説明

CETP阻害薬

化合物の製薬上許容される塩を含む式Iに示したフェニルもしくはヘテロ芳香族基で置換されたビフェニル基を有する化合物はCETP阻害薬であり、HDL−コレステロールを上昇させ、LDL−コレステロールを低下させ、アテローム性動脈硬化を治療もしくは予防する上で有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステロールエステル転移タンパク質(CETP)を阻害することから、アテローム性動脈硬化の治療および予防において有用となり得る化合物群に関する。
【背景技術】
【0002】
アテローム性動脈硬化およびそれの臨床的結果である冠動脈性心疾患(CHD)、卒中および末梢血管疾患は、工業世界の医療制度にとって非常に大きな負担となっている。米国単独でも、約1300万人の患者がCHDと診断されており、毎年50万人を超える死亡がCHDによるものである。さらに、肥満および糖尿病の蔓延が広がり続けていることから、この損害は次の25年間にわたって大きくなると予想される。
【0003】
哺乳動物において、循環リポタンパク質プロファイルにおける変動がアテローム性動脈硬化およびCHDのリスクと相関していることがかなり以前から認められていた。冠動脈事象の低減におけるHMG−CoAレダクターゼ阻害薬、特にスタチン類の臨床的成功は、循環低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)の低減に基づいたものであり、そのレベルはアテローム性動脈硬化のリスク増加に直接相関している。さらに最近では、疫学的研究から、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)レベルとアテローム性動脈硬化との間に反比例の関係があることがわかり、低血清HDL−CレベルがCHDのリスク上昇に関連しているという結論に至っている。
【0004】
リポタンパク質レベルの代謝制御は、多くの要素が関与する複雑かつ動的なプロセスである。ヒトにおけるある重要な代謝制御は、コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)、HDLからアポB含有リポタンパク質へのコレステリルエステル類の移動を触媒する血漿糖タンパク質、特にはVLDLである(Hesler, C. B., et. al. (1987) Purification and characterization of human plasma cholesteryl ester transfer protein. J. Biol. Chem. 262(5), 2275-2282)参照。)。生理的条件下では、その正味の反応は、CETPがアポBリポタンパク質からHDLへトリグリセリドを運び、HDLからアポBリポタンパク質へコレステロールエステルを輸送するヘテロ交換である。
【0005】
ヒトにおいて、CETPは逆コレステロール輸送において役割を有しており、そのプロセスによってコレステロールは末梢組織から肝臓に戻る。興味深いことに、齧歯類のように高HDLレベルを有して冠動脈心疾患に対して抵抗性であることが知られている動物を含めて、多くの動物がCETPを持たない(Guyard-Dangremont, V., et. al., (1998) Phospholipid and cholesteryl ester transfer activities in plasma from 14 vertebrate species. Relation to atherogenesis susceptibility, Comp. Biochem. Physiol. B Biochem. Mol. Biol. 120(3), 517-525参照。)。冠動脈心疾患リスクに関してCETPにおける自然変動の効果を相関させる多くの疫学的研究が多く行われており、それには少数の既知のヒト無発現変異に関する研究などがある(Hirano, K.-I., Yamashita, S. and Matsuzawa, Y. (2000) Pros and cons of inhibiting cholesteryl ester transfer protein, Curr. Opin. Lipidol. 11(6), 589-596参照。)。これらの研究は、血漿HDL−C濃度とCETP活性の間の逆相関を明瞭に示していることから(Inazu, A., et. al. (2000) Cholesteryl ester transfer protein and atherosclerosis, Curr. Opin. Lipidol. 11(4), 389-396参照。)、CETP脂質転移活性の薬理的阻害がLDLレベルを低下させながらHDL−Cレベルを上昇させることでヒトに対して有効である可能性があるという仮説が立てられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シンバスタチン(ZOCOR(登録商標))などのスタチン類が代表する大幅な治療的進歩があるにも拘わらず、スタチン類はアテローム性動脈硬化およびそれに続くアテローム性動脈硬化症事象の治療および予防において約1/3のリスク低下を達成するに過ぎない。現在、HDL−Cの循環レベルを好ましく上昇させる薬理療法で利用可能なものはほとんどない。ある種のスタチン類およびいくつかのフィブリン酸化合物でわずかなHDL−C上昇が得られる。臨床的に示されているHDL−C上昇に最も有効な療法を提供するナイアシンには、患者コンプライアンスの問題があり、それは一部には紅潮などの副作用が原因となっている。安全かつ効果的にHDLコレステロールレベルを上昇させる薬剤は、既存の療法に対して相補的な機序によって循環脂質プロファイルを大幅に改善できる薬理療法の手段を提供することで、大きいが未だに満足されていない医薬的要求に応えることができるものである。
【0007】
CETPを阻害する新たな種類の化合物が、いくつかの製薬会社によって研究されているか臨床試験中である。現在、市販されているCETP阻害薬はない。安全かつ有効な1以上の医薬化合物を見いだせるようにするために、新たな化合物が必要である。本明細書に記載の新規化合物は非常に強力なCETP阻害薬である。構造的に類似した種類のCETP阻害性化合物が、WO2005/100298およびWO2006/056854にあるが、それらはいずれも本願の優先日以降に公開されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
下記式Iの化合物は、その化合物の製薬上許容される塩を含めて、下記の有用性を有するCETP阻害薬である。
【0009】
【化4】

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の詳細な説明
式Iにおいて、R基で置換されているフェニル環は、式I中のRによる置換に対して開放されている4位のいずれかで−(CH)=に代えて−N=を有していても良く;
は、
(a)フェニルおよびナフチルから選択される芳香環;
(b)1〜2個の二重結合を有していても良い、5〜7員の非芳香族シクロアルキル環に縮合したフェニル環;
(c)独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、1〜3個の二重結合およびカルボニル基もしくは−N(O)−基を有していても良い、Aが結合している炭素原子に対するAの結合箇所がAの炭素原子である5〜6員の複素環;
(d)独立にO、NおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、1〜2個の二重結合を有していても良い、Aが結合している炭素原子に対するAの結合箇所がAの炭素原子である5〜6員の複素環に縮合したフェニル環を有するベンゾ複素環;および
(e)1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル環
からなる群から選択され;
は、Rから独立に選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
は、(a)独立にRから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良いフェニルおよび(b)独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、1〜3個の二重結合およびカルボニル基もしくは−N(O)−基を有していても良い5〜6員複素環からなる群から選択され、Aが結合しているフェニルに対する前記複素環の結合箇所が前記複素環の炭素原子であり、前記複素環は−COH、−CO〜Cアルキル、−C(=O)SC〜Cアルキル、−CN、−NO、−C(=O)H、−OH、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−OC〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキニル、−C(=O)C〜Cアルキル、−NR、−C(=O)NR、−NRC(=O)OC〜Cアルキル、−NRC(=O)NR、−S(O)〜Cアルキル、−S(O)NR、−NRS(O)NR、1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、1〜3個の二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキルおよび−C(=O)C〜Cシクロアルキルから独立に選択される1〜2個の基で置換されており、および前記複素環は−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキルおよびハロゲンからなる群から独立に選択される1〜3個の基で置換されていても良く、1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニルおよび−C〜Cシクロアルキルは、いずれの場合も1〜15個のハロゲンおよび1個のフェニル基(このフェニル基はハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFから独立に選択される1〜5個の置換基で置換されていても良い。)で置換されていても良く;
各R、RおよびRは、独立に−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、−OC〜Cアルキル、−OC〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキニル、1〜3個の二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cシクロアルキル、−C(=O)H、−COH、−CO〜Cアルキル、−C(=O)SC〜Cアルキル、−OH、−NR、−C(=O)NR、−NRC(=O)OC〜Cアルキル、−NRC(=O)NR、−S(O)〜Cアルキル、−S(O)NR、−NRS(O)NR、ハロゲン、−CN、−NOおよび独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員複素環からなる群から選択され、前記複素環は、カルボニル基を有していても良く、1〜3個の二重結合を有していても良く、R、RまたはRが結合している環への前記複素環の結合箇所は炭素原子であり、前記複素環は独立にハロゲン、−C〜Cアルキルおよび−OC〜Cアルキルから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く、−C〜Cアルキルおよび−OC〜Cアルキルは1〜7個のハロゲンで置換されていても良く;
、RおよびRが、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、−OC〜Cアルキル、−OC〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキニル、1〜3個の二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cシクロアルキル、−CO〜Cアルキル、−C(=O)SC〜Cアルキル、−NRC(=O)OC〜Cアルキルおよび−S(O)〜Cアルキルからなる群から選択される場合、R、RおよびRは、1〜15個のハロゲンで置換されていても良くおよび(a)−OH、(b)−CN、(c)−NR、(d)1〜3個の二重結合を有していても良く1〜15個のハロゲンで置換されていても良い−C〜Cシクロアルキル、(e)1〜9個のハロゲンで置換されていても良く独立に−OC〜Cアルキルおよびフェニルから選択される1〜2個の置換基で置換されていても良い−OC〜Cアルキル、(f)1〜3個の二重結合を有していても良く1〜15個のハロゲンで置換されていても良い−OC〜Cシクロアルキル、(g)−COH、(h)−C(=O)CH、(i)1〜9個のハロゲンで置換されていても良い−CO〜Cアルキルおよび(j)独立にハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFから選択される1〜3個の基で置換されていても良いフェニルから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
式Iのフェニルまたは適宜のピリジニル環の隣接する炭素原子上にある2個の基Rが一体となって、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−および−CH=CH−CH=CH−から選択される架橋部分を形成していることで、式Iのフェニル環もしくは適宜のピリジニル環に縮合したシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニル環を生じていても良く、式Iのフェニルまたは適宜のピリジニル環に縮合した前記シクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニル環は1〜2個の基Rで置換されていても良く、これらのR基が連結されて別の縮合環を形成することはできず;
nは、0または1であり;
pは、0〜4の整数であり;
qは、0〜4の整数であり;
xは、0、1または2であり;
yは、1または2であり;
Zは、−S(O)〜Cアルキル、−S(O)NR1718、−C(=S)OC〜Cアルキルおよび−C(=O)Xからなる群から選択され、Xは、H、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−SC〜Cアルキルおよび−NRからなる群から選択され;−C〜Cアルキルは、いずれの場合も1〜13個のハロゲンで置換されていても良くおよび−OC〜Cアルキル、−CNおよび−NOから独立に選択される1〜2個の置換基で置換されていても良く、−OC〜Cアルキルは、1〜7個のハロゲンで置換されていても良くおよび1〜2個の−OC〜Cアルキルで置換されていても良く;
、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立にH、−OH、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cシクロアルキル、−OC〜Cアルキルおよび−NRからなる群から選択され、−C〜Cアルキル、−C〜Cシクロアルキルおよび−OC〜Cアルキルは、それぞれ、1〜9個のハロゲンで置換されていても良く、それぞれ−OH、−C(=O)CH、−OC(=O)CH、−OC〜Cアルキルおよび−OC〜Cアルキレン(OC〜Cアルキル)から独立に選択される1〜2個の基で置換されていても良く、RとR12が一体となってまたはR13とR14が一体となってオキソ基を形成していても良く;
およびRはそれぞれ独立にH、−C〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキルおよび−S(O)〜Cアルキルから選択され、−C〜Cアルキルはいずれの場合も1〜11個のハロゲンで置換されていても良く;
17およびR18はそれぞれ独立に、H、−C〜Cアルキルおよび−C〜Cシクロアルキルからなる群から選択され、−C〜Cアルキルおよび−C〜Cシクロアルキルは1〜13個のハロゲンで置換されていても良い。
【0011】
本明細書に記載の化合物において、別段の定義がない限り、アルキル基は直鎖または分岐である。
【0012】
上記化合物の1下位集合またはそれの製薬上許容される塩は、下記式Iaを有する。
【0013】
【化5】

【0014】
これらの化合物において、R基で置換されている式Iaのフェニル環は、式IaでRによる置換に対して開放されている4位のいずれかで−(CH)=に代えて−N=を有していても良く;
各Rは、独立に−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、シクロプロピル、−OC〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)H、−COH、−CO〜Cアルキル、−OH、−NR、−NRC(=O)OC〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、ハロゲン、−CN、−NOおよび独立にN、SおよびOから選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員複素環からなる群から選択され、Rが結合しているフェニル環に対する前記複素環の結合箇所は炭素原子であり、前記複素環は独立にハロゲンから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;Rが−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、シクロプロピル、−OC〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−CO〜Cアルキル、−NRC(=O)OC〜Cアルキルおよび−S(O)〜Cアルキルからなる群から選択される場合、Rのアルキル、アルケニルおよびシクロプロピル基は、1〜5個のハロゲンで置換されていても良くおよび(a)−OH、(b)−NR、(c)1〜3個のフッ素原子で置換されていても良く1個のフェニル基で置換されていても良い−OCHおよび(d)独立にハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFから選択される1〜3個の基で置換されていても良いフェニルから選択される1個の置換基で置換されていても良く;
tは、0〜5の整数である。
【0015】
上記化合物の1下位集合は、製薬上許容される塩を含み、下記式Ibを有する。
【0016】
【化6】

【0017】
式Ibの化合物において、R基で置換されているフェニル環は、式IbでRによる置換に対して開放されている4位のいずれかで−(CH)=に代えて−N=を有していても良い。他の基は前記で定義の通りである。
【0018】
式Iの化合物の1下位集合またはそれの製薬上許容される塩では、R基で置換されている式Iのフェニル環は、式IにおけるRによる置換に対して開放されている4位のいずれかで−(CH)=に代えて−N=を有していても良く;およびAは、独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、1〜3個の二重結合およびカルボニル基もしくは−N(O)−基を有していても良い5〜6員複素環であり、Aが結合しているフェニル環に対する複素環の結合箇所はその複素環の炭素原子であり、前記複素環は−COH、−CO〜Cアルキル、−C(=O)SC〜Cアルキル、−CN、−NO、−C(=O)H、−OH、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−OC〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキニル、−C(=O)C〜Cアルキル、−NR、−C(=O)NR、−NRC(=O)OC〜Cアルキル、−NRC(=O)NR、−S(O)〜Cアルキル、−S(O)NR、−NRS(O)NR、1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、1〜3個の二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキルおよび−C(=O)C〜Cシクロアルキルから独立に選択される1〜2個の基で置換されており、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキルおよびハロゲンから独立に選択される1〜3個の基で置換されていても良く、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニルおよび1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキルはいずれの場合も1〜15個のハロゲンおよび1個のフェニル基(このフェニル基はハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFから独立に選択される1〜5個の置換基で置換されていても良い。)で置換されていても良い。
【0019】
式Iの化合物の下位集合において、Aはピリジルまたはピリミジニルである。
【0020】
上記化合物の下位集合では、Aは、フェニル、ナフチル、−C〜Cシクロアルキルおよび独立にO、NおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し1〜3個の二重結合およびカルボニル基もしくは−N(O)−基を有していても良い複素環5〜6員環からなる群から選択され、Aが結合している炭素原子へのAの結合箇所はAの炭素原子であり、Aは1〜2個の置換基Rで置換されていても良く、各Rは−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)H、−NO、−CN、−S(O)〜Cアルキル、−NR、−C〜Cアルケニル、−C(=O)NR、ハロゲン、−C〜Cシクロアルキルおよび独立にN、SおよびOから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し1〜3個の二重結合を有していても良い5〜6員複素環から独立に選択され、C〜Cアルキル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルケニルはいずれの場合も1〜3個のハロゲンで置換されていても良く、−C〜Cシクロアルキルおよび前記5〜6員複素環は独立にハロゲンおよび−C〜Cアルキルから選択される1〜3個の置換基で置換されていても良い。
【0021】
前記化合物の下位集合において、各Rはハロゲン、−NR;−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cシクロアルキル、−C(=O)H、−COH、−CO〜Cアルキル、−C(=O)NR、−CN、−NOおよび独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子および適宜に1〜3個の二重結合を有している5〜6員複素環からなる群から独立に選択され、C〜Cアルキルおよび−C〜Cアルケニルはいずれの場合も1〜5個のハロゲンで置換されていても良く、−C〜Cシクロアルキルおよび前記5〜6員複素環はいずれの場合も、独立にハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−CFおよび−OCFから選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
で置換されている式I、IaまたはIbのフェニル環の隣接する炭素原子上にある2個の基Rが一体となって、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−および−CH=CH−CH=CH−から選択される架橋部分を形成していることで、式I、IaまたはIbのフェニル環に縮合したシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニル環を形成していても良く、式I、IaまたはIbの前記シクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニル環は、1〜2個の基Rで置換されていても良く;
nは、0および1から選択される整数であり;
pおよびqは、それぞれ独立に0〜3から選択される整数であり;
tが存在する場合、それは0〜4から選択される整数であり;
xは、0、1および2から選択される整数であり;
yは、1および2から選択される整数である。
【0022】
上記化合物の下位集合において、Rは、H、F、OH、C〜Cアルキルおよび−OC〜Cアルキルからなる群から選択され、C〜Cアルキルおよび−OC〜Cアルキルはそれぞれ、1〜3個のハロゲンで置換されていても良く、1個の−OC〜Cアルキルで置換されていても良い。
【0023】
上記化合物の下位集合において、RおよびRはそれぞれ独立にHおよび−C〜Cアルキルから選択される。
【0024】
上記化合物の下位集合において、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ、Hまたは−C〜Cアルキルである。
【0025】
上記化合物の下位集合において、Zは、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)OC〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、−C(=O)H、−C(=O)NR、−C(=O)SC〜Cアルキルおよび−C(=S)OC〜Cアルキルからなる群から選択される。
【0026】
式I、IaまたはIbの化合物の下位集合において、Aは、フェニル、チエニル、フリル、ピリジル、1−オキシドピリジニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリル、ジヒドロインドリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択される。
【0027】
式I、IaまたはIbの化合物の下位集合において、RはHまたはCHであり;
12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれHであり;
nは0である。
【0028】
他の下位集合において、RはHである。
【0029】
上記化合物の下位集合において、Aはフェニルである。
【0030】
式IaまたはIbの化合物の下位集合において、Rは、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキル、−NR、−COH、−CO〜Cアルキルおよび−CNからなる群から選択され、−C〜Cアルキルおよび−C〜Cアルケニルはいずれの使用においても、1〜3個のハロゲンおよび適宜の1個の−OH基で置換されていても良く;
tは、0〜3の整数である。
【0031】
上記化合物の下位集合において、R、RおよびRはそれぞれ独立にハロゲン、−NR、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cシクロアルキル、−C(=O)H、−COH、−CO〜Cアルキル、−C(=O)NR、−CN、−NOおよび独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し1〜3個の二重結合を有していても良い5〜6員複素環からなる群から選択され、C〜Cアルキルおよび−C〜Cアルケニルはいずれの場合も、1〜5個のハロゲンで置換されていても良く、−C〜Cシクロアルキルおよび前記5〜6員複素環はいずれの場合も、独立にハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−CFおよび−OCFから選択される1〜3個の置換基で置換されていても良い。
【0032】
上記化合物の下位集合において、R、RおよびRはそれぞれ独立にハロゲン、シクロプロピル、−NR、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキル、−CN、−NOおよびピリジニルからなる群から選択され、シクロプロピル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルケニルはいずれの場合も、1〜3個のハロゲンで置換されていても良く、ピリジニルはハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFからなる群から独立に選択される1〜3個の置換基で置換されていても良い。
【0033】
上記化合物の下位集合において、R、RおよびRはそれぞれ独立に、ハロゲン、−NR、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキル、−CN、−NOおよびピリジニルからなる群から選択され、C〜CアルキルおよびC〜Cアルケニルはいずれの場合も1〜3個のハロゲンで置換されていても良く、ピリジニルはハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFからなる群から独立に選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く、あるいはそれの製薬上許容される塩がある。
【0034】
製薬上許容される塩を含めた式I、Ia、IbおよびIcの化合物の実施形態では、式I、IaまたはIbのフェイルまたは適宜のピリジニル環の隣接する炭素原子上にある2個の基Rは、一体となって−CHCHCH−、−CHCHCHCH−および−CH=CH−CH=CH−から選択される架橋部分を形成して式I、IaまたはIbのフェニル環または適宜のピリジニル環に縮合したシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニル環を形成するという選択肢を持たない。
【0035】
製薬上許容される塩を含めた式I、IaおよびIbの化合物の下位集合では、Rで置換されている式I、IaおよびIbのフェニル環は、フェニル環の1個の−CH=に代えて−N=を有するという選択肢を持たない。
【0036】
本発明の化合物は、4つの環(A、A、フェニル環(ピリジン環であっても良く、R置換基を有する。)および他のフェニル環)のうちの少なくとも2つの上にH以外の少なくとも1個の置換基を有する。多くの場合、前記化合物は、4つの環のうちの3つの上に少なくとも1個の置換基を有する。多くの実施形態が、式I、IaおよびIbにおける環のうちの4つ全ての上に少なくとも1個の置換基を有する。多くの実施形態において、前記環Aは、0〜3個の置換基を有するか、1〜3個の置換基を有するか、2〜3個の置換基を有する。Aが複素環である場合、Aは少なくとも1個の置換基(例:1〜4個の置換基、1〜3個の置換基または2〜3個の置換基)を有する。前記環Aは多くの場合、0〜3個の置換基または1〜3個の置換基または2〜3個の置換基または2個の置換基を有する。整数pおよびqはそれぞれ独立に、各種実施形態において、0〜4、0〜3、0〜2、1〜3、2〜3、2〜4または1〜2である。
【0037】
定義
「Ac」は、CHC(=O)−であるアセチルである。
【0038】
「アルキル」は、炭素鎖について別段の定義がない限り、直鎖もしくは分岐またはそれらの組み合わせであることができる飽和炭素鎖を意味する。アルコキシおよびアルカノイルなどの接頭語「アルク」を有する他の基も、炭素鎖について別段の定義がない限り、直鎖もしくは分岐またはそれらの組み合わせであることができる。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどがある。
【0039】
「アルキレン」基は、単官能性ではなく二官能性であるアルキル基である。例えば、メチルはアルキル基であり、メチレン(−CH−)は相当するアルキレン基である。
【0040】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、直鎖もしくは分岐またはそれらの組み合わせであることができる炭素鎖を意味する。アルケニルの例には、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどがある。
【0041】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有し、直鎖もしくは分岐またはそれらの組み合わせであることができる炭素鎖を意味する。アルキニルの例には、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどがある。
【0042】
「シクロアルキル」は、別段の断りがない限り、炭素原子3〜8個を有する飽和炭素環を意味する。その用語は、アリール基に縮合したシクロアルキル環も含む。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどがある。「シクロアルキル」は、シクロヘキセニルまたはシクロヘキサジエニルなどの1以上の二重結合を有するものと定義することもできるが、シクロアルキル基芳香族を作ると考えられる数の二重結合を有することはできない。
【0043】
置換基もしくはある構造中の基を説明するのに用いられる場合の「アリール」(および「アリーレン」)は、単環式もしくは二環式の化合物であって、それらの環が芳香族であり、炭素環原子のみを有するものを意味する。「アリール」という用語は、シクロアルキルもしくは複素環に縮合しているアリール基も指すことができる。好ましい「アリール」は、フェニルおよびナフチルである。フェニルは通常、最も好ましいアリール基である。
【0044】
「複素環」、「複素環式」および「複素環系」は、別段の断りがない限り、独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する完全もしくは部分飽和または芳香族の5〜6員環を意味する。芳香族である複素環は、ヘテロ芳香族またはヘテロアリールとも称される。
【0045】
「ベンゾ複素環」は、それぞれO、NまたはSである1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員の複素環に縮合したフェニル環を表し、その複素環は飽和もしくは芳香族を含めた不飽和であることができる。例としては、インドール、ベンゾフラン、2,3−ジヒドロベンゾフランおよびキノリンなどがある。
【0046】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0047】
「Me」はメチルを表す。
【0048】
医薬組成物での場合のような「組成物」という用語は、有効成分および担体を構成する不活性成分、ならびに2種類以上の前記成分の組合せ、錯体形成もしくは凝集から、または1以上の前記成分の解離から、または1以上の前記成分の他の種類の反応もしくは相互作用から直接または間接に生じる生成物を含む製造品を包含するものである。従って本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および製薬上許容される担体を混合することで製造される組成物を包含するものである。
【0049】
置換基「テトラゾール」は、2H−テトラゾール−5−イル置換基およびそれの互変異体を意味する。
【0050】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異体
式Iの化合物は、少なくとも1個の不斉中心を有することができ、ラセミ体、ラセミ混合物、単独のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして得られる場合がある。本発明は、式Iの化合物のそのような全ての型の異性体および本明細書で提供される全ての構造を含むものである。構造が立体化学的表示で示されている場合、エナンチオマー、ジアステレオマー(ジアステレオマーが可能な場合)ならびにラセミ混合物のようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物などの他の立体化学構造も、個別および集合的に本開示の範囲に包含される。
【0051】
本明細書に記載の化合物の一部は、オレフィン性二重結合を有し、別段の断りがない限り、EおよびZの両方の幾何異性体を含むことができる。
【0052】
本明細書に記載の化合物の一部は、互変異体として存在する場合がある。例としては、ケト−エノール互変異体と称されるケトンおよびそれのエノール型がある。個々の互変異体およびそれらの混合物は式Iの化合物に包含される。
【0053】
1以上の不斉中心を有する式Iの化合物は、当業界で公知の方法によってジアステレオマー、エナンチオマーなどに分離することができる。
【0054】
あるいは、キラル中心を有するエナンチオマーおよび他の化合物は、光学的に純粋な原料および/または既知の立体配置の試薬を用いる立体特異的合成によって合成することができる。
【0055】
本明細書におけるビフェニル化合物およびビアリール化合物の中には、NMRスペクトラムにおいてアトロプ異性体(回転異性体)の混合物として観察されるものがある。個々のアトロプ異性体ならびにそれらの混合物は、本発明の化合物に包含される。
【0056】

「製薬上許容される塩」という用語は、無機もしくは有機塩基および無機もしくは有機酸などの製薬上許容される無毒性の塩基または酸から製造される塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第一マンガン塩、第二マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩などがある。特に好ましいものは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩である。固体の形での塩は、複数種類の結晶構造で存在する場合があり、水和物の形である場合もある。製薬上許容される有機無毒性塩基から誘導される塩には、1級、2級および3級アミン類、天然置換アミン類などの置換アミン類、環状アミン類および塩基性イオン交換樹脂の塩などがあり、例を挙げるとアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂類、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンの塩などがある。
【0057】
本発明の化合物が塩基性である場合、無機酸および有機酸などの製薬上許容される無毒性酸から塩を製造することができる。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などがある。特に好ましいものは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0058】
本明細書で使用する場合、式Iの化合物についての言及は、製薬上許容される塩をも含むものであることは明らかである。
【0059】
代謝物−プロドラッグ
治療上活性な代謝物は、それ自体が特許請求される発明の範囲に含まれるものであり、やはり本発明の化合物である。患者に投与されている間に、または患者に投与された後に、特許請求の化合物に変換される化合物であるプロドラッグも本発明の化合物である。
【0060】
用途
本発明の化合物は、CETPの強力な阻害薬である。従ってその化合物は、CETPの阻害薬によって治療される疾患および状態を治療する上で有用である。
【0061】
本発明の1態様は、治療上有効量の本発明の化合物を治療を必要とする患者に投与することでCETPを阻害することによって治療または予防可能な疾患もしくは状態を治療または発症リスク低下させる方法を提供する。患者はヒトもしくは哺乳動物であり、ヒトである場合が最も多い。「治療上有効量」とは、特定の疾患の治療において所望の臨床的結果を得る上で有効な化合物の量である。
【0062】
本発明によって治療可能であるか、本発明の化合物による治療の結果として患者において発症リスクを低下させ得る疾患もしくは状態には、アテローム性動脈硬化、末梢血管疾患、異脂肪血症、高βリポタンパク血症、高αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心血管障害、アンギナ、虚血、心虚血、卒中、心筋梗塞、再潅流損傷、血管形成再狭窄、高血圧、糖尿病の血管合併症、肥満、内毒血症およびメタボリック症候群などがある。
【0063】
本発明の化合物は、HDL−Cの上昇および/またはHDL−C/LDL−C比の上昇において特に有効であると予想される。HDL−CおよびLDL−Cにおけるこれらの変化は、アテローム性動脈硬化の治療、アテローム性動脈硬化発症の低減もしくは逆転、アテローム性動脈硬化の発症リスク低下、またはアテローム性動脈硬化の予防において有用なものとなり得る。
【0064】
投与および用量範囲
哺乳動物、特にヒトに有効量の本発明の化合物を与えるのには、いかなる好適な投与経路も使用可能である。例えば経口、直腸、局所、非経口、眼球、肺、経鼻などの経路を用いることができる。製剤には、錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、液剤、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどがある。好ましくは式Iの化合物は、経口投与される。
【0065】
使用される有効成分の有効用量は、使用される特定の化合物、投与経路、治療対象の状態および治療対象の状態の重度によって変動し得る。そのような用量は、当業者であれば容易に把握できるものである。
【0066】
式Iの化合物が適応である疾患の治療または予防を行う場合、本発明の化合物を動物もしくはヒトの体重1kg当たり約0.01mg〜約100mgの1日用量で、好ましくは単一1日用量として、あるいは1日2〜6回の分割用量で、あるいは徐放製剤で投与した場合に、満足な結果が得られる。70kgの成人の場合、総1日用量は約0.5mg〜約500mgとなる。特に強力な化合物の場合、成人における用量は0.1mgという低いものであることができる。至適な治療応答を得るために、投与法を、この範囲内で、またはこの範囲外でも調節することができる。
【0067】
経口投与は通常、錠剤を用いて行われる。錠剤における用量の例には、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、250mgおよび500mgがある。
【0068】
医薬組成物
本発明の別の態様は、式Iの化合物と製薬上許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、有効成分としての式Iの化合物またはそれの製薬上許容される塩を含み、製薬上許容される担体および適宜に他の治療成分を含むこともできる。「製薬上許容される塩」という用語は、無機塩基もしくは酸および有機塩基もしくは酸などの製薬上許容される無毒性の塩基または酸から製造される塩を指す。医薬組成物は、プロドラッグまたはプロドラッグを投与する場合にはそれの製薬上許容される塩を含むこともできる。医薬組成物はまた、他の治療成分を含まず、本質的に式Iの化合物および製薬上許容される担体からなることもできる。
【0069】
その組成物には、経口、直腸、局所、非経口(皮下、筋肉および静脈など)、眼球(眼科)、肺(経鼻または口腔吸入)または経鼻投与に好適な組成物などがある。ただし、ある場合に最も適した経路は、治療対象の状態の性質および重度ならびに有効成分の性質によって決まる。それらは簡便には単位製剤で提供され、製薬業界で公知のいずれかの方法によって調製することがきる。
【0070】
実際の使用においては式Iの化合物は、従来の医薬配合法に従って、医薬担体との直接混合で有効成分として組み合わせることができる。担体は、例えば経口または非経口(静脈投与など)などの投与に望ましい剤型に応じて、多様な形態を取ることができる。経口製剤用の組成物を得る場合、通常の医薬媒体を用いることができる。例えば、懸濁液、エリキシル剤および液剤などの経口液体製剤の場合には、水、グリコール類、オイル類、アルコール類、香味剤、保存剤、着色剤などを用いることができる。あるいは粉剤、硬および軟カプセルおよび錠剤などの経口固体製剤の場合には、デンプン類、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を用いることができ、液体製剤より固体経口製剤の方が好ましい。
【0071】
投与が容易であることから、錠剤およびカプセルが最も有利な経口単位製剤を代表するものであり、その場合には、固体医薬担体を用いることは明らかである。所望に応じて、錠剤を標準的な水系または非水系法によって被覆することができる。そのような組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。これら組成物における活性化合物のパーセントは当然のことながら変動し得るものであり、簡便には単位重量の約2%〜約60%とすることができる。そのような治療上有用な組成物における活性化合物の量は、有効用量が得られるようなものとする。活性化合物は、例えば液滴剤または噴霧剤として経鼻的に投与することもできる。
【0072】
錠剤、丸薬、カプセルなどには、トラガカントガム、アカシアガム、コーンスターチもしくはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;ならびにショ糖、乳糖もしくはサッカリンなどの甘味剤を含有させることもできる。単位製剤がカプセルである場合、それには上記種類の材料以外に、脂肪油などの液体担体を含有させることもできる。
【0073】
他の各種材料を被覆として存在させて、単位製剤の物理的形状を変えることができる。例えば、錠剤をシェラック、糖またはその両方で被覆することができる。シロップもしくはエリキシルには、有効成分に加えて、甘味剤としてのショ糖、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素ならびにチェリー芳香もしくはオレンジ芳香などの芳香剤を含有させることができる。
【0074】
式Iの化合物はさらに、非経口投与することもできる。ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混和した水中で、これら活性化合物の液剤もしくは懸濁液を調製することができる。グリセリン、液体ポリエチレングリコール類およびそれらのオイル中の混合液で、分散液を調製することもできる。通常の保存および使用条件下では、これら製剤には保存剤を含有させて、微生物の成長を防止することができる。
【0075】
注射用に好適な医薬製剤には、無菌の水溶液もしくは分散液ならびに無菌注射液もしくは分散液の即時調製用の無菌粉末などがある。いずれの場合も製剤は無菌とし、容易に注射できる程度の流動性でなければならない。その製剤は、製造および保管の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物による汚染を起こさないように保存しなければならない。担体は、例えば水、エタノール、多価アルコール(例:グリセリン、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合液および植物油などを含む溶媒または分散媒とすることができる。
【0076】
併用療法
本発明の化合物(例:式IおよびIa〜Ij)は、やはり式Iの化合物が有用な疾患もしくは状態の治療もしくは改善において有用であることができる他薬剤と併用することができる。そのような他薬剤は、その薬剤について通常使用される経路および量で、式Iの化合物と同時または順次に投与することができる。式Iの化合物を1以上の他薬剤と同時に用いる場合、そのような他薬剤および式Iの化合物を含む単位製剤の形での医薬組成物が好ましい。しかしながら前記併用療法は、式Iの化合物と1以上の他薬剤を、異なった投与計画で投与する療法も含むものである。
【0077】
経口製剤を用いる場合、前記薬剤は単一の組み合わせ錠剤その他の経口製剤に組み合わせることができるか、またはそれらの薬剤を別個の錠剤その他の経口製剤として一緒に包装することができる。1以上の他の有効成分と併用する場合、本発明の化合物および他の有効成分を、それぞれを単独で使用する場合より低い用量で使用可能であることも想到される。従って、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物以外に、1以上の他の有効成分を含むものが含まれる。
【0078】
本発明の化合物(例:式I)と併用投与でき、別個にまたは同じ医薬組成物で投与することができる他の有効成分の例には、(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬(一般的にはロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ピタバスタチンおよび他のスタチン類などのスタチン類)、(ii)胆汁酸封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポールおよび架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体、コレスチド(登録商標)、ロコレスト(LoCholest;登録商標)、(iii)ナイアシンならびにニコチニルアルコール、ニコチンアミドおよびニコチン酸またはそれの塩などの関連化合物(iv)ゲムフィブロジルならびにクロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラートおよびエトフィブラート(etofibrate)などのフェノフィブリン酸誘導体(フィブリン酸化合物)のようなPPARα作働薬、(v)スタノールエステル類、β−シトステロール、チクエシドなどのステロールグリコシド類;およびエゼチミベなどのアゼチジノン類等のコレステロール吸収阻害薬、(vi)アバシミベおよびメリナミドなどアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害薬であって選択的ACAT−1およびACAT−2阻害薬および二重阻害薬を含むもの、(vii)プロブコールなどのフェノール系抗酸化剤、(viii)ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)/ApoB分泌阻害薬、(ix)ビタミンCおよびEならびにβ−カロテンなどの抗酸化ビタミン類、(x)甲状腺ホルモン様物質、(xi)LDL(低比重リポタンパク質)受容体誘発剤、(xii)例えば糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体拮抗薬およびアスピリンなどの血小板凝集阻害薬、(xiii)ビタミンB12(シアノコバラミンとも称される)、(xiv)葉酸またはナトリウム塩およびメチルグルカミン塩などのそれの 製薬上許容される塩もしくはエステル、(xv)阻害薬および作働薬の両方を含むFXRおよびLXRリガンド、(xvi)ABCA1遺伝子発現を強化する薬剤ならびに(xvii)回腸胆汁酸輸送剤などの患者の脂質プロファイルを改善する他の化合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
患者の脂質プロファイルの改善(すなわち、HDL−Cの上昇およびLDL−Cの低下)に用いられる本発明の化合物と併用可能な好ましい種類の治療化合物には、スタチン類およびコレステロール吸収阻害薬のうちの一方または両方などがある。特には好ましいものは、シンバスタチン、エゼチミベまたはシンバスタチンとエゼチミベの両方と本発明の化合物との組み合わせである。ロバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチンおよびZD−4522などのシンバスタチン以外のスタチン類と本発明の化合物の組み合わせも好ましい。
【0080】
最後に、本発明の化合物は、糖尿病、高血圧および肥満などの他の疾患を治療する上で有用な化合物、ならびに他の抗アテローム性動脈硬化性化合物と併用することができる。そのような組み合わせを用いて、糖尿病、肥満、アテローム性動脈硬化および異脂肪血症などの1以上の疾患または代謝症候群に関連する1以上の疾患を治療することができる。それらの組み合わせは、これら疾患の治療において相乗効果を示す可能性があることから、組み合わせを行わない場合には治療効果を得るには不十分であると考えられる用量などの低用量の有効成分を投与することが可能となり得る。
【0081】
本発明の化合物と併用で投与することができる有効成分の例には、
(a)グリタゾン類および非グリタゾン類(例:ピオグリタゾン(pioglitazone)、エングリタゾン(englitazone)、MCC−555、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、バラグリタゾン(balaglitazone)、T−131、LY−300512およびLY−818)などのPPARγ作働薬および部分作働薬;
(b)メトホルミンおよびフェンホルミンなどのビグアニド類;
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害薬;
(d)ビルダグリプチン、シタグリプチンおよび・サクサグリプチンなどのジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害薬;
(e)例えばインシュリンリスプロ、インシュリングラルギン、インシュリン亜鉛懸濁液および吸入インスリン製剤などのインシュリンまたはインシュリン模倣薬;
(f)トルブタミド、グリピジド、グリメピリド、アセトへキサミド、クロルプロパミドおよび関連物などのスルホニル尿素類または関連物;
(g)α−グルコシダーゼ阻害薬(アカルボース、アジポシン(adiposine);カミグリボース;エミグリテート;ミグリトール;ボグリボース; プラジミシン−Q;およびサルボスタチンなど);
(h)ムラグリタザール(muraglitazar)、テサグリタザール(tesaglitazar)、ファルグリタザール(farglitazar)およびナベグリタザール(naveglitazar)などのPPARα/γ二重作働薬;
(i)GW501516ならびにWO97/28149に開示のものなどのPPARδ作働薬;
(j)グルカゴン受容体拮抗薬;
(k)GLP−1;GLP−1誘導体;エキセナチド(バイエッタ)のようなエキセンジン類などのGLP−1類縁体;および非ペプチジルGLP−1受容体作働薬;
(l)GIP−1;
(m)メグリチナイド類(例:ナテグリニドおよびラペグリニド(rapeglinide))などの非スルホニル尿素系インシュリン分泌促進剤;
(n)GPR40作働薬;
(o)GPR119作働薬;
(p)GPR120作働薬;ならびに
(q)グルコキナーゼ活性化剤
などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
本発明と併用可能なこれらの他の有効成分には、5−HT(セロトニン)阻害薬、神経ペプチドY5(NPY5)阻害薬、メラノコルチン4受容体(Mc4r)作働薬、カンナビノイド受容体1(CB−1)拮抗薬/逆作働薬およびβアドレナリン受容体作働薬などの抗肥満化合物などもある。これらは、本セクションで後にさらに詳細に挙げている。
【0083】
これらの他の有効成分には、アスピリン、非ステロイド系抗炎症薬、糖質コルチコイド類、アザルフィジンならびにエトリコキシブ、セレコキシブ、ロフェコキシブおよびベクストラなどの選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害薬のような炎症状態を治療するのに用いられる有効成分などもある。
【0084】
抗高血圧化合物も、本発明の化合物と有利に併用することができる。本発明の化合物とともに使用可能な抗高血圧化合物の例には、(1)ロサルタンなどのアンギオテンシンII拮抗薬;(2)エナラプリルおよびカプトプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬);(3)ニフェジピンおよびジルチアゼム(diltiazam)などのカルシウムチャンネル遮断薬;ならびに(4)エンドテリン拮抗薬などがある。
【0085】
抗肥満化合物を本発明の化合物と併用投与することが可能であり、それには(1)NN703、ヘキサレリンおよびMK−0677などの成長ホルモン分泌促進薬および成長ホルモン分泌促進薬受容体作働薬/拮抗薬;(2)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−IB)阻害薬;(3)リモナバント(サノフィ・シンセラボ(Sanofi-Synthelabo))、AMT−251およびSR−14778およびSR141716A(サノフィ・シンセラボ)、SLV−319(ソルベイ(Solvay))、BAY65−2520(バイエル(Bayer))などのカンナビノイドCB受容体拮抗薬または逆作働薬のようなカンナビノイド受容体リガンド;(4)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミンおよびシブトラミンなどの抗肥満セロトニン作働薬;(5)AD9677/TAK677(大日本/武田)、CL−316,243、SB418790、BRL−37344、L−796568、BMS−196085、BRL−35135A、CGP12177A、BTA−243、トレカドリン(Trecadrine)、ゼネカ(Zeneca)D7114およびSR59119Aなどのβ3−アドレナリン受容体作働薬;(6)オルリスタット(キセニカル(Xenical;登録商標))、トリトン(Triton)WR1339、RHC80267、リプスタチン、テトラヒドロリプスタチン、テアサポニン(teasaponin)およびジエチルアンベリフェリルホスフェートなどの膵リパーゼ阻害薬;(7)BIBP3226、J−115814、BIBO3304、LY−357897、CP−671906およびGI−264879Aなどの神経ペプチドY1拮抗薬;(8)GW−569180A、GW−594884A、GW−587081X、GW−548118X、FR226928、FR240662、FR252384、1229U91、GI−264879A、CGP71683A、LY−377897、PD−160170、SR−120562A、SR−120819AおよびJCF−104などの神経ペプチドY5拮抗薬;(9)メラニン濃縮ホルモン(MCH)受容体拮抗薬;(10)T−226296(武田)などのメラニン濃縮ホルモン1受容体(MCH1R)拮抗薬;(11)メラニン濃縮ホルモン2受容体(MCH2R)作働薬/拮抗薬;(12)SB−334867−Aなどのオレキシン−1受容体拮抗薬;(13)メラノタンIIなどのメラノコルチン作働薬;(14)CHIR86036(カイロン(Chiron))、ME−10142およびME−10145(メラキュア(Melacure))、CHIR86036(カイロン);PT−141およびPT−14(パラチン(Palatin))などの他のMc4r(メラノコルチン4受容体)作働薬;(15)5HT−2作働薬;(16)BVT933、DPCA37215、WAY161503およびR−1065などの5HT2C(セロトニン受容体2C)作働薬;(17)ガラニン拮抗薬;(18)CCK作働薬;(19)AR−R15849、GI181771、JMV−180、A−71378、A−71623およびSR146131などのCCK−A(コレシストキニン−A)作働薬;(20)GLP−I作働薬;(21)コルチコトロピン放出ホルモン作働薬;(22)ヒスタミンアミン受容体−3(H3)調節剤;(23)ヒオペラミド(hioperamide)、3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピルN−(4−ペンテニル)カーバメート、クロベンプロピット、ヨードフェンプロピット(iodophenpropit)、イモプロキシファン(imoproxifan)、GT2394(Gliatech)などのヒスタミン受容体−3(H3)拮抗薬/逆作働薬;(24)BVT3498およびBVT2733などの6−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1阻害薬(11β−HSD−1阻害薬)、(25)テオフィリン、ペントキシフィリン、ザプリナスト(zaprinast)、シルデナフィル、アムリノン、ミルリノン、シロスタミド(cilostamide)、ロリプラム(rolipram)およびシロミラスト(cilomilast)などのPDE(ホスホジエステラーゼ)阻害薬;(26)ホスホジエステラーゼ−3B(PDE3B)阻害薬;(27)GW320659、デスピラミン(despiramine)、タルスプラム(talsupram)およびノミフェンシンなどのNE(ノルエピネフリン)輸送阻害薬;(28)グレリン受容体拮抗薬;(29)組換えヒトレプチン(PEG−OB、ホフマン・ラ・ロッシュ)および組換えメチオニルヒトレプチン(アムゲン)などのレプチン;(30)レプチン誘導体;(31)[D−Phe6,β−Ala11,Phe13,Nle14]Bn(6−14)および[D−Phe6,Phe13]Bn(6−13)プロピルアミドなどのBRS3(ボンベシン受容体サブタイプ3)作働薬;(32)GI−181771(グラクソ−スミスクライン)、SR146131(サノフィ・シンセラボ)、ブタビンジド(butabindide)、PD170292およびPD149164(ファイザー)などのCNTF(毛様体神経栄養因子);(33)アキソキン(axokine)(Regeneron)などのCNTF誘導体;(34)シブトラミンなどのモノアミン再取り込み阻害薬;(35)フィタン酸、4−[(E)−2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸(TTNPB)およびレチノイン酸などのUCP−I(未結合タンパク質−1、2または3)活性化剤;(36)KB−2611(カロバイオ(KaroBio)BMS)などの甲状腺ホルモンβ作働薬;(37)セルレニンおよびC75などのFAS(脂肪酸合成酵素)阻害薬;(38)DGAT1(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1)阻害薬;(39)DGAT2(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2)阻害薬;(40)ACC2(アセチル−CoAカルボキシラーゼ−2)阻害薬;(41)糖質コルチコイド拮抗薬;(42)オレオイル−エストロンなどのアシル−エストロゲン類;(43)ジカルボキシレート輸送体阻害薬;(44)BIM−43073D、BIM−43004CなどのペプチドYY、PYY3−36、ペプチドYY類縁体、誘導体および断片、(45)NPY3−36、Nアセチル[Leu(28,31)]NPY24−36、TASP−Vおよびシクロ−(28/32)−Ac−[Lys28−Glu32]−(25−36)−pNPYなどの神経ペプチドY2(NPY2)受容体作働薬;(46)膵ペプチド(PP)などの神経ペプチドY4(NPY4)作働薬;(47)BIBP3226、J−115814、BIBO3304、LY−357897、CP−671906およびGI−264879Aなどの神経ペプチドY1(NPY1)拮抗薬;(48)ナルメフェン(レベックス(Revex;登録商標))、3−メトキシナルトレキソン、ナロキソンおよびナルトレキソンなどのオピオイド拮抗薬;(49)グルコース輸送体阻害薬;(50)リン酸輸送体阻害薬;(51)5−HT(セロトニン)阻害薬;(52)β−遮断薬;(53)ニューロキニン−1受容体拮抗薬(NK−1拮抗薬);(54)クロベンゾレックス(clobenzorex);(55)クロフォレックス(cloforex);(56)クロミノレックス(clominorex);(57)クロルテルミン(clortermine);(58)シクレキセドリン(cyclexedrine);(59)デキストロアンフェタミン;(60)ジフェメトキシジン、(61)N−エチルアンフェタミン;(62)フェンブトラゼート(fenbutrazate);(63)フェニソレクス(fenisorex);(64)フェンプロポレクス;(65)フルドレクス(fludorex);(66)フルミノレクス(fluminorex);(67)フルフリルメチルアンフェタミン;(68)レバムフェタミン(levamfetamine);(69)レボファセトペラン;(70)メフェノレックス;(71)メタンフェプラモン(metamfepramone);(72)メタンフェタミン;(73)ノルプソイドエフェドリン;(74)ペントレクス(pentorex);(75)フェンジメトラジン;(76)フェンメトラジン;(77)ピシロレクス(picilorex);(78)ファイトファーム57;(79)ゾニサミド、(80)アミノレックス;(81)アンフェクロラール;(82)アンフェタミン;(83)ベンズフェタミン;および(84)クロルフェンテルミンなどがある。
【0086】
本発明の化合物を使用する上記の併用療法は、メタボリック症候群の治療においても有用であることができる。ある広く使用されている定義によれば、メタボリック症候群の患者は、(1)腹部肥満;(2)高トリグリセリド血症;(3)低高密度リポタンパク質コレステロール(HDL);(4)高血圧;および(5)高空腹時血糖(患者が糖尿病でもある場合には、II型糖尿病に特徴的な範囲となり得る。)という5つの症状群から選択される3以上の症状を有することを特徴とする。これらの各症状は、最近発表された報告書(Third Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection, Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III, or ATP III), National Institutes of Health, 2001, NIH Publication No. 01-3670)で臨床的に定義されている。メタボリック症候群の患者は、アテローム性動脈硬化および冠動脈心疾患などの上記で挙げた大血管および小血管の合併症を発症するリスクが高くなる。上記の組み合わせは、代謝症候群の複数の症状を同時に改善することができる(例えば、2つの症状、3つの症状、4つの症状または5つ全ての症状)。
【0087】
CETPアッセイ
CETP阻害薬である化合物を確認することを目的としたIC50値を測定するためのイン・ビトロ連続アッセイを、コレステリルエステル脂質ドナーとしてBODIPY(登録商標)−CEを用いるエップス(Epps)ら記載の方法の変法に基づいて行った(Epps et al.(1995) Method for measuring the activities of cholesteryl ester transfer protein (lipid transfer protein), Chem. Phys. Lipids. 77, 51-63参照。)。
【0088】
このアッセイで用いた粒子は、下記の使用原料から形成した。DOPC(ジオレオイル・ホスファチジル・コリン)、BODIPY(登録商標)−CE(Molecular Probes C-3927)、トリオレイン(トリグリセリドの一種)およびアポHDLを含む合成ドナーHDL粒子を、非拡散性クエンチャー分子である、ダブシル(dabcyl)・ジセチルアミドを加えてバックグラウンドの蛍光を減らした以外は、実質的にエップス(Epps)らの報告に記載のプローブ超音波処理によって形成した。ダブシル・ジセチルアミドは、ジイソプロピルアミン触媒の存在下にダブシルn−コハク酸イミドをジセチルアミンとともにDMF中で95℃にて終夜加熱することで製造した。ヒト血液からの自然のリポタンパク質を、アクセプター粒子として用いた。密度1.063g/mL未満の粒子を、超遠心によって回収した。これらの粒子には、VLDL、IDLおよびLDLが含まれる。粒子濃度は、BCAアッセイ(Pierce, USA)によって測定したタンパク質濃度によって表現した。粒子は、用時まで4℃で保存した。
【0089】
ダイネックス・ミクロフルオル(Dynex Microfluor)2U字底黒色96ウェルプレート(カタログ番号7205)でアッセイを行った。CETP、1×CETP緩衝液(50mM Tris、pH7.4、100mM NaCl、1mM EDTA)および最終濃度の1/2濃度のアクセプター粒子を含むアッセイカクテルを調製し、このアッセイカクテル100μLをプレートの各ウェルに加えた。被験化合物のDMSO溶液を、容量3μLで加えた。プレートをプレート振盪器上で混合してから、25℃で1時間インキュベートした。ドナー粒子、残りのアクセプター粒子および1×CETP緩衝液を含む第2のアッセイカクテルを調製した。この第2のアッセイカクテル47μLを反応ウェルに加えて、アッセイを開始した。アッセイは、最終容量150μLで25℃にて行った。材料の最終濃度は、化合物の試験の場合は、5ng/Lドナー粒子、30ng/Lアクセプター粒子(それぞれタンパク質含有量によって表す。)、1×CETP緩衝液、0.8nM組換えヒトCETP(CHO細胞中で発現させ、部分的に精製したもの。)および2%以下のDMSOであった。このアッセイは、Ex=480nm、Em=511nmで45秒ごとにサンプルの読み取りを行い、496nmでのカットオフフィルターを用い、光電子増倍管設定が中であり、較正がオンであり、6回読み取り/ウェルとした25℃での45分動力学的走査に設定した蛍光プレート読み取り装置(モレキュラー・デバイシーズ・スペクトラマックス・ジェミニXS(Molecular Devices Spetramax GeminiXS))に従った。
【0090】
データは初期速度を得ることで評価し、多くの場合0〜500もしくは1000秒の曲線の擬似直線部分にわたっての相対蛍光単位/秒で表した。阻害薬を含むサンプルの速度と未阻害(DMSOのみ)陽性対照の速度との比較で、阻害パーセントを得た。シグモイド4パラメータ式に適合させた阻害パーセント−阻害薬濃度対数値のプロットを用いて、IC50を計算した。
【0091】
実施例
下記の図式および実施例は、本発明についての理解をさらに深めることを目的として提供されるものである。原料は公知の手順を用いて、または下記に示した方法に従って製造される。中間体の一部は製造したか、公開PCT出願WO2005/100298に開示の方法を用いて製造することができる。
【0092】
実施例は、いかなる形でも本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。CETPを阻害する化合物は、上記アッセイを用いた測定で50μM以下のIC50値を有する。実施例として記載している化合物(実施例1〜4、1Aおよび4A)は、上記アッセイを用いた測定で、約29nM〜3500nMの範囲のIC50値を有する。
【実施例】
【0093】
(実施例1および1A)
段階A
【0094】
【化7】

【0095】
3′−ヨード−4′−メトキシ−2−メチルビフェニル−4−カルボン酸メチル
4′−メトキシ−2−メチルビフェニル−4−カルボン酸メチル(1.2g、4.68mmol)、メタノール(20mL)、酢酸エチル(5mL)、ヨウ素(1.19g、4.68mmol)および硫酸銀(1.46g、4.68mmol)を室温で2時間攪拌して反応を完結させた。揮発分を減圧下に除去して黄色固体を得た。得られた固体をブラインで処理し、次に酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出液をNaSOで脱水し、次に濾過を行い、濃縮して紫色油状物を得た。得られた油状物を、SiO(バイオテージ・ホライズンフラッシュ(Biotage HorizonFlash)システム、40+Mカートリッジ)で精製して、所望の3′−ヨード−4′−メトキシ−2−メチルビフェニル−4−カルボン酸メチルとしての白色粉末を得た。LCMS計算値=382.01;実測値=383.15(M+1)
【0096】
段階B
【0097】
【化8】

【0098】
4′−メトキシ−2−メチル−3′−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−4−カルボン酸メチル
3′−ヨード−4′−メトキシ−2−メチルビフェニル−4−カルボン酸メチル(500mg、1.308mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(353mg、1.57mmol)、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライド・塩化メチレン付加物(214mg、0.262mmol)、酢酸カリウム(257mg、2.616mmol)および1,4−ジオキサン(2.5mL)を、マイクロ波容器中に密閉した。反応混合物を、マイクロ波によって140℃で20分間、次に130℃で30分間照射した。反応粗取得物をブラインで処理し、次に酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出液をNaSOで脱水し、次に濾過し、減圧下に濃縮して、4′−メトキシ−2−メチル−3′−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−4−カルボン酸メチルの粗混合物としての暗色油状物を得て、それをそれ以上精製せずに次のカップリングに用いた。LCMS計算値=382.20;実測値=383.41(M+1)
【0099】
段階C(実施例1A)
【0100】
【化9】

【0101】
2″−{[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メトキシカルボニル)アミノ]メチル}−4′−メトキシ−2−メチル−4″−(トリフルオロメチル)−1,1′:3′,1″−ターフェニル−4−カルボン酸メチル
公開された方法を用いて製造したメチル[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル][2−ヨード−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]カーバメート(200mg、0.342mmol)、4′−メトキシ−2−メチル−3′−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビフェニル−4−カルボン酸メチル(157mg、0.41mmol)、酢酸パラジウム(II)(16mg、0.071mmol)、炭酸カリウム(水溶液、1M、684μL、0.684mmol)およびアセトン(1mL)を合わせ、85℃油浴で42分間攪拌して反応を完結させた。粗反応混合物を冷却し(氷浴)、脱水した(NaSO)。得られた暗色混合物をSiOで精製して、2″−{[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メトキシカルボニル)アミノ]メチル}−4′−メトキシ−2−メチル−4″−(トリフルオロメチル)−1,1′:3′,1″−ターフェニル−4−カルボン酸メチルを含む透明ガラス状物を得た。LCMS計算値=713.18;実測値=714.30(M+1)
【0102】
段階D(実施例1)
【0103】
【化10】

【0104】
2″−{[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メトキシカルボニル)アミノ]メチル}−4′−メトキシ−2−メチル−4″−(トリフルオロメチル)−1,1′:3′,1″−ターフェニル−4−カルボン酸
2″−{[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メトキシカルボニル)アミノ]メチル}−4′−メトキシ−2−メチル−4″−(トリフルオロメチル)−1,1′:3′,1″−ターフェニル−4−カルボン酸メチル(34.7mg、0.0486mmol)、水酸化リチウム・1水和物(10mg、0.238mmol)、水(0.4mL)および1,4−ジオキサン(1mL)を室温で5.5時間攪拌して、反応を完結させた。粗混合物をHCl(1N水溶液、6mL)で酸性とした。得られた混合物をブラインで後処理し、酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出液を水で逆洗浄した。得られた有機層をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去して透明油状物を得た。得られた油状物をSiOで精製して、透明ガラス状物として2″−{[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メトキシカルボニル)アミノ]メチル}−4′−メトキシ−2−メチル−4″−(トリフルオロメチル)−1,1′:3′,1″−ターフェニル−4−カルボン酸を得た。LCMS計算値=699.17;実測値=700.29(M+1)H NMR(CDCl、500MHz)δ8.01(s、1H)、7.95(d、J=7.5Hz、1H)、7.72(s、1H)、7.58(d、J=8.0Hz、1H)、7.55〜7.46(m、1.5H)、7.43〜7.34(m、2.5H)、7.32〜7.25(m、1H)、7.07〜7.5(m、1H)、4.62〜4.22(m、4H)、3.77(s、3H)、3.73(d、J=17Hz、3H)、3.32(s、3H)。
【0105】
(実施例2)
【0106】
【化11】

【0107】
段階A
【0108】
【化12】

【0109】
メチル[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル][2−ヨード−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]カーバメート(0.89g、1.521mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.351g、0.304mmol)および炭酸ナトリウム(0.645g、6.08mmol)の含水エタノール(4.00mL)およびトルエン(8.00mL)混合液中の混合物を攪拌しながら、それに、公開された方法を用いて製造した2−クロロ−5−ニトロ−フェニルボロン酸(0.613g、3.04mmol)を加えた。混合物を還流下に2時間攪拌した。混合物を冷却し、溶媒を除去した。水を加え、混合物を塩化メチレンで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機分画をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に留去した。残留物を、CHCl/ヘキサンで溶離を行うシリカゲルバイオテージ40Mでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物を黄色固体として得た。H NMR(CDCl、500MHz)δ8.25(dd、J=9、2.5Hz、1H)、8.06(s、1H)、7.79(s、1H)、7.70(t、J=9.0Hz、1H)、7.60〜7.46(m、3H)、7.36(d、J=8.0Hz、1H)、7.07〜7.5(m、1H)、4.62〜4.22(m、4H)、3.70(s、3H)。
【0110】
段階B
【0111】
【化13】

【0112】
段階Aからの標題化合物に、MeOH中にてVを含む触媒量の1%Ptとともに1気圧の水素を充填した。混合物を室温で1時間攪拌した。TLCおよびLC/MSで、反応が完結したことが示された。混合物をセライトで濾過し、濾液を減圧下に溶媒留去して、標題化合物を無色固体として得た。残留物を、EtOAc/イソヘキサン(3:7)で溶離を行うシリカゲルバイオテージ40Mでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を無色固体として得た。H NMR(CDCl、500MHz)δ7.76(s、1H)、7.60(d、J=8.0Hz、1H)、7.57(m、1H)、7.49(m、2H)、7.32(d、J=7.5Hz、1H)、7.21(m、1H)、6.65(m、1H)、6.41(s、1H)、4.60〜4.22(m、4H)、3.70(m、3H)。LC−MS(M+1):585.05。
【0113】
段階C
【0114】
【化14】

【0115】
亜硝酸n−アミル(1.5当量)およびヨウ素(1.3当量)のクロロホルム(10mL)中混合物を0℃で冷却して攪拌しながら、それに段階Bからの標題化合物(300mg、0.513mmol)のクロロホルム(20mL)溶液を加え、得られた混合物を80℃で1時間攪拌した。TLCでは、原料が残っていないことが示された。得られた紫色混合物を冷却して室温とし、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。減圧下に溶媒留去した。残留物を、EtOAc/イソヘキサン(1:9)で溶離を行うシリカゲルバイオテージ40Mでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を黄色固体として得た。H NMR(CDCl、500MHz)δ7.79(s、1H)、7.68(m、1H)、7.64(d、J=8.0Hz、1H)、7.58(m、1H)、7.49(m、3H)、7.32(d、J=8.0Hz、1H)、7.22(d、J=8.0Hz、1H)、4.60〜4.22(m、4H)、3.80(m、3H)。
【0116】
段階D
【0117】
【化15】

【0118】
段階Cからの標題化合物(93mg、0.134mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(30.9mg、0.027mmol)および炭酸ナトリウム(31.2mg、0.294mmol)の含水エタノール(4.00mL)およびトルエン(8.00mL)混合液中の混合物を攪拌しながら、それに、公開された方法を用いて製造したホウ酸2−メチル−4−(メトキシカルボニル)フェニル(73.8mg、0.267mmol)を加えた。混合物を還流下に2時間攪拌した。混合物を冷却し、溶媒を除去した。水を加え、混合物を塩化メチレンで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機分画をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。残留物を、CHCl/ヘキサン(6:4)で溶離を行うシリカゲルバイオテージ40Sでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を黄色固体として得た。H NMR(CDCl、500MHz)δ7.97(s、1H)、7.90(d、J=8.0Hz、1H)、7.76(s、1H)、7.66(d、J=7.5Hz、1H)、7.57(m、3H)、7.49(m、1H)、7.40(d、J=8.5Hz、1H)、7.33(m、1H)、7.24(d、J=8.5Hz、1H)、7.12(s、1H)、4.70〜4.50(m、2H)、4.37〜4.28(m、2H)、3.98(s、3H)、3.80(m、3H)、2.28(s、3H)。LC−MS(M+):718.37。
【0119】
段階E
【0120】
【化16】

【0121】
段階Dからの標題化合物(75mg、0.104mmol)、LiOH(1.04mmol、1M水溶液)のジオキサン(2mL)中混合物を、室温で24時間攪拌した。溶媒を減圧下に除去した。1N HClを加えてpHを約4に調節した。混合物をEtOAc(10mLで3回)で抽出した。合わせたEtOAc層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した。残留物を、EtOAc/ヘキサン(7:3)で溶離を行うシリカゲルバイオテージ40Sでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を無色固体として得た。H NMR(CDCl、500MHz)δ8.03(s、1H)、7.97(d、J=8.5Hz、1H)、7.76(s、1H)、7.66(d、J=8.5Hz、1H)、7.58(m、3H)、7.49(m、1H)、7.41(d、J=8.0Hz、1H)、7.37(m、1H)、7.28(m、1H)、7.13(s、1H)、4.70〜4.50(m、2H)、4.30〜4.25(m、2H)、3.80(m、3H)、2.25(s、3H)。LC−MS(M+1):704.3。
【0122】
(実施例3)
【0123】
【化17】

【0124】
段階A
【0125】
【化18】

【0126】
実施例2段階Cからの標題化合物(93mg、0.134mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(30.9mg、0.027mmol)および炭酸ナトリウム(31.2mg、0.294mmol)の含水エタノール(4.00mL)およびトルエン(8.00mL)混合液中の混合物を攪拌しながら、それに2−フルオロ−4−(メトキシカルボニル)フェニルボロン酸(52.9mg、0.267mmol)を加えた。混合物を還流下に2時間攪拌した。混合物を冷却し、溶媒を除去した。水を加え、混合物を塩化メチレンで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機分画をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。残留物を、CHCl/ヘキサン(6:4)で溶離を行うシリカゲルバイオテージ40Sでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を黄色固体として得た。H NMR(CDCl、500MHz)δ7.91(d、J=8.0Hz、1H)、7.83(d、J=11.0Hz、1H)、7.74(s、1H)、7.66(d、J=8.0Hz、1H)、7.58(m、4H)、7.48(t、J=8.0Hz、2H)、7.40(d、J=8.5Hz、1H)、7.39(s、1H)、4.60〜4.30(m、4H)、3.98(s、3H)、3.77(m、3H)。LC−MS(M+1):722.36。
【0127】
段階B
【0128】
【化19】

【0129】
段階Aからの標題化合物(79mg、0.109mmol)、LiOH(1.09mmol、1M水溶液)のジオキサン(2mL)中混合物を、室温で6時間攪拌した。溶媒を減圧下に除去した。1N HClを加えてpHを約4に調節した。混合物をEtOAcで抽出した(10mLで3回)。合わせたEtOAc層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した。残留物を、EtOAc/ヘキサン(7:3)で溶離を行うシリカゲルバイオテージ40Sでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を無色固体として得た。H NMR(CDCl、500MHz)δ7.97(d、J=8.5Hz、1H)、7.88(d、J=11.0Hz、1H)、7.74(s、1H)、7.67(d、J=8.5Hz、1H)、7.58(m、4H)、7.52(t、J=8.0Hz、2H)、7.41(d、J=8.0Hz、1H)、7.40(s、1H)、4.60〜4.30(m、4H)、3.77(m、3H)。
【0130】
(実施例4および4A)
段階A
【0131】
【化20】

【0132】
2−アミノ−2′−フルオロ−4′−メトキシビフェニル−4−カルボン酸メチル
1−ブロモ−2−フルオロ−4−メトキシベンゼン(750mg、3.66mmol)、[2−アミノ−4−(メトキシカルボニル)フェニル]ボロン酸(856mg、4.39mmol)、酢酸カリウム(3.66mL、2M水溶液、7.32mmol)、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライド塩化メチレン付加物(299mg、10モル%)およびエタノール(30mL)を、80℃油浴で3時間加熱した。反応粗取得物をブラインで後処理し、酢酸エチルで抽出し、NaSOで脱水し、濾過し、溶媒留去して暗色油状物を得た。この油状物を、SiO(バイオテージ・ホライズンフラッシュシステム、40+Mカートリッジ、0%から25%EtOAc/ヘキサン(体積比))によって精製して、標題化合物を黄色結晶固体として得た。LCMS計算値=275.10;実測値=276.09(M+1)
【0133】
段階B
【0134】
【化21】

【0135】
2−クロロ−2′−フルオロ−4′−メトキシビフェニル−4−カルボン酸メチル
亜硝酸アミル(420μL、3.19mmol)および塩化銅(II)(343mg、2.55mmol)をアセトニトリル(5mL)に懸濁させ、65℃油浴で加熱した。この熱混合物に、2−アミノ−2′−フルオロ−4′−メトキシビフェニル−4−カルボン酸メチル(585mg、2.13mmol、MeCN(5mL)溶液)を約1分以内で加えた。得られた混合物を65℃油浴で合計2時間加熱した。粗反応混合物を、SiO(バイオテージ・ホライズンフラッシュシステム、40+Mカートリッジ、0%から20%EtOAc/ヘキサン(体積比))で精製して、標題化合物を黄色油状物として得た。LCMS計算値=294.05;実測値=295.03(M+1)
【0136】
段階C
【0137】
【化22】

【0138】
2−クロロ−2′−フルオロ−5′−ヨード−4′−メトキシビフェニル−4−カルボン酸メチル
2−クロロ−2′−フルオロ−4′−メトキシビフェニル−4−カルボン酸メチル(550mg、1.87mmol)、メタノール(8mL)、ヨウ素(474mg、1.87mmol)および硫酸銀(583mg、1.87mmol)を室温で2時間攪拌して反応を完結させた。粗反応混合物をNaHSO(水溶液)で後処理した。揮発分を減圧下に除去した。ポット残留物をブラインで後処理し、酢酸エチルで抽出し、NaSOで脱水し、濾過し、溶媒留去して、明褐色固体を得た。この固体を、SiO(バイオテージ・ホライズンフラッシュシステム、40+Mカートリッジ、0%から20%EtOAc/ヘキサン(体積比))で精製して、標題化合物を明黄色固体として得た。LCMS計算値=419.94;実測値=420.86(M+1)
【0139】
段階D
【0140】
【化23】

【0141】
メチル[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル][2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]カーバメート
メチル[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル][2−ヨード−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]カーバメート(218mg、0.373mmol)、酢酸カリウム(73.1mg、0.745mmol)、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライド塩化メチレン付加物(60.8mg、0.075mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(114mg、0.447mmol)および1,4−ジオキサン(1mL)を密閉し、合計で35分間(15分+20分)マイクロ波照射した。TLC(20%EtOAc/ヘキサン(体積比))で、反応が完結していることが示された。揮発分を減圧下に除去した。ポット残留物をブラインで後処理し、酢酸エチルで抽出し、NaSOで脱水し、濾過し、溶媒留去して、標題化合物を含む粗混合物としての粗油状物を得て、それをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。LCMS計算値=585.17;実測値=586.08(M+1)
【0142】
段階E(実施例4A)
【0143】
【化24】

【0144】
2″−{[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メトキシカルボニル)アミノ]メチル}−2−クロロ−6′−フルオロ−4′−メトキシ−4″−(トリフルオロメチル)−1,1′:3′,1″−ターフェニル−4−カルボン酸メチル
メチル[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル][2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]カーバメート(100mg、0.171mmol)、2−クロロ−2′−フルオロ−5′−ヨード−4′−メトキシビフェニル−4−カルボン酸メチル(71.9mg、0.171mmol)、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロライド塩化メチレン付加物(13.95mg、0.017mmol)、炭酸カリウム(0.256mL、0.513mmol)および1,4−ジオキサン(1mL)を密閉し、140℃で30分間マイクロ波照射した。少量サンプルは、所望の生成物の形成を示していた。粗反応混合物をNaSOで脱水した。得られた暗色混合物を、EtOAc/ヘキサン(20体積%)混合物によって展開を行う分取TLC(シリカゲル)によって精製して、標題化合物としての緑色ガラス状物を得た。LCMS計算値=751.12;実測値=752.36(M+1)
【0145】
段階F(実施例4)
【0146】
【化25】

【0147】
2″−{[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メトキシカルボニル)アミノ]メチル}−2−クロロ−6′−フルオロ−4′−メトキシ−4″−(トリフルオロメチル)−1,1′:3′,1″−ターフェニル−4−カルボン酸
2″−{[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メトキシカルボニル)アミノ]メチル}−2−クロロ−6′−フルオロ−4′−メトキシ−4″−(トリフルオロメチル)−1,1′:3′,1″−ターフェニル−4−カルボン酸メチル(34.7mg、0.0486mmol)、水酸化リチウム・1水和物(10mg、0.238mmol)、水(0.4mL)および1,4−ジオキサン(1mL)を、室温で5.5時間攪拌して反応を完結させた。粗混合物をHCl(1N水溶液、6mL)によって酸性とした。得られた混合物をブラインで後処理し、酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出液を水で逆洗浄した。得られた有機層をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去して、透明油状物を得た。得られた油状物をSiOで精製して、透明ガラス状物として、2″−{[[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル](メトキシカルボニル)アミノ]メチル}−2−クロロ−6′−フルオロ−4′−メトキシ−4″−(トリフルオロメチル)−1,1′:3′,1″−ターフェニル−4−カルボン酸を得た。LCMS計算値=699.17;実測値=700.29(M+1)H NMR(CDCl、500MHz)δ8.01(s、1H)、7.95(d、J=7.5Hz、1H)、7.72(s、1H)、7.58(d、J=8.0Hz、1H)、7.55〜7.46(m、1.5H)、7.43〜7.34(m、2.5H)、7.32〜7.25(m、1H)、7.07〜7.5(m、1H)、4.62〜4.22(m、4H)、3.77(s、3H)、3.73(d、J=17Hz、3H)、3.32(s、3H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iを有する化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化1】

[式中、
基で置換されている式Iのフェニル環は、式I中のRによる置換に対して開放されている4位のいずれかで−(CH)=に代えて−N=を有していても良く;
は、
(a)フェニルおよびナフチルから選択される芳香環;
(b)1〜2個の二重結合を有していても良い、5〜7員の非芳香族シクロアルキル環に縮合したフェニル環;
(c)独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、1〜3個の二重結合およびカルボニル基もしくは−N(O)−基を有していても良い、Aが結合している炭素原子に対するAの結合箇所がAの炭素原子である5〜6員の複素環;
(d)独立にO、NおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、1〜2個の二重結合を有していても良い、Aが結合している炭素原子に対するAの結合箇所がAの炭素原子である5〜6員の複素環に縮合したフェニル環を有するベンゾ複素環;および
(e)1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル環
からなる群から選択され;
は、Rから独立に選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;
は、(a)独立にRから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良いフェニルおよび(b)独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、1〜3個の二重結合およびカルボニル基もしくは−N(O)−基を有していても良い5〜6員複素環からなる群から選択され、Aが結合しているフェニルに対する前記複素環の結合箇所が前記複素環の炭素原子であり、前記複素環は−COH、−CO〜Cアルキル、−C(=O)SC〜Cアルキル、−CN、−NO、−C(=O)H、−OH、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−OC〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキニル、−C(=O)C〜Cアルキル、−NR、−C(=O)NR、−NRC(=O)OC〜Cアルキル、−NRC(=O)NR、−S(O)〜Cアルキル、−S(O)NR、−NRS(O)NR、1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、1〜3個の二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキルおよび−C(=O)C〜Cシクロアルキルから独立に選択される1〜2個の基で置換されており、および前記複素環は−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキルおよびハロゲンからなる群から独立に選択される1〜3個の基で置換されていても良く、1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニルおよび−C〜Cシクロアルキルは、いずれの場合も1〜15個のハロゲンおよび1個のフェニル基(このフェニル基はハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFから独立選択される1〜5個の置換基で置換されていても良い。)で置換されていても良く;
各R、RおよびRは、独立に−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、−OC〜Cアルキル、−OC〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキニル、1〜3個の二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cシクロアルキル、−C(=O)H、−COH、−CO〜Cアルキル、−C(=O)SC〜Cアルキル、−OH、−NR、−C(=O)NR、−NRC(=O)OC〜Cアルキル、−NRC(=O)NR、−S(O)〜Cアルキル、−S(O)NR、−NRS(O)NR、ハロゲン、−CN、−NOおよび独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員複素環からなる群から選択され、前記複素環は、カルボニル基を有していても良く、1〜3個の二重結合を有していても良く、R、RまたはRが結合している環への前記複素環の結合箇所は炭素原子であり、前記複素環は独立にハロゲン、−C〜Cアルキルおよび−OC〜Cアルキルから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く、−C〜Cアルキルおよび−OC〜Cアルキルは1〜7個のハロゲンで置換されていても良く;
、RおよびRが、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、−OC〜Cアルキル、−OC〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキニル、1〜3個の二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cシクロアルキル、−CO〜Cアルキル、−C(=O)SC〜Cアルキル、−NRC(=O)OC〜Cアルキルおよび−S(O)〜Cアルキルからなる群から選択される場合、R、RおよびRは、1〜15個のハロゲンで置換されていても良く、および(a)−OH、(b)−CN、(c)−NR、(d)1〜3個の二重結合を有していても良く1〜15個のハロゲンで置換されていても良い−C〜Cシクロアルキル、(e)1〜9個のハロゲンで置換されていても良く独立に−OC〜Cアルキルおよびフェニルから選択される1〜2個の置換基で置換されていても良い−OC〜Cアルキル、(f)1〜3個の二重結合を有していても良く1〜15個のハロゲンで置換されていても良い−OC〜Cシクロアルキル、(g)−COH、(h)−C(=O)CH、(i)1〜9個のハロゲンで置換されていても良い−CO〜Cアルキルおよび(j)独立にハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFから選択される1〜3個の基で置換されていても良いフェニルから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
式Iのフェニルまたは適宜のピリジニル環の隣接する炭素原子上にある2個の基Rが一体となって、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−および−CH=CH−CH=CH−から選択される架橋部分を形成していることで、式Iのフェニル環もしくは適宜のピリジニル環に縮合したシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニル環を生じていても良く、式Iのフェニルまたは適宜のピリジニル環に縮合した前記シクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニル環は、一体となって別の縮合環を形成することはできない1〜2個の基Rで置換されていても良く;
nは、0または1であり;
pは、0〜4の整数であり;
qは、0〜4の整数であり;
xは、0、1または2であり;
yは、1または2であり;
Zは、−S(O)〜Cアルキル、−S(O)NR1718、−C(=S)OC〜Cアルキルおよび−C(=O)Xからなる群から選択され、Xは、H、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−SC〜Cアルキルおよび−NRからなる群から選択され;−C〜Cアルキルは、いずれの場合も1〜13個のハロゲンで置換されていても良くおよび−OC〜Cアルキル、−CNおよび−NOから独立に選択される1〜2個の置換基で置換されていても良く、−OC〜Cアルキルは、1〜7個のハロゲンで置換されていても良くおよび1〜2個の−OC〜Cアルキルで置換されていても良く;
、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立にH、−OH、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cシクロアルキル、−OC〜Cアルキルおよび−NRからなる群から選択され、−C〜Cアルキル、−C〜Cシクロアルキルおよび−OC〜Cアルキルはそれぞれ、1〜9個のハロゲンで置換されていても良く、それぞれ−OH、−C(=O)CH、−OC(=O)CH、−OC〜Cアルキルおよび−OC〜Cアルキレン(OC〜Cアルキル)から独立に選択される1〜2個の基で置換されていても良く、RとR12が一体となってまたはR13とR14が一体となってオキソ基を形成していても良く;
およびRはそれぞれ独立にH、−C〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキルおよび−S(O)〜Cアルキルから選択され、−C〜Cアルキルはいずれの場合も1〜11個のハロゲンで置換されていても良く;
17およびR18はそれぞれ独立に、H、−C〜Cアルキルおよび−C〜Cシクロアルキルからなる群から選択され、−C〜Cアルキルおよび−C〜Cシクロアルキルは1〜13個のハロゲンで置換されていても良い。]
【請求項2】
下記式Iaを有する請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化2】

[式中、
基で置換されている式Iaのフェニル環は、式IaでRによる置換に対して開放されている4位のいずれかで−(CH)=に代えて−N=を有していても良く;
各Rは、独立に−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、シクロプロピル、−OC〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)H、−COH、−CO〜Cアルキル、−OH、−NR、−NRC(=O)OC〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、ハロゲン、−CN、−NOおよび独立にN、SおよびOから選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員複素環からなる群から選択され、Rが結合しているフェニル環に対する前記複素環の結合箇所は炭素原子であり、前記複素環は独立にハロゲンから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良く;Rが−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、シクロプロピル、−OC〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−CO〜Cアルキル、−NRC(=O)OC〜Cアルキルおよび−S(O)〜Cアルキルからなる群から選択される場合、Rのアルキル、アルケニルおよびシクロプロピル基は、1〜5個のハロゲンで置換されていても良くおよび(a)−OH、(b)−NR、(c)1〜3個のフッ素原子で置換されていても良く1個のフェニル基で置換されていても良い−OCHおよび(d)独立にハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFから選択される1〜3個の基で置換されていても良いフェニルから選択される1個の置換基で置換されていても良く;
tは、0〜5の整数である。]
【請求項3】
下記式Ibを有する請求項2に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【化3】

[式中、
基で置換されている式Ibのフェニル環は、式IbでRによる置換に対して開放されている4位のいずれかで−(CH)=に代えて−N=を有していても良く;他の基は請求項2で定義の通りである。]
【請求項4】
基で置換されている式Iのフェニル環が、式IにおけるRによる置換に対して開放されている4位のいずれかで−(CH)=に代えて−N=を有していても良く;Aが、独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、1〜3個の二重結合およびカルボニル基もしくは−N(O)−基を有していても良い5〜6員複素環であり、Aが結合しているフェニル環に対する複素環の結合箇所はその複素環の炭素原子であり、前記複素環は独立に−COH、−CO〜Cアルキル、−C(=O)SC〜Cアルキル、−CN、−NO、−C(=O)H、−OH、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−OC〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキニル、−C(=O)C〜Cアルキル、−NR、−C(=O)NR、−NRC(=O)OC〜Cアルキル、−NRC(=O)NR、−S(O)〜Cアルキル、−S(O)NR、−NRS(O)NR、1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、1〜3個の二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキルおよび−C(=O)C〜Cシクロアルキルから選択される1〜2個の基で置換されており、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキルおよびハロゲンから独立に選択される1〜3個の基で置換されていても良く、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニルおよび1〜3個の二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキルはいずれの場合も1〜15個のハロゲンおよび1個のフェニル基(このフェニル基はハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFから選択される1〜5個の置換基で置換されていても良い。)で置換されていても良い請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項5】
がピリジルまたはピリミジニルから選択される請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
基で置換されている式I、IaまたはIbのフェニル環が、式I、IaまたはIbでRによる置換に対して開放されている4位のうちのいずれかで−(CH)=に代えて−N=を有するという選択肢を持たない請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が、フェニル、ナフチル、−C〜Cシクロアルキルおよび独立にO、NおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し1〜3個の二重結合およびカルボニル基もしくは−N(O)−基を有していても良い複素環5〜6員環からなる群から選択され、Aが結合している炭素原子へのAの結合箇所はAの炭素原子であり、Aは1〜2個の置換基Rで置換されていても良く、各Rは−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)H、−NO、−CN、−S(O)〜Cアルキル、−NR、−C〜Cアルケニル、−C(=O)NR、ハロゲン、−C〜Cシクロアルキルおよび独立にN、SおよびOから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し1〜3個の二重結合を有していても良い5〜6員複素環から独立に選択され、C〜Cアルキル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルケニルはいずれの場合も1〜3個のハロゲンで置換されていても良く、−C〜Cシクロアルキルおよび前記5〜6員複素環は独立にハロゲンおよび−C〜Cアルキルから選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
各Rがハロゲン、−NR;−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cシクロアルキル、−C(=O)H、−COH、−CO〜Cアルキル、−C(=O)NR、−CN、−NOおよび独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子および適宜に1〜3個の二重結合を有している5〜6員複素環からなる群から独立に選択され、C〜Cアルキルおよび−C〜Cアルケニルはいずれの場合も1〜5個のハロゲンで置換されていても良く、−C〜Cシクロアルキルおよび前記5〜6員複素環はいずれの場合も、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−CFおよび−OCFから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されていても良く;
で置換されている式I、IaまたはIbのフェニル環の隣接する炭素原子上にある2個の基Rが一体となって、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−および−CH=CH−CH=CH−から選択される架橋部分を形成していることで、式I、IaまたはIbのフェニル環に縮合したシクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニル環を形成していても良く、式I、IaまたはIbの前記シクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニル環は、1〜2個の基Rで置換されていても良く;
nが、0および1から選択される整数であり;
pおよびqが、それぞれ独立に0〜3から選択される整数であり;
tが存在する場合、それは0〜4から選択される整数であり;
xが、0、1および2から選択される整数であり;
yが、1および2から選択される整数であり;
が、H、F、OH、C〜Cアルキルおよび−OC〜Cアルキルからなる群から選択され、C〜Cアルキルおよび−OC〜Cアルキルはそれぞれ、1〜3個のハロゲンで置換されていても良く、1個の−OC〜Cアルキルで置換されていても良く;
およびRがそれぞれ独立にHおよび−C〜Cアルキルから選択され;
12、R13、R14、R15およびR16がそれぞれ、Hまたは−C〜Cアルキルであり;
Zが、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)OC〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、−C(=O)H、−C(=O)NR、−C(=O)SC〜Cアルキルおよび−C(=S)OC〜Cアルキルからなる群から選択される請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、フェニル、チエニル、フリル、ピリジル、1−オキシドピリジニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリル、ジヒドロインドリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
がHまたはCHであり;
12、R13、R14、R15およびR16がそれぞれHであり;
nが0である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がフェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキル、−NR、−COH、−CO〜Cアルキルおよび−CNからなる群から選択され、−C〜Cアルキルおよび−C〜Cアルケニルはいずれの使用においても、1〜3個のハロゲンおよび適宜の1個の−OH基で置換されていても良く;
tが、0〜3の整数である請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
、RおよびRがそれぞれ独立にハロゲン、−NR、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、二重結合を有していても良い−C〜Cシクロアルキル、二重結合を有していても良い−OC〜Cシクロアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cシクロアルキル、−C(=O)H、−COH、−CO〜Cアルキル、−C(=O)NR、−CN、−NOおよび独立にN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有し1〜3個の二重結合を有していても良い5〜6員複素環からなる群から選択され、C〜Cアルキルおよび−C〜Cアルケニルはいずれの場合も、1〜5個のハロゲンで置換されていても良く、−C〜Cシクロアルキルおよび前記5〜6員複素環はいずれの場合も、独立にハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−CFおよび−OCFから選択される1〜3個の置換基で置換されていても良い請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
、RおよびRがそれぞれ独立にハロゲン、シクロプロピル、−NR、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキル、−CN、−NOおよびピリジニルからなる群から選択され、シクロプロピル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルケニルはいずれの場合も、1〜3個のハロゲンで置換されていても良く、ピリジニルはハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFからなる群から独立に選択される1〜3個の置換基で置換されていても良い請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
、RおよびRがそれぞれ独立に、ハロゲン、−NR、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキル、−CN、−NOおよびピリジニルからなる群から選択され、C〜CアルキルおよびC〜Cアルケニルはいずれの場合も1〜3個のハロゲンで置換されていても良く、ピリジニルはハロゲン、−CH、−CF、−OCHおよび−OCFからなる群から独立に選択される1〜3個の置換基で置換されていても良い請求項2に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項14】
基で置換されている式Ibのフェニル環が、式IbにおいてRによる置換に対して開放されている4位のうちのいずれかで−(CH)=に代えて−N=を有するという選択肢を持たず;
が、独立にRから選択される1〜2個の置換基で置換されたフェニルであり;
、RおよびRがそれぞれ独立に、ハロゲン、−NR、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキル、−CNおよび−NOからなる群から選択され、C〜CアルキルおよびC〜Cアルケニルがいずれの場合も、1〜3個のハロゲンで置換されていても良く;
が、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−OC〜Cアルキル、−NR、−COH、−CO〜Cアルキルおよび−CNからなる群から選択され、−C〜Cアルキルおよび−C〜Cアルケニルがいずれの使用においても、1〜3個のハロゲンで置換されていても良く;
Zが、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)OC〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、−C(=O)H、−C(=O)NR、−C(=O)SC〜Cアルキルおよび−C(=S)OC〜Cアルキルからなる群から選択され;
、R12、R15およびR16がそれぞれHであり;
およびRがそれぞれ独立に、Hおよび−C〜Cアルキルから選択され;
p、qおよびtが、独立に0〜2から選択される整数であり;
yが、1および2から選択される整数であり;
nが0である請求項3に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項15】
、RおよびRがそれぞれ独立に、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−CF、−OCF−CNおよび−NOからなる群から選択され;
が、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−COH、−CO〜Cアルキル、−CF、−OCFおよび−CNからなる群から選択され;
Zが、−C(=O)C〜Cアルキル、−C(=O)OC〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、−C(=O)Hおよび−C(=O)NRからなる群から選択され;
およびRがそれぞれ独立に、Hおよび−CHから選択され;
p、qおよびtが、独立に1〜2から選択される整数である請求項14に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩ならびに製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項17】
下記に示した請求項15に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩。
【表1】


【請求項18】
患者に対して治療上有効量の請求項1に記載に化合物または該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、処置を必要とする患者でのアテローム性動脈硬化の治療方法。
【請求項19】
患者に対して治療上有効量の請求項1に記載に化合物または該化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する、処置を必要とする患者でのHDL−Cの上昇方法。
【請求項20】
アテローム性動脈硬化を治療するための医薬品の製造における請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩の使用。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物もしくは該化合物の製薬上許容される塩、製薬上許容される担体、ならびに1以上の
(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬;
(ii)胆汁酸封鎖剤;
(iii)ナイアシンおよび関連化合物;
(iv)PPARα作働薬;
(v)コレステロール吸収阻害薬;
(vi)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害薬;
(vii)フェノール系抗酸化剤;
(viii)ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)/ApoB分泌阻害薬;
(ix)抗酸化性ビタミン類;
(x)甲状腺ホルモン模倣薬;
(xi)LDL(低密度リポタンパク質)受容体誘発剤;
(xii)血小板凝集阻害薬;
(xiii)ビタミンB12(シアノコバラミンとも称される);
(xiv)葉酸またはそれの製薬上許容される塩もしくはエステル;
(xv)FXRおよびLXRリガンド;
(xvi)ABCA1遺伝子発現を促進する薬剤;および
(xvii)回腸胆汁酸輸送体
からなる群から選択される有効成分を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2009−512701(P2009−512701A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536714(P2008−536714)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/040400
【国際公開番号】WO2007/047591
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】