説明

GPSによる目標位置指示装置

【課題】 GPSからの信号を受信して取得した位置情報を利用して、現在位置からの目標位置への方向、距離、高度差を指示するシンプルな構成で使い勝手に優れ、かつ低コストを実現したGPSによる目標位置指示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 GPSからの信号を受信し、該受信データを演算して測位データとするとともに、該測位データと合わせて該制御部に入力し記憶された現在位置データと目標位置データを演算し、該表示部にて現在位置から目標位置への方向、距離、高度差を表示するように構成し、コンパクトでシンプル、かつ低コストの使い勝手に優れた目標位置指示装置を提供することを実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)を利用して、現在位置からの目標位置の方向、距離、高度差を表示する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、GPSを利用した装置は、自動車用やハンディ用のナビゲーション装置をはじめとして、GPSからの信号を受信して取得した位置情報を記録してインターネット上の地図サービスシステムに軌跡として表示するGPSロガー装置など、位置情報を得ることで様々な装置やシステムに広く活用されている。特にGPSを利用したゴルフコースのホール位置を案内する携帯用表示装置は多々提案されている。
【0003】
例えば、特公平8−27196号公報(特許文献1)の「ゴルフコース用案内/再生システム」は、ゴルフコースのコースレイアウトや、主要な目標物までの距離などを表示して、競技者に案内を行うことができるゴルフコースにおける案内装置で、これによれば、ゴルフの競技者は、携帯形端末機を所持し、その端末機本体の表示手段によってコース図(すなわちホールの平面的なコースレイアウトを示す平面図と、フエアウエイで切断してコースの高低差および傾斜を示す断面図)上に、GPS受信機で計測された現在位置が合成されて表示され、さらにその現在位置から、グリーン、ピン、バンカーおよびカップなどの主な目標物までの距離が、前記平面図内に表示され、こうして競技者は競技を行いつつ、主な目標物までの距離を正確かつ速やかに計測することができるようになる。また、携帯形端末機本体に備えたICカードに記録されたデータをプレイ後に家庭用再生装置で再生することもできる。さらに、携帯形端末機本体の操作キーを、ショットおよびパット時に操作することによって、そのショットおよびパットを行った地点を処理回路によってスコア計算を行うこともできる。さらにまた、携帯形端末機本体にはFM送受信機も備えられてクラブハウスとの連絡を行うこともできるので、各ホールを案内するキャディの帯同が不要となり人件費の削減も可能としたものである。
【0004】
特開平10−113415号公報(特許文献2)の「ゴルファ支援装置」は、プレイ中のボールとホールピンとの間の距離をゴルファに表示出力する装置で、GPS衛星からの情報信号を受信し、自局の位置を表す測位情報を取得する。また、メモリにはゴルフ場の各ホール毎のコースレイアウト情報を地図情報として保持するとともに各ホール毎のホールピンの位置を表すピン位置情報を保持しており、これらコースレイアウト情報及びピン位置情報並びに前記測位情報に基づいて、現在位置とピン位置との間の距離を算出し、対応するホールのコースレイアウト画像と共に表示画面8に表示出力されて、プレイヤに提示するものである。
【0005】
特開2003−189350号公報(特許文献3)の「携帯機器、携帯機器の使用方法、およびそのプログラム」は、サーバ等を利用せずに単体においても優れたナビゲーション機能を実現するもので、筐体の位置を測定する位置測定手段と、位置測定手段により測定された位置を位置情報データとして記憶する記憶手段と、位置測定手段により測定された現在位置から、記憶手段に記憶された位置情報データが示す位置までの道のりを距離と方位とで表示する表示手段とを備えたものである。また、筐体の向きを測定する方位測定手段をさらに備えて方位表示も可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特公平8−27196号公報
【特許文献2】 特開平10−113415号公報
【特許文献3】 特開2003−189350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1「ゴルフコース用案内/再生システム」は、前記した内容から、ゴルファ自身が所有して、どこのゴルフ場に行っても気楽に簡単に使用するといった性格のものではなく、ゴルフ場自体がそのコース専用の案内システムとして構築して携帯形端末機をゴルファに貸与するといった性格が強い。また、携帯形端末機はキャディの帯同が不要なほどの諸情報をゴルファに提供する構成であるため、表示部はある程度の面積を要するとともに内部構成が極めて複雑で演算処理能力や記憶容量もそれなりに必要となり、高コスト及び操作方法が複雑かつ煩雑になるといった課題がある。さらに、コースレイアウトやホール位置などの地理データの作成には、ソフトウェア開発必要も必要で開発及び維持に要する費用も甚大なものである。
【0008】
特許文献2「ゴルファ支援装置」は、特許文献1と同様に、メモリにはゴルフ場の各ホール毎のコースレイアウトとピン位置情報を地図情報として保持して画面に表示する構成であるので、表示部はある程度の面積を要するとともに演算処理能力や記憶容量もそれなりに必要となり、高コスト及び操作方法が複雑かつ煩雑になるといった課題がある。さらに、コースレイアウトやホール位置などの地理データの作成には、ソフトウェア開発必要も必要で開発及び維持に要する費用も甚大なものである。
【0009】
特許文献3「携帯機器、携帯機器の使用方法、およびそのプログラム」は、単に現在位置から目標位置までの道のりを、距離と方位とで表示するシンプルな構成としている。また、方位表示するための方位測定手段をさらに備えて構成している。しかしながら、高度情報が用いられていないため目標位置までの高度差がわからず、現在位置から目標位置に移動するにあたって、登り方向なのか降り方向なのか、あるいはその高度差はどのくらいなのかがわからない。また、東西南北の方位を測定するために、さらに備えられた方位測定手段は磁気センサを用いているために、磁気の影響を受けて正確な方位を測定できないことがある。
【0010】
以上説明したように、従来の装置においては豊富な機能と、地図やコースレイアウトなどを内蔵しているため、装置自体が高コストとなり一般のゴルファが容易に所有しづらく、豊富な機能故に操作のインターフェイスが複雑難解となり使い勝手に課題を有する。
また、地図やコースレイアウトなどのデータ作成は手間とコストが必要であり、昨今ではゴルフコースが閉鎖されたりするケースも多々あるので、最新のデータに更新するための手間やコストを考えると予め地図やコースレイアウトなどを内蔵することには難がある。
【0011】
本発明は、前記課題を解決するために、GPSからの信号を受信して取得した位置情報を利用して、特にゴルフコースにおいての現在位置からの目標位置への方向、距離、高度差を指示するシンプルな構成で使い勝手に優れ、かつ低コストを実現した、GPSによる目標位置指示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1によれば、GPS信号を受信して現在位置から目標位置への方向と距離を表示する目標位置指示装置において、目標位置指示装置は、GPSアンテナと、GPS受信部と、制御部と、表示部とからなり、該GPSアンテナ及び該GPS受信部にてGPSからの信号を受信し、該受信データを演算して測位データとするとともに、該測位データと合わせて該制御部に入力し記憶された現在位置データと目標位置データを演算し、該表示部にて現在位置から目標位置への方向、距離、高度差を表示するように構成したことで解決される。
【0013】
請求項2によれば、GPSからの受信したデータに含まれる時刻データを該制御部にて演算し、該表示部にて表示するように構成したことで解決される
【0014】
請求項3によれば、該目標位置指示装置を携帯して移動した際の、該測位データに基づき、該制御部にて目標位置への移動速度を演算して、現在位置から目標位置への到達予定時刻をリアルタイムに該表示部にて表示するように構成したことで解決される。
【0015】
請求項4によれば、該目標位置指示装置を携帯して移動した際の、該測位データに基づき、該制御部にて目標位置への高度差を演算して、現在位置から目標位置へ登る移動か、降りる移動かを該表示部でリアルタイムに表示するように構成したことで解決される。
【0016】
請求項5によれば、該測位データに基づき、東西南北の方位を該制御部にて演算して、目標位置への方向の方位をリアルタイムに該表示部にて表示するように構成したことで解決される。
【0017】
請求項6によれば、該目標位置指示装置にさらに警告部を備え、該表示部に表示された目標位置の方向への移動時にズレが生じた場合、警告を発するように構成したことで解決される。
【0018】
請求項7によれば、該目標位置指示装置にさらに外部インターフェイス端子を備え、目標位置データを入力する、あるいは該目標位置指示装置自体で登録された目標位置データを出力するように構成したことで解決される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1によれば、GPS信号を受信して現在位置から目標位置への方向と距離を表示する目標位置指示装置において、目標位置指示装置は、GPSアンテナと、GPS受信部と、制御部と、表示部とからなり、該GPSアンテナ及び該GPS受信部にてGPSからの信号を受信し、該受信データを演算して測位データとするとともに、該測位データと合わせて該制御部に入力し記憶された現在位置データと目標位置データを演算し、該表示部にて現在位置から目標位置への方向、距離、高度差を表示するように構成したので、コンパクトでシンプル、かつ低コストの携帯性と操作性を向上し使い勝手に優れた目標位置指示装置を提供することを実現した。例えばゴルフコースにおいてホール位置を目標位置とすれば、現在位置からホール位置への方向、距離、高度差が事前に容易にわかるので、ショットの方向や力加減の具合が予め調整できるので好結果が期待できる。また、ショット位置が谷で、視認不可能な丘の上にグリーンのホールがある場合など、特に方向と高度差が明確になるのでショットの方向や力加減を最適にすることができるので好結果が期待できる。
【0020】
請求項2によれば、GPSからの受信したデータに含まれる時刻データを該制御部にて演算し、該表示部にて表示するように構成したので、該目標位置指示装置に時刻修正ボタンを備えなくとも、極めて精度の高い時刻を表示する時計として使用することが可能となる。
【0021】
請求項3によれば、該目標位置指示装置を携帯して移動した際の、該測位データに基づき、該制御部にて目標位置への移動速度を演算して、現在位置から目標位置への到達予定時刻をリアルタイムに該表示部にて表示するように構成したので、大まかな目標位置への到着予定時刻を知ることができる。例えば、山野などでのトレッキングであれば、現在位置から目標位置への距離に対応した到着予定時刻が容易にわかるので、休憩や食事などを含めたペース配分の計画に適し、無理のない移動が可能となる。
【0022】
請求項4によれば、該目標位置指示装置を携帯して移動した際の、該測位データに基づき、該制御部にて目標位置への高度差を演算して、現在位置から目標位置へ登る移動か、降りる移動かを該表示部でリアルタイムに表示するように構成したので、例えば、山野などでのトレッキングであれば、現在位置から目標位置までの路程に山坂があったとしても、現在地に対し目標位置が登る方向に移動するのか、降りる移動に移動するのかが明確に判断できるので、休憩や食事などを含めたペース配分の計画に適し、無理のない移動が可能となる。
【0023】
請求項5によれば、該測位データに基づき、東西南北の方位を該制御部にて演算して、目標位置への方向の方位をリアルタイムに該表示部にて表示するように構成したので、現在位置から目標位置へ移動する際に、東西南北の方位を合わせて確認することができ、風向きを知ることで知らない土地であっても海風か山風かを知ることも可能で、気象条件にあった目的地への移動が可能となる。
【0024】
請求項6によれば、該目標位置指示装置にさらに警告部を備え、該表示部に表示された目標位置の方向への移動時にズレが生じた場合、警告を発するように構成したので、現在位置から目標位置へ移動する際に、該表示部の確認を怠って思わぬ方向に移動してしまった場合、該警告部の報知によって、方向を直ちに修正して効率的なルートで目的地に到達することが可能となる。
【0025】
請求項7によれば、該目標位置指示装置にさらに外部インターフェイス端子を備え、目標位置データを入力する、あるいは該目標位置指示装置自体で登録された目標位置データを出力するように構成したので、例えば、ゴルフコースに備えられたパソコンなどと外部インターフェイス端子に接続して、ゴルフコースの全ホールの位置データを入力すれば、最新のホールの位置データを取得してゴルフコースをまわることが可能となる。また、逆に自宅のパソコンに接続すれば、位置データを、インターネット上で提供される地図サービスにその位置を表示させることができるので、山菜やキノコ採りのポイントを地図上で確認して印刷することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】目標位置指示装置本体のブロック図である。
【図2】本体の外観図である。
【発明を実施させるための形態】
【0027】
【実施例1】
【0028】
以下、本発明の第1の実施例を、図面を参照して説明する。図1は、GPSによる目標位置指示装置本体(1)(以下、本体(1)という)のブロック図、図2は、本体(1)の外観図で、表示部を詳細に表した。
【0029】
本体(1)は、GPSアンテナ(2b)、GPS受信部(2a)、制御部(3)、表示部(4)とから構成される。
【0030】
GPS受信部(2a)はGPSアンテナ(2b)を介して、複数のGPSから送信される信号を受信するモジュールであり、そのサイズは周囲12.5mm角、厚み2.5mmで極めてコンパクト、低消費電力なものを用いた。また、本体(1)を動作させる電源はボタン型リチウム電池CR2032を用いて、本体(1)のコンパクト化に寄与する。
【0031】
制御部(3)は、該GPS受信部(2a)で受信した該受信データを演算して測位データとするとともに、該測位データと合わせて該制御部に入力し記憶された現在位置データと目標位置データを演算する。また、スイッチ群(3a)を備え、現在位置や目標位置の測位と登録などの操作を行う。さらに、図示しないが制御部(3)には、現在位置データや目標位置データを記憶して保持するために記憶部を備える。記憶したデータは、チャンネル(CH)として保持することができ、後で呼び出して目標位置とすることができる。
【0032】
表示部(4)は、LCDディスプレイを用いた。有機ELディスプレイなどカラー液晶を用いてもよいが、屋外の晴天下においての視認性や消費電力、コストを考慮すればLCDディスプレイを用いることが最も望ましい。該制御部(3)で演算されたデータは、図2に示されるように、該表示部(4)にて、現在位置から目標位置への方向を矢印(4a)で、現在位置から目標位置への距離(4b)を、現在位置と目標位置との高度差(4c)を表示する。方向を示す矢印(4a)は、目標位置を一目で容易に確認できるように矢印で表示した。距離(4b)及び高度差(4c)はデジタル数字で表示した。また、GPS受信部(2a)がGPS信号を受信しているか否かを示すインジケータ(4d)を備えたので、もしインジケータ(4d)が表示されていない場合は、表示される位置に移動することで本体(1)の使用が可能となる。なお図2において距離(4b)及び高度差(4c)はメートル表示としているが、ゴルフコースで使用する場合はヤード表示が自然なので、両者を換算して切り替えるようにする。(図示しないスイッチを備える)ヤード表示にした場合は、距離(4b)及び高度差(4c)の下部のmの黒文字が白抜きとなり、ydの白抜き文字部分が黒くなってヤード表示であることを示す。
【0033】
以上のように構成された本体(1)は、ゴルフコースのレイアウト図などの地図データ及び表示を省いたので、本体の内部回路構成をシンプルに設計することができ、コンパクト、省電力、使い勝手の向上を実現した。また、地図データの開発費用が不要なのでその分の開発費が不要であり、コストを著しく低減することが可能となり、気軽に購入して使用することができる。
【0034】
例えばゴルフコースにおいての本体(1)の使用態様を説明する。本体(1)の制御部(3)の記憶部のチャンネル(CH)1から18に予めホール位置の緯度、経度、高度の位置データを登録しておく。チャンネル(CH)1から18を、1番から18番ホールに対応して登録しておけば、ゴルファはそれぞれのホール毎に、対応するホール位置のチャンネル(CH)を呼び出して、本体(1)に現在位置からホール位置(目標位置)への、方向を矢印(4a)、距離(4b)、高度差(4c)を表示する。ゴルファはそれに従って、ショットの方向や力加減の調整をする。また、ショット位置が谷で、グリーンの位置が確認できない場合は特に有効である。これによって、特に方向と高度差が明確になるのでショットの方向や力加減を最適にして好結果が期待できる。
【0035】
また、郊外のショッピングセンターなど広大な駐車場においての本体(1)の使用態様を説明する。郊外のショッピングセンターへは車両が主な移動手段であり、そのため駐車場面積は広大である。特に週末や休日は買い物客の車両で混雑し、ショッピングセンターから相当離れた位置への駐車を余儀なくされる。駐車位置からショッピングセンターには、容易に辿り着くが、ショッピング後に車両を置いた位置の戻るには位置を覚えておく必要がある。そのために、駐車場には番号や絵柄を付したポールを目印として立てているが、往きは覚えていても買い物後にはすっかり忘れてしまい自分の車両を探している買い物客を多く見かける。このようなとき、駐車位置で本体(1)にその位置を登録する。これにより本体(1)の駐車した場所の位置データが登録され、本体(1)の表示部(4)に現在位置から駐車位置(目標位置)への、方向を矢印(4a)、距離(4b)を表示する。この矢印(4a)が指し示す方向に移動すれば、スムーズに短時間で容易に駐車位置に辿り着くことが可能となる。表示されている距離(4b)は駐車位置(目標位置)に近づくにつれて減少するので、あとどの位の距離かも知ることができるので、安心して移動することができる。
【実施例2】
【0036】
第2の実施例では、GPSからの受信したデータに含まれる時刻データを該制御部(3)にて演算し、該表示部(4)にて現在時刻(4e)として表示する。時刻データは、GPS衛星搭載の原子時計から取得したものであるので、電波時計同様に高い精度で表示することができ、本体(1)に時刻修正ボタンを備える必要がない。
【実施例3】
【0037】
第3の実施例では、本体(1)を携帯して移動した際の、該測位データに基づき、該制御部(3)にて目標位置への移動速度を演算して、該表示部(4)にて現在位置から目標位置への到達予定時刻(4f)としてリアルタイムに表示する。これによって、大まかではあるが、目標位置への到着予定時刻を知ることができる。例えば、山野などでのトレッキングでの使用であれば、現在位置から目標位置への距離に対応した到着予定時刻(4f)が容易にわかるので、休憩や食事などを含めたペース配分の計画に適し、状況に応じて無理のない安全な移動が可能となる。
【実施例4】
【0038】
第4の実施例では、本体(1)を携帯して移動した際の、該測位データに基づき、該制御部(3)にて目標位置への高度差を演算して、現在位置から目標位置へ登る移動か、降りる移動かを該表示部(4)にて、DOWN(4g)、UP(4h)の何れかを黒く表示して示す。DOWN(4g)は降りる移動、UP(4h)は登る移動である。これによって、例えば、山野などでのトレッキングであれば、現在位置から目標位置までの路程に山坂があったとしても、現在地に対し目標位置が登る方向に移動するのか、降りる移動に移動するのかが明確に判断できるので、休憩や食事などを含めたペース配分の計画に適し、状況に応じて安全で無理のない移動が可能となる。
【実施例5】
【0039】
第5の実施例では、該該測位データに基づき、東西南北の方位を該制御部(3)にて演算して、目標位置への方向(4a)の方位(4i)をリアルタイムに該表示部(4)にて、方位(4i)として表示する。従来の一般的な磁気を利用した方位センサのように磁気の影響によってズレが生じないので、正確な方位(4i)の表示が可能である。方位(4i)は、方向を示す矢印(4a)の方向と連動して表示され、図2においては、矢印(4a)の方向は、NNE(北北東)であることを示している。これによって、例えば、現在位置から目標位置へ移動する際に、東西南北の方位を合わせて確認することができ、風向きを知ることで知らない土地であっても海風か山風かを知ることも可能で、気象条件も考慮した移動が可能となる。また、該制御部(3)とスイッチ群(3a)の設定により、矢印(4a)や距離(4b)、高度差(4c)などの不要な部分の表示をせず、方位(4i)だけを表示させて、単に現在位置の方位を示すコンパスとして用いることも容易に可能である。
【実施例6】
【0040】
第6実施例では、本体(1)にさらに警告部(5)を備え、該表示部(4)に表示された目標位置の方向(4a)への移動時にズレが生じた場合、警告を発する。使用している際に、該表示部(4)の確認を怠って思わぬ方向に移動してしまった場合、該警告部(6)の報知によって、直ちに方向を修正して効率的なルートで目的地に到達することが可能となる。なお、警告部(6)の警告手段はLEDなどの発光体の光りによる警告、圧電スピーカなどの音による警告、バイブレーションモータの振動による警告の何れか、あるいはそれらの組み合わせを用いればよい。
【実施例7】
【0041】
第7実施例では、本体(1)にさらに外部インターフェイス端子(6)を備え、目標位置データの入力、あるいは本体(1)で登録された目標位置データの出力を行う。外部インターフェイス端子(6)は、現在一般的に使用されているUSB端子を用いることが、家庭に普及しているパソコンと容易に接続が行えるので、使い勝手がよい。例えば、ゴルフコースにおいては、グリーンのホール位置がしばしば変更される。ゴルフコース管理者がホール位置を変更する際に本体(1)を操作して、1から18番ホールまでそれぞれの位置を登録する。登録したホール位置のデータを、ゴルフコース管理者のパソコンに外部インターフェイス端子(6)と接続してアップロードする。来場したゴルファは、自己所有、あるいはゴルフ場から貸与された本体(1)とゴルフコース管理者のパソコンとを外部インターフェイス端子(6)に接続して、該登録したホール位置のデータをダウンロードして使用することができる。また、本体(1)を自宅のパソコンに接続すれば、登録された位置データを、インターネット上で提供される地図サービスで、その位置を表示させることができるので、例えば、山菜やキノコ採りであれば、採取したポイントを地図上で確認したり印刷したりして保存することも可能である。さらには、インターネット上で提供される地図サービスで、目標位置の緯度、経度を調べて、そのデータを本体(1)に入力することで、予め目標位置の設定を行うことができるので、様々な用途において使い勝手の向上を実現したものである。
【0042】
本体(1)は、全地球の測位が可能なGPSを用いているので、GPS信号が受信可能である限り全地球において使用することが可能である。また、その用途は多岐にわたり、前記したゴルフコースやトレッキングなどでの使用の他、海釣り、サイクリングなどのスポーツやレジャー、学術調査などあらゆる分野において活用することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 目標位置指示装置本体
2a GPS受信部
2a ネジ部
2b GPSアンテナ
3 制御部
3a スイッチ群
4 表示部
4a 矢印
4b 距離
4c 高度差
4d インジケータ
4e 現在時刻
4f 到達予定時刻
4g UP
4h DOWN
4i 方位
5 警告部
6 外部インターフェイス端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS信号を受信して現在位置から目標位置への方向と距離を表示する目標位置指示装置において、目標位置指示装置は、GPSアンテナと、GPS受信部と、制御部と、表示部とからなり、該GPSアンテナ及び該GPS受信部にてGPSからの信号を受信し、該受信データを演算して測位データとするとともに、該測位データと合わせて該制御部に入力し記憶された現在位置データと目標位置データを演算し、該表示部にて現在位置から目標位置への方向、距離、高度差を表示するように構成したことを特徴とするGPSによる目標位置指示装置。
【請求項2】
GPSからの受信したデータに含まれる時刻データを該制御部にて演算し、該表示部にて表示するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のGPSによる目標位置指示装置。
【請求項3】
該目標位置指示装置を携帯して移動した際の、該測位データに基づき、該制御部にて目標位置への移動速度を演算して、現在位置から目標位置への到達予定時刻をリアルタイムに該表示部にて表示するように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載のGPSによる目標位置指示装置。
【請求項4】
該目標位置指示装置を携帯して移動した際の、該測位データに基づき、該制御部にて目標位置への高度差を演算して、現在位置から目標位置へ登る移動か、降りる移動かを該表示部でリアルタイムに表示するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のGPSによる目標位置指示装置。
【請求項5】
該測位データに基づき、東西南北の方位を該制御部にて演算して、目標位置への方向の方位をリアルタイムに該表示部にて表示するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のGPSによる目標位置指示装置。
【請求項6】
該目標位置指示装置にさらに警告部を備え、該表示部に表示された目標位置の方向への移動時にズレが生じた場合、警告を発するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のGPSによる目標位置指示装置。
【請求項7】
該目標位置指示装置にさらに外部インターフェイス端子を備え、目標位置データを入力する、あるいは該目標位置指示装置自体で登録された目標位置データを出力するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のGPSによる目標位置指示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−33606(P2011−33606A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189527(P2009−189527)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(509232717)株式会社ギガテック (5)
【Fターム(参考)】