説明

SRAM

【課題】微細かつリーク電流が抑制されたSRAM。
【解決手段】第1の負荷トランジスタLT1を構成する第1のゲート電極G1bと、第1のゲート電極G1bの長手方向の延長上に、これと離間して延設され、第1の駆動トランジスタDT1を構成する第2のゲート電極G1aと、第1のゲート電極G1bと平行に延設され、第2の負荷トランジスタLT2を構成する第3のゲート電極G1bと、第3のゲート電極G1bと交差して形成され、第2の負荷トランジスタLT2を構成する第1のP型拡散領域PD21と、第1のゲート電極G1b及び第2のゲート電極G1a及び第1のP型拡散領域PD21に跨って形成された第1の共通コンタクトSC2と、を備えるSRAM。第1のP型拡散領域PD21は、第1のゲート電極G1bと第2のゲート電極G1aとの間隙領域近傍まで延設され、かつ、当該間隙領域には形成されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SRAMに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SRAM(Static Random Access Memory)では、大容量化やチップサイズの小型化に伴い、メモリセルの更なる微細化が望まれている。図7は特許文献1の図1である。図7のSRAMは、完全CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型であり、4つのNMOSトランジスタと、2つのPMOSトランジスタを備える。具体的には、NMOSトランジスタである2つのアクセストランジスタAT11、AT12、NMOSトランジスタである2つの駆動トランジスタDT11、DT12、PMOSトランジスタである2つの負荷トランジスタLT11、LT12を備えている。図7において点線で示したのはコンタクトCTである。また、ハッチング部は拡散領域DAである。
【0003】
ここで、図7に示すように、従来一体形成されていた駆動用のNMOSトランジスタDT11のゲート電極G11aと、負荷用のPMOSトランジスタLT11のゲート電極G11bとが分断して形成されている。同様に、従来一体形成されていた駆動用のNMOSトランジスタDT12のゲート電極G12aと、負荷用のPMOSトランジスタLT12のゲート電極G12bとが分断して形成されている。このような構成により、ゲート電極におけるP型不純物とN型不純物との相互拡散を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−135355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のSRAMでは、例えばゲート電極G11aとゲート電極G11bとの間隙領域にも拡散領域DAが形成されている。メモリセルの微細化により、この間隙領域の幅が狭くなると、この間隙領域においてリーク電流が発生するという問題を発明者は見出した。このリーク電流は、おそらくシリサイド工程における不良に起因すると思われるが、その発生メカニズムの詳細は定かでない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るSRAMは、
第1の負荷トランジスタを構成する第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極の長手方向の延長上に、これと離間して延設され、第1の駆動トランジスタを構成する第2のゲート電極と、
前記第1のゲート電極と平行に延設され、第2の負荷トランジスタを構成する第3のゲート電極と、
前記第3のゲート電極と交差して形成され、前記第2の負荷トランジスタを構成する第1のP型拡散領域と、
前記第1及び第2のゲート電極及び前記第1のP型拡散領域に跨って形成された第1の共通コンタクトと、を備え、
前記第1のP型拡散領域は、前記第1及び第2のゲート電極間の第1の間隙領域近傍まで延設され、かつ、当該第1の間隙領域には形成されていないものである。
【0007】
第1のP型拡散領域が、第1及び第2のゲート電極間の第1の間隙領域近傍まで延設され、かつ、当該第1の間隙領域には形成されていないため、微細かつリーク電流が抑制されたメモリセルを備えたSRAMを提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、微細かつリーク電流が抑制されたメモリセルを備えたSRAMを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係るSRAMの単位メモリセルの平面図である。
【図2】実施の形態1の比較例に係るSRAMの単位メモリセルの平面図である。
【図3A】製造方法を説明するための図1のIII−III断面図である。
【図3B】製造方法を説明するための図1のIII−III断面図である。
【図3C】製造方法を説明するための図1のIII−III断面図である。
【図3D】製造方法を説明するための図1のIII−III断面図である。
【図3E】製造方法を説明するための図1のIII−III断面図である。
【図3F】製造方法を説明するための図1のIII−III断面図である。
【図4】実施の形態2に係るSRAMの単位メモリセルの平面図である。
【図5】実施の形態3に係るSRAMの単位メモリセルの平面図である。
【図6A】製造方法を説明するための図5のVI−VI断面図である。
【図6B】製造方法を説明するための図5のVI−VI断面図である。
【図7】特許文献1の図1である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るSRAMの単位メモリセル100の平面図である。図1に示すように、単位メモリセル100は、6つのゲート電極G1a、G1b、G2a、G2b、G3、G4、6つのN型拡散領域ND11、ND12a、ND12b、ND21、ND22a、ND22b、4つのP型拡散領域PD11、PD12、PD21、PD22、8つの拡散領域コンタクトDC1〜DC8、2つのゲートコンタクトGC1、GC2、2つの共通コンタクトSC1、SC2を備えている。また、各ゲート電極の周囲にはサイドウォールSWが形成されている。
【0012】
ここで、一点鎖線で示された境界線に囲まれた単位メモリセル100の外形は矩形状である。そして、単位メモリセル100は、中心Oに対し、点対称のレイアウト構造を有している。従って、ゲート電極G1a、G2aは同一形状、ゲート電極G1b、G2bは同一形状、P型拡散領域PD11、PD12は同一形状、P型拡散領域PD21、PD22は同一形状、ゲート電極G3、G4は同一形状、N型拡散領域ND11、ND21は同一形状、N型拡散領域ND12a、ND22aは同一形状、N型拡散領域ND12b、ND22bは同一形状などとなる。また、単位メモリセル100は、一点鎖線で示した矩形の4辺に対応する各境界線に対し、線対称なレイアウト構造を有している。
【0013】
また、図1に示されたSRAMは完全CMOS型である。そのため、単位メモリセル100は、4つのNMOSトランジスタと、2つのPMOSトランジスタを備える。具体的には、単位メモリセル100は、NMOSトランジスタである2つのアクセストランジスタAT1、AT2、NMOSトランジスタである2つの駆動トランジスタDT1、DT2、PMOSトランジスタである2つの負荷トランジスタLT1、LT2を備えている。ここで、駆動トランジスタDT1と負荷トランジスタLT1とがインバータを構成している。同様に、駆動トランジスタDT2と負荷トランジスタLT2とがインバータを構成している。
【0014】
図1に示すように、アクセストランジスタAT1は、ゲート電極G3、N型拡散領域ND11及びND12bから構成されている。駆動トランジスタDT1は、ゲート電極G1a、N型拡散領域ND11及びND12aから構成されている。即ち、N型拡散領域ND11は、アクセストランジスタAT1と駆動トランジスタDT1とに共有されている。そして、負荷トランジスタLT1は、ゲート電極G1b、P型拡散領域PD11及びPD12から構成されている。ここで、ゲート電極G1bは、ゲート電極G1aの長手方向の延長上に、これと離間して延設されている。
【0015】
ここで、N型拡散領域ND12a、ND11、ND12bは直線状に延設されており、かつ、ゲート電極G1a、G3の両方と直交するように形成されている。また、P型拡散領域PD11、PD12は、N型拡散領域ND12a、ND11、ND12bと平行になるように形成されている。即ち、P型拡散領域PD11、PD12は、ゲート電極G1bと直交している。更に、P型拡散領域PD11は、ゲート電極G1bと平行に形成されたゲート電極G2a、G2bの間隙領域近傍まで延設され、かつ、当該間隙領域には形成されていない。また、ゲート電極G3は、ゲート電極G2bのゲート電極G2aと反対側の延長上に形成されている。
【0016】
同様に、アクセストランジスタAT2は、ゲート電極G4、N型拡散領域ND21及びND22bから構成されている。駆動トランジスタDT2は、ゲート電極G2a、N型拡散領域ND21及びND22aから構成されている。即ち、N型拡散領域ND21は、アクセストランジスタAT2と駆動トランジスタDT2とに共有されている。そして、負荷トランジスタLT2は、ゲート電極G2b、P型拡散領域PD21及びPD22から構成されている。ここで、ゲート電極G2bは、ゲート電極G2aの長手方向の延長上に、これと離間して延設されている。
【0017】
ここで、N型拡散領域ND22a、ND21、ND22bは直線状に延設されており、かつ、ゲート電極G2a、G4の両方と直交するように形成されている。また、P型拡散領域PD21、PD22は、N型拡散領域ND22a、ND21、ND22bと平行になるように形成されている。即ち、P型拡散領域PD21、PD22は、ゲート電極G2bと直交している。更に、P型拡散領域PD21は、ゲート電極G2bと平行に形成されたゲート電極G1a、G1bの間隙領域近傍まで延設され、かつ、当該間隙領域には形成されていない。また、ゲート電極G4は、ゲート電極G1bのゲート電極G1aと反対側の延長上に形成されている。
【0018】
アクセストランジスタAT1、AT2のゲート電極G3、G4は、それぞれゲートコンタクトGC1、GC2を介して、共通のワード線(不図示)に接続されている。ゲートコンタクトGC1、GC2は、単位メモリセル100の境界線上に形成されている。アクセストランジスタAT1、AT2を構成するN型拡散領域ND12b、ND22bは、それぞれ拡散領域コンタクトDC5、DC8を介して、ビット線対(不図示)の各々に接続されている。
【0019】
駆動トランジスタDT1、DT2のソースを構成するN型拡散領域ND12a、ND22aは、それぞれ拡散領域コンタクトDC3、DC6を介して、グランドに接続されている。負荷トランジスタLT1、LT2のソースを構成するP型拡散領域PD12、PD22は、それぞれ拡散領域コンタクトDC1、DC2を介して、電源に接続されている。
【0020】
駆動トランジスタDT1を構成するゲート電極G1a及び負荷トランジスタLT1を構成するゲート電極G1bは、共通コンタクトSC2を介して、負荷トランジスタLT2のドレインを構成するP型拡散領域PD21に接続されている。更に、共通コンタクトSC2は、メタル配線(不図示)と拡散領域コンタクトDC7を介して、アクセストランジスタAT2及び駆動トランジスタDT2に共有されているN型拡散領域ND21に接続されている。
【0021】
同様に、駆動トランジスタDT2を構成するゲート電極G2a及び負荷トランジスタLT2を構成するゲート電極G2bは、共通コンタクトSC1を介して、負荷トランジスタLT1のドレインを構成するP型拡散領域PD11に接続されている。更に、共通コンタクトSC1は、メタル配線(不図示)と拡散領域コンタクトDC4を介して、アクセストランジスタAT1及び駆動トランジスタDT1に共有されているN型拡散領域ND11に接続されている。
【0022】
上述の通り、本実施の形態では、ゲート電極G1a、G1bの間隙領域に拡散領域が形成されておらず、微細化により狭くなった間隙領域におけるリーク電流の発生を抑制することができる。同様に、ゲート電極G2a、G2bの間隙領域に拡散領域が形成されておらず、微細化により狭くなった間隙領域におけるリーク電流の発生を抑制することができる。
例えば、図7のようにゲート電極G11aとゲート電極G11bとの隙間にPN境界を有する拡散領域が形成される場合、高濃度のP+拡散領域と高濃度のN+拡散領域とが隣接することになり両領域の間でリーク電流の発生が懸念される。本発明では、ゲート電極G1a、G1bの隙間領域には拡散領域が形成されないため、隙間領域においてリーク電流が発生するのを抑制することができる。
【0023】
図2は、実施の形態1の比較例に係るSRAMの単位メモリセル10の平面図である。図2に示した比較例では、図1と異なり、駆動トランジスタDT1のゲート電極と負荷トランジスタLT1のゲート電極とが、一体化されたゲート電極G1として形成されている。同様に、駆動トランジスタDT2のゲート電極と負荷トランジスタLT2のゲート電極とが、一体化されたゲート電極G2として形成されている。また、図2では、図1と比較して、P型拡散領域PD11、PD12と、P型拡散領域PD21、PD22との位置関係が逆転している。
【0024】
図2では、P型拡散領域PD11にゲート電極G2のサイドウォールSWが重ならないようにするため、ある程度のマージンを以て、P型拡散領域PD11に対して離間してゲート電極G2が形成される。そのため、図1に比べ、図2の比較例では、P型拡散領域PD11と共通コンタクトSC1との接触面積が減少し、抵抗が上がってしまう。同様に、図2では、P型拡散領域PD21にゲート電極G1のサイドウォールSWが重ならないようにするため、ある程度のマージンを以て、P型拡散領域PD21に対して離間してゲート電極G1が形成される。そのため、図1に比べ、図2の比較例では、P型拡散領域PD21と共通コンタクトSC2との接触面積が減少し、抵抗が上がってしまう。
【0025】
一方、図1のP型拡散領域PD11の先端付近では、ゲート電極がゲート電極G2aとG2bとに分離されている。ゲート電極が分離されているため、加工上、ゲート電極G2a、G2bの先端が細く丸まった形状となる。そのため、P型拡散領域PD11の先端付近まで充分P型不純物を注入することができるようになる。このため、図2と比較して、P型拡散領域PD11の充分P型不純物が注入された領域と、ゲート電極G2a、G2bとが接するように形成することができる。これにより、P型拡散領域PD11と共通コンタクトSC2との接触面積が増加し、抵抗を下げることができる。また、もしゲート電極G2aとG2bとがP型拡散領域PD11側に目ズレが生じた場合でも、P型拡散領域PD11と共通コンタクトSC2との接触面積の減少を最小限とすることができ、抵抗が増加するのを抑制することができる。
同様に、P型拡散領域PD21の先端付近で、ゲート電極G1aとG1bとが分離しているため、P型拡散領域PD21と共通コンタクトSC1との接触面積が増加し、抵抗を下げることができる。
【0026】
次に、図3A〜3Fを用いて、図1に示したSRAMの製造方法を説明する。図3A〜3Fは、製造方法を説明するための図1のIII−III断面図である。まず、素子分離層STI及びNウェルNWが形成されたP型半導体基板SUB上に、例えばSiOなどからなるゲート絶縁膜GIF、例えばポリシリコン(多結晶シリコン)からなるゲート電極層を形成する。そして、フォトリソグフィ工程によりパターニングし、図1に示すような島状のゲート電極G1a、G1b、G4を形成する(図3A)。なお、図3A〜3Fでは、PN境界(P型不純物注入領域とN型不純物注入領域との境界)1、PN境界2と、P型半導体基板とNウェルとの境界と、が一致している。但し、必ずしも両者が一致している必要はない。
【0027】
次に、ゲート電極G1a、G1b、G4を覆うように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによりシリコン酸化膜などからなる絶縁膜を形成する。そして、異方性エッチングを行なうことにより、ゲート電極G1a、G1b、G4にサイドウォールSWを形成する(図3B)。
【0028】
次に、図3Cに示すように、PN境界1、PN境界2に挟まれたPMOS領域をマスクMSKにより覆い、P(リン)、As(砒素)などのN型不純物をイオン注入する。これにより、P型半導体上にN型拡散領域(図1のND11、ND12a、ND12b、ND21、ND22a、ND22b)が形成される。即ち、NMOSが形成される。
【0029】
次に、図3Dに示すように、NMOS領域をマスクMSKにより覆い、B(ボロン)などのP型不純物をイオン注入する。これにより、P型半導体のNウェル上にP型拡散領域(図1のPD11、PD12、PD21、PD22)が形成される。即ち、PMOSが形成される。
【0030】
次に、図3Eに示すように、基板全面にMo(モリブデン)、W(タングステン)、Co(コバルト)、Ti(チタン)、Ni(ニッケル)などからなる金属膜をスパッタリングにより形成する。そして、熱処理を行なうことによりゲート電極G1a、G1b、G4及びP型拡散領域、N型拡散領域上に金属シリサイド膜MSFを形成する。なお、ゲート電極及び拡散領域以外の領域の未反応金属膜は除去される。
【0031】
最後に、図3Fに示すように、基板全面にCVD法などによりシリコン窒化膜(SiN膜)SNF、シリコン酸化膜(SiO膜)SOFを形成する。そして、これらにコンタクトホールを形成した後、W(タングステン)を埋め込む。これにより、共通コンタクトSC2及びゲートコンタクトGC2が形成される。
【0032】
(実施の形態2)
次に、図4を参照して本発明の第2の実施の形態に係るSRAMについて説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係るSRAMの単位メモリセル200の平面図である。実施の形態1に係る図1のSRAMでは、PN境界1がゲート電極G1aを通過している。そのため、ゲート電極G1aの図1における左側にはN型不純物が注入され、右側にはP型不純物が注入される。従って、ゲート電極G1aにおいて不純物が相互拡散し、駆動トランジスタDT1の動作が不安定になるおそれがあった。一方、実施の形態2に係る図4のSRAMでは、PN境界1がゲート電極G1aを通過しておらず、ゲート電極G1a、G1bの間隙領域を通過している。そのため、ゲート電極G1aにはN型不純物のみが注入され、駆動トランジスタDT1の動作が安定になる。
【0033】
同様に、実施の形態1に係る図1のSRAMでは、PN境界2がゲート電極G2aを通過している。そのため、ゲート電極G2aの図1における右側にはN型不純物が注入され、左側にはP型不純物が注入される。従って、ゲート電極G2aにおいて不純物が相互拡散し、駆動トランジスタDT2の動作が不安定になるおそれがあった。一方、実施の形態2に係る図4のSRAMでは、PN境界2がゲート電極G2aを通過しておらず、ゲート電極G2a、G2bの間隙領域を通過している。そのため、ゲート電極G2aにはN型不純物のみが注入され、駆動トランジスタDT2の動作が安定になる。
【0034】
また、実施の形態1と同様に、ゲート電極G1a、G1bの間隙領域に拡散領域が形成されておらず、微細化により狭くなったゲート電極間の間隙領域におけるリーク電流の発生を抑制することができる。同様に、ゲート電極G2a、G2bの間隙領域に拡散領域が形成されておらず、微細化により狭くなったゲート電極間の間隙領域におけるリーク電流の発生を抑制することができる。
【0035】
また、実施の形態1と同様に、P型拡散領域PD11の先端には、ゲート電極G2a、G2bの間隙領域が位置し、サイドウォールSWが形成されていない。そのため、P型拡散領域PD11とゲート電極G2a、G2bとが接するように形成することができる。これにより、P型拡散領域PD11と共通コンタクトSC2との接触面積が増加し、抵抗を下げることができる。また、P型拡散領域PD21の先端には、ゲート電極G1a、G1bの間隙領域が位置し、サイドウォールSWが形成されていない。そのため、P型拡散領域PD21とゲート電極G1a、G1bとが接するように形成することができる。これにより、P型拡散領域PD21と共通コンタクトSC1との接触面積が増加し、抵抗を下げることができる。
【0036】
(実施の形態3)
次に、図5を参照して本発明の第3の実施の形態に係るSRAMについて説明する。図5は、本発明の第3の実施の形態に係るSRAMの単位メモリセル300の平面図である。実施の形態1に係る図1のSRAMでは、PN境界1がゲート電極G1aを通過している。そのため、ゲート電極G1aの図1における左側にはN型不純物が注入され、右側にはP型不純物が注入される。従って、ゲート電極G1aにおいて不純物が相互拡散し、駆動トランジスタDT1の動作が不安定になるおそれがあった。一方、実施の形態3に係る図5のSRAMでは、PN境界1がゲート電極G1aを通過しておらず、ゲート電極G1a、G1bの間隙領域を通過している。そのため、ゲート電極G1aにはN型不純物のみが注入され、駆動トランジスタDT1の動作が安定になる。
【0037】
同様に、実施の形態1に係る図1のSRAMでは、PN境界2がゲート電極G2aを通過している。そのため、ゲート電極G2aの図1における右側にはN型不純物が注入され、左側にはP型不純物が注入される。従って、ゲート電極G2aにおいて不純物が相互拡散し、駆動トランジスタDT2の動作が不安定になるおそれがあった。一方、実施の形態3に係る図5のSRAMでは、PN境界2がゲート電極G2aを通過しておらず、ゲート電極G2a、G2bの間隙領域を通過している。そのため、ゲート電極G2aにはN型不純物のみが注入され、駆動トランジスタDT2の動作が安定になる。
【0038】
また、実施の形態2に係る図4のSRAMでは、PN境界1、PN境界2が直角に折れ曲がっており、目ズレが発生してしまうと特性劣化が生じるため、実際の製造が容易でない。一方、実施の形態3に係る図5のSRAMでは、PN境界1、PN境界2の折れ曲がりが図4に比べ緩やかであり、実際の製造が容易である。ここで、図5のSRAMでは、共通コンタクトSC1、SC2がL字形状に形成されている。そのため、ゲート電極G1a、G1bの間隙領域及びゲート電極G2a、G2bの間隙領域を図4よりも広げることができる。従って、PN境界1の折れ曲がりを緩やかにすることができる。
【0039】
また、実施の形態1と同様に、ゲート電極G1a、G1bの間隙領域に拡散領域が形成されておらず、微細化により狭くなったゲート電極間の間隙領域におけるリーク電流の発生を抑制することができる。同様に、ゲート電極G2a、G2bの間隙領域に拡散領域が形成されておらず、微細化により狭くなったゲート電極間の間隙領域におけるリーク電流の発生を抑制することができる。
【0040】
また、実施の形態1と同様に、P型拡散領域PD11の先端には、ゲート電極G2a、G2bの間隙領域が位置し、サイドウォールSWが形成されていない。そのため、P型拡散領域PD11とゲート電極G2a、G2bとが接するように形成することができる。これにより、P型拡散領域PD11と共通コンタクトSC2との接触面積が増加し、抵抗を下げることができる。また、P型拡散領域PD21の先端には、ゲート電極G1a、G1bの間隙領域が位置し、サイドウォールSWが形成されていない。そのため、P型拡散領域PD21とゲート電極G1a、G1bとが接するように形成することができる。これにより、P型拡散領域PD21と共通コンタクトSC1との接触面積が増加し、抵抗を下げることができる。
【0041】
次に、図6A、6Bを用いて、図5に示したSRAMの製造方法を説明する。図6A、6Bは、製造方法を説明するための図5のIII−III断面図である。図3Bまでの製造方法は、実施の形態1と同様である。実施の形態1の図3Cの工程に代えて、図6Aに示すように、PN境界1、PN境界2に挟まれたPMOS領域をマスクMSKにより覆い、P(リン)、As(砒素)などのN型不純物をイオン注入する。これにより、P型半導体上にN型拡散領域(図1のND11、ND12a、ND12b、ND21、ND22a、ND22b)が形成される。即ち、NMOSが形成される。ここで、ゲート電極G1bの全体がマスクMSKに覆われている。一方、ゲート電極G1a、G4の全体が、マスクMSKに覆われておらず、イオン注入される。
【0042】
次に、実施の形態1の図3Dの工程に代えて、図6Bに示すように、PN境界1、PN境界2に挟まれたPMOS領域以外をマスクMSKにより覆い、B(ボロン)などのP型不純物をイオン注入する。これにより、P型半導体のNウェル上にP型拡散領域(図5のPD11、PD12、PD21、PD22)が形成される。即ち、PMOSが形成される。ここで、ゲート電極G1bの全体がマスクMSKに覆われておらず、イオン注入される。一方、ゲート電極G1a、G4の全体が、マスクMSKに覆われている。図3E以降の製造方法も、実施の形態1と同様である。図6A、6Bからも明らかなように、いずれのゲート電極もP型もしくはN型一方の不純物のみが注入される。
【0043】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0044】
100、200、300 単位メモリセル
AT1、AT2 アクセストランジスタ
DC1〜DC8 拡散領域コンタクト
DT1、DT2 駆動トランジスタ
G1a、G1b、G3、G4 ゲート電極
GC1、GC1 ゲートコンタクト
GIF ゲート絶縁膜
LT1、LT2 負荷トランジスタ
MSF 金属シリサイド膜
MSK マスク
ND11、ND12a、ND12b N型拡散領域
ND21、ND22a、ND22b N型拡散領域
NW Nウェル
PD11、PD12、PD21、PD22 P型拡散領域
SC1、SC2 共通コンタクト
SNF シリコン窒化膜
SOF シリコン酸化膜
STI 素子分離層
SUB P型半導体基板
SW サイドウォール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の負荷トランジスタを構成する第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極の長手方向の延長上に、これと離間して延設され、第1の駆動トランジスタを構成する第2のゲート電極と、
前記第1のゲート電極と平行に延設され、第2の負荷トランジスタを構成する第3のゲート電極と、
前記第3のゲート電極と交差して形成され、前記第2の負荷トランジスタを構成する第1のP型拡散領域と、
前記第1及び第2のゲート電極及び前記第1のP型拡散領域に跨って形成された第1の共通コンタクトと、を備え、
前記第1のP型拡散領域は、前記第1及び第2のゲート電極間の第1の間隙領域近傍まで延設され、かつ、当該第1の間隙領域には形成されていないSRAM。
【請求項2】
前記第3のゲート電極の長手方向の延長上に、これと離間して延設され、第2の駆動トランジスタを構成する第4のゲート電極と、
前記第1のゲート電極と交差して形成され、前記第1の負荷トランジスタを構成する第2のP型拡散領域と、
前記第3及び第4のゲート電極及び前記第2のP型拡散領域に跨って形成された第2の共通コンタクトと、を更に備え、
前記第2のP型拡散領域は、前記第3及び第4のゲート電極間の第2の間隙領域近傍まで延設され、かつ、当該第2の間隙領域には形成されていないことを特徴とする請求項1に記載のSRAM。
【請求項3】
前記第1及び第2の間隙領域には、素子分離層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のSRAM。
【請求項4】
前記第1及び第2の共通コンタクトがL字形上を有していることを特徴とする請求項2又は3に記載のSRAM。
【請求項5】
前記第1及び第2のP型拡散領域が同一寸法かつ点対称に形成されていることを特徴とする請求項請求項2〜4のいずれか一項に記載のSRAM。
【請求項6】
前記第2のゲート電極と交差して前記第1の駆動トランジスタを構成する第1のN型拡散領域と、
前記第4のゲート電極と交差して前記第2の駆動トランジスタを構成する第2のN型拡散領域と、を更に備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のSRAM。
【請求項7】
前記第3のゲート電極の一端の延長上に形成され、前記第1のN型拡散領域と交差して第1のアクセストランジスタを構成する第5のゲート電極と、
前記第1のゲート電極の一端の延長上に形成され、前記第2のN型拡散領域と交差して第2のアクセストランジスタを構成する第6のゲート電極と、を更に備えることを特徴とする請求項6に記載のSRAM。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−243684(P2011−243684A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113122(P2010−113122)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】