説明

ICカード及びこのICカードが適用される携帯通信端末

【課題】異なる通信規格に対応可能なICカードとこのICカードが適用される携帯通信端末を提供すること。
【解決手段】ICカードに関する第1の規格で規定された外部インタフェース接続用の第1の端子(12)と、前記第1の端子以外に設けられ、第1の規格と異なる第2の規格で規定された外部インタフェース接続用の第2の端子(16)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード及びこのICカードが適用される携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、ISO/IEC7816および同14443で規定された外部インタフェースを有している。この規格によれば、例えば接触型ICカードではISO/IEC7816で外部端子の配置、位置は決められていて、かつ一つの通信方式に対応して外部との通信のためのインタフェースはICカードの片側に配置されている。また非接触型ICカードであれば、カード内部に埋め込まれたアンテナを介して外部との通信を行うように構成されている。更に、接触型と非接触型の両方の機能を有するICカードの場合には、カードの片面に外部接続端子が配置されており、カード内部に配置されたアンテナを有して外部との通信を行うように構成されている。
【0003】
近年、実際には使用していない端子を使用して他の通信方式、例えば、USBなどをICカードに実装するものがある。しかし、その場合でも端子数に限りがあるため他の通信方式を採用することが出来ないという問題を有する。特に、携帯通信端末などに差し込んで使用するICカードである、いわゆるSIM(Subscriber Identity Module)カードでは、アプリケーションプログラムやデータを格納するためのメモリが増大しているため、通信の速度を上げたいという要求が強くなされている。さらに、SIMカードでは、無線通信を含めた他の通信方式も搭載する要求まで提案されている。しかし、これらは、ISO/IEC7816で規定された端子の空き部分に新たに端子を実装するものであるため、規定された数以上の外部インタフェースをもつことができない。
【非特許文献1】ISO/IEC7816
【非特許文献2】ISO/IEC14443
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、異なる通信規格に対応可能なICカードとこのICカードが適用される携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の局面に係るICカードは、ICカードに関する第1の規格で規定された外部インタフェース接続用の第1の端子と、前記第1の端子以外に設けられ、第1の規格と異なる第2の規格で規定された外部インタフェース接続用の第2の端子とを具備することを特徴とする。また、本発明の局面に係る携帯通信端末は、上記のICカードが適用され、前記第1及び第2の端子に対応する接続部を有することを特徴とする。なお、ICカードとして提供されるものではなく、ICモジュールとして提供されるものも、本発明のICカードに含むものとする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、1つのICカードのみで異なる通信規格に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るICカードが適用される携帯通信端末の概観斜視図である。この携帯通信端末は、上部筐体1と下部筐体2とをヒンジ機構3を介して回動可能に接続したいわゆる折り畳み型の携帯通信端末であり、図1は各筐体1、2を開いた状態を示している。上部筐体1には、その前面にメインLCD(Liquid Crystal Display)4が配設され、背面に図示しないサブLCD(Liquid Crystal Display)が配設されている。一方、下部筐体2には、キー入力デバイス5等と共に図示しない主印刷配線基板が収容されている。また、図1において、通常下部筐体2の側部にICカードの装着(挿入)用のスロット(不図示)が設けられており、該スロットにICカードが挿脱自在に装着される。
【0008】
本発明の一実施形態に係るICカードについて、図2を参照して説明する。なお、本実施形態では、ICカードの例として携帯通信端末である携帯電話に使用されるSIMカードを例として説明するが、他の規格に基づくICカードにももちろん適用可能である。図2は、従来のSIMカードと本発明の一実施形態に係るSIMカードを示す図であって、(a)は従来のSIMカードであり、(b)は本実施形態に係るSIMカードの例を示す図である。
図2(a)に示すように、従来のSIMカード10は、外部インタフェースの端子12が所定の位置に所定の数、すなわち例えばISO/IEC7816で規定される位置と数、配置されている。なお、このSIMカード10の携帯通信端末への挿入方向は一意に定まっており、切り欠き14によりその挿入方向や携帯通信端末に挿入する場合のSIMカード10の向きが規定されている。これにより、SIMカード10と携帯通信端末の通信を確保することができる。しかし、前述したように、規格に定められたSIMカードの端子のみでは、無線通信を含めた他の通信方式を搭載するような要求を満たすことができない。そこで、本実施形態では、図2(b)に示すように、現在端子12が配置されている部分以外の部分に、追加の端子16を設けている。この追加端子16は、SIMカード10に規定された通信方式以外の他の通信方式、例えば、USB用の端子であったり、無線通信を行うためのアンテナにつながる端子であったりしても良い。また、追加端子16は、端子12が配置されている面と同じ面であって端子が配置されていない場所でも良いし、端子12が配置されている面と反対側の面に設けても良い。さらに、SIMカード10の側面に端子を設けても良い。
【0009】
このように、追加端子16を設けた場合において、SIMカード10の差し込む方向および向きは一意に定まっているので、従来の携帯通信端末に本実施形態に係るSIMカード10を装着した場合であっても互換性を損なうことはない。また、本実施形態に係るSIMカード10が適用される携帯通信端末に、従来型のSIMカード10が挿入された場合であっても、携帯通信端末で、SIMカード10が図2(a)に記載のSIMカード10であるか、図2(b)に示すような本実施形態に係るSIMカード10であるかを識別可能とすることができるので、携帯通信端末側でシステム上の問題は発生しない。
【0010】
本実施形態に係るSIMカード10が適用される携帯通信端末に本実施形態に係るSIMカード10が装着された場合において、例えば無線通信を外部端末とSIMカード10でする場合には、SIMカード10が追加端末16を介して携帯通信端末のアンテナに接続される。そして、そのアンテナを通して図示しない外部端末とのデータ通信を実行することが可能になる。また、大容量のデータを携帯通信端末と通信する場合には、追加端子16として、例えばUSB用の端子を設けることにより、高速でデータ通信を行うことができる。
【0011】
図3に、SIMカード形状のメディアの具体例を示す。図3に記載のメディアは、ISO/IEC7816で規定される携帯用のSIMカード10の機能と、USB機能と、無線カード機能と、SDカード機能とを有するものとする。この場合において、無線カード機能におけるアンテナは携帯通信端末が有するものとし、アンテナまでの接続端子がSIMカード10に設けられているものとする。
【0012】
図3に示すように、メディア上面にはSIMカードとしての接続用端子12が従来のSIMカード10同様に配置されている。また、メディア下面にUSBおよび無線カードの通信用の端子16が配置されており、側面に他の通信規格用の端子16が配置されている。そして、端子16には、本実施形態に係るICカードが適用される携帯通信端末に内蔵されたアンテナ20が接続されるようになっている。このように、本実施形態に係るSIMカード10のメディアには、SIMカード、更には無線カードの機能を備え、また、外部との通信手段として新たにUSB等を備えるようにしたので、高速通信を実行することができ、現在のSIMカード10に比べて短時間で大容量のデータを扱うことができ、使用者に対して快適な動作環境を提供することができる。更に、従来のSIMカード10あるいは無線カードとも互換性を失うことが無い。
【0013】
上記のように、本発明によれば、上記のような例えばSIMカードの規格に基づいて設けられた端子以外に、カード(モジュールも含む)の両面あるいは側面にも端子を配置することで、今より多くの通信方式に対応することができ、特に携帯通信端末で現状のSIMの仕様を満足しつつ、携帯通信端末と外部端末の電磁結合による無線通信をし、携帯通信端末に内蔵されたアンテナの両端がICカードあるいはモジュールの外部端子に接続されるものにそのデータを本ICカードあるいはモジュールに格納することが可能となる。携帯通信端末に挿入されるSIMには挿入方向を示す切れ込みがあり、その向きにより従来の端子面がどちらに来るか分かるので、従来のSIMの仕様を満たすことが出来る。他の端子面は新しい通信規格に従ったものとなるが、こちらのインタフェースをサポートしていない携帯通信端末は従来方式の通信手段とそれによって供給される機能を使用者に与える。また、反対の端子面に対応した携帯通信端末は従来の通信手段とそれによって供給される機能のみならず、新しい通信手段とそれによって供給される機能を使用者に与えることが可能になる。また、クレジットカードサイズのICカードでも、カードに対する端子の位置は裏・表で対象でないため、SIMと同様、差し込む方向でカードがサポートする機能を判別することができる。これにより例えば、従来のSIMカードの外部インタフェースに加え、無線通信用のインタフェース、USBインタフェースなど複数のインタフェースを搭載することが可能であり、かつ従来のインタフェースの規定を満足しているため、互換性を損なうことが無い。
【0014】
本発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0015】
また、例えば各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るICカードが適用される携帯通信端末の概観斜視図。
【図2】従来のSIMカードと本発明の一実施形態に係るSIMカードを示す図であって、(a)は従来のSIMカードであり、(b)は本実施形態に係るSIMカードの例を示す図。
【図3】SIMカード形状のメディアの具体例を示す図。
【符号の説明】
【0017】
1…上部筐体
2…下部筐体
3…ヒンジ機構
4…メインLCD
5…キー入力デバイス
10…SIMカード
12…端子(第1の端子)
16…端子(第2の端子)
20…アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードに関する第1の規格で規定された外部インタフェース接続用の第1の端子と、
前記第1の端子以外に設けられ、第1の規格と異なる第2の規格で規定された外部インタフェース接続用の第2の端子とを具備することを特徴とするICカード。
【請求項2】
請求項1に記載のICカードにおいて、前記第2の端子は、前記第1の端子が配置された面、前記第1の端子が配置された面と反対側の面及び側面の少なくとも1箇所に配置されていることを特徴とするICカード。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のICカードにおいて、前記第1の端子には第1の通信規格に基づく通信方式のインタフェースが実装され、前記第2の端子には前記第1の通信規格とは異なる第2の通信規格に基づく通信方式のインタフェースが実装されることを特徴とするICカード。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のICカードにおいて、前記第1の規格は、ISO/IEC7816で規定されたものであることを特徴とするICカード。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のICカードにおいて、前記ICカードの形状は、所定の規格に基づいて決定され、前記形状に基づいて前記第1の端子及び前記第2の端子の位置が決定されることを特徴とするICカード。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のICカードが適用され、前記第1及び第2の端子に対応する接続部を有することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項7】
請求項6に記載の携帯通信端末において、前記ICカードと外部端末との通信を行うためのアンテナを具備し、前記アンテナは、前記第2の端子に接続されることを特徴とする携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−188325(P2007−188325A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6389(P2006−6389)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】