説明

IRM化合物およびトル様受容体8に関する方法および組成物

TLR8介在細胞応答を引き出す方法を開示する。そのような方法は、IRM化合物が少なくとも1つのTLR8介在細胞シグナル伝達経路に影響を与えるように、TLR8アゴニストまたはTLR8アンタゴニストをIRM応答性細胞に投与することを含む。ある場合には、本方法は、TLR8介在細胞伝達経路を調節することによって治療可能な状態に対する予防または治療処置を提供しうる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
免疫系のある重要な面を刺激することによって、また、ある別の面を抑制することによって機能する新規な医薬品化合物を発見するために、近年、多大の努力が払われ、そして、かなりの成功を収めている(例えば、米国特許第6,039,969号明細書および同第6,200,592号明細書を参照)。ここで免疫応答調節剤(IRM)と称するこれらの化合物は、トル様受容体(TLR)として知られる基本的な免疫系メカニズムを介して作用し、選択されたサイトカインの生合成を誘導するようである。それらは、様々な病気や健康状態の治療に有用である。例えば、ある種のIRMsは、ウイルス性疾患(例えば、ヒトパピローマウイルス、肺炎、疱疹)、新形成(例えば、基底細胞癌、有棘細胞癌、光線性角化症、メラノーマ)およびTH2−介在疾患(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症)の治療に有用であり、また、ワクチンアジュバントとしても有用である。
【0002】
IRM化合物の多くは、小さな有機分子であるイミダゾキノリンアミンの誘導体である(例えば、米国特許第4,689,338号明細書を参照)が、多くの他の化合物のクラスもまた知られており(例えば、米国特許第5,446,153号明細書、同第6,194,425号明細書および同第6,110,929号明細書を参照)、現在もなお発見されつつある。他のIRMは、オリゴヌクレオチドのように比較的大きな分子量を有し、これにはCpGが含まれる(例えば、米国特許第6,194,388号明細書を参照)。
【0003】
既に重要な仕事がなされてきているのではあるが、治療へのIRMの極めて大きな可能性に鑑みて、それらの使用と治療上の利益を拡大しようとする相当のニーズが存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
多くのIRM化合物は、TLR8介在経路など、トル様受容体(TLR)経路を介して作用することが明らかになってきた。
【0005】
本発明は、TLR8を発現する細胞内でTLR8介在細胞応答を引き出す方法を提供する。この方法は、TLR8アゴニストまたはTLR8アンタゴニストとして同定されている化合物を選択すること、および、その化合物を少なくとも1つのTLR8介在細胞内シグナル伝達経路に影響を与える量、細胞に投与することを含む。
【0006】
別の態様では、本発明は、TLR8介在細胞応答を調節することによって治療可能な状態にある生体を治療する方法を提供する。この方法は、TLR8アゴニストまたはTLR8アンタゴニストとして同定されている化合物を選択すること、および、その化合物をTLR8介在細胞内シグナル伝達経路を調節するのに有効な量、生体に投与することを含む。
【0007】
さらに別の態様では、本発明は、TLR8アゴニストを同定する方法を提供する。この方法は、a)TLR8陽性細胞培養を試験化合物に曝露して、TLR8介在細胞応答を測定すること、b)TLR8陰性細胞培養を試験化合物に曝露して、TLR8介在細胞応答を測定すること、および、c)TLR8陽性細胞培養の細胞応答が、TLR8陰性細胞培養の細胞応答より大きいとき、その試験化合物をTLR8アゴニストとして同定することを含む。
【0008】
さらに別の態様では、本発明は、上記方法によりIRM化合物として同定された化合物、および、上記方法によりTLR8アゴニストとして同定された化合物を、薬学的に受容可能な担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、TLR8アンタゴニストを同定する方法を提供する。この方法は、a)第1のIRM応答性細胞培養をTLR8アゴニストに曝露して、TLR8介在細胞応答を測定すること、b)第2のIRM応答性細胞培養をTLR8アゴニストと試験化合物に曝露して、TLR8介在細胞応答を測定すること、および、c)第1の細胞培養の細胞応答が、第2の細胞培養の細胞応答より大きいとき、その試験化合物をTLR8アンタゴニストとして同定することを含む。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、上記方法により同定されたTLR8アンタゴニスト化合物、および、上記方法によりTLR8アンタゴニストとして同定された化合物を、薬学的に受容可能な担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明の他の種々の特徴および利点は、以下の詳細な説明、実施例、特許請求の範囲および添付の図面を参照すれば、容易に明らかになるであろう。本明細書中には、実施例のリストを通して手引きが示されている箇所がある。いずれの場合にも、列記されたリストは、代表的なグループとして供されているものであって、排他的なリストと解釈されるべきものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、TLR8のアゴニストとして働く化合物を検出する方法を提供する。本発明は、また、TLR8のアンタゴニストとして働く化合物を同定する方法を提供する。
【0013】
TLR8アゴニストまたはTLR8アンタゴニストとして同定された化合物は、TLR8介在細胞応答を引き出すために使用できる。したがって、本発明は、TLR8介在細胞応答を引き出す方法を提供する。そのような細胞応答には、例えば、サイトカイン産生、NF−κBの活性化、および/または、共刺激マーカーの発現を変化させることが含まれる。
【0014】
ある状態は、TLR8介在細胞応答を変化させることによって治療が可能である。したがって、本発明は、また、TLR8介在細胞応答を調節することにより治療可能な状態にある生体の治療方法を提供するものである。そのような状態としては、例えば新形成疾患、TH1介在疾患、TH2介在疾患および感染性疾患(例えば、ウイルス性疾患、細菌性疾患、真菌症、寄生虫病、原虫病、プリオン介在疾患など)が挙げられる。
【0015】
本発明の目的のために、以下の用語は以下の意味を有するものとする。
【0016】
「アゴニスト」とは、受容体(例えばTLR)と結合して細胞応答を誘発できる化合物をいう。アゴニストは受容体に直接結合するリガンドであってもよい。あるいは、アゴニストは、受容体と、例えば、(a)受容体に直接結合する別の分子と複合体を形成したり、または、(b)さもなければ別の化合物を、結果的に別の化合物が受容体に直接結合するように変化させたりすることによって、間接的に結合してもよい。アゴニストは、特定のTLRのアゴニスト(例えばTLR8アゴニスト)を意味することがある。
【0017】
「細胞内シグナル伝達経路」とは、細胞応答を伴うアゴニスト−受容体の組合わせとアゴニスト−受容体結合とを生化学的に結びつける一連の生化学的活性(例えば、サイトカイン産生)をいう。
【0018】
「ドミナントネガティブ」とは、自然蛋白質の変異体をいい、その変異体は少なくとも1つの自然活性を有するが、少なくとも1つの別の自然活性が欠損するよう変化させられたものである。一例として、ある受容体蛋白質のドミナントネガティブ変異体は、正常な結合パートナー(例えば、リガンド)と結合できるが、受容体−リガンド結合から通常は誘発される第2の活性を発現できない(例えば、細胞シグナルの中継)といった例が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0019】
「発現する」およびその派生語は、一般に、構造遺伝子を転写する細胞の能力を表すものであり、転写によりmRNAが産生され、次いで、mRNAが翻訳され、検知可能な生物学的機能を細胞に付与する蛋白質が生成される。
【0020】
「抑制する」とは、生物学的活性の測定可能な低下をいう。ここで使用されているように、「抑制する」または「抑制」は、通常の活性レベルに対するパーセントとして表される。
【0021】
「IRMアンタゴニスト」とは、IRM応答細胞をIRM化合物に曝露したときに通常誘発される生物学的活性を抑制する化合物をいう。
【0022】
「IRM化合物」とは、IRM応答細胞に投与したとき、1つまたはそれ以上の免疫調節分子、例えばサイトカインまたは共刺激マーカーのレベルを変化させる化合物をいう。代表的なIRM化合物としては、小さな有機分子、プリン誘導体、小さな複素環化合物、アミド誘導体、および、後述のオリゴヌクレオチド配列が挙げられる。
【0023】
「IRM応答細胞」とは、IRM化合物に曝露されたとき細胞応答を示す細胞のいずれかをいう。
【0024】
「TLR8介在」とは、TLR8の機能から生じる生物学的または生化学的活性をいう。
【0025】
「TLR8陰性」とは、対応するTLR8陽性細胞培養よりも弱く検出されるTLR8機能を提供するように選択された細胞培養をいう。TLR8陰性細胞培養は通常よりも弱いTLR8機能を、例えば、一般には通常のTLR8機能を示すTLR8陽性細胞培養と比較して抑制されたTLR8機能を示す。あるいは、TLR8陰性細胞培養は、通常より強いTLR8機能を示すTLR8陽性細胞培養に比べて、一般には通常のTLR8機能を示す細胞培養のように、一般には通常のまたは通常より強いTLR8機能を示すものであってもよい。
【0026】
「TLR8陽性」とは、対応するTLR8陰性細胞培養よりも強く検出されるTLR8機能を提供するように選択された細胞培養をいう。TLR8陽性細胞培養は通常よりも強いTLR8機能を、例えば、一般には通常のTLR8機能を示すTLR8−陰性細胞培養と比較して過剰に発現されたTLR8機能を示す。あるいは、TLR8陽性細胞培養は、抑制されたTLR8機能を示すTLR8陰性細胞培養に比べて、一般には通常のTLR8機能を示す細胞培養のように、一般には通常のまたは通常より弱いTLR8機能を示すものであってもよい。
【0027】
免疫系のある種の細胞(例えば、抗原提示細胞、すなわち「APC」)は、外来抗原、そのなかには宿主に対して有害の可能性を示すものもあるが、それら抗原を認識し、抗原に対する免疫応答を引き起こす。トル様受容体(TLR)は、外来抗原が示す特定の分子パターンを免疫系細胞に認識させる、免疫系受容体の1ファミリーである。分子パターンは、一般に病原体会合分子パターン(「PAMP」)と呼ばれている。TLRは、ロイシンリッチドメインを含む細胞外ドメインと、インターロイキン−1受容体の細胞質ドメインに似た細胞質ドメインとを含む。
【0028】
各種のTLRを活性化すると、サイトカインおよび抗菌ペプチドの分泌を含む、一連の生物学的効果が誘導される。サイトカインは重要な免疫系調節分子であり、TNF−α、I型インターフェロンおよびインターロイキンを含むが、これらに限定されるものではない。サイトカインは細胞受容体に働きかけ、細胞成長、細胞分化、細胞死、炎症性過程および細胞移動などの種々の細胞活性を調節する。
【0029】
異なるTLRの発見によって、受容体とその活性化による生物学的効果とを結びつけるシグナル伝達経路の同定がなされるようになってきた。細胞質蛋白MyD88は、種々のTLRを含む細胞内シグナル伝達経路の1メンバーであると同定されている。MyD88蛋白質は、TLRの細胞質ドメインのそれと類似のIL−1受容体ドメインを有している。TLRがリガンドに結合し、次に別の細胞質蛋白(例えばIRAKおよびTRAF6)に相互作用を引き起こさせると、MyD88のIL−1受容体ドメインと細胞質TLRドメインは相互作用する。アゴニストのTLRへの結合に始まりIRAKおよびTRAF6により中継されるシグナルカスケードは、最後にはNF−κBを活性化し、そのことによってTNF−α、IL−6、IL−12などのサイトカインをコードする遺伝子を含む、種々の遺伝子の転写が誘導される。
【0030】
多くのIRM化合物は、多くの細胞活性を共有する。細胞活性の多くは種の間で保存されており、例えば共刺激マーカーのアップレギュレーション、単球/マクロファージ細胞における炎症誘発性サイトカインの誘導、転写調節因子NF−κBおよびAP−1の活性化などが例示される。これらの細胞活性の少なくともいくつかは、TLR8が介在している。IRM化合物に限定するものではないが、IRM化合物などのTLR8アゴニストを同定することは、TLR8を介して免疫応答を誘発することによって治療可能なある状態を予防または治療するために使用される化合物を同定することでもある。
【0031】
表2は、広い範囲のIRM化合物がTLR8を介してNF−κBの活性化を誘導できることを示している。ヒト胎児腎臓の細胞から誘導されたHEK293細胞には、(1)コントロールベクター(HEK293−ベクター)またはヒトTLR8(HEK293−TLR8)を含むベクターコンストラクトと、(2)NF−κB−ルシフェラーゼレポータとを、同時導入することができる。NF−κB−ルシフェラーゼレポータは、導入された細胞内でのNF−κBの活性化に際して、ルシフェラーゼシグナルを発生する。こうして、TLR8が介在するNF−κB活性は、ベクターを導入した細胞およびTLR8コンストラクトを導入した細胞を試験化合物に曝露し、ベクター導入細胞のルシフェラーゼシグナルとTLR8コンストラクトを導入した細胞のルシフェラーゼシグナルを比較することによって、検知することができる。もし、TLR8導入細胞で誘導されたルシフェラーゼシグナルが、ベクター導入細胞で誘導されたルシフェラーゼシグナルより大きいならば、試験化合物はTLR8アゴニストと考えられる。
【0032】
表2は、種々のIRM化合物は、導入細胞内で、単にベクターのみを導入した細胞に比べて、NF−κB活性が最大で10倍を超える種々の程度に、NF−κB活性を刺激することを示している。いくつかの実施形態では、10μMの濃度で、誘導されたHEK293−TLR8細胞内のNF−κB活性が、ビヒクルコントロールに比べて少なくとも2倍に増加しているならば、その化合物をTLR8アゴニストとして同定している。別の実施形態では、約30μM以下の濃度で、誘導されたHEK293−TLR8細胞内のNF−κB活性が、ビヒクルコントロールに比べて少なくとも5倍に増加しているならば、その化合物をTLR8アゴニストとして同定しうる。
【0033】
TLR8のドミナントネガティブ変異体(TLR8DN)は、TLR8アゴニストの同定に使用することができる。TLR8DNは、例えばIRM化合物などのTLR8アゴニストの同定に使用することができる。TLR8のアゴニストの同定にこの方法を用いれば、広範囲の化合物をスクリーニングすることができる。
【0034】
TLR8アゴニストは、また、TLR8機能を中和するTLR8特異抗体の使用によって同定することができる。TLR8発現細胞を、抗TLR8抗体を加えて予備インキュベートした後、各種の刺激物質を加えてインキュベートする。もし、TLR8発現細胞が別のTLRのアゴニスト(例えばTLR4アゴニストLPS)によって刺激されたときに、細胞応答が抑制される程度よりも、試験化合物によって誘導された細胞応答がTLR8特異抗体によって抑制される程度がより大きいならば、試験化合物はTLR8アゴニストとして同定することができる。TLR8の過剰発現もまた、TLR8アゴニストの同定のために使用できる。強い真核プロモータから発現するTLR8をコードするベクターが導入された細胞を、試験化合物とともにインキュベートする。もし、その導入された細胞が、適当な対照細胞培養より強いTLR8介在細胞応答を示すならば、試験化合物はTLR8アゴニストと同定できる。
【0035】
本発明は、少なくとも1つのTLR8介在経路を活性化または抑制する新規なIRM化合物を発見するために使用することができる分析評価法を提供する。下記の分析評価法は本発明を例示するための実施形態であり、本発明の限定を意図するものではない。
【0036】
本発明は、特定の化合物がTLR8介在細胞応答を引き出すかどうかを決定することを含む、TLR8アゴニストの同定方法を提供する。これを行う1つの方法は、細胞内のTLR8の活性を消失または低下させ、その結果少なくとも1つのTLR8介在細胞応答について生じたTLR8の活性の低下または消失の影響を測定するものである。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、IRM応答細胞にTLR8のドミナントネガティブ変異体を導入して、その細胞がTLR8アゴニストに曝露されたときにTLR8介在活性が消失または測定可能に低下するようにすることを含む。ドミナントネガティブ変異体において、低下したTLR8介在細胞活性を誘発する化合物は、TLR8アゴニストとして同定される。
【0038】
TLR8のドミナントネガティブ変異体(TLR8DN)は、種々の方法で調製できる。いくつかの実施形態においては、TLR8DNは、その蛋白質の細胞質ドメインを変化させ、それによって、TLR8とその細胞質結合パートナーとの間の結合を切断することによって作られる。別の実施形態においては、TLR8とTLR8アゴニストとの相互作用を破壊するために、TLR8を変化させている。TLR8にいかなる特定の変化が加えられようとも、ドミナントネガティブ変異体は、TLR8アゴニストに曝露されたとき、TLR8介在細胞シグナルを伝達することはできないであろう。
【0039】
TLR8DNに帰結する変異は、欠失または挿入を伴う点変異であってもよい。欠失または挿入はいかなるサイズであってもよい。実施形態のいくつかでは、変異は非保存性である。別の実施形態では、変異は保存性である。さらに別の実施形態では、DNAレベルの変異により、停止コドンが形成され、その結果、欠損蛋白質が得られる。あるいは、変異は、読み枠の移動を引き起こして、そのフレームシフト変異から下流のアミノ酸配列を変える。
【0040】
TLR8アゴニストを同定する方法の1つは、TLR8陽性細胞培養を試験化合物に曝露し、TLR8介在細胞応答を測定すること、TLR8陰性細胞培養を試験化合物に曝露し、TLR8介在細胞応答を測定すること、および、もしTLR8陽性細胞培養の細胞応答がTLR8陰性細胞培養の細胞応答より大きいなら、その化合物をTLR8アゴニストと同定することを含む。
【0041】
TLR8陽性細胞培養を試験化合物に曝露し、TLR8介在細胞応答を測定する工程は、対照のIRM応答細胞培養(例えば、ヌルベクターを導入した細胞)を試験化合物に曝露すること、対照細胞培養のTLR8介在応答を測定すること、および、TLR8陽性試験培養の細胞応答と対照培養の細胞応答を比較することを含むことができる。同様に、TLR8陰性細胞培養を試験化合物に曝露し、TLR8介在細胞応答を測定する工程は、対照のIRM応答細胞培養を試験化合物に曝露すること、対照細胞培養のTLR8介在応答を測定すること、および、TLR8陰性試験培養の細胞応答と対照培養の細胞応答を比較することを含むことができる。しかしながら、経験と共に、当業者であれば、本発明の方法を用いてTLR8アゴニストを同定するのに明示的なコントロールの使用を必ずしも必要としない特別な分析評価法に十分に精通することになろう。
【0042】
いくつかの実施形態では、TLR8陽性細胞培養は、通常のIRM介在細胞応答よりも大きな応答を示す細胞を含む。例えば、TLR8陽性細胞培養は、IRMによって刺激されたときに通常のIRM介在応答より大きい応答を示すように、導入などによって遺伝子修飾した細胞を含むことができる。そのような遺伝子の修飾としては、導入細胞がTLR8を過剰発現するよう、TLR8構造遺伝子のコピーを追加することが挙げられる。さらに、TLR8の過剰発現は、1つもしくはそれ以上の強力な転写調節配列の制御の下に、TLR8構造遺伝子をクローニングすることから生ずる。
【0043】
TLR8陽性細胞培養は、TLR8過剰発現を示す導入細胞を含むことができる。TLR8を発現もしくは過剰発現する細胞は、種々の標準的な技術(例えば、カレント・プロトコルズ・イン・モレキュラー・バイオロジーCurrent Protocols in Molecular Biology)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ・インコーポレーティッド(John Wiley and Sons Inc.)(2001)を参照)により調製できる。TLR8陽性細胞培養が、通常より大きいTLR8介在細胞応答を示す実施形態では、TLR8陰性細胞培養は、一般的に通常のレベルのTLR8介在細胞応答を示す細胞を含むことができる。あるいは、TLR8陰性細胞培養は、通常より低いTLR8介在細胞応答を示す細胞を含むことができる。
【0044】
別の実施形態では、TLR8陽性細胞培養は、一般的に通常のTLR8介在細胞応答を示す細胞を含むことができる。そのような実施形態では、TLR8陰性細胞培養は、通常より低いTLR8介在細胞応答を示す細胞を含むことができる。そのような実施形態では、TLR8陰性細胞培養は、TLR8アゴニストにより刺激されたとき、通常より低いTLR8介在細胞応答を示すよう遺伝子的に改質された細胞を含むことができる。例えば、TLR8陰性細胞培養は、ドミナントネガティブTLR8変異体(TLR8DN)をコードするベクターが導入された細胞を含むことができる。別の実施形態では、TLR8陰性細胞培養は、少なくとも部分的にTLR8の発現を抑制するよう、TLR8のアンチセンスコンストラクトを含むベクターが導入された細胞を含むことができる。例えば、カレント・プロトコルズ・イン・モレキュラー・バイオロジーCurrent Protocols in Molecular Biology)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ・インコーポレーティッド(John Wiley and Sons Inc.)(2001)を参照されたい。
【0045】
あるいは、TLR8陰性細胞培養には、(1)試験化合物とTLR8との結合、または、(2)アゴニスト(すなわち試験化合物)に結合した後に細胞シグナルを伝達するTLR8の能力を阻害する、1つもしくはそれ以上の抑制成分が含まれてよい。例えば、TLR8陰性細胞培養には、TLR8に特異的に結合し、そのことによって少なくとも部分的にTLR8介在細胞応答を抑制する抗体(一般に、抗TLR8抗体)が含まれてよい。当業者にとって、特定のターゲットに特異的に結合する抗体を産生することはルーチンの作業であると考えられる。このように、抗TLR8抗体は、本発明の方法により、TLR8陰性細胞培養を得るために使用することができる。
【0046】
ある実施形態では、TLR8陰性細胞培養を得るために、抗TLR8抗体が使用される。抗TLR8抗体を試験化合物に先立って細胞培養に加えてもよいし、試験化合物とともに加えてもよい。抗TLR8抗体は、ポリクロナールであっても、モノクロナールであってもよい。細胞培養内の抗体の最終濃度は、TLR8機能の所望の減少を示す濃度であればいかなる濃度であってもよい。いくつかの代表的な実施形態では、抗TLR8抗体は、約0.01μg/ml〜約100μg/mlの範囲で存在する。細胞培養の細胞を抗TLR8抗体の存在下で予備インキュベートする実施形態では、試験化合物を加える前に、予備インキュベーションが約0分〜約48時間の範囲で行われる。
【0047】
いくつかの実施形態では、TLR8介在細胞応答には、少なくとも1つのサイトカインの産生が含まれ、このサイトカインとしては、特にこれらに限定されるものではないが、TNF−α、I型インターフェロン(例えば、IFN−α、INF−β、IFN−ωなど)、IFN−γ、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、MCP−1、またはこれらの組み合わせが挙げられる。別の実施形態では、TLR8介在細胞応答にNF−κBの活性化が含まれる。さらに別の実施形態では、TLR8介在細胞応答には、1つもしくはそれ以上の共刺激マーカー(例えば、CD40,CD80、CD86など)、細胞間接着分子(ICAM、例えばICAM−1、ICAM−2、ICAM−3など)、または、例えばCCR7などの成熟マーカーの産生が含まれる。
【0048】
通常、TLR8および/または発現が少なくとも部分的に抑制された細胞では、TLR8アゴニストの投与によってTLR8介在活性(例えば、サイトカインの産生またはNF−κBの活性化)が刺激される程度は、同一の濃度の試験化合物で刺激された非導入細胞と比較して、少なくとも20%の低下を示す。ある実施形態では、細胞は、TLR8アゴニストの投与によってTLR8介在活性が刺激される程度が少なくとも50%低下する。別の実施形態では、少なくとも80%の低下が観察される。
【0049】
ある1つの実施形態では、TLR8アゴニストの同定のために、TLR8過剰発現細胞培養をTLR8陽性細胞培養として、非改質細胞培養をTLR8陰性細胞培養として用い、試験化合物による刺激の後に、それぞれの細胞培養におけるTLR8介在細胞応答を測定するという方法が考案されている。TLR8アゴニストを同定する別の実施形態では、その方法は、TLR8陽性細胞培養として非改質細胞培養を用い、TLR8陰性細胞培養としてTLR8DN細胞培養または抗TLR8抗体を含む細胞培養を用いている。
【0050】
こうして、本発明はTLR8のアゴニストとして同定された化合物を提供する。特に断らない限り、化合物には、異性体(たとえばジアステレオ異性体または鏡像異性体)、塩、溶媒和化合物、多形体など、薬学的に受容可能ないかなる形態の化合物も含まれる。特に、化合物が光活性を有する場合、その化合物には、その化合物の各鏡像異性体も鏡像異性体のラセミ混合物も含まれる。
【0051】
本発明は、また、TLR8アゴニストを含む医薬組成物を提供するものである。医薬組成物は、例えば、薬学的に受容可能なビヒクル、1つもしくはそれ以上のアジュバント、1つもしくはそれ以上の薬学的に活性な化合物(すなわち、TLR8アゴニストはアジュバントとして働くことができる)などの1つもしくはそれ以上の付加的成分を含むことができる。
【0052】
本発明は、また、TLR8アンタゴニストを同定する方法を提供する。そのような方法は、第1のIRM応答性細胞培養をTLR8アゴニストに曝露し、TLR8介在細胞応答を測定すること、第2のIRM応答性細胞培養をTLR8アゴニストおよび試験化合物に曝露し、TLR8介在細胞応答を測定すること、並びに、もし、第1の細胞培養の細胞応答が第2の細胞培養の細胞応答より大きいなら、その試験化合物をTLR8アンタゴニストとして同定することを含む。
【0053】
TLR8のアンタゴニストを同定するためには、IRM応答性細胞培養には、TLR8発現細胞が含まれなければならない。ある実施形態では、細胞培養は、1つもしくはそれ以上の追加のTLRを自然に発現する細胞を含む。あるいは、IRM応答性細胞培養は、上記TLR8陽性細胞培養の多くのように、追加のTLRを発現しない細胞を含む。
【0054】
上記同定法と同じく、TLR8アンタゴニストの同定には、第1のIRM応答性細胞培養と第2のIRM応答性細胞培養のTLR8介在細胞応答が比較されるコントロール細胞培養の使用が含まれる。しかしながら、繰り返すが、当業者であれば、分析評価毎にコントロールを使用する必要のない分析評価法に十分に精通することになろう。
【0055】
前記方法により分析評価にかけられる試験化合物の濃度は、例えば、約0.001μM〜約100μMの範囲であるが、いくつかの実施形態では、この範囲外の濃度の試験化合物について分析評価が行われている。細胞培養は試験化合物と共に、例えば、約10分〜約24時間の間インキュベートされるが、いくつかのケースでは、インキュベートの時間はこの範囲外である。試験される化合物と共にインキュベートされる細胞の密度は、例えば、約1×104〜約1×107個/mlであるが、いくつかの実施形態では、この範囲外の細胞密度を有する細胞培養を使用して分析評価が行われる。
【0056】
いくつかの実施形態では、商業的に入手可能なELISA法を使用して、サイトカイン量が測定される。別の実施形態では、サイトカイン量は、例えば、抗体検出定量法(例えば、フローサイトメトリー法、ウェスタンブロット法、免疫組織化学/細胞化学法、プロテオーム配列法)やバイオアッセイ(例えば、細胞死の量がサンプル中のTNF−αの量に直接比例するL929細胞毒性法)などの技術を使用して測定される。例えば、カレント・プロトコルズ・イン・イムノロジーCurrent Protocols in Immnology)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ・インコーポレーティッド(John Wiley and Sons Inc.)(2001)を参照されたい。
【0057】
上記方法で使用されるIRM応答性細胞は、植物由来であっても動物由来であってもよい。いくつかの実施形態では、IRM応答性細胞は、例えば、ヒト、げっ歯類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシまたはウサギなどの哺乳動物由来のものである。このようなIRM応答性細胞としては、単球、マクロファージ、ランゲルハンス細胞、樹状細胞、多形核白血球(例えば、好中球、好塩基球および/または好酸球)、Bリンパ球、あるいは、少なくとも前述したものの1つを含む細胞のあらゆる組み合わせが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。IRM応答性細胞は、RAW264.7(バージニア州マナサスのアメリカン・タイプ・ティッシュー・コレクション(American Type Tissue Collection,Manassas,VA)から入手可能なマウスマクロファージ細胞、ATCC No.TIB−71)、THP−1(バージニア州マナサスのアメリカン・タイプ・ティッシュー・コレクション(American Type Tissue Collection,Manassas,VA)から入手可能な急性単球性白血病組織から誘導されたヒト単球細胞、ATCC No.TIB−202)、または、HEK293(バージニア州マナサスのアメリカン・タイプ・ティッシュー・コレクション(American Type Tissue Collection,Manassas,VA)から入手可能な不死化したヒト胚性腎臓細胞、ATCC No.CRL−1573)などの確立された細胞製品ラインから入手したものであってもよい。
【0058】
この方法で使用されるTLR8遺伝子は、種々の植物や、例えば、ヒト、げっ歯類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシまたはウサギなどの哺乳動物といった動物のなかの任意の1つから得てもよく、また、誘導されてもよい。
【0059】
本発明の方法で用いる細胞におけるTLR8の発現は、細胞内の自然の遺伝子発現から生じてもよい。自然にTLR8を発現する細胞としては、単球、マクロファージ、Bリンパ球、多形核白血球、樹状細胞が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。あるいは、TLR8の発現は、細胞の遺伝的変異から生じてもよい。そのように変異した細胞は、自然にTLR8を発現することもあり、また、TLR8の自然の発現を欠くこともある。例えば、非変異HEK293細胞は、検知できる程度にTLR8を発現しない。本発明の方法で用いる細胞におけるTLR8発現のレベルは、特定の製品ラインの細胞におけるTLR8の通常の発現レベルより、高くても、低くても、近似していても、あるいは、等しくてもよい。
【0060】
多くの異なるサイトカインおよび/またはマーカーを、上述した方法により分析評価することができる。適切な測定可能なサイトカインとしては、TNF−α、I型インターフェロン、IFN−γ、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、および、MCP−1が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。適切な測定可能なマーカーとしては、共刺激マーカー(例えば、CD40、CD80、CD86)、細胞間接着分子(ICAMs、例えばICAM−1、ICAM−2、ICAM−3など)、および、例えばCCR7などの成熟マーカーが挙げられる。
【0061】
上記のいずれかの方法または他の方法で、TLR8アゴニストまたはTLR8アンタゴニストとして同定された化合物は、TLR8介在細胞応答を引き出すために用いることができる。ここで使用されているように、「引き出す」という用語には、特定の細胞応答のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションが含まれる。上記方法のいずれかの方法または他の方法で、TLR8アゴニストまたはTLR8アンタゴニストとして同定された化合物は、また、TLR8介在細胞応答を調節(すなわち、アップレギュレーションまたはダウンレギュレーション)することによって治療可能な状態にある生体を治療するために使用することができる。
【0062】
本発明は、また、TLR8介在シグナル伝達経路を操作することによって、TLR8介在細胞応答を引き出す方法を提供する。本発明の方法により引き出される、あるTLR8介在細胞応答には、サイトカイン産生または共刺激マーカー産生の誘導が挙げられ、他の細胞応答には、あるサイトカインまたは共刺激マーカーの産生の抑制が挙げられる。
【0063】
本発明は、IRM応答性細胞に、少なくとも1つのTLR8介在細胞シグナル伝達経路に影響を及ぼすIRM化合物を投与することによって、IRM応答性細胞内に少なくとも1つのTLR8介在細胞応答を引き出す方法を提供する。
【0064】
IRM化合物としては、限定はされないが抗ウイルスおよび抗ガン活性といった有効な免疫調節活性を有する化合物が挙げられる。あるIRMは、サイトカインの産生と分泌を調節する。例えば、あるIRM化合物は、例えばI型インターフェロン、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1および/またはMCP−1などのサイトカインの産生と分泌を誘導する。別の例としては、あるIRM化合物は、IL−4、IL−5およびIL−13などのある種のTH2サイトカインの産生と分泌を抑制することができる。さらに、あるいくつかのIRM化合物はIL−1およびTNFを抑制すると言われている(米国特許第6,518,265号明細書)。
【0065】
あるIRMは、小さな有機分子であり(例えば、分子量約1000ダルトン未満、好ましくは約500ダルトン未満であり、例えば、蛋白質、ペプチドなどの大きな生体分子とは対照的である)、例えば、米国特許第4,689,338号明細書、同第4,929,624号明細書、同第4,988,815号明細書、同第5,037,986号明細書、同第5,175,296号明細書、同第5,238,944号明細書、同第5,266,575号明細書、同第5,268,376号明細書、同第5,346,905号明細書、同第5,352,784号明細書、同第5,367,076号明細書、同第5,389,640号明細書、同第5,395,937号明細書、同第5,446,153号明細書、同第5,482,936号明細書、同第5,693,811号明細書、同5,741,908号明細書、同5,756,747号明細書、同5,939,090号明細書、同6,039,969号明細書、同第6,083,505号明細書、同第6,110,929号明細書、同第6,194,425号明細書、同第6,245,776号明細書、同第6,331,539号明細書、同第6,376,669号明細書、同第6,451,810号明細書、同第6,525,064号明細書、同第6,545,016号明細書、同第6,545,017号明細書、同第6,558,951号明細書、同第6,573,273号明細書、同第6,656,938号明細書、同第6,660,735号明細書、同第6,660,747号明細書、同第6,664,260号明細書、同第6,664,264号明細書、同第6,664,265号明細書、同第6,667,312号明細書、同第6,670,372号明細書、同第6,677,347号明細書、同第6,677,348号明細書、同6,677,349号明細書、同6,683,088号明細書、欧州特許第0394026号明細書、米国特許出願公開第2002/0016332号明細書、同第2002/0055517号明細書、同第2002/0110840号明細書、同第2003/0133913号明細書、同第2003/0199538号明細書および同第2004/0014779号明細書、並びに、国際公開第02/102377号パンフレットおよび同03/103584号パンフレットに開示されている。
【0066】
小さな分子のIRMsの例としては、さらに、ある種のプリン誘導体(米国特許第6,376,501号明細書および同第6,028,076号明細書に記載されているものなど)、ある種のイミダゾキノリンアミド誘導体(米国特許6,069,149号明細書に記載されているものなど)、ある種のイミダゾピリジン誘導体(米国特許第6,518,265号明細書に記載されているものなど)、ある種のベンズイミダゾール誘導体(米国特許第6,387,938号明細書に記載されているものなど)、ある種の5員環窒素含有複素環に縮合した4−アミノピリミジンの誘導体(米国特許第6,376,501号明細書,同第6,028,076号明細書および同第6,329,381号明細書、並びに、国際公開第02/085905号パンフレットに記載されているアデニン誘導体など)、および、ある種の3−β−D−リボフラノシルチアゾロ[4,5−d]ピリミジン誘導体(米国特許出願公開第2003/0199461号明細書に記載されているものなど)が挙げられる。
【0067】
他のIRMsとしては、オリゴヌクレオチド配列などの生体分子が挙げられる。いくつかのIRMオリゴヌクレオチド配列は、シトシン−グアニンジヌクレオチド(CpG)を含み、これらは、例えば、米国特許第6,194,388号明細書、同第6,207,646号明細書、同第6,239,116号明細書、同第6,339,068号明細書および同第6,406,705号明細書に記載されている。いくつかのCpG含有オリゴヌクレオチドには、例えば米国特許第6,426,334号明細書および同第6,476,000号明細書に記載されているような合成免疫調節構造モチーフが含まれる。IRMヌクレオチド配列の他のものはCpGを含有しないが、これらは、例えば、国際公開第WO00/75304号パンフレットに記載されている。
【0068】
TLR8アゴニストとしての使用に適したIRM化合物としては、2−アミノピリジンを5員含窒素複素環と縮合させた化合物が挙げられる。そのような化合物としては、例えば、これらに限定されるものではないがアミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミンおよび6−,7−,8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミンといった置換イミダゾキノリンアミンなどのイミダゾキノリンアミン;これらに限定されるものではないがアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、複素環エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテルおよびチオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンなどのテトラヒドロイミダゾキノリンアミン;これらに限定されるものではないがアミド置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミド置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンアミン、アリールエーテル置換イミダゾピリジンアミン、複素環エーテル置換イミダゾピリジンアミン、アミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンエーテルおよびチオエーテル置換イミダゾピリジンアミンなどのイミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;並びに、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミンまたはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾダイマーなどが挙げられる。
【0069】
ある実施形態では、IRM化合物は、イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;6−,7−,8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミン;あるいは、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミンまたはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾダイマーである。
【0070】
ある実施形態では、IRM化合物は、置換イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン、6−、7−、8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミン;あるいは、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミンまたはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾダイマーである。
【0071】
ここで使用されているように、置換イミダゾキノリンアミンは、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、あるいは、6−、7−、8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミンである。ここで使用されているように、置換イミダゾキノリンアミンからは、1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンおよび4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールは明確に除外される。
【0072】
ある1つの特定の実施形態では、TLR8アゴニストはアミド置換イミダゾキノリンアミンである。代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはスルホンアミド置換イミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは尿素置換イミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはアリールエーテル置換イミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは複素環エーテル置換イミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはスルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは尿素置換イミダゾキノリンエーテルである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはチオエーテル置換イミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは6−,7−,8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミンである。
【0073】
別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはスルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはアリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは複素環エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはスルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテルである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはチオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミンである。
【0074】
別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはアミド置換イミダゾピリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはスルホンアミド置換イミダゾピリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは尿素置換イミダゾピリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはアリールエーテル置換イミダゾピリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは複素環エーテル置換イミダゾピリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはスルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは尿素置換イミダゾピリジンエーテルである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはチオエーテル置換イミダゾピリジンアミンである。
【0075】
別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは1,2−架橋イミダゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストは6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミンである。
【0076】
別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはイミダゾナフチリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはテトラヒドロイミダゾナフチリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはオキサゾキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはチアゾロキノリンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはオキサゾロピリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはチアゾロピリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはオキサゾロナフチリジンアミンである。別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはチアゾロナフチリジンアミンである。
【0077】
さらに別の代わりとなる実施形態では、TLR8アゴニストはピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミンまたはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾダイマーである。
【0078】
適切なIRM化合物には、また、プリン誘導体、小さな複素環化合物、アミド誘導体および上記オリゴヌクレオチド配列が含まれる。あるいは、本発明によるいくつかの方法で使用されているIRM分子には、本発明によるいくつかの方法を含む適切なTLR8アゴニスト同定法によりTLR8アゴニストとして同定された化合物が含まれる。
【0079】
いくつかの実施形態では、TLR8介在細胞応答には、例えばTNF−α、I型インターフェロン、IFN−γ、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、MCP−1またはこれらのあらゆる組み合わせなどの、少なくとも1つのサイトカインの産生が含まれる。別の実施形態では、TLR介在細胞応答には、NF−κBの活性化が含まれる。さらに別の実施形態では、TLR介在細胞応答には、少なくとも1つの共刺激マーカー、細胞間接着分子、成熟マーカーまたはこれらのあらゆる組み合わせの産生が含まれる。
【0080】
ある実施形態では、TLR8介在細胞応答は、試験管内で引き出される。例えば、TLR8応答性細胞は、(a)工学的に製造されるか、または、(b)被験体から収集され、試験管で培養される。TLR8アゴニストを試験管内の細胞培養に投与することより、TLR介在細胞応答が引き出される。あるいは、TLR8介在細胞応答は、TLR8アゴニストを被験体に直接投与することによって、生体内で引き出すことができる。
【0081】
適切なIRM応答性細胞としては、単球、マクロファージ、ランゲルハンス細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、多形核細胞(例えば、好中球、好塩基球または好酸球)、Bリンパ球およびこれらから誘導される細胞などの、自然にTLR8を発現する細胞が挙げられるが、これらに限定されるものではない。あるいは、適切なIRM応答性細胞としては、容易に検知可能なレベルのTLR8発現を自然には有していないが、検知可能なレベルのTLR8発現を示すように遺伝子的に変異させた細胞が挙げられる。例えば、HEK293細胞に、1つもしくはそれ以上の発現制御配列との操作可能な結合を有する、発現性のTLR8構造遺伝子を含むベクターを導入することができる。
【0082】
生体のTLR8経路の活性化は、少なくとも1つのサイトカインまたは少なくとも1つの共刺激マーカーの産生の増加または減少をもたらす。サイトカインまたは共刺激マーカーの量を制御する能力は、ある状態の治療に有用であることから、本発明は、また、これらの状態を治療する方法を提供する。ある実施形態では、1つもしくはそれ以上のサイトカインまたは共刺激マーカーの産生を誘導しつつ、1つもしくはそれ以上の別のサイトカインまたは共刺激マーカーの産生が抑制されるであろう。
【0083】
したがって、本発明は、TLR8介在細胞応答を調節することにより、治療可能な状態にある生体を治療する方法を提供する。その方法は、TLR8介在細胞内シグナル伝達経路を活性化するのに有効な量のTLR8アゴニストを生体に投与することを含む。TLR8アゴニストは、上記した化合物などの、TLR8アゴニストとして働くIRM化合物であればいかなるものであってもよい。
【0084】
この方法は、予防処置、治療処置またはその両者を提供する。ここで使用されているように、予防処置とは、症状が観察される前および/または身体状態の原因物質(例えば、病原体または発癌物質)への曝露が疑われる前に開始される処置をいう。一般に、予防処置によって、(a)処置を受ける被験体の状態が進行する可能性、並びに/あるいは、(b)被験体の状態が進行した場合における症状の持続期間および/または重篤度は減じられる。ここで使用されているように、治療処置とは、症状が観察された後および/または身体状態の原因物質への曝露が疑われた後に開始される処置をいう。一般に、治療処置によって、身体状態に伴う症状の重篤度および/または持続期間が減じられる。
【0085】
病気の処置が予防であるか治療であるかにかかわらず、また、免疫への影響が自然免疫に対するものであるか獲得免疫に対するものであるかにかかわらず、TLR8アゴニストは単独で、または、例えばワクチンアジュバントにおけるように、1つもしくはそれ以上の活性成分と組み合わされて投与される。他の成分と共に投与する場合、TLR8アゴニストおよび他の1つまたは複数の成分は、別々に投与してもよく、溶液のように一緒ではあるが独立して投与してもよく、あるいは、一緒であって、互いに(a)共有結合または(b)例えばコロイド懸濁液などの非共有結合で結びついた状態で投与してもよい。
【0086】
TLR8伝達経路の活性化は、また、サイトカインに応答する各種の障害の治療に有用である。TLR8伝達経路を活性化する薬剤は、TH1免疫応答を介して治療可能な病気または状態の治療(例えば、ウイルス性疾患、ある種の細菌性疾患および腫瘍)に特に有用であると考えられる。
【0087】
TLR8アゴニストが治療に使用される状態としては、これらに限定されるものではないが、
(a)例えば、アデノウイルス、疱疹ウイルス(例えば、HSV−I、HSV−II、CMV、VZV)、ポックスウイルス(例えば、天然痘あるいは牛痘、または伝染性軟属腫などのオルソポックスウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、鼻炎ウイルス、またはエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、およびRSウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えば、SARS)、パポバウイルス(例えば、性器いぼ、尋常性ゆうぜいまたは足底いぼをひき起こすウイルスなどの乳頭腫ウイルス)、ヘパドナウイルス(B型肺炎ウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肺炎ウイルス、デング熱ウイルス)、あるいは、レトロウイルス(例えば、HIVなどのレンチウイルス)の感染に起因する病気などのウイルス性疾患;
(b)例えば、エシェリキア属、エンテロバクター属、サルモネラ属、ブドウ球菌属、志賀赤痢菌属、リステリア属、好気菌属、ヘリコバクター属、クレブシエラ属、プロテウス属、シュードモナス属、連鎖球菌属、クラミジア属、マイコプラズマ属、肺炎球菌、ネイセリア属、クロストリジウム属、桿菌属、コリネバクテリウム属、マイコバクテリウム属、カンピロバクター属、ビブリオ属、セラチア属、プロビデンシア属、クロモバクテリウム属、ブルセラ属、イェルシニア属、ヘモフィルス属、またはボルデテラ属などの細菌の感染に起因する病気などの細菌性疾患;
(c)クラミジア、これらに限定されるものではないがカンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎などの真菌症、またはこれらに限定されるものではないがマラリア、ニューモシスティスカリーニ肺炎、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症およびトリパノソーマ感染症などの寄生虫病などの他の感染症;
(d)上皮内腫瘍、子宮頚部形成異常、光線性角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、腎細胞癌、カポ−ジ肉腫、メラノーマ、腎細胞癌、これらに限定されものではないが骨髄性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、毛様細胞性白血病などの白血病、および、他の癌などの新生物形成、並びに、
(e)アトピー性皮膚炎もしくは湿疹、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、全身性紅斑性狼瘡、本態性血小板血症、多発性硬化症、オーメン症候群、円盤状狼瘡、円形脱毛症、ケロイド形成や他のタイプの瘢痕の阻害、慢性創傷などの進行性創傷治癒などの、TH2介在性、アトピー性および自己免疫性疾患
が挙げられる。
【0088】
TLR8アゴニストは、また、ワクチンアジュバントとして、体液および/または細胞介在免疫応答を亢進させる物質と共に使用するのに有用であり、そのような物質としては、例えば、生きたウイルス性、細菌性もしくは寄生虫性免疫抗原;不活性化したウイルス性、腫瘍由来、原虫性、生体由来、真菌性もしくは細菌性免疫抗原、類毒素、毒素;自己抗原;多糖類;蛋白質;糖蛋白質;ペプチド;細胞ワクチン;DNAワクチン;組み換え蛋白質;糖蛋白質;ペプチドなどがあり、例えば、BCG、コレラ、ペスト、チフス、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、パラインフルエンザ、ポリオ、狂犬病、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、黄熱病、破傷風、ジフテリア、b型ヘモフィルスインフルエンザ、結核、髄膜炎球菌および肺炎球菌ワクチン、アデノウイルス、HIV、水痘、サイトメガロウイルス、デング熱、ネコの白血病、家禽ペスト、HSV−1およびHVS−2、豚コレラ、日本脳炎、RSウイルス、ロタウイルス、乳頭腫ウイルス、黄熱病、アルツハイマー病などと関連して使用する。
【0089】
TLR8アゴニストは、また、免疫機能が弱い個人に特に役立つ。例えば、TLR8アゴニストは、移植患者、癌患者、HIV患者などの細胞介在免疫が抑制された後に起こる、日和見性の感染症および腫瘍の治療に使用できる。
【0090】
TLR8介在細胞内シグナル伝達経路の活性化に有効なTLR8アゴニストの量は、モノサイト、マクロファージ、樹状細胞およびB細胞などの1種もしくはそれ以上の細胞タイプに対して、上記の1つもしくはそれ以上のTLR8介在細胞応答のようなTLR8介在細胞応答を引き起こすのに十分な量である。そのような応答を誘導するのに必要なTLR8アゴニストの正確な量は、この分野で知られた因子によって変化するが、約100ng/kg〜約50mg/kg、好ましくは約10μg/kg〜約5mg/kgであると考えられる。
【0091】
いくつかの実施形態では、TLR8アゴニストは、前記の小さな有機IRM分子、すなわち、前記のプリン誘導体、小さな複素環化合物、アミド誘導体およびオリゴヌクレオチド配列などの、既に知られたIRM化合物である。あるいは、本発明のいくつかの実施形態で使用されるTLR8アゴニストとしては、いくつかの本発明による方法を含むTLR8アゴニストの適切な同定方法によってTLR8として同定された化合物が挙げられる。
【0092】
TLR8アゴニストは、被験体への投与に適した剤型で提供することができる。好ましい剤型のタイプは、例えば、米国特許第5,736,553号明細書、同第5,238,944号明細書、同第5,939,090号明細書、同第6,365,166号明細書、同第6,245,776号明細書、同第6,486,186号明細書、欧州特許第EP0394026号明細書および米国特許出願公開第2003/0199538号明細書に記載されている。TLR8アゴニストは、いかなる適切な形態で提供されてもよく、そのような形態としては、溶液、懸濁液、エマルジョンまたは任意の形態の剤型が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。TLR8アゴニストは、薬学的に受容可能な賦形剤、担体またはビヒクルと共に製剤されて供給されうる。例えば、剤型は、例えば、クリーム、軟膏、エアロゾル配合、非エアロゾルスプレー、ゲル、ローションなどの従来から知られる局所投与の形態で供給されうる。製剤には、さらに、1つもしくはそれ以上の添加剤が含まれてもよく、例えば、アジュバント、皮膚浸透促進剤、着色剤、芳香剤、風味剤、保湿剤、増粘剤などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0093】
1つもしくはそれ以上の成分の組み合わせを含有する製剤は、例えば、経口または非経口などの好ましい方法で投与される。ここで使用されているように、経口とは、経口摂取など、消化経路を介してなされる投与をいう。非経口とは、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、経皮投与、皮下投与、経粘膜投与(例えば、吸入による)または局所投与などのように、消化経路と異なる経路を介してなされる投与をいう。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、TLR8アゴニストを、例えば、約0.0001%〜約10%(他に記載がなければ、ここで示す全てのパーセントは、製剤全体に対する重量/重量である)の配合で被験体に投与することを含むが、いくつかの実施形態では、この範囲外の濃度でTLR8アゴニストを与えるような配合で、TLR8アゴニストを投与する。ある実施形態における方法は、約0.01〜約1%のTLR8アゴニストを含有する製剤、例えば、約0.1〜約0.5%のTLR8アゴニストを含有する製剤を被験体に投与することを含む。
【0095】
ある状態を治療するのに有効なTLR8アゴニストの量は、所望の治療または予防の効果を与えるのに十分な量である。ある状態を治療するのに有効なTLR8アゴニストの正確な量は、この分野で知られた因子により変化し、そのような因子としては、その状態、TLR8アゴニストの物理的および化学的性質、担体の性質、予定された投与計画、被験体の免疫系の状態(例えば、抑制されている、弱い、刺激されている)、TLR8アゴニストを投与する方法、製剤が投与される種などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。したがって、ある状態を治療するのに有効なTLR8アゴニストの量を与える製剤の量を、あらゆる可能な適用に対して、一般的に記載することは、実際的ではない。しかしながら、当業者であれば、そのような因子を十分に考慮して、適切な量を容易に決定できる。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、例えば、約100ng/kg〜約50mg/kgの投与量を与えるのに十分なTLR8アゴニストを被験体に投与することを含むが、いくつかの実施形態の方法では、この範囲外の濃度でTLR8アゴニストが投与される。これらの実施形態のいくつかの方法では、約10μg/kg〜約5mg/kgの投与量、例えば、約100μg/kg〜約1mg/kgの投与量を被験体に与えるのに十分なTLR8アゴニストを投与することを含む。
【0097】
投与計画は、この分野で知られた多くの因子に少なくとも部分的に依存し、そのような因子としては、その状態、TLR8アゴニストの物理的および化学的性質、担体の性質、アゴニスト投与量、被験体の免疫系の状態(例えば、抑制されている、弱い、刺激されている)、TLR8アゴニストを投与する方法、製剤が投与される種などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。したがって、ある状態を治療するのに有効な投与計画を、あらゆる可能な適用に対して、一般的に記載することは、実際的ではない。しかしながら、当業者であれば、そのような因子を十分に考慮して、適切な量を容易に決定できる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態では、TLR8アゴニストは、例えば、1日に1回から複数回投与されるが、いくつかの実施形態では、この範囲外の頻度でTLR8アゴニストを投与することによって本発明の方法が実施される。ある実施形態では、例えば、TLR8アゴニストを1日に1回投与するなど、週に約1回から1日に約3回投与される。
【0099】
ある状態を治療される生体は、植物または動物であり、特に脊椎動物である。疾患を治療される好ましい生体は、ヒト、げっ歯類、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ヤギまたはウシなどの哺乳動物であるが、特にこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0100】
以下の実施例は、単に、本発明の特徴、利点および他の詳細をさらに詳しく説明するために選ばれたものである。しかしながら、これらの実施例はこの目的のために役立つもののであるが、使用されている特定の材料および量は、他の条件や詳細と同様に、本発明の範囲を過度に制限するものと解釈すべきでないことは明確に理解されなければならない。
【0101】
化合物
以下の実施例で使用されている化合物と各化合物の合成方法の参照を表1に示す。
【0102】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0103】
細胞
HEK293細胞−バージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Cultue Collection,Manassas,VA)から入手可能な不死化したヒト肺性腎臓細胞、ATCC No.CRL−1573。
【0104】
細胞培養培地/緩衝液
RPMI1640に、25mMのHEPESと、1mMのピルビン酸ナトリウムと、0.1mMの非必須アミノ酸と、1mMのL−グルタミン(ミネソタ州ミネアポリスのセロックス・ラボラトリーズ,インコーポレーティッド(Celox Laboratories、Inc.,Minneapolis,MN))とを混合し、10%の加熱不活性化したウシ胎児血清(FCS)(ユタ州ローガンのハイクローン・ラボラトリーズ、インコーポレーティッド(Hyclone Laboratories,Inc.,Logan,UT))と1%のペニシリン/ストレプトマイシン(ミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.,St Louis,MO))を補足して、完全なRPMIを調製した。
【0105】
カルシウムまたはマグネシウムを含まないダルベッコ燐酸緩衝生理食塩水(Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline)(DPBS、カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International,Camarillo,CA))に、0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)、0.2%のツイーン(Tween)および0.05%のアジ化合物を加えて、IGEN PBS緩衝液(IGEN PBS Buffer)を調製した。
【0106】
実施例1−HEK293細胞におけるTLR8の発現
2mMのLグルタミンと、1.5g/Lの炭酸水素ナトリウム、0.1mMの非必須アミノ酸および1.0mMのピルビン酸ナトリウムを含有するよう調製したアールの緩衝塩類溶液(Earle’s Balanced Salt Solution)(メリーランド州ロックビルのインビトロゲン・コーポレーション(Invitrogen Corp.,Rockville,MD))を含有する90%の最小必須培地(Minimum Essential Medium)(MEM)と10%の加熱不活性化ウシ胎児血清の中で、HEK293細胞を培養した。細胞は、37℃、8%CO2でインキュベートした。
【0107】
導入の24時間前に、HEK293細胞を37℃、8%CO2で、10cm皿(コーニング430167(Corning430167)、ニューヨーク州コーニングのコーニング・インコーポレーティッド(Corning Inc.,Corning、NY))に付着させた。細胞に、(1)(a)非修飾(HEK293−ベクター)または(b)ヒトTLR8(HEK293−TLR8)含有のpIRES(カリフォルニア州パロアルトのビーディー・バイオサイエンス・クローンテック(BD Biosciences Clontech,Palo Alto,CA))と、(2)NFkB−lucレポーター(カリフォルニア州ラホラのストラータジーン(Stratagene,La Jolla,CA))を10:1の割合で、フジーン6(Fugene 6)導入試薬(インディアナ州インディアナポリスのロシュ・ダイアグノスティックス・コーポレーション(Roche Diagnostics Corp.,Indianapolis,IN))を使用し、製造者の説明書にしたがって同時導入させた。導入後、皿を24時間インキュベートし、その後、G−418(400μg/mL)中で2週間の選択を行った。刺激実験のために、TLR8または空ベクターを含有するG−418耐性細胞を、G−418を補足したHEK293培地に展開した。
【0108】
導入細胞を、100μLのHEK293培地を入れた白色不透明の96ウエルプレート(コスター3917(Coster3917)、ニューヨーク州コーニングのコーニング・インコーポレーティッド(Corning Inc.,Corning,NY))で、1ウエル当たり5×104個の濃度で培養し、37℃、8%CO2中で4時間インキュベートした。濃度1mMのIRM化合物のDMSO溶液(最終のIRM濃度は10μM)1μL、または、コントロールとしてDMSO1μLにより細胞を刺激した。その後、37℃、5%CO2中で、さらに16時間、プレートをインキュベートした。LMAXルミノメーター(カリフォルニア州サニーヴェールのモレキュラー・デバイシズ・コーポレーション(Molecular Devices Corp.,Sunnyvale,CA))で蛍光を測定した。
【0109】
【表5】

【0110】
実施例2−TLR8アゴニストによる単球の刺激
pH8.0の0.5MのEDTA(ニューヨーク州グランドアイランドのギブコ(Gibco,Grand Island,NY))750μLが入った60mLシリンジに全血を採取した。血液を、カルシウムまたはマグネシウムを含まないダルベッコ燐酸緩衝生理食塩水(Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline)(DPBS、カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International,Camarillo,CA))で1:1の希釈を行い、ヒストパクー1077(Histopaque−1077)(ミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.,St Louis,MO))を被せた。細胞を、25℃、2000RPMで30分間遠心分離した。軟膜層を分離し、25℃、1350RPMで10分間、DPBSにより3回洗浄した。
【0111】
ミルテニーのマイクロビーズ技術システム(Miltenyi Microbead technology system)(カリフォルニア州オーバーンのミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi Bio Tec,Auburn,CA))を使用して、PBMCから単球を分離した。PBMCを、107の全細胞当たり60μlの4℃分離緩衝液(PBS−pH7.2、0.5%BSA−2.5gm、2mM 0.5M EDTA)中に再懸濁させた。CD14+マイクロビーズ(カタログ番号130−050−201、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi Bio Tec))およびFcRブロッキング試薬(FcR Blocking Reagent)(カタログ番号130−059−901、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi Bio Tec))を、107の全細胞当たりそれぞれ20μL加え、4℃で15分間インキュベートした。細胞を、25℃、1350RPMで10分間遠心分離し、108の全細胞当たり500μLの分離緩衝液中に再懸濁させた。その後、トップに予備分離フィルター(カタログ番号130−041−407、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi Bio Tec))を備えたLS+カラム(カタログ番号130−042−401、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi Bio Tec))に細胞を加え、分離緩衝液で3回洗浄した。陰性細胞をカラムに通過させた。カラムに保持された細胞を、5mLの分離緩衝液で、無菌の15mLポリスチレンコニカルチューブに溶出した。CD14+細胞を、25℃、1350RPMで10分間遠心分離し、2×106細胞/mLでX−VIVO20(メリーランド州ウォーカーズビルのバイオ・フイッタッカー(Bio Whittaker,Walkersville,MD))中に再懸濁させた。
【0112】
ジメチルスルホキシド(DMSO、無菌細胞培養グレード、ミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))中に溶解した化合物を、最終濃度の2倍の濃度、60μMで、96ウエルの平坦底面無菌組織培養用ポリスチレンプレート(ニュージャージー州フランクリンレークスのベントン・ディッキンソン・ラブウェア(Benton Dickinson Labware,Franklin Lakes,NJ))に加え、1:3の希釈を連続的に行って、0.02μMにまで希釈した。その後、最終濃度の2倍の濃度(最終細胞濃度は1×106個/mL)で細胞を加えた。TLR8を活性化させないものとして同定されたIRM化合物、IRM16、を使用した陰性コントロールを参照用に加えた。プレートを、37℃、5%CO2中で16〜24時間インキュベートした。インキュベート後、プレートを25℃、1000RPMで10分間遠心分離した。上澄みを、0.75mL無菌ポリプロピレンマトリックスボックス(Matrix box)(ニューヨーク州ハドソンのマトリックス(Matrix,Hudson、NY))に移し、その後のサイトカインの分析のために−20℃で保存した。
【0113】
IGEN分析法を使用して、IL−12の分析を行った。分析を行う2時間より前に、M−280ストレプタビジンダイナビーズ(M−280 Streptavidin Dynabeads)の1:20希釈液をIGEN緩衝液中で調製した。また、IGEN緩衝液中でビオチン化IL−12抗体(カタログ番号AHC7129、カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International,Camarillo,CA))の1μg/mL溶液を調製した。1:20ダイナビーズ溶液(Dynabeads solution)とビオチン化抗体溶液を混合し、室温で30分間インキュベートし、その後、分析を行うまで4℃で保存した。
【0114】
分析を行うために、50μLのダイナビーズ(Dynabeads)/ビオチン化抗体溶液を、96ウエルプレートの各ウエルに加えた。次に、1μg/mLのオリタグでラベルしたIL−12抗体(Ori−tagged IL−12 antibody)(カタログ番号8122、(カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International,Camarillo,CA))のIGEN緩衝液溶液25μLを各ウエルに加えた。標準希釈体または実験試料を含有する試料25μLを各ウエルに加えた。
【0115】
プレートシール材料で覆った96ウエルプレートをタッピングし、各ウエルの内容物を混合した後、室温で2.5時間インキュベートした。
【0116】
インキュベート後、200μLの全アッセイ容積に対して、各ウエルに100μLのIGEN PBS緩衝液(IGEN PBS Buffer)を加え、hIL−12プロトコルを使用して、IGEN M−8アナライザー(IGEN M−8 Analyzer)(メリーランド州のガイザースバーグのIGEN・インターナショナル・インコーポレーティッド(IGEN International Inc.,Gaithersburg,MD))で測定した。
【0117】
TNF分析を、(1)ビオチン化抗体溶液を、IGEN緩衝液中で、2μg/mLのビオチン化TNF抗体(カタログ番号AHC3419、カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International,Camarillo,CA))から調製したこと、(2)オリタグ付抗体(Ori‐tagged antibody)がTNF抗体(カタログ番号AHC3712、カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International,Camarillo,CA))であること、および、(3)アッセイをhTNFプロトコルを使用して、IGEN M−8アナライザー(IGEN M−8 Analyzer)で測定したことを除いて、IL−12分析に用いたと同様のIGEN分析法を使用して実施した。
【0118】
結果を図1および図2に示す。
【0119】
実施例3−TLR8アゴニストによる単球由来樹状細胞の刺激
pH8.0の0.5MのEDTA(ニューヨーク州グランドアイランドのギブコ(Gibco,Grand Island,NY))750μLが入った60mLシリンジに全血を採取した。血液を、カルシウムまたはマグネシウムを含まないダルベッコ燐酸緩衝生理食塩水(Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline)(DPBS、カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International,Camarillo,CA))で1:1希釈の行い、ヒストパクー1077(Histopaque−1077)(ミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.,St Louis,MO))を被せた。細胞を、25℃、2000RPMで30分間遠心分離し、軟膜層を分離し、25℃、1350RPMで10分間、DPBSにより3回洗浄した。
【0120】
ミルテニーのマイクロビーズ技術システム(Miltenyi Microbead technology system)(カリフォルニア州オーバーンのミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi BioTec,Auburn,CA))を使用して、PBMCからモノサイトを分離した。PBMCを、107の全細胞当たり60μlの4℃分離緩衝液(PBS−pH7.2、0.5%BSA−2.5gm、2mM 0.5M EDTA)中に再懸濁させた。CD14+マイクロビーズ(カタログ番号130−050−201、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi BioTec))およびFcRブロッキング試薬(FcR Blocking Reagent)(カタログ番号130−059−901、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi BioTec))を、107の全細胞当たりそれぞれ20μL加え、4℃で15分間インキュベートした。細胞を、25℃、1350RPMで10分間遠心分離し、108の全細胞当たり500μLの分離緩衝液中に再懸濁させた。その後、トップに予備分離フィルター(カタログ番号130−041−407、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi Bio Tec))を備えたLS+カラム(カタログ番号130−042−401、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi Bio Tec))に細胞を加え、分離緩衝液で3回洗浄した。陰性細胞をカラムに通過させた。カラムに残った細胞を、5mLの分離緩衝液で、無菌の15mLポリスチレンコニカルチューブに溶出した。CD14+細胞を、25℃、1350RPMで10分間遠心分離し、cRPMI(RPMI1640、ミネソタ州セントポールのセロックス・ラボラトリーズ・インコーポレーティッド(Celox Laboratories,Inc.,St.Paul,MN);10%の加熱不活性化FBS、コロラド州フォートコリンズのアトラス(Atlas,Ft. Collins,CO)および0.1%のゲンタミシン、シグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.))中に再懸濁させた。CD14+細胞を、1×106個/mLで、適当な容積の組織培養フラスコ(ニュージャージー州フランクリンレークスのベントン・ディッキンソン・ラブウェア(Benton Dickinson Labware,Franklin Lakes,NJ))に、cRPMI、rIL−4(バイオソース・インターナショナル(Biosource International))、rGM−CSF(バイオソース・インターナショナル(Biosource International))およびTGFβ(ミネソタ州ミネアポリスのアール・アンド・ディー・システムズ・インコーポレーティッド(R&D Systems Inc.,Minneapolis,MN))とともに入れ、37℃、5%CO2で5〜7日間培養した。
【0121】
細胞をフラスコから回収し、25℃、1350RPMで10分間遠心分離し、2×106個/mLでcRPMI中に再懸濁させた。ジメチルスルホキシド(DMSO、無菌細胞培養グレード、ミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))中に溶解した化合物を、最終濃度の2倍の濃度、20μMで、96ウエルの平坦底面無菌組織培養用ポリスチレンプレート(ニュージャージー州フランクリンレークスのベントン・ディッキンソン・ラブウェア(Benton Dickinson Labware,Franklin Lakes,NJ))に加え、1:3の希釈を連続的に行って、0.6μMにまで希釈した。その後、最終濃度の2倍の濃度(最終細胞濃度は1×106個/mL)で細胞を加えた。TLR8を活性化させないものとして同定されたIRM化合物、IRM16、を使用した陰性コントロールを参照用に加えた。プレートを、37℃、5%CO2中で16〜24時間インキュベートした。インキュベート後、プレートを、25℃、1000RPMで10分間遠心分離した。上澄みを、0.75mL無菌ポリプロピレンマトリックスボックス(Matrix box)(ニューヨーク州ハドソンのマトリックス(Matrix,Hudson、NY))に移し、その後のサイトカインの分析のために−20℃で保存した。
【0122】
サイトカインの分析を、実施例2で記載したように行った。結果を図3および図4に示す。
【0123】
実施例4−TLR8アゴニストによるマクロファージの刺激
pH8.0の0.5MのEDTA(ニューヨーク州グランドアイランドのギブコ(Gibco,Grand Island,NY))750μLが入った60mLシリンジに全血を採取した。血液を、カルシウムまたはマグネシウムを含まないダルベッコ燐酸緩衝生理食塩水(Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline)(DPBS、カリフォルニア州カマリロのバイオソース・インターナショナル(Biosource International,Camarillo,CA))で1:1の希釈を行い、ヒストパクー1077(Histopaque−1077)(ミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.,St Louis,MO))を被せた。細胞は、25℃、2000RPMで30分間遠心分離した。軟膜層を分離し、25℃、1350RPMで10分間、DPBSにより3回洗浄した。
【0124】
ミルテニーのマイクロビーズ技術システム(Miltenyi Microbead technology system)(カリフォルニア州オーバーンのミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi BioTec,Auburn,CA))を使用して、PBMCから単球を分離した。PBMCを、107の全細胞当たり60μlの4℃分離緩衝液(PBS−pH7.2、0.5%BSA−2.5gm、2mM 0.5M EDTA)中に再懸濁させた。CD14+マイクロビーズ(カタログ番号130−050−201、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi BioTec))およびFcRブロッキング試薬(FcR Blocking Reagent)(カタログ番号130−059−901、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi Bio Tec))を、107の全細胞当たりそれぞれ20μL加え、4℃で15分間インキュベートした。細胞を、25℃、1350RPMで10分間遠心分離し、108の全細胞当たり500μLの分離緩衝液中に再懸濁させた。その後、トップに予備分離フィルター(カタログ番号130−041−407、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi BioTec))を備えたLS+カラム(カタログ番号130−042−401、ミルテニー・バイオ・テック(Miltenyi BioTec))に細胞を加え、分離緩衝液で3回洗浄した。陰性細胞をカラムに通過させた。カラムに残った細胞を、5mLの分離緩衝液で、無菌の15mLポリスチレンコニカルチューブに溶出した。CD14+細胞を、25℃、1350RPMで10分間遠心分離し、cRPMI(RPMI1640、ミネソタ州セントポールのセロックス・ラボラトリーズ・インコーポレーティッド(Celox Laboratories,Inc.,St.Paul,MN);10%の加熱不活性化FBS、コロラド州フォートコリンズのアトラス(Atlas,Ft. Collins,CO)および0.1%のゲンタミシン、シグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.))中に再懸濁させた。CD14+細胞は、1×106個/mLで、適当な容積の組織培養フラスコ(ニュージャージー州フランクリンレークスのベントン・ディッキンソン・ラブウェア(Benton Dickinson Labware,Franklin Lakes,NJ))に、cRPMIおよびGM−CSF(アール・アンド・ディー・システムズ・インコーポレーティッド(R&D Systems Inc.))とともに入れ、37℃、5%CO2で5〜7日間培養した。
【0125】
細胞をフラスコから回収し、25℃、1350RPMで10分間遠心分離し、2×106個/mLでcRPMI中に再懸濁させた。ジメチルスルホキシド(DMSO、無菌細胞培養グレード、ミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))中に溶解した化合物を、最終濃度の2倍の濃度、20μMで、96ウエルの平坦底面無菌組織培養用ポリスチレンプレート(ニュージャージー州フランクリンレークスのベントン・ディッキンソン・ラブウェア(Benton Dickinson Labware,Franklin Lakes,NJ))に加え、1:3の希釈を連続的に行って、0.6μMにまで希釈した。その後、最終濃度の2倍の濃度(最終細胞濃度は1×106個/mL)で細胞を加えた。TLR8を活性化させないものとして同定されたIRM化合物、IRM16、を使用した陰性コントロールを参照用に加えた。プレートは、37℃、5%CO2中で16〜24時間インキュベートした。インキュベート後、プレートを、25℃、1000RPMで10分間遠心分離した。上澄みを、0.75mL無菌ポリプロピレンマトリックスボックス(Matrix box)(ニューヨーク州ハドソンのマトリックス(Matrix,Hudson、NY))に移し、その後のサイトカインの分析のために−20℃で保存した。
【0126】
サイトカインの分析は、実施例2で記載したように行った。結果を図5および図6に示す。
【0127】
実施例5−TLR8アゴニストは、HEK293細胞において用量依存TLR8介在細胞応答を誘発する
実施例1に記載したようにしてHEK293細胞への導入を行った。HEK293培養細胞を、濃度0.1μM、0.3μM、1.0μM、3.0μM、10μM、30μM、または、ビヒクルコントロールの、IRM化合物または陰性コントロール化合物(1,5−ジヒドロ−1−(2−メチルプロピル)−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン、米国特許第4,698,348号明細書、実施例71)と共にインキュベートした。培養細胞を、その他の点では実施例1に記載したようにしてインキュベートした。ルシフェラーゼシグナルを、実施例1に記載したようにしてRLU(相対ルシフェラーゼ単位)で読み取った。結果を図7〜図11および表3に示す。
【0128】
【表6】

【表7】

【表8】

【0129】
当業者には、本発明の範囲と精神から逸脱することなくなされる、本発明に対する種々の修正や変更が明らかとなるであろう。説明用の実施形態や実施例は、単に例としてのみ提供されるものであって、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、次述する特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】TLR8アゴニストによるヒト単球内のTNF−αの誘導を示す線グラフである。
【図2】TLR8アゴニストによるヒト単球内のIL−12の誘導を示す線グラフである。
【図3】TLR8アゴニストによるヒト単球由来樹状細胞内のTNF−αの誘導を示す線グラフである。
【図4】TLR8アゴニストによるヒト単球由来樹状細胞内のIL−12の誘導を示す線グラフである。
【図5】TLR8アゴニストによるヒトマクロファージ内のTNF−αの誘導を示す線グラフである。
【図6】TLR8アゴニストによるヒトマクロファージ内のIL−12の誘導を示す線グラフである。
【図7】ある種のTLR8アゴニストによるHEK293細胞内のTLR8の活性化を示す線グラフである。
【図8】ある種のTLR8アゴニストによるHEK293細胞内のTLR8の活性化を示す線グラフである。
【図9】ある種のTLR8アゴニストによるHEK293細胞内のTLR8の活性化を示す線グラフである。
【図10】ある種のTLR8アゴニストによるHEK293細胞内のTLR8の活性化を示す線グラフである。
【図11】ある種のTLR8アゴニストによるHEK293細胞内のTLR8の活性化を示す線グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TLR8発現細胞内でTLR8介在細胞応答を引き出す方法であって、以下のステップ:
TLR8アゴニストとして同定された化合物を選択すること;および
少なくとも1つのTLR8介在細胞シグナル伝達経路に影響を与える量の前記化合物を前記細胞に投与すること;
を含み、
ここで、前記TLR8アゴニストが、置換イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;6−,7−,8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミン;あるいは、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミンまたはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾダイマーである、前記方法。
【請求項2】
前記細胞が、単球、マクロファージ、樹状細胞、Bリンパ球、ナチュラルキラー細胞、多形核細胞またはこれらから誘導される細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞応答が、NF−κBの活性化、少なくとも1つのサイトカインの産生、少なくとも1つの共刺激マーカーの産生またはこれらのあらゆる組み合わせのいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
TLR8介在細胞応答を調節することによって治療可能な状態を有する生体を治療する方法であって、以下のステップ:
TLR8アゴニストとして同定された化合物を選択すること;および
TLR8介在細胞シグナル伝達経路を調節するのに有効な量の前記化合物を前記生体に投与すること;
を含み、
ここで、前記TLR8アゴニストが、置換イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;6−,7−,8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミン;あるいは、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミンまたはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾダイマーである、前記方法。
【請求項5】
前記生体が哺乳動物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記哺乳動物がヒトである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記状態が新生物形成疾患である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記状態がTH2介在疾患である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記状態が、喘息、アレルギー性鼻炎またはアトピー性皮膚炎である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記状態が、ウイルス性疾患、細菌性疾患、寄生虫病、原虫病またはプリオン介在疾患である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記IRM化合物が、NF−κB活性、少なくとも1つのサイトカインの産生、少なくとも1つの共刺激マーカーの産生、細胞間接着分子の産生、成熟マーカーの産生またはこれらのあらゆる組み合わせのいずれかを調節する、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
TLR8アゴニストを同定する方法であって、以下のステップ:
a)TLR8陽性細胞培養を試験化合物に曝露し、TLR8介在細胞応答を測定すること;
b)TLR8陰性細胞培養を試験化合物に曝露し、TLR8介在細胞応答を測定すること;および
c)前記TLR8陽性細胞培養の細胞応答が前記TLR8陰性細胞培養の細胞応答より大きいとき、上記試験化合物をTLR8アゴニストとして同定すること;
を含む、前記方法。
【請求項13】
前記TLR8陰性細胞培養が、TLR8のドミナントネガティブ変異体を発現する細胞を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記TLR8陰性細胞培養が、TLR8に対して産生された抗体を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記TLR8陽性細胞培養が、TLR8を過剰発現する細胞を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記TLR8陽性細胞培養の細胞応答が前記TLR8陰性細胞培養の細胞応答より少なくとも20%大きいとき、上記試験化合物をTLR8アゴニストとして同定する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記TLR8陽性細胞培養の細胞応答が前記TLR8陰性細胞培養の細胞応答より少なくとも50%大きいとき、上記試験化合物をTLR8アゴニストとして同定する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記TLR8陽性細胞培養の細胞応答が前記TLR8陰性細胞培養の細胞応答より少なくとも80%大きいとき、上記試験化合物をTLR8アゴニストとして同定する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記TLR8介在細胞応答が、NF−κBの活性化、少なくとも1つのサイトカインの産生、少なくとも1つの共刺激マーカーの産生またはこれらのあらゆる組み合わせのいずれかを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
請求項12に記載の方法によりTLR8アゴニストとして同定された化合物。
【請求項21】
薬学的に受容可能な担体と組み合わされたTLR8アゴニストを含む医薬組成物。
【請求項22】
TLR8アンタゴニストを同定する方法であって、以下のステップ:
a)第1のIRM応答性細胞培養をTLR8アゴニストに曝露し、TLR8介在細胞応答を測定すること;
b)第2のIRM応答性細胞培養をTLR8アゴニストおよび試験化合物に曝露し、TLR8介在細胞応答を測定すること;および
c)前記第1の細胞培養の細胞応答が前記第2の細胞培養の細胞応答より大きいとき、上記試験化合物をTLR8アンタゴニストとして同定すること;
を含む、前記方法。
【請求項23】
前記TLR8アゴニストが、置換イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;6−,7−,8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミン;あるいは、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミンまたはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾダイマーである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法によりTLR8アンタゴニストとして同定された化合物。
【請求項25】
薬学的に受容可能な担体と組み合わされたTLR8アンタゴニストを含む医薬組成物。
【請求項26】
TLR8介在細胞シグナル伝達経路を活性化させる化合物を同定するためのTLR8のドミナントネガティブ変異体の使用。
【請求項27】
TLR8の活性化を検知する分析評価法におけるIRM化合物の陽性コントロールとしての使用であって、前記IRM化合物が、置換イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;6−,7−,8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミン;あるいは、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミンまたはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾダイマーを含む、前記使用。
【請求項28】
TLR8発現細胞内でTLR8介在細胞応答を引き出す方法であって、以下のステップ:
TLR8アンタゴニストとして同定された化合物を選択すること;および
少なくとも1つのTLR8介在細胞シグナル伝達経路に影響を与える量の前記化合物を前記細胞に投与すること;
を含み、
ここで、前記TLR8アンタゴニストが、置換イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;6−,7−,8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミン;あるいは、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミンまたはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾダイマーである、前記方法。
【請求項29】
TLR8介在細胞応答を調節することによって治療可能な状態を有する生体を治療する方法であって、以下のステップ:
TLR8アンタゴニストとして同定された化合物を選択すること;および
TLR8介在細胞シグナル伝達経路を調節するのに有効な量の前記化合物を前記生体に投与すること;
を含み、
ここで、前記TLR8アンタゴニストが、置換イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;6−,7−,8−もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミン;あるいは、ピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミンまたはテトラヒドロナフチリジンアミンと縮合した1H−イミダゾダイマーである、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−517974(P2006−517974A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503575(P2006−503575)
【出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/004353
【国際公開番号】WO2004/071459
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】