説明

I型コラーゲン産生促進用組成物

【課題】
ヒト皮膚線維芽細胞のI型コラーゲンの産生を促進する組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
シリビンおよびコラーゲン産生を促進するペプチド(Gly−Pro−Hyp、Gly−His−Lys、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、またはGly−Glu−Pro−Argのアミノ酸配列からなるペプチド)を含有することを特徴とするI型コラーゲン産生促進用組成物を提供することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト皮膚線維芽細胞が産生するI型コラーゲンの産生促進効果を有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、生体内蛋白質の約1/3を占め、血管や皮膚、骨に多く存在し、細胞の足場としてこれら組織の形成、構築に重要な役割を果たしている。コラーゲンは、消化酵素でほとんど分解されないため栄養価の低い蛋白質と考えられていたが、コラーゲンを摂取することによる新陳代謝促進(特許文献1)、頭髪の育毛促進(非特許文献1)、関節症治療用薬剤としての利用(特許文献2)等が報告されており、有効性が見直されている。さらに、コラーゲンは年齢とともに減少することから血管の脆弱化や皮膚の弾力性、柔軟性の減少によるしわやたるみ発生の一因と考えられている。
【0003】
コラーゲンの熱変性体であるゼラチンは、その高い粘性、凝固性および保水性を利用して、食品の食感改良剤や化粧品(特許文献3)として利用されている。しかし、未処理のコラーゲンおよびゼラチンは粘性が高く、凝固しやすいため、部分加水分解処理されたものを使用することが多い。また、タンパク質であるため抗原性を有し、アレルギー体質のヒトの摂取には問題がある。そのため、コラーゲンをコラーゲナーゼによって低分子化することにより、抗原性をなくしたアレルギー患者向けのタンパク資源あるいは輸液製剤成分としての利用が報告されている(特許文献4)。コラーゲナーゼによるコラーゲン分解物の生理活性については、フィブリン凝集阻害活性(特許文献5)、麻酔作用(非特許文献2)が知られている。また、Clostridium histolyticum由来のコラーゲナーゼによるコラーゲンの分解産物に関しては、生成するトリペプチドの36%がGly−Pro−Hypで最も多いと報告がある(非特許文献3)。
【0004】
Gly−Pro−Hypを含むコラーゲナーゼによるコラーゲン分解物を有効成分とする皮膚外用剤をしわなどの抗皮膚老化目的で使用する試みがなされている(特許文献6)。また、Gly−Pro−Hypを含むコラーゲナーゼによるコラーゲン分解物で特に分子量400以下のものを含む生体コラーゲン産生促進剤が開発されている(特許文献7)。コラーゲナーゼによるコラーゲン分解物は、生体コラーゲンの原料となりコラーゲン合成を促進すると考えられる。その他、コラーゲン産生を促進するペプチドとしてα1コラーゲンの分解物由来のペンタペプチドであるLys−Thr−Thr−Lys−Ser(非特許文献4)、α2コラーゲンの分解物由来のトリペプチドであるGly−His−Lys(非特許文献5)、immmunoglobulin Gの分解物由来のペンタペプチドであるGly−Glu−Pro−Arg(非特許文献6)などが開発されている。
【0005】
一方で、生体コラーゲンの原料として作用するのではなく、コラーゲンの産生を促進する成分が見出されている。例えば、レチノイン酸やその誘導体であるレチノール(非特許文献7)およびマリアアザミエキス由来成分シリマリン(特許文献8)などが開発されている。また、レチノイン酸やその誘導体であるレチノール(非特許文献8)およびマリアアザミエキス由来成分シリマリン(特許文献9)はコラーゲン分解酵素であるコラーゲナーゼを抑制することも明らかになっている。
【0006】
レチノイン酸やその誘導体であるレチノールは皮膚刺激性を始め、安全性面で問題があること(非特許文献9)や、安定性が悪いことから、一般的な実用には適さない。
このように生体コラーゲンを増加させるための種々の成分および組成物が開発されてきたが、安全性を兼ね備えつつ、十分に有効な作用を及ぼすには至っていない。
【0007】
本発明は、シリビンおよび各種ペプチドを併用した場合に、各々単独使用よりも相乗的なI型コラーゲンの産生促進作用を有することを見出し、完成させたものである。
【0008】
【特許文献1】特開平7−278012
【特許文献2】特開昭63−39821
【特許文献3】特開昭52−111600
【特許文献4】特開平7−82299
【特許文献5】特開平6−46875
【特許文献6】特許第3504205号
【特許文献7】特開2001−1310844
【特許文献8】特許文献8:WO2004/085429
【特許文献9】特開2002−173424
【特許文献10】特開平5−286864号公報
【特許文献11】特許第2948818号
【特許文献12】特開2000−169328号公報
【特許文献13】特開2000−169332号公報
【特許文献14】特願2002−255448号
【特許文献15】特公平5−9406号公報
【特許文献16】特公昭63−41396号公報
【特許文献17】特開2002−255847号公報
【非特許文献1】Nutrition Reports International, 13, 579, 1976
【非特許文献2】Br.J.Pharmacol.,69,551,1980
【非特許文献3】J.Biochem.,50,486,1961
【非特許文献4】J.Biol.Chem.,268(14),9941−9944,1993
【非特許文献5】Ann.NY Acad. Sci.,580,p573
【非特許文献6】Int J Pept Protein Res.,17(4),p430−435.,1981
【非特許文献7】J.Invest.Dermatol., Vol.94,No.5,p717−723,1990
【非特許文献8】Varani J., et al., J Invest. Dermatol., 116, 480−486, 2000
【非特許文献9】Zouboulis,C.C.,Retinoids:Is there a New Approach?,IFSCC Magazine,Vol.3,No.3,2000
【非特許文献10】Wagner,H.,etal.,Arznein.Forsch,24,466,1974.
【非特許文献11】Tittel,G.,etal.,J.Chromatogr.,135,499,1977.
【非特許文献12】Tittel,G.,etal.,J.Chromatogr.,153,227,1978.
【非特許文献13】Quercia,V.,etal.,Chromatography in Biochemistry,Medicine and Enviromental Research,Frigerio A.(Ed).,ElsevierScientific Publishing Company,Amsterdam,1983,p1.
【非特許文献14】Lowry,O.et.al.,J.Biol.Chem.,193,265,1951
【非特許文献15】M.J.Barttek,etal.,J.Invest.Dermatol.,58,114,1972
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ヒト皮膚線維芽細胞のI型コラーゲンの産生を促進する組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、より効果的にI型コラーゲンの産生を高めるための検討を行った。その結果、コラーゲンの原料として作用してコラーゲン産生を促進するコラーゲン由来ペプチドおよびシリビンを併用すると、I型コラーゲンの産生が相乗的に促進されることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、
1 シリビンおよびコラーゲン産生を促進するペプチドを含有することを特徴とするI型コラーゲン産生促進用組成物、
2 コラーゲン産生を促進するペプチドが、Gly−Pro−Hyp、Gly−His−Lys、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、またはGly−Glu−Pro−Argのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の組成物、
3 しわ、たるみ、くすみ、しみの予防および/または改善用である請求項1〜4いずれかに記載の組成物、4 シリビンおよびGly−Pro−Hyp、Gly−His−Lys、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、またはGly−Glu−Pro−Argのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする化粧料、
5 シリビンおよびGly−Pro−Hyp、Gly−His−Lys、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、またはGly−Glu−Pro−Argのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする食品、
6 動物用である請求項1または2に記載の組成物、
に関する。
【発明の効果】
【0012】
シリビンとコラーゲン産生を促進するペプチドを併用することにより、ヒト皮膚線維芽細胞のI型コラーゲンの産生を促進する効果に優れた組成物を提供することができた。
本発明の組成物を化粧料として適用する、あるいは食品として摂取することにより、皮膚のはりや弾力性を向上させ、しわやたるみを予防、防止、改善することが期待できる。
また、本発明の組成物は皮膚に対する安全性が高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
シリマリン(Silymarin;CAS No.65666−07−1)は、キク科マリアアザミ(学名シリバム・マリアナムSilibum marianum Gaertn、別名オオアザミ、オオヒレアザミ、ミルクアザミ;CAS
No.84604−20−6)から抽出されるフラボノリグナンの総称であり、分子式C252210で表されるシリビン(Silybin;CAS
No.22888−70−6)、シリジアニン(Silydianin;CAS No.29782−68−1)、シリクリスチン(Silychristin;CAS No.33889−69−9)、イソシリビン(Isosilybin;CAS No.72581−71−6)などを含有している組成物である(非特許文献10)。本発明においては、マリアアザミ抽出物に含有されるこれらのフラボノリグナンを含有している組成物を従来技術と同様、シリマリンと呼ぶ。またシリマリンは前記の通りフラボノリグナンの混合物であり、シリマリンとしての植物抽出物や植物中の含有量は、分光光度計による測定に基づいた方法(非特許文献11)、薄層クロマトグラフィーによる方法(非特許文献9)、高速液体クロマトグラフィーによる方法(非特許文献12〜14)により測定可能である。これらの測定法の中でも、分光光度計による測定に基づいた方法の一つである2,4−ジニトロヒドラジン分析は、ドイツ薬局方(Silybum
marianumの果実に関するモノグラフ)に報告されており、広く用いられている。本発明においても、上記成分の混合組成物の定量にあたっては2,4−ジニトロヒドラジン分析法を用いてシリビンに換算した質量%で表記する。
【0014】
シリマリンは古くからヨーロッパで肝臓疾患の予防及び治療を目的として使用されている。また、酸化防止剤として広く知られている。皮膚に対して有用な組成物として、乾癬及びアトピー性皮膚炎治療製剤(特許文献10)、フラボノリグナンとリン脂質との錯体を活性成分として含み、紅斑、火傷、皮膚または粘膜のジストロフィー状態、皮膚炎等の治療、皮膚の老化防止及び放射線、風、太陽などの外部環境からの刺激保護に有用な組成物(特許文献11)、表皮透過バリア強化剤(特許文献12)、皮脂分泌抑制剤(特許文献13)、表皮の偏平化を予防、防止、改善する皮膚老化防止用組成物(特許文献14)、抗酸化能に起因する皮膚老化防止用の化粧料(特許文献15)、ヒト皮膚線維芽細胞および三次元皮膚モデルにおけるI型コラーゲン産生促進用組成物(特許文献8)が開発されている。
【0015】
シリマリンをマリアアザミの果実から高純度で単離する方法として、70〜80%の純度で単離する方法や90〜96%の純度で単離する方法(特許文献16)が既に報告されている。シリマリンは通常マリアアザミの種実からエタノール、酢酸エチル、アセトンなどにより抽出し、スプレードライにより乾燥粉末として得られる抽出物原料として市販されている。本発明に使用するシリビンはこのようにして調製されて、市販されているシリビンを含有するシリマリンをそのまま用いることができる。また、マリアアザミからシリビンを濃縮した抽出物及びシリビンを単離、精製して化合物として用いることができる。
【0016】
本発明におけるシリビンを含む植物体は、葉、茎、芽、花、木質部、木皮部(樹皮)などの地上部、根、塊茎などの地下部、種子、樹脂などのすべての部位が使用可能である。
本発明におけるシリビン及びそれを含む植物体は、それら自体を乾燥させた乾燥物及びそれらを各種溶媒を用いて溶解した溶解物として使用できる。例えば、水またはエタノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール、エーテル、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒を用いて溶解した溶解物として使用できる。
【0017】
本発明におけるシリビンを含む植物体は、天然乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥させたり、醗酵させたりしたものをそのまま使用することができる。また植物抽出物を調製する場合は常法に従って、抽出、濃縮、粉末化などの処理を行って得られたものを使用することができる。
【0018】
本発明のコラーゲン産生を促進するペプチドとしては、Gly−Pro−Hyp、Gly−His−Lys、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、またはGly−Glu−Pro−Argのアミノ酸配列からなるペプチドが好ましい。
【0019】
Gly−Pro−Hypは、コラーゲン成分またはゼラチン成分をコラーゲナーゼにより特異的に分解して得られるペプチド組成物であり、従来のコラーゲン、ゼラチンまたはその加水分解物よりも速やかに効率良く消化吸収されることが知られている(特許文献17)。前述のようにClostridium histolyticum由来のコラーゲナーゼによるコラーゲンの分解産物に関しては、生成するトリペプチドの36%がGly−Pro−Hypで最も多いとの報告(非特許文献3)があることから、特にGly−Pro−Hypの効率的な製造方法である。本発明に用いるGly−Pro−Hypは化学合成したものを用いてもよい。
【0020】
本発明に用いるGly−His−Lysはα2プロコラーゲンをコラナーゼなどのコラーゲン分解酵素により分解した生成物を用いることができる。また、化学合成したものを用いてもよい。
【0021】
本発明に用いるLys−Thr−Thr−Lys−Serはα1プロコラーゲンをコラナーゼなどのコラーゲン分解酵素により分解した生成物を用いることができる。また、化学合成したものを用いてもよい。
【0022】
本発明に用いるGly−Glu−Pro−Argはimmmunoglobulin Gをトリプシンなどの分解酵素により分解した生成物を用いることができる。また、化学合成したものを用いてもよい。
【0023】
本発明のI型コラーゲン産生促進用組成物は、真皮の細胞外マトリックスを構成する主要タンパク質であるI型コラーゲンの産生を促進し、皮膚のはりや弾力性を向上させ、加齢や紫外線照射などにより引き起こされるしわやたるみの形成を予防、防止、改善し、皮膚を若々しく保つことができる。
【0024】
本発明のI型コラーゲン産生促進用組成物は、化粧料などの皮膚外用剤、経口用の食品として製造することができる。
化粧料としては、シリビン、シリビンの供給源としてシリマリン、シリビンを含む植物体またはその植物抽出物のいずれかと、Gly−Pro−Hyp、Gly−His−Lys、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−Glu−Pro−Argから選択されるペプチドを直接または小麦胚芽油あるいはオリーブ油などに添加して、化粧料成分として使用し、化粧料を製造することができる。
【0025】
食品としては、シリビン、シリビンの供給源としてシリマリン、シリビンを含む植物体またはその植物抽出物のいずれかと、Gly−Pro−Hyp、Gly−His−Lys、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−Glu−Pro−Argから選択されるペプチドを直接、または種々の栄養成分を添加して食品として使用できるし、所望の食品に配合しても良い。例えば、澱粉、乳糖、麦芽糖、植物油脂粉末、カカオ脂末、ステアリン酸などの適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して健康補助食品、保健機能食品などとすることができる。また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加してもよく、水、果汁、牛乳、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。
【0026】
本発明のI型コラーゲン産生促進用組成物におけるシリビンと各種ペプチドとの配合比率(モル比)は、各々の成分の調製法、製剤の形態などにより、適宜選択、決定され、特に限定されないが、シリビンが1に対して、各種ペプチドを2〜6の割合で配合するのが好ましい。
【0027】
本発明のI型コラーゲン産生促進用組成物、化粧料、食品へのシリビン及びコラーゲン産生を促進するペプチドの有効配合量は、各々の成分の調製法、製剤の形態などにより、適宜選択、決定され、特に限定されないが、皮膚外用剤として用いる場合はシリビンおよびコラーゲン産生を促進するペプチドをそれぞれ0.01〜2重量%を含有させることが好ましい。一方、錠剤やドリンクなどとして食品として用いる場合は0.1〜10重量%を含有させることが好ましい。
【0028】
本発明のI型コラーゲン産生促進用組成物、化粧料、食品の有効適用量は、適用経路、適用スケジュール、製剤形態などにより、適宜決定することができる。例えば、1日当り0.01g〜10gの範囲で適宜調節して、1回または数回に分けて適用できる。
【0029】
食品としては、直接、又は種々の栄養成分を添加して使用できる。例えば、澱粉、乳糖、麦芽糖、植物油脂粉末、カカオ脂末、ステアリン酸などの適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して健康補助食品、保健機能食品などとして、食用に供してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用してもよく、水、果汁、牛乳、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。そのような剤、食品は、通常採用されている製剤化技術により製造することができる。
【0030】
化粧料としては、直接又は小麦胚芽油あるいはオリーブ油などに添加して、化粧料成分として使用し、これらを用いて化粧料を製造することができる。
非経口適用の組成物は、例えば水溶液、油剤、乳液、懸濁液等の液剤、ゲル、クリーム等の半固形剤、粉末、顆粒、カプセル、マイクロカプセル、固形等の固形剤の形態で適用可能である。従来から公知の方法でこれらの形態に調製し、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏、硬膏、ハップ剤、エアゾール剤、坐剤、注射剤、粉末剤等の種々の剤型とすることができる。これらを身体に塗布、貼付、噴霧等により適用することができる。特にこれら剤型の中で、ローション剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤、ハップ剤、エアゾール剤等が皮膚外用剤に適している。化粧料としては、化粧水、乳液、クリーム、パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップクリーム、乳液状又はクリーム状あるいは軟膏型のファンデーション、口紅、アイカラー、チークカラーといったメイクアップ化粧料、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション等の身体用化粧料等とすることができる。
【0031】
増量剤と混合した組成物の状態としておくと便利に使用できる。増量剤としては、グルコース、ラクトース、マルトース、ショ糖等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール、デキストリン、サイクロデキストリン等の加工澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ等の澱粉類、カゼイン、大豆タンパク質等のタンパク質、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、ゼラチン、ペクチン、粉末セルロース、カルボキシメチルセルロース等の高分子安定剤、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、カルシウム粉末等が使用できる。
【0032】
本発明のI型コラーゲン産生促進用組成物、化粧料、食品には、抗酸化作用を有する化合物を含有させることができる。抗酸化作用を示す化合物は、特に限定されるものではないが、例えば各種ビタミン類、ルチン等の各種ポリフェノール類、トコトリエノール、補酵素Q10およびそれらを含有する天然成分などが挙げられる。
【0033】
本発明のI型コラーゲン産生促進用組成物、化粧料、食品には、生体内の異常タンパク質の蓄積除去を促進する成分を含有させることができる。生体内の異常タンパク質の蓄積除去を促進する成分は、特に限定されるものではないが、例えば大豆サポニン、ケール抽出物、シラン抽出物、アヤメ抽出物などが挙げられる。
【0034】
その他、用途や剤型に応じて次のようなものを添加することができる。
油脂類としては、例えば、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油、トリオクタン酸グリセリン、等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ、モクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等のロウ類が挙げられる。
【0035】
炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
高級脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等が挙げられる。
高級アルコールとして、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
シリコーンとして、例えば、鎖状ポリシロキサンのジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等、環状ポリシロキサンのデカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0036】
アニオン界面活性剤として、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤として、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤として、例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
非イオン界面活性剤として、例えば、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体が挙げられる。
【0037】
防腐剤として、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン等を挙げることができる。
金属イオン封鎖剤として、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
【0038】
高分子として、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOL等)等のビニル系高分子、等を挙げることができる。
【0039】
増粘剤として、例えば、カラギーナン、トラガカントガム、クインスシード、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、ベントナイト等を挙げることができる。
【0040】
粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、無機白色顔料、無機赤色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料、赤色201号、赤色202号等の有機顔料を挙げることができる。
【0041】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、等を挙げることができる。
紫外線遮断剤として、例えば、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛等を挙げることができる。
【0042】
保湿剤として、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、シクロデキストリン等が挙げられる。
【0043】
薬効成分としては、例えば、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB類、ピリドキシン塩酸塩等のB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD、コレカルシフェロール等のビタミンD類;α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を挙げることができる。
プラセンタエキス、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー、ブナノキエキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、アルギニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸類、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩化リゾチーム等を挙げることができる。
さらに、カミツレエキス、パセリエキス、ブナノキエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキス、スイカズラエキス、コメエキス、ブドウエキス、ホップエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス等の各種抽出物を挙げることができる。
【0044】
次に、試験例、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明の効果はこれら試験例、実施例に限定されるものではない。
【0045】
[薬剤の調製]
シリビン(Silibin;シグマ−アルドリッチ)を生化学用試薬グレードのジメチルスルホキシド(DMSO;和光純薬)により溶解した溶液を培養液に適当量添加し、三次元皮膚モデルに処理した。
シリマリン(シグマ−アルドリッチ)を生化学用試薬グレードのジメチルスルホキシド(DMSO;和光純薬)により溶解した溶液を培養液に適当量添加し、三次元皮膚モデルに処理した。
シリジアニン、シリクリスチンは次のような方法で分画を行った。シリマリン(シグマ−アルドリッチ)2 g をエタノール10 mlに溶解し、ODSカラム(FUJI
SILYSIA CHEMICAL DM1020T)200 mlに水対メタノールの比率が1対1の溶媒条件を用いて分画し、シリジアニン疎画分、シリクリスチン疎画分を得た。シリジアニン疎画分、シリクリスチン疎画分はそれぞれシリカゲルクロマトグラフィー 200mlに、クロロホルム対メタノールの比率が95対5の溶媒条件下で分画し、シリクリスチン精製物を17mg、シリジアニン精製物を34mg得た。シリクリスチン精製物、シリジアニン精製物を生化学用試薬グレードのジメチルスルホキシド(DMSO;和光純薬)により溶解した溶液を培養液に適当量添加し、三次元皮膚モデルに処理した。
Gly−Pro−Hypは市販品を使用した(販売元;和光純薬,製造元;Bachem AG,Switzerland)。
Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argは、日化テクノサービス(株)に委託して常法に従って合成した。合成後逆相HPLCにより精製した。アミノ酸分析および逆相HPLCによる純度分析により90%以上の純度で目的のペプチドが合成されていることを確認した。これらペプチドを生化学用試薬グレードのジメチルスルホキシド(DMSO;和光純薬)により溶解した溶液を培養液に適当量添加し、三次元皮膚モデルに処理した。
【0046】
[ヒト皮膚三次元モデル]
ヒト皮膚三次元モデルはヒトの皮膚の疑似モデルとして、安全性評価や有効性評価に広く用いられている。ヒト皮膚三次元モデルは、TESTSKIN(LSE−high)(東洋紡績)を用いた。
【0047】
[各薬剤を処理したヒト皮膚三次元モデル抽出サンプルの調製]
TESTSKIN(LSE−high)の外側のウェルに培地を添加し、24時間培養した。その後、培養液を交換するとともに、各薬剤をアッセイリング内の組織上に100μl添加し、36時間培養した。組織を回収し、組織抽出用溶液{50mM Tris−HCl(pH7.5)、0.5%(Octylphenoxy)polyethoxyethanol(Sigma−Aldrich)}を加え、フッ化炭素樹脂製ホモジナイザーでホモジナイズした。10,000×G、30分間遠心して組織片を除去した後、蒸留水中で4℃、一晩透析した。その後、凍結乾燥により水分を除いた。20倍濃縮になるように組織抽出用溶液を加え、三次元皮膚モデル抽出サンプルとしてウェスタンブロッティングに使用した。
【0048】
[ウェスタンブロッティングによるI型コラーゲン産生促進作用の評価]
ヒト皮膚三次元モデル抽出サンプルを用いて1レーン当り10μgのタンパク質をアプライし、SDS-PAGEで分離後、ニトロセルロース膜に転写した。転写後のニトロセルロース膜をブロッキング溶液(スキムミルクを5%の濃度になるように0.1%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含むPBSで溶解した溶液)に浸し、4℃で一昼夜ブロッキングした。洗浄液{0.1%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含むPBS}で洗浄後、一次抗体{洗浄液で500ng/mlに調製したI型コラーゲンに対するポリクローナル抗体(ロックランド)}に浸し、室温で1時間反応させた。洗浄後、二次抗体(洗浄液で250ng/mlに調製したホースラディッシュパーオキシダーゼ標識化抗ウサギイムノグロブリンG)に浸し、室温で1時間反応させた。洗浄後、ECLプラスウエスタンプロッティング検出試薬(アマシャムバイオサイエンス社)を用いて検出した。また、検出されたバンドをイメージスキャナー(アマシャムバイオサイエンス社)を用いて取り込み後、イメージマスターソフトウエア(アマシャムバイオサイエンス社)により解析し、数値化した。
【実施例1】
【0049】
シリマリンに含まれるI型コラーゲン産生促進に関わる有効成分の評価
ヒト皮膚三次元モデルにシリマリンを10μg/ml、シリビン、シリクリスチン、シリジアニンをそれぞれ10μMの濃度で処理し、I型コラーゲンの量をウェスタンブロッティングにより測定した。検出されたバンドを図1に、検出されたバンドを数値化したグラフを図2に示す。
【0050】
シリマリンを10μg/ml、シリマリンに含まれる成分であるシリビンを10μMで処理した場合には、無処理対照に比べてI型コラーゲン産生がそれぞれ2.3倍および3.2倍に促進された(図1および図2)。一方、シリマリンに含まれる成分であるシリクリスチン、シリジアニンを10μMで処理した場合には、無処理対照に比べてI型コラーゲン産生がそれぞれ0.95倍および0.9倍であった(図1および図2)。よって、シリマリンに含まれるI型コラーゲン産生促進に関わる有効成分はシリビンであることが明らかになった。
【実施例2】
【0051】
Gly−Pro−Hyp単独およびGly−Pro−Hypとシリビンを併用した場合のI型コラーゲン産生促進作用の評価
ヒト皮膚三次元モデルにGly−Pro−Hypを5、10、30μMの濃度で処理し、I型コラーゲンの量をウェスタンブロッティングにより測定した。検出されたバンドを図3に、検出されたバンドを数値化したグラフを図4に示す。同様に、Gly−Pro−Hyp30μM単独、シリビン5μM単独、Gly−Pro−Hyp30μMとシリビン5μM併用で測定した。得られたバンドを図5に、それを数値化したグラフを図6に示す。
【0052】
Gly−Pro−Hypを5、10、30μMで処理した場合には、無処理対照に比べてI型コラーゲン産生がそれぞれ1.05倍、1.15倍および1.25倍であった(図3および図4)。よって、Gly−Pro−Hyp単独でもI型コラーゲン産生促進作用を示すが、作用はあまり強くないことが明らかになった。
【0053】
Gly−Pro−Hyp30μM単独、シリビン5μM単独、Gly−Pro−Hyp30μMとシリビン5μMを併用した場合には、無処理対照に比べてI型コラーゲン産生がそれぞれ1.25倍、1.85倍および4.25倍であった(図5および図6)。よって、Gly−Pro−Hypおよびシリビンを併用することにより、それぞれ単独よりも相乗的にI型コラーゲン産生を促進することが明らかになった。
【実施例3】
【0054】
Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argそれぞれ単独およびLys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argそれぞれとシリビンを併用した場合のI型コラーゲン産生促進作用の評価
ヒト皮膚三次元モデルにLys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argをそれぞれ10および30μMの濃度で処理し、I型コラーゲンの量をウェスタンブロッティングにより測定した。検出されたバンドを図7に、検出されたバンドを数値化したグラフを図8に示す。同様に、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argをそれぞれ10μM単独、シリビン5μM単独、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argそれぞれ10μMとシリビン5μM併用でヒト皮膚三次元モデルに処理し、I型コラーゲン産生量を測定した。得られたバンドを図9に、それを数値化したグラフを図10に示す。
【0055】
Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argをそれぞれ10および30μMで処理した場合には、無処理対照に比べてI型コラーゲン産生がLys−Thr−Thr−Lys−Serの10および30μM処理で1.80倍、2.45倍、Gly−His−Lysの10および30μM処理で1.75倍、2.70倍、Gly−Glu−Pro−Argの10および30μM処理で2.15倍および3.55倍であった(図7および図8)。よって、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argはそれぞれ濃度依存的にI型コラーゲン産生を促進することが明らかになった。
【0056】
そして、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argをそれぞれ10μM単独およびシリビン5μM単独で処理した場合には、無処理対照に比べてI型コラーゲン産生がそれぞれ1.80倍、1.75倍、2.10倍および1.95倍(図9および図10)であるのに対して、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argそれぞれ10μMとシリビン5μMを併用した場合には、無処理対照に比べてI型コラーゲン産生がそれぞれ5.75倍、5.35倍、4.95倍になった(図9および図10)。よって、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、Gly−His−Lys、Gly−Glu−Pro−Argそれぞれとシリビンを併用することにより、それぞれ単独よりも相乗的にI型コラーゲン産生を促進することが明らかになった。
【0057】
以下に、本発明の処方例を示すが、本発明はこれら処方例に限定されるものではない。
処方例1 カプセル剤の製造
下記成分を混合し、ゼラチンおよびグリセリンを混合したカプセル基剤中に充填し、軟カプセルを得た。
(組成) (配合量;mg)
マリアアザミ抽出物(シリビン35%含有) 25
大豆抽出物(大豆サポニン80%含有) 25
Gly−Pro−Hyp(コラーゲン分解精製物) 25
トコトリエノール 30
ミツロウ 10
ぶどう種子オイル 110
【0058】
処方例2 錠剤の製造
下記成分を混合、打錠し、錠剤を得た。
(組成) (配合量;mg)
マリアアザミ抽出物(シリビン35%含有) 25
大豆抽出物(大豆サポニン80%含有) 25
Gly−Pro−Hyp(コラーゲン分解精製物) 25
セルロース 40
デンプン 20
ショ糖脂肪酸エステル 2
【0059】
処方例3 錠剤の製造
下記成分を混合、打錠し、錠剤を得た。
(組成) (配合量;mg)
マリアアザミ抽出物(シリビン35%含有) 25
大豆抽出物(大豆サポニン80%含有) 25
Lys−Thr−Thr−Lys−Ser(ペプチド) 25
セルロース 40
デンプン 20
ショ糖脂肪酸エステル 2
【0060】
処方例4 錠剤の製造
下記成分を混合、打錠し、錠剤を得た。
(組成) (配合量;mg)
マリアアザミ抽出物(シリビン35%含有) 25
大豆抽出物(大豆サポニン80%含有) 25
Gly−His−Lys(ペプチド) 25
セルロース 40
デンプン 20
ショ糖脂肪酸エステル 2
【0061】
処方例5 錠剤の製造
下記成分を混合、打錠し、錠剤を得た。
(組成) (配合量;mg)
マリアアザミ抽出物(シリビン35%含有) 25
大豆抽出物(大豆サポニン80%含有) 25
Gly−Glu−Pro−Arg(ペプチド) 25
セルロース 40
デンプン 20
ショ糖脂肪酸エステル 2
【0062】
処方例6 ジュースの製造
(組 成) (配合;質量%)
果糖ブトウ糖液糖 5.00
クエン酸 10.40
L−アスコルビン酸 0.20
香料 0.02
色素 0.10
マリアアザミ抽出物(シリビン35%含有) 1.00
Gly−Pro−Hyp(コラーゲン分解精製物) 1.00
大豆抽出物(大豆サポニン85%含有) 1.00
水 81.28
【0063】
処方例7 クリームの製造
下記成分(1)〜(12)を80℃に加熱溶解し油相とする。成分(13)〜(15)を70℃に加熱溶解し水相とする。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却し、さらに30℃まで攪拌冷却してクリームを得た。
(組 成) (配合;質量%)
(1)ステアリルアルコール 6.0
(2)ステアリン酸 2.0
(3)水添ラノリン 4.0
(4)スクワラン 9.0
(5)オクチルドデカノール 10.0
(6)POE(25)セチルアルコールエーテル 3.0
(7)モノステアリン酸グリセリン 2.0
(8)シラン抽出物 0.1
(9)マリアアザミ抽出物(シリビン85%含有) 0.7
(10)Gly−Pro−Hyp(コラーゲン分解精製物) 0.1
(11)防腐剤 適量
(12)香料 適量
(13)1,3ブチレングリコール 6.0
(14)PEG 1500 4.0
(15)精製水 残余
【0064】
処方例8 クリームの製造
下記成分(1)〜(12)を80℃に加熱溶解し油相とする。成分(13)〜(15)を70℃に加熱溶解し水相とする。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却し、さらに30℃まで攪拌冷却してクリームを得た。
(組 成) (配合;質量%)
(1)ステアリルアルコール 6.0
(2)ステアリン酸 2.0
(3)水添ラノリン 4.0
(4)スクワラン 9.0
(5)オクチルドデカノール 10.0
(6)POE(25)セチルアルコールエーテル 3.0
(7)モノステアリン酸グリセリン 2.0
(8)シラン抽出物 0.1
(9)マリアアザミ抽出物(シリビン85%含有) 0.7
(10)Lys−Thr−Thr−Lys−Ser(ペプチド) 0.1
(11)防腐剤 適量
(12)香料 適量
(13)1,3ブチレングリコール 6.0
(14)PEG 1500 4.0
(15)精製水 残余
【0065】
処方例9 クリームの製造
下記成分(1)〜(12)を80℃に加熱溶解し油相とする。成分(13)〜(15)を70℃に加熱溶解し水相とする。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却し、さらに30℃まで攪拌冷却してクリームを得た。
(組 成) (配合;質量%)
(1)ステアリルアルコール 6.0
(2)ステアリン酸 2.0
(3)水添ラノリン 4.0
(4)スクワラン 9.0
(5)オクチルドデカノール 10.0
(6)POE(25)セチルアルコールエーテル 3.0
(7)モノステアリン酸グリセリン 2.0
(8)シラン抽出物 0.1
(9)マリアアザミ抽出物(シリビン85%含有) 0.7
(10)Gly−His−Lys(ペプチド) 0.1
(11)防腐剤 適量
(12)香料 適量
(13)1,3ブチレングリコール 6.0
(14)PEG 1500 4.0
(15)精製水 残余
【0066】
処方例10 クリームの製造
下記成分(1)〜(12)を80℃に加熱溶解し油相とする。成分(13)〜(15)を70℃に加熱溶解し水相とする。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却し、さらに30℃まで攪拌冷却してクリームを得た。
(組 成) (配合;質量%)
(1)ステアリルアルコール 6.0
(2)ステアリン酸 2.0
(3)水添ラノリン 4.0
(4)スクワラン 9.0
(5)オクチルドデカノール 10.0
(6)POE(25)セチルアルコールエーテル 3.0
(7)モノステアリン酸グリセリン 2.0
(8)シラン抽出物 0.1
(9)マリアアザミ抽出物(シリビン85%含有) 0.7
(10)Gly−Glu−Pro−Arg(ペプチド) 0.1
(11)防腐剤 適量
(12)香料 適量
(13)1,3ブチレングリコール 6.0
(14)PEG 1500 4.0
(15)精製水 残余
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】シリビン、シリジアニン、シリクリスチンの三次元皮膚モデルにおけるI型コラーゲン産生をウェスタンブロッティングにより検出した図である。
【図2】図1の結果を画像解析処理により数値化した図を示す。
【図3】Gly−Pro−Hyp(G−P−Hypと記載する)配列のトリペプチドの三次元皮膚モデルにおけるI型コラーゲン産生をウェスタンブロッティングにより検出した図である。
【図4】図2の結果を画像解析処理により数値化した図を示す。Gly−Pro−HypをG−P−Hypと記載した。
【図5】Gly−Pro−Hyp(G−P−Hypと記載する)配列のトリペプチドおよびシリビンの三次元皮膚モデルにおけるI型コラーゲン産生をウェスタンブロッティングにより検出した図である。
【図6】図3の結果を画像解析処理により数値化した図を示す。Gly−Pro−HypをG−P−Hypと記載した。
【図7】Lys−Thr−Thr−Lys−Ser(K−T−T−K−Sと記載する)、Gly−His−Lys(G−H−Kと記載する)、Gly−Glu−Pro−Arg(G−Q−P−Rと記載する)配列のペプチドおよびシリビンの三次元皮膚モデルにおけるI型コラーゲン産生をウェスタンブロッティングにより検出した図である。
【図8】図7の結果を画像解析処理により数値化した図を示す。Lys−Thr−Thr−Lys−SerをK−T−T−K−Sと、Gly−His−LysをG−H−Kと、Gly−Glu−Pro−ArgをG−Q−P−Rと記載する。
【図9】Lys−Thr−Thr−Lys−Ser(K−T−T−K−Sと記載する)、Gly−His−Lys(G−H−Kと記載する)、Gly−Glu−Pro−Arg(G−Q−P−Rと記載する)配列のペプチドおよびシリビンを併用した場合の三次元皮膚モデルにおけるI型コラーゲン産生をウェスタンブロッティングにより検出した図である。
【図10】図9の結果を画像解析処理により数値化した図を示す。Lys−Thr−Thr−Lys−SerをK−T−T−K−Sと、Gly−His−LysをG−H−Kと、Gly−Glu−Pro−ArgをG−Q−P−Rと記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリビンおよびコラーゲン産生を促進するペプチドを含有することを特徴とするI型コラーゲン産生促進用組成物。
【請求項2】
コラーゲン産生を促進するペプチドが、Gly−Pro−Hyp、Gly−His−Lys、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、またはGly−Glu−Pro−Argのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
しわ、たるみ、くすみ、しみの予防および/または改善用である請求項1〜4いずれかに記載の組成物。
【請求項4】
シリビンおよびGly−Pro−Hyp、Gly−His−Lys、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、またはGly−Glu−Pro−Argのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項5】
シリビンおよびGly−Pro−Hyp、Gly−His−Lys、Lys−Thr−Thr−Lys−Ser、またはGly−Glu−Pro−Argのアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする食品。
【請求項6】
動物用である請求項1または2に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−91637(P2007−91637A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283271(P2005−283271)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】