説明

SHIP1モジュレータープロドラッグ

本発明は、SHIP1活性のモジュレーターとしてのペロロールおよびホモペロロールのプロドラッグ、関連化合物およびその医薬組成物の使用を提供した。本発明の化合物または医薬組成物は、炎症性の、新生物の、造血系の若しくは免疫の機能障害または疾患ならびにその他の疾患および状態の治療または予防に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞増殖および生存および免疫細胞活性化の負のレギュレーターであるSHIP1に関する。
【背景技術】
【0002】
SH2含有イノシトール5−ホスファターゼ(SHIP1)は、イノシトール1,3,4,5−四リン酸(IP4)およびホスファチジルイノシトール3,4,5−三リン酸(PIP3)からの5−リン酸を選択的に加水分解する。米国特許第6,238,903号は、SHIP1が、遺伝子発現、細胞の増殖、分化、活性化、および代謝を制御するシグナル伝達経路、とりわけRasおよびリン脂質シグナル伝達経路の酵素レギュレーターであることを開示している。SHIP1は、サイトカインおよび免疫レセプターのシグナル伝達において重要な役割を果たしている。SHIP1の破壊された(SHIP1--)マウスは、顆粒球およびマクロファージの過剰産生を特徴とする骨髄増殖性の表現型を示す。(Huber, M. et al. (1999) Prog Biophys Mol Biol 71:423)。SHIP1--の肥満細胞はIgEおよびSteel因子により誘発された脱顆粒を起こしやすく、一方、SHIP1--のB細胞はFcRIIBによる負の制御に対して耐性である。SHIP1はまた、慢性の骨髄性白血病の病因にも関与している。(Sattler, M. et al. (1999) Mol Cell Biol 19:7473)。
【0003】
SHIP1は、血液細胞においてのみ発現され、造血細胞の増殖/生存および免疫細胞活性化の重要な負のレギュレーターである。SHIP1の特殊化した機能は、マウスおよびヒトにおいて研究されている。
【0004】
SHIP1活性の種々のアゴニストが、WO2004/035601から既知である。アゴニストの例は、最初に海綿種から得られたセスキテルペン化合物であるペロロールである。その合成は、WO2004/035601に記載されている。ペロロールの正確な構造は、下記のとおりであり、Meは、Meはメチル基を表し、キラル原子(C−5、8、9および10)の相対的な立体構造は示したとおりである。
【化1】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
要旨
本発明は、ペロロールおよび関連化合物のSHIP1活性のモジュレーターとしての有効性が、当該化合物に可溶化部分を付加することにより改善し得るという発見に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の具体的態様では、
式IIで示される化合物またはその塩:
【化2】

[式中、
1およびR2は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR1'、−CHO、−CO2H、およびCO22'からなる群から独立に選択され;
3およびR4は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR3'、−CHO、−CO2H、およびCO24'からなる群から独立に選択され;
Qは、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56−、
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH;Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;およびY1/Y3がエポキシド、から独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、X5、または直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のX5、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基である)
からなる群から独立に選択され;
1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、R1、R2、R3、R4、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つが、X5であるか、置換基としてX5を含んでなるか、またはX5がQにおける若しくは式IIの1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10位のいずれかの炭素原子における置換基である]
を提供する。
【0007】
本発明のさらなる具体的態様では、式IIIで示される化合物またはその塩:
【化3】

[式中、
1およびR2は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR1'、−CHO、−CO2H、およびCO22'からなる群から独立に選択され;
3およびR4は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR3'、−CHO、−CO2H、およびCO24'からなる群から独立に選択され;
Qは、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH;Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;およびY1/Y3がエポキシド、から独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基)
からなる群から独立に選択され;
1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、R1、R2、R3、R4の少なくとも1つが、X5であるか、置換基としてX5を含んでなるか、またはX5がQにおける若しくは式IIIの1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10位のいずれかの炭素原子における置換基である]
を提供する。
【0008】
本発明のさらなる具体的態様では、式IVで示される化合物またはその塩:
【化4】

[式中、
1およびR2は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR1'、−CHO、−CO2H、およびCO22'からなる群から独立に選択され;
3およびR4は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR3'、−CHO、−CO2H、およびCO24'からなる群から独立に選択され;
Qは、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH;Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;Y1/Y3がエポキシド、から独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、X5、または直鎖もしくは分岐鎖、または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のX5、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基である)
からなる群から独立に選択され;
1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R7'、R10'、R11'、およびR12'、は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つが、X5であるか、または置換基としてX5を含んでなる]
を提供する。
【0009】
本発明のさらなる具体的態様では、R1およびR2が、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR'、−CHO、−CO2H、および−CO2R'からなる群から独立に選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0010】
本発明のさらなる具体的態様では、R1が、メチル、エチル、CH2OHおよびCH2OR1'からなる群から独立に選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0011】
本発明のさらなる具体的態様では、R2が、メチル、エチル、CH2OHおよびCH2OR1'からなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0012】
本発明のさらなる具体的態様では、R1およびR2の少なくとも1つにおいてR1'およびR2'がメチル、エチル、プロピルおよびブチルからなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0013】
本発明のさらなる具体的態様では、R1がメチルまたはエチルである、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0014】
本発明のさらなる具体的態様では、R2がメチルまたはエチルである、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0015】
本発明のさらなる具体的態様では、R1がメチルである、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0016】
本発明のさらなる具体的態様では、R2がメチルである、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0017】
本発明のさらなる具体的態様では、式Vで示される化合物またはその塩:
【化5】

[式中、
Qは、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH;Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;Y1/Y3がエポキシドから独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、X5、または直鎖もしくは分岐鎖、または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のX5、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基である)
からなる群から独立に選択され;
5'、R7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つが、X5であるか、置換基としてX5を含んでなるか、またはX5がQにおける若しくは式Vの1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10位のいずれかの炭素原子における置換基である]
を提供する。
【0018】
本発明のさらなる具体的態様では、式VIで示される化合物またはその塩:
【化6】

[式中、
Qは、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH、からなる群から独立に選択され、Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;およびY1/Y3がエポキシドから独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、−NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基である)
からなる群から独立に選択され;
5'、R7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つが、X5であるか、置換基としてX5を含んでなるか、またはX5がQにおける若しくは式VIの1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10位のいずれかの炭素原子における置換基である]
を提供する。
【0019】
本発明のさらなる具体的態様では、Qが、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、および−CY12CY34CY56−、
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH;Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;Y1/Y3がエポキシド、から独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され、
5'が、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和C1−C10アルキル基)である、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0020】
本発明のさらなる具体的態様では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6がHまたはハロゲンである、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0021】
本発明のさらなる具体的態様では、QがCH2、−CH2CH2−、−CH=CH−、CH2CH2CH2およびCH=CHCH2からなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0022】
本発明のさらなる具体的態様では、Qが、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、およびCY12CY34からなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0023】
本発明のさらなる具体的態様では、式VIIで示される化合物またはその塩:
【化7】

[式中、
1、X2、X3、およびX4は、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、X5、または直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のX5、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基)
からなる群から独立に選択され;
7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つが、X5であるか、または置換基としてX5を含んでなる]
を提供する。
【0024】
本発明のさらなる具体的態様では、式VIIIで示される化合物またはその塩:
【化8】

[式中、
1、X2、X3、およびX4は、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、X5、または直鎖もしくは分岐鎖、または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のX5、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基)
からなる群から独立に選択され;
7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つが、X5であるか、置換基としてX5を含んでなる]
を提供する。
【0025】
本発明のさらなる具体的態様では、X1、X2、X3、およびX4の少なくとも1つにおいて、R6'、R7'、R8'およびR9'が、置換されていないメチル、置換されていないエチル、置換されていないプロピルおよび置換されていないブチルからなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0026】
本発明のさらなる具体的態様では、X1、X2、およびX3の少なくとも1つが、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、ハロゲン、CONH2、CONHR13'、CO(R14')2、NHR8'およびN(R9')2(ここで、R13'およびR14'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR3''、N(R4'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル(ここで、R3''およびR4''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基))からなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0027】
本発明のさらなる具体的態様では、R6'、R8'、R9'、R13'およびR14'が、置換されていないメチル、置換されていないエチル、置換されていないプロピルおよび置換されていないブチルからなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0028】
本発明のさらなる具体的態様では、X1、X2、およびX3の1以上が、H、X5、OH、−O−(C1−C10アルキル)、CONH2、CONHR13'、および−CO(R14')2
(ここで、R13'およびR14'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR3''、N(R4'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R3''およびR4''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基))からなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0029】
本発明のさらなる具体的態様では、R13'およびR14'が、置換されていないメチル、置換されていないエチル、置換されていないプロピルおよび置換されていないブチルからなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0030】
本発明のさらなる具体的態様では、X1、X2、およびX3の1以上が、H、X5、OH、およびOCH3からなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0031】
本発明のさらなる具体的態様では、X4が、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2Hおよび−CO27'からなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0032】
本発明のさらなる具体的態様では、R6'およびR7'が、置換されていないメチル、置換されていないエチル、置換されていないプロピルおよび置換されていないブチルからなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0033】
本発明のさらなる具体的態様では、X4が、H、X5、R6'、OH、OCH3、−CO2Hおよび−CO27'からなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0034】
本発明のさらなる具体的態様では、X4が、H、X5、R6'、OH、OCH3、−CO2Hおよび−CO2CH3からなる群から選択される、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0035】
本発明のさらなる具体的態様では、X5が、
(a)以下からなる群から選択される可溶化部分:生理学的pHでイオン性の1以上の実体を有する部分;−OHまたはアミド等の複数の水素結合性官能基を有する部分;モノホスフェート;ジホスフェート;トリホスフェート;モノサッカライド;オリゴサッカライド;ポリサッカライド;オリゴペプチド;ポリペプチド;アミノ酸;アルファアミノ酸、ポリエーテルおよびそれらの組合せ;および
(b)以下からなる群から選択される結合部分:O;OC(=O)Z;NHC(=O)Z;CH2OC(=O);C(=O)O、C(=O)HN
(ここで、Zは直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR'、NR'2、NO2、−CO2H、−CO2R'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基であり、個々の炭素原子は、S、O、N、NR'、またはNR'2原子で置き換えられていてもよい)
を含んでなり;
各R'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基)である、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0036】
本発明のさらなる具体的態様では、X5がアミド結合部分を含んでなる、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0037】
本発明のさらなる具体的態様では、X5がエステル結合部分を含んでなる、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0038】
本発明のさらなる具体的態様では、X5がNH2部分を含んでなる可溶化部分を含んでなる、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0039】
本発明のさらなる具体的態様では、X5がアミノ酸を含んでなる、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0040】
本発明のさらなる具体的態様では、X5がホスフェートを含んでなる、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0041】
本発明のさらなる具体的態様では、X5がポリエチレングリコール部分を含んでなる、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物を提供する。
【0042】
本発明のさらなる具体的態様では、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物および製薬的に許容し得る賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。
【0043】
本発明のさらなる具体的態様では、炎症性の、新生物の、造血系の若しくは免疫の機能障害または疾患の治療または予防のための、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物または本明細書に記載した医薬組成物を提供する。
【0044】
本発明のさらなる具体的態様では、炎症性の、新生物の、造血系の若しくは免疫の機能障害または疾患の治療または予防のための、本明細書に記載のいずれかの式で示される化合物の使用を提供する。当該使用は、医薬の製造のためであってもよい。
【0045】
本発明のさらなる具体的態様では、当該予防または治療を必要とする患者に有効量の本明細書に記載する医薬組成物を投与することを含む、炎症性の、新生物の、造血系の若しくは免疫の機能障害または疾患の予防または治療方法を提供する。
【0046】
本発明のさらなる具体的態様では、新生物の疾患が、血液の癌、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病または急性骨髄性白血病である本明細書に記載する使用または方法を提供する。
【0047】
本発明のさらなる具体的態様では、免疫疾患が、自己免疫疾患である本明細書に記載する使用または方法を提供する。
【0048】
本発明のさらなる具体的態様では、本明細書に記載した化合物の製造方法または合成方法を提供する。
【0049】
本発明のさらなる具体的態様では、免疫の、造血系の、炎症性の若しくは新生物の機能障害または疾患の予防または処置の方法であって、有効量の上記の医薬組成物を、該予防または処置を必要とする患者に投与することを含んでなる、方法を提供する。そのような組成物は、医薬としての用途に適した生物学的に活性な化合物である、または特に効き目があるとは知られていない、本明細書に記載した式で示される既に知られている化合物を含有することができる。
【0050】
本発明のさらなる具体的態様では、SHIP1活性の調節のため、およびSHIP1活性の調節のための作用剤および医薬の製造のための本明細書に記載する化合物またはその製薬的に許容しうる塩の使用を提供する。このような調節は、エクスビボ、インビトロまたはインビボであってよい。インビボでの使用のための作用剤は、本発明の医薬組成物ならびにインビトロでの使用に適した作用剤を含む。調節は、本明細書に記載する免疫、炎症性または新生物の機能障害または疾患の治療または予防のためであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】プロドラッグ化合物103によるTNFαの相対的阻害を、非プロドラッグ化合物100と比較した、セルベースアッセイの試験結果を示すグラフである。
【図2】プロドラッグ化合物106の濃度変化によるマクロファージTNFα産生の阻害を試験するセルベースアッセイの結果を示すグラフである。
【図3】プロドラッグ化合物106による肥満細胞におけるカルシウム流入の阻害を試験するセルベースアッセイの結果を示すグラフである。
【図4】プロドラッグ化合物108による野生型(WT)およびノックアウト(KO)マクロファージにおけるTNFα産生の阻害を試験するセルベースアッセイの結果を示すグラフである。
【図5】図5Aは、多発性骨髄炎(MM)細胞系における、種々の濃度の化合物100の腫瘍細胞生存を低下させる能力の結果を示すグラフである;図5Bは、多発性骨髄炎(MM)細胞系における、種々の濃度の化合物100の腫瘍細胞生存を低下させる能力の結果を示すグラフである;図5Cは、多発性骨髄炎(MM)細胞系における、種々の濃度のAQX−016Aの腫瘍細胞生存を低下させる能力の結果を示すグラフである。
【図6】図6Aは、種々の濃度の化合物100のOPM2 MM細胞系の成長を阻害する能力の結果を示すグラフである;図6Bは、種々の濃度の化合物100のMM.1S MM細胞系の成長を阻害する能力の結果を示すグラフである;図6Cは、種々の濃度のAQX−016AのMM細胞系の成長を阻害する能力の結果を示すグラフである;図6Dは、種々の濃度のAQX−016AのU266 MM細胞系の成長を阻害する能力の結果を示すグラフである;図6Eは、種々の濃度のAQX−016AのLCC6−Her2 MM細胞系の成長を阻害する能力の結果を示すグラフである。
【図7】図7Aは、化合物100、AQX−16Aおよび化合物103のインビトロでのSHIP酵素の活性化の結果を示すグラフである;図7Bは、化合物100およびAQX−16AのインビトロでのSHIP酵素の活性化の結果を示すグラフである;図7Cは、LPS刺激SHIP++--ではない)BMmΦsからのTNFα産生を阻害する化合物100の結果を示すグラフである;図7Dは、マウスにおいてLPS誘発血漿TNFαレベルを阻害する化合物100の結果を示すグラフである。
【図8】図8Aは、37℃にて2時間10ng/mLのLPSで刺激する30分前にAQX−016Aまたは担体で前処置されたSHIP++(グレー)およびSHIP--(黒)マクロファージとELISAによるTNFα産生定量の結果を示すグラフである。SHIP++およびSHIP--細胞に対するTNFαの絶対レベルは、それぞれ、623 +/− 30および812 +/− 20pg/mlであった。データは、平均+/SEMとして表し、3つの独立した実験の代表とする。図8Bは、IgEおよびFura−2で予めロードされ、15μMAQX−016Aまたは担体で30分間処置されたSHIP++およびSHIP--肥満細胞の結果を示すグラフである。次いで、0(破線)または10(実線)ng/mLのDNP−HSAで細胞を刺激し(矢印で示す)、蛍光分光分析によって経時的細胞内カルシウムレベルをモニターした。
【図9】2mg/kgのLPSのIP注射の30分前に、20mg/kgのAQX−016Aまたは0.4mg/kgのデキサメタゾンを経口投与されたマウスの結果を示すグラフである。ELISAによるTNFα測定のために、2時間後に血液を採取した。各記号は1匹のマウスを示し、データは、3つの独立した実験の代表である。
【図10】図10Aは、感作マウスにおいて、DNFB誘発好中球特異的ミエロペルオキシダーゼ(MPO)を阻害する化合物100の結果を示すグラフである。化合物100処置グループ対ビークル処置グループに対するP値は<0.02である。すべてのデータは、3つの独立した実験の代表である。図10Bは、皮膚塗布によってハプテンDNPを感作したCD1マウスにおける肥満細胞脱顆粒を阻害するAQX−016Aの結果を示すグラフである。
【図11】図11Aは、示された濃度のイノシトール−1,2,4,5−テトラキスホスフェート(IP4)基質におけるSHIP酵素の初速度の結果を示すグラフである。図11Bは、30μMのIP4における生成物PI−3,4−P2(20μM)または化合物100(3μM)の野生型(WT)およびC2ドメイン欠失S(ΔC2)HIP酵素を活性化する能力結果を示すグラフである。図11Cは、組換えC2ドメインを、4.μMの化合物100またはEtOHコントロールで23℃にて30分間予備インキュベートし、膜片に固定したPI−3,4−P2に結合させるタンパク質オーバーレイアッセイの結果を示すグラフである。図11Dは、0.25%BSAの存在下で銅キレート(His−Tag)YSiSPAシンチレーションビーズ上にコーティングされ、5μCiの[3H]−化合物100とともにインキュベートされた組換えC2ドメイン(10nM)から得られるビーズ結合放射活性の結果を示すグラフである。データは、平均+/SEMとして表され、少なくとも3つの独立した実験の代表である。図11Eは、96ウエルプレートに分注された0.25%BSAの存在下で、野生型(WT)またはC2ドメイン欠失S(ΔC2)HIP酵素のいずれかでコーティングされ、5μCiの[3H]−化合物100(42Ci/mmol)とともに23℃にて暗中振とうによりインキュベートされた銅キレート(His−Tag)YSiSPAシンチレーションビーズから得られるビーズ結合放射活性の結果を示すグラフである。タンパク質コーティングビーズと相互作用する[3H]−化合物100の量をプレートシンチレーションカウンターで定量した。
【図12】図12Aは、ビークルコントロールにおける活性と比較し、ビークルコントロールにおいて観察される変化に対する活性変化%として表した、化合物100の存在下での酵素の活性の結果を示すグラフである。<25%の活性変化を、有意とみなさなかった。図12Bは、図12Aに示すように、25%以上化合物100によって影響を及ぼされた酵素の活性の結果を示すグラフである。
【図13】マウスの腫瘍サイズにおける化合物100およびビークルコントロールの効果の結果を示すグラフである。
【図14】マウスの長期の腫瘍体積における化合物100およびビークルコントロールの効果の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な説明
本明細書中の略語は以下のとおりである:THF(テトラヒドロフラン);n−buLi(n−ブチルリチウム);t−buLi(tert−ブチルリチウム);Ph3PMe(メチルトリフェニルホスホニウムブロミド);PCC(ピリジンクロロクロメート);Ac(アセチル);Me(メチル);Et(エチル);prop.(プロピル);but.(ブチル);RT、rtまたはr.t.(室温);hr.(時間);DMSO(ジメチルスルホキシド);DNFB(2,4−ジニトロフルオロベンゼン);LPS(リポポリサッカライド);TNF−α(腫瘍壊死因子α);TBS(tert−ブチルジメチルシリル);EA(酢酸エチル);PG(保護基);AA(アミノ酸);DCM(ジクロロメタン);DIPC(1,3−ジイソプロピルカルボジイミド);DMAP(ジメチルアミノピリジン);TFA(トリフルオロ酢酸);PEG(ポリエチレングリコール);およびBOC(t−ブチルカルバメート)。
【0053】
本明細書で用いる用語「アルキル」は、一般式:Cn2n+1を有する水素と炭素を含む分子を意味する。「Cx−Cyアルキル」または「Cx−Cyアルキル」は、x〜y個の炭素数を有するアルキルを意味する。例えば、「C1−C6アルキル」は、1、2、3、4、5または6個の炭素数を有するアルキルを意味する。
【0054】
すべての可能な立体異性体、エピマー、ジアステレオマーおよびエナンチオマーならびにその混合物は、

結合(以降、立体結合と呼ぶ)を有する1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の式によって特に包含される。立体結合は、結合の可能な配向のいずれか1つ以上が特定の態様から特に包含または特に排除され、これらをまとめて、可能な結合配向の包含および排除のこのような組み合わせすべてを包含することを意味する。
【0055】
本明細書で用いる用語「立体混合物」は、等量または非等量の2つ以上の異なる立体異性体の混合物である。立体混合物は、立体混合物の成分として、いずれかの特定の立体異性体を0%〜100%(およびその間の全ての値)含んでもよいが、少なくとも2つの異なる立体異性体が混合物に存在する。「ラセミ混合物」は、混合物中に含まれる立体異性体のそれぞれの等量を有する立体混合物である。
【0056】
本明細書で用いる用語「立体的に純粋な化合物」は、化合物の各々の分子がどれも同じ立体化学構造を有する、1つ以上のキラル中心を有する化合物を意味する。用語「実質的に立体的に純粋な化合物」は、立体的に純粋な化合物であるか、または少なくとも97%の分子が同じ立体化学構造を有する化合物であることを意味する。実質的に立体的に純粋な化合物は、少なくとも98%の分子が同じ立体化学構造を有する化合物であるか、または少なくとも99%の分子が同じ立体化学構造を有する化合物であってもよい。実質的に立体的に純粋な化合物は、少なくとも99.5%の分子が同じ立体化学構造を有する化合物であるか、または少なくとも99.9%の分子が同じ立体化学構造を有する化合物であってもよい。
【0057】
本明細書中、
【化9】

なる構造は、ポリエチレングリコール部分(PEG)である(nはPEGにおける反復単位数)。
【0058】
本明細書中、
【化10】

なる構造は、ポリプロピレングリコール部分(PPG)である(nはPPGにおける反復単位数)。
【0059】
SHIP1モジュレーター化合物およびプロドラッグ
本発明の化合物は、可溶化部分と連結した、ペロロール、ホモペロロールまたはペロロール/ホモペロロールアナログコアを含んでなる。当該コアと可溶化部分は、結合部分を介して連結し得る。
【0060】
いくつかの態様では、当該コアは式I:
【化11】

[式中、
1およびR2は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、−CH2OR'、−CHO、−CO2H、および−CO2R'からなる群から独立に選択され;
3およびR4は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、−CH2OR'、−CHO、−CO2H、および−CO2R'からなる群から独立に選択され;
Qは、−CH2−、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR'、およびSH;またはY1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=Oであってよい;またはY1/Y3がエポキシドを形成してよい、から独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、R、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、−CO2R'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、−NHRおよび−N(R)2
(ここで、Rは、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上の、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR'、−NR'2、NO2、−CO2H、−CO2R'およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基である)
からなる群から独立に選択され;
R'は、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上の、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR''、−NR''2、NO2、−CO2H(ここで、R''は、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)である]
で示される化合物またはその塩であるか、あるいはそこから誘導されるものである。
【0061】
式Iで示される化合物は、C−5、C−8、C−9およびC−10にキラル中心を有し、R1とR2が相違するか否かによってC−4においてキラルであってよい。いくつかの態様は、キラル中心の相対配置がペロロールと同一であるか、またはそのエナンチオマーである:即ちS,R,R,SまたはR,S,S,R(それぞれC−5、8、9および10において)。いくつかの態様は、キラル中心の絶対配置がペロロールと同一である。いくつかの態様は、C−8およびC−9における配置が独立して可変であり、C−5およびC−10の相対配置がペロロールと同一である。いくつかの態様は、C−9における配置が可変であり、C−5、C−8およびC−10の相対配置がペロロールと同一である。いずれの場合も、本明細書に示す式Iの化合物の構造の例において示されるように、C−4での配置(キラルである場合)は可変であってもそれ以外のキラル中心と同一の相対配置であってもよい。
【0062】
様々な態様において、当該コアを置換基Q、R1、R2、R3、R4、X12、X3およびX4についてより具体的に限定することができる。以下の限定の任意の組み合わせが、本発明によって包含される:
(a)Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6がHまたはハロゲンに限定されることを除いて、Qは式Iで定義したものである;
(b)Qは、−CH2−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CH2CH2CH2−および−CH=CHCH2−に限定され得る;
(c)式Iの限定または上記(a)または(b)において、Qは飽和部分に限定される;
(d)式Iの限定または上記(a)〜(c)において、Qは1または2の炭素骨格に限定される;
(e)R1およびR2の一方または両方が、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、−CH2OR'、−CHO、−CO2H、および−CO2R'に限定される;
(f)R1およびR2の一方または両方が、メチル、エチル、−CH2OHまたは−CH2OR'に限定される;
(g)式I、または上記(f)のR1およびR2の一方または両方においてR'がメチル、エチル、プロピルまたはブチルに限定される;
(h)R1およびR2の一方または両方が、メチルまたはエチルに限定される;
(i)R1およびR2の一方または両方が、メチルに限定される;
(j)X1〜X4のいずれか1つ以上におけるRおよびR'が、置換されていないメチル、エチル、プロピルまたはブチルに限定される;
(k)X1〜X3の1つ以上が、H、R、OH、O−(C1−C10アルキル)、ハロゲン、CONH2、CONHR'、COR'2、NHRまたはN(R)2(RおよびR'は式Iで限定されるとおり、またはRおよびR'は上記(j)にしたがって限定される)に限定される;
(l)X1〜X3の1つ以上がH、OH、O−(C1−C10アルキル)、CONH2、CONHR'、およびCOR'2(RおよびR'は式Iで限定されるとおり、またはRおよびR'は上記(j)にしたがって限定される)に限定される;
(m)X1〜X3の1以上がH、OH、およびOCH3に限定される;
(n)X4がH、R、OH、O−(C1−C10アルキル)、CO2Hまたは−CO2R'(RおよびR'は式Iで限定されるとおり、またはRおよびR'は上記(i)にしたがって限定される)に限定される;
(o)X4は、H、R、OH、OCH3、−CO2Hおよび−CO2R'(RおよびR'は上記(j)にしたがって限定される)に限定される;および
(p)X4は、H、R、OH、OCH3、−CO2Hまたは−CO2CH3に限定される。
【0063】
いくつかの態様では、コアは式1A:
【化12】

[式中、
1およびR2は、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、−CH2OR1'、−CHO、−CO2H、および−CO22'からなる群から独立に選択され;
3およびR4は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、−CH2OR3'、−CHO、−CO2H、および−CO24'からなる群から独立に選択され;
1'、R2'、R3'、およびR4'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR1''、−N(R2'')2、NO2および−CO2Hで置換されたC1−C10アルキル基(ここで、R1''およびR2''は、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基)であり;
1は、O−(C1−C10アルキル)およびHからなる群から選択され;
2は、HまたはC1−C10アルキルであり;および
3は、H、−OH、C1−C10アルキルおよびO−(C1−C10アルキル)からなる群から選択される]
で示される化合物またはその塩であるか、あるいはそこから誘導されるものである。
【0064】
式1Aで示される化合物の他の態様において、G1は、−O−メチルおよびHから選択され;G2は、Hまたはメチルであり;およびG3は、H、メチルおよびO−メチルから選択される。
【0065】
式1Aで示される化合物は、C−5、C−8、C−9およびC−10にキラル中心を有し、R1とR2が相違するかによってC−4においてキラルであってよい。いくつかの態様は、キラル中心の相対配置がペロロールと同一であるか、またはそのエナンチオマーである:即ちS,R,R,SまたはR,S,S,R(それぞれC−5、8、9および10において)。いくつかの態様は、キラル中心の絶対配置がペロロールと同一である。いくつかの態様は、C−8およびC−9における配置が独立して可変で、C−5およびC−10の相対配置がペロロールと同一である。いくつかの態様は、C−9における配置が可変であり、C−5、C−8およびC−10の相対配置がペロロールと同一である。いずれの場合も、本明細書に示す式1Aの化合物の構造の例において示されるように、C−4での配置(キラルである場合)は可変であってもそれ以外のキラル中心と同一の相対配置であってもよい。
【0066】
種々の態様において、ペロロールアナログは、R1、R2、R3およびR4についてより具体的に限定することができる。以下の限定の任意の組み合わせが、本発明によって包含される:
(a)R1およびR2の一方または両方が、メチル、エチル、−CH2OH、−CH2OR1'、または−CH2OR3'に限定され得る;
(b)式1Aの、または上記(a)の限定において、R1およびR2の一方または両方におけるR1'、R2'、R3'、および/またはR4'が、メチル、エチル、プロピルまたはブチルに限定され得る;
(c)R1およびR2の一方または両方が、メチルまたはエチルに限定され得る;
(d)R1およびR2の一方または両方が、メチルに限定され得る。
【0067】
いくつかの態様では、コアは式2A:
【化13】

[式中、
1は、O−(C1−C10アルキル)およびHからなる群から選択され;
2は、HまたはC1−C10アルキルであり;および
3は、H、−OH、C1−C10アルキルおよびO−(C1−C10アルキル)からなる群から選択される]
で示される化合物またはその塩であるか、あるいはそこから誘導されるものである。
【0068】
上記のコアのいくつかの態様は本発明に包含される。上記のコアのいくつかの態様では、コアは可溶化部分と結合部分を含んでなり、コアへの更なる修飾は必要ではない。
特定のコアが更なる修飾を必要とするか否かは、以下に記載する可溶化部分および結合部分を含むならば、更なる修飾は必要でないであろうということに基づいて決定することができる。それでも、更なる可溶化部分が望ましい場合もまたはそうでない場合もあり、さらなる修飾を上記のコアのすべての態様に適用し得る。いくつかの態様では、結合部分および/または可溶化部分を有しないコアは本発明の範囲内である。
【0069】
可溶化部分は、1以上の生理学的pHにおいてイオン性の実体(ionic entiy)を有するまたは複数の水素結合官能基(−OHまたはアミド等)を有する任意の部分である。可溶化部分の例として、以下から選択することができるがこれに限定されない:
モノホスフェート;ジホスフェート;トリホスフェート;モノサッカライド;オリゴサッカライド;ポリサッカライド;オリゴペプチド(ジペプチドおよびトリペプチドが含まれるがこれに限定されない);ポリペプチド;アミノ酸;アルファアミノ酸−CH−(NH2)−(AA);ポリエーテルおよびそれらの組合せ((AA)はアミノ酸側鎖である)。
【0070】
アミノ酸側鎖としては、アルファ炭素を含まない、天然のタンパク質のアミノ酸および非天然アミノ酸のアミノ酸側鎖部分、アルファ炭素に直接結合したアルファアミン、アルファカルボキシ基および水素が挙げられるがこれに限定されない。
【0071】
ポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール(PEG)、メチル化ポリエチレングリコール(MPEG)、ポリプロピレングリコール、PEGアミンおよびMPEGアミンが挙げられるがこれに限定されない。ポリエーテル(上で具体的に記載したものをすべて含む)の分子量は、約62〜約20,000またはそれ以上であり、その範囲内であらゆる変更が可能である。そのような分子量範囲は一般的に、約0〜約450リピートのオキシアルカン単位の反復に相当する。ポリエーテル(上で具体的に記載したものをすべて含む)の分子量は、約62〜約6,500またはそれ以上であり、その範囲内であらゆる変更が可能である。そのような分子量範囲は一般的に、約0〜約150リピートのオキシアルカン単位の反復に相当する。オキシアルカン単位の約1〜約50リピートが一般的に用いられ、これは約100〜約2500の分子量範囲を示す。
【0072】
特に、Table I中の下記の構造は、可溶化部分の非限定的例である。以下の表において、各Rは独立して、非置換または1つ以上の置換基(OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR'、−NR'2、NO2、−CO2H、−CO2R'およびエポキシド)で置換された直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和の炭素数1〜10のアルキル基であり;および
R'は、非置換または1つ以上の置換基(OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR''、−NR''2、NO2および−CO2H(ここで、R''は、直線状、分枝鎖または環状の飽和または不飽和の炭素数1〜10のアルキル基))で置換された直鎖、分枝鎖または環状の飽和または不飽和の炭素数1〜10のアルキル基である。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
【表5】

【0078】
【表6】

【0079】
幾つかの特定の実施態様において、Table Iに記載の各Rは独立して、H、メチルまたはアシルから選択される。
【0080】
連結部分が、コアを可溶化部分に接続してもよい。連結部分は、コアからの連結部分の切断によってコアの化合物が生成されるようにインビボで切断される部分である。幾つかの実施態様において、連結部分の切断は、生理的条件下で連結部分の安定性に関連することができる。幾つかの実施態様において、連結部分は、インビボで酵素的に切断されてもよい。幾つかの実施態様において、インビボでの連結部分の切断は、連結部分がコアに結合した後に切断される、OH部分を含むコアの形成をもたらす。エステル部分を含む連結部分は、エステル連結部分がコアに結合した後に切断される、OH部分を含むコアの形成を提供することができる。連結部分は、以下の部分から選択される:−O−C(=O)−Z−、−NH−C(=O)−Z−、−CH2OC(=O)−、−C(=O)O−および−C(=O)HN−;ここで、Zは、非置換または1つ以上の置換基(OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR'、−NR'2、NO2、−CO2H、−CO2R'およびエポキシド)で置換された直線状、分枝鎖または環状の飽和または不飽和の炭素数1〜10のアルキル基であり、個々の炭素原子は、S、O、N、NR'またはNR'2で置換されてもよい;および
ここで、各R'は独立して、非置換または1つ以上の置換基(OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR''、−NR''2、NO2、−CO2H、−CO2R''およびエポキシド(ここで、R''は、直線状、分枝鎖または環状の飽和または不飽和の炭素数1〜10のアルキル基))で置換された直線状、分枝鎖または環状の飽和または不飽和の炭素数1〜10のアルキル基である。ホスフェートの場合、−O−も、適当な連結部分である。連結部分の特定の非限定的例を、下記Table IIに記載する。ここで、1は、コアへの結合点を表し、2は、可溶化部分への結合点を表す。
【0081】
【表7】

【0082】
連結部分および可溶化部分は、プロドラッグ部分またはX5と呼ばれる単一の構造で記載されてもよい。プロドラッグ部分はコア化合物の溶解度の改善をもたらす。さらに、プロドラッグは、プロドラッグ部分の開裂により生成するコア化合物がそのコア化合物を直接投与するのと比較してインビボでより良好な活性をもたらす。
【0083】
プロドラッグ部分は、本発明化合物が形成されるように、コアに付加されるすべてを含む。本明細書に記載のいずれかの可溶化部分に結合する、本明細書に記載のいずれかの連結部分のいずれかの組み合わせは、プロドラッグ部分を含んでもよい。幾つかの実施態様において、プロドラッグ部分は、安定であり、コアから除去するのが困難である。幾つかの実施態様において、プロドラッグ部分は、連結部分における切断により、コアからプロドラッグ部分または可溶化部分が分離されるコアの化合物が生成されるように、インビボで切断されてもよい部分である。幾つかの実施態様において、連結部は酵素的に切断されてもよい。幾つかの実施態様において、コアからプロドラッグ部分または可溶化部分を分離するための連結部分のインビボでの切断は、プロドラッグ部分がコアに結合した後に切断される、OH部分を含むコアの形成をもたらす。エステル部分を含むプロドラッグ部分は、プロドラッグ部分がコアに結合した後に切断される、OH部分を含むコアの形成を提供することができる。プロドラッグ部分の特定の非限定的例を、下記Table IIIおよびIVに記載する。下記Table IIIにおいて、各Rは独立して、非置換または1つ以上の置換基(OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR'、−NR'2、NO2、−CO2H、−CO2R'およびエポキシド)で置換された直線状、分枝鎖または環状の飽和または不飽和の炭素数1〜10のアルキル基であり;および
ここで、R'は、非置換または1つ以上の置換基(OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR''、−NR''2、NO2および−CO2H(ここで、R''は、直線状、分枝鎖または環状の飽和または不飽和の炭素数1〜10のアルキル基))で置換された直線状、分枝鎖または環状の飽和または不飽和の炭素数1〜10のアルキル基である。
【0084】
【表8】

【0085】
【表9】

【0086】
【表10】

【0087】
【表11】

【0088】
【表12】

【0089】
【表13】

【0090】
【表14】

【0091】
幾つかの特定の実施態様において、Table IIIに記載の各Rは独立して、H、メチルまたはアシルから選択される。
【0092】
【表15】

【0093】
【表16】

【0094】
【表17】

【0095】
【表18】

【0096】
【表19】

【0097】
1、X2、X3、X4、R1、R2、R3またはR4の少なくとも1つをプロドラッグ部分で置き換えることにより、または存在するX1、X2、X3、X4、R1、R2、R3またはR4置換基に由来する原子または原子団をプロドラッグ部分で置換することにより、存在するX1、X2、X3、X4、R1、R2、R3またはR4置換基にプロドラッグ部分を付加することにより、プロドラッグ部分をコアに付加することができる。存在するX1、X2、X3、X4、R1、R2、R3またはR4置換基から置換することができる原子又は原子団は、存在するX1、X2、X3、X4、R1、R2、R3またはR4置換基の主鎖において、あるいは存在するX1、X2、X3、X4、R1、R2、R3またはR4置換基の側鎖において、コアに近い位置でもコアから遠く離れた位置にあってもよい。プロドラッグ部分はまた、コアの1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10位で、Qにおける炭素原子のいずれか1つまたはそれ以上に対して付加または置換することができる。プロドラッグ部分は、エステルまたはアミドとしてコアに付加することができる。
【0098】
本発明の様々な態様は、以下の式IIまたはその塩によって説明される:
【化14】

[式中、
1、X2、X3、X4、R1、R2、R3、R4およびQはいずれも式Iと同意義であり、上で定義したこれらの基についての更なる限定のいずれかまたはそのすべてによって限定されていてもよく;
5は本明細書に記載のプロドラッグ部分、または本明細書に記載の任意の可溶化部分に結合した本明細書に記載の任意の結合部分の任意の組み合わせであり;および
1、R2、R3、R4、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つは、X5において置換される、X5でおよび/またはX5によって置換される、および/またはX5は、式IIの1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10位で、Qにおける任意の炭素原子の置換基である]。
【0099】
本発明の様々な態様は、以下の式IIIまたはその塩によって説明される:
【化15】

[式中、
1、X2、X3およびX4はいずれも式Iと同意義であり、上で定義したこれらの基についての更なる限定のいずれかまたはそのすべてによって限定されていてもよく;および
5は、本明細書に記載のプロドラッグ部分であり、テルペノイドフラグメントの任意のメチレンまたはメチル炭素における任意の置換基であってよい]。種々の態様において、X5はエステル結合(またはホスフェートの場合−O−)を介して連結している。
【0100】
本発明の様々な態様は、以下の式IVまたはその塩によって説明される:
【化16】

[式中、
1、X2、X3、X4、R1、R2、R3、R4およびQは、いずれも式Iと同意義であり、上で定義したこれらの基についての更なる限定のいずれかまたはそのすべてによって限定されていてもよく(但し、X1、X2、X3およびX4の1つ以上が、X5で置換され、X5において置換され、X5上で置換され、またはX5によって置換されている);および
5は、本明細書に記載したプロドラッグ部分、または本明細書に記載した任意の可溶化部分に結合した本明細書に記載した任意の結合部分の任意の組み合わせである]。
【0101】
本発明の様々な態様は、以下の式Vまたはその塩によって説明される:
【化17】

[式中、
1、X2、X3、X4およびQはいずれも式Iと同意義であり、上で定義したこれらの基についての更なる限定のいずれかまたはそのすべてによって限定されていてもよい(但し、X1、X2、X3およびX4の1つ以上が、X5で置換され、X5において置換され、X5上で置換され、またはX5によって置換されている)、またはテルペノイドフラグメントのいずれかのメチレン若しくはメチル炭素における置換基であってよく;
5は、本明細書に記載したプロドラッグ部分である]。種々の態様において、X5はエステル結合(またはホスフェートの場合−O−)を介して連結している。
【0102】
本発明の様々な態様は、以下の式VIまたはその塩によって説明される:
【化18】

[式中、
1、X2、X3、X4およびQはいずれも式Iと同意義であり、上で定義したこれらの基についての更なる限定のいずれかまたはそのすべてによって限定されていてもよく;および
5は、本明細書に記載のプロドラッグ部分であり、テルペノイドフラグメントのいずれかのメチレン若しくはメチル炭素における置換基であってよい]。種々の態様において、X5はエステル結合(またはホスフェートの場合−O−)を介して連結している。
【0103】
本発明の様々な態様は、以下の式VIIまたはその塩によって説明される:
【化19】

[式中、
1、X2、X3およびX4は、いずれも式Iと同意義であり、上で定義したこれらの基についての更なる限定のいずれかまたはそのすべてによって限定されていてもよく(但し、X1、X2、X3および/またはX4の1つ以上が、エステル結合(またはホスフェートの場合−O−)を介して芳香環に直接連結したプロドラッグ部分によって置き換わっている、またはプロドラッグ部分の少なくとも1つが、置換基として、エステル結合(またはホスフェートの場合−O−)を介してX1、X2、X3および/またはX4の少なくとも1つに結合している)]。
【0104】
本発明の様々な態様は、以下の式VIIIまたはその塩によって説明される:
【化20】

[式中、
1は、プロドラッグ部分、OメチルおよびHからなる群から選択され;
2は、プロドラッグ部分、OメチルおよびHからなる群から選択され;
3は、Hまたはメチルであり;および
4は、H、メチルおよびOメチルからなる群から選択される]。
【0105】
式VIIIの更なる態様では、
1は、プロドラッグ部分、OメチルおよびHからなる群から選択され;
2は、プロドラッグ部分、OメチルおよびHからなる群から選択され;
3は、Hまたはメチルであり;
4は、H、メチルおよびOメチルからなる群から選択され;
1およびX2の1つがプロドラッグ部分である。
【0106】
式VIIIの更なる態様では、X1は、プロドラッグ部分であり、X2は、プロドラッグ部分である。X1およびX2は、同一のプロドラッグ部分または異なるプロドラッグ部分を有していてもよい。
【0107】
式VIIIの更なる態様では、X1はHであり、X2はプロドラッグ部分である。
【0108】
式VIIIの更なる態様では、X3はメチルである。
【0109】
式VIIIの更なる態様では、X4はHである。
【0110】
式VIIIの更なる態様では、X1はHであり、X2はプロドラッグ部分であり、X3はHであり;X4はメチルである。
【0111】
以下のTable Vに、上記式I〜VIIIのいずれかに具体的に包含される立体異性体の非限定的例を示す。Table Vの立体異性体の2またはそれ以上の立体混合物およびラセミ混合物、実質的に立体的に純粋な化合物および立体的に純粋な化合物もまた、上記で示される式I〜VIIIに包含される。以下のTable Vにおいて用いられるX1、X2、X3、X4、R1、R2、R3およびR4は、それぞれの式において定義したとおりである。以下のTable Vにおいて用いられるQは、存在するか、またはCH2であるか、または式I〜VIIIのいずれかで定義したとおりである。
【0112】
【表20】

【0113】
【表21】

【0114】
【表22】

【0115】
【表23】

【0116】
【表24】

【0117】
【表25】

【0118】
種々の具体的な態様では、式II、III、IV、V、VI、VIIおよびVIIIのそれぞれにおいて、プロドラッグ部分またはX5は、上記Table IVに示されるいずれか1つのエステルプロドラッグ部分である。
【0119】
以下のTable VIにおける構造は、本発明の態様の非限定的例である。各構造について相対的な立体化学を記載することもあり、しないこともあるが、キラル中心の立体配置は、上記のキラリティーに基づいていずれかの態様にしたがって変更してもよく、本発明の化合物は、式I、II、III、IV、V、VI、VIIおよび/またはVIIIで示される化合物のすべての立体異性体およびそのエナンチオマーを包含する。いくつかの態様では、Table VIの化合物の、立体的に純粋な化合物、実質的に立体的に純粋な化合物、立体混合物およびラセミ混合物もまた提供される。以下の構造式において、X5は、式II、III、IV、V、VI、VIIまたはVIIIのいずれかにおいて上に記載したとおりである。Table VIにおいて、X1、X3およびX4は式Iと同意義であり、上で定義したこれらの基についての更なる限定のいずれかまたはそのすべてによって限定されていてもよい。
【0120】
【表26】

【0121】
【表27】

【0122】
【表28】

【0123】
【表29】

【0124】
【表30】

【0125】
【表31】

【0126】
【表32】

【0127】
【表33】

【0128】
【表34】

【0129】
【表35】

【0130】
【表36】

【0131】
【表37】

【0132】
【表38】

【0133】
【表39】

【0134】
本発明の化合物は、多くの場合、コアを調製または購入し、プロドラッグ部分を調製または購入し、この2つの分子を化学的に結合させることにより製造される。プロドラッグ部分をコアの一部分に化学的に連結し、コアの残余部分を化学的に連結する等、他の方法論もまた用いることができる。本発明の化合物の合成の詳細については、以下に記載する。
【0135】
化合物の合成および活性に関するアッセイ
ペロロールは、従来技術に教示されるように、天然源から得ることができる。溶媒分画およびクロマトグラフィーを用いることができる。式II、III、IV、V、VI、VIIおよび/またはVIIIで示される化合物を製造するため、置換基を付加、脱離または置換するための既知の化学的方法論によって、ペロロールまたはクリセン誘導体等の他の入手可能な化合物を修飾することが可能である。式II、III、IV、V、VI、VIIおよび/またはVIIIで示される異なる化合物に適用される誘導体化の工程の例を以下により詳細に示す。
【0136】
調製物中のSHIP1調節化合物の存在は、活性化マクロファージからの一酸化窒素生成;IgE誘発肥満細胞脱顆粒;LPS誘発マクロファージ活性化;TNF−α発現または活性の変化をモニターする細胞または動物ベースアッセイといったような公知の手順から容易に適合させることができる生物学的アッセイなどの種々のアッセイの使用によって決定することができる。さらに、生体における炎症活動を調節する作用薬のための標準的アッセイを用いてもよい。これらのアッセイの適合化は、SHIP1--およびSHIP1+-マウスおよび骨髄由来マクロファージの利用可能性によって促進される。さらに、抗SHIP1抗体の利用可能性は、イムノアッセイ形式の使用を促進する。このようなアッセイは、本明細書に記載の全合成によって製造される化合物の活性の評価に用いることもできる。
【0137】
化合物の全合成
本発明化合物の具体例ならびに本発明化合物の具体例の中間体および前駆体を製造するための合成スキームをここに提供する。表(Table VII、VIIIおよびIX)は、製造される異なる本発明化合物の例などの合成の具体例における、本発明化合物、中間体および前駆体の例を提供する。表に示される化合物は、芳香環に隣接する環が6員であることを除いてはペロロールと同じであり、「ホモペロロール」と称される。6員環を有する化合物を「ホモペロロールアナログ」と称する。ペロロール以外の、5員環を有する化合物を本明細書では「ペロローグアナログ」と称する。
【0138】
Table VII、VIIIおよびIXに示す合成方法において、本明細書に示した本発明の化合物および本発明の化合物の中間体は、出発物質としてスクラレオリドを用いて都合よく製造することができる。所望のR1、R2、R3および/またはR4置換基を生じるスクラレオリドの適当な誘導体を用いることができる。Nuは、求核試薬であり、多くの場合、カルバニオンのリチウム塩またはリチウムであり、X2は、多くの場合、Table VIIおよびVIIIに示した芳香族化合物におけるOMeまたは−NHAc等の活性化基である。Table VIIのGn、Gx、Gyおよび/またはGzは、それぞれ、本明細書においてX1、X2、X3およびX4について定義したとおりであり、Table VII〜IXのいずれにおいても、X1、X2、X3、X4、R1、R2、R3、R4および/またはQは、出発物質にもともと存在していたものであるか、最終生成物にとって望ましい置換基に適当に変更される。R1、R2、R3および/またはR4、あるいはX1、X3またはX4について、保護基を用いることができる。
【0139】
Table IXに示す合成方法では、都合の良いことには、出発化合物は、その合成方法が従来技術に記載されているコアであり得た(例えば、本明細書の一部を構成するWO2004/035601参照)。
【0140】
ホスフェートエステル化合物の製造のための一般的な手順は、Steinber, G.M. J. Org. Chem. (1950), 15, 637に記載されている。チロシンリン酸化の具体的な手順は、Gibson, B.W. et. al. J. Am. Chem. Soc. (1987), 109, 5343に記載されている。化合物のPEG化についての一般的な記載は、Zhu et al., J. Med. Chem. (2006), 49 1373 1378にみられる。本発明の化合物の合成のより具体的および詳細な例を実施例に記載する。
【0141】
【表40】

【0142】
【表41】

【0143】
【表42】

【0144】
医薬組成物、用量、投与および適応症
本発明において使用するための化合物は、当業者に知られている任意の方法で医薬組成物に製剤化することができ、そのすべてが本発明の範囲に含まれる。当業者は、適切な製薬的に許容しうる塩ならびに適切な製薬的に許容しうる賦形剤、希釈剤および担体を選択し得ると期待される。
【0145】
本発明化合物は、いずれかの製薬的に許容しうる担体中、治療的または予防的に許容しうる量で提供することができる。このような医薬製剤を製造するための当業界で公知の方法は、例えば、“Remington: The Science and Practice of Pharmacy」(21st edition)、ed. A. Gennaro、2005、Mack Publishing Company、Easton、PAに見られる;これは、全体として参照することにより本発明に援用される。本発明の医薬製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水または生理食塩水、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、または他の合成溶媒、植物油、または水素化ナフタレンを含んでもよい。
【0146】
本発明化合物は、例えば、水に実質的に不溶性であるが、例えば、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシドまたはクロロホルムあるいはその組み合わせなどの溶媒に自由に溶ける化合物などの疎水性化合物を含んでもよい。このような疎水性化合物を含む製剤は、例えば、特定の条件下で両親媒性化合物によって形成されるミセルなどを用いて提供される。水性溶液において、ミセルは、その炭化水素コア中またはミセル壁内に疎水性化合物を組み込む能力を有する。疎水性化合物は、例えば、可消化植物油などのトリグリセリド(油)に可溶化することによって提供されていてもよい。油相中の可溶化疎水性化合物を、水性溶液中に分散させ、要すれば、乳化剤を用いて安定させることができる。別法として、疎水性化合物を油中で提供し、例えば、胆汁塩がインビボ乳化剤として機能する胃腸系などにデリバリーすることができる。疎水性化合物は、エマルションのように、油および水の液体分散物であるが、ミセル様「コア」内に油相を有するより小さい粒子であるマイクロエマルションとして提供されてもよい。本発明の疎水性化合物は、例えば、デンプンなどの炭水化物、セルロース、デキストラン、シクロデキストリン、メチルセルロース、またはヒアルロン酸、またはアルブミン、コラーゲンもしくはゼラチンなどのポリペプチドなどのポリマー担体と一緒に提供されてもよい。疎水性化合物の製剤の他の様式として、リポソーム、天然および合成リン脂質、または例えば、ジメチルスルホキシドまたはアルコールなどの溶媒が挙げられる。
【0147】
本発明の医薬組成物を、一定の期間にわたる活性化合物の制御された放出を提供するように製剤してもよい。したがって、該製剤は、例えば、単回投与で投与されると毒性であるが、制御された放出では毒性レベルに達しない化合物の量を含有することができる。生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマーまたはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーを、例えば、化合物の放出を制御するのに用いることができる。本発明の調節化合物のための他の潜在的に有用なデリバリーシステムとして、エチレン−酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、植え込み可能な注入システムおよびリポソームが挙げられる。
【0148】
化合物の「治療有効量」は、本発明化合物を用いて、必要な用量および期間において、所望の治療結果を達成するために有効な量である。治療有効量は、化合物のいずれかの毒性または有害な影響より、治療的に有利な影響の方が上回る量でもある。化合物の「予防有効量」は、本発明化合物を用いて、必要な用量および期間において、所望の予防結果を達成するために有効な量を意味する。典型的に、予防有効量が、治療有効量よりも少なくなるように、予防的用量は、疾患に先立つか、または疾患の早期段階にある患者に用いる。十分であるとみなされる量は、用いる特定の化合物、投与様式、疾患の段階および重篤度、治療される個人の年齢、性別、体重および健康状態ならびに併用する治療に応じて変わる。
【0149】
本発明化合物の治療または予防有効量の好ましい範囲は、0.1nM〜0.1M、0.1nM〜0.05M、0.05nM〜μM、0.01nM〜μM、0.1μM〜1μM、0.1μM〜0.6μMまたは0.3μM〜0.6μMである。用量の数値は、軽減される身体状態の重篤度に応じて変わることに留意すべきである。特定の患者のために、個々の必要性および組成物を投与するか、または投与を管理する者の専門的判断力にしたがって、特定の用量処方を長期間にわたって調節することができる。本明細書に記載する用量範囲は、例示にすぎず、医師による選択される用量処方を制限するものではない。用量処方は、最適治療応答を提供するように調節される。例えば、長期間の単回ボーラス投与を行うこともでき、数回の分割投与を行うこともでき、あるいは治療状況の危急性によって示されるように、用量を比例的に減少もしくは増加することもできる。
【0150】
一般に、本発明化合物は、実質的な毒性を引き起こすことなく用いるべきである。本発明化合物の毒性は、例えば、細胞培養物または実験動物において試験し、治療指数、すなわち、LD50(集団の50%が死亡する用量)とLD100(集団の100%が死亡する用量)との比を決定することなどの標準的技術を用いて決定することができる。しかし、重篤な疾患状態などの、ある状況においては、過剰の組成物を投与することが必要であるかもしれない。
【0151】
慣用の製薬的手法を利用して、治療または予防目的に応じて患者に化合物を投与するための適当な製剤または組成物を提供することができる。投与の適当な経路として、例えば、全身、非経口、静脈内、皮下、経皮、経粘膜、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼、脳室内、嚢内、髄腔内、関節包内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、局所、外科的または経口投与などを用いることができる。したがって、経口投与には、錠剤またはカプセル剤の剤形;吸入剤には、散剤、点鼻薬またはエアロゾルの剤形;経粘膜投与には、鼻腔用スプレーまたは座薬;経皮投与には、クリーム剤、軟膏(ointment)、軟膏(salve)またはゲル、などであってよい。
【0152】
本発明のSHIP1モジュレーターおよび医薬組成物の治療有効量または予防有効量は、がん(腫瘍性疾患)、他の細胞増殖性疾患、炎症性疾患および免疫疾患の治療または予防を必要とする患者に投与することができる。腫瘍性疾患として、白血病、癌腫、肉腫、黒色腫、神経芽細胞腫、毛細血管漏出症候群および血液悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されるものではない。炎症性要素を有する疾患として、関節リウマチ、多発性硬化症、ギランバレー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸症候群、乾癬、移植片対宿主病、宿主対移植片、紅斑性狼瘡、アルツハイマー病およびインスリン依存性糖尿病が挙げられるが、これらに限定されるものではない。細網内皮性系列のマクロファージ関連細胞の不適切な活性化に関連する疾患として、骨粗鬆症が挙げられる。
【0153】
式I〜VIIIで示される構造式を有するペロロールおよびその他の化合物は、SHIP1アゴニスト活性を示す。SHIP1を活性化することによって、このようなアゴニストは、敗血症/敗血症性ショック、大腸炎、炎症性腸症候群およびマクロファージ増殖または活性化が関与する疾患などの炎症性疾患の治療において;骨髄性およびリンパ性白血病などの腫瘍性疾患の治療において;移植片拒絶などの免疫抑制剤として;造血障害;およびアレルギーの治療または予防といったような肥満細胞変性に影響を及ぼすために、特に有用である。
【0154】
下記の実施例および図面において、用語「化合物#」、「MN#」「AQXMN#」および「AQX−MN#」はすべて、同意義である。例えば、「化合物100」は、「MN100」と同じであり、「AQXMN100」と同じであり、「AQX−MN100」と同じである。
【実施例】
【0155】
実施例1−化合物100の合成
【化21】

Kuchkova et al;Synthesis、1997、1045にしたがって、ドリマン−8α,11−ジオールを調製した。
Chan et al; J. Med. Chem. (2001), 44, 1866にしたがって、ブロモメトキシトルエン(2)を調製した。
【0156】
アルデヒド(1)の製造
ドリマン−8α,11−ジオール(17.5g、72.8mmol)を1LのCH2Cl2に溶解する。ジイソプロピルエチルアミン(50.7mL、291.2mmol)を加え、溶液を−15℃に冷却する。DMSO(250mL)中のPyr−SO3(46.3g、291.2mmol)の溶液を20分間にわたって滴下し、次いで反応物をさらに5分間冷却して撹拌した。冷反応物に1MHCl(500mL)を加え、有機層を分配した。水層を追加の200mLのCH2Cl2で洗浄した。次いで、プールした有機層を飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により精製して、10.5gのアルデヒド(1)(44.1mmol、収率60.1%)を白色半固体として得た。
【0157】
ジオール(3)の製造
ブロモメトキシトルエン(2)(3.64g、18.29mmol)をアルゴン雰囲気下、35mLの無水THFに溶解した。この溶液を−78℃に冷却し、tBμLi(21.5mL、36.6mmol)をシリンジにより滴下した。溶液を−78℃にて10分間撹拌し、次いで、室温に20分間温める。溶液を−78℃に再冷却し、6mLの無水THF中のアルデヒド(1)(1.45g、6.09mmol)の溶液をシリンジにより加えた。溶液を−78℃にて2時間撹拌した後、1MHClを加えて反応を停止した。EtOAc(100mL)を加え、有機相を1MHCl、次いで、飽和NaHCO3で洗浄した。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。粗反応混合物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により精製して、ジオール(3)を得た(1.94g、88.5%収率)。
1H NMR(CDCl3)δ0.34(td、J= 13.3、3.6 Hz、1H)、0.77(s、3H)、0.82(s、3H)、0.90(m、1H)、0.97(td、13.5、3.6 Hz、1H)、1.02(s、3H)、1.13(m、1H)。1.16(m、1H)、1.23(m、1H)1.33(m、1H)、1.40(m、1H)、1.54(s、3H)、1.56(m、1H)、1.63(m、1H)、1.84(dt、12.2、3.3Hz、1H)、2.12(d、8.1Hz、1H)、2.33(s、3H)、3.79(s、3H)、4.79(d、8.1Hz、1H)、6.61(s、1H)、6.78(s、1H)、6.85(s、1H)。
13C NMR(CDCl3)δ 15.9、18.3、19.8、21.50、21.53、26.1、33.2、33.5、38.6、40.8、41.3、44.0、55.1、55.8、62.84、62.85、76.0、110.5、113.6、120.7、139.8、149.0、159.7
HRESIMS:計算値C32H36O3Na 383.2562、実測値383.2563
【0158】
キサントゲン酸塩(4)の製造
ジオール(3)(1.94g、5.39mmol)をアルゴン雰囲気下、20mLの無水THFに溶解した。この溶液に、NaH(237mg、油中60%、5.93mmol)を加えた。次いで、溶液が透明なオレンジ色になるまで、反応物を50℃に加熱した。反応物を0℃に冷却し、CS2(1mL、16.6mmol)を加えた。溶液を0℃にて20分間撹拌し、次いで、さらに20分間室温に温めた後、MeI(1mL、16.6mmol)を加えた。反応物を室温にて1時間撹拌し、次いで、濃縮乾固した。粗混合物をEtOAcに溶解し、3xH2Oで洗浄した。有機溶液を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮して、キサントゲン酸塩(4)およびフラグメンテーション生成物であるケトン(約4:1)の混合物を得た。生成混合物をさらに生成することなく次のステップに用いた。
1H NMR(CDCl3)δ0.56(td、12.9、3.5Hz、1H)、0.77(s、3H)、0.80(s、3H)、0.87(dd、12.2、2.4 Hz、1H)、0.99(dt 13.6、3.8Hz、1H)、1.02(s、3H)、1.28(m、1H)、1.31(m、1H)、1.34(m、1H)、1.45(m、1H)、1.50(s、3H)、1.55(m、1H)、1.65(m、1H)、1.75(m、1H)、1.78(m、1H)、1.81(m、1H)、2.18(d、5.2 Hz 1H)、2.28(s、3H)、2.38(s、3H)、3.75(s、3H)、5.18(d、5.2Hz、1H)、6.5(s、1H)、6.7(s、1H)、6.8(s、1H)
13C NMR(CDCl3)δ 13.0、15.9、18.3、20.2、21.3、21.6、26.3、33.26、33.30、40.2、41.0、41.3、46.0、46.8、55.0、55.9、65.1、74.2、110.9、112.3、120.9、139.5、149.9、159.4、189.7
HRESIMS:計算値C25H38O3S2Na 473.2160、実測値473.2159
【0159】
アルコール(5)の製造
キサントゲン酸塩(4)およびケトンを50mLのトルエンに粗混合物として溶解し、アルゴン雰囲気下に置いた。Bu3SnH(2.9mL、10.78mmol)を加え、溶液を加熱した。還流するときに、触媒量のVAZO(1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル))(約50mg)を冷却器の頂部から加えた。溶液を1時間還流し、次いで、追加のVAZOを加える(約50mg)。溶液をさらに45分間還流した後、TLC分析(20%EtOAc:ヘキサン)は、反応の完了を示す。反応物を冷却し、次いで、濃縮乾固した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、アルコール(5)(1.12g、3.23mmol、60%収率、2ステップ)を白色泡状物で得た。
1H NMR(CDCl3)δ0.78(s、3H)、0.85(s、3H)、0.87(s、3H)、0.90(m、1H)、0.93(m、1H)、0.96(m、1H)、1.09(td、13.3、3.9Hz、1H)、1.25(s、3H)、1.31(m、1H)、1.35(m、1H)、1.39(m、1H)、1.43(m、1H)、1.54(m、1H)、1.64(m、1H)、1.70(m、1H)、1.84(dt、12.4、3.1Hz、1H)、2.27(s、3H)、2.60(dd、14.7、4.5Hz、1H)、2.70(dd、14.7、5.9Hz、1H)、3.75(s、3H)、6.49(s、1H)、6.63(s、1H)、6.68(s、1H)
13C NMR(CDCl3)δ 15.4、18.4、20.2、21.4、21.5、24.5、31.2、33.2、33.3、39.1、40.3、41.7、44.0、55.0、56.0、63.0、74.1、111.3、111.9、122.1、139.2、145.9、159.5
HRESIMS:計算値C23H36O2Na 367.2613、実測値367.2615
【0160】
四環化合物(6)の製造
アルコール(5)(1.12g、3,23mmol)を10mLのCH2Cl2に溶解し、0℃に冷却した。この溶液に、SnCl4(1mL)原液を加えた。次いで、オレンジ色の溶液を0℃にて1時間撹拌し、次いで、MeOHを加えて反応を停止した。反応物をEtOAcに抽出し、2x飽和NaHCO3で洗浄した。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮して、四環化合物(6)(1.05g、3.20mmol、99%収率)を得た。この化合物をさらに精製することなく用いた。
1H NMR(CDCl3)δ0.86(s、6H)、0.98(m、1H)、1.02(s、3H)、1.06(s、3H)、1.17(td、13.5、4.2Hz、1H)、1.24(m、1H)、1.40(m、2H)、1.54(m、2H)、1.71(m、4H)、2.27(s、3H)、2.34(m、1H)、2.49(dd、14.5、6.2Hz、1H)、2.60(m、1H)、3.74(s、3H)、6.41(s、1H)、6.62(s、1H)
13C NMR(CDCl3)δ 15.7、17.9、18.6、19.1、19.9、20.7、28.6、32.6、32.9、36.5、37.9、38.5、39.7、42.1、54.8、56.7、64.2、107.9、113.4、117.9、132.5、143.8、157.3
HRESIMS:計算値C23H35O [M+H]+ 327.2688、実測値327.2685
【0161】
化合物100(7)の製造
四環化合物(6)(1.05g、3.20mmol)を15mLのDCMに溶解した。この溶液に、BBr3(1.0M DCM溶液)(3.20mL、3.20mmol)の溶液を加えた。溶液を室温にて2時間撹拌し、次いで、濃縮乾固した。褐色残渣をEtOAcに溶解し、次いで、水層のpHが中性になるまで、水で洗浄した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、化合物100(7)(931mg、2.98mmol、93%収率)を白色固体として得た。
1H NMR(CDCl3)δ0.88(s、6H)、0.97(m、1H)、1.00(m、1H)、1.04(s、3H)、1.07(s、3H)、1.18(td、13.2、4.2Hz、1H)、1.42(m、1H)、1.43(m、1H)、1.53(m、1H)、1.58(m、1H)、1.71(m、1H)、1.73(m、1H)、1.74(m、1H)、1.75(m、1H)、2.26(s、3H)、2.35(dt、11.7、3.0Hz、1H)、2.48(dd、14.35、6.44Hz、1H)、2.59(m、1H)、6.36(d、1.9Hz、1H)、6.55(d、1.9Hz、1H)
13C NMR(CDCl3)δ16.1、18.3、18.8、19.6、20.4、21.1、29.0、33.1、33.4、37.0、39.0、40.1、42.6、47.1、57.1、64.5、109.9、115.1、133.1、144.2、144.7、153.5
HRESIMS:計算値C22H33O [M+H]+ 313.2531、実測値313.2526
【0162】
実施例2−化合物124および化合物125の合成
【化22】

化合物124および化合物125の製造のための実験
【0163】
12の製造
ブロミド2(1.41g、7.09mmol)をアルゴン雰囲気下、30mlの無水THFに溶解し、−78℃に冷却した。tBμLi(8.3ml、1.7Mペンタン溶液、14.2mmol)を10分間にわたって加え、溶液を室温に温める。15分後、溶液を−78℃に再冷却し、さらに30分間攪拌した。次いで、冷溶液に、8mLの無水THF中のエナール11(521mg、2.36mmol)の溶液を加え、反応物を−78℃にて30分間撹拌した。次いで、1MHClを加え、反応物を室温に温める。粗生成物をEtOAcに抽出し、飽和NaHCO3で洗浄した。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。粗化合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、アルコール12(451mg、1.32mmol、56%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ0.88(s、3H)、0.91(s、3H)、1.12(s、3H)、1.17(m、1H)、1.20(m、1H)、1.27(s、3H)、1.34(td、12.9、3.5 Hz、1H)、1.41−1.75(m、6H)、2.01(m、2H)、2.31(s、3H)、3.77(s、3H)、5.33(s、1H)、6.55(s、1H)、6.75(s、1H)、6.83(s、1H)
13C NMR(CDCl3)δ18.9、19.1、20.4、21.5、21.7、21.8、33.3、33.4、34.8、37.1、38.9、41.5、52.5、55.1、69.6、108.4、111.7、118.5、133.3、138.9、143.4、147.6、159.6
HRESIMS:計算値C23H34O2Na 365.2457、実測値365.2458
【0164】
13および14の製造
アルコール12(450mg、1.32mmol)をアルゴン雰囲気下、10mLのCH2Cl2に溶解し、−78℃に冷却した。SnCl4(1mL)を加え、得られる黄色溶液を15分間撹拌した。冷溶液に1MHClを加え、混合物を放置して室温まで温める。層を分離し、有機相を2xH2Oで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、13および14(284mg、0.88mmol、67%収率)を1:1混合物で得た。
【0165】
15および16の製造
エピマー15および16の1:1混合物(84mg)を5mLの1:1MeOH:DMFに溶解した。10%Pd/C(32mg)を加え、スラリーをH2で飽和させる。水素バルーン下で溶液を16時間撹拌した後、固体触媒を濾去し、EtOAcで洗浄した。有機相を3xH2Oで洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮して、15および16(80mg、95%収率)を1:1混合物で得た。
【0166】
化合物124および化合物125の製造
15および16の1:1混合物(80mg、0.24mmol)を0.5mLのCH2Cl2に溶解した。BBr3(2mL、1M(CH2Cl2中)、2.0mmol)を加え、溶液を室温にて15分間撹拌した。反応物にMeOHをゆっくりと加えて反応を停止し、粗反応混合物を減圧濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、化合物124および化合物125の1:1混合物を得た。トルエンからの冷却により混合物から化合物124を部分的に結晶化させる。
1H NMR(CDCl3)δ0.87(s、3H)、0.89(s、3H)、1.20(m、2H)、1.25(s、3H)、1.30−1.45(m、7H)、1.62(s、3H)、1.70(m、1H)、1.85(dd、12.0、8.4Hz、1H)、2.01(m、1H)、2.33(s、3H)、2.73(dd、15.5、8.3Hz、1H)、2.78(m、1H)、4.51(s、1H)、6.39(s、1H)、6.50(s、1H)
13C NMR(CDCl3)δ17.9、19.7、21.5、24.1、25.8、32.5、33.1、33.5、36.1、36.2、37.9、41.9、46.4、47.5、61.9、108.4、115.8、133.9、142.4、143.3、153.2
HRESIMS:計算値C22H33O [M+H]+ 313.2531、実測値313.2533
【0167】
富化された残りからの化合物125をCH3CNから部分的に結晶化させる。
1H NMR(CDCl3)δ0.47(s、3H)、0.80(s、3H)、0.89(s、3H)、0.90(m、1H)、1.00(dd、11.3、4.4 Hz、1H)、1.17(m、1H)、1.18(s、3H)、1.29(m、1H)、1.40(m、2H)、1.52(m、1H)、1.62(m、1H)、1.70(m、2H)、2.33(s、3H)、2.52(dt、14.4、5.5Hz、1H)、2.62(d、16.9Hz、1H)、2.97(dd、16.9、8.0Hz、1H)、4.52(s、1H)、6.35(s、1H)、6.47(s、1H)
13C NMR(CDCl3)δ15.2、18.0、19.1、19.5、21.4、30.5、31.7、32.8、32.9、34.3、36.9、40.7、41.7、47.7、52.0、62.1、108.3、115.3、133.2、140.7、145.6、153.4
HRESIMS:計算値C22H33O [M+H]+ 313.2531、実測値313.2533
【0168】
実施例3−化合物105の合成:
【化23】

化合物105の製造のための実験
化合物100(7)、(60.4mg、0.193mmol)、Nα−Boc−Nδ,Nω−ジ−Z−L−Arg−OH(157.3mg、0.290mmol)およびDMAP(約2mg)を3mLのCH2Cl2で合わせる。DIPCを加え、溶液を室温にて撹拌2時間した。反応物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、8を白色泡状物として得た。
1H NMR(CDCl3)δ0.86(s、6H)、0.96(s、2H)、1.01(s、3H)、1.05(s、3H)、1.17(m、1H)、1.39(m、1H)、1.43(s、9H)、1.50(m、1H)、1.58(m、1H)、1.70(m、2H)、1.73(m、2H)、1.78(m、2H)、1.92(m、1H)、2.25(s、3H)、2.32(m、1H)、2.47(dd、14.6、6.1Hz、1H)、2.58(m、1H)、4.04(m、2H)、4.47(s、br、1H)、5.12(s、2H)、5.22(2H)、6.52(s、1H)、6.70(s、1H)、7.27(m、3H)、7.35(m、7H)、9.24(s、br、1H)、9.45(s、br、1H)
13C NMR(CDCl3)δ14.1、16.0、18.2、18.7、19.4、20.0、20.9、21.0、24.9、28.2(3C)、28.8、29.3、32.9、33.2、36.9、38.5、40.0、42.4、44.1、47.3、53.4、56.9、60.2、64.2、66.9、68.8、79.7、115.5、120.8、127.60、127.62、128.2、128.3(2C)、128.7(2C)、132.9、134.6、136.8、144.3、148.1、149.3、155.3、155.7、160.4、163.7、171.5
HRESIMS:計算値C49H65N4O8 [M+H]+ 837.4802、実測値837.4805
【0169】
化合物105の製造
化合物8を3mLの70%TFA/CH2Cl2に溶解し、1時間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発し、得られる残渣をトルエンに再溶解し、濃縮乾固した。次いで、得られる固体を15mLのMeOHに溶解し、100mgのPd/C(10%wt)を加えた。溶液をH2で飽和させ、水素バルーン下で一夜撹拌した。Pd/Cを濾去し、溶液を濃縮乾固した。得られる固体を10mLのH2Oに溶解し、50μLの1MHClを加えた。5分間撹拌した後、溶液を凍結乾燥して、化合物105を白色粉末で得た。
1H NMR(CD3OD)δ0.86(s、3H)、0.87(s、3H)、1.01(m、2H)、1.05(s、3H)、1.08(s、3H)、1.19(td、13.9、4.2Hz、1H)、1.41(m、2H)、1.52(m、1H)、1.66(m、2H)、1.72(m、4H)、1.85(m、2H)、2.13(m、2H)、2.28(s、3H)、2.39(m、1H)、2.51(dd、14.6、6.1Hz、1H)、2.64(m、1H)、4.33(t、6.3Hz、1H)、6.64(s、1H)、6.83(s、1H)
13C NMR(CD3OD)δ16.7、19.1、19.3、20.5、20.6、21.5、25.7、28.7、29.8、33.9、34.0、38.2、40.0、41.3、41.6、43.7、48.7、53.7、58.3、66.0、116.5、121.9、134.5、145.8、149.2、151.3、158.8、169.4
HRESIMS:計算値C28H45N4O2 [M+H]+ 469.3543、実測値469.3540
【0170】
実施例4−化合物106の合成:
【化24】

化合物106の製造のための実験:
化合物100(7)(41.7mg、0.133mmol)を4mLのDMFに溶解した。K2CO3(37mg、0.266mmol)を加え、溶液を10分間撹拌した。Boc−Lys(Boc)−OSu(115.3mg、0.266mmol)を加え、溶液を室温にて18時間撹拌した。反応物をEtOAcに抽出し、3xH2Oで洗浄した。有機相を乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(23)(80.6mg、0.126mmol、95%収率)を白色泡状物として得た。
【0171】
この泡状物を2mLのCH2Cl2に溶解し、TFA(2mL)を加えた。溶液を室温にて2時間撹拌し、次いで、濃縮乾固した。トルエン(3mL)を加え、溶液を再度濃縮乾固した。得られる残渣を5mLのH2Oに溶解し、100μLの1MHClを加えた。次いで、水溶液を0.22μmのシリンジフィルターで濾過し、凍結乾燥して、化合物106−2HClを白色粉末で得た。
1H NMR(CD3OD)δ0.82(s、3H)、0.83(s、3H)、0.96(m、2H)、1.01(s、3H)、1.04(s、3H)、1.16(td、13.5、4.5Hz、1H)、1.36(m、2H)、1.50(m、1H)、1.59(m、3H)、1.69(m、5H)、2.04(m、2H)、2.24(s、3H)、2.36(m、1H)、2.48(dd、14.7、6.2Hz、1H)、2.60(m、1H)、2.92(m、2H)、3.23(m、1H)、4.23(m、1H)、6.58(s、1H)、6.76(s、1H)
13C NMR(CD3OD)δ16.7、19.0、19.4、20.5、20.7、21.5、23.3、28.1、29.8、31.1、33.8、34.0、38.3、40.1、40.3、41.4、43.7、53.9、58.4、66.1、116.5、121.9、134.5、145.9、149.3、151.4、169.4
HRESIMS:計算値C28H45N2O2 [M+H]+ 441.3481、実測値441.3484
【0172】
実施例5−化合物108の合成:
【化25】

化合物108の合成のための実験:
化合物100(7:12.1mg、0.039mmol)を1mLのCH2Cl2に溶解した。DMAP(約1mg)、次いで、ブロモアセチルブロミド(5.1μL、0.059mmol)を加え、反応物を一夜撹拌した。反応物を濃縮し、次いでフラッシュクロマトグラフィーに付して、ブロミド(9)(12.9mg、0.030mmol、77%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ0.86(s、6H)、0.97(m、1H)、1.02(s、3H)、1.07(s、3H)、1.18(td、13.5、4.5Hz、1H)、1.25(s、1H)、1.41(m、2H)、1.52(m、1H)、1.60(m、1H)、1.71(m、2H)、1.77(m、2H)、2.29(s、3H)、2.35(m、1H)、2.52(dd、14.6、6.1Hz、1H)、2.62(m、1H)、4.00(s、2H)、6.59(s、1H)、6.78(s、1H)
13C NMR(CDCl3)δ16.1、18.3、18.9、19.5、20.1、21.1、25.7、28.9、33.1、33.3、37.0、38.6、40.1、42.5、47.4 57.0、64.3、115.3、120.6、133.2、144.6、148.1、149.8、166.2
HRESIMS:計算値C24H33O279BrNa 455.1562、実測値455.1550
HRESIMS:計算値C24H33O281BrNa 457.1541、実測値457.1522
【0173】
ブロミド9(6.06 g、11 mmol)を、アセトニトリル(90mL)中のHS−PEG(35 g、MW 6000)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.7mL)の溶液に、窒素下0℃にて30分間にわたって少しずつ加えた。添加後、氷浴を除去し、混合物を放置して室温に温める。3〜4時間後、2−プロパノール(1200mL)を30分間にわたって加えた。さらに1.5時間後、得られる固体をブブナー漏斗上に集め、2X150mLの2−プロパノールで洗浄した。次いで、得られるケーキを0.5%iPr2NEtを含むアセトニトリル(80mL)に、0−5℃にて溶解し、2−プロパノール(1000mL)を加えることにより沈澱させる。得られる固体を集め、2−プロパノールで洗浄し、減圧乾燥して、化合物108を得た。
【0174】
実施例6−化合物109の合成
【化26】

化合物109の合成のための実験:
一般的な手順:Steinberg、G.M.J.Org.Chem.(1950)、15、637。
特異的チロシンリン酸化;Gibson、B.Wら、J.Am.Chem.Soc.(1987)、109、5343。
【0175】
化合物100(7)(250mg、0.80mmol)をテトラゾール/MeCN溶液(18mL、8.1mmol)中でスラリー化した。溶液が透明になるまでTHFを加える(約10mL)。この溶液に、ジベンジルN,N−ジエチルホスホルアミダイト(1.0g、85%、2.7mmol)を加え、反応物を室温にて1時間撹拌した。次いで、溶液に10mLのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%H2O溶液)を加え、溶液をさらに30分間激しく撹拌した。反応混合物をEtOAcに抽出し、1xNa225、1x1MHCl、次いで、飽和NaHCO3で洗浄した。有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、10を得た(280mg、0.49mmol、61%収率)。
1H NMR(CDCl3)δ0.88(s、6H)、0.96(m、1H)、0.99(m、1H)、1.03(s、3H)、1.06(s、3H)、1.19(m、1H)、1.26(m、1H)、1.43(m、2H)、1.53(m、1H)、1.60(m、1H)、1.72(m、3H)、2.24(s、3H)、2.33(m、1H)、2.47(dd、14.6、6.3Hz、1H)、2.58(m、1H)、5.11(s、2H)、5.13(s、2H)、6.64(s、1H)、6.84(s、1H)、7.33(s、10H)
13C NMR(CDCl3)δ16.0、18.2、18.7、19.4、20.1、21.0、28.8、32.9、33.3、36.9、38.6、40.0、42.4、47.2、56.9、64.3、69.6、69.7、114.3、114.4、119.7、119.8、127.9、128.4、133.1、135.5、135.6、144.5、148.0、148.1、148.5
HRESIMS:計算値C36H46O4P [M+H]+ 573.3134、実測値573.3117
【0176】
化合物109の製造
化合物10(280mg、0.49mmol)をMeOH(8mL)に溶解し、10%Pd/Cを加える(30mg)。溶液をH2で飽和させ、室温にて18時間撹拌した。次いで、反応物を0.45μm膜で濾過し、濃縮乾固して、化合物109を白色粉末で得た(150mg、0.38mmol、78%収率)。
1H NMR(CD3OD)δ0.83(s、6H)、0.93(m、2H)、1.00(s、6H)、1.14(m、1H)、1.35(m、1H)、1.38(m、1H)、1.48(m、1H)、1.65(m、5H)、2.21(s、3H)、2.31(m、1H)、2.41(dd、14.5、6.0Hz、1H)、2.55(m、1H)、6.64(s、1H)、6.82(s、1H)
13C NMR(CD3OD)δ16.7、19.2、19.4、20.7、21.6、29.8、33.9、34.0、38.2、40.1、41.3、43.7、48.5、49.8、58.4、66.0、115.8、121.3、134.1、145.4、149.1、150.4
HRESIMS:計算値C22H33O4NaP 415.2014、実測値415.2028
【0177】
実施例7−化合物103および化合物108の合成
【化27】

Kuchkovaら;Synthesis、1997、1045にしたがって、ドリマン−8α,11−ジオールを製造した。
Chanら;J.Med.Chem.44、1866にしたがって、ブロモメトキシトルエン(2を製造した。
【0178】
アルデヒド(1)の製造
ドリマン−8α,11−ジオール(17.5g、72.8mmol)を1LのCH2Cl2に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(50.7mL、291.2mmol)を加え、溶液を−15℃に冷却した。DMSO(250mL)中のPyr−SO3(46.3g、291.2mmol)の溶液を、20分間にわたって滴下し、次いで、反応物を冷却してさらに5分間撹拌した。冷反応物に、1MHCl(500mL)を加え、有機層を分配した。水層をさらに200mLのCH2Cl2で洗浄した。次いで、プールした有機層を飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により精製して、10.5gのアルデヒド(1)を白色半固体として得た(44.1mmol、60.1%収率)。
【0179】
ジオール(3)の製造
アルゴン雰囲気下、ブロモメトキシトルエン(2)(3.64g、18.29mmol)を35mLの無水THFに溶解した。この溶液を−78℃に冷却し、tBμLi(21.5mL、36.6mmol)をシリンジにより滴下した。次いで、溶液を−78℃にて10分間撹拌し、20分間室温に温める。溶液を−78℃に再冷却し、6mLの無水THF中のアルデヒド(1)(1.45g、6.09mmol)の溶液をシリンジにより加えた。溶液を−78℃にて2時間撹拌した後、1MHClを加えて反応を停止した。EtOAc(100mL)を加え、有機相を1MHCl、次いで、飽和NaHCO3で洗浄した。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。粗反応混合物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により精製して、ジオール(3)をジアステレオマー混合物で得た(1.94g、88.5%収率)。
【0180】
キサントゲン酸塩(4)の製造
アルゴン雰囲気下、ジオール(3)(1.94g、5.39mmol)を20mLの無水THFに溶解した。この溶液に、NaH(237mg、油中60%、5.93mmol)を加えた。次いで、溶液が透明なオレンジ色になるまで、反応物を50℃に加熱した。反応物を0℃に冷却し、CS2(1mL、16.6mmol)を加えた。溶液を0℃にて20分間撹拌し、次いで、さらに20分間室温に温めた後、MeI(1mL、16.6mmol)を加えた。反応物を室温にて1時間撹拌し、次いで、濃縮乾固した。粗混合物をEtOAcに溶解し、3xH2Oで洗浄した。有機溶液を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮して、キサントゲン酸塩(4)およびフラグメンテーション生成物、ケトン(12)の混合物(約4:1)を得た。この生成物混合物をさらに精製することなく次工程に用いた。
【0181】
アルコール(5)の製造
キサントゲン酸塩(4)およびケトン(12)を粗混合物として50mLのトルエンに溶解し、アルゴン雰囲気下に置いた。Bu3SnH(2.9mL、10.78mmol)を加え、溶液を加熱した。還流するときに、触媒量のVAZO(1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル))(約50mg)を冷却器の頂部から加えた。溶液を1時間還流し、次いで、追加のVAZOを加える(約50mg)。溶液をさらに45分間還流した後、TLC分析(20%EtOAc:ヘキサン)は、反応の完了を示す。反応物を冷却し、次いで、濃縮乾固した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、アルコール(5)(1.12g、3.23mmol、60%収率、2ステップ)を白色泡状物で得た。
【0182】
四環化合物(6)の製造
アルコール(5)(1.12g、3,23mmol)を10mLのCH2Cl2に溶解し、0℃に冷却した。この溶液に、SnCl4(1mL)原液を加えた。次いで、オレンジ色の溶液を0℃にて1時間撹拌し、次いで、MeOHを加えて反応を停止した。反応物をEtOAcに抽出し、2x飽和NaHCOで洗浄する3。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮して、四環化合物(6)(1.05g、3.20mmol、99%収率)を得た。この化合物をさらに精製することなく用いた。
【0183】
化合物100(7)の製造
四環化合物(6)(1.05g、3.20mmol)を15mLのDCMに溶解した。この溶液に、BBr3(1.0M DCM溶液)(3.20mL、3.20mmol)の溶液を加えた。溶液を室温にて2時間撹拌し、次いで、濃縮乾固した。褐色残渣をEtOAcに溶解し、次いで、水層のpHが中性になるまで、水で洗浄した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、化合物100(7)(931mg、2.98mmol、93%収率)を白色固体として得た。
【0184】
グリシンプロドラッグ(9)の製造
化合物100(7)(36.1mg、0.116mmol)、Boc−Gly−OH(30.5mg、0.174mmol)、DMAP(約2mg)を1mLのCH2Cl2中で合わせた。1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(27μL、0.174mmol)を加え、溶液を室温にて2時間撹拌した。次いで、反応物をフラッシュクロマトグラフィーに直接付して、白色泡状物(9)を得た。この化合物を50%TFA/CH2Cl2に1時間溶解した。溶液を濃縮し、トルエンに再溶解し、濃縮乾固した。Et2O(15mL)を加え、均質固体として沈澱するまで化合物をトリチュレートした。混合物を遠心分離し、次いで、固体をEt2Oで洗浄して、プロドラッグ(9)をTFA塩で得た(44.5mg、0.092mmol、80%収率)。
【0185】
PEG化プロドラッグ(化合物108)の製造
アセトニトリル中の(7)(43.0g、100mmol)の溶液に、α−ブロモ酢酸(19.46g、140mmol)およびDMAP(610mg、5 mmol)を0℃にて加えた。次いで、反応混合物を、アセトニトリル(200mL)中のDCC(29.87 g、145 mmol)の溶液を30分間にわたって滴下して処理し、次いで、0℃にて2.5時間撹拌した。形成した白色固体を濾去し、アセトニトリル(2X100mL)で洗浄した。次いで、合わせたアセトニトリル洗液にH2O(4000mL)を15分間にわたって加えた。さらに15分間撹拌した後、得られる固体を集め、H2O(2 X 250ml)およびIPA(2 X 200mL)で洗浄し、次いで、減圧乾燥した。集めた白色固体(6.06 g、11 mmol)を、アセトニトリル(90mL)中のHS−PEG(35 g、MW 6000)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.7mL)の溶液に、窒素下0℃にて30分間にわたって少しずつ加えた。添加後、氷浴を除去し、混合物を放置して室温に温めた。3〜4時間後、2−プロパノール(1200mL)を30分間にわたって加えた。さらに1.5時間後、得られる固体をブブナー漏斗上に集め、2X150mLの2−プロパノールで洗浄した。次いで、得られるケーキを0.5%iPr2NEtを含むアセトニトリル(80mL)に、0〜5℃にて溶解し、2−プロパノール(1000mL)を加えることにより沈澱させる。得られる固体を集め、2−プロパノールで洗浄し、減圧乾燥して、化合物108を得た。
【0186】
実施例8−化合物102、化合物103および化合物104の合成
【化28】

【0187】
実施例9−化合物103は、化合物100よりもTNFアルファ産生を阻害する
化合物100と比較した化合物103によるTNFα生成の相対的阻害を決定するためのアッセイを以下のとおり行った。
J774.1マクロファージ細胞を、2X105細胞/ウエルで24ウエルプレートに播く。次の日、培地を交換し、化合物100、化合物103またはシクロデキストリン担体を所定の濃度でウエルに加えた30分後、細胞を2ng/mLのリポ多糖(LPS)で刺激した。マクロファージのLPS活性化が、培養上清中に検出することができ、ELISAによって定量することができるTNFアルファの産生をもたらす。結果を図1にグラフで示す。
【0188】
実施例10−化合物106は、マクロファージTNFα産生を阻害する
化合物106の濃度を変化させることによるマクロファージTNFαの阻害を決定するためのアッセイを以下のとおり行った。
J2Mマクロファージ細胞を、2X105細胞/ウエルで24ウエルプレートに播く。次の日、培地を交換し、化合物106またはPBS担体を所定の濃度でウエルに加えた30分後、細胞を2ng/mLのリポ多糖(LPS)で刺激した。マクロファージのLPS活性化が、培養上清中に検出することができ、ELISAによって定量することができるTNFアルファの産生をもたらす。結果を図2にグラフで示す。
【0189】
実施例11−化合物106は、肥満細胞におけるカルシウム流入を阻害する
化合物106による肥満細胞におけるカルシウム流入の阻害を決定するためのアッセイを以下のとおり行った。
IgE受容体架橋による肥満細胞の活性化は、該細胞へのカルシウムの流入、それに続く脱顆粒および炎症促進性メディエーターの分泌をもたらす。骨髄由来肥満細胞を蛍光カルシウムインジケーター色素Fura−2とともにロードした後、化合物106またはPBS担体で1時間処理した。次いで、IgE受容体を架橋するために、細胞を抗IgE抗体で刺激するか、または刺激しない。次いで、蛍光法により、カルシウム流入をモニターした。結果を図3にグラフで示す。
【0190】
実施例12−化合物108は、TNFα産生を野生型(WT)マクロファージにおいて阻害するが、ノックアウト(KO)マクロファージにおいては阻害しない
野生型(WT)またはSHIPノックアウト(KO)マウスから単離される腹腔マクロファージを、CSF−1含有培地を入れた24ウエルプレートに播く。次の日、培地を交換し、化合物106またはPBS担体を所定の濃度でウエルに加えた60分後、細胞を2ng/mLのリポ多糖(LPS)で刺激した。マクロファージのLPS活性化が、培養上清中に検出することができ、ELISAによって定量することができるTNFアルファの産生をもたらす。結果を図4にグラフで示す。
【0191】
実施例13−SHIPモジュレーターおよびそのプロドラッグのアッセイスクリーニング
種々のことなるSHIP調節化合物およびそのプロドラッグを、種々の異なるアッセイにおいて試験した。
アッセイ1)SHIP酵素アッセイにおけるインビトロ試験
試験化合物を適当な溶媒に溶解し、水性緩衝液(20 mM Tris HCl、pH 7.5および10 mM MgCl2)で希釈した。ウエル当たり10ngの酵素を入れ、20 mM Tris HCl、pH 7.5および10 mM MgCl2で合計量25μLにした96ウエルマイクロタイタープレートにてSHIP酵素アッセイを行った。試験抽出物(溶媒中で提供)またはビークルとともにSHIP酵素を23℃にて15分間インキュベートした後、100μMイノシトール−1,3,4,5−テトラキスホスフェート(Echelon Biosciences Inc、ソルトレークシティ、ユタ)を加えた。37℃にて20分後、マラカイトグリーン試薬の添加および650nmにての吸光度測定によって、放出された無機ホスフェートの量を評価した。
【0192】
アッセイ2)マクロファージTNF−α産生
J774.1aマクロファージ細胞を、溶媒(例えば、シクロデキストラン)に溶解した試験化合物10μg/mLで処理した40分後、100ng/mLのLPSを加えた。2時間および5時間後に培養上清を集め、ELISAによりTNF−α産生を測定した。
【0193】
アッセイ3)マクロファージTNF−αNOアッセイ
J774.1aマクロファージ細胞を、溶媒に溶解した試験化合物10μg/mLで処理した40分後、LPSを加えた。24時間後に培養上清を集め、グリース試薬を用いてNO濃度を測定した。
【0194】
アッセイ4)FcεRI架橋による肥満細胞の刺激
IL−3欠乏、0.1μg/mlの抗−DNPIgE(SPE−7、Sigma、オークビル、オンタリオ)添加BMMCに、肥満細胞を一夜プレロードした。カルシウム流を測定するために、細胞を、タイロード緩衝液中、23℃にて45分間、2μM fura 2−アセトキシメチルエステル(Molecular Probes、ユージーン、オレゴン)とともにインキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、試験化合物の存在下で30分間インキュベートした後、所定の濃度のDNP−ヒト血清アルブミン(DNP−HSA)で刺激した。上述の分光蛍光法により、カルシウム流入をモニターした。細胞内シグナリングの分析のために、上述の抗−DNPIgEで細胞をプレロードし、試験化合物で37℃にて30分間前処理し、20ng/mlのDNP−HSAで5分間刺激した。次いで、全細胞溶解液を調製し、ホスホ−PKB、ホスホ−p38MAPK、ホスホ−MAPK、Grb−2(Cell Signalling、ミシサーガ、オンタリオ)およびSHIP6について、免疫ブロット分析により分析した。
【0195】
アッセイ5)マウス急性皮膚アナフィラキシーモデル
マウスの剃毛した腹部に、アセトン中の25μLの0.5%ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)(Sigma、オークビル、オンタリオ)を2日間連続して皮膚適用することにより、6〜8週齢の老CD1マウス(ブリティッシュコロンビア大学動物施設、バンクーバー、ブリティッシュコロンビア)をハプテンDNPで免疫感作した。24時間後、試験物質(10μLの1:2DMSO:MeOHに溶解したもの)を右耳に塗り、ビークルコントロールを左耳に塗る。薬物適用の30分後、両方の耳にDNFBを適用して、肥満細胞脱顆粒を誘発した。6mmのパンチを耳から取り、続いて行う好中球ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の測定のために、ドライアイスで急速冷凍した。
【0196】
アッセイ6)マウス内毒血症モデル
6〜8週齢の老C57Bl6マウス(ヒト疾患コア施設のVCHRI哺乳動物モデル、バンクーバー、ブリティッシュコロンビア)に試験化合物を投与した30分後に、2mg/kgのLPS(大腸菌血清型0111:B4、Sigma、オークビル、オンタリオ)をIP注射した。2時間後に血液を採取し、血漿TNFαをELISAにより測定した。
【0197】
アッセイ7)インビトロ多発性骨髄腫(MM)アッセイ
試験化合物で処理したMM細胞系において、SHIPアクチベーターの腫瘍細胞生存を低減化する能力を評価した。種々の濃度の試験化合物を入れた200μLの培地中、1x105 細胞/mLの密度で、細胞系OPM1、OPM2、MM.1SおよびRPMI 8226を播き、第3日および第5日に、トリパンブルー排除により生存細胞数を測定した。種々の濃度の試験化合物を入れた250μLの培地中、1x106細胞/mLの密度で、細胞RPMI 8226およびU266系を播く。第4日に、各培養物の培地を、同じ濃度の試験化合物を含む新鮮な培地と交換した。第7日に、トリパンブルー排除により各培養物の生存細胞数を測定した。
【0198】
MM細胞系を、種々の濃度の試験化合物(および関連するシクロデキストランビークルコントロール)および実験においてポジティブコントロールとなるLY294002を加えた200μLの培地中に懸濁する3x104個の細胞を播いた96ウエルプレート中で培養した。24−48時間培養した後、最後の8時間に、1Ciの[3H]−チミジン(GE Healthcare、Baie D'Urfe、カナダ)を加えた。細胞を採取し、Wallacマイクロベータカウンター(Perkin−Elmer;ボストン、マサチューセッツ)を用いて、液体シンチレーション計数法で、DNA関連放射能を測定した。
【0199】
アッセイ8)インビボ多発性骨髄腫(MM)アッセイ
50μLの成長培地および50μLのマトリゲル・ベースメント・メンブラン・マトリックス(Becton Dickenson;ベドフォード、マサチューセッツ)に懸濁した3x106個のフシフェラーゼ発現OPM2細胞を、マウスの2個所に接種した。マウスの上部および下部脇腹に腫瘍を皮下注射した。2週間後、試験化合物またはコントロールビークルを皮下オイル徐放性製剤にて、3日毎に50mg/kgの用量で投与した。
【0200】
Xenogen IVIS 200で生物発光画像法を用いて腫瘍を測定した。マウスに、滅菌PBS中3.75mg/mLのD−ルシフェリン200μLの腹腔内注射を行った。次いで、イソフルオランでマウスを麻酔し、ルシフェリンの注射後15分で撮像した。Living Image(登録商標)を用いて、腫瘍サイズの定量を行った。
【0201】
種々の異なるSHIP化合物およびそのプロドラッグを上述のアッセイで試験し、結果を以下の表に量的に示す。ここで、「+」は、所望の活性についてポジティブな結果を示し、「−」は、所望の活性についてネガティブな結果を示し、「NT」は、試験していないことを示す。
【0202】
【表43】

【0203】
【表44】

【0204】
【表45】

【0205】
【表46】

【0206】
【表47】

【0207】
実施例14
化合物100またはAQX−016Aで処理したMM細胞系において、SHIPアクチベーターの腫瘍細胞生存を低減化する能力を評価した。種々の濃度の化合物100を入れた200μLの培地中、1x105細胞/mLの密度で、細胞系OPM1、OPM2、MM.1SおよびRPMI 8226を播き、第3日および第5日に、トリパンブルー排除により生存細胞数を測定した。種々の濃度のAQX−016Aを入れた250μLの培地中、1x106細胞/mLの密度で、細胞RPMI 8226およびU266系を播く。第4日に、各培養物の培地を、同じ濃度のAQX−016Aを含む新鮮な培地と交換した。第7日に、トリパンブルー排除により各培養物の生存細胞数を測定した。実験は、3回行った。化合物100は、AQX−016Aよりも低濃度でMM増殖を阻害した。結果を図5A、5Bおよび5Cにグラフで示す。
【0208】
実施例15
増殖(DNA合成)アッセイ
3H]−チミジンの細胞への取り込みを測定することにより、増殖を測定した。MM細胞系を、種々の濃度の化合物100またはAQX−016A(および関連するシクロデキストランビークルコントロール)および実験においてポジティブコントロールとなるLY294002を加えた200μLの培地中に懸濁する3x104個の細胞を播いた96ウエルプレート中で培養した。24−48時間培養した後、最後の8時間に、1Ciの[3H]−チミジン(GE Healthcare、Baie D'Urfe、カナダ)を加えた。プレートを凍結乾燥して(細胞溶解の支援でもある)、実験を終結させる。次いで、自動細胞採取機(TomTech;オレンジ、コネティカット)を用いて、ガラス繊維フィルター上に細胞を採取し、Wallacマイクロベータカウンター(Perkin−Elmer;ボストン、マサチューセッツ)を用いて、液体シンチレーション計数法で、DNA関連放射能を測定した。ウエルを3回セットし、データを平均+/−SEMとして表す。結果を図6A、6B、6Cおよび6Eにグラフで示す。
【0209】
実施例16
化合物の製剤化
SHIP酵素アッセイにおけるインビトロ試験のために、AQX−016Aおよび化合物100をEtOHに溶解し、水性緩衝液(20 mM Tris HCl、pH 7.5および10 mM MgCl2)で希釈した。沈澱した薬物を除去するために30分間14000Xgで高速遠心分離した後、280nm(両方の化合物についてのλmax)における光学密度によって、溶液中の薬物の実際の濃度を決定した。細胞を試験するために、化合物を担体シクロデキストリン(Cyclodex Technologies、ハイ・スプリングス、フロリダ)中に6mM(2mg/mL)で製剤化した。動物への経口投与のために、化合物を100%クレモフォアELの(Sigma−Aldrich Canada、オークビル、オンタリオ)に150mM(50mg/mL)で溶解した後、リン酸緩衝生理食塩水で6mMに希釈した。しかし、シクロデキストリン中にケージ化されるか、またはミセルのクレモフォアEL中に製剤化されたこれらの化合物は、水溶液中で非常に溶けやすく、シクロデキストリンおよびクレモフォアELの両方からの干渉のために、SHIP酵素アッセイにおいて用いることができない。
【0210】
組換えSHIP酵素およびSHIPC2ドメインの産生
N末端His6タグ付けSHIP酵素は、pME18S−His−SHIPプラスミドでの一過性トランスフェクションにより哺乳類293T細胞において発現し、Ni−キレートビーズクロマトグラフィー(Qiagen、ミシサーガ、オンタリオ)により95%以上の均一性に精製される。組換えSHIPC2ドメイン(725〜863アミノ酸残基)は、下記のように構築されたpET28C発現ベクターで形質転換された大腸菌において発現した。Ni−キレートビーズクロマトグラフィーにより細胞溶解液から精製された組換えタンパク質は、純度95%以上である。
【0211】
インビトロSHIP酵素アッセイ
ウエル当たり10ngの酵素を入れ、20mM TrisHCl、pH7.5および10mM MgCl2で合計量25μLにした96ウエルマイクロタイタープレートにてSHIP酵素アッセイを行った。試験抽出物(DMSO中で提供)またはビークルとともにSHIP酵素を23℃にて15分間インキュベートした後、100μMイノシトール−1、3、4、5−テトラキスホスフェート(Echelon Biosciences Inc、ソルトレークシティ、ユタ)を加えた。37℃にて20分後、マラカイトグリーン試薬の添加および650nmにての吸光度測定によって、放出された無機ホスフェートの量を評価した。SHIP2酵素を、Echelon Biosciences(ソルトレークシティ、ユタ)から購入し、インビトロ酵素アッセイにおいて等量のイノシトールホスファターゼ活性を用いた。酵素データを3回繰り返し+/−SEMの平均で表す。実験は、少なくとも3回行った(図7Aおよび7B)。
【0212】
化合物100は、低濃度でAQX−016Aと同じ生物活性がある
AQX−016Aが、SHIP--細胞よりもSHIP++細胞において活性が実質的に高いことは、AQX−016AがSHIPを特異的に標的化することを示した。しかし、AQX−016A内のカテコール部分の存在(図7A)は、カテコールがそれらの特異的タンパク質ポケット結合相互作用に無関係な活性を提示するので、潜在的に問題があった。例えば、カテコールは、金属に結合することができるか、または酸化されてオルトキノンになることができ、酸化還元反応を通じてタンパク質の共有修飾をもたらすことができる。AQX−016Aの非カテコールバージョンは、化合物100と命名された(Nodwell M.and Andersen RJ、投稿準備中)。AQX−016Aに類似した化合物100は、インビトロでSHIP酵素活性を増強した(図7Aおよび7B)。AQX−016Aのように、化合物100もまた、SHIP++マクロファージからのTNFα産生を選択的に阻害するが、SHIP--マクロファージからの産生は阻害しなかった(図7C)。阻害についてのEC50は、0.3〜0.6μMである。化合物100の経口投与もまた、マウス内毒血症モデルにおいて血漿TNFαレベルのLPS−誘発性上昇を効率的に阻害した(図7D)。
【0213】
実施例17
SHIP++およびSHIP--骨髄由来マクロファージおよび肥満細胞の産生
4〜8週齢の老C57Bl6x129Sv混合バックグラウンドマウスおよび前述のとおり製造されたSHIP++およびSHIP--肥満細胞から、骨髄細胞を吸引した。SHIP++およびSHIP--マウスからの骨髄由来マクロファージを得、10%FCS、150μM MTG、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)の源としての2%C127細胞馴化培地(マクロファージ培地)を補足したIMDM中に維持した。
【0214】
マクロファージのLPS刺激
LPS−刺激TNFα産生の分析のために、前夜に、マクロファージ培地を入れた24ウエルプレートに2x105個の細胞を播いた。次の日、培地を交換し、所定の濃度でAQX−016Aまたは担体を細胞に加えた30分後に、10ng/mLのLPSを添加した。ELISA(BD Biosciences、ミシサーガ、オンタリオ、カナダ)によるTNFα定量のために上清を集めた。細胞内シグナリングの分析のために、前夜に、6cm組織培養プレートに2x106個の細胞を播いた。次の日、M−CSFを含まないマクロファージ培地中で、37℃にて1時間細胞を培養し、次いで、AQX−016Aまたは担体で前処理した30分後に10ng/mLのLPSを15分間にわたって加えた。細胞を4℃のPBSで洗浄し、完全プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche、モントリオール、カナダ)を補足した溶解緩衝液(50 mM Hepes、2 mM EDTA、1mM NaVO4、100 mM NaF、50 mM NaPPiおよび1%NP40)に再懸濁した。溶解液を4℃にて30分間揺すり、12000xgにて20分間遠心分離して、清澄化した。次いで、溶解液をレムリ緩衝液で1xにし、2分間沸騰させ、7.5%SDSポリアクリルアミドゲル上にロードした。ホスホPKB(Cell Signalling、ミシサーガ、オンタリオ)、SHIPおよびアクチン(Santa Cruz、サンタクルーズ、カリフォルニア)についての免疫ブロット分析を前述のとおり行った。
【0215】
FcεRI架橋による肥満細胞の刺激
IL−3欠乏、0.1μg/mlの抗−DNPIgE(SPE−7、Sigma、オークビル、オンタリオ)添加BMMCに、肥満細胞を一夜プレロードした。カルシウム流を測定するために、タイロード緩衝液中、細胞を、23℃にて45分間、2μM fura 2−アセトキシメチルエステル(Molecular Probes、ユージーン、オレゴン)とともにインキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、ビークルコントロール、LY294002またはAQX−016Aの存在下で30分間インキュベートした後、所定の濃度のDNP−ヒト血清アルブミン(DNP−HSA)で刺激した。分光蛍光法により、カルシウム流入をモニターした。細胞内シグナリングの分析のために、上述のように抗−DNP IgEで細胞をプレロードし、AQX−016Aまたは緩衝コントロールで37℃にて30分間前処理し、20ng/mlのDNP−HSAで5分間刺激した。次いで、全細胞溶解液を調製し、ホスホ−PKB、ホスホ−p38MAPK、ホスホ−MAPK、Grb−2(Cell Signalling、ミシサーガ、オンタリオ)およびSHIP6について、免疫ブロット分析により分析した。
【0216】
AQX−016Aは、マクロファージおよび肥満細胞活性化を阻害する
AQX−016Aの標的特異性および生物学的効率を、初代SHIP++ vs SHIP--マクロファージおよび肥満細胞におけるPI3K−調節プロセスへのAQX−016Aの効果を比較することによって評価した。LPS−誘発マクロファージおよびIgE−誘発肥満細胞活性化の両方が、SHIPによって負に調節されることがこれまでに分かっているPI3K−依存性経路の活性化を含んでいた。マクロファージのLPS刺激は、TNFαなどの炎症促進性メディエーターのPIP3−依存性放出を伴った。SHIP++ vs SHIP--骨髄由来マクロファージにおけるAQX−016Aの作用を調べた。細胞をAQX−016Aで30分間前処理した後、10ng/mLのLPSで2時間刺激した。AQX−016Aは、SHIP++ 細胞におけるTNFα産生を3μMにて30%まで、15μMにて50%まで抑制することができた(図8A)。対照的に、SHIP--細胞では、TNFα産生は、3μMにて13%抑制され、15μMにて15%抑制され、非−AQX−016A処理細胞とは区別できない、比較のために、PI3KインヒビターであるLY294002は、SHIP++およびSHIP--マクロファージの両方を同程度に阻害した(15μMにて〜40%)。肥満細胞のIgE受容体のIgE+抗原架橋を介する肥満細胞の活性化は、細胞内カルシウムレベルの上昇をもたらす。図8Bに示されるように、AQX−016Aは、SHIP++骨髄由来肥満細胞において、SHIP--骨髄由来肥満細胞よりも、実質的により大きい程度まで、IgE+抗原−誘発カルシウム流入を選択的に阻害したが、一方、LY294002は、SHIP++およびSHIP--肥満細胞の両方を同程度に阻害した。これらのデータは、SHIP−依存性様式でPI3K−依存性マクロファージおよび肥満細胞応答を阻害するAQX−016Aに一致した。
AQX−016Aの、SHIP++ vs SHIP--細胞におけるPIP3−依存性下流シグナリングタンパク質の活性化を阻害する能力を評価した。マクロファージのLPS刺激は、PKBリン酸化をもたらした。AQX−016Aは、用量依存性様式で、SHIP++マクロファージにおいてLPS−刺激PKBリン酸化を優先的に阻害するが、SHIP--マクロファージにおいては阻害しなかった。同様に、AQX−016Aは、SHIP++肥満細胞においてPKB、p38MAPKおよびERKのリン酸化を阻害するが、SHIP--肥満細胞においては阻害しなかった。同様のタンパク質ローディングが、PKBまたはGrb2に対する抗体のいずれかによる再ブロッティングによって確認された。AQX−016Aの、SHIPを発現しない非造血性の前立腺上皮LNCaP細胞においてPKB活性化を阻害する能力も調べた。ヒト前立腺ガン細胞系LNCaPは、PTEN発現の損失によるPKBの構成的活性化を示した。LY294002は、PKBリン酸化を効率的に抑制するが、AQX−016Aは、60μMまでの用量において効果はなかった。したがって、AQX−016Aは、SHIP発現造血細胞において、PIP3−調節細胞内シグナルトランスダクションイベントを阻害するが、SHIP−欠損造血細胞または非造血細胞においては阻害しなかった。
【0217】
実施例18
内毒血症マウスモデル
6−8週齢の老C57Bl6マウス(ヒト疾患コア施設のVCHRI哺乳動物モデル、バンクーバー、ブリティッシュコロンビア)に所定用量のAQX−016A、化合物100またはデキサメタゾンを投与した30分後に、2mg/kgのLPS(大腸菌血清型0111:B4、Sigma、オークビル、オンタリオ)をIP注射した。2時間後に血液を採取し、血漿TNFαをELISAにより測定した。結果は、3回の独立した実験の代表である(図7Dおよび図9)。
【0218】
AQX−016Aは、インビボにおいて炎症を阻害する
AQX−016Aの、インビボにおいて炎症反応を阻害することによって保護を提供する能力をマウスモデルにおいて評価した。内毒素ショックのマウスモデルは、細菌性LPSの腹腔内(IP)注射および2時間後の血清TNFαレベルの測定を含む。AQX−016Aまたはステロイド系薬物をマウスに経口投与した30分後に、LPSチャレンジを行った。AQX−016Aは、血清TNFαレベルを低下させ、デキサメタゾンと同程度に低下させた(図9)。
【0219】
実施例19
マウス急性皮膚アナフィラキシーモデル
マウスの剃毛した腹部に、アセトン中の25μLの0.5%ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)(Sigma、オークビル、オンタリオ)を2日間連続して皮膚適用することにより、6−8週齢の老CD1マウス(ブリティッシュコロンビア大学動物施設、バンクーバー、ブリティッシュコロンビア)をハプテンDNPで免疫感作した。24時間後、試験物質(10μLの1:2DMSO:MeOHに溶解したもの)を右耳に塗り、ビークルコントロールを左耳に塗った。薬物適用の30分後、両方の耳にDNFBを適用して、肥満細胞脱顆粒を誘発した。6mmのパンチを耳から取り、続いて行う好中球ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の測定のために、ドライアイスで急速冷凍した。化合物100の、皮膚アナフィラキシーを阻害する能力を評価した。
【0220】
アナフィラキシーまたはアレルギー応答は、予め感作した肥満細胞のアレルゲン誘発性脱顆粒によって媒介された。マウス耳浮腫/皮膚アナフィラキシーモデルは、ハプテン化剤ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)によるマウスの予備感作を含んだ。1週間後に、マウスの耳にDNFBを塗布することによって、アレルギー反応を誘発した。一方の耳に試験物質を局所適用し、2つの耳の得られる耳浮腫または炎症を比較することによって、潜在的抗炎症性化合物の効力を試験した。図10Aに示すように、局所適用した化合物100は、ビークルコントロール処理耳と比べて、アレルゲン誘発性炎症を劇的に阻害した。AQX−016Aもまた、このモデルにおいて、DNFB誘発性炎症を阻害することができた。
【0221】
AQX−016Aが、マウスの剃毛した腹部に、アセトン中の25μLの0.5%(DNFB)を2日間連続して皮膚適用することによってハプテンDNPに感作したCD1マウスにおいて肥満細胞脱顆粒を阻害することも示した(図10B)。最初にDNFBを適用した1週間後に、20μCiのトリチウム化したチミジン([3H]−Tdr(GE Healthcare、ピスカタウェイ、ニュージャージー)をIP注射した。[3H]−Tdrは、好中球などの、マウスの分裂細胞を素早く標識する(30)。24時間後、試験物質(10μLの1:2DMSO:MeOHに溶解したもの)を右耳に塗り、ビークルコントロールを左耳に塗る。薬物適用の30分後、両方の耳にDNFBを適用して、肥満細胞脱顆粒を誘発した。Solvable(Perkin Elmer−Packard、ウッドブリッジ、オンタリオ)に溶解するために1時間後に直径6mmのパンチを得、記載のとおりシンチレーション計数を行うことによって、得られる炎症細胞浸潤を定量した。次いで、試験物質の、肥満細胞脱顆粒を阻害する能力を、記載のとおり、試験(右)耳vsコントロール(左)耳における、[3H]−Tdrの比率を計算することによって定量する(30)。耳実質細胞への[3H]−Tdrの基礎取り込みをコントロールするために、マウスの1つのグループには、左耳のみにDNFBを適用し、右耳は炎症を起こさないままにした。
【0222】
実施例20
SHIPΔC2突然変異体および単離C2ドメインの構築
哺乳類発現ベクターpME18Sにおいて、標準的PCRビーズ法によって、His6タグ付SHIPΔC2ドメイン欠失突然変異体(725〜863残基を欠失)を作成した。N末端His6C2ドメインの構築もまた、EcoRIおよびNdeI制限部位を用いるpET28C細菌発現ベクターに挿入されたPCRによって行った。
【0223】
タンパク質脂質オーバーレイアッセイ
多少の変更を加え、本質的に記載のとおり、タンパク質脂質オーバーレイ(PLO)アッセイを行った。凍結乾燥したホスファチジルイノシトール−3,4−ビスホスフェート diC16(PIP2、Echelon Biosciences、ソルトレークシティ、ユタ)をメタノールおよび水の2:1.8溶液にもどした。PVDF膜(Millipore、ミシサーガ、オンタリオ)をまずメタノールで1分間湿らせ、水で3X5分間洗浄し、TBST緩衝液(20mM Tris pH 7.5、0.15 M NaCl(TBS)、0.05% Tween 20添加)中で、23℃にて一夜緩やかに振とうした。処理した膜を風乾し、もどした脂質の希釈液を1μl分注してスポットを付けて、膜スポット当たり所定量のPIP2を得た。膜を完全に乾燥し、ブロッキング緩衝液(3% BSA/TBS+0.05% NaN3)で23℃にて1時間ブロックした。精製した組換えC2ドメインをブロッキング緩衝液(5μM最終)で希釈し、4μMの化合物100またはEtOHコントロールで23℃にて30分間処理した後、PIP2でスポットを付けた膜とともに一夜インキュベートした。膜をTBST緩衝液で10回、23℃にて50分間にわたって洗浄し、抗−His6マウスIgG(Qiagen、ミシサーガ、オンタリオ)とともに23℃にて1時間インキュベートした。膜を上述のっとり洗浄し、Alexa Fluor 660 抗−マウス・ヤギ抗−マウスIgG(Invitrogen、バーリントン、オンタリオ)とともに23℃にて1時間インキュベートした。洗浄後、Li−Cor Odysseyスキャナー(リンカーン、ネブラスカ)により、結合したタンパク質を検出し、定量した。
【0224】
SHIPは、酵素をアロステリックに活性化する
アロステリックエフェクターを見つけるのは困難であるので、酵素のアロステリック調節は、主に理解不十分なままである。化合物100がSHIPを活性化する分子的メカニズムを、まず、そのホスファターゼ活性の古典的な酵素動態解析を行うことによって研究した。活性測定は、10〜100μMの基質濃度で行なった。各基質濃度における初期反応速度のプロットは、もし、SHIPが、慣例のミカエリス−メンテン型動態に従うならば、双曲線プロフィールを示すことが予測される。しかし、SHIPは、その最終産物によるアロステリック活性化を示唆する、S字型の反応動態を示した(図11A)。酵素反応へのSHIP産物PI−3、4−P2の添加は、化合物100と同程度まで野生型SHIP酵素を活性化した(図11B)。
【0225】
SHIPタンパク質は、そのホスファターゼドメインのカルボキシ末端に位置するC2ドメインを含む。C2ドメインは、Ca2+を結合するように働くプロテインキナーゼCファミリーにおいて最初記述されたが、その後、C2ドメインは、脂質などの種々のリガンドに結合することが分かっている他のタンパク質において同定されていた。そのC2ドメインを欠損しているSHIP(ΔC2SHIP)を製造した。図11Bに示すように、ΔC2SHIPは、野生型SHIPと同様に活性であるが、その活性は、PI−3,4−P2または化合物100のいずれの添加によっても増強することができない。このことは、C2ドメインが、SHIP活性のアロステリック活性化に必要であるかも知れないをこと、およびC2ドメインが、PI−3,4−P2および化合物100などのそのアロステリックアクチベーターのための結合部位であるかもしれないことを示唆した。
【0226】
実施例21
シンチレーション近接アッセイ
GE Healthcare(ピスカタウェイ、ニュージャージー)製のトリチウムで化合物100を、42Ci/mmoleの比放射能に放射標識した。銅キレート(His−Tag)YSi SPAシンチレーションビーズ(GE healthcare、ピスカタウェイ、ニュージャージー)を、0.25%BSA/TBSで1.5mg/mLに希釈し、組換えHis6タグ付タンパク質を所定の濃度で加えた:野生型(1pM)、ΔC2SHIP酵素(1pM)またはC2ドメイン(10nM)。タンパク質を23℃にて1時間結合させ、250μgのビーズを96ウエルプレートの各ウエルに分注した。5μCiの[3H]−化合物100を各ウエルに加え、プレートを緩やかに30分間振とうし、Wallac BetaPlateプレートシンチレーションカウンターで計数することによって、ビーズ関連放射能の量を定量した。
【0227】
単離した組換えHis6タグ付C2ドメインを発現させ、タンパク質脂質オーバーレイアッセイを用いて、そのPI−3,4−P2結合能力を測定した。精製C2ドメインをPI−3,4−P2でスポット付した膜片とともにインキュベートし、抗−His6抗体を用いて、結合したタンパク質を検出した。図11Cに示すように、C2ドメインは、PI−3,4−P2に結合し、この結合は、化合物100によって阻害され、通例の結合部位でC2ドメインと相互作用する化合物100およびPI−3,4−P2の両方に一致した。SPAビーズをC2ドメインまたはコントロールタンパク質(BSA)のいずれかでコーティングするシンチレーション近接アッセイ(SPAs)を用いて、C2ドメインを直接結合する化合物100を検証した後、[3H]−化合物100とともにインキュベートした。図11Dに示すように、C2ドメインは、[3H]−化合物100と相互作用しない。補足的研究において、[3H]−化合物100は野生型SHIPに結合するが、そのC2ドメインを欠損しているSHIPには結合しない(図11E)。同時に、これらのデータは、SHIPのC2ドメインに直接結合し、酵素の活性化をもたらす化合物100に一致した。
【0228】
実施例22
この経路を負に調節するホスファターゼの活性化を介してPI3Kシグナリングを阻害するための新規なパラダイムが提供される。造血細胞へのその限定された発現のために、SHIPは、免疫/造血障害特に良好な標的である。KnightおよびShokatに議論されているように、細胞内に存在するホスファターゼの比活性が、キナーゼインヒビターの効力に影響を及ぼすので、SHIPアゴニストは、PI3Kインヒビターの活性を増強し、PI3Kインヒビターの造血/免疫細胞コンパートメントへの組織標的化を促進するために用いることもできる。初期の毒性研究は、AQX−016Aおよび化合物100の両方が、良好な耐容性を示し、末梢血管細胞数または骨髄前駆細胞数に有意に影響を及ぼさないことを示唆した。
【0229】
化合物100は、μM以下のEC50において効力を示し(図7C)、このことは、化合物100が、KnightおよびShokatによる計算に基づく的はずれ効果の可能性が低いことを示唆した。化合物100は、他のキナーゼおよびホスファターゼと比べて最小の的はずれ効果を有する(図12Aおよび12B)。化合物プロファイリング活性は、化合物100(最終濃度2μM)に対する、SignalChem(リッチモンド、ブリティッシュコロンビア、カナダ;www.signalchem.com)製の100タンパク質キナーゼおよびホスファターゼ標的を用いて行った。50μMのATPの存在下、30℃にて15分間タンパク質キナーゼアッセイを行った。基質としてpNPPを用いてタンパク質ホスファターゼ活性を測定し、37℃にて15分間行った。化合物100の存在下における酵素の活性を、ビークルコントロールにおける活性と比較し、ビークルコントロールにおいて見られる活性と比べての活性の変化%として表す。<25%の活性の変化は、有意とみなさない。化合物100によって影響を及ぼされた酵素を図12Bにおいて幅広のグラフでプロットした。
【0230】
実施例23
MM異種移植モデル
マウスに、50μLの成長培地および50μLのマトリゲルベース膜マトリックス(Becton Dickenson;ベドフォード、マサチューセッツ)に懸濁した3x106個のルシフェラーゼ発現OPM2細胞を、2個所接種した。マウスの上部および下部側腹部に腫瘍を皮下注射し、2週間安定させた。2週間後、化合物100またはコントロールビークルを皮下オイル徐放性製剤にて、3日毎に50mg/kgの用量で投与した。
【0231】
Xenogen IVIS 200で生物発光画像法を用いて腫瘍を測定した。マウスに、滅菌PBS中3.75mg/mLのD−ルシフェリン200μLの腹腔内注射を行った。次いで、イソフルオランでマウスを麻酔し、ルシフェリンの注射後15分で撮像した。Living Image(登録商標)を用いて、腫瘍サイズの定量を行った。結果を図13および14にグラフで示す。
【0232】
以上、本発明を理解の明瞭を目的として説明および実施例により若干詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく変更および改変をなし得ることは当業者には明らかであろう。本明細書において言及したすべての特許、特許出願および出願公報は参照のため本明細書に引用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIで示される化合物またはその塩:
【化1】

[式中、
1およびR2は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR1'、−CHO、−CO2H、およびCO22'からなる群から独立に選択され;
3およびR4は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR3'、−CHO、−CO2H、およびCO24'からなる群から独立に選択され;
Qは、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56−、
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH;Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;およびY1/Y3がエポキシド、から独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、X5、または直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のX5、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基である)
からなる群から独立に選択され;
1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、R1、R2、R3、R4、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つが、X5であるか、置換基としてX5を含んでなるか、またはX5がQにおける若しくは式IIの1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10位のいずれかの炭素原子における置換基である]。
【請求項2】
式IIIで示される化合物またはその塩:
【化2】

[式中、
1およびR2は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR1'、−CHO、−CO2H、およびCO22'からなる群から独立に選択され;
3およびR4は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR3'、−CHO、−CO2H、およびCO24'からなる群から独立に選択され;
Qは、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56−、
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH;Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;およびY1/Y3がエポキシド、から独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基)
からなる群から独立に選択され;
1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、R1、R2、R3、R4の少なくとも1つが、X5であるか、置換基としてX5を含んでなるか、またはX5がQにおける若しくは式IIIの1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10位のいずれかの炭素原子における置換基である]。
【請求項3】
式IVで示される化合物またはその塩:
【化3】

[式中、
1およびR2は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR1'、−CHO、−CO2H、およびCO22'からなる群から独立に選択され;
3およびR4は、H、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR3'、−CHO、−CO2H、およびCO24'からなる群から独立に選択され;
Qは、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56−、
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH;Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;Y1/Y3がエポキシド、から独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、X5、または直鎖もしくは分岐鎖、または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のX5、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基である)
からなる群から独立に選択され;
1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R7'、R10'、R11'、およびR12'、は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つが、X5であるか、または置換基としてX5を含んでなる]。
【請求項4】
1およびR2が、−CH3、−CH2CH3、−CH2OH、CH2OR'、−CHO、−CO2H、および−CO2R'からなる群から独立に選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
1が、メチル、エチル、CH2OHおよびCH2OR1'からなる群から独立に選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
2が、メチル、エチル、CH2OHおよびCH2OR1'からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
1およびR2の少なくとも1つにおいてR1'およびR2'がメチル、エチル、プロピルおよびブチルからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
1がメチルまたはエチルである、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
2がメチルまたはエチルである、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項10】
1がメチルである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項11】
2がメチルである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項12】
式Vで示される化合物またはその塩:
【化4】

[式中、
Qは、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56−、
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH;Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;Y1/Y3がエポキシドから独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、X5、または直鎖もしくは分岐鎖、または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のX5、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基である)
からなる群から独立に選択され;
5'、R7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つが、X5であるか、置換基としてX5を含んでなるか、またはX5がQにおける若しくは式Vの1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10位のいずれかの炭素原子における置換基である]。
【請求項13】
式VIで示される化合物またはその塩:
【化5】

[式中、
Qは、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、−CH=CHCH2−、−CH=CH−CY12−、および−CY12CY34CY56−、
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH、からなる群から独立に選択され、Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;およびY1/Y3がエポキシドから独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され;
1、X2、X3、およびX4は、H、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、−NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基である)
からなる群から独立に選択され;
5'、R7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基である)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、R1、R2、R3、およびR4の少なくとも1つが、X5であるか、置換基としてX5を含んでなるか、またはX5がQにおける若しくは式VIの1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10位のいずれかの炭素原子における置換基である]。
【請求項14】
Qが、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CY12CY34−、−CH2−CH2CH2−、および−CY12CY34CY56−、
(ここで、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、およびY6は以下からなる群:H、F、Br、Cl、I、OH、OR5'、SH;Y1/Y2、Y3/Y4、およびY5/Y6の組のいずれか1つが=O;Y1/Y3がエポキシド、から独立に選択され、存在する場合Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択され、
5'が、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和C1−C10アルキル基)である、
請求項1〜13のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項15】
1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6がHまたはハロゲンである、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項16】
QがCH2、−CH2CH2−、−CH=CH−、CH2CH2CH2およびCH=CHCH2からなる群から選択される、請求項1〜13のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項17】
Qが、CH2、−CY12−、−CH2CH2−、−CH=CH−、およびCY12CY34からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項18】
式VIIで示される化合物またはその塩:
【化6】

[式中、
1、X2、X3、およびX4は、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、X5、または直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のX5、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基)
からなる群から独立に選択され;
7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つが、X5であるか、または置換基としてX5を含んでなる]。
【請求項19】
式VIIIで示される化合物またはその塩:
【化7】

[式中、
1、X2、X3、およびX4は、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2H、CO27'、F、Br、Cl、I、CN、−SO3H、−OSO3H、NO2、NH2、NHR8'、および−N(R9')2
(ここで、R6'、R8'およびR9'は独立に、X5、または直鎖もしくは分岐鎖、または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のX5、OH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR10'、N(R11')2、NO2、−CO2H、CO212'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基)
からなる群から独立に選択され;
7'、R10'、R11'、およびR12'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基)であり;および
5はプロドラッグ部分であり、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つが、X5であるか、置換基としてX5を含んでなる]。
【請求項20】
1、X2、X3、およびX4の少なくとも1つにおいて、R6'、R7'、R8'およびR9'が、置換されていないメチル、置換されていないエチル、置換されていないプロピルおよび置換されていないブチルからなる群から選択される、請求項1〜19のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項21】
1、X2、およびX3の少なくとも1つが、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、ハロゲン、CONH2、CONHR13'、CO(R14')2、NHR8'およびN(R9')2(ここで、R13'およびR14'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR3''、N(R4'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル(ここで、R3''およびR4''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基))からなる群から選択される、請求項1〜20のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項22】
6'、R8'、R9'、R13'およびR14'が、置換されていないメチル、置換されていないエチル、置換されていないプロピルおよび置換されていないブチルからなる群から選択される、請求項21に記載の化合物またはその塩。
【請求項23】
1、X2、およびX3の1以上が、H、X5、OH、−O−(C1−C10アルキル)、CONH2、CONHR13'、および−CO(R14')2
(ここで、R13'およびR14'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR3''、N(R4'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基
(ここで、R3''およびR4''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基))からなる群から選択される、請求項1〜22のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項24】
13'およびR14'が、置換されていないメチル、置換されていないエチル、置換されていないプロピルおよび置換されていないブチルからなる群から選択される、請求項23に記載の化合物またはその塩。
【請求項25】
1、X2、およびX3の1以上が、H、X5、OH、およびOCH3からなる群から選択される、請求項1〜24のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項26】
4が、H、X5、R6'、OH、−O−(C1−C10アルキル)、−CO2Hおよび−CO27'からなる群から選択される、請求項1〜25のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項27】
6'およびR7'が、置換されていないメチル、置換されていないエチル、置換されていないプロピルおよび置換されていないブチルからなる群から選択される、請求項26に記載の化合物またはその塩。
【請求項28】
4が、H、X5、R6'、OH、OCH3、−CO2Hおよび−CO27'からなる群から選択される、請求項1〜27のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項29】
4が、H、X5、R6'、OH、OCH3、−CO2Hおよび−CO2CH3からなる群から選択される、請求項1〜28のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項30】
5が、
(a)以下からなる群から選択される可溶化部分:生理学的pHでイオン性の1以上の実体を有する部分;−OHまたはアミド等の複数の水素結合性官能基を有する部分;モノホスフェート;ジホスフェート;トリホスフェート;モノサッカライド;オリゴサッカライド;ポリサッカライド;オリゴペプチド;ポリペプチド;アミノ酸;アルファアミノ酸、ポリエーテルおよびそれらの組合せ;および
(b)以下からなる群から選択される結合部分:O;OC(=O)Z;NHC(=O)Z;CH2OC(=O);C(=O)O、C(=O)HN
(ここで、Zは直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、−NHR'、NR'2、NO2、−CO2H、−CO2R'、およびエポキシドで置換されたC1−C10アルキル基であり、個々の炭素原子は、S、O、N、NR'、またはNR'2原子で置き換えられていてもよい)
を含んでなり;
各R'は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和の、置換されていないまたは1以上のOH、=O、SH、F、Br、Cl、I、NH2、NHR1''、N(R2'')2、NO2およびCO2Hで置換されたC1−C10アルキル基(ここで、R1''およびR2''は独立に、直鎖、分岐鎖または環状の、飽和または不飽和のC1−C10アルキル基)である、
請求項1〜29のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項31】
5がアミド結合部分を含んでなる、請求項1〜30のいずれかに記載の化合物。
【請求項32】
5がエステル結合部分を含んでなる、請求項1〜30のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項33】
5がNH2部分を含んでなる可溶化部分を含んでなる、請求項1〜32のいずれかに記載の化合物。
【請求項34】
5がアミノ酸を含んでなる、請求項1〜33のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項35】
5がホスフェートを含んでなる、請求項1〜30のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項36】
5がポリエチレングリコール部分を含んでなる、請求項1〜30のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項37】
以下の構造式:
【化8】

[式中、各Rは独立にHまたはC1−C1アルキルである]
を有する化合物。
【請求項38】
以下の構造式:
【化9】

[式中、各Rは独立にHまたはC1−C1アルキルである]
を有する化合物。
【請求項39】
以下の構造式:
【化10】

を有する化合物。
【請求項40】
以下の構造式:
【化11】

を有する化合物。
【請求項41】
以下の構造式:
【化12】

を有する化合物。
【請求項42】
以下の構造式:
【化13】

を有する化合物。
【請求項43】
以下の構造式:
【化14】

を有する化合物。
【請求項44】
以下の構造式:
【化15】

を有する化合物。
【請求項45】
以下の構造式:
【化16】

を有する化合物。
【請求項46】
以下の構造式:
【化17】

を有する化合物。
【請求項47】
以下の構造式:
【化18】

を有する化合物。
【請求項48】
以下の構造式:
【化19】

を有する化合物。
【請求項49】
以下の構造式:
【化20】

を有する化合物。
【請求項50】
以下の構造式:
【化21】

を有する化合物。
【請求項51】
以下の構造式:
【化22】

を有する化合物。
【請求項52】
以下の構造式:
【化23】

を有する化合物。
【請求項53】
以下の構造式:
【化24】

を有する化合物。
【請求項54】
以下の構造式:
【化25】

を有する化合物。
【請求項55】
以下の構造式:
【化26】

を有する化合物。
【請求項56】
以下の構造式:
【化27】

を有する化合物。
【請求項57】
以下の構造式:
【化28】

を有する化合物。
【請求項58】
以下の構造式:
【化29】

を有する化合物。
【請求項59】
以下の構造式:
【化30】

を有する化合物。
【請求項60】
以下の構造式:
【化31】

を有する化合物。
【請求項61】
以下の構造式:
【化32】

を有する化合物。
【請求項62】
以下の構造式:
【化33】

を有する化合物。
【請求項63】
以下の構造式:
【化34】

を有する化合物。
【請求項64】
以下の構造式:
【化35】

を有する化合物。
【請求項65】
以下の構造式:
【化36】

を有する化合物。
【請求項66】
以下の構造式:
【化37】

を有する化合物。
【請求項67】
以下の構造式:
【化38】

を有する化合物。
【請求項68】
以下の構造式:
【化39】

を有する化合物。
【請求項69】
以下の構造式:
【化40】

を有する化合物。
【請求項70】
以下の構造式:
【化41】

を有する化合物。
【請求項71】
以下の構造式:
【化42】

を有する化合物。
【請求項72】
以下の構造式:
【化43】

を有する化合物。
【請求項73】
請求項1〜72のいずれかに記載の化合物またはその塩および製薬的に許容し得る賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項74】
炎症性の、新生物の、造血系の若しくは免疫の機能障害または疾患の治療または予防のための、請求項1〜72のいずれかに記載の化合物若しくはその塩または請求項73記載の医薬組成物。
【請求項75】
新生物の疾患が血液の癌である、請求項74に記載の化合物。
【請求項76】
新生物の疾患が多発性骨髄腫である、請求項74に記載の化合物。
【請求項77】
新生物の疾患が慢性骨髄性白血病である、請求項74に記載の化合物。
【請求項78】
新生物の疾患が急性骨髄性白血病である、請求項74に記載の化合物。
【請求項79】
免疫疾患が自己免疫疾患である、請求項74に記載の化合物。
【請求項80】
炎症性の、新生物の、造血系の若しくは免疫の機能障害または疾患の治療または予防のための、請求項1〜72のいずれかに記載の化合物またはその塩の使用。
【請求項81】
炎症性の、新生物の、造血系の若しくは免疫の機能障害または疾患の治療または予防のための医薬の製造のための、請求項1〜72のいずれかに記載の化合物またはその塩の使用。
【請求項82】
新生物の疾患が血液の癌である、請求項80記載のまたは81に記載の使用。
【請求項83】
新生物の疾患が多発性骨髄腫である、請求項80記載のまたは81に記載の使用。
【請求項84】
新生物の疾患が慢性骨髄性白血病である、請求項80記載のまたは81に記載の使用。
【請求項85】
新生物の疾患が急性骨髄性白血病である、請求項80記載のまたは81に記載の使用。
【請求項86】
免疫疾患が自己免疫疾患である、請求項80記載のまたは81に記載の使用。
【請求項87】
免疫の、造血系の、炎症性の若しくは新生物の機能障害または疾患の予防または処置の方法であって、有効量の請求項73に記載の医薬組成物を、該予防または処置を必要とする患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項88】
新生物の疾患が血液の癌である、請求項87記載の方法。
【請求項89】
新生物の疾患が多発性骨髄腫である、請求項87記載の方法。
【請求項90】
新生物の疾患が慢性骨髄性白血病である、請求項87記載の方法。
【請求項91】
新生物の疾患が急性骨髄性白血病である、請求項87記載の方法。
【請求項92】
免疫疾患が自己免疫疾患である、請求項87記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−541225(P2009−541225A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515681(P2009−515681)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001106
【国際公開番号】WO2007/147252
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(300066874)ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア (24)
【Fターム(参考)】