説明

LED基板装置、LEDプリントヘッドおよび画像形成装置

【課題】製造工程における加熱冷却により、LED基板の平面度が悪化(歪む)することを防止した基板を提供する。
【解決手段】表面にベタパターンが形成され、裏面に同一の幅寸法の配線パターンが形成された長尺なベアボード9と、ベタパターン上に、直線状または千鳥状に固定されたLEDアレイチップとを備えたLED基板装置において、配線パターン16は、3本以上の組に分けられ、組内でベアボード9の短手方向に等間隔に並べられており、表面に形成されたベタパターンに対応する裏面11のエリアにおける配線パターンが形成されていない部分に、ダミーパターン21がベアボード9の長手方向に沿って形成され、ダミーパターン21の幅寸法は、配線パターンの幅寸法と同一であり、ダミーパターン21は、ベアボード9の短手方向に配線パターンの間隔と同一の間隔で形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザープリンタやデジタル複写機等の画像形成装置、当該画像形成装置に用いられるLEDプリントヘッド、およびLEDプリントヘッドに用いられるLED基板装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置の感光体ドラム等の静電潜像担持体に画像の静電潜像を形成するために、LEDアレイチップとレンズアレイを主要な構成要素とするLEDプリントヘッドが用いられている。
【0003】
このLEDプリントヘッドは、複数の発光ダイオード(LED)を有するLEDアレイチップを実装(固定)した長尺なLED基板装置と、このLED基板装置を固定した長尺なハウジングと、LEDアレイチップと対向してハウジングに固定した長尺なレンズアレイとを備えたものがある(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
このLEDプリントヘッドは、感光体ドラムの表面に精度良く静電潜像を形成ために、結像点のバラツキをできるだけ少なくする必要がある。
ここで、結像点とは、LEDアレイチップの複数のLED(発光点)から出射した光がレンズアレイを通って収束した点(焦点)をいう。
【0005】
この結像点のバラツキを小さくするために一般的に採用される手段は、LED基板装置を固定するハウジングの平面度および真直度を高精度にし、この高精度を長期に亘り維持することである。このため、特許文献1および特許文献2に記載されたLEDプリントヘッドは、ハウジングと剛体を一体成形している。また、特許文献3および4に記載されたLEDプリントヘッドは、ハウジングの光軸方向の高さを高くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−289843号公報
【特許文献2】特開2005−193638号公報
【特許文献3】特開2000−141744号公報
【特許文献4】特開平11−266037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記した先行技術は、LED基板装置の平面度が悪いことを前提にしたものであり、LED基板装置の平面度の悪さ自体を改善するものではなかった。
【0008】
この点についてさらに詳述する。
LED基板装置に用いられるベアボードは、コスト面の制約、生産性等から汎用的なガラスエポキシ基材(例えば、FR−4)を用いたプリント基板を採用することが一般的である。ここで、ガラスエポキシ基材とは、ガラス布基材エポキシ樹脂に、銅箔を貼り付けた構造のものをいう。
【0009】
LED基板装置は、かかるベアボードにLEDアレイチップ等が実装して製造されるが、その際に、加熱冷却が繰り返される。例えば、LEDアレイチップを搭載し、銀ペーストを硬化させる際のキュア工程で110℃、90分、ドライバ等の電子部品の搭載工程で250℃、5秒等である。
【0010】
このように、LED基板装置の製造工程において、加熱冷却が繰り返されることにより、LED基板装置の平面度が悪化(歪む、反る、曲がる)する。この原因は、ベアボードを構成するガラスエポキシ基材と、このガラスエポキシ基材に貼り付けられている銅箔の熱膨張特性、収縮特性の違いよるものである。
【0011】
LED基板装置の平面度が悪いと、LEDアレイチップの光軸のズレの原因となり、LEDプリントヘッドの印字品質上、重大な問題となる。また、LEDアレイチップ搭載後のワイヤー接続(ワイヤーボンディング)工程等での歩留まりを著しく劣化させることにもなる。
【0012】
本発明は、前記した問題を解決するためになされたものであって、配線パターンが形成されていないエリアにダミーパターンを設けるという簡単な構成により、LED基板装置の加熱冷却による平面度への悪影響を排除し、LED基板装置、ひいてはLEDプリントヘッドのコストダウンと歩留まり向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(第1発明)
第1発明に係るLED基板装置は、表面においてベタパターンが長手方向に沿って形成され、裏面において同一の幅寸法の複数の配線パターンが主に長手方向に沿って形成された長尺なベアボードと、このベタパターン上に、直線状または千鳥状に固定された複数のLEDアレイチップと、を備えたLED基板装置に関するものである。
【0014】
ここで、ベタパターンとは、一般のプリント配線基板における電源パターン、グランドパターン等で用いられる面積の広い銅箔等の部分を示すものではなく、LEDアレイチップが直線状または千鳥状に実装される直線状の面積の広い銅箔等の部分をいう。
【0015】
ベアボードの表面に形成された複数の配線パターンは、3本以上の複数の組に分けられ、この組内で主にベアボードの短手方向に等間隔に並べられたものである。そして、少なくとも、ベアボードの表面に形成されたベタパターンに対応する裏面のエリアにおける配線パターンが形成されていない部分に、複数のダミーパターンがベアボードの長手方向に沿って形成されたものである。さらに、このダミーパターンの幅寸法は、配線パターンの幅寸法と同一であり、かつ、このダミーパターンは、ベアボードの短手方向に配線パターンの間隔と同一の間隔で形成されたものである。
【0016】
ここで、配線パターンとは、ベアボード上に実装(固定)されたLEDアレイチップ、IC(集積回路)等の電子部品と、当該ベアボートおよび/または他のベアボード等に実装(固定)された電子部品を電気的に接続するパターンをいう。すなわち、LED基板装置に関して言えば、LEDアレイチップのオン(発光)/オフ(非発光)動作に直接関与するパターンのことである。
【0017】
これに対し、ダミーパターンとは、配線パターンのような電子部品間の電気的接続(結線)を目的とするものではない、ベアボード上に付加的に形成された絵柄または模様のパターンをいう。すなわち、LED基板装置に関して言えば、LEDアレイチップのオン/オフ動作に直接関与することのないパターンのことである。尚、前記した配線パターン、ダミーパターンおよびベタパターンは、銅箔等の同じ材質で構成されていることが望ましい。
【0018】
LED基板装置の表面に形成されたベタパターンは、LEDアレイチップが固定されるため、LED基板装置においては最も重要な部分であり、ベタパターンの平面度は高精度に保たれなければならない。
【0019】
前記した構成により、少なくともベタパターンに対応する裏面のエリアの配線パターンの密度(配線パターンのレイアウト)を略均一化できるため、LED基板装置のLEDアレイチップが実装される最も重要な部分は、LED基板装置の製造工程での加熱冷却による平面度の悪化を抑制できる(高い平面度を維持できる)。また、ダミーパターンをLED基板装置の裏面の略全域(略全面)に設けることにより、LED基板装置全体の高い平面度を維持することができる。
【0020】
(第2発明)
第2発明に係るLED基板装置は、第1発明において、配線パターンの幅寸法と、配線パターンの間隔を同一にしたものである。
【0021】
かかる構成により、配線パターンおよびダミーパターンの密度(レイアウト)を第1発明よりも均一化できるので、前記した第1発明の効果をさらに向上させることができる。つまり、少なくとも表面のベタパターンに対応する裏面のエリアにおける配線パターンおよびダミーパターンの構成が一定パターンの繰り返しになるため、LED基板装置の製造工程での加熱冷却による、LED基板装置の平面度の悪化をさらに抑制できる。
【0022】
(第3発明)
第3発明に係るLED基板装置は、第1発明または第2発明において、ダミーパターンの全部または一部は、ベアボードの短手方向に沿って形成された一または複数の第2のダミーパターンによって接続(連結)されたものである。
【0023】
かかる構成により、ベアボードの電源パターンとグランドパターンを接続するバイパスコンデンサの充電/放電に伴い発生する磁界による逆起電力を打ち消すことができるので、LED基板装置が発生するノイズを少なくすることができるという効果がある。
【0024】
(第4発明)
第4発明に係るLED基板装置は、第1発明、第2発明または第3発明において、ダミーパターンがアースに接続されたものである。
【0025】
かかる構成により、ダミーパターンがLED基板装置における少なくともベタパターンが形成されたエリアの高い平面度の維持に資するのみならず、ノイズ対策(ノイズを吸収)にもなるという効果がある。
【0026】
(第5発明)
第5発明のLED基板装置は、第1発明から第4発明のいずれか1つの発明において、ベアボードの裏面には本体部の両側(両側面)からリードが突出した電子部品が実装されており、この本体部に対向する裏面の一部にダミーパターンが延長して形成されたものである。
【0027】
かかる構成により、電子部品から発生した熱をダミーパターンに伝えることができるので、ダミーパターンから効率的に放熱することができる。このため、電子部品の発熱が原因となるLEDアレイチップの発光点の光量の低下を防止することができる。
【0028】
(第6発明)
第6発明に係るLEDプリントヘッドは、複数のロッドレンズを整列配置したレンズアレイと、このレンズアレイを固定したハウジングと、このレンズアレイの一方のレンズ面とLEDアレイチップが対向するように、ハウジングに固定した第1発明から第5発明のいずれか1つの発明のLED基板装置とを備えたものである。
【0029】
かかる構成により、LED基板装置の平面度が高いので、結像点のバラツキが非常に小さいLEDプリントヘッドを提供できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、製造工程において加熱冷却されても高い平面度を維持できるLED基板装置を提供できる。また、このLED基板装置の平面度が高いので、結像点のバラツキが非常に小さいLEDプリントヘッドを提供できる。さらに、このLEDプリントヘッドを用いた画像形成装置は、高品質な画像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】LEDプリントヘッドの平面図(実施例1)
【図2】LEDプリントヘッドの斜視図(実施例1)
【図3】LEDプリントヘッドの断面図(実施例1)
【図4】LED基板装置の平面図(実施例1)
【図5】LED基板装置の表面の斜視図(実施例1)
【図6】LED基板装置の裏面の斜視図(実施例1)
【図7】LED基板装置の裏面の斜視図(実施例1)
【図8】LED基板装置の裏面の平面図(実施例1、6)
【図9】LED基板装置の裏面の斜視図(実施例2)
【図10】LED基板装置の裏面の平面図(実施例3)
【図11】LED基板装置の裏面の斜視図(実施例4)
【図12】LED基板装置の裏面の平面図(実施例5)
【図13】LED基板装置の裏面の平面図(実施例5)
【図14】LED基板装置の裏面の平面図
【図15】LED基板装置の裏面の平面図
【図16】LED基板装置の裏面の平面図
【図17】LED基板装置の裏面の平面図(実施例7)
【図18】LED基板装置の裏面の平面図(実施例7)
【図19】画像形成装置の構成を説明するための図(実施例8)
【図20】LEDプリントヘッドと感光体の位置関係を示す図(実施例8)
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
尚、各実施例で用いられる図面において配線パターンおよびダミーパターンが太く図示されているが、これは説明を分かりやすくするためであり、実際には数百〜数十ミクロンの幅寸法である。
【実施例1】
【0033】
本発明に係る第1実施例を、図1乃至図8を用いて説明する。
(LEDプリントヘッド)
図1〜3に示すように、本発明に係るLEDプリントヘッド1は、複数のロッドレンズ6を整列配置したレンズアレイ3を接着剤等で固定したハウジング2と、このレンズアレイ3の一方のレンズ面とLEDアレイチップ4が対向するように、ハウジング2に接着剤等で固定した後述するLED基板装置5とを有する。
【0034】
このLEDプリントヘッド1は、図3に示すように、LED基板装置5の表面10に実装(固定)されたLEDアレイチップ4の発光点(LED)を発光させた場合に、発光点から、出射した光がレンズアレイ3により収束(集光)する結像点(焦点位置)までの距離が共役長TCになるように設定されている。この共役長TCは、LED発光面からレンズアレイ3の下面(一方のレンズ面)までの距離Lと、レンズアレイ4の上面(他方のレンズ面)から結像点までの距離Lと、レンズアレイ4の高さTとの和であり、TC=T+2Lという関係が成り立つ。
【0035】
また、後述するように、LED基板装置の平面度が高く、LEDアレイチップのオン/オフ動作による温度変化の繰り返しによってもLED基板装置の高い平面度を維持できるので、本発明に係るLEDプリントヘッドは、図1および図2に示すように、LED基板装置の裏面に剛性板等が不要である。つまり、LEDプリントヘッドの構成部品が少なく、結像点のバラツキが少ない、安価かつ高精度なLEDプリントヘッドを提供できる。
【0036】
尚、図1〜3においては、LEDプリントヘッドを千鳥状に固定したものを示したが、直線状に固定したものであっても良く、この場合であっても前記した効果を得ることができる。
【0037】
(LED基板装置)
本発明に係るLED基板装置5を図3乃至図8に示す。図5は、図4における二点鎖線で囲った一端部分Wを拡大した斜視図である。図6〜8は、当該部分Wの裏面の斜視図または平面図である。
尚、以下の説明は、図4における一端部分Wについてのみの説明である。当該一端部分W以外の部分の説明は、当該一端部分Wから他端に至るまでLEDアレイチップ4が直線状または千鳥状に連続して固定される略同一構成の繰り返しであるため、省略する。
【0038】
図5に示すように、LED基板装置5は、表面10において所定の幅の銅からなるベタパターン8が長手方向(Y方向)に沿って形成され、裏面11において同一の幅寸法Aの複数の配線パターン16が主に長手方向(Y方向)に沿って形成された長尺なベアボード9を備えている。そして、ベタパターン8の表面に、千鳥状に複数のLEDアレイチップ4が固定されている。
【0039】
尚、図4および5においてはLEDアレイチップ4が千鳥状に固定されたものを示したが、LEDアレイチップ4は、直線状に固定されていても良い。また、ベタパターン8の幅(X方向)は、LEDアレイチップが直線状または千鳥状に固定することができる幅であれば良い。
【0040】
LEDアレイチップ4の表面には図示しない発光点(LED)が直線状に形成されており、複数のパッド13も形成されている。この複数のパッド13と、ベアボードの表面に形成された複数のパッド14は、ワイヤー12で接続されている。尚、図5においては、パッド13および14は、説明を簡単にするため1つのみ図示した。
【0041】
図6に示すように、ベアボード9の裏面11には、銅からなる複数の配線パターン16(161〜166)が、主にベアボード9の長手方向に沿って形成されている。
ここで、「配線パターン16が主に長手方向に沿って形成されている」とは、配線パターン16の大部分(配線パターン16の全長の大半)が長手方向(Y方向)に沿って形成されていることをいう。より具体的には、例えば、図6におけるIC(集積回路)19に接続する等の一部の短手方向(X方向)の配線パターン16等を除く長手方向(Y方向)に沿った配線パターン16が大半を占めることである。
【0042】
これらの配線パターン16は、配線パターン161、162および163の第1組と、配線パターン164、165および166の第2組の2つの組(配線パターン束)に分けられる。そして、配線パターン16は、各組内でベアボード9の短手方向(X方向)に等しい間隔Bで並べられている。
【0043】
すなわち、第1組の配線パターン161、162および163の幅寸法はそれぞれAであり、配線パターン161と162の間隔はBであり、配線パターン162と163の間隔もBである。また、第2組の配線パターン164、165および166の幅寸法はそれぞれAであり、配線パターン164と165の間隔はBであり、配線パターン165と166の間隔もBである。
【0044】
また、図6に示すように、ベアボード9の裏面11においては、少なくとも、ベアボード9の表面10に形成されたベタパターン8に対応するエリア18(二点鎖線で囲った部分)における配線パターン16が形成されていないエリア(部分)20に、図7および図8に示すように、銅からなる複数のダミーパターン21が主にベアボード9の長手方向(Y方向)に沿って形成されている。
ここで、「表面10に形成されたベタパターン8に対応する裏面11のエリア18」とは、表面10に形成されたベタパターン8を裏面11から透かして見たときに裏面11に占める部分をいう。
【0045】
図8に示すように、裏面11に形成された5本のダミーパターン21のそれぞれの幅寸法Cは、配線パターン16の幅寸法Aと同一である。また、ぞれぞれのダミーパターン21の間隔Dは、ベアボード9の短手方向(X方向)において配線パターン16の間隔Bと同一である。
本実施例1においては、幅寸法C=幅寸法A=150ミクロン、間隔D=間隔B=100ミクロンとした。
【0046】
かかる構成により、ベアボード9の表面10に形成されたベタパターン8に対応する裏面11のエリア18は、配線パターン16およびダミーパターン21の密度をほぼ均一にできる、すなわち所定のパターンがあり/なしの一定の繰り返しとなるので、LED基板装置5の製造工程において加熱冷却が繰り返されてもLED基板装置5におけるベタパターン8が反る等してベタパターン8の平面度が悪化することが無い(当初の高い平面度を維持できる)。
【0047】
また、ベタパターン8に固定された複数のLEDアレイチップ4のオン/オフ動作によりLED基板装置5の加熱冷却が繰り返されても、ベタパターン8の当初の高い平面度を維持できる。
【0048】
このため、表面10に形成されたベタパターン8に固定されたLEDアレイチップ4の光軸がずれることが無いので、かかるLED基板装置5を前記したLEDプリントヘッド1に使用した場合、LEDアレイチップ4の複数の発光点から出射した光がレンズアレイ3を通過して形成された複数の結像点が形成する結像ラインは、高い精度で直線性を保つことができる。つまり、かかるLEDプリントヘッド1を用いた画像形成装置は、感光体ドラムの表面に高精度な静電潜像を形成することができ、記録紙等に高精度な画像を形成することができる。
【実施例2】
【0049】
本発明に係る第2実施例を、図9を用いて説明する。
尚、説明を分かりやすくするため、実施例1との違いについてのみ説明する。
【0050】
本実施例2は、実施例1の図7におけるエリア18以外の部分についてもダミーパターン21を設けた点が実施例1と相違する。
かかる構成の場合、ベアボード9の裏面全体において配線パターン16およびダミーパターン21の密度をほぼ均一にできるので、前記した実施例1の効果をさらに向上させることができる。
【0051】
つまり、表面10におけるベタパターン8が形成された部分および裏面11における対応する部分18以外の部分においても、繰り返される加熱冷却に対してLED基板装置5全体の高い平面度を維持することができる。
【実施例3】
【0052】
本発明に係る第3実施例を、図10を用いて説明する。
尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
本実施例3の実施例1との相違点は、全てのダミーパターン21にスルーホール22を設け、アースに接続(接地)した点のみである。
図10においては、ベアボード9の内層にアース(図示せず)が形成されており、スルーホール22を用いて全てのダミーパターン21をアースに接続したものを示した。
【0054】
かかる構成により、ダミーパターン21がLED基板装置5の高い平面度の維持に資するのみならず、ダミーパターンがノイズをアースに逃がすというノイズ対策にもなるという効果がある。すなわち、前記した実施例1に記載した効果に加えて、ノイズに対して強いLED基板装置を提供することができる。
【0055】
尚、前記10においては、全てのダミーパターン21を接地したものを示したが、一部のダミーパターン21を接地するだけでも良い。また、図9に示したようにエリア18以外の部分もダミーパターン21を形成し、その全部または一部のダミーパターン21をアースに接続しても良い。
【実施例4】
【0056】
本発明に係る第4実施例を、図11を用いて説明する。
尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
本実施例4は、一部のダミーパターン21を、ベアボード9の短手方向(X方向)に沿って形成した銅からなる第2のダミーパターン23によって接続(連結)した点が実施例1と相違する。
【0058】
かかる構成により、前記した実施例1の効果を奏するのみならず、さらに、ベアボード9の図示しない電源パターン(内層1)とグランドパターン(内層2)を接続するバイパスコンデンサ7の充電/放電に伴い発生する磁界による逆起電力を打ち消すことができるので、LED基板装置5が発生するノイズを少なくすることができるという効果がある。
【0059】
尚、図9に示したようにエリア18以外の部分もダミーパターン21を形成し、その全部または一部のダミーパターン21をベアボード9の短手方向(X方向)に沿って形成した第2のダミーパターン23によって接続(連結)しても良い。
【実施例5】
【0060】
本発明に係る第5実施例を、図12を用いて説明する。
尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
本実施例5の実施例1との相違点は、全てのダミーパターン21を、ベアボード9の短手方向(X方向)に沿って形成した第2のダミーパターン23によって接続(連結)した点と、ダミーパターン21の一部にスルーホール22を形成し、このスルーホール22によってダミーパターン21を図示しないアース(内層)に接続した点である。
【0062】
かかる構成により、前記した実施例1および実施例3の効果を奏するのみならず、さらに、ベアボード9の図示しない電源パターン(内層1)とグランドパターン(内層2)を接続するバイパスコンデンサ7の充電/放電に伴い発生する磁界による逆起電力を打ち消すことができるので、LED基板装置5が発生するノイズを少なくすることができるという効果がある。
【0063】
尚、図9に示したようにエリア18以外の部分もダミーパターン21を形成し、その全部のダミーパターン21をベアボード9の短手方向(X方向)に沿って形成した第2のダミーパターン23によって接続(連結)しても良いことは言うまでもない。
【実施例6】
【0064】
本実施例6の実施例1との相違点は、配線パターンの幅寸法と、配線パターンの間隔を同一としたものである。
これを、図8を用いてさらに詳述する。すなわち、裏面11に形成された5本のダミーパターン21のそれぞれの幅寸法Cは配線パターン16の幅寸法Aと同一であり、ぞれぞれのダミーパターン21の間隔Dはベアボード9の短手方向(X方向)において配線パターン16の間隔Bと同一である。さらに、本実施例6においては、配線パターンの幅寸法Cと、配線パターンの間隔Bを同一にしたのであるから、幅寸法A=幅寸法C=間隔B=間隔D=100ミクロンとなる。
【0065】
かかる構成により、配線パターン16およびダミーパターン21の密度を実施例1の場合よりも均一化できるので、前記した実施例1の効果をさらに向上させることができる。つまり、少なくとも表面10のベタパターン8に対応する裏面のエリア18における配線パターン16およびダミーパターン21の構成が一定パターンの繰り返しになるため、LED基板装置5の製造工程での加熱冷却による、LED基板装置5の平面度の悪化をさらに抑制できる。
【実施例7】
【0066】
本発明に係る第7実施例を、図17および図18を用いて説明する。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
本実施例7の実施例1との相違点は、図17に示すように、ベアボード9の裏面11には本体部51の両側面からリード52が突出した例えばSOP(Small Outline Package)タイプの抵抗アレイ等の電子部品50が実装されており、この本体部51に対向する裏面11の一部にダミーパターン21が延長して形成された点である。
【0068】
電子部品50は、本体部51と、この本体部50の両側(図17の紙面上下方向)から突出した合計6本のリード52とから構成されるものである。この電子部品50を図17から取り除いたものが図18である。図18を見ると、ダミーパターン53は、電子部品50の本体部51と対向する裏面11のエリアまで延長されていることが分かる。
【0069】
かかる構成により、電子部品50から発生した熱を、電子部品50の本体部51と対向するダミーパターン53に伝えることができる。このため、電子部品50の熱を効率的に放熱することができ、電子部品50の発熱が原因となるLEDアレイチップの発光点の光量の低下を防止することができる。
【0070】
図示を省略するが、本実施例7においても、前記した実施例2〜6の構成を採用することができることは言うまでもない。また、図17においては、電子部品50の電子部品50の本体部51と対向するダミーパターン53を3本としたものを示したが、本体部51の大きさに応じて本数を決定すれば良く、1本、2本または4本以上であっても良い。さらに、本実施例においては、電子部品50の本体部51の裏面と、電子部品50の本体部51と対向するダミーパターン53が非接触のものを示したが、本体部51の裏面に端子が無ければ、両者が接触していても良い。
【実施例8】
【0071】
本発明に係る第8実施例を、図19および図20を用いて説明する。尚、図20は、LEDプリントヘッド1と感光体ドラム25との位置関係を分かりやすくするために図19の一部を拡大した部分拡大図である。
【0072】
(画像形成装置)
図19に示すように、本発明に係る画像形成装置は、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタ131であり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成プロセス部110、画像形成プロセス部110を制御する制御部130、パーソナルコンピュータ102や画像読取装置103から受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部140を備えている。
【0073】
画像形成プロセス部110は、一定の間隔をおいて並列配置される4つの画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kを備えている。
【0074】
そして、これらの画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kのそれぞれは、静電潜像を形成してトナー像を担持する像担持体としての感光体ドラム25と、この感光体ドラム25の表面を所定電位で一様に帯電する帯電装置113と、帯電装置113によって表面が帯電された感光体ドラム25を露光する露光装置としてのLEDプリントヘッド1と、LEDプリントヘッド1によって得られた静電潜像を現像する現像装置115と、転写後の感光体ドラム25の表面を清掃するクリーナー(ブレード)116とを備えている。
【0075】
さらに、現像装置115の下流側近傍には、感光体ドラム25に対向して、感光体ドラム25上に形成されたテスト用パッチ(濃度見本)のトナー像濃度を検出する濃度検出回路117が備えられている。この濃度検出回路117は制御部130に接続され、トナー像濃度検出値を出力する。
【0076】
ここで、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kは、現像装置115に収納されたトナーを除いて、略同様に構成されている。そして、画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0077】
また、画像形成プロセス部110は、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kの感光体ドラム25にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト121と、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kの各色のトナー像を中間転写ベルト121に順次転写(一次転写)させる一次転写帯電装置としての一次転写ロール122と、中間転写ベルト121上に転写された重畳トナー像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写帯電装置としての二次転写ロール123と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置125とを備えている。
【0078】
画像形成プロセス部110は、制御部130から供給された同期信号等の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。その際に、パーソナルコンピュータ102や画像読取装置103から入力された画像データは、画像処理部140によって画像処理が施され、インタフェースを介して各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kに供給される。
【0079】
そして、例えばイエローの画像形成ユニット111Yでは、帯電装置113により所定電位で一様に帯電された感光体ドラム25の表面が、画像処理部140から得られた画像データに基づいて発光する本発明に係るLEDプリントヘッド1により露光されて、感光体ドラム25上に静電潜像が形成される。
【0080】
この静電潜像は、現像装置115により現像され、感光体ドラム25上にはイエローのトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット111M、111C、111Kのそれぞれの感光体ドラム25においても、マゼンタ、シアン、黒の各色トナー像が形成される。
【0081】
各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kのそれぞれの感光体ドラム25に形成された各色トナー像は、図19の矢印A方向に回動する中間転写ベルト121上に、一次転写ロール122により順次静電吸引され、中間転写ベルト121上に重畳されたトナー像が形成される。
【0082】
この重畳トナー像は、中間転写ベルト121の回動に伴って二次転写ロール123が配設された領域(二次転写部)に搬送される。そして、重畳トナー像が二次転写部に搬送されると、トナー像が二次転写部に搬送されるタイミングに合わせて用紙Pが二次転写部に供給される。
【0083】
そして、二次転写部にて二次転写ロール123により形成される転写電界により、重畳トナー像は搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される。その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト121から剥離され、搬送ベルト124により定着装置125まで搬送される。
【0084】
定着装置125に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置125によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、デジタルカラープリンタ131の排出部に設けられた図示しない排紙載置部に搬送される。
【0085】
つまり、本実施例8に係る画像形成装置は、本発明に係るLEDプリントヘッド1を備えているので、高画質な画像を形成できる。
【0086】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0087】
例えば、第2のダミーパターン23は、ダミーパターン21を接続するものであれば、数および場所を問わない。具体的には、図13乃至図16に示したように複数の第2のダミーパターン23を用いてダミーパターン21同士を接続しても良い。
【0088】
かかる構成は、図9に示したようにエリア18以外の部分もダミーパターン21を形成し、その全部または一部のダミーパターン21をベアボード9の短手方向(X方向)に沿って形成した第2のダミーパターン23によって接続(連結)するように拡張しても良い。
【0089】
また、前記した実施例においては、配線パターン16の幅寸法Aを100ミクロンにしたものを示したが、75ミクロンであっても50ミクロンであっても良い。さらに、実施例6において、幅寸法A=幅寸法C=間隔B=間隔Dが75ミクロンであっても、50ミクロンであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、複写機、プリンタ等で用いられるLEDプリントヘッド、およびLEDプリントヘッドに用いられるLED基板装置に適用される。
【符号の説明】
【0091】
1 LEDプリントヘッド
2 ハウジング
3 レンズアレイ
4 LEDアレイチップ
5 LED基板装置
6 ロッドレンズ
8 ベタパターン
9 ベアボード
10 表面
11 裏面
16 配線パターン
17 テストパッド
21 ダミーパターン
23 第2のダミーパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面においてベタパターンが長手方向に沿って形成され、裏面において同一の幅寸法の複数の配線パターンが主に長手方向に沿って形成された長尺なベアボードと、
該ベタパターン上に、直線状または千鳥状に固定された複数のLEDアレイチップと、を備えたLED基板装置であって、
前記複数の配線パターンは、3本以上の複数の組に分けられ、該組内で主に前記ベアボードの短手方向に等間隔に並べられており、
少なくとも、前記表面に形成された前記ベタパターンに対応する前記裏面のエリアにおける前記配線パターンが形成されていない部分に、複数のダミーパターンが前記ベアボードの長手方向に沿って形成され、
該ダミーパターンの幅寸法は、前記配線パターンの幅寸法と同一であり、
該ダミーパターンは、前記ベアボードの短手方向に前記配線パターンの間隔と同一の間隔で形成されたことを特徴とするLED基板装置
【請求項2】
前記配線パターンの幅寸法と前記配線パターンの間隔が同一である請求項1に記載のLED基板装置
【請求項3】
前記ダミーパターンの全部または一部は、前記ベアボードの短手方向に沿って形成された一または複数の第2のダミーパターンによって接続された請求項1または請求項2に記載のLED基板装置
【請求項4】
前記ダミーパターンがアースに接続された請求項1〜3のいずれか1つに記載のLED基板装置
【請求項5】
前記ベアボードの前記裏面には、本体部の両側からリードが突出した電子部品が実装されており、該本体部に対向する前記裏面の一部に前記ダミーパターンが延長して形成された請求項1〜4のいずれか1つに記載のLED基板装置
【請求項6】
複数のロッドレンズを整列配置したレンズアレイと、
該レンズアレイを固定したハウジングと、
該レンズアレイの一方のレンズ面と前記LEDアレイチップが対向するように、前記ハウジングに固定した請求項1〜5のいずれか1つに記載のLED基板装置と、を備えたLEDプリントヘッド
【請求項7】
表面に静電潜像を形成する感光体と、
該感光体と対向して固定した請求項6に記載のLEDプリントヘッドとを備えた画像形成装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−274449(P2009−274449A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−158534(P2009−158534)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】