方法

【課題】ACFテープのACFがチャックに貼り着き、絡むことによる問題を解消できるACF貼り付け装置を提供する。
【解決手段】あらかじめ定められた位置で異方性導電テープ101を挟持する固定チャック8と、異方性導電テープを挟持して引き出しを行なうための移動チャック7を備える。固定チャック、移動チャックはそれぞれ、異方性導電フィルム102を下側にした異方性導電テープに沿った状態で互いに接近、離反可能なように間隔をおいて並設された一対のチャック爪71と、一対のチャック爪と同じ方向に延び、離反状態にある時の一対のチャック爪の間を上下動可能であると共に延在方向に進退自在に構成されたリフトピン72を含む。固定チャック、移動チャックはそれぞれ、異方性導電テープを、一対のチャック爪が異方性導電フィルムに接触することなく挟持できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示パネル等に異方性導電フィルムを貼り付ける装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイとして用いられる表示パネル等にIC部品を搭載したり、ドライブを接続したりする場合には、異方性導電フィルム(以下、ACFと略称する)を介して行なわれる。表示パネル等にACFを貼り付けるために使用されるACF貼り付け装置に関連する技術は、特許文献1、2に開示されている。特許文献1にはACF貼着装置に関することが記載され、特許文献2には粘着性テープの粘着装置及び粘着方法に関することが記載されている。特許文献1では台紙テープにACFを貼り合わせたACFテープが用いられ、特許文献2では粘着性テープと離型テープを貼り合わせたテープ体が用いられる。特許文献1、2のいずれにおいても、ACFテープ、テープ体を上下方向から挟持する固定チャックや移動チャック等のチャックを備え、移動チャックがACFテープ、テープ体を挟持して引き出しを行う。
【0003】
しかし、特許文献1、2のいずれにおいても、ACF、粘着性テープがチャックのチャック爪に粘着してしまう不具合と、その解決方法については記述していない。
【0004】
ACFがチャック爪に粘着してしまう不具合の解決方法については、特許文献3、4に開示されている。特許文献3には異方性導電膜テープに関することが記載され、特許文献4には異方性導電テープの貼着装置及び貼着方法に関することが記載されている。
【0005】
特許文献3では、図5に示すように、ベーステープ22に主材、つまり異方性導電膜21を貼り合わせた異方性導電膜テープ20が提案され、特にベーステープ22が異方性導電膜21よりも幅広くなるようにして、ベーステープ22のみを挟持するように構成することで、チャック爪へのACF貼り着き防止を提案している。
【0006】
特許文献4では、図6に示すように、セパレータ16を貼着したACF15に接触する側のチャック爪32aに穴50を設け、チャック開放時に穴50からガスを吹き出すことで、チャック爪32aからACF15を分離させることを提案している。
【0007】
ACF貼り付け装置に関連する技術において問題とされている点について詳しく説明する。
【0008】
1)チャックで挟持するテープに主材(ACF)が付いていると、移動チャック及び固定チャックのチャック爪にACFが貼り付いてしまう。
【0009】
この貼り付きが原因となって、ACF貼り付け装置の各部にACFが絡みつく故障が、誘発されることが多い。装置が故障に至らない場合でも、表示パネルへのACF貼り付け不良(位置ずれ、ACFなし、端部分での重なりなど)が発生する。
【0010】
また、これまでのACF貼り付け装置ではACFテープリール交換やACF貼り付け装置の故障処置後、移動チャック及び固定チャックへのACF貼り付きを防止するため、チャックで挟持されるテープ先頭部分の主材(ACF)除去作業が必要であり、この除去作業の間は生産を行えない問題があった。
【0011】
例えば、ベーステープにACFを貼り合わせて成るACFテープはリールに100m程度巻かれており、表示パネルが15型液晶パネルの場合、約220枚に貼り付けを行うことができる。言い換えれば、ACF貼り付けに関連する故障が全く発生しなくとも、液晶パネルの生産数220枚毎にACFテープリール交換に伴うテープ先頭部分の主材(ACF)除去作業が必要になる。
【0012】
2)ACFテープは幅2mm程度と細いため、特許文献3に開示されているACFテープ構造を実現することは難しい。
【0013】
また、特許文献4に開示されているチャックの構造では、ACF15に接触するチャック爪32aに穴を設けるため、チャック爪32aとACF15との接触面積が減少する。その結果、ACF15に対する挟持力(摩擦係数と接触面積と加圧力の積に比例する)が低下し、ACF15の引き出しの際、加圧力を高めなければACF15の引き出し時に滑ってしまう問題が発生する。更に、通常使用されているACFの幅は2mm程度と細いため、ガス吹き出し穴が小径になり、セパレータ16を確実に剥離できない可能性がある。
【0014】
次に、上記問題を生じる理由について説明する。
【0015】
1)これまでのACF貼り付け装置では、ACFテープリールの装着・交換に際し、テープ先端部分のACFが除去される。この場合、装置が正常動作している限り、チャック爪がACFに触れることは少なく、ACFが装置の各部に絡む問題は発生しにくい。
【0016】
しかし、ACFテープ引き出しの際に滑りを生じるおそれがあり、ACFテープリール交換時のACF除去を忘れてしまうと、チャック爪にACFが貼り付いてしまう。
【0017】
特に、電気回路基板の接着に使用するACFは、表示パネル用のACFよりも粘着性が強く、チャックへの貼り付き問題が発生する可能性が高い。これは、以下の理由による。電気回路基板は、ガラスで作られている表示パネルに比べ、その接着部分の段差が表示パネルよりも大きい。電気回路基板はさらに、基板材料の厚みムラ、基板製作時の化学物質付着、例えば電気回路基板に電子部品を半田付けする際に、ACF接着部分の端子を保護するために貼り付けるテープに含まれる剥離材などによって接着力の低下が発生しやすい。このような問題に対処するため、電気回路基板用のACFは表示パネル用のACFよりも粘着性が強くなっている。
【0018】
2)ACFテープは、通常、数10mm幅のベーステープにACFを一定厚みとなるよう塗布・乾燥後、スリッターと呼ばれる装置によって所望する幅に切り分けることで生産される。従って、ベーステープとACFは、同幅に形成される。これは、所望幅のACFテープを簡単に製作できるようにするためと、ACFの膜厚を均一化するためと、幅広のテープを用いる必要があるためである。
【0019】
従って引用文献3のテープ構造を実現するには、ベーステープにACFを幅2mm程度塗布するか、ACFより幅広に切り分けたACFテープからACFの一部を剥離して製作することが必要であり、著しく生産が難しくなる。
【0020】
3)引用文献4のチャック構造では、チャック爪に穴を設けたことで、減少した挟持面積を補うべく、高圧力での挟持が必要であり、ACFの貼り付きがむしろ強くなる。
【0021】
更に、幅2mm程度と細いACFテープを挟持するチャックに設けることができる、分離用のガス吹き出し穴の直径は最大でも1.4mm程度と考えられ、かなり高圧のガスを吹き出す必要がある。ACFテープの幅が更に細い場合は、極小の穴しか設けられず、分離が困難になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2000−340616号公報(図5)
【特許文献2】特開2007−27560号公報(図6)
【特許文献3】特開平9−259945号公報
【特許文献4】特開平9−6251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、ACFテープのACFがチャックに貼り着き、絡むことによる問題を解消できるACF貼り付け装置及び貼り付け方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、貼り付け対象物としての表示パネルや電気回路基板等に異方性導電フィルム(以下、ACFと略称する)を貼り付ける装置及び貼り付け方法に関し、特にACFテープを挟持するチャックの構造に特徴を有する。より詳しくは、ACFテープを挟持するチャックを、挟持の際、粘着性のあるACFに触れずに済むよう構成している。
【0025】
本発明の態様によれば、対象物において電気接続を必要とする部位に、ベースフィルムと粘着性を有するACFとを貼り合わせてなるACFテープにおける前記ACFを貼り付けるACF貼り付け装置において、あらかじめ定められた位置で前記ACFテープを挟持する固定チャックと、該固定チャックよりも上流側で前記ACFテープを挟持して引き出しを行なうための移動チャックを備え、前記固定チャック、前記移動チャックはそれぞれ、前記ACFを下側にした前記ACFテープに沿った状態で互いに接近、離反可能なように間隔をおいて並設された一対のチャック爪と、該一対のチャック爪と同じ方向に延び、離反状態にある時の該一対のチャック爪の間を上下動可能であると共に延在方向に進退自在に構成されたリフトピンを含み、前記ACFテープを、前記一対のチャック爪が前記ACFに接触することなく挟持できるようにしたことを特徴とするACF貼り付け装置が提供される。
【0026】
前記固定チャック、前記移動チャックはそれぞれ、前記ACFテープが、前記離反状態にある時の前記一対のチャック爪と下限位置にある前記リフトピンの間にある状態にて、前記リフトピンを上限位置まで上昇させた後、前記一対のチャック爪を接近させると共に前記リフトピンを後退させることにより、前記リフトピンで上方に持ち上げられた部分の一部を前記一対のチャック爪で挟持するようにされる。前記固定チャック、前記移動チャックはまたそれぞれ、前記後退させたリフトピンを前記下限位置まで下降させた後前進させ、前記接近させた一対のチャック爪を離反させることで前記ACFテープの挟持を解放するようにされる。
【0027】
前記リフトピンの少なくとも表面は、粘着低減処理を施されていることが好ましい。
【0028】
上記の態様によるACF貼り付け装置は更に、前記対象物を搭載するためのバックアップ部と、前記ACFテープを巻き取り保持しているリール部と、前記バックアップ部に搭載されている前記対象物において電気接続を必要とする部位に前記ACFを貼り付けると共に、貼り付けたACFからベースフィルムを剥離させるための貼り付けローラと、貼り付けた前記ACFに加圧、加熱処理を行なう圧接ヘッドと、該圧接ヘッドよりも上流側で前記ACFテープにおけるACFの一部を除去する中抜きユニットと、を備える。
【0029】
本発明の他の態様によれば、対象物において電気接続を必要とする部位に、ベースフィルムと粘着性を有するACFとを貼り合わせてなるACFテープにおける前記ACFを貼り付けるACF貼り付け方法において、あらかじめ定められた位置で前記ACFテープを挟持する固定チャックと、該固定チャックよりも上流側で前記ACFテープを挟持して引き出しを行なうための移動チャックとを用い、前記固定チャック、前記移動チャックをそれぞれ、前記ACFを下側にした前記ACFテープに沿った状態で互いに接近、離反可能なように間隔をおいて並設された一対のチャック爪と、該一対のチャック爪と同じ方向に延び、離反状態にある時の該一対のチャック爪の間を上下動可能であると共に延在方向に進退自在に構成されたリフトピンを含む構成とすることにより、前記ACFテープを、前記一対のチャック爪が前記ACFに接触することなく挟持できるようにしたことを特徴とするACF貼り付け方法が提供される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ACFテープを挟持するチャックを、ACFテープの挟持の際、ACFに触れずに済むよう構成したことにより、ACFがチャックに貼り付き、絡むことによる設備故障を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例によるACF貼り付け装置の主要構成を示した図である。
【図2】本発明において使用される、ACFテープの一例を示した図である。
【図3】図1に示されたACF貼り付け装置における移動チャックと固定チャックの構造、動作を説明するための図である。
【図4】図1に示されたACF貼り付け装置の構造、動作を説明するための図である。
【図5】ACFテープのACFがチャックに貼り付かないようにするために提案されている異方性導電膜テープの一例を示した図である。
【図6】ACFテープのACFがチャックに貼り付かないようにするために提案されているチャックの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[実施例の構成]
本発明の実施例によるACF貼り付け装置は、図1に示すように、圧接ヘッド1と、ACFテープリール保持部2と、ACFテープ押さえ3と、中抜ユニット4と、貼り付けローラ5と、バックアップ6と、移動チャック7と、固定チャック8と、吸引ノズル9を含む。バックアップ6には、ACFが貼り付けされる貼り付け対象物として表示パネル10が搭載される。
【0033】
特に、このACF貼り付け装置は、移動チャック7と、固定チャック8において、ACFテープ101を挟持する一対のチャック爪を水平方向に開閉(離反、接近)できる構造とし、さらにチャック爪と同じ方向に延び、上下動作及び延在方向に進退動作可能なリフトピンを備えていることを特徴とする。
【0034】
[実施例の動作]
まず、図2にて、ACFテープ(異方性導電テープ)101の構造を説明する。ACFテープ101は、ベースフィルム102に主材としてのACF103を塗布した構造になっており、例えば総厚70μm、幅2mm程度と薄く細いテープで、リールに100m程度の長さで巻かれた状態で提供される。ベースフィルム102は厚み50μm程度の樹脂フィルムである。ACF103は、熱硬化性のエポキシ樹脂または、アクリル樹脂の接着剤に粒子径数μmの導電性粒子を分散させ、15〜25μm厚としてベースフィルム102に塗布されている。ACF103は約180〜200℃に加熱、加圧されることで硬化し、対象物を接着するが、常温でも粘着性がある。
【0035】
なお、図1で言えば、ACFテープ101は、圧接ヘッド1の直下ではACF103が下面側を向いた状態で引き出される。
【0036】
次に、図3を参照して、移動チャック7と固定チャック8の構成と動作を説明する。移動チャック7と固定チャック8は同じ構成を有し、同じように動作するので、以下では移動チャック7について説明する。
【0037】
移動チャック(固定チャック)の構成
移動チャック7は、ACFテープ101の引き出し(搬送)方向に関して水平に並び、引き出し方向に直角に交差する一対のチャック爪71を有し、一対のチャック爪71が互いに接近、離反することでACFテープ101の挟持動作を行う。ACFテープ101は一対のチャック爪71の下側を通過するように配置され、開閉シリンダ74によって、図3の左側の正面図で言えば、左右方向へ開閉(離反、接近)できるようになっている。
【0038】
移動チャック7はまた、一対のチャック爪71と同じ方向に同じ程度だけ延び、開状態にある時の一対のチャック爪71の間を上下動可能に構成されたリフトピン72を含む。リフトピン72は、上下シリンダ73によって、図3の正面図で言えば、上下方向に移動でき、さらに進退シリンダ75によって、図3の右側の側面図で言えば、左右方向に移動(進退)できるよう構成されている。以下では、図3の側面図における左側への移動を前進、右側への移動を後退と呼ぶ。リフトピン72は、少なくともその表面に粘着低減処理、たとえばテフロン(登録商標)コーティングを施してある。
【0039】
移動チャック(固定チャック)の動作
図3(a)において、一対のチャック爪71が開き、リフトピン72は下限位置で前進した状態にある。この時、ACFテープ101は一対のチャック爪71の下面とリフトピン72との間にある。
【0040】
図3(b)において、一対のチャック爪71を開いた状態で、リフトピン72を上限位置まで上昇させる。すると、ACFテープ101はリフトピン72により上方向に持ちあげられる。
【0041】
図3(c)において、リフトピン72が上限位置にある状態で、一対のチャック爪71を閉じることで、ACFテープ101を挟持する。特に、一対のチャック爪71は、ACFテープ101の下面側のACF103に触れることなくベースフィルム102側を挟持する。この後、一対のチャック爪71を閉じた状態で、リフトピン72を後退させることで、挟持完了となる(図3(d))。なお、図3(d)では、リフトピン72を後退後、下限位置まで下降させた状態を示している。
【0042】
図3(e)において、リフトピン72を後退、下降させた後、一対のチャック爪71を開くことで、ACFテープ101の挟持を解放する。
【0043】
以上の構成、作用は固定チャック8においても同様である。
【0044】
次に、図4を参照して、ACF貼り付け装置全体の動作を説明する。図4による動作説明は、便宜上、ある表示パネルに対するACFの貼り付けが終了し、次の表示パネル10がバックアップ6に搭載された状態から開始するものとして行う。
【0045】
図4(a)において、圧接ヘッド1は上限位置にあり、貼り付けローラ5はACFテープ押さえ3に近い初期位置にある。そして、固定チャック8からACFテープ押さえ3までのACFテープ101は、ベースフィルム102からACF103が剥離されている。図3で説明した動作原理により固定チャック8でベースフィルム102が挟持されている。一方、移動チャック7は圧接ヘッド1の下側に位置し、開状態にある一対のチャック爪71と、下限位置にあるリフトピン72の間にベースフィルム102が位置している。この状態で移動チャック7をACFテープリール保持部2側へ移動させる。
【0046】
図4(b)において、図3で説明した動作原理により移動チャック7でベースフィルム102を挟持し、固定チャック8はベースフィルム102を解放する。すなわち、固定チャック8においては一対のチャック爪71が開動作を行い、リフトピン72は後退−下限位置まで移動−前進という一連の動作を行っていることで、ベースフィルム102が解放状態になる。
【0047】
図4(c)において、ベースフィルム102を挟持した状態で、表示パネル10に貼り付けるACF103の必要長分だけ、移動チャック7を図の右側(固定チャック8側)へ移動させてACFテープ101をACFテープリール保持部2から引き出す。この途中、ACFテープ101を所定長引き出したところでACFテープ押さえ3を下降させ、続いて中抜ユニット4を上昇させることにより、表示パネル10に貼り付けすべきACF103より後方部分のACF103を一定長だけ剥離、つまり中抜きする。中抜き終了後、ACFテープ押さえ3は上昇し、中抜ユニット4は下降する。移動チャック7がACFテープ101を引き出すのに伴い、固定チャック8がそれまで挟持していたベースフィルム102は、吸引ノズル9に吸い込まれ、排出される。
【0048】
ここで、中抜ユニット4は2枚の切断刃の間に粘着テープなどを配置した構造になっており、2枚の切断刃でACF103に切り目を入れると共に、粘着テープをACF103に押し当てることで一定長分(2枚の切断刃の間隔分)のACF103を剥離する。切断刃は、ベースフィルム102をも切断してしまうことがないよう、突出長をACF103の厚みより20〜30μm長くしてある。
【0049】
この後、移動チャック7は、ACFテープ101を表示パネル10の貼り付け位置まで引き出した後、一対の爪71を開状態にしてベースフィルム102を解放する。一方、固定チャック8側では、移動チャック7の挟持解放直前に、リフトピン72を上限位置まで移動−一対のチャック爪71の閉という動作により、ベースフィルム102を挟持している。
【0050】
図4(d)において、貼り付けローラ5を表示パネル10の高さ位置まで下げ、続いて図中、右方向(固定チャック8側)に、圧接ヘッド1の下降を妨げない位置まで移動させることでACF103を表示パネル10に仮貼り付けする。
【0051】
図4(e)において、圧接ヘッド1を下降させ、ACFテープ101に対して加熱・加圧を行なうことでACF103を溶かし、表示パネル10に本貼り付けする。
【0052】
図4(f)において、圧接ヘッド1を上昇させた後、貼り付けローラ5を下げた状態で図中、左方向の初期位置まで移動させることにより、ベースフィルム102をACF103から剥離させる。
【0053】
図4(g)において、ベースフィルム102の剥離完了後、貼り付けローラ5を上昇させることによりACF103の貼り付け動作が終了する。以降同様の動作が繰り返される。
【0054】
なお、ACFテープリール交換時には、図4(a)に示されるACFテープ101は、ベースフィルム102にACF103が貼り合わされたままの状態にある。この場合、移動チャック7が最初にACFテープ101を挟持する際は、図3(c)、図3(d)の時に一対のチャック爪71で挟持されたACF103同士が粘着しあう可能性がある。しかし、このような状態になったとしても、これは最初の挟持の時だけであってこの部分のACF103は使用されずに廃棄されるので、チャックの一部に貼り付き絡みつくことが無い限り問題は生じない。
【0055】
[実施例の効果]
以上の説明で明らかなように、本実施例では、ACFテープを挟持する移動チャック、固定チャックの一対のチャック爪をそれぞれ、ACFに触れないように構成している。一方、リフトピンはACFに触れるが、一対のチャック爪でACFテープを挟んだ状態で後退させて引き抜くように構成しているため、ACFに貼り付き絡むことがない。これにより、以下の効果が得られる。
【0056】
1)ACFが移動チャックあるいは固定チャックに貼り付き、その状態で稼動することによってACF貼り付け装置の各部にACFが絡みつく故障をなくし、稼働率を向上できる。
【0057】
2)ACFが移動チャックあるいは固定チャックに貼り付くことによる、表示パネルへの貼り付け不良(位置ずれ、ACFなし、重なりなど)が無くなり、良品率が向上する。
【0058】
3)ACFテープリール交換または、ACF貼り付け装置の故障処置後、移動チャック、固定チャックがACFテープを挟持する部分のACF除去作業が不要になり、生産性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上、本発明を表示パネルにACFを貼り付ける実施例を用いて説明したが、本発明によるACF貼り付け装置及び貼り付け方法は、フラットパネルディスプレイ(LCD、PDP、電子ペーパー、EL、FEDなど)のほか、ACFを用いて電気的接続を行う回路基板を含む電子機器全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 圧接ヘッド
2 ACFテープリール保持部
3 ACFテープ押さえ
4 中抜ユニット
5 貼り付けローラ
6 バックアップ
7 移動チャック
8 固定チャック
9 吸引ノズル
10 表示パネル
71 チャック爪
72 リフトピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物において電気接続を必要とする部位に、ベースフィルムと粘着性を有する異方性導電フィルムとを貼り合わせてなる異方性導電テープにおける前記異方性導電フィルムを貼り付ける異方性導電フィルム貼り付け装置において、
あらかじめ定められた位置で前記異方性導電テープを挟持する固定チャックと、該固定チャックよりも上流側で前記異方性導電テープを挟持して引き出しを行なうための移動チャックを備え、
前記固定チャック、前記移動チャックはそれぞれ、前記異方性導電フィルムを下側にした前記異方性導電テープに沿った状態で互いに接近、離反可能なように間隔をおいて並設された一対のチャック爪と、該一対のチャック爪と同じ方向に延び、離反状態にある時の該一対のチャック爪の間を上下動可能であると共に延在方向に進退自在に構成されたリフトピンを含み、前記異方性導電テープを、前記一対のチャック爪が前記異方性導電フィルムに接触することなく挟持できるようにしたことを特徴とする異方性導電フィルム貼り付け装置。
【請求項2】
前記固定チャック、前記移動チャックはそれぞれ、前記異方性導電テープが、前記離反状態にある時の前記一対のチャック爪と下限位置にある前記リフトピンの間にある状態にて、前記リフトピンを上限位置まで上昇させた後、前記一対のチャック爪を接近させると共に前記リフトピンを後退させることにより、前記リフトピンで上方に持ち上げられた部分の一部を前記一対のチャック爪で挟持することを特徴とする請求項1に記載の異方性導電フィルム貼り付け装置。
【請求項3】
前記固定チャック、前記移動チャックはそれぞれ、前記後退させたリフトピンを前記下限位置まで下降させた後前進させ、前記接近させた一対のチャック爪を離反させることで前記異方性導電テープの挟持を解放することを特徴とする請求項2に記載の異方性導電フィルム貼り付け装置。
【請求項4】
前記リフトピンの少なくとも表面が、粘着低減処理を施されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の異方性導電フィルム貼り付け装置。
【請求項5】
更に、前記対象物を搭載するためのバックアップ部と、
前記異方性導電テープを巻き取り保持しているリール部と、
前記バックアップ部に搭載されている前記対象物において電気接続を必要とする部位に前記異方性導電フィルムを貼り付けると共に、貼り付けた異方性導電フィルムからベースフィルムを剥離させるための貼り付けローラと、
貼り付けた前記異方性導電フィルムに加圧、加熱処理を行なう圧接ヘッドと、
該圧接ヘッドよりも上流側で前記異方性導電テープにおける異方性導電フィルムの一部を除去する中抜きユニットと、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の異方性導電フィルム貼り付け装置。
【請求項6】
対象物において電気接続を必要とする部位に、ベースフィルムと粘着性を有する異方性導電フィルムとを貼り合わせてなる異方性導電テープにおける前記異方性導電フィルムを貼り付ける異方性導電フィルム貼り付け方法において、
あらかじめ定められた位置で前記異方性導電テープを挟持する固定チャックと、該固定チャックよりも上流側で前記異方性導電テープを挟持して引き出しを行なうための移動チャックとを用い、
前記固定チャック、前記移動チャックをそれぞれ、前記異方性導電フィルムを下側にした前記異方性導電テープに沿った状態で互いに接近、離反可能なように間隔をおいて並設された一対のチャック爪と、該一対のチャック爪と同じ方向に延び、離反状態にある時の該一対のチャック爪の間を上下動可能であると共に延在方向に進退自在に構成されたリフトピンを含む構成とすることにより、前記異方性導電テープを、前記一対のチャック爪が前記異方性導電フィルムに接触することなく挟持できるようにしたことを特徴とする異方性導電フィルム貼り付け方法。
【請求項7】
前記固定チャック、前記移動チャックをそれぞれ、前記異方性導電テープが、前記離反状態にある時の前記一対のチャック爪と下限位置にある前記リフトピンの間にある状態にて、前記リフトピンを上限位置まで上昇させた後、前記一対のチャック爪を接近させると共に前記リフトピンを後退させることにより、前記リフトピンで上方に持ち上げられた部分の一部を前記一対のチャック爪で挟持することを特徴とする請求項6に記載の異方性導電フィルム貼り付け方法。
【請求項8】
前記固定チャック、前記移動チャックをそれぞれ、前記後退させたリフトピンを前記下限位置まで下降させた後前進させ、前記接近させた一対のチャック爪を離反させることで前記異方性導電テープの挟持を解放することを特徴とする請求項7に記載の異方性導電フィルム貼り付け方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−225639(P2010−225639A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68262(P2009−68262)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】