説明

OSNR評価装置及びOSNR評価方法

【課題】本発明は、偏波多重信号光のOSNR(インバンドOSNR)を測定することのできるOSNR評価装置及びOSNR評価方法の提供を目的とする。
【解決手段】本願発明のOSNR評価装置は、偏波コントローラ11と、波長可変バンドパスフィルタ12と、PBS13と、PD14−1と、PD14−2と、OSNR演算部15と、偏波コントローラ11及び波長可変バンドパスフィルタ12を制御する制御処理部16と、を備え、2つの信号光が偏波多重された偏波多重信号光の2つの信号光の強度を測定し、信号光の波長近傍の第1波長及び第2波長でのPD14−1及びPD14−2の受光レベルを用いてASEノイズパワーを算出し、2つの信号光の強度及びデータグループのASEノイズパワーを用いて、2つの信号光のOSNRを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏波多重信号光のOSNR(Optical Signal−to−Noise Ratio)評価装置及びOSNR評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WDM(Wavelength Division Multiplexing)ネットワークにおいては、各チャネルの信号光パワー、信号光波長及びOSNR等の特性を測定し、伝送信号品質を維持することが必須である。特に、OSNRは、伝送信号品質を維持するためには極めて重要な測定項目である。
【0003】
ダイナミックな経路設定が可能なメッシュネットワークでは、DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)信号は任意の経路設定が行われ、これにより各チャネルの信号光は異なる経路を通過し、また異なる光ファイバアンプ段数を通過する。この場合、各チャネルのASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズパワーが大きく異なるため、各チャネルの信号光のOSNRを測定することが必要となる。
【0004】
また、変調方式も多様で、OOK(On Off Keying)、DPSK(Differential Phase Shift Keying)、DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)、DP−QPSK(Dual Polarization Quadrature Phase Shift Keying)などの様々な変調方式が検討されている。これらの変調方式に対して、信号光の品質を評価することは重要であり、信号光の品質を評価するための1つの方法としてOSNRを評価することが行われている。
【0005】
OSNR測定としては、「推定法」、「偏波ヌリング法」、「偏光度から算出する方法」など多くの方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。図10に、推定法を用いたアウトバンドOSNR評価例を示す。推定法は、被測定信号光のスペクトラムをスペクトラムアナライザで測定し、そのスペクトラムの隣接チャネル間のフロアノイズパワーNλi−Δλ及びNλi+ΔλからノイズパワーNを推定し、信号光パワーPとノイズパワーNの比からOSNR(アウトバンドOSNR)を求める。
【0006】
「偏波ヌリング法」は、偏波コントローラと偏光子を用い、偏波コントローラで信号光の偏波状態を偏光子の変光軸に直交する直線偏光となるように調整して入力することで信号光を除去し、ASEノイズパワーを直接測定して、OSNR(インバンドOSNR)を求める方法である。この方法は、信号光は偏光子で除去されるが、ASEノイズは無偏光であるためASEノイズの1/2は偏光子を通過することを利用した測定法である。
【0007】
「偏光度から算出する方法」は、波長可変フィルタの透過光のストークスパラメータ(S0,S1,S2,S3)を測定し、ストークスパラメータからOSNRを算出する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−300363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来のOSNR測定法では、以下のような問題があった。
推定法を用いたOSNR測定法の場合、ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)をもつDWDMネットワークでは、ROADMフィルタによってASEノイズがフィルタリングされ、スペクトラムの形状の信号光とノイズを区別することが困難であるため、OSNR(インバンドOSNR)を測定することはできない。
【0010】
「偏波ヌリング法」を用いたOSNR測定法の場合、偏光子の光軸に直交する直線偏光を正確に入力する必要があるため、偏波コントローラの制御に時間を要し、短時間での測定が困難である。また、2つの偏波状態の信号光が存在する場合には測定することはできないため、偏波多重信号光の評価を行うことはできない。
【0011】
「偏光度から算出する方法」を用いたOSNR測定法の場合、ストークスパラメータを測定する必要があるため、短時間での測定が困難である。また、2つの偏波状態の信号光が存在する場合には測定することはできないため、偏波多重信号光の評価を行うことはできない。
【0012】
上記のように、従来のOSNR測定法では、偏波多重信号光のOSNR(インバンドOSNR)評価を行うことはできなかった。
【0013】
そこで、本発明は、偏波多重信号光のOSNR(インバンドOSNR)を測定することのできるOSNR評価装置及びOSNR評価方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本願発明のOSNR評価装置は、2つの信号光が偏波多重された偏波多重信号光が入力され、偏波コントローラ(11)が前記偏波多重信号光の偏波状態を任意の偏波状態に変化させると共に、波長可変バンドパスフィルタ(12)が前記偏波多重信号光のうちの任意の波長の光を透過する入力信号調整部(51)と、前記入力信号調整部からの光を直交する偏波成分に分離するPBS(Polarization Beam Splitter)(13)と、前記PBSで分離された一方の光を受光する第1の受光器(14−1)と、前記PBSで分離されたもう一方の光を受光する第2の受光器(14−2)と、前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度及びOSNR(Optical Signal−to−Noise Ratio)を算出するOSNR演算部(15)と、前記偏波コントローラの変化させる偏波状態を可変し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を可変する制御処理部(16)と、を備え、前記OSNR演算部は、前記偏波コントローラの偏波状態を変化させながら受光した前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いて前記2つの信号光のパワー比を算出し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら受光した前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記信号光の波長近傍の第1波長に設定したときの前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベル並びに前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記第1波長とは異なる前記信号光の波長近傍の第2波長に設定したときの前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルからなるデータグループを求め、前記データグループ及び前記2つの信号光のパワー比を用いて前記データグループのASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズパワーを算出し、前記信号光の強度及び前記ASEノイズパワーを用いて、前記2つの信号光のOSNRを算出する。
【0015】
偏波コントローラと、制御処理部と、PBSと、第1の受光器と、第2の受光器と、OSNR演算部と、を備えるため、2つの信号光のパワー比を測定することができる。波長可変バンドパスフィルタと、制御処理部と、PBSと、第1の受光器と、第2の受光器と、OSNR演算部と、を備えるため、2つの信号光の信号光パワー及びASEノイズパワーを測定することができる。したがって、本願発明のOSNR評価装置は、偏波多重信号光のOSNR(インバンドOSNR)を測定することができる。
【0016】
本願発明のOSNR評価装置では、前記入力信号調整部及び前記PBSの間の光路に挿入され、前記偏波多重信号光を偏波成分によって異なる損失で通過させる偏波依存損失発生部(33)と、をさらに備え、前記PBSは、前記偏波依存損失発生部からの光を直交する偏波成分に分離してもよい。
偏波依存損失発生部を備えるため、2つの信号光間にパワー比をもたせることができる。したがって、本願発明のOSNR評価装置は、2つの信号光パワーが等しい場合であっても、偏波多重信号光のOSNRを算出することができる。
【0017】
上記目的を達成するために、本願発明のOSNR評価装置は、2つの信号光が偏波多重された偏波多重信号光が入力され、偏波コントローラ(11)が前記偏波多重信号光の偏波状態を任意の偏波状態に変化させると共に、波長可変バンドパスフィルタ(12)が前記偏波多重信号光のうちの任意の波長の光を透過する入力信号調整部(51)と、前記入力信号調整部からの光を2つに分岐するBS(Beam Splitter)(21)と、前記BSで分岐された一方の光を受光する第1の受光器(14−1)と、前記BSで分岐されたもう一方の光が入力され、任意の偏波成分のみの光を通過させる偏光子(22)と、前記偏光子からの光を受光する第2の受光器(14−2)と、前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いてOSNR(Optical Signal−to−Noise Ratio)を算出するOSNR演算部(15)と、前記偏波コントローラの変化させる偏波状態を可変し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を可変する制御処理部(16)と、を備え、前記OSNR演算部は、前記偏波コントローラの偏波状態を変化させながら受光した前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いて前記2つの信号光のパワー比を算出し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら受光した前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記信号光の波長近傍の第1波長に設定したときの前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベル並びに前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記第1波長とは異なる前記信号光の波長近傍の第2波長に設定したときの前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルからなるデータグループを求め、前記データグループ及び前記2つの信号光のパワー比を用いて前記データグループのASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズパワーを算出し、前記信号光の強度及び前記ASEノイズパワーを用いて、前記2つの信号光のOSNRを算出する。
【0018】
偏波コントローラと、制御処理部と、BSと、偏光子と、第1の受光器と、第2の受光器と、OSNR演算部と、備えるため、2つの信号光のパワー比を測定することができる。波長可変バンドパスフィルタと、制御処理部と、BSと、偏光子と、第1の受光器と、第2の受光器と、OSNR演算部と、を備えるため、2つの信号光の信号光パワー及びASEノイズパワーを測定することができる。したがって、本願発明のOSNR評価装置は、偏波多重信号光のOSNR(インバンドOSNR)を測定することができる。
【0019】
本願発明のOSNR評価装置では、前記入力信号調整部及び前記BSの間の光路に挿入され、前記偏波多重信号光を偏波成分によって異なる損失で通過させる偏波依存損失発生部(33)と、をさらに備え、前記BSは、前記偏波依存損失発生部からの光を分岐してもよい。
偏波依存損失発生部を備えるため、2つの信号光間にパワー比をもたせることができる。したがって、本願発明のOSNR評価装置は、2つの信号光パワーが等しい場合であっても、偏波多重信号光のOSNRを算出することができる。
【0020】
本願発明のOSNR評価装置では、前記OSNR演算部は、前記データグループを複数求め、複数の前記データグループのASEノイズパワーを算出し、複数の前記データグループのASEノイズパワーを用いて前記信号光の波長におけるASEノイズパワー及びOSNRを算出してもよい。
OSNR演算部が、複数の波長のASEノイズパワーを用いて2つの信号光のASEノイズパワーを算出するため、OSNR演算部の算出する2つの信号光のASEノイズパワーの精度を高めることができる。
【0021】
上記目的を達成するために、本願発明のOSNR評価方法は、2つの信号光が偏波多重された偏波多重信号光の偏波状態を変化させながら、前記偏波多重信号光を直交する偏波成分に分離した各分離光を受光し、前記各分離光の受光レベルを用いて前記2つの信号光のパワー比を測定する2つの信号光の光パワー比測定手順(S101)と、前記偏波多重信号光の任意の波長の光を透過する波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら、前記偏波多重信号光を直交する偏波成分に分離した各分離光を受光し、前記各分離光の受光レベルを前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長に関連付けて記憶し、受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定する偏波分離光スペクトラム測定手順(S102)と、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記信号光の波長近傍の第1波長に設定したときの前記各分離光の受光レベル並びに前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記第1波長とは異なる前記信号光の波長近傍の第2波長に設定したときの前記各分離光の受光レベルからなるデータグループを求め、前記データグループ及び前記2つの信号光の光パワー比測定手順で測定した前記2つの信号光のパワー比を用いて前記2つの信号光のASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズパワーを算出し、前記2つの信号光のASEノイズパワー及び前記偏波分離光スペクトラム測定手順で測定した前記2つの信号光の強度を用いて、前記2つの信号光のOSNRを算出する偏波分離光OSNR算出手順(S103)と、を順に有する。
【0022】
2つの信号光の光パワー比測定手順を有するため、偏波多重信号光に含まれる2つの信号光間のパワー比を測定することができる。偏波分離光スペクトラム測定手順を有するため、2つの信号光の強度を測定するとともに、2つの信号光の信号光パワー及びASEノイズパワーの算出に必要なデータを取得することができる。偏波分離光OSNR算出手順を有するため、2つの信号光のOSNRを算出する。したがって、本願発明のOSNR評価方法は、偏波多重信号光のOSNR(インバンドOSNR)を測定することができる。
【0023】
本願発明のOSNR評価方法では、前記2つの信号光の光パワー比測定手順における前記各分離光の受光レベルが等しいか否かを判定する2つの信号光の光パワー判定手順を、前記2つの信号光の光パワー比測定手順の前にさらに有し、前記各分離光の受光レベルが等しい場合、前記2つの信号光の光パワー比測定手順において、前記偏波多重信号光を偏波成分によって損失の異なる偏波依存損失発生部に通過させ、前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分離光を受光し、前記偏波分離光スペクトラム測定手順において、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら、前記波長可変バンドパスフィルタの透過光を前記偏波依存損失発生部に透過させ、前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分離光を受光し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過光を分岐した前記一方の光の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定し、前記偏波分離光OSNR算出手順において、前記第1波長及び前記第2波長に設定したときの前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分離光の受光レベル及び前記2つの信号光の光パワー比測定手順で測定した2つの信号光のパワー比を用いて前記2つの信号光のASEノイズパワーを算出してもよい。
2つの信号光の光パワー判定手順をさらに有するため、2つの信号光にパワーが等しいか否かを判定することができる。2つの信号光のパワーが等しい場合、2つの信号光の光パワー比測定手順、偏波分離光スペクトラム測定手順及び偏波分離光OSNR算出手順において、2つの信号光にパワー比をもたせることができる。したがって、本願発明のOSNR評価方法は、2つの信号光パワーが等しい場合であっても、偏波多重信号光のOSNRを算出することができる。
【0024】
本願発明のOSNR評価方法では、前記偏波分離光OSNR算出手順において、前記データグループを複数求め、複数の前記データグループのASEノイズパワーを算出し、複数の前記データグループのASEノイズパワーを用いて前記2つの信号光の波長におけるASEノイズパワー及びOSNRを算出してもよい。
2つの信号光の光パワー比測定手順において複数の波長のASEノイズパワーを用いて2つの信号光のASEノイズパワーを算出するため、2つの信号光のASEノイズパワーの精度を高めることができる。
【0025】
上記目的を達成するために、本願発明のOSNR評価方法は、2つの信号光が偏波多重された偏波多重信号光の偏波状態を変化させながら、前記偏波多重信号光を分岐した一方の分岐光を受光するとともに、前記偏波多重信号光を分岐したもう一方の分岐光を偏光子に通過させ、前記偏光子を通過後の分岐光を受光し、前記各分岐光の受光レベルを用いて前記2つの信号光のパワー比を測定する2つの信号光の光パワー比測定手順(S201)と、前記偏波多重信号光の任意の波長の光を透過する波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら、前記偏波多重信号光を分岐した一方の分岐光を受光するとともに、前記偏波多重信号光を分岐したもう一方の分岐光を偏光子に通過させ、前記偏光子を通過後の分岐光を受光し、前記各分岐光の受光レベルを前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長に関連付けて記憶し、前記各分岐光の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定するトータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順(S202)と、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記信号光の波長近傍の第1波長に設定したときの前記各分岐光の受光レベル並びに前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記第1波長とは異なる前記信号光の波長近傍の第2波長に設定したときの前記各分岐光の受光レベルからなるデータグループを求め、前記データグループ及び前記2つの信号光の光パワー比測定手順で測定した前記2つの信号光のパワー比を用いて前記2つの信号光のASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズパワーを算出し、前記2つの信号光のASEノイズパワー及び前記トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順で測定した前記2つの信号光の強度を用いて、前記2つの信号光のOSNRを算出する偏光子通過光OSNR算出手順(S203)と、を順に有する。
【0026】
2つの信号光の光パワー比測定手順を有するため、偏波多重信号光に含まれる2つの信号光間のパワー比を測定することができる。トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順を有するため、2つの信号光の強度を測定するとともに、2つの信号光の信号光パワー及びASEノイズパワーの算出に必要なデータを取得することができる。トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順を有するため、2つの信号光のOSNRを算出する。したがって、本願発明のOSNR評価方法は、偏波多重信号光のOSNR(インバンドOSNR)を測定することができる。
【0027】
本願発明のOSNR評価方法では、前記2つの信号光の光パワー比測定手順における前記各分岐光の差と前記もう一方の分岐光の受光レベルが等しいか否かを判定する2つの信号光の光パワー判定手順を、前記2つの信号光の光パワー比測定手順の前にさらに有し、前記各分岐光の差と前記もう一方の分岐光の受光レベルが等しい場合、前記2つの信号光の光パワー比測定手順において、前記偏波多重信号光を偏波成分によって損失の異なる偏波依存損失発生部に通過させ、前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分岐光を受光し、前記トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順において、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら、前記波長可変バンドパスフィルタの透過光を前記偏波依存損失発生部に透過させ、前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分岐光を受光し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過光を分岐した前記一方の光の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定し、前記偏光子通過光OSNR算出手順において、前記第1波長及び前記第2波長に設定したときの前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分岐光の受光レベル及び前記2つの信号光の光パワー比測定手順で測定した2つの信号光のパワー比を用いて前記2つの信号光のASEノイズパワーを算出してもよい。
2つの信号光の光パワー判定手順をさらに有するため、2つの信号光にパワーが等しいか否か比があるか否かを判定することができる。2つの信号光のパワーが等しい場合、2つの信号光の光パワー比測定手順、トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順及び偏光子通過光OSNR算出手順において、2つの信号光にパワー比をもたせることができる。したがって、本願発明のOSNR評価方法は、2つの信号光パワーが等しい場合であっても、偏波多重信号光のOSNRを算出することができる。
【0028】
本願発明のOSNR評価方法では、前記偏光子通過光OSNR算出手順において、前記データグループを複数求め、複数の前記データグループのASEノイズパワーを算出し、複数の前記データグループのASEノイズパワーを用いて前記2つの信号光の波長におけるASEノイズパワー及びOSNRを算出してもよい。
偏光子通過光OSNR算出手順において複数の波長のASEノイズパワーを用いて算出するため、2つの信号光のASEノイズパワーの精度を高めることができる。
【0029】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、偏波多重信号光のOSNR(インバンドOSNR)を測定することのできるOSNR評価装置及びOSNR評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1に係るOSNR評価装置の一例を示す。
【図2】2つの信号光の一例であり、(a)は一方の信号光S1を示し、(B)はもう一方の信号光S2を示す。
【図3】信号光のスペクトラムの一例を示す。
【図4】実施形態1に係るOSNR評価方法の一例を示す。
【図5】実施形態2に係るOSNR評価装置の一例を示す。
【図6】実施形態2に係るOSNR評価方法の一例を示す。
【図7】実施形態3に係るOSNR評価装置の一例を示す。
【図8】偏波依存損失発生部の具体例を示す。
【図9】実施形態4に係るOSNR評価装置の一例を示す。
【図10】推定法を用いたアウトバンドOSNR評価例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が等しい構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0033】
(実施形態1)
図1に、実施形態1に係るOSNR評価装置の一例を示す。実施形態1に係るOSNR評価装置91は、光入力部17と、入力信号調整部51と、PBS(Polarization Beam Splitter)13と、第1の受光器としてのPD(Photo Detector)14−1と、第2の受光器としてのPD14−2と、ADC(Analog−to−Digital Converter)19−1と、ADC19−2と、OSNR演算部15と、制御処理部16と、を備える。入力信号調整部51は、偏波コントローラ11及び波長可変バンドパスフィルタ12が直列に接続されている。
【0034】
光入力部17は、2つの信号光S1及びS2が直交偏波状態に偏波多重された偏波多重信号光が入力される。図2は、2つの信号光の一例であり、(a)は一方の信号光S1を示し、(b)はもう一方の信号光S2を示す。信号光S1及び信号光S2にはASEノイズが含まれている。
【0035】
図3に、信号光のスペクトラムの一例を示す。信号光は、例えば、波長λに信号が載せられた波長分割多重光信号である。信号光のスペクトラムは、波長λにピークを有し、波長λにおける信号光パワーP[λ]にはASEノイズパワーPASE[λ]が含まれている。また、波長λの信号光を透過させるROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)フィルタの波長範囲内であって、信号光の波長λから任意の波長範囲に第1波長λ及び第2波長λを有する。第1波長λ及び第2波長λなどの各波長における信号光パワーPにも、ASEノイズパワーPASEが含まれている。
【0036】
偏波コントローラ11は、光入力部17からの偏波多重信号光が入射され、入射光の偏波状態を任意の偏波状態に変化させる。波長可変バンドパスフィルタ12は、偏波コントローラ11によって任意の偏波状態にされた偏波多重信号光が入射され、入射光のうちの任意の波長の光を透過させる。PBS13は、入力信号調整部51からの光を直交する偏波成分に分離する。これにより、信号光S1のうちのαがPD14−2側に、信号光S1のうちの(1−α)がPD14−1側に分離され、信号光S2のうちの(1−α)がPD14−2側に分離され、信号光S2のうちのαがPD14−1側に分離される。このαを、直交成分分離比と呼ぶ。
【0037】
PD14−1は、PBS13で分離された一方の光を受光し、PD14−1の受光レベルPD1に応じたアナログ信号を出力する。ADC19−1は、PD14−1からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、受光レベルPD1に応じたデジタル信号をOSNR演算部15に出力する。
【0038】
PD14−2は、PBS13で分離されたもう一方の光を受光し、PD14−2の受光レベルPD2に応じたアナログ信号を出力する。ADC19−2は、PD14−2からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、受光レベルPD2に応じたデジタル信号をOSNR演算部15に出力する。
【0039】
OSNR演算部15は、受光レベルPD1及び受光レベルPD2を用いて偏波多重信号光のOSNRを算出する。制御処理部16は、偏波コントローラ11の変化させる偏波状態を可変し、波長可変バンドパスフィルタ12の透過波長を可変する。
【0040】
図4に、実施形態1に係るOSNR評価方法の一例を示す。実施形態1に係るOSNR評価方法は、2つの信号光の光パワー比測定手順S101と、偏波分離光スペクトラム測定手順S102と、偏波分離光OSNR算出手順S103と、を順に有する。以下、実施形態1に係るOSNR評価方法の詳細について、図1を参照しながら説明する。
【0041】
2つの信号光の光パワー比測定手順S101では、偏波多重信号光の偏波状態を変化させながら、偏波多重信号光を直交する偏波成分に分離した各分離光を受光し、各分離光のいずれかの受光レベルが最大のときの各分離光の受光レベルPD1及び受光レベルPD2を用いて2つの信号光S1及びS2のパワー比Rを測定する。
【0042】
例えば、偏波コントローラ11で偏波多重信号光の偏波状態を変化させながら、PD14−1及びPD14−2で受光する。OSNR演算部15は、受光レベルPD1又は受光レベルPD2が最大となる偏波コントローラ11の偏波状態における受光レベルPD1及び受光レベルPD2の比を測定する。PBS13が信号光S1と信号光S2に分離しているとき、受光レベルPD1又は受光レベルPD2が最大となる。そこで、受光レベルPD1又は受光レベルPD2が最大となったときの受光レベルPD1及び受光レベルPD2の比を測定することで、信号光S1及び信号光S2のパワー比Rを測定することができる。
【0043】
偏波分離光スペクトラム測定手順S102では、波長可変バンドパスフィルタ12の透過波長を変化させながら、PD14−1及びPD14−2で受光する。これにより、OSNR演算部15は、各波長での受光レベルPD1[λ],PD1[λ],・・・PD1[λ]及び受光レベルPD2[λ],PD2[λ],・・・PD2[λ]を取得する。
【0044】
次に、OSNR演算部15は、受光レベルPD1及びPD2を波長可変バンドパスフィルタ12の透過波長に関連付けて記憶する。例えば、OSNR演算部15は、透過波長λでの受光レベルPD1[λ],PD2[λ]をメモリに記憶する。これにより、OSNR演算部15は、波長λから波長λまでの波長帯域を有する各チャネルの受光レベルPD1[λ],PD1[λ],・・・,PD1[λ],・・・,PD1[λ]及び受光レベルPD2[λ],PD2[λ],・・・,PD2[λ],・・・,PD2[λ]を記憶する。そして、OSNR演算部15は、受光レベルPD1及び受光レベルPD2を用いて2つの信号光の強度を測定する。
【0045】
偏波分離光OSNR算出手順S103では、2つの信号光の光パワー比測定手順S101で測定したパワー比Rと、偏波分離光スペクトラム測定手順S102で測定した受光レベルPD1及びPD2を用いて、偏波多重信号光のOSNRを算出する。例えば、各チャネルの信号光を検出して信号光の波長λ及び信号光パワーP[λ]を求め、各チャネルの信号光の波長λ近傍の波長における受光レベルPD1及び受光レベルPD2を用いて信号光の波長λにおけるASEノイズパワーPASE[λ]を求め、各チャネルのASEノイズパワーPASE[λ]及び信号光パワーP[λ]を用いて各チャネルの信号光S1及び信号光S2のOSNRを算出する。
【0046】
具体的には、OSNR演算部15は、メモリからスペクトラムを読み出し、スペクトラムのピークを検出して各チャネルの信号光を検出する。そして、スペクトラムのピーク波長又はピークのセンタ波長から信号光の波長λを求め、スペクトラムのピークの光パワーから信号光パワーP[λ]を求める。信号光パワーP[λ]は、スペクトラムを任意の範囲で積分して求めたパワーから求めてもよい。
【0047】
次に、OSNR演算部15は、波長可変バンドパスフィルタ12の透過波長を第1波長λm1に設定したときの各分離光の受光レベルPD1[λm1]及びPD2[λm1]と、波長可変バンドパスフィルタ12の透過波長を第2波長λm2に設定したときの各分離光の受光レベルPD1[λm2]及びPD2[λm2]をメモリから読み出し、PD1[λm1]、PD2[λm1]、PD1[λm2]及びPD2[λm2]からなるデータグループ(m)を求める。第1波長λm1及び第2波長λm2は、信号光の波長λから任意の波長範囲にある波長を選択する。
【0048】
次に、OSNR演算部15は、複数のデータグループを求める。例えば、OSNR演算部15は、図3に示すように、信号光の波長λの長波長側の第1波長λm1及び第2波長λm2のデータグループ(m)に加え、信号光の波長λの短波長側の第1波長λi1及び第2波長λi2のデータグループ(i)も求めることが好ましい。また、OSNR演算部15の求めるデータグループの数は限定しない。例えば、OSNR演算部15は、図3に示すように、第1波長λm1及び第2波長λm2のデータグループ(m)と、第1波長λi1及び第2波長λi2のデータグループ(i)と、第1波長λj1及び第2波長λj2のデータグループ(j)と、第1波長λn1及び第2波長λn2のデータグループ(n)、の4つのデータグループを求めてもよい。
【0049】
次に、OSNR演算部15は、データグループ(m)及び2つの信号光のパワー比Rを用いてデータグループ(m)のASEノイズパワーPASEを算出する。例えば、PD1[λm1]、PD2[λm1]、PD1[λm2]、PD2[λm2]及び2つの信号光のパワー比Rを、後述する、式(21)に代入する。これにより、データグループ(m)についてのASEノイズパワーPASEを求めることができる。他のデータグループ(i)、データグループ(j)、データグループ(n)ついても同様にASEノイズパワーPASEを算出する。
【0050】
次に、OSNR演算部15は、複数のデータグループのASEノイズパワーPASEを用いて信号光の波長λにおけるASEノイズパワーPASE[λ]を算出する。例えば、複数のデータグループのASEノイズパワーPASEをフィッティング処理してフィッティング関数を算出し、フィッティング関数を用いて信号光の波長λにおけるASEノイズパワーPASE[λ]を算出する。フィッティング関数は、例えば、1次関数、2次関数、3次関数、4次関数、5次関数、ローレンツ関数又はガウス関数である。また、OSNR演算部15は、複数のデータグループのASEノイズパワーPASEを平均化処理して信号光の波長λにおけるASEノイズパワーPASE[λ]を算出してもよい。
【0051】
受光レベルPD1及び受光レベルPD2を用いて2つの信号光の強度(スペクトル)を測定する際、例えば次の方法で求めることができる。
<第1の方法>
受光レベルPD1と受光レベルPD2の和は2つの信号光PS1とPS2の和であり(PASEは含んでいるが、ASEレベルは小さいので誤差は小さい)、この和を2つの信号光S1及びS2のパワー比Rで分配して、2つの信号光の強度を求める。DP−QPSKのような偏波多重では、1つのレーザダイオードの光を分岐した後、それぞれを変調して、再び偏波多重合成するため、変調によるスペクトラムの差異はあるものの、この方法で推定可能である。
【0052】
<第2の方法>
受光レベルPD1又は受光レベルPD2が最大となるように偏波コントローラ11で偏波状態を変化させた状態では、2つの信号光は直交する直線偏光であることから、この状態での受光レベルPD1又はPD2は2つの信号光に分離されている。したがって、この状態での受光レベルPD1又は受光レベルPD2から2つの信号光の強度を求める。この場合、信号光S1をPD14−1で受光し、信号光S2をPD14−2で受光している場合、PD1[λ](ただしi=1,2,・・・N)から信号光S1のスペクトラムを求め、PD2[λ](ただしi=1,2,・・・N)から信号光S2のスペクトラムを求めることができる。そして、OSNR演算部15は、信号光S1及び信号光S2のスペクトラムをメモリに記憶する。
【0053】
次に、OSNR演算部15は、信号光の波長λにおけるASEノイズパワーPASE[λ]及び信号光パワーP[λ]を用いてOSNRを算出する。例えば、ASEノイズパワーPASE[λ]及び信号光パワーP[λ]を式(22)に代入する。
【0054】
以下、本実施形態に係るOSNR評価装置及びOSNR評価方法の原理について説明する。伝送路のROADMフィルタの帯域内においては、信号光パワーPは波長可変バンドパスフィルタ12の掃引位置によって異なるが、ASEノイズパワーPASEは波長可変バンドパスフィルタ12のフィルタ帯域が等しければ同じレベルである。また、波長可変バンドパスフィルタ12の設定波長によって、隣接する波長では信号光のレベルは変化するが、PBS13で分離される直交成分分離比αは同じとして扱うことができる。したがって、ASEノイズパワーをPASE、信号光パワーをP、波長可変バンドパスフィルタ12の帯域幅をB、2つの信号光のパワー比をRとすると、波長λm1の受光レベルPD1[λm1]及びPD2[λm1]並びに波長λm2の受光レベルPD1[λm2]及びPD2[λm2]は、次式で表される。
【0055】
【数1】

【0056】
R=PS2/PS1より、式(1)〜式(4)を書き換える。
【数5】

【0057】
式(5)〜式(8)を書き換える。
【数9】

【0058】
式(9)から式(11)を減算する。
【数13】

【0059】
式(10)から式(12)を減算する。
【数14】

【0060】
式(14)を変形する。
【数15】

【0061】
式(15)を式(13)に代入して変形する。
【数16】

【0062】
ここで、
【数17】

とおくと、式(16)は、
【数18】

で表される。
【0063】
式(9)に{α+R・(1−α)}を乗算し、式(10)に(1−α+R・α)を乗算して両者の差分をとることによって、ASEノイズパワーPASEを算出することができる。
【0064】
すなわち、式(9)に{α+R・(1−α)}を乗算する。
【数19】

【0065】
式(10)に(1−α+R・α)を乗算する。
【数20】

【0066】
式(19)から式(20)を減算する。
【数21】

式(21)を用いることで、データグループ(m)のASEノイズパワーPASEを算出することができる。
【0067】
OSNRは、
【数22】

で表される。
【0068】
本実施形態に係る発明によれば、ROADMフィルタが任意の関数の透過特性を持つ場合には、より正確なASEノイズパワーの測定が可能であり、また、ASEノイズパワー測定誤差を圧縮する効果もある。
【0069】
受信アンプなどのリニアリティを考慮したりすると、信号光パワーPとASEノイズパワーPASEのパワー差が小さくなるようなフィルタの波長位置のデータを用いること、また2つの偏波成分の分離比率が大きいことが望ましい。
【0070】
なお、本実施形態では、偏波コントローラ11の後段に波長可変バンドパスフィルタ12を備える構成としたが、波長可変バンドパスフィルタ12の後段に偏波コントローラ11を備える構成としてもよい。
【0071】
(実施形態2)
図5に、実施形態2に係るOSNR評価装置の一例を示す。実施形態2に係るOSNR評価装置92は、実施形態1のPBS13に代えて、BS(Beam Splitter)21と、偏光子22と、を備える。
【0072】
BS21は、波長可変バンドパスフィルタ12からの透過光を2つに分岐する。BS21の分岐比は、例えば1/2である。BS21で分岐された一方の光は、PD14−1で受光される。PD14−1は、受光レベルPD1に応じたアナログ信号を出力する。ADC19−1は、PD14−1からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、受光レベルPD1に応じたデジタル信号をOSNR演算部15に出力する。
【0073】
偏光子22は、BS21で分岐されたもう一方の光が入力され、任意の偏波成分のみを通過させる。これにより、信号光S1のうちのαがPD14−2側に通過し、信号光S2のうちの(1−α)がPD14−2側に通過する。このαを、直交成分分離比と呼ぶ。偏光子22を通過後の光は、PD14−2で受光される。PD14−2は、PD14−2の受光レベルPD2に応じたアナログ信号を出力する。ADC19−2は、PD14−2からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、受光レベルPD2に応じたデジタル信号をOSNR演算部15に出力する。
【0074】
図6に、実施形態2に係るOSNR評価方法の一例を示す。実施形態2に係るOSNR評価方法は、2つの信号光の光パワー比測定手順S201と、トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順S202と、偏光子通過光OSNR算出手順S203と、を順に有する。以下、実施形態2に係るOSNR評価方法の詳細について、図5を参照しながら説明する。
【0075】
OSNR評価装置92は、PD14−1が信号光S1及び信号光S2の両方の光を受光し、PD14−2が信号光S1及び信号光S2の光のうちの特定の偏波状態の光を受光する。このため、実施形態2に係るOSNR評価方法は、実施形態1と以下のような構成の相違を有する。
【0076】
2つの信号光の光パワー比測定手順S201では、2つの信号光S1及びS2が偏波多重された偏波多重信号光の偏波状態を変化させながら、偏波多重信号光を分岐した一方の分岐光をPD14−1が受光するとともに、偏波多重信号光を分岐したもう一方の分岐光を偏光子22に通過させ、偏光子22を通過後の分岐光をPD14−2が受光し、各分岐光の受光レベルPD1及びPD2を用いて2つの信号光S1及びS2のパワー比Rを測定する。
【0077】
2つの信号光S1及びS2に強度差がある場合、PD14−2(受光レベルPD2)の強度が最大となるように偏波状態を変化させたときの2つの信号光S1及びS2の偏波は互いに直交する直線偏波状態となり、2つの信号の分離が可能となる。例えば、PD14−2が信号光S2を受光し、PD14−1は信号光S1及び信号光S2の両方を受光しているとする。このとき、信号光S2の信号光パワーPS2はPD2、信号光S1の信号光パワーPS1は(受光レベルPD1−受光レベルPD2)にて求めることができる。これにより、信号光S1及び信号光S2のパワー比Rを測定する。
【0078】
トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順S202では、偏波多重信号光の任意の波長の光を透過する波長可変バンドパスフィルタ12の透過波長を変化させながら、偏波多重信号光を分岐した一方の分岐光をPD14−1が受光するとともに、偏波多重信号光を分岐したもう一方の分岐光を偏光子22に通過させ、偏光子22を通過後の分岐光をPD14−2が受光し、各分岐光の受光レベルPD1及びPD2を用いて2つの信号光S1及びS2のスペクトラムを測定する。
【0079】
例えば、OSNR演算部15は、2つの信号光の光パワー比測定手順S101における受光レベルPD1又は受光レベルPD2が最大となる偏波コントローラ11の偏波状態における受光レベルPD1及び受光レベルPD2を用いる。PD14−2が信号光S2のみを受光している場合、PD2[λ](ただしi=1,2,・・・N)から信号光S2のスペクトラムを求め、PD1[λ]−PD2[λ](ただしi=1,2,・・・N)から信号光S1のスペクトラムを求めることができる。そして、OSNR演算部15は、信号光S1及び信号光S2のスペクトラムをメモリに記憶する。また、別の方法として、例えば、受光レベルPD1を2つの信号光S1及びS2のパワー比Rで分離して求める。
【0080】
偏光子通過光OSNR算出手順S203は、実施形態1で説明した偏波分離光OSNR算出手順S103と同様である。ただし、ASEノイズパワーPASEの算出が異なる。具体的には、OSNR演算部15は、PD1[λm1]、PD2[λm1]、PD1[λm2]、PD2[λm2]、2つの信号光のパワー比Rを、後述する、式(55)に代入する。これにより、データグループ(m)についてのASEノイズパワーPASEを求めることができる。他のデータグループ(i)、データグループ(j)、データグループ(n)ついても同様にASEノイズパワーPASEを算出する。
【0081】
2つの信号光の強度(スペクトル):PS1及びPS2は、例えば次の方法で求めることができる。
<第1の方法>
受光レベルPD1は2つの信号光PS1とPS2の和であり(PASEは含んでいるが、ASEレベルは小さいので誤差は小さい)、受光レベルPD1を2つの信号光S1及びS2のパワー比Rで分配して、2つの信号光の強度を求める。
DP−QPSKのような偏波多重では、1つのレーザダイオードの光を分岐した後、それぞれを変調して、再び偏波多重合成するため、変調によるスペクトラムの差異はあるものの、この方法で推定可能である。
【0082】
<第2の方法>
受光レベルPD2が最大となるように偏波コントローラで偏波状態を変化させた状態では、2つの信号光は直交する直線偏光であることから、この状態での受光レベルPD1と受光レベルPD2の差と、受光レベルPD2から2つの信号光の強度を求める。
【0083】
上記の構成及び方法を除いては、実施形態1と同様の構成及び方法を用いることができる。
【0084】
以下、本実施形態に係るOSNR評価装置及びOSNR評価方法の原理について説明する。ASEノイズパワーをPASE、信号光パワーをP、波長可変バンドパスフィルタ12の帯域幅をB、2つの信号光パワーの比をR、BS21の分離比を1/2、直交成分分離比をαとすると、第1波長λm1の受光レベルPD1[λm1]及びPD2[λm1]並びに第2波長λm2の受光レベルPD1[λm2]及びPD2[λm2]は、次式で表される。
【0085】
【数31】

【0086】
R=PS2/PS1より、式(31)〜式(34)を書き換える。
【数35】

【0087】
式(35)〜式(38)を書き換える。
【数39】

【0088】
ここで、PD12[λm1]=PD1[λm1]−PD2[λm1]、PD12[λm2]=PD1[λm2]−PD2[λm2]とおく。
PD12[λm1]は、式(39)−式(40)より、
【数43】

と表される。
【0089】
PD12[λm2]は、式(41)−式(42)より、
【数44】

と表される。
【0090】
上記より、PD12[λm1]、PD2[λm1]、PD12[λm2]、PD2[λm2]はそれぞれ、次式で表される。
【数45】

【0091】
式(45)〜式(48)を展開する。式(45)から式(47)を減算する。
【数49】

【0092】
式(46)から式(48)を減算する。
【数50】

【0093】
式(50)に式(49)に代入する。
【数51】

【0094】
ここで、
【数52】

とおくと、式(51)は、
【数53】

で表される。
【0095】
式(45)に(α+R−R・α)を乗算し、式(46)に(1−α+R・α)を乗算して両者の差分をとることによって、ASEノイズパワーPASEを算出することができる。
【数54】

【0096】
式(54)を変形すると次式が得られる。
【数55】

【0097】
式(55)を用いることで、データグループ(m)のASEノイズパワーPASEを算出することができる。OSNRは、実施形態1で説明した式(22)を用いて求めることができる。
【0098】
本実施形態に係る発明によれば、ROADMフィルタが任意の関数の透過特性を持つ場合には、より正確なASEノイズパワーの測定が可能であり、また、ASEノイズパワー測定誤差を圧縮する効果もある。
【0099】
受信アンプなどのリニアリティを考慮したりすると、本実施形態においても信号光パワーとASEノイズパワーのパワー差が小さくなるようなフィルタの波長位置のデータを用いることが望ましい。
【0100】
なお、本実施形態では、偏波コントローラ11の後段に波長可変バンドパスフィルタ12を備える構成としたが、波長可変バンドパスフィルタ12の後段に偏波コントローラ11を備える構成としてもよい。
【0101】
(実施形態3)
図7に、実施形態3に係るOSNR評価装置の一例を示す。実施形態3に係るOSNR評価装置93は、実施形態1に係るOSNR評価装置91に、さらに、偏波依存損失発生部33と、を備える。これらの構成を備えるため、信号光S1の信号光パワーと信号光S2の信号光パワーに差を持たせてOSNRの評価を行うことができる。
【0102】
偏波依存損失発生部33は、偏波成分によって異なる損失で通過させる。これにより、信号光S1又は信号光S2のいずれかの一方の信号光パワーを低下させる。制御処理部16は、偏波依存損失発生部33での損失を制御する。PBS13は、偏波依存損失発生部33からの光を直交する偏波成分に分離する。
【0103】
偏波依存損失発生部33は、偏光成分によって損失の異なる部材からなり、例えば、2つの直交する信号光に異なる損失を与えて、2つの直交する異なる光強度の光とする。偏光成分によって損失の異なる部材は、例えば、音響光学素子、偏光回折素子、電気光学素子である。
【0104】
偏波依存損失発生部33が音響光学素子である場合、超音波の伝搬する方向とそれに垂直な方向との光弾性定数が異なるため、音響光学素子に入射する光ビームの偏波状態によって回折効率が異なる。したがって、音響光学素子の超音波信号の強度を変化させることによって、音響光学素子を通過させることで、信号光S1又はS2のパワーを容易に変化させることができる。
【0105】
図8に、偏波依存損失発生部の具体例を示す。図8に示す偏波依存損失発生部33は、光スイッチ41と、回折格子42と、光スイッチ43と、を備える。光スイッチ41は、波長可変バンドパスフィルタ12からの光が入力され、入力された光を回折格子42又は光スイッチ43のいずれかに出力する。回折格子42を通過した光又は光スイッチ41からの光が入力され、入力された光を出力する。
【0106】
2つの信号光S1及び信号光S2の信号光パワーが等しいとき、回折格子42を通過させることで、信号光1の信号光パワーと信号光2の信号光パワーに差をもたせることができる。しかし、場合によっては、損失を与えたために信号光S1及び信号光S2の信号光パワーが等しくなってしまうおそれがある。これを回避するめ、制御処理部16から光スイッチ41及び光スイッチ43の接続ポートを制御する。
【0107】
本実施形態では、OSNR演算部15は、信号光S1又は信号光S2のいずれかの信号光パワーを低下させた受光レベルPD1及びPD2を取得する。このため、実施形態3に係るOSNR評価装置93及びOSNR評価方法は、実施形態1と以下のような構成の相違を有する。
【0108】
実施形態3に係るOSNR評価方法は、2つの信号光の光パワー判定手順を、2つの信号光の光パワー比測定手順S101の前にさらに有する。2つの信号光の光パワー判定手順では、2つの信号光の光パワー比測定手順S101における各分離光の受光レベルPD1及びPD2が等しいか否かを判定する。例えば、OSNR演算部15は、受光レベルPD1又は受光レベルPD2が最大となる偏波コントローラ11の偏波状態における受光レベルPD1及び受光レベルPD2の比が任意の範囲内であるか否かを測定する。これにより、信号光S1及び信号光S2の信号光パワーが等しいか否かを判定することができる。任意の範囲内であれば受光レベルPD1及び受光レベルPD2が等しいと判定し、任意の範囲を超えていれば受光レベルPD1及び受光レベルPD2が異なると判定する。
【0109】
受光レベルPD1及び受光レベルPD2が異なる場合は、そのまま2つの信号光S1及びS2について、2つの信号光の光パワー比測定手順S101を実行する。
【0110】
受光レベルPD1及び受光レベルPD2が等しい場合は、偏波依存損失発生部33が信号光S1又は信号光S2のいずれかの一方の信号光パワーを低下させる。例えば、図8に示す光スイッチ41及び光スイッチ43を、回折格子42側に接続する。そして、この状態で、2つの信号光の光パワー比測定手順S101及び偏波分離光スペクトラム測定手順S102を実行する。
【0111】
この場合、2つの信号光の光パワー比測定手順S101において、偏波コントローラ11で偏波多重信号光の偏波状態を変化させながら、偏波多重信号光を偏波成分によって損失の異なる偏波依存損失発生部33に通過させ、偏波依存損失発生部33を通過後の偏波多重信号光の各分離光をPD14−1及びPD14−2で受光する。そして、OSNR演算部15は、受光レベルPD1又は受光レベルPD2が最大となる偏波コントローラ11の偏波状態における受光レベルPD1及び受光レベルPD2の比を測定する。これにより、信号光S1及び信号光S2のパワー比Rを測定することができる。
【0112】
偏波分離光スペクトラム測定手順S102では、波長可変バンドパスフィルタ12の透過波長を変化させながら、波長可変バンドパスフィルタ12の透過光を偏波依存損失発生部33に入射して偏波依存損失発生部33を通過後の偏波多重信号光の各分離光をPD14−1及びPD14−2で受光する。これにより、OSNR演算部15は、各波長での受光レベルPD1[λ],PD1[λ],・・・PD1[λ]及び受光レベルPD2[λ],PD2[λ],・・・PD2[λ]を取得する。
【0113】
次に、OSNR演算部15は、受光レベルPD1及びPD2を波長可変バンドパスフィルタ12の透過波長に関連付けて記憶する。例えば、OSNR演算部15は、透過波長λでの受光レベルPD1[λ],PD2[λ]をメモリに記憶する。
【0114】
次に、OSNR演算部15は、受光レベルPD1[λm1]及びPD2[λm1]を用いて2つの信号光の強度を測定する。例えば、予め偏波依存損失発生部33のPBS13の各偏光方向の偏波依存損失特性[Lp(λ),Ls(λ)]を測定してメモリに記憶しておく。受光レベルPD1又はPD2が最大となるように偏波コントローラ11で偏波状態を変化させた状態では、2つの信号光S1及びS2は直交する直線偏光であることから、この状態で受光レベルPD1又は受光レベルPD2は2つの信号光に分離されている。従って、この状態での受光レベルPD1及び受光レベルPD2をそれぞれ偏波依存損失特性の損失補正(損失Lp及び損失Lsの逆数を掛ける)を行い、2つの信号光の強度を求める。
また、ASEノイズパワーPASEについては、演算によって求めたASEノイズパワーPASEを各偏光方向の偏波依存損失特性の平均値で損失補正(損失(Lp+Ls)/2の逆数を掛ける)を行い、それらの信号光パワーP及びASEノイズパワーPASEを用いてOSNRを求める。
【0115】
偏波分離光OSNR算出手順S103では、2つの信号光の光パワー比測定手順S101で測定したパワー比Rと、偏波分離光スペクトラム測定手順S102で測定した受光レベルPD1及びPD2を用いて、OSNRを算出する。具体的な算出方法は、実施形態1と同様である。
【0116】
(実施形態4)
図9に、実施形態4に係るOSNR評価装置の一例を示す。実施形態4に係るOSNR評価装置94は、実施形態2に係るOSNR評価装置92に、さらに、偏波依存損失発生部33と、を備える。これらの構成を備えるため、信号光S1の信号光パワーと信号光S2の信号光パワーに差を持たせてOSNRの評価を行うことができる。
【0117】
偏波依存損失発生部33は、偏波成分によって異なる損失で通過させる。これにより、信号光S1又は信号光S2のいずれかの一方の信号光パワーを低下させる。制御処理部16は、偏波依存損失発生部33での損失を制御する。BS21は、偏波依存損失発生部33からの光を2つに分離する。
【0118】
偏波依存損失発生部33は、実施形態3と同様に、偏光成分によって損失の異なる部材からなり、例えば、2つの直交する信号光に異なる損失を与えて、2つの直交する異なる光強度の光とする。
【0119】
本実施形態では、OSNR演算部15は、信号光S1又は信号光S2のいずれかの信号光パワーを低下させた受光レベルPD1及びPD2を取得する。このため、実施形態4に係るOSNR評価装置94及びOSNR評価方法は、実施形態2と以下のような構成の相違を有する。
【0120】
実施形態4に係るOSNR評価方法は、2つの信号光の光パワー判定手順を、2つの信号光の光パワー比測定手順S201の前にさらに有する。2つの信号光の光パワー判定手順では、2つの信号光の光パワー比測定手順S201における各分岐光の受光レベルPD1及びPD2から2つの信号光の光パワーが等しいか否かを判定する。例えば、OSNR演算部15は、受光レベルPD2が最大となる偏波コントローラ11の偏波状態における受光レベルPD1及び受光レベルPD2の差と受光レベルPD2との比が任意の範囲内であるか否かを測定する。任意の範囲内であれば信号光S1及び信号光S2の信号光パワーが等しいと判定し、任意の範囲を超えていれば信号光S1及び信号光S2の信号光パワーが異なると判定する。
【0121】
信号光S1及び信号光S2の信号光パワーが異なる場合は、そのまま2つの信号光の光パワー比測定手順S201を実行する。
【0122】
信号光S1及び信号光S2の信号光パワーが等しい場合は、実施形態3と同様に、偏波依存損失発生部33が信号光S1又は信号光S2のいずれかの一方の信号光パワーを低下させる。例えば、図8に示す光スイッチ41及び光スイッチ43を、回折格子42側に接続する。そして、この状態で、2つの信号光の光パワー比測定手順S201及びトータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順S202を実行する。
【0123】
この場合、2つの信号光の光パワー比測定手順S201において、偏波コントローラ11で偏波多重信号光の偏波状態を変化させながら、偏波多重信号光を偏波成分によって損失の異なる偏波依存損失発生部33に通過させ、偏波依存損失発生部33を通過後の偏波多重信号光の各分岐光をPD14−1及びPD14−2で受光する。そして、OSNR演算部15は、受光レベルPD2が最大となる偏波コントローラ11の偏波状態における受光レベルPD1及び受光レベルPD2の比を測定する。これにより、信号光S1及び信号光S2のパワー比Rを測定することができる。
【0124】
トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順S202では、波長可変バンドパスフィルタ12の透過波長を変化させながら、波長可変バンドパスフィルタ12の透過光を偏波依存損失発生部33に入射して偏波依存損失発生部33を通過後の偏波多重信号光の各分岐光をPD14−1及びPD14−2で受光する。これにより、OSNR演算部15は、各波長での受光レベルPD1[λ],PD1[λ],・・・PD1[λ]及び受光レベルPD2[λ],PD2[λ],・・・PD2[λ]を取得する。
【0125】
次に、OSNR演算部15は、受光レベルPD1及びPD2を波長可変バンドパスフィルタ12の透過波長に関連付けて記憶する。例えば、OSNR演算部15は、透過波長λでの受光レベルPD1[λ],PD2[λ]をメモリに記憶する。
【0126】
次に、OSNR演算部15は、2つの信号光の強度(スペクトル)を測定する。例えば次の方法で求めることができる。
<第1の方法>
予め偏波依存損失発生部33の偏光子22の偏光軸方向とそれに直交する方向の偏波依存損失特性[Lp(λ),Ls(λ)]を測定してOSNR演算部15のメモリに記憶しておく。受光レベルPD2が最大となるように偏波コントローラ11で偏波状態を変化させた状態では、2つの信号光は直交する直線偏光であることから、この状態で受光レベルPD1と受光レベルPD2の差及び受光レベルPD2をそれぞれ偏波依存損失特性の損失補正(損失Lp及び損失Lsの逆数を掛ける)を行い、2つの信号光の強度を求める。
【0127】
<第2の方法>
また、ASEノイズパワーPASEについては、演算によって求めたASEノイズパワーPASEを各偏光方向の偏波依存損失特性の平均値で損失補正(損失(Lp+Ls)/2の逆数を掛ける)を行い、それらの信号光パワーP及びASEノイズパワーPASEを用いてOSNRを求める。
【0128】
偏光子通過光OSNR算出手順S203では、2つの信号光の光パワー比測定手順S201で測定したパワー比Rと、トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順S202で測定した受光レベルPD1及びPD2を用いて、OSNRを算出する。具体的な算出方法は、実施形態2と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、情報通信産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0130】
11:偏波コントローラ
12:波長可変バンドパスフィルタ
13:PBS
14−1,14−2:PD
15:OSNR演算部
16:制御処理部
17:光入力部
19−1,19−2:ADC
21:BS
22:偏光子
33:偏波依存損失発生部
41、43:光スイッチ
42:回折格子
51:入力信号調整部
91、92、93、94:OSNR評価装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの信号光が偏波多重された偏波多重信号光が入力され、偏波コントローラ(11)が前記偏波多重信号光の偏波状態を任意の偏波状態に変化させると共に、波長可変バンドパスフィルタ(12)が前記偏波多重信号光のうちの任意の波長の光を透過する入力信号調整部(51)と、
前記入力信号調整部からの光を直交する偏波成分に分離するPBS(Polarization Beam Splitter)(13)と、
前記PBSで分離された一方の光を受光する第1の受光器(14−1)と、
前記PBSで分離されたもう一方の光を受光する第2の受光器(14−2)と、
前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度及びOSNR(Optical Signal−to−Noise Ratio)を算出するOSNR演算部(15)と、
前記偏波コントローラの変化させる偏波状態を可変し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を可変する制御処理部(16)と、
を備え、
前記OSNR演算部は、
前記偏波コントローラの偏波状態を変化させながら受光した前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いて前記2つの信号光のパワー比を算出し、
前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら受光した前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定し、
前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記信号光の波長近傍の第1波長に設定したときの前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベル並びに前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記第1波長とは異なる前記信号光の波長近傍の第2波長に設定したときの前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルからなるデータグループを求め、前記データグループ及び前記2つの信号光のパワー比を用いて前記データグループのASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズパワーを算出し、
前記信号光の強度及び前記ASEノイズパワーを用いて、前記2つの信号光のOSNRを算出する
OSNR評価装置。
【請求項2】
前記入力信号調整部及び前記PBSの間の光路に挿入され、前記偏波多重信号光を偏波成分によって異なる損失で通過させる偏波依存損失発生部(33)をさらに備え、
前記PBSは、前記偏波依存損失発生部からの光を直交する偏波成分に分離する
ことを特徴とする請求項1に記載のOSNR評価装置。
【請求項3】
2つの信号光が偏波多重された偏波多重信号光が入力され、偏波コントローラ(11)が前記偏波多重信号光の偏波状態を任意の偏波状態に変化させると共に、波長可変バンドパスフィルタ(12)が前記偏波多重信号光のうちの任意の波長の光を透過する入力信号調整部(51)と、
前記入力信号調整部からの光を2つに分岐するBS(Beam Splitter)(21)と、
前記BSで分岐された一方の光を受光する第1の受光器(14−1)と、
前記BSで分岐されたもう一方の光が入力され、任意の偏波成分のみの光を通過させる偏光子(22)と、
前記偏光子からの光を受光する第2の受光器(14−2)と、
前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いてOSNR(Optical Signal−to−Noise Ratio)を算出するOSNR演算部(15)と、
前記偏波コントローラの変化させる偏波状態を可変し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を可変する制御処理部(16)と、
を備え、
前記OSNR演算部は、
前記偏波コントローラの偏波状態を変化させながら受光した前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いて前記2つの信号光のパワー比を算出し、
前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら受光した前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定し、
前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記信号光の波長近傍の第1波長に設定したときの前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベル並びに前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記第1波長とは異なる前記信号光の波長近傍の第2波長に設定したときの前記第1の受光器及び前記第2の受光器の受光レベルからなるデータグループを求め、前記データグループ及び前記2つの信号光のパワー比を用いて前記データグループのASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズパワーを算出し、
前記信号光の強度及び前記ASEノイズパワーを用いて、前記2つの信号光のOSNRを算出する
OSNR評価装置。
【請求項4】
前記入力信号調整部及び前記BSの間の光路に挿入され、前記偏波多重信号光を偏波成分によって異なる損失で通過させる偏波依存損失発生部(33)をさらに備え、
前記BSは、前記偏波依存損失発生部からの光を分岐する
ことを特徴とする請求項3に記載のOSNR評価装置。
【請求項5】
前記OSNR演算部は、
前記データグループを複数求め、
複数の前記データグループのASEノイズパワーを算出し、
複数の前記データグループのASEノイズパワーを用いて前記信号光の波長におけるASEノイズパワー及びOSNRを算出する
請求項1から4のいずれかに記載のOSNR評価装置。
【請求項6】
2つの信号光が偏波多重された偏波多重信号光の偏波状態を変化させながら、前記偏波多重信号光を直交する偏波成分に分離した各分離光を受光し、前記各分離光の受光レベルを用いて前記2つの信号光のパワー比を測定する2つの信号光の光パワー比測定手順(S101)と、
前記偏波多重信号光の任意の波長の光を透過する波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら、前記偏波多重信号光を直交する偏波成分に分離した各分離光を受光し、前記各分離光の受光レベルを前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長に関連付けて記憶し、受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定する偏波分離光スペクトラム測定手順(S102)と、
前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記信号光の波長近傍の第1波長に設定したときの前記各分離光の受光レベル並びに前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記第1波長とは異なる前記信号光の波長近傍の第2波長に設定したときの前記各分離光の受光レベルからなるデータグループを求め、
前記データグループ及び前記2つの信号光の光パワー比測定手順で測定した前記2つの信号光のパワー比を用いて前記2つの信号光のASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズパワーを算出し、
前記2つの信号光のASEノイズパワー及び前記偏波分離光スペクトラム測定手順で測定した前記2つの信号光の強度を用いて、前記2つの信号光のOSNRを算出する偏波分離光OSNR算出手順(S103)と、
を順に有するOSNR評価方法。
【請求項7】
前記2つの信号光の光パワー比測定手順における前記各分離光の受光レベルが等しいか否かを判定する2つの信号光の光パワー判定手順を、前記2つの信号光の光パワー比測定手順の前にさらに有し、
前記各分離光の受光レベルが等しい場合、
前記2つの信号光の光パワー比測定手順において、前記偏波多重信号光を偏波成分によって損失の異なる偏波依存損失発生部に通過させ、前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分離光を受光し、
前記偏波分離光スペクトラム測定手順において、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら、前記波長可変バンドパスフィルタの透過光を前記偏波依存損失発生部に透過させ、前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分離光を受光し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過光を分岐した前記一方の光の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定し、
前記偏波分離光OSNR算出手順において、前記第1波長及び前記第2波長に設定したときの前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分離光の受光レベル及び前記2つの信号光の光パワー比測定手順で測定した2つの信号光のパワー比を用いて前記2つの信号光のASEノイズパワーを算出する
ことを特徴とする請求項6に記載のOSNR評価方法。
【請求項8】
前記偏波分離光OSNR算出手順において、
前記データグループを複数求め、
複数の前記データグループのASEノイズパワーを算出し、
複数の前記データグループのASEノイズパワーを用いて前記2つの信号光の波長におけるASEノイズパワー及びOSNRを算出する
請求項6又は7に記載のOSNR評価方法。
【請求項9】
2つの信号光が偏波多重された偏波多重信号光の偏波状態を変化させながら、前記偏波多重信号光を分岐した一方の分岐光を受光するとともに、前記偏波多重信号光を分岐したもう一方の分岐光を偏光子に通過させ、前記偏光子を通過後の分岐光を受光し、前記各分岐光の受光レベルを用いて前記2つの信号光のパワー比を測定する2つの信号光の光パワー比測定手順(S201)と、
前記偏波多重信号光の任意の波長の光を透過する波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら、前記偏波多重信号光を分岐した一方の分岐光を受光するとともに、前記偏波多重信号光を分岐したもう一方の分岐光を偏光子に通過させ、前記偏光子を通過後の分岐光を受光し、前記各分岐光の受光レベルを前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長に関連付けて記憶し、前記各分岐光の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定するトータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順(S202)と、
前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記信号光の波長近傍の第1波長に設定したときの前記各分岐光の受光レベル並びに前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を前記第1波長とは異なる前記信号光の波長近傍の第2波長に設定したときの前記各分岐光の受光レベルからなるデータグループを求め、
前記データグループ及び前記2つの信号光の光パワー比測定手順で測定した前記2つの信号光のパワー比を用いて前記2つの信号光のASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズパワーを算出し、
前記2つの信号光のASEノイズパワー及び前記トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順で測定した前記2つの信号光の強度を用いて、前記2つの信号光のOSNRを算出する偏光子通過光OSNR算出手順(S203)と、
を順に有するOSNR評価方法。
【請求項10】
前記2つの信号光の光パワー比測定手順における前記各分岐光の差と前記もう一方の分岐光の受光レベルが等しいか否かを判定する2つの信号光の光パワー判定手順を、前記2つの信号光の光パワー比測定手順の前にさらに有し、
前記各分岐光の差と前記もう一方の分岐光の受光レベルが等しい場合、
前記2つの信号光の光パワー比測定手順において、前記偏波多重信号光を偏波成分によって損失の異なる偏波依存損失発生部に通過させ、前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分岐光を受光し、
前記トータル光スペクトラム・偏光子通過光スペクトラム測定手順において、前記波長可変バンドパスフィルタの透過波長を変化させながら、前記波長可変バンドパスフィルタの透過光を前記偏波依存損失発生部に透過させ、前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分岐光を受光し、前記波長可変バンドパスフィルタの透過光を分岐した前記一方の光の受光レベルを用いて前記2つの信号光の強度を測定し、
前記偏光子通過光OSNR算出手順において、
前記第1波長及び前記第2波長に設定したときの前記偏波依存損失発生部を通過後の前記偏波多重信号光の各分岐光の受光レベル及び前記2つの信号光の光パワー比測定手順で測定した2つの信号光のパワー比を用いて前記2つの信号光のASEノイズパワーを算出する
ことを特徴とする請求項9に記載のOSNR評価方法。
【請求項11】
前記偏光子通過光OSNR算出手順において、
前記データグループを複数求め、
複数の前記データグループのASEノイズパワーを算出し、
複数の前記データグループのASEノイズパワーを用いて前記2つの信号光の波長におけるASEノイズパワー及びOSNRを算出する
請求項9又は10に記載のOSNR評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−257194(P2011−257194A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130392(P2010−130392)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】