説明

IP電話サービスシステム、IP電話機、及び、サービス端末装置

【課題】 任意の電話番号の問い合わせに応答してその電話番号に関連づけられたIPアドレスを回答できる便利なサービスを提供する。
【解決手段】 サービスサーバ4はインターネット網3上のIP電話機1から呼び出し先電話番号を手がかりにしたIPアドレスの検索要求が出されると、その電話番号に関連づけられたIPアドレスの検索を行い、■IPアドレスがヒットした場合は要求元のIP電話機に対してそのIPアドレスを返送し、■ヒットしなかった場合はIPアドレス未登録を示す所定の情報を返送する。IP電話機1は■の場合にそのIPアドレスを用いてインターネット網3経由で呼び出し先電話機とのIP通話を行い、■の場合に公衆電話回線網2経由で呼び出し先電話機との通常の音声通話を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、IP(インターネットプロトコル)電話サービスシステム、IP電話機、及び、サービス端末装置に関する。詳しくは、インターネット網でのIP電話利用を支援するIP電話サービスシステム、そのサービス端末装置、及び、そのサービス端末機能を備えたIP電話兼用加入電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、VoIP(Voice over IP)と呼ばれる技術(音声信号をディジタル信号に変換してIPパケット化する技術)を利用し、TCP/IP(トランスミッション・コントロール・プロトコル/インターネット・プロトコル)対応のネットワークを介して、相互に音声通信を行うことが可能な電話端末、いわゆる「IP電話機」が注目されている。
【0003】IP電話機は、既存の公衆電話回線に比べて通信コストが格段に安いTCP/IP対応のネットワーク、たとえば、LAN(ローカルエリアネットワーク)やWAN(ワイドエリアネットワーク)などを利用できるため、とくに通信経費を抑えることができる点で経済的なメリットがあり、たとえば、企業等における本支店間などの業務連絡用などにその実際の利用例を見出すことができる。しかし、いまだその利用は一部の範囲(LANやWANの内部など)に限られており、家庭などへの私的利用を含め、広く一般に普及しているとはいい難い現状にある。
【0004】家庭などへのIP電話機の普及を推進する場合、必然的にインターネット(Internet)に接続できることが求められるものの、インターネットに接続するためには、IP電話機ごとに、TCP/IPで規定された「グローバルIPアドレス」を取得して、それを各々のIP電話機に割り当てなければならないからである。
【0005】IPアドレスは、InterNICやJPNIC(Japan Network Information Center)などの団体によって厳密に管理される「グローバルIPアドレス」と、閉鎖的なネットワーク環境(LANやWANなど)での使用が認められている「プライベートIPアドレス」の二種類ある。インターネットに接続するためには、上記のとおり、全地球的規模でユニーク(唯一無二)な存在である「グローバルIPアドレス」を用いなければならない。本明細書全体を通して、単に「IPアドレス」という場合は、このグローバルIPアドレスのことを指すものとする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、インターネット上でIP電話機を使用する場合は、当然ながら、呼び出し先電話機のIPアドレスが分からないとその電話機を呼び出すことができないため、事前に呼び出し先電話機のIPアドレスを発呼側(呼び出し元電話機側)に知らせておく必要がある。
【0007】しかしながら、IPの知識がない一般ユーザにとっては、相手から「IPアドレスを教えて欲しい」と言われても、どの情報を伝えてよいかとまどうし、仮に、伝えるべき情報が分かっていても、IPアドレスの表記形式は電話番号のように馴染み(たとえば、東京の電話番号は「03」から始まる等々)がないため、伝達ミス(言い間違いや聞き間違い)を否めず、充分な信頼性をもってIPアドレスを通知できないという問題点があった。
【0008】したがって、本発明が解決しようとする課題は、電話番号とIPアドレスとを関連づけて保持すると共に、任意の電話番号の問い合わせに応答して、その電話番号に関連づけられたIPアドレスを回答できる便利なサービスをインターネット上に構築し、以て、インターネット上でIP電話機を使用する際の上記問題点の解決を図り、相手先IP電話機のIPアドレスを充分な信頼性で通知できるようにしたIP電話サービスシステム、そのサービス端末装置及びそのサービス端末機能を備えたIP電話兼用加入電話機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係るIP電話サービスシステムは、TCP/IP対応のネットワークを介してIP通話を行うことが可能なIP電話機に適用するIP電話サービスシステムであって、前記IP電話機は、公衆電話回線網にも接続可能なものであり、且つ、前記ネットワーク上に、前記IP電話機各々の公衆電話回線網における識別情報である電話番号と前記ネットワークにおける識別情報であるIPアドレスとを関連づけて保持する保持手段と、任意のIP電話機からの問い合わせに応答して該問い合わせ時にそのIP電話機から通知された相手先IP電話機の電話番号を手がかりに前記保持手段を検索する検索手段と、前記検索手段による検索の結果、相手先IP電話機のIPアドレスが見つかった場合はそのIPアドレスを要求元のIP電話機に返送する一方、見つからなかった場合はIPアドレス未登録を示す所定の情報を返送する情報返送手段とを備えるサービスサーバを有することを特徴とする。
【0010】この発明では、ネットワーク上のIP電話機から当該ネットワーク上のサービスサーバに対して、呼び出し先電話機の電話番号を手がかりにしたIPアドレスの検索要求が出されると、サービスサーバにおいて、その電話番号に関連づけられたIPアドレスの検索が行われる。そして、IPアドレスがヒットした場合は、サービスサーバから要求元のIP電話機に対して、そのIPアドレスが返送される一方、ヒットしなかった場合は、IPアドレス未登録を示す所定の情報が返送される。したがって、IP電話機は、IPアドレスが返送された場合に、そのIPアドレスを用いてネットワーク経由で呼び出し先電話機との間のIP通話ができるようになり、また、IPアドレス未登録を示す所定の情報が返送された場合に、公衆電話回線網経由で呼び出し先電話機との間の通常の音声通話ができるようになる。その結果、IPアドレスの人為的通知が不要となり、人為的通知に伴う各種不都合(聞き間違い等)を解消し、IPアドレス通知の信頼性向上を図ることができる。
【0011】請求項2記載の発明に係るIP電話機は、公衆電話回線網を介して他の電話機との間で音声通信を行うことが可能な公衆電話回線用通信部と、TCP/IP対応のネットワーク網を介して他の電話機との間でデータ通信を行うことが可能なTCP/IP用通信部と、前記公衆電話回線用通信部及びTCP/IP用通信部を選択的に使用して相手側の電話機との間の音声通信またはデータ通信を制御する制御部とを備え、前記制御部は、他の電話機を呼び出す際に、当該電話機の公衆電話回線網における識別情報である電話番号を前記ネットワーク上に設けられた所定のサービスサーバに送信する送信手段と、前記送信に応答してサービスサーバから返送される情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された情報がIPアドレスである場合は、当該IPアドレスを宛先にして前記TCP/IP用通信部経由でデータ通信を行う一方、同情報がIPアドレス未登録を示す所定の情報である場合は、前記電話番号を宛先にして前記公衆電話回線用通信部経由で音声通信を行う通信手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】この発明では、サービスサーバからIPアドレスが返送されたときは、そのIPアドレスを用いてネットワーク経由で呼び出し先電話機との間のIP通話を行うことができ、また、サービスサーバからIPアドレス未登録を示す所定の情報が返送されたときは、公衆電話回線網経由で呼び出し先電話機との間の通常の音声通話を行うことができる。したがって、前記のIP電話サービスシステムに適用して好適なIP電話機を提供することができる。
【0013】請求項3記載の発明に係るサービス端末装置は、公衆電話回線網を介して他の電話機との間で音声通信を行うことが可能な公衆電話回線用通信部と、TCP/IP対応のネットワーク網を介して他の電話機との間でデータ通信を行うことが可能なTCP/IP用通信部と、前記公衆電話回線用通信部及びTCP/IP用通信部を選択的に使用して相手側の電話機との間の音声通信またはデータ通信を制御する制御部と、加入電話機からの電話ケーブルを接続するための接続口とを備え、前記制御部は、前記加入電話機から他の電話機を呼び出す際に、その加入電話機より出力されるダイアル信号に基づいて他の電話機の公衆電話回線網における識別情報である電話番号を取り出す電話番号取り出し手段と、前記取り出し手段によって取り出された電話番号を前記ネットワーク上に設けられた所定のサービスサーバに送信する送信手段と、前記送信に応答してサービスサーバから返送される情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された情報がIPアドレスである場合は、当該IPアドレスを宛先にして前記TCP/IP用通信部経由で前記加入電話機と前記他の電話機との間のデータ通信を許容する一方、同情報がIPアドレス未登録を示す所定の情報である場合は、前記電話番号を宛先にして前記公衆電話回線用通信部経由で前記加入電話機と前記他の電話機との間の音声通信を許容する通信手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】この発明では、当該装置に電話機を接続し、その電話機から他の電話機を呼び出す際に、サービスサーバに対して当該他の電話機のIPアドレス問い合わせが行われ、サービスサーバからIPアドレスが返送されたときは、そのIPアドレスを用いてネットワーク経由で呼び出し先電話機との間のIP通話を行うことができ、また、サービスサーバからIPアドレス未登録を示す所定の情報が返送されたときは、公衆電話回線網経由で呼び出し先電話機との間の通常の音声通話を行うことができる。したがって、既存の電話機を利用して、他の電話機との間のIP通話を行うことが可能となり、前記のIP電話サービスシステムに適用して好適なサービス端末装置を提供することができる。
【0015】請求項4記載の発明に係るIP電話サービスシステムは、請求項1記載のIP電話サービスシステムにおいて、さらに、前記サービスサーバは、ネットワーク上のIP電話機から当該電話機の電話番号とIPアドレスの登録要求を受け付ける受け付け手段と、当該受け付け時に前記保持手段にその関連付け情報を新規作成する情報登録手段とを有することを特徴とする。
【0016】この発明では、IP電話機の電話番号とIPアドレスとをサービスサーバに自由に登録することができる。したがって、サービスサーバに登録された電話番号を宛先とする不特定多数の相手とのIP通話を行うことができるようになる。
【0017】請求項5記載の発明に係るIP電話サービスシステムは、請求項4記載のIP電話サービスシステムにおいて、前記受け付け手段は、発信者番号通知サービスを利用して前記公衆電話回線網経由で登録対象の電話番号を受け取り、前記ネットワーク経由で登録対象のIPアドレスを受け取ることを特徴とする。
【0018】この発明では、IP電話機の電話番号とIPアドレスとをサービスサーバに自由に登録することができる。したがって、サービスサーバに登録された電話番号を宛先とする不特定多数の相手とのIP通話を行うことができるようになる。
【0019】請求項6記載の発明に係るIP電話サービスシステムは、請求項4記載のIP電話サービスシステムにおいて、前記受け付け手段は、前記ネットワーク経由で登録対象の電話番号とIPアドレスを受け取ることを特徴とする。
【0020】この発明では、IP電話機の電話番号とIPアドレスとをサービスサーバに自由に登録することができる。したがって、サービスサーバに登録された電話番号を宛先とする不特定多数の相手とのIP通話を行うことができるようになる。
【0021】請求項7記載の発明に係るIP電話サービスシステムは、請求項4記載のIP電話サービスシステムにおいて、前記受け付け手段は、ウェブドキュメント形式の登録画面を前記ネットワーク上の登録要求元端末に送信し、該登録画面に入力された登録対象の電話番号とIPアドレスとを前記ネットワーク経由で受け取ることを特徴とする。
【0022】この発明では、IP電話機の電話番号とIPアドレスとをサービスサーバに自由に登録することができ、サービスサーバに登録された電話番号を宛先とする不特定多数の相手とのIP通話を行うことができるようになるうえ、さらに、ブラウザを利用できるので、たとえば、パーソナルコンピュータなどからも登録することができ、登録手続きのバリエーションを増やすことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0024】実施の形態の目次は以下のとおりである。
1.IP電話サービスシステム1−1.IP電話サービスシステムの主要な構成要素1−1−1.サービスサーバ4の構成1−1−1−1.IPアドレス通知サービス1−1−2.IP電話機1(IP電話兼用型加入電話機)の構成1−1−2−1.音声処理部611−1−2−2.スピーカ62及び拡声部631−1−2−3.操作制御部641−1−2−4.表示制御部651−1−2−5.中央制御部661−1−2−6.公衆電話回線用通信部671−1−2−7.インターネット用通信部681−1−3.IP電話機1(IP電話兼用型加入電話機)の動作1−1−3−1.初期登録動作1−1−3−2.呼び出し動作1−1−3−3.待ち受け動作1−2.IP電話サービスシステムの作用説明1−3.IPアドレス変更イベント処理動作1−4.サービスサーバ4への電話番号/IPアドレス登録方法2.他の実施の形態(サービス端末装置を用いるもの)
2−1.サービス端末装置80の構成2−1−1.信号変換部852−1−2.制御部862−1−3.公衆電話回線用通信部882−1−4.インターネット用通信部872−1−5.電源部892−2.他の実施の形態の作用効果
【0025】1.IP電話サービスシステムまず、本実施の形態におけるIP電話サービスシステムを説明する。図1は、本実施の形態におけるIP電話サービスシステムの概念構成図である。この図において、1は公衆電話回線網2とインターネット網3を選択的に利用して相互に通話を行うことができるIP電話兼用型加入電話機(以下「IP電話機」と略す)である。このIP電話機1の構成と動作は後で詳しく説明するが、このIP電話機1は、要するに、任意の電話機(図示のIP電話機1のいずれか、または、公衆電話回線網2に接続された不図示の加入電話機;以下、これらを総称して「相手先電話機」という。)を宛先として通話を行う場合に、インターネット網3に接続されているサーバ(以下「サービスサーバ」という)4にアクセスし、相手先電話機の電話番号(たとえば、“03−333−4444”)をサービスサーバ4に通知し、サービスサーバ4から当該電話番号に関連づけられてあらかじめ登録されているIPアドレス(たとえば、“255.255.*.2”;ただし、0<*>255、以下同様)が返送された場合は、そのIPアドレス(“255.255.*.2”)を用いてインターネット網3経由で相手先電話機(この場合は、そのIPアドレスを持つIP電話機1となる。)との間でIP通話を行う一方、サービスサーバ4からIPアドレスが返送されずに所定の情報(IPアドレス未登録を示す所定の情報)が返送された場合は、前記の電話番号(“03−333−4444”)を用いて公衆電話回線網2経由で相手先電話機(この場合は、その電話番号を持つ加入電話機となる。)との間で通常の音声通話を行うというものである。
【0026】1−1.IP電話サービスシステムの主要な構成要素以下、本実施の形態におけるIP電話サービスシステムの主要な構成要素について、それぞれの詳細を説明する。
1−1−1.サービスサーバ4の構成図2(a)は、サービスサーバ4のハードウェア構成を示す図である。サービスサーバ4は、たとえば、特に限定しないが、DOS/Vアーキテクチャのパーソナルコンピュータで構成されている場合は、マイクロコンピュータユニット(以下「CPU」と略す)5、揮発性情報記憶部(以下「RAM」と略す)6、ディスクコントローラ7、ディスク装置8、ディスプレイコントローラ9、ディスプレイ装置10、キーボードコントローラ11、キーボード装置12、ポインティングデバイス装置13、TCP/IP用通信制御装置14、公衆電話回線用通信制御装置15、メインバス16、バスインターフェース17および内部バス18などを有する。
【0027】サービスサーバ4は、ディスク装置8にあらかじめ格納されたオペレーティングシステム等のソフトウェアリソースをRAM6にロードしてCPU5で実行することにより、TCP/IP用通信制御装置14を介してインターネット網3に常時接続できるようになっており、この常時接続環境において、後述する「IPアドレス通知サービス」をインターネット網3上に提供できるようになっている。
【0028】また、サービスサーバ4は、かかるサービスを管理するための各種ユーザインターフェース画面をディスプレイ装置10に表示し、そのインターフェース画面上でキーボード装置12やポインティングデバイス装置13を操作することにより、ユーザ管理やデータ管理等を実行できるようになっている。さらに、サービスサーバ4は、公衆電話回線用通信制御装置15を介して公衆電話回線網2経由のアクセスを受け付けることができるようになっており、このアクセスサービス(いわゆるRAS;リモートアクセスサービス)によって、IP電話機1からの初期登録処理(詳細は後述)を行うことができるようになっている。
【0029】図2(b)は、後述のIPアドレス通知サービスに必須の「電話番号/IPアドレス対応テーブル」の概念図である。この電話番号/IPアドレス対応テーブル19は、たとえば、ディスク装置8に格納されたデータベーステーブルであり、各データレコード(以下、単にレコードということもある)は、少なくとも電話番号フィールド19aとIPアドレスフィールド19bから構成されている。図示の例においては、一のレコードの電話番号フィールド19aに“03−1111−2222”が格納され、同レコードのIPアドレスフィールド19bに“255.255.*.1”が格納されていると共に、二のレコードの電話番号フィールド19aに“03−3333−4444”が格納され、同レコードのIPアドレスフィールド19bに“255.255.*.2”が格納されている。これらの情報は、図1のIP電話機1における各々の固有情報である。なお、これらの情報の登録方法については後述する。
【0030】図3(a)は、サービスサーバ4のハードウェアリソースとソフトウェアリソースの簡略的な階層モデルを示す図である。この階層モデル20は、OSI(Open System Interconnectionの略。開放型システム間相互接続)参照モデルを模しており、ハードウェアリソース層21の上に、オペレーティングシステム層22とアプリケーション層23とを積層した構造になっている。
【0031】ハードウェアリソース層21は、CPU5などのハードウェアリソース24(図2(a)の構成)を含み、その上のオペレーティングシステム層22に含まれるオペレーティングシステム25を介して、アプリケーション層23からの間接的利用を可能する。アプリケーション層23は、少なくとも、本実施の形態におけるIP電話サービスシステムの主要部をなす、データベース26、そのデータベース26に対する処理ルールやユーザインターフェースなどをプログラミングした所定のアプリケーションプログラム27を含み、これらのソフトウェアリソース(オペレーティングシステム25、データベース26、及び、アプリケーションプログラム27)とハードウェアリソース24との有機的結合により、本実施の形態におけるIP電話サービスシステムを実現する。
【0032】図3(b)は、本実施の形態におけるIP電話サービスシステムの概念図である。この図において、ユーザインターフェース部28、及び、処理ルール部29は、図3(a)のアプリケーションプログラム27に相当し、データベース部30は、図3(a)のデータベース26に相当する。
【0033】ユーザインターフェース部28は、ハードウェアリソース24のうちの表示用リソース(すなわち、ディスプレイコントローラ9やディスプレイ装置10)に各種のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を出力したり、また、TCP/IP用通信制御装置14や公衆電話回線用通信制御装置15を介してインターネット網3や公衆電話回線網2経由でIP電話機1との間の情報のやり取りを行うためのものである。処理ルール部29は、イベントドリブン(イベント起動)方式で各種のGUI画面を生成したり、そのGUI画面に入力された情報を取り込んだり、そのGUI画面への表示情報を加工生成したり、必要に応じて情報の印刷出力を行ったりするとともに、さらに、上記のインターフェース部28を介してIP電話機1からの情報を取り込んだり、その情報を加工したり、また、その情報が電話番号である場合にその電話番号に関連付けされたIPアドレスを、ディスク装置8に格納された電話番号/IPアドレス対応テーブル19から取り出してIP電話機1に送り出したりする等の処理を実行する。
【0034】データベース部30は、本実施の形態におけるIP電話サービスシステムの運用に必要な各種の電子データ(少なくとも前記の「電話番号/IPアドレス対応テーブル19」)を蓄積保管するものであり、たとえば、汎用のデータベースプログラムソフト(またはデータベースマネージメントシステム(DBMS)ともいう。)を用いて設計されたデータベースファイルとすることができる。なお、一般にDBMSは、リレーショナル型とその他の簡易型(カード型など)に大別される。本実施の形態におけるIP電話サービスシステムを実現する上で、原理的にはこれらのいずれの型を利用してもよいが、データベース内の情報を正規化して情報の矛盾を解決できる点でリレーショナル型の利用が望ましいことはいうまでもない。
【0035】また、DBMSは、図2(b)の各部、すなわち、ユーザインターフェース部28、処理ルール部29、及び、データベース部30を一つのファイルに収め、パッケージ化して設計できるタイプ(以下「処理ルール実装タイプ」という。)と、データベース部30だけを設計し、ユーザインターフェース部28や処理ルール部29を他の開発ツール(たとえば、マイクロソフト社の“VisualBasic”や“C++”など;いずれも同社の登録商標)で設計するタイプ(以下「処理ルール外装タイプ」という。)の二種類あるが、いずれのタイプのDBMSを利用しても差し支えない。
【0036】1−1−1−1.IPアドレス通知サービス次に、サービスサーバ4の特徴的な動作である「IPアドレス通知サービス」について説明する。図4は、処理ルール部29の概念的なフローチャートを示す図である。この図において、処理ルール部29は、TCP/IP用通信制御部14の下りチャネルをモニターし(ステップS01)、インターネット網3に接続された任意のIP電話機1からのアクセスを検出すると、そのアクセスを受け付け、当該IP電話機1から送信された「通話相手先の電話番号」(たとえば、“03−3333−4444”と仮定する)を受け取る(ステップS02)。次に、データベース部30に格納されている電話番号/IPアドレス対応テーブル19を検索し(ステップS03)、その電話番号(“03−3333−4444”)のレコードの有無を判定する(ステップS04)。そして、該当レコードが存在する場合は、そのレコードのIPアドレスフィールド19bの内容(この場合、“255.255.*.2”;図2(b)参照)をアクセス元のIP電話機1に返送し(ステップS05)、一方、該当レコードが存在しなかった場合は、レコードなしを表す所定の情報(たとえば、文字列“NA”)をアクセス元のIP電話機1に返送する(ステップS06)。
【0037】したがって、このIPアドレス通知サービスによれば、インターネット網3に接続された任意のIP電話機1から問い合わせがあった場合(通話相手先の電話番号が伝えられた場合)に、その電話番号に関連付けされたIPアドレスを電話番号/IPアドレステーブル19から取り出して通話元のIP電話機1に返送することができるので、通話元のユーザは、通話相手のIPアドレスをメモして覚えたり、または、いちいち通話相手に確認したりする必要がなくなるというメリットが得られる。
【0038】その結果、IP電話機1をインターネット網3上で使用する際の問題点、すなわち、IPの知識がない一般ユーザにとっては、相手から「IPアドレスを教えて欲しい」と言われても、どの情報を伝えてよいかとまどうし、仮に、伝えるべき情報が分かっていても、IPアドレスの表記形式は電話番号のように馴染み(たとえば、東京の電話番号は「03」から始まる等々)がないため、伝達ミス(言い間違いや聞き間違い)を否めず、充分な信頼性をもってIPアドレスを通知できないという問題点を解決することができ、相手先IP電話機のIPアドレスを充分な信頼性でユーザに通知することができるという利便性の高いIP電話サービスシステムを実現することができる。
【0039】1−1−2.IP電話機1(IP電話兼用型加入電話機)の構成図5は、IP電話機1の一例外観図(a)及びその一部背面図(b)である。IP電話機1は、見栄えよくデザイン(意匠)されたボディ41の表面(図では上面だが、これに限らない。見やすく操作しやすい面であればよい)に、“0”〜“9”までの数字キーやアスタリスク(“*”)キー及びシャープ(“#”)キーなどからなるダイアルキー群42と、各種のコマンドキーやカーソルキーなどからなるコマンドキー群43と、液晶ディスプレイなどを用いた平面型表示装置44と、スピーカ拡声穴45とを備え、さらに、ボディ41の背面部41aに、送受話器46のカールコード47を接続するためのPHONE接続口48、公衆電話回線ケーブル49を接続するためのLINE接続口50、インターネットケーブル51を接続するためのINTERNET接続口52、AC電源アダプタ53からの直流電源ケーブル54を接続するための電源コネクタ55を備えている。
【0040】図6は、IP電話機1の電気的ブロック図である。この図において、ボディ41の内部には、音声処理部61、スピーカ62、拡声部63、操作制御部64、表示制御部65、中央制御部66、公衆電話回線用通信部67及びインターネット用通信部68などが実装されており、これら各部は、次の機能を有する。
【0041】1−1−2−1.音声処理部61音声処理部61は、送受話器46からの送話信号を中央処理部36で処理可能な信号形式に変換し、または、中央処理部36からの受話信号(相手側の電話機から送られてきた受話信号)を送受話器46で再生可能な信号形式に変換して送受話器46に出力するものである。
【0042】1−1−2−2.スピーカ62及び拡声部63拡声部63は、中央処理部36から出力される呼び出し信号(相手側の電話機からの呼び出し信号、すなわち、着信信号)やDTMF(Dial ToneMulti Frequency)信号を所定の信号形式に変換して増幅し、スピーカ62を駆動して所定音量で拡声出力するものである。また、このスピーカ62及び拡声部63は、例示のIP電話機1が「スピーカホン機能」を有している場合に送受話器46の送話用スピーカの代わりに用いられるものであってもよい。この場合、不図示のマイクロフォンが当然必要になる。
【0043】1−1−2−3.操作制御部64操作制御部64は、ボディ41の前面に設けられたダイアルキー群42及びコマンドキー群43からのキー操作信号を取り込み、それらのキー操作信号を中央処理部36で処理可能な信号形式に変換して中央処理部36に出力すると共に、それらのダイアルキー群42及びコマンドキー群43に発光式のキーボタンが含まれている場合には、中央処理部36からのランプ点灯または点灯色変更信号に従って該当するキーボタンのランプ(不図示)を点灯させ、または、その点灯色を変更するものである。
【0044】1−1−2−4.表示制御部65表示制御部65は、中央処理部36からの表示信号に従って、ボディ41の前面に設けられた平面型表示装置44の文字列表示またはグラフィック表示を制御するものであり、また、平面型表示装置44にタッチパネルが設けられている場合には、タッチパネルのタッチ座標を検出して、その座標信号を中央処理部36に出力するものである。
【0045】1−1−2−5.中央制御部66中央処理部36は、特に限定しないが、マイクロプログラム制御方式によってIP電話機1の全体動作を集中制御するものであり、発明の要旨に記載の「制御部」に相当するものである。
【0046】図7は、中央制御部66のブロック構成図である。中央制御部66は、入出力インターフェース66a、マイクロコンピュータユニット(以下「CPU」と略す)66b、揮発性情報記憶部(以下「RAM」と略す)66c、読み出し専用不揮発性情報記憶部(以下「ROM」と略す)66d、及び、電気的書き換え可能不揮発性情報記憶部(以下「EEPROM」と略す)66eなどを備えて構成されている。
【0047】入出力インターフェース66aには、音声処理部61からの送話信号、操作制御部64からのキーボタン信号、平面型表示装置44がタッチパネル付きの場合は表示制御部65からタッチパネルのタッチ座標信号などが入力されると共に、公衆電話回線用通信部67やインターネット用通信部68からの呼び出し信号及び通話信号またはサービスサーバ4からの下りチャネル信号が入力される。また、入出力インターフェース66aからは、音声処理部61への受話信号、操作制御部64へのキーボタン点灯(または点灯色変更)信号、表示制御部65への表示信号などが出力されると共に、公衆電話回線用通信部67やインターネット用通信部68への呼び出し信号及び通話信号またはサービスサーバ4への上りチャネル信号などが出力される。
【0048】CPU66bは、発明の要旨に記載の「送信手段」、「受信手段」、「通信手段」の機能を有するものであり、ROM66dにあらかじめ格納されている制御プログラムをRAM66cにロードし、その制御プログラムを実行することにより、入出力インターフェース66aを介して各部(音声処理部61、操作制御部64、表示制御部65、公衆電話回線用通信部67、インターネット用通信部68)から所要のデータを取り込みつつ、IP電話機1の全体動作の制御に必要な各種演算処理を行い、その演算結果として得られる様々な制御データを入出力インターフェース66aを介して各部(音声処理部61、拡声部63、操作制御部64、表示制御部65、公衆電話回線用通信部67、インターネット用通信部68)に出力するものである。
【0049】中央制御部66は、CPU66bなどのハードウェアリソースと、ROM66dに格納された制御プログラムなどのソフトウェアリソースとの有機的結合によって、IP電話機1の全体動作を集中制御するために必要な、所定の制御処理機能を実現するものである。
【0050】なお、RAM66cは、CPU66bのワークエリアとして使用されるものであり、ROM66dは、上記の制御プログラム及びそのプログラムの実行に必要な各種固定データをあらかじめ格納するものである。また、EEPROM66eは、自機のIPアドレスを含むユーザ固有の可変データを書き換え可能に格納するものである。このIPアドレスは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)によって静的割り当てされたIPアドレスまたはDHCP(DynamicHost Configuration Protocol)によって動的割り当てされたIPアドレスである。なお、ユーザ固有の可変データは、それ以外にも、たとえば、自機の電話番号、相手先の電話番号(短縮番号)データ、着信履歴、発信履歴などが含まれていてもよい。
【0051】1−1−2−6.公衆電話回線用通信部67公衆電話回線用通信部67は、公衆電話回線網2を介して、任意の電話番号を呼び出し、当該電話番号を持つ電話機との間で呼が確立した後に、その電話機との間で音声通話(一般加入電話回線の場合はアナログ信号による音声通話、ISDN;インテグレーテッド・サービス・デジタル・ネットワーク回線の場合はディジタル信号による音声通話)を行うことができるものであり、また、相手側の電話機からの呼び出し時には、それに応答して呼の確立を行うことができるものである。また、この公衆電話回線用通信部67は、IP電話機1を始めて使用するときなどにおいて、サービスサーバ4のRAS番号を発呼して公衆電話回線網2経由でサービスサーバ4の公衆電話回線用通信制御部15に接続し、発信者電話番号通知サービスを利用して当該IP電話機1の電話番号をサービスサーバ4に通知し、初期登録できるものである。
【0052】1−1−2−7.インターネット用通信部68インターネット用通信部68は、発明の要旨に記載の「TCP/IP用通信部」に相当するものであり、インターネット網3を介してデータ通信を行うことができるものである。詳しくは、パケット通信(ただし、TCP/IPパケットによるもの)方式のデータ通信であって、そのパケットの送信先アドレスに相手先電話機のIPアドレスをセットし、そのパケットの送信元アドレスに自機のIPアドレス(EEPROM66eに格納されているもの)をセットして、インターネット網3に接続された端末間で双方向のデータ通信を行うことができるものである。また、このインターネット用通信部68は、任意の電話番号(サービスサーバ4のRAS番号以外の電話番号)を呼び出す際に、インターネット網3経由でサービスサーバ4のTCP/IP用通信制御部14に接続し、上記任意の電話番号をサービスサーバ4に知らせ、その応答(任意の電話番号に関連づけられたIPアドレスまたは該当するIPアドレスなしを表す所定の情報)をサービスサーバ4から受け取ることができるものである。
【0053】1−1−3.IP電話機1の動作1−1−3−1.初期登録動作図8は、IP電話機1のCPU66bで実行される初期登録プログラムのフローチャートを示す図である。このプログラムは、IP電話機1を最初に使用するとき、または、契約先のISPを代えたとき、若しくは、ISPから割り当てられたIPアドレスが変更(動的IPアドレスのリース切れに伴う更新イベントの発生時)されたときなどに実行される。このプログラムを開始すると、まず、公衆電話回線網2に接続し(ステップS11)、あらかじめ設定されている電話番号(サービスサーバ4のRAS番号、すなわち、公衆電話回線用通信制御部15の電話番号)を呼び出す(ステップS12)。次に、サービスサーバ4(の公衆電話回線用通信制御部15)の応答を待ち(ステップS13)、応答があった場合は、公衆電話回線網2を切断してインターネット網3に接続する(ステップS14、ステップS15)。そして、インターネット網3経由でサービスサーバ4にアクセスし、自機のIPアドレス(EEPROM66eに格納されているIPアドレス)をサービスサーバ4に通知する(ステップS16)。
【0054】ここで、「発信者番号通知サービス」は、発信者の電話番号を着信側に自動的に知らせる公知のサービスである。このサービスをIP電話機1のユーザが契約しているものとすると、前記のステップS13の時点で、IP電話機1の電話番号がサービスサーバ4に通知されたことになる。したがって、サービスサーバ4は、この電話番号とステップS16で通知されたIPアドレスとを一つのレコードに格納して、電話番号/IPアドレステーブル19に新規登録することができる。なお、同一電話番号の多重登録を防止するために、電話番号/IPアドレステーブル19への新規レコードを追加する際に、登録済みレコードの中に同一の電話番号を持つレコードがないかどうかを調べ、もし、存在していた場合は、新規登録を拒否し、または、当該既存レコードのIPアドレスを書き換えるようにすると好ましい。
【0055】この初期登録プログラムによれば、IP電話機1を最初に使用するとき、または、契約先のISPを代えたとき、若しくは、ISPから割り当てられたIPアドレスが変更されたときなどに、自機(IP電話機1)の電話番号とIPアドレスをサービスサーバ4に通知し、サービスサーバ4内の電話番号/IPアドレス対応テーブル19に新規レコードを追加してそれらの通知情報(自機の電話番号とIPアドレス)を登録することができる。したがって、本実施の形態におけるIP電話サービスシステムを利用するすべてのユーザのIP電話機1の情報(電話番号とIPアドレス)をサービスサーバ4に登録して集中管理することができる。
【0056】1−1−3−2.呼び出し動作図9は、IP電話機1のCPU66bで実行される呼び出しプログラムのフローチャートを示す図である。このプログラムは、IP電話機1を用いて任意の電話機(インターネット網3に接続されたIP電話機1または公衆電話回線網2に接続された加入電話機)を呼び出す際に実行される。このプログラムを開始すると、まず、ダイアルキー群42を用いて入力された通話相手の電話番号(または短縮番号が入力された場合は、EEPROM66eから読み出されたその短縮番号に対応する電話番号)を取得する(ステップS21)。次に、インターネット網3を介してサービスサーバ4にアクセスし、ステップS21で取得した電話番号をサービスサーバ4に転送し、その電話番号に対応するIPアドレスを問い合わせる(ステップS22)。次に、サービスサーバ4からの応答を待ち(ステップS23)、サービスサーバ4からIPアドレスが返された場合は、そのIPアドレスを宛先にしてインターネット網3経由でそのIPアドレスを持つIP電話機1との間でIP通話を行い(ステップS24)、一方、サービスサーバ4からIPアドレスが返されなかった場合(すなわち、文字列“NA”が返された場合)は、ステップS21で取得した電話番号を宛先にして公衆電話回線網2経由でその電話番号を持つ加入電話機との間で通常の音声通話を行う(ステップS25)。
【0057】この呼び出しプログラムによれば、IP電話機1を用いて任意の電話番号を呼び出す際に、その呼び出し先電話番号をサービスサーバ4に通知し、サービスサーバ4からその電話番号に関連づけられたIPアドレスが返送された際は、インターネット網3経由で当該相手先との間でIP通話を行うことができる一方、サービスサーバ4から該当するIPアドレスなしを表す所定の情報(“NA”)が返送された場合は、公衆電話回線網2経由で当該相手先との間で通常の音声通話を行うことができる。
【0058】1−1−3−3.待ち受け動作図10は、IP電話機1のCPU66bで実行される待ち受けプログラムのフローチャートを示す図である。このプログラムは、IP電話機1を待ち受け状態にしている間、継続的に実行される。このプログラムを開始すると、まず、公衆電話回線網2またはインターネット網3からの着信有無判定(ステップS31)、他の電話機の呼び出し(発呼)操作有無判定(ステップS32)及び自機のIPアドレスの変更イベント有無判定(ステップS34)を行いながらループする。そして、着信が判定された場合は、着信媒体(公衆電話回線網2/インターネット網3)を判定し(ステップS36)、インターネット網3からの着信であれば、発呼先のIP電話機1との間でIP通話を行う(ステップS37)一方、公衆電話回線網2からの着信であれば、発呼先の加入電話機との間で通常の音声通話を行う(ステップS38)。
【0059】または、ステップS32で発呼操作が判定された場合は、前述の呼び出しプログラム(図9参照)を実行し(ステップS33)、あるいは、ステップS34でIPアドレス変更イベントが判定された場合は、後述のIPアドレス変更イベント処理プログラム(図12参照)を実行する(ステップS35)。
【0060】この待ち受けプログラムによれば、インターネット網3または公衆電話回線網2のいずれからの呼び出しにも応答することができ、IP電話機1をIP通話にも通常の音声通話にも利用することができる。
【0061】1−2.IP電話サービスシステムの作用説明図11は、本実施の形態におけるIP電話サービスシステムの作用説明のための概念図である。本実施の形態におけるIP電話サービスシステムは、IP電話機1から、たとえば、電話番号“03−3333−4444”を呼び出す場合、まず、インターネット網3経由でサービスサーバ4に、その電話番号“03−3333−4444”に関連づけられたIPアドレスを問い合わせる。そして、(A)サービスサーバ4からIPアドレス(255.255.*.2)の応答があれば、インターネット網3経由でそのIPアドレスを持つIP電話機1´を呼び出し、一方、(B)サービスサーバ4から該当するIPアドレスなしを表す所定の情報(“NA”)の応答があれば、公衆電話回線網2経由でその電話番号“03−3333−4444”を持つ加入電話機72を呼び出すことができる。したがって、呼び出し元のユーザは、もっぱら通話相手の電話番号のみを把握していればよく、もし、通話相手がIP電話機1であったとしても相手先のIPアドレスを覚えたりしておく必要は一切なく、きわめて使い勝手のよいIP電話サービスシステムを構築することができる。
【0062】1−3.IPアドレス変更イベント処理動作図12(a)は、IP電話機1のCPU66bで実行されるIPアドレス変更イベント処理プログラムのフローチャートを示す図であり、このプログラムを実行すると、自機の電話番号と変更後のIPアドレス(EEPROM66eに格納されている最新のIPアドレス)がインターネット網3経由でサービスサーバ4に通知される(ステップS41)。サービスサーバ4の処理ルール部29には、この通知を受け取るための処理プログラム(図12(b))が実装されており、このサービスサーバ側処理プログラムは、インターネット網3を介して電話番号とIPアドレスとを受け取ると(ステップS42)、その電話番号をキーワードにして、電話番号/IPアドレス対応テーブル19を検索し、同一の電話番号を持つレコードを抽出する(ステップS43)。そして、当該レコードのIPアドレスフィールド19bに格納されているIPアドレスを変更後のIPアドレス(ステップS42で受け取ったIPアドレス)で書き換え更新する(ステップS44)。
【0063】このIPアドレス変更イベント処理プログラムによれば、IP電話機1に割り当てられているIPアドレスが変更された場合に、その変更後のIPアドレスが直ちにサービスサーバ4に通知され、サービスサーバ4の電話番号/IPアドレス対応テーブル19の該当レコードが更新される。したがって、特にDHCPによる動的IPアドレスの割り当てを受ける場合に、IP電話機1に割り当てられた最新のIPアドレスとサービスサーバ4の電話番号/IPアドレス対応テーブル19に保存されたIPアドレスとの不整合問題を回避することができ、IPアドレス通知の信頼性を向上させることができる。
【0064】1−4.サービスサーバ4への電話番号/IPアドレス登録方法図13は、サービスサーバ4の電話番号/IPアドレス対応テーブル19への情報(電話番号とIPアドレス)登録のいくつかの方法を示す図である。この図において、(a)は先に説明した「発信者番号通知サービス」を利用する方法である。この方法では、まず、公衆電話回線網2を介してIP電話機1からサービスサーバ4を呼び出し、次いで、インターネット網3を介してIP電話機1のIPアドレスをサービスサーバ4に通知する。先にも説明したとおり、この方法では、「発信者番号通知サービス」により呼び出し元のIP電話機1の電話番号がサービスサーバ4に通知されるため、サービスサーバ4はそれらの情報(電話番号とIPアドレス)を取り込んで、電話番号/IPアドレス対応テーブル19に登録すればよい。
【0065】また、(b)の方法は、電話番号とIPアドレスの通知の両方をインターネット網3経由で行うというものである。この方法によれば、公衆電話回線網2を使用しないため、通信コストの削減を図ることができるうえ、「発信者番号通知サービス」の契約を必要とせず、したがって、発信者番号の「非通知」を希望するユーザの要求にも応えることができるというメリットがある。
【0066】また、(c)の方法は、上記の二つの方法(a)、(b)と異なり、ブラウザを用いて電話番号とIPアドレスの登録を行えるようにした方法である。この方法では、インターネット網3に接続されたパーソナルコンピュータ等のインターネット端末70(少なくともブラウザを有するもの)からサービスサーバ4をアクセスすると、サービスサーバ4は、電話番号とIPアドレスの登録用のウェブドキュメント71(HTML形式のドキュメント)をインターネット端末70に送信し、ユーザは、そのウェブドキュメント71に表示された所定のテキストボックスコントロール(電話番号入力用テキストボックスコントロール71a及びIPアドレス入力用テキストボックスコントロール71bなど)に所要の情報を入力して、ウェブドキュメント71上の送信コマンドコントロールボタン71cをクリックすることにより、それらの入力情報をサービスサーバ4に送信することができるようになっている。したがって、この方法によれば、サービスサーバ4は、インターネット網3を介して上記の入力情報(電話番号とIPアドレス)を受け取り、上記の二つの方法(a)、(b)と同様に、電話番号/IPアドレス対応テーブル19に登録することができるうえ、ユーザ側における情報入力手段として、パーソナルコンピュータ等の既存のインターネット端末70を利用できるというメリットが得られ、たとえば、IP電話機1から離れた場所でも情報の登録を行うことができるから、所要情報のサービスサーバ4への登録を他の者に代行させることが可能となる。
【0067】2.他の実施の形態(サービス端末装置を用いるもの)
なお、以上の説明では、IP電話機と加入電話機の両方の機能を持ち合わせたIP電話機1を利用する例を示したが、発明の技術思想はこれに限定されない。加入電話機72を接続することにより、その加入電話機72をIP電話機としても利用可能な中継装置(サービス端末装置)を用いる態様としてもよい。
【0068】2−1.サービス端末装置80の構成図14(a)は、サービス端末装置80の一例外観図である。サービス端末装置80は、見栄えよくデザイン(意匠)された筐体81を有しており、筐体10の任意面(たとえば、前面パネル)には、加入電話機72(以下、「電話機72」と省略する)からの電話ケーブルを接続するためのPHONE接続口82、インターネット網3からのネットワークケーブルを接続するためのINET回線接続口84、公衆電話回線網2からの電話ケーブルを接続するためのLINE接続口84などが適当なレイアウトで配置されていると共に、適当な位置から電源ケーブル82aが引き出されている。
【0069】図14(b)は、サービス端末装置80の概念的な内部機能ブロック図である。サービス端末装置80は、信号変換部85、制御部86、インターネット用通信部87、公衆電話回線用通信部88、及び、電源部89を備え、これら各部は、次の機能を有する。
【0070】2−1−1.信号変換部85信号変換部85は、電話機72から出力された送話信号やDTMF信号を制御部86の処理に適した信号形式に変換して制御部86に転送し、また、制御部86から出力された送話信号やDTMF信号を電話機72の処理に適した信号形式に変換して電話機72に転送する。
【0071】2−1−2.制御部86制御部86は、特に限定しないが、マイクロプログラム制御方式によってサービス端末装置80の全体動作を集中制御するものである。
【0072】図15は、制御部86のブロック構成図である。制御部86は、入出力インターフェース86a、マイクロコンピュータユニット(以下「CPUと略す」)84b、揮発性情報記憶部(以下「RAM」と略す)86c、読み出し専用不揮発性情報記憶部(以下「ROM」と略す)86d、及び、電気的書き換え可能不揮発性情報記憶部(以下「EEPROM」と略す)86eなどを備えて構成されている。
【0073】入出力インターフェース86aには、信号変換部85からのDTMF信号や通話信号(送話信号/受話信号)、インターネット用通信部87からのIPパケット、及び、公衆電話回線用通信部88からのDTMF信号や通話信号が入出力される。
【0074】CPU86bは、発明の要旨に記載の「電話番号取り出し手段」、「送信手段」、「受信手段」、「通信手段」の機能を有するものであり、ROM86dにあらかじめ格納されている制御プログラムをRAM86cにロードし、その制御プログラムを実行することにより、入出力インターフェース86aを介して各部(信号変換部85、インターネット用通信部87、公衆電話回線用通信部88)から所要の信号を取り込みつつ、サービス端末装置80の全体動作の制御に必要な各種演算処理を行い、その演算結果として得られる様々な信号を入出力インターフェース86aを介して各部(信号変換部85、インターネット用通信部87、公衆電話回線用通信部88)に出力するものである。
【0075】制御部86は、CPU86bなどのハードウェアリソースと、ROM86dに格納された制御プログラムなどのソフトウェアリソースとの有機的結合によって、所定の制御処理機能を実現するものであり、とりわけ、本発明にとって欠くことのできない処理機能、詳しくは、電話機72から他の電話機を呼び出す際に、その相手先電話機の電話番号を取り出して、その電話番号をサービスサーバ4に通知し、サービスサーバ4から当該電話番号に関連づけられたIPアドレスが返送された場合は、インターネット用通信部87を利用してインターネット網3経由でその相手先とIP通話を行う一方、サービスサーバ4から該当するIPアドレスなしを表す所定の情報(“NA”)が返送された場合は、公衆電話回線用通信部88を介して公衆電話回線網2経由で相手先と通常の音声通話を行うという機能を実現することができるものである。
【0076】なお、RAM86cは、CPU86bのワークエリアとして使用されるものであり、ROM86dは、上記の制御プログラム及びそのプログラムの実行に必要な各種固定データをあらかじめ格納するものであり、また、EEPROM86eは、ユーザ固有の可変データを書き換え可能に格納するものである。ユーザ固有の可変データとしては、少なくとも、ISPから割り当てられたグローバルIPアドレスが含まれる。
【0077】2−1−3.公衆電話回線用通信部88公衆電話回線用通信部88は、公衆電話回線網2を介して、任意の電話番号(電話機72から出力されたDTMF信号に基く電話番号)を呼び出すことができるものである。また、当該電話番号を持つ電話機(呼び出し先電話機)との間で呼が確立した後に、その呼び出し先電話機と呼び出し元電話機72との間で音声通話(一般加入電話回線の場合はアナログ信号による音声通話、ISDN回線の場合はディジタル信号による音声通話)を行うことができるものである。また、相手側の電話機からの呼び出しの際には、それに応答して呼の確立を行うことができるものである。
【0078】2−1−4.インターネット用通信部87インターネット用通信部87は、発明の要旨に記載の「TCP/IP用通信部」に相当するものであり、インターネット網3上のIP電話機やサービスサーバ4との間でデータ通信を行うことができるものである。詳しくは、パケット通信(ただし、TCP/IPパケットによるもの)方式のデータ通信であって、そのパケットの送信先アドレスに相手先(IP電話機やサービスサーバ4)のグローバルIPアドレスをセットし、そのパケットの送信元アドレスに自機のグローバルIPアドレス(EEPROM86eに格納されているグローバルIPアドレス)をセットして、インターネット網3上のIP電話機やサービスサーバ4との間で双方向のデータ通信(パケット通信)を行うことができるものである。
【0079】2−1−5.電源部89電源部89は、電源ケーブル82aを介して入力される商用電源から、サービス端末装置80の内部機器、すなわち、信号変換部85、制御部86、インターネット用通信部87、及び、公衆電話回線用通信部88の動作に必要な内部電源電圧を発生し、それらの内部機器に供給するものである。
【0080】2−2.他の実施の形態の作用効果このような構成のサービス端末装置80によれば、サービス端末装置80に接続された電話機72から他の電話機を呼び出す際に、その相手先電話機の電話番号を取り出して、その電話番号をサービスサーバ4に通知し、サービスサーバ4から当該電話番号に関連づけられたIPアドレスが返送された場合は、インターネット用通信部87を利用してインターネット網3経由でその相手先とIP通話を行う一方、サービスサーバ4から該当するIPアドレスなしを表す所定の情報(“NA”)が返送された場合は、公衆電話回線用通信部88を介して公衆電話回線網2経由で相手先と通常の音声通話を行うことができる。
【0081】したがって、前記のサービスサーバ4と併用することにより、通話元のユーザは、通話相手のIPアドレスをメモして覚えたり、または、いちいち通話相手に確認したりする必要がなくなるというメリットが得られる。その結果、インターネット網3上でIP通話を行う際の問題点、すなわち、IPの知識がない一般ユーザにとっては、相手から「IPアドレスを教えて欲しい」と言われても、どの情報を伝えてよいかとまどうし、仮に、伝えるべき情報が分かっていても、IPアドレスの表記形式は電話番号のように馴染み(たとえば、東京の電話番号は「03」から始まる等々)がないため、伝達ミス(言い間違いや聞き間違い)を否めず、充分な信頼性をもってIPアドレスを通知できないという問題点を解決することができ、IPの知識がない人であっても何ら支障なくIP通話を行うことができ、しかも、既存の加入電話機72を用いてIP通話と通常の音声通話の両方を行うことができる。
【0082】
【発明の効果】請求項1記載の発明に係るIP電話サービスシステムでは、ネットワーク上のIP電話機から当該ネットワーク上のサービスサーバに対して、呼び出し先電話機の電話番号を手がかりにしたIPアドレスの検索要求が出されると、サービスサーバにおいて、その電話番号に関連づけられたIPアドレスの検索が行われる。そして、IPアドレスがヒットした場合は、サービスサーバから要求元のIP電話機に対して、そのIPアドレスが返送される一方、ヒットしなかった場合は、IPアドレス未登録を示す所定の情報が返送される。
【0083】したがって、IP電話機は、IPアドレスが返送された場合に、そのIPアドレスを用いてネットワーク経由で呼び出し先電話機との間のIP通話ができるようになり、また、IPアドレス未登録を示す所定の情報が返送された場合に、公衆電話回線網経由で呼び出し先電話機との間の通常の音声通話ができるようになる。その結果、IPアドレスの人為的通知が不要となり、人為的通知に伴う各種不都合(聞き間違い等)を解消し、IPアドレス通知の信頼性向上を図ることができる。
【0084】請求項2記載の発明に係るIP電話機では、サービスサーバからIPアドレスが返送されたときは、そのIPアドレスを用いてネットワーク経由で呼び出し先電話機との間のIP通話を行うことができ、また、サービスサーバからIPアドレス未登録を示す所定の情報が返送されたときは、公衆電話回線網経由で呼び出し先電話機との間の通常の音声通話を行うことができる。したがって、前記のIP電話サービスシステムに適用して好適なIP電話機を提供することができる。
【0085】請求項3記載の発明に係るサービス端末装置では、当該装置に電話機を接続し、その電話機から他の電話機を呼び出す際に、サービスサーバに対して当該他の電話機のIPアドレス問い合わせが行われ、サービスサーバからIPアドレスが返送されたときは、そのIPアドレスを用いてネットワーク経由で呼び出し先電話機との間のIP通話を行うことができ、また、サービスサーバからIPアドレス未登録を示す所定の情報が返送されたときは、公衆電話回線網経由で呼び出し先電話機との間の通常の音声通話を行うことができる。また、既存の加入電話機をそのまま利用してIP通話を行うことができ、IP通話のための専用電話機(IP電話機)を用意する必要がない。
【0086】請求項4記載の発明に係るIP電話サービスシステムでは、IP電話機の電話番号とIPアドレスとをサービスサーバに自由に登録することができる。したがって、サービスサーバに登録された電話番号を宛先とする不特定多数の相手とのIP通話を行うことができるようになる。
【0087】また、このIP電話サービスシステムでは、通話相手の電話番号に対応するIPアドレスがサービスサーバに登録されている場合に、そのIPアドレスを用いて自動的にインターネット網経由のIP通話が行われるため、たとえば、いつもの通話相手が本発明のIP電話サービスシステムの登録ユーザとなった場合、そのこと(登録ユーザになったこと)を通話元がまったく知らなくても、自動的にその通話相手とIP通話を行うことができる。すなわち、従来のIP電システムでは、IP電話機を使用できるようになったことをいちいちすべての通話相手に連絡する必要があったが、本発明のIP電話サービスシステムでは、そのような連絡を一切必要としない点で格別の利便性向上が得られる。
【0088】請求項5記載の発明に係るIP電話サービスシステムでは、IP電話機の電話番号とIPアドレスとをサービスサーバに自由に登録することができる。したがって、サービスサーバに登録された電話番号を宛先とする不特定多数の相手とのIP通話を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるIP電話サービスシステムの概念構成図である。
【図2】サービスサーバ4のハードウェア構成を示す図及びIPアドレス通知サービスに必須の電話番号/IPアドレス対応テーブルの概念図である。
【図3】サービスサーバ4のハードウェアリソースとソフトウェアリソースの簡略的な階層モデルを示す図及びIP電話サービスシステムの概念図である。
【図4】処理ルール部29の概念的なフローチャートを示す図である。
【図5】IP電話機1の一例外観図及びその一部背面図である。
【図6】IP電話機1の電気的ブロック図である。
【図7】中央制御部66のブロック構成図である。
【図8】IP電話機1で実行される初期登録プログラムのフローチャートを示す図である。
【図9】IP電話機1で実行される呼び出しプログラムのフローチャートを示す図である。
【図10】IP電話機1で実行される待ち受けプログラムのフローチャートを示す図である。
【図11】IP電話サービスシステムの作用説明のための概念図である。
【図12】IP電話機1及びサービスサーバ4で実行されるIPアドレス変更イベント処理プログラムのフローチャートを示す図である。
【図13】サービスサーバ4の電話番号/IPアドレス対応テーブル19への情報(電話番号とIPアドレス)登録のいくつかの方法を示す図である。
【図14】サービス端末装置80の一例外観図及びサービス端末装置80の概念的な内部機能ブロック図である。
【図15】制御部86のブロック構成図である。
【符号の説明】
・・・・IP電話兼用型加入電話機(IP電話機)
・・・・公衆電話回線網
・・・・インターネット網(ネットワーク)
・・・・サービスサーバ
29・・・・処理ルール部(検索手段、情報返送手段、受け付け手段、情報登録手段)
30・・・・データベース部(保持手段)
66・・・・中央制御部(制御部)
66b・・・・CPU(送信手段、受信手段、通信手段)
67・・・・公衆電話回線用通信部
68・・・・インターネット用通信部(TCP/IP用通信部)
70・・・・インターネット端末(登録要求元端末)
71・・・・ウェブドキュメント(登録画面)
72・・・・電話機(加入電話機)
80・・・・サービス端末装置
82・・・・PHONE接続口(電話機接続口)
86・・・・制御部
86b・・・・CPU(電話番号取り出し手段、送信手段、受信手段、通信手段)
87・・・・インターネット用通信部(TCP/IP用通信部)
88・・・・公衆電話回線用通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 TCP/IP対応のネットワークを介してIP通話を行うことが可能なIP電話機に適用するIP電話サービスシステムであって、前記IP電話機は、公衆電話回線網にも接続可能なものであり、且つ、前記ネットワーク上に、前記IP電話機各々の公衆電話回線網における識別情報である電話番号と前記ネットワークにおける識別情報であるIPアドレスとを関連づけて保持する保持手段と、任意のIP電話機からの問い合わせに応答して該問い合わせ時にそのIP電話機から通知された相手先IP電話機の電話番号を手がかりに前記保持手段を検索する検索手段と、前記検索手段による検索の結果、相手先IP電話機のIPアドレスが見つかった場合はそのIPアドレスを要求元のIP電話機に返送する一方、見つからなかった場合はIPアドレス未登録を示す所定の情報を返送する情報返送手段とを備えるサービスサーバを有することを特徴とするIP電話サービスシステム。
【請求項2】 公衆電話回線網を介して他の電話機との間で音声通信を行うことが可能な公衆電話回線用通信部と、TCP/IP対応のネットワーク網を介して他の電話機との間でデータ通信を行うことが可能なTCP/IP用通信部と、前記公衆電話回線用通信部及びTCP/IP用通信部を選択的に使用して相手側の電話機との間の音声通信またはデータ通信を制御する制御部とを備え、前記制御部は、他の電話機を呼び出す際に、当該電話機の公衆電話回線網における識別情報である電話番号を前記ネットワーク上に設けられた所定のサービスサーバに送信する送信手段と、前記送信に応答してサービスサーバから返送される情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された情報がIPアドレスである場合は、当該IPアドレスを宛先にして前記TCP/IP用通信部経由でデータ通信を行う一方、同情報がIPアドレス未登録を示す所定の情報である場合は、前記電話番号を宛先にして前記公衆電話回線用通信部経由で音声通信を行う通信手段とを備えたことを特徴とするIP電話機。
【請求項3】 公衆電話回線網を介して他の電話機との間で音声通信を行うことが可能な公衆電話回線用通信部と、TCP/IP対応のネットワーク網を介して他の電話機との間でデータ通信を行うことが可能なTCP/IP用通信部と、前記公衆電話回線用通信部及びTCP/IP用通信部を選択的に使用して相手側の電話機との間の音声通信またはデータ通信を制御する制御部と、加入電話機からの電話ケーブルを接続するための電話機接続口とを備え、前記制御部は、前記加入電話機から他の電話機を呼び出す際に、その加入電話機より出力されるダイアル信号に基づいて他の電話機の公衆電話回線網における識別情報である電話番号を取り出す電話番号取り出し手段と、前記取り出し手段によって取り出された電話番号を前記ネットワーク上に設けられた所定のサービスサーバに送信する送信手段と、前記送信に応答してサービスサーバから返送される情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された情報がIPアドレスである場合は、当該IPアドレスを宛先にして前記TCP/IP用通信部経由で前記加入電話機と前記他の電話機との間のデータ通信を許容する一方、同情報がIPアドレス未登録を示す所定の情報である場合は、前記電話番号を宛先にして前記公衆電話回線用通信部経由で前記加入電話機と前記他の電話機との間の音声通信を許容する通信手段とを備えたことを特徴とするサービス端末装置。
【請求項4】 さらに、前記サービスサーバは、ネットワーク上のIP電話機から当該電話機の電話番号とIPアドレスの登録要求を受け付ける受け付け手段と、当該受け付け時に前記保持手段にその関連付け情報を新規作成する情報登録手段とを有することを特徴とする請求項1記載のIP電話サービスシステム。
【請求項5】 前記受け付け手段は、発信者番号通知サービスを利用して前記公衆電話回線網経由で登録対象の電話番号を受け取り、前記ネットワーク経由で登録対象のIPアドレスを受け取ることを特徴とする請求項4記載のIP電話サービスシステム。
【請求項6】 前記受け付け手段は、前記ネットワーク経由で登録対象の電話番号とIPアドレスを受け取ることを特徴とする請求項4記載のIP電話サービスシステム。
【請求項7】 前記受け付け手段は、ウェブドキュメント形式の登録画面を前記ネットワーク上の登録要求元端末に送信し、該登録画面に入力された登録対象の電話番号とIPアドレスとを前記ネットワーク経由で受け取ることを特徴とする請求項4記載のIP電話サービスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図15】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2003−134172(P2003−134172A)
【公開日】平成15年5月9日(2003.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−330504(P2001−330504)
【出願日】平成13年10月29日(2001.10.29)
【出願人】(300085668)有限会社デンタルサプライ (2)
【Fターム(参考)】