説明

IC実装基板及びIC実装方法

【課題】パッケージ裏面にグランド部を有するICを実装したIC実装基板において、ICと基板のグランド接続を確実にし、ICの交換の作業性を向上すること。
【解決手段】IC10を実装する基板20には、ICグランド部13と対向する位置にICグランド部と接続する基板グランド部21と、基板グランド部の領域に基板を貫通し基板グランド部よりも小さい貫通穴23を有する構成とする。そして、半田接合により実装されたIC10を基板20から取り外す場合、貫通穴23を通して半田ごて30の先端をICグランド部13に当てて加熱し、ICグランド部と基板グランド部を接合していた半田を溶解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICなどの半導体装置を基板に実装したIC実装基板及びIC実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、基板の部品搭載面積を縮小する目的から、基板に実装するIC(Integrated Circuit)などの半導体装置のサイズが、年々小さなものとなってきている。例えば、ICの周囲に出ているグランド端子のピン数を集約するために、IC内部のグランドラインと接続したグランド部をICの裏面に設けた構造のものが用いられている。このような、IC裏面にグランド部を有するICに対応する基板について、グランドの接続方法やIC交換の作業性に関し、新たな技術が望まれる。
【0003】
これに関連する技術として、特許文献1には、パッケージの裏面にグランド端子を有し、かつ、反りのある形状のリードレスのICを装着して、その電気的な測定を確実に行えるICソケットが開示されている。このICソケットでは、ICのグランド端子に対応してグランド電極が設けられ、グランド電極は弾性部材である導電シートを含んで構成され、この導電性シートが変形することでICの反りを吸収することが記載されている。
【0004】
また特許文献2には、半導体素子を基板に接着する構造として、基板に予め半導体素子の外形より小さい穴を設け、穴の上の周囲部に設けた接着剤の上に半導体素子を搭載して接着した半導体装置が開示されている。そして、半導体素子が不良の場合は、穴部に工具を挿入して半導体素子を基板から剥離し、素子を交換することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−328149号公報
【特許文献2】特開平10−135246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、IC裏面のグランド部を導電性シートを介してICソケットに装着するものであり、目的がIC等の測定のための一時的なものであって、そのまま半導体装置として長時間使用することは想定されていない。
【0007】
特許文献2の技術は、基板に予め半導体素子の外形より小さい穴を設け、半導体素子を樹脂等の接着剤にて基板と接着するものであるが、ここでの半導体素子は素子の裏面にグランド部を有する構造ではなく、従ってICグランド部と基板のグランド部との電気的接続について知見を得ることはできない。
【0008】
このように従来のIC実装技術では、パッケージ裏面にグランド部を有するICを実装する基板において、グランドの接続方法とIC交換の作業性について十分考慮されていなかった。
【0009】
本発明の目的は、パッケージ裏面にグランド部を有するICを実装したIC実装基板において、ICと基板のグランド接続を確実にし、ICの交換の作業性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、パッケージ裏面にICグランド部を有するICを基板に実装したIC実装基板において、前記基板は、前記ICグランド部と対向する位置に該ICグランド部と接続する電極である基板グランド部と、該基板グランド部の領域に前記基板を貫通し該基板グランド部よりも小さい貫通穴を有する構成とする。
【0011】
本発明は、パッケージ裏面にICグランド部を有するICを基板に実装するIC実装方法において、前記基板には、前記ICグランド部と接続する基板グランド部を設けるとともに、該基板グランド部の領域に前記基板を貫通する貫通穴を設け、前記基板の前記基板グランド部に半田ペーストを塗布して前記ICを前記ICグランド部が対向するように搭載し、該半田ペーストを加熱することで前記ICグランド部と前記基板グランド部を半田接合する。
【0012】
さらに、前記半田接合により実装された前記ICを前記基板から取り外す場合、前記基板の前記貫通穴を通して半田ごての先端を前記ICの前記ICグランド部に当てて加熱し、前記ICグランド部と前記基板グランド部を接合していた半田を溶解することで前記ICを前記基板から取り外す。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、IC裏面のグランド部と基板グランド部との接続が確実となり、また基板に実装したICの交換時の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施例で対象とするICの外観を示す平面図。
【図2】本本実施例においてICを実装する基板の一例を示す平面図。
【図3】ICを基板に実装したIC実装基板の一例を示す断面図。
【図4】基板に実装したICを取り外す工具として、半田ごての例を示す図。
【図5】ICを基板に初めて実装する場合の手順を示す図。
【図6】ICを基板から取り外す場合の手順を示す図。
【図7】交換用のICを基板に再実装する場合の手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるIC実装基板とIC実装方法の実施例を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施例で対象とするICの外観を示す平面図であり、その表面図と裏面図を示す。IC10のパッケージ11,12のうち裏面側パッケージ12の中央部には、金属材からなるICグランド部13を有する。このICグランド部13は、ICのピン14とは別に設けられており、ICの放熱が目的ではなく、この金属部にIC内部のグランドラインを接続することで、グランドパターンを強化することと、IC周囲に出ていたグランドピンのピン数を集約する効果がある。
【0016】
図2は、本実施例においてICを実装する基板の一例を示す平面図である。
図1のようなIC10を実装するため、本実施例の基板20は、IC10のICグランド部13に対向してこれと接続する電極パターンである基板グランド部21を有している。またICピン接続部22は、ICピン14と接続する電極パターンである。基板グランド部21はICグランド部13の位置、形状、大きさに合わせて設ける。この例では、基板グランド部21はICグランド部13より若干小さめの四角形としたが、円形としてもよい。このような基板グランド部21を設けることで、ICグランド部13との接触面積を大きくとれ、電気的接続が確実になる。
【0017】
さらに本実施例の基板20は、基板グランド部21の領域に、基板20を貫通し基板グランド部21よりも小さい径の貫通穴(スルーホール)23を設けている。この貫通穴23は、基板20に実装したIC10を基板20から取り外す作業を容易に行えるために設けたものである。後述するように、この貫通穴23に例えば半田ごてなどの工具を基板裏面側から挿入して加熱することで、ICグランド部13と基板グランド部21を接合している半田を容易に溶かすことができる。半田ごてによる作業性を考慮し、貫通穴23の径は2.5〜3.5mm程度が適する。
【0018】
図3は、IC10を基板20に実装したIC実装基板の一例を示す断面図である。IC側面のICピン14は基板20のICピン接続部22に半田により接合されるとともに、IC裏面のグランド部13は基板のグランド部21に半田により接合される。なお、この図では半田は省略している。基板の貫通穴23の内面には貫通導体24が設けられ、基板グランド部21の電極パターンと基板裏面の電極パターンとを接続している。
【0019】
基板の厚さ方向の内部には導体層である中間層25を有する場合がある。そのような場合には、基板の中間層25と貫通導体24とに間に分離帯26を設けておくことが望ましい。その理由は、IC交換作業の際、半田ごてからの熱が貫通導体24を介して中間層25に逃げるのを抑え、ICグランド部13と基板グランド部21とを接合する半田に効率よく熱が伝わるようにするためである。
【0020】
図4は、基板に実装したICを取り外すときに用いる工具として、半田ごての例を示す図である。
半田ごて30のこて先(チップ)31は例えば0.4mm径と細くし、基板の貫通穴23に挿入してIC裏面にあるICグランド部13を容易に加熱できるようにしている。なお、IC交換用の工具は半田ごてに限らず、先細り形状の加熱工具であれば構わない。
【0021】
以下、本発明によるIC実装方法を図5〜図7を用いて説明する。例えば、基板に実装したICが不良となり、取り外した後で他のICを再実装する場合を想定する。
【0022】
図5は、ICを基板に初めて実装する場合の手順を示す図である。
S101では、基板20のパターン部27に半田ペースト32を塗布する。パターン部27には、ICピン接続部21と基板グランド部22が含まれ、さらに他に実装する電子部品があればそれらに対する接続部にも同様に半田ペーストを塗布する。
【0023】
S102では、IC10を基板20上に位置決めして搭載する。すなわち、基板グランド部21にICグランド部が対向するように位置決めする。他の電子部品についても同様に位置決めして搭載する。
S103では、IC10や電子部品が搭載された基板20を高温炉に投入して加熱し、半田32を溶解させる。その結果、IC10や電子部品は基板20と半田32で接合される。特にICグランド部13は基板グランド部21と半田32で確実に接合される。
【0024】
図6は、ICを基板から取り外す場合の手順を示す図である。これは、実装したICが不良となり、他のIC10’と交換するためである。
S201では、不良となったIC10の上面側からICピン14の接合部に対し熱風33を吹き付ける。あるいはICピン14の接合部に半田ごてを当てて加熱する。
【0025】
S202では、基板の貫通穴23を通して半田ごて30の先端31をIC裏面側のICグランド部13に当てて加熱する。
S203では、ICピン接合部13とグランド接合部21の半田が溶解してくる。半田ごて30を押し上げると、IC10を基板20から分離し取り外すことができる。
【0026】
図7は、交換用のICを基板に再実装する場合の手順を示す図である。この場合、基板上には既に他の電子部品が実装されており、高温炉を用いる訳にはいかない。
S301では、取り外したIC10の位置に交換用のIC10’を搭載し、ICのピン14’に半田ペースト32’を塗布する。そして、半田ごてで加熱してICピン14’を基板20のICピン接続部22に接合する。
【0027】
S302では、基板の貫通穴23を通して、IC裏面側のICグランド部13’に半田ペーストを塗布する。そして、半田ごて30の先端31を当てて加熱して半田を融解させ、ICグランド部13’と基板グランド部21の隙間を半田32’で接合する。
【0028】
以上のように本実施例によれば、パッケージ裏面にグランド部を有するICの場合、ICグランド部と基板のグランド部との電気的接続を確実なものとし、さらに基板に設けた貫通穴を用いることで、ICの交換作業が容易になる。
なお、本発明は、パッケージ裏面にグランド部を有するICだけでなく、実装する基板と対向する面に端子部を有する電子部品についても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
10…IC(半導体装置)、
11…パッケージ(表面側)、
12…パッケージ(裏面側)、
13…ICグランド部、
14…ICピン、
20…基板、
21…基板グランド部、
22…ICピン接続部、
23…貫通穴、
24…貫通導体、
25…中間層、
30…半田ごて、
31…こて先、
32…半田。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ裏面にICグランド部を有するICを基板に実装したIC実装基板において、
前記基板は、
前記ICグランド部と対向する位置に該ICグランド部と接続する電極である基板グランド部と、
該基板グランド部の領域に前記基板を貫通し該基板グランド部よりも小さい貫通穴を有することを特徴とするIC実装基板。
【請求項2】
パッケージ裏面にICグランド部を有するICを実装するための基板において、
前記ICグランド部と対向する位置に該ICグランド部と接続する電極である基板グランド部と、
該基板グランド部の領域に前記基板を貫通し該基板グランド部よりも小さい貫通穴を有することを特徴とする基板。
【請求項3】
パッケージ裏面にICグランド部を有するICを基板に実装するIC実装方法において、
前記基板には、前記ICグランド部と接続する基板グランド部を設けるとともに、該基板グランド部の領域に前記基板を貫通する貫通穴を設け、
前記基板の前記基板グランド部に半田ペーストを塗布して前記ICを前記ICグランド部が対向するように搭載し、
該半田ペーストを加熱することで前記ICグランド部と前記基板グランド部を半田接合することを特徴とするIC実装方法。
【請求項4】
請求項3に記載のIC実装方法において、
前記半田接合により実装された前記ICを前記基板から取り外す場合、前記基板の前記貫通穴を通して半田ごての先端を前記ICの前記ICグランド部に当てて加熱し、
前記ICグランド部と前記基板グランド部を接合していた半田を溶解することで前記ICを前記基板から取り外すことを特徴とするIC実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−9491(P2012−9491A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141620(P2010−141620)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】