説明

PC壁板の接合方法、壁構造

【課題】現場におけるコンクリート打設作業を無くすべく、フルPC壁板を水平方向に建て込み可能にする。
【解決手段】フルPC壁板110は下面より突出可能な縦筋114を備え、スラブ4は、部材上面に鉄筋挿入口が開口する機械式継手42と、機械式継手42に接続された接合鉄筋41と、を備え、フルPC壁板110をスラブ4の上方に水平方向に移動して建て込み、縦筋114を突出させ、フルPC壁板110及び接合鉄筋41を機械式継手42により継手する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPC壁板の接合方法及びこの方法を用いてPC壁板が接合されてなる壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の壁を構築する方法として、フルPC壁板を用いた方法が広く用いられている。このようなフルPC壁板を用いた方法では、フルPC壁板同士の端部より鉄筋を突出させておき、隣接するフルPC壁板の壁筋を重ね継手又は機械式継手などにより継手し、これらフルPC壁板の間にコンクリートを打設することによりフルPC壁板同士を接合している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6―146439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、隣接するフルPC壁板を、一方のフルPC壁板の横筋に接合端面に鉄筋挿入口が端面に開口するように機械式継手を接続しておき、また、他方のフルPC壁板の横筋を接合端面より突出させておき、他方のフルPC壁板を、横筋の接合端面より突出した部分が機械式継手内に挿入されるように水平に移動して建て込み、機械式継手内にグラウトを充填することによりフルPC壁板を接合することが考えられる。
【0004】
しかしながら、スラブやフルPC壁板の上面、梁の下面には、新たに建て込まれたフルPC壁板との接合のために接合鉄筋が突出しており、この接合鉄筋が障害となるため、フルPC壁板を水平に移動させて建て込むことができない。このため、上記のように、フルPC壁板間にコンクリートを現場打ちする部分を設け、この部分においてフルPC壁板の壁筋を継手していた。
【0005】
このようにフルPC壁板間のコンクリートを現場打設しなければならないため、型枠の設置作業、コンクリートの打設作業、及び脱型作業等を行う必要があり、非常に手間がかかり、また、施工期間が長期化していた。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、現場におけるコンクリート打設作業を無くすべく、フルPC壁板を水平方向に建て込み可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のPC壁板の接合方法は、PC壁板と、コンクリート部材とを接合する方法であって、前記PC壁板及び前記コンクリート部材は、夫々、接合方向に延びる接合鉄筋を備え、 前記PC壁板及び前記コンクリート部材の少なくとも何れか一方の接合鉄筋は接合端面から突出可能であり、前記PC壁板を、その接合端面が前記コンクリート部材の接合端面と対向するように建て込み、前記突出可能な接合鉄筋を突出させ、前記PC壁板及びコンクリート部材の接合鉄筋を継手することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のPC壁板の接合方法は、PC壁板と、コンクリート部材とを接合する方法であって、前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち何れか一方の部材は、接合端面に開口する鉄筋収容孔と、前記鉄筋収容孔から突出可能な接合鉄筋と、を備え、前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち他方の部材は、接合端面に鉄筋挿入口が開口する機械式継手と、前記機械式継手に接続された接合鉄筋と、を備え、前記PC壁板を、その接合端面が前記コンクリート部材の接合端面と対向するように建て込み、前記突出可能な接合鉄筋を、その先端が前記機械式継手内に挿入されるように突出させ、前記鉄筋収容孔及び前記機械式継手内にグラウトを充填することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のPC壁板の接合方法は、PC壁板と、コンクリート部材とを接合する方法であって、前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち何れか一方の部材は、接合端面に開口する鉄筋収容孔と、前記鉄筋収容孔から突出可能な接合鉄筋と、を備え、前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち他方の部材は、接合端面に開口する鉄筋挿入孔と、前記鉄筋挿入孔内又はその近傍に配置された接合鉄筋と、を備え、前記PC壁板を、その接合端面が前記コンクリート部材の接合端面と対向するように建て込み、前記突出可能な接合鉄筋を、その先端が前記鉄筋挿入孔内に挿入され、前記PC壁板及びコンクリート部材の接合鉄筋が互いに部分的に重なり合うように突出させ、前記鉄筋収容孔及び前記鉄筋挿入孔内にグラウトを充填することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のPC壁板の接合方法は、PC壁板と、コンクリート部材とを接合する方法であって、前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち何れか一方の部材は、接合端面に開口する鉄筋収容孔と、前記鉄筋収容孔から突出可能な重ね鉄筋と、前記鉄筋収容孔内又はその近傍に配置された接合鉄筋とを備え、前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち他方の部材は、接合端面に開口する鉄筋挿入孔と、前記鉄筋挿入孔内又はその近傍に配置された接合鉄筋と、を備え、前記PC壁板を、その接合端面が前記コンクリート部材の接合端面と対向するように建て込み、前記重ね鉄筋を、その先端が前記鉄筋挿入孔内に挿入され、前記PC壁板及び前記コンクリート部材の接合鉄筋と夫々部分的に重なり合うように突出させ、前記鉄筋収容孔及び前記鉄筋挿入孔内にグラウトを充填することを特徴とする。
【0011】
上記のPC壁板の接合方法において、前記コンクリート部材は、梁又はスラブであってもよい。
【0012】
また、前記一方の部材は、PC壁板であって、前記突出可能な接合鉄筋は壁筋であってもよく、さらに、前記他方の部材は、PC壁板であって、前記他方の部材の接合鉄筋は、前記PC壁板の壁筋又は前記PC壁板の壁筋の近傍に埋設され、前記壁筋と重ね継手を形成する鉄筋であってもよい。
【0013】
また、前記鉄筋収容孔は、前記PC壁板を接合方向に貫通するように形成されており、
前記接合鉄筋は、前記壁筋を前記鉄筋収容孔内を挿通させることにより前記接合端面から突出してもよい。
【0014】
また、上記のPC壁板の接合方法において、前記コンクリート部材は、PC壁板であって、前記PC壁板及びコンクリート部材の接合鉄筋は壁筋であってもよい。
【0015】
また、本発明のPC壁板の接合方法は、PC壁板を、その下方に位置する下方のコンクリート部材及び水平方向に隣接する側方のコンクリート部材に接合する方法であって、前記PC壁板及び下方のコンクリート部材は、夫々上下方向に延びる上下方向接合鉄筋を備え、前記PC壁板及び下方のコンクリート部材のうち少なくとも何れか一方の前記上下方向接合鉄筋は、前記PC壁板及び下方のコンクリート部材の接合端面から突出可能であり、前記PC壁板及び側方のコンクリート部材は、夫々水平方向に延びる水平方向接合鉄筋を備え、前記PC壁板及び側方のコンクリート部材のうち何れか一方の水平方向接合鉄筋は、前記PC壁板及び側方のコンクリート部材の接合端面に突出しており、前記PC壁板を、前記下方のコンクリート部材の上方、かつ、前記側方のコンクリート部材に水平方向に隣接するように水平方向に移動して建て込み、前記PC壁板及び側方のコンクリート部材の水平方向接合鉄筋を継手し、前記接合端面から突出可能な上下方向接合鉄筋を突出させ、前記PC壁板及び下方のコンクリート部材の上下方向接合鉄筋を継手することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の壁構造は、上記のPC壁板の接合方法により、PC壁板が接合されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、PC壁板に部材の接合端面から突出可能に接合鉄筋を設けられ、この接合鉄筋を突出させてPC壁板、梁、又はスラブの接合鉄筋と継手するため、PC壁板、梁又はスラブに接合端面から接合鉄筋を突出させる必要がなくなる。これにより、フルPC壁板を水平方向に移動させて建て込むことができ、例えば、一対のフルPC壁板の何れか一方の側面に機械式継手を埋設し、他方のフルPC壁板の側面より壁筋を突出させておき、何れか一方のフルPC壁板を側面より突出した壁筋の先端が機械式継手内に挿入されるように水平方向に移動させて建て込み、一対のフルPC壁板の壁筋を機械式継手により継手することができる。これにより、現場においてコンクリートを打設する必要がなくなり、施工性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のPC壁板の接合方法の一実施形態を、柱梁架構内に壁を構築する場合を例として図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本実施形態の構築方法により構築された壁1を示す図である。同図に示すように、壁1は、柱梁架構10の柱2、5、梁3及びスラブ4により囲まれた矩形状の空間内に、複数のPC壁板110、130、150、170が縦横に建て込まれ、上下方向に隣接するPC壁板110、130、150、170の壁筋が継手され、さらに、外周のPC壁板110、130、150、170の壁筋と柱2、5、梁3又はスラブ4に埋設された接合鉄筋21、51、31、41が継手されてなる。
【0019】
以下の説明では、各フルPC壁板110、130、150、170を、図中右側から左側に向かって1〜4列目とし、図中下方から上方に向かって、A段目〜C段目として説明する。同図に示すように、本実施形態では、A、B段目の1〜2列目、A、B段目の3〜4列目、C段目の1〜2列目、及びC段目の3〜4列目には、夫々異なる種類のPC壁板110、130、150、170が用いられており、夫々type1〜4として説明する。
【0020】
図2は、本実施形態の壁1の構築方法において用いられるフルPC壁板(type1)110を示す図である。同図に示すように、フルPC壁板(type1)110は、鉛直方向(図中縦方向)に延びるように貫通孔113が形成された矩形状のPC壁本体110Aと、貫通孔113内に収容され、鉛直下方に突出可能な縦筋114と、PC壁本体110A上面に鉄筋挿入口が開口するように埋設された機械式継手116と、機械式継手116に接続され、縦筋114の近傍に埋設された接合鉄筋115と、PC壁本体110A内に横方向に延びるように埋設され、一端(図2における左側端部)が部材側面より突出する横筋111と、横筋111の一方の端部(図2における右側端部)に接続され、鉄筋挿入口が部材側面に開口するように設けられた機械式継手112と、を備える。
【0021】
また、図3は、フルPC壁板(type2)130を示す図である。同図に示すように、フルPC壁板(type2)130は、鉛直方向(図中縦方向)に延びるように複数の貫通孔133が形成された矩形状のPC壁本体130Aと、貫通孔133内に収容され、鉛直下方に突出可能な縦筋134と、PC壁本体130Aの上面に鉄筋挿入口が開口するように埋設された機械式継手136と、機械式継手136に接続され、縦筋134の近傍に埋設された接合鉄筋135と、横方向に延びるようにPC壁本体130Aに埋設された横筋131と、横筋131の一方の端部(図3における右側端部)に接続され、鉄筋挿入口がPC壁本体130Aの側面に開口するように設けられた機械式継手132と、機械式継手132が埋設されたのとは逆側の側面の横筋131の近傍に開口するように形成された鉄筋収容孔137と、鉄筋収容孔137内に収容され、部材端面より突出可能な接合鉄筋138と、を備える。なお、フルPC壁板(type1)と異なり、横筋131の機械式継手132が接続されたのとは逆側の端部は部材側面から突出しておらず、部材内に埋設されている。
【0022】
また、図4は、フルPC壁板(type3)150を示す図である。同図に示すように、フルPC壁板(type3)150は、矩形状のPC壁本体150Aと、このPC壁本体150Aの上面及び下面の縦筋154の近傍に開口するように設けられた鉄筋収容孔156、158と、これら鉄筋収容孔156、158に夫々収容され、夫々上方及び下方に部材端面より突出可能な接合鉄筋155、157と、横方向に延びるようにPC壁本体150Aに埋設された横筋151と、横筋151の一方の端部(図4における右側端部)に接続され、鉄筋挿入口がPC壁本体150Aの側面に開口するように設けられた機械式継手152と、を備える。横筋151の機械式継手152が接続されたのと逆側の端部はPC壁本体150Aの部材側面より突出している。
【0023】
また、図5は、フルPC壁板(type4)170を示す図である。同図に示すように、フルPC壁板(type4)170は、矩形状のPC壁本体170Aと、このPC壁本体170Aの上面及び下面の縦筋174の近傍に開口するように設けられた鉄筋収容孔176、178と、これら鉄筋挿入孔176、178に夫々収容され、夫々上方及び下方に部材端面より突出可能な接合鉄筋175、177と、横方向に延びるようにPC壁本体170Aに埋設された横筋171と、横筋171の一方の端部(図5における右側端部)に接続され、鉄筋挿入口がPC壁本体170Aの側面に開口するように設けられた機械式継手172と、機械式継手172の鉄筋挿入口が開口するのとは逆側の側面の横筋171の近傍に開口する鉄筋収容孔179と、鉄筋収容孔179内に収容され、図中左側端面より突出可能な接合鉄筋180と、を備える。横筋171の機械式継手172が接続されたのとは逆側の端部はPC壁本体170Aの側面から突出しておらず、部材内に埋設されている。
【0024】
なお、上記の縦筋114、134や、接合鉄筋138、155、157、175、177、180などは、予め、紐などの線条体を取り付けた状態で孔内に収容しておき、これを引っ張ることにより、下方より突出しないように保持したり、上面より突出させることができる。
【0025】
図6〜図15は、本実施形態の壁の構築方法を説明するための図である。同図に示すように、柱梁架構10の柱2、5、梁3及びスラブ4にはフルPC壁板110、130、150、170と接続するための、接合鉄筋21、31、41、51が埋設されている。柱2の接合鉄筋21は、柱2、5、梁3及びスラブ4により囲まれる空間に向かって表面より突出している。また、梁3,スラブ4及び柱5の接合鉄筋31、41、51の先端には機械式継手32、42、52が接続されており、これら機械式継手32、42、52の鉄筋挿入口は梁3,スラブ4及び柱5の表面に開口している。
【0026】
まず、図6に示すように、A段目1列目のフルPC壁板(type1)110を水平方向にスライドさせ、柱21の表面より突出する接合鉄筋21の先端が部材側面に開口する機械式継手112内に挿入されるように建て込む。そして、図7に示すように、建て込んだフルPC壁板(Type1)110の縦筋114を部材下面より突出させ、スラブ4に埋設された機械式継手42内に先端を挿入する。
【0027】
次に、図8に示すように、A段目1列目のフルPC壁板110の横筋111の先端が、部材側面に開口する機械式継手112内に挿入されるように、A段目2列目のフルPC壁板(type1)110を水平方向にスライドさせて建て込む。そして、縦筋114を部材下面より突出させ、スラブ4に埋設された機械式継手42内に先端を挿入する。
【0028】
次に、図9に示すように、A段目2列目のフルPC壁板110の横筋111の先端が、側面に開口する機械式継手132に挿入されるように、A段目3列目のフルPC壁板(type2)130を水平方向にスライドさせて建て込む。そして、縦筋134を部材下面より突出させ、梁4に埋設された機械式継手42内に先端を挿入する。なお、部材側面に開口する鉄筋収容孔137内に収容された接合鉄筋138は突出させず、鉄筋収容孔137内に収容された状態のままにする。
【0029】
次に、図10に示すように、A段目4列目のフルPC壁板(type2)130を建て込む。なお、A段目4列目のフルPC壁板130は、図10における左右方向に移動させて建て込むことができないため、紙面上下方向にスライドさせて建て込む。そして、縦筋134を部材下面より突出させ、梁4に埋設された機械式継手42内に先端を挿入する。また、A段目3列目及びA段目4列目のフルPC壁板130の部材側面の鉄筋収容孔138内に収容された接合鉄筋137を突出させ、夫々、A段目4列目のフルPC壁板130の側面及び柱の側面に開口する機械式継手132、52内に先端を挿入させる。
次に、図11に示すように、A段目1〜4列目を建て込んだのと同様に、B段目1〜4列目のフルPC壁板110、120を建て込む。
【0030】
次に、図12に示すように、C段目1列目のフルPC壁板(type3)150を水平方向にスライドさせ、柱2の表面より突出する接合鉄筋21の先端が、部材側面に開口する機械式継手152内に挿入されるように建て込む。そして、C段目1列目のフルPC壁板150の上下面より接合鉄筋155、157を、夫々梁3の下面に開口する機械式継手32及びB段目1列目のフルPC壁板110の上面に開口する機械式継手116内に先端が挿入されるように突出させる。
【0031】
次に、C段目1列目のフルPC壁板150と同様に、C段目2列目のフルPC壁板(type3)150を水平方向にスライドさせ、C段目1列目のフルPC壁板150の横筋151の先端が、部材側面に開口する機械式継手152内に挿入されるように建て込む。そして、C段目2列目のフルPC壁板150の上下面より接合鉄筋155、157を、夫々梁3の下面に開口する機械式継手32及びB段目2列目のフルPC壁板110の上面に開口する機械式継手116内に先端が挿入されるように突出させる。
【0032】
次に、図13に示すように、C段目3列目のフルPC壁板(type4)170を水平方向にスライドさせ、C段目2列目のフルPC壁板150の横筋151の先端が、部材側面に開口する機械式継手172内に挿入されるように建て込む。そして、C段目3列目のフルPC壁板170の上下面より接合鉄筋175、177を、夫々梁3の下面に開口する機械式継手32及びB段目3列目の上面に開口する機械式継手136内に先端が挿入されるように突出させる。なお、部材側面に開口する鉄筋収容孔180内に収容された接合鉄筋179は突出させず、鉄筋挿入孔180内に収容された状態のままにする。
【0033】
次に、図14に示すように、C段目4列目のフルPC壁板(type4)170を建て込む。なお、C段目4列目のフルPC壁板170は、図中左右方向に移動させて建て込むことができないため、紙面に対して垂直方向にスライドさせて建て込む。そして、接合鉄筋175、177を部材上下面より突出させ、夫々、梁3の下面に開口する機械式継手32及びB段目4列目の上面に開口する機械式継手136内に先端を挿入する。また、C段目3列目及びC段目4列目のフルPC壁板170の部材側面に開口する鉄筋収容孔180内に挿入された接合鉄筋179を、夫々、C段目4列目のフルPC壁板170の側面に開口する機械式継手172及び柱の側面に開口する機械式継手52内に先端が挿入されるように突出させる。なお、梁3をPC梁部材により構成するような場合には、C段4列目のフルPC壁板170を垂直方向に建て込んでもよく、このような場合には、C段1〜4列目のフルPC壁板150、170の接合鉄筋155、175は突出させておいてもよい。
【0034】
そして、図15に示すように、各フルPC壁板110、130、150、170の機械式継手、鉄筋収容孔、及び貫通孔内にグラウト6を充填する。これにより、フルPC壁板110、130、150、170の縦筋及び横筋は、機械式継手又は重ね継手により継手され、さらに、外周側のフルPC壁板110、130、150、170の縦筋及び横筋は梁3、スラブ4又は柱2、5に埋設された接合鉄筋31、41、21,51と継手されることとなる。さらに、各フルPC壁板110、130、150、170の間、フルPC壁板110、130、150、170と梁3、スラブ4又は柱2、5の間の目地にグラウト6を充填する。
以上の工程により梁3、スラブ4又は柱2、5により囲まれる空間内に壁1を構築することができる。
【0035】
本実施形態によれば、A,B段目のフルPC壁板(type1、2)110、130では縦筋114,134を下面より突出可能とし、フルPC壁板(type1、2)110、130の建て込み後、縦筋114、134を下方に突出させて、下方に位置するフルPC壁板又はスラブに埋設された機械式継手116、136、42に先端を挿入し、この機械式継手116、136、42により継手することとしたため、スラブやフルPC壁板の上面より接合鉄筋を突出させる必要がなくなり、フルPC壁板(type1、2)110、130を水平方向にスライドさせて建て込むことが可能となる。
【0036】
また、C段目のフルPC壁板(type3、4)150、170では、接合鉄筋175,177を上下面より突出可能とし、フルPC壁板(type3、4)150、170の建て込み後、接合鉄筋155、157を上下に突出させて、上下に位置するフルPC壁板又は梁3に埋設された機械式継手116、136、32に先端を挿入し、この機械式継手116、136、42により継手することとしたため、梁3やフルPC壁板の上面より接合鉄筋を突出させる必要がなくなり、フルPC壁板(type3、4)150、170を水平方向にスライドさせて建て込むことが可能となる。
【0037】
このように、フルPC壁板110、130、150、170を水平方向に移動して建て込むことができるため、フルPC壁板110、130、150、170の接合端面に機械式継手112、132、152、172を埋設しておき、フルPC壁板110、130、150、170を水平方向に移動して建て込み、機械式継手112、132、152、172内に横筋111、131、151、171を挿入して継手することができる。このため、水平方向に隣接するフルPC壁板110、130、150、170を現場においてコンクリートを打設することなく接合することができる。
【0038】
なお、上記の実施形態においてフルPC壁板(type1及びtype2)110、130の縦筋114、134は貫通孔113、133内に収容した状態でフルPC壁板(type1及びtype2)110、130を建て込むものとしたが、これに限らず、フルPC壁板(type1及びtype2)110、130の建て込み後、部材上方より貫通孔113、133内に縦筋114、134を挿入し、下面より突出させてもよい。
【0039】
また、縦筋114、134を収容する孔は上記の実施形態のように貫通孔113、133とせずに、部材の下面のみに開口する孔としてもよい。
【0040】
また、上記の構成では、フルPC壁板(type1及びtype2)110、130については、縦筋114、134を下方に突出可能とし、下方に位置するフルPC壁板110、130又はスラブ4の上面に開口する機械式継手116、136、42内に先端が到達するように縦筋114、134を突出させて継手する構成とし、フルPC壁板(type3及びtype4)150、170については、上下面より接合鉄筋155、157、175、177を突出可能とし、上下に位置する梁4又はフルPC壁板110、130の機械式継手内116、136、32に先端が到達するように接合鉄筋155、157、175、177を突出させて継手する構成としたが、本発明のPC壁板の接合方法はこれに限られない。
【0041】
図16〜図21は、本発明のフルPC壁板の接合方法の別の実施形態を示す図である。
図16に示すフルPC壁板210、220の接合方法では、フルPC壁板210、220は、上下方向に延びるように貫通孔213、223が設けられ、貫通孔213、223内に部材上面より突出可能に縦筋214、224が収容されており、また、部材の下部の貫通孔213、223の近傍には、接合鉄筋215、225が埋設され、これら接合鉄筋215、225には、部材下面に鉄筋挿入口が開口するように埋設された機械式継手216、226が接続されている。このようなフルPC壁板210、220を上下に接続する場合には、上方のフルPC壁板210を下方のフルPC壁板220の上方に建て込み、下方のフルPC壁板220の縦筋224を上方に突出させ、上方のフルPC壁板210の下面に開口する機械式継手216内に先端を挿入し、貫通孔213、223及び機械式継手216内と上方及び下方のフルPC壁板210、220間の目地にグラウトを充填すればよい。これにより上方のフルPC壁板210の縦筋214と接合鉄筋215とが重ね継手により継手され、接合鉄筋215と下方のフルPC壁板220の縦筋224とが機械式継手216により継手されるため、上下のフルPC壁板210、220の縦筋214、224を継手することができる。
【0042】
また、図17に示すフルPC壁板230、240の接合方法では、フルPC壁板230、240は、部材の上面から下面まで貫通する貫通孔233、243が設けられ、貫通孔233、243内には、部材の上下高さよりも長い縦筋234、244が収容されている。このようなフルPC壁板230、240を接合する場合には、上方のフルPC壁板230を、縦筋234を下面から先端が突出しないように保持した状態で、水平方向にスライドさせて建て込み、縦筋234を部材下面より突出させる。これにより、下方のフルPC壁板240の貫通孔243内に上方のフルPC壁板230の縦筋234が挿入され、上方及び下方のフルPC壁板230、240の縦筋234、244が部分的に重なり合う。このような状態で上方及び下方のフルPC部材230、240の貫通孔233、243内にグラウトを充填することにより、上方及び下方のフルPC壁板230、240の縦筋234,244を重ね継手により継手することができる。
【0043】
また、図18に示すフルPC壁板250、260の接合方法では、フルPC壁板250、260は、部材の上面から下面まで貫通する貫通孔253、263が設けられ、貫通孔253、263内には、縦筋254、264と接合鉄筋255、265が挿入されている。なお、重ね鉄筋255、265は、部材上面より突出させることが可能である。このようなフルPC壁板250、260を接合するには、上方のフルPC壁板250を下方のフルPC壁板260の上方に水平方向に移動させて建て込み、下方のフルPC壁板260の重ね鉄筋265を上方に突出させて上方のフルPC壁板250の貫通孔253内に先端を挿入する。これにより、上方及び下方のフルPC壁板250、260の縦筋254、264と重ね鉄筋265とが夫々部分的に重なり合うこととなる。そして、貫通孔253、263内にグラウトを充填する。これにより、縦筋254、264と重ね鉄筋265とが夫々重ね継手により継手され、上方及び下方のフルPC壁板250、260の縦筋254、264を継手することができる。
【0044】
また、図19に示すフルPC壁板270、280の接合方法では、フルPC壁板270、280は、縦筋274、284は部材本体内に埋設されており、部材の上面には鉄筋収容孔276,286が形成されており、この鉄筋収容孔276、286内には重ね鉄筋275、285が収容されている。また、部材の下面には挿入孔277、287が形成されている。このようなフルPC壁板270、280を接合する場合には、上方のフルPC壁板270を水平方向に移動させて下方のフルPC壁板280の上方に建て込み、下方のフルPC壁板280の重ね鉄筋285を上方に突出させて、上方のフルPC壁板270の下面に開口する挿入孔277内に先端を挿入する。これにより、上方及び下方のフルPC壁板270、280の縦筋274、284と重ね鉄筋285とが夫々部分的に重なり合うこととなる。そして、上方のフルPC壁板270の挿入孔277、及び下方のフルPC壁板280の鉄筋収容孔286にグラウトを充填する。これにより、縦筋274、284と重ね鉄筋285とが夫々重ね継手により継手され、上方及び下方のフルPC壁板270、280の縦筋274、284を継手することができる。
【0045】
なお、図19に示すフルPC壁板270、280の接合方法では、フルPC壁板270、280に上面に開口するように鉄筋収容孔276、286を設け、また、下面に開口するように挿入孔277、287を設け、鉄筋収容孔276、286内に接合鉄筋285を収容しておくものとしたが、これに限らず、フルPC壁板270、280に上面に開口するように挿入孔を設け、また、下面に開口するように鉄筋収容孔を設け、この鉄筋収容孔に接合鉄筋を収容するものとしてもよい。かかる構成であっても、上方のフルPC壁板280の建て込み後に、接合鉄筋を下方に突出させ、下方のフルPC壁板280の挿入孔に挿入することで、重ね継手を形成することができる。
【0046】
また、図20に示すフルPC壁板290、300の接合方法では、フルPC壁板290、300は、部材の上面から下面まで貫通する貫通孔293、303が設けられ、貫通孔293、303内には、部材の上下高さよりも長い縦筋294、304が収容されている。また、部材上面の貫通孔293、303の近傍には挿入孔295、305が形成されている。このようなフルPC壁板290、300を接合する場合には、上方のフルPC壁板290を、縦筋294を部材下面より突出しないように保持した状態で水平方向に移動させて建て込み、上方のフルPC壁板290の縦筋294を部材下面より突出させて、その先端を下方のフルPC壁板300の上面に開口する挿入孔305内に挿入する。これにより上下のフルPC壁板290、300の縦筋294、304が部分的に重なり合うことになる。そして、貫通孔293、303及び挿入孔305内にグラウトを充填する。これにより、上方及び下方のフルPC壁板290、300の縦筋294、304が重ね継手により継手される。
【0047】
また、図21に示すフルPC壁板350、360の接合方法では、フルPC壁板350、360は、部材の上下方向に延びるように縦筋353、363が埋設され、縦筋353、363の近傍の部材上部には、上面に開口する鉄筋収容孔358、368が形成され、鉄筋収容孔358、368の内部には接合鉄筋357、367が収容されている。また、フルPC壁板350、360の縦筋353、363の近傍の部材下部には、接合鉄筋3555、365が埋設され、接合鉄筋355、365には部材下面に鉄筋挿入孔が開口するように機械式継手356、366が埋設されている。このようなフルPC壁板350、360を接合するには、上方のフルPC壁板350を水平方向に移動させて、下方のフルPC壁板360の上方に建て込み、下方のフルPC壁板360の鉄筋収容孔368の内部に収容された接合鉄筋367を部材上面より突出させて、その先端を上方のフルPC壁板350の機械式継手356内に挿入する。そして、機械式継手356内及び鉄筋収容孔367内にグラウトを充填する。これにより、接合鉄筋355、368が機械式継手367により継手され、また、これら接合鉄筋355、368が夫々、縦筋353、363に重ね継手により継手される。
【0048】
また、図22に示すフルPC壁板310、320、330の接合方法では、中間のフルPC壁板320は上面から下面まで貫通する貫通孔323が設けられ、貫通孔323内にはその上面より突出可能な上方の縦筋325及びその下面より突出可能な下方の縦筋324が挿入されている。なお、上方の縦筋325及び下方の縦筋324は夫々上面及び下面から突出させた場合であってもその一部が重なり合うような長さを有する。また、上方及び下方のフルPC壁板310、330は、上下方向に延びるように縦筋313、333が埋設され、その両端には夫々部材上面及び下面に鉄筋挿入口が開口するように機械式継手314、315、334、335が接続されている。これらのフルPC壁板310、320、330を接続する場合には、中間のフルPC壁板320を上方及び下方の縦筋324、325が上下面より突出しないように保持した状態で、水平方向に移動させて下方のフルPC壁板330の上方に建て込み、下方の縦筋324を下面より突出させ、先端を下方のフルPC壁板330の上方の機械式継手335内に挿入させる。さらに、上方のフルPC壁板310を中間のフルPC壁板320の上方に水平方向に移動させて建て込む。そして、中間のフルPC壁板320の上方の縦筋325を上面より突出させ、その先端を上方のフルPC壁板310の下方の機械式継手314に挿入させる。
【0049】
そして、中間のフルPC壁板320の貫通孔323、上方のフルPC壁板310の下方の機械式継手314、及び下方のフルPC壁板330の上方の機械式継手335内にグラウトを充填する。これにより、中間のフルPC壁板320の上方及び下方の縦筋325、324が重ね継手により継手され、さらに、上方及び下方の縦筋325、324が夫々、上方及び下方のフルPC壁板310、330の縦筋313、333に機械式継手314、335により継手される。
【0050】
さらに、フルPC壁板の接合方法は、上記説明した方法に限られず、要するに、上方又は下方のフルPC壁板の何れか一方の縦筋又は縦筋の近傍に配置された接合鉄筋が接合端面より突出可能であり、この縦筋又は接合鉄筋を突出させることにより、他方のPC壁板の縦筋又は縦筋の近傍に埋設された接合鉄筋と、機械式継手又は重ね継手により継手することができればよい。
【0051】
なお、図6〜図15を参照して説明した壁の構築方法における上下のフルPC壁板の接合方法及び図16〜図22を参照して説明したフルPC壁板の接合方法は、フルPC壁板と梁又はスラブとを接合する場合にも適用することができる。このような場合には、図16〜図22におけるフルPC壁板の何れか一つ(図22の接合方法では中間のフルPC壁板320を除く)を梁又はスラブに替えればよい。
【0052】
また、フルPC壁板を接続して壁を構築する場合には、必ずしも、上記のフルPC壁板の接合方法の何れかのみを用いる必要はなく、複数の方法を併用してもよい。
また、上記の図6〜図15を参照して説明した壁の構築方法では、柱とフルPC壁板とを、柱に埋設された接合鉄筋とフルPC壁板の横筋とを継手し、さらに、フルPC壁板と柱との間にグラウトを充填して接合しているが、これに限らず、柱の接合鉄筋を省略し、フルPC壁板の横筋は柱筋とは継手せずに、フルPC壁板と柱の間にグラウトを充填するのみとしてもよい。この場合、柱やフルPC壁板の接合端面にシアキーを設けてもよい。
【0053】
また、上記の実施形態において、水平方向に隣接するフルPC壁板は、一方の側面より突出する横筋又は突出可能な接合鉄筋が設けられ、他方の端面に鉄筋挿入口が開口するように機械式継手が埋設されており、横筋又は接合鉄筋を機械式継手に挿入し、機械式継手内にグラウトを充填することにより接続したが、これに限らず、図23に示すように、一部の横筋411は接合端面より突出させ、残りの横筋411には接合端面に鉄筋挿入口が開口するように機械式継手412を接続しておいてもよい。また、図24に示すように、部材両側面より横筋431が突出したフルPC壁板430と、部材両側面に機械式継手421、422が埋設されたフルPC壁板420とを用いても、これらのフルPC壁板420、430を交互に接続することによりフルPC壁板420、430を水平方向に接続していくことができる。要するに、隣接するフルPC壁板の横筋のうち何れか一方に機械式継手が接続されており、他方が先端が部材側面より突出していれば継手することができる。
【0054】
また、隣接するフルPC壁板の横筋を重ね継手により継手することも可能である。すなわち、何れか一方の横筋の近傍に接合端面に開口する孔が設けられており、他方の横筋を接合端面より突出させておけば重ね継手により継手することができる。
また、必ずしも、隣接するフルPC壁板の何れか一方の横筋を接合端面より突出させる必要はなく、横筋の近傍に接合端面より突出可能な接合鉄筋を設ける構成としてもよい。
【0055】
さらに、上記図6〜図15を参照して説明した壁の構築方法における上下のフルPC壁板の接合方法及び図16〜図22を参照して説明した上下方向に隣接するフルPC壁板の接合方法を水平方向に隣接するフルPC壁板の接合方法に適用することも可能である。このような場合には、図16〜図22を90度回転させた状態が、水平方向に隣接するフルPC壁板の接合に適用した場合にあたる。このように、水平方向に隣接するフルPC壁板の横筋の継手方法は問わない。
【0056】
また、本実施形態では、PC壁板を水平方向に移動させて建て込む場合について説明したが、これに限らず、PC壁板を鉛直方向に移動させて建て込むことも可能である。かかる場合には、上記図6〜図15を参照して説明した壁の構築方法における上下のフルPC壁板の接合方法及び図16〜図22を参照して説明した上下方向に隣接するフルPC壁板の接合方法を水平方向に隣接するフルPC壁板の接合方法に適用すればよい(これらの図を90度回転させた状態)。なお、上記の各実施形態における水平方向に隣接するフルPC壁板の横筋の継手方法と同様に、上下方向に隣接するフルPC壁板の縦筋の継手方法は問わない。
【0057】
また、上記の実施形態では、1階層分の壁を構築する場合について説明したが、これに限らず、図25に示すように、複数階層に亘るような壁410を構築する場合にも本実施形態のフルPC壁板の接合方法を適用することができる。このような場合には、フルPC壁部材として、壁と梁の一部が一体となった梁つきのフルPC壁板を用いてもよい。このような場合は、梁を構成するコンクリートは現場打ちとしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態の構築方法により構築された壁を示す図である。
【図2】フルPC壁板(type1)を示す図である。
【図3】フルPC壁板(type2)を示す図である。
【図4】フルPC壁板(type3)を示す図である。
【図5】フルPC壁板(type4)を示す図である。
【図6】本実施形態の壁の構築方法を説明するための図(その1)である。
【図7】本実施形態の壁の構築方法を説明するための図(その2)である。
【図8】本実施形態の壁の構築方法を説明するための図(その3)である。
【図9】本実施形態の壁の構築方法を説明するための図(その4)である。
【図10】本実施形態の壁の構築方法を説明するための図(その5)である。
【図11】本実施形態の壁の構築方法を説明するための図(その6)である。
【図12】本実施形態の壁の構築方法を説明するための図(その7)である。
【図13】本実施形態の壁の構築方法を説明するための図(その8)である。
【図14】本実施形態の壁の構築方法を説明するための図(その9)である。
【図15】本実施形態の壁の構築方法を説明するための図(その10)である。
【図16】フルPC壁板の接合方法の別の実施形態を示す図(その1)である。
【図17】フルPC壁板の接合方法の別の実施形態を示す図(その2)である。
【図18】フルPC壁板の接合方法の別の実施形態を示す図(その3)である。
【図19】フルPC壁板の接合方法の別の実施形態を示す図(その4)である。
【図20】フルPC壁板の接合方法の別の実施形態を示す図(その5)である。
【図21】フルPC壁板の接合方法の別の実施形態を示す図(その6)である。
【図22】フルPC壁板の接合方法の別の実施形態を示す図(その7)である。
【図23】水平方向に隣接するフルPC壁板の接合方法の別の実施形態を示す図(その1)である。
【図24】水平方向に隣接するフルPC壁板の接合方法の別の実施形態を示す図(その2)である。
【図25】フルPC壁板を用いて構築した複数階層に亘る壁を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 壁
2 柱
3 梁
4 スラブ
5 柱
10 柱梁架構
21、31、41、51 接合鉄筋
22、32、42、52 機械式継手
110 フルPC壁板(type1)
110A フルPC壁本体
111、131、151 横筋
112、132、152 機械式継手
113、133 貫通孔
114、134、154、174 縦筋
115、135 接合鉄筋
116、136 機械式継手
130 フルPC壁板(type2)
137 鉄筋収容孔
138 接合鉄筋
150 フルPC壁板(type3)
155、157、175、177 接合鉄筋
156、158、176、178 鉄筋収容孔
170 フルPC壁板(type4)
179 鉄筋収容孔
180 接合鉄筋
210、220、230、240、250、260 フルPC壁板
213、223、233、243、253、263 貫通孔
214、224、234、244、254,264 縦筋
215、225 接合鉄筋
216、226 機械式継手
270、280、290、300、310、320、330 フルPC壁板
274、284、294、304、313、333 縦筋
255、265、275、285 重ね鉄筋
276、286 鉄筋収容孔
277、287 挿入孔
293、303、323 貫通孔
314、315、334、335 機械式継手
324 下方の縦筋
325 上方の縦筋
350、360 フルPC壁板
353、363 縦筋
355、365 接合鉄筋
356、366 機械式継手
357、367 鉄筋収容孔
358、368 接合鉄筋
410、420、430 フルPC壁板
411、421、431 横筋
412、422 機械式継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC壁板と、コンクリート部材とを接合する方法であって、
前記PC壁板及び前記コンクリート部材は、夫々、接合方向に延びる接合鉄筋を備え、
前記PC壁板及び前記コンクリート部材の少なくとも何れか一方の接合鉄筋は接合端面から突出可能であり、
前記PC壁板を、その接合端面が前記コンクリート部材の接合端面と対向するように建て込み、
前記突出可能な接合鉄筋を突出させ、前記PC壁板及びコンクリート部材の接合鉄筋を継手することを特徴とするPC壁板の接合方法。
【請求項2】
PC壁板と、コンクリート部材とを接合する方法であって、
前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち何れか一方の部材は、接合端面に開口する鉄筋収容孔と、前記鉄筋収容孔から突出可能な接合鉄筋と、を備え、
前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち他方の部材は、接合端面に鉄筋挿入口が開口する機械式継手と、前記機械式継手に接続された接合鉄筋と、を備え、
前記PC壁板を、その接合端面が前記コンクリート部材の接合端面と対向するように建て込み、
前記突出可能な接合鉄筋を、その先端が前記機械式継手内に挿入されるように突出させ、
前記鉄筋収容孔及び前記機械式継手内にグラウトを充填することを特徴とするPC壁板の接合方法。
【請求項3】
PC壁板と、コンクリート部材とを接合する方法であって、
前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち何れか一方の部材は、接合端面に開口する鉄筋収容孔と、前記鉄筋収容孔から突出可能な接合鉄筋と、を備え、
前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち他方の部材は、接合端面に開口する鉄筋挿入孔と、前記鉄筋挿入孔内又はその近傍に配置された接合鉄筋と、を備え、
前記PC壁板を、その接合端面が前記コンクリート部材の接合端面と対向するように建て込み、
前記突出可能な接合鉄筋を、その先端が前記鉄筋挿入孔内に挿入され、前記PC壁板及びコンクリート部材の接合鉄筋が互いに部分的に重なり合うように突出させ、
前記鉄筋収容孔及び前記鉄筋挿入孔内にグラウトを充填することを特徴とするPC壁板の接合方法。
【請求項4】
PC壁板と、コンクリート部材とを接合する方法であって、
前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち何れか一方の部材は、接合端面に開口する鉄筋収容孔と、前記鉄筋収容孔から突出可能な重ね鉄筋と、前記鉄筋収容孔内又はその近傍に配置された接合鉄筋とを備え、
前記PC壁板及び前記コンクリート部材のうち他方の部材は、接合端面に開口する鉄筋挿入孔と、前記鉄筋挿入孔内又はその近傍に配置された接合鉄筋と、を備え、
前記PC壁板を、その接合端面が前記コンクリート部材の接合端面と対向するように建て込み、
前記重ね鉄筋を、その先端が前記鉄筋挿入孔内に挿入され、前記PC壁板及び前記コンクリート部材の接合鉄筋と夫々部分的に重なり合うように突出させ、
前記鉄筋収容孔及び前記鉄筋挿入孔内にグラウトを充填することを特徴とするPC壁板の接合方法。
【請求項5】
請求項1から4のうち何れかに記載のPC壁板の接合方法であって、
前記コンクリート部材は、梁又はスラブであることを特徴とするPC壁板の接合方法。
【請求項6】
請求項2又は3記載のPC壁板の接合方法であって、
前記一方の部材は、PC壁板であって、
前記突出可能な接合鉄筋は壁筋であることを特徴とするPC壁板の接合方法。
【請求項7】
請求項6記載のPC壁板の接合方法であって、
前記他方の部材は、PC壁板であって、
前記他方の部材の接合鉄筋は、前記PC壁板の壁筋又は前記PC壁板の壁筋の近傍に埋設され、前記壁筋と重ね継手を形成する鉄筋であることを特徴とするPC壁板の接合方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載のPC壁板の接合方法であって、
前記鉄筋収容孔は、前記PC壁板を接合方向に貫通するように形成されており、
前記接合鉄筋は、前記壁筋を前記鉄筋収容孔内を挿通させることにより前記接合端面から突出することを特徴とするPC壁板の接合方法。
【請求項9】
請求項4記載のPC壁板の接合方法であって、
前記コンクリート部材は、PC壁板であって、
前記PC壁板及びコンクリート部材の接合鉄筋は壁筋であることを特徴とするPC壁板の接合方法。
【請求項10】
PC壁板を、その下方に位置する下方のコンクリート部材及び水平方向に隣接する側方のコンクリート部材に接合する方法であって、
前記PC壁板及び下方のコンクリート部材は、夫々上下方向に延びる上下方向接合鉄筋を備え、
前記PC壁板及び下方のコンクリート部材のうち少なくとも何れか一方の前記上下方向接合鉄筋は、前記PC壁板及び下方のコンクリート部材の接合端面から突出可能であり、
前記PC壁板及び側方のコンクリート部材は、夫々水平方向に延びる水平方向接合鉄筋を備え、
前記PC壁板及び側方のコンクリート部材のうち何れか一方の水平方向接合鉄筋は、前記PC壁板及び側方のコンクリート部材の接合端面に突出しており、
前記PC壁板を、前記下方のコンクリート部材の上方、かつ、前記側方のコンクリート部材に水平方向に隣接するように水平方向に移動して建て込み、
前記PC壁板及び側方のコンクリート部材の水平方向接合鉄筋を継手し、
前記接合端面から突出可能な上下方向接合鉄筋を突出させ、前記PC壁板及び下方のコンクリート部材の上下方向接合鉄筋を継手することを特徴とするPC壁板の接合方法、
【請求項11】
請求項1から10のうち何れかに記載のPC壁板の接合方法により、PC壁板が接合されてなることを特徴とする壁構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−144400(P2009−144400A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322444(P2007−322444)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】