説明

X線検査装置

【課題】X線センサのX線入射面に付着している又は付着し得る、水滴や塵等の環境を、生産ラインを長時間停止させることなく除去することが可能な、X線検査装置を得る。
【解決手段】X線検査装置1は、検査対象である物品50にX線を照射し、物品を透過したX線を検出することにより、物品50に対する検査を実行するX線検査装置であって、X線照射部4と、ラインセンサ6を有するX線検出部5と、ラインセンサ6に近接して配置され、ラインセンサ6のX線入射面6Aに付着している又は付着し得る環境を、ラインセンサ6の長手方向に関して同時に除去するスクレパー10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、X線受光センサ用のクリーニング装置が開示されている。長尺のX線受光センサの受光部は透光性カバーによって覆われており、チェーン駆動によって回転ブラシをX線受光センサに沿って往復移動させることにより、透光性カバー上に付着している塵が除去される。
【0003】
【特許文献1】特許第3871387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたクリーニング装置によると、回転ブラシを往復移動させている期間内は、生産ラインを停止させる必要がある。従って、X線受光センサのクリーニングを実行する度に生産ラインを長時間停止させる必要があるため、生産効率が低下するという問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、異物検出精度の低下やX線センサの検出感度の低下を引き起こす環境を、生産ラインを長時間停止させることなく除去することが可能な、X線検査装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るX線検査装置は、検査対象である物品にX線を照射し、物品を透過したX線を検出することにより、物品に対する検査を実行するX線検査装置であって、X線照射部と、長尺のX線センサを有するX線検出部と、前記X線センサに近接して配置され、前記X線センサのX線入射面に付着している又は付着し得る環境を、前記X線センサの長手方向に関して同時に除去する、環境除去手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
第1の態様に係るX線検査装置によれば、環境除去手段は、X線センサのX線入射面に付着している又は付着し得る、水滴、氷、塵、ゴミ、又は物品のカス等の様々な環境を、X線センサの長手方向に関して同時に除去する。従って、チェーン駆動によって回転ブラシをX線センサに沿って往復移動させる場合と比較すると、生産ラインを長時間停止させることなく環境を除去することが可能となる。
【0008】
本発明の第2の態様に係るX線検査装置は、第1の態様に係るX線検査装置において特に、物品が前記X線センサの上方を通過するように、コンベアベルト上に物品を載置して搬送する搬送コンベアをさらに備え、前記環境除去手段は、前記コンベアベルトの裏面に付着している環境を、前記X線センサの直上流で除去することを特徴とするものである。
【0009】
第2の態様に係るX線検査装置によれば、環境除去手段は、コンベアベルトの裏面に付着している環境を、X線センサの直上流で除去する。従って、コンベアベルトの裏面に付着している環境がX線センサのX線入射面上に落下してそこに付着する事態を、予め回避することができる。また、環境を除去するために生産ラインを停止させる必要がないため、生産効率の低下を回避することができる。
【0010】
本発明の第3の態様に係るX線検査装置は、第2の態様に係るX線検査装置において特に、前記環境除去手段は、前記X線センサの直上流で前記コンベアベルトの裏面に当接するスクレパーを有することを特徴とするものである。
【0011】
第3の態様に係るX線検査装置によれば、スクレパーがX線センサの直上流でコンベアベルトの裏面に当接することにより、コンベアベルトの裏面に付着している環境をスクレパーによって効果的に除去することができる。
【0012】
本発明の第4の態様に係るX線検査装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るX線検査装置において特に、前記環境除去手段は、前記X線入射面の斜方から前記X線入射面に向けてエアーを噴出することにより、前記X線入射面に付着している環境を除去するエアーノズルを有することを特徴とするものである。
【0013】
第4の態様に係るX線検査装置によれば、エアーノズルからX線入射面に向けてエアーを噴出することにより、X線入射面に付着している環境を除去する。従って、環境を除去するために生産ラインを停止させる必要がないため、生産効率の低下を回避することができる。
【0014】
本発明の第5の態様に係るX線検査装置は、第4の態様に係るX線検査装置において特に、前記コンベアベルト上に物品が載置されていることを検出する検出手段と、前記エアーノズルからのエアーの噴出動作を制御する制御手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記検出手段からの物品検出信号に基づき、前記コンベアベルト上に物品が載置されていない期間内に前記エアーノズルからエアーを噴出することを特徴とするものである。
【0015】
第5の態様に係るX線検査装置によれば、コンベアベルト上に物品が載置されている期間内は、エアーノズルからエアーが噴出されない。従って、エアーの噴出がX線検査に影響を与える場合であっても、その影響を排除することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、X線センサのX線入射面に付着している又は付着し得る環境を、生産ラインを長時間停止させることなく除去することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0018】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るX線検査装置1の構成を示す正面図である。シールドボックス2には、検査対象である物品50を外部からシールドボックス2内に搬入するための物品搬入口3Aと、検査後の物品50をシールドボックス2から外部に搬出するための物品搬出口3Bとが形成されている。なお、図2では、シールドボックス2の内部の構造を明示するために、シールドボックス2の前面板を取り外した状態の装置構造を示している。
【0019】
シールドボックス2の内部には、X線照射部4とX線検出部5とが配置されている。X線検出部5は、ラインセンサ6を有している。ラインセンサ6は、紙面の奥行き方向に沿って延在している。X線照射部4は、ラインセンサ6に向かって扇形状にX線を照射する。つまり、X線照射部4とラインセンサ6との間の空間が、X線照射経路K(図2参照)として規定される。
【0020】
また、シールドボックス2内には、搬送コンベア7が配置されている。搬送コンベア7は、駆動ローラを含む複数のローラ上に巻装されたコンベアベルト8を有している。搬送コンベア7は、コンベアベルト8の物品搬送面上に載置された物品50を、当該物品50がX線照射部4とラインセンサ6との間のX線照射経路Kを通過するように搬送する。図1に示した例では、物品50は、搬送コンベア7によって矢印D1で示す方向に搬送される。つまり、紙面の左側が物品搬送方向の上流側であり、右側が下流側である。
【0021】
また、X線検査装置1は、タッチパネル機能付きの表示部9を備えている。X線検査装置1による物品50の検査結果は、表示部9に表示される。
【0022】
検査対象物である物品50は、X線検査装置1の上流側(図1では左側)から、コンベアベルト8の上流端(図1では左端)に供給される。コンベアベルト8上に載置された物品50は、シールドボックス2内を上流から下流に向かって搬送され、いずれX線照射経路Kを通過する。X線照射部4から照射されて物品50を透過したX線は、X線検出部5のラインセンサ6によって検出される。物品50内に異物が混入していると、その異物の混入箇所において、ラインセンサ6が検出するX線の強度が極端に低下する。従って、ラインセンサ6によって検出されるX線の強度分布に基づいて、物品50内における異物の有無、大きさ、混入箇所等を判定することができる。
【0023】
図2及び図3はそれぞれ、ラインセンサ6を、その周囲の構造とともに示す正面図及び上面図である。図2に示すように、ラインセンサ6は、コンベアベルト8の裏面(物品搬送面の反対側の面)の下方に配置されている。また、図3に示すように、ラインセンサ6は、コンベアベルト8の幅方向に沿って延在している。図3に示した例では、ラインセンサ6の両端部は、コンベアベルト8の両端部よりも側方に突き出している。但し、図3とは異なり、ラインセンサ6の両端部はコンベアベルト8の両端部よりも内側に位置していても良い。
【0024】
また、ラインセンサ6の配置位置に対して物品搬送方向の直近の上流位置(直上流)に、スクレパー10が配置されている。具体的に、スクレパー10は、X線照射経路Kに重ならない位置、望ましくは、X線照射経路Kから数cm上流側の位置に配置されている。スクレパー10の材質は、例えばゴム又は樹脂である。図2に示すように、スクレパー10の上端は、コンベアベルト8の裏面に当接している。また、図3に示すように、スクレパー10は、コンベアベルト8の幅方向(ラインセンサ6の長手方向)に沿って延在しており、スクレパー10の両端部は、コンベアベルト8の両端部よりも側方に突き出している。これにより、コンベアベルト8の裏面の一端部から他端部までの全領域が、スクレパー10の上端に同時に当接する。
【0025】
図4は、スクレパー10を、その周囲の構造とともに示す正面図である。コンベアベルト8の裏面には、水滴100が付着している。物品50が、例えば、パッケージングされていない冷凍食品である場合に、冷凍食品の霜がコンベアベルト8上に落下して、このような状況が起こりやすい。また、コンベアベルト8の裏面には、水滴100以外にも、氷、塵、ゴミ、又は物品50のカス等が付着する。これらの水滴や塵等を総称して、本明細書においては「環境」と称する。
【0026】
コンベアベルト8の裏面に付着している水滴100等の環境は、ラインセンサ6のX線入射面6A上に落下する可能性がある。水滴100等の環境がX線入射面6Aに付着すると、その付着部分が表示部9上で暗い横スジとして表示されたり、その水滴100等の環境が異物と判定されて誤検出が生じる可能性がある。
【0027】
ところが、本実施の形態に係るX線検査装置1においては、スクレパー10が、ラインセンサ6の直上流でコンベアベルト8の裏面に当接している。従って、コンベアベルト8の裏面に付着している水滴100等の環境は、矢印D2で示すように、ラインセンサ6の上方に到達する前にスクレパー10によって除去される。しかも、図3に示したように、コンベアベルト8の裏面は、その一端部から他端部までの全領域が、スクレパー10の上端に同時に当接する。つまり、本実施の形態において、スクレパー10は、ラインセンサ6のX線入射面6Aに付着し得る水滴100等の環境を、ラインセンサ6の長手方向に関して同時に除去する環境除去手段として機能する。
【0028】
このように本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、環境除去手段は、ラインセンサ6のX線入射面6Aに付着し得る、水滴100、氷、塵、ゴミ、又は物品のカス等の様々な環境を、ラインセンサ6の長手方向に関して同時に除去する。従って、チェーン駆動によって回転ブラシをX線センサに沿って往復移動させる場合と比較すると、水滴100等の環境を短時間で除去することが可能となる。
【0029】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、環境除去手段は、コンベアベルト8の裏面に付着している水滴100等の環境を、ラインセンサ6の直上流で除去する。従って、コンベアベルト8の裏面に付着している水滴100等の環境がラインセンサ6のX線入射面6A上に落下してそこに付着する事態を、予め回避することができる。また、水滴100等の環境を除去するために生産ラインを停止させる必要がないため、生産効率の低下を回避することができる。
【0030】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、スクレパー10がラインセンサ6の直上流でコンベアベルト8の裏面に当接することにより、コンベアベルト8の裏面に付着している水滴100等の環境をスクレパー10によって効果的に除去することができる。しかも、チェーン駆動によって回転ブラシをX線センサに沿って往復移動させる場合と比較すると、低コストで環境除去手段を実現することができる。
【0031】
<第1の実施の形態の変形例>
図5及び図6はそれぞれ、第1の実施の形態に係る環境除去手段の変形例を示す上面図及び正面図である。スクレパー10の代わりに、回転ブラシ15が設けられている。回転ブラシ15の上端部は、ラインセンサ6の直上流でコンベアベルト8の裏面に当接している。回転ブラシ15は、図示しない回転駆動部によって、矢印D3で示す方向に回転駆動される。また、回転ブラシ15とラインセンサ6との間には、回転ブラシ15によって除去された水滴100等の環境がラインセンサ6に向かって飛散することを防止するために、カバー16が取り付けられている。
【0032】
スクレパー10と同様に、回転ブラシ15によっても、ラインセンサ6のX線入射面6Aに付着し得る水滴100等の環境を、ラインセンサ6の長手方向に関して同時に除去することができる。
【0033】
<第2の実施の形態>
図7及び図8はそれぞれ、本発明の第2の実施の形態に係る環境除去手段の構成を示す正面図及び上面図である。図7に示すように、ラインセンサ6とコンベアベルト8との隙間において、ラインセンサ6の斜め上方に、エアーノズル20が配置されている。エアーノズル20は、X線照射経路Kに重ならない位置、望ましくは、X線照射経路Kから数cm下流側又は上流側の位置に配置されている。矢印D4で示すように、エアーノズル20からは、ラインセンサ6の上面(X線入射面6A)に向けてエアーが噴出される。
【0034】
また、図8に示すように、複数のエアーノズル20が、コンベアベルト8の幅方向(ラインセンサ6の長手方向)に沿って並設されている。両端のエアーノズル20は、ラインセンサ6の両端部に相当する箇所(又はそれよりも外側)に位置している。これにより、X線入射面6Aの一端部から他端部までの全領域に関して、複数のエアーノズル20から噴出されたエアーが同時に吹き付けられる。
【0035】
なお、エアーノズル20からX線入射面6Aへのエアーの吹き付けは、連続的に行っても良く、あるいは任意の一定時間間隔で間欠的に行っても良い。間欠的に行う場合において、画像のキャリブレーション処理を実行する場合には、エアーノズル20からX線入射面6Aへのエアーの吹き付けが終了した直後に、キャリブレーション処理を実行すると良い。
【0036】
図9は、エアーノズル20を、その周囲の構造とともに示す正面図である。X線入射面6A上には、塵101等の環境が付着している。塵101等の環境がX線入射面6A上に付着していると、その付着部分が表示部9上で暗い横スジとして表示されたり、その塵101等の環境が異物と判定されて誤検出が生じる可能性がある。
【0037】
ところが、本実施の形態に係るX線検査装置1においては、エアーノズル20によって、X線入射面6Aの斜方からX線入射面6Aに向けてエアーが噴出されている。従って、X線入射面6A上に付着している塵101等の環境は、矢印D5で示すように、吹き付けられたエアーによってX線入射面6A上から除去される。しかも、図8に示したように、複数のエアーノズル20から噴出されたエアーは、X線入射面6Aの一端部から他端部までの全領域に対して同時に吹き付けられる。つまり、本実施の形態において、エアーノズル20は、ラインセンサ6のX線入射面6Aに付着している塵101等の環境を、ラインセンサ6の長手方向に関して同時に除去する環境除去手段として機能する。
【0038】
このように本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、環境除去手段は、ラインセンサ6のX線入射面6Aに付着し得る、水滴、氷、塵101、ゴミ、又は物品のカス等の様々な環境を、ラインセンサ6の長手方向に関して同時に除去する。従って、チェーン駆動によって回転ブラシをX線センサに沿って往復移動させる場合と比較すると、塵101等の環境を短時間で除去することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態に係るX線検査装置1によれば、エアーノズル20からX線入射面6Aに向けてエアーを噴出することによって、X線入射面6Aに付着している塵101等の環境を除去する。従って、チェーン駆動によって回転ブラシをX線センサに沿って往復移動させる場合とは異なり、塵101等の環境を除去するために生産ラインを停止させる必要がないため、生産効率の低下を回避することができる。
【0040】
<第2の実施の形態の第1の変形例>
図10は、第2の実施の形態の第1の変形例に係るX線検査装置1の構成を示す正面図である。コンベアベルト8の上流端(図10では左端)に、フォトセンサ30が配置されている。フォトセンサ30によって、コンベアベルト8の上流端を物品50が通過したことを検知することができる。つまり、フォトセンサ30は、コンベアベルト8上に物品50が載置されていることを検出する検出手段として機能する。
【0041】
図11は、図7に対応させて、本変形例に係る環境除去手段の構成を示す正面図である。フォトセンサ30から出力された物品検出信号S1は、制御部31に入力される。また、制御部31には、コンベアベルト8の駆動速度と、コンベアベルト8の上流端から下流端までの距離とが、予め教示されている。従って、制御部31は、フォトセンサ30が物品50を検出してから、その物品50がコンベアベルト8上から排出されるまでの所要時間を算出することができる。その結果、制御部31は、フォトセンサ30がある物品50を検出してから、その所要時間を経過した後も、フォトセンサ30が次の物品50を検出しないことにより、コンベアベルト8上に物品50が載置されていないことを割り出すことができる。
【0042】
制御部31は、制御信号S2によってエアーノズル20の駆動を制御することができ、コンベアベルト8上に物品50が載置されていない期間内に、エアーノズル20からエアーを噴出させる。また、制御部31は、フォトセンサ30が次の物品50を検出すると、エアーノズル20からのエアーの噴出を停止させる。
【0043】
本変形例に係るX線検査装置1によれば、コンベアベルト8上に物品50が載置されている期間内は、エアーノズル20からエアーが噴出されない。従って、エアーの噴出がX線検査に影響を与える場合であっても、その影響を排除することが可能となる。
【0044】
<第2の実施の形態の第2の変形例>
図12は、図2及び図7に対応させて、第2の実施の形態の第2の変形例に係る環境除去手段の構成を示す正面図である。図12に示すように、第1の実施の形態に係る環境除去手段(スクレパー10)と、第2の実施の形態に係る環境除去手段(エアーノズル20)とを組み合わせて使用しても良い。
【0045】
<第2の実施の形態の第3の変形例>
図13は、図2及び図7に対応させて、第2の実施の形態の第3の変形例に係る環境除去手段の構成を示す正面図である。図13に示すように、第1の実施の形態に係る環境除去手段(スクレパー10)の代わりに、第2の実施の形態に係る環境除去手段(エアーノズル20)を配置しても良い。エアーノズル20は、ラインセンサ6の直上流に配置されている。また、矢印D5で示すように、エアーノズル20からは、コンベアベルト8の裏面に向けてエアーが噴出される。
【0046】
図3に示したスクレパー10と同様に、複数のエアーノズル20が、コンベアベルト8の幅方向(ラインセンサ6の長手方向)に沿って並設されており、両端のエアーノズル20は、コンベアベルト8の両端部に相当する箇所(又はそれよりも外側)に位置している。これにより、コンベアベルト8の裏面の一端部から他端部までの全領域に関して、複数のエアーノズル20から噴出されたエアーが同時に吹き付けられる。つまり、本変形例において、エアーノズル20は、コンベアベルト8の裏面に付着している塵101等の環境を、ラインセンサ6の直上流において、ラインセンサ6の長手方向に関して同時に除去する環境除去手段として機能する。
【0047】
<第2の実施の形態の第4の変形例>
図14は、図1に対応させて、第2の実施の形態の第4の変形例に係る環境除去手段の構成を示す正面図である。図7と同様のエアーノズル20が、搬送コンベア7の下面側に配置されている。矢印D6で示すように、エアーノズル20からは、コンベアベルト8の物品載置面に向けてエアーが噴出される。
【0048】
図3に示したスクレパー10と同様に、複数のエアーノズル20が、コンベアベルト8の幅方向(ラインセンサ6の長手方向)に沿って並設されており、両端のエアーノズル20は、コンベアベルト8の両端部に相当する箇所(又はそれよりも外側)に位置している。これにより、コンベアベルト8の物品載置面の一端部から他端部までの全領域に関して、複数のエアーノズル20から噴出されたエアーが同時に吹き付けられる。つまり、本変形例において、エアーノズル20は、コンベアベルト8の物品載置面上に付着している塵101等の環境を、ラインセンサ6の長手方向に関して同時に除去する環境除去手段として機能する。
【0049】
コンベアベルト8が物品搬入口3Aから物品搬出口3Bに向かって進行する経路を往路と定義し、物品搬出口3Bから物品搬入口3Aに向かって進行する経路を復路と定義すると、エアーノズル20は、復路の終端領域(ラインセンサ6の直上流)に配置されている。これにより、エアーノズル20が復路の始端領域又は中間領域に配置されている場合と比較すると、エアーの吹き付けによって清掃されたコンベアベルト8がラインセンサ6の上方に到達するまでの間に、塵101等の環境がコンベアベルト8の物品載置面上に再付着する可能性を低減することができる。
【0050】
なお、本変形例においては、図14に示したエアーノズル20の代わりに、図3に示したスクレパー10を配置しても良い。この場合、スクレパー10の上端はコンベアベルト8の物品載置面に当接することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るX線検査装置の構成を示す正面図である。
【図2】ラインセンサを、その周囲の構造とともに示す正面図である。
【図3】ラインセンサを、その周囲の構造とともに示す上面図である。
【図4】スクレパーを、その周囲の構造とともに示す正面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る環境除去手段の変形例を示す上面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る環境除去手段の変形例を示す正面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る環境除去手段の構成を示す正面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る環境除去手段の構成を示す上面図である。
【図9】エアーノズルを、その周囲の構造とともに示す正面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の第1の変形例に係るX線検査装置の構成を示す正面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の第1の変形例に係る環境除去手段の構成を示す正面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態の第2の変形例に係る環境除去手段の構成を示す正面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態の第3の変形例に係る環境除去手段の構成を示す正面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態の第4の変形例に係る環境除去手段の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 X線検査装置
4 X線照射部
5 X線検出部
6 ラインセンサ
6A X線入射面
7 搬送コンベア
8 コンベアベルト
10 スクレパー
20 エアーノズル
30 フォトセンサ
31 制御部
50 物品
100 水滴
101 塵
K X線照射経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である物品にX線を照射し、物品を透過したX線を検出することにより、物品に対する検査を実行するX線検査装置であって、
X線照射部と、
長尺のX線センサを有するX線検出部と、
前記X線センサに近接して配置され、前記X線センサのX線入射面に付着している又は付着し得る環境を、前記X線センサの長手方向に関して同時に除去する、環境除去手段と
を備える、X線検査装置。
【請求項2】
物品が前記X線センサの上方を通過するように、コンベアベルト上に物品を載置して搬送する搬送コンベアをさらに備え、
前記環境除去手段は、前記コンベアベルトの裏面に付着している環境を、前記X線センサの直上流で除去する、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記環境除去手段は、前記X線センサの直上流で前記コンベアベルトの裏面に当接するスクレパーを有する、請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記環境除去手段は、前記X線入射面の斜方から前記X線入射面に向けてエアーを噴出することにより、前記X線入射面に付着している環境を除去するエアーノズルを有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記コンベアベルト上に物品が載置されていることを検出する検出手段と、
前記エアーノズルからのエアーの噴出動作を制御する制御手段と
をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段からの物品検出信号に基づき、前記コンベアベルト上に物品が載置されていない期間内に前記エアーノズルからエアーを噴出する、請求項4に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−32443(P2010−32443A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197008(P2008−197008)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】