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PETボトル再生原料を使用した熱収縮性ポリエステル系フィルムおよびラベル
説明

PETボトル再生原料を使用した熱収縮性ポリエステル系フィルムおよびラベル

【課題】PETボトルリサイクル推奨マーク適用条件に適合した、熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供するものである。
【解決手段】ペットボトル再生原料を45〜80重量%含む基層と、非晶質原料を主成分とする表裏層を積層した熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、80℃の温水中に10秒浸漬して引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上で、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が10%以下であることを特徴とする、少なくとも一軸に延伸した熱収縮性ポリエステル系フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境問題、資源の有効活用に対応した、ペットボトルのリサイクルに役立つ熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットボトル容器などの胴ラベルや、ガラス容器などのキャップシール用の熱収縮フィルムとしてポリスチレン、ポリエステル系のフィルムが主として用いられている。熱収縮性ポリスチレン系フィルムは、熱収縮性ポリエステル系フィルムに比べると安価で収縮処理が比較的容易に行なえることから主に汎用タイプとして使用されている。一方、熱収縮性ポリエステル系フィルムはポリスチレン系フィルムに比べ、耐熱性に優れ、フィルムの光沢が良く、収縮後の締め付け応力が高いなどの特徴から主に高品位を要求される用途で使用されている。
【0003】
一方、環境問題や資源の有効活用の観点から、ペットボトルなどのポリエステル再生原料をリサイクルする動きが活発であり、熱収縮性ポリエステル系フィルムにあってはその利用が可能なものの一つである。例えば、特許文献1には、ポリエチレンテレフタレート製容器由来の樹脂と非晶性ポリエステル樹脂からなる熱収縮性フィルム材料の発明が記載されている。
【0004】
しかし、ペットボトルなどからなるポリエチレンテレフタレート再生原料はさまざまな容器が混合されたものであり、モノマー組成、結晶化度などの物性のばらつきが大きく、1層構造の熱収縮フィルムを製造しても安定した品質の製品を得ることができない。また、再生工程での分子量の低下によりフィルム強度が不足し、印刷などの加工時に切断の問題が発生することが予想される。また、再生原料を含めたポリエチレンテレフタレート原料を多く使用した熱収縮性ポリエステル系フィルムは、汎用溶剤であるテトラヒドロフランで接着できないという問題もある。
【特許文献1】特開2004−196918
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ペットボトルなどの再生原料を用いても印刷などの加工の際に切断が無く、テトラヒドロフランでの接着が可能であると共に、PETボトルリサイクル推奨マーク適用条件に適合した熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し得た本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルム中にペットボトル再生原料を25重量%以上含有し、80℃の温水中に10秒浸漬して引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上で、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が10%以下であり、フィルムを温度30℃・相対湿度85%の雰囲気下で28日間保管した後の主収縮方向と直交する方向について引張り試験を行い、伸度5%以下で破断した試験片数の全試験片数に対する割合が25%以下であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ペットボトルの再生原料を用いているにも関わらず、機械的強度が優れ、汎用溶剤での接着が可能で、PETボトルリサイクル推奨マーク適用条件に適合しており、環境問題や資源の有効活用の点からも有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルム中にペットボトル再生原料を25重量%以上、好ましくは25〜45重量%含有しており、より好ましくはフィルムを構成する主構成成分がエチレンテレフタレートであって、1種以上の副次構成成分を含有し、最多副次構成成分としてネオペンチルグリコール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれかを含有する。さらに好ましくはペットボトル再生原料が45〜80重量%含まれた層(A層)と他の層(B層)を有する2層以上の多層構成の熱収縮性ポリエステル系ポリエステル系フィルムであって、B層はエチレンテレフタレートを主構成成分として多価カルボン酸成分及び/又多価アルコール成分からなる1種類以上の副次構成成分を含有し、多価カルボン酸成分の合計量を100モル%、多価アルコール成分の合計量を100モル%としたときに、B層中の最多副次構成成分となる多価カルボン酸成分又は多価アルコール成分の含有量が20モル%以上である。該フィルムは、基層のポリエチレンテレフタレートの添加率を高くすることにより極限粘度の低いリサイクル原料を用いても実用レベルの機械的強度を確保させ、表裏層に非晶質となる副次構成成分を含有することにより、収縮ラベルとして必要な収縮率を確保し、汎用溶剤であるテトラヒドロフランでの接着を可能にしている。なお、本発明において溶剤接着が可能であるとは後述の実施例の評価方法で溶剤接着強度が3N/15mm以上であることをさす。
【0009】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、80℃の温水中における主収縮方向の熱収縮率が30%以上でなければならない。この熱収縮率が30%に満たないものは、ラベルとしてボトルなどの容器に被覆収縮させた時に容器に密着しない部分が発生し不良となるためである。より好ましいい主収縮方向の熱収縮率は40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。
【0010】
また、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が10%以下でなければならない。この収縮率が10%を超えるものは容器に被覆収縮させた時にラベルの縦退けが大きく、それにより外観が悪いばかりかラベルの位置が安定しないためである。より好ましい主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は8%以下であり、さらに好ましくは6%以下である。
【0011】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム中のペットボトル再生原料含有量は25重量%以上で、好ましくは25〜45重量%である。25重量%未満のものはPETボトルリサイクル推進協議会で認定するPETボトルリサイクル推奨マークに適応せず、ペットボトルのリサイクル効率が低く、環境問題、資源の有効活用の観点から改良が望まれるためである。一方、45質量%を越えた場合は必要な収縮率が不足するため好ましくない。
【0012】
ここでいうペットボトル再生原料とは、ペットボトルなどのポリエチレンテレフタレート容器の再生原料をいい、マテリアル再生原料、ケミカル再生原料があるが一方のみを用いても混合して用いても構わない。
【0013】
本発明においては、好ましい実施様態はペットボトル再生原料が45重量%以上含まれた層(A層)と他の層(B層)を有する2層以上の多層構成の熱収縮性ポリエステル系ポリエステル系フィルムであって、A層へのペットボトル再生原料の添加率は45重量%以上80重量%以下が好ましい。この添加率が25重量%以上45重量%未満のものは機械的強度が不足し印刷などの加工の際にフィルムが切断する問題が発生しやすい。25重量%未満のものは、ペットボトルのリサイクル効率が低く、環境問題、資源の有効活用の観点から改良が望まれる。一方、80重量%を越した場合は必要な収縮率が不足する。より好ましいA層へのペットボトル再生原料の添加率は45重量%以上70重量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以上65質量%以下である。
【0014】
本発明を多層構成としたときの積層構成は、A/Bの2種2層構成、B/A/Bの2種3層構成、2種4層以上の構成、および第3の層を加えたB/C/A/C/BやC/B/A/B/Cなどの3種3層以上の構成などのいずれも採用可能であるが、特にテトラヒドロフランでの溶剤接着性を安定させる理由からB/A/Bの2種3層構成であることが好ましい。第3の層C層は、A層、B層の中間的組成であったり、着色剤や紫外線吸収剤を含んだ層であっても構わない。また、最外層に用いる場合には再生原料の問題点であるコンタミ含有の懸念から再生原料を含まない層としても構わない。なお多層構成とした場合、ペットボトル再生原料のフィルム全体にたいする添加量は各層に対するペットボトル再生原料の添加量と各層比率により調整することができる。好ましい層比率は、例えばB/A/Bの2種3層構成ではA層とB層の好ましい層比率は30:70〜70:30である。
【0015】
前述のB/A/Bの2種3層構成では表裏層(B層)は非晶質成分を導入し、収縮ラベルとして必要な収縮率を確保し、汎用溶剤であるテトラヒドロフランでの接着を確保することが好ましく、最多副次構成成分(非晶質成分)の含有量を20%以上とすることが好ましい。ここでいう非晶質成分としては、ネオペンチルグリコール成分および、または1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、具体例を挙げるとポリエチレンテレフタレートとネオペンチルグリコールおよび、または1,4−シクロヘキサンジメタノールを主体とする共重合体を使用し、その共重合比は20〜40モル%の範囲が好ましい。共重合比が20モル%以下ではテトラヒドロフランでの接着がしづらく、また、必要な収縮率が得られないためである。一方、共重合比が40モル%を超えたものは重合度が上がりにくく、また、製膜前の予備乾燥においてもペレット同士の粘着のため乾燥温度を上げられないなど生産効率が低下するためである。該共重合体のB層への添加量は65重量%以上であることが好ましい。なお、B層へのペットボトル再生原料の添加量は35%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。
【0016】
本発明においてフィルムの極限粘度は、0.61dl/g以上であることが好ましい。フィルムの極限粘度を0.61dl/g以上にすることにより、フィルムの機械的強度が向上し、印刷加工や溶剤接着加工時に切断するといった不良が低減できるからである。フィルムの極限粘度を0.61dl/g以上にするためには、例えば、使用するポリエステルに高分子量の原料を用いることで達成できる。本発明においては基層と表裏層で極限粘度が異なる場合があるが、フィルム全体として極限粘度が0.61dl/g以上であれば構わない。なお、フィルムの好ましい極限粘度は0.63dl/g以上である。
【0017】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分から形成されるエステルユニットを主たる構成ユニットとして有する。フィルムの耐破れ性、強度、耐熱性等を考慮すれば、熱収縮性ポリエステル系フィルムの構成ユニット100モル%中、エチレンテレフタレートユニットが50モル%以上となるように選択すること、すなわちエチレンテレフタレートユニットを主構成成分とすることが好ましい。従って、多価カルボン酸成分100モル%中、テレフタル酸成分(テレフタル酸またはそのエステルからなる成分)を50モル%以上、多価アルコール成分100%モル中、エチレングリコール成分を50モル%以上、とすることが好ましい。エチレンテレフタレートユニットは、55モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましい。
【0018】
エステルユニットにおいて多価アルコール成分を形成するための多価アルコール類としては、上記エチレングリコールとネオペンチルグリコール、1, 4−シクロヘキサンジメタノールの他に、1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、1, 4−ブタンジオール、1, 6―ヘキサンジオール、3−メチル−1, 5−ペンタンジオール、2−メチル−1, 5−ペタンジオール、2, 2−ジエチル−1, 3−プロパンジオール、1, 9−ノナンジオール、1, 10−デカンジオ−ル等の脂肪族ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ダイマージオール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノール化合物またはその誘導体のアルキレンオキサイド付加物、等も併用可能である。
【0019】
また、多価カルボン酸成分を形成するための多価カルボン酸類としては、上述のテレフタル酸およびそのエステルの他に、芳香族ジカルボン酸、それらのエステル形成誘導体、脂肪族ジカルボン酸等が利用可能である。芳香族ジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタレン−1, 4−もしくは−2, 6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。またこれらの芳香族ジカルボン酸やテレフタル酸のエステル誘導体としてはジアルキルエステル、ジアリールエステル等の誘導体が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸等や、通常ダイマー酸と称される脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。さらに、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多価カルボン酸を、必要に応じて併用してもよい。
【0020】
この他、多価アルコール類、多価カルボン酸類ではないが、ε−カプロラクトンに代表されるラクトン類も一部使用してもよい。ラクトン類は、開環して両端にエステル結合を有するユニットとなるものであり、1つのラクトン類由来のユニットが、カルボン酸成分であり、かつ、アルコール成分であると考えることができる。よって、ラクトン類を用いる場合、1, 4−シクロヘキサンジメタノール成分量や、他の多価アルコール成分の量は、多価アルコール成分量に、ラクトン類由来のユニット量を加えた量を100モル%として計算する。また、各多価カルボン酸成分の量を計算する際も、多価カルボン酸成分量に、ラクトン類由来のユニット量を加えた量を100モル%とする。
【0021】
エチレンテレフタレートユニット以外のユニットを構成する好ましい成分としては、エチレンテレフタレートユニットによる高結晶性を低下させて、低温熱収縮性や溶剤接着性を確保することのできるものが好ましい。このような結晶性低下成分としては、多価カルボン酸成分では、イソフタル酸、ナフタレン−1, 4−もしくは−2, 6−ジカルボン酸が、多価アルコール成分では、ネオペンチルグリコール、1, 4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−プロパンジオール、1, 4−ブタンジオールが好ましいものとして挙げられるが、特にネオペンチルグリコール、1, 4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。原料ポリエステルの構成ユニット100モル%中、これらの結晶性低下成分を含むユニットは、10モル%以上とすることが好ましく、12モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましい。
【0022】
熱収縮性ポリエステル系フィルムを構成するポリエステルは常法により溶融重合することによって製造できるが、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接反応させ得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコールとをエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆるエステル交換法等が挙げられ、任意の製造法を適用することができる。また、その他の重合方法によって得られるポリエステルであってもよい。重合触媒としては、慣用の種々の触媒が使用でき、例えばチタン系触媒(チタニウムテトラブトキシド等)、 アンチモン系触媒(三酸化アンチモン等)、 ゲルマニウム系触媒(二酸化ゲルマニウム等)、 コバルト系触媒(酢酸コバルト等)等があげられる。
【0023】
また、熱収縮性フィルムの易滑性を向上させるために、例えば、二酸化チタン、微粒子状シリカ、カオリン、炭酸カルシウムなどの無機滑剤、また例えば、長鎖脂肪酸エステルなどの有機滑剤を添加や塗布してもよい。また、必要に応じて、安定剤、着色剤、酸化防止剤、静電防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加または塗布してもよい。
【0024】
さらに、本発明においてはフィルムを温度30℃・相対湿度85%の雰囲気下で28日間保管した後の主収縮方向と直交する方向について引張り試験を行い、伸度5%以下で破断した試験片数の全試験片数に対する割合(初期破断率)が25%以下である。該初期破断率を所定範囲内とすることによりフィルムを長期間保管後も良好な加工適正を確保できる。該初期破断率を所定範囲内に制御するためには、前述のペットボトル再生原料の混合量、積層構成、フィルムの極限粘度を制御して後述の製膜方法と組み合わせることが好ましい。
【0025】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造するには、以下の方法が望ましい。まず、チップ状のPETボトルリサイクル原料とそれ以外のポリエステル原料を用意し、これらをホッパドライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥する。その後、適宜混合して、押出機から、200〜300℃の温度でフィルム状に押し出す。あるいは、未乾燥のチップをベント式押出機内で水分を除去しながら同様にフィルム状に押し出す。多層構成の積層フィルムにする方法には、共押出しすればよい。PETボトルリサイクル原料は、公知の方法で洗浄、粉砕されたチップ状のものを用いるとよい。
【0026】
押出しに際してはTダイ法、チューブラ法等、既存のどの方法を採用しても構わない。押出後は、キャスティングロールで急冷して未延伸フィルムを得る。なお、「未延伸フィルム」には、製造工程でのフィルム送りのために必要な張力が作用したフィルムも含まれる。上記押出機とキャスティングロールの間に電極を配設して、電極とキャスティングロールとの間に電圧を印加することにより、静電気的にフィルムをロールに密着させることが、フィルムの厚み斑抑制の観点から好ましい。
【0027】
上記未延伸フィルムに対して延伸処理を行なう。延伸処理は、上記キャスティングロール等による冷却後、連続して行ってもよいし、冷却後、一旦ロール状に巻き取り、その後行なってもよい。なお、最大収縮方向がフィルム横(幅)方向であることが、生産効率上、実用的であるので、以下、最大収縮方向を横方向とする場合の延伸法の例を示す。最大収縮方向をフィルム縦(長手)方向とする場合も、下記方法における延伸方向を90°変える等、通常の操作に準じて延伸することができる。
【0028】
熱収縮性ポリエステル系フィルムを、テンター等を用いて横方向に延伸する際、延伸工程に先立って、フィルム表面温度がTg+0℃〜Tg+60℃の範囲内のある温度になるまで加熱し、Tg−20℃〜Tg+40℃の範囲内の所定温度で、2.3〜7.3倍、好ましくは2.5〜6.0倍に延伸する。その後、50℃〜110℃の範囲内の所定温度で、0〜15%の伸張あるいは0〜15%の緩和をさせながら熱処理し、必要に応じて40℃〜100℃の範囲内の所定温度でさらに熱処理をして、熱収縮性ポリエステル系フィルムを得る。
【0029】
延伸の方法としては、テンターでの横1軸延伸ばかりでなく、縦方向に1.0倍〜4.0倍、好ましくは1.1倍〜2.0倍の延伸を施してもよい。このように2軸延伸を行なう場合は、遂次2軸延伸、同時2軸延伸のいずれでもよく、必要に応じて、再延伸を行ってもよい。また、遂次2軸延伸においては、延伸の順序として、縦横、横縦、縦横縦、横縦横等のいずれの方式でもよい。
【0030】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは特に限定されないが、例えばラベル用熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては、全体厚が20μm以上、好ましくは25μm以上であって、300μm以下、好ましくは200μm以下とすることが推奨される。
【0031】
上記熱収縮性ポリエステル系フィルムを熱収縮性ラベルとするには、公知のチューブ状成形装置を用いて、フィルム片端の片面の端縁から少し内側に接着用溶剤を所定幅で塗布し、直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着し、チューブに加工する。このチューブを所定長さに裁断して本発明の熱収縮性ラベルとすることができる。
【0032】
フィルムの接着は、フィルムの一部を溶融させる溶融接着法を採用することも可能であるが、ラベルの熱収縮特性の変動等を抑制する観点からは、溶剤を用いて行なうことが好ましい。使用し得る溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トチメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;フェノール等のフェノール類;テトラヒドロフラン等のフラン類;1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;等の有機溶剤が挙げられるが、中でも、安全性が高い点で、1,3−ジオキソランやテトラヒドロフランが望ましい。この熱収縮性ラベルは、PETボトル等の容器に装着した後、公知の熱収縮手段(熱風トンネルやスチームトンネル等)で熱収縮させて被覆させることができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するもの
ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。また、実施例および比較例で得られたフィルムの物性の測定方法は、以下の通りである。
【0034】
(1)熱収縮率
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、80℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、その後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた値である。最も収縮率の大きい方向を最大収縮方向とする。
熱収縮率(%)=(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)×100
【0035】
(2)溶剤接着性
フィルムの片面にテトラヒドロフラン(THF)をコート量3g/m2、幅5mmで連続でコートし、直ちにフィルム同士を貼り合わせ、フィルムをチューブ状に接合加工する。温度25℃、相対湿度65%の環境下に24時間放置した後、該チューブを加工時の流れ方向と直交方向に15mm幅に切断してサンプルを取り、接合部分を上記方向について、JIS K 6854に準じ、T型剥離試験を行なう。
試験片数は20とし、試験片長さ60mm、チャック間20mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張速度200mm/分の条件で行い、以下の判断基準で評価した。
○:3N/15mm以上
×:3N/15mm未満
【0036】
(3)機械強度
30℃×相対湿度85%の雰囲気下で28日間保管した後の最大収縮方向に直交する方向について引張り試験(試験片幅:15mm、試験片長さ:120mm、チャック間距離:20mm、引張り速度200m/分、温度23℃、サンプル数:20)を行ない伸度5%以下で破断した試験片数を数え、以下の判断基準で評価した。なお、伸度5%以下で破断した試験片数の全試験片数に対する割合(%)を初期破断率とした。
○:0〜5本(初期破断率 0〜25%)
△:6〜14本(初期破断率 30〜70%)
×:15〜20本(初期破断率 75〜100%)
【0037】
(4)極限粘度
試料(チップまたはフィルム)0.1gを精秤して、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解した後、オストワルド粘度計を用い30±0.1℃で測定する。極限粘度[η]は、下式(Huggins式)によって求められる。
【0038】
(数1) ηSP/c=[η]+k[η]2
kはいわゆるHugginsの定数であり、溶質分子間の流体力学的相互作用の尺度である。
[η]は数個の濃度が異なる溶液の粘度測定からηSP/cをcに対してプロットし、
得られた直線をc→0に補概して求める。
ηSP濃度がcの時の比粘度である。
【0039】
実験1〜3
表2に示した原料配合率で混合した原料を乾燥後、それぞれを別々の単軸押出機によって270℃で溶融し、Tダイから共押出し、チルロールで冷却して、3層構造の未延伸フィルムを得た(厚み:160μm) この未延伸フィルムを85℃で10秒間予熱した後、テンターで横方向に80℃で4倍延伸し、続いて78℃で10秒間熱処理を行って、厚さ40μm(基層:20μm/表裏層:各10μm)の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。使用したポリエステル系樹脂の組成・内容を表1に示す。表1中、TPAはテレフタル酸を、EGはエチレングリコールを、BDは1,4−ブタンジオールを、NPGはネオペンチルグリコールを、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノールを意味する。実験1〜3で製膜された熱収縮性ポリエステル系フィルムは、表2で示すとおり熱収縮性フィルムとして十分な収縮率と機械強度有し、汎用溶剤であるテトラヒドロフランでの接着が可能であることがわかる。
【0040】
実験4〜5
表2に示した原料配合率とした以外は、実験1〜3と同様な方法で、厚さ40μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。表2で示すとおり、基層とスキン層へのリサイクル原料の添加量が同じもの(実験4)は機械強度が弱く、基層にリサイクル原料を高濃度添加したもの(実験5)は収縮率が小さく、収縮フィルムとして十分な収縮性がないことがわかる。
【表1】

【表2】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムは、ペットボトル再生原料を使用しているにもかかわらず、従来のフィルムと同等な品質を有するため、環境にやさしい熱収縮性ラベル用フィルムとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム中にペットボトル再生原料を25重量%以上含有し、80℃の温水中に10秒浸漬して引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上で、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が10%以下であり、フィルムを温度30℃・相対湿度85%の雰囲気下で28日間保管した後の主収縮方向と直交する方向について引張り試験を行い、伸度5%以下で破断した試験片数の全試験片数に対する割合が25%以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項2】
フィルムを構成する主構成成分がエチレンテレフタレートであり、フィルム中のペットボトル再生原料含有量が25〜45重量%であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項3】
フィルムを構成する主構成成分がエチレンテレフタレートであり、1種以上の副次構成成分を含有し、最多副次構成成分としてネオペンチルグリコール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれかを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項4】
フィルムがテトラヒドロフランで溶剤接着可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項5】
フィルムの極限粘度が0.61dl/g以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項6】
ペットボトル再生原料が45〜80重量%含まれた層(A層)と他の層(B層)を有する2層以上の多層構成の熱収縮性ポリエステル系ポリエステル系フィルムであって、B層はエチレンテレフタレートを主構成成分として多価カルボン酸成分及び/又多価アルコール成分からなる1種類以上の副次構成成分を含有し、多価カルボン酸成分の合計量を100モル%、多価アルコール成分の合計量を100モル%としたときに、B層中の最多副次構成成分となる多価カルボン酸成分又は多価アルコール成分の含有量が20モル%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項7】
B層中の最多副次構成成分として、ネオペンチルグリコール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれを含有することを特徴とする請求項6記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムから作成された熱収縮性ラベル。

【公開番号】特開2007−2008(P2007−2008A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180623(P2005−180623)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】