説明

IL−7薬物原料、組成物、製造及び使用

【課題】新規な且つ改良されたインターロイキン−7薬物原料、対応する特異的免疫反応性抗体、並びにそれらを含む組成物、それらの製造及び使用法を提供する。
【解決手段】IL−7をコードする最適化されたヌクレオチド配列、組換え発現ベクターを作製し、IL−7コンホーマーポリペプチドを製造する。組換えIL−7の長期活性は主として特定のコンホーマーにより発現されるという予想外の発見、及び生物活性であるけれども、薬物原料及び/又は医薬品の仕様に通常含まれるであろう他のコンホーマー、潜在的生成物関連物質、生成物関連不純物及びプロセス関連不純物は、所望のIL−7分子に対する免疫反応をトリガーすることができる。これを利用して組成物を作製して使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に免疫学及び分子生物学の分野に関する。更に特定的には、本発明は新規な改良されたインターロイキン7薬物原料、対応する特異的免疫反応性抗体、並びにそれらを含む組成物、それらの製造及び使用に関する。本発明は、治療目的で使用されるr−hIL−7薬物原料の不純物プロフィルを特長付ける方法並びに哺乳動物IL−7をコードする最適化されたヌクレオチド配列、組換え発現ベクター及び該ポリペプチドを製造及び精製する方法も開示する。
【0002】
発明の背景
B及びTリンパ球は免疫応答の一次エフェクター細胞である。両細胞クラスは、各クラスの分化における識別可能な工程を表す前駆細胞(progenitor又はprecursor cells)を経由して哺乳動物骨髄における造血幹細胞から最終的に誘導されるものと考えられる。成熟T細胞は、多分、Tリンパ球発生の初期工程で骨髄から胸腺に移行する前駆細胞から、主として胸腺で発生する。IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、インターフェロンγ、BSF−2、ニューロロイキン(neuroleukin)、トランスフォーミング増殖因子β及びIL−7を含む多数の因子が成熟した末梢B及びT細胞に対して活性である(EP0314415)。
【0003】
「インターロイキン7」又は「IL−7」は、プレB細胞として知られている特殊化した前駆体を含む骨髄由来のリンパ球先祖又は前駆体の増殖を誘導することができる哺乳動物内因性分泌糖タンパク質である。もともと骨髄細胞系のストローマエレメント由来の、IL−7は、胸腺細胞、腸上皮細胞、角化細胞及び一般にすべてのリンパ組織によっても分泌される。EP0314415は哺乳動物インターロイキン7タンパク質及び該タンパク質をコードするDNAを記載している。EP0314415に記載されている、グリコシル化を除いて、Escherichia coliにおいて産生された成熟ヒトIL−7(r−hIL−7)は、17,387ダルトンの分子量を示しそして種々のリンパ球集団の増殖に基づく特異的バイオアッセイにおける高いin vitro活性を示す。この分子の別の命名は「プレB細胞成長因子」及び「リンホポエチン1(lymphopoietin-1)」である。実際、もともと、IL−7はその主要な活性が前駆体B細胞増殖の誘導であるサイトカインとして開示された(Namen A.E.et al.; Journal of Experimental medicine; 1998; 167: 988-1002)。IL−7は、より最近では、T細胞発生の初期工程期間中の胸腺細胞(T細胞)の生存及び増殖に関与していることが開示された(Schluns K.S. et al.; Nature Immunology; 2000; 1(5): 426-432)。Fry及び協同研究者は、更に多因性作用において胸腺非依存性T細胞再生の強力なモジュレーターとしてIL−7を同定した。(Fry T.J. et al.; Blood; 2001; 97(6): 1525-1533)。
【0004】
かくして、IL−7は、T細胞前駆体の増殖の刺激、抗体分泌性B細胞の増殖の刺激、抗原駆動T細胞末梢増大(antigen driven T-Cell peripheral expansion)の刺激及びナイーブT細胞及び他の造血細胞型の産生において極めて有望な治療用途を有する。活性IL−7分子の特に興味深い治療用途は、リンパ球減少患者:がんを治療されている患者、骨髄又は幹細胞移植を受けた患者、後天性又は遺伝性免疫不全を示す患者、低いCD4数値を有する高齢患者又はすべての患者の免疫再構成である。他の興味は、IL−7の新しいナイーブCD4T細胞を産生させる能力又は特異的免疫応答を生成又は増加させるために特異的プールを増大する能力(ワクチン増強)にある。
【0005】
その治療可能性の点から、生物学的に活性なIL−7ポリペプチド及び対応する薬物原料を製造する技術を開発することに相当な興味がある。規制の当局の要求を満たしそして有効な治療用途に適したIL−7薬物原料又は製薬学的組成物を製造することに多大の興味がある。
【0006】
包括的又は特異的免疫再構成を刺激することを目的とした薬物原料又は製薬学的組成物は、長期間有効であるべきであり、これは、それがその自身の活性原理に対する特異的免疫反応をトリガーするべきではないことを意味する。
【0007】
本発明は、意外にも、組換えヒトIL−7の長期活性は主として特定の1−4;2−5;3−6コンホーマーにより発現されることを今や示す。本発明は更に、有効な薬物原料は主成分として上記コンホーマーを含有するべきであるのみならず、従来活性生成物と考えられた他のコンホーマー又はIL−7分子変異体(molecular variants)を実質的に欠いているべきであることも示す。
【0008】
本発明以前には、Cys:1−4;2−5;3−6コンホーマーの存在は仮想上のGM−CSF又はIL−4コンホメーション類似性に基づくコンピューターによるモデル化により仮想されていたけれども、ジスルフィド架橋Cys:1−6;2−5;3−4を示すIL−7コンホーマーのみがトリプシン消化及び質量分析法により特長付けられた。この形態はIL−7の主要な形態を構成すると考えられた。これと際立って対照的に、本発明は今やこのようなコンホーマーを実質的に欠いた新しいポリペプチド生成物及び製薬学的組成物を提唱する。本発明は、抗IL−7免疫応答のような望ましくない応答の危険の減少した高い生物学的活性を示すこのようなポリペプチド及び組成物を製造するための有利な製造及び精製方法も開示する。
【0009】
かくして、本発明は、包括的又は特異的免疫応答を促進することができる、特に有利な長期in vivo活性を示す、上記した生成物関連物質又は不純物を欠いた該ヒトIL−7の精製されたコンホーマーの製造及び使用の改良された方法を開示する。
【0010】
発明の要約
本発明の第1の目的は、下記の3つのジスルフィド架橋:Cys:1−4(Cys2−Cys92);2−5(Cys34−Cys129);3−6(Cys47−Cys141)を含む精製されたIL−7コンホーマーに関する。更に下記に開示されたとおり、IL−7コンホーマーは好ましくはヒト組換えIL−7コンホーマーであり、そしてグリコシル化されていてもよく又はグリコシル化されていなくてもよい。
【0011】
本発明の他の目的は、前記したIL−7コンホーマーを含みそして生成物関連不純物及び生成物関連物質、特にIL−7の他のコンホーマー又は二量体を実質的に欠いている薬物原料にある。
【0012】
本発明は、医薬品("医薬生成物"))又は製薬学的組成物の製造における上記した薬物原料の使用にも関する。
【0013】
本発明は更に、有効量の上記した薬物原料及び1種又はそれより多くの製薬学的に適合性の担体又は賦形剤を含む製薬学的組成物に関する。
【0014】
本発明は、IL−7ポリペプチドをコードする核酸分子も提供する。この核酸分子は、生物学的に活性なIL−7、特に本発明によるIL−7コンホーマーの組換え宿主における発現のために最適化されているIL−7ポリペプチドをコードする配列を含む。更に特定的には、核酸分子は、トランケーションされたIL−7ポリペプチドの限定された発現を与えそして生物学的に活性なヒトIL−7コンホーマーの生成の収率を増加させる。特定の配列は、突然変異又は不活性化されたシャイン−ダルガノ様配列を含む(例えば配列番号1)。他の特定の配列は、ポリペプチドの有効な分泌を引き起こすペプチドシグナルを含む(例えば配列番号3、16、18、20又は22)。本発明は、初めてサルIL−7の核酸配列も開示しそして提供する(例えば、配列番号12、20又は22)。
【0015】
本発明は、更に、上記した核酸を含むベクター及び該核酸又は該ベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。この核酸及びベクターは種々のコンピテント宿主細胞における組換え哺乳動物IL−7ポリペプチドを産生するのに及び遺伝子治療目的に使用することができる。
【0016】
本発明は、本発明によるヒトIL−7コンホーマーと特異的に免疫反応性の抗体、このモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系及び該抗体を含む診断、アッセイ又は治療に適当な組成物も提供する。
【0017】
本発明の更なる観点は、原核生物又は真核生物宿主細胞から上記した(組換え)IL−7コンホーマーを製造する方法及びサンプルにおけるIL−7コンホーマーの存在を検出又は測定する方法又はサンプルを特長付ける方法である。
【0018】
特定の観点では、上記したIL−7コンホーマー又は薬物原料を製造する方法は、
a)IL−7ポリペプチドを含むサンプルを提供し、そして
b)上記したIL−7コンホーマーを精製する、
ことを含む。
【0019】
本発明は、サンプル中の上記したIL−7コンホーマーの存在を検出又は測定することを含む、サンプルを特長付け又は定性する方法にも関する。このような方法は、臨床的なロット又はバッチの正当性のバリデーションのために特に適しておりそして重要であり、それにより過剰のIL−7分子変異体及び/又は生成物関連不純物を含むサンプルは捨てられるか又は更に処理される。
【0020】
本発明の他の目的は、被験体における免疫応答を引き起こすか又は調節する、特に長期のリンパ球生成刺激を誘導する及び/又は免疫応答を増幅するための製薬学的組成物の製造のための上記した方法により得られるIL−7コンホーマーの使用に関する。
【0021】
本発明は免疫不全と関連した疾患を予防又は処置するための製薬学的組成物の製造のための、上記した方法により得られるIL−7コンホーマーの使用にも関する。
【0022】
本発明は更に、サルにおける実験的及び薬理学的使用のための手段としての本発明に記載のIL−7コンホーマーの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】配列番号1を含むE.coli発現ベクターptac−hIL−7の構造を示す。
【図2】サルIL−7をコードする配列(シグナルペプチドをコードするヌクレオチド番号4〜75を欠いた配列番号12に相当する)を含むE.coli発現ベクターptac−sIL7optの構造を示す。
【図3】配列番号3、配列番号16又は配列番号18を含有する哺乳動物発現ベクター(構成的発現)の構造を示す。
【図4】ヒト及びサルcDNAのアラインされたヌクレオチド配列を示す。
【図5】ヒト及びサルタンパク質のアラインされたアミノ酸配列を示す。
【図6】サルIL−7PCR生成物の電気泳動分析を示す。
【図7】最適化されたサルIL−7PCR生成物の電気泳動分析を示す。
【図8】ヒトPS−IL−7PCR生成物の電気泳動分析を示す。
【図9】精製された脱グリコシル化された組換えヒトIL−7コンホーマーのSDS−PAGE分析:クーマシーブルーで着色及び銀染色、を示す。
【図10】プレB細胞系に対する哺乳動物(ヒト及びサル)IL−7タンパク質のバイオアッセイ分析を示す。
【図11】種々の組換えIL−7で処理された正常なサルの末梢血CD4T細胞数値を示す。
【図12】抗IL−7抗体の検出のためのIL−7処理されたサルの血清のウエスタンブロット分析を示す。
【図13】種々の組換えIL−7で処理された照射されたサルの末梢血CD4T細胞数値を示す。
【図14】配列番号3、配列番号16又は配列番号18を含有する哺乳動物発現ベクターphT−PSIL−7h(テトラサイクリン誘導性発現)の構造を示す。
【図15】配列番号3、配列番号16又は配列番号18を含有する哺乳動物発現ベクターpAVc−PSIL−7h(アデノウイルス一過性発現)の構造を示す。
【図16】処理前の100%値からの特異的マーカーの変化を示す。
【図17】ヒトIL−7配列(配列番号3、配列番号16又は配列番号18)及びヒトBcl−XL抗アポトーシス因子をコードする配列を含有する哺乳動物発現ベクターpBud−hPSIL−7−BclXL(共発現IL−7/BclXL)の構造を示す。
【図18】一過性トランスフェクションによるHEK293細胞におけるhIL−7発現を示す。
【0024】
発明の詳細な説明
本発明は、下記の3つのジスルフィド架橋:Cys:1−4(Cys2−Cys92);2−5(Cys34−Cys129);3−6(Cys47−Cys141)を含む精製されたIL−7コンホーマー、該IL−7コンホーマーを含む薬物原料及び製薬学的組成物、並びにそれらの製造方法及び治療的使用に関する。更に下記に開示されるとおり、IL−7コンホーマーは好ましくはヒト組換えIL−7コンホーマーでありそしてグリコシル化されていても良くそしてグリコシル化されていなくてもよい。ヒト組換えIL−7コンホーマーはグリコシル化されているのが好ましい。
【0025】
本発明は、IL−7の中又は長期間in vivo生物学的活性がこれまで気がつかなかった分子の特定のコンホメーションに実質的に帰されうるという予想外の発見及び実質的に純粋な形態の該IL−7コンホーマーを含む製薬学的組成物を製造することにより高度に改良された治療効率が達成されるという予想外の発見に基づいている。
【0026】
IL−7コンホーマー
本発明の第一の目的は、下記の3つのジスルフィド架橋:Cys:1−4(Cys2−Cys92);2−5(Cys34−Cys129);3−6(Cys47−Cys141)を含む精製された又は単離されたIL−7コンホーマーにある。
【0027】
IL−7一次配列(ヒト及びサル)は3つの分子内ジスルフィド架橋の形成に関与している6個の高度に保存されたシステインを含有する。Goodwinにより最初に記載されたとおり、これらのジスルフィド架橋は生物活性のために必要であり、IL−7分子のβ−メルカプトエタノール処理はその活性を完全に消滅させる(Goodwin R.G. et al.; Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA; 1989; 86: 302-306)。この点から、システイン残基位置のランクにしたがって、種々のコンホーマー
が可能であり、その中でも1−6;2−5;3−4又は1−4;2−5;3−6又は1−4;2−6;3−5又は1−5;2−4;3−6、に加えて、連続的架橋(contiguous bridges)を含む種々の他のコンホーマーが可能である。
【0028】
種々のチームがタンパク質のコンホメーションモデルを示唆するためにコンピューター化学を使用した。二次構造予測プログラムから、Srinivasan及び協同研究者はIL−7のヘリカル領域を提唱し、そしてGM−CSF及びIL−4三次元構造との類似によって、下記の3つの架橋:1−4;2−5;3−6 の配置を示唆するタンパク質コンホメーションを提唱した(Srinivasan S.et al.; Protein Engeneering(supplement); 1993; 6: 107)。また相同性モデル化の研究によって、Kroemer及び協同研究者は、テンプレートとして役立ちそしてアップ−アップ−ダウン−ダウントポロジーにおいてそれらを相互に関連付けるヒトIL−2、IL−4、GM−CSF及びGHの構造に対する相同性に基づいてhIL−7の3Dモデルを予測した。このよく知られたトポロジーにおいて、ヒトIL−7の3Dモデルは、独特のジスルフィドパターン:1−4;2−5;3−6 ジスルフィドデザインの仮説が有利であった(Kroemer R.T.et al.; Protein Engeneering; 1996; 9(6): 493-498)。しかしながら、1997年に、組換え技術により産生されたヒトIL−7のMALDI質量分析法による分析から及びセリンをシステインに替える部位特異的突然変異誘発から、Cosenza及び協同研究者はIL−4について実験的に決定された分子内ジスルフィド架橋とまったく同様にして位置:1−6;2−5;3−4への3つのジスルフィド架橋の配置を明らかにした(Cosenza L et al.; Protein Science; 2000; 9: 916-926 - Walter M.R.et al.; Journal of Bilogical Chemistry; 1992; 267: 20371-20376)。この研究において、組換えネイティブ分子のペプチド消化の質量分光分析は、Cys2−Cys141(1−6)ジスルフィド架橋の事実をはっきりと証明し、そして部位特異的突然変異誘発はCys2−Cys141(1−6)及びCys47−Cys92(3−4)架橋の生物活性のための重要な役割を証明した。これらの2つのシングル架橋を可能にする2つのCys/SerIL−7突然変異体は3つのジスルフィド架橋分子1−6;2−5;3−4の2×10−10のEC50と比較してバイオアッセイにおいて良好な生物活性(4×10−9及び2×10−9MのEC50)を示すことができた。これらの実験的結果に基づいて、これらの3つのジスルフィド架橋1−6;2−5;3−4はヒトインターロイキン−7に割り当てられそして国際タンパク質データバンクに申請された(Swiss Prot P13232, PDB code 1IL-7)。
【0029】
本発明は、今日までデータバンクに提出され、証明されそして受け入れられた上記の三次元構造は不正確でありそして組換えヒトIL−7の長期活性は主として特定の1−4;2−5;3−6コンホーマーにより発現されることを今や示す。得られた実験結果は、ヒトIL−7(hIL−7)における以前に報告されたジスルフィド結合(Cosenza L et al.; Journal of Biochemical Chemistry; 1997; 272: 32995-33000)とは異なり、そして長期の活性なIL−7組成物は、GM−CSF及びIL−4コンホーメーションとの相同性モデル化によりデザインされる他のモデルに記載の実質的に純粋な特定のIL−7コンホーマーの存在を必要とすることを始めて示す。
【0030】
本発明においては、「IL−7ポリペプチド」は、哺乳動物(例えばヒト又はサル)IL−7ポリペプチド、更に好ましくは、特に治療又はワクチンとして使用するためのヒトIL−7ポリペプチド、又は特に非ヒト霊長類実験に使用するためのサルIL−7ポリペプチドを表す。本発明の好ましいIL−7ポリペプチドはEP314415に記載のアミノ酸配列並びにそのいかなる天然変異体及びその相同体(homologs)も含む。ヒトIL−7の配列は、遺伝子バンクで入手可能である。典型的な野生型タンパク質は152アミノ酸及び場合により追加のN末端メチオニン残基を含む(配列番号2、4、17及び19)。その変異体は、更に好ましくは、SNPs、スプライシング変異体等を含む天然の多型から生じる天然の対立遺伝子変異体を含む。特定の態様では、IL−7ポリペプチドという用語は、配列番号2、13[配列番号13はシグナルペプチド(アミノ酸番号:2〜25)を含むか又は含まない]、17、19、21又は23の配列を有するポリペプチド及びその天然変異体を表すことを意味する。本発明で使用される特定のIL−7ポリペプチドは好ましくは組換えIL−7、更に好ましくは、配列番号2、4、17又は19のアミノ酸配列を含む組換えヒトIL−7コンホーマーである。
【0031】
IL−7の特定の「コンホーマー」は特定の三次元立体配置(configuration)を有するIL−7ポリペプチドを表す。
【0032】
本明細書で使用された「組換え体」という用語は、ポリペプチドが組換え発現系から得られるか又は誘導される、即ち、IL−7ポリペプチドをコードする核酸分子を含有するように工学的に作られた宿主細胞(例えば、微生物又は哺乳動物)の培養物から得られるか又は誘導されることを意味する。「微生物の(microbial)」は、バクテリア発現系で作られた組換えタンパク質を表す。
【0033】
医学的使用(治療、予防等を含む)のための、IL−7コンホーマーは好ましくは組換えヒトIL−7コンホーマーである。これについて、特定の態様では、特定のIL−7コンホーマーは配列番号4, 17又は19のアミノ酸配列を有しそしてジスルフィド架橋Cys2−Cys92、Cys34−Cys129及びCys47−Cys141を含む。他の特定の態様では、特定のIL−7コンホーマーは配列番号4、17または19のアミノ酸配列を有しそしてN末端位置に追加のメチオニンを含む(即ち、配列番号2)。
【0034】
実験的使用を含む更なる使用のために、IL−7コンホーマーは組換えサルIL−7コンホーマーであることができる。組換えサルIL−7コンホーマーは好ましくは配列番号13(配列番号13はシグナルペプチド(アミノ酸番号:2〜25)を含むか又は含まない)、配列番号21又は23のアミノ酸配列を含む。
【0035】
本発明のIL−7コンホーマーはグリコシル化されていても良く又はグリコシル化されていなくてもよい。多くの分泌されたタンパク質は翻訳後に共有結合した炭水化物単位を獲得する。グリコシル化は、しばしば、アスパラギン残基(コンセンサス配列:−Asn−X−Ser/Thr−、式中Xはプロリンを除くアミノ酸である、に位置している)を介して又はセリン/トレオニンアミノ酸側鎖を介して連結されて、それぞれN−グリコシド結合又はO−グリコシド結合を与える、オリゴ糖単位の形態にある。特定の分泌されたタンパク質に結合したオリゴ糖単位の構造及び数の両方共高度に可変性であることができ、これは1つの糖タンパク質に起因する広い範囲の見かけの分子量をもたらす。
【0036】
マウスIL−7(mIL−7)、サルIL−7(sIL−7)及びヒトIL−7(hIL−7)は分泌された糖タンパク質であり、そして第1変異体においては、本発明のIL−7コンホーマーはグリコシル化されている。コンホーマーは産生系及び条件に依存して種々の型のオリゴ糖単位を含むことができる。これらは、例えば、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、フコース、キシロース、グルクロン酸、イズロン酸及び/又はシアル酸であることができる。
【0037】
特定の態様では、本発明のIL−7コンホーマーは、適度に(moderately)グリコシル化される。好ましくは、グリコシル化は、CHO型であり、なお更に好ましくは、α2,6−シアリルトランスフェラーゼを安定に発現しそしてCMP−Neu5Acヒドロラーゼ活性の欠損を与えるCHOグリコシル化突然変異体により産生される。このようなグリコシル化は、典型的には、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、フコース、キシロース、グルクロン酸、イズロン酸及び/又はシアル酸を含む。
【0038】
他の好ましい態様では、IL−7コンホーマーはヒト型グリコシル化を含む。このようなグリコシル化された形態を産生させるために、IL−7コンホーマーは、典型的には、ヒト宿主細胞において組換え技術により産生され、ヒト宿主細胞はヒトストローマもしくは上皮細胞系、HEK−293(ヒト胚腎臓)、HER(ヒト胚網膜)、HEK(ヒト表皮角化細胞)、ヒト胸腺もしくはヒト皮質上皮細胞系、ヒト骨髄又はヒト骨髄間質細胞系から選ぶことができる。
【0039】
他の変異体においては、IL−7コンホーマーはグリコシル化されていない。
【0040】
ヒト炭水化物パターンを有する組換えヒトIL−7コンホーマーは治療用途に高度に好ましい。
【0041】
特定の態様では、本発明は、特定のIL−7コンホーマーであって、配列番号4、17又は19のアミノ酸配列を有し、ジスルフィド架橋Cys2−Cys92、Cys34−Cys129及びCys47−Cys141を含み、そしてヒトグリコシル化されているか、適度にグリコシル化されているか又はグリコシル化されておらず、更に好ましくは(ヒト型)グリコシル化されている特定のIL−7コンホーマーに関する。他の態様では、コンホーマーの配列は、N末端に追加のメチオニン残基を含み(配列番号2)そしてグリコシル化されているか又はグリコシル化されていない。
【0042】
精製されたコンホーマーは、モノマーの形態にあることができ、又は選ばれた特定の化合物と会合しているか又は複合していてもよい。これに関して、特定の態様では、IL−7コンホーマーは、ヘテロ二量体として肝細胞成長因子(「HGF」)に会合している。ヘテロ二量体は、化学的に、複合化(complexation)により又は組換え技術により(即ち、遺伝的融合により)得ることができる。
【0043】
他の特定の態様では、IL−7コンホーマーは、典型的にはペプチドヒンジ領域によってIgG重鎖のFc部分に機能的に結合している(functionally attached)。このような融合分子は、in vivoで潜在的に増加した安定性及び半減期を有する。IgG部分は最も好ましくはヒトIgG1又はIgG4である。
【0044】
他の特定の態様では、IL−7コンホーマーは、ヒト血清アルブミン(「HSA」)又はHSAの一部に融合タンパク質として機能的に会合している(functionally associated)。このような融合分子は、in vivoで潜在的に増加した安定性及び延長された半減期を有する。
【0045】
薬物原料及び製薬学的組成物
本発明は、所望される生成物として上記したIL−7コンホーマーを含む薬物原料であって、IL−7生成物関連物質及び生成物関連不純物を実質的に含まない薬物原料にも関する。
【0046】
好ましい薬物原料は更にプロセスに関連した不純物を実質的に含まない。
【0047】
本願においては、「薬物原料」という用語は、医薬の活性成分として使用するのに適当な生成物を指す。本発明による「薬物原料」は、本来複合生成物である、即ち、その製造方法(例えば組換えDNA技術)の結果として複合生成物である。
【0048】
本発明は、有効な治療及びワクチン増強効果を生じさせるために、IL−7薬物原料又は製薬学的組成物は、主要分子種として、1−4;2−5;3−6ジスルフィド架橋に従ってリフォールディングされた(refolded)コンホーマーを含有するべきであることを今や開示する。他の生物活性コンホーマー、r−hIL−7分子変異体、例えば、1−6;2−5;3−4が存在しそして長期の使用及び/又は反復投与について文献に記載されているけれども、本発明により得られた結果は、これらの生成物は、IL−7の好ましいコンホメーションに対して新しいエピトープを提示しそして中和免疫応答を誘導し易い生成物関連不純物として挙動するであろうということを今や初めて証明する。
【0049】
本発明は、組換えIL−7含有製薬学的組成物の特定の場合に、普通は薬物原料及び/又は医薬品の仕様に含まれるであろう他の潜在力のある生成物関連物質及び生成物関連不純物は、生物活性であるけれども、IL−7の強力なワクチンエンハンシング特性のため新しいエピトープのように挙動するという事実も開示する。かくして、これらの生成物は所望のIL−7分子に対する免疫反応をトリガーすることができるので、厳密に最小にされるべきである。
【0050】
特異的バイオアッセイにおける生物活性は、組換えタンパク質の活性を治療的使用のために適合させるための極めて重要な結果である(生物工学的薬物原料及び製品についての仕様、試験方法及び承認基準に関するICI Q6B, Harmonized Tripartite Guideline参照。1999年8月18日に連邦官報(Federal Register)に公表され、64FR 44928頁(FDA)として発行されそして1999年3月にCommittee for Proprietary Medicinal Productsによりヨーロッパで採用され、CPMP/ICH/365/96として発行された。)。生物活性は、実際、製造バッチ放出のための活性の仕様として通常保持される活性の唯一の試験である。生物活性仕様を満たすことは、組換えタンパク質薬物原料/医薬製品がヒトにおいて活性であることを通常保障する。種々の他のin vivo動物モデルが組換えタンパク質の活性を試験するために実施されるけれども、異種ヒト組換えタンパク質は試験される動物種における同種タンパク質(homologous protein)とは異なるので、動物における長期活性の評価は妨げられる。
【0051】
ヒトにおける組換えタンパク質の長期使用の以前の経験は、高度に免疫反応性の「プロセス関連」夾雑物、例えばDNA、内毒素及び宿主タンパク質を欠いた修飾されていないタンパク質配列の投与は、長期活性を許容しそして免疫反応を中和することなく利益を与えることを示す。所望の生成物の分子変異体(ICI Q6Bガイドラインに定義された)である生成物関連物質及び生成物関連不純物は、それらが有意な生物活性を有するかぎりは、薬物原料/医薬品組成物の相対的に高い百分率で許容される。ICI国際ガイドラインQ6Bは、「生成物関連物質は、活性でありそして医薬品の安全性及び有効性に対する有害な効果を及ぼさない、製造及び/又は貯蔵期間中に形成された所望の生成物の分子変異体である。これらの変異体は所望の生成物に匹敵する性質を有しそして不純物とは考えられない」ということを規定している。それに鑑みると、種々の生成物関連物質及び/又は生成物関連不純物、IL−7の分子変異体は、もし生物活性であるならば、バイオアッセイに基づいてバッチ放出を許可されるであろう。本発明は、これらのガイドライン及び普通の実施とは極めて対照的に、IL−7の特定の場合には、これらの分子変異体は、それらの生物活性がどうであれ、r−hIL−7所望の生成物及び/又は内因性ヒトIL−7に対して免疫応答を誘発しそして組換えタンパク質の長期の治療的利益を無効にするであろうということを今や開示する。これは、主として、新しいエピトープのように挙動するこれらの分子変異体の、IL−7の強力なワクチンエンハンシング能力との連関によるものである。これらの分子変異体の中でも、本発明は、例えば、分子の不適当なリフォールディングから生じるコンホーマー、脱アミド化形態、二量体及びハイパーグリコシル化された形態(hyperglycosylated forms)、及び更に一般的には、好ましい特定的に同定された分子種とは異なるため免疫反応を誘発し易い分子生物活性変異体(molecular bioactive variants)には特に注意を払うべきであることを今や開示する。
【0052】
特に、サルにおいてin vivo実験を行うことによって(実施例で報告されたとおり)、本発明者は、有効な薬物原料は主成分として前記したIL−7コンホーマーを必要としそして他のコンホーマー又は生成物関連不純物を実質的に含まざるべきであることを証明することができた。このような結果は、すべての化合物が生物活性であるin vitroバイオアッセイ又はIL−7がB細胞に対して非常に強いリンパ球生成効果を有するげっ歯類動物におけるin vivoアッセイにおいては達成されなかったであろう。サルIL−7をクローニングしそして本発明の薬物原料又は先行技術に開示された複合生成物を使用してサルでin vivo実験を行うことにより、本発明者は、意外にも、特定のコンホーマーが活性でありそして精製された形態で使用する必要があることを証明した。
【0053】
かくして、本発明の特定の目的は、所望の生成物として上記したIL−7コンホーマーを含み、IL−7生成物関連物質及び生成物関連不純物を実質的に含まない薬物原料にある。
【0054】
本明細書で使用した「実質的に含まない」という用語は、薬物原料が有意な又は不利な量の生成物関連物質、生成物関連不純物及びプロセス関連不純物を含有しないことを示す。更に具体的には、薬物原料は、生成物関連物質、生成物関連不純物及びプロセス関連不純物を5%未満、更に好ましくは3%未満、なお更に好ましくは2%未満しか含有するべきではない。最も好ましい薬物原料は、生成物関連物質及び/又は生成物関連不純物を1%未満しか含有するべきではなくそしてプロセス関連不純物を痕跡量しか含有するべきではない。
【0055】
IL−7生成物関連物質は、例えば、他のIL−7コンホーマー及び/又はIL−7のいかなる活性なもしくは不活性なペプチド又はポリペプチド断片も含むIL−7分子変異体を表す。
【0056】
IL−7関連不純物は、例えば、モノ又はビ−ジスルフィド架橋、連続的(contiguous)ジスルフィド架橋及び、例えば下記の、Cys:1−6;2−5;3−4の如きいかなるジスルフィド架橋組み合わせも及び隣接ジスルフィド架橋:Cys:1−2;3−4;5−6を含むヒトIL−7ポリペプチドを含む。他のIL−7関連不純物は、ハイパーグリコシル化IL−7を含む異常なグリコシル化形態、酵母−グリコシル化(yeast-glycosylated)IL−7、トランケーションされたIL−7、脱アミド化組換えIL−7、IL−7を含む二量体又は多量体、酸化されたメチオニン形態又はその組み合わせを含む。
【0057】
それらの生物学的活性がどうであれ、これらのIL−7分子変異体及びIL−7関連不純物は厳密に最小にされるか又は除かれるべきである。
【0058】
プロセス関連不純物はDNA、内毒素、細胞破片等を含む。
【0059】
上記した如き不純物は、組換えDNAプロセスによりしばしば発生される。しかしながら、それらの最終生成物活性に対する影響は必ずしも評価されておらず、そしてそれらの除去のための有効な方法は必ずしも利用可能ではない。本発明は、IL−7を生成する慣用の組換え法も上記した種々の不純物を発生させることを今や証明する。本発明は更に特定的には、種々のIL−7分子変異体が存在しそして種々のアミノ酸配列が存在することを証明する。更に、本発明者はIL−7の最も強力な中又は長期間in vivo生物学的活性は、3つの特定のジスルフィド架橋:Cys:1−4(Cys2−Cys92);2−5(Cys34−Cys129);3−6(Cys47−Cys141)を有する特定のコンホーマーにより担われていることを発見した。ジスルフィド架橋が欠けている場合又は不適切なジスルフィド架橋はIL−7活性を極めて有意に減少させうる。更に、このような不純物の存在は、ヒト又は非ヒト霊長類に投与すると免疫反応性である分子を生成させ、かくして本発明のIL−7コンホーマーの治療的利益を損なう。
【0060】
かくして、好ましい薬物原料はIL−7の総重量が本発明に記載のIL−7コンホーマー少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%、更に好ましくは少なくとも99.5重量%を含む薬物原料である。
【0061】
本発明は有効量の上記した薬物原料及び1種又はそれより多くの製薬学的に適合性又は許容できる担体、賦形剤又は希釈剤を含む製薬学的組成物にも関する。
【0062】
本発明は、上記した実質的に純粋なIL−7コンホーマーを含む製薬学的組成物はIL−7のワクチン性及びその抗原特異的免疫応答を刺激する能力を明らかに増加させることを示す。かくして、本発明は、IL−7関連不純物が除去されそして上記した特定のコンホーマーが使用されるとき、高度に有効な生物学的製剤が得られることを証明する。
【0063】
製薬学的に適合性又は生理学的に許容できる担体、賦形剤又は希釈剤は、中性〜僅かに酸性の、等張性の、緩衝化された塩類の、溶液又は懸濁液から及び更に好ましくはスクロース、トレハロース及びアミノ酸から選ぶことができる。製薬学的に適合性の担体は、好ましくは適当な緩衝液中に含有されて等張溶液を形成する。IL−7の多数の分子変異体、例えば、組換えられた酵母株から産生されたハイパーグリコシル化組換えタンパク質、低イオン強度で産生されたIL−7二量体及び脱アミド化形態は、生物活性であるけれども、厳密に最小化されるべきである。製造及び貯蔵期間中、分子を高い又は中程度に高いpH:8〜10にさらすと、脱アミド化形態の形成をトリガーする。pH8.5〜9で室温で数日間の貯蔵はこれらの脱アミド化された分子種の出現を誘発する。高いpHを含む工程は、ブロセス期間中最小にするのが好ましく、そして僅かに酸性の緩衝液pH5〜7中に貯蔵されるならば、組換えタンパク質の安定性は改良される。適当な緩衝液は、5〜7.5、好ましくは6〜7のpH範囲、更に好ましくは約6.5のpHを有するのが好ましく、そして好ましくはクエン酸ナトリウム緩衝剤又は酢酸アンモニウム緩衝剤から選ばれる有機塩である。製薬学的組成物は、懸濁液、溶液、ゲル、粉末、固体等の形態にあることができる。組成物は好ましくは凍結乾燥された形態である。実際、生成物は、希釈剤及び溶解保護剤(lyo-protectors)として適当な賦形剤溶液(例えば1/1〜10/1、好ましくは2/1〜6/1の糖/薬物原料質量比の範囲の、例えばスクロース及び/又はトレハロース)を使用して凍結乾燥物として配合することができる。
【0064】
組成物は、安定剤、例えば、糖、アミノ酸、タンパク質、界面活性剤等を含むことができる。組成物はリン酸塩、塩化物等を含むいかなる塩類溶液(saline solutions)も含むことができる。適当な投与量は試験により決定することができる。
【0065】
本発明に記載の特定の製薬学的組成物は、活性薬物原料の外に、タンパク質及び/又は界面活性剤を含む。タンパク質のこれらの存在又はいかなる天然起源の他の高分子量の分子のこれらの存在もIL−7を宿主免疫系にさらすのを減少させ、したがって二次効果を回避する。更に好ましくは、タンパク質は、例えばヒト起源のいかなるタンパク質も被験体において非免疫原性である。タンパク質の最も好ましい例はヒト血清アルブミンである。界面活性剤は、既知の界面活性剤、例えば、ツイーン(Tween)製品、好ましくは、ツイーン80から選ぶことができる。本発明の特定の組成物は、ヒト血清アルブミン(好ましくは2〜5mg/ml)又はツイーン80(典型的には0.005%)又は、組成物の投与後の医薬品の局所的持続性によりIL−7免疫原性を防止することができるいかなる他の物質、例えば、張力活性物質(tensioactive substance)も含む。
【0066】
本発明の組成物における活性成分の実際の投与レベルは、特定の組成物及び投与方法について所望の治療応答を得るのに有効な活性成分の量を得るように適合させることができる。ゆえに、選ばれた投与レベルは、所望の治療効果、投与の経路、所望の治療期間及び他のファクターに依存する。一般に、皮下経路により投与される3〜300μg/kg、好ましくは10〜100μg/kgの投与量は、好ましくは、1日1回〜1週間に1回、場合により週2回、好ましくは48時間毎に1回より多くない頻度で投与されるかぎりは、生物学的効果を誘発することが予想されうる。
【0067】
しかしながら、いかなる特定の患者についても特定の用量レベルは、体重、一般的健康、性、食事、投与の時間及び経路、吸収及び分泌の速度、他の薬との組み合わせ及び処置されるべき特定の疾患の重症度に依存するであろうということは理解されるべきである。IL−7の特定の場合には、用量レベルを調節する前に患者の免疫状態に特に注意を払うべきである。例えば、末梢CD4T細胞数値により判定して、患者がより多く免疫抑制されていればいるほど、リンパ球数値の相対的増加を誘発するのに必要な用量はより少ない。ひどく免疫抑制されている霊長類においては、1日当たり60μg/kgの皮下用量はT細胞数値の強い増加を生じさせる(×3〜×5、用量に依存方式で)が、普通のリンパ球数値を有する霊長類では、2〜5倍リンパ球数値を増加させるには例えば300μg/kgのようなより高い用量が必要である。皮下投与後、組換えIL−7は霊長類において驚くべき長い血中半減期を有する。その細胞サイクリングに対する効果は24〜28時間持続し、1日1回〜1週間1回までの注射による有効な治療計画を可能とする。
【0068】
本発明に記載の製薬学的組成物は、患者の免疫再生(immune regeneration)を得るため及び/又は刺激するためだけには、1日1回〜1週間1回まで、場合により週2回、好ましくは48時間毎に1回より多くない頻度で投与されるのが好ましい。
【0069】
好ましい経路は非経口経路である。非経口経路は、腫瘍内、更に好ましくは、静脈内又は皮下投与である。それは、動脈内、腹腔内又は筋肉内注射も含む。しかしながら、患者の健康状態及び反応性に依存して、いかなる他の投与経路も意図することができることは理解されるべきである。
【0070】
製薬学的組成物は、追加の活性成分、例えば、好ましくは、組み合わせた使用、別々の使用又は順次の使用のための、造血細胞成長因子、サイトカイン、抗原性分子(抗原)及びアジュバントから選ばれた免疫刺激剤を含むことができる
【0071】
このような追加の活性成分は、組み合わせた使用、別々の使用又は順次の使用のために、IL−7と組み合わせて又は別々に配合することができる。第1の態様では、活性成分を同じ容器(recipient or vessel)中で一緒に配合する。他の好ましい態様では、それらは別々に、即ち、別の容器中で、調整される(conditioned)。この態様に従えば、成分は、別々に、例えば同時に又は順次に(例えば、異なる注射部位又は異なる時点で)投与して、最も有効な生物学的効果を生じさせることができる。上記したとおり、1つ又は2つの活性成分の反復投与を行うこともできる。
【0072】
これに関して、本発明は、組み合わせて使用するため、別々に使用するため又は順次に使用するための、上記した実質的に純粋なIL−7コンホーマーと免疫刺激剤及び抗原性分子から選ばれる活性成分を含む製薬学的組成物に関する。アジュバントは好ましくは別々に配合される。
【0073】
造血細胞成長因子は、好ましくは、幹細胞因子(SCF)、特にSCF、G−CSF、GM−CSF、Flt−3リガンド、IL−15及びIL−2の可溶性形態から選ばれる。ワクチン増強のためのサイトカインの典型的な例は、Th1型免疫応答を誘発及び/又は刺激するサイトカインを含む。このサイトカインは、好ましくは、γインターフェロン、IL−2、IL−12、RANTES、B7−1、MIP−2及びMIP−1αから選ばれる。他の因子、例えば、FGF7又はFGF10、インターロイキン及び/又はホルモンをIL−7と組み合わせて使用して追加の治療的利益を得ることができることは理解されるべきである。
【0074】
本発明の特定の組成物は、上記した実質的に純粋なIL−7コンホーマー及び幹細胞因子、特にその可溶性形態、IL−15及び/又はFlt−3リガンド及び/又はFGF10を含む。
【0075】
本発明の他の特定の組成物は、上記した実質的に純粋なIL−7コンホーマー及び、γインターフェロン、IL−2、IL−12、RANTES及びMIP−1αから選ばれるサイトカインを含む。
【0076】
本発明の他の特定の組成物は、上記した実質的に純粋なIL−7コンホーマー、幹細胞因子及びサイトカインを含む。
【0077】
上記したとおり、製薬学的組成物は、組み合わせて使用するため、別々に使用するため又は順次に使用するための1種又はそれより多くの抗原(又は抗原性分子)を更に含むことができる。抗原は、いかなる合成又は天然のペプチド、組換えタンパク質、殺された、不活性化された又は弱められた病原体産生物、微生物、寄生虫、脂質等、その一部及びその組み合わせであることができる。抗原は、完全なタンパク質、又はそのすべてのエピトープ含有断片又は一部、特にMHCクラスI又はMHCクラスII分子によって免疫系に提示されるペプチドであることができる。抗原はいかなるウイルス抗原、バクテリア抗原、寄生虫抗原、腫瘍抗原等であってもよい。抗原の特定の例は、HIV、水痘帯状疱疹ウイルス、インフルエンザウイルス、エプスタイン−バールウイルス、1型又は2型単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、デングウイルス、肝炎A、B、C又はEウイルス、合胞体呼吸ウイルス(syncytium respiratory virus)、ヒトパピローマウイルス、結核菌、トキソプラズマ及びクラミジア由来の抗原を含む。
【0078】
本発明の特定の目的は、組み合わせて使用するため、別々に使用するため又は順次に使用するための上記した実質的に純粋なIL−7コンホーマー及び抗原性分子を含む組成物に関する。組成物は、組み合わせて使用するため、別々に使用するため又は順次に使用するための上記に開示した1種又はそれより多くの免疫刺激剤を更に含むことができる。
【0079】
本発明の更なる特定の目的は、上記したIL−7コンホーマーを含む製薬学的組成物であって、被験体において抗原特異的免疫応答を得るため及び/又は刺激するために、同時に、数日前に又は順次に1種又はそれより多くの抗原性分子と共に投与される製薬学的組成物に関する。
【0080】
本発明の更なる特定の目的は、被験体において抗原特異的免疫応答を引き起こすか又は高める方法であって、被験体に該抗原(又はそのエピトープ含有断片)及び上記したIL−7コンホーマーを含む製薬学的組成物を投与することを含む方法に関する。製薬学的組成物は、被験体において抗原特異的免疫応答を得るため及び/又は刺激するために、同時に、数日前に又は順次に該抗原と共に投与することができる。
【0081】
他の好ましい態様では、本発明の組成物は更にアジュバントを含む。アジュバントは、抗原の免疫原性を促進するか又は増加させそしてTh1型免疫応答を誘発することができるすべての物質、混合物、溶質又は組成物、例えば、CpG、QS21、ISCOM及びモノホスホリル脂質Aから選ぶことができる。このようなアジュバントは、哺乳動物被験体、特にヒトにおける抗原(1つ又は複数)に対する特異的免疫応答を生じさせ及び/又は増幅するのに特に適している。アジュバントは、好ましくは、所望の抗原(1種又は複数)と共に、IL−7含有組成物とは別々に及び/又は別の注射部位で調整されそして投与されるのが好ましい。
【0082】
本発明は、B又はTリンパ球発生及び増殖の予防的又は治療的刺激のため又は免疫応答の増強のためにヒト患者に非経口投与するための、有効量の本発明に記載のヒトIL−7コンホーマーを適当な希釈剤、賦形剤又は担体と混合して含む製薬学的組成物にも関する。本発明の製薬学的組成物は長期のリンパ球生成刺激及び/又は増幅された免疫応答を誘発する。
【0083】
本発明に記載の製薬学的組成物は、B又はTリンパ球発生及び増殖の予防又は治療的刺激のため、包括的及び/又は特異的免疫再構成の増強のため、又は体液性及び/又は細胞性免疫応答の増強のためにヒト患者において使用することもできる。
【0084】
本発明に記載の好ましい特定の製薬学的組成物は、免疫不全患者における日和見感染を防止又は減少させるのに使用するためのものである。
【0085】
本発明に記載の他の特定の製薬学的組成物は、リンパ球生成刺激を延長するため及び/又は主要エピトープ(dominant epiotopes)に対するのみならず副主要エピトープ(sub-dominant epitopes)又は免疫原性のより少ないエピトープに対する特異的免疫応答も生じさせるために使用するためのものであり、ここでエピトープはT細胞受容体に対する低いアフィニティーを有し、これはヒト患者において特異的免疫応答のレパートリーを広くすることを可能とする。
【0086】
本発明は、被験体、例えば、免疫不全患者、がん患者、移植片を受けている患者、、ウイルス又は寄生虫に感染した患者、低いCD4数値を有する高齢患者又はすべての患者等における予防的又は治癒的免疫応答を生じさせるのに特に適している。
【0087】
製造方法及び手段
本発明の他の観点は、上記組成物、特に上記IL−7コンホーマー及び薬物原料をその製薬学的使用のために十分な量及び品質において製造するための適当な構築物及び方法を提供することである。
【0088】
この点で、本発明は、IL−7ポリペプチドをコードする配列を含む核酸分子であって、該配列は生物学的に活性なIL−7、特に上記したIL−7コンホーマーの組換え宿主における発現のために最適化されている、核酸分子を今や開示する。更に特定的には、核酸分子は、切頭されたIL−7ポリペプチドの限定された発現を与えそして生物学的に活性なヒトIL−7コンホーマーの製造の収率を増加させる。
【0089】
ヒト及びサルIL−7をコードするDNA配列(ゲノム又はcDNA)は、「ATG」開始コドンの後の位置49に、大腸菌(E.Coli)における第2開始コドンとして挙動する第2推定「ATG」を含有する。実際、この第2「ATG」は、「擬シャイン・ダルガノ」配列(リボソーム結合部位)により先行される。最適化された生成物を創りだすために、出願人はこの推定第2開始コドンを不活性化し、それによりr−hIL−7のアミノ末端トランケーションされた形態の潜在的生成を有意に減少させることに着手した。このような最適化された配列を生成させるために、コード配列におけるヌクレオチドを突然変異させて、得られるコードされたr−IL−7アミノ酸配列を修飾することなく、「SD様」配列を不活性化させた。
【0090】
かくして、本発明の更なる目的は、ヒトIL−7ポリペプチドをコードする核酸分子であって、更に特定的には「SD様」配列の(即ち、配列番号2のメチオニン残基18をコードする配列の位置49に位置した推定第2開始コドンの)不活性化により、アミノ末端トランケーションされたポリペプチドの生成を回避する修飾された配列を含有する核酸分子に関する。
【0091】
推定第2開始コドンの不活性化は、更に好ましくは、配列番号1のメチオニン18をコードするATGコドンに先行する5コドンの少なくとも1つにおいて、即ち、アミノ酸配列TyrGluSerValLeuをコードするコドン13〜17において、配列を修飾することにより達成されうる。特定の態様では、配列は、配列番号1又は2の位置15のセリンをコードするコドンを変更することにより修飾される。更に特定的には、好ましい配列では、このコドンはAGダブレットを含有しないように修飾される。適当なコドンは、例えば、TCC、TCT、TCA及びTCGから選ぶことができる。配列番号1、3、16及び18において、TCCコドンが使用された。位置13(配列番号1の番号付けに基づいて)のTyrをコードするコドンは、TAC又はTATから選ぶことができる。位置14(配列番号1の番号付けに基づいて)のGluをコードするコドンはGAG及びGAAから選ぶことができる。位置16(配列番号1の番号付けに基づいて)のValをコードするコドンはGTT、GTC、GTA及びGTGから選ぶことができる。最後に、位置17(配列番号1の番号付けに基づいて)のLeuをコードするコドンはCTG、CTA、CTT、CTC、TTA及びTTGから選ぶことができる。上記したコドンのすべての組み合わせが可能である。変更されたDS様配列の特定の例は配列番号1のヌクレオチド37〜51に相当する。
【0092】
本発明の特定の好ましい核酸分子は配列番号1の配列を含みそして組換えヒトIL−7ポリペプチドをコードする。
【0093】
本発明の他の特定の好ましい態様は、生成されたポリペプチドの分泌を引き起こすシグナル配列を更に含む上記した核酸分子に関する。シグナル配列は、ヒトIL−7タンパク質の天然のシグナル配列、又はすべての異種シグナル配列から選ぶことができる。このような配列は、他の分泌されたタンパク質、例えば、ヒト成長ホルモン、由来のものであることができ、人工又は合成のものであることができる。好ましいシグナルペプチドは、ヒト成長因子又はヒト成長ホルモンの天然のシグナルペプチド、及び更に好ましくは、ヒトエリスロポエチンの天然のシグナルペプチドであることができる。なお更に好ましいシグナルペプチドは、合成シグナルペプチド、例えば、HMM38である。好ましい配列はコンピテント哺乳動物宿主細胞において機能的な配列である。このような改良された配列の特定の例は配列番号3、16又は18を含む。この配列は改良された発現のためのリーダー配列及び不活性化SD様配列を含む。
【0094】
本発明の他の目的は、グリコシル化されていてもよく又はグリコシル化されていなくてもよい上記した核酸配列によりコードされたポリペプチドに関する。
【0095】
本発明の好ましい目的は、上記したポリペプチドであって、該ポリペプチドの三次構造が下記の3つのジスルフィド架橋:Cys:1−4;2−5;3−6を含むポリペプチドに関する。
【0096】
本発明は、更に、上記した核酸を含むベクター及び該核酸又はベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。核酸及びベクターは種々のコンピテント宿主細胞において組換えヒトIL−7ポリペプチドを産生するため及び遺伝子治療目的に使用することができる。
【0097】
ベクターは、プラスミド、ウイルス、ファージ、コスミド、エピソーム等であることができる。好ましいベクターはウイルスベクター(例えば、組換えアデノウイルス)及びプラスミドであり、これらは商業的に入手可能なバックボーン、例えば、pBR、pcDNA、pUC、pET、pVITRO等に基づいて作成することができる。ベクターは、典型的には、最適化されたコード核酸からのIL−7ポリペプチドの発現を制御又は媒介するための調節エレメント又は配列を含む。調節配列は、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、組織特異的シグナル、ペプチドシグナル、イントロン、ターミネーター、ポリA配列、GC領域等又はそれらの組み合わせから選ぶことができる。このような調節エレメント又は配列は哺乳動物、植物、バクテリア、酵母、バクテリオファージ又はウイルス遺伝子由来のものであるか又は人工的ソース由来のものであることができる。原核生物発現(例えばE.coli)のための有用なプロモーターは、例えば、T7RNAポリメラーゼプロモーター(pT7)、TACプロモーター(pTAC)、Trpプロモーター、Lacプロモーター、Treプロモーター、PhoAプロモーターを含む。哺乳動物細胞における発現のための適当なプロモーターは、ウイルスプロモーター(例えば、CMV、LTR、RSV、SV40、TK、pCAG等)、ドメスチック遺伝子プロモーター(例えば、E1fα、ニワトリβアクチン、ユビキチン、INSM1等)、ハイブリッドプロモーター(例えば、アクチン/グロビン等)等を含む。ベクターは1つより多くのプロモーターを含むことができる。プロモーターは誘導性であるか又は調節されることができる。例えば、誘導性プロモーター又は調節されるプロモーターの使用は、生産段階から培養物を引き離すことにより産生の良好な制御を可能とする。誘導性プロモーター又は調節されたプロモーターは、文献に見出すことができ、例えば、テトラサイクリン系(Tetracycline system)、ジェネスイッチ系(Geneswitch system)、エクジソン系(Ecdysone system)、エストラジオール系(Oestradiol system)、RU486系(RU486 system)、クメート系(Cumate system)、メタロチオネインプロモーター等であることができる。他の系は電流又はマイクロ波に基づいており、例えば、ウルトラソンズフォーカライジス(Ultra sons focalises)等である。これらの系は本発明に記載のIL−7ポリペプチドの発現を制御するのに使用することができる。
【0098】
IL−7は、抗アポトーシス因子(例えば、iex、Bcl2、BclXL等)と共に共発現されうる。cDNA(該IL−7及び該抗アポトーシス因子をコードする)は同じプロモーターの下流に、しかしIRES配列により分離されて配置されることができ、又はそれらの各々はそれ自身の下流に配置されることができる。
【0099】
ベクターは更に複製の起点及び/又はマーカー遺伝子を含むことができる、これらは慣用の配列から選ぶことができる。
【0100】
ベクターは、更に異なる方法で構成されうるこれらの異なるエレメントの種々の組み合わせを含むことができる。
【0101】
したがって、本発明は、上記した核酸又はベクターを含む組換え宿主をも提供する。宿主細胞は、いかなる原核細胞及び真核細胞からも選ぶことができ、典型的には、哺乳動物細胞(特に、ヒト、げっ歯類、イヌの細胞)、バクテリア細胞(特にE.coli、バチルス.ブレビス(Bacillus Brevis)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtillis))、酵母細胞、植物細胞及び昆虫細胞から選ぶことができる。産生の目的で酵母、植物又は昆虫細胞が使用される場合には、該細胞で得られる産生物は、好ましくはグリコシル化されていない産生物を産生させるために処理工程にかける。これらの宿主細胞は血清を含まない培地に適合させることができる。産生はトランスジェニック動物において達成することもできる。
【0102】
好ましい組換え宿主細胞は、哺乳動物細胞、特に、ヒト細胞及びバクテリア細胞並びにそれらの誘導体又は突然変異体から選ばれる。適当な宿主細胞の特定の例は、タンパク質のグリコシル化されていない産生を与えるバクテリアを含む。バクテリア(例えば、Escherichia coli)においては、組換えIL−7は一般に封入体として発現される。この宿主は特に有利であり、更に特定的には、配列番号1の配列を含むベクターと共に使用することができる。
【0103】
適当な宿主細胞の多く例は、タンパク質のグリコシル化された産生を与える哺乳動物細胞を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト胚腎臓(HEK−293)細胞、ヒト表皮角化細胞(HEK)、ヒトストローマ又は上皮細胞、PERC6等を挙げることができる。このような哺乳動物細胞において、IL−7は機能的シグナルペプチド配列を使用して分泌されたタンパク質として産生されうる。これらの宿主は、更に特定的には、配列番号3、16又は18の配列を含むベクターと共に使用することができる。
【0104】
本発明の特定の目的は、配列番号1を含む核酸分子を含む原核生物宿主細胞である。
【0105】
本発明の他の特定の目的は、配列番号3, 12、16、18、20又は22を含む核酸分子を含む真核生物宿主細胞である。
【0106】
本発明の他の特定の目的は、配列番号13のアミノ酸26−152を含むIL−7ポリペプチドをコードする核酸分子を含む原核生物又は真核生物宿主細胞である。
【0107】
本発明の更なる目的は、上記したIL−7コンホーマーと免疫反応性の抗体に関する。このような抗体は、動物を免疫し、そして血清を集め(ポリクローナル)又は脾臓細胞からハイブリドーマを調製する(モノクローナル)ことを含む慣用の方法に従って産生することができる。抗体の断片(例えば、Fab′)又は誘導体(例えば、ScFv)は既知の生物学的方法及び化学的方法により生成させることができる。好ましい抗体は上記したIL−7コンホーマーと特異的に免疫反応性である、即ち、下記の3つのジスルフィド架橋:Cys2−Cys92、Cys34−Cys129及びCys47−Cys141を含まないIL−7ポリペプチドに実質的に結合することなくIL−7コンホーマーに結合することができる。このような他の抗原に対する非特異的又はあまり有効でない結合が観察されうるけれども、このような非特異的結合は本発明の特定のコンホーマーに対する特異的結合から区別することができる。
【0108】
抗体は、好ましくは、サル、マウス又はヒト起源であるか又はヒト化されている。
【0109】
本発明は上記したモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系にも関する。
【0110】
このような抗体は、多数のリンホカインが関与するアッセイ又は実験においてIL−7コンホーマーを検出するか又はIL−7生物学的活性を中和するのに有用である。このようなモノクローナル抗体を含む診断、アッセイ又は治療に適当な組成物も本発明の目的である。
【0111】
本発明は、サンプルから最適化されたIL−7核酸を生成又は増幅する方法であって、
i)IL−7遺伝子又はコード配列を含有するサンプルを提供し、
ii)該サンプルを、最適化された配列、特に位置49における機能的第2開始コドンを欠いた配列を生成するプライマーの対と接触させ、そして
iii)最適化されたIL−7核酸を生成又は増幅する、
ことを含む方法も提供する。
【0112】
サンプルはゲノムのDNA、cDNA又はRNAを含むことができる。
【0113】
遺伝子の増幅は、それ自体既知の技術、例えば、PCR、RT−PCR又は他の増幅技術により生じさせることができる。増幅は、通常、フォーワード配列がDNAの5′端部とハイブリダイゼーションしそしてリバース配列が同じDNAの3′端部とハイブリダイゼーションすることを特長とするプライマーの対の使用を必要とする。プライマーの特定のサンプルは下記のとおりである:
対1:配列番号5及び配列番号6、
対2:配列番号7及び配列番号6、及び
対3:配列番号8及び配列番号6。
【0114】
このような特定の核酸プライマーは本発明の更なる目的を表す(例えば、配列番号5〜8)。
【0115】
他のプライマー、例えば、増幅工程で使用するための最適化されたIL−7遺伝子の断片、及び特に、フォーワード配列とリバース配列を含むプライマーの対であって、該対の該プライマーが突然変異されたIL−7遺伝子の領域とハイブリダイゼーションしそして該IL−7遺伝子の少なくとも一部の増幅を可能とするプライマーの対が当業者によりデザインされうることは理解されるべきである。
【0116】
本発明の他の目的は、工業的規模で、医薬品グレードの上記した実質的に純粋なIL−7コンホーマーを製造するために使用することができる方法に関する。この方法は治療的使用に適当な組換えIL−7コンホーマーの高い収率をもたらす。本発明は、IL−7含有組成物を制御して、上記したIL−7コンホーマーの量の存在を決定する新規な方法も提供する。
【0117】
特定の観点では、上記したIL−7コンホーマー又は薬物原料を製造する方法は、
a)IL−7ポリペプチドを含むサンプルを提供し、そして
b)上記したIL−7コンホーマーを精製する、
ことを含む。
【0118】
工程a)で使用されるサンプルは、IL−7ポリペプチドを含有するいかなる生物学的サンプルであってもよい。これは、例えば、細胞上澄液、生物学的流体、細胞抽出物、組織サンプル等を含む。好ましいサンプルは、組換えIL−7ポリペプチド、更に好ましくは、組換えヒト又はサルIL−7ポリペプチド、なお更に好ましくは組換えヒトIL−7ポリペプチドを産生する組換え宿主細胞の細胞上澄液である。
【0119】
最も好ましいサンプルは、上記した最適化されたIL−7をコードする核酸分子、更に特定的には、配列番号1、3、12、16、18、20又は22を含むポリヌクレオチドを含有する組換え宿主細胞の細胞上澄液である(から得られる)。
【0120】
IL−7の純度を増加させるため、封入体からIL−7を放出するため、細胞デブリス又は他の特定の物体を除去する等のために、サンプルを種々の処理又は条件に付すことができる。このような処理の典型的な例は、遠心、ろ過及び/又は清澄化を含む。このようにしてサンプルをIL−7ポリペプチドに富ませることができる。
【0121】
この方法の収率又は効率を増加させるために、正しく折りたたまれたIL−7ポリペプチドを含有するサンプル又は正しく折りたたまれたIL−7ポリペプチドに富んだサンプルを生成させることが高度に望ましい。
【0122】
これに関して、サンプルがIL−7ポリペプチドをコードする原核生物宿主細胞の培養物である(又は由来のものである)場合には、サンプルの特定の処理が必要である。このような処理は、
i)該サンプルを処理して該IL−7ポリペプチドの完全な変性を引起し、
ii)場合により工程i)で得られた変性されたポリペプチドを精製し、そして
iii)ポリペプチドをリフォールディングする、
ことを含む。
【0123】
工程i)はIL−7ポリペプチドの変性を引起すためのサンプルの処理を含む。変性は、ポリペプチドにおけるすべての三次構造、例えばジスルフィド架橋又は他の分子内結合の破壊及び減少を表す。変性処理は、封入体を変性剤緩衝液に溶解させて、完全に変性され、可溶化されたタンパク質にすることを含む。変性は、グアニジン塩酸塩又は尿素、EDTA、βメルカプトエタノール又はジチオトレイトール(DTT)を含む緩衝液により得られうる。適当な投与量は当業者により決定することができそして必要な変性のレベルに依存する。当該技術分野で知られている他の変性条件もまた単独で又は組み合わせて適用することができる。変性の好ましいレベルは、IL−7のすべてのジスルフィド架橋の破壊に相当する。好ましい完全な変性プロトコールは8Mグアニジン塩酸塩緩衝液を使用する。タンパク質の正しい折りたたみの前にタンパク質の完全な変性を可能とするために高いアニジン塩酸塩モル濃度が好ましい。この変性の工程は、例えば、電気泳動の如き当該技術分野で知られている分析技術により制御することができる。
【0124】
精製工程ii)は、それ自体は知られているが、完全に活性なIL−7ポリペプチドコンホーマーを生成させるのにこの組み合わせではこれまで使用されたことのない異なる技術により行うことができる。これらの技術は、更に好ましくは、単独又は種々の組み合わせにおける、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー及びゲルろ過クロマトグラフィーから選ばれる。このような方法は、その後のリフォールディング工程の回収を低下させるDNA及び不純物(脂質等)を除去することを可能とする。好ましい態様では、工程ii)は疎水性相互作用クロマトグラフィー工程を含む。このようなクロマトグラフィーは、種々の支持体及びフォーマットを使用し、好ましくはHICブチルを使用し、好ましくは変性条件において行うことができる。この工程を行うために、好ましいpH範囲は6〜9、好ましくは7〜8.5の範囲に、これらの値も包含して、含まれる。工程ii)は、いかなる支持体においても、好ましくはバッチで又は適当なゲルを使用するカラムで行うことができる。
【0125】
リフォールディング工程iii)は、IL−7ポリペプチドの再生(renaturation)及び好ましくは再酸化、及び典型的には、ろ過(例えば、ゲルろ過)及び限外ろ過により行われる更なる脱塩工程を含む。好ましい態様では、リフォールディングは活性な新規なコンホーマーを望まれない形態から分離するためのイオン交換クロマトグラフィー工程を含む。最も好ましい態様では、リフォールディングは、活性な新規なコンホーマーを望まれない形態から分離するために、精製されたポリペプチドを選ばれたアフィニティークロマトグラフィー支持体と接触させる工程を含む。この非常に有利な工程は正しくリフォールディングされたIL−7の溶離のために選択的である。
【0126】
本発明の特定の態様では、リフォールディング工程iii)は、工程ii)で得られた溶液を硫酸化された多糖類のポリマーを含むカラムに通すことを含む。硫酸化された多糖
は好ましくはデキストラン硫酸又はヘパリンであり、そしてマトリックスはセファロース、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース又はタンパク質精製でよく使用される他のタイプのものである。好ましいマトリックスはヘパリンセファロースである。この方法は、更に所望のIL−7コンホーマーを溶離する追加の工程を含むことができる。
【0127】
特定の態様では、上記アフィニティーカラムは、ポリペプチドを精製するため及びリフォールディングするための両方に、即ち、工程ii)及び工程iii)を同時に行うために使用することができる。
【0128】
サンプルがIL−7ポリペプチドをコードする真核生物宿主細胞の培養物である(由来のものである)場合には、上記処理工程i)〜iii)を行う必要がないことがある。実際、このような状況においては、サンプルは、他の生成物関連物質及び不純物と複雑に混合しているけれども、正しく折りたたまれたIL−7タンパク質を含むことができる。これは、特に、組換え真核生物宿主細胞が培養培地中にIL−7ポリペプチドの発現及び分泌を引起す核酸分子を含む場合に真実である。
【0129】
この場合に、サンプルは直接精製工程b)に付すことができる。
精製工程b)は、医薬関連物質、例えば、他のコンホーマー、脱アミド化形態、タンパク質の二量体、DNA、内毒素等を含む残留不純物を除去するために、1つ又はそれより多くの精製工程、例えば、ろ過又は限外ろ過工程、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー等を含むことができる。クロマトグラフィー工程は、フロースルー方式(flow through mode)、捕集方式(capture mode)又は流線形方式(streamline mode)で達成することができる。
【0130】
好ましい態様では、精製工程b)は樹脂に固定化された硫酸化された多糖類(例えば、デキストラン硫酸又はヘパリン)を含む特定のゲルを充填したカラムによってサンプルをローディングすることを含む。
【0131】
他の特定の態様では、精製工程は、樹脂に固定化されたモノクローナル抗IL−7抗体を含む特定のゲル(例えば、デキストラン硫酸又はヘパリン)を充填したカラムによってサンプルをローディングすることを含む。
【0132】
これらの方法は、上記した実質的に純粋な完全に活性なヒトIL−7コンホーマーの再現可能な且つ効率的な生成を可能にする。この方法は、IL−7の全量に対して少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%、更に好ましくは少なくとも99%又は99.5重量%もの純度で組換えIL−7コンホーマーを得ることができるので、特に有利である。更に、上記精製方法は、ヒトIL−7以外のポリペプチド、特に、動物IL−7(例えばサルIL−7)、IL−13、IL−15等を含む1つ又はそれより多くのジスルフィド架橋を有する他のサイトカインに適用することができる。
【0133】
上記した方法の各工程は、SDS−PAGE分析を含む分析方法により制御することができる。トリプシン消化後のペプチドマッピング分析により遺伝子及び/又はアミノ酸配列を決定すること、SDS PAGE、サイズ排除HPLC、MALDI TOF及び/又は質量分析法により分子量を決定すること、例えば逆相HPLCにより疎水性を決定すること及び/又は例えばカチオン交換クロマトグラフィーHPLC又は等電点電気泳動分析により電荷を決定することにより、最適化されたIL−7の一次構造を制御しそして特徴付けることができる。
【0134】
特定の態様では、本発明は、上記したIL−7コンホーマーを製造する方法であって、少なくとも下記の工程:
a)組換え原核生物宿主細胞により産生されたIL−7ポリペプチドを含むサンプルを提供し、
a′)該サンプルを処理して該IL−7ポリペプチドの完全な変性を引起し、
a″)場合により工程a″)で得られた変性されたポリペプチドを精製し、
a″′)ポリペプチドをリフォールディングし、そして
b)ポリペプチドを精製して上記したコンホーマーを生成させる、
工程を含む方法に関する。
【0135】
他の特定の態様では、本発明は、上記したIL−7コンホーマーを製造する方法であって、少なくとも下記の工程:
a)組換え真核生物宿主細胞により産生されたサンプルであって、リフォールディングされたIL−7ポリペプチドを含むサンプルを提供し、そして
b)生成物関連物質又は不純物を除去するために1つ又はそれより多くの精製工程を実施する、
工程を含む方法に関する。
【0136】
本発明の更なる態様は、組換え宿主細胞によるIL−7発現が誘導性であるか、調節されているか又は一過性であり、それにより細胞培養時期とIL−7発現時期とを引き離すことができる、上記したIL−7製造方法に関する。更に特定的には、特定の態様では、組換え細胞の成長、増大(expansion)及び/又は培養期間中IL−7発現を抑制するか又は最小にして、いかなるIL−7媒介の潜在的毒性作用もなしに大量の組換え宿主細胞の産生を可能とすることができる。次いでIL−7発現を細胞培養物内で(又はそのサンプル上で)誘導して組換えIL−7の効率的な合成及び放出を可能とすることができる。
【0137】
かくして、本発明の目的は、組換えIL−7ポリペプチドをコードする核酸分子を含む組換え宿主細胞を培養しそして産生された組換えIL−7ポリペプチドを回収することを含む、組換えIL−7ポリペプチドを製造する方法であって、該核酸分子は該IL−7ポリペプチドの調節された発現又は誘導性発現を与え、それにより該IL−7ポリペプチドの発現を組換え細胞成長期間中は抑制するか又は最小にすることができ、そして産生相期間中は誘導することができる、方法にもある。核酸は、典型的には、培養培地中に含有されるか又は加えられた特定の作用物質の存在下又は不存在下に抑制又は活性化されうる誘導性プロモーターを含む。この方法は上記したIL−7コンホーマーを製造するのに特に適している。
【0138】
種々の調節された発現系又は誘導性発現系が当該技術分野で開示されており、これらは哺乳動物宿主細胞において機能的でありそして本発明で使用することができる。これらはテトラサイクリン TetOn/Off系、誘導性作用物質としてのミフェプリストン(Mifepristone)及びGAL4−E1bプロモーターによるジェネスイッチ(Geneswitch)系、エクジソン(Ecdyson)系(ポナステロンA又はムリステロンA、昆虫ステロイドホルモンの類似体による誘導)(Invitron)、メタロチオネインプロモーター(亜鉛により誘導できる)、エストラジオール系、RU486系、ウルトラソンズフォーカライザー(Ultra sons focalizers)、クメート系(Cumate system)(Q-mate; Qbiogen)、Cre−Lox系等を含む。これらの調節発現系又は誘導性発現系は、種々の細胞、例えば、誘導後に組換えIL−7を発現するようにデザインされた組換えベクターで形質転換された、HEK293、HEK293 EBNA、HEK、T−REX(登録商標)−293、T−REX(登録商標)−Hela、T−REX(登録商標)− CHO又はT−REX(登録商標)−Jurkat細胞系において使用することができる。
【0139】
別法として、一過性トランスフェクションを使用してIL−7産生から細胞増殖を分離することができる。この点について、効率的な遺伝子デリバリーベクターを使用して細胞の増殖時にIL−7コード配列を細胞に導入する。更に好ましくは、一過性トランスフェクションのためのベクター系は、ウイルスベクター、例えば、組換えアデノウイルス又はエピソームベクター[例えば、pCEPH(Invitrogene)、pTT(IRB;Durocher Y.et al.Nucl.Acids.Res., 2002, 30(2))又はMAR配列を使用する]である。アデノウイルス(及び他のウイルスベクター、例えば、AAVs)は当該技術分野で知られている技術に従って産生することができる。典型的には、E1欠失アデノウイルスは、E1補完細胞系(E1-complementary cell line)、例えば、HEK293、PERC6細胞等において産生される。このような一過性トランスフェクション方法は、培養されている種々の哺乳動物細胞、例えば、A549、Hela、VERO、BHK又はCHO形質転換細胞(実施例A4で開示された)において実施することができる。本発明で使用するのに適当な別の一過性発現方法は、例えば、次の文献:Durocher Y. et Nucl.Acids.Res., 20002, 30(2)にHEK293 EBNA又はHEK293細胞において開示されている。
【0140】
好ましい態様では、本発明の製造方法は、得られる生成物中に含有される上記した特定のIL−7コンホーマーを特徴付けそして測定又は定量する追加の工程c)を含む。所望のIL−7コンホーマーの物理的及び生物学的特徴付けは、質量分析法(MALDI−TOF)、赤外分光法、核磁気共鳴(NMR)、円偏光二色性を決定すること、特異的バイオアッセイにおけるIL−7コンホーマーの生物学的活性の評価、該IL−7コンホーマーに対して生じた特異的モノクローナル抗体に対するアフィニティーを測定すること、又はヘパリンアフィニティーHPLCにより得ることができる。一旦特徴付けされると、該コンホーマーの定量を、ELISA、バイオアッセイ、IL−7受容体に対する該IL−7コンホーマーのアフィニティー、及び単離されたコンホーマーに適用される場合のタンパク質定量のすべての方法により行うことができる。
【0141】
この点について、本発明は、サンプル、特に、製薬学的製剤中のIL−7コンホーマー及び/又は関連不純物の量を同定及び/又は測定する方法も提供しそしてこの方法にも関する。このような特徴付け方法は、製薬学的バッチの品質制御において治療的使用を申請するためにタンパク質を最初に特徴付け及び定性するのに使用することができる。実際、本発明は、完全に生物学的に活性なIL−7コンホーマーが存在すること及び他のコンホーマー又はIL−7ペプチド断片のような不純物の存在は極めて望ましくない副作用を発生させることがあることを今や証明する。したがって、本発明は、本発明の特定のIL−7コンホーマーの存在及び/又は相対的量を決定するための、IL−7含有製剤を特徴付けそして制御する方法を初めて提唱する。好ましい方法は、ウエスタンブロット、サイズ排除HPLC、大腸菌タンパク質(ECP)アッセイ、バクテリア内毒素アッセイ、リムルス遊走細胞溶解物試験(Limulus Ameobocyte Lysate test)(LAL試験)、DNA定量、SDS−PAGE、逆相HPLC、イオン交換HPLC、ヘパリンアフィニティーHPLC、ビシンコニン酸アッセイ(Bicinchoninic Acid Assay)(BCA)法、アミノ酸アッセイ(AAA)法、ELISA、紫外線吸収及び/又はバイオアッセイを使用する。これらの方法は単独で又は種々の組み合わせにおいて使用することができる。
【0142】
本発明は、IL−7薬物原料又は製薬学的組成物を製造する方法であって、(i)IL−7ポリペプチドをコードする組換え宿主細胞を培養し、(ii)該組換えポリペプチドを単離してIL−7薬物原料を生成させ、(iii)該IL−7薬物原料を調整して治療又はワクチンに使用するのに適当な製薬学的組成物を生成させることを含み、更に、該薬物原料又は製薬学的組成物中の上記したIL−7コンホーマーの量及び/又は品質を同定、特徴付け又は測定する工程、及び更に好ましくは、活性成分として該IL−7コンホーマーを約95重量%より多く、好ましくは98%より多く含む薬物原料又は製薬学的組成物を選択する工程を含む方法を提供する。
【0143】
特徴付け工程は、種々の技術、好ましくは、トリプシン消化を伴うか又は伴わない質量分析関連法、円二色法、NMR、ジスルフィド架橋についての特異的モノクローナル抗体分析及び/又はコンホメーション特徴付けにより行うことができる。分子変異体及び生成物関連不純物の同定は、好ましくは、脱アミド化形態のための二次元電気泳動、等電点電気泳動及びイオン交換クロマトグラフィー、二量体又は多量体形態のためのサイズ排除クロマトグラフィー及びSDS−PAGE分析及び、トランケーションされた形態及び酸化されたメチオニン形態を含む種々の形態のための予備消化を伴うか又は伴わない逆相HPLCから選ばれる1つ又はそれより多くの方法を使用することにより行われる。
【0144】
上記工程は、上記IL−7コンホーマー約95重量%より多く、好ましくは約96%、98%又は99.5%より多くを含む組成物のみが保持される、臨床的又は製薬学的組成物の品質制御に特に適している。
【0145】
本発明の他の目的は、免疫不全に関連した疾患を予防又は処置し、特に長期のリンパ球生成刺激を誘発し、免疫応答、特に抗原特異的免疫応答を引起し及び/又は増幅するための製薬学的組成物を製造するための、上記した方法で得られた単離したIL−7ポリペプチドコンホーマー又は組換えIL−7コンホーマーの使用に関する。
【0146】
本発明の更なる目的は、サルにおける実験的又は薬理学的使用のための手段としてのIL−7コンホーマーの使用に関する。
【0147】
本発明は、少なくとも、最適化されたIL−7遺伝子に特異的なプライマー及び場合により核酸増幅反応のためのプライマーの対及び/又はプローブ及び/又は試薬、及び/又は上記した抗体を含む上記の方法を実施するためのキットにも関する。あるいは、キットは、上記したIL−7ポリペプチドを生成させるための試薬、例えば、最適化された核酸、ベクター、組換え宿主細胞、及び/又はこのような製剤の精製又は品質制御のためのプロトコール又は試薬を含むことができる。
【0148】
本発明の他の観点及び利点は、下記の実施例に記載されるであろう。これらの実施例は本発明を説明するものであるとみなされるべきであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0149】
実施例
実施例A.最適化されたヒト(h)及びサル(s)IL−7コードヌクレオチド配列の構築及び発現
A1.大腸菌発現(E.coli JM101)
1.1.ヒトIL−7コードヌクレオチド配列の構築
ヒトIL−7コードcDNA配列を、制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含有する下記の特異的オリゴヌクレオチドプライマー:
−配列番号:5:IL75′
5′ATTCCATATGGATTGTGATATTGAAGGTAAAGATGGC3′
NdeI
−配列番号:6:IL73′
5′AGCCGGATCCTTATCAGTGTTCTTTAGTGCCCATCA3′
BamHI
を使用してヒト胎盤cDNA(BioChain Inc)からポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Mullis et al.; 1987; Methods in Enzymology; 155: 335-350)により増幅した。
【0150】
ヒトIL−7コードDNA配列は、「ATG」開始コドンの後の位置49に、大腸菌における第2開始コドンとして挙動することができる第2推定「ATG」を与える。何故ならば、この第2「ATG」は、「擬シャイン・ダルガノ」配列(リボソーム結合配列)により先行されるからである。r−hIL−7のアミノ末端トランケーションされた形態の生成の可能性を回避するために、この「SD様」配列のヌクレオチドのいくらかを突然変異させ(得られるコードされたr−hIL−7アミノ酸配列を修飾することなく)、それにより大腸菌細胞中での発現のための1つ又はそれより多くの好ましいコドン(1つ又は複数)を含有する改良されたメチオニル−IL−7コードDNA配列を生成させる。
【0151】
IL−7コードDNA配列におけるSD様配列の抑制を、下記のオリゴヌクレオチドプライマー:
−配列番号:7:mutlL75′
5′TAGGGAATTCCATATGGATTGTGATATTGAAGGTAAAG
Ndel
ATGGCAAACAATACGAGTCCGTTCTG3′
−配列番号:6:IL73′
5′AGCCGGATCCTTATCAGTGTTCTTTAGTGCCCATCA3′
BamHI
を使用して部位特異的突然変異誘発PCRにより行った。
【0152】
SD様配列の増幅及び抑制は、上記のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して1つの工程により実現することができる。
【0153】
PCR生成物を、臭化エチジウムの存在下にポリアクリルアミド又はアガロースゲル電気泳動及び紫外線照射により刺激されるDNAバンドの蛍光による可視化によりアッセイした。IL−7PCR断片に相当するサイズの1つの主要生成物バンドを単離しそしてTA−クローニング法を使用してプラスミドベクターpCRII−TOPO(Invitrogen)に挿入した。ライゲーション生成物をTOP10コンピテント細胞に形質転換した。ポジティブクローンを選択するために、プラスミド.ミニプレプ.アイソレーション法(Plasmid Miniprep Isolation techniques)(Biorad)によりカナマイシン耐性の培養された個々のバクテリアクローンから調製されたプラスミドDNAを制限マッピングにより分析しそして配列決定プライマーとしてpCRIITOPOユニバーサルプライマー(Invitrogen)を使用して非対称PCR生成物DNAのジデオキシ配列決定(Sanger et al.; 1977; Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA; 74: 5463-5467)により確認した。
【0154】
MeT−ヒトIL−7ポリペプチドをコードする最終発現ベクターを構築するために、ポジティブクローンからのプラスミドDNAを制限エンドヌクレアーゼBamHI及びNdeIで消化し、そして得られる断片、r−hIL−7コードDNA配列をptacベクターのBamHI制限部位とNdel制限部位との間に挿入した。
【0155】
この発現プラスミドは、pBR322由来の古典的pETベクターにおいて、T7プロモーターをtacプロモーターにより置き換えることにより構築された。この目的で、マトリックスとしてpMAL−p2X(Biolabs)及びオリゴヌクレオチド:
配列番号:9:ptac1
5′ATCGAGATCTAATTCTCATGTTTGACAGCTTATCAT3′
BgIII
配列番号:10:ptac2
5′ATCGTCTAGAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTGTTATCCG
XbaI
3′
を使用してtacプモーターを最初に増幅した。
【0156】
得られるPCR断片をアガロースゲルにローディングしてその正しいサイズをチェックした。次いで、それをBgIII及びXbaIにより消化しそして同じ酵素により加水分解されたpET9a(Novagen)に挿入した。得られるライゲーション生成物をTOP10(Invitrogen)コンピテント細胞中に形質転換させそしてそれらのカナマイシン耐性に基づいて選択した。次いで得られるptacベクターをいくつかの酵素による消化及び配列決定プライマーとしてオリゴヌクレオチドptac1及びptac2を使用する配列決定分析によりチェックした。
【0157】
r−hIL−7断片を含有するライゲーション生成物をTOP10コンピテント細胞中に形質転換した。プラスミド含有細胞の選択は、ベクターに保有された抗生物質(カナマイシン)耐性マーカー遺伝子に基づいた。ポジティブクローンからのプラスミドDNAを培養した細胞から単離し、制限マッピングにより選択しそして配列決定プライマーとしてpETユニバーサルプライマー(Novagen)及びptac特異的プライマー:
配列番号:11:ptacプロモータープライマー
5′TTCGTGTCGCTCAAGGCGCA3′
を使用する配列決定分析により正しいDNA配列が確認された。
【0158】
ptac−hIL−7(図1参照)と呼ばれる、配列番号1を含む大腸菌最終発現プラスミドを大腸菌JM101細胞(ATCC)にサブクローニングした。
1.2 サルIL−7コードヌクレオチド配列の構築
a)5′領域を含むサルIL−7cDNAの増幅及び配列決定
サル(アカゲザル(Macaca Mulatta Rheusus monkey))IL−7コードcDNA配列は、PCR増幅(Mullis et al.; 1987; Methods in Enzymology; 155: 335-350)を使用してアカゲザル腎臓cDNA(BioChain Inc)から得られた。基本的ストラテジーは、ヒトIL−7cDNAを増幅するのに使用した特定のオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号5:IL75′及び配列番号6:IL73′)によるPCRによりサルIL−7cDNAを増幅することであった。ゲル電気泳動で1つのバンドが現れた(図6参照)。非対称PCRs及び配列決定はサルIL−7配列を得ることを可能とする。ヒト及びサルIL−7DNA及びアミノ酸配列間の配列相同分析は、それぞれ、DNA(図4参照)配列で98.1%の相同性−同一性、及びアミノ酸(図5参照)配列で96.6%の相同性−同一性を示した。
【0159】
b)サルIL−7コードヌクレオチド配列の構築
ヒトIL−7配列と同様に、サルIL−7コードDNA配列は、「ATG」開始コドンの後の位置49に、大腸菌における第2開始コドンとして挙動することができる第2推定「ATG」を与える。何故ならば、この第2「ATG」は、「擬シャイン・ダルガノ」配列(リボソーム結合配列)により先行されるからである。r−sIL−7のアミノ末端トランケーションされた形態(amino-terminal truncated form)の生成の可能性を回避するために、「SD様」配列のヌクレオチドのいくらかを然変異させ(得られるコードされたr−sIL−7アミノ酸配列を修飾することなく)、それにより大腸菌細胞中での発現のための1つ又はそれより多くの好ましいコドン(1つ又は複数)が含有する改良されたメチオニル−IL−7コードDNA配列を生成させた。
【0160】
SD様配列を欠いたサルIL−7コードDNA配列の増幅を、オリゴヌクレオチドプライマー:配列番号7:mutlL75′及び配列番号6:IL73′を使用して部位特異的突然変異誘発PCRにより行った。
【0161】
PCR生成物を、臭化エチジウムの存在下にポリアクリルアミド又はアガロースゲル電気泳動及び紫外線照射により刺激されるDNAバンドの蛍光による可視化によりアッセイした。IL−7PCR断片に相当するサイズの1つの主要生成物バンド(図7参照)を単離しそしてTA−クローニング法を使用してプラスミドベクターpCRII−TOPO(Invitrogen)に挿入した。ライゲーション生成物をTOP10コンピテント細胞に形質転換した。ポジティブクローンを選択するために、プラスミド.ミニプレプ.アイソレーション法によりカナマイシン耐性の培養された個々のバクテリアクローンから調製されたプラスミドDNAを、制限マッピングにより分析しそして配列決定プライマーとしてpCRIITOPOユニバーサルプライマー(Invitron)を使用して非対称PCR生成物DNAのジデオキシ配列決定(Sanger et al.; 1977; Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA; 74: 5463-5467)により確認し、約700塩基含有sIL−7配列を得た。
【0162】
ポジティブクローンからのプラスミドDNAを制限エンドヌクレアーゼBamHI及びNdelで消化し、そして得られる断片、r−sIL−7コードDNA配列を、やはりBamHI制限部位とNdel制限部位で消化された実施例1.1に記載されたptacベクターに挿入した。ライゲーション生成物をTOP10コンピテント細胞中に形質転換した。プラスミド含有細胞の選択は、ベクターに保有された抗生物質(カナマイシン)耐性マーカー遺伝子に基づいていた。ポジティブクローンからのプラスミドDNAを培養した細胞から単離し、制限マッピングにより選択し、そして一方ではT7ターミネーターユニバーサルプライマーをそして他方では配列決定プライマーとしてptacプロモータープライマーを使用する配列決定分析により確認した。
【0163】
ptca−sIL7opt(図2参照)と呼ばれる、配列番号12を含む大腸菌最終発現プラスミドを大腸菌JM101細胞中にサブクローニングした。
【0164】
A2.哺乳動物発現(BHK細胞発現又はCHO細胞発現又はHEK−293細胞発現)
対象:天然IL−7ペプチドシグナルに5′端部で連結されたIL−7cDNA断片のcDNAの一部を増幅する試みにおけるプライマーとしてオリゴヌクレオチドを使用して、ヒトIL−7コードcDNA配列を、ヒト胎盤cDNA(BioChain Inc)からポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Mullis et al.; 1987; Methods in Enzymology; 155: 335-350)により増幅した。
【0165】
制限エンドヌクレアーゼ認識配列及びコザック配列を含有する下記のオリゴヌクレオチドを使用した:
−配列番号8:PSIL75′
5′GCAAGCTTGCCACCATGTTCCATGTTTCTTTTAGGTAT
HindIII Kozak配列
ATCTTTGGAC3′
−配列番号6:IL−73′
5′AGCCGGATCCTTATCAGTGTTCTTTAGTGCCCATCA3′
BamHI
【0166】
PCR生成物を、臭化エチジウムの存在下のポリアクリルアミド又はアガロースゲル電気泳動及び紫外線照射により刺激されるDNAバンドの蛍光による可視化(図8参照)によりアッセイした。「hPSIL−7cDNA」と命名されたIL−7PCR断片に相当するサイズの生成物バンドを単離しそしてTA−クローニング法を使用してプラスミドベクターpCRII−TOPO(Invitrogen)に挿入した。ライゲーション生成物をTOP10コンピテント細胞中に形質転換した。ポジティブクローンを選択するために、プラスミド.ミニプレプ.アイソレーション法(Biorad)によりアンピシリン耐性の培養された個々のバクテリアクローンから調製されたプラスミドDNAを、制限マッピングにより分析しそして配列決定プライマーとしてpCRIITOPOユニバーサルプライマーを使用して非対称PCR生成物DNAのジデオキシ配列決定(Sanger et al.; 1977; Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA; 74: 5463-5467)により確認した。
【0167】
ポジティブクローンからのプラスミドDNAを制限エンドヌクレアーゼHindIII及びBamHIで消化し、そして得られる断片、「hPSIL−7 cDNA」断片を、BamHI及びHindIII制限部位で消化されたpcDNA3.1(+)ベクターポリリンカー(Invitron)に挿入した。このベクターはクローンの選択及び増幅のための遺伝子を含む。ライゲーション生成物をTOP10コンピテント細胞中に形質転換した。プラスミド含有細胞の選択は、ベクターに保有された抗生物質(アンピシリン)耐性マーカー遺伝子に基づいていた。ポジティブクローンからのプラスミドDNAを培養された細胞から単離し、制限マッピングにより選択し、そして配列決定プライマーとしてpcDNA3.1(+)ユニバーサルプライマー(Invitrogen)を使用する配列決定分析により確認した。発現系は、天然のヒトIL−7遺伝子配列の翻訳から予想されるIL−7タンパク質を発現するようにデザインされた。組換えベクター含有細胞の選択はベクターに保有された抗生物質(大腸菌中のクローニングにはアンピシリン、そして哺乳動物細胞中の発現にはネオマイシン)耐性マーカー遺伝子に基づいてなされた。
【0168】
配列番号3を含む哺乳動物(HEK−293、CHO又はBHK)発現ベクターはpcDNA−hPSIL−7と呼ばれる(図3参照)。HEK−293又はCHOトランスフェクションされた細胞中でのヒトIL−7の発現は、発現ベクターpcDNA−hPSIL−7を使用して達成された。BglIIによる線状化の後、発現ベクター、pcDNA−hPSIL−7を、当業者に知られている方法を使用して哺乳動物宿主細胞中にトランスフェクションした。安定な形質転換細胞を確立するために使用された選択性マーカーはG418(Invitrogen)であった。
【0169】
A3.誘導性哺乳動物発現(HEK293、HEK、T−REX(登録商標)−293、T−REX(登録商標)−HeLa、T−REX(登録商標)−CHO、T−REX(登録商標)−Jurkat細胞系):
ヒトIL−7コードcDNA配列を制限エンドヌクレアーゼHindIII及びBamHIによる消化によりpcDNA−hPSIL−7から単離した。得られる「hPSIL−7 cDNA」断片をアガロースゲルで精製し、そして同じ酵素で加水分解されたpcDNA4/TO(Invitrogen)に挿入した。ライゲーション生成物をTOP10F′コンピテント細胞(Invitrogen)中に形質転換した。プラスミド含有細胞の選択は、ベクターに保有された抗生物質(アンピシリン)耐性マーカー遺伝子に基づいていた。ポジティブクローンからのプラスミドDNAを培養された細胞から単離し、制限マッピングによりチェックし、そしてユニバーサルCMVフォーワードプライマー及びBGHリバースプライマーを使用する配列決定分析により確認した。
【0170】
発現系は、テトラサイクリン又は類似物による誘導の後、天然のヒトIL−7遺伝子配列の翻訳から予想されるIL−7タンパク質を発現するようにデザインされた。
【0171】
組換えベクター含有細胞の選択はベクターに保有された抗生物質(大腸菌中のクローニングにはアンピシリン、そして哺乳動物細胞中の発現にはゼオシン)耐性マーカー遺伝子に基づいてなされた。
【0172】
誘導性哺乳動物発現ベクターはphT−PSIL7hと呼ばれる(図14参照)。HEK293、HEK、T−REX(登録商標)−293、T−REX(登録商標)−HeLa、T−REX(登録商標)−CHO又はT−REX(登録商標)−Jurkatトランスフェクションされた細胞中でのヒトIL−7の発現は、発現ベクターphT−PSIL7hを使用して達成された。PvuIによる線状化の後、発現ベクターphT−PSIL7hを、当業者に知られている方法を使用して哺乳動物宿主細胞中にトランスフェクションした。安定な形質転換細胞を確立するために使用された選択性マーカーはゼオシン(Invitrogen)であった。
【0173】
第一選択の後、細胞におけるPSIL7配列コピー数を高めるために、安定なクローンは同じプラスミド又は同じ種類のプラスミド(選択マーカーにより異なる):pcDNA5/TOに挿入されたPSIL7(Invitrogen)、により再トランスフェクションされた。
【0174】
A4.A549、HeLa、VERO、BHK又はCHO細胞におけるアデノウイルスを介する一過性哺乳動物発現
EcoRVとMluI制限部位間の問題のcDNA(その天然のペプチドシグナルに連結されたIL−7cDNA)を増幅する試みにおいてプライマーとしてオリゴヌクレオチドを使用して、ヒトIL−7コードcDNA配列を、pcDNA−hPSIL−7からポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Mullis et al.; 1987; Methods in Enzymology; 155: 335-350)により増幅した。
【0175】
下記のオリゴヌクレオチドを使用した:
【表1】


−配列番号14:PSIL7EcoRV5′
5′AGATATCAATGTTCCATGTTTCTTTTAGGTA3′
EcoRV
−配列番号15:PSIL7MluI3′
【表2】

【0176】
生成物を臭化エチジウムの存在下のアガロースゲル電気泳動及び紫外線照射により刺激されるDNAバンドの蛍光による可視化によりアッセイした。hPSIL−7cDNAの予測されたサイズに相当する得られる生成物バンドを単離しそしてTA−クローニング法を使用してプラスミドベクターpCRII−TOPO(Invitrogen)に挿入した。ライゲーション生成物をTOP10F′コンピテント細胞中に形質転換した。ポジティブクローンを選択するために、培養された個々のバクテリアクローンから調製されたプラスミドDNAミニプレパレーション(Biorad)を制限マッピングにより分析しそしてpCRII−TOPOユニバーサルプライマーを使用するジデオキシ配列決定(Sanger et al.; 1977; Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA; 74: 5463-5467)により確認した。
【0177】
ポジティブクローンからのプラスミドDNAを制限エンドヌクレアーゼEcoRV及びMluIで消化した。得られる「hPSIL−7 cDNA」断片をpAdenoVator−CMV5(CuO)(Q biogene)に挿入しそして同じ酵素で加水分解した。ライゲーション生成物をTOP10F′コンピテント細胞(Invitrogen)中に形質転換した。プラスミド含有細胞の選択は、ベクターに保有された抗生物質(カナマイシン)耐性マーカー遺伝子に基づいていた。ポジティブクローンからのプラスミドDNAを培養された細胞から単離し、制限マッピングにより選択し、そして下記のプライマーを使用する配列決定分析により確認した。
−配列番号16:pCMV5
5′CACTTGAGTGACAATGAC3′
−配列番号17:pSV40polyA
5′TCACTGCATTCTAGTTGT3′
【0178】
組み換えアデノウイルスベクターの構築のために、得られたpAVc−PSIL7h(図15参照)をPmeIにより線状化し、アガロースゲルで精製しそしてBJ5183コンピテント細胞(Q Biogene)中にpAdenoVatorΔE1/E3と共に共形質転換した。組み換えプラスミド含有細胞の選択は、ベクターに保有された抗生物質(カナマイシン)耐性マーカー遺伝子に基づいていた。ポジティブクローンからのプラスミドDNAを培養された細胞から単離し、制限マッピングによりチェックした。次いで組換えアデノウイルスベクターを、LB/カナマイシンプレート上にプレートされたDH5αコンピテント細胞の形質転換及び細胞培養物からのDNAのミディプレパレーション(Macherey Nagel)により増幅する。
【0179】
無菌のPacI線状化組換えアデノウイルスDNA(AdVc−PSIL7h DNA)を使用して、QBI−293A細胞、組換えアデノウイルスを補充しそして組換えウイルス粒子を産生するのに有効な細胞、をトランスフェクションする。
【0180】
A5.IL−7及びBcIXLの哺乳動物共発現(BHK細胞発現又はCHO細胞発現又はHEK−293細胞発現)
ヒトIL−7コードcDNA配列を制限エンドヌクレアーゼHindIII及びBamHIによる消化によりpcDNA−hPSIL−7から単離した。得られる「hPSIL−7 cDNA」断片をアガロースゲルで精製し、そしてHindIII及びBamHI 制限部位で消化されたpBudCE4.1ベクター(Invitrogen)に、pCMVプロモーターの下流で挿入した。
【0181】
ヒトBclXLコードcDNA配列を、プライマーとして下記のオリゴヌクレオチドを使用して、ヒトRajiリンパ腫細胞cDNA(Clontech)からのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Mullis et al.; 1987; Methods in Enzymology; 155: 335-350)により増幅した。
−配列番号14:BclXL5′NotI
5′TAGCGGCCGCATGTCTCAGAGCAACCGG3′
NotI
−配列番号15:BclXL3′BstBI
5′ACTTCGAATCATTTCCGACTGAAGAGTG3′
BstBI
【0182】
PCR生成物を、臭化エチジウムの存在下にポリアクリルアミド又はアガロースゲル電気泳動及び紫外線照射により刺激されるDNAバンドの蛍光による可視化によりアッセイした。BclXL PCR断片に相当するサイズの生成物バンドを単離しそしてTA−クローニング法を使用してプラスミドベクターpCRII−TOPO(Invitrogen)に挿入した。ライゲーション生成物をTOP10コンピテント細胞中に形質転換した。ポジティブクローンを選択するために、プラスミド.ミニプレプ.アイソレーション法(Biorad)により培養された個々のアンピシリン耐性バクテリアクローンから調製されたプラスミドDNAを制限マッピングにより分析しそして配列決定プライマーとしてpCRIITOPOユニバーサルプライマーを使用して非対称PCR生成物DNAのジデオキシ配列決定(Sanger et al.; 1977; Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA; 74: 5463-5467)により確認した。
【0183】
ポジティブクローンからのプラスミドDNAを制限エンドヌクレアーゼNotI及びBstBIにより消化しそして得られる断片を、NotI及びBstBI制限部位で消化されたpBudCE4.1−hPSIL−7ベクターに、pEF1αプロモーターの下流で 挿入した。
【0184】
配列番号3、16又は18を含む得られる哺乳動物(HEK−293、CHO又はBHK)発現ベクターはpBud−hPSIL−7−BclXLと呼ばれる(図17参照)。
【0185】
実施例B.組換えIL−7を産生する大腸菌の醗酵
組換え(ヒト又はサル)IL−7の産生のための醗酵を、実施例A1に記載の発現プラスミドptac−hIL−7又はptac−slL7optで形質転換された大腸菌JM101宿主株を使用して80リットルの醗酵槽(New Brunswick)で行った。
【0186】
接種培養物1Lをバッチ培地NRJ18(pH7)50Lを含有する醗酵槽に無菌で移した。培養物をバッチ方式で増殖させた(温度37℃、攪拌:100〜500rpm D.O:30%)。醗酵の産生相は、D.Oが0%に達した後培養物のOD−600が約40になるまでIPTG(200mg/L)により誘導された。醗酵槽内容物を集めそして少なくとも30分間冷却して20℃以下の温度に到達させた。70μmフィルター(PALL RIF−700)を使用して培養培地をろ過して沈殿を除去し、そして4℃で30分間5000gでの遠心(Beckman J6)により細胞を収穫した。
【0187】
誘導性クローンでは、10日間の培養の期間中、細胞は毎日灌流反応器から取り去られそしてバッチ反応器においてテトラサイクリンにより誘導される。
【0188】
実施例C.組換えhIL−7を産生するHEK−293細胞の醗酵
最善の安定なポジティブクローンを、実施例A2における如く、いくつかの培地スクリーニングにより血清なしの懸濁培養に適合させて、高い細胞密度培養における生産性及び増殖のために最適化されたクローンを産生させた。灌流システムを備えた3リットルのバイオリアクター中で細胞培養を行った。細胞を10百万/mlの濃度に増殖させた。反応器を約3L/日の連続灌流速度で10日間操作した。組換えタンパク質を含有するおおよそ30Lの血清なしの培養培地を発生させそしてr−hIL−7の精製のための出発物質として使用した。
【0189】
実施例D.大腸菌中で発現された組換えIL−7生成物の精製
収穫された細胞を、実施例Bにおける如く、トリス20mM/EDTA10mM緩衝液(pH8)中に懸濁させそして4℃で45分間16900gで遠心した。2回引き続く洗浄/遠心サイクルの後、封入体画分を回収した。
【0190】
この封入体画分を希釈して5〜6mg/mlのタンパク質濃度を得そして可溶化緩衝液(8Mグアニジン塩酸塩−1mMEDTA−1%b−メルカプトエタノール−0.5%DMDAP−10mMリン酸ナトリウム−pH8)中に可溶化して、タンパク質の完全な還元、変性及び可溶化を与えた。溶液をリン酸ナトリウム緩衝液6.25mM中に1.6倍希釈しそして1.5M硫酸アンモニウム、pH7に調節した。グアニジン塩酸塩の最終濃度は5Mに達した。
【0191】
可溶化された封入体を予備ろ過し、次いでローディング緩衝液(6.25mMリン酸ナトリウム−5Mグアニジン塩酸塩−1.7M硫酸アンモニウム−pH7)と平衡化させたHIC Butyl650M(Toso haas)カラムにローディングした。サンプルを適用しそして同じ緩衝液でカラムを洗浄した後、溶離緩衝液(6.25mMリン酸ナトリウム−5Mグアニジン塩酸塩、pH7)100%で一工程で溶離を行った。すべての画分を集め、プールし、そして6.25mMリン酸ナトリウムpH7、5Mグアニジン塩酸塩緩衝液中に希釈することによりO.D.280=0.5に調節した。この工程期間中、種々の汚染物、中でもその後のリフォールディング工程の回復(recovery)を低下させるDNAを除去した。リフォールディング緩衝液中への希釈によりIL−7を再生させ:HICからのプールされた画分を、83.3mMトリス緩衝液、0.16%ツイーン80、0.5ML−アルギニン、0.166mM酸化グルタチオン及び1.6mM還元グルタチオンpH8.5中に2.5倍希釈した。受容緩衝液を攪拌しながら、2時間の期間にわたり、線形方式で希釈プロセスを行った。再生工程は固体支持体上で固定して行うことができた。
【0192】
再生されたIL−7を、膜ろ過又は溶離緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、0.2ML−アルギニン、pH7)と平衡化されたG25セファデックス(Pharmacia)カラムに2回でローディングしそして溶離してその後のアフィニティー支持体に対するr−IL−7の適切なローディングを可能とした。
【0193】
G25工程から得られたタンパク質ピークを、ローディング緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、50mM塩化ナトリウム、pH7)と平衡化されたヘパリン.セファロース.ファスト.フロー(Heparin Sepharose Fast Flow)(Pharmacia)カラムにローディングした。サンプルを適用しそしてローディング緩衝液によるカラムの洗浄の後、二工程で溶離を行った。最初に、25%の溶離緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、1M塩化ナトリウム、pH7)/ローディング緩衝液の一定の比を20カラム容積に対して適用した。次いで、リフォールディングされたIL−7を60%の溶離緩衝液/ローディング緩衝液で一工程で溶離した。この工程の強い選択性は正しくリフォールディングされたr−IL−7コンホーマーの溶離をもたらした。
【0194】
内毒素を含む残留不純物の大部分を除去するために、画分をpH5に調節し、そしてカルボキシメチル.セラミック(Carboxymethyl Ceramic)(BioSepra)カラムに付した。CMCカラムをローディング緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、pH5)と平衡化させた。サンプルを適用しそして洗浄緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム0.2M、pH6)によるカラムの洗浄の後、緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、0.8M塩化ナトリウム、pH6)で一工程で溶離を行った。仕上げ工程は、脱塩のためのG25セファデックス精製工程、続いてQセファロース.ファスト.フロー(Q Sepharose Fast Flow)(QFF Pharmacia)も含むことができ、これは種々の残留汚染物を保持した。SDS−PAGE分析:クーマシーブルーで着色し及び銀で染色する、を示す図9に示されたとおりフロースルー(flow through)において不純物なしにR−IL−7薬物原料を回収した。
【0195】
実施例E.HEK−293細胞で発現された組み換えヒトIL−7生成物の精製
実施例Cで報告された発現系HEK−293−pcDNA−hPSIL−7の増殖により発生した粗細胞培養流体を、従来の方法又はストリームラインイオン交換法を使用して処理した。
【0196】
ストリームライン法では、粗細胞培養流体を、醗酵槽からストリームラインイオン交換又はヘパリン、又はスルホプロピル(SP)又は
ジエチルアミノエチル(DEAE)の拡大した床に移し、次いでIEX及びHICの組み合わせに移す。仕上げ工程はろ過及び濃縮を含むことができる。従来の方法では、ろ過と濃縮[マイクロフィルトレーション(0.45μm)限外ろ過/ダイアフィルトレーション]工程の組み合わせを使用して粗細胞培養流体を清澄化して生成物を単離した。得られるタンパク質溶液を、種々の組み合わせにおけるイオン交換組み合わせ及びヘパリン.セファロース[ファスト.フロー(Pharmacia)カラム]にローディングして生成物を精製した。
【0197】
仕上げ工程は、残留不純物除去するための疎水性相互作用交換(Hydrophobic Interaction Exchange(HIC)及びろ過/限外ろ過(UF)又はカルボキシメチル.セラミック(BioSepra)精製工程、次いで脱塩するためのG25セファデックス精製工程、次いで種々の残留汚染物を保持したQ セファロース.ファスト.フロー(QFF Pharmacia)を含むこともできる。R−IL−7薬物原料は最後の精製工程のフロースルーにおいて不純物なしに回収された。
【0198】
実施例F.生成物制御及び仕様
F1.薬物原料制御及び仕様
【表3】

【0199】
F2.実施例ロットXr−.hIL−7バッチ結果
【表4】

【0200】
このコンホーマーの特徴付け及び構造の証明は、アミノ酸分析、トリプシン消化後のペプチドマッピング、アミノ末端部の配列、分子量の質量分析法(MALDI TOF)コントロール、ジスルフィド架橋の質量分析法コントロール及びタンパク質プロフィル:SDS−PAGE銀染色、逆相HPLC、カチオン交換HPLC、サイズ排除HPLCによる、を含んでいた。
【0201】
F3.ペプチドマッピング
ペプチド配列はr−hIL−7トリプシン消化の予想される配列と合致した。
【表5】

【0202】
F4.質量分析法MALDI−TOF:タンパク質分子量
1つの電荷を有するタンパク質の平均質量(M+H)。測定は17518.4Daの理論値に対して17517.6Daの分子量を与えた。
【0203】
F.質量分析法MALDI−TOF:スルフヒドリル基
1回帯電されたモノアイソトピックペプチドの質量(M+H)
【表6】

【0204】
実施例G.組換えIL−7のin vitro生物学的活性アッセイ
大腸菌中で発現され(実施例A1)、実施例Dにおける如く精製されそして特徴付けされた哺乳動物(ヒト及びサル)IL−7をアッセイしそしてCBA/C57BLマウスからの骨髄細胞由来の細胞系、プレB細胞系PB1(DSMZ, Deutsche Sammulung von Mikroorganismen und Zellkulturen, Brawnschweig, Germany)と名づけられたIL−7依存性細胞系の増殖を刺激するそれらの能力についてマウスIL−7(R&D System)と比較した。
【0205】
部分変性工程を使用する精製プロセスから発生された、又は脱アミド化された形態もしくは二量体形態約20%を発生させるために化学的に処理された精製されたr−IL−7により発生された、不純物を含んだヒト及びサルr−IL−7をアッセイした。
【0206】
PB−1細胞系は連続した成長及び生存性について外因性IL−7IPに完全に依存している。これらの培養された細胞系へのr−IL−7の添加は、用量依存性増殖を刺激して、存在するr−IL−7のレベルの定量的決定を可能とする。増殖の量はトリチウム化されたチミジン3H−TdRで37℃で4時間各マイクロウエルを「パルシングする」ことにより測定した。プレB細胞を分裂させると、3H−TdrをそれらのDNAに取り込むであろう。次いで各ウエルからの細胞は、DNAをトラップするガラス繊維フィルターディスク上に収穫される。特異的に結合した放射能の量を液体シンチレーションカウンターで測定する。各ウエルについてカウント/分(cpm)の数は、IL−7に応答して活性化されたプレB細胞による増殖の量に直接比例している。
【0207】
すべてのIL−7タンパク質は、図10に示されたとおりネズミプレB細胞に対して活性であった。
【0208】
実施例H.血清中の組換えIL−7に対する抗体の検出のためのアッセイ
ヒト組換えIL−7は、サルのモデルに対して異種でありそして組換えヒトIL−7コンホーマー(上記した如き)に対する中和抗体を誘発することができる。これらの抗体は、in vivoで抑制剤として機能することができそして薬物原料の免疫抑制治療効果に寄与することができる。これに基づいて、純粋な(本発明に記載の)r−hIL−7又はr−sIL−7又は次の実施例に記載された「不純物を含んだ」("impure")r−sIL−7で処理された動物の血清及び血漿において抗IL−7抗体を調べた。
【0209】
体液中の抗体の検出に使用された方法は、サイトカインバイオアッセイ、イムノメトリックアッセイ(immunometric assay)、ラジオリガンドアッセイ及び種々のブロッティング技術を含むことができる。
【0210】
抗r−IL−7抗体の血漿定量は、ELISA技術を使用して達成されそして抗r−IL−7抗体の血清学的検出はウエスタンブロット法を用いて達成された。これらの技術は当業者には知られている。
【0211】
H1.ELISA法
ELISAストリッププレートを0.75μg/mlのツイーンを含有するブロッキング緩衝液中に希釈されたr−IL−7(ヒト又はサル)でコーティングした。4℃で一夜インキュベーションした後、プレートの飽和を室温で1時間ブロッキング緩衝液で行った。すべての溶液を除去しそしてプレートを洗浄緩衝液で洗浄した後、プレートをアッセイに使用する用意をした。
【0212】
予備免疫及び免疫血漿の逐次希釈を行いそしてウエルに分配した。プレートを37℃で1時間インキュベーションした。ポジティブコントロール(ビオチニル化されたIL−7抗体)及びネガティブコントロール(プラシボサルの血清)も特定のウエルにおいて試験した。次いでプレートを洗浄緩衝液により洗浄し、そして血清及びネガティブコントロールについてはブロッキング緩衝液/ツイーン中に希釈されたIgGサル−HRPで30分間室温でインキュベーションした。ポジティブコントロールウエルをブロッキング緩衝液/ツイーン中のストレプトアビジンHRPとインキュベーションした。溶液を除去した後、プレートを洗浄緩衝液で洗浄しそしてOPD基質溶液と15分まで室温でインキュベーションし、続いて各ウエルに硫酸を加えて反応を停止させた。
次いで、吸光度を492nmで読み取った。
【0213】
H2.ウエスタンブロット法
組換え(ヒト又はサル)IL−7をニトロセルロース又はPVDF膜に移した。次いで膜を処理された動物の血清(1/100又は1/200の希釈率)インキュベーションし、又はポジティブコントロールについては抗IL−7抗体(抗ヒトIL−7抗体:AB207 NA、R&R System)とインキュベーションした。溶液を除去した後、膜を洗浄しそして二次抗体:抗サルIgGアルカリホスファターゼコンジュゲート(SIGMA A1929)と、又はポジティブコントロールについては抗ヤギIgGアルカリホスファターゼコンジュゲート(SIGMA A4187)とインキュベーションした。次いで、BCIP/NBT(SIGMA)を使用して顕色(revelation)を行った。
【0214】
実施例L.正常な非ヒト霊長類におけるCD4T細胞数値に対するr−IL−7のin vivo効果
大腸菌中で発現され(実施例A1)、実施例Dにおける如く精製されそして特徴付けされた組換えIL−7(ヒト及びサル)及び「不純物を含んだ」r−sIL−7(実施例Gで定義された)を正常な霊長類におけるin vivo生物学的活性について試験した。この霊長類モデルは、薬物原料のa)長期活性及び分子変異体及び/又は医薬生成物関連不純物で汚染された同じ薬物原料の免疫原性を試験するための唯一の可能なモデルであった。げっ歯類で同じ効果を試験しても結論は出ないであろう。何故ならば、第一に、げっ歯類配列は霊長類配列に比べて重要な欠失を示し、第二に、げっ歯類においては、IL−7はB細胞に対して強いリンパ球生成効果を有し、これはT細胞リンパ球生成効果をマスクしやすい又はこの効果の明らかに特徴的な分析を妨害しやすいからである。この理由で、ヒトにおける免疫原性製剤の非倫理的な試験を回避しながら、霊長類における効果を証明するために、我々はサルIL−7をクローニングし、発現しそして精製しそしてそれをサルにおいて試験しなければならなかった。
【0215】
若いアカゲザル(Young Macaca rhesus monkeys)を4つのグループ(1〜4)において調べた。各グループは3匹の動物を含んでいた。
● グループ1のサルはプラシボ(IL−7希釈剤)を受け取った。
● グループ2のサルは、皮下注射により一日1回投与される150μg/kgの用量で4週間r−hIL−7(本発明に記載の)を受け取った。
● グループ3のサルは、皮下注射により一日1回投与される150μg/kgの用量で4週間r−sIL−7(本発明に記載の)を受け取った。
● グループ4のサルは、150μg/kgの用量レベルで「不純物を含んだ」s−rIL−7の1日1回の皮下投与を4週間受け取った。
すべての動物を6週間:4週間の処理期間及び2週間の可逆性期間にわたり調べた。
【0216】
IL−7処理の前及び後(0日目(処理前)、7、14、21、28、35及び42日目に)ケタミン抑制下に動物から末梢血標本を集めた。CD4細胞性(cellularity)をFACScan細胞分析システム(Becton Dickinson)で検査した。血清サンプルをウエスタンブロット分析により抗体の存在について検査しそして実施例Hに記載のごとくELISA分析により確認した。血液CD4T細胞数値を図11に示す:各グループについて血液CD4T細胞数値の中央値として表される。
【0217】
すべての動物はこのプロトコールを生き残りそしてIL−7治療に対する不利な反応なしにIL−7投与を許容した。
【0218】
投与された種々のIL−7は正常なサルの血液CD4T細胞数値に対する適度の効果を有していた:末梢血CD4T細胞数値は14日から35日まで1.4〜2.1倍増加しそして、プラシボグループに比較してグループ3(r−sIL−7で処理された)において42日目に処理前の値より高く維持されており、そしてCD4細胞性は、グループ2(r−hIL−7で処理された)及び4(「不純物を含んだ」 r−sIL−7製剤で処理された)では2週間から6週間までに増加し始め、次いで減少した。
【0219】
それぞれ「r−hIL−7及び不純物を含んだ」r−sIL−7を皮下注射により受け取った後第2週の期間中これらの2つのグループのサル(2及び4)の血清において抗IL−7抗体が検出された(図12参照)。これらの正常なサルにおいて、異種又は不純物を含んだIL−7薬物原料の反復した注射は、抗IL−7抗体の出現をトリガーしそして同時にこれはIL−7リンパ球生成効果の強い減少を生じさせた。
【0220】
実施例J.照射されたサルにおけるr−sIL−7のin vivo活性
大腸菌中で発現され(実施例A1)、実施例Dにおける如く精製されそして特徴付けされた組換えサルIL−7及び「不純物を含んだ」r−sIL−7(実施例Gで定義された)を免疫抑制された霊長類における中又は長期間in vivo生物学的活性について試験した。若いアカゲザルを3つのグループ(1〜3)において調べた。各グループは3匹の動物を含んでいた。
【0221】
すべてのサルは全身照射を受けた(TB1)(6.1Gy)。
サルは下記の治療方式を受けた:
●グループ1はプラシボ(IL−7希釈剤)を受け取った。
●グループ2は、皮下注射により一日1回投与される70μg/kgの用量で、r−sIL−7(本発明に記載の)を、照射後14日目に開始して4週間受け取った。
● グループ3は、70μg/kgの用量レベルで「不純物を含んだ」r−sIL−7の1日1回の皮下投与を、照射後14日目に開始して4週間受け取った。
【0222】
すべての動物を10週間:即ち、照射後の血液学的回復期間の2週間、IL−7処理期間の4週間及び追跡期間の4週間にわたり調べた。
【0223】
処理前の0、7及び14日、処理されている21、28、35及び42日、照射後の49, 56, 63及び70日にケタミン拘束下の動物からCD4T細胞数値のために末梢血標本を集めた。
【0224】
CD4細胞性をFACScan細胞分析システム(Becton Dickinson)で検査しそして血清サンプルを実施例Hに述べたELISA及びウエスタンブロット法を使用して抗体の存在について検査した。
【0225】
すべての動物はこのプロトコールを生き残りそしてIL−7治療に対する不利な反応を生じなかった。
【0226】
図13に示されたとおり、IL−7投与は、未処理コントロールグループに比べてグループ2及び3の免疫が弱められたサルの末梢血中のCD4T細胞を有意に(4.2倍)増加させた。「不純物を含んだ」r−sIL−7の皮下投与で処理されたグループ3は、IL−7処理の3〜4週間後に始まるIL−7のin vivo生物学的効果の減少を示す。
【0227】
IL−7処理の開始の後毎週これらの動物の血清中の抗IL−7抗体を測定した。r−sIL−7(本発明に記載の)で処理されたグループ2において10週間(処理後8週間)まで抗IL−7抗体は検出されなかった。これに反して、不純物を含んだ製剤で処理されたグループ3は、6週間(IL−7処理開始後の4週間)たつやいなや検出可能な抗体を示した。10週間では、抗体は明らかに存在しそして外因性IL−7はリンパ球生成効果を持たなかった。
【0228】
実施例K.正常なシノモルグスサルにおける薬力学的パラメーター及び総リンパ球数値に対する組換えヒトIL−7のin vivo活性
大腸菌中で発現され(実施例A1)、実施例Dにおける如く精製されそして特徴付けされた組換えヒトIL−7(r−hIL−7)を、薬力学的パラメーター及び正常なシノモルグスサルにおける総リンパ球数値に対するin vivo生物学的活性について試験した。
【0229】
4匹の正常な雌のシノモルグスサルは100μg/kgの用量レベルで可溶性r−hIL−7の皮下ボーラス一回の注射(subcutaneous bolus single injection)を受け取った。
【0230】
すべての動物を96時間にわたり調べた。
【0231】
実験室調査(血液学及び免疫細胞表現型)を、r−hIL−7一回の注射の前及び注射後6、24、48、72及び96時間に行った。
【0232】
リンパ球サブセットの細胞性及び免疫表現型を、種々の組み合わせにおけるCD3、CD4、CD8、CD20、CD127、Ki67及びBcl2を含む高度に特異的な細胞表面抗体マーカーを使用するフローサイトメトリーにより検査した。
【0233】
リンパ球数値及び特異的マーカーの観察された変動を次の表及び図として示されたヒストグラムにおいて報告する。
【表7】

【0234】
r−hIL−7の一回の注射の後:
−末梢血中のリンパ球数値、CD3+T細胞、CD4+及びCD8+サブセットの明らかな減少が6時間という早期にそして72時間まで観察された。細胞数値は注射の約96時間後ベースラインの値に戻った。末梢リンパ球数値のこの低下はTリンパ球の血液からリンパ組織に向けての初期IL−7誘発輸送(early IL-7 induced trafficking)と合致している。
−末梢リンパ球によるIL−7受容体α鎖(CD127)発現の著しいしかし一過性の減少が注射の後48時間の期間観察され、これはIL−7の一回の投与に応答するIL−7受容体のダウンモジュレーションを反映する。CD127発現は48時間に再び現れ始め、注射の96時間後ベースラインの値に向けて戻った。
−細胞増殖のマーカーであるKi67発現の遅延したしかし有意な増加が注射後72/96時間までCD4+及びCD8+細胞の両方で観察された。
−アポトーシス抑制のマーカーであるBcl−2の遅延した増加が観察され、IL−7活性に関与していることが証明された。
【0235】
3つの後者のマーカーの変動は、r−hIL−7の一回の注射が、48時間にわたり有意な効果をともなって、72/96時間まで検出可能なT細胞の応答を誘発したことを示す。末梢血リンパ球数値から評価されるとおり、細胞表現型のこれらの変化はT細胞ホーミングにより部分的にマスクされる。
【0236】
これらのデータから、r−hIL−7の一日一回の投与は最も適切な投与治療方式ではないと思われる。一日おき〜週一回がヒトのためのより適切な投与治療方式であると思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の3つのジスルフィド架橋:Cys:1−4(Cys2−Cys92);2−5(Cys34−Cys129)及び3−6(Cys47−Cys141)を含む、精製された又は単離されたIL−7コンホーマー。
【請求項2】
該IL−7コンホーマーが組換えヒトIL−7コンホーマーである、請求項1に記載のIL−7コンホーマー。
【請求項3】
該IL−7コンホーマーが配列番号2又は4のアミノ酸配列を含む請求項2に記載のIL−7コンホーマー。
【請求項4】
該IL−7コンホーマーが組換えサルIL−7コンホーマーである請求項1に記載のIL−7コンホーマー。
【請求項5】
該IL−7コンホーマーが配列番号12のアミノ酸配列を含む、請求項4に記載のIL−7コンホーマー。
【請求項6】
該IL−7コンホーマーがグリコシル化されていない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のIL−7コンホーマー。
【請求項7】
該IL−7コンホーマーがグリコシル化されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のIL−7コンホーマー。
【請求項8】
該IL−7コンホーマーがヘテロ二量体として肝細胞成長因子に会合している、請求項1〜7のいずれか一項に記載のIL−7コンホーマー。
【請求項9】
該IL−7コンホーマーが、ペプチドヒンジ領域によってIgG重鎖のFc部分に機能的に付着しており、該IgGがヒトIgG1又はIgG4である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のIL−7コンホーマー。
【請求項10】
該IL−7コンホーマーが、ヒト血清アルブミン(HSA)又はHSAの一部に融合タンパク質として機能的に会合している、請求項1〜7のいずれか一項に記載のIL−7コンホーマー。
【請求項11】
所望の生成物として、請求項1〜9のいずれか一項に記載のIL−7コンホーマーを含み、IL−7分子変異体又は生成物関連不純物を実質的に含まない、IL−7薬物原料。
【請求項12】
所望の生成物として請求項1〜7のいずれか一項に記載のIL−7コンホーマーを含み、IL−7分子変異体又は生成物関連不純物を実質的に含まないIL−7薬物原料であって、該薬物原料中のIL−7の総量が少なくとも98重量%、好ましくは少なくとも99.5重量%であるIL−7薬物原料。
【請求項13】
有効量の請求項11又は12に記載の薬物原料及び1種又はそれより多くの製薬学的に適合性の担体を含む、製薬学的組成物。
【請求項14】
製薬学的に適合性の担体がスクロース、トレハロース及びアミノ酸から選ばれる、請求項13に記載の製薬学的組成物。
【請求項15】
製薬学的に適合性の担体が適当な緩衝液中に含有されて等張性溶液を形成する、請求項14に記載の製薬学的組成物。
【請求項16】
該適当な緩衝液が5〜7.5、好ましくは6〜7、更に好ましくは6.5のpH範囲を有する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の製薬学的組成物。
【請求項17】
該適当な緩衝液がクエン酸ナトリウム緩衝液及び酢酸アンモニウム緩衝液から選ばれる有機塩である、請求項16に記載の製薬学的組成物。
【請求項18】
該組成物が凍結乾燥された形態である、請求項13に記載の製薬学的組成物。
【請求項19】
該組成物がタンパク質(好ましくはヒト血清アルブミン)及び/又は界面活性剤(好ましくはツイーン80)を含む、請求項13に記載の製薬学的組成物。
【請求項20】
組み合わせて使用するため、別々に使用するため又は順次に使用するための、造血細胞成長因子、サイトカイン、抗原及びアジュバントから選ばれた免疫刺激剤、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項13〜19のいずれか一項に記載の製薬学的組成物。
【請求項21】
該造血細胞成長因子が幹細胞因子(SCF)、特に溶解性形態のSCF、G−CSF、GM−CSF、Flt−3リガンド、IL−15及びIL−2から選ばれる、請求項20に記載の製薬学的組成物。
【請求項22】
サイトカインがγインターフェロン、IL−2、IL−12、RANTES、B7−1、MIP−2及びMIP−1αから選ばれる、請求項20に記載の製薬学的組成物。
【請求項23】
該抗原が、合成又は天然ペプチド、組み換えタンパク質、殺されたか、不活性化されたか又は弱毒化された病原生成物、脂質、これらの一部及びこれらの組み合わせから選ばれる、請求項20〜22のいずれか一項に記載の製薬学的組成物。
【請求項24】
該抗原がHIV、水痘帯状疱疹ウイルス、インフルエンザウイルス、エプスタイン−バールウイルス、1型又は2型単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、デングウイルス、A、B、C又はE型肝炎ウイルス、合胞体呼吸ウイルス(syncytium respiratory virus)、ヒトパピローマウイルス、結核菌、トキソプラズマ及びクラミジア由来の抗原から選ばれる請求項23に記載の製薬学的組成物。
【請求項25】
該アジュバントが抗原の免疫原性を促進するか又は増加させそしてTh1型免疫応答を誘発することができる任意の物質、混合物、溶質又は組成物、例えば、CpG、QS21、ISCOM及びモノホスホリル脂質Aから選ばれる、請求項20〜24のいずれか一項に記載の製薬学的組成物。
【請求項26】
BもしくはTリンパ球発生及び増殖の予防的もしくは治療的刺激のため、包括的もしくは特異的免疫再構成の増強のため、又は液性もしくは細胞性免疫応答の増強のためにヒト患者に投与するための、請求項13〜25のいずれか一項に記載の製薬学的組成物。
【請求項27】
免疫不全患者の日和見感染を防止するか又は減少させるための、請求項13〜25のいずれか一項に記載の製薬学的組成物。
【請求項28】
ヒト患者において、リンパ球新生刺激を延長するため及び/又は特異的免疫応答を生じさせるため及び/又は特異的免疫応答のレパートリーを広げるための、請求項13〜25のいずれか一項に記載の製薬学的組成物。
【請求項29】
ヒト患者が免疫不全患者、がん患者、移植片を受けている患者、ウイルス又は寄生虫に感染した患者、高齢患者又は低いCD4数値を有するすべての患者である請求項26、27又は28に記載の製薬学的組成物。
【請求項30】
薬物原料の有効量が約3〜300μg/kg/日、好ましくは10〜100μg/kg/日
でありそして特に一日に一回から、一週二回又は三回、一週一回まで投与される、請求項13〜29のいずれか一項に記載の製薬学的組成物。
【請求項31】
IL−7ポリペプチドをコードする核酸分子であって、変更されたシャイン・ダルガノ様配列を含む、核酸分子。
【請求項32】
配列番号1、3、12、16、18、20又は22から選ばれる配列を含む、核酸分子。
【請求項33】
請求項31又は32に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項34】
請求項31又は32に記載の核酸又は請求項33に記載のベクターを含む、組換え宿主細胞。
【請求項35】
該組換え宿主細胞がヒト細胞又はバクテリア細胞である、請求項34に記載の組換え宿主細胞。
【請求項36】
エシェリシア・コリ又はバチルス・ブレビスである、請求項35に記載の組換え宿主細胞。
【請求項37】
チャイニーズ.ハムスター卵巣(CHO)、HEK−293細胞系又はヒト間質細胞系又は上皮細胞系である、請求項35に記載の組換え宿主細胞。
【請求項38】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のIL−7コンホーマーと特異的に免疫反応性の抗体。
【請求項39】
請求項11及び12のいずれか一項に記載のIL−7薬物原料を製造する方法であって、
a)IL−7ポリペプチドを含むサンプルを提供すること、
b)下記の3つのジスルフィド架橋:Cys:1−4(Cys2−Cys92);2−5(Cys34−Cys129)及び3−6(Cys47−Cys141)を含むIL−7コンホーマーを精製してIL−7薬物原料を生成させること、及び
c)場合により、該薬物原料において、該特定のIL−7コンホーマーを測定又は定量すること
を含む方法。
【請求項40】
該サンプルがIL−7ポリペプチドを産生する組み換え原核生物又は真核生物宿主細胞から得られる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
該サンプルがIL−7ポリペプチドをコードする原核生物宿主細胞の培養物であり(又は由来のものであり)そして更に、工程b)の前に、
i)該サンプルを処理して該IL−7ポリペプチドの完全な変性を引き起すこと、
ii)場合により工程i)で得られる変性されたポリペプチドを精製すること、及び
iii)ポリペプチドをリフォールディングすること、
を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
工程i)が変性剤緩衝液中に封入体を溶解することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
工程ii)を、疎水性クロマトグラフィー、イオン交換又は逆相クロマトグラフィーにより行う、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
HICブチルを使用して該疎水性クロマトグラフィーを実施する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
工程ii)を6〜9、好ましくは7〜8.5の両端を含めた範囲内にあるpHで行う、請求項41〜44のいずれかの方法。
【請求項46】
該精製工程bがアフィニティークロマトグラフィーを行うことを含む、41〜45のいずれかの方法。
【請求項47】
該アフィニティークロマトグラフィーを硫酸化多糖類のカラムで行う、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
硫酸化多糖類がデキストラン硫酸又はヘパリンである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
IL−7コンホーマーが、薬物原料において、質量分析法、赤外分光法、NMRによって、円偏光二色性を決定することによって、該IL−7コンホーマーに対して生じた特異的モノクローナル抗体に対するアフィニティーを測定すること又はヘパリンアフィニティークロマトグラフィーにより特徴付けられ、そしてIL−7受容体に対する該IL−7コンホーマーのELISA、バイオアッセイ又はアフィニティーにより、及び単離されたコンホーマーに適用される場合にはタンパク質定量のいかなる方法によっても測定され又は定量される、請求項39〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
IL−7含有調製物における請求項1〜9のいずれか一つに記載のIL−7コンホーマーの存在及び/又は相対的量を決定することを含む、IL−7含有調製物を制御する方法。
【請求項51】
IL−7薬物原料又は製薬学的組成物を製造する方法であって、(i)IL−7ポリペプチドをコードする組換え宿主細胞を培養し、(ii)該組換えポリペプチドを単離してIL−7薬物原料を生成させ、そして(iii)場合により、該IL−7薬物原料をコンディショニングして治療又はワクチン用途に適当な製薬学的組成物を生成させることを含み、更に該薬物原料又は製薬学的組成物において、請求項1〜9のいずれか一項に定義されたIL−7コンホーマーの量及び/又は品質を同定し、特徴付け又は測定する工程を含み、そして更に好ましくは、活性成分として該IL−7コンホーマーを約95%より多く、好ましくは98%より多く含む薬物原料又は製薬学的組成物を選ぶ工程を含む、方法。
【請求項52】
組換え宿主細胞によるIL−7発現が誘導性であるか、調節されるか又は一過性であり、それにより細胞培養段階とIL−7発現段階を引き離すことができる、請求項40又は51に記載の方法。
【請求項53】
該IL−7コンホーマーの量及び/又は品質が、トリプシン消化を伴う又は伴わない質量分析関連法、円偏光二色性、NMR、ジスルフィド架橋のための特異的モノクローナル抗体分析及び/又はコンホメーション特徴付けにより決定される、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
長期のリンパ球生成刺激を誘発し及び/又は免疫応答を増幅するための製薬学的組成物の製造のための請求項39〜49のいずれか一項に記載の方法により得られる、IL−7薬物原料の使用。
【請求項55】
免疫不全に関連した疾患を防止又は処置するための製薬学的組成物の製造のための請求項39〜49のいずれか一項に記載の方法により得られるIL−7薬物原料の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−115203(P2010−115203A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−299560(P2009−299560)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【分割の表示】特願2004−530091(P2004−530091)の分割
【原出願日】平成15年8月6日(2003.8.6)
【出願人】(505048910)
【氏名又は名称原語表記】CYTHERIS
【Fターム(参考)】