説明

MCH拮抗作用を示す新規アルキン化合物及び該化合物を含む医薬

本発明は一般式(I)
【化1】


(式中、基及び残基A、B、W、X、Y、Z、R1及びR2は請求項1に示された意味を有する)
のアルキン化合物に関する。また、本発明のアルキンの少なくとも一種の型を含む薬物が開示される。MCH受容体拮抗活性を示す本発明の薬物は代謝障害及び/又は食事障害、特に、脂肪症、異常空腹、食欲不振、過食及び糖尿病を治療するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規アルキン化合物、それらの生理学上許される塩だけでなく、MCHアンタゴニストとしてのそれらの使用並びにMCHにより引き起こされ、又は或るその他の様式でMCHと原因上関連する症候及び/又は疾患の予防及び/又は治療に適している医薬製剤を調製する際のそれらの使用に関する。また、本発明は食事挙動に影響し、また哺乳類の体重を減少し、かつ/又は体重の増加を防止するための本発明の化合物の使用に関する。更に、本発明は本発明の化合物を含む組成物及び薬物並びにそれらの調製方法に関する。本発明のその他の局面は本発明の化合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食物の摂取及び生体中のその転化は全ての生物の寿命に必須の部分である。それ故、食物の摂取及び転化の逸脱は一般に問題そしてまた病気をもたらす。特に工業化された国における、ヒトのライフスタイル及び栄養の変化は、最近の数十年で病的な過度の体重(また肥大又は肥満として知られている)を促進していた。冒された人々では、肥満が制限された運動及び生活の質の低下を直接もたらす。肥満がしばしばその他の疾患、例えば、糖尿病、異常脂血症、高血圧、動脈硬化及び冠心臓疾患をもたらすという付加的な因子がある。更に、高体重単独は支持及び運動装置に増大された歪を加え、これが慢性の痛み及び疾患、例えば、関節炎又は骨関節炎をもたらし得る。こうして、肥満は社会に重大な健康問題である。
肥満という用語は生体中の過剰の脂肪組織を意味する。これに関して、肥満は基本的には健康リスクをもたらす肥満の増大されたレベルと見られるべきである。正常な個体と肥満を患っている個体の間に鮮明な区別はないが、肥満を伴う健康リスクは肥満のレベルが増大するにつれて絶えず上昇すると推定される。簡素化のために、本発明において、25の値より上、更に特に30より上の、体格指数(BMI)(これは自乗された身長(メートル)により割られた測定された体重(キログラム)と定義される)を有する個体は、肥満を患っていると見なされることが好ましい。
肉体的な活動及び栄養の変化は別にして、現在、体重を有効に減少するための確かな治療選択肢はない。しかしながら、肥満は重大かつ更には寿命に脅威の疾患の発生における主要なリスク因子であるので、肥満の予防及び/又は治療のための医薬活性物質を入手することはいっそう重要である。ごく最近提案された一つのアプローチはMCHアンタゴニストの治療上の使用である(とりわけ、WO 01/21577、WO 01/82925を参照のこと)。
【0003】
メラニン濃縮ホルモン(MCH)は19アミノ酸からなる環状ニューロペプチドである。それは主として哺乳類の視床下部中で合成され、そこから視床下部神経細胞の突起により脳のその他の部分に移動する。その生物学的活性はロドプシン関連GPCRのファミリーからの2種の異なるG-タンパク質結合受容体(GPCR)、即ち、MCH受容体1及び2(MCH-1R、MCH-2R)によりヒト中で媒介される。
動物モデルにおけるMCHの機能についての研究はエネルギーバランスを調節する際、即ち、代謝活性及び食物摂取を変化する際のペプチドの役割について良好な指示を与えた〔1,2〕。例えば、ラットにおけるMCHの心室内投与後に、食物摂取が対照動物と較べて増大された。更に、対照動物より多くのMCHを生じるトランスジェニックラットは、高脂肪食を与えられた場合、実験で変化されたMCHレベルを生じない動物よりも有意に多い体重を得ることにより応答した。また、食物についての増大された欲求の段階とラットの視床下部中のMCH mRNAの量の間に顕著な相関関係があることがわかった。しかしながら、MCHノックアウトマウスによる実験がMCHの機能を示すのに特に重要である。ニューロペプチドの損失は減少された脂肪質量を有するやせた動物をもたらし、これらは対照動物より有意に少ない食物を摂取する。
MCHの食欲抑制の作用はおそらくげっ歯類でGαs-結合MCH-1Rにより媒介される〔3-6〕。何とならば、霊長類、白イタチ及びイヌと違って、第二MCH受容体サブタイプがげっ歯類では従来見られなかったからである。MCH-1Rを失った後に、ノックアウトマウスは対照動物と較べて一層低い脂肪質量、増大されたエネルギー転化を有し、高脂肪食で飼育された場合に、体重を増やさない。エネルギーバランスを調節する際のMCH系の重要性の別の指示は受容体アンタゴニスト(SNAP-7941)による実験に由来する〔3〕。長期試験では、アンタゴニストで治療された動物はかなりの量の体重を失う。
【0004】
MCH-1RアンタゴニストSNAP-7941は、その食欲抑制作用に加えて、ラットについての挙動実験で付加的な不安除去作用及び抗鬱作用をまた奏する〔3〕。こうして、MCH-MCH-1R系はエネルギーバランスを調節するだけでなく、感情性にも関係するという明らかな指示がある。
文献:
1. Qu, D.ら著“摂食挙動の重要な調節におけるメラニン濃縮ホルモンに関する役割”Nature, 1996. 380(6571): 243-7頁
2. Shimada, M.ら著“メラニン濃縮ホルモンを欠いているマウスは食が細く、やせている”Nature, 1998. 396(6712): 670-4頁
3. Borowsky, B.ら著“メラニン濃縮ホルモン-1受容体アンタゴニストの抗鬱作用、不安除去作用及び食欲抑制作用”Nat Med, 2002. 8(8): 825-30頁
4. Chen, Y.ら著“メラニン濃縮ホルモン受容体-1の標的分断は摂食亢進及び食事誘発肥満に対する耐性をもたらす”Endocrinology, 2002. 143(7): 2469-77頁
5. Marsh, D.J.ら著“メラニン濃縮ホルモン1受容体欠乏マウスはやせており、活動亢進であり、食が細く、変化した代謝を有する”Proc Natl Acad Sci USA, 2002. 99(5): 3240-5頁
6. Takekawa, S.ら著“T-226296:新規な、経口活性かつ選択的なメラニン濃縮ホルモン受容体アンタゴニスト”Eur J Pharmacol, 2002. 438(3): 129-35頁
特許文献に、或る種のアミン化合物がMCHアンタゴニストとして提案されている。こうして、WO 01/21577 (Takeda)は肥満の治療のためのMCHアンタゴニストとして式
【0005】
【化1】

(式中、Ar1は環式基を表し、Xはスペーサーを表し、Yは結合又はスペーサーを表し、Arは非芳香族環と縮合されてもよい芳香族環を表し、R1及びR2は互いに独立にH又は炭化水素基を表し、R1及びR2は隣接N原子と一緒になってN含有複素環を形成してもよく、R2はまたArとともにスピロ環式環を形成してもよく、Rは隣接N原子及びYと一緒になってN含有複素環を形成してもよい)
の化合物を記載している。
更に、WO 01/82925 (Takeda)はまたとりわけ肥満の治療のためのMCHアンタゴニストとして式
【0006】
【化2】

(式中、Ar1は環式基を表し、X及びYはスペーサー基を表し、Arは必要により置換されていてもよい縮合多環式芳香族環を表し、R1及びR2は互いに独立にH又は炭化水素基を表し、R1及びR2は隣接N原子と一緒になってN含有複素環を形成してもよく、R2は隣接N原子及びYと一緒になってN含有複素環を形成してもよい)
の化合物を記載している。
WO 2004/024702はMCHアンタゴニストとして式I
【0007】
【化3】

(式中、Y、A及びBは環式基を表してもよく、かつX、Z及びWはブリッジ又は結合を表してもよい)
のカルボン酸アミド化合物を提案している。
WO 04/039780 A1はMCHアンタゴニストとして式I
【0008】
【化4】

(式中、Y、A及びBは環式基を表してもよく、かつX、Z及びWはブリッジ又は結合を表してもよい)
のアルキン化合物を記載している。
下記の物質が、とりわけ挙げられる:
6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-2-ピロリジン-1-イルメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン、
6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-1-メチル-2-ピロリジン-1-イルメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン、
5-(4-クロロ-フェニル)-2-〔2-(4-メチル-ピペリジン-1-イルメチル)-クロマン-6-イルエチニル〕-ピリジン〕。
WO 04/039764 A1はMCHアンタゴニストとして式I
【0009】
【化5】

(式中、Y、A及びBは環式基を表してもよく、かつXはアルキレンブリッジを表し、Zはブリッジ又は結合を表し、かつWは-CR6aR6b-O-、-CR7a=CR7c-、-CR6aR6b-NR8-、-CR7aR7b-CR7cR7d-及び-NR8-CR6aR6b-を含む群から選ばれる)
のアミド化合物を記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は新規アルキン化合物、特にMCHアンタゴニストとして有効である化合物を同定することである。本発明はまた哺乳類の食事挙動に影響し、特に哺乳類の体重の減少を得、かつ/又は体重の増加を防止するのに使用し得る新規アルキン化合物を提供しようとする。
更に、本発明はMCHにより引き起こされ、又はそれ以外にMCHに原因上関連する症候及び/又は疾患の予防及び/又は治療に適している新規医薬組成物を提供しようとする。特に、本発明の目的は代謝障害、例えば、肥満及び/又は糖尿病だけでなく、肥満及び糖尿病と関連する疾患及び/又は障害の治療のための医薬組成物を提供することである。本発明のその他の目的は本発明の化合物の有利な使用を実証することに関する。また、本発明は本発明のアルキン化合物の調製方法を提供しようとする。本発明のその他の目的は以上の言及及び以下の言及から当業者に直ちに明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の局面において、本発明は一般式I
【化6】

のアルキン化合物、これらの互変異性体、ジアステレオマー、鏡像体、混合物及びこれらの塩に関する。
式中、
R1、R2は互いに独立にH、C1-8-アルキル、C3-7-シクロアルキル又はフェニル基もしくはピリジニル基(必要により同じ又は異なる基R20により一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又はニトロにより一置換されていてもよい)を表し、そのアルキル基又はシクロアルキル基は同じ又は異なる基R11により一置換又は多置換されていてもよく、かつ5員、6員又は7員シクロアルキル基の3位又は4位の-CH2-基は-O-、-S-又は-NR13-により置換されていてもよく、又は
R1及びR2はC3-8-アルキレンブリッジを形成し、R1R2N-基のN原子に隣接しない-CH2-基は-CH=N-、-CH=CH-、-O-、-S-、-SO-、-(SO2)-、-CO-、-C(=CH2)-又は-NR13-により置換されていてもよく、
先に定義されたアルキレンブリッジ中で、1個以上のH原子が同じ又は異なる基R14により置換されていてもよく、かつ
先に定義されたアルキレンブリッジはアルキレンブリッジと基Cyの間の結合が
−単結合又は二重結合を介して、
−スピロ環式環系を形成する共通のC原子を介して、
−縮合二環式環系を形成する2個の共通の隣接C原子及び/又はN原子を介して、又は
−ブリッジされた環系を形成する3個以上のC原子及び/又はN原子を介して
つくられるような様式で1個又は2個の同じ又は異なる炭素環基又は複素環基Cyにより置換されていてもよく、
【0012】
XはC1-4-アルキレンブリッジ(その定義C2-4-アルキレンにおいて1個もしくは2個のC原子はR10により一置換されていてもよい)、又は
C3-4-アルキレンブリッジを表し、そのR1R2N-基のN原子に直接隣接しない-CH2-CH2-基は-CH=CH-又は-C=C-により置換されており、
Xについて先に示された意味はC2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル及びC3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルから選ばれた置換基だけでなく、独立に1個、2個又は3個の同じ又は異なるC1-4-アルキル置換基を含んでもよく、二つのアルキル基が一緒に結合されて3〜7員環式基を形成してもよく、又はアルキル基及びアルケニル基が一緒に結合されて5〜7員環式基を形成してもよく、かつ
W、Zは互いに独立に単結合又はC1-2-アルキレンブリッジを表し、
二つの隣接C原子が付加的なC1-4-アルキレンブリッジにより一緒に結合されてもよく、かつ
1個又は2個のC原子が互いに独立に1個又は2個の同じ又は異なるC1-3-アルキル基により置換されていてもよく、二つのアルキル基が一緒に結合されて炭素環式環を形成してもよく、かつ
Yは部分式Y1及びY2の定義から選ばれ、
【0013】
【化7】

(式中、基MはO、S又はNRMを表し、RMはH、C1-6-アルキル、C3-6-アルケニル、C3-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル及びC3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルから選ばれた意味を有し、かつ
部分式Y1及びY2中で、1個以上のC原子が互いに独立にR20により置換されていてもよい)、かつ
Aは2価の環式基フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インドリル、ジヒドロインドリル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロ-イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾチエニル又はベンゾフラニルの中から選ばれ、上記環式基は一つ以上のC原子の位置で同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、フェニル環の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ/又は1個以上のNH基はR21により置換されていてもよく、
BはAについて示された意味の一つを有し、又は
C1-6-アルキル、C1-6-アルケニル、C1-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルケニル又はC3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキニルを表し、1個以上のC原子が互いに独立にハロゲンにより一置換又は多置換されていてもよく、かつ/又はヒドロキシもしくはシアノにより一置換されていてもよく、かつ/又は環式基が同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、
Cyは下記の意味
−飽和3〜7員炭素環基、
−不飽和4〜7員炭素環基、
−フェニル基、
−ヘテロ原子としてN、O又はS原子を有する飽和4〜7員又は不飽和5〜7員複素環基、
−ヘテロ原子として2個以上のN原子又は1個もしくは2個のN原子と1個のO又はS原子を有する飽和又は不飽和5〜7員複素環基、
−N、O及び/又はSから選ばれた1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を有する芳香族複素環5員又は6員基
の一つから選ばれた炭素環基又は複素環基を表し、
【0014】
上記飽和6員又は7員基はまたイミノブリッジ、(C1-4-アルキル)-イミノブリッジ、メチレンブリッジ、(C1-4-アルキル)-メチレンブリッジ又はジ-(C1-4-アルキル)-メチレンブリッジでブリッジされた環系として存在してもよく、かつ
上記環式基は1個以上のC原子の位置で同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、フェニル基の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ/又は1個以上のNH基がR21により置換されていてもよく、
R10はヒドロキシ、ω-ヒドロキシ-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ又はC1-4-アルコキシ-C1-3-アルキルを表し、
R11はハロゲン、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、R15-O-、R15-O-CO-、R15-CO-O-、シアノ、R16R17N、R18R19N-CO-又はCyを表し、上記基中で、1個以上のC原子が互いに独立にハロゲン、OH、CN、CF3、C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-3-アルキルから選ばれた置換基により置換されていてもよく、
R13はR17について示された意味の一つを有し、
R14はハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、R15-O-、R15-O-CO-、R15-CO-、R15-CO-O-、R16R17N、R18R19N-CO-、R15-O-C1-3-アルキル、R15-O-CO-C1-3-アルキル、R15-SO2-NH-、R15-O-CO-NH-C1-3-アルキル、R15-SO2-NH-C1-3-アルキル、R15-CO-C1-3-アルキル、R15-CO-O-C1-3-アルキル、R16R17N-C1-3-アルキル、R18R19N-CO-C1-3-アルキル又はCy-C1-3-アルキルを表し、
R15はH、C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、フェニル、フェニル-C1-3-アルキル、ピリジニル又はピリジニル-C1-3-アルキルを表し、
R16はH、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C4-7-シクロアルケニル、C4-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル、ω-(C1-4-アルコキシ)-C2-3-アルキル、アミノ-C2-6-アルキル、C1-4-アルキル-アミノ-C2-6-アルキル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C2-6-アルキル又はシクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C2-6-アルキルを表し、
【0015】
R17はR16について示された意味の一つを有し、又はフェニル、フェニル-C1-3-アルキル、ピリジニル、C1-4-アルキルカルボニル、ヒドロキシカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル、N-(C1-4-アルキルカルボニル)-N-(C1-4-アルキル)-アミノ-C2-3-アルキル、C1-4-アルキルスルホニル、C1-4-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキルもしくはN-(C1-4-アルキルスルホニル)-N-(C1-4-アルキル)-アミノ-C2-3-アルキルを表し、
R18、R19は互に独立にH又はC1-6-アルキルを表し、
R20はハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-3-アルキル、R22-C1-3-アルキルを表し、又はR22について示された意味の一つを有し、
R21はC1-4-アルキル、ω-ヒドロキシ-C2-6-アルキル、ω-C1-4-アルコキシ-C2-6-アルキル、ω-C1-4-アルキル-アミノ-C2-6-アルキル、ω-ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C2-6-アルキル、ω-シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C2-6-アルキル、フェニル、フェニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルキル-カルボニル、C1-4-アルコキシ-カルボニル、C1-4-アルキルスルホニル、アミノスルホニル、C1-4-アルキルアミノスルホニル、ジ-C1-4-アルキルアミノスルホニル又はシクロ-C3-6-アルキレン-イミノ-スルホニルを表し、
【0016】
R22はピリジニル、フェニル、フェニル-C1-3-アルコキシ、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C2-4-アルコキシ、OHC-、HO-N=HC-、C1-4-アルコキシ-N=HC-、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルキルチオ、カルボキシ、C1-4-アルキルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノカルボニル、シクロ-C3-6-アルキル-アミノ-カルボニル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-カルボニル、フェニルアミノカルボニル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C2-4-アルキル-アミノカルボニル、C1-4-アルキル-スルホニル、C1-4-アルキル-スルフィニル、C1-4-アルキル-スルホニルアミノ、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ、C1-4-アルキル-カルボニル-アミノ、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ、フェニル-C1-3-アルキルアミノ、N-(C1-4-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、フェニルカルボニル、フェニルカルボニルアミノ、フェニルカルボニルメチルアミノ、ヒドロキシ-C2-3-アルキルアミノカルボニル、(4-モルホリニル)カルボニル、(1-ピロリジニル)カルボニル、(1-ピペリジニル)カルボニル、(ヘキサヒドロ-1-アゼピニル)カルボニル、(4-メチル-1-ピペラジニル)カルボニル、メチレンジオキシ、アミノカルボニルアミノ又はC1-4-アルキルアミノカルボニルアミノを表し、
上記基及び残基、特にW、X、Z、R13〜R22中で、夫々の場合に1個以上のC原子が更にFにより一置換又は多置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個又は2個のC原子が互に独立に更にCl又はBrにより一置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個以上のフェニル環が互に独立に更にF、Cl、Br、I、シアノ、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、C1-3-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ、アセチルアミノ、アミノカルボニル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ-C1-3-アルキル、C1-3-アルキルアミノ-C1-3-アルキル及びジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキルから選ばれた1個、2個又は3個の置換基を含んでもよく、かつ/又はニトロにより一置換されていてもよく、かつ
存在するカルボキシ基のH原子又はN原子に結合されたH原子が夫々生体内で開裂し得る基により置換されていてもよく、
下記の化合物は本発明によれば含まれない:
6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-2-ピロリジン-1-イルメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン、
6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-1-メチル-2-ピロリジン-1-イルメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン及び
5-(4-クロロ-フェニル)-2-〔2-(4-メチル-ピペリジン-1-イルメチル)-クロマン-6-イルエチニル〕-ピリジン。
【0017】
本発明の化合物(その生理学上許される塩を含む)は、MCH受容体、特にMCH-1受容体のアンタゴニストとして、既知の、構造の似ている化合物と較べて、特に有効であり、MCH受容体結合研究で非常に良好なアフィニティーを示す。加えて、本発明の化合物はMCH受容体に対して非常に高い選択性を有する。一般に、本発明の化合物は低毒性を有し、それらは経口経路により良く吸収され、良好な脳内移行性、特に脳接近性を有する。
また、本発明は個々の光学異性体、個々の鏡像体の混合物もしくはラセミ体の形態、互変異性体の形態及び遊離塩基又は薬理学上許される酸との相当する酸付加塩の形態の化合物に関する。本発明の主題はまた1個以上の水素原子が重水素により置換されている、本発明の化合物(それらの塩を含む)を含む。
また、本発明は上記され、以下に記載される本発明のアルキン化合物の生理学上許される塩を含む。
また、必要により一種以上の生理学上許される賦形剤と一緒に本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩を含む組成物が本発明により含まれる。
また、本発明により、必要により一種以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩を含む医薬組成物が含まれる。
また、本発明は哺乳類の食事挙動に影響するための本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩の使用に関する。
更に、本発明は哺乳類の体重を減少し、かつ/又は体重の増加を防止するための本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩の使用に関する。
【0018】
また、本発明はMCH受容体拮抗活性、特にMCH-1受容体拮抗活性を有する医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩の使用に関する。
また、本発明はMCHにより引き起こされ、又はそれ以外にMCHと原因上関連している症候及び/又は疾患の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩の使用に関する。
本発明の更なる対象は代謝障害及び/又は食事障害、特に肥満、多食症、神経性多食症、悪液質、拒食症、神経性食欲不振並びに過食症の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩の使用である。
また、本発明は肥満と関連する疾患及び/又は障害、特に糖尿病、特にII型糖尿病、糖尿病の合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性腎症、インスリン耐性、病的グルコーストレランスを含む)、脳出血、心不全、心血管疾患、特に動脈硬化及び高血圧、関節炎並びに膝関節炎の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩の使用に関する。
加えて、本発明は高脂血症、蜂巣炎、脂肪蓄積、悪性肥満細胞症、全身性肥満細胞症、情緒障害、感情障害、鬱病、不安、睡眠障害、生殖障害、性的障害、記憶障害、癲癇、痴呆の形態及びホルモン障害の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩の使用に関する。
また、本発明は尿の問題、例えば、尿失禁、活動亢進の膀胱、切迫排尿、夜間多尿及び遺尿症の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩の使用に関する。
更に、本発明は依存症及び/又は禁断症状の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩の使用に関する。
更に、本発明は本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩を非化学的方法により一種以上の不活性担体及び/又は希釈剤に混入することを特徴とする、本発明の医薬組成物の調製方法に関する。
【0019】
また、本発明は必要により一種以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に、本発明のアルキン化合物及び/又は相当する塩から選ばれる第一活性物質並びに糖尿病の治療のための活性物質、糖尿病の合併症の治療のための活性物質、肥満の治療のための活性物質、好ましくはMCHアンタゴニスト以外、高血圧の治療のための活性物質、動脈硬化を含む、異常脂血症又は高脂血症の治療のための活性物質、関節炎の治療のための活性物質、不安状態の治療のための活性物質及び鬱病の治療のための活性物質からなる群から選ばれる第二活性物質を含む医薬組成物に関する。
更に、一局面において、本発明は式A.5
R1R2N-X-Y-C=C-W-A-B (A.5)
(式A.1、A.2、A.3、A.4及びA.5中、R1、R2、Y、X、W、A及びBは先に、また以下に示される意味の一つを有する)
のアルキン化合物の調製方法であって、
式A.1
HO-X-Y-Hal (A.1)
(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは臭素又はヨウ素を表す)
のハロゲン化合物を好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で式A.2
H-C=C-W-A-B (A.2)
のアルキン化合物と反応させ、そして
得られた式A.3
HO-X-Y-C=C-W-A-B (A.3)
の化合物をメタンスルホン酸クロリド(MsCl)と反応させてメタンスルホネート誘導体A.4
MsO-X-Y-C=C-W-A-B (A.4)
を生成し、
これを更に式H-NR1R2のアミンと反応させて最終生成物A.5を生成することを特徴とする、上記アルキン化合物の調製方法に関する。
【0020】
更に、本発明は式B.5
R1R2N-X-Y-Z-C=C-A-B (B.5)
(式B.1、B.2、B.3、B.4及びB.5中、R1、R2、X、Y、Z、A及びBは先に、また以下に示される意味の一つを有する)
のアルキン化合物の調製方法であって、
式B.1
Hal-A-B (B.1)
(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは臭素又はヨウ素を表す)
のハロゲン化合物を好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で式B.2
HO-X-Y-Z-C=C-H (B.2)
のアルキン化合物と反応させ、そして
式B.3
HO-X-Y-Z-C=C-A-B (B.3)
の得られる化合物をメタンスルホン酸クロリド(MsCl)と反応させてメタンスルホネート誘導体B.4
MsO-X-Y-Z-C=C-A-B (B.4)
を生成し、
これを更に式H-NR1R2のアミンと反応させて最終生成物B.5を生成することを特徴とする、上記アルキン化合物の調製方法に関する。
【0021】
加えて、本発明は式C.3
R1R2N-X-Y-C=C-W-A-B (C.3)
(式C.1、C.2及びC.3中、R1、R2、X、Y、W、A及びBは先に、また以下に示される意味の一つを有する)
のアルキン化合物の調製方法であって、
式C.1
R1R2N-X-Y-Hal (C.1)
(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは臭素又はヨウ素を表す)
のハロゲン化合物を好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で式C.2
H-C=C-W-A-B (C.2)
のアルキン化合物と更に反応させて最終生成物C.3を生成することを特徴とする、上記アルキン化合物の調製方法に関する。
別の局面において、本発明は式D.3
R1R2N-X-Y-Z-C=C-A-B (D.3)
(式D.1、D.2及びD.3中、R1、R2、X、Y、Z、A及びBは先に、また以下に示される意味の一つを有する)
のアルキン化合物の調製方法であって、
式D.2
Hal-A-B (D.2)
(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは臭素又はヨウ素を表す)
のハロゲン化合物を好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で式D.1
R1R2N-X-Y-Z-C=C-H (D.1)
のアルキン化合物と反応させて最終生成物D.3を生成することを特徴とする、上記アルキン化合物の調製方法に関する。
本発明の合成に使用される出発物質及び中間体生成物がまた本発明の主題である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
特に明記されない限り、基、残基及び置換基、特にA、B、W、X、Y、Z、Cy、R1、R2、R10、R11、R13〜R22、RMは、先に示された意味を有する。
基、残基及び/又は置換基が化合物中に1回より多く現れる場合、それらは夫々の場合に同じ又は異なる意味を有してもよい。
R1及びR2がアルキレンブリッジを介して一緒に結合されない場合、R1及びR2は互に独立に同じ又は異なる基R11により一置換又は多置換されたC1-8-アルキル基又はC3-7-シクロアルキル基(5員、6員又は7員シクロアルキル基の3位又は4位の-CH2-基は-O-、-S-又は-NR13-により置換されていてもよい)、或いは必要により同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、かつ/又はニトロにより一置換されていてもよいフェニル基又はピリジニル基を表すことが好ましく、基R1及びR2の一つ又は両方はまたHを表してもよい。
基R11の好ましい意味はF、Cl、Br、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、R15-O-、シアノ、R16R17N、C3-7-シクロアルキル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ、ピロリジニル、N-(C1-4-アルキル)-ピロリジニル、ピペリジニル、N-(C1-4-アルキル)-ピペリジニル、フェニル及びピリジルであり、上記基中で、1個以上のC原子が互いに独立にF、C1-3-アルキル又はヒドロキシ-C1-3-アルキルにより一置換又は多置換されていてもよく、かつ/又は1個もしくは2個のC原子が互いに独立にCl、Br、OH、CF3又はCNにより一置換されていてもよく、上記環式基は1個以上のC原子の位置で同じ又は異なるR20により一置換又は多置換されていてもよく、又はフェニル基の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ/又は1個以上のNH基がR21により置換されていてもよい。R11が意味R15-O-、シアノ、R16R17N又はシクロ-C3-6-アルキレンイミノの一つを有する場合、R11により置換されたアルキル基又はシクロアルキル基のC原子はヘテロ原子、例えば、基-N-Xに直接連結されないことが好ましい。
【0023】
基R1、R2が互に独立にH、C1-6-アルキル、C3-5-アルケニル、C3-5-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、ヒドロキシ-C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、(ヒドロキシ-C3-7-シクロアルキル)-C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C2-4-アルキル、ω-NC-C2-3-アルキル、C1-4-アルコキシ-C2-4-アルキル、ヒドロキシ-C1-4-アルコキシ-C2-4-アルキル、C1-4-アルコキシ-カルボニル-C1-4-アルキル、カルボキシル-C1-4-アルキル、アミノ-C2-4-アルキル、C1-4-アルキル-アミノ-C2-4-アルキル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C2-4-アルキル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C2-4-アルキル、ピロリジン-3-イル、N-(C1-4-アルキル)-ピロリジン-3-イル、ピロリジニル-C1-3-アルキル、N-(C1-4-アルキル)-ピロリジニル-C1-3-アルキル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、N-(C1-4-アルキル)-ピペリジン-3-イル、N-(C1-4-アルキル)-ピペリジン-4-イル、ピペリジニル-C1-3-アルキル、N-(C1-4-アルキル)-ピペリジニル-C1-3-アルキル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、フェニル、フェニル-C1-3-アルキル、ピリジル又はピリジル-C1-3-アルキルを表すことが好ましく、上記基中で、1個以上のC原子が互いに独立にF、C1-3-アルキル又はヒドロキシ-C1-3-アルキルにより一置換又は多置換されていてもよく、かつ/又は1個もしくは2個の炭素原子が互に独立にCl、Br、OH、CF3もしくはCNにより一置換されていてもよく、かつ上記環式基が1個以上のC原子の位置で同じもしくは異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、フェニル基の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ/又は1個以上のNH基がR21により置換されていてもよい。上記フェニル基又はピリジル基の好ましい置換基は基F、Cl、Br、I、シアノ、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、C1-3-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ、アセチルアミノ、アミノカルボニル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ-C1-3-アルキル、C1-3-アルキルアミノ-C1-3-アルキル及びジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキルから選ばれ、フェニル基はまたニトロにより一置換されていてもよい。
【0024】
基R1及び/又はR2の特に好ましい定義はH、C1-4-アルキル、ヒドロキシ-C1-4-アルキル、C3-5-アルケニル、C3-5-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、ヒドロキシ-C3-7-シクロアルキル、ジヒドロキシ-C3-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、(ヒドロキシ-C3-7-シクロアルキル)-C1-3-アルキル、ω-(C1-4-アルコキシ)-C2-3-アルキル、ピリジル及びベンジルからなる群から選ばれ、アルキル基、シクロアルキル基又はシクロアルキル-アルキル基は更にヒドロキシ及び/又はヒドロキシ-C1-3-アルキルにより一置換又は二置換されていてもよく、かつ/又はF又はC1-3-アルキルにより一置換又は多置換されていてもよく、かつ/又はCF3、Br、Cl又はCNにより一置換されていてもよく、かつ基R1及びR2の一つはまたHを表してもよい。
【0025】
最も特に好ましい基R1及び/又はR2はH、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、プロプ-2-エンイル、ブト-2-エンイル、プロプ-2-インイル、ブト-2-インイル、2-メトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、ヒドロキシ-C3-7-シクロアルキル、(ヒドロキシ-C1-3-アルキル)-ヒドロキシ-C3-7-シクロアルキル、ジヒドロキシ-C3-5-アルキル、2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)-エチル、1,1-ジ(ヒドロキシメチル)-エチル、(1-ヒドロキシ-C3-6-シクロアルキル)-メチル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、ベンジル及びピリジルからなる群から選ばれ、上記基はF及び/又はC1-3-アルキルにより一置換もしくは多置換されていてもよく、フェニル環及びピリジル環は明記されたように置換されていてもよい。
それ故、最も特に好ましい基R1及び/又はR2の例はH、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、プロプ-2-エンイル、プロプ-2-インイル、2-メトキシエチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、ヒドロキシ-シクロペンチル、ヒドロキシ-シクロヘキシル、(ヒドロキシメチル)-ヒドロキシ-シクロペンチル、(ヒドロキシメチル)-ヒドロキシ-シクロヘキシル、2,3-ジヒドロキシプロピル、(1-ヒドロキシ-シクロプロピル)-メチル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、ベンジル及びピリジルである。
特に好ましくは、基R1、R2の少なくとも一つ、最も特に好ましくは両方の基が、H以外の意味を有する。
R1及びR2がアルキレンブリッジを形成する場合、これはC3-7-アルキレンブリッジ又はC3-7-アルキレンブリッジ、特にC4-7-アルキレンブリッジ(そのR1R2N基のN原子に隣接しない-CH2-基が-CH=N-、-CH=CH-、-O-、-S-、-CO-又は-NR13-により置換されている)であることが好ましく、
【0026】
先に定義されたアルキレンブリッジ中で、1個以上のH原子が同じ又は異なる基R14により置換されていてもよく、かつ
先に定義されたアルキレンブリッジはアルキレンブリッジと基Cyの間の結合が
−単結合又は二重結合を介して、
−スピロ環式環系を形成する共通のC原子を介して、
−縮合二環式環系を形成する2個の共通の隣接C原子及び/又はN原子を介して、又は
−ブリッジされた環系を形成する3個以上のC原子及び/又はN原子を介して
つくられるような様式で炭素環基又は複素環基Cyで置換されていてもよい。
また、R1及びR2がアルキレンブリッジを形成し、その結果、R1R2N-がアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、2,5-ジヒドロ-1H-ピロール、1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン、2,3,4,7-テトラヒドロ-1H-アゼピン、2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-アゼピン、ピペラジン(その遊離イミン官能基がR13により置換されている)、ピペリジン-4-オン、モルホリン及びチオモルホリンから選ばれ、
特に好ましくはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン(その遊離イミン官能基がR13により置換されている)、及びモルホリンから選ばれる基を表すことが好ましく、
R1及びR2の一般の定義によれば、1個以上のH原子が同じ又は異なるR14により置換されていてもよく、かつ/又は上記基がR1及びR2の一般の定義に従って明記された様式で1個又は2個の同じ又は異なる炭素環基又は複素環基Cyにより置換されていてもよく、基CyはR20により一置換又は多置換されていてもよい。
特に好ましい基CyはC3-7-シクロアルキル、アザ-C4-7-シクロアルキル、特にシクロ-C3-6-アルキレンイミノであるだけでなく、1-C1-4-アルキル-アザ-C4-7-シクロアルキルであり、基CyはR20により一置換又は多置換されていてもよい。
【0027】
R1及びR2により形成されたC3-8-アルキレンブリッジ(-CH2-基が明記されたように置換されていてもよい)は、記載されたように、1個又は2個の同じ又は異なる炭素環基又は複素環基Cy(これは先に定義されたように置換されていてもよい)により置換されていてもよい。
アルキレンブリッジが単結合を介して基Cyに結合される場合には、CyはC3-7-シクロアルキル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ、1H-イミダゾール、チエニル及びフェニルからなる群から選ばれることが好ましい。
アルキレンブリッジがスピロ環式環系を形成する共通のC原子を介して基Cyに結合される場合には、CyはC3-7-シクロアルキル、アザ-C4-8-シクロアルキル、オキサ-C4-8-シクロアルキル、2,3-ジヒドロ-1H-キナゾリン-4-オンからなる群から選ばれることが好ましい。
アルキレンブリッジが縮合二環式環系を形成する2個の共通の隣接C原子及び/又はN原子を介して基Cyに結合される場合には、CyはC4-7-シクロアルキル、フェニル、チエニルからなる群から選ばれることが好ましい。
アルキレンブリッジがブリッジされた環系を形成する3個以上のC原子及び/又はN原子を介して基Cyに結合される場合には、CyはC4-8-シクロアルキル又はアザ-C4-8-シクロアルキルを表すことが好ましい。
複素環基R1R2N-が基Cyにより置換されている場合には、基Cyは単結合により基R1R2N-に結合されることが好ましく、CyはC3-7-シクロアルキル及びシクロ-C3-6-アルキレンイミノからなる群から選ばれることが好ましく、これらの基は明記されたように、好ましくはフッ素、CF3、C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-3-アルキル及びヒドロキシにより置換されていてもよい。

【0028】
【化8】

は下記の部分式の一つに従って特定されることが特に好ましい。
【0029】
【化9】

【0030】
【化10】

【0031】
式中、基R1R2N-により形成された複素環の1個以上のH原子は同じ又は異なる基R14により置換されていてもよく、かつ
基R1R2N-により形成された複素環は1個又は2個、好ましくは1個のC3-7-シクロアルキル基により置換されていてもよく、そのシクロアルキル基はR20により一置換又は多置換されていてもよく、かつ
基R1R2N-により形成された複素環に結合された環は1個以上のC原子の位置でR20により一置換又は多置換されていてもよく、フェニル環の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ
R13、R14、R20、R21は先に、また以下に示される意味を有する。
基R1R2N-により形成された複素環が明記されたようにR20により一置換又は多置換された1個又は2個のシクロアルキル基により置換されている場合、置換基R20は互いに独立にC1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ-C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-3-アルキル、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素又はCF3、特にヒドロキシを表すことが好ましい。

【0032】
【化11】

は下記の部分式の一つに従って特定されることが最も特に好ましい。
【0033】
【化12】

【0034】
式中、R13は先に、また以下に示される意味を有し、かつ
基R1R2N-により形成された複素環はC3-6-シクロアルキル、ヒドロキシ-C3-6-シクロアルキル又は(ヒドロキシ-C3-6-シクロアルキル)-C1-3-アルキルにより置換されていてもよく、かつ
基R1R2N-により形成された複素環は同じ又は異なる基R14により一置換、二置換又は三置換されていてもよい。置換基R14は互いに独立にF、Cl、Br、OH、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルコキシ-C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-4-アルキル又はCF3、特にヒドロキシ、C1-3-アルキル、CF3又はヒドロキシ-C1-3-アルキルを表すことが好ましい。
先に示された部分式が明記されたように置換されている場合、基R1R2Nの下記の定義が特に好ましい。ヒドロキシピロリジニル、ヒドロキシピペリジニル、3,4-ジヒドロキシピロリジニル、3,4-ジヒドロキシピペリジニル、3,5-ジヒドロキシピペリジニル、(ヒドロキシメチル)-ピロリジニル、(ヒドロキシメチル)-ピペリジニル、(ヒドロキシメチル)-ヒドロキシ-ピロリジニル、(ヒドロキシメチル)-ヒドロキシ-ピペリジニル。
明記された基中で、C原子の位置にあるヒドロキシメチル基はメチルにより一置換又は二置換されていてもよく、二つのメチル置換基が一緒に結合されて、シクロプロピル基を形成してもよく、かつ
1個又は2個のヒドロキシ基中で、H原子がメチル基により置換されていてもよく、かつ
明記された基は別の置換基をもたず、又は互いに独立にフッ素、ヒドロキシ、C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-3-アルキル、CF3から選ばれた1個もしくは2個の置換基を有する。
下記の部分式が先に挙げられた複素環基
の最も特に好ましい定義である。
【0035】
【化13】

【0036】
【化14】

【0037】
式中、明記された基は更に置換されておらず、又は
メチル基もしくはエチル基がフッ素により一置換、二置換もしくは三置換されていてもよく、炭素に結合される基R1R2N-により形成された複素環の1個以上のH原子が互いに独立にフッ素、塩素、CN、CF3、C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-3-アルキル、特にC1-3-アルキル又はCF3、好ましくはメチル、エチル、CF3により置換されていてもよい。
R1R2Nの上記の好ましい意味及び特に好ましい意味の中で、置換基R14の下記の定義が好ましい:F、Cl、Br、シアノ、C1-4-アルキル、C2-4-アルケニル、C2-4-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ、ω-(C1-4-アルコキシ)-C1-3-アルキル、C1-4-アルキル-カルボニル、カルボキシ、C1-4-アルコキシカルボニル、ヒドロキシ-カルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ-カルボニルアミノ、C1-4-アルコキシ-カルボニルアミノ-C1-3-アルキル、アミノ、C1-4-アルキル-アミノ、C3-7-シクロアルキル-アミノ、N-(C3-7-シクロアルキル)-N-(C1-4-アルキル)-アミノ、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ、アミノ-C1-3-アルキル、C1-4-アルキル-アミノ-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキル-アミノ-C1-3-アルキル、N-(C3-7-シクロアルキル)-N-(C1-4-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C1-3-アルキル、アミノカルボニル、C1-4-アルキル-アミノ-カルボニル、C3-7-シクロアルキル-アミノ-カルボニル、N-(C3-7-シクロアルキル)-N-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニル、ピリジニル-オキシ、ピリジニル-アミノ、ピリジニル-C1-3-アルキル-アミノ。
【0038】
置換基R14の特に好ましい意味はF、Cl、Br、C1-4-アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ、ω-(C1-4-アルコキシ)-C1-3-アルキル、アミノ-C1-3-アルキル、C1-4-アルキル-アミノ-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキル-アミノ-C1-3-アルキル、N-(C3-7-シクロアルキル)-N-(C1-4-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C1-3-アルキル、アミノカルボニル及びピリジルアミノである。
R14の上記の好ましい意味において、夫々の場合に1個以上のC原子が更にFにより一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個もしくは2個のC原子が互いに独立に更にClもしくはBrにより一置換されていてもよい。こうして、R14の好ましい意味として、また、例えば、-CF3、-OCF3、CF3-CO-及びCF3-CHOH-が挙げられる。
置換基R14の最も特に好ましい意味はC1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-3-アルキル、メトキシメチル、ヒドロキシ、CF3、CF3-CHOH、特にヒドロキシ、メチル、エチル、CF3及びヒドロキシメチルである。
好ましい第一の実施態様によれば、基Xはメチレンブリッジ、エチレンブリッジ又はプロピレンブリッジ、特に好ましくはメチレンブリッジ又はエチレンブリッジであり、これは置換されておらず、又は1個もしくは2個の同じもしくは異なるC1-3-アルキル置換基及び/又はC2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-6-シクロアルキルもしくはC3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキルから選ばれた置換基により置換されており、二つのアルキル置換基が一緒に結合されて3〜6員シクロアルキル基を形成してもよく、又はアルキルとアルケニル置換基が一緒に形成されて5員もしくは6員シクロアルケニル基を形成してもよい。この実施態様によれば、メチレン又はエチレンを表すXが置換されておらず、又はメチル、エチルもしくはi-プロピルにより一置換もしくは二置換されていることが好ましく、二つのアルキル置換基が一緒に結合されてC3-6-シクロアルキル基を形成してもよい。
この実施態様によれば、Xが-CH2-ブリッジであることが特に好ましく、これは置換されておらず、又はメチルにより一置換もしくは二置換されており、二つのメチル基が一緒に結合されてシクロプロピル基を形成してもよい。Xが未置換-CH2-ブリッジであることが最も特に好ましい。
それ故、Xの特に好ましい意味の例は下記の基である。
【0039】
【化15】

別の実施態様によれば、基Xが非分岐プロピレンブリッジ又はブチレンブリッジであることが好ましく、1個又は2個のC原子がヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-3-アルキル又はC1-3-アルコキシ、特にヒドロキシにより一置換されていてもよく、また1個又は2個のC原子が夫々1個もしくは2個の同じもしくは異なるC1-3-アルキル置換基及び/又はC2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-6-シクロアルキルもしくはC3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキルから選ばれた置換基により置換されていてもよく、二つのアルキル置換基が一緒に結合されて3〜6員シクロアルキル基を形成してもよく、又はアルキルとアルケニル置換基が一緒に結合されて5員又は6員シクロアルケニル基を形成してもよい。基X中で、1個以上のC原子がF及び/又はCl、好ましくはFにより一置換又は多置換されていてもよい。
別の実施態様によれば、基Xが非分岐プロピレンブリッジ又はブチレンブリッジ(R1R2N-基のN原子に直接隣接しない-CH2-CH2-基が-CH=CH-又は-C=C-により置換されている)、特に-CH2-CH=CH-又は-CH2-C=C-ブリッジであることが好ましく、Xについて明記された意味は未置換であり、又は互いに独立にフッ素及びC1-3-アルキル及び/又はシクロプロピル置換基から選ばれた1個もしくは2個の同じもしくは異なる置換基を含み、二つのアルキル基が一緒に結合されてC3-6-シクロアルキル基を形成してもよい。
Xの別の好ましい定義はまたC3-4-アルキレン、特にプロピレンであり、これは互いに独立にフッ素、塩素、ヒドロキシ及びC1-3-アルキルから選ばれた1個もしくは2個の同じ又は異なる置換基及び/又はシクロプロピル置換基を有し、2個のアルキル置換基が一緒に結合されて、C3-6-シクロアルキル基を形成してもよい。
置換されたプロピレンの定義に好ましい意味は、例えば、下記の基である。
【0040】
【化16】

【0041】
Xのその他の好ましい意味は-CH2-CH=CH-又は-CH2-C=C-であり、Xについて明記された意味は置換されておらず、又は互いに独立にフッ素及びC1-3-アルキルから選ばれた1個もしくは2個の同じもしくは異なる置換基及び/又はシクロプロピル置換基を有し、2個のアルキル基が一緒に結合されてC3-6-シクロアルキル基を形成してもよい。特に好ましくは、Xについて先に示された意味はメチル、エチル及びi-プロピルから選ばれた同じ又は異なる基により一置換又は二置換されていてもよく、2個のアルキル基が明記されたように一緒に結合されて、環式基を形成してもよい。
Xのその他の好ましい意味は-CH2-CH=CH-及び下記の基からなる群から選ばれた置換-CH2-CH=CH-である。
【0042】
【化17】

【0043】
置換アルケニレンを表すXについて、二つの可能なE/Z配置のうちの一つのみが先に示される。明らかに、二つのE/Z配置の他方がまた本発明に含まれる。
基R10の好ましい意味は-OH、メトキシ及びヒドロキシメチル、特に-OHである。
ブリッジWは単結合又はエチレン、特に好ましくは単結合を表すことが好ましい。
ブリッジZは単結合又はエチレン(これは一緒に結合されて、シクロプロピル基を形成してもよい1個又は2個のメチル置換基を有してもよい)を表すことが好ましい。Zが単結合を表すことが特に好ましい。
基Y中の基RMの好ましい意味は、MがNRMを表す場合には、H、C1-3-アルキル、プロプ-2-エンイル、プロプ-2-インイル、C3-6-シクロアルキル、C3-6-シクロアルキルメチルから選ばれる。RMはH又はC1-3-アルキル、特にH又はメチルを表すことが最も特に好ましい。
好ましいアルキン化合物はMが好ましくはO又はSを表すものである。
基Yの好ましい定義は下記の部分式から選ばれる。
【0044】
【化18】

(両方の部分式は置換されておらず、又は二つの部分式中で、1個以上、好ましくは1個又は2個のC原子が互いに独立にR20により置換されている)
基Yの特に好ましい置換基R20はフッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C1-4-アルキル、C2-6-アルケニル、ヒドロキシ、ω-ヒドロキシ-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C2-4-アルキニル、C1-4-アルコキシカルボニル、ω-(C1-4-アルコキシ)-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ-カルボニルアミノ、アミノ、C1-4-アルキル-アミノ、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ、アミノカルボニル、C1-4-アルキル-アミノ-カルボニル及びジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニルからなる群から選ばれる。
基Yの最も特に好ましい置換基R20はフッ素、塩素、臭素、シアノ、C1-3-アルキル、C2-3-アルケニル、C2-3-アルキニル、C1-3-アルコキシ、C1-4-アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシからなる群から選ばれ、フェニル環の場合には同様にニトロから選ばれる。置換基R20の最も特に好ましい意味の例はF、Cl、Br、メチル、エチル、アセチル又はメトキシである。
基Aは2価の環式基フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピリダジニルの中から選ばれることが好ましく、これらは1個以上のC原子の位置で同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、フェニル環の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよい。
Aは以下にリストされる基の一つであることが最も特に好ましい。
【0045】
【化19】

【0046】
リストされた基は先に明記されたように置換されていてもよい。
基Aの特に好ましい置換基R20は、互いに独立に、フッ素、塩素、臭素、アミノ、CF3、メトキシ及びC1-3-アルキルである。
基Aは置換されておらず、又は明記されたように、R20により一置換されていることが好ましい。
第一の好ましい実施態様の基Bの好ましい定義はフェニル、ピリジル、チエニル及びフラニルからなる群から選ばれる。基Bはフェニルを表すことが特に好ましい。明記されたように定義された基Bは同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、フェニル基はまた更にニトロにより一置換されていてもよい。基Bは置換されておらず、又は一置換、二置換もしくは三置換されていることが好ましく、特に置換されておらず、又は一置換もしくは二置換されている。一置換の場合、その置換基は基Aに対しパラ位にあることが好ましい。
基Bの好ましい置換基R20はフッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C1-4-アルキル、ヒドロキシ、CHF2、CHF2-O-、ヒドロキシ-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C2-4-アルキニル、カルボキシ、C1-4-アルコキシカルボニル、ω-(C1-4-アルコキシ)-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ-カルボニルアミノ、アミノ、C1-4-アルキル-アミノ、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ、アミノカルボニル、C1-4-アルキル-アミノ-カルボニル及びジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニルからなる群から選ばれる。
基Bの特に好ましい置換基R20はフッ素、塩素、臭素、シアノ、CF3、C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ及びトリフルオロメトキシからなる群から選ばれる。
基Bの最も特に好ましい置換基R20は塩素及びメトキシからなる群から選ばれる。
【0047】
第二の実施態様によれば、基Bの定義がC1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキニルから選ばれることが好ましく、先にBについて挙げられた基中の1個以上のC原子がフッ素により一置換又は多置換されていてもよい。上記実施態様の環式基中で、1個以上のC原子がR20により置換されていてもよい。
この実施態様によれば、基C3-6-アルキル、C3-6-アルケニル、C3-6-アルキニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロペンチル-C1-3-アルキル、シクロペンテニル-C1-3-アルキル、シクロヘキシル-C1-3-アルキル、シクロヘキセニル-C1-3-アルキル、シクロヘプチル-C1-3-アルキル、シクロヘプテニル-C1-3-アルキルが特に好ましく、先にBについて挙げられた基中の1個以上のC原子がフッ素により一置換又は多置換されていてもよく、また環式基中で1個以上のC原子が同じ又は異なるR20により置換されていてもよい。
この第二の実施態様によれば、Bがシクロヘキセニル(これは置換されておらず、又は1個、2個もしくは3個の同じもしくは異なる置換基R20、特にメチルを含む)を表すことが最も特に好ましい。
【0048】
本発明のその他の置換基の幾つかの好ましい定義が以下にリストされる。
R4はH、C1-4-アルキル、C3-6-シクロアルキル及びC3-6-シクロアルキル-メチル、特にH、メチル、エチル、プロピル、i-プロピル、n-プロピル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルを表すことが好ましい。R4はH又はメチルを表すことが最も特に好ましい。
置換基R13はR16について示された意味の一つを有することが好ましい。R13はH、C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル、ω-(C1-4-アルコキシ)-C2-3-アルキルを表すことが特に好ましい。R13はH又はC1-4-アルキルを表すことが最も好ましい。先に明記されたアルキル基はClにより一置換されていてもよく、又はFにより一置換もしくは多置換されていてもよい。
置換基R15の好ましい意味はH、C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル及びC3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルであり、先に定義されたように、夫々の場合に1個以上のC原子が更にFにより一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個もしくは2個のC原子が互いに独立に更にClもしくはBrにより一置換されていてもよい。R15はH、CF3、メチル、エチル、プロピル又はブチルを表すことが特に好ましい。
置換基R16はH、C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル又はω-(C1-4-アルコキシ)-C2-3-アルキルを表すことが好ましく、先に定義されたように、夫々の場合に1個以上のC原子が更にFにより一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個もしくは2個のC原子が互いに独立に更にClもしくはBrにより一置換されていてもよい。R16はH、CF3、C1-3-アルキル、C3-6-シクロアルキル又はC3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキルを表すことが特に好ましい。
置換基R17は好ましいとR16について示された意味の一つを有し、又はフェニル、フェニル-C1-3-アルキル、ピリジニルもしくはC1-4-アルキルカルボニルを表すことが好ましい。R17は好ましいとR16について示された意味の一つを有することが特に好ましい。
置換基R18及びR19の一つ又は両方が互いに独立に水素又はC1-4-アルキル、特に水素を表すことが好ましい。
置換基R20はハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1-4-アルキル、C2-4-アルケニル、C2-4-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-4-アルキル、R22-C1-3-アルキルを表し、又は好ましいとR22について示された意味の一つを有することが好ましく、先に定義されたように、夫々の場合に1個以上のC原子が更にFにより一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個もしくは2個のC原子が互いに独立に更にClもしくはBrにより一置換されていてもよい。
【0049】
基R20の特に好ましい定義はハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1-4-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル、C3-7-シクロアルキル及びC1-4-アルコキシであり、先に定義されたように、夫々の場合に1個以上のC原子が更にFにより一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個もしくは2個のC原子が互いに独立に更にClもしくはBrにより一置換されていてもよい。R20はF、Cl、Br、I、OH、シアノ、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、アセチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ又はイソ-プロポキシを表すことが最も特に好ましい。
置換基R22はC1-4-アルコキシ、C1-4-アルキルチオ、カルボキシ、C1-4-アルキルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノカルボニル、C1-4-アルキル-スルホニル、C1-4-アルキル-スルフィニル、C1-4-アルキル-スルホニルアミノ、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ、C1-4-アルキル-カルボニル-アミノ、ヒドロキシ-C1-3-アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ又はC1-4-アルキルアミノカルボニル-アミノを表すことが好ましく、先に定義されたように、夫々の場合に1個以上のC原子が更にFにより一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個もしくは2個のC原子が互いに独立に更にClもしくはBrにより一置換されていてもよい。R22に最も特に好ましい意味はC1-4-アルコキシ、C1-4-アルキルカルボニル、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノであり、1個以上のH原子がフッ素により置換されていてもよい。
【0050】
基R21の好ましい定義はC1-4-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル、C1-4-アルキルスルホニル、-SO2-NH2、-SO2-NH-C1-3-アルキル、-SO2-N(C1-3-アルキル)2及びシクロ-C3-6-アルキレンイミノ-スルホニルであり、先に定義されたように、夫々の場合に1個以上のC原子が更にFにより一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個もしくは2個のC原子が互いに独立に更にClもしくはBrにより一置換されていてもよい。R21はC1-4-アルキル又はCF3を表すことが最も特に好ましい。
CyはC3-7-シクロアルキル、特にC3-6-シクロアルキル基、C5-7-シクロアルケニル基、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アリール又はヘテロアリールを表すことが好ましく、上記環式基は1個以上のC原子の位置で同じもしくは異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、又はフェニル基の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ/又は1個以上のNH基がR21により置換されていてもよい。基Cyの最も特に好ましい定義はC3-6-シクロアルキル、ピロリジニル及びピペリジニルであり、これらは明記されたように置換されていてもよい。
アリールという用語はフェニル又はナフチル、特にフェニルを表すことが好ましい。
ヘテロアリールという用語はピリジル、インドリル、キノリニル及びベンゾオキサゾリルを含むことが好ましい。
本発明の好ましい化合物は基、置換基及び/又は指数の一つ以上が好ましいと先に示された意味の一つを有する化合物である。
本発明の特に好ましい化合物が一般式IIa〜IIdの一つ、特にIIa及びIIbにより記載し得る。
【0051】
【化20】

【0052】
式中、
クロマン基及びクロメノン基は置換されておらず、又はL1により一置換もしくは二置換されており、
R1、R2、X及びZは先に示された意味の一つを有し、かつ
L1、L2、L3は互いに独立にR20について示された意味の一つを有し、かつ
n、pは互いに独立に値0、1又は2を表し、pはまた3を表してもよい。
特に、式IIa〜IId、特にIIa及びIIbにおいて、
Xが未置換-CH2-ブリッジ又は
-CH2-ブリッジ(これはC1-3-アルキル、特にメチルにより一置換又は二置換されており、二つのアルキル置換基が一緒に結合されて、C3-6-シクロアルキル基、特にシクロプロピルを形成してもよい)を表し、
Zが単結合を表し、
L1がフッ素、塩素、臭素、シアノ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、C1-4-アルコキシカルボニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、特にC1-3-アルキルを表し、
L2がフッ素、塩素、臭素、CN、アミノ、CF3、メトキシ及びC1-3-アルキルを表し、
nが0又は1を表し、
L3が互いに独立にフッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C1-4-アルキル、ヒドロキシ、ω-ヒドロキシ-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C2-4-アルキニル、カルボキシ、C1-4-アルコキシカルボニル、ω-(C1-4-アルコキシ)-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ-カルボニルアミノ、アミノ、C1-4-アルキル-アミノ、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ、アミノカルボニル、C1-4-アルキル-アミノ-カルボニル又はジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-カルボニルの中から選ばれた意味を有し、フッ素、塩素、臭素、シアノ、CF3、C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ及びトリフルオロメトキシが特に好ましく、但し、フェニル環のみがニトロにより一置換されていてもよいことを条件とし、かつ
pが0、1、2又は3、特に1又は2を表す。
【0053】
最も特に好ましくは、式IIa、IIb、IIc、IIdにおいて、
R1、R2が互いに独立にC1-4-アルキル、ヒドロキシ-C1-4-アルキル、C3-5-アルケニル、C3-5-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、ヒドロキシ-C3-7-シクロアルキル、ジヒドロキシ-C3-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、(ヒドロキシ-C3-7-シクロアルキル)-C1-3-アルキル、ω-(C1-4-アルコキシ)-C2-3-アルキル、ピリジル又はベンジルを表し、アルキル基、シクロアルキル基又はシクロアルキル-アルキル基が更にヒドロキシ及び/又はヒドロキシ-C1-3-アルキルにより一置換又は二置換されていてもよく、かつ/又はFもしくはC1-3-アルキルにより一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又はCF3、Br、ClもしくはCNにより一置換されていてもよく、基R1及びR2の一方がまたHを表してもよく、またフェニル環及びピリジル環が同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、またフェニルがニトロにより一置換されていてもよく、又は
R1、R2が一緒に結合され、それらが結合されているN原子と一緒になって複素環基(これはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン(その遊離イミン官能基はR13により置換されている)、及びモルホリンから選ばれる)を形成し、
【0054】
1個以上のH原子が同じ又は異なる基R14により置換されていてもよく、かつ
先に特定された複素環基が単結合を介して炭素環基又は複素環基Cyで置換されていてもよく、CyがC3-7-シクロアルキル及びシクロ-C3-6-アルキレンイミノからなる群から選ばれ、Cyが同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、R20が先に定義されたとおりであり、好ましくはフッ素、CF3、C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-3-アルキル及びヒドロキシから選ばれ、かつ
R14がF、Cl、Br、C1-4-アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ、ω-(C1-4-アルコキシ)-C1-3-アルキル、アミノ-C1-3-アルキル、C1-4-アルキル-アミノ-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキル-アミノ-C1-3-アルキル、N-(C3-7-シクロアルキル)-N-(C1-4-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C1-3-アルキル、アミノカルボニル及びピリジルアミノから選ばれ、上記意味において1個以上のC原子が夫々更にFにより一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個もしくは2個のC原子が互いに独立に更にClもしくはBrにより一置換されていてもよい。
【0055】
実験の節にリストされる化合物(これらの互変異性体、ジアステレオマー、鏡像体、混合物及びこれらの塩を含む)が、本発明によれば好ましい。
本発明の化合物を記載するのに先に使用され、また以下に使用される幾つかの表現が今更に充分に定義されるであろう。
ハロゲンという用語はF、Cl、Br及びI、特にF、Cl及びBrの中から選ばれた原子を表す。
C1-n-アルキル(nは3〜8の値を有する)という用語は、1〜n個のC原子を有する飽和、分岐又は非分岐炭化水素基を表す。このような基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、イソ-ヘキシル等が挙げられる。
C1-n-アルキレン(nは1〜8の値を有してもよい)という用語は、1〜n個のC原子を有する飽和、分岐又は非分岐炭化水素ブリッジを表す。このような基の例として、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2-CH2-)、1-メチル-エチレン(-CH(CH3)-CH2-)、1,1-ジメチル-エチレン(-C(CH3)2-CH2-)、n-プロプ-1,3-イレン(-CH2-CH2-CH2-)、1-メチルプロプ-1,3-イレン(-CH(CH3)-CH2-CH2-)、2-メチルプロプ-1,3-イレン(-CH2-CH(CH3)-CH2-)等だけでなく、相当する鏡対称形態が挙げられる。
C2-n-アルケニル(nは3〜6の値を有する)という用語は、2〜n個のC原子及び少なくとも一つのC=C二重結合を有する分岐又は非分岐炭化水素基を表す。このような基の例として、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソ-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル等が挙げられる。
C2-n-アルキニル(nは3〜6の値を有する)という用語は、2〜n個のC原子及びC=C三重結合を有する分岐又は非分岐炭化水素基を表す。このような基の例として、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、2-メチル-1-プロピニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、3-メチル-2-ブチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル等が挙げられる。
【0056】
C1-n-アルコキシという用語はC1-n-アルキル-O-基(C1-n-アルキルは先に定義されたとおりである)を表す。このような基の例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソ-ペントキシ、ネオ-ペントキシ、tert-ペントキシ、n-ヘキソキシ、イソ-ヘキソキシ等が挙げられる。
C1-n-アルキルチオという用語はC1-n-アルキル-S-基(C1-n-アルキルは先に定義されたとおりである)を表す。このような基の例として、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソ-プロピルチオ、n-ブチルチオ、イソ-ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、イソ-ペンチルチオ、ネオ-ペンチルチオ、tert-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、イソ-ヘキシルチオ等が挙げられる。
C1-n-アルキルカルボニルという用語はC1-n-アルキル-C(=O)-基(C1-n-アルキルは先に定義されたとおりである)を表す。このような基の例として、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n-プロピルカルボニル、イソ-プロピルカルボニル、n-ブチルカルボニル、イソ-ブチルカルボニル、sec-ブチルカルボニル、tert-ブチルカルボニル、n-ペンチルカルボニル、イソ-ペンチルカルボニル、ネオ-ペンチルカルボニル、tert-ペンチルカルボニル、n-ヘキシルカルボニル、イソ-ヘキシルカルボニル等が挙げられる。
C3-n-シクロアルキルという用語は3〜n個のC原子を有する飽和モノ-、ビ-、トリ-又はスピロ炭素環式基、好ましくはモノ炭素環基を表す。このような基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、ビシクロ〔3.2.1〕オクチル、スピロ〔4.5〕デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチル等が挙げられる。
【0057】
C5-n-シクロアルケニルという用語は5〜n個のC原子を有するモノ不飽和モノ-、ビ-、トリ-又はスピロ炭素環式基、好ましくはモノ炭素環基を表す。このような基の例として、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロノネニル等が挙げられる。
C3-n-シクロアルキルカルボニルという用語はC3-n-シクロアルキル-C(=O)基(C3-n-シクロアルキルは先に定義されたとおりである)を表す。
アリールという用語は炭素環式、芳香族環系、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、ビフェニレニル等を表す。“アリール”の特に好ましい意味はフェニルである。
シクロ-C3-6-アルキレンイミノという用語は3〜6個のメチレン単位だけでなく、イミノ基を含む4〜7員環を表し、その分子の残部への結合はイミノ基を介してなされる。
シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-カルボニルという用語はイミノ基を介してカルボニル基に結合されている先に定義されたシクロ-C3-6-アルキレンイミノ環を表す。
この出願に使用されるヘテロアリールという用語は少なくとも1個のC原子に加えてN、O及び/又はSから選ばれた1個以上のヘテロ原子を含む複素環の、芳香族環系を表す。このような基の例はフラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,5-トリアゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、テトラゾリル、チアジアジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル(チアナフテニル)、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、プリニル、キナゾリニル、キノジリニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニル等である。また、ヘテロアリールという用語は部分水素化された複素環の、芳香族環系、特に先にリストされたものを含む。このような部分水素化された環系の例は2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ピロリニル、ピラゾリニル、インドリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゼピニル等である。ヘテロアリールはヘテロ芳香族の単環式又は二環式の環系を表すことが特に好ましい。
【0058】
C3-7-シクロアルキル-C1-n-アルキル、ヘテロアリール-C1-n-アルキル等の如き用語はC3-7-シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基で置換されている、先に定義されたような、C1-n-アルキルを表す。
先に示された用語の多くが式又は基の定義に繰り返して使用されてもよく、夫々の場合に互いに独立に、先に示された意味の一つを有する。こうして、例えば、基ジ-C1-4-アルキル-アミノ中で、その二つのアルキル基は同じ又は異なる意味を有してもよい。
特に基Cyの定義に使用される、例えば、“不飽和炭素環式基”又は“不飽和複素環基”中の、“不飽和”という用語は、モノ-又はポリ不飽和基に加えて、相当する完全には飽和されていない基、特にモノ-及びジ不飽和基を含む。
この出願に使用される“必要により置換されていてもよい”という表現はこうして表示された基が置換されておらず、又は明記された置換基により一置換もしくは多置換されていることを示す。当該基が多置換されている場合、置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよい。
先に、また以下に使用されるスタイル(それによれば、環式基中で置換基の結合がこの環式基の中央に向かって示される)は、特にことわらない限り、この置換基がH原子を有する環式基のあらゆる自由な位置に結合されてもよいことを示す。
こうして、例
【0059】
【化21】

では、置換基R20(s=1の場合)はフェニル環の自由な位置のいずれかに結合されてもよい。s=2の場合、選ばれた置換基R20は互いに独立にフェニル環の異なる自由な位置に結合されてもよい。
存在するカルボキシ基のH原子又はN原子に結合されたH原子(イミノ基又はアミノ基)は夫々の場合に生体内で開裂し得る基により置換されていてもよい。N原子から生体内で開裂し得る基は、例えば、ヒドロキシ基、アシル基、例えば、ベンゾイル基もしくはピリジノイル基又はC1-16-アルカノイル基、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基もしくはヘキサノイル基、アリルオキシカルボニル基、C1-16-アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert.ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、ウンデシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基もしくはヘキサデシルオキシカルボニル基、フェニル-C1-6-アルコキシカルボニル基、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、フェニルエトキシカルボニル基もしくはフェニルプロポキシカルボニル基、C1-3-アルキルスルホニル-C2-4-アルコキシカルボニル基、C1-3-アルコキシ-C2-4-アルコキシ-C2-4-アルコキシカルボニル基又はReCO-O-(RfCRg)-O-CO-基(式中、
ReはC1-8-アルキル基、C5-7-シクロアルキル基、フェニル基又はフェニル-C1-3-アルキル基を表し、
Rfは水素原子、C1-3-アルキル基、C5-7-シクロアルキル基又はフェニル基を表し、かつ
Rgは水素原子、C1-3-アルキル基又はReCO-O-(RfCRg)-O-基(式中、Re〜Rgは先に定義されたとおりである)を表す)
を意味し、
更にフタルイミド基がアミノ基について更に可能であり、上記エステル基はまた生体内でカルボキシ基に変換し得る基として使用し得る。
【0060】
上記残基及び置換基は記載されたようにフッ素により一置換又は多置換されていてもよい。好ましいフッ素化されたアルキル基はフルオロメチル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルである。好ましいフッ素化されたアルコキシ基はフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ及びトリフルオロメトキシである。好ましいフッ素化されたアルキルスルフィニル基及びアルキルスルホニル基はトリフルオロメチルスルフィニル及びトリフルオロメチルスルホニルである。
本発明の一般式Iの化合物は酸基、主としてカルボキシル基を有してもよく、かつ/又は塩基性基、例えば、アミノ官能基を有してもよい。それ故、一般式Iの化合物は分子内塩として、また医薬上使用できる無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、スルホン酸もしくは有機酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸又は酢酸)との塩として、又は医薬上使用できる塩基、例えば、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩、水酸化亜鉛もしくは水酸化アンモニウム又は有機アミン、例えば、とりわけジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンとの塩として存在してもよい。
本発明の化合物は原則として知られている合成の方法を使用して得られてもよい。化合物は以下に更に充分に説明される調製の方法と同様にして得られることが好ましい。
【0061】
以下の二つの反応プランA及びBは本発明の化合物A.5及びB.5の合成を示し、R1、R2、X、Y、Z、W、A及びBは前記意味の一つを有する。Halは塩素、臭素又はヨウ素、特に臭素又はヨウ素、特に好ましくはヨウ素を表す。
反応プランAによれば、ハロゲン化合物A.1を保護ガス雰囲気下で好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で約1.5:1〜1:1.5のモル比でアルキン化合物A.2と反応させる。
ヨウ化銅(I)の好ましい量は遊離体A.1を基準として1〜15モル%、特に5〜10モル%の範囲である。
好適なパラジウム触媒は、例えば、Pd(PPh3)4、Pd2(dba)3、Pd(OAc)2、Pd(PPh3)2Cl2、Pd(CH3CN)2Cl2、Pd(dppf)Cl2である。パラジウム触媒は遊離体A.1を基準として1〜15モル%、特に5〜10モル%の量で使用されることが好ましい。好適な塩基は特にアミン、例えば、トリエチルアミン又はエチルジイソプロピルアミンだけでなく、Cs2CO3である。塩基は遊離体A.1を基準として少なくとも等モル量、過剰で、又は溶媒として使用されることが好ましい。更に、好適な溶媒はジメチルホルムアミド又はエーテル、例えば、テトラヒドロフラン(これらの混合物を含む)である。その反応は約2〜24時間の期間にわたって約20〜90℃の温度範囲で起こる。
得られたアルキン化合物A.3を直接に、又は先の精製後にメタンスルホン酸クロリドと反応させてメタンスルホネート誘導体a.4を生成する。必要とされる反応条件はこのようなものとして当業者に知られている。有利な溶媒はハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンである。好適な反応温度は通常0〜30℃の範囲である。
好適な溶媒に溶解された、メタンスルホネート誘導体A.4又は精製メタンスルホネート誘導体A.4を含む反応溶液をアミンH-NR1R2と反応させて最終生成物A.5を得、次いで必要により精製してもよい。アミンH-NR1R2が別の一級又は二級アミノ官能基を有する場合、これは前もって保護基を備えていることが有利であり、これはその反応が終了した後に、文献により知られている方法を使用して再度開裂し得る。こうして得られた生成物は、例えば、相当する酸との反応により塩形態に変換されてもよい。誘導体A.4対アミン化合物の好ましいモル比は1.5:1から1:1.5までの範囲である。好適な溶媒はジメチルホルムアミド又はエーテル、例えば、テトラヒドロフラン(これらの混合物を含む)である。生成物A.5を生成するための反応は約20〜90℃の温度範囲で行なわれることが有利である。
反応プランA:
【0062】
【化22】

【0063】
反応プランBによれば、ハロゲン化合物B.2を保護ガス雰囲気下で好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で約1.5:1〜1:1.5のモル比でアルキン化合物B.1と反応させる。触媒、塩基及び溶媒を含む、好適な反応条件に関する情報が反応プランAの説明に見られるかもしれない。
得られたアルキン化合物B.3を直接に、又は先の精製後にメタンスルホン酸クロリドと反応させてメタンスルホネート誘導体B.4を生成する。関係する反応条件がダイアグラムAを伴う備考に再度見られる。
好適な溶媒に溶解された、メタンスルホネート誘導体B.4又は精製メタンスルホネート誘導体B.4を含む反応溶液を、アミンH-NR1R2と反応させて最終生成物B.5を生成し、次いで必要により精製してもよい。ここで再度、ダイアグラムAに関する備考が適用される。
反応プランB:
【0064】
【化23】

【0065】
その他の反応プランCによれば、ハロゲン化合物C.1を保護ガス雰囲気下で好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で約1.5:1〜1:1.5のモル比でアルキン化合物C.2と反応させて生成物C.3を直接生成する。触媒、塩基及び溶媒を含む、好適な反応条件に関する情報が反応プランAを伴う説明の備考に見られるかもしれない。
反応プランC:
【0066】
【化24】

【0067】
これについての合成の別法が反応プランDに示される。これによれば、ハロゲン化合物D.2を保護ガス雰囲気下で好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で約1.5:1〜1:1.5のモル比でアルキン化合物D.1と反応させて生成物D.3を直接生成する。もう一度、触媒、塩基及び溶媒を含む、好適な反応条件に関する情報が反応プランAを伴う説明の備考に見られるかもしれない。
反応プランD:
【0068】
【化25】

【0069】
プランA、B、C及びDによる反応は相当するヨウ素化合物A.1、B.2、C.1及びD.2を用いて特に有利に行なわれる。Halが化合物A.1、B.2、C.1又はD.2において臭素を表す場合には、それを前もって相当するヨウ素化合物に変換することが有利である。一つの特に有利な方法はアリール-フィンケルシュタイン反応である(Klapars, Artis; Buchwald, Stephen L.,“アリールハライドにおける銅触媒ハロゲン交換:芳香族フィンケルシュタイン反応”, Journal of the American Chemical Society (2002), 124(50), 14844-14845)。こうして、例えば、ハロゲン化合物A.1、B.2、C.1又はD.2が好適な溶媒中でN,N'-ジメチル-エチレンジアミン及びヨウ化銅(I)の存在下でヨウ化ナトリウムと反応させられて相当するヨウ素化合物を生成し得る。ハロゲン化合物対ヨウ化ナトリウムの有利なモル比は1:1.8〜1:2.3である。N,N'-ジメチル-エチレンジアミンはハロゲン化合物A.1、B.2、C.1又はD.2を基準として10〜30モル%のモル比で使用されることが有利である。ヨウ化銅(I)の好ましい量はハロゲン化合物A.1、B.2、C.1又はD.2を基準として5〜20モル%の範囲である。好適な溶媒は、例えば、1,4-ジオキサンである。好適な反応温度は約20〜110℃の範囲である。その反応は2〜72時間後に実質的に完結する。
本発明の化合物は原則として知られている合成の方法を使用して得られてもよい。化合物は実験の節に更に充分に説明される調製の方法と同様にして得られることが好ましい。
【0070】
式(I)の立体異性化合物は主として通常の方法により分離されてもよい。ジアステレオマーはそれらの異なる物理化学的性質に基づいて、例えば、好適な溶媒からの分別結晶化、キラル静止相又は好ましくは非キラル静止相を使用する、高圧液体クロマトグラフィー又はカラムクロマトグラフィーにより分離される。
一般式(I)により含まれるラセミ体は、例えば、好適なキラル静止相(例えば、キラルAGP、キラルパクAD)によるHPLCにより分離されてもよい。塩基性又は酸性官能基を含むラセミ体はまた光学活性酸、例えば、(+)又は(-)-酒石酸、(+)又は(-)-ジアセチル酒石酸、(+)又は(-)-酒石酸モノメチル又は(+)-ショウノウスルホン酸、或いは光学活性塩基、例えば、(R)-(+)-1-フェニルエチルアミン、(S)-(-)-1-フェニルエチルアミン又は(S)-ブルシンとの反応で生成されるジアステレオマーの、光学活性塩を経由して分離し得る。
異性体を分離する通常の方法によれば、式(I)の化合物のラセミ体が溶媒中で等モル量の上記光学活性酸又は塩基の一種と反応させられ、得られるその結晶性の、ジアステレオマーの、光学活性塩がそれらの異なる溶解性を使用して分離される。この反応はあらゆる型の溶媒中で行なわれてもよいが、但し、それが塩の溶解性に関して充分に異なることを条件とする。メタノール、エタノール又は、例えば、50:50の容積比のこれらの混合物が使用されることが好ましい。次いで光学活性塩の夫々が水に溶解され、塩基、例えば、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム、又は好適な酸、例えば、希塩酸もしくは水性メタンスルホン酸で慎重に中和され、この方法で相当する遊離化合物が(+)又は(-)形態で得られる。
一般式(I)の(R)もしくは(S)鏡像体単独又は2種の光学活性ジアステレオマー化合物の混合物がまた(R)もしくは(S)配置の好適な反応成分を用いて上記合成を行なうことにより得られてもよい。
【0071】
既に記載されたように、式(I)の化合物はその塩、特に医薬上の使用のためにその生理学上かつ薬理学上許される塩に変換されてもよい。これらの塩は一方では無機酸又は有機酸との式(I)の化合物の生理学上かつ薬理学上許される酸付加塩として存在してもよい。他方で、酸により結合された水素の場合には、式(I)の化合物はまた無機塩基との反応により対イオンとしてのアルカリ又はアルカリ土類金属陽イオンとの生理学上かつ薬理学上許される塩に変換されてもよい。酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸を使用して調製し得る。更に、上記酸の混合物が使用されてもよい。酸により結合された水素を有する式(I)の化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を調製するために、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物及び水素化物が使用されることが好ましいが、アルカリ金属、特にナトリウム及びカリウムの水酸化物及び水素化物が好ましく、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが最も好ましい。
生理学上許される塩を含む、本発明の化合物は、MCH受容体、特にMCH-1受容体のアンタゴニストとして有効であり、MCH受容体結合研究で良好なアフィニティーを示す。MCH拮抗特性に関する薬理学試験系が下記の実験の節に記載される。
MCH受容体のアンタゴニストとして、本発明の化合物はMCHにより引き起こされ、又は或るその他の様式でMCHと原因上関連している症候及び/又は疾患の予防及び/又は治療のための医薬上活性な物質として有利に適している。一般に、本発明の化合物は低毒性を有し、それらは経口経路により良く吸収され、かつ良好な脳内移行性、特に脳接近性を有する。
それ故、本発明の少なくとも一種の化合物を含むMCHアンタゴニストは、MCHにより引き起こされ、又はそれ以外にMCHと原因上関連している症候及び/又は疾患の予防及び/又は治療のために、哺乳類、例えば、ラット、マウス、モルモット、野ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウシ、サル及びヒトに特に適している。
MCHにより引き起こされ、又はそれ以外にMCHと原因上関連している疾患は特に代謝障害、例えば、肥満、及び食事障害、例えば、神経性多食症を含む、多食症である。指示肥満として、特に外因性肥満、高インスリン性肥満、形質増殖性肥満、高成長(hyperphyseal)脂肪症、形質低形成性肥満、甲状腺機能低下性肥満、視床下部性肥満、症候性肥満、幼児性肥満、上体肥満、食事性肥満、性腺機能減退性肥満、中枢性肥満が挙げられる。指示のこの範囲はまた悪液質、拒食症及び過食症を含む。
本発明の化合物は空腹を減少し、食欲を抑制し、食事挙動を制御し、かつ/又は飽満感を誘発するのに特に適しているかもしれない。
【0072】
加えて、MCHにより引き起こされ、又はそれ以外にMCHと原因上関連する疾患としてまた、高脂血症、蜂巣炎、脂肪蓄積、悪性肥満細胞症、全身性肥満細胞症、情緒障害、感情障害、鬱病、不安状態、生殖障害、性的障害、記憶障害、癲癇、痴呆の形態及びホルモン障害が挙げられる。
本発明の化合物はまたその他の病気及び/又は障害、特に肥満を伴うもの、例えば、糖尿病、真性糖尿病、特にII型糖尿病、高血糖、特に慢性高血糖、糖尿病の合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性腎症等を含む)、インスリン耐性、病的グルコーストレランス、脳出血、心不全、心血管疾患、特に動脈硬化及び高血圧、関節炎並びに膝関節炎の予防及び/又は治療のための活性物質として適している。
本発明のMCHアンタゴニスト及び製剤は食事療法、例えば、食事糖尿病治療、及び運動と組み合わせて有利に使用し得る。
本発明の化合物が有利に好適である指示の別の範囲は排尿障害、例えば、尿失禁、活動亢進の膀胱、切迫排尿、夜間多尿、遺尿症の予防及び/又は治療であり、活動亢進の膀胱及び切迫排尿は良性前立腺過形成と関連していてもよく、また関連していなくてもよい。
一般に言えば、本発明の化合物は依存症、例えば、アルコール及び/又はニコチン依存症、及び/又は禁断症、例えば、ニコチンをやめているスモーカーの体重獲得を予防し、かつ/又は治療するのに潜在的に適している。“依存症”は常用物質を摂取し、かつ/又は、特に幸福感を得もしくはネガチブの感情を排除するために、或る種の活動を行なおうとする押えられない衝動をここで一般に意味する。特に、“依存症”という用語は常用物質に関する依存症を表すのにここで使用される。“禁断症”は常用物質が一種以上のこのような物質に依存する患者から断たれる場合に生じ、又は生じ得る症候をここで一般に意味する。本発明の化合物はタバコ消費を減少又は終了するため、ニコチン依存症の治療又は予防のため、かつ/又はニコチン禁断症の治療又は予防のため、タバコ及び/又はニコチンについての渇望を低減するための活性物質として、また一般にアンチ-スモーキング剤として潜在的に特に適している。本発明の化合物はまたスモーカーがニコチンを断っている場合に典型的に見られる体重獲得を防止し、又は少なくとも低減するのに有益であり得る。これらの物質はまた常用物質についての渇望及び/又は常用物質への依存症への再発を防止し、もしくは少なくとも低減する活性物質として適しているかもしれない。常用物質という用語は精神-運動活性を有する物質、例えば、麻薬又はドラッグ、特にアルコール、ニコチン、コカイン、アンフェタミン、オピエート、ベンゾジアゼイン及びバルビツレートを特に表すが、排他的ではない。
【0073】
このような効果を得るのに必要とされる用量は都合良くは、夫々の場合に毎日1〜3回で、静脈内経路又は皮下経路により、体重1kg当り0.001〜30mg、好ましくは体重1kg当り0.01〜5mgであり、経口経路もしくは鼻内経路又は吸入により、体重1kg当り0.01〜50mg、好ましくは体重1kg当り0.1〜30mgである。
この目的のために、本発明に従って調製された化合物は一種以上の通常の不活性担体及び/又は希釈剤、例えば、トウモロコシ澱粉、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は脂肪物質、例えば、硬質脂肪又はこれらの好適な混合物と一緒に、必要により以下に記載されるようなその他の活性物質と一緒に製剤化されて、通常のガレン製剤、例えば、単純錠剤もしくは被覆錠剤、カプセル、ロゼンジ、粉末、顆粒、溶液、エマルション、シロップ、吸入のためのエアロゾル、軟膏又は座薬を製造し得る。
医薬組成物に加えて、本発明はまた必要により一種以上の生理学上許される賦形剤と一緒に本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩を含む組成物を含む。このような組成物はまた、例えば、本発明の化合物が混入される、食品(これは固体又は液体であってもよい)であってもよい。
【0074】
上記組み合わせについて、付加的な活性物質として特に、例えば、上記指示の一つに関して本発明のMCHアンタゴニストの治療効果を強化するもの及び/又は本発明のMCHアンタゴニストの用量を減少することを可能にするものを使用することが可能である。一種以上の付加的な活性物質は
−糖尿病の治療のための活性物質、
−糖尿病の合併症の治療のための活性物質、
−肥満の治療のための活性物質、好ましくはMCHアンタゴニスト以外の活性物質、
−高血圧の治療のための活性物質、
−動脈硬化を含む、高脂血症の治療のための活性物質、
−動脈硬化を含む、異常脂血症の治療のための活性物質、
−関節炎の治療のための活性物質、
−不安状態の治療のための活性物質、
−鬱病の治療のための活性物質
の中から選ばれることが好ましい。
活性物質の上記カテゴリーが今例により更に詳しく説明されるであろう。
糖尿病の治療のための活性物質の例はインスリン感作物質、インスリン分泌促進剤、ビグアニド、インスリン、α-グルコシダーゼインヒビター、β3アドレノ-受容体アゴニストである。
インスリン感作物質として、グリタゾン、特にピオグリタゾン及びその塩(好ましくは、塩酸塩)、トログリタゾン、ロシグリタゾン及びその塩(好ましくは、マレイン酸塩)、JTT-501、GI-262570、MCC-555、YM-440、DRF-2593、BM-13-1258、KRP-297、R-119702及びGW-1929が挙げられる。
【0075】
インスリン分泌促進剤として、スルホニル尿素、例えば、トルブタミド、クロロプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド及びそのアンモニウム塩、グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリドが挙げられる。インスリン分泌促進剤の更なる例はレパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニド(KAD-1229)及びJTT-608である。
ビグアニドとして、メトホルミン、ブホルミン及びフェンホルミンが挙げられる。
インスリンとして、動物、特にウシ又はブタから得られたもの、動物から得られたインスリンから酵素により合成される半合成ヒトインスリン、例えば、エシェリキア・コリ又は酵母から遺伝子操作により得られたヒトインスリンが挙げられる。更に、インスリンという用語はまたインスリン-亜鉛(0.45〜0.9重量%の亜鉛を含む)並びに塩化亜鉛、硫酸プロタミン及びインスリンから得られるプロタミン-インスリン-亜鉛を含む。インスリンはまたインスリンフラグメント又は誘導体(例えば、INS-1等)から得られてもよい。
インスリンはまた、例えば、効果の開始時間及び期間に関して異なる種類(“超即時作用型”、“即時作用型”、“2段階型”、“中間型”、“延長作用型”等)を含んでもよく、これらは患者の病状に応じて選ばれる。
α-グルコシダーゼインヒビターとして、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール、エミグリテートが挙げられる。
β3アドレノ受容体アゴニストとして、AJ-9677、BMS-196085、SB-226552、AZ40140が挙げられる。
上記以外の糖尿病の治療のための活性物質として、エルゴセット、プラムリンチド、レプチン、BAY-27-9955だけでなく、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、グリパジド、グリブリドが挙げられる。
【0076】
糖尿病の合併症の治療のための活性物質として、例えば、アルドースレダクターゼインヒビター、グリケーションインヒビター及びタンパク質キナーゼCインヒビター、DPPIVブロッカー、GLP-1又はGLP-2類似体及びSGLT-2インヒビターが挙げられる。
アルドースレダクターゼインヒビターは、例えば、トルレスタット、エパルレスタット、イミレスタット、ゼナレスタット、SNK-860、ゾポルレスタット、ARI-50i、AS-3201である。
グリケーションインヒビターの例はピマゲジンである。
タンパク質キナーゼCインヒビターは、例えば、NGF、LY-333531である。
DPPIVブロッカーは、例えば、LAF237(ノバルチス)、MK431(メルク)だけでなく、815541、823093及び825964(全てグラクソスミスクライン)である。
GLP-1類似体は、例えば、リラグルチド(NN2211)(ノボノルディスク)、CJC1131(コンジュケム)、エキセナチド(アミリン)である。
SGLT-2インヒビターは、例えば、AVE-2268(アベンチス)及びT-1095(タナベ、ジョンソン&ジョンソン)である。
糖尿病の合併症の治療のための上記以外の活性物質として、アルプロスタジル、チアプリド塩酸塩、シロスタゾール、メキシレチン塩酸塩、エチルエイコサペンテート、メマンチン、ピマゲジン(ALT-711)が挙げられる。
肥満の治療のための活性物質、好ましくはMCHアンタゴニスト以外のものとして、リパーゼインヒビター及び食欲抑制薬が挙げられる。
リパーゼインヒビターの好ましい例はオルリスタットである。
好ましい食欲抑制薬の例はフェンテルミン、マジンドール、デクスフェンフルラミン、フルオキセチン、シブトラミン、バイアミン、(S)-シブトラミン、SR-141716、NGD-95-1である。
肥満の治療のための上記以外の活性物質として、リプスタチンが挙げられる。
【0077】
更に、この出願の目的のために、抗肥満活性物質の活性物質グループとして、食欲抑制薬がまた挙げられ、そのうちのβ3アゴニスト、チロミメチック(thyromimetic)活性物質及びNPYアンタゴニストが強調されるべきである。好ましい抗肥満活性物質又は食欲抑制活性物質と考えられる物質の範囲は例としての下記の追加のリストにより示される:フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、シュードエフェドリン、フェンテルミン、コレシストキニン-A(以下、CCK-Aと称される)アゴニスト、モノアミン再摂取インヒビター(例えば、シブトラミン)、交感神経様作用活性物質、セロトニン作動性活性物質(例えば、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、5-HT2Cアゴニスト、例えば、BVT933もしくはAPD356、又はデュロキセチン)、ドーパミンアンタゴニスト(例えば、ブロモクリプチン又はプラミペキソール)、メラノサイト刺激ホルモン受容体アゴニスト又は模倣薬、メラノサイト刺激ホルモンの類似体、カンナビノイド受容体アンタゴニスト(リモナバント、ACOMPLIA TM)、MCHアンタゴニスト、OBタンパク質(以下、レプチンと称する)、レプチン類似体、脂肪酸シンターゼ(FAS)アンタゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、GIリパーゼインヒビター又はレデューサー(例えば、オルリスタット)。その他の食欲抑制薬として、ボンベシンアゴニスト、デヒドロエピアンドロステロン又はその類似体、グルココルチコイド受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、ウロコルチン結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド-1受容体のアゴニスト、例えば、エキセンジン、AC2993、CJC-1131、ZP10又はGRT0203Y、DPPIVインヒビター並びに毛様体神経栄養因子、例えば、アキソキンが挙げられる。この状況で、末梢組織中の脂肪酸酸化を増大することにより体重損失を生じる形態の治療薬、例えば、アセチル-CoAカルボキシラーゼのインヒビターが挙げられるべきである。
高血圧の治療のための活性物質として、アンギオテンシン変換酵素のインヒビター、カルシウムアンタゴニスト、カリウムチャンネル開放薬及びアンギオテンシンIIアンタゴニストが挙げられる。
アンギオテンシン変換酵素のインヒビターとして、カプトプリル、エナラプリル、アラセプリル、デラプリル(塩酸塩)、リシノプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、テモカプリル、トランドラプリル、マニジピン(塩酸塩)が挙げられる。
カルシウムアンタゴニストの例はニフェジピン、アムロジピン、エフォニジピン、ニカルジピンである。
カリウムチャンネル開放薬として、レブクロマカリム、L-27152、AL0671、NIP-121が挙げられる。
アンギオテンシンIIアンタゴニストとして、テルミサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、シレキセチル、バルサルタン、イルベサルタン、CS-866、E4177が挙げられる。
【0078】
動脈硬化を含む、高脂血症の治療のための活性物質として、HMG-CoAレダクターゼインヒビター、フィブレート化合物が挙げられる。
HMG-CoAレダクターゼインヒビターとして、プラバスタチン、シムバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、リパンチル、セリバスタチン、イタバスタチン、ZD-4522及びそれらの塩が挙げられる。
フィブレート化合物として、ベザフィブレート、クリノフィブレート、クロフィブレート及びシムフィブレートが挙げられる。
動脈硬化を含む、異常脂質血症の治療のための活性物質として、例えば、HDLレベルを上昇する薬物、例えば、ニコチン酸及びその誘導体及び製剤、例えば、ニアスパンだけでなく、ニコチン酸受容体のアゴニストが挙げられる。
関節炎の治療のための活性物質として、NSAID(非ステロイド抗炎症薬)、特にCOX2インヒビター、例えば、メロキシカム又はイブプロフェンが挙げられる。
不安状態の治療のための活性物質として、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、オキソゾラム、メダゼパム、クロキサゾラム、ブロマゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム、フルジアゼパムが挙げられる。
鬱病の治療のための活性物質として、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、パロキセチン、セルトラリンが挙げられる。
これらの活性物質に関する用量は最低の通常推奨される用量の1/5から通常推奨される用量の1/1までであることが好都合である。
別の実施態様において、本発明はまた哺乳類の食事挙動に影響するための本発明の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は本発明の塩の使用に関する。この使用は本発明の化合物が空腹を減少し、食欲を制限し、食事挙動を制御し、かつ/又は飽満感を誘導するのに適し得るという事実に特に基づいている。食事挙動は食物摂取を減少するように影響されることが有利である。それ故、本発明の化合物は体重を減少するのに有利に使用される。本発明の別の使用は、例えば、体重を失うための段階を既にとっており、彼らの一層低い体重を維持するのに関心がある人々における、体重の増加の防止である。この実施態様によれば、それが非治療的使用であることが好ましい。このような非治療的使用は、例えば、外観を変えるための化粧上の使用、又は全般の健康を改善するための適用であるかもしれない。本発明の化合物は診断される食事障害を患っておらず、診断される肥満、多食症、糖尿病及び/又は診断される排尿障害、特に尿失禁のない哺乳類、特にヒトに非治療的に使用されることが好ましい。好ましくは、本発明の化合物は自乗された身長(メートル)により割られた体重(キログラム)と定義される、BMI(体格指数)が30のレベル以下、特に25以下であるヒトにおける非治療的使用に適している。
以下の実施例は本発明を説明することを目的とする。
【実施例】
【0079】
備考
原則として、IR、1H-NMR及び/又は質量スペクトルを調製された化合物について得た。特にことわらない限り、チャンバー飽和を用いないで既製シリカゲル60TLCプレートF254(E. メルク、ダルムスタット、品目番号1.05714)を使用して、Rf値を測定した。チャンバー飽和を用いないで既製酸化アルミニウム60TLCプレートF254(E. メルク、ダルムスタット、品目番号1.05713)を使用して、見出しAloxの下に得られたRf値を測定した。溶離剤について明記された比は当該溶媒の容積基準の単位に基づく。NH3の場合に明記された容積基準の単位は水中のNH3の濃厚溶液に関する。特にことわらない限り、反応溶液を処理するのに使用される酸溶液、塩基溶液及び塩溶液は明記された濃度の水性系である。
非対称ジヒドロキシル化では、アルドリッチ社により販売される“AD-Mixα”(品目番号:39,275-8)及び“AD-Mix-β”(品目番号:39,276-6)を使用する。
クロマトグラフィー精製のために、ミリポア社製シリカゲル(マトレックスTM、35-70my)を使用する。クロマトグラフィー精製について、Alox(E.メルク、ダルムスタット、標準化酸化アルミニウム90、63-200μm、品目番号:1.01097.9050)を使用する。明記されたHPLCデータを以下に示されるパラメーターのもとに測定した:
分析カラム:ゾルバックスカラム(アギレント・テクノロジーズ)、SB(ステーブル・ボンド)-C18;3.5μm;4.6x75mm;カラム温度:30℃;流量:0.8mL/分;注入容積:5μL;254nmにおける検出(方法A、B及びC)。
【0080】
方法A:

【0081】
方法B:

【0082】
方法C:

【0083】
分取カラム:ゾルバックスカラム(アギレント・テクノロジーズ)、SB(ステーブル・ボンド)-C18;3.5μm;30x100mm;カラム温度:周囲温度;流量:30mL/分;254nmにおける検出。
分取HPLC精製において、原則として、分析HPLCデータを得る場合に使用したのと同じ勾配を使用する。
生成物を慣性制御のもとに集め、生成物を含む画分を合わせ、凍結乾燥する。
温度を摂氏温度(℃)で示す。時間を一般に分、時間又は日数で示す。配置について特別な情報がない場合、純粋な鏡像体があるか否か又は部分ラセミ化もしくは更には完全ラセミ化が起こったか否かは明らかではない。
【0084】
下記の略号を先に、また以下に使用する。
abs. 無水
CDI カルボニルジイミダゾール
cyc シクロヘキサン
DCM ジクロロメタン
DIPE ジイソプロピルエーテル
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
dppf 1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
i.vac. 真空で
MeOH メタノール
MTBE メチル-tert-ブチルエーテル
PE 石油エーテル
RT 周囲温度(約20℃)
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物
THF テトラヒドロフラン
dil. 希薄な
→*は基の結合部位を表す。
アミンA1
(3S,4R)-4-トリフルオロメチル-ピペリジン-3,4-ジオール
【0085】
【化26】

A1a 1-ベンジル-4-トリフルオロメチル-ピリジニウムクロリド
アセトニトリル10mL中の塩化ベンジル7.59mL(65.94ミリモル)の溶液をアセトニトリル40mL中の4-トリフルオロメチル-ピリジン10.0g(65.94ミリモル)の溶液に添加し、その混合物を80℃で2時間撹拌する。塩化ベンジル更に1.5mLを添加し、その混合物を80℃で22時間撹拌する。その反応混合物を周囲温度に冷却し、MTBEと合わせる。その沈殿を濾過し、MTBEで洗浄し、真空で乾燥させ、デシケーター中で貯蔵した。
収量:14.48g(理論値の80%)
C13H11F3N*Cl(M=273.681)
計算値:モルピーク(M+H)+:238 実測値:モルピーク(M+H)+:238
A1b 1-ベンジル-4-トリフルオロメチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン
NaBH4 3.0g(79.36ミリモル)をEtOH100mL中の1-ベンジル-4-トリフルオロメチル-ピリジニウムクロリド14.48g(52.91ミリモル)の溶液に0℃で強く冷却して回分添加し、次いで冷却を除去し、その反応混合物を14℃で1.5時間撹拌する。冷却しながら、水50mL次いでEtOH50mLを30分以内に添加する。その反応混合物を更に30分間撹拌し、生成した懸濁液を濾過し、濾液を真空で蒸発させる。
収量:11.72g(理論値の92%)
C13H14F3N(M=241.252)
計算値:モルピーク(M+H)+:242 実測値:モルピーク(M+H)+:242
HPLC-MS:3.60分(方法B)
【0086】
A1c (3S,4R)-1-ベンジル-4-トリフルオロメチル-ピペリジン-3,4-ジオール
AD-Mix-Beta43.80gをtert-ブタノール/水(1:1)3L中に入れ、周囲温度で20分間撹拌する。その混合物を0℃に冷却し、メタンスルホンアミド2.97g(31.25ミリモル)及び1-ベンジル-4-トリフルオロメチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン7.54g(31.25ミリモル)を添加し、その冷却浴を除去し、その混合物を周囲温度で8日撹拌する。AD-Mix-Beta更に22g及びメタンスルホンアミド1.5gを添加し、その混合物を再度周囲温度で7日間撹拌する。亜硫酸ナトリウム11.2gを添加し、その混合物を1時間撹拌する。半飽和NaHCO3溶液200mLを添加し、その水相をDCMで徹底的に抽出する。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。粗生成物をMPLC-MS(Grom-Sil 120 ODS 4, 10μm、勾配水中0.15%のギ酸/アセトニトリル90:10→10分で10:90)により精製する。溶離液を合わせ、真空で蒸発させ、半飽和NaHCO3溶液100mLで中和する。水相をEtOAcで抽出し、合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。
収量:1.51g(理論値の17%)
C13H16F3NO2(M=275.267)
計算値:モルピーク(M+H)+:276 実測値:モルピーク(M+H)+:276
Rf値:0.40(シリカゲル、cyc/EtOAc2:1)
A1d (3S,4R)-4-トリフルオロメチル-ピペリジン-3,4-ジオール
MeOH17mL中の(3S,4R)-1-ベンジル-4-トリフルオロメチル-ピペリジン-3,4-ジオール1.50g(5.45ミリモル)及びPd/C(10%)170mgの混合物を周囲温度及び3バールの水素圧力で5時間水素化する。触媒を濾別し、濾液を真空で蒸発させる。
収量:910mg(理論値の90%)
C6H10F3NO2(M=185.144)
計算値:モルピーク(M+H)+:186 実測値:モルピーク(M+H)+:186
Rf値:0.35(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 7:3:0.3)
アミンA2
(3R,4S)-4-トリフルオロメチル-ピペリジン-3,4-ジオール
【0087】
【化27】

A2a (3R,4S)-1-ベンジル-4-トリフルオロメチル-ピペリジン-3,4-ジオール
生成物をA1cと同様にして中間体生成物A1b及びAD-Mix-Alphaから出発して得る。粗生成物をHPLC-MSにより精製する。
収量:1.09g(理論値の16%)
C13H16F3NO2(M=275.267)
計算値:モルピーク(M+H)+:276 実測値:モルピーク(M+H)+:276
HPLC-MS:3.70分(方法A)
A2b (3R,4S)-4-トリフルオロメチル-ピペリジン-3,4-ジオール
生成物をA1dと同様にして(3R,4S)-1-ベンジル-4-トリフルオロメチル-ピペリジン-3,4-ジオールから出発して得る。
収量:665mg(理論値の91%)
C6H10F3NO2(M=185.144)
計算値:モルピーク(M+H)+:186 実測値:モルピーク(M+H)+:186
Rf値:0.35(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 7:3:0.3)
アミンA3
(3R,4S)-4-メチル-ピペリジン-3,4-ジオール
【0088】
【化28】

A3a 1-ベンジル-4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン
生成物をA1bと同様にして1-ベンジル-4-メチル-ピリジニウムクロリド10.0g(45.5ミリモル)から得る。
収量:7.15g(理論値の84%)
C13H17N(M=187.281)
計算値:モルピーク(M+H)+:188 実測値:モルピーク(M+H)+:188
Rf値:0.95(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 9:1:0.1)
A3b (3R,4S)-1-ベンジル-4-メチル-ピペリジン-3,4-ジオール
窒素雰囲気下でAD-Mix-Alpha14gを水50mL及びtert-ブタノール50mLに入れ、その混合物を周囲温度で20分間撹拌する。続いてそれを0℃に冷却し、メタンスルホン酸アミド0.95g(10.0ミリモル)及び1-ベンジル-4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン1.87g(10.0ミリモル)を添加し、その冷却浴を除去し、その反応混合物を周囲温度で24時間撹拌する。亜硫酸ナトリウム3.5gをその反応混合物に添加し、それを1時間撹拌する。DCM200mL及び飽和NaHCO3溶液200mLを添加し、有機相を分離し、KHSO4溶液100mLで抽出する。水相を飽和K2CO3溶液でアルカリ性にし、EtOAc200mLで抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥させる。乾燥剤及び溶媒を除いた後、粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 19:1:0.1)により精製する。
収量:1.23g(理論値の56%)
C13H19NO2(M=221.296)
計算値:モルピーク(M+H)+:222 実測値:モルピーク(M+H)+:222
Rf値:0.56(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 19:1:0.1)
A3c (3R,4S)-4-メチル-ピペリジン-3,4-ジオール
生成物をA1dと同様にして(3R,4S)-1-ベンジル-4-メチル-ピペリジン-3,4-ジオール1.23g(5.57ミリモル)から出発して得る。
収量:730mg(定量的収率)
C6H13NO2(M=131.173)
計算値:モルピーク(M+H)+:132 実測値:モルピーク(M+H)+:132
HPLC-MS:0.93分(方法C)
アミンA4
(3S,4R)-4-メチル-ピペリジン-3,4-ジオール
【0089】
【化29】

A4a (3S,4R)-1-ベンジル-4-メチル-ピペリジン-3,4-ジオール
生成物をA3bと同様にして1-ベンジル-4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン5.0g(26.7ミリモル)及びAD-Mix-Betaから出発して得る。
収量:4.68g(理論値の79%)
C13H19NO2(M=221.296)
計算値:モルピーク(M+H)+:222 実測値:モルピーク(M+H)+:222
Rf値:0.54(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 9:1:0.1)
A4b (3S,4R)-4-メチル-ピペリジン-3,4-ジオール
生成物をA1dと同様にして(3S,4R)-1-ベンジル-4-メチル-ピペリジン-3,4-ジオール4.68g(21.14ミリモル)から出発して得る。
収量:2.33g(理論値の84%)
C6H13NO2(M=131.173)
計算値:モルピーク(M+H)+:132 実測値:モルピーク(M+H)+:132
Rf値:0.05(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 9:1:0.1)
アミンA5
(3S,4R)-4-エチル-ピペリジン-3,4-ジオール
【0090】
【化30】

A5a 1-ベンジル-4-エチル-ピリジニウムクロリド
生成物をA1aと同様にして4-エチルピリジン100mL(933ミリモル)から出発して得る。
収量:143g(理論値の66%)
C14H16N*Cl(M=233.736)
計算値:モルピーク(M+H)+:198 実測値:モルピーク(M+H)+:198
Rf値:0.12(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 9:1:0.1)
A5b 1-ベンジル-4-エチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン
生成物をA1bと同様にして1-ベンジル-4-エチル-ピリジニウムクロリド143g(614ミリモル)から出発して得る。
収量:99g(理論値の80%)
C14H19N(M=201.307)
計算値:モルピーク(M+H)+:202 実測値:モルピーク(M+H)+:202
Rf値:0.91(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 9:1:0.1)
A5c (3S,4R)-1-ベンジル-4-エチル-ピペリジン-3,4-ジオール
生成物をA3bと同様にして1-ベンジル-4-エチル-1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン14.37g(71.4ミリモル)及びAD-Mix-Betaから出発して得る。
収量:11.46g(理論値の68%)
C14H21NO2(M=235.322)
計算値:モルピーク(M+H)+:236 実測値:モルピーク(M+H)+:236
Rf値:0.58(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 95:5:0.5)
A5d (3S,4R)-4-エチル-ピペリジン-3,4-ジオール
生成物をA1dと同様にして(3S,4R)-1-ベンジル-4-エチル-ピペリジン-3,4-ジオールから出発して得てもよい。
鏡像体(3R,4S)-4-エチル-ピペリジン-3,4-ジオールを記載された順序と同様にして得てもよい。
アミンA6
シス-ピロリジン-3,4-ジオール
【0091】
【化31】

A6a 1-ベンジル-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール
塩化ベンジル14.6mL(127ミリモル)をアセトニトリル100mL中の2,5-ジヒドロ-1H-ピロール10mL(127ミリモル)の溶液に滴下して添加し、その時間中に反応混合物が45℃まで温まる。1.5時間後に、MTBE300mLを懸濁液に添加し、沈殿を濾過し、濾液を蒸発させる。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 19:1:0.1)により精製する。
収量:4.0g(理論値の20%)
C11H13N(M=159.228)
計算値:モルピーク(M+H)+:160 実測値:モルピーク(M+H)+:160
Rf値:0.60(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 19:1:0.1)
A6b シス-1-ベンジル-ピロリジン-3,4-ジオール
生成物をA3bと同様にして1-ベンジル-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール4.0g(25.1ミリモル)及びAD-Mix-Betaから出発して得る。
収量:0.97g(理論値の20%)
C11H15NO2(M=193.242)
計算値:モルピーク(M+H)+:194 実測値:モルピーク(M+H)+:194
Rf値:0.15(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 9:1:0.1)
A6c シス-ピロリジン-3,4-ジオール
生成物をA1dと同様にしてシス-1-ベンジル-ピロリジン-3,4-ジオール0.97g(5.04ミリモル)から出発して得る。
収量:0.52g(定量的収率)
C4H9NO2(M=103.120)
計算値:モルピーク(M+H)+:104 実測値:モルピーク(M+H)+:104
Rf値:0.05(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 5:5:0.5)
アミンA7
4-ヒドロキシメチル-ピペリジン-4-オール
【0092】
【化32】

A7a 1-ベンジル-4-ヒドロキシメチル-ピペリジン-4-オール
生成物をA3bと同様にして1-ベンジル-4-メチレン-ピペリジン3.15g(16.83ミリモル)及びAD-Mix-Alphaから出発して得る。
収量:2.92g(理論値の79%)
C13H19NO2(M=221.296)
計算値:モルピーク(M+H)+:222 実測値:モルピーク(M+H)+:222
Rf値:0.12(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 9:1:0.1)
A7b 4-ヒドロキシメチル-ピペリジン-4-オール
生成物をA1dと同様にして1-ベンジル-4-ヒドロキシメチル-ピペリジン-4-オール2.92g(13.21ミリモル)から出発して得る。
収量:1.88g(定量的収率)
C6H13NO2(M=131.173)
計算値:モルピーク(M+H)+:132 実測値:モルピーク(M+H)+:132
Rf値:0.06(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 5:5:0.5)
アミンA8
(S)-1-ピロリジン-2-イル-シクロプロパノール
【0093】
【化33】

A8a 1-((S)-1-ベンジル-ピロリジン-2-イル)-シクロプロパノール
最初にチタン(IV)-イソプロポキシド6.91mL次いでエチルマグネシウムブロミド14.3mL(42.9ミリモル、ジエチルエーテル中3M)を-15℃に冷却した乾燥ジエチルエーテル80mL中のN-ベンジル-L-プロリンエチルエステル5.0g(21.43ミリモル)の溶液に徐々に滴下して添加し、その反応混合物をこの温度で30分間撹拌する。続いて約10℃で三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体5.4mL(42.9ミリモル)を添加し、その混合物を周囲温度で更に75時間撹拌する。冷却しながら、その混合物を1M NaOH50mLと合わせ、周囲温度で1時間撹拌し、ジエチルエーテル100mLと合わせ、有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させる。乾燥剤及び溶媒を除いた後、残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc)により精製する。
収量:0.745g(理論値の16%)
C14H19NO(M=217.307)
計算値:モルピーク(M+H)+:218 実測値:モルピーク(M+H)+:218
Rf値:0.17(シリカゲル、EtOAc)
A8b (S)-1-ピロリジン-2-イル-シクロプロパノール
生成物をA1dと同様にして1-((S)-1-ベンジル-ピロリジン-2-イル)-シクロプロパノール745mg(3.43ミリモル)から出発して得る。
収量:350mg(理論値の80%)
C7H13NO(M=127.184)
計算値:モルピーク(M+H)+:128 実測値:モルピーク(M+H)+:128
Rf値:0.10(シリカゲル、EtOAc/MeOH/NH3 5:5:0.5)
中間体生成物A9
5-(4-クロロ-フェニル)-2-エチニル-3-フルオロ-ピリジン
【0094】
【化34】

A9a 2,5-ジブロモ-3-フルオロ-ピリジン
水3.5mL中の亜硝酸ナトリウム1.78g(25.80ミリモル)の溶液を-5℃で水15mL中の2,5-ジブロモ-ピリジン-3-イルアミン6.50g(25.80ミリモル)及び濃HCl 15mL(180.62ミリモル)の溶液に滴下して添加し、その混合物を30分間撹拌する。0℃で、ヘキサフルオロリン酸(水中60%)11.41mL(77.41ミリモル)を添加し、その混合物を0℃で1時間撹拌する。生成したジアゾニウム塩を濾過し、冷水、イソプロパノール及びジエチルエーテルで洗浄し、デシケーター中で真空で乾燥させる。石油エーテル(100-140℃)を90℃に加熱し、そのジアゾニウム塩を回分添加し、ガスの更なる発生が検出できなくなるまでその混合物を撹拌する。その反応混合物を周囲温度に冷却し、飽和Na2CO3溶液でアルカリ性にし、水相をMTBEで徹底的に抽出する。合わせた有機相を飽和Na2CO3溶液及び水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。残渣をDCMに溶解し、シリカゲルで濾過し、濾液を真空で蒸発させる。
収量:3.30g(理論値の51%)
C5H2Br2FN(M=254.883)
計算値:モルピーク(M+H)+:253/255/257(Br2) 実測値:モルピーク(M+H)+:253/255/257(Br2
Rf値:0.63(シリカゲル、PE/EtOAc9:1)
A9b 5-ブロモ-2-〔(tert-ブチル-ジメチル-シラニル)-エチニル〕-3-フルオロ-ピリジン
アルゴン雰囲気下で、tert-ブチル-エチニル-ジメチル-シラン2.62mL(13.811ミリモル)を15℃の無水THF30mL中の2,5-ジブロモ-3-フルオロ-ピリジン3.20g(12.56ミリモル)、トリエチルアミン5.22mL(37.67ミリモル)、CuI 59.8mg(0.31ミリモル)及びビス-トリフェニルホスファン-パラジウム(II)-クロリド220.3mg(0.31ミリモル)の溶液に添加し、その混合物を周囲温度で2時間撹拌する。tert-ブチル-エチニル-ジメチル-シラン更に1mLを添加し、その混合物を周囲温度で1時間撹拌する。その反応混合物を真空で蒸発させ、残渣をEtOAcに吸収させる。有機相を半飽和NaHCO3溶液、5%のNH3溶液及び水で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。乾燥剤及び溶媒を除いた後、残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/DCM9:1)により精製する。
収量:1.62g(理論値の41%)
C13H17BrFNSi(M=314.269)
計算値:モルピーク(M+H)+:314/316(Br) 実測値:モルピーク(M+H)+:314/316(Br)
HPLC-MS:7.85分(方法B)
【0095】
A9c 2-〔(tert-ブチル-ジメチル-シラニル)-エチニル〕-5-(4-クロロ-フェニル)-3-フルオロ-ピリジン
MeOH10mL、2N Na2CO3溶液10mL及びPdCl2(dppf)94mg(0.13ミリモル)を1,4-ジオキサン30mL中の5-ブロモ-2-〔(tert-ブチル-ジメチル-シラニル)-エチニル〕-3-フルオロ-ピリジン1.61g(5.14ミリモル)及び4-クロロフェニルホウ酸0.90g(5.65ミリモル)の溶液に添加し、その混合物を15分間還流する。その反応混合物を真空で蒸発させ、EtOAcで希釈する。有機相を水及び半飽和NaHCO3溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させる。乾燥剤及び溶媒を除いた後、残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/DCM1:1)により精製する。
収量:1.25g(理論値の70%)
C19H21ClFNSi(M=345.913)
計算値:モルピーク(M+H)+:346/348(Cl) 実測値:モルピーク(M+H)+:346/348(Cl)
HPLC-MS:8.83分(方法B)
A9d 5-(4-クロロ-フェニル)-2-エチニル-3-フルオロ-ピリジン
TBAF1.14g(3.61ミリモル)をDCM30mL中の2-〔(tert-ブチル-ジメチル-シラニル)-エチニル〕-5-(4-クロロ-フェニル)-3-フルオロ-ピリジン1.25g(3.61ミリモル)の溶液に周囲温度で添加し、その混合物を2時間撹拌する。有機相を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させる。乾燥剤及び溶媒を除き、残渣をPEとともに撹拌し、沈殿を濾過し、PEで洗浄し、空気中で乾燥させる。
収量:0.72g(理論値の86%)
C13H7ClFN(M=231.653)
計算値:モルピーク(M+H)+:232/234(Cl) 実測値:モルピーク(M+H)+:232/234(Cl)
HPLC-MS:5.81分(方法B)
実施例1.1
((S)-1-{6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-1-ベンゾピラン-2-イルメチル}-ピロリジン-2-イル)-メタノール
【0096】
【化35】

1.1a (6-ヨード-1-ベンゾピラン-2-イル)-メタノール
シリカゲル(0.2-0.5mm)4g及び硝酸鉄(III)九水和物2.02g(5.0ミリモル)の微細にすり砕いた混合物をDCM15mL中の1-ベンゾピラン-2-イル-メタノール1.64g(10.00ミリモル)及びヨウ素1.40g(5.50ミリモル)の溶液に添加し、周囲温度で12時間撹拌する。シリカゲル更に5gを添加し、その反応混合物を真空で蒸発させる。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、PE/EtOAc7:3)にかけて生成物を得た。
収量:1.80g(理論値の62%)
C10H11O2(M=290.098)
計算値:モルピーク(M+H)+:290 実測値:モルピーク(M+H)+:290
Rf値:0.45(シリカゲル、PE/EtOAc4:1)
1.1b 5-ブロモ-2-〔(tert-ブチル-ジメチル-シラニル)-エチニル〕-ピリジン
アルゴン雰囲気下で、CuI 0.80g(4.20ミリモル)及びビス-トリフェニルホスファン-パラジウム(II)-クロリド2.90g(4.13ミリモル)を-7℃の無水THF500mL及びトリエチルアミン120mL中の2,5-ジブロモピリジン49.90g(201.01ミリモル)及びtert-ブチル-エチニル-ジメチル-シラン43.00mL(225.57ミリモル)の溶液に添加し、その混合物を0℃で30分間撹拌する。反応混合物を周囲温度で3.5時間撹拌し、次いで濾過し、濾液を真空で蒸発させる。残渣をEtOAc1Lに溶解し、有機相を水及び飽和NaCl溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。粗生成物を更に精製しないで次の反応工程で使用する。
収量:59.5g(定量的収率)
C13H18BrNSi(M=296.278)
計算値:モルピーク(M+H)+:296/298(Br) 実測値:モルピーク(M+H)+:296/298(Br)
Rf値:0.75(シリカゲル、cyc/EtOAc8:1)
【0097】
1.1c 2-〔(tert-ブチル-ジメチル-シラニル)-エチニル〕-5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン
MeOH250mL、2N Na2CO3溶液220mL及びPdCl2(dppf)1.80gを1,4-ジオキサン600mL中の5-ブロモ-2-〔(tert-ブチル-ジメチル-シラニル)-エチニル〕-ピリジン59.5g(201.01ミリモル)及び4-クロロフェニルホウ酸36.5g(233.40ミリモル)の溶液に添加し、その混合物を1時間還流する。その反応混合物を真空で蒸発させ、EtOAcで希釈する。有機相を水及び半飽和NaHCO3溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、cyc/EtOAc9:1)により精製する。
収量:38.5g(理論値の58%)
C19H22ClNSi(M=327.923)
計算値:モルピーク(M+H)+:328/330(Cl) 実測値:モルピーク(M+H)+:328/330(Cl)
Rf値:0.60(シリカゲル、cyc/EtOAc8:1)
1.1d 5-(4-クロロ-フェニル)-2-エチニル-ピリジン
TBAF43.66g(156.00ミリモル)を周囲温度でDCM 1L中の2-〔(tert-ブチル-ジメチル-シラニル)-エチニル〕-5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン46.50g(142.00ミリモル)の溶液に添加し、その混合物を2時間撹拌する。有機相を水洗し、Na2SO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。残渣をDIPEとともに撹拌し、沈殿を濾過し、PEで洗浄する。
収量:26.0g(理論値の86%)
C13H8ClN(M=213.662)
計算値:モルピーク(M+H)+:214/216(Cl) 実測値:モルピーク(M+H)+:214/216(Cl)
Rf値:0.30(シリカゲル、cyc/EtOAc4:1)
【0098】
1.1e {6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-1-ベンゾピラン-2-イル}-メタノール
アルゴン雰囲気下で、CuI 48.6mg(0.25ミリモル)をアセトニトリル50mL中の(6-ヨード-1-ベンゾピラン-2-イル)-メタノール1.62g(5.58ミリモル)、5-(4-クロロ-フェニル)-2-エチニル-ピリジン1.20g(5.60ミリモル)、PdCl2(dppf)204.1mg(0.25ミリモル)及びトリエチルアミン2.36mL(17.00ミリモル)の溶液に添加し、その混合物を周囲温度で6時間撹拌する。その反応混合物を水に注ぎ、沈殿を濾過し、空気中で乾燥させる。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配DCM/EtOAc100:0→30分で50:50)により精製する。
収量:0.85g(理論値の41%)
C23H18ClNO2(M=375.847)
計算値:モルピーク(M+H)+:376/378(Cl) 実測値:モルピーク(M+H)+:376/378(Cl)
Rf値:0.20(シリカゲル、DCM/EtOAc9:1)
1.1f 6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-1-ベンゾピラン-2-イルメチルメタンスルホネート
メタンスルホン酸クロリド389μL(5.00ミリモル)をDCM20mL中の6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-1-ベンゾピラン-2-イル}-メタノール0.85g(2.26ミリモル)及びピリジン403μL(5.0ミリモル)の溶液に0℃で滴下して添加し、その混合物を周囲温度で2時間撹拌する。メタンスルホン酸クロリド更に806μL(10.00ミリモル)を添加し、その混合物を16時間撹拌する。その反応混合物を水及び希薄な重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、活性炭で濾過し、真空で蒸発させる。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM/EtOAc4:1)により精製する。
収量:0.70g(理論値の68%)
C24H20ClNO4S(M=453.939)
計算値:モルピーク(M+H)+:454/456(Cl) 実測値:モルピーク(M+H)+:454/456(Cl)
Rf値:0.53(シリカゲル、DCM/EtOAc9:1)
【0099】
1.1g ((S)-1-{6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-1-ベンゾピラン-2-イルメチル}-ピロリジン-2-イル)-メタノール
DMF2mL中の6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-1-ベンゾピラン-2-イルメチルメタンスルホネート113.5mg(0.25ミリモル)及び(S)-1-ピロリジン-2-イル-メタノール120μL(1.10ミリモル)の溶液を80℃で24時間撹拌し、次いで水に注ぐ。沈殿を水、少量のアセトン及びDIPEで洗浄し、空気中で乾燥させる。
収量:80mg(理論値の70%)
C28H27ClN2O2(M=458.979)
計算値:モルピーク(M+H)+:459/461(Cl) 実測値:モルピーク(M+H)+:459/461(Cl)
Rf値:0.28(シリカゲル、DCM/EtOAc9:1)
下記の実施例を同様にして6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-1-ベンゾピラン-2-イルメチルメタンスルホネート(実施例1.1f)から出発して調製する。
【0100】
【化36】

【0101】
実施例2.1
6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-2-(4-メチル-ピペリジン-1-イルメチル)-1-ベンゾピラン-4-オン
【化37】

【0102】
2.1a 6-ブロモ-2-ヒドロキシメチル-1-ベンゾピラン-4-オン
CDI 17.03g(105.00ミリモル)をTHF250mL中の6-ブロモ-4-オキソ-4H-1-ベンゾピラン-2-カルボン酸26.91g(100.00ミリモル)の溶液に添加し、ガスの発生が終了するまでその混合物を水浴中で加熱する。温度を10℃以下の温度に保ちながら、この混合物を水500mL中のホウ水素化ナトリウム1.89g(50.00ミリモル)の懸濁液に注ぎ、周囲温度で更に2時間撹拌する。その反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液500mLに注ぎ、周囲温度で1時間撹拌し、水相をDIPEで徹底的に抽出する。合わせた有機相を水洗し、Na2SO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。
収量:19.50g(理論値の76%)
C10H7BrO3(M=255.065)
計算値:モルピーク(M+H)+:255/257(Br) 実測値:モルピーク(M+H)+:255/257(Br)
Rf値:0.40(シリカゲル、DCM/MeOH9:1)
2.1b 6-ブロモ-2-ブロモメチル-1-ベンゾピラン-4-オン
MTBE2.5mL中の三臭化リン0.47mL(5.00ミリモル)の溶液を0℃でMTBE50mL中の6-ブロモ-2-ヒドロキシメチル-1-ベンゾピラン-4-オン2.55g(10.00ミリモル)の溶液に滴下して添加し、その混合物を周囲温度で16時間撹拌する。氷水を添加し、有機相を分離する。有機相を氷水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配PE/EtOAc80:20→20分で50:50)により精製する。
収量:1.69g(理論値の53%)
C10H6Br2O2(M=317.961)
計算値:モルピーク(M+H)+:317/319/321(2Br) 実測値:モルピーク(M+H)+:317/319/321(2Br)
Rf値:0.63(シリカゲル、PE/EtOAc6:4)
【0103】
2.1c 6-ブロモ-2-(4-メチル-ピペリジン-1-イルメチル)-1-ベンゾピラン-4-オン
アセトニトリル50mL中の6-ブロモ-2-ブロモメチル-1-ベンゾピラン-4-オン0.60g(1.89ミリモル)、4-メチルピペリジン223μL(1.89ミリモル)及び炭酸カリウム525mg(3.80ミリモル)の混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次いで真空で蒸発させる。残渣をMTBEに吸収させ、有機相を水洗し、MgSO4で乾燥させ、活性炭で濾過し、真空で乾燥させる。
収量:450mg(理論値の71%)
C16H18BrNO2(M=336.224)
計算値:モルピーク(M+H)+:336/338(Br) 実測値:モルピーク(M+H)+:336/338(Br)
HPLC-MS:3.90分(方法B)
2.1d 6-ヨード-2-(4-メチル-ピペリジン-1-イルメチル)-1-ベンゾピラン-4-オン
アルゴン雰囲気下で、1,4-ジオキサン1.4mL中の6-ブロモ-2-(4-メチル-ピペリジン-1-イルメチル)-1-ベンゾピラン-4-オン450mg(1.34ミリモル)、CuI 26mg(0.134ミリモル)、NaI 400mg(2.68ミリモル)及びN,N'-ジメチル-エタン-1,2-ジアミン28μL(0.268ミリモル)の混合物を20時間にわたって110℃に加熱する。その反応混合物を希薄なNaHCO3溶液と合わせ、水相をMTBEで徹底的に抽出する。合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。残渣をHPLC-MS(ゾルバックス・ボーナスC18アミド相5μm、勾配水中0.15%のギ酸/アセトニトリル10/90→90/10v/v)により精製する。溶離液を真空で蒸発させ、5%のNa2CO3溶液と合わせ、水相をMTBEで徹底的に抽出する。合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、真空で乾燥させる。
収量:220mg(理論値の43%)
C16H18INO2(M=383.224)
計算値:モルピーク(M+H)+:384 実測値:モルピーク(M+H)+:384
HPLC-MS:4.0分(方法B)
【0104】
2.1e 6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-2-(4-メチル-ピペリジン-1-イルメチル)-1-ベンゾピラン-4-オン
生成物を実施例1.1eと同様にして6-ヨード-2-(4-メチル-ピペリジン-1-イルメチル)-1-ベンゾピラン-4-オン及び5-(4-クロロ-フェニル)-2-エチニル-ピリジン(実施例1.1d)から出発して得る。粗生成物をHPLC-MS(ゾルバックス・ボーナスC18アミド相5μm、勾配水中0.15%のギ酸/アセトニトリル10/90→90/10v/v)により精製する。
収量:20.5mg(理論値の22%)
C29H25ClN2O2(M=468.974)
計算値:モルピーク(M+H)+:469/471(Cl) 実測値:モルピーク(M+H)+:469/471(Cl)
HPLC-MS:5.1分(方法B)
下記の化合物を2.1c、2.1d及び2.1eと同様にして得る。
【0105】
【化38】

【0106】
【化39】

【0107】
【化40】

【0108】
【化41】

【0109】
下記の化合物を2.1c、2.1d及び2.1eと同様にして得る(遊離体として化合物A9を用いる)。
【化42】

【0110】
【化43】

【0111】
【化44】

【0112】
【化45】

【0113】
【化46】

【0114】
MCH-受容体拮抗活性を測定するための或る試験方法が今記載される。加えて、例えば、Hoogduijn Mら著“メラニン濃縮ホルモン及びその受容体はヒトの皮膚中で発現され、機能性である”, Biochem. Biophys. Res Commun. 296 (2002) 698-701により記載されているような、cAMP生成のMCH-受容体媒介抑制を抑制することにより、またKarlsson OP及びLofas S.著“表面プラスモン共鳴バイオセンサーにおける適用のためのGプロテイン結合受容体のフロー媒介表面上の再生”, Anal. Biochem. 300 (2002), 132-138により記載されているような、プラスモン共鳴による拮抗物質の存在下のMCH受容体へのMCHの結合のバイオセンサリー測定による、当業者に知られているその他の試験方法が使用されてもよい。MCH受容体に対する拮抗活性のその他の試験方法が前記文献及び特許書類に含まれ、使用される試験方法の記載がこの出願に含まれる。
【0115】
MCH-1受容体結合試験
方法: hMCH-1Rトランスフェクト細胞へのMCH結合
種: ヒト
試験細胞: CHO/Gアルファ16細胞に安定にトランスフェクトされたhMCH-1R
結果: IC50値
シリンジ(ニードル0.6x25mm)を使用して、ヒトhMCH-1Rで安定にトランスフェクトされたCHO/Gアルファ16細胞からの膜を再懸濁させ、試験緩衝液(50mM HEPES、10mM MgCl2、2mM EGTA、pH 7.00; 0.1%ウシ血清アルブミン(無プロテアーゼ)、0.021%バシトラシン、1μg/mlのアプロチニン、1μg/mlのロイペプチン及び1μMのホスホルアミドン)中で5〜15μg/mlの濃度に希釈する。
この膜フラクション(タンパク質1〜3μgを含む)200マイクロリットルを250マイクロリットルの最終容積で100pMの125I-チロシルメラニン濃縮ホルモン(NENから商業上得られる125I-MCH)及び次第に増大する濃度の試験化合物とともに周囲温度で60分間インキュベートする。そのインキュベーション後に、細胞ハーベスターを使用してその反応液を0.5%PEI処理ガラス繊維フィルター(GF/B、ユニフィルター・パッカード)により濾過する。次いでフィルターに保持された膜結合放射能を測定装置(パッカードのトップカウント)中でシンチレーター物質(パッカード・ミクロシント20)の添加後に測定する。
非特異的結合をインキュベーション期間中の1マイクロモルのMCHの存在下で結合された放射能と定義する。
濃度結合曲線の分析を一つの受容体結合部位の仮定で行なう。
標準:
非標識MCHは0.06〜0.15nMのIC50値で受容体結合について標識125I-MCHと競合する。
ラジオリガンドのKD値は0.156nMである。
【0116】
MCH-1受容体結合Ca2+動態化試験
方法: ヒトMCH(FLIPR384)によるカルシウム動態化試験
種: ヒト
試験細胞: hMCH-R1で安定にトランスフェクトされたCHO/Gアルファ16細胞
結果: 1回目の測定:基準(MCH 10-6M)の刺激%
2回目の測定:pKB値
試薬: HBSS(10x) (ギブコ)
HEPES緩衝液(1M) (ギブコ)
プルロニックF-127 (モレキュラー・プローブス)
Fluo-4 (モレキュラー・プローブス)
プロベネシド (シグマ)
MCH (ビーチャム)
ウシ血清アルブミン (セルバ)
(無プロテアーゼ)
DMSO (セルバ)
ハムのF12 (バイオウィッテーカー)
FCS (バイオウィッテーカー)
L-グルタミン (ギブコ)
ハイグロマイシンB (ギブコ)
PENStrep (バイオウィッテーカー)
ゼオシン (インビトロゲン)
【0117】
クローンCHO/Gアルファ16hMCH-R1細胞をハムのF12細胞培地(L-グルタミン;バイオウィッテーカー;カタログ番号:BE12-615Fを含む)中で培養する。これは500ml当り10%FCS、1%PENStrep、L-グルタミン(200mM原液)5ml、ハイグロマイシンB(PBS中50mg/ml)3ml及びゼオシン(100μg/mlの原液)1.25mlを含む。実験の1日前に、細胞をキャビティ当り2500細胞の密度で384-ウェル・ミクロタイタ・プレート(コスターによりつくられた、透明ベースを備えた黒色の壁付き)に塗布し、上記培地中で37℃、5%のCO2及び95%の相対湿度で一夜培養する。実験の日に、細胞を細胞培地(2mM Fluo-4及び4.6mM プロベネシドが添加された)とともに37℃で45分間インキュベートする。蛍光色素を仕込んだ後、細胞をハンクス緩衝液(1xHBSS、20mM HEPES)で4回洗浄し、これを0.07%のプロベネシドと合わせた。試験物質をハンクス緩衝液中で希釈し、2.5%のDMSOと合わせる。非刺激細胞のバックグラウンド蛍光をFLIPR384装置(モレキュラー・デバイシズ;励起波長:488nm;発光波長:バンドパス510〜570nm)中で最後の洗浄工程の5分後に384-ウェル・ミクロタイタ・プレート中で物質の存在下で測定する。細胞を刺激するために、MCHを0.1%のBSAを含むハンクス緩衝液中で希釈し、最後の洗浄工程の35分後に384-ウェル細胞培養プレートにピペットで入れ、次いでMCH-刺激蛍光をFLIPR384装置中で測定する。
【0118】
データ分析:
1回目の測定:細胞のCa2+動態化を相対的蛍光のピーク−バックグラウンドとして測定し、基準(MCH 10-6M)の最大シグナルの%として表す。この測定は試験物質の可能な拮抗作用を同定するのに利用できる。
2回目の測定:細胞のCa2+動態化を相対的蛍光のピーク−バックグラウンドとして測定し、基準(MCH 10-6M;シグナルが100%に標準化される)の最大シグナルの%として表す。試験物質(特定濃度)を用い、また用いない、MCH用量活性曲線のEC50値をグラフパッド・プリズム2.01曲線プログラムによりグラフで測定する。MCHアンタゴニストはMCH刺激曲線をプロットされたグラフで右にシフトさせる。
抑制をpKB値として表す:
pKB=log(EC50(試験物質+MCH)/EC50(MCH)-1)-log c(試験物質)
本発明の化合物(それらの塩を含む)は、上記試験でMCH-受容体拮抗活性を示す。上記MCH-1受容体結合試験を使用して、拮抗活性を約10-10〜10-5M、特に10-9〜10-6Mの用量範囲で得る。
上記MCH-1受容体結合試験を使用して、下記のIC50値を測定した。
【0119】

【0120】
製剤の幾つかの実施例が以下に記載され、“活性物質”という用語は本発明の一種以上の化合物(それらの塩を含む)を表す。記載された一種以上の活性物質との組み合わせの一つの場合、“活性物質”という用語はまた追加の活性物質を含む。
実施例A
活性物質1mgを含む粉末吸入用のカプセル
組成:
粉末吸入用の1カプセルは下記の成分を含む。
活性物質 1.0mg
ラクトース 20.0mg
硬質ゼラチンカプセル 50.0mg
71.0mg
調製の方法:
活性物質を吸入に必要とされる粒子サイズに粉砕する。粉砕された活性物質をラクトースと均一に混合する。その混合物を硬質ゼラチンカプセルに詰める。
実施例B
活性物質1mgを含むレスピマット(登録商標)用の吸入可能な溶液
組成:
1回のスプレーは下記の成分を含む。
活性物質 1.0mg
塩化ベンザルコニウム 0.002mg
エデト酸二ナトリウム 0.0075mg
添加精製水 15.0μl
調製の方法:
活性物質及び塩化ベンザルコニウムを水に溶解し、レスピマット(登録商標)カートリッジに詰める。
【0121】
実施例C
活性物質1mgを含むネブライザー用の吸入可能な溶液
組成:
1個のバイアルは下記の成分を含む。
活性物質 0.1g
塩化ナトリウム 0.18g
塩化ベンザルコニウム 0.002g
添加精製水 20.0ml
調製の方法:
活性物質、塩化ナトリウム及び塩化ベンザルコニウムを水に溶解する。
実施例D
活性物質1mgを含む噴射剤型計量用量エアロゾル
組成:
1回のスプレーは下記の成分を含む。
活性物質 1.0mg
レシチン 0.1%
添加噴射剤ガス 50.0μl
調製の方法:
微粉砕された活性物質をレシチン及び噴射剤ガスの混合物中で均一に懸濁させる。その懸濁物を計量弁を備えた加圧容器に移す。
【0122】
実施例E
活性物質1mgを含む鼻スプレー
組成:
活性物質 1.0mg
塩化ナトリウム 0.9mg
塩化ベンザルコニウム 0.025mg
エデト酸二ナトリウム 0.05mg
添加精製水 0.1ml
調製の方法:
活性物質及び賦形剤を水に溶解し、相当する容器に移す。
実施例F
5ml当り活性物質5mgを含む注射溶液
組成:
活性物質 5mg
グルコース 250mg
ヒト血清アルブミン 10mg
グリコフロール 250mg
注射用の水、添加 5ml
調製:
グリコフロール及びグルコースを注射用の水(WfI)に溶解し、ヒト血清アルブミンを添加し、活性成分を加熱しながら溶解し、WfIを特定容積まで補給し、窒素ガスの下でアンプルに移す。
【0123】
実施例G
20ml当り活性物質100mgを含む注射溶液
組成:
活性物質 100mg
リン酸二水素一カリウム
=KH2PO4 12mg
リン酸水素二ナトリウム
=Na2HPO4・2H2O 2mg
塩化ナトリウム 180mg
ヒト血清アルブミン 50mg
ポリソルベート80 20mg
注射用の水、添加 20ml
調製:
ポリソルベート80、塩化ナトリウム、リン酸二水素一カリウム及びリン酸水素二ナトリウムを注射用の水(WfI)に溶解し、ヒト血清アルブミンを添加し、活性成分を加熱しながら溶解し、WfIを特定容積まで補給し、アンプルに移す。
実施例H
活性物質10mgを含む凍結乾燥製剤
組成:
活性物質 10mg
マンニトール 300mg
ヒト血清アルブミン 20mg
調製:
マンニトールを注射用の水(WfI)に溶解し、ヒト血清アルブミンを添加し、活性成分を加熱しながら溶解し、WfIを特定容積まで補給し、バイアルに移し、凍結乾燥する。
【0124】
凍結乾燥製剤用の溶媒:
ポリソルベート80=トゥイーン80 20mg
マンニトール 200mg
注射用の水、添加 10ml
調製:
ポリソルベート80及びマンニトールを注射用の水(WfI)に溶解し、アンプルに移す。
実施例I
活性物質20mgを含む錠剤
組成:
活性物質 20mg
ラクトース 120mg
トウモロコシ澱粉 40mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
ポビドンK25 18mg
調製:
活性物質、ラクトース及びトウモロコシ澱粉を均一に混合し、ポビドンの水溶液で造粒し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、錠剤プレス中で圧縮する。錠剤の重量200mg。
実施例J
活性物質20mgを含むカプセル
組成:
活性物質 20mg
トウモロコシ澱粉 80mg
高度に分散されたシリカ 5mg
ステアリン酸マグネシウム 2.5mg
調製:
活性物質、トウモロコシ澱粉及びシリカを均一に混合し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、その混合物をカプセル充填機中でサイズ3硬質ゼラチンカプセルに詰める。
【0125】
実施例K
活性物質50mgを含む座薬
組成:
活性物質 50mg
硬質脂肪(アデプス・ソリダス)充分な量添加 1700mg
調製:
硬質脂肪を約38℃で融解し、粉砕された活性物質を融解された硬質脂肪中に均一に分散させ、約35℃に冷却した後、それを冷却金型に注入する。
実施例L
1ml当り活性物質10mgを含む注射溶液
組成:
活性物質 10mg
マンニトール 50mg
ヒト血清アルブミン 10mg
注射用の水、添加 1ml
調製:
マンニトールを注射用の水(WfI)に溶解し、ヒト血清アルブミンを添加し、活性成分を加熱しながら溶解し、WfIを特定容積まで補給し、窒素ガスの下でアンプルに移す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iのアルキン化合物、これらの互変異性体、ジアステレオマー、鏡像体、混合物及びこれらの塩。
【化1】

〔式中、
R1、R2は互いに独立にH、C1-8-アルキル、C3-7-シクロアルキル又はフェニル基もしくはピリジニル基(必要により同じ又は異なる基R20により一置換もしくは多置換されていてもよく、かつ/又はニトロにより一置換されていてもよい)を表し、そのアルキル基又はシクロアルキル基は同じ又は異なる基R11により一置換又は多置換されていてもよく、かつ5員、6員又は7員シクロアルキル基の3位又は4位の-CH2-基は-O-、-S-又は-NR13-により置換されていてもよく、又は
R1及びR2はC3-8-アルキレンブリッジを形成し、R1R2N-基のN原子に隣接しない-CH2-基は-CH=N-、-CH=CH-、-O-、-S-、-SO-、-(SO2)-、-CO-、-C(=CH2)-又は-NR13-により置換されていてもよく、
先に定義されたアルキレンブリッジ中で、1個以上のH原子が同じ又は異なる基R14により置換されていてもよく、かつ
先に定義されたアルキレンブリッジはアルキレンブリッジと基Cyの間の結合が
−単結合又は二重結合を介して、
−スピロ環式環系を形成する共通のC原子を介して、
−縮合二環式環系を形成する2個の共通の隣接C原子及び/又はN原子を介して、又は
−ブリッジされた環系を形成する3個以上のC原子及び/又はN原子を介して
つくられるような様式で1個又は2個の同じ又は異なる炭素環基又は複素環基Cyにより置換されていてもよく、
XはC1-4-アルキレンブリッジ(その定義C2-4-アルキレンにおいて1個もしくは2個のC原子はR10により一置換されていてもよい)を表し、又は
C3-4-アルキレンブリッジを表し、そのR1R2N-基のN原子に直接隣接しない-CH2-CH2-基は-CH=CH-又は-C=C-により置換されており、Xについて先に示された意味はC2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル及びC3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルから選ばれた置換基だけでなく、独立に1個、2個又は3個の同じ又は異なるC1-4-アルキル置換基を含んでもよく、二つのアルキル基が一緒に結合されて3〜7員環式基を形成してもよく、又はアルキル基及びアルケニル基が一緒に結合されて5〜7員環式基を形成してもよく、かつ
W、Zは互いに独立に単結合又はC1-2-アルキレンブリッジを表し、
二つの隣接C原子が付加的なC1-4-アルキレンブリッジにより一緒に結合されてもよく、かつ
1個又は2個のC原子が互いに独立に1個又は2個の同じ又は異なるC1-3-アルキル基により置換されていてもよく、二つのアルキル基が一緒に結合されて炭素環式環を形成してもよく、かつ
Yは部分式Y1及びY2の定義から選ばれ、
【化2】

(式中、基MはO、S又はNRMを表し、RMはH、C1-6-アルキル、C3-6-アルケニル、C3-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル及びC3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルから選ばれた意味を有し、かつ
部分式Y1及びY2中で、1個以上のC原子が互いに独立にR20により置換されていてもよい)、かつ
Aは互いに独立に2価の環式基フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インドリル、ジヒドロインドリル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロ-イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾチエニル又はベンゾフラニルの中から選ばれ、上記環式基は一つ以上のC原子の位置で同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、又はフェニル環の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ/又は1個以上のNH基はR21により置換されていてもよく、
BはY、Aについて示された意味の一つを有し、又は
C1-6-アルキル、C1-6-アルケニル、C1-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルケニル又はC3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキニルを表し、1個以上のC原子が互いに独立にハロゲンにより一置換又は多置換されていてもよく、かつ/又はヒドロキシもしくはシアノにより一置換されていてもよく、かつ/又は環式基が同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、
Cyは下記の意味
−飽和3〜7員炭素環基、
−不飽和4〜7員炭素環基、
−フェニル基、
−ヘテロ原子としてN、O又はS原子を有する飽和4〜7員又は不飽和5〜7員複素環基、
−ヘテロ原子として2個以上のN原子又は1個もしくは2個のN原子と1個のO又はS原子を有する飽和又は不飽和5〜7員複素環基、
−N、O及び/又はSから選ばれた1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を有する芳香族複素環5員又は6員基
の一つから選ばれた炭素環基又は複素環基を表し、
上記飽和6員又は7員基はまたイミノブリッジ、(C1-4-アルキル)-イミノブリッジ、メチレンブリッジ、(C1-4-アルキル)-メチレンブリッジ又はジ-(C1-4-アルキル)-メチレンブリッジでブリッジされた環系として存在してもよく、かつ
上記環式基は1個以上のC原子の位置で同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、フェニル基の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ/又は1個以上のNH基がR21により置換されていてもよく、
R10はヒドロキシ、ω-ヒドロキシ-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ又はC1-4-アルコキシ-C1-3-アルキルを表し、
R11はハロゲン、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、R15-O-、R15-O-CO-、R15-CO-O-、シアノ、R16R17N、R18R19N-CO-又はCyを表し、上記基中で、1個以上のC原子が互いに独立にハロゲン、OH、CN、CF3、C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-3-アルキルから選ばれた置換基により置換されていてもよく、
R13はR17について示された意味の一つを有し、
R14はハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、R15-O-、R15-O-CO-、R15-CO-、R15-CO-O-、R16R17N、R18R19N-CO-、R15-O-C1-3-アルキル、R15-O-CO-C1-3-アルキル、R15-SO2-NH-、R15-O-CO-NH-C1-3-アルキル、R15-SO2-NH-C1-3-アルキル、R15-CO-C1-3-アルキル、R15-CO-O-C1-3-アルキル、R16R17N-C1-3-アルキル、R18R19N-CO-C1-3-アルキル又はCy-C1-3-アルキルを表し、
R15はH、C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、フェニル、フェニル-C1-3-アルキル、ピリジニル又はピリジニル-C1-3-アルキルを表し、
R16はH、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C4-7-シクロアルケニル、C4-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、ω-ヒドロキシ-C2-3-アルキル、ω-(C1-4-アルコキシ)-C2-3-アルキル、アミノ-C2-6-アルキル、C1-4-アルキル-アミノ-C2-6-アルキル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C2-6-アルキル又はシクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C2-6-アルキルを表し、
R17はR16について示された意味の一つを有し、又はフェニル、フェニル-C1-3-アルキル、ピリジニル、C1-4-アルキルカルボニル、ヒドロキシカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ-C2-3-アルキル、N-(C1-4-アルキルカルボニル)-N-(C1-4-アルキル)-アミノ-C2-3-アルキル、C1-4-アルキルスルホニル、C1-4-アルキルスルホニルアミノ-C2-3-アルキルもしくはN-(C1-4-アルキルスルホニル)-N-(C1-4-アルキル)-アミノ-C2-3-アルキルを表し、
R18、R19は互に独立にH又はC1-6-アルキルを表し、
R20はハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C1-3-アルキル、R22-C1-3-アルキルを表し、又はR22について示された意味の一つを有し、
R21はC1-4-アルキル、ω-ヒドロキシ-C2-6-アルキル、ω-C1-4-アルコキシ-C2-6-アルキル、ω-C1-4-アルキル-アミノ-C2-6-アルキル、ω-ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C2-6-アルキル、ω-シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C2-6-アルキル、フェニル、フェニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルキル-カルボニル、C1-4-アルコキシ-カルボニル、C1-4-アルキルスルホニル、アミノスルホニル、C1-4-アルキルアミノスルホニル、ジ-C1-4-アルキルアミノスルホニル又はシクロ-C3-6-アルキレン-イミノ-スルホニルを表し、
R22はピリジニル、フェニル、フェニル-C1-3-アルコキシ、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C2-4-アルコキシ、OHC-、HO-N=HC-、C1-4-アルコキシ-N=HC-、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルキルチオ、カルボキシ、C1-4-アルキルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノカルボニル、シクロ-C3-6-アルキル-アミノ-カルボニル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-カルボニル、フェニルアミノカルボニル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C2-4-アルキル-アミノカルボニル、C1-4-アルキル-スルホニル、C1-4-アルキル-スルフィニル、C1-4-アルキル-スルホニルアミノ、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ、C1-4-アルキル-カルボニル-アミノ、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ、フェニル-C1-3-アルキルアミノ、N-(C1-4-アルキル)-フェニル-C1-3-アルキルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、フェニルカルボニル、フェニルカルボニルアミノ、フェニルカルボニルメチルアミノ、ヒドロキシ-C2-3-アルキルアミノカルボニル、(4-モルホリニル)カルボニル、(1-ピロリジニル)カルボニル、(1-ピペリジニル)カルボニル、(ヘキサヒドロ-1-アゼピニル)カルボニル、(4-メチル-1-ピペラジニル)カルボニル、メチレンジオキシ、アミノカルボニルアミノ又はC1-4-アルキルアミノカルボニルアミノを表し、
上記基及び残基、特にW、X、Z、R13〜R22中で、夫々の場合に1個以上のC原子が更にFにより一置換又は多置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個又は2個のC原子が互に独立に更にCl又はBrにより一置換されていてもよく、かつ/又は夫々の場合に1個以上のフェニル環が互に独立に更にF、Cl、Br、I、シアノ、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、C1-3-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノ、アセチルアミノ、アミノカルボニル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ-C1-3-アルキル、C1-3-アルキルアミノ-C1-3-アルキル及びジ-(C1-3-アルキル)-アミノ-C1-3-アルキルから選ばれた1個、2個又は3個の置換基を含んでもよく、かつ/又はニトロにより一置換されていてもよく、かつ
存在するカルボキシ基のH原子又はN原子に結合されたH原子が夫々生体内で開裂し得る基により置換されていてもよく、
下記の化合物は本発明に含まれない:
6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-2-ピロリジン-1-イルメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン、
6-〔5-(4-クロロ-フェニル)-ピリジン-2-イルエチニル〕-1-メチル-2-ピロリジン-1-イルメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン及び
5-(4-クロロ-フェニル)-2-〔2-(4-メチル-ピペリジン-1-イルメチル)-クロマン-6-イルエチニル〕-ピリジン〕
【請求項2】
基R1、R2が互に独立にH、C1-6-アルキル、C3-5-アルケニル、C3-5-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、ヒドロキシ-C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、(ヒドロキシ-C3-7-シクロアルキル)-C1-3-アルキル、ヒドロキシ-C2-4-アルキル、ω-NC-C2-3-アルキル、C1-4-アルコキシ-C2-4-アルキル、ヒドロキシ-C1-4-アルコキシ-C2-4-アルキル、C1-4-アルコキシ-カルボニル-C1-4-アルキル、カルボキシル-C1-4-アルキル、アミノ-C2-4-アルキル、C1-4-アルキル-アミノ-C2-4-アルキル、ジ-(C1-4-アルキル)-アミノ-C2-4-アルキル、シクロ-C3-6-アルキレンイミノ-C2-4-アルキル、ピロリジン-3-イル、N-(C1-4-アルキル)-ピロリジン-3-イル、ピロリジニル-C1-3-アルキル、N-(C1-4-アルキル)-ピロリジニル-C1-3-アルキル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、N-(C1-4-アルキル)-ピペリジン-3-イル、N-(C1-4-アルキル)-ピペリジン-4-イル、ピペリジニル-C1-3-アルキル、N-(C1-4-アルキル)-ピペリジニル-C1-3-アルキル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、フェニル、フェニル-C1-3-アルキル、ピリジル又はピリジル-C1-3-アルキルからなる群から選ばれ、上記基中で、1個以上のC原子が互いに独立にF、C1-3-アルキル又はヒドロキシ-C1-3-アルキルにより一置換又は多置換されていてもよく、かつ/又は1個もしくは2個の炭素原子が互に独立にCl、Br、OH、CF3もしくはCNにより一置換されていてもよく、かつフェニル基又はピリジル基が同じもしくは異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、フェニル基の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ
基R20が請求項1に示された意味を有することを特徴とする、請求項1記載のアルキン化合物。
【請求項3】
R1及びR2はそれらが結合されているN原子と一緒になって複素環基(これは意味ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン(その遊離イミン官能基はR13により置換されている)、及びモルホリンから選ばれる)を形成し、
1個以上のH原子が同じ又は異なる基R14により置換されていてもよく、かつ/又は
その特定された複素環基はアルキレンブリッジと基Cyの間の結合が
−単結合又は二重結合を介して、
−スピロ環式環系を形成する共通のC原子を介して、
−縮合二環式環系を形成する2個の共通の隣接C原子及び/又はN原子を介して、又は
−ブリッジされた環系を形成する3個以上のC原子及び/又はN原子を介して
つくられるような様式で1個又は2個の同じ又は異なる炭素環基又は複素環基Cyにより置換されていてもよく、かつ
基R13、R14及び基Cyが請求項1に定義されたとおりであることを特徴とする、請求項1記載のアルキン化合物。
【請求項4】
Xがメチレンブリッジ又はエチレンブリッジ(これは置換されておらず、又は1個もしくは2個の同じ又は異なるC1-3-アルキル-置換基及び/又はC2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-6-シクロアルキル及びC3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキルから選ばれた置換基により置換されており、二つのアルキル置換基は一緒に結合されて、3〜6員炭素環式環系を形成してもよい)を表すことを特徴とする、請求項1から3の1項以上に記載のアルキン化合物。
【請求項5】
Zが単結合又はエチレンを表し、かつWが単結合を表すことを特徴とする、請求項1から4の1項以上に記載のアルキン化合物。
【請求項6】
基Yが部分式
【化3】

(部分式Y1.1及びY2.1中で、1個以上のC原子が互いに独立にR20により置換されていてもよく、かつ
R20が請求項1に定義されたとおりである)
の基から選ばれることを特徴とする、請求項1から5の1項以上に記載のアルキン化合物。
【請求項7】
基Aが2価の環式基フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピリダジニルの群から選ばれ、これらが1個以上のC原子の位置で同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、又はフェニル環の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ
R20が請求項1に定義されたとおりであることを特徴とする、請求項1から6の1項以上に記載のアルキン化合物。
【請求項8】
基Bがフェニル、シクロヘキセニル、ピリジル、チエニル及びフラニルから選ばれ、かつ
上記環式基が1個以上のC原子の位置で同じ又は異なる基R20により一置換又は多置換されていてもよく、又はフェニル基の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつ
R20が請求項1に定義されたとおりであることを特徴とする、請求項1から7の1項以上に記載のアルキン化合物。
【請求項9】
Yが
【化4】

を表し、
Aが
【化5】

から選ばれた意味を有し、かつ/又は
Bがフェニル、シクロヘキセニル、ピリジル、チエニル及びフラニル、好ましくはフェニルを表し、
Y及びAが未置換であり、又はR20により一置換され、かつBが未置換であり、又は互いに独立にR20により一置換、二置換もしくは三置換され、又はフェニル環の場合にはまた更にニトロにより一置換されていてもよく、かつR20が請求項1に示された意味を有することを特徴とする、請求項1から8の1項以上に記載のアルキン化合物。
【請求項10】
R20がF、Cl、Br、I、OH、シアノ、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、アミノ、アセチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ又はイソ-プロポキシを表し、繰り返し現れる置換基R20が同じ又は異なる意味を有してもよいことを特徴とする、請求項1から9の1項以上に記載のアルキン化合物。
【請求項11】
請求項1から10の1項以上に記載のアルキン化合物の生理学上許される塩。
【請求項12】
必要により一種以上の生理学上許される賦形剤と一緒に、請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩を含むことを特徴とする組成物。
【請求項13】
必要により一種以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に、請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項14】
哺乳類の食事挙動に影響するための請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩の使用。
【請求項15】
哺乳類の体重を減少し、かつ/又は体重の増加を防止するための請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩の使用。
【請求項16】
MCH受容体拮抗活性を有する医薬組成物を調製するための請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩の使用。
【請求項17】
MCHにより引き起こされ、又はそれ以外にMCHと原因上関連している症候及び/又は疾患の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩の使用。
【請求項18】
代謝障害及び/又は食事障害、特に肥満、多食症、神経性多食症、悪液質、拒食症、神経性食欲不振並びに過食症の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩の使用。
【請求項19】
肥満と関連する疾患及び/又は障害、特に糖尿病、特にII型糖尿病、糖尿病の合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性ニューロパシー、糖尿病性腎症、インスリン耐性、病的グルコーストレランスを含む)、脳出血、心不全、心血管疾患、特に動脈硬化及び高血圧、関節炎並びに膝関節炎の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩の使用。
【請求項20】
高脂血症、蜂巣炎、脂肪蓄積、悪性肥満細胞症、全身性肥満細胞症、情緒障害、感情障害、鬱病、不安、睡眠障害、生殖障害、性的障害、記憶障害、癲癇、痴呆の形態及びホルモン障害の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩の使用。
【請求項21】
排尿障害、例えば、尿失禁、活動亢進の膀胱、切迫排尿、夜間多尿及び遺尿症の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩の使用。
【請求項22】
依存症及び/又は禁断症状の予防及び/又は治療に適している医薬組成物を調製するための請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩の使用。
【請求項23】
請求項1から10の1項以上に記載の少なくとも一種のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩を非化学的方法により一種以上の不活性担体及び/又は希釈剤に混入することを特徴とする、請求項12、13及び16から22の1項以上に記載の組成物又は医薬組成物の調製方法。
【請求項24】
必要により一種以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に、
請求項1から10の1項以上に記載のアルキン化合物及び/又は請求項11記載の塩から選ばれる第一活性物質、及び
糖尿病の治療のための活性物質、糖尿病の合併症の治療のための活性物質、肥満の治療のための活性物質、好ましくはMCHアンタゴニスト以外、高血圧の治療のための活性物質、動脈硬化を含む、高脂血症の治療のための活性物質、関節炎の治療のための活性物質、不安状態の治療のための活性物質及び鬱病の治療のための活性物質からなる群から選ばれた第二活性物質
を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項25】
式A.5
R1R2N-X-Y-C=C-W-A-B (A.5)
(式A.1、A.2、A.3、A.4及びA.5中、R1、R2、Y、X、W、A及びBは請求項1から10に示された意味の一つを有する)
のアルキン化合物の調製方法であって、
式A.1
HO-X-Y-Hal (A.1)
(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは臭素又はヨウ素を表す)
のハロゲン化合物を好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で式A.2
H-C=C-W-A-B (A.2)
のアルキン化合物と反応させ、そして
得られた式A.3
HO-X-Y-C=C-W-A-B (A.3)
の化合物をメタンスルホン酸クロリド(MsCl)と反応させてメタンスルホネート誘導体A.4
MsO-X-Y-C=C-W-A-B (A.4)
を生成し、
これを更に式H-NR1R2のアミンと反応させて最終生成物A.5を生成することを特徴とする、上記アルキン化合物の調製方法。
【請求項26】
式B.5
R1R2N-X-Y-Z-C=C-A-B (B.5)
(式B.1、B.2、B.3、B.4及びB.5中、R1、R2、X、Y、Z、A及びBは請求項1から10に示された意味の一つを有する)
のアルキン化合物の調製方法であって、
式B.1
Hal-A-B (B.1)
(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは臭素又はヨウ素を表す)
のハロゲン化合物を好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で式B.2
HO-X-Y-Z-C=C-H (B.2)
のアルキン化合物と反応させ、そして
式B.3
HO-X-Y-Z-C=C-A-B (B.3)
の得られる化合物をメタンスルホン酸クロリド(MsCl)と反応させてメタンスルホネート誘導体B.4
MsO-X-Y-Z-C=C-A-B (B.4)
を生成し、
これを更に式H-NR1R2のアミンと反応させて最終生成物B.5を生成することを特徴とする、上記アルキン化合物の調製方法。
【請求項27】
式C.3
R1R2N-X-Y-C=C-W-A-B (C.3)
(式C.1、C.2及びC.3中、R1、R2、X、Y、W、A及びBは請求項1から10に示された意味の一つを有する)
のアルキン化合物の調製方法であって、
式C.1
R1R2N-X-Y-Hal (C.1)
(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは臭素又はヨウ素を表す)
のハロゲン化合物を好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で式C.2
H-C=C-W-A-B (C.2)
のアルキン化合物と更に反応させて最終生成物C.3を生成することを特徴とする、上記アルキン化合物の調製方法。
【請求項28】
式D.3
R1R2N-X-Y-Z-C=C-A-B (D.3)
(式D.1、D.2及びD.3中、R1、R2、X、Y、Z、A及びBは請求項1から10に示された意味の一つを有する)
のアルキン化合物の調製方法であって、
式D.2
Hal-A-B (D.2)
(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは臭素又はヨウ素を表す)
のハロゲン化合物を好適な溶媒中で好適なパラジウム触媒、好適な塩基及びヨウ化銅(I)の存在下で式D.1
R1R2N-X-Y-Z-C=C-H (D.1)
のアルキン化合物と反応させて最終生成物D.3を生成することを特徴とする、上記アルキン化合物の調製方法。

【公表番号】特表2007−532599(P2007−532599A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507719(P2007−507719)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003710
【国際公開番号】WO2005/100285
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】