説明

MTP阻害性テトラヒドロ−ナフタレン−1−カルボン酸誘導体

【化1】


本発明は、アポB分泌/MTP阻害活性および付随する脂質低下活性を有する新規なテトラヒドロ−ナフタレン−1−カルボン酸誘導体に関する。本発明は、更に、前記化合物の製造方法、前記化合物を含有させた製薬学的組成物ばかりでなく前記化合物をアテローム性動脈硬化症、膵炎、肥満症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高脂血症、糖尿病および2型糖尿病を治療するための薬剤として用いることにも関する。式(I)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アポB分泌/MTP阻害活性および付随する脂質低下活性を有する新規なテトラヒドロ−ナフタレン−1−カルボン酸誘導体に関する。本発明は、更に、前記化合物の製造方法、前記化合物を含有させた製薬学的組成物ばかりでなく前記化合物をアテローム性動脈硬化症、膵炎、肥満症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高脂血症、糖尿病および2型糖尿病を治療するための薬剤として用いることにも関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症は、成人発症型糖尿病および心臓病の如き無数の重大な健康問題の原因である。加うるに、人口が増える中で減量が強迫観念になってきている。
【0003】
今日では、高コレステロール血症、特に低密度リポ蛋白質(本明細書では以降LDLと呼ぶ)および超低密度リポ蛋白質(本明細書では以降VLDLと呼ぶ)の血漿中濃度増加に関連した高コレステロール血症と早期アテローム性動脈硬化症および/または心臓血管病の間の因果関係は幅広く認識されている。しかしながら、高脂血症の治療で現在利用できる薬剤の数は限られている。
【0004】
高脂血症の管理で主に用いられる薬剤には、胆汁酸抑制用樹脂、例えばコレスチラミンおよびコレスチポールなど、フィブリン酸誘導体、例えばベザフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、シプロフィブラートおよびゲムフィブロジルなど、ニコチン酸およびコレステロール合成阻害剤、例えばHMG補酵素A還元酵素阻害剤などが含まれる。向上した効力を示しそして/または上述した薬剤が示す作用機構以外の機構で作用する新規な脂質低下薬がまだ必要とされているままである。
【0005】
血漿リポ蛋白質は、脂質(コレステロール、トリグリセリド、燐脂質)とアポリポ蛋白質から生じる高分子量の水溶性複合体である。脂質の比率およびアポリポ蛋白質の種類の点で異なる主要な5種類のリポ蛋白質(全部が肝臓および/または腸の中を源とする)はそれらの密度(超遠心分離によって測定)に従って定義されている。それらには、LDL、VLDL、中間的密度のリポ蛋白質(本明細書では以降IDLと呼ぶ)、高密度リポ蛋白質(本明細書では以降HDLと呼ぶ)およびカイロミクロンが含まれる。10種類の主要なヒト血漿アポリポ蛋白質が同定された。肝臓から分泌されかつアポリポ蛋白質B(本明細書では以降アポ−Bと呼ぶ)を含有するVLDLは減成を起こしてLDLになり、これが全血清中コレステロールの60から70%を輸送する。アポ−BはまたLDLの主蛋白質成分でもある。過剰合成または代謝低下が理由で血清中のLDL−コレステロールが増加することが因果的にアテローム性動脈硬化症と関連している。対照的に、アポリポ蛋白質A1を含有する高密度リポ蛋白質(本明細書では以降HDLと呼ぶ)は保護効果を示し、冠状動脈性心臓病の危険性と逆相関関係にある。このように、HDL/LDL比は、個人の血漿中脂質プロファイルの動脈硬化可能性を評価する便利な方法である。
【0006】
ヒトリポ蛋白質代謝にとってアポリポ蛋白質(アポ)Bの2種類のアイソフォーム、即ちアポB−48およびアポB−100が重要な蛋白質である。ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲルを基にしてアポB−48の大きさはアポB−100の約48%であり、これはヒトの腸で合成される。アポB−48はカイロミクロンの集合に必要であり、従って、腸による食物脂肪吸収で必須な役割を果たす。アポB−100はヒトの肝臓内で産生され、これはVLDLの合成および分泌にとって必要である。LDLはヒト血漿中コレステロールの約2/3を含有し、VLDLの代謝産物である。アポB−100は実質的にLDLのただ1つの蛋白質成分である。血漿中のアポB−100およびLDLコレス
テロールの濃度が高くなることがアテローム性動脈硬化性冠動脈疾患を発症する危険因子であると認識されている。
【0007】
多数の遺伝的および後天性疾患の結果として高脂血症になり得る。それらは一次性および二次性高脂血症状態に分類分け可能である。二次性高脂血症の最も一般的な病因は、糖尿病、アルコール中毒、薬剤、甲状腺機能低下症、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、胆汁うっ滞および過食症である。一次性高脂血症は、また、一般的高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症、家族性高コレステロール血症、レムナント様高脂血症、乳糜血症症候群および家族性高トリグリセリド血症に分類分けされている。
【0008】
ミクロゾームトリグリセリド転移蛋白質(本明細書では以降MTPと呼ぶ)がトリグリセリド、コレステリルエステルおよび燐脂肪、例えばホスファチジルコリンなどの輸送に触媒作用を及ぼすことが知られている。このことは、アポB含有リポ蛋白質、例えばカイロミクロンおよびVLDL、即ちLDLの前駆体などの合成にMTPが必要であることを示している。従って、その結果、MTP阻害剤はVLDLおよびLDLの合成を阻害することでヒト中のVLDL、LDL、コレステロールおよびトリグリセリド濃度を低くするであろう。MTPを阻害し得る化合物は、肥満症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症などの如き障害の治療および食後の血清中トリグリセリド血漿濃度を低下させるに有用であると考えている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一群のテトラヒドロ−ナフタレン−1−カルボン酸誘導体がアポB分泌/MTP阻害活性を有することを予想外に見いだしたことが基になっている。そのような式(I)で表される化合物は全身的および/または選択的MTP阻害剤として作用する能力を有する、即ち哺乳動物の腸壁のレベルでMTPを選択的に阻害する能力を有する。
【0010】
本発明は、式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、
Aは、−CH−または−(C=O)−であり、
Xは、
【0013】
【化2】

【0014】
を表し、
nは、2または3の整数であり、
は、水素またはC1−4アルキルであり、
は、水素またはC1−4アルキルであり、
は、NRまたはORであり、かつ
各RおよびRは、独立して、
水素、
1−8アルキル、
各々がハロ、シアノ、C3−8シクロアルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、ポリハロC1−4アルキル、ヒドロキシカルボニル、−OR10、−NR1011、−CONR1213、アリール、多環式アリールまたはヘテロアリールから互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているC1−8アルキル、
3−8シクロアルキル、
3−8シクロアルケニル、
3−8アルケニル、
3−8アルキニル、
アリール、
多環式アリール、
ヘテロアリール、
から選択されるか、或は
とRがRとRを持つ窒素原子と一緒になってアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アゼパニルまたはアゾカニル環を形成していてもよく、かつ前記環は各々が場合により各々がC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、かつ
10は、水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリール、多環式アリールまたはヘテロアリールであり、
11は、水素またはC1−4アルキルであり、
12は、水素、C1−4アルキルまたはフェニルであり、
13は、水素、C1−4アルキルまたはフェニルであり、
は、
1−8アルキル、
各々がハロ、シアノ、C3−8シクロアルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、ポリハロC1−4アルキル、ヒドロキシカルボニル、−OR10、−NR1011、−CONR1213、アリール、多環式アリールまたはヘテロアリールから互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているC1−8アルキル、
3−8シクロアルキル、
3−8シクロアルケニル、
3−8アルケニル、
3−8アルキニル、
アリール、
多環式アリール、
ヘテロアリール、
であり、かつ
アリールは、フェニル;各々がC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキル、メチルスルホニルアミノ、メチルスルホニル、NR1011、C1−4アルキルNR1011、CONR1213またはC1−4アルキルCONR1213から独立して選択される1から5個の置換基で置換されているフェニルであり、
多環式アリールは、ナフタレニル、インダニル、フルオレニルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニルであり、かつ前記多環式アリールは場合により各々がC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、フェニル、ハロ、シアノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキル、NR1011、C1−4アルキルNR1011、CONR1213、C1−4アルキルCONR1213またはC1−4アルキルオキシカルボニルアミノから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、そして
ヘテロアリールは、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、フラニル、チエニル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、インドリル、2,3−ジヒドロ−1H−インドリル、1H−ベンゾイミダゾリルであり、かつ前記ヘテロアリールは場合により各々がC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、フェニル、ハロ、シアノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキル、NR1011、C1−4アルキルNR1011、CONR1213またはC1−4アルキルCONR1213から独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、
2a、R2bおよびR2cは、互いに独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1−4アルキル、ポリハロC1−4アルキルオキシまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択され、
3a、R3bおよびR3cは、互いに独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1−4アルキル、ポリハロC1−4アルキルオキシまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択され、
は、フェニル;各々がC1−4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1−4アルキル、ポリハロC1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルカルボニル、スルファモイル、複素環式基、または場合により各々がC1−4アルキル、ハロ、C1−4アルキルオキシまたはトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルから独立して選択される1、2、3または5個の置換基で置換されているフェニル;または
ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フラニルおよびチエニルから成る群より選択されるヘテロアリールであり、かつ前記ヘテロアリールは各々が場合により各々がC1−4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシ、オキソ、シアノ、ポリハロC1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニルまたは複素環式基から独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、かつ
複素環式基は、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゼパニルおよびアゾカニルから選択され、かつこれは場合により各々がC1−4アルキルまたはハロから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよい]
で表される新規な化合物、これらの製薬学的に許容される酸付加塩、N−オキサイドおよび立体化学異性体形態物のファミリーに関する。
【0015】
この上の定義で用いた如き、
ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称であり、
1−4アルキルは、炭素原子数が1から4の直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチル−エチル、2−メチルプロピルなどを定義するものであり、
1−6アルキルは、これにC1−4アルキルおよび炭素原子数が5または6の高級同族体、例えば2−メチルブチル、ペンチル、ヘキシルなどを包含させることを意味し、
1−8アルキルは、これにC1−6アルキルおよび炭素原子数が7から8の高級同族体、例えばヘプチル、エチルヘキシル、オクチルなどを包含させることを意味し、
ポリハロC1−4アルキルは、ポリハロ置換C1−4アルキル、特に1から4個のハロゲン原子で置換されているC1−4アルキル(本明細書の上で定義した如き)、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルなどであると定義し、
3−8シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルの総称であり、
3−8シクロアルケニルは、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルの総称であり、
3−8アルケニルは、二重結合を1個含有する炭素原子数が3から8の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、3−ヘキセニル、2−ヘキセニル、2−ペンテニル、2−オクテニルなどを定義するものであり、
3−8アルキニルは、三重結合を1個含有する炭素原子数が3から8の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えば2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、3−メチル−2−ブチニル、3−ヘキシニル、2−ヘキシニル、2−ペンチニル、2−オクチニルなどを定義するものである。
【0016】
本明細書の上に記述した如き製薬学的に許容される酸付加塩は、これに前記式(I)で表される化合物が形成し得る製薬学的に有効な無毒の酸付加塩形態物を包含させることを意味する。そのような製薬学的に許容される酸付加塩は、便利に、塩基形態物をそのような適切な酸で処理することで得ることができる。適切な酸には、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸など、硫酸、硝酸、燐酸など、または有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、しゅう酸(即ちエタン二酸)、マロン酸、こはく酸(即ちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などが含まれる。
【0017】
逆に、前記塩形態物を適切な塩基で処理することで遊離塩基形態物に変化させることができる。
【0018】
前記式(I)で表される化合物は非溶媒和および溶媒和形態の両方で存在し得る。用語「溶媒和物」を本明細書では本発明の化合物を含有しかつ1種以上の製薬学的に許容される溶媒分子、例えばエタノールなどを含有して成る分子複合体を記述する目的で用いる。
前記溶媒が水の時には用語「水化物」を用いる。
【0019】
式(I)に従う化合物のN−オキサイド形態物は、これに1または数個の窒素原子が酸化されていわゆるN−オキサイドになっている式(I)で表される化合物、特に1個以上の第三級窒素(例えばピペラジニルまたはピペリジニル基の)がN−酸化されたN−オキサイドを包含させることを意味する。技術者はそのようなN−オキサイドを独創的な技術を全く用いることなく容易に得ることができ、そしてそれらは式(I)に従う化合物の明らかな代替物である、と言うのは、そのような化合物はヒトの体内に吸収されて酸化させることによって生じる代謝産物であるからである。一般に公知のように、酸化は通常は薬剤代謝に関係する1番目の段階である(Textbook of Organic Medicinal and Pharmaceutical Chemistry、1977、70−75頁)。また一般に公知のように、ある化合物の代謝産物形態物を当該化合物自体の代わりにヒトに投与することでもほぼ同じ効果を得ることができる。
【0020】
式(I)で表される化合物から相当するN−オキサイド形態物への変換は、三価の窒素をN−オキサイド形態に変化させるに適することが当該技術分野で知られている手順に従って実施可能である。前記N−オキサイド化反応は、一般に、式(I)で表される化合物を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることで実施可能である。適切な無機過酸化物には、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムなどが含まれ、適切な有機過酸化物には、ペルオキシ酸、例えば過安息香酸またはハロ置換過安息香酸、例えば3−クロロ過安息香酸など、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸など、アルキルヒドロパーオキサイド、例えばt−ブチルヒドロパーオキサイドなどが含まれ得る。適切な溶媒は、例えば水、低級アルカノール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエンなど、ケトン、例えば2−ブタノンなど、ハロゲン置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど、そしてそのような溶媒の混合物である。
【0021】
本明細書の上で用いた如き用語「立体化学異性体形態物」は、前記式(I)で表される化合物が取り得る可能な異性体形態物の全部を定義するものである。特に記述も指示もしない限り、化合物の化学的表示は可能なあらゆる立体化学異性体形態物の混合物を表し、前記混合物は基本的分子構造を有するあらゆるジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。より詳細には、立体中心はR配置またはS配置を取り得、二価の環式(部分的)飽和基上の置換基はシス配置またはトランス配置のいずれかを取り得る。二重結合を含有する化合物は前記二重結合の所でE立体化学またはZ立体化学を取り得る。前記式(I)で表される化合物の立体化学異性体形態物は明らかに本発明の範囲内に包含されることを意図する。
【0022】
当業者は良く知られた方法、例えばX線回折などを用いることで前記式(I)で表される化合物およびこれらの製造で用いる中間体が有する絶対的立体化学配置を容易に決定することができるであろう。
【0023】
式(I)で表される化合物は、以下に例示するように、不斉炭素原子を少なくとも2個有し、ここでは、その不斉炭素原子をで識別する。
【0024】
【化3】

【0025】
用語「式(I)で表される化合物」は、そのように不斉炭素原子が少なくとも2個存在することから、一般に、4種類の立体異性体の混合物を包含する。本発明の大部分の化合物の調製をトランス配置またはシス配置のいずれかで実施した:
【0026】
【化4】

【0027】
【化5】

【0028】
この上に示した「シス」または「トランス」化合物は各々が2種類の鏡像異性体のラセミ混合物で構成され、そのような相対的立体化学配置を示す目的で太い結合または細い結合を用いた。
【0029】
「シス」または「トランス」化合物を個々の2種類の鏡像異性体に分離する場合、その化合物が単一の鏡像異性体であることを示す目的でくさび形結合を太い結合および細い結合の代わりに用いた。単一の鏡像異性体が有する特定のキラル炭素原子の絶対的立体化学が未知の場合には、それの立体化学配置を相対的立体化学を示すRまたはSとして表示した。
【0030】
【化6】

【0031】
その上、式(I)で表される数種の化合物およびこれらの調製で用いる中間体の数種は多形性を示す可能性もある。本発明は本明細書の上に示した疾患の治療で用いるに有用な特性を有する多形体のいずれも包含すると理解されるべきである。
【0032】
前記式(I)で表される化合物の数種は互変異性形態でも存在し得る。そのような形態を前記式に明らかには示さなかったが、それらも本発明の範囲内に包含させることを意図する。例えば芳香複素環式環がヒドロキシで置換されている場合、ケト形態物が主に存在する互変異性体であり得る。
【0033】
本出願の構成において、表現「本発明に従う化合物」は、これにまた一般式(I)に従う化合物およびこれのプロドラッグまたは同位体標識付き化合物も包含させることを意味する。
【0034】
また、前記式(I)で表される化合物のいわゆる「プロドラッグ」も本発明の範囲内である。プロドラッグは、それ自身はほとんどか或は全く薬理学的活性を持たない可能性があるが体の中または上に投与された時に所望の製薬学的活性を示す式(I)で表される化合物に変化、例えば加水分解による開裂などで変化し得る製薬学的に有効な化合物の特定の誘導体である。そのような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。
【0035】
本出願の構成において、本発明に従う化合物にこれの化学的元素の同位元素組み合わせの全部を包含させることを本質的に意図する。本出願の構成において、化学的元素を特に式(I)に従う化合物に関して述べる場合、これにそのような元素の同位元素および同位元素混合物の全部をそれらが天然に存在するか或は合成で生じさせたものであるかに拘わらずかつ天然に豊富に存在するか或は同位元素が豊富に存在する形態であるかに拘わらず包含させる。詳細には、水素を記述する場合のそれはH、H、Hおよびこれらの混合物を指すと理解し、炭素を記述する場合のそれは11C、12C、13C、14Cおよびこれらの混合物を指すと理解し、窒素を記述する場合のそれは13N、14N、15Nおよびこれらの混合物を指すと理解し、酸素を記述する場合のそれは14O、15O、16O、17O、18Oおよびこれらの混合物を指すと理解し、そしてフッ素を記述する場合のそれは18F、19Fおよびこれらの混合物を指すと理解する。
【0036】
従って、本発明に従う化合物には、本質的に、1個以上の元素の1種以上の同位元素を有する化合物およびこれらの混合物が含まれ、それらには、1個以上の非放射性原子がそれの放射性同位元素の中の1種に置き換わっている放射性化合物(また放射能標識付き化合物とも呼ぶ)が含まれる。用語「放射能標識付き化合物」は、放射性原子を少なくとも1個含有する式(I)に従う化合物、これの製薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、N−オキサイド形態物または第四級アンモニウム塩のいずれかを意味する。例えば、化合物に陽電子またはガンマ線放射性同位元素による標識を付けることができる。放射性リガンド結合技術(膜受容体検定)では、H原子または125I原子が置き換えで選択される原子である。画像形成の場合に最も通常用いられる陽電子放出(PET)放射性同位元素は11C、18F、15Oおよび13Nであり、これらの発生は全部加速機を用いて行われ、そしてそれらが示す半減期はそれぞれ20、100、2および10分である。そのような放射性同位元素が示す半減期は非常に短いことから、それらを用いることができるのはそれらを発生させる場所に加速機が備わっている施設のみであり、従って、それらの使用は限定される。それらの中で最も幅広く用いられているのは18F、99mTc、201TIおよび123Iである。そのような放射性同位元素の取り扱い、それらの発生、単離および分子内への取り込みは当業者に公知である。
【0037】
そのような放射性原子を特に水素、炭素、窒素、硫黄、酸素およびハロゲンの群から選択する。その放射性原子を好適には水素、炭素およびハロゲンの群から選択する。
【0038】
そのような放射性同位元素を特にH、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brの群から選択する。その放射性同位元素を好適にはH、11Cおよび18Fの群から選択する。
【0039】
1つの態様において、本発明は、Aが−(C=O)−を表し、RがORでありかつRがC1−6アルキルまたはC3−8アルケニルであり、R2a、R3a、R2b、R3b、R2cおよびR3cが水素であり、Rがフェニル、C1−4アルキルオキシ置換フェニル、ハロ置換フェニル、ヒドロキシ置換ピリジニルまたはC1−4アルキルオキシ置換ピリジニルを表しそしてXが基(a−1)を表しかつRが水素でありそしてRが水素またはC1−4アルキルである式(I)で表される化合物に関する。
【0040】
興味も持たれる式(I)で表される化合物は、下記の制限の中の1つ以上が当てはまる式(I)で表される化合物である:
a)Xが基(a−1)を表しかつnが2であるか、或は
b)Xが基(a−1)を表しかつnが3であるか、或は
c)Xが基(a−2)を表すか、或は
d)Xが基(a−4)を表すか、或は
e)Xが基(a−5)を表すか、或は
f)R2a=R3a、R2b=R3bおよびR2c=R3c、特にR2a=R3a=H、R2b=R3b=HおよびR2c=R3c=Hであるか、或は
g)Aが−(C=O)−であるか、或は
h)Aが−CH−であるか、或は
i)RがNRでありかつ各RおよびRが独立して水素;C1−8アルキル;各々がヒドロキシ、C1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、NR1011、CONR1213、アリールまたはヘテロアリールから互いに独立して選択される1または2個の置換基で置換されているC1−8アルキル;またはアリールから選択されるか、或は
j)RがNRでありかつRとRがRとRを持つ窒素と一緒になってピロリジニルまたはピペリジニル環を形成しておりかつ前記環の各々が場合により各々がC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニルまたはC
−4アルキルオキシカルボニルから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよいか、或は
k)RがORでありかつRがC1−8アルキルまたはC3−8アルケニルであるか、或は
l)Rがフェニル;各々がC1−4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシまたはポリハロC1−4アルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているフェニル;または各々が場合によりヒドロキシまたはC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいピリジニルまたはピリダジニルから選択されるヘテロアリールである。
【0041】
一般に、式(I)で表される化合物の調製は、式(II)で表される中間体に式(III)で表されるカルボン酸中間体を用いたNアルキル化を反応に不活性な少なくとも1種の溶媒中で場合により少なくとも1種の適切なカップリング剤および/または適切な塩基を存在させて受けさせることで実施可能であり、この反応に更に場合により式(I)で表される化合物をそれの付加塩に変化させることおよび/またはそれの立体化学異性体形態物を調製することを含めることも可能である。
【0042】
【化7】

【0043】
式(III)で表されるカルボン酸に反応助長剤を有効な量で添加することでそれを活性化させるのが便利であり得る。そのような反応助長剤の非限定例には、カルボニルジイミダゾール、ジイミド、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドなどおよびこれらの機能的誘導体が含まれる。この反応はヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ヘキサフルオロ燐酸ベンゾトリアゾリルオキシトリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウム、ヘキサフルオロ燐酸テトラピロリジノホスホニウム、ヘキサフルオロ燐酸ブロモトリピロリジノホスホニウムまたはこれらの機能的誘導体の如き化合物を有効な量で更に存在させて実施することも可能である。
【0044】
基Aが−(C=O)−を表す式(I)で表される化合物であるとして定義する式(I−a)で表される化合物の調製は、式(V)で表される中間体と式(IV)で表される中間体を反応に不活性な少なくとも1種の溶媒中で場合により少なくとも1種の適切なカップリング剤および/または適切な塩基を存在させて反応させることで実施可能であり、この反応に更に場合により式(I)で表される化合物をそれの付加塩に変化させることおよび/またはそれの立体化学異性体形態物を調製することを含めることも可能である。
【0045】
【化8】

【0046】
式(IV)で表されるカルボン酸に反応助長剤を有効な量で添加することでそれを活性化させるのが便利であり得る。そのような反応助長剤の非限定例には、カルボニルジイミダゾール、ジイミド、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドなどおよびこれらの機能的誘導体が含まれる。キラル的に高純度の式(IV)で表される反応体を用いる場合、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ヘキサフルオロ燐酸ベンゾトリアゾリルオキシトリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウム、ヘキサフルオロ燐酸テトラピロリジノホスホニウム、ヘキサフルオロ燐酸ブロモトリピロリジノホスホニウムまたはこれらの機能的誘導体、例えばD.Hudson、J.Org.Chem.(1988)、53:617に開示されている如き誘導体の如き化合物を有効な量で更に存在させると、前記式(IV)で表される中間体と前記中間体(V)の迅速な反応を鏡像異性体化が起こらないように実施することができる。
【0047】
Aが−CH−を表す式(I)で表される化合物であるとして定義する式(I−b)で表される化合物の調製は、式(V)で表される中間体にWが適切な脱離基、例えばハロ、例えばクロロ、ブロモ、ヨードなどであるか或はある場合にはWがまたスルホニルオキシ基、例えばメタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシなどである反応性脱離基である式(IV−b)で表される中間体を用いたNアルキル化を受けさせることで実施可能である。この反応は反応に不活性な溶媒、例えばアセトニトリル、2−ペンタノール、イソブタノール、ジメチルアセトアミドまたはDMFなど中で場合により適切な塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたはトリエチルアミンなどを存在させて実施可能である。撹拌を行うと反応速度が速くなり得る。この反応は便利に室温から反応混合物の還流温度の範囲の温度で実施可能である。
【0048】
【化9】

【0049】
式(II)で表される中間体の調製は、式(IV)で表される中間体または式(IV−b)で表される中間体とPGが保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルまたはベンジルなどである式(VI)で表される中間体と式(IV)で表されるカルボン酸中間体を反応に不活性な少なくとも1種の溶媒中で場合により少なくとも1種の適切なカップリング剤および/または適切な塩基を存在させて反応させた後に前記保護基PGを除去することで実施可能である。
【0050】
【化10】

【0051】
式(V)で表される中間体の調製は、PGが保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニルまたはベンジルなどである式(VII)で表される中間体と式(III)で表されるカルボン酸中間体を反応に不活性な少なくとも1種の溶媒中で場合により少なくとも1種の適切なカップリング剤および/または適切な塩基を存在させて反応させた後に前記保護基PGを除去することで実施可能である。
【0052】
【化11】

【0053】
がORを表し、R2a=R3a、R2b=R3bおよびR2c=R3cである式(IV)で表される中間体であるとして定義する式(XIII)で表される中間体の調製は以下に概略を示すようにして実施可能である。
【0054】
【化12】

【0055】
式(XV)で表される中間体の調製は以下に概略を示すようにして実施可能である。式(XV)で表される中間体は、RがNRを表す式(IV)で表される中間体である。
【0056】
【化13】

【0057】
式(IV−b)で表される中間体の調製は以下に概略を示すようにして実施可能である。式(IV−b−1)で表される中間体をRがNRを表す式(IV−b)で表される中間体であるとして定義しそして式(IV−b−2)で表される中間体をRがORを表す式(IV−b)で表される中間体であるとして定義する。
【0058】
【化14】

【0059】
置換基R2a、R2b、R2c、R3a、R3b、R3c、R、R、A
およびXが式(I)で表される化合物で定義した通りである式(XVII)で表される中間体からRがNRを表す式(I)で表される化合物であるとして定義する式(I−c)で表される化合物を生じさせる変換は当該技術分野で公知のN−アシル化方法でH−NRを反応体として用いることで実施可能である。
【0060】
【化15】

【0061】
本明細書の上に記述した方法で生じさせる如き式(I)で表される化合物の合成は鏡像異性体のラセミ混合物の形態で実施可能であり、それらを互いに当該技術分野で公知の分割手順に従って分離することができる。そのようにラセミ形態で得た式(I)で表される化合物を適切なキラル酸と反応させることで相当するジアステレオマー塩形態物に変化させてもよい。次に、前記ジアステレオマー塩形態物に分離を例えば選択的もしくは分別結晶化などで受けさせた後、アルカリを用いて鏡像異性体をそれから遊離させる。式(I)で表される化合物の鏡像異性体形態物を分離する代替様式は、キラル固定相を用いた液クロの使用を伴う。また、相当する適切な出発材料の立体化学的に高純度の異性体形態物を用いてそのような立体化学的に高純度の異性体形態物を生じさせることも可能ではあるが、その反応が立体特異的に起こることを条件とする。特定の立体異性体が必要な場合、そのような化合物の合成を好適には立体特異的調製方法を用いて実施する。そのような方法では有利には鏡像異性体的に高純度の出発材料を用いる。
【0062】
式(I)で表される化合物、これらのN−オキサイド形態物、製薬学的に許容される塩および立体化学異性体形態物は、好ましいアポB分泌およびMTP阻害活性を有することに付随して脂質を低下させる活性を有する。従って、式(I)で表される本化合物は薬剤、特に高脂血症、肥満症、アテローム性動脈硬化症または2型糖尿病に苦しんでいる患者を治療する方法で薬剤として用いるに有用である。従って、本化合物は、超低密度リポ蛋白質(VLDL)または低密度リポ蛋白質(LDL)が過剰に存在することによって引き起こされる障害、特に前記VLDLおよびLDLに関連したコレステロールによって引き起こされる障害を治療するための薬剤を製造する目的で使用可能である。特に、本化合物は、高脂血症、肥満症、アテローム性動脈硬化症または2型糖尿病を治療するための薬剤を製造する目的で使用可能である。
【0063】
前記式(I)で表される化合物が示す主な作用機構は、肝細胞および腸上皮細胞内のMTP(ミクロゾームトリグリセリド転移蛋白質)活性を阻害する結果としてVLDLおよびカイロミクロンのそれぞれの産生を減少させることを伴うと思われる。これは高脂血症にとって新規で独創的な方策であり、肝臓によるVLDL産生および腸によるカイロミクロンの産生を減少させることでLDL−コレステロールおよびトリグリセリドを減少させると期待する。
【0064】
多数の遺伝的および後天性疾患の結果として高脂血症になり得る。それらは一次性および二次性高脂血症状態に分類分け可能である。二次性高脂血症の最も一般的な病因は、糖尿病、アルコール中毒、薬剤、甲状腺機能低下症、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、胆汁
うっ滞および過食症である。一次性高脂血症は、一般的高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症、家族性高コレステロール血症、レムナント様高脂血症、乳糜血症症候群、家族性高トリグリセリド血症である。本化合物は、また、肥満症またはアテローム性動脈硬化症、特に冠状動脈性アテローム性動脈硬化症、より一般的にはアテローム性動脈硬化症に関連した障害、例えば虚血性心臓病、末梢血管病、脳血管病などに苦しむ患者を予防または治療する目的でも使用可能である。本化合物はアテローム性動脈硬化症の退縮をもたらしかつアテローム性動脈硬化症の臨床的結果、特に罹患率および死亡率を抑制する能力を有する。
【0065】
前記式(I)で表される化合物がそのような有用性を有することを考慮すると、結果として、本発明は、また、超低密度リポ蛋白質(VLDL)または低密度リポ蛋白質(LDL)が過剰に存在することによって引き起こされる障害、特に前記VLDLおよびLDLに関連したコレステロールによって引き起こされる障害に苦しんでいる温血動物(ヒトを包含)[本明細書で一般的に患者と呼ぶ]を治療する方法も提供する。従って、例えば高脂血症、肥満症、アテローム性動脈硬化症または2型糖尿病などの如き疾患に苦しんでいる患者を救済する治療方法を提供する。
【0066】
腸によって合成されるアポB−48はカイロミクロンの集合に必要であり、従って、腸による食物脂肪吸収で必須な役割を果たす。本発明は、腸壁のレベルでMTPを選択的に阻害する阻害剤として働く化合物を提供する。
【0067】
加うるに、本発明は、少なくとも1種の製薬学的に許容される担体および式(I)で表される化合物を治療的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物も提供する。
【0068】
本発明の製薬学的組成物を調製する時、個々の化合物を有効な量で有効成分として塩基もしくは酸付加塩形態で少なくとも1種の製薬学的に許容される担体との密な混合物として一緒にするが、そのような担体は投与に望まれる製剤の形態に応じて幅広く多様な形態を取り得る。望ましくは、本製薬学的組成物を好適には経口投与、直腸投与、経皮投与または非経口注入に適した単位投薬形態物にする。
【0069】
例えば、本組成物を経口投与形態物として調製する場合、通常の液状製薬学的担体のいずれも使用可能であり、例えば液状の経口用製剤、例えば懸濁液、シロップ、エリキシルおよび溶液などの場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には固体状の製薬学的担体、例えば澱粉、糖、カオリン、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いてもよい。投与が容易なことから錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の製薬学的担体を用いる。非経口注入用組成物の場合の製薬学的担体は主に無菌水を含んで成るが、有効成分の溶解性を向上させる他の材料を含有させることも可能である。例えば、食塩水溶液、グルコース溶液または両方の混合物を含んで成る製薬学的担体を用いて注射可能溶液を調製することができる。また、注射可能な懸濁液の調製も適切な液状担体、懸濁剤などを用いることで実施可能である。経皮投与に適した組成物の場合、その製薬学的担体に場合により浸透向上剤および/または適切な湿潤剤を含めてもよく、それらを場合により皮膚に対して有害な影響を大きな度合ではもたらさない適切な添加剤と低い比率で一緒にしてもよい。そのような添加剤は有効成分を皮膚に投与し易くしそして/または所望組成物の調製に役立つように選択可能である。局所用組成物はいろいろな様式で投与可能であり、例えば経皮パッチ、スポットオン(spot−on)または軟膏などとして投与可能である。式(I)で表される化合物の付加塩は、相当する塩基形態に比べて水への溶解度が高いことから、水性組成物の調製で用いるに明らかにより適する。
【0070】
本発明の製薬学的組成物を投薬単位形態物として構築するのが特に有利である、と言う
のは、その方が投与が容易でありかつ投薬が均一であるからである。本明細書で用いる如き「投薬単位形態物」は、各単位が必要な製薬学的担体と一緒に所望の治療効果をもたらすように計算して前以て決めておいた量の有効成分を含有する単位投薬物として用いるに適した物理的に個々別々の単位を指す。そのような投薬単位形態物の例は錠剤(切り目が入っている錠剤または被覆されている錠剤を包含)、カプセル、ピル、粉末パケット、ウエハース、注射可能溶液もしくは懸濁液、茶サジ1杯、テーブルスプーン1杯など、そしてそれらを複数に分けたものである。
【0071】
本発明の製薬学的組成物を経口投与する場合にそれに持たせる形態は固体状の投与形態、例えば錠剤(飲み込むことができる形態およびかみ砕くことができる形態の両方)、カプセルまたはゲルカップであってもよく、それらの調製は製薬学的に許容される賦形剤および担体および結合剤(例えば前以てゼラチン状にしておいたトウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、充填材(例えばラクトース、微結晶性セルロース、燐酸カルシウムなど)、滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカなど)、崩壊剤(例えばジャガイモ澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウムなど)、湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)などを用いて通常手段で実施可能である。また、そのような錠剤に被覆を当該技術分野で良く知られた方法を用いて受けさせることも可能である。
【0072】
経口投与用液状製剤に持たせる形態は例えば溶液、シロップまたは懸濁液などであってもよいか、或はそれらを使用前に水および/または別の適切な液状担体と混合するに適した乾燥製品として構築することも可能である。そのような液状製剤の調製は場合により他の製薬学的に許容される添加剤、例えば懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは水添植物脂肪)、乳化剤(例えばレシチンおよびアカシア)、非水性担体(例えばアーモンド油、油状エステルまたはエチルアルコール)、甘味剤、香味料、マスキング剤および防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)を用いて通常手段で実施可能である。
【0073】
本発明の製薬学的組成物で用いるに有用な製薬学的に受け入れられる甘味剤に、好適には、少なくとも1種の強力甘味剤、例えばアスパルテーム、アセサルフェームカリウム、シクラミン酸ナトリウム、アリテーム、ジヒドロカルコン甘味剤、モネリン、ステビオシドスクラロース(4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース)、または好適にはサッカリン、サッカリンナトリウムもしくはカルシウム、および場合により、少なくとも1種のバルク甘味剤、例えばソルビトール、マンニトール、フルクトース、スクロース、マルトース、イソモルト、グルコース、水添グルコースシロップ、キシリトール、キャラメルまたはハチミツなどを含めてもよい。強力な甘味剤の場合にはそれを通常は低濃度で用いる。例えばサッカリンナトリウムの場合には、前記濃度を最終製剤の約0.04%から0.1%(重量/体積)の範囲にしてもよい。そのようなバルク甘味剤は、約10%から約35%、好適には約10%から15%(重量/体積)の範囲の高濃度で用いた時に有効であり得る。
【0074】
低投薬量の製剤に入っている材料の苦い味を隠し得る製薬学的に許容される香味料は、好適には果実香味料、例えばチェリー、ラズベリー、クロフサスグリまたはストロベリー香味料などである。2種類の香味料の組み合わせを用いると非常に良好な結果が得られる可能性がある。高投薬量の製剤の場合には、より強力な製薬学的に許容される香味料、例えばキャラメルチョコレート、ミントクール、ファンタジーなどが要求される可能性もある。各香味料を最終的組成物に約0.05%から1%(重量/体積)の範囲の濃度で存在させてもよい。有利には、前記強力な香味料の組み合わせを用いる。好適には、本製剤の環境下で味および/または色の変化も損失も全くもたらさない香味料を用いる。
【0075】
前記式(I)で表される化合物は、注入、便利には静脈内注射、筋肉内または皮下注射、例えばボーラス注射または連続静脈内輸液などで非経口投与する目的で構築可能である。注入用製剤は、単位投薬形態物、例えばアンプルまたは複数回投与用容器に入っている状態で提供可能であり、それに防腐剤を添加することも可能である。それらに持たせる形態は、油性もしくは水性媒体に入っている懸濁液、溶液または乳液の形態であってもよく、かつそれらに配合剤、例えば等張剤、懸濁剤、安定剤および/または分散剤などを含有させることも可能である。別法として、本有効成分を適切な媒体、例えば発熱物質が入っていない無菌水などで使用前に混合するに適した粉末形態で提供することも可能である。
【0076】
また、前記式(I)で表される化合物を直腸用組成物、例えば座薬または停留浣腸などとして構築することも可能であり、それらに例えば通常の座薬用基材、例えばココアバターおよび/または他のグリセリドなどを含有させてもよい。
【0077】
前記式(I)で表される化合物を他の薬剤と一緒に使用することも可能であり、特に、本発明の製薬学的組成物に更に少なくとも1種の追加的脂質低下薬を含有させることでいわゆる組み合わせ脂質低下治療をもたらすことも可能である。前記追加的脂質低下薬は、例えば高脂血症の管理で通常用いられる公知薬剤、例えば本発明の背景技術で上述した如き胆汁酸抑制用樹脂、フィブリン酸誘導体またはニコチン酸であってもよい。適切な追加的脂質低下薬には、また、他のコレステロール生合成阻害剤およびコレステロール吸収阻害剤、特にHMG−CoA還元酵素阻害剤およびHMG−CoA合成阻害剤、HMG−CoA還元酵素遺伝子発現阻害剤、CETP阻害剤、ACAT阻害剤、スクアレン合成阻害剤、CB−1拮抗薬、コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミブなども含まれる。
【0078】
本発明の組み合わせ治療面では、2番目の化合物として如何なるHMG−CoA還元酵素阻害剤も使用可能である。本明細書で用いる如き用語「HMG−CoA還元酵素阻害剤」は、特に明記しない限り、酵素であるHMG−CoA還元酵素が触媒作用を及ぼす如きヒドロキシメチルグルタリル−補酵素Aからメバロン酸への生体内変換を阻害する化合物を指す。そのような「HMG−CoA還元酵素阻害剤」は、例えばロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、リバスタチンおよびアトルバスタチンなどである。
【0079】
本発明の組み合わせ治療面では、2番目の化合物として如何なるHMG−CoA合成酵素阻害剤も使用可能である。本明細書で用いる如き用語「HMG−CoA合成酵素阻害剤」は、特に明記しない限り、酵素であるHMG−CoA合成酵素が触媒作用を及ぼす如きアセチル−補酵素Aとアセトアセチル−補酵素Aからのヒドロキシメチルグルタリル−補酵素Aの生体内合成を阻害する化合物を指す。
【0080】
本発明の組み合わせ治療面では、2番目の化合物として如何なるHMG−CoA還元酵素遺伝子発現阻害剤も使用可能である。そのような阻害剤は、DNAの転写を阻害するHMG−CoA還元酵素転写阻害剤またはHMG−CoA還元酵素の遺伝情報を指定するmRNAが蛋白質を生じさせる翻訳を防止する翻訳阻害剤であってもよい。そのような阻害剤は、転写または翻訳のいずれに直接的影響を与え得るか、或はコレステロール生体内合成カスケードの中の1種以上の酵素によって生体内変換を受けて上述した属性を有する化合物になり得るか、或は上述した活性を有する代謝産物の蓄積をもたらし得る。
【0081】
本発明の組み合わせ治療面では、2番目の化合物として如何なるCETP阻害剤も使用可能である。本明細書で用いる如き用語「CETP阻害剤」は、特に明記しない限り、HDLからLDLおよびVLDLが生じるようにコレステリルエステル輸送蛋白質(CETP)が媒介するいろいろなコレステリルエステルおよびトリグリセリドの輸送を阻害する化合物を指す。
【0082】
本発明の組み合わせ治療面では、2番目の化合物として如何なるACAT阻害剤も使用可能である。本明細書で用いる如き用語「ACAT阻害剤」は、特に明記しない限り、酵素であるアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼによる細胞内食事性コレステロールのエステル化を阻害する化合物を指す。
【0083】
本発明の組み合わせ治療面では、2番目の化合物として如何なるスクアレン合成酵素阻害剤も使用可能である。本明細書で用いる如き用語「スクアレン合成酵素阻害剤」は、特に明記しない限り、酵素であるスクアレン合成酵素が触媒作用を及ぼすファルネシルピロ燐酸塩の2分子縮合(これによってスクアレンが生じる)を阻害する化合物を指す。
【0084】
高脂血症の治療の技術を有する技術者は、本明細書の以下に示す試験の結果から式(I)で表される化合物の治療的に有効な量を容易に決定するであろう。治療的に有効な量は一般に治療すべき患者の体重1kg当たり約0.001mgから体重1kg当たり約50mg、より好適には体重1kg当たり約0.01mgから約5mgであろうと考えている。その治療的に有効な量を当日全体に渡って適切な間隔で2回以上のサブドースの形態で投与する方が適切である可能性がある。前記サブドースは各々が例えば有効成分を単位投薬形態物1個当たり約0.1mgから約350mg、より特別には約1から約200mg含有する単位投薬形態物として構築可能である。
【0085】
正確な投与量および頻度は、当業者に良く知られているように、使用する式(I)で表される個々の化合物、治療すべき個々の病気、治療すべき病気のひどさ、個々の患者の年齢、体重および一般的身体状態ばかりでなく当該患者が受けている可能性のある他の薬剤(上述した追加的脂質低下薬を包含)に依存する。その上、治療を受けさせる患者の反応に応じそして/または本発明の化合物を処方する医者の評価に応じて前記「1日当たりの有効量」を少なくするか或は多くすることも可能である。従って、本明細書の上に記述した1日当たりの有効な量の範囲は単に指針である。
【実施例】
【0086】
実験部分
本明細書の以下に記述する手順では下記の省略形を用いた:「ACN」はアセトニトリルを表し、「DCM」はジクロロメタンを表し、「DMF」はN,N−ジメチル−ホルムアミドを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを表しそして「DIPE」はジイソプロピルエーテルを表す。
【0087】
N−シクロヘキシルカルボジイミドN−メチルポリスチレンHL樹脂(1.90ミリモル/g)はNovabiochem 01−64−021樹脂であり、重合体担持炭酸塩塩基[ポリスチリルメチル]トリメチル重炭酸アンモニウム樹脂(5.8ミリモル/g)はNovabiochem 01−64−041樹脂であり、ポリスチレン−カルボジイミド樹脂(1.90ミリモル/g)はNovabiochem 01−64−024樹脂であり、ポリスチレン−N−メチルモルホリンHL(3.80ミリモル/g)樹脂はNovabiochem 01−64−0211樹脂であり、ポリスチレン−重炭酸塩(5.8ミリモル/g)樹脂はNovabiochem 01−064−0419樹脂である。
【0088】
そのようなNovabiochem樹脂はCalbiochem−Novabiochem AG(Weidenmattweg 4、CH−4448 Laeufelfingen、スイス)から入手可能である。
【0089】
A.中間体の合成
(実施例A.1)
【0090】
【化16】

【0091】
ベンゼンカルボン酸(0.00012モル、1.2当量)をDMF(0.5ml)に溶解させた後、N−シクロヘキシルカルボジイミドN−メチルポリスチレンHL樹脂(1.90ミリモル/g)(0.10526g、0.0002モル、2当量)と混合した。1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(0.02027g、0.00015モル、1.5当量)をDMF(0.5ml)に入れて加えた。その混合物を15分間撹拌した後、N−(t−ブトキシカルボニル)−1,2−エタンジアミン(0.0001モル)をDCM(3ml)に入れて加えた。反応が完了した後、重合体担持炭酸塩塩基[ポリスチリルメチル]トリメチル重炭酸アンモニウム樹脂(5.8ミリモル/g)(0.076g、0.00045モル、4.5当量)を加えた後の混合物を3時間撹拌した。最後に、前記樹脂を濾過で取り出し、DCM/DMFの混合物(3/1体積/体積、1.0ml)で3回洗浄した後、溶媒を減圧下で蒸発させることで中間体(1)を得た(定量的収率;さらなる精製無しに次の反応段階で使用)。
【0092】
【化17】

【0093】
イソプロパノール中6NのHClの混合物(2ml)に中間体(1)(0.0001モル)を溶解させた後、撹拌しながら65℃に5時間加熱した。その反応混合物を減圧下で濃縮することで中間体(2)を塩酸付加塩として得た。
【0094】
同様な様式で、中間体(3)から中間体(8)を塩酸塩の形態で調製した。それを行う目的で、段階a)の反応でベンゼンカルボン酸の代わりに2−メトキシベンゼンカルボン酸または4’−(トリフルオロメチル)−2−ビフェニルカルボン酸を用いそしてN−(t−ブトキシカルボニル)−1,2−エタンジアミンの代わりにN−(t−ブトキシカルボニル)−1,3−プロパンジアミン、N−メチル−N−(t−ブトキシカルボニル)−1,2−エタンジアミンまたはN−メチル−N−(t−ブトキシカルボニル)−1,3−プロパンジアミンを用いた。
【0095】
【表1】

【0096】
(実施例A.2)
【0097】
【化18】

【0098】
硫酸(300ml)を水(250ml)に入れることで生じさせた溶液に2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオン酸メチルエステル(0.1モル)を加えた後、その反応混合物を100℃で20時間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、DCM(600ml)に溶解させた。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を体積が100mlになるまで蒸発させた。沈澱物を濾過で取り出した後、乾燥させることで中間体(14)を9g得た。
【0099】
(実施例A.3)
【0100】
【化19】

【0101】
中間体(14)(1.327モル)を無水エタノール(2360ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながらこれに濃硫酸(4ml)を加えた。その反応混合物を窒素下で22時間還流させた後、その反応混合物を室温になるまで一晩かけて冷却した。結果として生じた沈澱物を濾過で取り出し、無水エタノールで洗浄した後、乾燥させることで中間体(15)(融点186−187℃)を120g得た。
【0102】
エタノール層を一緒にして蒸発させ、その結果として得た残留物をDCM(1450ml)に溶解させ、NaHCO水溶液で洗浄(500mlずつで2回)し、乾燥させた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPE(680ml)に入れて50−55℃の温度で撹拌しまがら残存するDCMを留出させた後、その濃縮液を室温で2時間以上放置した。その結果として生じた固体を濾過で取り出し、DIPE(120ml)そしてペンタンで洗浄した後、40℃で乾燥させることで中間体(15)(融点187−188℃)を更に103.2g得た。
【0103】
【化20】

【0104】
この上に示したDIPE/ペンタン層に蒸発を受けさせ、その残留物を無水ACN(200ml)に溶解させた後、再び溶媒を蒸発させることで中間体(16)(融点75℃)を166.3g得た。
【0105】
(実施例A.4)
【0106】
【化21】

【0107】
中間体(15)(0.03モル)をクロロホルム(50ml)に入れて撹拌した。塩化チオニル(0.06モル)を加えた後の反応混合物を撹拌しながら気体の発生が止むまで4時間還流させた。その反応混合物に濃縮を溶媒を蒸発させることで受けさせた。クロロホルム(200ml)を加えた後、再び溶媒を蒸発させることで残留物を得て、それを氷水浴で±5℃に冷却しておいた無水エタノール(100ml)にゆっくり加えた。その氷浴を取り外すことで反応混合物を室温に温めた。その反応混合物を室温で4時間撹拌した。溶媒を蒸発させることで中間体(17)(融点78−80℃)を得た。
【0108】
(中間体18)の調製を中間体(16)を用いて出発する以外は同様にして実施した。
【0109】
【化22】

【0110】
(実施例A.5)
【0111】
【化23】

【0112】
中間体(17)(0.0567モル)とp−トルエンスルホン酸(1g)の混合物を蟻酸(500ml)と濃HCl(125ml)の混合物に入れて撹拌しながら3時間還流させた。その反応混合物に濃縮を溶媒を蒸発させることで受けさせた後、その残留物をDCMに溶解させ、NaHCO水溶液で洗浄した後、乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、その残留物をシリカ使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル/ヘキサンを1/9)で精製することで中間体(19)(融点115−118℃)を得た。
【0113】
中間体(20)(融点133−135℃)の調製を中間体(18)を用いて出発する以外は同様にして実施した。
【0114】
【化24】

【0115】
(実施例A.6)
【0116】
【化25】

【0117】
2−メトキシ−安息香酸(0.028モル)をDCM(150ml)に溶解させた。その混合物に塩化チオニル(8.2ml)を滴下した後、その混合物を2時間30分還流させた。その反応混合物を冷却した後、溶媒を蒸発させた。次に、DCM(150ml)を加えた後、再び溶媒を蒸発させた。粗化合物をDCM(150ml)に溶解させた。最初に1−(フェニルメチル)−3−ピロリジンアミン(0.028モル)を加えた後、飽和NaHCO水溶液(75ml)を加えた。その混合物を2時間反応させた。次に、層分離を起こさせた。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸
発させた。その残留物をジイソプロピルエーテルに入れて処理した後、その粗化合物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:100%のCHClから3%のCHOH/CHCl)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(21)を7.14g得た。
【0118】
【化26】

【0119】
中間体(21)(0.023モル)をCHOH(150ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を炭素に10%担持されているパラジウム(1g)を触媒として用いて受けさせた。水素(1当量)吸収後、触媒を濾過で除去した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物を逆相高性能液クロ[Shandon Hyperprep(商標)C18 BDS(Base Deactivated Silica)8μm、250g、I.D.5cm]で精製した。2相もしくは3相の可動相を用いた勾配をかけた[相A:水中0.25%のNHHCO溶液、相B:CHOH(任意);相C:CHCN]。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(22)を2.56g得た。
【0120】
(実施例A.7)
【0121】
【化27】

【0122】
2−メトキシ−3−ピリジンカルボン酸(0.028モル)をDCM(150ml)に溶解させた。その混合物に塩化チオニル(8.2ml;0.112モル)を滴下した後、その混合物を2時間30分還流させた。溶媒を蒸発させた。次に、DCM(150ml)を加えた後、再び溶媒を蒸発させた。粗化合物をDCM(150ml)に溶解させた。最初に1−(フェニルメチル)−3−ピロリジンアミン(0.028モル)を加えた後、飽和NaHCO水溶液(75ml)を加えた。その混合物を2時間反応させた。次に、層分離を起こさせた。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:100%のCHClから1/100のCHOH/CHCl)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(23)を7.97g得た。
【0123】
【化28】

【0124】
中間体(23)(0.026モル)をCHOH(150ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を炭素に10%担持されているパラジウム(1g)を触媒として用いて受けさせた。水素(1当量)吸収後、触媒を濾過で除去した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物を逆相高性能液クロ[Shandon Hyperprep(商標)C
18 BDS(Base Deactivated Silica)8μm、250g、I.D.5cm]で精製した。2相もしくは3相の可動相を用いた勾配をかけた[相A:水中0.25%のNHHCO溶液、相B:CHOH(任意);相C:CHCN]。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(24)を3.01g得た。
【0125】
(実施例A.8)
【0126】
【化29】

【0127】
トランス−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1,4−ジカルボン酸4−エチルエステル(0.15モル)をNaHCO(200mlの水中0.15M)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれにAliquat(商標)(0.15モル)(トリ−C8−10−アルキルメチル第四級アンモニウムクロライドの混合物)および3−ブロモ−1−プロペン(0.75モル)をDCM(200ml)に入れて加えた後、その反応混合物を20℃で4日間撹拌し、そして有機層を分離した。その水層にDCM(300ml)を用いた抽出を受けさせた後、その有機層を一緒にして乾燥(MgSO)させた。溶媒を蒸発させ、その残留物をヘキサン(500ml)に入れて撹拌した後、0℃に冷却した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出し、ヘキサンで洗浄した後、60℃で一晩乾燥させることで中間体(25)を46g得た。
【0128】
【化30】

【0129】
中間体(25)(0.13モル)を蟻酸(400ml)に入れることで生じさせた溶液に濃塩酸(28%)(100ml)および4−メチル−ベンゼンスルホン酸(0.7g)を加えた後、その反応混合物を撹拌しながら6時間還流させた。溶媒を蒸発させた後、その残留物をDCM(300ml)と飽和NaHCO水溶液(200ml)の間で分離させた。DCM層を分離し、乾燥(MgSO)させた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をエーテル下で磨り潰すことで固体(I)を得、母液層を濃縮した後、酢酸エチル/ヘキサンの混合物を用いて結晶化させることで固体(II)を得た。固体(I)と(II)を一緒にした後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/CHOHを95/5)で精製した。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた後、その残留物をヘキサン下で磨り潰した。次に、その残留物をエーテル下で磨り潰した後、濾過で取り出すことで固体状の中間体(26)(融点138−139℃)を7g得た。
【0130】
(実施例A.9)
【0131】
【化31】

【0132】
2−メトキシ−3−ピリジンカルボン酸(0.028モル)をDCM(150ml)に溶解させた。その混合物に塩化チオニル(8ml;0.112モル)を滴下した後、その混合物を2時間30分還流させた。溶媒を蒸発させた。次に、DCM(150ml)を加えた後、再び溶媒を蒸発させた。粗化合物をDCM(150ml)に溶解させた。最初にN−メチル−N−(フェニルメチル)−1,3−プロパンジアミン(0.028モル)を加えた後、飽和NaHCO水溶液(75ml)を加えた。その混合物を2時間反応させた。次に、層分離を起こさせた。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:100%のCHClから1/100のCHOH/CHCl)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(27)を8.71g得た。
【0133】
【化32】

【0134】
中間体(27)(0.028モル)をCHOH(150ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を炭素に10%担持されているパラジウム(2g)を触媒として用いて受けさせた。水素(1当量)吸収後、触媒を濾過で除去した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物に結晶化を2−プロパノール中6NのHClを添加しておいた2−プロパノールを用いて受けさせた。その残留物を逆相高性能液クロ[Shandon Hyperprep(商標)C18 BDS(Base Deactivated Silica)8μm、250g、I.D.5cm]で精製した。2相もしくは3相の可動相を用いた勾配をかけた[相A:水中0.25%のNHHCO溶液、相B:CHOH(任意);相C:CHCN]。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(28)を2.65g得た。
【0135】
(実施例A.10)
【0136】
【化33】

【0137】
2−メトキシ−3−ピリジンカルボン酸(0.00485モル)をDCM(50ml)に溶解させた。その混合物に塩化チオニル(1.4ml)を滴下した後、その混合物を2時間30分還流させた。溶媒を蒸発させた。次に、DCM(50ml)を加えた後、再び溶媒を蒸発させた。粗化合物をDCM(50ml)に溶解させた。最初に4−(フェニルメチル)−2−モルホリンメタンアミン(0.00485モル)を加えた後、飽和NaHCO水溶液(25ml)を加えた。その混合物を2時間反応させた。次に、層分離を起こさせた。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:100%のCHClから1/
100のCHOH/CHCl)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(29)を1.6g得た。
【0138】
【化34】

【0139】
中間体(29)(0.0049モル)をCHOH(50ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を炭素に担持されているパラジウム(0.4g)を触媒として用いて受けさせた。水素(1当量)吸収後、触媒を濾過で除去した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物に結晶化を2−プロパノール中6NのHClを添加しておいた2−プロパノールを用いて受けさせた。生成物を濾過で取り出した後、乾燥させることで中間体(30)を塩酸塩として単離して0.8g得た。
【0140】
(実施例A.11)
【0141】
【化35】

【0142】
2−メトキシ−3−ピリジンカルボン酸(0.0269モル)をDCM(150ml)に溶解させた。その混合物に塩化チオニル(8ml)を滴下した後、その混合物を2時間30分還流させた。溶媒を蒸発させた。次に、DCM(150ml)を加えた後、再び溶媒を蒸発させた。粗化合物をDCM(150ml)に溶解させた。最初に4−アミノヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−カルボン酸エチルエステル(0.0269モル)を加えた後、飽和NaHCO水溶液(75ml)を加えた。その混合物を2時間反応させた。次に、層分離を起こさせた。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:100%のCHClから1/100のCHOH/CHCl)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(31)を8.63g得た。
【0143】
【化36】

【0144】
中間体(31)(0.026モル)をCHOH(60ml)に溶解させた。水酸化カリウム(7g)を加えた後の反応混合物を5時間還流させた。その反応混合物にDCMを加えた後、その有機層を水で2回洗浄した。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物を逆相高性能液クロ[Shandon Hyperprep(商標)C18 BDS(Base Deactivated Silica)8μm、250g、I.D.5cm]で精製した。2相もしくは3相の可動相を用いた勾配をかけた[相A:水中0.25%のNHHCO溶液、相B:CHOH
(任意);相C:CHCN]。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(32)を2.01g得た。
【0145】
(実施例A.12)
【0146】
【化37】

【0147】
2−メトキシ−安息香酸(0.0269モル)をDCM(150ml)に溶解させた。その混合物に塩化チオニル(8ml)を滴下した後、その混合物を2時間30分還流させた。溶媒を蒸発させた。次に、DCM(150ml)を加えた後、再び溶媒を蒸発させた。粗化合物をDCM(150ml)に溶解させた。最初に4−アミノヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−カルボン酸エチルエステル(0.0269モル)を加えた後、飽和NaHCO水溶液(75ml)を加えた。その混合物を2時間反応させた。次に、層分離を起こさせた。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:100%のCHClから1/100のCHOH/CHCl)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(33)を8.5g得た。
【0148】
【化38】

【0149】
中間体(33)(0.0262モル)をCHOH(120ml)に溶解させた後、水(1ml)を加えた。次に、水酸化ナトリウム(7g)を加えた後の反応混合物を72時間還流させた。溶媒を蒸発させた後、水およびDCMを加えた。その有機層を水で洗浄した。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物を逆相高性能液クロ[Shandon Hyperprep(商標)C18 BDS(Base Deactivated Silica)8μm、250g、I.D.5cm]で精製した。2相もしくは3相の可動相を用いた勾配をかけた[相A:水中0.25%のNHHCO溶液、相B:CHOH(任意);相C:CHCN]。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体(34)を4.02g得た。
【0150】
B.最終的化合物の製造
(実施例B.1)
中間体(2)(0.0001モル)とポリスチレン−カルボジイミド(1.90ミリモル/g)樹脂(0.0002モル、0.105g)、ポリスチレン−N−メチルモルホリンHL(3.80ミリモル/g)樹脂(0.0005モル、0.132g)、中間体(19)(0.00015モル)をDCM(1ml)に入れることで生じさせた溶液および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(0.0015モル、0.020g)をTHF(1ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で一晩振とうした。過剰量のHOBTを除去する目的でポリスチレン−重炭酸塩(5.8ミリモル/g)樹脂(0.0005モル、0.086g)を捕捉剤として加えた。その反応混合物を2時間振とうし、濾過した後、その濾液に蒸発を受けさせることで化合物(1)を得た。
【0151】
(実施例B.2)
中間体(19)(0.025モル)をDCM(100ml)に入れることで生じさせた溶液にDMF(3滴)を加えた後、塩化チオニル(0.1モル)を加えた。その反応混合物を撹拌しながら1時間還流させた後、溶媒を蒸発させた。DCMを加えた後、溶媒を蒸発させた。その結果として得た残留物をDCM(100ml)に溶解させた後、中間体(7)(0.025モル)に続いてNaHCO水溶液(50ml)を加えた。その反応混合物を室温で4時間撹拌した後、層分離を起こさせた。その有機層を乾燥させた後、溶媒を蒸発させた。その残留物に高性能液クロ(Chiralpak AD)(溶離剤:ヘキサン/エタノールを80/20)を用いた分離を受けさせることで鏡像異性体を得た。2生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物の各々をDIPE下で磨り潰した後、所望生成物を集めることで化合物(25)を4.84gおよび化合物(26)を4.72g得た。
【0152】
(実施例B.3)
中間体(19)(0.025モル)をDCM(100ml)に入れることで生じさせた溶液を塩化チオニル(0.1モル)と一緒にして撹拌しながら1時間還流させた後、溶媒を蒸発させた。新鮮なDCMを加えた後、余分な塩化チオニルを蒸発で除去した。その残留物をDCM(50ml)に溶解させた後、その結果として得た溶液を中間体(9)(0.025モル)をDCM(50ml)に入れることで生じさせた混合物に加えた。NaHCO水溶液(50ml)を加えた後の反応混合物を室温で2時間撹拌した。層分離を起こさせ、その有機層を希HClで洗浄し、乾燥させた後、溶媒を蒸発させた。その得た残留物にHPLC精製(Chiral相AD)(溶離剤:ヘキサン/エタノールを60/40)を用いた分離を受けさせて鏡像異性体を得ることで化合物(27)を5.02gおよび化合物(28)を5.05g得た。
【0153】
(実施例B.4)
中間体(26)(1g;0.0030モル)をDCM(15ml)に溶解させた。その溶液に塩化チオニル(0.54ml;0.0075モル)を滴下した後、DMFを数滴加えた。その反応物を1時間還流させた。溶媒を蒸発させた。その残留物にDCM(15ml)を加えた後、再び溶媒を蒸発させた。その粗混合物をDCM(15ml)に溶解させた後、最初に中間体(9)(0.003モル)に続いて飽和NaHCO水溶液(15ml)を加えた。その反応混合物を室温で2時間撹拌した。層分離を起こさせた。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで化合物(34)を1.6g得た。
【0154】
(実施例B.5)
化合物(38)(0.00297モル)をTHF(20ml)に溶解させた。その反応物に窒素を吹き込んだ後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.070g)を加えた。その混合物を氷浴で0℃に冷却した後、ホウ水素化ナトリウム(0.00297モル)を加えた。冷却を4時間継続した後の混合物を室温で一晩反応させた。次に、HCl(1N)で反応を消滅させた後、DCMを用いた抽出を実施した。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:(CHCl/CHOH)を99/1から90/10)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を真空下で蒸発させた。その残留物をCHCl/CHOHに再び溶解させた後、活性炭で処理した。その混合物をデカライトの上に置いて濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物を逆相高性能液クロ[Shandon Hyperprep(商標)C18 BDS(Base Deactivated Silica)8μm、250g、I.D.5cm]で精製した。2相もしくは3相の可動相を用いた勾配をかけた[相A:水中0.25%のNHHCO;相B:CHOH(任意);相C:CHCN]。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残
留物をDCMに再び溶解させた後、その溶液をジイソプロピルエーテルに加えた。沈澱物を濾過で取り出した後、その固体を乾燥させることで化合物(29)を0.016g得た
【0155】
(実施例B.6)
a)化合物(34)(0.0030モル)をTHF(20ml)に溶解させた。その反応物に窒素を吹き込んだ後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.00006モル)を加えた。その混合物を氷浴で0℃に冷却した後、ホウ水素化ナトリウム(0.003モル)を加えた。冷却を4時間継続した後の混合物を室温で一晩反応させた。次に、HCl(1N)で反応を消滅させた後、DCMを用いた抽出を実施した。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:(DCM/MeOH)を99/1から90/10)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を真空下で蒸発させた。その残留物をCHCl/CHOHに再び溶解させた後、活性炭で処理した。その混合物をデカライトの上に置いて濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物を逆相高性能液クロ[Shandon
Hyperprep(商標)C18 BDS(Base Deactivated Silica)8μm、250g、I.D.5cm]で精製した。2相もしくは3相の可動相を用いた勾配をかけた[相A:水中0.25%のNHHCO;相B:CHOH(任意);相C:CHCN]。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDCMに溶解させた後、その溶液をジイソプロピルエーテルに加えた。沈澱物を濾過で取り出した後、白色の固体を乾燥させることでトランス−4−{[3−(2−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−プロピル]−メチル−カルバモイル}−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−カルボン酸(中間体(35))を得た。
b)中間体(35)(0.000199モル、0.100g)を無水DCM(2ml)に溶解させた。次に、その混合物に1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(1.2当量、0.032g)、N’−(エチルカルボニミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの一塩酸塩(1.2当量、0.046g)および塩酸3−アミノプロピオン酸メチル(3当量、0.083g)およびN−エチル−N−(1−メチル−エチル)−2−プロパンアミン(10当量、0.329ml)を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌した。追加的塩酸3−アミノプロピオン酸メチル(3当量、0.083g)を加えた後の混合物を飽和NaHCO水溶液で3回洗浄した。その有機層を分離して乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。次に、その残留物をカラムクロマトグラフィー(100%のCHClから2%のCHOH/CHCl)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで化合物(31)を得た。
【0156】
(実施例B.7)
中間体(19)(0.00376モル、1.22g)を無水DCM(20ml)に溶解させた。次に、その混合物にHOBt(0.00451モル、0.733g)、塩酸1−エチル−3−(3’−ジメチル−アミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)(0.00451モル、1.04g)および中間体(24)(0.00451モル)およびDIPEA(0.0376モル、7.4ml)を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌した。追加的中間体(24)(0.00451モル)を加えた後の混合物を飽和NaHCO水溶液で3回洗浄した。その有機層を分離して乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。次に、その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%のCHClから1/20のCHOH/CHCl)で精製した。所望生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで化合物(45)を得た。
【0157】
表F−1に、この上に示した実施例の中の1つに従って調製した化合物を示す。いくつかの化合物が示した立体化学配置をRまたはSとして示したが、これは、その化合物自身を単一の立体異性体として単離し、従ってそれは鏡像異性体的に高純度ではあるが絶対立体化学が未知の時の相対的立体化学を示す。いくつかの化合物では融点(m.p.)
も含めた。
【0158】
【表2】

【0159】
【表3】

【0160】
【表4】

【0161】
【表5】

【0162】
化合物の同定
一般的手順A
脱気装置付き四式ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン(特に明記しない限り40℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下に示す個々の方法で指定する如きカラムが備わっているAlliance HT 2790(Waters)装置を用いてHPLC測定を実施した。前記カラムから出る流れを分割してMS分光計に送った。このMS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が備わっている。0.1秒のドウェル時間を用いて1秒間に100から1000まで走査することで質量スペクトルを取得した。毛細管針の電圧を3kVにしそして源の温度を140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして用いた。データの取得をWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。
【0163】
一般的手順B
複式ポンプ、サンプルオーガナイザー、カラムヒーター(55℃に設定)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下に示す個々の方法で指定する如きカラムが備わっているAcquity UPLC(Waters)装置を用いてLC測定を実施した。前記カラムから出る流れを分割してMS分光計に送った。このMS検出器にはエレクトロスプレーイオン化源が備わっている。0.02秒のドウェル時間を用いて0.18秒間に100から1000まで走査することで質量スペクトルを取得した。毛細管針の電圧を3.5kVにしそして源の温度を140℃に維持した。窒素をネブライザーガスとして用いた。データの取得をWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。
【0164】
方法1
一般的手順Aに加えて、Xterra MS C18カラム(3.5μm、4.6x100mm)を用いた逆相HPLCを流量を1.6ml/分にして実施した。3種類の可動相(可動相A:25mMの酢酸アンモニウムが95%+アセトニトリルが5%;可動相B:アセトニトリル;可動相C:メタノール)を用いてAが100%から6.5分かけてAが1%でBが49%でCが50%にし、1分かけてAが1%でBが99%にしてその条件を1分間保持しそして再びAが100%の平衡状態に1.5分間置く勾配条件で流した。
用いた注入体積は10μlであった。コーン電圧を正イオン化モードの場合には10Vにしそして負イオン化モードの場合には20Vにした。
【0165】
方法2
一般的手順Bに加えて、橋状エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1x50mm;Waters Acquity)を用いた逆相UPLC(Ultra Performance Liquid Chromatography)を流量を0.8ml/分にして実施した。2種類の可動相(可動相A:95/5のHO/メタノール中0.1%の蟻酸;可動相B:メタノール)を用いてAが95%でBが5%から1.3分かけてAが5%でBが95%にして0.2分間保持する勾配条件で流した。用いた注入体積は0.5μlであった。コーン電圧を正イオン化モードの場合には10Vにしそして負イオン化モードの場合には20Vにした。
【0166】
方法3
一般的手順Aに加えて、Chromolith(4.6x25mm)を用いた逆相HPLCを流量を3ml/分にして実施した。3種類の可動相(可動相A:25mMの酢酸アンモニウムが95%+アセトニトリルが5%;可動相B:アセトニトリル;可動相C:メタノール)を用いてAが96%でBが2%でCが2%から0.9分かけてBが49%でCが49%にし、0.3分かけてBが100%にして0.2分保持する勾配条件で流した。用いた注入体積は2μlであった。コーン電圧を正イオン化モードの場合には10Vにしそして負イオン化モードの場合には20Vにした。
【0167】
【表6】

【0168】
旋光
旋光の測定を偏光計を用いて実施した。[α」20は、ナトリウムのD線の波長(5
89nm)の光を用いて20℃の温度で測定した旋光度を示す。実際の値の後方に、旋光の測定で用いた溶液の濃度および溶媒を記述する。
【0169】
【表7】

【0170】
C.薬理学的実施例
C.1.アポB分泌の量化
HepG2細胞を24穴プレートに入れたウシ胎仔血清含有量が10%のMEM Rega 3中で培養した。集密度が70%の時に培地を交換した後、試験化合物または担体(DMSO、0.4%の最終濃度)を加えた。インキュベーションを24時間実施した後、前記培地をエッペンドルフ管に移し、そして遠心分離で透明にした。その上澄み液にいずれかのアポBに対するヤギ抗体を加えた後、その混合物を8℃に24時間維持した。次に、ウサギ抗−ヤギ抗体を加えた後、免疫複合体を8℃で24時間かけて沈澱させた。その免疫沈澱物を1320gの遠心分離に25分間かけることで沈澱させた後、Mopsを40mM、NaHPOを40mM、NaFを100mM、DTTを0.2mM、EDTAを5mM、EGTAを5mM、Triton−X−100を1%、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を0.5%、SDSを0.1%、ロイペプチンを0.2μMおよびPMSFを0.2μM含有する緩衝液で2回洗浄した。その沈澱物が示す放射能を液体シンチレーション計数で量化した。使用が容易なように通常はIC50値をpIC50値(=−log IC50値)に変換しそしてそれを表C−1に要約する。
【0171】
【表8】

【0172】
C.2.MTP検定
MTP活性の測定をJ.R.WetterauおよびD.B.ZilversmitがChemistry and Physics of Lipids、38、205−222(1985)に記述した検定と同様な検定を用いて実施した。供与体および受容体ベシクルを調製する目的で、適切な脂質をクロロホルムに入れてガラス試験管に入れた後、N流下で乾燥させた。その乾燥させた脂質に、Tris−HCl(pH7.5)を15mM、EDTAを1mM、NaClを40mM、NaNを0.02%含有する緩衝液(
検定用緩衝液)を加えた。その混合物を短時間渦巻き撹拌した後、脂質を氷上で20分間水和させた。次に、浴音波処理(Branson 2200)を室温で最大で15分間実施することでベシクルの調製を実施した。あらゆるベシクル調製物にブチル化ヒドロキシトルエンを0.1%の濃度で入れた。そのような脂質転移検定用混合物は、1.5mlのミクロ遠心分離管の中に総体積が675μlになるように供与体ベシクル(ホスファチジルコリンが40ナノモルでカルジオリピンが7.5モル%でグリセロールトリ[1−14C]−オレエートが0.25モル%)、受容体ベシクル(ホスファチジルコリンが240ナノモル)およびBSAを5mg含有していた。試験化合物をDMSOに加えて溶解させた(最終濃度が0.13%)。予備インキュベーションを37℃で5分間実施した後、MTPを100μlの透析用緩衝液に入れて添加することで反応を開始させた。15mMのTris−HCl(pH7.5)、1mMのEDTA、0.02%のNaNに入れて前以て平衡状態にしておいた400μlのDEAE−52セルロースを添加することで反応を停止させた(1:1、体積/体積)。その混合物を4分間撹拌した後、エッペンドルフ遠心分離装置(4℃)を用いた遠心分離に最大速度で2分間かけることでDEAE−52と結合した供与体ベシクルを沈澱させた。受容体リポソームが入っている上澄み液の一定分量の計数を実施した後、その[14C]カウント数を用いて、トリグリセリドが供与体から受容体ベシクルに転移したパーセントを計算した。
【0173】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Aは、−CH−または−(C=O)−であり、
Xは、
【化2】

を表し、
nは、2または3の整数であり、
は、水素またはC1−4アルキルであり、
は、水素またはC1−4アルキルであり、
は、NRまたはORであり、かつ
各RおよびRは、独立して、
水素、
1−8アルキル、
各々がハロ、シアノ、C3−8シクロアルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、ポリハロC1−4アルキル、ヒドロキシカルボニル、−OR10、−NR1011、−CONR1213、アリール、多環式アリールまたはヘテロアリールから互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているC1−8アルキル、
3−8シクロアルキル、
3−8シクロアルケニル、
3−8アルケニル、
3−8アルキニル、
アリール、
多環式アリール、
ヘテロアリール、
から選択されるか、或は
とRがRとRを持つ窒素原子と一緒になってアゼチジニル、ピロリジニル、ピ
ペリジニル、モルホリニル、アゼパニルまたはアゾカニル環を形成していてもよく、かつ前記環は各々が場合により各々がC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニルまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、かつ
10は、水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリール、多環式アリールまたはヘテロアリールであり、
11は、水素またはC1−4アルキルであり、
12は、水素、C1−4アルキルまたはフェニルであり、
13は、水素、C1−4アルキルまたはフェニルであり、
は、
1−8アルキル、
各々がハロ、シアノ、C3−8シクロアルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、ポリハロC1−4アルキル、ヒドロキシカルボニル、−OR10、−NR1011、−CONR1213、アリール、多環式アリールまたはヘテロアリールから互いに独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているC1−8アルキル、
3−8シクロアルキル、
3−8シクロアルケニル、
3−8アルケニル、
3−8アルキニル、
アリール、
多環式アリール、
ヘテロアリール、
であり、かつ
アリールは、フェニル;各々がC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキル、メチルスルホニルアミノ、メチルスルホニル、NR1011、C1−4アルキルNR1011、CONR1213またはC1−4アルキルCONR1213から独立して選択される1から5個の置換基で置換されているフェニルであり、
多環式アリールは、ナフタレニル、インダニル、フルオレニルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニルであり、かつ前記多環式アリールは場合により各々がC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、フェニル、ハロ、シアノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキル、NR1011、C1−4アルキルNR1011、CONR1213、C1−4アルキルCONR1213またはC1−4アルキルオキシカルボニルアミノから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、そして
ヘテロアリールは、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピロリル、フラニル、チエニル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、インドリル、2,3−ジヒドロ−1H−インドリル、1H−ベンゾイミダゾリルであり、かつ前記ヘテロアリールは場合により各々がC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、フェニル、ハロ、シアノ、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニルC1−4アルキル、NR1011、C1−4アルキルNR1011、CONR1213またはC1−4アルキルCONR1213から独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、
2a、R2bおよびR2cは、互いに独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1−4アルキル、ポリハ
ロC1−4アルキルオキシまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択され、
3a、R3bおよびR3cは、互いに独立して、水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1−4アルキル、ポリハロC1−4アルキルオキシまたはC1−4アルキルオキシカルボニルから選択され、
は、フェニル;各々がC1−4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1−4アルキル、ポリハロC1−4アルキルオキシ、C1−4アルキルカルボニル、スルファモイル、複素環式基、または場合により各々がC1−4アルキル、ハロ、C1−4アルキルオキシまたはトリフルオロメチルから独立して選択される1、2、または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルから独立して選択される1、2、3または5個の置換基で置換されているフェニル;または
ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フラニルおよびチエニルから成る群より選択されるヘテロアリールであり、かつ前記ヘテロアリールは各々が場合により各々がC1−4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシ、オキソ、シアノ、ポリハロC1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニルまたは複素環式基から独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、かつ
複素環式基は、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゼパニルおよびアゾカニルから選択され、かつこれは場合により各々がC1−4アルキルまたはハロから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよい]
で表される化合物、これの製薬学的に許容される酸付加塩、これのN−オキサイドおよびこれの立体化学異性体形態物。
【請求項2】
Aが−(C=O)−である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
がNRである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がORである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
2a=R3a、R2b=R3bおよびR2c=R3cである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Aが−(C=O)−を表し、RがORでありかつRがC1−6アルキルまたはC3−8アルケニルであり、R2a、R3a、R2b、R3b、R2cおよびR3cが水素であり、Rがフェニル、C1−4アルキルオキシ置換フェニル、ハロ置換フェニル、ヒドロキシ置換ピリジニルまたはC1−4アルキルオキシ置換ピリジニルを表しそしてXが基(a−1)を表しかつRが水素でありそしてRが水素またはC1−4アルキルである請求項1記載の化合物。
【請求項7】
製薬学的に許容される担体および請求項1から6のいずれか記載の化合物を治療的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物。
【請求項8】
請求項7記載の製薬学的組成物を製造する方法であって、治療的に有効な量の請求項1から6のいずれか記載の化合物を製薬学的に許容される担体と密に混合する方法。
【請求項9】
薬剤として用いるための請求項1から6のいずれか記載の化合物。
【請求項10】
式(II)
【化3】

[式中、
、R2a、R2b、R2c、R3a、R3b、R3c、RおよびRは、請求項1で定義した通りである]
で表される化合物。
【請求項11】
式(XVII)
【化4】

[式中、
置換基R2a、R2b、R2c、R3a、R3b、R3c、R、R、AおよびXは、請求項1で定義した通りである]
で表される化合物。
【請求項12】
式(I)で表される化合物の製造方法であって、
a)式(II)で表される中間体と式(III)で表される中間体を反応に不活性な溶媒中で場合により適切なカップリング剤および/または適切な塩基を存在させて反応させるか、
【化5】

或は
b)式(I)で表される化合物を当該技術分野で公知の変換反応に従って互いに変化させるか、或は必要ならば、式(I)で表される化合物を製薬学的に許容される酸付加塩に変化させるか、或は逆に、式(I)で表される化合物の酸付加塩をアルカリで遊離塩基形態に変化させ、かつ必要ならば、それらの立体化学異性体形態物を調製する、
方法。
【請求項13】
基Aが−(C=O)−を表す式(I)で表される化合物であるとして定義する式(I−a)で表される化合物の製造方法であって、
a)式(V)で表される中間体と式(IV)で表される中間体を反応に不活性な溶媒中で場合により適切なカップリング剤および/または適切な塩基を存在させて反応させるか、
【化6】

或は
b)式(I−a)で表される化合物を当該技術分野で公知の変換反応に従って互いに変化させるか、或は必要ならば、式(I−a)で表される化合物を製薬学的に許容される酸付加塩に変化させるか、或は逆に、式(I−a)で表される化合物の酸付加塩をアルカリで遊離塩基形態に変化させ、かつ必要ならば、それらの立体化学異性体形態物を調製する、方法。

【公表番号】特表2010−507616(P2010−507616A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533801(P2009−533801)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061289
【国際公開番号】WO2008/049808
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】