説明

PPAR型受容体の活性化剤である新規な3‐フェニルプロパン酸誘導体、その製造方法、および化粧品組成物または医薬組成物におけるその使用

本発明は、一般式(I)の新規な3-フェニルプロパン酸誘導体、その製造方法、ならびにヒトまたは動物の医薬として(皮膚科学の分野、ならびに循環器疾患、免疫疾患、および/または脂質代謝関連疾患の分野で)用いられる医薬組成物または化粧品組成物におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規で有用な工業製品としての、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体型のサブタイプγ(PPARγ)の受容体活性化因子である新規なクラスの3-フェニルプロパン酸誘導体に関する。本発明はまた、それらの合成方法、および、ヒト用薬剤もしくは動物用薬剤に用いるための医薬組成物または化粧品組成物におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
PPAR型の受容体の活性は、多くの研究の課題となってきた。参考として、PPAR型の受容体に関連した多くの文献資料を挙げている、「Differential Expression of Peroxisome Proliferator-Activated Receptor Subtypes During the Differentiation of Human Keratinocytes」、と称する出版物(Michel Rivierら、J. Invest. Dermatol 111、1998、1116〜1121頁)を挙げることができる。また、参考として、「The PPARs:From orphan receptors to Drug Discovery」と称する報告(Timothy M. Willson、Peter J. Brown、Daniel D. Sternbach and Brad R. Henke、J. Med. Chem.、2000、第43巻、527〜550頁)を挙げることもできる。
【0003】
PPAR受容体は、レチノイドX受容体(RXRとして知られる)とのヘテロ二量体の形態で、ペルオキシソーム増殖因子応答性エレメント(PPRE)として知られるDNA配列エレメントに結合することによって転写を活性化する。
【0004】
ヒトPPARの3種のサブタイプが同定され、記載されている(PPARα、PPARγおよびPPARδ(すなわちNUC1))。
PPARαは肝臓で主に発現され、一方PPARδは遍在性である。
【0005】
PPARγは3種のサブタイプの中で最も広範に研究されている。参考文献はすべて、PPARγが多く発現される脂肪細胞の分化の調節におけるPPARγの重要な役割を示唆している。PPARγは、全身の脂質の恒常性においても重要な役割を果たす。
【0006】
特に国際出願第96/33724号には、プロスタグランジン-J2またはプロスタグランジン-D2などのPPARγ-選択的化合物が、肥満および糖尿病の治療のための活性化物質である可能性があることが記載されている。
【0007】
さらに、本出願人は、国際公開第02/12210号、国際公開第03/055867号、および国際公開第2007/049158号において、PPARγタイプの受容体を活性化する二芳香族化合物の、表皮細胞の分化の異常に伴う皮膚疾患の治療を意図する医薬組成物の調製における使用を既に記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際出願第02/12210号パンフレット
【特許文献2】国際出願第03/055867号パンフレット
【特許文献3】国際出願第2007/049158号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
良好な活性を有し、有利な薬学的特性を有する新規な化合物を探索する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願人は、驚くべきことに、PPARγ受容体に対する活性を有する新規な3-フェニルプロパン酸誘導体を確認した。
【0011】
国際公開第2007/049158号に記載の化合物は、その共役した構造の結果として290 nmより高い波長のUV吸収を有する。これと対照的に、本発明の化合物は、この波長範囲(290-700 nm)では吸収を有さない。このように吸収がないことにより、本発明の化合物の光毒性および発光毒性の危険が低減され、医薬組成物または化粧品組成物が局所的に適用される場合の利用者の安全性が高められる。
【0012】
さらに、本発明の化合物は、通常、例えば再結晶などの技術によって工業的スケールで精製することが容易になる利点を有する、固体形態で得られる。医薬組成物または化粧品組成物の製造のために固体化合物を使用することは、医薬または化粧品の開発においても、化合物がオイルの形態である場合と比較して残留溶媒含量がほとんど存在しないため、現実的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、一般式(I)においてX=CH2である化合物を合成する方法を示すスキームである。
【図2】図2は、一般式(I)においてX=CH2である化合物を合成する第二の方法を示すスキームである。
【図3】図3は、一般式(I)においてX=CH2である化合物を合成する第三の方法を示すスキームである。
【図4】図4は、一般式(I)においてX=Oである化合物を合成する方法を示すスキームである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
したがって、本発明は、下記一般式(I)に相当する化合物、その医薬品として許容可能な酸または塩基との塩、医薬品として許容可能なその溶媒和物、またはその水和物に関する:
【化1】

【0015】
式中、
- R1は、ヒドロキシル基またはアルコキシ基を表し;
- R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアラルキル基、またはポリエーテル基を表し;
- R3は、水素原子、ハロゲン、アルキル基、またはアルコキシ基を表し;
- R4は、アルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、または場合により置換されていてもよいアラルキル基を表し;
- Xは、酸素原子またはCH2基を表し;
- Yは、酸素原子、NR5基、または、OSO2、OCO、NR5CO、もしくはNR5SO2基を表し;
- R5は、水素原子またはアルキル基を表す
【0016】
特に、本発明の化合物が塩の形態である場合、それらはアルカリ金属の塩(特に、ナトリウム塩もしくはカリウム塩)、またはアルカリ土類金属の塩(特に、マグネシウム塩またはカルシウム塩)、または有機アミンの塩〔特に、アミノ酸(例えばアルギニンまたはリシンなど)の塩〕である。
【0017】
本発明の化合物がアミン官能基を有し、このアミンの塩の形態である場合、これらは、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、または臭化水素酸等)の塩、または有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸、またはメタンスルホン酸)の塩である。
【0018】
本発明において、用語「アルキル基」は、直鎖状または分岐状の飽和炭化水素をベースとする鎖であって、1個〜12個、より特に1個〜6個の炭素原子を有するものを意味する。
【0019】
好ましくは、本発明において用いるアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、およびデシル基から選択される。より特に、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、アミル、およびヘキシル基から選択される。
【0020】
本発明において、用語「低級アルキル基」は、先に定義したアルキル基であって、1個〜4個の炭素原子、有利には1個〜3個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。したがって、好ましくはこのような基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、およびtert-ブチル基から選択される。
【0021】
本発明において、用語「シクロアルキル基」は、3個〜7個の炭素原子を有する飽和環状炭化水素をベースとする鎖を意味する。
【0022】
好ましくは、シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル基から選択される。
【0023】
本発明において、用語「アリール基」は、非置換のフェニルまたはナフチルを意味する。
【0024】
本発明において、用語「置換アリール基」は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、およびニトロから選択される1個以上の原子または原子群で置換されたフェニルまたはナフチルを意味する。
【0025】
好ましくは、置換アリール基は、ハロゲンで一置換されたフェニル基から選択される。
【0026】
本発明において、用語「アラルキル基」は、非置換のフェニルまたはナフチルで置換されたアルキル基を意味する。
【0027】
好ましくは、アラルキル基は、ベンジル基またはフェネチル基である。
【0028】
本発明において、用語「置換アラルキル基」は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、およびニトロから選択される1個以上の原子または原子群で置換されたアラルキル基を意味する。
【0029】
好ましくは、置換アラルキル基は、低級アルキル基で一置換されたフェネチル基およびハロゲンで一置換されたベンジル基から選択される。
【0030】
本発明において、用語「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。
【0031】
本発明において、用語「ヒドロキシル基」は、-OH基を意味する。
【0032】
本発明において、用語「アルコキシ基」は、アルキル基で置換された酸素原子を意味する。
【0033】
好ましくは、アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、n-プロピルオキシ、tert-ブトキシ、n-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、およびn-ヘキシルオキシ基から選択される。
【0034】
本発明において、用語「低級アルコキシ基」は、低級アルキルで置換された酸素原子を意味する。
【0035】
本発明において、用語「ポリエーテル基」は、炭素原子1個から7個を有し少なくとも1個の酸素原子が介在する基から選択される。好ましくは、ポリエーテル基は、例えば、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、メトキシエチル、エトキシエチル、またはメトキシエトキシエトキシなどの基から選択される。
【0036】
本発明の範囲内である上記一般式(I)の化合物としては、以下の化合物を(単独でまたは混合物として)特に挙げることができる:
【0037】
1. 3-{4-[3-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-ブトキシフェニルプロパン酸
2. 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エトキシ-3-メトキシフェニル)-プロピル]フェニル}プロパン酸
3. 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ブトキシ-3-メトキシフェニル)-プロピル]フェニル}プロパン酸
4. 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-メタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸
5. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)プロパン酸
6. 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル)プロパン酸
7. 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(3-フルオロベンジルオキシ)-フェニル]プロパン酸
8. 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(4-フルオロベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸
9. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-シクロプロピルメトキシフェニル)プロパン酸
10. 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-(3-メトキシベンジルオキシ)-フェニル]-プロパン酸
11. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ブトキシフェニル)-プロパン酸
12. 3-[4-[3-(4-アセチルアミノフェニル)プロピル]-3-(2-メトキシ-エトキシ)-フェニル]プロパン酸メチル
13. 3-(4-{3-[4-(アセチルメチルアミノ)フェニル]プロピル}-3-メトキシフェニル)プロパン酸メチル
14. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)フェニル]プロピル}-3-ヒドロキシフェニル)プロパン酸
15. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルアミノ)フェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)プロパン酸
16. 3-[4-(2-{4-[(3-クロロベンゾイル)メチルアミノ]フェニル}エトキシ)-3-(2-エトキシエトキシ)フェニル]プロパン酸
17. 3-[3-ブトキシ-4-(2-{4-[メチル(2-p-トルイルエタンスルホニル)アミノ]フェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸
18. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)-プロパン酸
19. 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エトキシ-3-フルオロフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチル
20. 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-2-メトキシフェニル]プロピル}-3-(2-エトキシエトキシ)フェニル]プロパン酸
21. 3-(4-{3-[3-クロロ-4-(ヘキサン-1-スルホニルオキシ)フェニル]プロピル}-3-エトキシ-フェニル)プロパン酸
22. 3-{4-[2-(3-クロロ-4-エトキシフェニル)エトキシ]-3-メトキシフェニルプロパン酸
23. 4-{3-[4-(2-カルボキシエチル)-2-メトキシフェニル]プロピル}フェニルブチレート。
【0038】
本発明によれば、一般式(I)に相当する好ましい化合物は、以下の特徴:
- R1が、ヒドロキシル基である;
- R2が、アルキル基またはポリエーテル基を表す;
- R3が、水素原子、アルコキシ基、またはハロゲンを表す;
- R4が、アルキル基を表す;
- Xが、酸素原子またはCH2基を表す;
- Yが、-NR5SO2配列(式中、R5は、先に定義したとおりである)または-OSO2配列を表す
の少なくとも1つを有することを特徴とする。
【0039】
本発明によれば、一般式(I)に相当する特に好ましい化合物は、以下の特徴:
- R1が、ヒドロキシル基である;
- R2が、低級アルキル基を表す;
- R3が、低級アルコキシ基を表す;
- R4が、低級アルキル基を表す;
- Xが、酸素原子またはCH2基を表す;
- Yが、-OSO2配列を表す
の少なくとも1つを有することを特徴とする。
【0040】
一般式(I)の化合物の合成方法を、図1、図2、図3、および図4のスキームを参照しながら、以下に一般的に記述する。これらのスキームおよび以下のプロセスの記述において、特に指定しない限り、全ての置換基は式(I)の化合物について定義したとおりである。
【0041】
図1に示すように、一般式(I)においてX=CH2である化合物は、一般式(5)の中間体:
【化2】

から得られる。
【0042】
一般式(5)の中間体は、一般式(2)の化合物:
【化3】

と、一般式(4)のヨード化合物:
【化4】

との間の、パラジウム触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))およびホスフィンの存在下でのHeck反応によって合成することができる。
【0043】
一般式(2)の化合物は、一般式(1)の化合物:
【化5】

から、以下の工程のいずれかにしたがって得られる:
a) スルホニルクロライド(R4SO2Cl)への添加、あるいは
b) カルボン酸ハライド(例えば、R4COCl)への添加
c) 塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなど)の存在下での、ハロ誘導体(例えば、R4BrまたはR4Cl)との反応。
【0044】
こうして得られた誘導体は、場合により、ハロ誘導体(例えば、R5BrまたはR5Cl)との、塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなど)の存在下での反応によってアルキル化することができる。
【0045】
市販されている3-ヒドロキシ-4-ヨードベンズアルデヒドまたは2-ヒドロキシ-4-ヨードベンズアルデヒドから、一般式(4)の化合物に導くプロセスには、以下の2つのステップが含まれる。
a) 塩基(例えば、炭酸カルシウム)およびハロ誘導体(例えば、R2BrまたはR2Cl)の存在下で3-ヒドロキシ-4-ヨードベンズアルデヒドまたは2-ヒドロキシ-4-ヨードベンズアルデヒドをアルキル化して、アルデヒド誘導体(3):
【化6】

を得る工程。
b) アルデヒド前駆体(3)と、ホスホネート〔例えば、エチル(ジエトキシホスホリル)アセテート〕または相当するホスホニウム〔例えば、メチル(トリフェニルホスホニウム)アセテートクロライド〕とをWittig反応またはHoner-Emmons反応させて、一般式(4)の化合物を得る工程。
【0046】
一般式(5)の化合物の二重結合を還元した後、化合物(6):
【化7】

が得られ、次いで、テトラヒドロフランおよび水の混合物、またはアセトンおよび水の混合物中、例えば水酸化ナトリウムの存在下で鹸化して、一般式(7)の化合物:
【化8】

が得られる。
【0047】
図2のスキームに、一般式(6)の化合物を得るための別の方法を記述する。
【0048】
誘導体(2)と、ヨード誘導体(12):
【化9】

(図1の化合物(4)でR2がベンジルである化合物に相当する誘導体)との間の、パラジウム(触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))およびホスフィンの存在下でのHeck反応によって、一般式(13)の化合物:
【化10】

が得られる。
【0049】
二重結合の還元およびフェノールの脱保護(ベンジルエーテルの切断)の後、一般式(14)の化合物:
【化11】

が得られる。
【0050】
一般式(14)の化合物の、塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウム)の存在下での、ハロ誘導体(R4BrまたはR4Cl)を用いるアルキル化反応によって、一般式(6)の化合物:
【化12】

が得られる。
【0051】
一般式(6)の化合物を得るための第三の方法を、図3に記述する。この方法は、一般式(1)の4-アリルフェニルアミン誘導体または4-アリルフェノール誘導体:
【化13】

と、一般式(4)のヨード誘導体とをHeck反応させて、一般式(15)の化合物:
【化14】

を得ることから出発する。
【0052】
この二重結合を還元した後、一般式(16)の化合物:
【化15】

が得られる。この一般式(16)の化合物に導くプロセスには、以下のいずれかの工程が含まれる:
a) スルホニルクロライド(R4SO2Cl)への添加、
b) カルボン酸ハライド(例えば、R4COCl)への添加
c) 塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなど)の存在下での、ハロ誘導体(例えば、R4BrまたはR4Cl)との反応。
【0053】
こうして得られた誘導体は、場合により、ハロ誘導体(例えば、R5BrまたはR5Cl)との、塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなど)の存在下での反応によってアルキル化することができる。
【0054】
式(I)においてX=Oである化合物:
【化16】

を合成するための一般的な記述を、図4に示し、以下に詳細に説明する。
【0055】
図4に示すように、一般式(I)においてX=Oである化合物は、一般式(21)の中間体:
【化17】

から得ることができる。
【0056】
一般式(21)の誘導体は、一般式(18)の化合物:
【化18】

と、一般式(20)の化合物:
【化19】

とを、例えば、トリフェニルホスフィンおよびジエチルアゾジカルボキシレートの存在下で、Mitsunobu反応させることによって生成させることができる。
【0057】
一般式(18)の化合物を、メチル(4-アミノフェニル)アセテート型またはメチル(4-ヒドロキシフェニル)アセテート型の市販の誘導体(場合によりR3基が置換されいてもよいもの)から合成するためのプロセスには、以下の工程が含まれる:
a) アミン官能基またはヒドロキシル官能基を保護して一般式(17)の化合物:
【化20】

を得る工程、
b) このエステル官能基を、還元剤、例えば、水素化ホウ素リチウムの存在下で、アルコールに還元する工程。
【0058】
一般式(20)の化合物は、一般式(19)のアルデヒド前駆体〔予め、ナトリウムブトキシドと、市販の3-ブロモ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドまたは2-ブロモ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドとを、塩化銅(I)の存在下で反応させることによって合成したもの〕と、ホスホネート〔例えば、エチル(ジエトキシホスホリル)アセテート〕またはホスホニウム〔例えば、メチル(トリフェニルホスホニウム)アセテートクロライド〕との間の、Wittig反応またはHorner-Emmons反応によって得られる。
【化21】

【0059】
一般式(21)の化合物から一般式(23)の化合物に導くためのプロセスには、以下の工程が含まれる:
a) アルコール官能基またはアミン官能基の脱保護、
b) スルホニルクロライド(R4SO2Cl)への添加、または
カルボン酸ハライド(例えば、R4COCl)への添加、または
塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなど)の存在下での、ハロ誘導体(例えば、R4BrまたはR4Cl)との反応
〔こうして得られた誘導体は、場合により、塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウム)の存在下、ハロ誘導体(例えば、R5BrまたはR5Cl)を用いる反応によってアルキル化することができる。〕、
c) 二重結合を還元して一般式(22)の化合物を得る工程、
d) テトラヒドロフランおよび水の混合物、またはアセトンおよび水の混合物中、例えば水酸化ナトリウムの存在下で鹸化して、一般式(23)の化合物を得る工程。
【0060】
【化22】

【0061】
本プロセスにおいて用いる反応中間体に存在していてもよい官能基は、期待される化合物の明瞭な合成を確実にする保護基を用いて、永久的な形態または一時的な形態のいずれかで保護することができる。保護反応および脱保護反応は、当分野で周知の技術にしたがって行う。用語「アミン、アルコール、またはカルボン酸の一時的な保護基」は、例えば、McOmie J.W.F.の「Protective Groups in Organic Chemistry」(Plenum Press出版、1973年)、Greene T.W.およびWuts P.G.M.の「Protective Groups in Organic Synthesis」第2版(John Wiley and Sons出版、1991年)、およびKocienski P.J.の「Protecting Groups」(Georg Theme Verlag出版、1994年)に記載されている保護基などを意味する。
【0062】
本発明の化合物は、PPAR型の受容体に対する調節特性を示す。PPARα、δおよびγ受容体に対する活性は、トランス活性化試験で測定し、実施例10で記述するように、解離定数Kdapp(見かけ)により定量化する。
【0063】
本発明の好ましい化合物は、1000 nM以下の解離定数、より好都合には200 nM以下の解離定数を示す。
【0064】
好ましくは、本化合物は、特異的なPPARγタイプ受容体調節剤であり、すなわちPPARαまたはPPARδ受容体のKdappの、PPARγ受容体のKdappに対する比が10以上である。好ましくは、このPPARα/PPARγ比またはPPARδ/PPARγ比は50以上、より好都合には100以上である。
【0065】
本発明の別の主題は、医薬品としての上述した式(I)の化合物である。
【0066】
したがって、本発明の上述した化合物は、皮膚脂質の代謝の調節および/または回復のための組成物の製造に使用することができる。
【0067】
本発明は、以下に記述する疾患の治療および/または予防に使用するための、式(I)の化合物から選択される生成物にも関する。
【0068】
本発明の化合物は、以下の治療分野に特に適している。
1) 細胞の分化および増殖に関連する角化障害に伴う皮膚科学的疾患の治療、特に尋常性座瘡、面皰性座瘡、多形性座瘡、酒さ性座瘡、結節嚢腫性座瘡、集簇性座瘡、老人性座瘡、および二次的座瘡、例えば日光性座瘡、薬物性座瘡または職業性座瘡の治療、
2) その他のタイプの角化障害、特に魚鱗癬、魚鱗癬様の状態、ダリエー病、掌蹠角皮症、白斑症および白斑症様の状態、ならびに皮膚のまたは粘膜(口腔)の苔癬の治療、
3) 炎症性免疫アレルギー性要素を有し、細胞増殖障害を伴うか伴わないその他の皮膚科学的疾患、特にすべてのタイプの乾癬、皮膚、粘膜もしくは爪の乾癬、さらに乾癬性関節症、あるいは皮膚アトピー(例えば湿疹)、呼吸アトピー、または歯肉肥大の治療、
4) 良性または悪性の、ウイルス由来かまたはウイルス由来でないすべての皮膚または表皮増殖、例えば尋常性ゆうぜい、扁平ゆうぜいおよびゆうぜい状表皮発育異常症、口腔乳頭腫症または顕症期の乳頭腫症、Tリンパ腫、ならびに紫外線によって引き起こされ得る増殖、特に基底細胞上皮腫および有棘細胞上皮腫、さらに任意の前癌皮膚病変、例えば角化棘細胞腫の治療、
5) その他の皮膚科学的疾患、例えば免疫性皮膚炎、例えば紅斑性狼瘡、水疱性免疫疾患、および膠原病、例えば強皮症の治療、
6) 免疫学的要素を有する皮膚科学的または全身性疾患の治療、
7) 紫外線への曝露に起因する皮膚障害の治療、光誘導性または加齢性の皮膚老化の治療または予防、または化学線角化症および色素沈着の軽減、あるいは加齢性老化または化学線性老化に伴う何らかの病態(例えば乾燥症)の軽減、
8) 脂腺機能障害、例えば脂漏過剰性座瘡、単純性脂漏の治療、
9) 瘢痕形成障害の予防もしくは治療またはストレッチマークの予防もしくは修復、
10) 色素沈着障害、例えば色素沈着過剰、黒皮症、色素沈着低下または白斑の治療、
11) 脂質代謝疾患、例えば肥満、高脂血症、またはインスリン非依存性糖尿病の治療、
12) 炎症性疾患、例えば関節炎の治療、
13) 癌または前癌状態の治療または予防、
14) 種々の原因の脱毛症、特に化学療法または放射線による脱毛症の予防または治療、
15) 免疫系障害、例えば喘息、I型糖尿病、多発性硬化症または免疫系のその他の選択的機能不全の治療、
16) 心血管系の疾患、例えば動脈硬化症または高血圧症の治療。
【0069】
本発明の主題はまた、生理学的に許容できる媒体に、上述により定義した式(I)の化合物を少なくとも1種含む医薬組成物または化粧品組成物である。
【0070】
用語「生理的に許容できる媒体」は、皮膚、粘膜、および外皮に適合する媒体を意味する。
【0071】
本発明の主題はまた、上述した疾患の治療、特に、皮膚の脂質の代謝の調節および/または回復のための薬剤の製造における、式(I)の化合物の使用である。
【0072】
本発明の組成物は、経口的、経腸的、非経口的、局所的、または眼内に投与することができる。本医薬組成物は好ましくは、局所施用に適する形態にパッケージされる。用語「経口経路」は、皮膚および/または外皮への投与を意味する。
【0073】
経口経路では、本組成物、より具体的には本医薬組成物は、錠剤(糖衣錠を含む)、ゲルカプセル剤、シロップ、懸濁剤、液剤、散剤、顆粒剤、エマルジョンの形態、あるいは、制御放出が可能な、脂質性またはポリマー性のミクロ粒子、ナノ粒子、またはベシクルの形態であってよい。非経口経路では、本組成物は、注入または注射用の溶液または懸濁液の形態であってよい。
【0074】
本発明の化合物は、通常、1回から3回の用量摂取において約0.001mg/体重kgから100mg/体重kgの1日量で投与する。
【0075】
本化合物は、組成物の重量に対して、通常、0.001重量%から10重量%の間、好ましくは0.01重量%から1重量%の間の濃度で全身的に使用する。
【0076】
局所経路では、本発明の医薬組成物は、特に皮膚および粘膜の治療を意図したものであり、軟膏、クリーム、乳液、ポマード、粉末、含浸パッド、溶液、ゲル、スプレー、ローション、または懸濁液の形態で提供することができる。また、制御放出が可能な、脂質性もしくはポリマー性のミクロ粒子、ナノ粒子、もしくはベシクルの形態でも提供することができる。この局所用組成物は、無水形態、水性形態、またはエマルジョンの形態で提供することができる。
【0077】
本化合物は、組成物の総重量に対して、通常、0.001重量%から10重量%の間、好ましくは0.01重量%から1重量%の間の濃度で局所的に使用する。
【0078】
本発明の式(I)の化合物は、美容のための分野、特に身体および毛の衛生、より具体的には皮膚の脂質の代謝の調節および/または回復にも応用できる。
【0079】
本発明の別の主題は、生理学的に許容できる担体中に、身体または毛の衛生用の式(I)の化合物を少なくとも1種含む組成物の美容目的使用である。
【0080】
化粧品として許容できる担体中に、少なくとも1種の式(I)の化合物またはその光学異性体もしくは幾何異性体またはその塩を含む本発明による化粧品組成物は、クリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質性もしくはポリマー性のミクロ粒子、ナノ粒子、もしくはベシクル、石鹸、またはシャンプーの形態であってよい。
【0081】
化粧品組成物中の式(I)の化合物の濃度は、組成物の総重量に対して0.001重量%から3重量%の間である。
【0082】
上述した組成物は、不活性な添加剤または薬力学的に活性な添加剤、またはこれらの添加剤の組合せをさらに明示的に含むことができる。特に、湿潤剤;脱色素化剤(例えば、ヒドロキノン、アゼライン酸、コーヒー酸、またはコウジ酸等);皮膚軟化剤;保湿剤(例えば、グリセロール、PEG-400、チアモルホリノンおよびその誘導体、または尿素等);抗脂漏剤または抗座瘡剤(例えば、S-カルボキシメチルシステイン、S-ベンジルシステアミン、これらの塩またはこれらの誘導体、または過酸化ベンゾイル);抗真菌剤(例えば、ケトコナゾールまたは4,5-ポリメチレン-3-イソチアゾリドン)、抗菌剤、カロチノイド、特にβ-カロチン;抗乾癬剤(例えば、アントラリンおよびその誘導体);エイコサ-5,8,11,14-テトライン酸およびエイコサ-5,8,11-トリイン酸、これらのエステルおよびアミド;および、レチノイド類を含むことができる。式(I)の化合物は、ビタミンDまたはその誘導体、コルチコステロイド、抗フリーラジカル剤、α−ヒドロキシ酸もしくはα−ケト酸またはこれらの誘導体、またはイオンチャネル遮断剤と組合せることもできる。
【0083】
これらの組成物は、香味改善剤、防腐剤(例えば、パラ−ヒドロキシ安息香酸のエステル類等)、安定化剤、湿気調節剤、pH調節剤、浸透圧調節剤、乳化剤、UV-AおよびUV-B遮断剤、酸化防止剤(例えばα-トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソールまたはブチルヒドロキシトルエン等)を含むこともできる。
【0084】
当然のことながら、当業者は、本発明に本質的に備わる有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けないまたは実質的に悪影響を受けないように考慮して、本組成物に加えるこれらの追加的な化合物を選択するであろう。
【0085】
本発明の式(I)の活性化合物のいくつかの合成例を、これらの化合物の生物学的活性の結果、およびこれらの化合物をベースとする種々の具体的製剤と共に、本質を限定することなく例証として以下に示す。
【実施例】
【0086】
[実施例1]:3-{4-[3-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-ブトキシフェニルプロパン酸
(a) 3-ブトキシ-4-ヨードベンズアルデヒド
21.5 ml(189 mmol)の1-ヨードブタンを、52.2 g(378 mmol)の炭酸カリウムの存在下、31 g(126 mmol)の3-ヒドロキシ-3-ヨードベンズアルデヒドのメチルエチルケトン350 ml溶液に添加する。この反応媒体を85℃にて2時間加熱する。固体を濾過して除去し、溶媒を蒸発させて除去する。得られる固体をヘプタンで洗浄して、38 g(99%)の3-ブトキシ-4-ヨードベンズアルデヒドを、白色結晶の形態で得る。
【0087】
(b) (E)-3-(3-ブトキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチル
65.1 g(195 mmol)のメチル(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを、29.6 g(97 mmol)の3-ブトキシ-4-ヨードベンズアルデヒドのトルエン360 ml溶液に添加する。この反応混合物を2時間還流させる。溶媒を蒸発させて除去し、得られるオイルを、ヘプタン/ジクロロメタン(50/50)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。30.5 g(87.5%)の(E)-3-(3-ブトキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチルが、淡黄色結晶の形態で得られる。
【0088】
(c) (E)-3-{3-ブトキシ-4-[(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロペニル]-フェニル}アクリル酸メチル
1.1 g(12.1 mmol)のオイゲノール、2.0 g(5.5 mmol)の(E)-3-(3-ブトキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチル、24 mg(0.1 mmol)の酢酸パラジウム(II)、および77 mg(0.2 mmol)の2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルの、ジメチルホルムアミド/トリエチルアミン(6/1)混合液15 ml中の溶液を、90℃にて3時間撹拌する。水を添加した後、この反応媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。残渣のオイルを、ヘプタン/酢酸エチル(80/20)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0089】
(d) 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチル
500 mgのPd/Cを、(E)-3-{3-ブトキシ-4-[(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロペニル]-フェニル}アクリル酸メチルのメタノール25 mlの溶液に添加する。この反応媒体を、水素雰囲気下、室温で3時間撹拌する。触媒を濾過により除去した後、溶媒を蒸発によって除去して、2.0 g(90%)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチルが、無色オイルの形態で得られる。
【0090】
(e) 3-{4-[3-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-ブトキシフェニル}プロパン酸メチル
0.2 g(0.75 mmol)の炭酸カリウム、次いで0.2 ml(0.75 mmol)のベンジルブロマイドを、0.25 g(0.62 mmol)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチルのメチルエチルケトン25 mlの溶液に添加する。この反応混合物を、70℃にて24時間加熱し、その後、冷却し、酢酸エチルで希釈し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。得られる残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(80/20)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。276 mg(93%)の3-{4-[3-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-ブトキシフェニル}プロパン酸メチルが、無色オイルの形態で得られる。
【0091】
(f) 3-{4-[3-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-ブトキシフェニル}プロパン酸
0.84 ml(0.84 mmol)の1N水酸化リチウム水溶液を、テトラヒドロフラン3 ml 中の276 mg(0.56 mmol)の3-{4-[3-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-ブトキシフェニル}プロパン酸メチルに添加する。この反応混合物を室温で12時間撹拌する。この反応媒体を、蒸発させて乾燥させ、残渣を水に溶解させて取りだし、媒体を酢酸溶液の添加によって酸性化させ、酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。シクロヘキサンから再結晶させ、濾過した後、205 mg(77%)の3-{4-[3-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-ブトキシフェニル}プロパン酸が、92℃の融点を有する白色結晶の形態で得られる。
NMR (1H, CDCl3): 0.97 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 1.48 (m, 2H); 1.75 (m, 2H); 1.87 (m, 2H); 2.59 (q, 2H); 2.67 (t, J = 8.1 Hz, 2H); 2.92 (t, J = 8.1 Hz, 2H); 3.88 (s, 3H); 3.93 (t, J = 6.3 Hz, 2H); 5.12 (s, 2H); 6.65-6.70 (m, 2H); 6.73 (d, J = 6.3 Hz, 1H); 7.02 (d, J = 7.5 Hz); 7.28-7.44 (m, 5H)
【0092】
[実施例2]:3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸
(a) 3-{4-[3-(4-エトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-ブトキシフェニル}プロパン酸メチル
0.21 g(0.75 mmol)の炭酸カリウム、次いで0.12 ml(0.75 mmol)ヨードメタンを、メチルエチルケトン25 ml中の0.25 g(0.62 mmol)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチル(実施例1dにしたがって合成したもの)に添加する。この反応混合物を、70℃にて24時間加熱する。反応媒体を、冷却し、酢酸エチルで希釈し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させた後、残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(80/20)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。240 mg(93%)の3-{4-[3-(4-エトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-ブトキシフェニル}プロパン酸メチルが、無色オイルの形態で得られる。
【0093】
(b) 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニルプロパン酸
1.1 ml(1.1 mmol)の1N水酸化リチウム水溶液を、テトラヒドロフラン3 ml中の240 mg(0.56 mmol)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチルに添加する。この反応混合物を、室温にて12時間撹拌する。反応媒体を、濃縮し、水に溶解させて取りだし、塩酸水溶液で酸性化した後、酢酸エチル抽出する。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過する。溶媒を蒸発させて除去する。残渣を、6 mlのシクロヘキサンから再結晶させた後、184 mg(79%)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニルプロパン酸が、66℃の融点を有する白色固体の形態で得られる。
NMR (1H, CDCl3): 0.97 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 1.44 (t, J = 7 Hz, 3H); 1.49 (m, 2H); 1.75 (m, 2H); 1.88 (m, 2H); 2.58-2.69 (m, 6H); 2.92 (t, J = 7.6 Hz, 2H); 3.85 (s, 3H); 3.94 (t, J = 6.3 Hz, 2H); 4.07 (q, J = 7 Hz, 2H); 6.67-6.71 (m, 4H); 6.78 (m, 1H); 7.03 (d, J = 7.5 Hz)
【0094】
[実施例3]:3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ブトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸
(a) 3-{4-[3-(4-ブトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-プロポキシフェニル}プロパン酸メチル
0.21 g(0.75 mmol)の炭酸カリウム、次いで0.85 ml(0.75 mmol)のベンジルブロマイドを、メチルエチルケトン25 ml中の0.25 g(0.62 mmol)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチル(実施例1dにしたがって合成したもの)に添加する。この反応混合物を、70℃にて24時間加熱した後、冷却し、酢酸エチルで希釈し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(80/20)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。259 mg(93%)の3-{4-[3-(4-ブトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-プロポキシフェニル}プロパン酸メチルが、無色オイルの形態で得られる。
【0095】
(b) 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ブトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸
1.14 ml(0.85 mmol)の1N水酸化リチウム水溶液を、テトラヒドロフラン3 ml中の259 mg(0.56 mmol)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ブトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチルに添加する。この反応混合物を、室温にて12時間撹拌した後、減圧下で濃縮する。残渣を、水に溶解させて取りだし、1N塩酸水溶液を添加して酸性化した後、酢酸エチル抽出する。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで無水にし、濾過する。ヘプタン中で粉末化させた後、208 mg(83%)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ブトキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニルプロパン酸が、64℃の融点を有する白色結晶の形態で得られる。
NMR (1H, CDCl3): 0.96 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 0.98 (t, J = 7.5 Hz, 3H); 1.45-1.51 (m, 4H); 1.74-1.88 (m, 6H); 2.57-2.69 (m, 6H); 2.92 (t, J = 7.6 Hz, 2H); 3.84 (s, 3H); 3.93 (t, J = 6.3 Hz, 2H); 3.99 (t, J = 6.8 Hz, 2H); 6.67-6.71 (m, 4H); 6.79 (m, 1H); 7.03 (d, J = 7.5 Hz, 1H)
【0096】
[実施例4]:3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-メタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸
(a) 4-アリル-2-メトキシフェニルメタンスルホネート
3.1 ml(40 mmol)のメタンスルホニルクロライドを、6 g(36 mmol)のオイゲノールおよび5.5 ml(43 mmol)のトリエチルアミンの、予め-20℃に冷却しておいたジクロロメタン100 ml溶液に添加する。室温にて3時間撹拌した後、反応媒体を、水および酢酸エチルで処理する。有機相を硫酸マグネシウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。9.5 g(100%)の4-アリル-2-メトキシフェニルメタンスルホホネートが得られる。
【0097】
(b) (E)-3-{3-ブトキシ-4-[(E)-3-(4-メタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロペニル]-フェニル}アクリル酸メチル
334 mg(1.4 mmol)の4-アリル-2-メトキシフェニルメタンスルホネート、500 mg(1.4mmol)の(E)-3-(3-ブトキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチル(実施例1bにしたがって得られたもの)、15 mgの酢酸パラジウム、および48 mgの2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルの、ジメチルホルムアミド/トリエチルアミン(6/1)混合液5 mlの溶液を、80℃にて3時間撹拌する。水を添加し、酢酸エチルで抽出した後、有機相を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで無水にしる。残渣のオイルを、ヘプタン/酢酸エチル(8/2)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0098】
(c) 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-メタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}-プロパン酸メチル
100 mgの炭素上パラジウムを、(E)-3-{3-ブトキシ-4-[(E)-3-(4-メタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロペニル]フェニル}アクリル酸メチル(先に得られたもの)のメタノール10 mlの溶液に添加する。この反応媒体を、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌する。触媒をセライトで濾過して除去した後、溶媒を蒸発によって除去して、600 mg(二段階で91%)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-メタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}-プロパン酸メチルが、無色オイルの形態で得られる。
【0099】
(d) 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-メタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル] フェニル}プロパン酸
600 mg(1.25 mmol)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-メタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}-プロパン酸メチルを、テトラヒドロフラン10 mlに溶解させ、次いで、1.8 ml(1.8 mmol)の1N水酸化リチウム水溶液を添加する。この反応媒体を、室温で15時間撹拌する。水を添加した後、酢酸で酸性化させ、この反応媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。得られる残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(8/2)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。480 mg(82%)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-メタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸が、イソプロピルエーテル/ペンタン(2/8)混合液から結晶化させた後に得られる。
NMR (1H, CDCl3): 0.97 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 1.48 (m, 2H); 1.75 (m, 2H); 1.90 (m, 2H); 2.61-2.69 (m, 6H); 2.92 (t, J = 7.6 Hz, 2H); 3.16 (s, 3H); 3.86 (s, 3H); 3.94 (t, J = 6.4 Hz, 2H); 6.78 (s, 1H); 6.70 (d, J = 7.6 Hz, 1H); 6.77-6.80 (m, 2H); 7.03 (d, J = 7.6 Hz, 1H); 7.19 (d, J = 8.6 Hz, 1H)
【0100】
[実施例5]:3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)プロパン酸
(a) (E)-3-{3-ブトキシ-4-[(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロペニル]フェニル}アクリル酸メチル
1.1 g(12.1 mmol)のオイゲノール、2.0 g(5.5 mmol)の(E)-3-(3-ブトキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチル(実施例1bにしたがって合成したもの)、24 mg(0.1 mmol)の酢酸パラジウム(II)、および77 mg(0.2 mmol)の2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルの、ジメチルホルムアミド/トリエチルアミン(6/1)混合液15 ml中の溶液を、90℃にて3時間撹拌する。水を添加した後、この反応媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。残渣のオイルを、ヘプタン/酢酸エチル(80/20)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0101】
(b) 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチル
500 mgの炭素上パラジウムを、(E)-3-{3-ブトキシ-4-[(E)-3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロペニル]フェニル}アクリル酸メチルのメタノール25 mlの溶液に添加する。この反応媒体を、水素雰囲気下、室温で3時間撹拌する。触媒を濾過して除去した後、溶媒を蒸発によって除去して、2.0 g(90%)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}-プロパン酸メチルが、無色オイルの形態で得られる。
【0102】
(c) 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)プロパン酸メチル
400 mg(1 mmol)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}-プロパン酸メチル、170μl(1.3 mmol)のブタンスルホニルクロライド、および250μlのトリエチルアミンのテトラヒドロフラン10 ml溶液を、室温で12時間撹拌する。水を添加し、酢酸エチルで抽出した後、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。残渣のオイルをヘプタン/酢酸エチル(8/2)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。410 mgの3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)プロパン酸メチルが、黄色オイルの形態で得られる。
【0103】
(d) 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)プロパン酸
410 mgの3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)プロパン酸メチルを、テトラヒドロフラン10 mlに溶解させ、次いで、1.8 mlの1N水酸化リチウム水溶液を添加する。この反応媒体を、室温で15時間撹拌する。水を添加した後、酢酸でpH 4に酸性化させ、この反応媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。得られる残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(8/2)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。136 mg(二段階で27%)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)プロパン酸が、無色オイルの形態で得られる。
NMR (1H, CDCl3): 0.98 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 1.01 (t, J = 7 Hz, 3H); 1.49-1.54 (m, 4H); 1.77 (m, 2H); 1.91 (m, 2H); 1.99 (m, 2H); 2.63-2.67 (m, 6H); 2.92 (t, J = 7.6 Hz, 2H); 3.28 (t, J = 6.4 Hz, 2H); 3.70 (s, 3H); 4.14 (m, 2H); 6.69 (s, 1H); 6.71 (d, J = 7.5 Hz, 2H); 6.79 (m, 2H); 7.04 (dd, J = 2.8 Hz, J = 7.4 Hz, 1H); 7.20 (dd, J = 1.7 Hz, J = 7 Hz, 1H)
【0104】
[実施例6]:3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸
(a) 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチル
0.2 ml(1.6 mmol)のトリエチルアミン、次いで、0.15 ml(1.7 mmol)のエタンスルホニルクロライドを、0.5 g(1.25 mmol)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチル(実施例1dにしたがって合成したもの)のジクロロメタン3 ml溶液(予め-20℃に冷却したもの)に添加する。この反応媒体を、室温で3時間撹拌した後、飽和塩化ナトリウム水溶液を添加しすることによって処理し、酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(90/10)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。618 mg(99%)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチルが、無色オイルの形態で得られる。
【0105】
(b) 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸
1.1 ml(0.85 mmol)の1N水酸化リチウム水溶液を、259 mg(0.6 mmol)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}-プロパン酸メチルのテトラヒドロフラン3 ml溶解に添加する。この反応混合物を、室温で12時間撹拌し、濃縮し、水に溶解させて取りだし、塩酸溶液の添加によって酸性化させた後、酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。ヘプタンで粉末化させて、208 mg(83%)の3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸が、64℃の融点を有する白色結晶の形態で得られる。
NMR (1H, CDCl3): 0.98 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 1.46 (m, 2H); 1.53 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 1.77 (m, 2H); 1.90 (m, 2H); 2.60-2.69 (m, 6H); 2.92 (t, J = 7.6 Hz, 2H); 3.29 (q, J = 7.4 Hz, 2H); 3.85 (s, 3H); 3.93 (t, J = 6.3 Hz, 2H); 6.66-6.71 (m, 2H); 6.76-6.78 (m, 2H); 7.02 (d, J = 7.5 Hz, 1H); 7.19 (d, J = 8.7 Hz, 1H)
【0106】
[実施例7]:3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(3-フルオロ-ベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸
(a) 3-ベンジルオキシ-4-ヨードベンズアルデヒド
47 ml(411 mmol)のベンジルクロライドを、103 g(748 mmol)の炭酸カリウムの存在下、93 g(374 mmol)の3-ヒドロキシ-4-ヨードベンズアルデヒドのメチルエチルケトン600 ml溶液に添加する。この反応媒体を、78℃にて18時間加熱する。固体を濾過して除去し、溶媒を蒸発させて除去する。得られる固体をヘプテンで洗浄して、114 g(90%)の3-ベンジルオキシ-4-ヨードベンズアルデヒドを、白色結晶の形態で得る。
【0107】
(b) (E)-3-(3-ベンジルオキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチル
170 g(506 mmol)のメチル(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートを、114 g(337mmol)の3-ベンジルオキシ-4-ヨードベンズアルデヒドのトルエン570 ml溶液に添加する。この反応混合物を、2時間還流させる。溶媒を蒸発させて除去し、得られるオイルを、ヘプタン/ジクロロメタン(50/50)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。115 g(87%)の(E)-3-(3-ベンジルオキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチルが、淡黄色結晶の形態で得られる。
【0108】
(c) (4-アリル-2-メトキシフェニル)メタンスルホン酸ブチル
5.2 ml(40 mmol)のブタンスルホニルクロライドを、6 g(36 mmol)のオイゲノールおよび5.5 ml(43 mmol)のトリエチルアミンのジクロロメタン100 ml溶液(予め-20℃に冷却したもの)に添加する。室温で3時間撹拌した後、反応媒体を、水および酢酸エチルで処理する。有機相を硫酸マグネシウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。10.8 g(100%)の(4-アリル-2-メトキシフェニル)メタンスルホン酸ブチルが得られる。
【0109】
(d) (E)-3-(3-ベンジルオキシ-4-{(E)-3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロペニル}フェニル)-アクリル酸メチル
0.3 g(0.8 mmol)の2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、0.1 g(0.4 mmol)の酢酸パラジウム(II)、次いで3.4 ml(25 mmol)のトリエチルアミンを、7 g(3 mmol)の(4-アリル-2-メトキシフェニル)メタンスルホン酸ブチルおよび8.1 g(20 mmol)の(E)-3-(3-ベンジルオキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチルのジメチルホルムアミド80 ml溶液に添加する。この反応混合物を、90℃にて15時間加熱する。20 mlの水を添加した後、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。11 g(100%)のエチル4-{(E)-3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロペニル}-3-ブトキシベンゾエートが得られる。
【0110】
(e) 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチル
11 g(20 mmol)の(E)-3-(3-ベンジルオキシ-4-{(E)-3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロペニル}フェニル)-アクリル酸メチルを、メタノール100 mlに溶解させた後、1.1 gの(10質量%)炭素上パラジウムを添加する。この反応媒体を、1気圧の水素下に24時間置いた後、セライトを通して濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、濾液を濃縮する。残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(8/2)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。8 g(73%)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチルが得られる。
【0111】
(f) 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(3-フルオロベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸メチル
0.2 g(1.2 mmol)の炭酸カリウム、次いで、0.1 ml(0.9 mmol)の3-フルオロベンジルブロマイドを、0.4 g(0.8 mmol)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチルの溶液に添加する。反応媒体を80℃にて15時間撹拌した後、水で処理し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで無水にし、濾過し、濃縮する。得られる残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(8/2)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。0.27 g(60%)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(3-フルオロベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸メチルが得られる。
【0112】
(g) 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(3-フルオロ-ベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸
0.4 g(1 mmol)の水酸化リチウム一水和物を、0.3 g(0.5 mmol)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(3-フルオロベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸メチルのテトラヒドロフラン/メタノール/水(5/1/1)混合液の10 ml溶液に添加する。この反応媒体を、室温で15時間撹拌し、水で処理し、酢酸を用いてpH 4に酸性化し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで無水にし、濾過し、濃縮する。得られる残渣を、ジクロロメタン/メタノール(97/3)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。0.23 g(77%)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(3-フルオロ-ベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸が、無色オイルの形態で得られる。
NMR (1H, CDCl3): 0.89 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 1.40 (m, 2H); 1.83-1.93 (m, 4H); 2.55-2.63 (m, 6H); 2.84 (t, J = 7.6 Hz, 2H); 3.18 (m, 2H); 3.74 (s, 3H); 4.97 (s, 2H); 6.66-6.69 (m, 4H); 6.93 (m, 1H); 7.00 (d, J = 7.5 Hz, 1H); 7.06-7.17 (m, 3H); 7.26 (m, 1H)
【0113】
[実施例8]:3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(4-フルオロベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸
(a) 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(4-フルオロベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸メチル
0.2 g(1.2 mmol)の炭酸カリウム、次いで、0.1 ml(0.9 mmol)の4-フルオロベンジルブロマイドを、0.4 g(0.8 mmol)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチル(実施例7eにしたがって合成したもの)の溶液に添加する。反応媒体を80℃にて15時間撹拌した後、水で処理し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで無水にし、濾過し、濃縮する。得られる残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(8/2)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。0.3 g(65%)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(4-フルオロベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸メチルが得られる。
【0114】
(b) 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(4-フルオロベンジルオキシ)フェニル]-プロパン酸
0.4 g(1 mmol)の水酸化リチウム一水和物を、0.3 g(0.5 mmol)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(4-フルオロベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸メチルのテトラヒドロフラン/メタノール/水(5/1/1)混合液10 ml溶液に添加する。この反応媒体を、室温で15時間撹拌し、水で処理し、酢酸を用いてpH 4に酸性化し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで無水にし、濾過し、濃縮する。得られる残渣を、ジクロロメタン/メタノール(97/3)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。0.24 g(85%)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(4-フルオロベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸が、無色オイルの形態で得られる。
NMR (1H, CDCl3): 0.89 (t, J = 7.4 Hz, 3H); 1.43 (m, 2H); 1.81-1.92 (m, 4H); 2.53-2.61 (m, 6H); 2.84 (t, J = 7.6 Hz, 1H); 3.19 (m, 2H); 3.73 (s, 3H); 4.93 (s, 2H); 6.64-6.69 (m, 4H); 6.97-7.01 (m, 3H); 7.08 (d, J = 8 Hz, 1H); 7.18-7.31 (m, 2H)
【0115】
[実施例9]:3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-シクロプロピルメトキシフェニル)プロパン酸
(a) 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-シクロプロピルメトキシフェニル)プロパン酸メチル
0.2 g(1.2 mmol)の炭酸カリウム、次いで、0.12 g(0.9 mmol)のブロモメチルシクロプロパンを、0.4 g(0.8 mmol)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチル(実施例7eにしたがって合成したもの)の溶液に添加する。反応媒体を80℃にて15時間撹拌した後、水で処理し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで無水にし、濾過し、濃縮する。得られる残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(8/2)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。0.26 g(61%)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-シクロプロピルメトキシフェニル)プロパン酸メチルが得られる。
【0116】
(b) 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-シクロプロピルメトキシフェニル)-プロパン酸
0.4 g(1 mmol)の水酸化リチウム一水和物を、0.26 g(0.5 mmol)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-シクロプロピルメトキシフェニル)プロパン酸メチルのテトラヒドロフラン/メタノール/水(5/1/1)混合液10 ml溶液に添加する。この反応媒体を、室温で15時間撹拌し、水で処理し、酢酸を用いてpH 4に酸性化し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで無水にし、濾過し、濃縮する。得られる残渣を、ジクロロメタン/メタノール(97/3)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。0.24 g(100%)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-シクロプロピルメトキシフェニル)プロパン酸が、無色オイルの形態で得られる。
NMR (1H, CDCl3): 0.25 (m, 2H); 0.52 (m, 2H); 0.90 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 1.17 (m, 1H); 1.42 (m, 2H); 2.56-2.61 (m, 6H); 2.83 (t, J = 7.5 Hz, 2H); 3.72 (d, J = 6.6 Hz, 2H); 3.78 (s, 3H); 6.58 (s, 1H); 6.63 (dd, J = 1.4 Hz, J = 7.6 Hz, 1H); 6.71-6.73 (m, 2H); 6.96 (d, J = 7.6 Hz, 1H); 7.11 (d, J = 8.6 Hz, 1H)
【0117】
[実施例10]:3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-(3-メトキシベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸
(a) 3-ヒドロキシ-4-ヨード安息香酸
1319 g(1.52 mol)の市販の9.6%次亜塩素酸ナトリウム溶液を、200 g(1.45 mol)の3-ヒドロキシ安息香酸、61 g(1.52 mol)の水酸化ナトリウム粉末、および228 g(1.52 mol)のヨウ化ナトリウムのメタノール2 L溶液(予め0℃に冷却したもの)に滴下により添加する。この反応媒体を、室温にて72時間撹拌する。メタノールを蒸発によって除去した後、この溶液を10℃に冷却し、塩酸水溶液でpH 2に酸性化する。混合物を2時間撹拌すると、生成物が沈殿する。この生成物を濾取し、水で十分に洗浄し、減圧下、50 ℃にて乾燥させる。150 g(39%)の3-ヒドロキシ-4-ヨード安息香酸が白色固体の形態で得られる。
【0118】
(b) 3-ヒドロキシ-4-ヨード安息香酸メチル
140 g(530 mmol)の3-ヒドロキシ-4-ヨード安息香酸および20.2g(110 mmol)のパラ-トルエンスルホン酸のメタノール900 ml溶液を、18時間還流させる。冷却後、700 mlの水を添加し、媒体を18時間撹拌する。生成物が沈殿し、これを濾取する。減圧下、50℃で乾燥させた後、137 g(93%)の3-ヒドロキシ-4-ヨード安息香酸メチルが、白色固体の形態で得られる。
【0119】
(c) 3-ベンジル-4-ヨード安息香酸メチル
47 ml(411 mmol)のベンジルクロライドを、104 g(374 mmol)の3-ヒドロキシ-4-ヨード安息香酸メチルおよび103 g(748 mmol)の炭酸カリウムのメチルエチルケトン600 ml溶液に添加した後、この反応媒体を、8時間還流させる。冷却後、反応媒体を濾過し、沈殿物を酢酸エチルで洗浄し、濾液を乾燥するまで蒸発させる。残渣を、水と酢酸エチルとの混合液に溶解させて取り出す。有機相を、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。139 g(100%)の3-ベンジル-4-ヨード安息香酸メチルが、白色固体の形態で得られる。
【0120】
(d) 3-ベンジルオキシ-4-ヨードベンジルアルコール
139 g(374 mmol)の3-ベンジル-4-ヨード安息香酸メチルのテトラヒドロフラン550 ml溶液を、12.9 g(563 mmol)の水素化ホウ素リチウムのテトラヒドロフラン150 ml溶液に滴下により添加した後、この反応媒体を3時間還流させる。冷却後、300 ml飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、反応媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。125 g(97%)の3-ベンジルオキシ-4-ヨードベンジルアルコールが、白色結晶の形態で得られる。
【0121】
(e) 3-ベンジルオキシ-4-ヨードベンズアルデヒド
125 g(370 mmol)の3-ベンジルオキシ-4-ヨードベンジルアルコールおよび160 g(1.84 mol)の二酸化マンガンのジクロロメタン750 ml溶液を、室温で18時間撹拌する。反応が完結しないため、さらなる160 g(1.84 mol)の二酸化マンガンを添加し、反応媒体を6時間撹拌する。反応媒体をセライトを通して濾過した後、濾液を減圧下で濃縮する。114 g(92%)の3-ベンジルオキシ-4-ヨードベンズアルデヒドが、黄色オイルの形態で得られる。
【0122】
(f) (E)-3-(2-ベンジルオキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチル
170 g(506 mmol)のメチルトリフェニルホスホラニリデンアセテートを、114 g(337 mmol)の3-ベンジルオキシ-4-ヨードベンズアルデヒドのトルエン570 ml溶液に少量づつ加え、この反応媒体を2時間撹拌する。冷却後、反応媒体を、セライトを通して濾過した後、減圧下で濃縮する。得られる残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(80/20)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。113 g(85%)の(E)-3-(2-ベンジルオキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチルが、黄色粉末の形態で得られる。
【0123】
(g) 4-アリル-2-メトキシフェニル1-ブタンスルホネート
13 ml(0.1 mol)のブタンスルホニルクロライドを、15 g(0.09 mol)のオイゲノールおよび16 ml(0.11 mol)のトリエチルアミンのジクロロメタン150 ml溶液(予め-20℃に冷却したもの)に、滴下により添加する。この反応混合物を、室温で4時間撹拌する。反応物を水50 mlを添加することによって処理し、ジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、蒸発させる。残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(90/10)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。24.3 g(74%)の4-アリル-2-メトキシフェニル1-ブタンスルホネートが、黄色オイルの形態で得られる。
【0124】
(h) (E)-3-(2-ベンジルオキシ-4-{(E)-3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロペニル}フェニル)アクリル酸メチル
71 mg(0.2 mmol)の2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルおよび23 mg(0.1 mmol)の酢酸パラジウムを、2 g(5.07 mmol)の(E)-3-(2-ベンジルオキシ-4-ヨードフェニル)アクリル酸メチル、1.1 ml(7.6 mmol)のトリエチルアミン、および2.9 g(5.07 mmol)の4-アリル-2-メトキシフェニル1-ブタン-1-スルホネートのジメチルホルムアミド20 ml溶液に添加する。この反応混合物を、80℃にて4時間加熱する。反応物を、50 mlの水を添加することによって処理した後、酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過した後、溶媒を蒸発させて除去する。残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(90/10)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。2.53 g(91%)の(E)-3-(2-ベンジルオキシ-4-{(E)-3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロペニル}フェニル)アクリル酸メチルが、黄色オイルの形態で得られる。
【0125】
(i) 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチル
78 mg(10質量当量%)の10%炭素上パラジウムを、780 mg(1.4 mmol)の(E)-3-(2-ベンジルオキシ-4-{(E)-3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロペニル}フェニル)アクリル酸メチルのメタノール8 ml溶液に添加する。この反応混合物を、大気圧の水素下、室温にて16時間置いた後、セライトを通して濾過し、ジクロロメタンで洗浄する。溶媒を蒸発させて除去した後、残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(60/40)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。610 mg(94%)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチルが、無色オイルの形態で得られる。
【0126】
(j) 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-(3-メトキシベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸メチル
68μl(0.5 mmol)の3-メトキシベンジルクロライドを、200 mg(0.5 mmol)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチルおよび89 mg(0.5 mmol)の炭酸カリウムのメチルエチルケトン5 ml溶液に添加し、反応媒体を70℃にて48時間撹拌する。冷却後、水を添加し、次いで、反応媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、濃縮する。得られる残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(7/3)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。120 mg(48%)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-(3-メトキシベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸メチルが得られる。
【0127】
(k) 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-(3-メトキシベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸
0.66 ml(0.66 mmol)の水酸化リチウム溶液を、181.6 mg(0.31 mmol)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-(3-メトキシベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸メチルのテトラヒドロフラン5 ml溶液に添加する。この反応媒体を、室温で一晩撹拌する。反応物を、10 mlの水を添加することにより処理し、塩酸で酸性化した後、酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで無水にしる。溶媒を蒸発させて除去し、残渣を、ジクロロメタン/メタノール(95/5)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。162 mg(92%)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-(3-メトキシベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸が、黄色オイルの形態で得られる。
NMR 1H (δ, CDCl3): 0.90 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 1.42 (m, 2H); 1.85-1.93 (m, 4H); 2.52 (m, 4H); 2.91 (t, J = 7.3 Hz, 2H); 3.2 (m, 2H); 3.73 (s, 3H); 3.78 (s, 3H); 4.99 (s, 2H); 6.65-6.69 (m, 3H); 6.77 (m, 1H); 6.93 (m, 1H); 7.12 (d, J = 8 Hz, 1H); 7.19 (m, 1H); 7.22-7.24 (m, 2H)
【0128】
[実施例11]:3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ブトキシフェニル)プロパン酸
(a) 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ブトキシフェニル)プロパン酸メチル
0.11 ml(0.95 mmol)のヨードブタンを、400 mg(0.86 mmol)の3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチル(実施例10iにしたがって合成したもの)および178 mg(1.29 mmol)の炭酸カリウムのメチルエチルケトン10 ml溶液に添加し、反応媒体を70℃にて18時間撹拌する。反応物を、20 mlの水を添加することによって処理し、次いで、酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで無水にし、濾過し、濃縮する。残渣を、ヘプタン/酢酸エチル(70/30)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。179 mg(40%)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ブトキシフェニル]プロパン酸メチルが、無色オイルの形態で得られる。
【0129】
(b) 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ブトキシフェニル)プロパン酸
0.62 ml(0.62 mmol)の水酸化リチウム溶液を、171 mg(0.33 mmol)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ブトキシフェニル]プロパン酸メチルのテトラヒドロフラン3 ml溶液に添加する。次いで、この反応混合物を、室温で18時間撹拌する。乾燥するまで蒸発させた後、反応媒体を10 mlの水に溶解させて取り出し、酢酸でpH 4にまで酸性化させた後、酢酸エチルで抽出する。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで無水にしる。溶媒を蒸発させて除去した後、残渣を、ジクロロメタン/メタノール(99/1)混合液で溶出させるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。99 mg(60%)の3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ブトキシフェニル]プロパン酸が、黄色オイルの形態で得られる。
NMR 1H (δ, CDCl3): 0.97 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 1.01 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 1.49-1.55 (m, 4H); 1.80 (m, 2H); 1.82-1.90 (m, 4H); 2.62-2.68 (m, 6H); 2.94 (t, J = 7.5 Hz, 2H); 3.30 (t, J = 7.8 Hz, 2H); 3.87 (s, 3H); 3.98 (t, J = 6.3 Hz, 2H); 6.67 (s, 1H); 6.70 (d, J = 7.6 Hz, 1H); 6.78-6.80 (m, 2H); 7.08 (d, J = 7.5 Hz, 1H); 7.21 (d, J = 8.7 Hz, 1H)
【0130】
[実施例12]:クロスカーブPPARトランス活性化試験
HeLN細胞内のアゴニスト(活性化剤)によるPPAR受容体の活性化は、基質の存在下で光を生じるレポーター遺伝子、ルシフェラーゼの発現を引き起こす。PPAR受容体の調節は、リファレンスアゴニストの存在下で細胞をインキュベートした後に生成された発光(ルミネセンス)を定量化することによって測定する。リガンドはアゴニストをその位置から移動させる。活性の測定は生成した光を定量化することによって実施する。この測定で、PPAR受容体に対するその分子の親和性を表す定数を割り出すことによって、本発明の化合物の調節活性を判定することが可能になる。この値は、受容体の定常活性と発現に依存して変動し得るので、見かけのKd値(Kdapp(nM))と呼ばれる。
【0131】
この定数を判定するために、リファレンスアゴニストに対する試験生成物の「クロスカーブ」を、96-ウェルプレートで実施する:試験化合物の10個の濃度および濃度0を横列に配置し、アゴニストの7個の濃度および濃度0を縦列に配置する。これが、1つの生成物および1つの受容体についての88個の測定点である。残りの8個のウェルは再現性の対照用に使用する。
【0132】
各ウェルでは、細胞は、ある濃度の試験生成物と、ある濃度のリファレンスアゴニスト〔PPARαでは2-(4-{2-[3-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-ヘプチルウレイド]エチル}フェニルスルファニル)-2-メチルプロピオン酸、PPARδでは{2-メチル-4-[4-メチル-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-5-イルメチルスルファニル]フェノキシ}酢酸、およびPPARγでは5-{4-[2-(メチル(ピリド-2-イル)アミノ)エトキシ]ベンジル}チアゾリジン-2,4-ジオン〕とに接触する。全てのアゴニスト対照についても同じ生成物と共に測定する。
【0133】
使用したHeLN細胞系は、プラスミドERE-βGlob-Luc-SV-Neo(レポーター遺伝子)およびPPAR(α、δ、γ)Gal-hPPARを含む安定な形質変換体である。これらの細胞は、フェノールレッドを含まず10%の脱脂した仔ウシ血清を追加したDMEM媒体100μl中で、ウェル1個当たり細胞10000個の割合で、96ウェルプレートに接種する。次いでプレートを37℃、7%のCO2で16時間インキュベートする。
【0134】
試験生成物の種々の希釈物および比較例のリガンドの種々の希釈物をウェル1個当たり5μlの割合で加える。次いでプレートを18時間、37℃および7%のCO2でインキュベートする。逆さにすることによって培養培地を除去し、1:1のPBS/ルシフェリン混合物100μlを各ウェルに加える。5分後、ルミネセンス検出器でプレートを読み取る。
【0135】
これらのクロスカーブにより、試験生成物の種々の濃度での比較例のリガンドのAC50値(50%の活性が認められる濃度)を判定することができる。これらのAC50値を使用して、Schild方程式(「quantitation in receptor pharmacology」、Terry P. Kenakin、Receptors and Channels、2001、Vol. 7、371〜385頁)に相当する直線をプロットすることによりSchild回帰を計算して、Kd app値(nM)を得ることができる。
【0136】
【表1】

【0137】
これらの結果は、PPAR受容体に対する本化合物の親和性を示している。より具体的には、PPARαサブタイプまたはPPARδサブタイプに対する本発明化合物の親和性と比較した、PPARγサブタイプに対する本発明化合物の親和性の特異性を示している。
【0138】
[実施例13]:組成物
本発明の化合物をベースとするさまざまな具体的な製剤を、本実施例によって例示する。
[A.経口経路]
(a) 0.2g錠剤
- 実施例5の化合物 0.001g
- 澱粉 0.114g
- リン酸二カルシウム 0.020g
- シリカ 0.020g
- ラクトース 0.030g
- タルク 0.010g
- ステアリン酸マグネシウム 0.005g

(b) 5mlバイアルの飲用懸濁剤
- 実施例4の化合物 0.001g
- グリセロール 0.500g
- 70%ソルビトール 0.500g
- ナトリウムサッカリン 0.010g
- パラ-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.040g
- 香味料 適量
- 精製水 5mlにするための適量

(c) 0.2g錠剤
- 実施例1の化合物 0.050g
- ラクトース一水和物 0.132g
- クロスポビドン 0.007g
- ポビドン 0.005g
- エアロシル200 0.004g
- ステアリン酸マグネシウム 0.002g

(d) 10mlバイアルの飲用懸濁剤
- 実施例4の化合物 0.200g
- グリセロール 1.000g
- 70%ソルビトール 1.000g
- ナトリウムサッカリン 0.010g
- パラ-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.080g
- 香味料 適量
- 精製水 10mlにするための適量
【0139】
[B.局所的経路]
(a) 軟膏
- 実施例5の化合物 0.020g
- ミリスチン酸イソプロピル 81.700g
- 液体ワセリン流体 9.100g
- シリカ(「Aerosil 200」) 9.180g

(b) 軟膏
- 実施例3の化合物 0.300g
- 薬局方白色ワセリン 100gにするための適量

(c) 非イオン性油中水クリーム
- 実施例7の化合物 0.100g
- 乳化ラノリンアルコール、ワックス、およびオイルの混合物(「Anhydrous Eucerin」) 39.900g
- パラ-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.075g
- パラ-ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.075g
- 無菌脱塩水 100gにするための適量

(d) 疎水性軟膏
- 実施例8の化合物 0.100g
- ポリエチレングリコール(PEG 400) 69.900g
- 95%エタノール 30.000g

(e) 疎水性軟膏
- 実施例5の化合物 0.300g
- ミリスチン酸イソプロピル 36.400g
- シリコーンオイル(「Rhodorsil 47 V 300」) 36.400g
- ミツロウ 13.600g
- シリコーンオイル(「Abil 300,000 cSt」) 100gにするための適量

(f) 非イオン性水中油クリーム
- 実施例5の化合物 1.000g
- セチルアルコール 4.000g
- モノステアリン酸グリセリル 2.500g
- ステアリン酸PEG-50 2.500g
- シアバター 9.200g
- プロピレングリコール 2.000g
- パラ-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.075g
- パラ-ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.075g
- 無菌脱塩水 100gにするための適量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)に相当する化合物、その医薬品として許容可能な酸または塩基との塩、医薬品として許容可能なその溶媒和物、またはその水和物:
【化1】

〔式中、
- R1は、ヒドロキシル基またはアルコキシ基を表し;
- R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、場合により置換されていてもよいアラルキル基、またはポリエーテル基を表し;
- R3は、水素原子、ハロゲン、アルキル基、またはアルコキシ基を表し;
- R4は、アルキル基、場合により置換されていてもよいアリール基、または場合により置換されていてもよいアラルキル基を表し;
- Xは、酸素原子またはCH2基を表し;
- Yは、酸素原子、NR5基、または、OSO2、OCO、NR5CO、もしくはNR5SO2基を表し;
- R5は、水素原子またはアルキル基を表す〕。
【請求項2】
アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、または有機アミンとの塩の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
アミン官能基を有する場合、鉱酸の塩または有機酸の塩の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記アルキル基が、1個〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和炭化水素をベースとする鎖を表すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記アルキル基が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、アミル、ヘキシル基から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記シクロアルキル基が、3個〜7個の炭素原子を有する飽和環状炭化水素をベースとする鎖を表すことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記任意に置換されていてもよいアリール基が、場合により、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、およびニトロから選択される1個以上の原子または原子群で置換されていてもよい、フェニルまたはナフチルから選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記任意に置換されていてもよいアラルキル基が、場合により、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、およびニトロから選択される1個以上の原子または原子群で置換されていてもよい、ベンジルおよびフェネチルから選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記ハロゲン原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記アルコキシ基が、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、n-プロピルオキシ、tert-ブトキシ、n-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、およびn-ヘキシルオキシ基から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記ポリエーテル基が、炭素原子1個から7個を有し少なくとも1個の酸素原子が介在する基、好ましくは、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、メトキシエチル、エトキシエチル、またはメトキシエトキシエトキシ基から選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
以下からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物:
1. 3-{4-[3-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]-3-ブトキシフェニルプロパン酸
2. 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エトキシ-3-メトキシフェニル)-プロピル]フェニル}プロパン酸
3. 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-ブトキシ-3-メトキシフェニル)-プロピル]フェニル}プロパン酸
4. 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-メタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸
5. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)プロパン酸
6. 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エタンスルホニルオキシ-3-メトキシフェニル)プロピル]フェニル)プロパン酸
7. 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(3-フルオロベンジルオキシ)-フェニル]プロパン酸
8. 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-(4-フルオロベンジルオキシ)フェニル]プロパン酸
9. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-シクロプロピルメトキシフェニル)プロパン酸
10. 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-(3-メトキシベンジルオキシ)-フェニル]-プロパン酸
11. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-2-ブトキシフェニル)-プロパン酸
12. 3-[4-[3-(4-アセチルアミノフェニル)プロピル]-3-(2-メトキシエトキシ)-フェニル]プロパン酸メチル
13. 3-(4-{3-[4-(アセチルメチルアミノ)フェニル]プロピル}-3-メトキシフェニル)プロパン酸メチル
14. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)フェニル]プロピル}-3-ヒドロキシフェニル)プロパン酸
15. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルアミノ)フェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)プロパン酸
16. 3-[4-(2-{4-[(3-クロロベンゾイル)メチルアミノ]フェニル}エトキシ)-3-(2-エトキシエトキシ)フェニル]プロパン酸
17. 3-[3-ブトキシ-4-(2-{4-[メチル(2-p-トルイルエタンスルホニル)アミノ]フェニル}エトキシ)フェニル]プロパン酸
18. 3-(4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-3-メトキシフェニル]プロピル}-3-ブトキシフェニル)-プロパン酸
19. 3-{3-ブトキシ-4-[3-(4-エトキシ-3-フルオロフェニル)プロピル]フェニル}プロパン酸メチル
20. 3-[4-{3-[4-(ブタン-1-スルホニルオキシ)-2-メトキシフェニル]プロピル}-3-(2-エトキシエトキシ)フェニル]プロパン酸
21. 3-(4-{3-[3-クロロ-4-(ヘキサン-1-スルホニルオキシ)フェニル]プロピル}-3-エトキシ-フェニル)プロパン酸
22. 3-{4-[2-(3-クロロ-4-エトキシフェニル)エトキシ]-3-メトキシフェニルプロパン酸
23. 4-{3-[4-(2-カルボキシエチル)-2-メトキシフェニル]プロピル}フェニルブチレート。
【請求項13】
以下の特徴:
- R1が、ヒドロキシル基である;
- R2が、アルキル基またはポリエーテル基を表す;
- R3が、水素原子、アルコキシ基、またはハロゲンを表す;
- R4が、アルキル基を表す;
- Xが、酸素原子またはCH2基を表す;
- Yが、-NR5SO2配列(式中、R5は、水素原子またはアルキル基を表す)または-OSO2配列を表す
の少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
以下の特徴:
- R1が、ヒドロキシル基である;
- R2が、低級アルキル基を表す;
- R3が、低級アルコキシ基を表す;
- R4が、低級アルキル基を表す;
- Xが、酸素原子またはCH2基を表す;
- Yが、-OSO2配列を表す
の少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
生理学的に許容できる担体中に、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする化粧品組成物。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物の濃度が、組成物の総重量に対して0.001重量%〜3重量%であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物または請求項15もしくは16に記載の組成物の、身体または毛髪の衛生のための美容目的使用。
【請求項18】
医薬製品としての、請求項1〜から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
皮膚の脂質の代謝の調節および/または回復のための組成物の製造における、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
- 分化および増殖に関連する角化障害に伴う皮膚科学的疾患、特に尋常性座瘡、面皰性座瘡、多形性座瘡、酒さ性座瘡、結節嚢腫性座瘡、集簇性座瘡、老人性座瘡、または二次的座瘡、例えば日光性座瘡、薬物性座瘡または職業性座瘡、
- 魚鱗癬、魚鱗癬様状態、ダリエー病、掌蹠角皮症、白斑症および白斑症様の状態、または皮膚もしくは粘膜(口腔)の苔癬、
- 炎症性免疫アレルギー性要素を有し、細胞増殖障害を伴うかまたは伴わない皮膚科学的疾患、特に、皮膚、粘膜、もしくは爪の乾癬、乾癬性関節症、皮膚アトピー、例えば湿疹、呼吸性アトピー、または歯肉肥大、
- 良性または悪性の、ウイルス由来かまたはウイルス由来でない皮膚または表皮増殖、特に、尋常性ゆうぜい、扁平ゆうぜい、ゆうぜい状表皮発育異常症、口部乳頭腫症もしくは顕症期の乳頭腫症、またはTリンパ腫、
- 紫外線によって誘発され得る増殖、特に基底細胞上皮腫および有棘細胞上皮腫、
- 前癌皮膚病変、特に角化棘細胞腫、
- 免疫性皮膚炎、特に紅斑性狼瘡、
- 水疱性免疫疾患、
- 膠原病、特に強皮症、
- 免疫学的要素を有する皮膚科学的または全身性疾患、
- 紫外線への曝露に起因する皮膚障害、光誘導性もしくは加齢性の皮膚老化、または光線性角化症および光線性色素沈着、あるいは加齢性または光線性老化に伴う何らかの病態、特に乾燥症、
- 脂腺機能障害、特に脂漏過剰性座瘡、単純性脂漏、
- 瘢痕形成障害またはストレッチマーク、
- 色素沈着障害、例えば色素沈着過剰、黒皮症、色素沈着低下または白斑、
- 脂質代謝疾患、例えば肥満、高脂血症、インスリン非依存性糖尿病、
- 炎症性疾患、例えば関節炎、
- 癌または前癌状態、
- 種々の原因の脱毛症、特に化学療法または放射線による脱毛症、
- 免疫系障害、例えば喘息、I型糖尿病、多発性硬化症または免疫系のその他の選択的機能不全、あるいは
- 心血管系の疾患、例えば動脈硬化症または高血圧症、
の治療のための組成物の製造における、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
生理学的に許容できる担体中に、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項22】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物の濃度が、組成物の総重量に対して0.001重量%〜10重量%であることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物の濃度が、組成物の総重量に対して0.01重量%〜1重量%であることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−529098(P2010−529098A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510858(P2010−510858)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050996
【国際公開番号】WO2008/152333
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】