説明

DNAハイブリダイゼーションおよび特異的結合事象の電気的検出

第1の結合部位と第2の結合部位とを有する標的分析物を検出する方法。少なくとも第1および第2のパターン形成された伝導体を有し、第1の伝導体が第2の伝導体から隔離されていることを特徴とする基板を提供する。パターン形成された伝導体の構成により少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップが形成される。該方法は、標的分析物の第1の結合部位に特異的に結合する捕捉プローブを基板に接触させる工程と、標的分析物の第2の結合部位に特異的に結合する結合部位が結合している電導性のナノ粒子を提供する工程とを含むこともできる。よって、基板および電導性ナノ粒子をハイブリダイゼーション条件下で標的分析物と接触させると、標的分析物は基板および電導性ナノ粒子に結合することになる。こうして伝導体の間にある電導性ナノ粒子を電気的に検出可能することができる。ナノ粒子の銀沈積により検出力を向上させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然物であれ合成物であれ、また修飾体であれ非修飾体であれ、核酸などの標的分析物を検出する方法に関し、より具体的には、核酸その他の標的分析物を電気的に検出することに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2002年5月14日出願の米国仮特許出願第60/380,441号の利益を主張するものであり、同仮特許出願は引用によりその全体が本願に組み込まれる。
配列選択的なDNAの検出は、科学者が疾患の遺伝的基礎を解明し、その新たな情報を医学的な診断および治療に利用する際にますます重要となってきている。オリゴヌクレオチドで修飾した基板上でのDNAハイブリダイゼーション試験は、溶液中の特異的なDNA配列の存在を検出するために一般的に使用されている。遺伝情報を探査するためのコンビナトリアルDNAアレイの展望が明らかになりつつあり、その結果これらの不均一系配列アッセイの今後の科学における重要性が示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、ハイブリダイゼーション試験を促進する基板部材の上または中に試料を置く。これらの部材は顕微鏡用のスライドガラスもしくはポリマー製スライドまたはポリマー製マイクロタイタープレートでよい。大抵のアッセイでは、蛍光体(フルオロフォア)で標識された標的物が表面に結合したプローブにハイブリダイズするのを蛍光顕微鏡またはデンシトメトリー法によりモニターする。しかしながら、蛍光検出は実験機器が高価であることやほとんどの一般的な基板からバックグラウンドの発光が生じることにより限界がある。さらに、標識されたオリゴヌクレオチド標的は、完全に相補的なプローブを1塩基のミスマッチを有するプローブから見分けて選択する能力に乏しいので、一塩基多型の検出に関しては表面ハイブリダイゼーション試験の利用には限界がある。蛍光検出法の簡便性、感度および選択性を改良する検出スキームがあれば、コンビナトリアル法による配列分析の可能性が十分実現されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本システムは、一態様においては、DNAハイブリダイゼーション事象および他の特異的結合事象を、微細加工した平面的な電極のアレイを用いて着実に電気的に検出することを可能にする。本発明の一実施形態では、少なくとも3つの電極を使用してDNAハイブリダイゼーション事象を検出する。
【0005】
本発明の別の態様では、ハイブリダイゼーションを検出可能な表面領域が最大となるように電極を設計する。一実施形態では、少なくとも1つの電極が少なくとも3つの側面を有し、該側面のうち2つの少なくとも一部分が別の電極に近接し、該2つの側面と他の電極とがギャップにより隔離されているように電極を設計する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(定義)
本明細書中で使用される「分析物」または「標的分析物」は、本発明を用いて試験試料中に検出しようとする物質である。分析物は、天然の特異的結合メンバー(例えば、抗体、ポリペプチド、DNA、RNA、細胞、ウイルスなど)が存在する、あるいは特異的結合メンバーを用意することができる任意の物質であってよく、該分析物はアッセイにおいて1つ以上の特異的結合メンバーに結合することができる。「分析物」は、任意の抗原性
物質、ハプテン、抗体、およびそれらの組合せであってもよい。分析物は、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、ビタミン、治療目的で投与された薬物および不法な目的で投与された薬物などの薬物、細菌、ウイルス、ならびに前記物質のいずれかの代謝物または前記物質のいずれかに対する抗体であってもよい。
【0007】
本明細書中で使用される「捕捉プローブ」は、直接または間接的に基板に付着された、分析物に結合可能な特異的結合メンバーである。捕捉プローブの一例は、標的核酸の少なくとも一部分に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドであって、スペーサー(例えば末端ポリA)および該オリゴヌクレオチドを支持体に付着させるための官能基を含んでも良い。捕捉プローブの別例には、支持体表面上への共有結合または吸着によって支持体に結合されている、抗体、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、ビタミン、治療目的で投与された薬物および不法な目的で投与された薬物などの薬物、細菌、ウイルス、ならびに前記物質のいずれかの代謝物または前記物質のいずれかに対する抗体がある。捕捉プローブの例は、例えば国際出願番号第PCT/US01/10071号明細書(ナノスフェアー インコーポレイテッド)に記載されており、同明細書は引用によりその全体が本願に組み込まれる。
【0008】
本明細書中で使用される「特異的結合メンバー」とは、特異的結合対(すなわち一方の分子が化学的手段または物理的手段によりもう一方の分子に特異的に結合する別個の2分子)の一員である。抗原と抗体の特異的結合対に加えて、他の特異的結合対には、ビオチンとアビジン、炭水化物とレクチン、相補的なヌクレオチド配列(標的核酸配列を検出するDNAハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用されるプローブと捕捉される核酸配列など)、相補的なペプチド配列、エフェクタ分子と受容体分子、酵素補因子と酵素、酵素阻害剤と酵素、細胞、ウイルスなどがある。さらに、特異的結合対には本来の特異的結合メンバーの類似体であるメンバーも含まれる。分析物と共通の少なくとも1つのエピトープを有する限りは、例えば分析物の誘導体または断片、すなわち分析物類似体を使用可能である。免疫反応の特異的結合メンバーには、抗原、ハプテン、抗体、およびこれらの複合体があり、それらを組換えDNA法またはペプチド合成により作製したものも含まれる。
【0009】
本明細書中で使用される「試験試料」とは、検出しようとする標的分析物を含有し本発明を用いてアッセイされる試料を意味する。試験試料は分析物に加えて他の成分を含んでも良いし、液体の物理特性を有しても固体の物理特性を有してもよく、いかなる大きさでも容量でもよく、例えば流動する液体でもよい。試験試料は、特異的結合メンバーの特異的結合を妨害したり分析物を妨害したりしない物質である限りは、分析物以外の任意の物質を含みうる。試験試料の例には、血清、血漿、痰、精液、尿、その他の体液、ならびに地下水、廃水、土壌抽出物、空気および残留農薬などの環境試料があるが、これらに限定はされない。
【0010】
「オリゴヌクレオチドの種類」とは、同一の配列を有する複数のオリゴヌクレオチド分子を指す。オリゴヌクレオチドが付着している1つの「種類の」ナノ粒子、コンジュゲートなどは、同じ種類(一種または複数種)のオリゴヌクレオチドが付着している複数のナノ粒子、コンジュゲートなどを指す。
【0011】
「オリゴヌクレオチドが付着しているナノ粒子」とは、「ナノ粒子‐オリゴヌクレオチドコンジュゲート」「ナノ粒子コンジュゲート」と呼ばれることもあり、本発明の検出方法の場合には、「ナノ粒子‐オリゴヌクレオチドプローブ」「ナノ粒子プローブ」「検出プローブ」、または単に「プローブ」と呼ばれることもある。ナノ粒子に結合されるオリゴヌクレオチドは、例えば標的核酸に相補的であるなどの認識特性を備えていてもよいし、繋ぎまたはスペーサーとして使用されてもよいし、特定の標的分析物(例えばリガンド
)に対する特異的結合対のメンバー(例えば受容体)にさらに結合されてもよい。標的分析物に対する多様な結合対メンバーを備えたナノ粒子を用いる検出プローブの例は、国際出願番号第PCT/US01/10071号明細書(ナノスフェアー インコーポレイテッド)に記載されており、同明細書は引用によりその全体が本願に組み込まれる。
【0012】
蛍光法を改良する一検出技法は、検出用プローブを使用する、チップを用いた電気的DNA検出法である。プローブには、特定の標的分析物に相補的な合成DNA鎖またはRNA鎖を使用すればよい。その核酸合成鎖にはシグナル機構を付着させる。シグナルが存在すれば(すなわちシグナル機構が存在すれば)、該合成鎖が試料中の核酸に結合したということであり、標的核酸が試料中に存在すると考えられる。逆に、シグナルが存在しないということは標的核酸が試料中に存在しないことを示す。
【0013】
シグナル機構の一例は、三成分のサンドイッチアッセイ方式で基板上にハイブリダイズした特定のDNA配列の存在を示すための、比較的直径の小さい(10〜40nm)、オリゴヌクレオチドで修飾された金ナノ粒子プローブである。例えば、「オリゴヌクレオチドが付着したナノ粒子およびそれらの使用(Nanoparticles having oligonucleotides attached thereto and uses therefore )」と題され、その全体が引用により本願明細書に組み込まれる米国特許第6,361,944号を参照のこと。また、ティ.エイ.タトン(T.A. Taton)、シー.エイ.ミルキン(C.A. Mirkin )、アール.エル.レツィンガー(R.L. Letsinger)、2000年、サイエンス誌(Science )第289巻、p.1757も参照のこと。ハイブリダイズさせたこれらのナノ粒子プローブが相補的なDNA配列をミスマッチを有するDNA配列から見分けて選択する能力は、ナノ粒子がアレイ表面から非常に迅速に解離する(または「融解」する)という理由から、蛍光体で標識されたプローブの選択能力よりも本質的に高い。さらに、アレイに結合したナノ粒子を、金促進型の銀の還元によって増幅させることにより、蛍光標識した遺伝子チップを共焦点方式で蛍光を画像化して一般的に観察する場合よりも高感度で、フラットベッド・スキャナを用いて該アレイを白黒画像とすることが可能であった。該スキャン方法を適用したDNAミスマッチの特定が成功している。
【0014】
固定化した捕捉プローブ(例えばオリゴヌクレオチドなど)と標的分析物を金ナノ粒子などの電導性粒子と組み合わせて使用して、相補的DNA一本鎖間の結合事象を検出することは困難である。電導性粒子、例えば金ナノ粒子または他の電導性もしくは半導体ナノ粒子は、結合事象が起きると二電極間に電気的に検出可能な架橋(または接点)を作成することができる。そのような架橋は二電極間の電気的特性を変化させる。例えば、この架橋が電気的インピーダンス特性を(例えば高インピーダンスから低インピーダンスへと)変化させる結果、マルチメーターやLCRメーターなどのすぐに入手可能な機器を用いて抵抗もしくは他の何らかの変数(電気容量、インダクタンス、ACシグナルなど)の変化を信頼性高く測定することが可能となる。
【0015】
本発明の実施において有用なナノ粒子には、金属(例えば金、銀、銅および白金)、半導体(例えばCdSe、CdS、およびCdSもしくはCdSeでコーティングされたZnS)ならびに磁性(例えば強磁性)コロイド材料がある。本発明の実施において有用な他のナノ粒子には、ZnS、ZnO、TiO、AgI、AgBr、HgI、PbS、PbSe、ZnTe、CdTe、In、S、In、Se、Cd、Cd、As、InAs、およびGaAsが挙げられる。ナノ粒子の大きさは約5nm〜約150nm(平均直径)であることが好ましく、約5nm〜約50nmがより好ましく、約10nm〜約30nmが最も好ましい。
【0016】
金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、および磁性ナノ粒子を作製する方法は、当業界で周知である。例えば、シュミット、ゲー.(Schmid, G.)編「クラスターとコロイド(Cluste
rs and Colloids )」、ヴァインハイム(Weinheim)所在のVCH、1994年;ハヤト、エム.エイ.(Hayat, M.A. )編「金コロイド:原理、方法および応用(Colloidal Gold: Principles, Methods, and Applications )」米国サンディエゴ所在のアカデミック・プレス(Academic Press);マサート、アール.(Massart, R. )、IEEEトランスアクションズ・オン・マグネティクス誌(IEEE Transactions On Magnetics)第17巻、p.1247、1981年;アーマディ、ティ.エス.(Ahmadi, T.S.)ら、サイエンス誌、第272巻、p.1924、1996年;ヘングレイン、エイ.(Henglein, A.)ら、ザ・ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー誌(J. Phys. Chem.)第99巻、p.14129、1995年;カーティス、エイ.シー.(Curtis, A.C.)ら、アンゲヴァンテ・ヒェミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ誌(Angew.
Chem. Int. Ed. Engl. )第27巻、p.1530、1988年を参照のこと。
【0017】
ZnS、ZnO、TiO、AgI、AgBr、HgI、PbS、PbSe、ZnTe、CdTe、In、In、Se、Cd、P、Cd、As、InAs、およびGaAsのナノ粒子を作製する方法は、当業界で周知である。例えば、ウェラー(Weller)、アンゲヴァンテ・ヒェミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ誌(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. )第32巻、p.41、1993年;ヘングレイン(Henglein)、トピックス・イン・カレント・ケミストリー誌(Top. Curr. Chem.)第143巻、p.113、1988年;ヘングレイン(Henglein)、ケミカル・レビューズ誌(Chem. Rev.)第89巻、p.1861、1989年;ブラス(Brus)、アプライド・フィジックス・エイ誌(Appl. Phys. A.)第53巻、p.465、1991年;バーンクマン(Bahncmann )「太陽エネルギーの光化学変換と貯蔵(Photochemical Conversion and Storage of Solar Energy)」、ペリツェッティ(Pelizetti )およびスキアヴェロ(Schiavello)編、1991年、p.251;ワン(Wang)およびヘロン(Herron)、ザ・ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー誌(J. Phys. Chem.)第95巻、p.525、1991年;オルシャフスキー(Olshavsky )ら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ誌(J. Am. Chem. Soc. )第112巻、p.9438、1990年;ウシダ(Ushida)ら、ザ・ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー誌(J. Phys. Chem.)第95巻、p.5382、1992年を参照のこと。適切なナノ粒子は、例えばテッド・ペラ・インコーポレイテッド(Ted Pella, Inc. )(金)、アマシャムコーポレイション(Amersham Corporation)(金)およびナノプローブズ・インコーポレイテッド(Nanoprobes, Inc.)(金)から市販もされている。
【0018】
金コロイド粒子は、該粒子に独自の色彩を与える帯域に高い吸光係数を有する。これらの強烈な色彩は粒子の大きさ、濃度、粒子間の距離、ならびに凝集の程度および凝集物の形状(幾何学的形状)によって変化するので、これらの材料は比色アッセイにとって特に魅力的となっている。例えば、金ナノ粒子に付着させたオリゴヌクレオチドをオリゴヌクレオチドおよび核酸とハイブリダイズさせると、裸眼で見ることのできる迅速な色彩の変化が生じる。さらに、金ナノ粒子は電気的伝導性に優れているため本システムとともに使用するのに特に好適である。半導体ナノ粒子もまた、独自の電気特性および発光特性を有するのでナノレベルの微細加工(ナノファブリケーション)において使用するのに好適である。
【0019】
オリゴヌクレオチドをナノ粒子に付着させるために、ナノ粒子、オリゴヌクレオチド、または両方を官能化する。その方法は当業界において周知である。例えば、アルカンチオールで3’末端または5’末端を官能化したオリゴヌクレオチドは簡単に金ナノ粒子に付着する。例えば、ホワイトサイズ(Whitesides)、米国テキサス州ヒューストンにおけるロバート エイ.ウェルチ基金(Robert A. Welch Foundation)第39回ケミカル・リサーチ・ナノフェイズ・ケミストリー(Chemical Research Nanophase Chemistry )会議会報、p.109〜121、1995年を参照のこと。また、マキック(Mucic )ら、ケミ
カル・コミュニケーションズ誌(Chem. Commun. )p.555〜557、1996年も参照されたい(3’チオールDNAを平らな金表面に付着させる方法について記載されている。この方法を用いてオリゴヌクレオチドをナノ粒子に付着させることができる)。アルカンチオール法を用いて、オリゴヌクレオチドを他の金属、半導体および磁性コロイド、ならびにその他の上記に列挙したナノ粒子に付着させることもできる。オリゴヌクレオチドを固体表面に付着させるための他の官能基には、ホスホロチオエート基(例えば、オリゴヌクレオチド‐ホスホロチオエートの金表面への結合には米国特許第5,472,881号を参照されたい)、置換アルキルシロキサン(例えば、オリゴヌクレオチドのシリカ表面およびガラス表面への結合についてはバーウェル(Burwell )、ケミカル・テクノロジー誌(Chemical Technology )第4巻、p.370〜377、1974年ならびにマットイッチ(Matteuicci)およびカルサース(Caruthers )、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ誌(J. Am. Chem. Soc. )第103巻、p.3185〜3191、1981年を、アミノアルキルシロキサンの結合およびメルカプトアルキルシロキサンの同様の結合についてはグラバー(Graber)ら、アナリティカル・ケミストリー誌(Anal. Chem. )第67巻、p.735〜743を参照されたい)。
【0020】
末端が5’チオヌクレオシドまたは3’チオヌクレオシドであるオリゴヌクレオチドを用いてオリゴヌクレオチドを固体表面に付着させてもよい。ビオチン標識したオリゴヌクレオチドとストレプトアビジン‐金コンジュゲートのコロイドとを用いて、金ナノ粒子をオリゴヌクレオチドに付着させてもよい。この場合、ビオチン‐ストレプトアビジン相互作用によりコロイドがオリゴヌクレオチドに付着する。シャイウ(Shaiu )ら、ヌクレイック・アシッド・リサーチ誌(Nucleic Acids Research)第21巻、p.99、1993年を参照されたい。以下の参照文献には、オリゴヌクレオチドをナノ粒子に付着させるために使用可能なその他の方法が記載されている:ヌッツォ(Nuzzo )ら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ誌(J. Am. Chem. Soc. )第109巻、p.2358、1987年(金上のジスルフィド);アラーラ(Allara)およびヌッツォ(Nuzzo )、ラングミュア誌(Langmuir)第1巻、p.45、1985年(アルミニウム上のカルボン酸);アラーラ(Allara)およびトンプキンス(Tompkins)、ジャーナル・オブ・コロイド・アンド・インターフェイス・ソサイエティ誌(J. Colloid Interface Sci. )第49巻、p.410〜421、1974年(銅上のカルボン酸);アイラー(Il er)「シリカの化学(The Chemistry Of Silica )」、第6章、ワイリー(Wiley )社、
1979年(シリカ上のカルボン酸);ティモンズ(Timmons )およびジスマン(Zisman)、ザ・ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー誌(J. Phys. Chem.)第69巻、p.984〜990、1965年(白金上のカルボン酸);ソリアガ(Soriaga )およびハッバード(Hubbard )、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ誌(J. Am. Chem. Soc. )第104巻、p.3937、1982年(白金上の芳香環化合物);ハッバード(Hubbard )、アカウンツ・オブ・ケミカル・リサーチ誌(Acc. Chem.
Res. )第13巻、p.117、1980年(白金上のスルホラン、スルホキシドおよびその他の官能化溶媒);ヒックマン(Hickman )ら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ誌(J. Am. Chem. Soc. )第111巻、p.7271、1989年(白金上のイソニトリル);マオズ(Maoz)およびサギブ(Sagiv )、ラングミュア誌(Langmuir)第3巻、p.1045、1987年(シリカ上のシラン);マオズ(Maoz)およびサギブ(Sagiv )、ラングミュア誌、第3巻、p.1034、1987年(シリカ上のシラン);ヴァッサーマン(Wasserman )ら、ラングミュア誌、第5巻、p.1074、1989年(シリカ上のシラン);エルテコーヴァ(Eltekova)およびエルテコフ(Eltekov )、ラングミュア誌、第3巻、p.951、1987年(二酸化チタンおよびシリカ上の芳香族カルボン酸、アルデヒド、アルコールおよびメトキシ基);レック(Lec )ら、ザ・ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー誌(J. Phys. Chem.)第92巻、p.2597、1988年(金属上の剛性(rigid )リン酸)。
【0021】
各ナノ粒子には複数のオリゴヌクレオチドが結合していても良く、その結果、各ナノ粒子‐オリゴヌクレオチドコンジュゲートは相補的な配列を有する複数の標的分析物に結合することができる。本発明は基板表面上の金属ナノ粒子または半導体ナノ粒子の検出に関する。基板の表面には、1つ以上の標的分析物に対して特異的に結合する相補物(すなわち捕捉プローブ)を含む複数のスポットが備えられる。基板上のスポットのうちの1つを、標的分析物が1つ以上存在する場合にそこでナノ粒子が複合体を形成するための試験スポット(試験試料を含む)とすればよい。別の1スポットは、対照スポットとしても第2の試験スポットとしてもよい。感染性疾患について試験する場合、例えば、対照スポット(または陽性対照スポットおよび陰性対照スポット)を用いて、試験試料中に標的分析物が存在するか否かを検出するために試験スポットと比較してもよい。標的分析物を、例えば特定の細菌またはウイルスの代表的なものとすることができよう。陽性対照スポットは、核の捕捉鎖を介して基板に直接結合された金属ナノ粒子でもよいし、基板上に直接プリントされた金属ナノ粒子でもよいし、既知の標的物に対して複合体形成させた金属ナノ粒子についての陽性結果でもよい。遺伝子の配置(例えばどの遺伝子配列が存在するか)について試験する場合は、第2の試験スポットを使用しても良い。例えば、一塩基多型などの遺伝子配列の比較のために第2の試験スポットを2つ使用する。
【0022】
本発明の実施において、様々な目的のために所定の配列のオリゴヌクレオチドを使用する。所定の配列のオリゴヌクレオチドを作製する方法はよく知られている。例えば、サムブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular cloning: A
Laboratoy Manual )」(第2版、1989年)およびエフ.エクスタイン(F. Eckstein )編「オリゴヌクレオチドと類似体(Oligonucleotides and Analogues)」第1版、1991年、米国ニューヨーク所在のオックスフォード大学出版(Oxford University Press )を参照されたい。オリゴリボヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチドのいずれについても固相合成法が好ましい(この良く知られたDNA合成法はRNA合成にも有用である)。オリゴリボヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチドを酵素的に調製することもできる。
【0023】
本システムにより標的分析物を電気的に検出することが可能となる。核酸やタンパク質などの任意の種類の標的分析物を検出可能であり、この方法を用いて疾患または感染を診断したり、薬物や汚染物質を特定したり、核酸の配列決定を行ったりすることができる。本発明の方法により検出可能な核酸の例には、遺伝子(例えば特定の疾患に関連する遺伝子)、ウイルスのRNAおよびDNA、細菌DNA、真菌DNA、cDNA、mRNA、RNAおよびDNAの断片、オリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、一本鎖および二本鎖の核酸、天然核酸および合成核酸などが挙げられる。
【0024】
従って、核酸検出方法の用途の例としては、ウイルス性疾患(例えばヒト免疫不全ウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、およびエプスタイン‐バーウイルス)、細菌性疾患(例えば結核、ライム病、H.ピロリ感染、大腸菌感染、レジオネラ感染、マイコプラズマ感染、サルモネラ感染)、性行為感染症(例えば淋病)、遺伝性障害(例えば嚢胞性線維症、デュシェンヌ(Duchene )型筋ジストロフィー、フェニルケトン尿症、鎌状赤血球貧血症)、およびがん(例えばがんの発症に関連する遺伝子)の診断および/または監視;鑑識;DNA配列決定;親子鑑定;細胞株の確認;遺伝子治療のモニタリング;ならびにその他多くの目的が挙げられる。
【0025】
検出しようとする核酸を周知の方法で単離しても良いし、細胞、組織試料、生体液(例えば、唾液、尿、血液、血清)、PCR成分を含んだ溶液、大過剰のオリゴヌクレオチドもしくは高分子量DNAを含んだ溶液、およびその他の試料中で直接検出してもよく、これは当業界でも知られている。例えば、サムブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular cloning: A Laboratoy Manual )」(第2版、1989
年)ならびにビィ.ディ.ハームス(B.D. Hames)およびエス.ジェイ.ヒギンズ(S.J.
Higgins)編「遺伝子プローブ1(Gene Probes 1 )」、米国ニューヨーク所在のアイアールエルプレス(IRL Press )、1995年を参照されたい。ハイブリダイゼーションプローブを用いて検出するための核酸の調製方法は、当業界で周知である。例えば、サムブルックら、「分子クローニング:実験マニュアル」(第2版、1989年)ならびにビィ.ディ.ハームスおよびエス.ジェイ.ヒギンズ編「遺伝子プローブ1」、米国ニューヨーク所在のアイアールエルプレス、1995年を参照されたい。存在する核酸の量が少ない場合、当業界で知られた方法で増幅してもよい。例えば、サムブルックら、「分子クローニング:実験マニュアル」(第2版、1989年)ならびにビィ.ディ.ハームスおよびエス.ジェイ.ヒギンズ編「遺伝子プローブ1」、米国ニューヨーク所在のアイアールエルプレス、1995年を参照されたい。増幅方法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅である。
【0026】
核酸を電気的に検出することにより着実なハイスループット検出が可能となるので、この検出法は、例えば研究および分析の実験室でDNAを配列決定する場合、野外で特定の病原体の存在を検出する場合、診療室で迅速に感染を特定して治療薬を処方する助けとする場合、ならびに家庭や保健医療施設で安価に第一次スクリーニングする場合に特に適している。
【0027】
ここで図面について言及すると、図1aは、4つのチップパターンを備えた7.62cm(3”)ウェハマスクの見取り図であり、ここで各チップパターンは、相補的にパターン形成された伝導体または電極12および12aによって形成された10個の電気的検出領域を有する。各々の電気的検出領域は核酸の存在を検出するのに適している。ウェハマスクの大きさとチップパターンの数とはシステムの基準によって変わりうる。図1aに示すように、少なくとも2つのコンタクトパッド10が各検出領域について備えられる。コンタクトパッド10は図のように電極12に電気的に接続される。このような1対のコンタクトパッド10および複数の電極12の例を図1b(図1aの丸で囲まれた部分)に示す。
【0028】
ガラス基板上に4チップウェハを製造する方法の例は次の通りである。第1に、ウェハおよび用具をアセトン/IPA/水/IPA/窒素で洗浄する。次いで、ウェハを10分間ピラニア洗浄(HSO:H 1:4)し、二酸化シリコン層をウェハ表面に成膜する。次に、eビーム蒸着により50Åのチタン層および900Åの金の層をウェハ上に成膜する。次に、ウェハをホットプレートにより115℃で5分間焼いて完全に乾燥させてから、ウェハ上にフォトレジスト(シプリィ(Shipley )1818など)1.5mLを5,000rpmで回転成膜する。次いでウェハを再度ホットプレートにより115℃で1分間焼いてレジストの残留溶媒を全て取り除く。次に、ウェハを整列させて11秒間露光してから、1分間現像する。次いで、ウェハをホットプレートにより115℃で2分間焼いてフォトレジストを硬化させる。次にウェハを30秒間エッチング(金層)してからさらに24秒間エッチング(クロム層)し、すすいで乾燥させる。次に、シプリィ(Shipley )1165などの除去剤を用いてフォトレジストを取り除き、またさらにプラズマによりフォトレジストを剥し取る。ウェハにフォトレジストが残留していないかを調べてから、ウェハをコンタクトパッドの間でさいの目に切って4チップ分となるようにする。ガラスウェハを製造するための非常に類似した手法が使用される。図1bにこの製法の概要を断面図として示す。
【0029】
図1cに示すように、電極は複数存在する(全部で16個)。システムにおいて必要であれば使用する電極はこれより多くても少なくてもよい。電極を「交互嵌合した(interdigitated)」パターンに構成してもよい。従って電極は相互にかみ合わされ、非電導性のギャップで隔離される。一部の実施形態では、窒化物または酸化物などの絶縁体をパター
ン形成して電極間のギャップとすることも有用であろう。一態様では、少なくとも3つの電極が使用される。2つの電極を一方向に配置し、第3の電極を反対方向に配置すればよい。
【0030】
図1cに示すように、典型的な電極は複数の辺を有し(図1cの5辺の電極など)、少なくとも1辺が電導性のトレース14に接続される。さらに、少なくとも1つの電極(例えば12aで示す電極)が他の電極に近接する少なくとも2つの辺を備え、該2辺と他の電極とは非電導性のギャップにより隔離されているように電極が配置される。例えば、辺16および辺18が他の電極に近接し、非電導性のギャップにより隔離されている。
【0031】
上記に論じたように、図1aは4つのチップパターンを備えたウェハマスクを示している。各チップを、幾何学的形状の点でアレイ作製装置(アレイヤー)および顕微鏡スライドの方式に対応するように設計することが可能である。ある標準的なアレイ作製装置用顕微鏡スライドには3つのチップが合う、または3つのチップで構成可能である。各チップには、検出領域内の任意の地点での検出を可能にする一連の交互嵌合した電極を備えているので、アレイ作製装置で領域上に捕捉プローブを配置または「スポット」する場合の許容誤差が大きい。微細加工により、より密度の高い電極アレイと一層整合性の高い測定値が得られる。
【0032】
デバイスをクリーンルームの環境で加工することができる。任意の好適な基板を使用可能であるが、例えば、基板は両面が研磨された7.62cm(3”)シリコンウェハでもよい。例えば、基板はシリコンのかわりにガラス(例えば標準的なアレイ作製装置用顕微鏡スライド)で構成されてもよい。絶縁層は装置の全ての実施形態に必ずしも不可欠ではないが、酸化物(SiO)などの絶縁層を高湿の温熱環境下でウェハ上に成膜してもよい。その他の絶縁材料には、窒化シリコンおよびポリアミドが挙げられるがこれらに限定はされない。金属層(金、白金、アルミニウム、クロミウムまたは銅)などの電導性の層をウェハ上に成膜し、フォトリソグラフィ法を用いてパターン形成してもよい。代替実施形態において、電導層が半導体材料を含んでもよい。
【0033】
ウェハのフォトリソグラフィ、化学的現像およびエッチングの結果、微細加工された電極が得られる。電導性架橋が形成されなければ、各電極対の間には高いインピーダンスが存在する。ウェハをさいの目に切って各々25mm×25mm角にすると、ナノ粒子を電気的に検出しうるパターン形成された電極の相補的セットを複数含みうる「チップ」となる。例えば、図1aのウェハは4つのチップパターンを有し、各チップはナノ粒子を感知するための9セットのパターン形成された電極を有する。各チップを酸素プラズマ環境下で完全に洗浄して全ての有機材料を除去してから、不動態化する。その後、オリゴヌクレオチドの捕捉鎖などの捕捉プローブをアレイ作製装置でチップにスポットする。
【0034】
図2aは、電極の間隔を均等にした設計の代替実施形態を示す。アレイ作製ロボットで1以上の捕捉鎖を含むスポットを施すことができる。図2には、アレイ作製ロボットが捕捉鎖を「スポット」または配置しうる場所の印として図の中央にドットが示されている。アレイ作製ロボットは、自動化されてはいるが、捕捉鎖を配する場所の精度は様々である。例えば、スポットの位置の許容誤差は一般に±1mmである。この図においては、アレイ作製装置によって捕捉鎖がスポットされ、その一部が電極間のギャップ内にある限りは、該捕捉鎖に(直接または間接に)結合したナノ粒子を電気的に検出することが可能であろう。
【0035】
図2bは、相補的で交互嵌合している電極を10セット備えたチップの代替実施形態を示す。この実施形態により、電極間のギャップで形成された、より大きな正方形の検出領域が得られる。検出領域の有用な大きさは、例えば500μm〜2mmであろう。
【0036】
パターン形成された電極は、2つの電極によって形成される終端間の単一のギャップよりも基板上の遥かに広い部分に及ぶので、本来アレイ作製ロボットには配置誤差があるにもかかわらずアレイ作製ロボットを用いてスポットすることが可能である。さらに、その幾何学的形状から1つのチップ上に複数のスポットを配置することが可能であり、その結果検出の信頼性が向上しうる。最終的には、スポット内に捕捉鎖の濃度の差異をつくることも可能である。電極の設計次第で任意の可能な差異が得られる。というのも、パターン形成された電極で作られた検出領域内に、スポットのわずか一部分ではなくスポット全体を配置することができるからである。図3は、電導性トレース14を介してコンタクトパッド10に接続された六角形の形状の代替電極12および12aを示す。
【0037】
図4は、本発明の別の実施形態を示す。その前の図と同様に、電極12および12aは電導性トレース14を介してコンタクトパッド10に接続されている。電極12および12aは、図1bのように互いの間に挟まれているというよりは、互いの間にギャップまたは酸化物層を備えて互いに隣接している。この電極およびコンタクトパッドの特定の構成により、小型で高密度の幾何学的構成が可能となる。
【0038】
図5は基板22の表面20の上にパターン形成された電極12および12aの断面図である。捕捉プローブ24は、電極12および12aの間の実質的に非電導性のギャップ26の中に固定化される。固定化捕捉プローブ24、標的分析物を電導性粒子と組み合わせて用いて、適合する一本鎖DNA間の結合事象が起きると、電極12および12aの間の電気的特性が測定可能な変化を示す。例えば、検出プローブの金ナノ粒子により電極間の実質的に非電導性のギャップが架橋され、電極間の電導力が増大する可能性がある。
【0039】
ナノ粒子は個々のナノ粒子でも互いに結合した「樹状」ナノ粒子でもよいことに注意されたい。図6aおよび6bに、基板上における標的分析物の検出の模式図を示す。図6aは、基板22の表面20に固定化された捕捉プローブ24に個々の金ナノ粒子を結合させている標的分析物を示している。図6bは、基板22の表面20に固定化された捕捉プローブ24に樹状ナノ粒子を結合させている標的分析物を示している。図6aおよび6bにおいて、a、b、cは異なる結合部位(例えばオリゴヌクレオチド配列)を表し、一方a’、b’、c’はそれぞれa、b、cに相補的な結合部位(オリゴヌクレオチド配列など)を表す。
【0040】
樹状ナノ粒子では個々のナノ粒子に比べてシグナル感度が増大し、ハイブリダイズした金ナノ粒子の樹状物は基板上の暗い領域として裸眼で観察可能なことが多い。樹状ナノ粒子を使用しない場合、または樹状ナノ粒子により生じるシグナルをさらに増幅するためには、ハイブリダイズした金ナノ粒子を銀染色液で処理することが可能である。樹状ナノ粒子は染色過程を加速させ、個々のナノ粒子に比べて標的核酸の検出がより速くより高感度になる。金促進型の銀の還元または樹状ナノ粒子により電導力が増大すれば、試料中の1またはごくわずかしか存在しない個々の標的分析物を検出することが可能である。
【0041】
微小流体カートリッジの土台(プラスチックまたはそれ以外)、発熱体、または回路基板などの別の環境に、容易にチップを組み込むことも可能であろう。
以下は、既知のオリゴヌクレオチドを用いた特異的結合事象の電気的検出についての実施例である。
【実施例1】
【0042】
(金プローブ濃度に関する実験)
1.金ナノ粒子プローブを、米国特許第6,506,564号(引用により本願に完全に組み込まれる)に記載されているように調製した。使用したオリゴヌクレオチド配列は
20Aの繰り返し配列とした。
【0043】
2.次の金プローブ濃度、すなわち10fM、100fM、1pM、10pM、100pM、1nMのアリコートを調製。
3.チップを0.2%SDS溶液で5分間洗浄し、Nanopure(登録商標)水で洗い流す。無水エタノールに1分間浸し、遠心して乾燥させる。
【0044】
4.約1mLのポリLリシン0.01%「ストック」溶液(シグマ(Sigma )社25988‐63‐0)を9つのチップのうち4つにピペッタ(分注器)で直接分注し、低速で30分間遠心した。
【0045】
5.チップ上の9対の各電極上に4μLを載せることのできる「ウェル」を備えたダウコーニング(Dow Corning )のSylgard(登録商標)184ガスケットを取り付ける。
【0046】
6.各濃度4μLを各電極(全部で5つ)上にスポットする。最大で3つの電極を「陰性対照」(NC)のための予備とする。
7.チップを湿らせたKimwipe(登録商標)の入ったプラスチック製トレイの中で1時間インキュベートする。
【0047】
8.銀現像液、例えば1:1で混合したシグマ社(米国ミズーリ州セントルイス所在)の銀増強溶液A(Silver Enhancement Solution A )(部品番号S‐5020)および増強溶液B(Enhancement Solution B)(部品番号S‐5145)などを用いて、チップ全体に銀現像剤を供し、シェーカー・プレートに載せて低速で、またはペトリ皿(商標)を手動で揺らしながら2分間現像する。
【0048】
9.水槽で現像剤とチップを穏やかに冷却し、遠心し、各電極の電気抵抗を記録する。
10.各電極についてシグナルが得られるまでステップ7を繰り返す。
この実験において、金ナノ粒子プローブが結合した後の電気間の抵抗の変化は、使用した金プローブの濃度によって変わり、約5×10Ωから1KΩまで電気抵抗が低下した。電導性の増大が最適となる銀現像時間は約12分間〜約16分間と様々であり、この場合も金プローブの濃度によって変わる。
【実施例2】
【0049】
(表面の評価/2つの点突然変異を有する配列)
1.シリル化したチップ(「非処理群」とする)を次のように調製した:
・チップを0.2%SDS溶液、水およびエタノールで洗浄し、乾燥させた。
【0050】
・シリル化したオリゴヌクレオチド捕捉鎖(濃度20μM)を、手動ピペッタを用いて2μLの小滴として手動でスポットした。捕捉鎖は以下の配列:
5’TGA AAT TGT TAT C PegPegPeg3’(陽性対照の捕捉鎖)
5’TGA AAG GGT TAT C PegPegPeg3’(変異体捕捉鎖)
とした。プローブは陽性対照の捕捉鎖に相補的な配列:
3’エピ‐A20‐GAT AAC AAT TTC A
とした。
【0051】
2.シラン修飾チップ(「処理群」とする)を次のように調製した:
・チップを無水エタノールに溶解した5%イソシアネートに1時間浸漬し、次いで乾燥させた。
【0052】
・アミン修飾したオリゴヌクレオチド捕捉鎖(濃度20μM)を、手動ピペッタを用いて2μLの小滴として手動でスポットした。捕捉鎖は以下の配列:
5’TGA AAT TGT TAT C PegPegPeg3’(陽性対照の捕捉鎖)
5’TGA AAG GGT TAT C PegPegPeg3’(変異体捕捉鎖)
とした。プローブは陽性対照の捕捉鎖に相補的な配列:
3’エピ‐A20‐GAT AAC AAT TTC A
とした。
【0053】
・いずれの場合にも、適合(マッチする)プローブ配列に対応する「陽性対照」捕捉鎖を3つの電極にスポットし、同じ適合プローブ配列とは2塩基対異なる「変異体」捕捉鎖を3つの電極にスポットした。
【0054】
・残りの電極にはスポットせず、よって「陰性」対照とした。
・チップを10nMの陽性対照プローブを用いて40℃で2時間ハイブリダイズさせた。
【0055】
・銀現像の現像時間は3分ずつを単位として全部で9分であった。
この実験において、金ナノ粒子プローブが結合した後の電気間の抵抗の変化は、約40分間の銀現像の後、約5×10Ωから100Ωまで電気抵抗が低下した。変異体捕捉鎖では測定可能な抵抗の変化は示されず、3つの陰性対照のうち2つについても測定可能な変化は示されなかった。3つめの陰性対照には不具合があり、約100KΩの一定した抵抗値を示した。
【実施例3】
【0056】
(第V因子に関する実験)
1.前処理およびチップの準備は(表面の評価/2つの点突然変異を有する配列)の実験と同じである。
【0057】
2.ガラス(Pyrex:登録商標)基板のチップ(「処理群」のイソシアネートチップおよび「非処理群」のシリル化チップの両方)に野生型第V因子、プロトロンビン、陰性対照、および陽性対照の各配列をスポットした。スポットしたオリゴヌクレオチドの濃度は20μMで、配列は次の:
捕捉鎖:野生型第V因子
表示名:FactorV 43H
配列:GGC GAG GAA TA‐(peg)3‐NH2
捕捉鎖:陽性対照
表示名:PHA2H
配列:TGA AAT TGT TAT C‐(peg)3‐NH2
捕捉鎖:陰性対照
配列:ACT TTA ACA ATA G‐(peg)3‐NH2
長さ:13
捕捉鎖:野生型プロトロンビン
表示名:PRO 19H
配列:CTC GCT GAG AG‐(peg)3‐NH2
1.ハイブリダイゼーションには、PCR量の野生型第V因子を濃度10nMの金プローブとともに使用した。金プローブは上記の実施例1に記載されているように調製した。
【0058】
2.ハイブリダイゼーション時間は38℃で30分とした。
3.銀現像の現像時間は3分ずつを単位として全部で9分であった。
この実験において、陰性対照と野生型のシグナルの電極間のシグナル強度が少なくとも100倍異なる、野生型第V因子の存在を示す電気抵抗の変化が、9分の間に生じた。
【0059】
当然のことであるが、例証した実施形態は単なる例示であり、本発明を限定するものとしてとらえるべきではない。特許請求の範囲は、その旨について言及しない限り、記載された順序または要素に限定されると解釈すべきではない。従って、特許請求の範囲内にある全ての実施形態およびそれらの等価物を本発明と主張する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1a】4つのチップパターンを備えた7.62cm(3”)ウェハマスクの略図。
【図1b】パターン形成された電極を作製するために使用可能なウェハ加工工程を示す図。
【図1c】図1aで強調表示された部分の1対の電極を示し、交互嵌合したパターンの電極を示す図。
【図2a】アレイ作製ロボットが捕捉鎖をスポット可能な場所を表すためのドットが各電極パターンの中央に備えられた、図1aのウェハの1チップを一層詳細に示す図。
【図2b】交互嵌合した電極の代替実施形態の1チップを示す図。
【図2c】図2bの実施形態のパターン形成された電極対を一層詳細に示す図。
【図2d】捕捉鎖を「スポット」された、図2cのパターン形成された電極により形成された検出領域を示す拡大写真。
【図3】別の設計のパターン形成された電極を示す図。
【図4】さらに別の設計のパターン形成された電極を示す図。
【図5】基板上の1対のパターン形成された電極と捕捉プローブとを示す断面図。
【図6a】1種類のナノ粒子を用いてDNAが標的に結合するのを検出するシステムを示す概略図。
【図6b】樹状ナノ粒子を用いてDNAが標的に結合するのを検出するシステムを示す概略図。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の、少なくとも第1の結合部位と第2の結合部位とを有する少なくとも1つの第1の標的分析物を電気的に検出するための装置であって、
少なくとも第1および第2のパターン形成された伝導体を表面上に有する基板であって、第1のパターン形成された伝導体は第2のパターン形成された伝導体から隔離されており、第1のパターン形成された伝導体および第2のパターン形成された伝導体のパターンにより該第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間に少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップが形成されることを特徴とする基板と、
第1の標的分析物の第1の結合部位に特異的に結合する少なくとも1つの捕捉プローブであって、実質的に非電導性のギャップのうち少なくとも1つのギャップ内で基板表面に固定化されている捕捉プローブと
からなり、
第1の標的分析物に結合し、同標的分析物がさらに少なくとも1つの捕捉プローブに結合している少なくとも1つの検出用コンジュゲートの存在を、電気的に検出可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
パターン形成された伝導体が交互嵌合していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
交互嵌合している伝導体と少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップとが、基板上の約0.5平方ミリメートル〜約2平方ミリメートルにわたってパターンを形成することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップそれぞれが、幅約10μm〜約100μmで実質的に線状であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
基板が、第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間にパターン形成された絶縁体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
各検出用コンジュゲートが、
金ナノ粒子と、
金ナノ粒子に付着させた、第1の標的分析物の第2の結合部位に特異的に結合可能なプローブと
からなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
各検出用コンジュゲートが、
標識と、
標識に付着させた、第1の標的分析物の第2の結合部位に特異的に結合可能なプローブと
からなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
電気的検出に、金ナノ粒子上で凝集した銀を検出することがさらに含まれる請求項6に記載の装置。
【請求項9】
電気的検出に、第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間の電導性を測定することが含まれる請求項1に記載の装置。
【請求項10】
電気的検出に、第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間の電導性を測定することが含まれる請求項8に記載の装置。
【請求項11】
試料中の、少なくとも第1の結合部位と第2の結合部位とを有する少なくとも1つの第2の標的分析物をさらに検出可能な装置であって、
基板表面上の少なくとも第3および第4のパターン形成された伝導体と、第3のパターン形成された伝導体は第4のパターン形成された伝導体から隔離されていることと、第3のパターン形成された伝導体および第4のパターン形成された伝導体のパターンにより該第3のパターン形成された伝導体と第4のパターン形成された伝導体との間に少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップが形成されることと、
第2の標的分析物の第1の結合部位に特異的に結合する少なくとも1つの第2の捕捉プローブであって、第3のパターン形成された伝導体と第4のパターン形成された伝導体との間の少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップの範囲内で基板表面に固定化されている捕捉プローブと、
からさらになり、
第2の標的分析物に結合し、同標的分析物がさらに第2の捕捉プローブに結合している少なくとも1つの検出用コンジュゲートの存在を、電気的に検出可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
検出用コンジュゲートが、
粒子と、
粒子に付着させた、第1の標的分析物の第2の結合部位に特異的に結合可能なプローブと
からなり、
少なくとも1つの捕捉プローブと第1の標的分析物との間、および第1の標的分析物と検出用コンジュゲートとの間で特異的結合作用が生じるのに有効な条件下で、第1の標的分析物と検出用コンジュゲートとを少なくとも1つの捕捉プローブと接触させたとき、検出用コンジュゲート、第1の標的分析物、および少なくとも1つの捕捉プローブが、第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間に電気的に検出可能な変化を生じる複合体を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
試料中の、少なくとも第1の結合部位と第2の結合部位とを有する少なくとも1つの第1の核酸を電気的に検出するための装置であって、
少なくとも第1および第2のパターン形成された伝導体を表面上に有する基板であって、第1のパターン形成された伝導体は第2のパターン形成された伝導体から隔離されており、第1のパターン形成された伝導体および第2のパターン形成された伝導体のパターンにより該第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間に少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップが形成されることを特徴とする基板と、
第1の核酸の第1の結合部位に特異的に結合する少なくとも1つの捕捉プローブであって、実質的に非電導性のギャップのうち少なくとも1つの範囲内で基板表面に結合している捕捉プローブと
からなり、
第1の核酸に結合し、同核酸がさらに少なくとも1つの捕捉プローブに結合している少なくとも1つの検出用コンジュゲートの存在を、電気的に検出可能であることを特徴とする装置。
【請求項14】
パターン形成された伝導体が交互嵌合していることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
交互嵌合している伝導体と少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップとが、基板上の約0.5平方ミリメートル〜約2平方ミリメートルにわたってパターンを形成することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップそれぞれが、幅約10μm〜約100μmで実質的に線状であることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項17】
基板が、第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間にパターン形成された絶縁体をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項18】
電気的検出に、検出用コンジュゲート上で凝集した銀を検出することがさらに含まれる請求項13に記載の装置。
【請求項19】
電気的検出に、第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間の電導性を測定することが含まれる請求項18に記載の装置。
【請求項20】
試料中の、少なくとも第1の結合部位と第2の結合部位とを有する少なくとも1つの第2の核酸をさらに検出可能な装置であって、
基板表面上の少なくとも第3および第4のパターン形成された伝導体と、第3のパターン形成された伝導体は第4のパターン形成された伝導体から隔離されていることと、第3のパターン形成された伝導体および第4のパターン形成された伝導体のパターンにより該第3のパターン形成された伝導体と第4のパターン形成された伝導体との間に少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップが形成されることと、
第2の核酸の第1の結合部位に特異的に結合する少なくとも1つの第2の捕捉プローブであって、第3のパターン形成された伝導体および第4のパターン形成された伝導体の間の少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップの範囲内で基板表面に結合している捕捉プローブと
からさらになり、
第2の核酸に結合し、同核酸がさらに少なくとも1つの第2の捕捉プローブに結合している少なくとも1つの検出用コンジュゲートの存在を、電気的に検出可能であることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項21】
試料中の、少なくとも第1の結合部位と第2の結合部位とを有する第1の標的分析物と、少なくとも第1の結合部位と第2の結合部位とを有する第2の標的分析物とを最低限検出するための装置であって、
基板を含んでなり、該基板が
表面上の第1および第2のパターン形成された伝導体であって、第1のパターン形成された伝導体は第2のパターン形成された伝導体から隔離されていることと、第1のパターン形成された伝導体および第2のパターン形成された伝導体のパターンにより該第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間に少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップが形成されることとを特徴とする伝導体と、
表面上の第3および第4のパターン形成された伝導体であって、第3のパターン形成された伝導体は第4のパターン形成された伝導体から隔離されていることと、第3のパターン形成された伝導体および第4のパターン形成された伝導体のパターンにより該第3のパターン形成された伝導体と第4のパターン形成された伝導体との間に少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップが形成されることとを特徴とする伝導体と、
を備えていることと、
第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体とで共に第1の検出領域が構成され、第3のパターン形成された伝導体と第4のパターン形成された伝導体とで共に第2の検出領域が構成されることと、
第1および第2の標的分析物の第1の結合部位が電気的に伝導性の粒子からなる検出用コンジュゲートに結合し、同標的分析物の第2の結合部位が第1の検出領域に付着可能な第1の捕捉プローブおよび第2の検出領域に付着可能な第2の捕捉プローブに結合すると
、第1および第2の検出領域におけるそれぞれ第1および第2の標的分析物の存在が電気的に検出可能であることと
を特徴とする装置。
【請求項22】
パターン形成された伝導体が交互嵌合していることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
第1の検出領域および第2の検出領域が、基板上の約0.5平方ミリメートル〜約2平方ミリメートルにわたってパターンをそれぞれ形成することを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
実質的に非電導性のギャップそれぞれが、幅約10μm〜約100μmで実質的に線状であることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項25】
基板が、第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間にパターン形成された絶縁体をさらに備えることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項26】
電気的検出に、電気的に伝導性の粒子上で凝集した銀を検出することがさらに含まれる請求項21に記載の装置。
【請求項27】
電気的検出に、第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間の電導性を測定することが含まれる請求項26に記載の装置。
【請求項28】
第1の結合部位と第2の結合部位とを有する標的分析物を検出する方法であって、
(a)少なくとも第1および第2のパターン形成された伝導体を有する基板であって、第1のパターン形成された伝導体は第2のパターン形成された伝導体から隔離されており、第1のパターン形成された伝導体および第2のパターン形成された伝導体のパターンにより少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップが形成されることを特徴とする基板を提供する工程と、
(b)基板に、少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップの範囲内で基板表面に固定化される、標的分析物の第1の結合部位に特異的に結合する少なくとも1つの捕捉プローブの標的分析物の第1の結合部位に相補的なオリゴヌクレオチドを接触させる工程と、
(c)電気的に伝導性の粒子と、
電気的に伝導性の粒子に付着した、標的分析物の第2の結合部位に特異的に結合可能なプローブと
からなる少なくとも1つの検出用コンジュゲートを提供する工程と、
(d)工程(a)および(c)においてそれぞれ提供された基板および少なくとも1つの検出用コンジュゲートを、標的分析物を少なくとも1つの捕捉プローブに結合させ、かつ少なくとも1つの検出用コンジュゲートを標的分析物に結合させるためにハイブリダイゼーション条件下で標的分析物と接触させる工程と、
(e)標的分析物に結合し、同標的分析物がさらに少なくとも1つの捕捉プローブに結合している少なくとも1つの検出用コンジュゲートを電気的に検出する工程と
からなる方法。
【請求項29】
電気的に伝導性の粒子が金ナノ粒子である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
電気的に伝導性の粒子が、銀ナノ粒子、および金ナノ粒子により凝集させた銀からなる群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項31】
パターン形成された伝導体が交互嵌合していることを特徴とする請求項28に記載の方
法。
【請求項32】
捕捉プローブがアレイ作製ロボットによって基板に塗布される請求項28に記載の方法。
【請求項33】
交互嵌合している伝導体と少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップとが、基板上の約0.5平方ミリメートル〜約2平方ミリメートルにわたってパターンを形成することを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップそれぞれが、幅約10μm〜約100μmで実質的に線状であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項35】
基板が、第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間にパターン形成された絶縁体をさらに備えることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項36】
標的分析物がRNAまたはDNAである請求項28に記載の方法。
【請求項37】
標的分析物がヒト、細菌、ウイルス、または真菌由来である請求項28に記載の方法。
【請求項38】
標的分析物が疾患に関連する遺伝子である請求項28に記載の方法。
【請求項39】
標的分析物が合成DNA、合成RNA、構造的に修飾された天然もしくは合成RNA、または構造的に修飾された天然もしくは合成DNAである請求項28に記載の方法。
【請求項40】
電気的検出が電気的に伝導性のナノ粒子の銀沈積により増強される請求項28に記載の方法。
【請求項41】
電気的検出が第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間の電導性を測定することからなる請求項28に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1つの検出用コンジュゲートが、電気的に伝導性のナノ粒子をさらに含んでなる第2の種類の検出用コンジュゲートの結合部位に特異的に結合するプローブからさらになることを特徴とし、
少なくとも1つの検出用コンジュゲートを第2の種類の検出用コンジュゲートと接触させる工程と、
基板に結合した標的分析物に結合した第2の種類の検出用コンジュゲートを電気的に検出する工程と
からさらになる請求項28に記載の方法。
【請求項43】
電気的検出が電気的に伝導性のナノ粒子の銀沈積により増強される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
第1の結合部位と第2の結合部位とを有する核酸を検出する方法であって、
相補的な対として構成された複数のパターン形成された伝導体を有する基板であって、伝導体の相補的な対全てについて第1のパターン形成された伝導体がその対の第2のパターン形成された伝導体から隔離されていることと、各対の第1のパターン形成された伝導体および第2のパターン形成された伝導体のパターンにより少なくとも2つの実質的に線状で実質的に非電導性のギャップが形成されることと、伝導体の相補的な対それぞれが基板の少なくとも1平方ミリメートルを占めることを特徴とする基板を提供する工程と、
基板に、核酸の第1の結合部位に相補的なオリゴヌクレオチドをロボットにより接触さ
せる工程と、
核酸の第2の結合部位に相補的なオリゴヌクレオチドが結合した金ナノ粒子を提供する工程と、
(a)および(c)においてそれぞれ提供された基板および金ナノ粒子を、核酸を基板および金ナノ粒子に結合させるためにハイブリダイゼーション条件下で核酸と接触させる工程と、
金ナノ粒子を銀染色する工程と、
核酸に結合し、同核酸がさらに基板に結合している銀染色された金ナノ粒子を、パターン形成された伝導体対の間の電導力の変化を測定することにより電気的に検出する工程とからなる方法。
【請求項45】
パターン形成された伝導体が交互嵌合していることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
交互嵌合している伝導体と少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップとが、基板上の約0.5平方ミリメートル〜約2平方ミリメートルにわたってパターンを形成することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップそれぞれが、幅約10μm〜約100μmで実質的に線状であることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項48】
基板が、第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間にパターン形成された絶縁体をさらに備えることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項49】
電気的検出が金ナノ粒子上で凝集した銀を検出することからさらになる請求項44に記載の方法。
【請求項50】
電気的検出が第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間の電導性を測定することからなる請求項49に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも2つの結合部位を有する核酸を検出する方法であって、
(a)核酸を、オリゴヌクレオチドが第1および第2のパターン形成された電極の間に配置された状態で付着している基板に接触させる工程であって、
第1のパターン形成された電極および第2のパターン形成された電極のパターンにより、第1のパターン形成された電極と第2のパターン形成された電極との間に少なくとも2つの実質的に非電導性のギャップが形成され、
オリゴヌクレオチドが前記核酸の配列の第1の結合部位に相補的な配列を有し、接触は基板上のオリゴヌクレオチドと前記核酸とのハイブリダイゼーションが可能となるのに有効な条件下で実施されることを特徴とする工程と、
(b)基板に結合した前記核酸を、電導性の材料で作製されている第1の種類の標識と接触させる工程であって、該標識には1以上の種類のオリゴヌクレオチドが付着しており、少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドが前記核酸の配列の第2の結合部位に相補的な配列を有し、接触は、標識上のオリゴヌクレオチドと前記核酸とのハイブリダイゼーションが可能となり標識と複合体化された試験物質が形成されるのに有効な条件下で実施されることを特徴とする工程と、
(c)試験物質を、非特異的に結合した標識を十分除去するのに有効な塩濃度の塩水溶液と接触させる工程と、
(d)観察可能な変化を検出する工程と
からなる方法。
【請求項52】
観察可能な変化を検出する工程が、第1のパターン形成された電極と第2のパターン形成された電極との間の電気的特性の変化を検出することを含み、第1のパターン形成された電極と第2のパターン形成された電極との間の電気的特性の該変化が、電導性、抵抗、電気容量、またはインピーダンスの変化を含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
1つの核酸の複数の部分の検出、複数の異なる核酸の検出、またはこれら両方が可能となるように基板上に複数の電極対がアレイ状に配置されており、各電極対がその電極の間の基板に付着した1種類のオリゴヌクレオチドを備えていることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
標識が金属製である請求項51に記載の方法。
【請求項55】
標識がナノ粒子を含んでなる請求項51に記載の方法。
【請求項56】
標識が金属ナノ粒子または半導体ナノ粒子を含んでなる請求項51に記載の方法。
【請求項57】
標識が金ナノ粒子を含んでなる請求項51に記載の方法。
【請求項58】
基板を銀染色液と接触させて電導性に変化を生じさせることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項59】
(d)基板に結合した第1の種類の標識を、電導性の材料で作製されかつオリゴヌクレオチドが付着している第2の種類の標識と接触させる工程であって、第2の種類の標識上の少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドが第1の種類の標識上の1種類のオリゴヌクレオチドの配列に相補的な配列を含み、接触は、第1および第2の種類の標識上のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが可能となるのに有効な条件下で実施されることを特徴とする工程と、
(e)第1のパターン形成された電極と第2のパターン形成された電極との間の電気的特性の変化を検出する工程と
からさらになる請求項51に記載の方法。
【請求項60】
第1のパターン形成された電極と第2のパターン形成された電極との間の電気的特性の変化が、電導性、抵抗、電気容量、またはインピーダンスの変化を含むことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
第1の種類の標識上の少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドが第2の種類の標識上の少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドの配列に相補的な配列を有することを特徴とし、
(f)基板に結合した第2の種類の標識を第1の種類の標識と接触させる工程であって、第1および第2の種類の標識上のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが可能となるのに有効な条件下で実施されることを特徴とする工程と、
(g)第1のパターン形成された電極と第2のパターン形成された電極との間の電気的特性の変化を検出する工程と
からさらになる請求項59に記載の方法。
【請求項62】
第1のパターン形成された電極と第2のパターン形成された電極との間の電気的特性の変化が、電導性、抵抗、電気容量、またはインピーダンスの変化を含むことを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項63】
工程(d)、または工程(d)および(f)を1回以上繰り返し、電導性の変化を検出
することを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項64】
(d)基板に結合した第1の種類の標識をオリゴヌクレオチドが付着した凝集プローブと接触させる工程であって、凝集プローブの標識が電導性の材料で作製されており、凝集プローブ上の少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドが第1の種類の標識上の1種類のオリゴヌクレオチドの配列に相補的な配列を含み、接触が、凝集プローブ上のオリゴヌクレオチドと第1の種類の標識上のオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが可能となるのに有効な条件下で実施されることを特徴とする工程と、
(e)第1のパターン形成された電極と第2のパターン形成された電極との間の電気的特性の変化を検出する工程と
からさらになる請求項51に記載の方法。
【請求項65】
第1のパターン形成された電極と第2のパターン形成された電極との間の電気的特性の変化が、電導性、抵抗、電気容量、またはインピーダンスの変化を含むことを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項66】
塩水溶液が、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、これらの塩の2以上の組合せ、これらの塩のうち1つをリン酸緩衝液に含めたもの、およびこれらの塩の2以上の組合せをリン酸緩衝液に含めたものからなる群から選択される塩を含んでなる請求項51に記載の方法。
【請求項67】
塩溶液が塩化ナトリウムをリン酸緩衝液に含めたものである請求項66に記載の方法。
【請求項68】
塩水溶液が約0M〜0.5Mの塩化ナトリウムと約0.01mM〜15mMのpH7のリン酸緩衝液とを含んでなる請求項67に記載の方法。
【請求項69】
塩水溶液が約0.005〜0.1Mの塩化ナトリウムと約10mMのpH7のリン酸緩衝液とを含んでなる請求項67に記載の方法。
【請求項70】
検出可能な変化を観察する工程が、ハイブリダイゼーションが起きたかどうかを判定することからなる請求項51に記載の方法。
【請求項71】
少なくとも第1および第2のパターン形成された伝導体を表面上に備え、第1のパターン形成された伝導体が第2のパターン形成された伝導体から隔離されている基板を使用するハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを向上させる方法であって、第1および第2のパターン形成された伝導体のパターンにより該第1のパターン形成された伝導体と第2のパターン形成された伝導体との間に少なくとも2つの実質的に非伝導性のギャップが形成され、基板には、実質的に非伝導性のギャップのうち少なくとも1つのギャップ内の捕捉オリゴヌクレオチドと、ミスマッチ塩基を有する核酸を含む試料中の1以上の標的核酸をハイブリダイゼーション反応により捕捉および検出するための標識されたオリゴヌクレオチドの検出用プローブとが結合され、捕捉プローブ、標的核酸、および検出用プローブがハイブリダイズした複合体を備えた基板を塩水溶液によって洗浄する工程を含めることから改良がなされる方法。
【請求項72】
塩水溶液が、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、これらの塩の2以上の組合せ、これらの塩のうち1つをリン酸緩衝液に含めたもの、およびこれらの塩の2以上の組合せをリン酸緩衝液に含めたものからなる群から選択される塩を含んでなる請求項71に記載の方法。
【請求項73】
塩溶液が塩化ナトリウムをリン酸緩衝液に含めたものである請求項72に記載の方法。
【請求項74】
塩水溶液が約0M〜0.5Mの塩化ナトリウムと約0.01mM〜15mMのpH7のリン酸緩衝液とを含んでなる請求項73に記載の方法。
【請求項75】
塩水溶液が約0.005〜0.1Mの塩化ナトリウムと約10mMのpH7のリン酸緩衝液とを含んでなる請求項72に記載の方法。
【請求項76】
検出用プローブがナノ粒子‐オリゴヌクレオチドコンジュゲートを含んでなる請求項71に記載の方法。
【請求項77】
コンジュゲートが金ナノ粒子‐オリゴヌクレオチドコンジュゲートを含んでなる請求項71に記載の方法。

【図1b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【公表番号】特表2006−501486(P2006−501486A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549897(P2004−549897)
【出願日】平成15年5月14日(2003.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/015498
【国際公開番号】WO2004/042070
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(501216012)ナノスフェアー インコーポレイテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】NANOSPHERE INC.
【Fターム(参考)】