説明

MEMSデバイス

【課題】可動部を有するMEMS素子に対する外部からの静電気の影響を低減して信頼性を向上することができるMEMSデバイスを提供する。
【解決手段】固定部及び可動部を有するMEMS素子と、所定の間隔をもって可動部を覆い、固定部でMEMS素子と固定された第1キャップと、第1キャップと導電部材により電気的に接続され、固定部上に配置され、且つグランド電位が供給される第1グランドパッドとを備えたMEMSデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMSデバイス、特に可動部に対する静電気の影響を低減することが可能なMEMSデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の小型軽量化、多機能化や高機能化が進み、実装される電子部品に高密度化が要求されている。このような要求に応じて各種電子部品が半導体デバイスとして製造されるものが増加している。このため、回路素子として製造される半導体デバイス以外に各種センサも半導体デバイスとして製造されて、小型軽量化が図られている。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)分野の製品として外力に応じて変位する可動部を半導体基板に形成し、この可動部の変位を電気信号の変化として検出するタイプの力学量センサ、カンチレバーや静電力を利用するアクチュエータ等が実用化されている。
【0003】
上述の力学量センサとしては、例えば、外力に応じて変位する可動部の変位をピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化として検出するピエゾ抵抗型加速度センサや、可動部の変位を静電容量の変化として検出する静電容量型加速度センサなどが挙げられるが、これらのMEMS素子は、外部からの損傷や樹脂の浸入を防ぐため、キャップや樹脂などで密封される。キャップで密封されたMEMS素子は、必要に応じてさらに封止され、回路基板に実装されて電子部品として用いられる。
【0004】
従来の加速度センサの製造工程において、陽極接合によりガラス基板からなる上部キャップ及び下部キャップをシリコン基板からなるセンサに固定して、センサを上部キャップ及び下部キャップで気密封止する場合、センサと上部キャップ及び下部キャップとの間に高電圧が印加されるため、センサの可動部と上部及び下部キャップとの間に静電気が発生し、可動部が上部キャップ又は下部キャップ側に引き寄せられ、可動部の張り付きが生じるという問題があった。この問題について、例えば、特許文献1には、上部キャップ及び下部キャップのセンサに対面する面に微小の凹凸を設けて、製造時に陽極接合を行った場合においても、センサの可動部の上部キャップ又は下部キャップへの貼りつきを防止するピエゾ抵抗素子を用いた半導体加速度センサの構造が開示されている。また、特許文献2には、センサを密封するキャップの内面に延性変形する導通性のシールド膜を設けて、このシールド膜とセンサの可動部とを電気的に接続することによって、キャップとセンサの可動部とを同電位にすることで、MEMS素子とキャップとを陽極接合しても静電気の発生を防止する静電容量型加速度センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−166618号公報
【特許文献2】特開2007−85747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1及び特許文献2に開示されているように、従来は加速度センサの製造時ガラスとシリコンとの陽極接合によって発生する静電気がセンサの可動部に及ぼす影響を防止するための検討がされてきた。しかし、封止パッケージング時、検査時、または使用時における外部の静電気への対策は検討されておらず、その対策が望まれていた。このような外部の静電気により、MEMS素子が誤作動し、装置の信頼性が低下する虞があった。
【0007】
本発明は、可動部を有するMEMS素子に対する外部からの静電気の影響を低減して、信頼性の高いMEMSデバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るMEMSデバイスは、固定部及び可動部を有するMEMS素子と、所定の間隔をもって可動部を覆い、固定部でMEMS素子と固定された第1キャップと、第1キャップと導電部材により電気的に接続され、固定部上に配置され、且つグランド電位が供給される第1グランドパッドとを備えることを特徴とする。このMEMSデバイスによれば、MEMS素子の可動部に対する外部からの静電気の影響を低減して、デバイスの信頼性を向上することができる。
【0009】
本発明の一実施形態に係るMEMSデバイスは、固定部及び可動部を有するMEMS素子と、所定の間隔をもって可動部を覆い、固定部上でMEMS素子と固定されたICと、ICと導電部材により電気的に接続され、固定部上に配置され、且つグランド電位が供給される第1グランドパッドとを備えることを特徴とする。このMEMSデバイスによれば、MEMS素子の可動部に対する外部からの静電気の影響を低減して、デバイスの信頼性を向上することができる。
【0010】
本発明の一実施形態に係るMEMSデバイスは、グランド電位が供給される第1グランドパッドを備えた基板と、基板上に配置されて、固定部及び可動部を有するMEMS素子と、所定の間隔をもって可動部を覆い、固定部上でMEMS素子と固定され、第1グランドパッドと導電性部材によって電気的に接続されるICとを備えることを特徴とする。このMEMSデバイスによれば、MEMS素子の可動部に対する外部からの静電気の影響を低減して、デバイスの信頼性を向上することができる。
【0011】
本発明の一実施形態に係るMEMSデバイスは、基板と、基板に固定され、基板とともに中空空間を形成する封止キャップと、中空空間内に配置されたIC及びMEMS素子と、を備え、封止キャップの内側及び外側の少なくともいずれか一方に導電性膜が配置されることを特徴とする。このMEMSデバイスによれば、MEMS素子の可動部に対する外部からの静電気の影響を低減して、デバイスの信頼性を向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、可動部を有するMEMS素子に対する外部からの静電気の影響を低減して信頼性を向上することができるMEMSデバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の第1の実施形態に係る加速度センサデバイスを上から見た透視図の一例である。
【図1B】本発明の第1に実施形態に係る別の加速度センサデバイスを上から見た透視図の一例である。
【図2】(a)図1Aに示した加速度センサデバイスのA−A線に沿った断面図の一例である。(b)図1Aに示した加速度センサデバイス100のA−A線に沿った断面図の一例である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る別の加速度センサデバイスを上から見た透視図の一例である。
【図4】(a)図3に示した加速度センサデバイスのA−A線に沿った断面図の一例である。(b)図3に示した加速度センサデバイス300のA−A線に沿った断面図の一例である。
【図5】(a)本発明の第1の実施形態に係る別の加速度センサデバイスの断面図の一例である。(b)本発明の第1の実施形態に係る別の加速度センサデバイスの断面図の一例である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る加速度センサデバイスを上から見た透視図の一例である。
【図7】図6に示した加速度センサデバイスのA−A線に沿った断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る別の加速度センサデバイスの断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る加速度センサデバイスを上から見た透視図の一例である。
【図10】図9に示した加速度センサデバイスのA−A線に沿った断面図の一例である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る別の加速度センサデバイスの断面図の一例である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る加速度センデバイスを上から見た透視図の一例である。
【図13】図12に示した加速度センサデバイスのA−A線に沿った断面図の一例である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る別の加速度センサデバイスを上から見た透視図の一例である。
【図15】図14に示す加速度センサデバイスのA−A線に沿った断面図の一例である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係るさらに別の加速度センサデバイスを上から見た透視図の一例である。
【図17】図16に示す加速度センサデバイスのA−A線に沿った断面図の一例である。
【図18】本発明の第5の実施形態に係る加速度センサデバイスの断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者は、上部キャップ及び下部キャップにより可動部が覆われたセンサを含む3軸のピエゾ抵抗型加速度センサパッケージに、外側から静電気によって帯電させた帯電物を近づけたところ、センサの可動部を構成する錘部が帯電物の静電気によって動いてしまうことを発見した。これは、センサの可動部を覆うキャップが電気的にフローティング状態であるために、帯電物の静電気によってキャップが帯電し、帯電したキャップにセンサの錘部が引っ張られていると考えられる。帯電物が引き起こすセンサの錘部の動きは、静電容量や静電引力を利用する装置以外の装置でも誤作動を引き起こし、装置の信頼性を低下させる。そこで、本発明者は、外部からの静電気の影響を低減することができる可動部を有するMEMSデバイスの構成を検討した結果、本発明に至った。MEMS素子を含む装置に対する静電気の影響を低減して信頼性を向上することができるMEMSデバイスについて開示を行う。
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下に説明する実施形態では、MEMS素子として主にピエゾ抵抗素子を用いた3軸加速度センサを用いる場合のMEMSデバイスについて説明する。但し、本発明は、MEMS素子としてピエゾ抵抗素子を用いた3軸加速度センサだけではなく、外力に応じて変位する可動部を有するピエゾ型、圧電型、熱検知型、FET型の加速度センサやジャイロセンサ、MEMS技術を用いた他の素子、例えば、地磁気センサ、マイクロミラー、RFスイッチなどを用いる場合にも適用することが可能であり、さらに種々の変形が可能である。
【0016】
本発明の第1の実施形態に係る加速度センサデバイス100、100´の概略構成について、図1A、図1B及び図2を参照して説明する。図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る加速度センサデバイス100を上から見た透視図の一例である。本発明の第1の実施形態に係る加速度センサデバイス100は、配線基板102、配線基板102上に配置されたIC104、及びIC104上に配置されたセンサパッケージ105を含む。センサパッケージ105は、センサ106、上部キャップ108、端子118、GNDパッド112、導電ペースト114を含む。センサパッケージ105は、IC104とセンサ106との間に配置された下部キャップ110を含んでもよい。下部キャップ110は、センサ106の下側に配置されるため、図1Aにおいてはその図示を省略している。尚、センサ106がIC104上に直接配置される場合には、下部キャップ110は省略されてもよい。
【0017】
センサ106は、錘部106aと、錘部106aに接続された可撓部106bと、可撓部106bに接続された固定部106cと、可撓部106bに配置されて錘部106aの変位をXYZの3軸方向で検出する複数のピエゾ抵抗素子(図示せず)と、固定部106cに配置された端子118及びGNDパッド112とを含む。センサ106は、外力によって固定部106cに対して可動な錘部106aと可撓部106bとを含んでおり、以下では、固定部106cに対して可動な部分を可動部106dと呼ぶことがある。センサ106に加速度が加わると、錘部106aが変位し、この変位に伴って可撓部106bが撓む。可撓部106bが撓むと、可撓部106bに配置されたピエゾ抵抗素子に力が加わり、ピエゾ抵抗素子の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を検出して、センサ106に加えられた加速度の大きさ、方向などを検出する。センサ106からの信号は、センサ106の固定部106c上に配置された端子118から配線120を通してIC104に伝達される。IC104からの信号は、IC104の端子122から配線124を通して配線基板102から外部に伝達される。
【0018】
上部キャップ108は、所定の間隔をもってセンサ106の可動部106dを覆い、センサ106の可動部106dの上方向への過大な変位を制限し、可動部106dの破損を防止する。上部キャップ108は、固定部106cに固定される。下部キャップ110は、可動部106dと所定の間隔をもって配置され、センサ106の可動部106dの下方向への過大な変位を制限し、可動部106dの破損を防止する。下部キャップ110は、固定部106cに固定される。上部キャップ108及び下部キャップ110は、固定部106cに接着剤による接着、直接接合等により、センサ106と固定される。尚、下部キャップ110は省略されてもよい。下部キャップ110が省略される場合は、センサ106の下に配置されたIC104が、センサ106の可動部106dの下方向への過大な変位を制限し、可動部106dの破損を防止してもよい。上部キャップ108及び下部キャップは、例えば、Siなどの半導体、ガラス、プラスチック、ゴムなどであってもよく、可動部106dの破損を防止することができれば特に制限はない。
【0019】
図1Bは、本発明の第1に実施形態に係る別の加速度センサデバイス100´を見た透視図の一例である。図1Bに示す加速度センサデバイス100´において、図1Aに示した加速度センサデバイス100と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0020】
加速度センサデバイス100´は、配線基板102、配線基板102上に配置されたIC104及びセンサパッケージ105を含む。センサパッケージ105は、センサ106、上部キャップ110、端子118、GNDパッド112、導電ペースト114を含む。センサパッケージ105は、配線基板102とセンサ106との間に配置される下部キャップ110を含んでもよい。下部キャップ110は、センサ106の下側に配置されるため、図1Bにおいてはその図示を省略している。加速度センサデバイス100´は、IC104とセンサパッケージ105とが並んで配線基板上102に配置されることを除いては、図1Aに示した加速度センサデバイス100と同じ構成を有する。
【0021】
図2(a)は、図1Aに示した加速度センサデバイス100のA−A線に沿った断面図である。図2(a)においては、センサパッケージ105の構成のみを示し、配線基板102、IC104、端子、配線などの要素は省略して図示する。
【0022】
図1A及び図2(a)を参照すると、センサの固定部106cに配置されたGNDパッド112と上部キャップ108とは、導電ペースト114により電気的に接続されており、上部キャップ108がGND電位となる。導電ペースト114としては、柔らかい材料を使用することが好ましい。柔らかい材料を導電ペースト114に採用することにより、センサ106に対する応力の影響を低減することができる。このような導電ペースト114として、曲げ弾性率5GPa以下のものを用いることが好ましい。導電ペースト114は、Au、Ag、Pd、Ni、Cu、Sn、AgコートCu、シリコーン系導電性ペーストなどであってもよい。また、導電ペースト114として、Sn、Sn−Pb系、Sn−Ag系、Sn−Zn系、Bi系、Sn−Ag−Cu系の半田材料を用いてもよい。
【0023】
加速度センサデバイス100において、センサ106の固定部106cにGNDパッド112を配置し、GNDパッド112と上部キャップ108とを導電ペースト114によって電気的に接続して、上部キャップ108の電位をGND電位にすることで、センサパッケージ105に外部から静電気を帯びた帯電物が近づいても、上部キャップ108に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。上部キャップ108が帯電しにくくなることにより、センサ106の可動部106dが上部キャップ108に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。尚、図1Bに示した加速度センサデバイス100´のセンサパッケージ105も、図2(a)に示したセンサパッケージ105と同様の構成を有する。
【0024】
さらに、加速度センサデバイス100、100´において、図2(b)に示すように、GNDパッド112上にバンプ126を配置し、バンプ126上に導電ペースト114を配置して、GNDパッド112と上部キャップ108とを電気的に接続してもよい。バンプ126は、金、アルミニウム、アルミシリコンなどの金属材料を含んでもよい。バンプ126は、接触抵抗が低い金を含むことが好ましい。また、GNDパッド112がアルミニウムからなる場合、金との接合強度が高いため、バンプ126は金を含むことが好ましい。バンプ126への導電ペースト114の配置は、ディスペンス法等の公知の方法によって、行うことができる。GNDパッド112上にバンプ126を配置することで、ディスペンスされた導電ペースト114の材料が拡がり、GNDパッド112以外の端子118に接することを防止することができる。さらにバンプ126は、その一部が凸状に先突した形状とすることが好ましい。凸状の部分を通じて導電性ペースト114が確実にGNDパッド上に配置されるためである。
【0025】
センサパッケージ105の上部キャップ108をGNDパッド112と電気的に接続して、上部キャップ108の電位をGND電位にするだけでなく、下部キャップ110も併せてGND電位にしてもよい。以下、上部キャップ108だけでなく、下部キャップ110の電位もGND電位にする場合の加速度センサデバイスの構成を説明する。
【0026】
本発明の第1の実施形態に係る別の加速度センサデバイス300の概略構成について、図3、及び図4(a)、(b)を参照して説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る別の加速度センサデバイス300を上から見た透視図の一例である。図3に示す加速度センサデバイス300において、図1Aに示した加速度センサデバイス100と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0027】
本発明の第1の実施形態に係る加速度センサデバイス300は、配線基板102、配線基板102上に配置されたIC104、及びIC104上に配置されたセンサパッケージ301を含む。センサパッケージ301は、センサ106、上部キャップ108、下部キャップ110、GNDパッド112、端子118、導電ペースト114、導電ペースト302を含む。尚、下部キャップ110は、センサ106の下側に配置されているため、図3においては図示を省略する。加速度センサデバイス300において、導電ペースト302によって、GNDパッド112に電気的に接続してされた上部キャップ108と下部キャップ110とが電気的に接続される。
【0028】
図4(a)は、図3に示した加速度センサデバイス300のA−A線に沿った断面図である。図4(a)においては、センサパッケージ301の構成のみを示し、配線基板102、IC104、端子、配線などの要素は省略して図示する。
【0029】
図3及び図4(a)を参照すると、センサの固定部106cに配置されたGNDパッド112と上部キャップ108とは、導電ペースト114により電気的に接続されており、上部キャップ108がGND電位となる。さらに、上部キャップ108と下部キャップ110とを導電ペースト302を介して電気的に接続する。導電ペースト302は、導電ペースト114と同様の材料を用いることができる。
【0030】
導電性ペースト302を配置する位置は、所望の電気的接続がとれるものであれば特に制限はない。導電ペースト302が硬化して生じる応力を考慮すると、導電ペースト302を極力小さい面積でセンサの側面に配置することが好ましい。また、平面視において各可撓部106bの両接続端を結ぶように設定された仮想直線上を除くように配置すると、導電ペースト302が可撓部106bに与える応力の影響が少ないため好ましい。また、導電ペースト114と対向する位置に導電ペースト302を配置し、応力の均衡をとるようにしてもよい。導電ペースト302は、少なくともセンサ106の側面の1箇所において上部キャップ106、センサ106、下部キャップ110の電気的接続をとるように配置するのが好ましいが、複数の導電ペーストをセンサ106の側面に付加的に配置してもよい。この付加的に配置された導電ペーストは、電気的接続に寄与するようにしてもよいし、電気的接続に寄与しないようなダミーのものであってもよい。例えば、センサ106における4つの側面にそれぞれ導電ペーストを配置して、応力の均衡をとるようにしてもよい。
【0031】
図3に示した加速度センサデバイス300及び図4(a)に示したセンサパッケージ301において、センサ106の固定部106cにGNDパッド112を配置し、GNDパッド112と上部キャップ108とを導電ペースト114によって電気的に接続して、さらに、上部キャップ108と下部キャップ110とを導電ペースト302によって電気的に接続することによって、上部キャップ108及び下部キャップ110の電位をGND電位にすることができる。これによって、センサパッケージ301に外部から静電気を帯びた帯電物が近づいても、上部キャップ108及び下部キャップ110に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。上部キャップ108及び下部キャップ110が帯電しにくくなることで、センサ106の可動部106dが上部キャップ108及び下部キャップ110に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。また、上部キャップ108及び下部キャップ110の電位をGND電位にするとともに、導電ペースト302によって、センサ106の固定部106cの電位をGND電位にしてもよい。尚、図3に示した加速度センサデバイス300では、センサパッケージ301はIC104上に配置されているが、図1Bに示した加速度センサデバイス100´と同様に、IC104とセンサパッケージ301とが並んで配置されてもよい。IC104とセンサパッケージ301とが並んで配置される場合でも、センサパッケージ301は、図4(a)に示した構成と同じ構成を有し、上部キャップ108及び下部キャップ110の電位をGND電位にすることができる。
【0032】
さらに、加速度センサデバイス300において、図4(b)に示すように、センサパッケージ301は、GNDパッド112上に配置されたバンプ126を含んでもよく、このバンプ126上に導電ペースト114を配置して、GNDパッド112と上部キャップ108とを電気的に接続してもよい。バンプ126上に導電ペースト114を配置することによって、導電ペースト114がGNDパッド112以外の端子118に接することを防止することができる。
【0033】
図3及び図4(a)、(b)に示した加速度センサデバイス300のように、GNDパッド112と電気的に接続した上部キャップ108を下部キャップ110に導電ペースト302によって電気的に接続することで、上部キャップ108だけでなく、下部キャップ110の電位をGND電位にしてもよい。図3及び図4(a)、(b)に示した加速度センサデバイス300において、上部キャップ108及び下部キャップ110だけではなく、導電ペースト302に接するセンサ106の固定部106cの電位もGND電位となる。
【0034】
図5(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る別の加速度センサデバイス500の概略断面図である。加速度センサデバイス500を上から見た透視図は、図3に示したものと略同一であるので、ここでは省略する。図5(a)及び(b)に示す加速度センサデバイス500において、図1Aに示した加速度センサデバイス100と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0035】
加速度センサデバイス500は、配線基板102、配線基板102上に配置され、GNDパッド504を有するIC104、IC104上に配置されたセンサパッケージ501を含む。センサパッケージ501は、センサ106、上部キャップ108、下部キャップ110、GNDパッド112、端子118、導電ペースト114、GNDパッド504と下部キャップ110とを電気的に接続する導電ペースト506を含む。図5(a)及び(b)においては、加速度センサデバイス500のセンサパッケージ501及びIC104の構成のみを示し、配線基板102、端子、配線などの要素は省略して図示する。
【0036】
図5(a)において、センサ106の固定部106cにGNDパッド112を配置し、GNDパッド112と上部キャップ108とを導電ペースト114によって電気的に接続して、上部キャップ108の電位をGND電位にする。さらに、IC104にGNDパッド504を配置し、下部キャップ110とGNDパッド504とを導電ペースト506によって電気的に接続することによって、下部キャップ110の電位をGND電位にすることができる。これによって、センサパッケージ501に外部から静電気を帯びた帯電物が近づいても、上部キャップ108及び下部キャップ110に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。上部キャップ108及び下部キャップ110が帯電しにくくなることで、センサ106の可動部106dが上部キャップ108及び下部キャップ110に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。
【0037】
図5(b)に示すように、センサ106の固定部106c上に配置されたGNDパッド112上にバンプ126を配置し、バンプ126上に導電ペースト114を配置して、GNDパッド112と上部キャップ108とを電気的に接続してもよい。バンプ126上に導電ペースト114を配置することによって、導電ペースト114がGNDパッド112以外の端子118に接することを防止することができる。
【0038】
図示はしないが、図5(a)及び(b)に示した加速度センサデバイス500において、下部キャップ110とGNDパッド504とを電気的に接続する導電ペースト506を上部キャップ108まで延長させて、上部キャップ108とGNDパッド504とを電気的に接続してもよい。
【0039】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態に係る加速度センサデバイス600の概略構成について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る加速度センサデバイス600を上から見た透視図の一例である。図6に示す加速度センサデバイス600において、図1Aに示した加速度センサデバイス100と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0040】
本発明の第2の実施形態に係る加速度センサデバイス600は、配線基板102、配線基板102上に配置されたIC104、及び、IC104上に配置されたセンサパッケージ601を含む。センサパッケージ601は、センサ106、上部キャップ108、センサ106の固定部106c上に配置されたGNDパッド602、GNDパッド602上に配置され、センサ106と上部キャップ108とを接着する導電性接着剤604を含む。導電性接着剤604は、柔らかい材料を使用することが好ましく、例えば、Au、Ag、Pd、Ni、Cu、Sn、AgコートCu、シリコーン系導電性ペーストや、n、Sn−Pb系、Sn−Ag系、Sn−Zn系、Bi系、Sn−Ag−Cu系の半田などであってもよい。柔らかい材料を導電性接着剤604に採用することにより、センサ106に対する応力の影響を低減することができる。センサパッケージ601は、IC104とセンサとの間に配置された下部キャップ110を含んでもよい。下部キャップ110は、センサ106の下側に配置されるため、図6においてはその図示を省略している。尚、センサ106がIC104上に直接配置される場合は、下部キャップ110は省略されてもよい。
【0041】
図7は、図6に示した加速度センサデバイス600のA−A線に沿った断面図である。図7においては、センサパッケージ601の構成のみを示し、配線基板102、IC104、端子、配線などの要素は省略して図示している。図6及び図7に示すセンサパッケージ601では、センサ106の固定部106cに配置されたGNDパッド602上に配置され、センサ106と上部キャップ108とを接着する導電性接着剤604により、上部キャップ108とGNDパッド602とを電気的に接続して、上部キャップ108の電位をGND電位にする。これによって、センサパッケージ601に外部から静電気を帯びた帯電物が近づいても、上部キャップ108に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。上部キャップ108が帯電しにくくなることで、センサ106の可動部106dが上部キャップ108に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。
【0042】
センサパッケージ601の上部キャップ108をGNDパッド602と電気的に接続して、上部キャップ108の電位をGNDにするだけでなく、下部キャップ110の電位も併せてGND電位にしてもよい。以下、上部キャップ108だけでなく、下部キャップ110の電位もGND電位にする場合の加速度センサデバイスの構成を説明する。
【0043】
本発明の第2の実施形態に係る別の加速度センサデバイス800の概略構成について、図8を参照して説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る別の加速度センサデバイス800の断面図である。図8に示す加速度センサデバイス800を上から見た透視図は、図6に示した加速度センサデバイス600と略同一であるので、ここでは省略する。図8に示す加速度センサデバイス800において、図6に示した加速度センサデバイス600と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。尚、図8では、配線基板102、端子、配線などの要素は省略して図示している。
【0044】
図8に示す加速度センサデバイス800は、配線基板102、GNDパッド804が配置されたIC802、IC802上に配置されたセンサパッケージ801を含む。センサパッケージ801は、センサ106、上部キャップ108、センサ106の固定部106c上に配置されるGNDパッド602、GNDパッド602上に配置され、センサ106と上部キャップ108とを接着する導電性接着剤604、下部キャップ110を含む。さらにセンサパッケージ801は、GNDパッド804上に配置されて、IC802とセンサパッケージ601とを接着する導電性接着剤806を含む。IC802のGNDパッド804と下部キャップ110とが導電性接着剤806で電気的に接続された点を除き、図6に示した加速度センサデバイス600と略同一の構成を有する。本実施形態によれば、IC802へのセンサ106の取り付けと、下部キャップ110の電位規定を同時に行うことができる。導電性接着剤806は、導電性接着剤604と同様の材料を用いてもよい。
【0045】
図8に示すセンサパッケージ801では、図6に示したセンサパッケージ601と同様に、センサ106の固定部106cに配置されたGNDパッド602上に配置され、センサ106と上部キャップ108とを接着する導電性接着剤604により、上部キャップ108とGNDパッド602とを電気的に接続して、上部キャップ108の電位をGND電位にする。さらに、センサパッケージ801においては、IC802上に配置されたGNDパッド804上に配置され、センサパッケージ801の下部キャップ110とIC802とを接着する導電性接着剤806により、下部キャップ110とGNDパッド804とを電気的に接続して、下部キャップ110の電位をGND電位にする。これによって、センサパッケージ801に外部から静電気を帯びた帯電物が近づいても、上部キャップ108及び下部キャップ110に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。上部キャップ108及び下部キャップ110が帯電しにくくなることで、センサ106の可動部106dが上部キャップ108及び下部キャップ110に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。
【0046】
(実施形態3)
本発明の第3の実施形態に係る加速度センサデバイス900の概略構成について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、本発明の第3の実施形態に係る加速度センサデバイス900を上から見た透視図の一例である。図9に示す加速度センサデバイス900において、図1Aに示した加速度センサデバイス100と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0047】
本発明の第3の実施形態に係る加速度センサデバイス900は、配線基板102、配線基板102上に配置されたIC104、及び、IC104上に配置されたセンサパッケージ901を含む。センサパッケージ901は、センサ106、上部キャップ108、センサ106の固定部106c上に配置されたGNDパッド902、上部キャップ108上に配置されたパッド906、GNDパッド902とパッド906とを電気的に接続する配線904を含む。センサパッケージ901は、IC104とセンサ106との間に配置される下部キャップ110を含んでもよい。下部キャップ110は、センサ106の下側に配置されるため、図9においてはその図示を省略している。尚、センサ106がIC104上に直接配置される場合は、下部キャップ110は省略されてもよい。
【0048】
図10は、図9に示した加速度センサデバイス900のA−A線に沿った断面図である。図10においては、センサパッケージ901の構成のみを示し、配線基板102、IC104、端子、配線などの要素は省略して図示している。図9及び図10に示すセンサパッケージ901では、センサ106の固定部106cに配置されたGNDパッド902と上部キャップ108上に配置されたパッド906とを配線904によって電気的に接続することにより、上部キャップ108とGNDパッド902とを電気的に接続して、上部キャップ108の電位をGND電位にする。これによって、センサパッケージ901に外部から静電気を帯びた帯電物が近づいても、上部キャップ108に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。上部キャップ108が帯電しにくくなることで、センサ106の可動部106dが上部キャップ108に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。
【0049】
尚、配線基板102とIC104、そしてIC104とセンサ106は、通常、金属の配線を用いてワイヤボンディングして電気的に接続される。本実施形態では、パッド906とGNDパッド902とを配線904で電気的に接続するため、他のワイヤボンディング時にその電気的接続を同時に行うことができる。そのため、より簡便な製造工程とすることができる。
【0050】
センサ106の上部キャップ108とGNDパッド902とを電気的に接続して、上部キャップ108の電位をGND電位にするだけでなく、下部キャップ110の電位も併せてGND電位にしてもよい。以下、上部キャップ108だけでなく、下部キャップ110の電位もGND電位にする場合の加速度センサデバイスの構成を説明する。
【0051】
本発明の第3の実施形態に係る別の加速度センサデバイス1100の概略構成について、図11を参照して説明する。図11は、本発明の第3の実施形態に係る別の加速度センサデバイス1100の断面図である。図11に示す加速度センサデバイス1100を上から見た透視図は、図9に示した加速度センサデバイス900と略同一であるので、ここでは省略する。図11に示す加速度センサデバイス1100において、図9に示した加速度センサデバイス900と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。尚、図11では、センサパッケージ901´の構成のみを示し、配線基板102、IC104、端子、配線などの要素は省略して図示している。
【0052】
図11に示すセンサパッケージ901´は、センサ106の固定部106c上に配置されたGNDパッド1102を配置し、センサ106の下に配置される下部キャップ110´を延設し、下部キャップ110´上にパッド1106を配置し、センサ106の固定部106c上に配置されたGNDパッド1102とパッド1106とを配線1104によって電気的に接続し、下部キャップ110´とGNDパッド1102とを電気的に接続して、下部キャップ110´の電位をGND電位にすることを除いて、図10に示したセンサパッケージ901と同じ構成を有する。図示はしないが、図11に示すセンサパッケージ901´において、図10に示したセンサパッケージ901と同様に、センサ106の固定部106cに配置されたGNDパッド902と上部キャップ108上に配置されたパッド906とを配線904によって電気的に接続することにより、上部キャップ108とGNDパッド902とを電気的に接続して、上部キャップ108の電位をGND電位にしている。
【0053】
図11に示すセンサパッケージ901´では、図10に示したセンサパッケージ901と同様に、センサ106の固定部106cに配置されたGNDパッド902と上部キャップ108とを配線904により電気的に接続して、上部キャップ108の電位をGND電位にする。さらに、センサパッケージ901´において、センサ106の固定部106cに配置されたGNDパッド1102と下部キャップ110´上に配置されたパッド1106とを配線1104によって電気的に接続して、下部キャップ110´の電位をGND電位にする。これによって、センサパッケージ901´に外部から静電気を帯びた帯電物が近づいても、上部キャップ108及び下部キャップ110´に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。上部キャップ108及び下部キャップ110´が帯電しにくくなることで、センサ106の可動部106dが上部キャップ108及び下部キャップ110´に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。
【0054】
(実施形態4)
本発明の第4の実施形態に係る加速度センサデバイス1200の概略構成について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、本発明の第4の実施形態に係る加速度センデバイス1200を上から見た透視図の一例である。図12に示す加速度センサデバイス1200において、図1Aに示した加速度センサデバイス100と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0055】
本発明の第4の実施形態に係る加速度センサデバイス1200は、配線基板102、配線基板102上に配置されたセンサパッケージ1201、センサパッケージ1201を覆うIC1202を含む。センサパッケージ1201は、センサ106、センサ106の固定部106c上に配置されたGNDパッド1204、GNDパッド1204上に配置されてIC1202とセンサ106とを接着する導電性接着剤1206、及びGNDパッド1214を含む。IC1202は、IC1202上に配置されたパッド1208を有する。配線1210により、センサ106の固定部106c上に配置されたパッド1212とパッド1208とが電気的に接続される。また、IC1202は、IC1202上に配置されたパッド1218を有する。配線1216により、GNDパッド1214とパッド1218とが電気的に接続される。導電性接着剤1206は、柔らかい材料を使用することが好ましく、例えば、Au、Ag、Pd、Ni、Cu、Sn、AgコートCu、シリコーン系導電性ペーストや、n、Sn−Pb系、Sn−Ag系、Sn−Zn系、Bi系、Sn−Ag−Cu系の半田などであってもよい。本発明の第4の実施形態に係る加速度センサデバイス1200においては、センサパッケージ1201の上部キャップが省略されて、上部キャップの代わりにIC1202が所定の間隔をもってセンサ106の可動部106dを覆い、センサ106の可動部106dの上方向への過大な変位を制限し、可動部106dの破損を防止する。センサ106からの信号はパッド1212、配線1210及びパッド1208を通してIC1202に伝達される。尚、GNDパッド1214の個数は1つに限定されず、複数個配置されていてもよい。
【0056】
図13は、図12に示した加速度センサデバイス1200のA−A線に沿った断面図である。図12及び図13に示すセンサパッケージ1201では、センサ106の固定部106cに配置されたGNDパッド1204上に配置され、センサ106とIC1202とを接着する導電性接着剤1206により、IC1202とGNDパッド1204とを電気的に接続して、IC1202のDIEをGNDに接続することが可能となる。これによって、DIE電位がGNDと同電位になり、ICの電位が安定するため、信号ノイズの低減が可能になる。また、GNDパッド1214、配線1216及びパッド1218を通じてIC1202とセンサ106のGNDとを接続することができ、センサパッケージ1201に外部から静電気を帯びた帯電物が近づいても、IC1202に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。IC1202が帯電しにくくなることで、センサ106の可動部106dが上部キャップ108に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。また、本実施形態によれば、IC1202が上部キャップを兼ねるので、加速度センサデバイスを薄くすることができる。
【0057】
図12及び図13に示す加速度センサデバイス1200には図示しないが、センサパッケージ1201は、センサ106の可動部106dと所定の間隔をもって配置される下部キャップ110を含んでもよい。下部キャップ110を含む場合は、下部キャップ110とIC1202とを導電ペーストを介して電気的に接続して、下部キャップ110の電位をGND電位にしてもよく、配線基板102に別途GNDパッドを設けて、下部キャップ110と電気的に接続して、下部キャップ110の電位をGND電位にしてもよい。下部キャップ110と配線基板102に別途設けられるGNDパッドとの接続方法としては、GNDパッド上に配置される半田などの導電性接着剤によって下部キャップ110と配線基板102とを接着させてもよく、下部キャップとGNDパッドとを導電ペーストで電気的に接続してもよい。
【0058】
図14は、本発明の第4の実施形態に係る別の加速度センサデバイス1400の概略構成を示す、加速度センサデバイス1400の上から見た透視図の一例である。図15は、図14に示す加速度センサデバイス1400のA−A線に沿った断面図である。図14及び図15に示す加速度センサデバイス1400において、図12及び図13に示した加速度センサデバイス1200と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0059】
図14及び図15に示す加速度センサデバイス1400は、GNDパッド1402を有する配線基板102、配線基板102上に配置されたセンサパッケージ1401、センサパッケージを覆うIC1202を含む。センサパッケージ1401は、センサ106、センサ106とIC1202とを接続するバンプ1410を含む。IC1202は、パッド1406a、1406b、1416、及び、パッド1406aとパッド1416とを電気的に接続する貫通電極1412を含む。IC1202は、所定の間隔をもってセンサ106の可動部106dを覆い、センサ106の可動部106dの上方向への過大な変位を制限し、可動部106dの破損を防止する。GNDパッド1402とパッド1406aとは、配線1404によって電気的に接続される。加速度センサデバイス1400において、センサ106とIC1202とはバンプ1410によって接続されており、センサ106からの信号はバンプ1410、バンプ1410に接続されたパッド(図示せず)、IC1202に形成されて、該パッドに接続された貫通電極(図示せず)、及び該貫通電極に接続されたパッド1406bを介してIC1202に伝達される。
【0060】
図14及び図15に示す加速度センサデバイス1400において、配線基板102上に配置されたGNDパッド1402とIC1202上に配置されたパッド1406aとを配線1404によって電気に接続することによって、IC1202のGNDに接続することが可能となる。さらに、パッド1406aとIC1202のパッド1406aが配置されている側とは反対側に配置され、センサ106と電気的に接続しているバンプ1410に接続するパッド1416とを貫通電極1412によって電気的に接続することにより、基板102及びIC1202のGNDをセンサ106のGNDに接続する。また、センサ106のGNDと接続しているバンプ1418とIC1202に配置されたパッド1414とを電気的に接続することにより、IC1202のDIEの電位をGND電位にしてもよい。これによって、センサパッケージ1401に外部から静電気を帯びた帯電物が近づいても、IC1202に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。IC1202が帯電しにくくなることで、センサ106の可動部106dが上部キャップ108に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。
【0061】
上述したように、センサ106からの信号は、センサ106に接続するバンプ1410と電気的に接続されたパッド(図示せず)と、そのパッドとIC1202に配置されたパッド1406bとを電気的に接続する貫通電極(図示せず)とを介して、IC1202に伝達される。IC1202からの信号は、ICに配置されたパッド122、パッド122に接続された配線124及び配線124に接続され、基板102に配置されたパッド126を介して基板102に伝達される。
【0062】
図14及び図15に示す加速度センサデバイス1400には図示しないが、センサパッケージ1401は、センサ106の可動部106dと所定の間隔をもって配置される下部キャップ110を含んでもよい。基板102とセンサ106との間に配置された下部キャップ110を含む場合は、配線基板102に別途GNDパッドを設けて、下部キャップ110と電気的に接続して、下部キャップ110の電位をGND電位にしてもよい。下部キャップ110と配線基板102に別途設けられるGNDパッドとの接続方法としては、GNDパッド上に配置される半田などの導電性接着剤によって下部キャップ110と配線基板102とを接着させてもよく、若しくは、下部キャップとGNDパッドとを導電ペーストで電気的に接続してもよい。また、GND電位となっているIC1202と下部キャップ110とを導電ペーストによって電気的に接続して、下部キャップ110の電位をGND電位にしてもよい。
【0063】
図16は、本発明の第4の実施形態に係るさらに別の加速度センサデバイス1600の概略構成を示す、加速度センサデバイス1600の上から見た透視図の一例である。図17は、図16に示す加速度センサデバイス1600のA−A線に沿った断面図である。図16及び図17に示す加速度センサデバイス1700において、図14及び図15に示した加速度センサデバイス1400と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0064】
図16及び図17に示す加速度センサデバイス1600は、GNDパッド1402を有する配線基板102、配線基板102上に配置されたセンサパッケージ1601、センサパッケージ1601を覆うIC1202を含む。センサパッケージ1601は、センサ106、センサ106とIC1202とを接続するバンプ1612、1616、及びGNDパッド1402上に配置されて、GNDパッド1402とIC1202とを接続する導電ペースト1602を含む。導電ペースト1602は、Au、Ag、Pd、Ni、Cu、Sn、AgコートCu、シリコーン系導電性ペーストや、n、Sn−Pb系、Sn−Ag系、Sn−Zn系、Bi系、Sn−Ag−Cu系の半田などであってもよい。尚、加速度センサデバイス1600において、センサ106とIC1202とはバンプ1612、1616によってフリップチップ(FC)接続されている。センサ106からの信号は、センサ106の固定部106c上に配置されたバンプ1612とIC1202に配置されたパッド1610とを介してIC1202に伝達されてもよい。IC1202からの信号は、IC1202のパッド1614とパッド1614に接続するバンプ1616によって、センサ106に伝達される。センサ106に伝達された信号は、センサ106の固定部106c上に形成された配線(図示せず)とその配線に接続して、センサ106の固定部106c上に配置されたパッド1608とパッド1608に接続する配線1606と配線1606に接続し、基板102上に配置されたパッド1604とを介して、基板102に伝達される。また、図示はしないが、IC1202からの信号は、IC1202に貫通電極を設けて、IC1202のDIE側から配線を介して基板102に伝達されてもよい。
【0065】
図16及び図17に示す加速度センサデバイス1600において、導電ペースト1602によって、GNDパッド1402とIC1202とを電気的に接続することによって、IC1202のDIEの電位をGND電位にすることが可能となる。これによって、センサパッケージ1401に外部から静電気を帯びた帯電物が近づいても、IC1202に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。IC1202が帯電しにくくなることで、センサ106の可動部106dが上部キャップ108に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。さらに、導電ペースト1602とセンサ106の固定部106cとを接続して、センサ106の固定部106cの電位をGND電位にしてもよい。
【0066】
図16及び図17に示す加速度センサデバイス1600には図示しないが、センサパッケージ1601は、基板102とセンサ106との間に配置され、センサ106の可動部106dと所定の間隔をもって配置される下部キャップ110を含んでもよい。基板102とセンサ106との間に配置された下部キャップ110を含む場合は、導電ペースト1602によってGNDパッド1402と下部キャップ110とを接続して、下部キャップ110をGND電位にしてもよい。
【0067】
(実施形態5)
本発明の第5の実施形態に係る加速度センサデバイス1800の概略構成について、図18を参照して説明する。図18は、本発明の第5の実施形態に係る加速度センサデバイス1800の断面図である。図18に示す加速度センサデバイス1800において、図1Aに示した加速度センサデバイス100と同一又は類似の要素については同一に参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0068】
図18に示す加速度センサデバイス1800は、配線基板102、封止キャップ1802、配線基板102と封止キャップ1802とで形成された中空空間に配置されたIC104及びセンサパッケージ1806を含む。センサパッケージ1806は、センサ106、センサ106の可動部106dを覆い、可動部106dの上下方向への動きをそれぞれ制限する上部キャップ108及び下部キャップ110を含む。さらに、封止キャップ1802は、その内側をシールドするシールド膜1804が配置されている。封止キャップ1802は、プラスチック、セラミックなどを用いることできる。
【0069】
シールド膜1804は、導電性膜であればよく、例えば、Al、Al−Si、Cr、Ni、Cu、Au、TiN、In、Pt、Ta、W、Ru、Fe、Zn、Mo、Co、TiW、Zr、Fe−Ni、ITO、Y、Nb、Ag、Hf、Ir、Mg、Pd、Sn、V、Geなどの金属であってもよく、これらの合金であってもよい。また、C、Siや導電性樹脂であってもよい。シールド膜1804は、湿気の浸入を防止するために、金属で形成されることが好ましい。シールド膜1804は、上述の材料を用いて、単層で形成されてもよく、多層で形成されてもよい。シールド膜1804は、封止キャップ1802の製造工程において、封止キャップ1802上にスパッタ、蒸着、CVD、金属塗布法などによって形成されてもよい。
【0070】
シールド膜1804でシールドされた封止キャップ1802を、シールド膜1804を内側にして、配線基板102と接着してセンサパッケージ1806を密封することによって、加速度センサデバイス1800の外側から静電気を帯びた帯電物を近づけても、シールド膜1804によって、帯電物の静電気が遮蔽されて、センサパッケージ1806の上部キャップ108に電荷が溜まりにくくなり、帯電しにくくなる。上部キャップ108が帯電しにくくなることで、センサ106の錘部106aが上部キャップ108に引っ張られて動くことを防止することが可能となり、加速度センサデバイスの信頼性を向上させることが可能となる。また、封止キャップ1802がプラスチックである場合には、シールド膜1804を配置することで、防湿効果を上げることができる。
【0071】
尚、図示はしないが、加速度センサデバイス1800において、シールド膜1804を封止キャップ1802の外部まで延在させて、外部に設けられたGND電極と接続し、シールド膜1804の電位をGNDにしてもよい。シールド膜1804の電位をGNDにすることで、加速度センサデバイス1800の外側から静電気を帯びた帯電物を近づけても、GND電位を有するシールド膜1804によって、センサパッケージ1806の上部キャップ108が静電気の影響を受けにくくなる。上部キャップ108が静電気の影響を受けないことで、センサ106の可動部が上部キャップ108に引っ張られて動くことを防止することが可能となる。
【0072】
本実施形態では、シールド膜1804が封止キャップ1802の内側に配置された例を挙げて説明したが、シールド膜1804の配置はこれに限定されない。シールド膜1804は、センサパッケージ1806をシールドしていればよく、封止キャップ1802の外側に配置されてもよく、封止キャップ1802及び配線基板102の外側を全体的にくるむように配置されてもよい。また、シールド膜1804は、封止キャップ1802の内側及び外側の両方に配置されてもよい。
【0073】
(実施例)
以下、本発明の加速度センサデバイスについて実施例を参照して、より詳細に説明する。本発明の加速度センサデバイスに静電気を帯びた帯電物を近づけた際のオフセット電圧の測定について説明する。
【0074】
先ず、ソケットに入れた3.5mm×3.5mm、厚さ1mmのピエゾ抵抗を検出素子とする加速度センサパッケージAを静止状態にしてオフセット電圧を測定した。加速度センサパッケージAに含まれるセンサの可動部はシリコン製の上部キャップ及び下部キャップに覆われたものを使用した。この際、X軸、Y軸、Z軸について、0G、0G、1Gにおけるオフセット電圧を測定した。このとき測定されたオフセット電圧を基準オフセット電圧とする。
【0075】
次に、この加速度センサパッケージAを測定用プリント基板に鉛フリー半田を介して実装した。不織布に20回程度こすりつけて帯電させたアクリル樹脂板を加速度センサパッケージAに1mm程度まで近づけ、測定用プリント基板上に配置された測定ピンを使用して、最大のオフセット電圧を測定した。この結果、加速度センサパッケージAの測定されたオフセット電圧と基準オフセット電圧との差は3.2mVであった。
【0076】
次に、加速度センサパッケージに含まれるセンサの可動部を覆う上部キャップをGND電位としたサンプルを作成し、このサンプルを加速度センサパッケージBとした。加速度センサパッケージBにおいて、上部キャップは、図2(b)に示した本発明の第1の実施形態に係る加速度センサデバイスと同様に、センサの固定部に配置されたGNDパッド上にバンプ及び導電ペーストを配置して、GNDパッドと上部キャップとを電気的に接続して、上部キャップをGND電位とした。導電ペーストとしては、Agペーストを使用した。加速度センサデバイスパッケージBは、加速度センサパッケージAと同様に、3.5mm×3.5mm、厚さ1mmであり、鉛フリー半田を介して測定用プリント基板に実装した。不織布に20回程度こすりつけて帯電させたアクリル樹脂板を加速度センサパッケージBに1mm程度まで近づけ、測定用プリント基板上に配置された測定ピンを使用して、最大のオフセット電圧を測定した。この結果、加速度センサパッケージBの測定されたオフセット電圧と加速度センサパッケージAの基準オフセット電圧との差は1.2mVであった。
【0077】
次に、加速度センサパッケージに含まれるセンサの可動部を覆う上部キャップ及び下部キャップをGND電位としたサンプルを作成し、このサンプルを加速度センサパッケージCとした。加速度センサパッケージCにおいて、上部キャップ及び下部キャップは、図4(b)に示した本発明の第1の実施形態に係る加速度センサデバイスと同様に、センサの固定部に配置されたGNDパッド上にバンプ及び導電ペーストを配置して、GNDパッドと上部キャップとを電気的に接続して、上部キャップをGND電位とし、上部キャップと下部キャップとを導電ペーストで接続して下部キャップをGND電位とした。導電ペーストとしては、Agペーストを使用した。加速度センサデバイスパッケージCは、加速度センサパッケージA及びBと同様に、3.5mm×3.5mm、厚さ1mmであり、鉛フリー半田を介して測定用プリント基板に実装した。不織布に20回程度こすりつけて帯電させたアクリル樹脂板を加速度センサパッケージCに1mm程度まで近づけ、測定用プリント基板上に配置された測定ピンを使用して、最大のオフセット電圧を測定した。この結果、加速度センサパッケージCの測定されたオフセット電圧と加速度センサパッケージAの基準オフセット電圧との差は0.6mVであった。
【0078】
上述の測定結果を参照すると、加速度センサパッケージに静電気を帯びた帯電物が近づいても、センサの可動部を覆う上部キャップ、又は上部キャップ及び下部キャップの電位をGNDにすることによって、センサの可動部が上部キャップ、又は上部キャップ及び下部キャップに引っ張られて動くことを低減でき、装置の信頼性を向上させることが可能であることが分かる。
【符号の説明】
【0079】
100 加速度センサデバイス
102 配線基板
104 IC
105 センサパッケージ
108 上部キャップ
110 下部キャップ
112 GNDパッド
114 導電ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部及び可動部を有するMEMS素子と、
所定の間隔をもって前記可動部を覆い、前記固定部で前記MEMS素子と固定された第1キャップと、
前記第1キャップと導電部材により電気的に接続され、前記固定部上に配置され、且つグランド電位が供給される第1グランドパッドとを備えたMEMSデバイス。
【請求項2】
前記可動部と所定の間隔をもって配置され、前記固定部の前記第1キャップの固定側とは反対側で前記MEMS素子と固定される第2キャップとを更に備えた請求項1に記載のMEMSデバイス
【請求項3】
前記第1キャップと前記第2キャップとは、導電部材により電気的に接続されている請求項2に記載のMEMSデバイス。
【請求項4】
グランド電位が供給される第2グランドパッドを備えるICを更に備え、
前記IC上に前記第2キャップが配置され、
前記第2キャップは前記第2グランドパッドと導電部材により電気的に接続される請求項2又は3に記載のMEMSデバイス。
【請求項5】
前記第2キャップと導電部材によって電気的に接続され、前記固定部上に配置され、且つグランド電位が供給される第2グランドパッドとを更に備えた請求項2に記載のMEMSデバイス。
【請求項6】
固定部及び可動部を有するMEMS素子と、
所定の間隔をもって前記可動部を覆い、前記固定部上で前記MEMS素子と固定されたICと、
前記ICと導電部材により電気的に接続され、前記固定部上に配置され、且つグランド電位が供給される第1グランドパッドとを備えたMEMSデバイス。
【請求項7】
グランド電位が供給される第1グランドパッドを備えた基板と、
前記基板上に配置されて、固定部及び可動部を有するMEMS素子と、
所定の間隔をもって前記可動部を覆い、前記固定部上で前記MEMS素子と固定され、前記第1グランドパッドと導電性部材によって電気的に接続されるICとを備えたMEMSデバイス。
【請求項8】
基板と、
前記基板に固定され、前記基板とともに中空空間を形成する封止キャップと、
前記中空空間内に配置されたIC及びMEMS素子と、を備え、
前記封止キャップの内側及び外側の少なくともいずれか一方に導電性膜が配置されたことを特徴とするMEMSデバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−242223(P2012−242223A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111768(P2011−111768)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】