説明

RAR選択的レチノイド拮抗薬を用いた気腫の治療

【課題】気腫または他の肺胞損傷に関連する疾患の治療に有用な受容体作動薬を含有する医薬の提供。
【解決手段】レチノイン酸受容体(BAR)作動薬、特にBARγ受容体に選択的であり、BARαおよびBARβ受容体と対比して、少なくとも20倍であるBARγ選択的作動薬が、気腫または他の肺胞損傷に関連する疾患の治療に有効であり、1種類またはそれ以上の該作動薬を含有する医薬。該作動薬としては、特に下記化合物が優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチノイン酸受容体(RAR)作動薬、特にRARγ選択的であるレチノイン酸受容体作動薬の用途に関する。
【0002】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、罹患率および死亡率の主因であって、欧州連合および北米における主導的死因として、それぞれ、第3位および4位を占めている。COPDは、数ヶ月にわたって変化せず、連続する2年またはそれ以上の間持続する、最大呼気流量の減少を特徴とする。最も重篤な形態のCOPDの患者は、一般に、有意な程度の気腫の症状を示す。
【0003】
気腫は、解剖学的には、終末細気管支に遠位の気積の恒久的拡張によって定義され、肺の反跳の漸進的な喪失、肺胞の破壊、肺胞表面積およびガス交換の減少を特徴として、それらがFEV(努力呼気量)1の低下へと導く〔American Thoracic Society: Am. J. Resp. and Critical Care, 152: S77-S124, 1995〕。ガス交換の障害、および呼気流量の減少は、気腫の患者が苦しむ特徴的な生理学的異常である。重篤な気腫の患者の主な症状は、最低の身体活動の際でも息切れすることである。
【0004】
他の潜在的な環境毒素が寄与する可能性はあるものの、気腫の最も一般的な原因は、紙巻きタバコの喫煙である。これらの有害な作用因は、肺における、防護機序を上回る量の活性プロテアーゼおよび遊離基オキシダントの放出を包含する、破壊的過程を活性化する。活性プロテアーゼの無統制の放出は、肺におけるプロテアーゼ/抗プロテアーゼレベルの不均衡を生じて、エラスチン基質の破壊、弾性反跳の喪失、組織損傷、および肺機能の継続的衰退へと導く。この損傷の速度は、傷害性作用因の除去(たとえば、喫煙の放棄)によって低下し得るが、損傷した肺胞構造は修復されず、肺機能は回復されない。
【0005】
全トランスレチノイン酸(ATRA)は、細胞の挙動の多能性調整物質であって、細胞外基質の代謝と、正常な上皮分化との双方を変える潜在的能力を有する。肺では、ATRAは、時間的にも空間的にも選択的に発現される、特異的なレチノイン酸受容体(RAR)と相互作用することによって、肺分化の様々な態様を調整することが示されている。RARβとRARγとの協調的活性化は、ラット新生児における肺の分枝発生、肺胞形成/隔膜区分、およびトロポエラスチンの遺伝子活性化に関連している。
【0006】
肺胞の隔膜区分の際は、レチノイン酸貯蔵顆粒(レチニルエステル)が、肺胞壁の周囲の繊維芽細胞性間葉で〔Liu et al.; Am. J. Physiol., 265: L430-L437, 1993;McGowan et al.; Am. J. Physiol., 269: L463-L472, 1995〕、またRARγ発現が、肺の尖端で増大する〔Ong, D.E. & Chytil, F., Proc. Natl. Acad. of Sciences, 73: 3976-3978, 1976;Grummer, M.A., Thet, L. & Zachman, R.D., Pediatr. Pulm., 17: 234-238, 1994〕。これらのレチニルエステル貯蔵の枯渇は、新たなエラスチン基質の沈着および隔膜区分と並行する。この概念を裏付けて、MassaroおよびMassaroは〔Massaro, D. & Massaro, G.; Am. J. Physiol., 270: L305-L310, 1996〕、レチノイン酸の新生児期投与が、ラットにおける肺胞数を増加させることを立証した。ラット新生児へのデキサメタゾンの投与は、肺における隔壁区分の過程を阻害する。この効果は、レチノイン酸の補充投与によって克服することができる。さらに、デキサメタゾンが発生中のラット肺におけるCRBPおよびRARβmRNAの発現、およびその後の肺胞の隔膜区分を阻害できる能力は、ATRAによって排除された。
【0007】
最近の研究は、ATRAが、気腫の動物モデルで、新たな肺胞の形成を誘導し、弾性反跳をほぼ正常にまで復帰させることができることを立証した〔Massaro, D. & Massaro, G., Nature Med., 3: 675-677, 1997;"Strategies to Augment Alveolization", National Heart, Lung, and Blood Institute, RFA: HL-98-011, 1998〕。しかし、これが生じる機序は、不明確なままである。
【0008】
レチノイドは、ビタミンAに構造的に関連する一群の化合物であって、天然および合成の化合物を含む。数系統のレチノイドが、皮膚科学および腫瘍学的疾患の治療に臨床的に役立つことが見出されている。全トランスレチノイン酸(ATRA)その他の天然に産するそのレチノイド類似体(9−シスレチノイン酸、全トランス3,4−ジヒドロレチノイン酸、4−オキソレチノイン酸およびレチノール)は、非常に様々な炎症、免疫および構造細胞の構造や機能を調整する、多面発現的な調節性化合物である。それらは、肺における上皮細胞の増殖、分化および形態形成の重要な調節物質である。レチノイドは、その生物学的効果を、ステロイド/甲状腺受容体スーパーファミリーに属する、リガンド誘導性転写因子である、一連の核受容体を通じて発揮する。
【0009】
レチノイド受容体は、それぞれ三つの明確なサブタイプ(α、βおよびγ)よりなる二つのファミリー、すなわちレチノイン酸受容体(RAR)およびレチノイドX受容体(RXR)に分類される。RAR遺伝子ファミリーの各サブタイプは、2種類の一次RNA転写体の異なるスプライシングから生じる、可変数のイソ型をコードしている。ATRAは、レチノイン酸受容体に働く生理学的ホルモンであり、3種類のRARサブタイプのすべてにほぼ等しい親和力で結合する。ATRAは、RXR受容体には結合せず、その代わり、これらに対しては、9−シスレチノイン酸が天然のリガンドである。
【0010】
肺以外の多くの組織では、レチノイドは、抗炎症効果を有し、上皮細胞の分化の進行を変え、間質細胞基質の産生を阻害する。これらの特性は、乾癬、面疱、および肥厚性皮膚瘢痕のような皮膚科学的疾患に対する、局所的レチノイド療法の開発へと導いている。その他の適用は、急性前骨髄球性白血病、腺癌および扁平上皮癌ならびに肝線維症の制御を包含する。しかし、癌以外のレチノイドの治療的用途は、天然に産するレチノイド、ATRAおよび9−シスレチノイン酸で観察される相対的な毒性のため、限定される。これら天然のリガンドは、非選択的であり、そのため、しばしば有毒である多面発現的な効果を全身的に有する。最近、RARもしくはRXR受容体、または群内の特定のサブタイプ(α、β、γ)と選択的もしくは特異的に相互作用する様々なレチノイドが記載されている。これらの新規なレチノイドを用いて、AP−1のトランス抑制、およびレチノイドのトランス活性化活性が分離されている〔Li, J.J. et al., Cancer Research, 56: 483-489 (1996);Fanjul, A. et al., Nature, 372: 107-111 (1994);Schule, R. et al., PNAS, 88: 6092-6096 (1991);Nagpal et al., Journal of Biological Chemistry, 270: 923-927 (1995)〕。加えて、この受容体選択的化合物は、低下した一般的毒性をin vitroおよびin vivoでで示している〔Chandraratna, R., J. Am. Acad. Dermatology, 39: S149-S152, 1998;Look, J. et al., Am. J. Physiol., 269: E91-E98, 1995〕。
【0011】
一態様では、本発明は、気腫、および関連する肺疾患の治療のためのRARγ選択的作動薬の用途を提供する。少なくともRARγ選択的であり、かつRARα倹約的であるレチノイドを用いることは、血漿トリグリセリドのレベルに対する有害な効果を誘導することなく、修復を促進することになる。
【0012】
もう一つの態様では、本発明は、ヒトの肺繊維芽細胞におけるトロポエラスチンの遺伝子発現を刺激するためのRARγ選択的作動薬の用途を提供する。
【0013】
本明細書に用いられる限りで、用語(Cx〜Cy)アルキルは、x〜y個の炭素原子を有する完全に飽和された直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基を意味し;(Cx〜Cy)フルオロアルキルは、炭素骨格に結合した1個またはそれ以上の水素原子が、1個またはそれ以上のフッ素原子で置換されている、上記に定義されたとおりのアルキル基である。
【0014】
本明細書に用いられる限りで、(Cx〜Cy)シクロアルキルは、x〜y個の環炭素原子を有する完全に飽和された環状炭化水素基を意味し、二環系、多環系および架橋環系、たとえばシクロプロピル、シクロペンチル、デカリニル、アダマンチルなどを包含し;用語シクロフルオロ(Cx〜Cy)アルキルは、炭素骨格に結合した1個またはそれ以上の水素原子が、1個またはそれ以上のフッ素原子で置換されている、上記に定義されたとおりのアルキル基である。
【0015】
本明細書に用いられる限りで、用語「E」は、2個の水素原子が、異なる炭素原子に結合し、炭素−炭素二重結合の反対側にあるような、炭素−炭素二重結合に関する立体化学的配置を意味する。用語「Z」は、2個の水素原子が、異なる炭素原子に結合し、炭素−炭素二重結合の同じ側にあるような、炭素−炭素二重結合に関する立体化学的配置を意味する〔Pure Appl. Chem., 45, 13-30 (1976)〕。
【0016】
本明細書に用いられる限りで、用語EDは、有効量を意味し、動物モデルに関連して用いられる。用語ECは、有効濃度を意味し、in vitroモデルに関連して用いられる。
【0017】
本明細書に用いられる限りで、レチノイン酸受容体に対するレチノイドの用語「ED50」は、動物モデルにおけるレチノイドのモル濃度であって、観察中の特定のレチノイン酸受容体を、該レチノイドで得ることができる最大のトランス活性化の50%までトランス活性化するモル濃度を意味する。本明細書に用いられる限りで、レチノイン酸受容体に対するレチノイドの用語「EC50」は、in vitroモデルにおけるレチノイドのモル濃度であって、観察中の特定のレチノイン酸受容体を、該レチノイドで得ることができる最大のトランス活性化の50%までトランス活性化するモル濃度を意味する。
【0018】
本明細書に用いられる限りで、用語「レチノイド」は、α、βもしくはγRARまたはRXR受容体のいずれかまたはすべてを、1,000nMまたはそれ以下のED50でトランス活性化することができる、いかなる化合物でもある。
【0019】
本明細書に用いられる限りで、用語「トランス活性化」は、その遺伝子転写が、試験しようとする特定のレチノイン酸受容体、すなわちRARα、RARβまたはRARγとのリカンドの結合によって開始される場合の、ある遺伝子の転写をレチノイドが活性化できることを意味する。ある化合物がレチノイン酸受容体をトランス活性化できることの決定は、当業者に公知の方法によって実施し得る。そのような方法の例は、Bernardら〔Biochem. Biophys. Res. Commun., 186: 977-983 (1992)〕およびC. Apfelら〔Proc. Nat. Sci. Acad. (USA), 89: 7129-7133 (1992)〕に見出される。
【0020】
本明細書に用いられる限りで、用語「RARγ選択的作動薬」は、RARγ受容体に選択的に結合し、RARγ活性化を促進することができる化合物を意味する。RARγ選択的作動薬は、RARγ受容体に、RARαおよびRARβ受容体より有意に低い濃度(>10倍の選択性、好ましくは50〜100倍の選択性)で結合することになる。好ましい活性プロフィールは、RARα受容体の活性化を倹約して、より選択的な生物学的応答へと導くことになる。
【0021】
本明細書に用いられる限りで、用語「RARγ/β選択的作動薬」は、RARγおよびRARβ受容体に選択的に結合し、RARγおよびRARβ活性化の双方を促進し、かつRARα受容体の活性化を倹約するそれである。
【0022】
本明細書に用いられる限りで、用語「少なくともγ選択的であり、RARα倹約的であるRAR作動薬」は、RARγ選択的であるか、またはRARγ/β選択的であるそれである。
【0023】
本明細書に用いられる限りで、用語「RAR汎作動薬」は、RARα、RARβおよびRARγ受容体に同程度の親和性で結合し、RARα、RARβおよびRARγ活性化を促進するそれである。
【0024】
「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグを対象哺乳動物に投与したとき、活性を有する親薬物をin vitroで放出する、いかなる化合物も意味する。プロドラッグは、活性薬物中に存在する官能基を、その修飾がin vivoで切断されて、親化合物を放出できるように修飾することによって調製される。プロドラッグは、活性薬物中のヒドロキシル基を、in vivoで切断されて、遊離のヒドロキシル基を再生できるいかなる基にも結合させた、化合物を包含する。プロドラッグの例は、エステル(たとえば、酢酸、ギ酸および安息香酸エステル誘導体)、カルバメート(たとえばN,N−ジメチルアミノカルボニル)、および活性薬物中のヒドロキシル官能基のエステルなどを包含するが、これらに限定されない。そのような化合物は、親薬物中のヒドロキシル基をアシル化またはエーテル化することにより、当業者によって日常的に製造される。
【0025】
本発明者らは、RARγ選択的作動薬が、ヒトの肺繊維芽細胞におけるトロポエラスチン遺伝子の発現をトランス活性化することを発見した。同様に、RARγ選択的化合物は、ラット肺の肺胞の修復および/または再生を促進することが示された。RARγ選択的レチノイド作動薬は、ヒトの肺繊維芽細胞でトロポエラスチン発現を誘導するが、RARβまたはRARα選択的作動薬のいずれも、誘導しなかった。その結果、本発明の一態様は、哺乳動物におけるエラスチン含有細胞外基質の産生を、少なくともRARγ選択的である作動薬を投与することによって促進することである。
【0026】
しかし、当業者は、本発明がすべてのRARγ選択的作動薬の用途を包含し、上記の参考文献、または当該技術に現在公知のものに限定されないことを認識するものと思われる。一般的には、少なくともRARγ選択的作動薬活性を有するすべての化合物が、本発明の用途および方法に役立つ。
【0027】
本明細書に記載された方法に役立つRARγ選択的作動薬の一ファミリーは、1997年12月23日に発行された米国特許第5,700,836号に記載されており、式I:
【0028】
【化19】

【0029】
〔式中、R1は、式:
【0030】
【化20】

【0031】
で示される残基であり、
2は、(C2〜C8)アルカノイル、(C2〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニルまたは−OCH23であり;
【0032】
3は、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニルまたは(C2〜C6)アルキニルであり;
【0033】
4〜R9は、それぞれ独立に、水素もしくは(C1〜C6)アルキルであるか;または
【0034】
8およびR9は、まとまって、(CRabnであって、RaおよびRbは、独立に、水素もしくは(C1〜C6)アルキルであり、nは1、2もしくは3であり、R4〜R7は、上記と同じであり;
【0035】
10は、カルボキシル、(C1〜C6)アルコキシカルボニルまたはモノ−もしくはジ−(C1〜C6)アルキルカルバモイルである〕、
および薬学的に許容され得るそれらの塩で示される。
【0036】
このファミリー内の特に役立つ化合物は、式IaまたはIb:
【0037】
【化21】

【0038】
〔式中、R2は、(C2〜C8)アルキル、−OCH23または(C2〜C8)アルカノイルである〕
で示される化合物である。
【0039】
より詳しくは、R2は、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−プロポキシ、n−ペントキシまたはn−ヘキサノイルである:
【0040】
【化22】

【0041】
〔式中、R2は、ヘキシルまたはn−ペントキシである〕。
【0042】
本明細書に記載された方法に役立つRARγ選択的作動薬のもう一つのファミリーは、1998年3月10日に発行された米国特許第5,726,191号に記載されており、式II:
【0043】
【化23】

【0044】
〔式中、R1は、水素または(C1〜C6)アルキルであり;
【0045】
2は、(C1〜C6)アルキルまたはアダマンチルであり;
【0046】
3は、(C1〜C6)アルキルもしくはヒドロキシルであるか;または
【0047】
2およびR3は、まとまって、−(CR67n−(式中、R6およびR7は、水素または(C1〜C6)アルキルであり、nは、3、4または5である)であり;
【0048】
4は、(C2〜C8)アルカノイル、(C2〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニルまたは−OCH25であり;
【0049】
5は、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニルまたは(C2〜C6)アルキニルであり;
【0050】
Yは、酸素または硫黄である〕、
および薬学的に許容され得るそれらの塩で示される。
【0051】
このファミリー内の特に役立つ化合物は、式IIa:
【0052】
【化24】

【0053】
で示される化合物、特にR4がn−ペンチルまたはn−ヘキシルであるそれである。
【0054】
本発明の方法に役立つRARγ選択的作動薬の第三のファミリーは、1996年3月12日に発行された米国特許第5,498,795号に記載されており、式III:
【0055】
【化25】

【0056】
〔式中、R1〜R3およびR5は、独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、3〜15個の炭素原子を有する分枝鎖アルキルもしくはシクロアルキル、3〜15個の炭素原子を有する低級アルキル置換シクロアルキルであり;
【0057】
4は、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、3〜15個の炭素原子を有する分枝鎖アルキルもしくはシクロアルキル、または3〜15個の炭素原子を有する低級アルキル置換シクロアルキルであり;
【0058】
Yは、上記に定義されたR5基で置換された、フェニル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、イミダゾリルおよびオキサゾリルよりなる群から選ばれるヘテロアリールであり;
【0059】
Aは、nが0〜5である(CH2n、3〜6個の炭素原子を有する低級分枝鎖アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1〜2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1〜2個の三重結合を有するアルキニルであり;
【0060】
Bは、水素、COOHもしくは薬学的に許容され得るその塩、COOR8、CONR910、−CH2OH、CH2OR11、−CH2OCOR11、CHO、CH(OR122、CHOR13O、−COR7、CR7(OR122またはCR7OR13Oであって、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、もしくは5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか;またはR8は、フェニルもしくは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはフェニルもしくは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルもしくは低級アルキルフェニルであり、R12は、低級アルキルであり、R13は、2〜5個の炭素原子を有する2価のアルキル基である〕
で示される化合物で示される。
【0061】
特に役立つRARγ選択的作動薬は、式IIIaで示されるそれである:
【0062】
【化26】

【0063】
本発明の方法に役立つRARγ選択的作動薬の第四のファミリーは、1998年6月2日に発行された米国特許第5,760,084号に記載されており、式IV:
【0064】
【化27】

【0065】
〔式中、Xは、F、Cl、OHまたはCH3であり;
【0066】
Yは、HまたはFであり;
【0067】
1〜R6は、それぞれ独立に、水素または(C1〜C6)アルキルであり;
【0068】
nは、1〜4の整数であり;
【0069】
7は、水素、またはカルボキシル保護基である〕、
および薬学的に許容され得るそれらの塩で示される。
【0070】
RARγ選択的作動薬のこのファミリー内の特に役立つ化合物は、式IVaで示されるそれ(BMS−961)である:
【0071】
【化28】

【0072】
本発明の方法に役立つRARγ選択的作動薬の第五のファミリーは、1992年7月12日に発行された米国特許第5,130,335号、および1993年7月27日に発行された同第5,231,113号に記載されており、式V:
【0073】
【化29】

【0074】
〔式中、R基は、独立に、水素または低級アルキルであり;
【0075】
Aは、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)S−またはSC(O)−であり;
【0076】
nは、0〜5であり;
【0077】
Zは、H、−COB、−OE、−CHOもしくはそのアセタール誘導体、または−COR3であって、
【0078】
Bは、R1がエステル形成基である−OR1であるか、またはRが水素もしくは低級アルキルである−N(R)2であり;
【0079】
Eは、水素、エーテル形成基、またはR2が水素、低級アルキル、フェニルもしくは低級アルキルフェニルである−COR2であり;
【0080】
3は、mが0〜4であり、nとmとの和が4を超えない−(CH2mCH3である〕
で示される。
【0081】
RARγ選択的作動薬のこのファミリーの特に役立つ化合物は、式Vaで示されるそれである:
【0082】
【化30】

【0083】
本発明の方法に役立つRARγ選択的作動薬の第六のファミリーは、1997年4月11日に発行されたPCT刊行物の国際公開特許第97/37648号、およびフランス国特許出願第2739557-A1号公報に記載されており、式VI:
【0084】
【化31】

【0085】
〔式中、R1〜R5は、国際公開特許第97/37648号公報に記載されたとおりである〕
で示される。
【0086】
特に、R1は、C(O)R6またはCH2OH〔式中、R6は、ヒドロキシルまたは(C1〜C6)アルコキシである〕であり;
【0087】
2は、水素、(C1〜C15)アルキル、(C1〜C6)アルコキシまたは脂環族であり;
【0088】
3は、水素、ヒドロキシル、(C1〜C6)アルキル、ジヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、(C1〜C10)アルコキシまたは脂環族であり;
【0089】
4およびR5は、独立に、水素、ヒドロキシル、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシである。
【0090】
RARγ選択的作動薬のこのファミリーの特に役立つ化合物は、式VIa(CD−437)および式VIb(CD−2247)のそれであって、Biochem. Biophys. Res. Commun., 179: 1554-1561 (1991)、Biochem. Biophys. Res. Commun., 186: 977-984 (1992)、およびInt. J. Cancer, 71: 497 (1997)に記載されている:
【0091】
【化32】

【0092】
関心が持たれるそれ以外の化合物は、Skin Pharmacol., 8: 292-299 (1995)に記載されたとおりの式VII、VIII、IX、XおよびXI〔(R)および(S)鏡像異性体〕で示されるそれである:
【0093】
【化33】

【0094】
本発明の方法に役立つその他の化合物は、式XII〔J. Med. Chem., 39: 2411-2421 (1996)、およびCancer Res., 55: 446-4451 (1995)〕:
【0095】
【化34】

【0096】
ならびに式XIIIおよびXIV〔Cancer Letters, 115: 1-7 (1997)〕
で示される:
【0097】
【化35】

【0098】
関心が持たれるそれ以外の化合物は、式XV〔J. Med. Chem., 32: 834-840 (1989)、および特開昭62/053981 (1987)〕で示される:
【0099】
【化36】

【0100】
RARγ選択的化合物は、トランス活性化アッセイで、RARαおよびRARβと対比して最低10倍の選択度、好ましくはRARαと対比して100倍より高い選択度を示さなければならない。
【0101】
ある化合物のRARγ作動薬の選択度は、C. Apfelら〔Proc. Nat. Sci. Acad. (USA), 89: 7129-7133 (1992)〕、M. Tengら〔J. Med. Chem., 40: 2445-2451 (1997)〕、およびPCT刊行物の国際公開特許第96/30009号公報に記載されたような、当技術に公知の日常的なリガンド結合アッセイによって決定することができる。
【0102】
本明細書に開示されたとおり、RARγ選択的作動薬は、損傷した肺胞の修復、および新たな肺胞の隔壁区分を促進するのに役立つ。その限りで、これらの化合物は、気腫のような疾患を治療するのに役立つ。
【0103】
本発明に従って肺胞の修復/再生を促進するのに要するRAR作動薬またはRARγ選択的作動薬の特定の投与量は、状態の重篤さ、投与の経路、および関連する要因に依存し、付添いの医師が決定することになる。代表的には、経口投与量は、1日あたり、体重1kgにつき約1.0mg(mg/kg/日)〜0.01mg/kg/日、好ましくは約0.1〜約0.05mg/kg/日にわたると思われる。50kgのヒト対象者に対しては、活性成分の1日経口用量は、約50〜約0.5mg、好ましくは約5〜2.5mgである。この投薬は、慣用の医薬品組成物中で、一回投与、複数回投与または制御放出によって、最も効果的な結果を達成する必要性に応じて送達されてよい。薬物の肺気積への局所的エアロゾル送達は、有効用量を10〜100分の1(10〜0.1μg/kg/日)に低減させることが期待される。投与は、医学的に指示される間は継続され、疾患の重篤さに応じて、数週間〜数ヶ月にわたると思われる。
【0104】
代表的には、薬学的に許容され得る組成物、たとえば薬学的に許容され得る担体または賦形薬中のRAR作動薬の塩もしくはプロドラッグを投与する。本発明の流れでは、薬学的に許容され得る塩は、ヒト患者への投与に適用できるとして適切な、レチノイド関係の技術に公知の化学的ないかなる塩も包含する。該技術に公知の慣用的な塩の例は、ナトリウムおよびカリウム塩のようなアルカリ金属塩、およびカルシウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ならびにアンモニウムおよびアルキルアンモニウム塩を包含する。RARγ作動薬の特に好ましいプロドラッグ組成物は、芳香族およびベンジルエステル、または低級アルキルエステル、たとえばエチル、tert−ブチル、シクロペンチルなどのような加水分解できるエステル誘導体を包含する。
【0105】
代表的な送達方式は、経口、非経口(皮下、筋内および静脈内を包含)、直腸、口腔(舌下を包含)、経皮、肺および鼻内投与を包含する。肺投与の一方法は、RAR作動薬の水溶液のエアロゾル投与を伴う。エアロゾル化組成物は、逆ミセルまたはリポソーム中に包み込んだ化合物を包含し得る。肺投与のその他の方法は、乾燥粉末吸入装置を用いて送達される乾燥粉末、および電気水力学的吸入装置を用いて送達される、ポリエチレングリコールまたは水性エタノールとのレチノイド作動薬の液状配合物を包含する。代表的な肺および呼吸器送達系は、米国特許第5,607,915号、第5,238,683号、第5,292,499号および第5,364,615号、ならびに「Aerosol delivery of liposomal ATRA to the lungs」〔Parthasarathy, R., Gilbert, B.M. & Mehta, K., Cancer Chemotherapy Pharmacol., 43: 277-283, 1999〕に記載されている。
【0106】
本発明によれば、たとえば、気道粘膜の粘膜繊毛性クリアランスを向上させるか、または粘膜の粘度を低下させるその他の活性成分と同時もしくは逐次的に組み合わせた、RARγ作動薬の全身投与のための製剤の形態で、医薬としても用いられる。粘膜繊毛性クリアランスを向上させる代表的な活性成分は、たとえば、ナトリウムチャンネル遮断剤(たとえばアミロライド)、または抗生物質(たとえばデュラマイシン、ニシンまたはスブチリン)を包含する。粘膜の粘度を低下させる代表的な活性成分は、N−アセチルシステイン、ホモシステインおよびリン脂質を包含する。
【0107】
RARγ作動薬は、代表的には、薬学的に許容され得る無害な担体との混合物中の医薬品組成物として投与されることになる。上記のとおり、そのような組成物は、非経口投与(皮下、筋内または静脈内)に向けて、特に液剤または懸濁剤の形態で;経口または口腔投与に向けて、特に錠剤またはカプセル剤の形態で;鼻内投与に向けて、特に散剤、点鼻剤またはエアロゾルの形態で;および直腸または経皮投与に向けて調製し得る。慣用のいかなる担体材料も、用いることができる。担体材料は、いかなる有機または無機担体材料、たとえば水、ゼラチン、アラビアゴム、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリアルキレングリコール、石油ゼリーなどであることもできる。
【0108】
非経口投与または経口投与のための液状配合物は、添加剤として、無菌水または生理食塩水、プロピレングリコールのようなアルキレングリコール、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、植物起源の油、水素化されたナフタレンなどを含有してよい。それらは、約4〜約6のpH範囲内の僅かに酸性の緩衝液を用いてよい。適する緩衝液は、約5〜約50mMの濃度範囲での酢酸塩、アスコルビン酸塩およびクエン酸塩を包含する。経口投与のためには、配合物は、胆汁酸塩またはアシルカルニチンの添加によって強化することができる。
【0109】
口腔投与のための配合物は、固体であってよく、代表的な添加剤として、糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、予めゼラチン化した澱粉などを含有してよい。
【0110】
経口投与のための固体形態は、錠剤、硬および軟ゼラチンカプセル剤、丸剤、サシェー剤、散剤、顆粒剤などを包含する。錠剤、丸剤またはサシェー剤は、それぞれ、約5〜約200mg、好ましくは約10〜約50mgのRARγ作動薬を含有する。好ましい固形の経口剤形は、錠剤、ツーピース硬殻カプセル剤、および軟弾性ゼラチン(SEG)カプセル剤を包含する。SEGカプセル剤は、特に関心が持たれるもので、その理由は、他の2形態にまさる明確な利点を与えるからである〔Seager, H., "Soft gelatin capsules: a solution to many tableting problems", Pharmaceutical Technology, 9: (1985)を参照されたい〕。SEGカプセル剤を用いることの利点のいくつかは、(a)SEGカプセル剤では、薬物を、カプセルに正確に配合することができる液体に溶解または分散するため、投与含有量が均一に最適化されること、(b)SEGカプセル剤として配合された薬物は、薬物が水混和性または油性の液体に溶解、可溶化もしくは分散し、そのため、体内で放出されたとき、該溶液が溶解または乳化されて、大表面積を有する薬物分散を生じるため、優れた生体利用能を示すこと、(c)乾燥した殻のため、長期間の貯蔵の際の酸化に敏感な薬物の分解が防止されることである。
【0111】
経鼻投与のための配合物は、固体であってよく、添加剤、たとえば乳糖もしくはデキストランを含有してよいか、または点鼻剤もしくは計量噴霧剤の形態で用いるための水性もしくは油性溶液であってよい。特定の経鼻配合物は、慣用の乾燥散剤吸入器(DPI's)に適した乾燥散剤、計量吸入器(MDI's)に用いるのに適した、噴霧化および噴射剤配合に適した液状溶液または懸濁液を包含する。
【0112】
経鼻投与に向けて配合されたとき、鼻粘膜越しの吸収は、約0.2〜15重量%、好ましくは約0.5〜4重量%、最も好ましくは約2重量%の範囲の量の、界面活性性の酸、たとえばグリココール酸、コール酸、タウロコール酸、エトコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、グリコデオキシコール酸、シクロデキストリンなどによって強化され得る。
【0113】
対象者への長期間、たとえば1週間〜1年間にわたる、本発明の化合物の送達は、所望の放出期間に充分な活性成分を含有する、制御放出系の1回の投与によって達成されてよい。様々な制御放出系、たとえば一体化または貯留槽型マイクロカプセル、デポー剤インプラント、浸透ポンプ、小胞、ミセル、リポソーム、経皮パッチ、イオン泳動装置、および代替的な注射可能剤形を、この目的のために利用してよい。活性成分の送達が望まれる部位への局在化は、いくつかの制御放出装置の付加的特徴であって、一定の疾患の治療に有益であると判明することがある。
【0114】
下記は、エラスチン介在性基質修復および肺胞隔壁区分を促進する、本明細書に記載のRARγ選択的作動薬を用いるための代表的な医薬品配合物である。
【0115】
錠剤配合物
下記の成分を、充分に混合し、一本線刻錠剤へと打錠する。
【0116】
【表1】

【0117】
カプセル配合物
下記の成分を、充分に混合し、硬殻ゼラチンカプセル内に装填する。
【0118】
【表2】

【0119】
懸濁剤配合物
下記の成分を混合して、経口投与向け懸濁剤を形成する。
【0120】
【表3】

【0121】
注射可能配合物
下記の成分を混合して、注射可能配合物を形成する。
【0122】
【表4】

【0123】
点鼻配合物
下記の成分を混合して、経鼻投与向け懸濁剤を形成する。
【0124】
【表5】

【0125】
下記の調製および実施例は、当業者が、本発明をより明瞭に理解し、実施できるようにするために与えられる。これらは、本発明の範囲を限定するとしてではなく、単に、その例示および典型例であるとして考慮されなければならない。
【0126】
これらの実施例は、下表内に収められたRAR作動薬のうち1種類またはそれ以上を用いた。
【0127】
【表6】



【0128】
実施例1:定常状態のトロポエラスチン遺伝子のトランス活性化
正常なヒトの肺繊維芽細胞(CCD−16Lu)におけるトロポエラスチン遺伝子のトランス活性化を、下記の通り実施した。細胞を密集状態まで増殖させ、その時点で、新鮮培地+/−ATRAまたは選択的レチノイドを基本培地に加えた。ATRAおよび/または選択的レチノイドは、1x10-7Mの濃度で用いた。RNA抽出および分析のため、グアニジニウムを基礎とした緩衝液(TRIZOL/Sigma)を用いて細胞層を溶解した。トロポエラスチンおよびGAPDHのRNAの増幅は、標準的な定量的RT−PCR(TAQMAN、Perkin/Elmer)により、適切な選択的プライマーを用いて実施した。トロポエラスチン遺伝子の発現は、標準的なハウスキーピング遺伝子(GAPDH)の発現に正規化した。
【0129】
サンプルは、三重に試験した。結果を下記に表IIとして示す。これらの結果は、ATRA(RAR作動薬4)が、対照に比して、トロポエラスチン遺伝子誘導を僅かに誘導すること、およびRARγ選択的作動薬(RAR作動薬3)が、トロポエラスチン遺伝子誘導を顕著に誘導することを立証した。しかし、RARαおよびRARβ選択的作動薬(RAR作動薬1および2)は、トロポエラスチン遺伝子を誘導しなかった。
【0130】
【表7】

【0131】
実施例2:ラットの肺におけるRAR選択的作動薬
全トランスレチノイン酸(ATRA)およびRAR選択的作動薬を、エラスターゼ誘導性気腫のラットモデル〔Massaro, G. & Massaro, D., Nature, Vol.3 No.6: 675-677 (1997)〕における肺胞修復に対するそれらの効果によって評価した。動物をほぼ8匹の処理群に分けた。膵エラスターゼ(ブタ由来、Calbiochem)2単位/体重gの1回滴下投与によって、肺の炎症および肺胞損傷を雄のSprague Dawley系ラットに誘導した。
【0132】
傷害3週間後に、ATRAまたはRAR選択的作動薬をDMSOに溶解(20mg/ml)し、−20℃で貯蔵した。新鮮な作業原液を、トウモロコシ油中に2mg/mlの最終濃度に希釈することによって、毎日新たに調製した。ATRAおよびRAR選択的作動薬(0.5mg/kg腹腔内)を投与した動物は、傷害の21日後に開始して毎日、腹腔内注射によって投与した。対照群は、エラスターゼで刺激し、21日後に賦形剤(DMSO/PBS)を14日間投与した。最終投与の24時間後に、動物を、深麻酔下での放血によって犠牲に供した。血液は、放血の時点で、それぞれの処理からの血液化学における変化の分析のために回集した。
【0133】
肺を、10%中性緩衝ホルマリンを用い、一定の速度(1ml/体重g/分)での気道内滴下投与によって膨張させた。肺を、切除し、固定剤に24時間浸漬してから処理した。標準的方法を用いて、5μmのパラフィン切片を調製した。切片を、ヘマトキシリンおよびエオシン(H%E)で染色した。コンピュータ化された形態計測による分析を実施して、平均肺胞サイズおよび肺胞数を決定した。
【0134】
結果を、下記に表IIIに示す。これらの結果は、ATRA(RAR作動薬4)が、肺胞修復を誘導して、エラスターゼによる処理が生起した肺胞破壊を逆転させることを立証する。RARγおよびRARγ/β選択的作動薬(RAR作動薬3、5、6および7)は、肺胞修復を顕著に誘導した。しかし、RARβおよびRARα選択的作動薬(RAR作動薬1、2および9)は、肺胞修復を誘導しなかった。
【0135】
加えて、肺切片の光学的顕微鏡写真を撮影した。顕微鏡写真は、正常なラットの肺、エラスターゼによって損傷し、次いでRAR作動薬1(α選択的)で処理したラットの肺、エラスターゼによって損傷し、次いでRAR作動薬2(β選択的)で処理したラットの肺、およびエラスターゼによって損傷し、次いでRAR作動薬3(γ選択的)で処理したラットの肺のものを撮影した。顕微鏡写真は、異なる3種類の処理を受けた肺の間に明らかな、大きな構造上の差を示した。正常ラットの肺の顕微鏡写真と比較したとき、RARγ選択的作動薬で処理した肺の顕微鏡写真は、正常ラットの肺と同様の肺胞面積を示した。RARα選択的作動薬で処理した肺の顕微鏡写真、およびRARβ選択的作動薬で処理した肺の顕微鏡写真は、エラスターゼ処理が生起した変化を逆転しなかった。
【0136】
【表8】

【0137】
実施例3:血漿トリグリセリドレベルに対するRAR汎作動薬ならびにRARγおよびRARγ/β選択的作動薬の効果
例2に記載したとおりに、実験的気腫をラットに誘導した。傷害の三(3)週間後に、動物を、賦形剤(Capmul溶液)でか、またはCapmul中に調製し、1、3および10mg/体重kgで経口投与したレチノイドで処理した。動物を14日間処理してから、研究を終了した。実施例2に記載したとおりに、肺の採取、および血液回集を実施した。
【0138】
確立された手順を関連の臨床研究室の施設で用いた後、ラット血漿に含有されるトリグリセリドの定量を実施した。略述すると、トリグリセリド/GPOキット(Boehringer Mannheim #1488872)の製造者が記載した指示に従い、リパーゼおよびグリセロキナーゼによる血漿の逐次処理によって、血漿トリグリセリドをジヒドロキシアセトンおよびH22へと転化した。H22を、日立911化学分析装置での比色分析によって定量した。ラットでは、正常なトリグリセリドレベルは、75〜175ml/dlである。
【0139】
結果を、下記に表IVに示す。これらの結果は、RAR汎作動薬(RAR作動薬4(ATRA)、8および10)が、ラットにおけるトリグリセリドレベルを正常な上限、または上昇のいずれかを生起させることを立証した。対照的に、RARγ選択的作動薬(RAR作動薬3、7および5)、およびRARγ/β選択的レチノイド(RAR作動薬6)は、トリグリセリドレベルの上昇を生起せず、これらのRARα倹約的レチノイドについては、トリグリセリドレベルは、正常範囲の中間ないし下限以内に充分に留まった。したがって、RARα選択的活性は、トリグリセリドレベルの上昇と関連すると思われた。
【0140】
【表9】

【0141】
実施例4:臨床試験による研究
この研究に登録された男女は、年齢45〜75歳であって、気腫の病歴を有し、研究への登録前に少なくとも6ヶ月の間喫煙を停止していた。加えて、患者は、下記の3項目の肺機能基準のうち少なくとも2項目を示さなければならなかった:
【0142】
・気管支拡張後TLC(総肺気量)≧予測の110%(過度膨張を示す)
【0143】
・気管支拡張後FEV1(努力呼気量)≦予測の70%(中程度の気流閉塞を示す)
【0144】
・DLCO(希釈肺一酸化炭素)≦予測の65%(肺胞構造の中程度ないし重篤な破壊を示す)
【0145】
加えて、患者は、CTスキャンによる、軽度ないし中程度の気腫、適切な腎および肝機能、ならびに正常な骨髄のエビデンスがなければならない。下記の基準のうち1項目またはそれ以上を有する患者は、研究から除外された:
【0146】
FEVI<0.8リットル、説明のつかない体重減少>通常体重の1年あたり10%、肺感染症再発>食匙3杯/日を超える喀痰を伴った、1年あたり2回、気管支拡張症、不安定性狭心症、高トリグリセリド>300mg%、高コレステロール血症>220%、経口ステロイド依存症、P450肝臓系に干渉することが知られている医薬の同時投与、過剰なアルコール消費による急性もしくは慢性肝臓病、またはレチノイドに対するアレルギーの病歴。
【0147】
【表10】

【0148】
患者は、すべて、残存する肺の改善または毒性を評価するため、積極的治療の完了後3ヶ月間観察された。肺機能試験(PFT)、および体系に基づくアンケートを、3ヶ月ごとに実施した。HRCTは、スクリーニングの開始、および投与の完了後にのみ実施した。高用量または潜在的低用量のレチノイドを服用する個体は、下記の反応のうち1項目またはそれ以上を示し得た:63〜31ml/年のFEVIの減退率の低下;投与の最初の1年間でのFEVの5%の初期改善の表示;DLCOの改善(5〜10%);標準的アンケートによって測定される限りでの、生活の質の改善。
【0149】
実施例5:肺ガス交換の測定
研究の終結前に、エラスターゼ損傷ラット±レチノイド処理において、肺および動脈血ガスを測定した。ラットを、ペントバルビタール(50mg/kg、腹腔内投与)を用いて深麻酔下に置き、気道カニューレ(PE240)を挿管した。小型の動物呼吸用ポンプ(Harvard)を用いて、ラットを人工的に換気した(f=90、TV=約0.5ml/体重100g)。各ラットについて、ポンプのパラメータを調整して、肺動脈に対する30〜35トルの動脈CO2レベル(PCO2)を設定した。動脈血サンプル(約0.2ml)を、腹部大動脈(AO2)から採取し、直ちに、pHOx血液ガスによって分析した。データを、エラスターゼ+賦形剤処理したラットと対比した回復百分率(%)として提示した。
【0150】
下記に示すとおり、エラスターゼ損傷ラットのレチノイドによる処理は、ガス交換を改善した。特に、RARγ選択的作動薬3は、汎作動薬(ATRA)より効果的かつ強力であった。この結果は、以前の実施例における、肺胞の構造的修復に対する効果と整合した。ガス交換の改善は、気腫に付随する息切れの減少と相関した。このため、患者へのRARγ選択的作動薬の投与は、気腫の主症状の一つの緩和を招くことになる。
【0151】
【表11】

【0152】
前記の発明を、明確に、および理解を目的として、例示および実施例によって、多少とも詳しく説明した。当業者には、付記されたクレームの範囲内で、変化および変更を実施し得ることは明白であると思われる。したがって、上記の説明は、例示的であって、限定的ではないことが意図されていると理解されるはずである。したがって、本発明の範囲は、付記されたクレームを参照して、そのようなクレームの効力が及ぶ均等の範囲の全体ともども決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともγ選択的であり、かつRARα倹約的であるRAR作動薬の使用であって、気腫の治療のための1種類もしくはそれ以上のそのような作動薬を含有する医薬を製造するための使用。
【請求項2】
RAR作動薬が、RARγ/β選択的作動薬である請求項1記載の使用。
【請求項3】
RAR作動薬が、RARγ選択的作動薬である請求項1記載の使用。
【請求項4】
RARγ選択的作動薬が、RARγ受容体に結合し、少なくとも200nMのEC50でトランス活性化する請求項3記載の使用。
【請求項5】
RARγ受容体に対するRARγ選択的作動薬の選択度が、RARαおよびRARβ受容体と対比して、少なくとも20倍である請求項3記載の使用。
【請求項6】
RAR作動薬が、式I:
【化1】


〔式中、R1は、式:
【化2】


で示される残基であり、
2は、(C2〜C8)アルカノイル、(C2〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニルまたは−OCH23であり;
3は、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニルまたは(C2〜C6)アルキニルであり;
4〜R9は、それぞれ独立に、水素もしくは(C1〜C6)アルキルであるか;または
8およびR9は、一緒になって、(CRabnであって、RaおよびRbは、独立に、水素もしくは(C1〜C6)アルキルであり、nは1、2もしくは3であり、R4〜R7は、上記と同じであり;
10は、カルボキシル、(C1〜C6)アルコキシカルボニルまたはモノ−もしくはジ−(C1〜C6)アルキルカルバモイルである〕
で示される化合物、および薬学的に許容され得るそれらの塩から選ばれる請求項3記載の使用。
【請求項7】
RAR作動薬が、式II:
【化3】


〔式中、R1は、水素または(C1〜C6)アルキルであり;
2は、(C1〜C6)アルキルまたはアダマンチルであり;
3は、(C1〜C6)アルキルもしくはヒドロキシルであるか;または
2およびR3は、一緒になって、−(CR67n−(式中、R6およびR7は、水素または(C1〜C6)アルキルであり、nは、3、4または5である)であり;
4は、(C2〜C8)アルカノイル、(C2〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニルまたは−OCH25であり;
5は、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニルまたは(C2〜C6)アルキニルであり;
Yは、酸素または硫黄である〕
で示される化合物、および薬学的に許容され得るそれらの塩から選ばれる請求項3記載の使用。
【請求項8】
RAR作動薬が、式III:
【化4】


〔式中、R1〜R3およびR5は、独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、3〜15個の炭素原子を有する分枝鎖アルキルもしくはシクロアルキル、3〜15個の炭素原子を有する低級アルキル置換シクロアルキルであり;
4は、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、3〜15個の炭素原子を有する分枝鎖アルキルもしくはシクロアルキル、または3〜15個の炭素原子を有する低級アルキル置換シクロアルキルであり;
Yは、上記に定義されたR5基で置換された、フェニル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、イミダゾリルおよびオキサゾリルよりなる群から選ばれるヘテロアリールであり;
Aは、nが0〜5である(CH2n、3〜6個の炭素原子を有する低級分枝鎖アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1〜2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1〜2個の三重結合を有するアルキニルであり;
Bは、水素、COOHもしくは薬学的に許容され得るその塩、COOR8、CONR910、−CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR122、CHOR13O、−COR7、CR7(OR122またはCR7OR13Oであって、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、もしくは5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか;またはR8は、フェニルもしくは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはフェニルもしくは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルもしくは低級アルキルフェニルであり、R12は、低級アルキルであり、R13は、2〜5個の炭素原子を有する2価のアルキル基である〕
で示される化合物から選ばれる請求項3記載の使用。
【請求項9】
RAR作動薬が、式IV:
【化5】


〔式中、Xは、F、Cl、OHまたはCH3であり;
Yは、HまたはFであり;
1〜R6は、それぞれ独立に、水素または(C1〜C6)アルキルであり;
nは、1〜4の整数であり;
7は、水素、またはカルボキシル保護基である〕
で示される化合物、および薬学的に許容され得るそれらの塩から選ばれる請求項3記載の使用。
【請求項10】
RAR作動薬が、式V:
【化6】


〔式中、R基は、独立に、水素または低級アルキルであり;
Aは、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)S−またはSC(O)−であり;
nは、0〜5であり;
Zは、H、−COB、−OE、−CHOもしくはそのアセタール誘導体、または−COR3であって、
Bは、R1がエステル形成基である−OR1であるか、またはRが水素もしくは低級アルキルである−N(R)2であり;
Eは、水素、エーテル形成基、またはR2が水素、低級アルキル、フェニルもしくは低級アルキルフェニルである−COR2であり;
3は、mが0〜4であり、nとmとの和が4を超えない−(CH2mCH3である〕
で示される化合物から選ばれる請求項3記載の使用。
【請求項11】
RAR作動薬が、式VI:
【化7】


〔式中、R1は、C(O)R6またはCH2OH(R6は、ヒドロキシルまたは(C1〜C6)アルコキシである)であり;
2は、水素、(C1〜C15)アルキル、(C1〜C6)アルコキシまたは脂環族であり;
3は、水素、ヒドロキシル、(C1〜C6)アルキル、ジヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、(C1〜C10)アルコキシまたは脂環族であり;
4およびR5は、独立に、水素、ヒドロキシル、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシである〕
で示される化合物から選ばれる請求項3記載の使用。
【請求項12】
RAR作動薬が、式VII:
【化8】


で示される化合物である請求項3記載の使用。
【請求項13】
RAR作動薬が、式VIII:
【化9】


で示される化合物である請求項2記載の使用。
【請求項14】
少なくともγ選択的であり、かつRARα倹約的であるRAR作動薬の使用であって、肺胞損傷に関連する疾患の治療のための1種類もしくはそれ以上のそのような作動薬を含有する医薬を製造するための使用。
【請求項15】
RAR作動薬が、RARγ/β選択的作動薬である請求項14記載の使用。
【請求項16】
RAR作動薬が、RARγ選択的作動薬である請求項14記載の使用。
【請求項17】
RARγ選択的作動薬が、RARγ受容体に結合し、少なくとも200nMのEC50でトランス活性化する請求項16記載の使用。
【請求項18】
RARγ受容体に対するRARγ選択的作動薬の選択度が、RARαおよびRARβ受容体と対比して、少なくとも20倍である請求項16記載の使用。
【請求項19】
RAR作動薬が、式I:
【化10】


〔式中、R1は、式:
【化11】


で示される残基であり、
2は、(C2〜C8)アルカノイル、(C2〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニルまたは−OCH23であり;
3は、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニルまたは(C2〜C6)アルキニルであり;
4〜R9は、それぞれ独立に、水素もしくは(C1〜C6)アルキルであるか;または
8およびR9は、一緒になって、(CRabnであって、RaおよびRbは、独立に、水素もしくは(C1〜C6)アルキルであり、nは1、2もしくは3であり、R4〜R7は、上記と同じであり;
10は、カルボキシル、(C1〜C6)アルコキシカルボニルまたはモノ−もしくはジ−(C1〜C6)アルキルカルバモイルである〕
で示される化合物、および薬学的に許容され得るそれらの塩から選ばれる請求項16記載の使用。
【請求項20】
RAR作動薬が、式II:
【化12】


〔式中、R1は、水素または(C1〜C6)アルキルであり;
2は、(C1〜C6)アルキルまたはアダマンチルであり;
3は、(C1〜C6)アルキルもしくはヒドロキシルであるか;または
2およびR3は、一緒になって、−(CR67n−(式中、R6およびR7は、水素または(C1〜C6)アルキルであり、nは、3、4または5である)であり;
4は、(C2〜C8)アルカノイル、(C2〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニルまたは−OCH25であり;
5は、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニルまたは(C2〜C6)アルキニルであり;
Yは、酸素または硫黄である〕
で示される化合物、および薬学的に許容され得るそれらの塩から選ばれる請求項16記載の使用。
【請求項21】
RAR作動薬が、式III:
【化13】


〔式中、R1〜R3およびR5は、独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、3〜15個の炭素原子を有する分枝鎖アルキルもしくはシクロアルキル、3〜15個の炭素原子を有する低級アルキル置換シクロアルキルであり;
4は、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル、3〜15個の炭素原子を有する分枝鎖アルキルもしくはシクロアルキル、または3〜15個の炭素原子を有する低級アルキル置換シクロアルキルであり;
Xは、SまたはOであり;
Yは、上記に定義されたR5基で置換された、フェニル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、イミダゾリルおよびオキサゾリルよりなる群から選ばれるヘテロアリールであり;
Aは、nが0〜5である(CH2n、3〜6個の炭素原子を有する低級分枝鎖アルキル、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素原子および1〜2個の二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素原子および1〜2個の三重結合を有するアルキニルであり;
Bは、水素、COOHもしくは薬学的に許容され得るその塩、COOR8、CONR910、−CH2OH、CH2OR11、−CH2OCOR11、CHO、CH(OR122、CHOR13O、−COR7、CR7(OR122またはCR7OR13Oであって、R7は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアルケニル基であり、R8は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、もしくは5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基であるか;またはR8は、フェニルもしくは低級アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立に、水素、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはフェニルもしくは低級アルキルフェニルであり、R11は、低級アルキル、フェニルもしくは低級アルキルフェニルであり、R12は、低級アルキルであり、R13は、2〜5個の炭素原子を有する2価のアルキル基である〕
で示される化合物から選ばれる請求項16記載の使用。
【請求項22】
RAR作動薬が、式IV:
【化14】


〔式中、Xは、F、Cl、OHまたはCH3であり;
Yは、HまたはFであり;
1〜R6は、それぞれ独立に、水素または(C1〜C6)アルキルであり;
nは、1〜4の整数であり;
7は、水素、またはカルボキシル保護基である〕
で示される化合物、および薬学的に許容され得るそれらの塩から選ばれる請求項16記載の使用。
【請求項23】
RAR作動薬が、式V:
【化15】


〔式中、R基は、独立に、水素または低級アルキルであり;
Aは、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)S−またはSC(O)−であり;
nは、0〜5であり;
Zは、H、−COB、−OE、−CHOもしくはそのアセタール誘導体、または−COR3であって、
Bは、R1がエステル形成基である−OR1であるか、またはRが水素もしくは低級アルキルである−N(R)2であり;
Eは、水素、エーテル形成基、またはR2が水素、低級アルキル、フェニルもしくは低級アルキルフェニルである−COR2であり;
3は、mが0〜4であり、nとmとの和が4を超えない−(CH2mCH3である〕
で示される化合物から選ばれる請求項16記載の使用。
【請求項24】
RAR作動薬が、式VI:
【化16】


〔式中、R1は、C(O)R6またはCH2OH(式中、R6は、ヒドロキシルまたは(C1〜C6)アルコキシである)であり;
2は、水素、(C1〜C15)アルキル、(C1〜C6)アルコキシまたは脂環族であり;
3は、水素、ヒドロキシル、(C1〜C6)アルキル、ジヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、(C1〜C10)アルコキシまたは脂環族であり;
4およびR5は、独立に、水素、ヒドロキシル、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシである〕
で示される化合物から選ばれる請求項16記載の使用。
【請求項25】
RAR作動薬が、式VII:
【化17】


で示される化合物である請求項16記載の使用。
【請求項26】
RAR作動薬が、式VIII:
【化18】


で示される化合物である請求項15記載の使用。

【公開番号】特開2007−302689(P2007−302689A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−185746(P2007−185746)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【分割の表示】特願2001−532746(P2001−532746)の分割
【原出願日】平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】