説明

CoQ10含有栄養組成物

【課題】本発明は、筋肉疲労や慢性疲労、又は透析患者における疲労を予防及び/又は改善する栄養組成物を提供することである。
【解決手段】カルニチン誘導体、コエンザイムQ10、オリゴ糖、及び水溶性ビタミンを含有する栄養組成物の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は栄養組成物、特に疲労の予防及び/または改善のための栄養組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
疲労とは、倦怠感、思考力の低下、身体の痛みなどの自覚的感覚により、筋肉の運動や思考活動をしたくなくなる状態である。
【0003】
疲労感を自覚している人の割合は、健常人では約60%(1998年、厚生労働省)といわれている。疾患を伴った疲労としては慢性疲労症候群、腎不全(透析)などがあり各々20万人、26万人と患者数が増加してきている。
【0004】
コエンザイムQ10はベンゾキノン誘導体であり、広く生物界に分布していることからユビキノン(酸化型コエンザイムQ10)と命名された。これを2電子還元したヒドロキノン体がユビキノール(還元型コエンザイムQ10)である。イソプレノイド側鎖の長さ(n)の違いにより多数の同族体が存在するが(n=1〜12)、生合成されるため、主たる同族体は種によって決まっている。哺乳類ではn=9,10が主であり、例えばマウス、ラットではn=9が多く、ウサギでn=10が多い。ヒトはn=10である。
【0005】
コエンザイムQ10は、生体内の細胞中におけるミトコンドリアの電子伝達系構成成分として存在する生理学的成分であり、生体内において酸化と還元を繰り返すことで電子伝達系における伝達成分としての機能を担っている。コエンザイムQ10は生体内において、エネルギー生産及び抗酸化活性を示すことから、その有用性は広く知られている。コエンザイムQ10はヒトの体内で生合成される分子であるが、加齢と共に生合成量が低下すること、あるいはさまざまな疾患における生体中のコエンザイムQ10量の減少が報告されている。このような疾患では外部からのコエンザイムQ10の供給が良好な結果をもた
らしている(特許文献1)。
【0006】
疲労改善のためには、睡眠、休養や体操あるいは食事、医学療法などの手段があるが栄養組成物による対策も望まれている。現在、疲労回復を目的として多くの素材や成分が検討されており、以下のようなものが公知である。例えば、クエン酸、リンゴ酸、及び酒石酸を含有する疲労改善剤(特許文献2)、乳蛋白質加水分解物、コラーゲン蛋白質加水分解物、大豆蛋白質及びその加水分解物に生薬類とビタミン類を含有する経口組成物(特許文献3)、カフェインとクエン酸、リンゴ酸や酒石酸など(特許文献4)を含有する疲労改善用組成物、ビオチン、カルニチン、及びパントテン酸(特許文献5)を含有する疲労改善剤が挙げられる。
【特許文献1】特開2003−169633号公報
【特許文献2】特開平10−175856号公報
【特許文献3】特開2002−255846号公報
【特許文献4】特開平09−059161号公報
【特許文献5】特開平07−233070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、疲労を予防及び/又は改善するための栄養組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来の素材や成分、又は組成物は、筋肉疲労や慢性疲労、又は滋養強壮といった健常者の疲労回復を目的としたものであり、慢性疲労症候群や透析患者の疲労改善を意図したものではなかった。さらに風味の点で改善を要するものも多い。
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カルニチン誘導体、コエンザイムQ10、オリゴ糖、及び水溶性ビタミンという特定の成分を組み合わせた組成物を投与することにより、筋肉疲労や慢性疲労がより効果的に改善されることを見出した。また、これとは別に、カルニチン誘導体、コエンザイムQ10、オリゴ糖、及び水溶性ビタミンを組み合わせた組成物を投与することにより、透析患者における疲労を効果的に予防及び/又は改善し、風味にも優れていることを見出し、これとは別に長期摂取に適することを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち本発明としては以下のものが挙げられる。
〔1〕カルニチン誘導体、コエンザイムQ10、オリゴ糖、及び水溶性ビタミンを含有する栄養組成物。
〔2〕カルニチン誘導体がL−カルニチンである上記〔1〕に記載の栄養組成物。
〔3〕さらに、ミネラルを含有する上記〔1〕又は〔2〕に記載の栄養組成物。
〔4〕疲労改善のための上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の栄養組成物。
〔5〕水溶性ビタミンがビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、及びビタミンCからなる群から選ばれる1種又は2種以上の水溶性ビタミンである上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の栄養組成物。
〔6〕ミネラルが亜鉛である上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の栄養組成物。
〔7〕1日あたり、L−カルニチンが300〜1000mg、コエンザイムQ10が20〜80mg、オリゴ糖が3〜20g、亜鉛が6〜18mg、及び葉酸が150〜5000μg摂取されるように配合された上記〔6〕に記載の栄養組成物。
〔8〕栄養組成物が液体である上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の栄養組成物。
〔9〕L−カルニチンの含量が6〜20mg/mL、コエンザイムQ10の含量が0.4〜1.6mg/mL、オリゴ糖の含量が0.065〜0.4g/mL、亜鉛の含量が0.12〜0.36mg/mL、及び葉酸の含量が3〜100μg/mLである上記〔8〕に記載の栄養組成物。
〔10〕透析患者用である上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の栄養組成物。
〔11〕慢性疲労症候群患者用である上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の栄養組成物。
〔12〕上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の栄養組成物を含有する栄養補助食品。
〔13〕上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の栄養組成物を含有する透析後の疲労予防及び/又は改善剤。
〔14〕透析後の疲労予防及び/又は改善剤製造のための上記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の栄養組成物の使用。
〔15〕上記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の栄養組成物を哺乳動物に摂取させる工程を含む透析後の疲労予防及び/又は改善方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の栄養組成物は、筋肉疲労や慢性疲労のみならず透析患者における疲労を効果的に予防及び/又は改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本願発明について具体的に説明する。
【0013】
本発明の栄養組成物により、疲労を効果的に予防及び/又は改善することができる。
【0014】
”疲労”としては”身体的あるいは精神的負荷を連続して与えられたときにみられる一時的な身体的および精神的作業能力の質的あるいは量的な低下”が挙げられ、また、倦怠感、思考力の低下、又は身体の痛み等の自覚的感覚により、筋肉の運動や思考活動をしたくなくなる状態が挙げられる。疲労の具体例としては、筋肉疲労、慢性疲労、急性疲労、又は透析後の疲労が挙げられ、慢性疲労又は透析後の疲労が好ましい例として挙げられる。特に本発明の栄養組成物は透析患者に対して効果的に使用することが好ましく、透析後の疲労を効果的に予防及び/又は改善することができる。また、本発明の栄養組成物が、
筋肉疲労、慢性疲労、及び透析後の疲労を効果的に予防及び/又は改善するという効果の態様も好ましい。
【0015】
本発明の栄養組成物は、カルニチン誘導体、コエンザイムQ10、オリゴ糖、及び水溶性ビタミンを含有すれば特に限定されるものではないが、さらにミネラルを含有することが好ましい。
【0016】
本発明において用いられるコエンザイムQ10は、医薬又は食品として服用又は食用可能なコエンザイムQ10であればその由来および製法は何ら限定されるものでは無い。本発明に用いられるコエンザイムQ10としては、酸化型又は還元型が挙げられるが酸化型が好ましい。また、還元型が好ましい別の態様もある。その他、生体内でコエンザイムQ10に変換する化合物であってもよい。
【0017】
本発明において用いられるカルニチン誘導体としては、L−カルニチン、又はアセチルL−カルニチン、ブチリルL−カルニチン、バレリルL−カルニチン、イソバレリルL−カルニチンに例示されるアルカノイルL−カルニチン、或いはそれらの酸付加塩が挙げられる。また、酸付加塩としては、L−カルニチンと塩を形成するものであれば特に限定されないが薬学上許容される酸付加塩が好ましい。具体的には、酒石酸塩、フマル酸塩、マグネシウムクエン酸塩、又は塩酸塩等を挙げられるがこれらに限定されることはない。カルニチン誘導体としては上記のものであれば特に限定されるものではないが、L−カルニ
チン又はL−カルニチン酒石酸塩が好ましく、L−カルニチンがより好ましい。本発明の栄養組成物は1種又は2種以上のカルニチン誘導体を含有することができる。
【0018】
本発明において用いられるオリゴ糖としては、ビフィズス菌活性を有するオリゴ糖であれば特に限定されないが、グルコース、フラクトース、又はガラクトース等の単糖類が2〜10個程度結びついたものが挙げられる。具体的にはパラチノースオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラクトスクロース、ガラクトオリゴ糖、ラクチュロース、イソマルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、大豆オリゴ糖、又はラフィノースが挙げられ、フラクトオリゴ糖又はガラクトオリゴ糖が好ましく、ガラクトオリゴ糖がより好ましい。本発明の栄養組成物は1種又は2種以上のオリゴ糖を含
有することができる。
【0019】
本発明において用いられる水溶性ビタミンとしては、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、又はビタミンCが例示され、ビタミンB1又は葉酸が好ましく、葉酸がより好ましい。本発明の栄養組成物は1種又は2種以上の水溶性ビタミンを含有することができるが、少なくとも葉酸を含有することが好ましく、ビタミンB1及び葉酸を含有することがより好ましく、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、及びビタミンCを含有することがさらに好ましい。
【0020】
本発明において用いられるミネラルとしては、カルシウム、マグネシウム、鉄、又は亜鉛が例示され、鉄又は亜鉛が好ましく、亜鉛がより好ましい。本発明の栄養組成物は1種又は2種以上のミネラルを含有することができる。
【0021】
本発明の栄養組成物において、カルニチン誘導体、コエンザイムQ10、オリゴ糖、ミネラル、及び水溶性ビタミンの含量は筋肉疲労や慢性疲労を予防及び/又は改善する量であれば特に限定されない。また、透析患者における疲労を予防及び/又は改善する量であれば特に限定されない。栄養組成物中の各成分の含量は、1日あたりの摂取量が例えば以下に示す量となるように適宜調整すればよい。
【0022】
L−カルニチンの1日あたりの摂取量は下限としては50mg以上が例示され、100mg以上が好ましく、200mg以上がより好ましく、300mg以上がさらに好ましく、400mg以上が特に好ましく、500mg以上が最も好ましく、上限としては2000mg以下が好ましく、1500mg以下がより好ましく、1000mg以下がさらに好ましく、800mg以下が特に好ましく、600mg以下が最も好ましい。
【0023】
コエンザイムQ10の1日あたりの摂取量は下限としては5mg以上が例示され、10mg以上が好ましく、15mg以上がより好ましく、20mg以上がさらに好ましく、25mg以上が特に好ましく、30mg以上が最も好ましく、上限としては140mg以下が例示され、120mg以下が好ましく、100mg以下がより好ましく、80mg以下がさらに好ましく、60mg以下が特に好ましく、50mg以下が最も好ましい。
【0024】
オリゴ糖の1日あたりの摂取量は下限としては1g以上が好ましく、2g以上がより好ましく、3g以上がさらに好ましく、4g以上が特に好ましく、5g以上が最も好ましく、上限としては30g以下が好ましく、25g以下がより好ましく、20g以下がさらに好ましく、15g以下が特に好ましく、10g以下が最も好ましい。
【0025】
カルシウムの1日あたりの摂取量は下限としては200mg以上が好ましく、300mg以上がより好ましく、400mg以上がさらに好ましく、500mg以上が特に好ましく、600mg以上が最も好ましく、上限としては1100mg以下が好ましく、1000mg以下がより好ましく、9000mg以下がさらに好ましく、800mg以下が特に好ましく、700mg以下が最も好ましい。
【0026】
マグネシウムの1日あたりの摂取量は下限としては100mg以上が好ましく、150mg以上がより好ましく、200mg以上がさらに好ましく、250mg以上が特に好ましく、300mg以上が最も好ましく、上限としては600mg以下が好ましく、550mg以下がより好ましく、500mg以下がさらに好ましく、450mg以下が特に好ましく、400mg以下が最も好ましい。
【0027】
鉄の1日あたりの摂取量は下限としては1mg以上が好ましく、2mg以上がより好ましく、3mg以上がさらに好ましく、4mg以上が特に好ましく、5mg以上が最も好ましく、上限としては20mg以下が好ましく、19mg以下がより好ましく、18mg以下がさらに好ましく、17mg以下が特に好ましく、16mg以下が最も好ましい。
【0028】
亜鉛の1日あたりの摂取量は下限としては4mg以上が好ましく、5mg以上がより好ましく、6mg以上がさらに好ましく、7mg以上が特に好ましく、8mg以上が最も好ましく、上限としては20mg以下が好ましく、19mg以下がより好ましく、18mg以下がさらに好ましく、17mg以下が特に好ましく、16mg以下が最も好ましい。
【0029】
カリウムの1日あたりの摂取量は上限としては140mg以下が好ましく、120mg以下がより好ましく、100mg以下がさらに好ましく、80mg以下が特に好ましく、60mg以下が最も好ましい。透析患者などの慢性腎不全患者においては、カリウム摂取は少ない方が好ましい場合があり、その場合には30mg以下が好ましく、さらにいえば10mg以下が好ましい。
【0030】
リンの1日あたりの摂取量は上限としては140mg以下が好ましく、120mg以下がより好ましく、100mg以下がさらに好ましく、80mg以下が特に好ましく、60mg以下が最も好ましい。透析患者などの慢性腎不全患者においては、リン摂取は少ない方が好ましい場合があり、その場合には30mg以下が好ましく、さらにいえば10mg以下が好ましい。
【0031】
ビタミンB1の1日あたりの摂取量は下限としては0.1mg以上が好ましく、0.3mg以上がより好ましく、0.5mg以上がさらに好ましく、0.7mg以上が特に好ましく、0.9mg以上が最も好ましく、上限としては4mg以下が好ましく、3.5mg以下がより好ましく、3mg以下がさらに好ましく、2.5mg以下が特に好ましく、2mg以下が最も好ましい。また、ビタミンB1を積極的に摂取することが疲労回復に効果があるとするときなど、ビタミンB1の1日あたりの摂取量は下限としては0.1mg以上が好ましく、0.3mg以上がより好ましく、1mg以上がさらに好ましく、3mg以上が特に好ましく、上限としては20mg以下が好ましく、15mg以下がより好ましく、10mg以下がさらに好ましい別の態様もある。
【0032】
ビタミンB2の1日あたりの摂取量は下限としては0.1mg以上が好ましく、0.3mg以上がより好ましく、0.5mg以上がさらに好ましく、1mg以上が特に好ましく、1.5mg以上が最も好ましく、上限としては5mg以下が好ましく、4.5mg以下がより好ましく、4mg以下がさらに好ましく、3.5mg以下が特に好ましく、3mg以下が最も好ましい。
【0033】
ナイアシンの1日あたりの摂取量は下限としては1mg以上が好ましく、3mg以上がより好ましく、5mg以上がさらに好ましく、7mg以上が特に好ましく、9mg以上が最も好ましく、上限としては40mg以下が好ましく、35mg以下がより好ましく、30mg以下がさらに好ましく、25mg以下が特に好ましく、20mg以下が最も好ましい。
【0034】
ビタミンB6の1日あたりの摂取量は下限としては1mg以上が好ましく、2mg以上がより好ましく、3mg以上がさらに好ましく、4mg以上が特に好ましく、5mg以上が最も好ましく、上限としては40mg以下が好ましく、35mg以下がより好ましく、30mg以下がさらに好ましく、25mg以下が特に好ましく、20mg以下が最も好ましい。
【0035】
ビタミンB12の1日あたりの摂取量は下限としては0.1μg以上が好ましく、0.3μg以上がより好ましく、0.5μ以上がさらに好ましく、0.7μg以上が特に好ましく、0.9μg以上が最も好ましく、上限としては18μg以下が好ましく、16μg以下がより好ましく、14μg以下がさらに好ましく、12μg以下が特に好ましく、10μg以下が最も好ましい。また、ビタミンB12を積極的に摂取することが疲労回復に効果があるとするときなど、ビタミンB12の1日あたりの摂取量は下限としては0.1μg以上が好ましく、0.5μg以上がより好ましく、1μ以上がさらに好ましく、5μg以上が特に好ましく、上限としては50μg以下が好ましく、40μg以下がより好ましく、30μg以下がさらに好ましい別の態様もある。
【0036】
葉酸の1日あたりの摂取量は下限としては10μg以上が例示され、50μg以上が好ましく、100μg以上がより好ましく、150μg以上がさらに好ましく、200μg以上が特に好ましく、500μg以上が最も好ましく、上限としては20000μg以下が例示され、15000μg以下が好ましく、10000μg以下がより好ましく、5000μg以下がさらに好ましく、2500μg以下が特に好ましく、1500μg以下が最も好ましい。
【0037】
ビタミンCの1日あたりの摂取量は下限としては5mg以上が例示され、10mg以上が好ましく、15mg以上がより好ましく、20mg以上がさらに好ましく、25mg以上が特に好ましく、30mg以上が最も好ましく、上限としては180mg以下が例示され、160mg以下が好ましく、140mg以下がより好ましく、120mg以下がさらに好ましく、100mg以下が特に好ましく、80mg以下が最も好ましい。
【0038】
ビタミンEの1日あたりの摂取量は上限としては40mg以下が例示され、35mg以下が好ましく、30mg以下がより好ましく、25mg以下がさらに好ましく、20mg以下が特に好ましく、15mg以下が最も好ましい。透析患者には、ビタミンEは蓄積する傾向にあるため、摂取は少ない方が好ましい場合がある。
【0039】
ビタミンAの1日あたりの摂取量は上限としては50μg以下が好ましく、40μg以下がより好ましく、30μg以下がさらに好ましく、20μg以下が特に好ましく、10μg以下が最も好ましい。透析患者には、ビタミンAは蓄積する傾向にあるため、摂取は少ないほうが好ましい場合がある。
【0040】
ビタミンDの1日あたりの摂取量は上限としては10μg以下が好ましく、8μg以下がより好ましく、6μg以下がさらに好ましく、4μg以下が特に好ましく、2μg以下が最も好ましい。透析患者には、ビタミンDは蓄積する傾向にあるため、摂取は少ないほうが好ましい場合がある。
さらに、透析患者など、慢性腎不全の患者においては、脂溶性ビタミンは蓄積傾向にあるため、ビタミンE,A,Dなど脂溶性ビタミンの添加については、通常の食品からの摂取も合わせて総合的に判断する必要がある。
【0041】
さらに、本発明の栄養組成物には、医薬、食品、又は飼料の製造に用いられる種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、油脂(例えば、大豆油、サフラワー油、オリーブ油、胚芽油、ヒマワリ油、牛脂、又はイワシ油等)や、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、又はグリセリン等)、糖アルコール(例えば、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、又はマンニトール等)、界面活性剤(例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、又はショ糖脂肪酸エステル等)、精製水、賦形剤(例えば乳糖、デキストリン、澱粉、結晶セルロース、又はサイクロデキストリン等)、アラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、グルテン又はグルテン加水分解物、レシチン、デキストリン、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、その他の添加剤として安定剤、pH調製剤、酸化防止剤、甘味料、呈味成分、酸味料、着色料、又は香料などが挙げられる。
【0042】
本発明により、栄養組成物を含有する栄養補助食品が提供される。栄養補助食品としては、毎日の食事だけでは十分に取る事のできない栄養素を補うための食品が挙げられる。
栄養組成物それ自体が栄養補助食品となる場合もある。
【0043】
本発明の栄養組成物又は栄養補助食品の形態としては、固体又は液体であってもよく、その形態は特に限定されることはないが、液体であることが好ましい。具体的には、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、顆粒剤、粉剤、錠剤、ドリンク剤、流動食、茶飲料、清涼飲料、パン類、麺類、パスタ、菓子、例えばクッキー類、チョコレート、キャンディ、又はチューインガム等が挙げられ、好ましくは清涼飲料又はドリンク剤が挙げられ、より好ましくはドリンク剤が挙げられる。本発明の栄養組成物又は栄養補助食品は、その製造に用いられる他の食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維、種々の添加剤、例えばアルコール、水、水溶性高分子、呈味成分、甘味料、酸味料、安定剤、又はフレーバー等を配合して、常法に従って製造することができる。
【0044】
本発明の栄養組成物が摂取される対象は特に限定されないが、慢性疲労症候群患者又は透析患者により摂取されることが好ましい。特に透析患者の透析後の疲労の予防及び/又は改善に効果的に使用することができる。
【0045】
また摂取経路は経口又は非経口であってもよく、特に限定されないが、経口で摂取することが好ましい。
【0046】
透析患者に摂取される場合、透析する際に摂取されれば良く、透析前に摂取することができる。また透析後に摂取することもできる。透析後の疲労予防及び/又は改善に効果的に改善されれば摂取のタイミングは特に限定されないが、透析による水溶性成分の血中からの除去を考慮すると、透析後の摂取が好ましい。
【0047】
本発明の栄養組成物の摂取量は、上記1日あたりの好ましい量に栄養組成物の含量を調整して適宜摂取することができる。
【0048】
本発明により、カルニチン誘導体、コエンザイムQ10、オリゴ糖、及び水溶性ビタミンを含有する透析後の疲労予防及び/又は改善剤が提供される。
【0049】
本発明の栄養組成物の好ましい態様としては、1日あたり、L−カルニチンが300〜1000mg、コエンザイムQ10が20〜80mg、オリゴ糖が3〜20g、亜鉛が6〜18mg、及び葉酸が150〜5000μg摂取される栄養組成物が挙げられる。当該態様において示される各成分は、少なくとも摂取される成分であり、その他の成分が摂取されてもよい。
【0050】
本発明の栄養組成物が液体である場合、栄養組成物中の各成分の含量の好ましい態様としては以下のものが挙げられる
すなわち、栄養組成物中におけるL−カルニチンの含量は下限としては1mg/mL以上が例示され、2mg/mL以上が好ましく、4mg/mL以上がより好ましく、6mg/mL以上がさらに好ましく、8mg/mL以上が特に好ましく、10mg/mL以上が最も好ましく、上限としては40mg/mL以下が好ましく、30mg/mL以下がより好ましく、20mg/mL以下がさらに好ましく、16mg/mL以下が特に好ましく、12mg/mL以下が最も好ましい。
【0051】
コエンザイムQ10の含量は下限としては0.1mg/mL以上が例示され、0.2mg/mL以上が好ましく、0.3mg/mL以上がより好ましく、0.4mg/mL以上がさらに好ましく、0.5mg/mL以上が特に好ましく、0.6mg/mL以上が最も好ましく、上限としては2.8mg/mL以下が例示され、2.4mg/mL以下が好ましく、2.0mg/mL以下がより好ましく、1.6mg/mL以下がさらに好ましく、1.2mg/mL以下が特に好ましく、1.0mg/mL以下が最も好ましい。
【0052】
オリゴ糖の含量は下限としては0.02g/mL以上が好ましく、0.04g/mL以上がより好ましく、0.06g/mL以上がさらに好ましく、0.08g/mL以上が特に好ましく、0.10g/mL以上が最も好ましく、上限としては0.6g/mL以下が好ましく、0.5g/mL以下がより好ましく、0.4g/mL以下がさらに好ましく、0.3g/mL以下が特に好ましく、0.2g/mL以下が最も好ましい。
【0053】
カルシウムの含量は下限としては4mg/mL以上が好ましく、6mg/mL以上がより好ましく、8mg/mL以上がさらに好ましく、10mg/mL以上が特に好ましく、12mg/mL以上が最も好ましく、上限としては22mg/mL以下が好ましく、20mg/mL以下がより好ましく、18mg/mL以下がさらに好ましく、16mg/mL以下が特に好ましく、14mg/mL以下が最も好ましい。
【0054】
マグネシウムの含量は下限としては2mg/mL以上が好ましく、3mg/mL以上がより好ましく、4mg/mL以上がさらに好ましく、5mg/mL以上が特に好ましく、6mg/mL以上が最も好ましく、上限としては12mg/mL以下が好ましく、11mg/mL以下がより好ましく、10mg/mL以下がさらに好ましく、9mg/mL以下が特に好ましく、8mg/mL以下が最も好ましい。
【0055】
鉄の含量は下限としては0.02mg/mL以上が好ましく、0.04mg/mL以上がより好ましく、0.06mg/mL以上がさらに好ましく、0.08mg/mL以上が特に好ましく、0.10mg/mL以上が最も好ましく、上限としては0.40mg/mL以下が好ましく、0.38mg/mL以下がより好ましく、0.36mg/mL以下がさらに好ましく、0.34mg/mL以下が特に好ましく、0.32mg/mL以下が最も好ましい。
【0056】
亜鉛の含量は下限としては0.08mg/mL以上が好ましく、0.10mg/mL以上がより好ましく、0.12mg/mL以上がさらに好ましく、0.14mg/mL以上が特に好ましく、0.16mg/mL以上が最も好ましく、上限としては0.40mg/mL以下が好ましく、0.38mg/mL以下がより好ましく、0.36mg/mL以下がさらに好ましく、0.34mg/mL以下が特に好ましく、0.32mg/mL以下が最も好ましい。
【0057】
カリウムの含量は上限としては28mg/mL以下が好ましく、24mg/mL以下がより好ましく、20mg/mL以下がさらに好ましく、16mg/mL以下が特に好ましく、12mg/mL以下が最も好ましい。透析患者などの慢性腎不全患者においては、カリウムは少ない方が良い場合があり、その場合には5mg/mL以下が好ましく、1mg/mL以下がさらに好ましく、さらにいえば0.3mg/mL以下が好ましい。
リンの含量は上限としては28mg/mL以下が好ましく、24mg/mL以下がより好ましく、20mg/mL以下がさらに好ましく、16mg/mL以下が特に好ましく、12mg/mL以下が最も好ましい。透析患者などの慢性腎不全患者においては、リンは少ない方が良い場合があり、その場合には5mg/mL以下が好ましく、1mg/mL以下がさらに好ましく、さらにいえば0.3mg/mL以下が好ましい。
【0058】
ビタミンB1の含量は下限としては0.002mg/mL以上が好ましく、0.006mg/mL以上がより好ましく、0.010mg/mL以上がさらに好ましく、0.014mg/mL以上が特に好ましく、0.018mg/mL以上が最も好ましく、上限としては0.08mg/mL以下が好ましく、0.07mg/mL以下がより好ましく、0.06mg/mL以下がさらに好ましく、0.05mg/mL以下が特に好ましく、0.04mg/mL以下が最も好ましい。また、ビタミンB1を積極的に摂取することが疲労回復に効果があるとするときなど、ビタミンB1の含量は下限としては0.002mg/mL以上が好ましく、0.006mg/mL以上がより好ましく、0.03mg/mL以上がさらに好ましく、0.05mg/mL以上が特に好ましく、0.1mg/mL以上が最も好ましく、上限としては2mg/mL以下が好ましく、1mg/mL以下がより好ましく、0.5mg/mL以下がさらに好ましく、0.3mg/mL以下が最も好ましい別の態様もある。
【0059】
ビタミンB2の含量は下限としては0.002mg/mL以上が好ましく、0.006mg/mL以上がより好ましく、0.01mg/mL以上がさらに好ましく、0.02mg/mL以上が特に好ましく、0.03mg/mL以上が最も好ましく、上限としては0.10mg/mL以下が好ましく、0.09mg/mL以下がより好ましく、0.08mg/mL以下がさらに好ましく、0.07mg/mL以下が特に好ましく、0.06mg/mL以下が最も好ましい。
【0060】
ナイアシンの含量は下限としては0.02mg/mL以上が好ましく、0.06mg/mL以上がより好ましく、0.10mg/mL以上がさらに好ましく、0.14mg/mL以上が特に好ましく、0.18mg/mL以上が最も好ましく、上限としては0.8mg/mL以下が好ましく、0.7mg/mL以下がより好ましく、0.6mg/mL以下がさらに好ましく、0.5mg/mL以下が特に好ましく、0.4mg/mL以下が最も好ましい。
【0061】
ビタミンB6の含量は下限としては0.02mg/mL以上が好ましく、0.04mg/mL以上がより好ましく、0.06mg/mL以上がさらに好ましく、0.08mg/mL以上が特に好ましく、0.10mg/mL以上が最も好ましく、上限としては0.8mg/mL以下が好ましく、0.7mg/mL以下がより好ましく、0.6mg/mL以下がさらに好ましく、0.5mg/mL以下が特に好ましく、0.4mg/mL以下が最も好ましい。
【0062】
ビタミンB12の含量は下限としては0.002μg/mL以上が好ましく、0.006μg/mL以上がより好ましく、0.010μg/mL以上がさらに好ましく、0.014μg/mL以上が特に好ましく、0.018μg/mL以上が最も好ましく、上限としては0.36μg/mL以下が好ましく、0.32μg/mL以下がより好ましく、0.28μg/mL以下がさらに好ましく、0.24μg/mL以下が特に好ましく、0.20μg/mL以下が最も好ましい。また、ビタミンB12を積極的に摂取することが疲労回復に効果があるとするときなど、ビタミンB12の含量は下限としては0.002μg/mL以上が好ましく、0.01μg/mL以上がより好ましく、0.05μg/mL以上がさらに好ましく、0.1μg/mL以上が特に好ましく、上限としては2μg/mL以下が好ましく、1μg/mL以下がより好ましい別の態様もある。
【0063】
葉酸の含量は下限としては0.2μg/mL以上が例示され、1μg/mL以上が好ましく、2μg/mL以上がより好ましく、3μg/mL以上がさらに好ましく、4μg/mL以上が特に好ましく、10μg/mL以上が最も好ましく、上限としては400μg/mL以下が例示され、300μg/mL以下が好ましく、200μg/mL以下がより好ましく、100μg/mL以下がさらに好ましく、50μg/mL以下が特に好ましく、30μg/mL以下が最も好ましい。
【0064】
ビタミンCの含量は下限としては0.1mg/mL以上が例示され、0.2mg/mL以上が好ましく、0.3mg/mL以上がより好ましく、0.4mg/mL以上がさらに好ましく、0.5mg/mL以上が特に好ましく、0.6mg/mL以上が最も好ましく、上限としては36mg/mL以下が例示され、32mg/mL以下が好ましく、28mg/mL以下がより好ましく、24mg/mL以下がさらに好ましく、20mg/mL以下が特に好ましく、16mg/mL以下が最も好ましい。
【0065】
ビタミンEの含量は上限としては0.8mg/mL以下が例示され、0.7mg/mL以下が好ましく、0.6mg/mL以下がより好ましく、0.5mg/mL以下がさらに好ましく、0.4mg/mL以下が特に好ましく、0.3mg/mL以下が最も好ましい。透析患者には、ビタミンEは蓄積する傾向にあるため、摂取は少ない方が好ましい場合がある。
【0066】
ビタミンAの含量は上限としては1.0μg/mL以下が好ましく、0.8μg/mL以下がより好ましく、0.630μg/mL以下がさらに好ましく、0.4μg/mL以下が特に好ましく、0.2μg/mL以下が最も好ましい。透析患者には、ビタミンAは蓄積する傾向にあるため、摂取は少ない方が好ましい場合がある。
【0067】
ビタミンDの含量は上限としては0.20μg/mL以下が好ましく、0.16μg/mL以下がより好ましく、0.12μg/mL以下がさらに好ましく、0.08μg/mL以下が特に好ましく、0.04μg/mL以下が最も好ましい。透析患者には、ビタミンDは蓄積する傾向にあるため、摂取は少ない方が好ましい場合がある。
なお、透析患者など、慢性腎不全の患者においては、脂溶性ビタミンは蓄積傾向にあるため、ビタミンE,A,Dなど脂溶性ビタミンの添加については、通常の食品からの摂取も合わせて総合的に判断する必要がある。
【0068】
本発明の栄養組成物が液体である場合の好ましい態様としては、L−カルニチンの含量が6〜20mg/mL、コエンザイムQ10の含量が0.4〜1.6mg/mL、オリゴ糖の含量が0.06〜0.4g/mL、亜鉛の含量が0.12〜0.36mg/mL、及び葉酸の含量が3〜100μg/mLである栄養組成物が挙げられる。当該態様において示される各成分は、栄養組成物が少なくとも含有する成分であり、その他の成分を含有していてもよい。また、当該態様の栄養組成物1日あたりの摂取量は、各成分1日あたりの上記摂取量が摂取できる量であれば特に限定されないが、下限としては30mL以上が好ましく、35mL以上がより好ましく、40mL以上がさらに好ましく、45mL以上が特に好ましく、上限としては70mL以下が好ましく、65mL以下がより好ましく、60mL以下がさらに好ましく、55mL以下が特に好ましい。
【0069】
本発明の栄養組成物の疲労予防及び/又は改善の効果は例えば以下の方法により確認することができる。
【0070】
すなわち、透析直後の疲労感など急性疲労や慢性疲労を測定する VISUAL ANALOGSCALE(VAS)と呼ばれる方法が挙げられる。VASとは、100mmの数直線状の左端をゼロ、右端を最大として、左端からの長さを愁訴の尺度として気分などの心理状態を回答する手法であり、膝や肩の痛みなどの不定愁訴(漠然とした体調不良の訴え)を数値化し、数値が小さいほど愁訴が軽いことを示し、反対に数値が大きいほど愁訴を強いと判断する方法である。
【0071】
また、別の方法として、慢性腎不全患者のQOLを測定するために用いる腎疾患特異的な項目43項目や包括的な36項目からなるアンケート手法(KDQOL又はSF−36)によって確認することもできる(NPO健康医療評価研究機構ホームページ)。
【0072】
さらには疲労マーカーとされる物質(αMSH(Melanocyte Stumulating Hormone)、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)、コルチゾール、サイトカイン、アミノグラム、カルニチン、アセチルカルニチン、又はHHV6,7(ヒトヘルペスウイルス6,7))によって疲労度を計測することができる。
【0073】
本発明を実施例および参考例に基づいて説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
【実施例】
【0074】
[実施例1]
L−カルニチン 500mg(ロンザ社製)
コエンザイムQ10 30mg(三栄源エフ・エフ・アイ社製)
ガラクトオリゴ糖 5g(ヤクルト工業社製)
亜鉛 8mg、(三栄源エフ・エフ・アイ社製)
ビタミンB1 1.5mg
ビタミンB2 1.8mg
ナイアシン 15mg
ビタミンB6 10mg
ビタミンB12 3μg
葉酸 1000μg
ビタミンC 60mg
酸味料 適量
甘味料 適量
香料 適量
上記に示す配合量を添加し蒸留水にて50mL容になるようにドリンク剤を調製した。
【0075】
[実施例2]
L−カルニチン 500mg(ロンザ社製)
コエンザイムQ10 30mg(横浜油脂工業社製)
ガラクトオリゴ糖 5g(ヤクルト工業社製)
亜鉛 8mg、(三栄源エフ・エフ・アイ社製)
ビタミンB1 10mg
ビタミンB2 1.8mg
ナイアシン 15mg
ビタミンB6 10mg
ビタミンB12 30μg
葉酸 500μg
ビタミンC 60mg
酸味料 適量
甘味料 適量
香料 適量
上記に示す配合量を添加し蒸留水にて50mL容になるようにドリンク剤を調製した。
[実施例3]
L−カルニチン 500mg(ロンザ社製)
コエンザイムQ10 30mg(三栄源エフ・エフ・アイ社製)
ガラクトオリゴ糖 5g(ヤクルト工業社製)
亜鉛 8mg、(三栄源エフ・エフ・アイ社製)
ビタミンB1 5mg
ビタミンB2 1.8mg
ナイアシン 15mg
ビタミンB6 10mg
ビタミンB12 10μg
葉酸 1000μg
ビタミンC 60mg
酸味料 適量
甘味料 適量
香料 適量
上記に示す配合量を添加し蒸留水にて50mL容になるようにドリンク剤を調製した。
【0076】
[比較例1]
着色料 適量
酸味料 適量
甘味料 適量
香料 適量
上記に示す配合量を添加し、色、酸味、甘味、風味、容量が実施例1と同じになるようにドリンク剤を調製した。
【0077】
[比較例2]
着色料 適量
酸味料 適量
甘味料 適量
香料 適量
上記に示す配合量を添加し、色、酸味、甘味、風味、容量が実施例2と同じになるようにドリンク剤を調製した。
[比較例3]
着色料 適量
酸味料 適量
甘味料 適量
香料 適量
上記に示す配合量を添加し、色、酸味、甘味、風味、容量が実施例3と同じになるようにドリンク剤を調製した。
【0078】
[評価例1]
[試験デザイン] プラセボを対照とした二重盲検並行群間比較試験で行う。透析患者に対し同意取得したのち、被験者を登録し無作為割付をする。12週間の摂取期間を設け、疲労状態を観察する。
[対象] 透析導入後1年以上経過した30歳以上70歳未満の末期腎不全血液透析患者で、午後または夜間に週3回の血液透析を実施している患者、各群100名(総数200名)。
[試験食] 実施例2で調整したドリンク剤を実試験食とし、参考例2で調整したドリンク剤をプラセボとする。
[疲労度の評価項目]
1)慢性疲労に関する質問票(2007年度、日本疲労学会、西沢 2007年度 日本透析医学会 会長講演)
2)KDQOL−SF問診表version1.3日本語版
(http://www.i-hope.jp/tool/kdqol.html)
3)透析後の急性疲労に関する質問票(VASスケール)
4)疲労バイオマーカー:血中αMSH、血中ACTH、血中コルチゾール、唾液中ヘルペスウィルスHHV6及び7量
5)加速度脈波測定:加速度脈波測定システム「アルテット」(株式会社 ユメディカ製)を用いて測定する。各測定時期に、非シャント側の人差し指で一回(70秒程度)測定する。
6)血液一般検査(WBC, RBC, Hb, Hct, MCV, MCH, MCHC, 血小板数、白血球分画)、及び、血液生化学的検査(T−Cho,TG, HDL−Cho, AST,ALT, γ-GTP, アルブミン, クレアチニン, BUN,総ビリルビン、血糖、Na、K,Ca,リン、TIBC、血清鉄、CPK、LDH、CRP)
7)バイタルサイン:血圧(収縮期血圧、拡張期血圧)、脈拍
8)エリスロポエチンなど貧血改善剤投与量
[疲労度の評価スケジュール]
被験者は透析後には、急性疲労についての質問票(透析終了時)に記入し、その後、同じ質問票を3回(当日の就寝前、翌朝起床時、翌日就寝前)記入する。試験開始日、試験開始4週目及び12週目には、透析前に問診、身体計測、血圧・脈拍測定及び加速度脈波測定を行い、慢性疲労に関する質問票とKDQOL−SFを被験者が記入する。被験者は試験開始4週目及び12週目の透析終了後に試験食一本摂取し、急性疲労についての質問票(透析終了時)に記入し、その後、同じ質問票を3回(当日の就寝前、翌朝起床時、翌日就寝前)記入する。血液検査、唾液検査、バイタルサイン、加速度脈波については、試験開始日、試験開始4週目及び12週目に測定する。
[評価例2]
[試験デザイン] 透析患者に対して、プラセボを対照とした単盲検比較試験にて、疲労状態を観察する。実試験食およびプラセボの二群について、透析日から透析日翌日にかけた2日間評価を、各群について5回行う。
[対象] 透析導入後3年以上経過した40歳代の末期腎不全血液透析患者で、夜間に週3回の血液透析を実施している患者1名に対して施行した。
[試験食] 実施例3で調整したドリンク剤を実試験食とし、比較例3で調整したドリンク剤をプラセボとする。
[摂取方法]透析直後に試験食を1本摂取する。
[疲労度の評価]
VISUAL ANALOG SCALE(VAS)を用いて疲労度を測定した。すなわち、被験者に10cmのVASスケールに、各時点での疲労状態に相当する位置にチェックをつけてもらった。
全く疲労感を感じない状態を0cmの位置、今までで最も疲労感を感じた状態10cmの位置として、VAS質問表に、透析終了時、翌朝および翌晩の3つの時点での疲労状態に相当する位置にチェックをつけてもらった。
VAS質問表より、各時点での位置を測定して、実施例3の疲労度実測値を表1、比較例3の疲労度実測値を表2に示した。透析終了時の疲労度実測値を100として%表示し、実施例3の疲労度計算値を表3、比較例3の疲労度計算値を表4に示した。
【表1】


【表2】

【表3】


【表4】

実施例3の疲労度計算値は比較例3の疲労度計算値と比較して、翌朝状態(P=0.030)及び翌晩状態(P=0.033)のVASの%表示値が共に低く、本発明の疲労改善効果が認められた。

【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、疲労予防及び/又は改善のための栄養組成物として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルニチン誘導体、コエンザイムQ10、オリゴ糖、及び水溶性ビタミンを含有する栄養組成物。
【請求項2】
カルニチン誘導体がL−カルニチンである請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項3】
さらに、ミネラルを含有する請求項1又は2に記載の栄養組成物。
【請求項4】
疲労改善のための請求項1〜3のいずれかに記載の栄養組成物。
【請求項5】
水溶性ビタミンがビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、及びビタミンCからなる群から選ばれる1種又は2種以上の水溶性ビタミンである請求項1〜4のいずれかに記載の栄養組成物。
【請求項6】
ミネラルが亜鉛である請求項3〜5のいずれかに記載の栄養組成物。
【請求項7】
1日あたり、L−カルニチンが300〜1000mg、コエンザイムQ10が20〜80mg、オリゴ糖が3〜20g、亜鉛が6〜18mg、及び葉酸が150〜5000μg摂取されるように配合された請求項6に記載の栄養組成物。
【請求項8】
栄養組成物が液体である請求項1〜7のいずれかに記載の栄養組成物。
【請求項9】
L−カルニチンの含量が6〜20mg/mL、コエンザイムQ10の含量が0.4〜1.6mg/mL、オリゴ糖の含量が0.06〜0.4g/mL、亜鉛の含量が0.12〜0.36mg/mL、及び葉酸の含量が3〜100μg/mLである請求項8に記載の栄養組成物。
【請求項10】
透析患者用である請求項1〜9のいずれかに記載の栄養組成物。
【請求項11】
慢性疲労症候群患者用である請求項1〜9のいずれかに記載の栄養組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の栄養組成物を含有する栄養補助食品。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれかに記載の栄養組成物を含有する透析後の疲労予防及び/又は改善剤。
【請求項14】
透析後の疲労予防及び/又は改善剤製造のための請求項1〜10のいずれかに記載の栄養組成物の使用。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載の栄養組成物を哺乳動物に摂取させる工程を含む透析後の疲労予防及び/又は改善方法。

【公開番号】特開2009−203219(P2009−203219A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212547(P2008−212547)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(303046299)旭化成ファーマ株式会社 (105)
【出願人】(000116806)旭化成クラレメディカル株式会社 (133)
【Fターム(参考)】